運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-15 第12回国会 衆議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)  議事日程 第十五号     午後一時開議  第一 本年度台風災害対策に関する決議案(上林山榮吉君外三十名提出)(委員会審査省略要求事)  第二 輸出信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 農業共済保険特別会計における家畜保険金支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出)  第五 会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案内閣提出)(参議院送付)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第二 輸出信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 農業共済保険特別会計における家畜保険金支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出)  日程第五 会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案内閣提出)  昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案内閣提出)  一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案内閣提出)  日、米、加漁業協定に関する緊急質問佐竹新市提出)     午後三時十一分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 福永健司

    福永健司君 日程第一は延期されんことを望みます。
  4. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程第一は延期するに決めました。      ————◇—————
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、輸出信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。通商産業委員長小金義照君。     〔小金義照登壇
  7. 小金義照

    ○小金義照君 輸出信用保険法の一部を改正する法律案について、通商産業委員会における審議経過並びに結果を概要御報告申し上げます。わが国経済の自立を達成するためには、輸出貿易飛躍的発展を実現することがその基本的要件でありまして、政府におきましては、輸出貿易振興方策の一環といたしまして、最近におきまする東南アジア地域南米諸国等経済開発の進展に即応し、これらの地域機械設備等資本財輸出促進をはかるために、さきに日本輸出銀行を設け、長期輸出資金融通円滑化を期する等の金融的な措置は講ぜられて参つたのでありますが、しかしながら現況におきまして、東南アジア並び南米諸国等に対する資本財輸出実効を一層強化せねばならぬ実情と相なりましたので、このたび現行輸出信用保険制度を拡充強化いたしまして、資本財輸出取引における信用危険を担保する保險制度を確立することを主眼として、本改正案提出されたのであります。次に、本改正案趣旨並びに改正の要庶を申し上げます。現行輸出信用保険法昭和二十五年三月三十一日より施行せられ、同年六月より輸出信用保険引受を行い、最近の緊迫した国際情勢のもとにおいて、輸出取引に伴う為替制限戦争等の非常危険に基く不測の損失を救済して、輸出振興上少からざる効果を収めて参つたのであります。しかし、先ほど申し述べました資本財輸出については、輸出貨物引渡し後、長期にわたる代金の全部また一部の支拂いの延期される特殊決済方式がとられるのが通例となり、また買手側資金が乏しく、その上売込みについては各国間に激甚な競争が行われているのが現在の状況でございます。すなわち、かくのごとき特殊決済方式によつて買手側長期信用を供與しなければ、東南アジア、また南米諸島等に対するプラント輸出促進はとうてい実効を期しがたいというのが現状でございます。このように資本財輸出後、その代金回収までに、買手の破産、支拂い義務遅滞のごとき信用危険を保険制度によつて救済しようとするのが本改正案趣旨でありまして、すなわち現行法におきまする再保険方式甲種保険制度といたし、新たに買手側信用調査保険引受の可否の審査等政府が直接責任をもつて行う乙種保険制度を制定し、保險契約締結損失査定等、一連の保険業務をすべて政府が直接取扱うことといたしております。以上が本改正案の要点でございます。本改正案は、去る七日、当委員会に付託せられ、政府当局から、九日提案理由を、また十二日逐條説明をそれぞれ聴取し、十三日質疑に入りましたところ、自由党小川平二君、国民民主党高橋清治郎君、日本社会党加藤鍛造君及び日本共産党の風早八十二君と政府当局との間に熱心な質疑応答が行われましたが、これの詳細は会議録に譲ることといたします。越えて昨十四日討論に付しましたところ、自由党を代表して小川平二君、国民民主党を代表して高橋清治郎君、日本社会党を代表して今澄勇君がそれぞれ賛成意見を述べられ、また日本共産党を代表して高田富之君から反対意見が開陳ぜられました。討論が終結いたしましてから採決をいたしましたところ、多数をもつて可決いたした次第でございます。以上御報告申し上げます。(拍手
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第三、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案日程第四、農業共済保険特別会計における家畜保険金支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案日程第五、会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事奧村又十郎君。     〔奧村又十郎登壇
  11. 奧村又十郎

    奧村又十郎君 ただいま議題となりました外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案外二法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。まず外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。現在外貨資金運営につきましては、外国為替管理委員会が一元的にこれに当つているのでありまして、外国為替銀行外国自己名儀外貨資金を保有して輸出入取引を行うことはできないのであります。このような機構のもとにおきましては、外国為替銀行に対し、外国為替管理委員会にかわつて委員会勘定外貨資金を預入し、または同勘定からの支拂いのさしずをするなどの権能を賦興することが、事務の円滑な運営をはかる上において必要になつて参るのであります。外貨資金管理権日本政府に委譲されて以来、実際の取扱いにおきましては、日本銀行から外国為替銀行に再委任しているのでありますが、現行外国為替資金特別計法におきましては、外国為替管理委員会業務の委任は日本銀行に対してなし得る規定があるにとどまりますので、この際日本銀行がその委任された事務の一部を外国為替銀行に再委任し得る旨を明定して、もつて外国為替資金り円滑な運営に資することとしようとするものであります。本案につきましては、数回にわたり審議を重ねました後、昨十四日、討論省略して採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。(拍手)次に、農業共済保険特別会計における家畜保険金支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について申し上げます。本法律案提出趣旨は、昭和二十五年度におきまして、農業災害補償法に基く家畜共済の対象となつている牛及び馬について、乳牛の結核病及び牛の流行性感冒並びに馬の伝染性貧血が異常に発生し、これが支拂い財源といたしまして二億一千三百四十万二千九百円の不足を生じましたが、この不足金保険料率改訂によつて収支の均衡をはかるべき性質のものではないのでありまして、農業災害補償制度趣旨にかんがみ、これを一般会計からの繰入金をもつて補償いたそうとするものであります。本案につきましては、数日にわたつて慎重審議の結果、昨十四日、討論省略の上採決いたしましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)最後に、会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案について申し上げます。会社利益配当等臨時措置法は、終戦後わが国経済が不安定で、企業経理内容もきわめて弱体であつた時期において、利益配当を規制し、会社経理健全化をはかることを目的としたものでありますが、その後わが国経済は漸次安定を回復し、企業経理内容も充実して参りました。また配当規制に関するこの法律趣旨は、先般施行されました改正商法によつて、おおむね取入れられておるのでありまして、今回本法律案提出いたし、これを廃止しようとするものであります。本案につきましては、審議の結果、去る十三日、討論省略の上採決いたしましたところ、起立総員をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。以上御報告申し上げます。(拍手
  12. 林讓治

    議長林讓治君) まず日程第三につき採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  13. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)  次に日程第四及び第五の両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  15. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。人事委員会理事田中重彌君。     〔田中重彌君登壇
  18. 田中重彌

    田中重彌君 ただいま議題となりました一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案並び昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案につきまして、人事委員会における審議経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。     〔議長退席、副議長着席政府職員現行給與は、本年一月から実施されたものでありますが、その後における経済事情の推移、ことに生計費増嵩による職員の困難な生活事情にかんがみ、これを適正に改訂して、すみやかにその生活安定確保をはかる必要がありますので、昭和二十六年八月二十日付で人事院勧告いたしました給與計画を、生計費民間賃金その他諸般事情を勘案し、財政の許す範囲内において尊重して、一般職国家公務員給與改善をはかり、また昭和二十六年度におきまする国家公務員に対する年末手当増額しようとするのが、政府提案理由であります。  次に、一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案要旨を簡単に御説明申し上げますると、次の五点に要約されるのであります。  まず第一点は、昭和二十六年十月以降における職員平均給與額を月額約千五百円程度引上げて、おおむねこれを一万円程度といたしたことであります。  第二点は、俸給一につきましては、まだ従前に比しおおむね一八%ほどの増額をたしますとともに、現行俸給表のほかに、人事院勧告に従い、造幣、印刷、国有林野アルコール専売、郵政、電通の各企業特別会計現業職員について、その職域の特殊性を考慮いたしまして、新たに特別俸給表を設けたことであります。  第三点は、扶養手当につきましては、人事院勧告に従い、なおしばらくの間現行の六百円、四百円をそのまますえ置く方針をとつたことであります。  第四点は、勤務地手当につきましては、本年五月十七日付人事院勧告通り、その支給地域区分改訂するとともに、新たに官署指定の道を開くことといたしたことであります。  第五点は、現在無給となつております休職者に対しても、新たに一定條件のもとに給與を支給できるようにいたしたことであります。  次に、昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案要旨を申し上げますと、本年度限つて年末手当を六割増額いたし、在職期間が六箇月以上の場合は百分の八十、在職期間が三箇月以上六箇月未満の場合は百分の四十八、在職期間が三箇月未満の場合は百分の二十四といたしたことであります。  本法律案は十一月一日、一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案は十一月一日それぞれ人事委員会に付託され、同日、両法律案につきまして政府より提案理由の説明を聴取いたし、十二日より質疑に入つた次第であります。  そのおもなるものを御紹介申し上げますと、政府人事院勧告を尊重したと言うが、十八歳成年男子二級三号四千二百円という人事院勧告に対し、四千円としているが、主食以外の電気、ガス、水道、郵便料金鉄道運賃値上りを考慮しているかという質問に対しては、それらの値上りは約百三円の生計費増加となる計算であるが、基礎控除引上げを考慮に入れ人事院と同じ方式で計算すれば三千九百九十円となる旨、また企業官庁級別俸給表適用範囲を、同じような仕事をしている他の官庁職員がいるにもかかわらず、これだけに限定したのは何ゆえかという質問に対しては、今回は企業能率を増進するのに直接関係のある第一線の職員のみを取上げたのであつて、これと同じような職務内容を持つ他の職員に対しては将来において考慮いたしたい旨、また教育公務員特別俸給表勧告をしなかつたのはいかなる理由かという質問に対しては、教育公務員には一般職階制適用が困難であること、国においては教育公務員大半国立大学におけるものであり、少数であるが、地方においては中、小学校がおもで、その数はきわめて多く、給與の面で比較するに、中、小学校基準にとれば、国と地方ではベースが違い、地方教育公務員の方が高いので、教育公務員特別俸給表の設定は、その影響するところはなはだ多く、目下研究中であり、給與準則において取上げるげる旨、さらにまた地域給に関する人事院勧告には、級地の引下げも、段階区分の縮小も行われておらず、現状に対して合理性を欠くと思うがいかんという質問に対しましては、給與全体の中では、ささやかなるべきものが、このように大きな問題になつた点を見ると、りくつでは行かぬ面もあるし、将来は廃止したいと考えるが、まだその段階至つてはおらぬ旨、また今回の給與改訂により平均給與額はどれくらいになるか、その内訳はどうなるかという質問に対しては、今回の給與改訂の結果、本俸は七千九百四円で、千二百四十五円の増額となり、勤務地手当は一千六十二円で、二百四十八円の増額となり、扶養手当は八百七十六円、特殊勤務手当は二百二十円、いずれもそのままで、合計一万六十二円になる旨、また地方公務員給與国家国務員に比して高いというが、その算定基礎いかんという質問に対しては、全国で約百二十万の地方公務員のうち七万人を抽出して、それらの人々の本年四月一日における本俸を、国家公務員適用にされている初任給昇給、昇格り基準に照して国家公務員並に引直してみると、地方公務員の方が高くなつている旨、また今年度年末手当を五%から八〇%に引上げ理由いかんという質問に対しては、給與改訂は八月から実施したかつたのであるが、諸般事情により不可能であつたため、それにかわるものとして、今回の給與改訂額の二箇月分に相当する額として本年度年末手当を三〇%増額した旨、それぞれ政府側より答弁があつたのであります。また勤務地手当に関する別表は、その後の情勢変化及び各地より提出された請願、陳情書等資料にかんがみ相当程度修正を必要と考えるが、政府所見いかんとの質問に対し、人事院総裁より、修正勧告案は目下準備中であるから、通常国会までは勧告を行う考えである旨、また内閣官房長官よりは、人事院修正勧告あり次第、これを拝見の上、誠意をもつて財源措置を講じ、可及的すみやかに通常国会修正案提出することじいたしたいとの熱意ある答弁がありました。  なお一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、その重要性にかんがみまして、使用者側、被使用者側学識経験者より計十五名の参考人を呼び、その意見を聴取する等、慎重審議を重ねたのであります。詳細は速記録にゆだねることにいたします。  かくいたしまして、本日質疑を打切り、ただちに討論に入りましたととろ、藤枝泉介君は自由党を代表して両法案賛成平川篤雄君は日本民主党を、松澤兼人君は日本社会党を、八百板正君は日本社会党第二十三控室を、岡田春夫君は労働者農民党を、柄澤登志子君は官本共産党をそれぞれ代表いたしまして両法案反対する旨を述べられました。続いて採決の結果、多数をもつて法案原案通り可決いたすべきものと議決いたしたのであります。以上、簡単ながら御報告申し上げます。(拍手
  19. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより討論に入ります。平川篤雄君。     〔平川篤雄登壇
  20. 平川篤雄

    平川篤雄君 ただいま上程されました両案に対しまして、国民民主党は応対をいたすものであります。(拍手)以下、その理由を簡単に申し上げます。われわれの反対をいたします第一点は今回提案をせられました給與体系そのものについてであります。今回の給與は、先ほど委員長報告にもありましたように、十八歳男子の一箇月の標準生計費を四千円と定めて、これを五号俸として置き、七十一号俸としましては、取締役民間平均を三万三千九百九十六円といたしまして、この間をただカーブをもつてつないだにすぎないのであります。この間に何らの理論的な根拠がない。民間給與の実態に即してやらなければならないということは、給與の根本の原則でありますが、単にこの取締役平均三万三千九百九十六円というものだけが民間給與とつり合うものでありまして、その他の点においては、人事院給與体系の約一割三分減、八八%をはじきだすために人為的につくつたカーブであるにすぎないのであります。かようなことは、すでに皆さんの御承知のように、今年の六月、七月ごろから、今度の給與改訂は千五百円のべースアップだという声がし音りに聞えておりました。その後今日に至るまで相当な経済情勢変化があつだにもかかわらず、出て参りました予算はやはり千五百円である。こういう点から考えましても、この際の給與引上げが何ら経済り実質に触れたものではなくして、政府の御都合から総額が定められ、それによつて人為的につくられだ体系であると断ぜぎるを得ないのであります。また最低の俸給であります一級の一号は、一実に三千六百円にすぎない。それに反して、十五級の四号は五万円になつておりまして、この比率は一対十四であります。低い方ではわずかに六百円しか上らないのに、この十五級四号におきましては、実に一挙に一万三千円が昇給となのであります。私どもは、この最高給を五万円と押えることについては根本的に反対をするものではないのであります。聞くところによりますと、日本総理大臣吉田茂氏の俸給は、アメリカの最下級の役人の給料と同じだそうであります。さようなわけでありますから、私どもは上を押えるものではない。しかし、ながら、五級、六級、七級というような低い方の給與を受ける者が大多数を占めております際にかような者が給與りベース・アップによつて十分な恩恵を受けないということは、これは考えてみなければならないことである。われわれは、このような点におきまし又現在の給與というものは、なるほど能率給というものを考えなければならぬのでありますが、しかし、ある程度生計を維持するに足るだけのものを保障した上で能率給を考えるというのが、現状としては至当な問題であると思うのであります。(拍手)しかるにあまりに能率給主義になつてつて、いかにも現在の政府高級官僚のみを優遇し、下級官吏を圧迫するものであるというい印象を與える給與法であることは、私どもはなはだ遺憾とする点であります。(拍手)次に勤務地手当の問題でありますが、昨年五月につくられました料に基いて本年五月に勧告をせられた。それを、政府財源措置を怠つために、今日まで延びて来ておるの下あります。この間一年以上たつておりますうちに、地域差というい問題も非常にかわて来る、のでありますただいま、この、ままの資料を出されたのでは、とうていわれわれは承服することができないのであります。ことに要な問題と思われますことは、最初は大した問題でもなかつたのでありますが、最近のように、ベース改訂ことに下に薄く上に厚い急激な上昇カーブを描いております給與体系によりましては、現在一例をあげると、五万円の給料をとつておる東京都の人は、実に地域給として一万二千五百円をもらうのである。それに対して四千円の給料をとつている者は、わずかに千円しか広らわない。大体地域給などというものは、生活が困難であるという見地から考えられたものであつて生活給的な性格を持つておるものであります。しかるに、最高給五万円の者が一万二千五百円もらうというのは、もろすでに生活給の意義を失つておる。かような点をそのままにして強行しておりますことまは、先ほど私が指摘いたしましたように高級官僚のみを考えておる政策の現われであると断定されても、これはいたしかたないと思うのである。また休職給の問題でありますが、これは現在、教育職員は三箇年の期間というものを認められておるのである。人事院はそれに右へならえをいたしまして、三年間を主張いたしておるのでありますが、政府はこれを二年間といたしているのであります。政府側意見を聞きますと、教育職員は生徒や児童に病気をうつすおそれがあるから、それで三年にするというのである。それならば、普通の一般職員は二年で出て参りまして同僚に病気をうつしたり、本人が倒れてもよいと言われるのでありましようか。やはりこれは本人病気と、いうものを考えて行かなければならない問題であると思う。それから年末手当ての問題でありますが、大体このべース・アップの問題と関連して考えますときには、政府のべース・アップというものは、私は年遅れておると思う。吉田内閣が組閣せられまして以来、毎月々々内閣公務員に対して負つておる借金は累増いたしておる。その額は大したものである。でありますから、年末手当というものは勤勉であるから與えるというようなものではなくて、むしろ一年間の非常な困難な生計をこの際償うという意味をまず第一に持つていなければならないものだと思うのであります。しかるに、それに十分見合うほどのものでないということは、私どもはなはただ遺憾に思う次第であります(拍手)以上申し上げました諸点について、私は吉田内閣給與政策というものを考えてみたいのでありますが、大体公務員は、国民に対するサービスを本義といたすものであります。公正であるとともに能率的でなければならぬと思います。しかしながら、その公正とか何とかいう公務員本来り特性につきましては、いわゆる厳格な国家公務員法その他によつてこれを縛りましてその反面、能率の良否は何によつて表現するかというと、単にこれは行政整理である。そして給料は低いところに押える。ことに人事院政府の間に、しばしば給與問題について衝突がありますが、人事院を廃止してもこの公務員給與政府考え通りにやろうという動きがあることは、はなはだ遺憾であります。こういいう給與の問題で守りましてこそ初めて公務員は安心して能率を上げ公正なる態度を維持することができるのだと思います。最近良識のある人たちは、しつかるり政府給料を拂つてもらいたい、そのかわりしつかり働いてもらおうと言うのであります。ところが、いわゆる労働基準法なんかを改正いたしまして、八時間だけで済ませるということは日本の実態に合わない、こう言う。しかし、私どもは、八時間の間一生懸命に働く態勢そぼずつくるということが、ただいまは先決だと思うのであります。くだくだといいかげんな給料をやつて、ふまじめな、能率の上らない職員を置いて、そうして長々と勤めてもらういことには反対であります。そういうような、まつたく違つた観点に立つて少し考えてもらわなければならないと思うのであります。行政整理も、国家の行政機構をほんとうに能率的に運営することのできるようなものであるならば賛成である。しかし、ただいまやろうとしておるのは天引である。そのようなやり方である。またそのために国家公務員給與がよくなるというのなら話がわかりますが、そうではないのであります。自由党は首切りだけ考えておる。さて、特に皆さんに考えていただかなければならぬことは、最近公務員に対しで非常な不信の声が国民の中に起つております。ところが、人材を集めることのできないような状態にしておるのは政府である。大学卒業生の最近の就職希望の動向などを考えましても、これは将来憂うべきものがあるのであります。そこで、政府はなぜそんなに低い給與で押えなければならぬかということを尋ねますと、もつぱら財政的な理由だと言つておるのであります。ところが、今回の一般会計の補正予算によつて増額せられるものは実に千五百九十二億七千五円に及んでおる。それに対して一般会計分の給與改訂はわずかに八十七億であつて、これは全体の六四%にすぎないのであります。かようなことでは、私は財政的な理由だという逃げ口上は決して許されないと思うのであります。(拍手」大蔵大臣は、今回の補正予算をいわゆる安定と能率と発展と豪語しておられますが、われわれれの考えますところ、当予算の見込み違いから、インフレを押さえることができないために、当初に見込みました事業を十分遂行することができないいわばしりぬぐいの予算である。物を買うことができない。事業をやることができないそれは公務員においても同じであります。給與を上げなければならないことは明らかである。この点だけを知らない顔をして、ほおがむりをしておるということは、それは自由党に特別な意図があると考えるよりほかにない。大体インヴエントリー・ファイナンスというような手持ち資金の存在することについては、各階層が反対をいたしておるのであります。
  21. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 平川君にちよつと申し上げますが、申し合せの時間がすでに経過いたしておりまづから、簡潔に結論を願います。
  22. 平川篤雄

    平川篤雄君(続) この一部分をさくことによつて給與増額は可能なのであります。そういうようなわけでありますから、私どもは、政府の今度の給與改訂のやり方給與政策の根本については、もつぱら世間でいわれておるように、自由党的性格が現われておるとやいわざるを得ないのであります。つまり、非常な財政的負担のしわ寄せを地方財政へかけておる。給與の面から申しますと、地方公務員には、今度は、千五百円のアップはできないという平衡交付金の組み方をやつておるのであります。賃金は今の通りである。私ども政府の困難な財政地方財政と農民公務員にしわ寄せをしておるとしか考えることはできないのであります。かよな根本の考え方をとつて組み立てられでおります今度の両法案に対しては、私ども、これはどの点をとりましても賛成する理由がないのであります。私どもは現に予算案の修正について努力をしておるのでありますが、まだ参議院においては結論に達しておりません。どうか自由党諸君共は、平均交付の増額と、給與改訂分の増額について、今からでもおそくはないのでありますから、参議院の議を私の申し上げましたような方向におまとめに相なることをお勧めいたしまして、反対討論といたします。(拍手
  23. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 藤枝泉介君。     〔藤枝泉介登壇
  24. 藤枝泉介

    藤枝泉介君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております給與関係の二つにお法案に対しまして賛成を表するものでございます。(拍手公務員諸君生活事情が、経済の安定に伴いまして徐々に回復したとは申せなお相当困難なる事情にありますることは、私も率直にこれを認めるところでございます。わが党は、機会あるごとに、そにの改善に努力しておるのであります。今回、米価その他の値上りと、他方特に低額所得者を目標といたしまするところの所得税の引下げをにらみ合せまして、現在の給與を約二割程度引上げまして、平均一万余円いたしましたことは、まことに適当なる処置と考えるのでございます。(拍手)元来、野党諸君は、常にわが内閣給與政策を非難しておられるのでありますが現内閣職員給與改善に積極的な努力をいたしたものはないと思うのであります。(拍手)さきに六千三百円ベースの完全なる実地を、現内閣成立直後の二十四年四月に行つて以来、同年末の年末手当支給、昨年末におきまする年末手当制度の恒久化、そうして本年一月以降八千円ベース実現、しかもさらに今回一万余円へりの引上げ等、着々給與の実額の増加をばかる一方、数度にわたる減税等について実質賃金の充実に努力をいたしております等、常に積極消極両面にわたつて公務員給與の改善に努力をいたしておりますことは事実の明らかに示すところであります。(拍手)これは、わずか。八箇月の手当の支給につまづいて内閣を投げ出したさきの内閣とはよほど違つておると思うのでございます。(拍手)今回の給與額についてでありますが、もちろん給與は多いに越したことはないと言えるでありましよう。またしかし、一面これを支拂うところの国民のふところぐあいも考え合せなければならぬことは当然でございます。今回の減税をもつてしてもなお税負担の重いといわれておる今日におきまして、ここに二百六十六億余円をつぎ込むということは、まず国民の負担からいいましても、公務員給與のわくとしましては限度に参つておるといつてさしつかえないと思うのであります。しかも現実の給與額におきましても、公務員に対し国民の水準的な生活を保障するという人事院方式をそのまま受入れておるのでありまして、国民に與えられる食糧の平均等から割出しましたと、ころの、下は十八歳の男子に対して、いなかにおいて一月約四千円、上は会社の重役級り平均といたしましてこれまた人事院資料に基き三万六千円といたしております。これもまた地域給のつかない、いなかの数字でございます。そして、その平均は、最近の民間賃金の毎月きまつて支給される金額一万六百余円にほぼ近いのでありまして、これらを考えますならば、まずまずこの辺で公務員諸君にもがまんしていただかなければならないと思うのであります。さらに他の方面よりこれを見ますのに、主食その他の値上りと今回の給與改訂との関係でありますけれども、いわゆる中堅層というところの五級なし九級の職員について見ますのに、値上りの影響はマイナス一五・二一%ないし一五・五六%であるのに対し、給與改訂の影響は、プラス一八・二%ないし一九・八%でありまして、今回の給與改訂は、最近の各種の値上りを十分にカバーして余りあるものと考えるのであります。(拍手)最後に勤務地手当地域区分の問題でありますけれども、このたびの原案には幾多の問題がありますこれは、各方面から言われておるのであります。これが修正は当然なさるべきものと考えるのでありますが、これについて人事院はすみやかに追加の勧告を行ういと言い、政府もこれを待つて予算的にも善処するという言明を信じまして、一応本案を認めたいと思うのでありますけれども全国注視の的でありますこの地域給の問題につきましては、人事院並びに内閣のすみやかなる善処を要望するものであります。またこの地域区分は、あくまで国家公務員本位のものでありまして、地方公務員にただちにそのまま適用することは必ずしも適当ではないのでありまして、平衡交付金の算定の基準である地方財政需要の測定にあたりましては、別箇の観点から地域給の問題を処理すべきものと考えるのであります。なお年末手当増額につきましては、今回の給與引上げを実質的に八月よ行つた同様の効果をあげんとするものでありまして、当然の処置として、これまた賛意表すものであります。以上をもちまして私の賛成討論討論をおわります。(拍手
  25. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 松澤兼人君。     〔松澤兼人登壇
  26. 松澤兼人

    松澤兼人君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題なつつております二つの法律案に対しまして反対の意思表示をいたしたいと存ずるのであります、(拍手)まず最初に申し上げたいことは、われわれは現在の国家公務員生活の実情から考えまして、少くとも人事院勧告の線であります一万一千二百六十三円というベースは、即時全面的に実施しなければならないと思うのであります。御承知のように、本年八月から主食の値上があり、その後電気、ガス、水道あるいは郵便へ電信あるいは新聞、運賃、あらゆる商品があるいはあらゆる物価が軒並に騰貴しているのでありまして、こういう実情から現在本年あるいは来年の上半期を考えてみるときに、私ども国家公務員がはたしてこの物価高の激動の中にあつて生活を維持することができるかどうか、はなはだ疑問に考えるのであります。(拍手)私どもは一万二千円のべースを主張するものでありますが、暫定的には人事院働告の一万一千二百六十三円が即時実施されなければならないと考えておるのであります。(拍手政府は、昨年の千円のべース・アツプと、今回の千五百円のべース・アップをしたということをたいへんお手柄のように考えておられるのであります。しかし、問題は、かかるこま切れ的なベース・アップではなくして、給與体系そのものがいかに考えられているかという点にあるのであります。もしも現在のようなこま切れ的なべース・アップをいたしますならば、結局におきまして昔のように大蔵官僚の手に今日の国家公務員生活が握られてしまうという事実が問題であります。(拍手)私どもは、労働者の当然の権利として、労働三権というものを憲法において認められているのであります。しかるに、国家公務員は労働三権を剰奪せられて、ただ一つ国家公務員の利益と福祉を守るものとして人事院があるのであります。この人事院勧告政府によつて蹟聴せられることになりますならば、国家公務員の能率的な公務の運営ということは決して期待ができないと考えるのてあります。(拍手)なお申し上げたいことは、今日自由党諸君がべース・アップを言われておりますけれども、しかしこれは、先般衆議院を通過いたしました定員法の改正による首切りの代償としんいるだけであります。諸君は首切りを前提として、わずか千五百円のべース・アップをしているのであえります。しかも、先ほど言われましたように、下級の職員についではわずかに六百円しか上つておらないのであります。千五百円のベース・アツプということは、実質的に考えてみるならば、結局において上級者の一万三千円というベース・アップのために、ただ千五百円の形をとつているにすぎないのであります。(拍手)さらに内容の点に簡単に触れてみますならば、先ほど平川君から話がありましたように、この上下の幅というと、あるいはそのカーブの問題につきまして公務の実際的な運営をやつております中堅階級の人々が非常に不合理なアップしか受けておらないという事実は、ぜひとも指摘しなければならないのであります。さらに人事院勧告の中に述べております休職給の問題におきましても、教育職員につ、ては三年まで結核患者が有給の休暇をもらつているのに、国家公務員は二年間を限度としているのであります。しかも、人事院勧告におきましては百の休職給をつけることになつているのでありますが、政府はこれを百分の八十と値切つているのであります。さらは奨励給の問題につきましても、政府はこれに対して何らの考慮を拂つておらない。あるいは地域給の問題につきましても、われわれに対しては、諸君にも同様に、地域給改訂の問題について全国各地がら要望があるのであります。これを私たちは、少くとも人事院が考えておることろに、再修正の形におききまして、どこまでも取上げて行かなければならないと考えているのであります。さらに地方公務員の問題につきまては、今日財政平衡交付金の問題につきまして全国の府県市町村の理事者及び職員組合の人たちが、今日その増額を要求しているのであります。地方財政の破綻は、今日よりはなはだしいことはないのであります。私たちは、地方公務員国家公務員と同じようにベース・アップをするところの財源が保障せられていないということを考えてみますならば、少くとも今日地方公務員に対しましても、政府は十分なる財源を保障しなければならないと考えるのであります。(拍手)これを要しますのに、国家公務員給與を低く改訂いたしまして、民間給與あるいは地方公務員給與を低くいたしまりて、農村に率いては低米価、そしで公務員に対しては、勤労者に対しては低賃金を押しつけることがすなわち自由党政策の現われであると考えるのであります。(拍手)年末手当の問題につきましては、われわれは、同じく人事院勧告の、年間を通じて一箇月の特別手当を出さなければならないという線から、この法律案に対しましても反対の意思表示をするものであります。(拍手
  27. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 柄澤登志子君     〔柄澤登志子登壇
  28. 柄澤登志子

    柄澤登志子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程になりました一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案並び昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案に対し反対の意を表するものでございます。  私は、この法案審議されます経過におきまして吉田内閣の性格が最も露骨に現われたものとして、皆様にその一端を御報告申し上げ、反対の前提としたいと思うのでございます。給與法は、定員法と同時に、予算審議の前に、これがその基礎上してなされなければならないのでございます。しかるに、この給與法というものは、給與総額のオーケーがわくで出ただけでありまして、その内訳については何ら保障されておらないという理由によりまして給與法のオーケーというよりものは出なかつたのでございます。従いまして、ふしぎなことにも吉田内閣としては当然なのでありますが、予算が審議され、参議院に回付されました後におきまして、給與法委員会審議にかけられたのでございます。このことは何を意味するかと申しますると、日本の九十万近いところの公務員給與は、総額の方が先にきまりまして、その内容になつているところの仕事の実態あるいはその人数、そのこまかな点につきましての審議というものは、あとまわしになつていたのでございます。  これは、日本の労働者の賃金というものが、今いわゆる特需、新特需におきまして、加工賃が六十セントから四十八セントに切り下げられ、さらに三十六セントに切り下げられて来ているという、このようなものと関連して私どもは理解しなければならないと思うのでございます。(拍手)すなわち、日米安全保障條約、講和條約を締結しました吉田内閣は、日米経済協力によりまして、日本の労働者の低賃金というのが、世界に誇り、アメリカの信用を得る大きな條件であるということは、吉田首相自身がたびたび公言されている事実でございます。  この給與は民間の給與基準にしたということをいわれておるのでございます。しかしながら、民間の給與というものは、朝鮮動乱勃発以前並びに勃発以後におきましては、いわゆる企業の採算率というものが非常に上昇いたしまして、製造工業の労務費の比率というものは、二十五年六月を一〇〇といたしますと、二十五年の十一月は七五、二十六年の一月は七一というふうに、非常に採算率が上昇し、資本家の利潤というものは増大しているのでございます。しかも、政府基準にされており、ますところの民間工業というものは中小企業でありまして、いわゆる能率給が主になつておりまして、基本給が三割、能率給がむしろ七割を占めるというようなものを基準としてやるのでございます。そのようなものを基準にして時間外手当その他を差引き、いわゆる基本給の低い三割のものを基準にして、しかもそれよりも下まわつたものを政府は今公務員に押しつけようとしているのでございます。(拍手)  公務員生活の悲惨さというものは言語に絶し、特に下級官僚、四級、五級、六級というような中堅の官僚に至りましては、ほとんどが借金をするか、妻が内職をするか、あらゆる困難な状態が官公吏の実生活には迫つて来ているのでございます。(拍手)それにもかかわらず高級官僚の不正、腐敗、堕落はますますその極に達しまして、毎日の新聞には高級官僚の腐敗堕落が暴露されているのでございます。当議会におきましても、行政監察委員会は、あの高級官僚の不正を暴露いたしまして、そうしてその中で、現在この公務員給與のべース・アツプの中では問題にされておりません、具体的には保障されておりません、最高額だげが保障されておりますところの非常勤職員いわゆる最低の待遇をもつて遇ぜられておりますところの人夫賃を、幽霊人夫をつくつて横流しをして収賄したというようなことが、収賄ではなくして遊興費に使つたというようなことが暴露されているのであります。  政府は、今度のベース改訂にあたりまして、それらの高級官僚に対しましては最高一万三千円のべース・アップを保障しております。下級官僚に対しましては六百円、あるいは四、五、六級の官僚に対しましては千五百円のべース・アップにも至らざるものしか保障していないのてあります。さらに全官公の労働者八十九万のほかにありますところの約四十入方の非常勤労働者、これらは、吉田内閣が歴代にわたつてつて参りましたところの定員法のまことに不備なることを露骨に現わしているものでございますけれども、これらの非常勤職員に対しましても、最高千八百五十円を二千二百円に引上げるという最高の給與額のみを規定いたしましていわゆる幽霊人夫とされ、そのふところを肥やしますところの材料にされているような、何ら身分保障のない、生活に窮しながら困難な仕事をやつておりますところの下級の非常勤職員に耐しましては、何ら給與の保障とい方ものを一切表明しておらないのでございます。私どもといたしましては、さような吉田内閣給與改訂の欺瞞性に対しましては、心から怒りを覚えるものでございます。  さらに、その反対理由の一つとして申し添えなければならないのは、いかにもこれがりつぱな公務員生活を保障しているごとく申しているのでございます事けれども、その裏に流れておりますところの吉田内閣の残酷さでございます。それは一日の食費が八十二円であります。さらにその残酷さにつながりますものは、国際的な規模を持つているということでございます。なぜかならば、政府は千九百三十七カロリーを保障すればいということを言つております。それに対しまして、淺井人事院総裁が、公務員諸君の血の出るような叫びに対しまして、外米を日本人がもらつている以上、千九百三十七万カロリー以上のものをとるということは海外に対しても云々というようなことを申されておるのでございます。このことは日本の農民には補給金を出さず、日本の農民には最低米価を押しつけ、そうしてそれを基礎にして低賃金政策をとりながら、外米をもらつているから高いカロリーをとつてはいかぬというような残酷さをもつて日本の労働者並びに日本の人民全体を雇い兵にし、賃金奴隷にしようとするところの吉田内閣の性格というものを最も露骨に現わしているものでございます。  さらに私どもが指摘しなければならないのは、日本の民主化が、まさにこの職階制という官公吏の面に現われております制度によつて逆行しているということが、露骨になつていることであります。いわゆる一万三千円のベース・アップを保障されておりますところの高級官僚、きよう委員会に上程されましたところの特別職検事などは四万数千円から一躍して六万四千円にべースが上るりであります。最低の副検事になりますと、これが九千六百円であります。その開きは五万数千円であります。このような給與の差額というものは、単に経済的な差だけではなく、ものすごこい職制の圧迫として、労働組合運動はもちろんのこと、あらゆる官公吏の一挙一動が職制の圧迫によつて支配される、こういう形態を職場の中に描き出し、日本のいわゆる官公庁のフアツシヨ化ということが、如実にこの面にも現われて来ているのでございます。  かかる賃金が、いわゆる財源がない、こういう政府理由によつて拒否せられているりでありますけれどもさらにもう一つ、地方公務員の例を申し上げますれば、国家公務員のこの給與にならいまして、さらに地方会務員にはこれ上よりも引下げたベース・アップをしようとしているの、でございます。けれども、この地方財政、国家賦政をしさいに点検いたしますれば財源はあるのでございます。委員長がみずから自信を持つて招集されましたところ地方の市町村長は、きのう参考人意見を徴する委員会において何と言つているかと申しますれば、戦前五割五分でありましたところの中央からの委任業務は、現在八割を占めている、われわれは、どうしても平衡交付金を国がくれないならば、税金のとりつぱなしで、仕事だけ押しつけるのであるならば、この委任業務地方としては拒否ぜざるを得ないだろうということを言つているりであります。このことは何を意味するかと申しますれば、政治的な思想、見解の違いとい方もの、いわゆる共産党日本の国を破壊するとか、あるいは組合が破壊するとかいうことにはあらずして、吉田内閣の買弁的な、警察国家的な、いわゆる帝国主義の下請としての、軍事基地としての日米経済協力、いわゆる奴隷としての性格が日本地方の自治体をすら破壊に陥れようとしている事実を物語るものでございます。  私どもは、かかる観点からいわゆる警察軍事的な予算を公務員給與のベース・アップに、まわし日本の民主化のため、與党の諸君の中からもこの法案反対せられんことを切望するものであります。日本共産党は、かかる観点から、この法案に対しては絶対反対するものでございます。(拍手
  29. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 八百板正君。     〔八百板正登壇
  30. 八百板正

    八百板正君 私は、日本社会党第二十三控室を代表して、この法案に対しまして反対の意思を表明するものであります。国家公務員に対しましては、ストライキをしてはいけないと、この労働者の基本的な権利を取上げておるのであります。そのかわり人事院の制度を定めまして、常に公務員の待遇が民間の給與と比べて悪くならないように、変動が生じたなら直すよういに勧告することになつておるのであります。この趣旨から申しますと、人事院は、政府の鼻息をうかがつたり迎合したりして、科学的な基準をゆがめてはならないのであります。同時にまた、公正な勧告は、何をおいても政府は採用しなければならないものであります。ところが、今回の給與改訂を見ますと、まず人事院が、不当に低く民間給與と均衡させるとふれ込みながら、民間り低いところを資料として坂上げ、どうして安い給與を定めようかと努力しておるあとが見られることであります。先ほど述べられましたことく、たとえば標準生計費を算出するにあたつてとつた数字を、食糧撮取のカロリーについて見ましてわれわれは現に今日二千五百三十カロリーの熱量をとつておるということは、厚生省の調査によつて明らかにせられておるのでありまするが、それにもかかわらず、人事院は何らの根拠なく、十八歳の成年男子を千九百三十七カロリーと計算いたしておるのであります。しかも一日の食糧を八十二円と押えておること等も、すでに指摘せられました通りであります。これでは、とうてい食える賃金とはいえないのであります。ましてや公務員としての公正な国民に対する奉仕がやれなくなるといことも、推察するにかたくないのであります。しかも、これに基く人事院の低い四千二百円の二級三号の基準生計費すら、政府はこれをさらに引下げ、四千円としたのであります。このような基準に従つたところの一万六十二円には、とうていわれわれは賛成することができないのであります。われわれは、せめて一万二千円、ベースを主張して参つたのでありまするがいくら安くとも、この際政府人事院勧告通りをとるべきことを主張いたすむのであります。次に給與改訂について考えてみまするに、下の方に薄く、上の方に厚いという露骨なる点であります。しかも、一番多い中堅級の官吏に対しまして、いまだ係長になつておらない程度の者の給與を安くして、一割五分ぐらいの引上げにこれをとどめまして、局長級では三割五分というふうに上げておるということは、これまた平川君その他の反対論者によつて指摘せられました通りであります。このように、困る者を上げないで、上の方を上げるというカーブのとり方をとつたということは不公平ではないかと、われわれは政府に尋ねたのでありますが、これに対しまして政府は、今日給與については、生活給的な考え方から能率給的な考え方を加味すべき給與政策をとる段階に来たのであるから能率給的意味でこの上の方を上げたのであるというようなことを答弁せられておるのであります思うに、今回の政府案は、人事院勧告を一千二百円ほど下まわらして、低賃金政策に輪をかけただけで、大体勧告趣旨を尊重したという意味を申し述べておりますけれども現業の職員に対して、職務の能率の向上のために奨励手当を設定すべきことを人事院勧告いたしておるのでありますが、まつたくこれを政府がとらなかつたということはほんとうに政府が能率を上げるための能率給的な給與政策の方向に改めたいというのでありまするならば、この人事院勧告こそ、現業の中に率先採用せられなければならなかつたはずであります。このような矛盾が平気で行われておるといところに、勤労者の生活をまつたく考えず、大資本に奉仕し、その代弁者たる高級官吏の生活のみを頭に置いておることがわかるのであります。次に、今回の給與改訂にあたつて示した政府の方針の中には、地方公務員給與引上げについては何らの積極的考慮が抑われておらないばかりか、逆に、地方公務員の中にはかえつて高い者があるからなどと、インチキな統計を発表して、暗に地方公務員給與引上げを抑圧するような態度を示していることであります。次に最も重要なことは、この改訂に現われた政府の根本的な考え方であります。賃金を引上げて能率を上げ、ひいては日本全体の経済の能率を上げて行くという方針こそ日本再建のために必要であると考えるのでありまするが、政府はこの点についての正しい認識を欠いておるといういう点であります。賃金の引上げについては、政府は口を開けば、賃金の引上げは物化の値上りとなり、インフレの悪循環となるということを申しておるのでありますが、賃金の引上げにより、能率がこれに半つて上る限り、賃金の引上げはインフレの要因とはならないということであります。すなはち生産の増大を伴ところの支出の増は決してインフレの要因とは言えないということであります。(拍手)しかるに政府は、賃金をまず自分の使用人が食えないように安くして、民間もこういうふうに人は安く使うものであるということを、右へならえという方針のもとに示し、こういうやり方により、多くの食応ない人たちによつて能率の低下を来し、ひいては大きな社会不安となつておるのであります。このようにして、低米価政策、低賃金政策から来るところの経済不振、社会不安が政府自身のまいた種から起つておるということを忘れて、いたずらに強圧弾圧政策をとろうとしておるのであります。この生産増とは関係のないところの、このよろな治安費だけをふやすというような自由党政府政策にこそ悪性インフレ、の要因があるということを知らなければならぬのであります。私どもは、このような意味合いにおいて、このような考え方によつて貫かれて参むましたところの両法案に対して、とうてい賛成することができないということを明らかにいたしまして、反対理由とする次第であります。(拍手
  31. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論ほ終局いたしました。両案を一括して採決い為します。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  32. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  33. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  34. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せらました。 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員会理事押谷富三君。     〔押谷富三君登壇
  36. 押谷富三

    ○押谷富三君 ただいま議題となりました裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案趣旨及び法務委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。最近における生計費増加、民間の賃金値上げその他の事情の変動にかんがみまして、政府一般職国家公務員給與を改善する必要を認め、今国会に一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案提出され、先刻本院において可決されたのであります。そこで裁判官及び検察官につきましても、一般国家公務員の例にならい、その給與を改善する必要がありますので、この両案が提出さたのであります。改善の要旨は、両案ともそれぞれ報酬または俸給の月額を定める別表を改正するとともに、現在も認められております特例につき同様の改正をしようとするものであります。改正月額の増加比率は、一般国家公務員のそれとおおむねひとしいのであります。さて当委員会審議にあたりましては、各委員より適切なる質疑が行われましたが、その詳細は速記録によつて御承知願うことにいたします。討論におきましては、社会党の田万委員より、共産党を除く各党を代表して賛成意見があり、共産党よりは梨木委員より反対意見が述べられました。かくて、両改正案を一括採決いたしました結果、両案とも多数をもつて可決いたした次第であります。右御報告申し上げます。(拍手
  37. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  38. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  39. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出地方税法の一部を改正する法律案地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  40. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。地方税法の一部を改正する法律案地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。地方行政委員会理事野村專太郎君。     〔野村專太郎君登壇
  42. 野村專太郎

    ○野村專太郎君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案並び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に関する地方行政委員会における審議経過及び結果を御報告申し上げます。まず地方税法の一部を改正する法律案に関して申し上げます。現行地方税法は、地方財政の自主権を強化拡充し、住民の税負担を合理化することを目標として、地方税制の上に画期的、抜本的な改革を加えようとしたものでありまして、われわれはその実施状況に深い関心を寄せて参つたのであります。しかるに、その後における地方財政が全体として一層の窮乏を加え、かつ団体相互間の不衡深めいて参りましたことは、おおいがたい事実であるのでありまして、社会経済夢精の変化も加わつたとは申しながら、同法の所期した目的とは、はなはだしく異なつた結果を招来しているのであります。このような事情から、同法に対する全面再検討の必要が各方面から叫ばれるに至つていることは御承知の通りであります。政府もこの問題を取上げまして、現行地方税制の全般にわたる改正目下研究準備中であるということでありまして、今回の改正案におきましては、以上の含みのもとに、さしあたり必要な最小限度の改正を加えているのであります。本法案内容を簡単に申し上げますと、まず改正の第一点は、市町村民税の法人税割及び法人の事業税の徴収を、納税者の申告に基き、その税額の二分の一以内の額について、三箇所限度として猶予することとした点であります。これは最近における金融及び取引の実情にかんがみ、徴収の円滑を期するため、法人税法の改正に準じた取扱いをいたすべくことをしたものであります。改正の第二は、附加価値税に関して、その課税標準の算定につき、加算法を採用することの届出、春色申告書により申告することの承認申請等の期限を一応来年三月三十一日まで延期する措置とつたことであります。その趣旨は、附加価値税の施行については、なおしばらく愼重な検討を要するものがあるとして、その施行に関するす結論を得るまでの混乱を避けるためであります。改正の第三は、来年度の固定資産税にかかる固定資産の評価決定の期限を四箇月間延期して六月末日までとし、それまでの間は、本年度分の課税標準に基いて仮徴収することとしたことであります。これは固定資産の適正な評価がきわめて困難である実情にかんがみまして、調査の愼重を期そうとする趣旨であります、以上が内容の概要であります。本法案は、本月十日、本委員会に付託せられましたので、同十三日委員会を開いて、政府提案理由の説明を聴取した後、ただちに質疑に入り、翌十四日も質疑を続行いたしまして、十五日討論採決を行いましたところ、多数をもつて原案通り可決すべきものと決せられたのであります。次に地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法案は、地方財政平衡交付金額の算定の基礎に用いた数について錯誤があつたことを発見した場合における必要な調整を、現行法よりもさらに合理的かつ簡易にできるように規定の整備をはかつたもので、二つの改正点を含んでんでおるのでありまするが、その内容は技術的で煩雑にわたりますので法案についてごらんを願うことといたしまして、ここには省略をいたします。本法案は、十一月十日、当委員会に付託されましたが、十三日、岡野国務大臣から提案理由の説明を聞き、即日質疑に入り、さらちに十四質疑を続けました。本法案は、地方財政平衡交付金の総額のわく内における交付方法の合理化をはかるものでありますから、この点につきましては、さしたる異論はありませんが、委員から、さきに本会議におきましてなされた決議の趣旨に基き、交付金総額のわくの拡大について政府は努力をなすべき旨の発言があり、さらに交付金額の算定に用いる基礎数字り算出について、事実に即する確固たる方針を樹立し、この点に関して疑義なからしめ、もつて地方財政の安定に寄與すべき旨の発言がありましたが、詳細は速記録に譲ります。かくて、十五日討論に入り、続いて採決の結果、全会一致をもつて可決すべきものと議決された次第であります。右御報告申し上げます。(拍手
  43. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) まず地方税法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  44. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。次に地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました      ————◇—————
  46. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、佐竹新市提出、日、米、加漁業協定に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
  47. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。日、米、加漁業協定に関する緊急質問を許可いたします。佐竹新市君。     〔佐竹新市登壇
  49. 佐竹新市

    佐竹新市君 私は、目下開催中の日、米、加の三国の漁業協定会議に対しまして、関係主管大臣に質問を申し上げたいと思うものでございます。まず第一番に、この日・米・加の三国の漁業協定の会議は、この結果がわが日本の水産業界に及ぼす影響は重大なものがあるのでございます。従いまして、先般アメリカ側の方におきましては、すでにこのアメリカ案としての内容が提示されておりまして、本日の新聞を見ますると、日本政府の方の條約の草案がすでにでき上つているということでございますが、水産委員長の手元にこの日本側條約の草案を提示してもらいたいということをわれわれは申し上げておるのでありますが、いまだにそれが出されておりません。少くとも政府におきましては、会議に持ち出される前に、水産委員長の手元には応出されて、公にすることをはばかるものであつたならば秘密会議でも開いて案の内容を示してもらいたかつたと思うのであります。今後の水産委員会におきましても、この小委員会を持ちまして、この案を中心に検討いたしたいと思つてつたのでございますが、なぜこの日本側の案が水産委員長の手元まで出されなかつたか、この理由について、まず御質問申し上げます。昭和二十六年二月七日、吉田首相よりダレス特使あての書簡によりますれば、日本政府は、日本への完全なる主権の回復の後、でき得る限りすみやかに、他の国と漁場の発展と保存のため公正なるるときめを作成する目的をもつて交渉を行う用意がある、と述べておられるのであります。しかし、いま平和条約は、国内の批准はもちろん、米国においても批准されておらず、すなわち完全なる主権の回復ができておらぬのに、現在日・米・加三国の漁場協定の会談を行つているのは、いかなる理由でありましようか、まずこの点についてお尋ねしたいと思うのでございます。(拍手)第二点は、日、米、加三国の漁業協定が行われる以前に、会議に対する交渉、これに関係する文書等につき、話合いかあるいは通知が、米国及びカダよりあつたかどうか、この点についてお尋ねするのでございます。三国の漁業会議において、米国及びカナダを日本側が招聘したことになつておるのでございますけれども、これはいかなる理由によつて日本側が招聘したのであるか、この間りいきさつを詳細にお伺いしたいのであります。と申しまするのは、今度の米国案によりまするところの案の内容を見ますると、少くとも講和條約後におけるところの公海の自由の原則に基きまして、わが日本は大洋に向つての水産資源確保のためには十分な活動をしなければならないまたこのことは、ダレス特使も公約されておるのでございます。しかるにかかわらず、これがアメリカ案によるならば、公海の自由の原則が、非常に日本にとつては悪い影響を持つような結果になるのでございます。こういう点でわれわれが不可解に思いますのは、むしろ講和條約後においてこれがなされるならば当然でございまするが、まだ完全に批准が行われていないいわゆる主権が回復していないときになされる。日本側が招聘したというのは、これはアメリカまたはカナダ、これらの国々、あるいは司令部から日本に対しまして、何か、の絶対的な指示があつたのでは、ないか、こういう点を、この際政府において明らかにしていただきたいのでございます。講和條約後の漁業問題について、ダラス特使から吉田首相あてに、こういう往復文書が来ております合衆国政府は、私の信ずるところによれば、他の関係政府も、平和條約によつて日本への完全な主権の回復の後、ただちに両国の国民が接近できる漁場の発展保存のため公正なるとりきめを定める目的をもつて交渉する用意があるという、いわゆる平等を主張されてておるのであります。今度の漁業協定の会議のいきさつを見ますると、この平等の精神にいささか矛盾しているのではないかという点が、非常にわれわれの心配する点でありますがこの点に対する政府の所信を伺いたいのであります。さらにお尋ねしたいのは、主権回復後にあらざる、いわば現在の占領下の條約交渉では、日本にとつて非常に不利ではないか、また不利と思われるいような点があると思ういのでありますが、政府の見解をお伺いしたいのであります。今回の会議中、米国案の内容によりますれば、制限海面を設けております。米国沿岸に、さけ、あるいはますの特別海区を設けることにになるのでありますが、それについて日本の漁業界の受けるところの影響については、政府はいかようにお考えになつておるのでありますか、この点をお伺いしたいと思います。  今度の條約は、調印まで行かないといわれておるのでありますが、かりに調印まで持つて行かないといたしまして、仮調印もしないのであるかまた仮調印をするのであるか、かりに仮調印までするといたしましても、正式な調印には相当の期間があると思うのでありますが、その間内容の変更等をすることができるのかどうか、このことをお尋ねしたいと思います。  さらに米国とカナダとの真の平等によつて、いわゆる平和條約批准後の正式調印の際に全面的に再検討して、内容に必要なる修正を加えて調印をするということができるのであるかどうか、こういう点について政府の所信を伺いたいと思うのであります。  以上の点は、今後朝鮮あるいはフィリピン等の近接連合国との交渉において、いかなる国ともすべて日本がその相手国となるのでありますから、日本が一番大きな影響を受けると思います。言いかえますならば、この結果によりましては、日本の漁民の五百万の死活問題にも及ぼすのであります。アメリカやカナダの十七万足らずの漁民、これらの漁民の問題を重大視するか、日本の五百万の漁民の死活問題を重大視するか、この際政府のはつきりした御答弁をお伺いしたいのであります。以上をもつて私の質問を打切ります。(拍手)     〔国務大臣根本龍太郎君登壇
  50. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。第一点は、日本草案を水産常任委員長に示すべきであるというこの御意見でありますが、御承知のように、今回の交渉の顧問団に、衆参両院の委員長がその構成員として入つておるのでございまして、この草案につきましては十分に御相談してあるはずでございます。従いまして、水産委員長においては、その内容がわかつておるはずでございます。次に、平和條約ができました際、すみやか交渉に入るということになつておるにかかわらず、いまだ完全に独立していないにもかかわらずやるということは不利になるのではないか、こういう御意見のようであります。今回の交渉にあたりましては、総司令部の外交局長シーボルト氏が出席し、この交渉においては、日本はアメリカ、カナダと完全に平等の立場において交渉することを許すというメモランダムができております。日本政府は完全に独立したと同様な態度をもつて進んでおりますので、何らの心配はございません。その次に、この日、米、加三国漁業交渉は仮調印を結ぶ段階になるかどうか。これは仮調印をやることになるだろうと存じます。その際に、正式の條約は日本が完全に独立した後やらるべきであるとするならば、その場合における正式の会談にあたつて内容が全面的にかえ得るかどうかが、こういうような御意見のようでありますが、おそらくその点は、仮調印をするという段階になりますれば、基本的な線は変更なく、すなわち三者間完全に意見が一致したという点が初めて仮調印になると思いますので、大きな変更は考えられないと存じます。なお條約のいろいろな解釈その他につきましては、外務大臣から御答弁があると存じます。(拍手)     〔政府委員草葉隆圓君登壇
  51. 草葉隆圓

    政府委員(草葉隆圓君) 外務大臣にかわりまして、ただいまの御質問に対する外務省関係の分を御答弁申し上げます。  今回の日・米・カナダの水産交渉を、現在の占領下にかかわらず急いだのは、どういう理由であるか、こういう御質問の要点であつたと存じます。これは御承知のように、平和條約が効力を発生いたしましたあとはマツカーサー・ラインは解消するのであります。その後におきましては、本年の二月七日の吉田、ダレス書簡によりまする暫定処置をとらざるを得ないのであります。できまするならばそういうことなしに、効力と同時に北太平洋におきまする正常な漁業関係を生ぜしめることが最も望ましいと存じまして、急いでこの交渉を開始した次第でございます。  第二の点は、何か以前に文書か話合いがなされたかどうかという点でございます。これは九月に、非公式に、アメリカ、カナダ、日本の漁業の打ち合わせをしたらどうかという話がありました以外には、公式な文書なり話合いはあつたのでありません。  第三の点は、日本が特に招聘したのはどういう理由であつたたと存じます。今日日本が招聘いたしましたのは、決して他からの指示があつたという理由ではないのでありましで、日本が自発的に、自主的に招聘をいたした次第であります。これは特に日本でこのような交渉会場を設けますることは、お話の通りに日本漁業は、国民のあらゆる立場から最も重要なる点を占めておりまするから日本の漁業の実情なり、また日本経済と漁業との関係なり、こういう点を十分実地に見てもらいますることが、日本漁業の重大性を認識してもらい、同時にこの問題の解決に最必要であると存じたためであります。  占領下不利ではないかという点につきましては、ただいいま農林大臣が御答弁なつた通りであります。  以上であります。(拍手
  52. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会