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1951-10-22 第12回国会 衆議院 郵政委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年十月二十二日(月曜日) 午前十一時七分
開議
出席委員
委員長池田正之輔君
理事
飯塚 定輔君
理事
風間
啓吉
君
理事
白井 佐吉君
理事
吉田 安君 石原 登君 小西 寅松君 坪川 信三君 中野 武雄君 降旗 徳弥君
山本
久雄君 土井 直作君
柄澤雪志子
君
出席国務大臣
郵 政 大 臣
佐藤
榮作君
出席政府委員
郵政政務次官
山本
猛夫君
委員外
の
出席者
専 門 員 稻田 穣君 専 門 員 山戸 利生君 ――
―――――――――――
八月十八日
委員小川半次
君
辞任
につき、その
補欠
として稻
葉修
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
九月十一日
委員受田新吉
君
辞任
につき、その
補欠
として坂 本
泰良
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十二日
委員坂本泰良
君
辞任
につき、その
補欠
として受
田新吉
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 十月十五日
委員稻葉修
君
辞任
につき、その
補欠
として三木 武夫君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十二日
委員林
百郎君
辞任
につき、その
補欠
として
柄澤
雪志子
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 十月十八日 ――
―――――――――――
官製紙
二次製品の
発行停止等
に関する
陳情書
(第一〇〇号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
国政調査承認要求
に関する件
郵政行政
に関する
説明聴取
昭和
二十六
年度
郵政省関係補正予算
に関する説
明聴取
――
―――――――――――
池田正之輔
1
○
池田委員長
これより
会議
を開きます。 まず
郵政行政
の近況につきまして、当局より
説明
を聴取いたします。
佐藤郵政大臣
。
佐藤榮作
2
○
佐藤国務大臣
では私から
郵政省
当面の問題につきまして、御報告申し上げます。 去る八月に開かれました本
委員会
におきまして、ご
あいさつかたがた
一応
業務
につきまして御報告申し上げておきましたので、本日はその後問題と
なつ
て参りました
人員整理
と
行政機構
の
改革
の問題、それから最近案の
決定
を見ました本
年度補正予算
と、これに伴います
郵便料金引上げ
の問題、主としてこれらの点につきまして御報告いたしたいと存じます。 まず
人員整理
と
行政機構
改革
問題でありますが、御
承知
の
通り政府
におきましては、
政令改正
のための
諮問委員会
の答申に基きまして、先月下旬来、連日のごとく
閣僚懇談会
を開き、
具体案
を
練つて参つたの
でありますが、本月五日の
閣議
におきまして、ようやく
人員整理
につきましてはあらかたの線が固ま
つたの
であります。
郵政省
につきましては、
電気通信省
、それからこれは
公社
でありますが国鉄その他の
現業官庁
と同様、
現業部門
は五%、
管理部門
は参二五%、これを
整理
の目標とすることにおちついたのであります。
郵政省関係
におきましては、現在
定員
が二十五万九千八百七十四人に対しまして、一万四千五百七十八人を減員することとなり、新しい
定員
は二十四万五千二百九十六人となるのであります。
人員整理
、
行政機構
の
改革
、この
機構改革
の点につきましては、
目下政府
におきまして
せつかく検討
中で、いまだ結論を得る
段階
には至つておりませんが、これらの点につきまして私の日ごろ考えておりますところを、この
機会
に若干申し上げて、御
批判
を得たいと存ずるのであります。
講和條
約も滞りなく締結せられ、いよいよ
わが国
も
独立国家
として
国際社会
に復帰できる
段階
に立ち至
つたの
でありますが、私から申し上げるまでもなく、
自主自立
後の
わが国
の前途には、いろいろ重要かつ困難な問題が予想されるのでありまして、特に
財政経済面
の
負担増加
は避けられない
情勢
であります。今日の
国力
から考えますと、決してなまやさしいことではないのであります。かような観点からいたしまして、
行政規模
なり
官庁
の
機構
というものも、
国力相応
のものをもつて再出発することが当然のことと存ずるのであります。
人員整理
の問題も、かような意味合いから取上げられたのであります。しかし
人員整理
につきましては、二年前すでに大なたが振われておりますので、さらにただいま申し上げましただけの
定員削減
をいたしますことは、これはなかなか容易ならざる問題であります。また
人員整理
は、
一般官庁
と
現業官庁
においては、おのずから
事情
が違うわけであります。われわれがお預かりしております
事業
は、
管理者自身
であるわれわれが勝手に
事業
の
規模
を
決定
し得るような
仕事
ではないのでありまして、
仕事
の量は
国民大衆利用者自身
が
決定
するものであります。しかも
業務
の
性質
上、
機械力
を利用できる部面がきわめて限られており、もつ
ぱら人力
によつて運営されておる
関係
もあり、單純な
人員整理
は、当然
サービス
の低下とならざるを得ない、かような
特殊性
を持つておるのであります。かように考えますと、この
事業官庁
における
人員整理
というものは、非常にむずかしいものがあるのであります。 ただ私がここで申し上げたいことは、今日国が経営しております
事業
、すなわち
郵便
あるいは
電気通信
、さらにまた
公社
に
なつ
ておりますが鉄道、これら
国民
の
日常生活
あるいは
産業経済活動
に、きわめて密接な
関係
を持つている
事業
の
状態
を考えてみますと、戰前においては
サービス
も行き届き、
事業経理
の面におきましても健全で、
国民
から非常に喜ばれてお
つたの
であります。ところがこれらの
事業
の現在の
状態
はどうかと申しますと、御
承知
の
通り
遺憾ながらなかなか
国民
の要望にこたえ得るまで、完全には立ち直つておらないのであります。なるほど
終戦
直後のあの
混乱状態
から見ますれば、きわめて
顯者
な
復興ぶり
を見せておるのでありますが、戦前に比べますとまだまだ不十分で、もつともつとよくしなければならないと痛感しているのであります。ことに
経理
の面におきましては、さらにくふう、
改善
を要することも少くないと思うのであります。 ただ私がここで特に申し上げたいことでありますが、元来
郵便
に関する
料金
は、
公共事業料金
として政策的に特に低くきめられており、いささかも含みというものがなく、ぎりぎりのものでありますので、
物価
が高騰し、入
件費
が高くなりますと、これがてきめんに
事業
の
収支バランス
に響いて参り、
終戦
後のごとく
物価
が引続いてだんだん上つて来るという
状況
のもとでは、いつも
経理面
が苦しく、
赤字
に悩まされて来ておりますことは御
承知
の
通り
であります。従いまして毎年のごとく
料金値上げ
の問題が頭を出して参るのも、やむを得ないものがあるのであります。しかしながらかように理論的に割切つてみましても、
国民
の
日常生活
や
産業活動
と密接なる
関係
にある
軍業
の
性質
から申せば、とにかく
料金
はなるべく安くするのが望ましいに違いないのであります。 私は
郵政省
並びに
電気通信省
の両
事業
を預かる者といたしまして、ぜひともこれら
事業
をして、
国民
の
経済活動
なり
日常生活
の上から見まして十分お役に立ち得るよう、その機能を十分に発揮できるようにいたしたい、かような強い念願を持つているものであります。また
従業員諸君
の
給與
の面におきましても、今日のところこれらのたつ
とい事業遂行
の衝に当つておりながら、なかなか思うような
給與
ができておらない。
独立採算
の原則は立てられているけれども、この
事業自身
の
経理状態
から見れば、いつも
赤字
が出て、
一般会計
から金を借りなければならない。
従つて従業員
に対する
給與改善等
も、思うようにできておらない。この
状態
についてはまことに残念に思つている次第であります。かように考えまして、この際
事業
の
基礎
を強固にし、
従業員自身
が安心してこの
仕事
に奉仕できるようにし、さらにまた
独立
後の日本が当然当面するいろいろな
難問題
にぶつかりましても、この
事業
の
基礎
がゆらぐことのないような強固な
基盤
を、この
機会
にぜひともつくり上げたいと念願しているのであります。かような意味におきましては、
難問題
ではありますが、
人員
の
整理
を行い、他面現行の
郵便料金
を是正いたしまして、
事業
の
基礎
を強固にし、将来の
発展
を約束し得る
りつぱな基盤
をつちかいたい、かように考えておるのであります。
委員各位
におかれましては、どうか私の意のあるところをおくみとりくださいまして、いろいろと御
批判
をいただき、また格段の御教示御支援を賜わりたいと存ずる次第であります。 次に、本
年度補正予算
でありますが、これにつきましては、
前回
、八月の本
委員会
におきまして、一応当時われわれが考えておりました構想を申し上げておきましたが、その後
大蔵省方面
と協議、折衝を重ねました結果、ようやく固まり、去る五日の
閣議
におきまして案の
決定
を見たのであります。ここで
補正予算案
についてその大要を御
説明
申し上げますと、まず
歳出予算
でありますが、十月から
平均
千五百円の
ペース
・
アツプ
を実施するために必要な
人件費
の
増加
が、
郵政事業特別会計
全体で約二十八億円、これに
物価騰貴
による
物件費
の
増加
が約十六億円、これは本
予算
の
単価—
この
単価
は昨年六月当時の
物価
若基準にしたものでありますが、これに対しまして
平均
二一%
程度
の
値上り
を見込んだのであります。それから
陸上運賃
の
値上り
に上る
集配運送料
の
増加
約十七億円、これは
平均
四七%増であります。
昇給原資
と
既定人件費
の
不足分
といたしまして約十三億円、さらに本
予算
におきましては、年末
手当
は
半月分
を
予算
に計上いたしておりましたが、
ペース
・
アツプ
の時期が遅れたという
事情
もありまして、これを〇・八箇月分支給することになりましたので、この
不足額
約七億円、今回
決定
いたしました
行政整理
のため必要な
退職手当
が約四億円、その他難件といたしまして約七億円、これらを全部合計いたしまして約九十二億円の
増加
と相なるのであります。他方におきまして
行政整理
及び
閣議決定
に基く
既定経費
の
節減
が約六億円
程度
でありますので、これを差引きいたしますと、結局約八十六億円の
補正増
と相なるのであります。 この八十六億円のうち、
郵便事業
の
負担
となるべき
経費
は、約五十一億円であります。そこでこの五十一億円の
財源
をどこに求めるかの問題でありますが、この点につきましては
前回
の
委員会
で申し上げたのでありますが、まず第一に、一段と
経費
の
節減
をはかり、最少の
経費
で最大の効果をあげるよう、くふうすることは申すまでもないのであります。しかしながら何分にも
人件費
が
経費総額
の七〇%近くも占めております
関係
上、
節減
と申しましても、その幅はきわめて限定せられ、しかもこの五十一億円は、ただいまちよつと申し上げました
通り
、
閣議
で
決定
いたしました
既定経費
の
節減分
を差引いたしましたその上での数字でありますので、勢い
財源
の大部分は
一般会計
からの繰入れなり、
料金
の
値上げ
にまたざるを得ないのであります。ところで
一般会計
からの繰入れにつきましては、御
承知
の
通り
すでに本
予算
におきまして、
郵便事業
に三十四億円の
赤字補填
を受けることに
なつ
ておりますが、
一般会計
では
減税財源
の問題や、いわゆる
平和條
約
関係
諸
経費
をまかなわなければならないというなかなか苦しい
事情
がありますので、これ以上
一般会計
の
負担
を増すことは困難な
状況
でありますのと、さきに申し上げました
通り事業経営
の
基礎
を固くし、
事業
将来の
発展
の礎石を築くという趣旨におきまして、この際はやむなく
郵便料金
の
引上げ
を行うことに決意した次第であります。すなわち
追加経費
五十一億円のうち、その六八%に当る約三十五億円は
郵便料金
の
値上げ
でまかない、残額十六億円近くは
郵便物数
が最近順調に
増加
の傾向を示しておりますので、この
利用物資
の
増加
に上る収入の
自然増加
でカバーする、かような
見通し
を立てているのであります。 それではどの
程度
まで
値上げ
をする計画と申しとますと、
明年度
以降は
一般会計
からの借入れが期待できない
見通し
でありますので、これを織り込みまして、封書が十二円、はがきが四円、
日刊新聞紙等
で
発行
八等が差出すもの一円、これは百グラムについてであります。この
程度
まで
引上げ
ることに去る十九日の
閣議
で
決定
を見たのであります。ただいま宣し上げました
通り
、
一般会計
からの
赤字
繰入れは本
年度
限りで打切られる
情勢
であり、かつ前
年度
は
値上げ
を見送りました
関係
もありますので、今回の
郵便料金引上げ
は、率といたしましてば
平均
五四%
程度
となるのでありますが、これでも
収支バランス
の上からは、
最小限度
に切り詰めたものに
なつ
ておるのであります。いずれ近日中にも
料金値上げ
その他に必要な
郵便法
の一部
改正法案
の御
審議
をお願いいたす際、案の詳細につきまして御
説明
申し上げるはずでございますが、何とぞその際は実情を御了察願いまして、よろしく御
審議
くださるようお願い申し上げておく次第であります。 次に今国会におきまして、御
審議
をお願いする予定に
なつ
ております
法律案
でありますが、これは四件ほど予定いたしております。ただいま申し上げました
郵便法
と、
郵便貯金法
、
郵便振替貯金法
、それから
郵便為替法
のそれぞれ一部を
改正
する
法律案
、この四
法案
であります。
改正案
の詳細につきましては、いずれ
法案
の御
審議
を願います際、御
説明
申し上げるはずでありますが、その要点だけをごく大づかみに申し上げておきますと、まず
郵便法
の一部
改正
は、
料金値上げ
のほか、
郵便物
の種類、体系の
改正
、
年賀郵便
の
特別料金
、
市内郵便制度
の設定、その他二、三の点につきまして
改正
することにいたしております。次に
郵便貯金法
の
改正
は、
利率
の
引上げ
と、一人の
預金者
の
貯金総額
の
最高限度
を
引上げ
る、この二点であります。
わが国
の
自立達成
のため、資本の蓄積が緊急の課題と
なつ
ております今日、
長期安定性
に富んだ
郵便貯金
の増強をはかりますことはぜひとも必要であり、また本
年度
から新たに発足いたしました
郵便貯金特別会計
の
経理
を健全化し、
事業
の円滑な
発展
を興します上にも、
貯金残高
の
増加
こそ
基本的要件
であります。かような
事情
にかんがみまして、
かたがた市中金融機関
の預貯金の
利子
も、先月一日から戦後七固目の
引上げ
が行われ、
定額郵便貯金
につきましては、去る六月一日から幾分
利率
の
引上げ
をいたしましたものの、
郵便貯金
の
利率
は総じて割安と
なつ
でおりますので、この際
利率
の
引上げ
と、
預入最高限度
の
引上げ
を行いたい、かように考えた次第であります。ただここで問題となりますのは、
利子引上げ
に伴う
資金コスト
の
増加
であります。
前回
も申し上げました
通り
、本
年度
当初
予算
におきまする
資金コスト
と
運用利回り
の
関係
は、八厘三宅の逆ざやで、約十五億円の
歳入不足
と
なつ
ているのでありますが、
利子
の
引上げ
を行いますと、
預金額
が飛躍的に増大しない限り
赤字
はふえることとなり、さらに
ペース
・
アツプ
、
物件費等
の
増加
を見込みますと、
郵便貯金特別会計
におきましても、本
年度
さらに約十五億円の
歳入不足
を生ずることとなるのであります。このうち
利子引上げ
による分は約一億円で、これは十一月一日から
通常郵便貯金年
三分九厘六毛、
積立貯金年
四分二厘、
定額貯金
は年四分二厘ないし五分五厘まで
引上げ
るという
改正案
による計算であります。この
赤字増加額
は今回の
補正予算
で、
一般会計
から追加繰入れを受けることに相な
つたの
でありますが、これで当初
予算
の分十五億円と合せまして、合計約三十億円を
一般会計
から
歳入不足補填金
として繰入れを受けることに相成るのであります。なお今後の問題として、この
赤字
を解消し、
郵便貯金特別会計
も一人立ちできるようにいたしますためには、
資金
の
運用利回り
、すなわち
資金運用部預託金
に対する
利子
の
引上げ
をすることも、いずれ考えて行かねばならないと思つている次第であります。
郵便振替貯金法
、
郵便為替法
の
改正
につきましては、省略させていただきます。なおこの四
法案
のほかに、
保険金額
の
最高限度
の
引上げ等
のため、
簡易生命保険法
の一部
改正
についても、ただいま
せつかく検討
中でありまして、成案の上は
委員各位
の御
審議
をお願いすることにいたしたいと存じております。 以上をもちまして私の報告を終りたいと存じますが、なお詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。
池田正之輔
3
○
池田委員長
この際お諮りいたします。本
委員会
の
活動
を一層活発ならしめるとともに、遅滞なく運営いたしまするために、
国政調査
の
承認
を要求いたしたいと存じます。御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なしと」呼ぶ者あり〕
池田正之輔
4
○
池田委員長
御
異議
なしと認めます。それでは
衆議院規則
第九十四條によりまして、
国政調査承認
の
要求書
を
議長
に提出いたさねばなりませんが、
要求書
の内容につきましては、
委員長
に御一任願いたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
池田正之輔
5
○
池田委員長
御
異議
なしと認めます。 それでは本日はこの
程度
でとどめ、
次会
は二十四日午後一時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二十八分散会