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1951-11-13 第12回国会 衆議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十三日(火曜日)  議事日程 第十四号     午後一時開議  第一 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 国際小麦協定への加入について承認を求めるの件  第三 国際労働機関憲章受諾について承認を求めるの件  第四 公衆衛生国際事務局に関する議定書受諾することについて承認を求めるの件  第五 一般会計歳出財源に充てるための資金運用部特別会計からする繰入金に関する法律案内閣提出)  第六 米国日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 財産税法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  国民健康保險強化に関する決議案亘四郎君外十七名提出)  日程第一 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 国際小麦協定への加入について承認を求めるの件  日程第三 国際労働機関憲章受諾について承認を求めるの件  日程第四 公衆衛生国際事務局に関する議定書受諾することについて承認を求めるの件  日程第五 一般会計歳出財源に充てるための資金運用部特別会計からする繰入金に関する法律案内閣提出)  日程第六 米国日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 財産税法の一部を改正する法律案内閣提出)  農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後一時三十九分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、亘四郎君外十七名提出国民健康保險強化に関する決議案は、提出者要求通り委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  4. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  国民健康保險強化に関する決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。亘四郎君。     〔亘四郎登壇
  6. 亘四郎

    亘四郎君 ただいま議題となりました国民健康保險強化に関する決議案趣旨を弁明いたします。  まず決議案を朗読いたします。   国民健康保險強化に関する決議案   国民健康保險事業の現情にかんがみ政府は、速やかに次の措置実施すべきことを要望する。  一 保險給付に対し少くとも二割の国庫補助支出すること。  二 診療報酬の未拂を即時解消するため保險者に対し長期資金を貸付すること。  三 国民健康保險直営診療施設設置費に対する国庫補助額を増額すること。  四 国民健康保險事業指導強化すること。   右決議する。  御承知のごとく、国民健康保險は、職場に働く被用者対象とする健康保險船員保險失業保險厚生年金保險国家公務員共済組合等社会保險と異なりまして、農山漁村の住民、都市における中小商工業者等、いわゆる孜々として自営しておる一般国民対象として医療給付を行おうとするものでありまして、昭和十三年七月発足以来、すでに十数年の時日を経過いたしておるのであります。しかしながら、その実施の成績を見まするに、関係者苦心努力にもかかわらず一今日なお所期の目的を離れることはなはだ遠い実情にありますことは、まことに遺憾と申さねばならないのであります。  現在、国民健康保險事業を行つている市町村数は約五千でありまして、全市町村数のおよそ半数くらいになりますが、中には、ただ事業を行つておるというだけで、その活動状況はきわめて不活発なものも少くないのであります。またその被保險者数全国において約二千五百万人を数えておりますが、これとても、当然国民健康保險対象となるべき人数に比べまして、わずか三割六分弱の加入率にとどまり、なお四千万人の国民は、疾病あるいは負傷の際、何ら社会保險の恩恵に浴することができない状態にあるのであります。被用者対象とする健康保險その他の社会保險が相当普及しておる現状に比較いたしますれば、一般国民への保險医療はいまだある一部の者に限られており、いよいよ国民健康保險事業の普及の必要性を痛感せられるのであります。  さらに国民健康保險給付内容について見ますれば、被用者対象とする社会保險に比して著しい遜色のあることを認めざるを得ないのであります。これを医療給付費に関する昭和二十五年度の実績にその例を求めますれば、被保險者一人当りの金額は一健康保險におきましては政府管掌分が二千四百余円、組合管掌分が二千七百余円、船員保險においては四千余円、国家公務員共済組合において住一千七百余円であるのに対しまして、国民健康保險におきましては、わずかに二百四十余円という真に貧弱なありさまでありまして、まことに格段の差異と申せねばなりません。国民健康保險医療内容がとかく非難の的となつておりますのも、その原因の一端はこれらの点にあるものと考えられるのであります。かかる貧弱な医療内容に対して、被保險者負担は、いわゆる保險料を納入するほか、五割内外の一部負担金を納めておるのでありまして、しかも他の被用者社会保險においては、保險料のおよそ半額はそれぞれの事業主負担しておるのでありますが、国民健康保險の被保險者は、その全額自己負担となつておるのでありますから、その受ける医療給付内容に比して、一般国民の方が負担過重と申さねばなりません。  この国民健康保險に対しては、昭和三十年度までは保險給付費に対して国庫補助が行われておつたのでありますが現在では、事務費について定額の国庫補助金が交付されている以外一保險給付費に対する補助金はまつたく交付されておらないのであります。被用者対象とする失業保險船員保險及び厚生年金保險等がその長期給付について十分の一ないし三分の一、国家公務員共済組合がその給付について三分の一の国庫補助を受けておるのに反し、国民健康保險給付費に対して何ら国庫からの考慮が拂われておらないことは、国家の保護に公正を欠くるところありといわれても、一言も弁解の余地なきものと存ずる次第であります。  かかる実情からいたしまして国民健康保險事業財政画は真に暗澹たるものでありまして、約五千の保險者のうち四割程度のものは収支不足のため診療報酬支拂いが著しく遅延しており、本年度末における国民健康保險事業全体の赤字累計約三十六億と推計されておるような状態なのであります。一面においては、逐年上昇する受診率により医療費が激増するのに比して保險料及び一部負担金の増徴は、これに伴わず、ために事業運営に多大の支障を来しておるばかりでなく、今や事業を休むか、あるいは廃止するかの窮境に立ち至つておる保險者も約二割五分を算するといわれておるのであります。昭和十八年度において保險者の数一万四百余、被保險者数四千万人に達した本事業も、経済的窮迫のため、今やほとんどその半数に激減し、なおその経営はますます困難の度を加え、このまま推移すれば、やがては全面的崩壊の悲運に見舞われることは必至と申しても過言ではないのであります。—新日本建設基礎が民生の安定にあることは、いまさら繰返す必要もないことでありまして、国民健康保險再建強化こそ刻下の喫緊の要務と確信いたすものであります。  かかる観点よりいたしまして、われわれは、衆議院の総意をもつて政府に対し、すみやかに次のごとき処置を実施すべきことを要望いたしたいと存ずるものであります。  まずその第一は、国民健康保險保險給付に対し少くとも二割の国庫補助支出することであります。このことが実現いたしますならば、厚生年金保險等との間の不平等は解消せられ、また被用者保險のような事業主負担国民健康保險にはないための過重負担も一部は是正せられると考えらつれるので、給付費に対し少くとも二割程度国庫補助支出は当然考慮してしかるべきものと存ずるのであります。一つ第三は、診療報酬の未拂いを即時に解消するため、保險者に対して長期資金を貸し付くることであります。本年度末二十六億と称せられる保險料及び一部負担金の未納、すなわち診療報酬の未拂いを清算することは、国民健康保險再建をはかり、その医療内容の向上、円滑を期する上において欠くべからざる緊要の措置と信ずるのであります。第三は国民健康保險直営診療施設設置費に対する国庫補助額を増額することであります。ことに無医村二千余を数える現状においては、直営診療施設整備拡充こそ、国民健康保險診療の適正確実を期する上において最も効果的のものと考える次第であります。  第四は国民健康保險事業指導強化することであります。ただいま述べましたような国庫補助金支出を効果あちしめるためにも、本事業指導面を一層強化する必要のあることは、ここに論をまたぬところと存ずるのであります。以上、はなはだ簡單ながら、本決議案説明を終る次第であります。何とぞこの趣旨に御賛同くださいまして、満場一致の御賛成あらんことを希望いたす次第でございます。(拍手
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。金子與重郎君。     〔金子與重郎登壇
  8. 金子與重郎

    金子與重郎君 私はただいま上程になりました国民健康保險強化に関する決議案に対しまして野党各派を代表いたしまして賛成いたすものであります。  昨年十月、社会保障制度審議会が過去一年数箇月にわたつて研究した結果を政府勧告いたしたのでありますが、その後、結核対策に対する一部を除いては、ほとんどその勧告というものは実施の域に達しておらないのであります。しかも、本年の十月に、審議会は昨年度勧告に対する再勧告をいたしておるのであります。こういうふうな形でおりますならば、社会保障制度審議会作文製造審議会に堕してしまうということすらいわれておるのであります。従つて、ただいま趣旨説明にありましたように、社会保險は、国民のこの社会保險の認識と利用度の高まるにつれまして、非常な経営難に陷つておるのであります。  私は前もつて申し上げておきますが、国民健康保險強化ということは、單に国民健康保險のみが苦しい立場にあるということではないのでありまして、その他の健康保險にいたしましても、社会保險全般的に、もはや経営は危機に瀕しておるという状態に入つておるのであります。ただこの国民健康保險を何ゆえに強く取上げるかというと、先ほどの説明にありました、ように、被用者社会保險と、この一般国民国民健康保險との間に、その制度上に非常な懸隔差異があるからであります。その制度の基本的なものから来る結果といたしまして、現在国保が六千五百からの保險組合を持ちながら、おそらく今日千六、七百というものは事業停止立場に立つているのであります。  そこで、この国民健康保險、いわゆる一般国民社会保險というものが、健康保險あるいは共済船員その他の被用者保險と比べましたときに、保險給付が一方は一箇年一人当り二千四、五百円に当るのに対して、一般国民国民健康保險はたつた二百四十円の給付しかない。それで経営が苦しい。それのみならず、給付條件が非常に違うのであります。この給付條件の違うまず大きな問題は、被用者保險におきましては全額給付でありますが、国保半額給付であります。半額自己負担になつている。しかも給付期間たるや、一方が二箇年であるのに、一方は三箇月ないし一箇年程度である。その他自己負担の問題ばかりでなく、傷病手当、分娩、埋葬、こういう面におきましては、国民健康保險においてはほとんど支給されておらないという状態であります。  この被用者社会保險一般国民保險という考え方は、社会保障制度審議会におきましてもこの考え方を持つているのでありまするけれども、私はこれに対して重大な欠陷を考えなければならない。ことに、日本のような特殊な立場にあるところの、特異性を持つた農民を半分かかえている国内の社会保障制度としては、どうしてもこの問題は矛盾であるということをこの際強調いたしたいのであります。  そのために考えなければならぬことは、日本農民というものは企業者であるか、あるいは労働者であるかという点であります。なるほど一つ企業の形態こそとつておりますけれども、経済上の実質というものは、私は労働者の域を脱しないと考えているのであります。それが証拠には、もしも今日の一町歩足らず農業経営に、営利の一般企業と同じ形における労働基準法を当てはめて、そうして経営バランスをとるならば、現在の米麦価によつて供出させたときに、とうてい日本中の農民一人として農業経営が成り立つものはないのであります。ただ農民は、自己の田畑を通して営々として家族労力をそれに打込んで生きているだけの、完全な労働者だという見解を私はとつているのであります。  しかも、この労働者は、その賃金たるや、米なり麦なりの供出の価格という形による賃金を受ける。従つて、これらのものは、賃金値上げ要求の自由を許されていないのであります。政府の低食糧価格政策のもとに、労働賃金が一日何円になろうとも、これでがまんしておるという立場に置かれている。これらの全国の四割八分を占める、くわとる労働者は、ストライキをすることを許されておらないのであります。許されているものは八時間はおろか、九時間、十時間、二十時間と、無制限労働することの自由であります。また自分の婦女子あるいは子供、それらの者に対しても、時間かまわず重労働を課すことをいたしましても罰せられない、こういう自由を持つておるのであります。また食えなくなつたときには、生活程度を引下げて、ボロを着て粗食をして行く自由も持つておるのであります。こういうふうな特殊な、くわとる労働者が、全国民の半分に近いほどあるのだ。  こういう見解からするならば、私は、労働力国家の根源であり、しかもその内容において、ペンをとる労働者ハンマーをとる労働者、ハンドルを握る労働者、それと、このくわをとる労働者の間に、社会保障の上にかくも大きな懸隔のあることは許されるべきでない、こういうことを常々主張するものであります。(拍手)  ことに私は、最近国政調査に出まして、結核病院に行きましたときに、非常に遺憾に思いますことは、政府は昨年度から、結核対策といたしまして、結核病床に対して六十数億の金をぶち込んで、そうして結核の撲滅にかかろうとしている。この施策たるや、まことに喜ばしいことなのでありますが、さて末端の病院状態はどうか。一般国民の利用すべき国民健康保險半額給付しかしておらぬ。しかもその給付期間たるや、三箇月ないし、組合事情によつてせいぜい一箇年以内。一方におきまして被用者国民の場合には給付は二箇年を持ち、しかも全額給付を受ける。従つて、このまま置くならば、一般国民というものは、結核病棟がどれだけできたといたしましても、おそらく利用する者はないのであります。現在調査をいたしましても、一般国民は全患者の一割程度の者しか入院しておらない。結核病床視察に参りますと、りつぱにつた、われわれのような体格をした者が安静にして休養しておる。しかるに農民は、伝染を恐れられて、納屋の片すみに、血を吐きながら入院できないでおる。この問題を考えたときに、私は、この保險の差別というものを一日も早くとらなければならないと主張するものであります。(拍手)  それには、まず第一に、一番しわ寄せされておるところの国民健康保險に、急場の策として政府給付に対して最小限度二割以上の補助をなしてこれをささえ、同時に他の社会保險に対しても強力な施策を講じて、そうして一日も早く各種の保險の均衡をとると同時に、なるべく近い機会におきまして社会保險の統一をはかるべきだと信ずるのであります。この考え方社会保障制度審議会意見としても同じ意見を持つておるのであります。  国家再建は何といたしましても国民生産力であり、生産力基礎労働力であります。この労働力——勤労者といえば、ただちにハンマーをとる人を頭に浮べ、勤労者といえば、ただちにサラリーをもらつている人を頭に浮べて行くこの考え方をやめて、その勤労者の中に、黙々として働く、このくわとる労働者もひとしく生産基礎であるという、広い意味における勤労考え方を持たなければならない。そういうことによつてこそこの勤労者生活の安定をはかることができ、同時に、この勤労者の体力を向上することこそ国力発展基礎であると信ずるのであります。  以上をもちまして賛成の趣旨にかえます。(拍手
  9. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論を終局いたしました。  採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)  この際厚生大臣から発言を求められております。これを許します。厚生大臣橋本龍伍君。     〔国務大臣橋本龍伍登壇
  11. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ただいま決議に相なりました国民健康保險強化に関しましては、まことにお説の通りでございまして、国民健康保險制度充実強化をはかることは差迫つてきわめて必要であるにかかわりませず、今日の国民健康保險現状はきわめて困難であることを痛感いたしておる次第でございます。国民健康保險強化に関する決議の御趣旨に沿いまして、今日までもそのつもりでやつて参りましたが、今後ますますその方向で努力をいたします。(拍手)      ————◇—————
  12. 林讓治

    議長林讓治君) 文部大臣から京都大学事件について発言を求められております。これを許します。文部大臣天野貞祐君。     〔国務大臣天野貞祐登壇
  13. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 天皇陛下の京都大学御視察に際し一部学生とつ行動について御報告申し上げます。  天皇陛下には、御巡幸第二日の十一月十二日午後一時十八分、京都大学玄関前に御到着され、お召自動車から御下車になり、玄関に入らせられました。その直後、奉迎のため玄関前に整列していた約千五百名の学生のうち約百五十名の学生は、入口のからのお召自動車をとり囲み、プラカード数本を押し立てたり、平和を守る歌などを合唱いたしましたりなどいたしました。学校当局は、ただちにこれらの学生に退去を命ずるとともに、警察官の出動を要請しましたので、約四百名の警察官が出動し、これを鎮静させるとともに、お道筋の確保に努めました。その間、陛下には教授の御進講をお聞きになり、学内の御視察を終えさせられ、午後二時十三分、予定より十三分遅れて同大学を御出発になりました。  以上のような状況で、陛下の御到着までは学生も平穏にお迎えいたしましたので、学生の右のような行動については陛下のお目にはとまりませんでした。なおお立ちの時間が十三分遅れたのは、以上の学生の混乱の整理手間取つたからではなく、学内で学長、学部長の御説明が多少予定より長引いたためでございました。  かような事件の起りましたことは何とも申訳なく存じますので、とりあえず御報告をいたす次第でございます。      ————◇—————
  14. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。内閣委員長木村公平君。     〔木村公平登壇
  15. 木村公平

    木村公平君 ただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  わが国行政機構は、戰時より戰後にわたつて驚くほど複雑と相なり、かつ想像に絶するほど膨脹を来したことは、諸君承知通りであります。この間の事情簡單に申せば、大正十四年にはわずかに八十七万一千七百七十五人にすぎなかつた官吏並びに公吏の数が、今や本年においては二百九十九万二千余名と相なり、実に二百余万人の増加を来したことによつても明瞭であります。従つて行政機構簡素化及び冗員の整理に対しては、その根本において民主党の諸君も社会党の諸君も反対にあらざることは、本委員会において明らかにされたのであります。  わが国の刻下の急務は、雄大なる民間産業勃興一大計画を樹立し、その当初においては、国家みずからがこれに協力して、盛んにその経綸を行わなければならぬことはいうまでもありません。たとえば、現政府の考うる半官半民の形式による電源の一大開発のごとき、あるいはまた東京より大阪に至る産業道路の大計画のごときは、その一つの現われであります。一方にかくのごとき豪壯にして雄大なる計画を樹立して、かつ着々その実行を期しながら、他方においては、今や国民の救うべからざる重荷となれる驚くべき厖大な役人を民間産業に徐々に吸收しなければならないことは、これまたいうまでもないのであります。しかして、これが実行のできるのは、実に━━━━をおいて他に断じてないことを、私は確信をいたしておるのであります。(拍手発言する者あり)  さて、本案内容についてその概要を申し上げますれば、第一に、本案は各行政機関における職員の総定員の約一割を縮減せんとするものであります。その整理内容は、比較的事務の少いところを選んで人員を減らそうとするものでありまして、たとえば占領事務の終結に伴つて当然不要となる事務や、愚劣なる経済統制を撤廃することにより縮小し得る事務、その他不急不要となつ事務を主眼として人員整理する一方、治安関係、職業安定、郵政、電気通信等職員については、その事務の量に従つて軽微な整理にとどめているのであります。なお食糧庁の人員については、当初明年四月一日までに米の統制撤廃実施されない場合には、七千九百六十一人を限度として、予算の範囲内において政令をもつて増員することができる旨を附則に規定しておりましたが、これを削除いたしました。なおこの点については、あとで述べるように、その実施期の少しく遅れる関係上、自由党の修正によつて、その定員を復活いたしたのであります。  第二は整理に関する措置についてでありますが、まずこの定員法職員には休職者を含まない旨を規定し、特に長期病気欠勤者整理対象とならないように苦心をいたしておるのであります。また整理の時期については、一般的に六箇月の猶予期間を設け、明年一月一日から六月三十日までの間に整理を行うことになつております。また整理による退職者については、一昨年の場合と同様、国家公務員法審査請求制度を適用しないことになつておりますが、これは多数の人員整理される場合には、この制度を適用することが実情に即しないためであります。淺井人事院総裁の、この点に関する本委員会の答弁は会議録をお調べ願いたいのであります。(発言する者多し)以上が、大体本案概要であります。  本案は去る十月三十日に本委員会に付託されましたので、即日政府説明を求め、連日にわたつて熱心な質疑応答を行いましたが、ことに野党諸君質疑は熱心でありました。また参考人として学識経験者並び労働組合代表意見を徴したほか、地方行政農林、人事、運輸、労働経済安定の各委員会との連合審査会を開き、慎重に審議を重ねたのであります。  今その主要な点について申し上げますれば、まず本委員会は、今回の整理対象となる諸君就職の問題を最も重視いたし、特に保利労働大臣の出席を求めて、その対策についてただしたのでありますが、保利労働大臣は、今日のわが国情から見て、これらの諸君日本産業再建に役立たれるよう民間産業界への配置転換を希望し、まず公務員関係民間産業に対する就職制限を大幅に緩和する、各当該官庁においてできるだけ就職あつせんに努める、さらに労働省を中心として全国的求人開拓特別措置を講ずるほか、今後産業界に入るためには技術の習得が得策であるとの見地から、今回の補正予算職業補導施設拡充費を計上し、これによつて堅実な就職を確保する等、万全の努力を拂うことを明言されたのであります。  次に退職手当の問題でありまするが、これについては別途退職手当に関する改正法案が提出される予定でありまして、それによれば、従来の行政整理の退職手当に比し、原則として明年三月までの早期退職者については八割増、それ以後の者については四割増を支給することになつているのであります。また退職金に対する所得税が大幅に軽減されることになりましたることは、━━━━━明断といわなければなりません。(拍手発言する者あり)  次に今回の行政整理による経費節約額でありますが、政府関係機関を含めて、明年度においては退職手当支給額を差引き約百五十億円、平年度においては約二百億円の節約となるのであります。以上のほか、行政機構の改革、米麦の統制撤廃その他の問題に関し種々質疑応答がありましたが、その詳細は会議録によつて承知願いたいと存じます。  次に本案に対しましては、自由党より、米の統制撤廃の時期が少し遅れたゆえをもつて、附則第三項を削り、食糧庁に七千九百六十一人、運輸省本省に二百人及び労働省本省に九百七十九人を加える修正案が提出されました。また国民民主党より、農林省本省に統計調査関係で三千九百六十三人、食糧庁に一万四千二百十二人を加え、附則第三項を削る修正案が提出されたのであります。  かくて、十一月十二日討論採決に入り、国民民主党の修正案は少数をもつて否決されました。次いで自由党の修正案を採決の結果、大多数をもつて、その修正案の通り本案を修正議決いたした次第であります。  以上、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手
  16. 林讓治

    議長林讓治君) ただいまの木村君の発言中、もし不穏当な言辞があれば、速記録を取調べの上、適当な処置をとります。  質疑の通告があります。これを許します。受田新吉君。     〔受田新吉君登壇
  17. 受田新吉

    ○受田新吉君 私は、ただいま上程せられましたる行政機関職員定員法の一部を改正する法律案審議を担当いたしましたるところの内閣委員長木村公平君に対しまして、ただいまの報告並びに委員会における審議の態度に対し重大なる質疑を行わんとするものであります。(拍手)  そもそも定員法改正案というものは、内閣全般にわたりまする公務員の身分に関する法案でありまして、大量の首切りを前提として、公務員に対し甚大なる脅威を與えるとともに、その生活権の根底をゆさぶるところの大旋風なのでございます。かかる重要法案を引受けた国会といたしましては、十全の努力を傾けてその実体を究明いたしまするとともに、民生の安定のために、国民の代表たるところの選良国会議諸君は、まず天下の憂いに先だつて憂え、天下の楽しみに遅れて楽しむという政治家としての信條に徹しなければならなかつたのであります。(拍手)しかるに、この法律案内閣委員会提出いたされまするや、委員長木村公平君のとりましたるところの審議の態度はまことに非民主的であり、専横をきわめて、これを傍聽する者すら、まゆをしかめた実態を、諸君承知でございまするか。私は、この木村公平君が、そのお名前のごとく公平に審議すべきところを、まつたくそのお名前に相反したる不公平なる審議をやつたことに対して、ここに重大なる糾明を試みんとするものであります。(拍手)  第一、この委員会審議にあたつて野党側の議員の質問に対して、委員長は断固その発言を押えたり、あるいは答弁を要求せられましたるところの政府委員に対して、その発言を中止せしめたり、あるいは特定の政府委員に対する答弁を、他の特定の政府委員に独断をもつて変更をしたり、もしくはこの法案の重要性にかんがみましての七つの関係委員会連合審査会において、その審査の時間をわずかに一時間に限定したりいたしまして、国権の最高機関たる国会議員の発言を極度に抑圧いたしたものでございます。(拍手)この点に関しましては、当時、與党側の委員諸君すら、木村公平君の態度に対して顰蹙した事実を御承知でございまするか。(拍手)  私は、委員長木村公平君が、かくも政府の番犬のごとく、国会の権威を失墜するごとき行為に出たるにかかわらず——総理の本国会劈頭における施政方針演説において、米の統制撤廃の方針を明らかにしたるものが、結果において、つるの一声で、これが途中より変更のやむなきに至つて、この災いは、與党、政府の内部的問題として、うちより発生した災いによつて、あえなく根本的修正をなさざるを得なかつた事実に対して、木村公平君に対して深甚なる追悼をささげたいと思うのであります。(拍手)  皆さん、私はこの木村公平委員長に、さらに国会委員会要求によるところの総理大臣の出席を要求したるにかかわらず、前後六回に及び、かつ二回の連合審査会が開催されたる際に、一回も総理の出席は見ることを得なかつたのであります。木村君は委員長として、総理に委員会要求をお伝えいたされましたか。総理、内閣全般に関する重要法案であるがゆえに進んで委員会に出席すべきであつたはずであるが、施政方針演説において統制撤廃を叫んで、途中よりこれの変更を余儀なくされた手前、当価を糊塗するために、委員会に出席することを遠慮されたのでありまするか。あるいは総理が壇上に立つごとに、仮定のもとの議論はまつぴらだと大みえを切られるのでありますが、この委員会に臨むことによつて、あるいは委員会でつるし上げを食うという危険を身に感じられた結果でありまするか。もしくは委員長みずからが、あたかも東條内閣のときのごとく、政府の出先機関のごとき観を国会が呈して、政府のお先棒をかついで、国権の最高機関たるの審議を抑圧しようとした挙に出た結果でございまするか。このいずれにおいて総理の出席がなかつたのでございまするか。木村公平君に断固御答弁を願いたいのでございます。(拍手)  以上のほか、さらにここにおいて私が與党諸君にも訴えたいことは、委員会審査がきわめて不公平であつた事実として、ただいまこの席において委員長報告をいたしましたる木村公平君のその報告の中に自己意見を交えて、大臣の意見がまことに━━であるとか、あるいはこの内閣の考えはまことに適切であるとか、お先棒をかつぐような個人の意見を挿入したということに対しては、国会の権威を冒涜することまことにはなはだしいといわなければならぬのであります。木村君は、ここに委員会の実体を本会議においても遺憾なく露呈してくださつて諸君の公正な審判を受けるに至つたのであります。(拍手)  皆さん、この点に関しまして、われらはあくまでも断固国会の権限を尊重し、国民代表たる立場を守り拔くために、政府の番犬のごとき行動、非民主的な行動をなしたる木村公平君に対して、その所信を披瀝してこの疑雲を一掃していただくことをお願い申し上げ、ここに簡單でございまするけれども、木村委員長に対する質疑を試みた次第でございます。(拍手)     〔木村公平登壇
  18. 木村公平

    木村公平君 受田君の御質問の趣意はよくわかりませんが、(「何を言うか」と呼ぶ者あり)あなたが汗を出して質問されるほどの問題でもないようであります。問題は、国会法の第六十一條を御勉強になりますれば、委員長に時間制限の権能があることは、よくおわかりになると思います。  さらにまた吉田総理大臣に対する出席要求は、わが輩の関知したことではありませんから、お答え申し上げかねます。(拍手
  19. 林讓治

    議長林讓治君) これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。村瀬宣親君。     〔村瀬宣親君登壇
  20. 村瀬宣親

    ○村瀬宣親君 私は、ただいま上程せられました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案及び自由党提出の修正案に対し、国民民主党を代表して反対の意を表明するものであります。(拍手)  そもそも行政を簡素化し、国力に相応した行政機関の規模を定め、行政事務の能率を向上して適正なる行政整理を行い、国民負担の軽減をはかることは、わが党年来の主張でありまするが、それにはあくまで合理的な行政機構の改革が先であつて、行政整理は行政事務簡素化と能率化の結果として行われるものでなければなりません。政府は、先年来、行政機構の根本的改革を天下に呼号し、各種の機関を設けてこれが調査研究に当つて来たのでありまするが、今日においても遂にその成案を得るに至らず、従つて、いかに行政を簡素化し、いかなる事務を縮小することができるかをも明らかにせず、行政機構をそのままにして、ただ漫然と行政整理を強行せんとする政府今回の措置は、本末転倒のはなはだしきものであつて、あたかも物の形をかえずして異なつた影を映し出さんとするものといわねばなりません。ことに、政府が今回整理せんとする八万七千九百十五人の各省別人員を見ますると、吉田内閣並びに自由党がみずから掲げる重要政策を抹殺するにひとしい整理計画されておることを発見するのであります。(拍手)  その第一は、建設省の定員であります。吉田内閣は、災害亡国の現状にようやく気づいて、おそまきながら災害復旧の促進を唱え出したのであります。吉田内閣成立以来、河川災害の復旧せられざる額は年々累積して、昭和二十三年における繰越災害額は二百九十一億円であつたものが、昭和二十六年一月には、その四倍に近い一千二十七億円の巨額に達しておるのであります心先般、時ならぬルース台風の襲来に驚いた政府は、ようやくにして災害復旧の方針を立て直し、災害はその発生年度に三〇%、翌年度に五〇%、三年度に二〇%の割合をもつて三年以内に復旧する方針を明らかにせられたのであります。これは従来災害発生の初年度にせいぜい十四、五パーセントの復旧を実施して来たのに比べて二倍以上の事業量を施行せねばならなくなるのでありまするが、今回の定員法によれば、建設省の定員を七百七人減少することになつております。これでは、とうてい災害復旧の促進のごときは思いも及ばぬことであります。  ことに建設省においては、従来より定員不足のため、業務並びに工事途行上、定員と同数以上の補助員を、非常勤勤務員の形式をもつて雇用して来たのでありまするが、最近、これらは当然必要な人員として準職員取扱い要領を定め、定員職員の数を六千三人として職員と同様な待遇を與えておるのであります。かかる事実を無視しまして、建設省の定員を一七百余人減少せんとすることは、ただに災害復旧を放任する結果となるのみならず、わが国自立経済の基盤たるべき電源開発や治山治水についても熱意なきものと断ずるのほかなく、少くとも吉田内閣は、本法案により、国土計画と電源開発については無方針、無計画であることを、はしなくも暴露しておるのであります。(拍手)  また文部省においては三千七百十四人を整理せんとしておるのでありまするが、そのうち見のがすことのできないのは、付属教官二百九十三名の定員が減らされておる事実であります。これら付属中学及び小学校は、教育実習の対象であり、教育研究の場所でありまするが、これらの教官の一割に相当する約三百名を整理せんとする目的はいずこにあるか、吉田内閣の教育に対する基本的観念を疑わざるを得ないのであります。(拍手国家公務員たる中小学校の付属教官を一割整理することが前例となつて、万一地方公務員たる中小学校教官の定員減少をもくろむがごときことあらば、文化国家としての基盤を崩壊せしめ、信を内外に失い、講和の成立によつて世界の前にわが名誉を回復せんとする全国民の願望は、無残にも蹂躪されることとなるのであります。(拍手)  その他運輸省、労働省、特別調達庁、郵政関係等についても幾多の不合理を包蔵しておるのでありまするが、特にその最もはなはだしいのは農林省の定員削減であります。政府原案は、農林省の統計調査部及び統計調査事務所の現在定員一万四千九百四十三人のうち四三・六%に相当する六千五百三十人を整理し、食糧庁の現在定員三万一千二百五十六人のうち五一・二%に相当する一万六千十四人を整理せんとするものであつて、今回の法律案による整理全員の三分の一を農林省一省に負わしめておるのであります。ことに統計調査関係定員は、最近千五百人を減少せしめられたばかりであつて、その上かくのごとき大幅な縮減をあえてしようとすることは、他の省庁に比べても著しく均衡を失するものであります。農業統計に関しては、今回の平和條約における宣言において、わが国は一九二八年十二月一日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約及び議定書並びに一九二八年の経済統計に関する国際條約を改正する、一九四八年十二月九日パリで署名された議定書加入する意思を表明しているのでありますが、この国際條約及び議定書は、第一に主要作物に関する栽培面積の分布、第二に作物の收穫高及びこれに関する毎年の統計表を提出し、もし完全なる統計表を提出することができないときは、その不完全の程度を示すべきことが約束されておるのでありまするが、政府原案によれば、かくのごとき国際條約上要求される正確度の農業統計をつくることは絶対に困難であります。今や平和條約成立とともに、わが国が国際経済に復帰して、国際農業機構や国際統計機構へ協力し、また海外の農業事情、農業統計をできるだけ早く正確に把握する必要に迫られつつあるとき、かかる無謀なる農業統計の放棄は、国家のためには、はなはだしき損失といわなければなりません。(拍手)  さらに食糧庁関係定員においては、食糧管理職員を、その六〇%に相当する四千百二十九人減じ、農作物検査職員を、その五〇%に相当する一万一千七百六十七人減ぜんとする政府案に至つては、まさに無謀のきわみであります。現在のごとく、農作物検査の数量、種類がますます増加せんとし、かつその精密さが要求せられるとき、検査員を減少して、これを地方の農業協同組合等へ吸收せしめんとする政府の方針は時代に逆行するものであつて、検査の事務は、地方的、個別的なものから、次第に統一的に、厳正公平に、国家がこれを行わねばならないのであります。しかるに、これをとかくの弊害のつきまとつた数十年の昔の状態に押し返さんとする政府の方針は、日本農業の健全なる発展を阻害するものといわねばなりません。  以上の理由をもつて、わが民主党は、農林省統計調査部において、さらに原案より三千九百六十三人を復任し、食糧管理並びに検査職員の一万四千二百十二人を復活し、農林省のみで合計一万八千百七十五人を復活せんとする修正案を内閣委員会提出したのでありまするが、遺憾ながら少数をもつて否決せられたのであります。しかしながら、真に農業統計の重要性と食糧検査の実態を考慮するならば、必ずわが党のこの修正案の骨子は再びこの議場において取上げられる日の来ることを信じて疑わないのであります。(拍手)  自由党の修正案は、統計調査部の職員は一人も復活せず、單に食糧庁のみについてわずかに七千九百六十一人を復活せんとするものであつて、わが党の修正案に比し、復活人員一万二百十四人も少く、かかる実情に即せざる修正をもつてしては、適正なる食糧検査と、正確なる農業統計の確立はとうてい不可能であります。  吉田内閣は、今国会の施政方針演説において、米麦の統制撤廃を早急に断行すると声明したにもかかわらず、二十日を出でずしてその無準備と無計画が暴露せられ、遂に施政の根本方針を放棄するのやむなきに至つたのであります。施政方針演説で声明した基本方針が完全にくずれ去つたにもかかわらず、主食統制撤廃を前提として編成された予算の組みかえも行わず、それによつて巻き起つた社会の混乱と農民の困惑に対し何らの責任をも感じない現内閣のことは、憲政史上いまだかつてその例を見ないのであります。(拍手)ここに上程せられた定員法もまた主食統制撤廃の落し子であつて、その無定見と無計画とは生れながらの宿命であります。かかる不用意にして、ずさんきわまる定員法に対し、申訳的な修正をもつてその場を糊塗せんとする自由党の態度は、平衡交付金の不足を知りつつ多数をもつて予算を無理押しに通しておきながら、平然として平衡交付金増額の決議案を上程した矛盾撞着の態度と同じであります。(拍手)  以上の理由をもつてわが国民民主党は、政府原案並びに修正案に断固反対するものであります。(拍手
  21. 林讓治

    議長林讓治君) 青木正君。     〔青木正君登壇
  22. 青木正

    ○青木正君 私は、自由党を代表いたしまして、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に関し、自由党提出の修正案及びその修正部分を除く政府提出原案に賛成の意見を表明せんとするものであります。  わが国の行政規模が、戰時から戰後に引続きまして複雑厖大となつて来たことは御承知通りでありまして、現下のわが国力にふさわしい姿とは申しがたいのであります。従いまして、このわが国の行政の規模を縮小し、その簡素化をはかり、わが国現下の国力にふさわしい行政体制を確立し、いわゆる低廉なる行政機関の実現をはかるべきであるということは、今や国民的常識と申しても過言ではないのであります。  そこで、御承知のごとく、吉田内閣は、この国家的要請にこたえて宿弊の解決に乗り出し、すでに昭和二十四年に相当規模の行政整理を断行いたしたのであります。しかしながら、今なお行政機関定員法の定むる定員のみをもつて見ましても八十九万に達し、政府関係機関職員を合すれば実に百五十万人の多きを算しておるのでありまして、これは昭和六年ごろに比べると二倍半に達し、わが国現下の国力並びに国民負担現状にかんがみまして、今なお厖大のそしりを免れがたいのであります。しかして、今やわが国の独立も目前に迫り、当然に占領管理の終結に伴つて不要となるべき事務、あるいはまた経済統制その他国家規制の廃止または緩和によつて縮小し得べき事務及び情勢の変化に伴う不要不急の事務を生ぜんとしているのでありまして、事務量の縮小は明らかに予見されたものであります。他方、独立後の日本の自立体制を確立するためには総合的に国力の発展をはかるべきでありまして、この見地に立ちまして、今やわが国の行政規模を縮減簡素化し、わが国力に相応する低廉なる行政機関の実現をはかるべき段階に達しているものと私どもは信ずるのであります。  以上の意味におきまして、政府が今回事務量の減少を予見し、かつ独立後の日本の自立体制に備えて定員法の改正を断行し、行政規模の縮小簡素化をはかり、あわせて国民負担の軽減に資せんといたしましたることに対しましては、私どもは国民とともに衷心から賛意を表せんとするものであります。すなわち、政府の原案によりますと、今回の定員整理の方針は、各種行政事務の簡素合理化をはかり、各省庁の事務の実態に即して定員整理せんといたしておるのでありまして、占領管理の終結に伴つて不要となる事務経済統制の緩和撤廃によつて縮小し得る事務、その他不要不急となつ事務については、大幅にその定員整理せんとしておるのであります。他方、治安関係、職業安定、郵政、電気通信等の現業、病院その他試験研究機関等の職員につきましては、きわめて軽微なる整理にとどめているのであります。この方針は、單なる一律の整理とは異なりまして、現実の実態に即応するもので、きわめて合理的な整理と申すべきであります。しかも、これによつて年度約百五十億円、平年度において約二百億円の節約が可能となるのでありまして、国家財政、ひいては国民負担の軽減に資することきわめて大なるものがあると信ずるのであります。(拍手)  ただ政府原案は、一応米穀の統制が明年四月一日までに撤廃されることを前提として作成されたものでありますが、政府は先般、米の統制撤廃実施する方針ではあるが、その時期は供出の状況及び米の輸入状況等を十分勘案して決定する旨を明らかにいたしておるのであります。よつて、右の事態に対応いたしまして、食糧庁関係並びに労働省の労務加配米関係及び運輸省の船田米関係職員につきまして合計九千名を復活し、行政機関職員全体としてその整理を約七万八千七百人にとどめ、定員数を全体として約八十一万一千八百人となすことが妥当と認めたのでありすす。よつて、右の方針に基きましてわが党の修正案を提出した次第でありまして、これによつて米の統制撤廃が実現されるまでの必要なる統制事務を確保せんといたしているのであります。  次に、いかに行政の整理簡素化国家的の要請であるとは申しましても、現実に退職される方々に対しましてはまことに同情にたえないのでありまして、これらの方々に対しましては、政府として当然でき得る限りのあたたかき配慮がなければならぬのであります。この点に関し、政府は、今回の退職者に対し、従来の行政整理の場合にくらべ、明年三月までの早期退職者には八割増、それ以後は原則として四割増の手当を支給するのほか、退職手当に対する所得税も、基礎控除十五万円という大幅軽減の特例を開こうといたしておるのであります。また再就職の問題に関しましても、公務員の営利企業に対する就職制限を緩和し、当該官庁においてできるだけ就職のあつせんに努めるほか、職業安定所を中心として全国的求人開拓特別措置を講ずるとともに、今回の補正予算に計上した職業補導施設拡充費によりまして堅実なる就職を確保する等、万全な措置を講ぜんといたしているのであります。われわれは、政府のこうした措置に信頼を置くものではありますが、政府はこの点に関しさらに一段の努力拂い退職者に対して新たなる希望を持たしむるよう十分配慮せられんことを、特にこの機会に重ねて要望いたしておくものであります。同時に公務員の方々も、国政の大局より見て、国民として今回の整理に御協力あらんことをお願いしてやまぬものであります。  最後に、日本社会党その他の諸君は、近く政府行政機構の改革を行わんとしておる以上、これと同時に人員整理を行うべきであるということを、本案反対の一つの大きな理由といたしておるのであります。私は決してあげ足をとるような考えはないのでありますが、片山内閣が、昭和二十三年一月二十七日に、御承知のごとく行政整理に関する閣議の決定をいたしております。その第四項を拝見いたしますと、その中に、こう申しておるのであります。「原則として昭和二十三年一月一日現在の予算定員の二割五分の減少を目途として、所要の員数を予算及び官制上減少するものとし、その残存人員の範囲内において、その省庁内の機構の再編成を行うものとする。」、かように述べておるのであります。このことは、やはり社会党内閣も、その当時、現内閣と同様に、まず人員の縮減を行い、しかる後に、その残つた人員について機構の再編成をなさんといたしたのであります。これは決してひとり片山内閣にとどまらず、実際にその局に当りますと、かかる方法をとることが実際的であるという見地から、おそらく社会党内閣もさような方針を決定いたしたろうと思うのであります。現内閣もまた同様の見解に立ちまして、今後の国政事務を達観し、必要なる事務量を勘案して、まず人員の縮減を行わんとするものであります。機構の変革が行われましても、事務量そのものには、さしたる変更なきことは当然であります。人員整理と機構の改革を切り離して実施して何らさしつかえないのみならず、むしろ人員整理については、機構改革にあたり急速にこれを実施するがごとき方法よりは、今回のごとく、時間的にその間十分の余裕を置くことが、はるかに実際的でもあり、かつまた整理対象となる方方に対する当然の配慮であろうと存ずるのであります。かつてみずから採用せんとした方法に、社会党の諸君が今日反対せんとするのは、いささか納得いたしかねるのであります。  また国民民主党は、行政整理そのものには原則として異存はないが、今回の整理案をもつてしては現実の行政事務に支障を来すおそれがあるのではないかという御懸念に立つておるようであります。ただしかし、私どもは、国民民主党の諸君があまりにも現在の事務処理方式にのみとらわれまして、その上に立つて所要の定員を算定せんとする態度には、にわかに賛成いたしがたいのであります。何となれば、人員の縮減につきましては、これと並行いたしまして、当然に事務の処理方式の改善や、その合理簡素化が行われねばならないのでありまして、政府もこの見地に立ちまして十分の検討を加え、人員の縮減を事務処理の合理化によつて補わんといたしておるのであります。  これを要しまするに、野党諸君も、朝野その立場を異にしたから反対するということでなしに、国家の大局より見て本案に賛同せられんことを望むものであります。なお共産党の反対理由に至りましては、共産党諸君のゆがめられた世界観に立つ偏見と独断以外の何ものでもないので、これ以上あえて反駁する必要を認めないのであります。  以上をもつて、自由党提出の修正案及びその修正部分を除く政府原案に対する賛同意見といたします。(拍手
  23. 林讓治

    議長林讓治君) 松岡駒吉君。     〔松岡駒吉君登壇
  24. 松岡駒吉

    ○松岡駒吉君 ただいま議題となつておりまする行政機関職員定員法の改正法律案に対しまして、さらにまたその修正案に対しまして、社会党を代表いたしまして反対の意思を表明せんといたすものであります。(拍手)以下、その理由につきまして、数項目にわけてこれを説明せんとするものであります。  行政の能率を高め、これを簡素化いたしまして、国民負担を軽減いたさんと欲しますならば、政令諮問委員会も指摘しておりまするがごとくに、行政機構の根本的な改革を断行いたしまして、これによつて人員の配置を適正にし、ここに初めて真にその所期の目的を達成し得るのでございますが、吉田内閣は、閣内意見の統一をはかり得ずいたしまして、遂に天引き整理、天引大量首切りを行うに至つたのでございます。  政府は、法案提出説明の理由のうちに、現下のわが国の国力にふさわしい行政体制を樹立することは、政府が常に意を用いて来たところでありまして、すでに一昨年相当規模の行政整理を断行したのでありまするが云々と、一昨年の行政整理を、きわめてぎようぎようしく誇張して報告いたしておるのであります。しかるに、行政管理庁が九月十一日に配付いたしました資料によりますと、二十四年十月一日、すなわち一昨年の行政整理を行いました後における定員は八十七万三千二百三十七名でありまして、本年十一月一日現在の定員は八十九万六百五十五名となつておるのであります。すなわち、一昨年の相当規模の整理を断行いたしました後において、定員はすでに一万七千四百十八名の増加を見ておるのでありますが、これのみではございません。非常動という名目によりまして、事実は常動の仕事を賃金職員によつてつて行くという以外には方法のない現業官庁におきましては、すでに定員外に多くの人々を雇用している事実があるのであります。たとえば郵政省におけるそれを例として申し上げますならば、こまかいことは省略いたしますが、合計八千九百名の多きに達しております。しかも季節的なもの、あるいは臨時的なものが一千八百五名の多きに達しておるのでありまして、さきに申し上げだ八千九百名は、事実上は常勤の定員内の職員であるのであります。かようにいたしまして、政府が断行した云々と誇らしく提案理由の説明に主張されるところは、遺憾ながら何らの意味をなさないところの、元のもくあみと今日なつていることは、公知の事実であるのであります。  なおこの際私は申し上げたいのでありまするが、以上のような天引き的な整理というものは、結局こういうことになつてしまわなければならないのであります。たとえば、今年行わんとしておるところの整理に基く、これまた政府提出されましたところの資料によりますというと、近い将来にはあるいは数百億の国費の節減を見ることができるではあろうが、少くとも本年度におきましては、四十三億五千九百五十万円という、差引この整理に伴う国費を要するということになつておるのでありますが、この国費がむだに支出されるがごときことがないということを、さきに申し上げました事実によりまして、だれが一体保証し得るでございましようか。いたずらに天引き整理を行いまして、ただ、不安動揺を激成するのみであつて、その目的を真に達し得ないような整理であると、この点を私ども強く指摘いたしたいのであります。  第三には、整理内容についてであります。特に国鉄、郵政等の現業官庁における人員の配置がきわめてずさん、かつ不合理でありまして、前に申しました通りでありますが、その配置の不合理、ずさんきわまりなき事実が、どういう結果を生んでいるかということについて、一例をお話申し上げなければならないのであります。郵政省内における労働の過重は、超過勤務が行われることによりまして、労働基準法違反の事実が各所に起りつつあるということであります。その結果といたしまして、郵政省内における職員の、昨年八月から本年の七月に至るまでの一箇年間の長期欠勤の推移状況調なるものによりますと、昨年八月におきましては四千九十六名であつたのでありまするが、漸次これが増大の一途をたどりまして、本年の三月においては五千六十名、四月においては五千二百八十二名、五月においては五千二百九十三名、六月においては玉千二百七十八名、七月においては五千二百九十三名、各月平均いたしまして四千七百五十六九名、昨年の八月におきましては四千九十六名でありましたものが、本年の七月までの間における平均したところの長期欠勤の人員数というものは四千七百五十六名を算するに至つておるのであります。最もはなはだしいのは、職員訓練における長期欠勤の人員が、驚くべきことには五倍になつておるのであります。この事実は、不合理な人的配置、ずさんな行政整理というものがいかに労働者を疲弊困憊せしめ、それがひいては能率並びにサービスの低下とならざるを得ないものであるかということを雄弁に立証するものであると主張いたすのであります。  さらに、戰後の日本民主化のための基本的な、大切な法律といたしまして労働基準法が制定せられ、その基準法の励行は、ひとり労働者の保護を目的とするのみではなくして、私が申し上げるまでもなく、日本産業の健全なる発達に資せんがためであるのであります。しかして現下の実情は、実施以来日なお浅く、労働基準監督もしくは指導の必要であることを痛感せしめるのでありまして、労働基準監督の重要性を強く確信いたすのでございます。(拍手)し捗るに政府は、この重要な点を考慮するところなく、基準監督官を整理対象といたしておるということは、私どもの断じて賛成なしあたわざるところであります。(拍手)  さらに教育公務員の首切りでありますが、政府のこの案を見まして、吉田内閣の教育軽視のはなはだしきに対しましては、まことに失望せざるを得ないのでございます。(拍手)ナポレオン軍の監視下にありまして、フイヒテは国民教育の重要性を説いてドイツ国民に訴えておりますが、この際、哲人文相として知名な天野文部大臣は、国民教育の尊重すべきこと、このドイツの哲人が、ナポレオン軍政下にあつてなお教育の重要性を説きましたこの烈々たる精神にえりを正すべきであると、私は主張いたすのであります。  なおこの問題につきましては、同僚議員村瀬氏のすでに論ぜられたところでありまするが、日本の人口・食糧問題は、きわめて重大なる国民全体の関心事でなければ相なりません。農業政策、農林行政の上に、ようやく正確な資料と統計を提供することのでき得るようになりましたところの農林統計調査に対しまして、その重要性を認めることなく、きわめて簡單整理のおのを振わんとするがごときことは、私どものにわかに賛成いたすことのできない点でございます。(拍手)  第四に整理の方法でありますが、すなわち生活保障、失業の対策、この二点であります。言うまでもなく、物価の上昇、低收入、かつて加えて重税のために悩まされました公務員に、多くの貯えのあるべきはずはないのでありまして、今回の整理手当が、過去のそれに比しまして、ややかげんされておる事実は認めるのでありまするが、年の瀬を控え、さらに新しい各種学校の卒業生を出すところの来年六月までの間において、失業のちまたにほうり出されるそれらの人々の運命を思いますときに、その失業対策によつて、はたしてよくそれらの人々を補導し、その所を得せしめ、再就職なさしめることかでき得るかどうか、大なる疑問を持たざるを得ないのであります。(「簡單に」と呼ぶ者あり)もうしばらくがまんを願います。
  25. 林讓治

    議長林讓治君) 松岡君、申合せ時間もありますので、なるべく簡單にお願いいたします。
  26. 松岡駒吉

    ○松岡駒吉君(続) 吉田内閣並びに自由党は、戰後引続く食糧統制によりまする国民の不自由さ、その不満、これに乗じまして、むしろこれを悪用して、外国の食糧援助を受けつつある現状に顧みることなく、三年も前から米の自由販売をお約束になりました。その決済があまりに長びくことのために焦慮のあまり、こうごうたる国民の輿論を無視して、米の統制を撤廃されようといたしたいのでありますが、ドツジ氏の一喝にあつて、遂にたな上げのやむなきに至りました。しかるに、これを前提とする補正予算のみは、数を頼んで無理押しされました。わが国議会政治の根本精神を無視し、蹂躪するものといわざるを得ないのであります。(拍手)  さらに本改正法律案につきましても、米の統制解除のたな上げとともに、当然政府みずから原案を修正さるべきであるにもかかわらず、與党をして修正案を出さしめ、これによつて事態の当面を糊塗せんとするがごときは、まことに笑うべき姑息な手段といわざるを得ないのであります。(拍手
  27. 林讓治

    議長林讓治君) なるべく簡單にお願いいたします。
  28. 松岡駒吉

    ○松岡駒吉君(続) 最後に、責任を重んじ、気節をとうとぶことをもつて任ずるところの吉田首相は、本国会劈頭におけるみずからの言責に顧みまして、深く自責を痛感いたすべきであると思うのであります。  最後にさらに一言申したいことは、日本内外の情勢は、かくのごとき、ずさんきわまる不合理な首切り整理案を出すことによつて、かえつて社会の不安と動揺を激化いたしまして、今日の日本にとりまして最も戒心を要する治安の上に大いなる悪影響をもたらすであろうという一事であります。  わが党は、かかる見地からいたしまして、原案並びに修正案に対しまして、全面的に反対いたすものであります。(拍手
  29. 林讓治

    議長林讓治君) 加藤充君。     〔加藤充君登壇
  30. 加藤充

    ○加藤充君 日本共産党は、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案並びにその両修正案に断固反対いたしまして、これが撤回を強く求めるものであります。(拍手)  本法案は、屈辱的講和條約と、日本人を再び━━に送り、その国土を━━とする日米安全保障協定の裏づけをなすものであります。日米合同委員会を最高の機関とし、継続される占領管理のもと、日本政府の責任において日本の軍事基地化を推し進め、日米経済協力で日本の産業経済を完全に━━━━━━━━の一環に編入させるとともに、日本軍の中核となる警察予備隊を中心に日本再軍備を行うためのものであります。(拍手)すなわち、占領体制の新しい展開に即応し、警察予備隊、国警、海上保安庁、特審局、出入国管理庁の統合増強をはかり、さらに経済産業行政を軍事的に再編成し、労働基準、失業対策等の労働行政、社会福祉、文化教育行政は、あるいはこれを廃止し、あるいは縮小し、あるいは地方に移管して、その機能を低下、骨抜きにするものであり、地方行政においても、知事の権限の強化とともに、地方公共団体に対する中央の統制監督を強めんとしているのであります。これは中央集権的専制政治体制を再編すると同時に、人員整理によつて経費を節減したかのごとく見せまして、予備隊の充実、再軍備を着々と進めて行くものであつて、民主化どころか、ますます反動化をねらうものであることは明らかであります。(拍手)  本法案は、世界人権宣言も基本的人権も━━━━した━━━政令の立法化、国家安全保障法、団体等規正法、ゼネスト禁止法、集会デモ取締法等諸悪法の制定や、労働三法の改悪や、さらに進みましては、刑事訴訟法の改悪の企図とつながつて一体をなすもので参あります。これは日本国民を無権利にし、低劣な生活水準にくぎづけにいたしまして、やがては民族の誇りすら失つたものとすべく、植民地的専制警察政治体制の確立をねらつたものであることも、また明らかであります。人員整理によつて国民負担を軽減するなどとは、国民を欺瞞するものはなはだしい。  政府は、定員法案により八万七千九百七十五人、補正予算説明によれば、政府関係機関を含めて十二万余の首切りによりまして、来年百五十七億円を節減するというのであります。しかしながら、警察官、特審局員、検察官、刑務官、海上保安隊などは少しも整理されないどころか、明かに増員されようとしているのであります。近々十五万に増員されようとしている警察予備隊を中心にいたしまして、警察権を持ち、武装した者の数は、今日すでに三十万を越えているのである。そうして警察予備隊は、去年二百億円、ことし三百十億円、国警は去年百十億円、ことし百五十八億円の予算を食つております。そして昭和二十六年度予算は、補正千三百六十二億円を加えまして実に七千九百余億円で、あの厖大、最大といわれました昭和二十四年度予算を実に五百億円も上まわつておるのでありまするが、その七、八割が実に戰争のための費用に充てられているのであります。このままでは、来年度は防衛分担費を含めまして、武装人員の維持費、装備費だけでも二千億円を下らず、負担の軽減どころか、国民はますます重税に苦しめられることになることは、今や明白であります。  その上、今度の行政整理は、日本人の利益はあとまわしという屈辱的なものを含んでいることも指摘しなければなりますまい。すなわち政府は、開戰時以来、戰略爆撃によつて破壊された一切の財産権の損害まで約三百億を外国人に支拂うことを急いでおりますが、昭和二十六年六月末までに、進駐占領による接収借上げを受けた民間の不動産だけでも、土地実に三万七千町歩、建物百三十六万坪、本年度中に、米国洲兵駐屯その他によりまして、さらに約二万二千町歩の土地が接收される見込みだといわれております。この跡始末、使用料、損害の支拂いなどの業務は山積しているのでありますけれども、特別調達庁の職員の首切りは、この業務のたな上げ、事実上の打切りとなることは必至でございましよう。  政府は、これらの本質とねらいを今は隠すために機構整理と離しまして小間切れ定員法案を提出し、しかもそれは、主食等の統制撤廃を仮定した、條件付という、前代未聞の不見識な法案でございます。これは明らかに、ほおかむりしながら国会の審議権を無視した、不法かつ卑怯なやり方である。そもそも食糧統制廃止は自由経済への復帰であるなどと、人を食つた宣伝をしておりますけれども、これは国際独占資本にとつて、より簡單に、より直接的にもうけられるように、複雑な統制仕組みをはずそうとするだけでありまして、これによつて日本は、政治的にも、経済的にも、いよいよ決定的にアメリカ政治経済の一環に編入されるものでありまして、国の独立なくして経済の自由もあり得ません。日本農業の破壊の道を外国輸入食糧のために開いて再軍備費を浮かすというような売国的方針のもとに、公約と選挙対策のために企てられました主食統制廃止の問題は、まさに経済の自由ではなくて、経済と政治の隷属という馬脚を明らかに現わした結果となりました。  本法案は、業務量と定員制との関係を無視したものであります。昭和二十四年の首切り後、今日約九十万の定員に対しまして四十八万人という非常勤職員をかかえ、そのうち二万三千人は、政府説明によつても明らかに常勤的職員であります。そして、この厖大な未拂い超過勤務をやらせておる始末でありますけれども、この数字自体は、明らかにこの上大量の首切り減員を強行するということはむちやであることを証明していると思うのであります。待遇も悪く、身分の保障もない臨時工的職員をふやす行政整理のやり方は、民間企業に対しまして、合理化を口実とする首切りと臨時工制度を奨励するものでありましよう。そうして、整理後に公務員一人当りの事務分量は必ず増大するのでありますけれども、政府は、あの低い人事院の給與勧告すらも無視して、それよりもはるかに下まわつている、しかも依然上に厚く下に薄い給與で押し切ろうとしているのであります。職階給與と勤務評定制度は、明らかに職務を陰惨なものとし、職員の健康を破壊し、事務能率を妨げております。  政府の首切りは、基準も示さず、めつた切りであり、抜き討ち切りであります。そうして不利益処分に対する審査の申立ても許さないというに至つては、まつたく言語道断の切捨てごめんのやり方でございます。(拍手)これは、国家の要請の前に身を鴻毛の軽きに比し、承認必謹の国家至上の思想と、まさにフアシズムの再現であり、許しがたき暴挙であります。(拍手政府は、この大量首切りに際し、わずかに四千万円の職業補導施設費を準備しただけである。そして、その裏で希望退職者を募り、これらに警察予備隊向け転職を誘いかけている始末でありまして、まことに手の込んだ日本再建方式でありますが、こうまでして日本人を━━にかり立てる政府の残忍さを、国民とともに糾弾しなければなりますまい。(拍手)  日本はあげて━━国防動員の特需工場化し、軍事基地となり、労働基準法も骨抜きとなり、陰惨な職場に、肺結核を中心とした長期欠勤者が増加し、失業対策社会保障もおざなりのままに、街頭に失業者が溢れ、パンにみそをつけて食いながら、家族をあげての内職が一般化し、病気と暮しのために学生、学童までが長期欠席をする者が増加しております。そうして、犯罪をするか、自殺、心中のできない男は軍需工場の臨時工か警察予備隊に、女はパンパンに、日本人の肉体と精神までも不健全にして、遂に戰争に誘導する残忍なるこの法案を通過さすわけには、わが党は断じて参らないのであります。(拍手)  二重煙突で依然くすぶる大橋法務総裁、国庫補助金をよけいにとるために、県知事、土木部長、課長等らの謀略によりまして、石川県の天狗橋はわざわざ切り落され、通行人までが殺傷されたのであります。学校給食用の大豆をさかなにして、文部省、食糧庁、安本の首脳部と業者が結託して学童を食い物にした事件、驚くべき巨額に達する專売公社の不正腐敗ぶり、これら枚挙にいとまなき、とうとうたる官公庁の高級官僚の汚職、しかも運の悪い者を除いては法網にかかることなく、よし法網にかかりましても、ときの勢力によつて、うやむやになる公算きわめて大、刑罰はしごく軽微という体たらくでありまして、この官僚制度の中に巣食つた不正と腐敗の高級汚職官僚こそ、まつ先に血祭りに上げらるべきであると、私どもは主張いたします。(拍手)  対日講和、日米安全保障協定の調印批准によつてわが祖国と民族の独立は失われ、国民生活の自由と安定は、今や残虐きわまりなき戰争へのかり立てによつて破産されようとしておるのであります。われわれ日本人は、何としても戰争を防止し、民族の独立をとりもどし、国民生活の安定のために奮闘努力せねばならないのであります。そして、この民族的大業の達成は、同時に世界の平和と、世界の人々の幸福につながるものでありまして、世界に対する日本人の責任でもある。しかるに、吉田政府とその一味は、平和と独立と自由の愛国者を逮捕投獄し、国民の総意を僣称し、憲法を無視して、両條約を欣然受諾したのであります。吉田内閣に国政担当の資格なし。吉田内閣の打倒と民族解放、民主政府の確立のために、すべての愛国者と手を携えてわが日本共産党は闘うものであります。(拍手
  31. 林讓治

    議長林讓治君) 岡田春夫君。     〔岡田春夫君登壇
  32. 岡田春夫

    ○岡田春夫君 政府は、定員法の一部改正は、戰時戰後にかけて官吏が非常にふえているから今回行わなければならないと言つております。それでは、一体現状はどうであるか。今具体的な例を、一般会計の人件費によつて示されている官吏の数字によつて申し上げるならば、戰争の直後、すなわち昭和二十一年においては、一般会計の官吏は三十七万三千人であります。これに対して、本年、昭和二十六年は五十万三千人になつております。すなわち、戰後五年間にわたつて十三万人が増員されているのであります。しからば、この一般会計の官吏の内訳はいかようになつているか、この点をしさいに検討いたしてみますると、戰後の二十一年において三十七万三千人の官吏のうちで、国民生活の安定のための仕事を担当している官吏は六割を占めております。その反面に、警察官あるいは税務署等における、国民に対して強権を発動し得る立場に立つている者は四割であります。ところが、昭和二十六年の本年に至ると、国民生活の安定を担当する官吏は三割に減つている。その反面に、強権を発動し得る官吏は七割にふえております。(拍手)これを具体的な数字をもつて言うならば、国民生活の安定を担当する官吏は、この五年間にわたつて七万五千人が激つている。ところが反面において、警察及び警察予備隊あるいは税務署の官吏等は、この五年間に、驚くなかれ二十万五千人を増加しているのであります。(拍手)十三万人の増員というのは、これは国民生活の安定のための増員ではなくて、国民を弾圧するための、国民から税金をしぼりとるための行政機構の変革が行われている。(拍手)この事実が、まず第一に指摘されなければならない。それにもかかわらず、今回政府の提案によつて、この行政機構の中で十二万の首切りが行われるということ、この十二万の首切りは、先ほど加藤君も指摘した通りに、警察官は一人も減員をしておらない。検察庁も一人も減員しておらない。刑務所も減らしておらない。この十二万の首切りは、われわれの生活に直接関係のある官庁から首切りを行つておる。(拍手)これによつても、今度の行政整理は、明らかに警察国家の再現であり、国民を警察権力の下敷にしようとたくらんでおるものといわなければならない。(拍手)  第二の点、それでは、このように民生安定の行政機構に十二万の首切りが行われた結果、この行政機構はいかになつて行くか。まず第一に、官吏の中で、現在ひまで遊んでいる者はありません。もしあるとすれば、国会にもほとんど出席をしない総理大臣くらいのものであろう。(拍手)あるいはまた、局長からいつも答弁の資料をもらつておる大臣くらいがひまなんであろう。下級官吏という者は、毎日朝から晩まで血の出るような思いで、超過勤務手当をもらいながら、辛くも生活を続けているのが現状である。この現状は、政府の一機関であるところの人事院でさえ具体的に明らかにしておる。たとえば定員にあらざる非常勤の職員が四十七万九千人もいるという事実、あるいはまた超過勤務手当が九十一億円も出されているという事実、この事実をもつてしても、下級官吏というものは決して遊んでいるのではない、血の出るように働いている。(拍手)そればかりではない、現在の行政機構では、人手不足で行政の事務が十分に行われておらない。労働基準監督署においては、監督官の数が足りないために、一人の監督官が自分の受持ちの職場をまわるのに六年間かかるのである。これほど人手の足りない現状である。  しかるにもかかわらず、今このような現状に対して天引き三割の首切りを行つたとするならば、日本行政機構はどのようになるか。この例を簡單に申し上げますが、たとえば国立病院の場合に、医者とか薬剤師あるいはレントゲンの技師、これらの技術屋は、頭割五%の首切りが行われることになる。薬剤師は一日の投薬の限度は八十しかできないのであるけれども、この首切りによつて二百をつくらなければならないことになる。そればかりじやない。農林省の災害復旧、この部面を見ても、現在八十五人であるが、この八十五人の中から十六人の減員を行うと、災害復旧の担当者は、一人当り二億円の予算を扱わなければならないことになる。このように、実際において行政というものが行われなくなる。そればかりではない。労働省の人員の不足によつて、産業の災害は累増しつつある。一年間に産業の災害で死亡者を四千七百四十八人も出しているけれども、これは、あの例の国鉄の桜木町の事件が十日に一ぺんずつ起つている数字に匹敵するのである。これほど、今度の行政整理によつて、行政面から日本の産業を吉田内閣は危機に追い込みつつあるのであります。(拍手)  それでは、なぜ吉田内閣はこのようなむちやくちやな提案を行つているか。その提案の理由として、能率化と財政費の軽減と言つておる。ところが、能率化は全然行われない。財政費の軽減も全然うそである。その証拠に、今度の補正予算によると、ことしの十二万の首切りによつて退職金を支拂うならば、今年度においては四十三億円が人件費として出し前にもなると、補正予算に書いてある。この事実をもつてしても、財政費の節減などははかり得るものでは絶対にありません。  それでは、なぜ、なおかつこのようなことをねらつているか。これは十二万の首切りをやつて、これらは軍隊で飯を食わせようと考えているからである。(拍手昭和二十四年の行政整理、その後における民間産業の失業者の増大によつて昭和二十五年の夏には警察予備隊がつくられた。今度の十二万の首切りによつて、来年の春は警察予備隊が十五万人に増員されようとしている。(拍手)吉田内閣の今度の定員法の意図というものは、明らかに日本国民を雇い兵にして、日本の国を戰争の中に再び巻き込みつつあるねらいを持つているものであるということを明らかにしなければならない。(拍手)  われわれは、この意味において、今度の定員法に対しては断固として反対をし、撤回を要求するものであります。(拍手
  33. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告は修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  34. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  35. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、国際小麦協定への加入について承認を求めるの件、日程第三、国際労働機関憲章受諾について承認を求めるの件、日程第四、公衆衛生国際事務局に関する議定書受諾することについて承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員長守島伍郎君。     〔守島伍郎君登壇
  36. 守島伍郎

    ○守島伍郎君 ただいま議題と相なりました国際小麦協定への加入について承認を求めるの件に関し、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず本案件の内容について、政府当局の説明に基き、その概要を申し上げます。国際小麦協定は、一九四九年一月二十六日、ワシントンにおける第七回国際小麦会議で成立いたしましたものでありまして、その存続期間は一九五三年七月三十一日までとなつております。また本協定の加盟国は現在までに四十六箇国に上り、また本協定に基いて取引される小麦量は世界小麦取引量の約七割となつております。  本協定の目的は、公正かつ安定した価格で、小麦輸出国には市場を、また小麦輸入国には供給を確保するにあります。わが国といたしましては、毎年百五十万トン以上の小麦を輸入しなければならない実情から見まして、本協定加入により保証された数量の輸入を確保する点及び低廉なる価格による輸入によつて、約七百万ドルないし八百万ドルの外貨の節約が期待できる点において有利であると、政府当局は説明しておるのであります。また政府当局の説明によりますれば、わが国は本協定加入方を一昨年以来努力して来たのであるが、ようやく本年六月の国際小麦理事会において参加が承認され、同時にわが国の保証数量は五十万トンと定められ、またわが国は本年八月一日までに加入書を寄託するという條件が付せられたのであります。しかるに、当時国会閉会中でありましたので、政府はやむなく、七月二十三日、加入書を米国政府に寄託したのでありまして、今日、事後において国会の承認を求めるものであります。  本條約案件は、十月十六日、本委員会に付託せられ、十一月二日、九日及び十日にわたり、本委員会及び外務、農林委員会連合審査会において、愼重に審議いたしました。その質疑応答内容については本委員会会議録に讓ります。  質疑終了後討論に移り、自由党の北澤委員、国民民主党の山本委員、農民協同党の高倉委員及び労働者農民党の黒田委員より賛成の意見、共産党の林委員より反対の意見が述べられました。  討論終結後採決を行い、多数をもつて委員会本案件に承認を與うべきものと議決いたしました。     〔議長退席、副議長着席〕  次に、国際労働機関憲章受諾について承認を求めるの件に関し、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず本條約案件の内容について、政府当局の説明に基き、その概要について申し上げます。国際労働機関は、今次の大戰までは国際連盟の一機関でありましたが、大戰後、国際連盟の解消と前後いたしまして独立の機関となり、かつ国際連合とも協定して、その專門機関となつているのであります。政府は、連合国総司令部を通じ、機会あるごとに本機関加盟方に努力して来たのでありますが、去る六月六日ジユネーヴで開催されました第三十四回労働総会において初めて加盟申請書を提出し得る運びとなつたのであります。そうして同月二十七日の総会は、賛成投票百十七票、反対投票十一票をもつて承認を與えたのであります。なお、現在国際労働機関には六十四箇国が参加しております。  本條約案件は、十月二十五日に本委員会に付託され、十一月二日、七日、九日及び十日、本委員会及び外務、労働委員会連合審査会において愼重審議いたしました。質疑応答内容につきましては本委員会会議録に讓ることといたします。  質疑終了後討論に移り、自由党の北澤委員、国民民主党の山本委員及び労働者農民党の黒田委員より賛成の意見、共産党の林委員より反対意見が述べられました。  討論終結の後採決を行い、その結果、本委員会は多数をもつて本案件を受諾することについて承認すべきものと議決いたした次第でございます。  次に公衆衛生国際事務局に関する議定書受諾することについて承認を求めるの件に関し、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず本條約案件の内容について、政府当局の説明に基き、その概要を申し上げます。公衆衛生国際事務局設置に関するローマ協定は、一九〇七年十二月九日、米・英・仏・伊・露等の十二箇国によつて署名され、その事務局はパリに設置されたのでありますが、わが国は、この協定に一九二四年三月七日に加入したのでございます。本委員会は、公衆衛生、特にコレラ、ペスト、黄熱等に関する事実及び文書並びにこれらの病気を撲滅するためにとつ措置を收集し、締約国に報告することをおもなる任務といたしているのであります。第一次世界大戰後結成されました国際連盟保健委員会の誕生後、本事務局はこれと緊密な連絡をとり、衛生問題に関し協議して来たのであります。一九四五年、国際連合の設立とともに、單一の国際保健機構設置の目的のため、一九四六年六月から七月までにニユーヨークで国際保健会議が開催され、世界保健機関憲章を採択するとともに、七月二十二日、公衆衛生事務局に関する議定書が米・英・仏等関係六十七箇国によつて署名されたのであります。本議定書は、公衆衛生国際事務局に付託された任務を世界保健機関またはその中間委員会に引継ぐこと及び公衆衛生国際事務局設置に関するローマ協定を廃棄すべきこと等を規定したもので、一九四七年十月二十一日に効力を発生しているのであります。国際連合第一回総会第二部は、一九四六年十二月十四日、すべての加盟国に対し、世界保健機関憲章と公衆衛生国際事務局に関する議定書をでき得る限りすみやかに受諾することを要請する決議を採択したのであります。これにより多くの国がこの議定書受諾し、かつこの議定書の條項に基き一九〇七年のローマ協定を廃棄しました結果、現在廃棄していない国は西独とスペインの二国のみでございます。わが国は、ローマ協定第八條に基き、本年八月一日付で廃棄の措置をとつているのであります。右のごとく、ローマ協定廃棄の手続はすでにとられているのでありますが、さらにこの議定書加入して、事務局の清算後、その任務及び機能の保健機関への引継ぎを正式に承認することが手続上必要なのであります。  本條約案件は、十月二十九日に外務委員会に付託されましたので、十一月二日、七日、九日及び十日の本委員会におきまして愼重に審議をいたしました。委員会における質疑応答の詳細につきましては委員会会議録に讓ることといたします。  質疑終了後、討論を省略し、採決の結果、本委員会は全会一致をもつて本案件を受諾することについて承認することに議決いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  37. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。順次これを許します。林百郎君。     〔林百郎君登壇
  38. 林百郎

    ○林百郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になつております国際小麦協定加入することの承認を求むる件について反対の意見を申し述べたいと思うのであります。  第一に、政府は、この国際小麦協定加入することが、あたかもアメリカ側の非常な恩恵によるもののように盛んに宣伝をしているのでありますが、事実ばとんでもないことであります。そもそもこの小麦協定が結成されました歴史を振り返つてみますと、アメリカの小麦は、一九四七年、今から四年ほど前には世界的に食糧が不足しておりまして、それに伴う価格の高騰と、またドル不足によりまして、輸入国がアメリカの小麦を輸入することができず、そのために一ブツシェル三・三四ドルという戰後最高の値段に達したのであります。このとき輸入国が強く希望しまして、どうか国際小麦協定をつくつて、ドル不足の輸入国にアメリカの小麦を輸入してもらいたいという希望を申し述べたのでありますけれども、アメリカ、カナダ、オーストラリアの輸出国が非常な高い値段を申し込んだために、遂にこの国際小麦協定は不成立に終つたのであります。ところが、翌年の一九四八年になりますと、世界の食糧事情はようやく戰前の域に立ちもどつて参りました。小麦を中心とする主要食糧生産高は戰前の水準を突破いたしまして、戰後絶えず上昇を続けて来たアメリカを中心としての小麦の価格は、一九四八年の一月を山といたしまして二月三月には大暴落を演じまして、小麦の生産過剰の傾向がようやく顯著になつて来たのであります。ことにアメリカにおきましては、世界のドル欠乏によつて有効需要が不足いたしまして、一九四八年の一月には、十年間の平均が六百万トンのストツクであつたのが、一躍三倍以上の二千百六十万トンものストツクに増大いたしました。そのために、一九四八年の三月には、前年一ブツシェル三・三四ドルもしたものが、二・四一ドルと、一箇月の間に一ドルもの大暴落を遂げまして、アメリカの穀物取引所が開始して以来二十七年間で最もひどいという暴落を遂げたのであります。このために、アメリカの農民は約二億ドルの損失をこうむりまして、農家の收入は九%の減少を来すような形になりました。アメリカの小麦の値段は、とうもろこしや燕麦よりも安くなるという惨状を呈してしまつたのであります。こういう情勢が続けられまして遂に一九四九年三月、今度は輸出国の方のアメリカ、カナダ、オーストラリアの申入れによりまりして、アメリカのイニシアのもとに、この小麦協定が成立したのであります。  これによつても明らかなことく、決してわれわれはアメリカの恩惠をこうむつているのではなくして、むしろアメリカのあり余つている小麦をどうしてよその国に脚しつけ売りをして自分の国の小麦の値段を維持するかということが、この協定の本質なのであります。(拍手)しかも、この小麦協定による輸出価格は一・八ドルであります。これは戰前の不況時代の〇・五三ドルに比すれば、その三倍以上の値段であります。一ドルならば決して損をしないというアメリカの小麦の値段の二倍もの値段であります。このことは、アメリカが十分利益をとりながら、自分の国で余つている小麦を外国へ輸出しまして、自己の利益をはかろうとしている本体を現わしているのでありまして、われわれは、この意味においても、この協定に賛成することはできないのであります。  第二の問題は、それだけならいいのでありますが、日本政府はこのアメリカの生産過剰の小麦を輸入するためにどうするかというと、日本農民の小麦の生産を破壊する政策を立てているのであります。生産費が米よりも高くつくという小麦について、政府昭和三十六年度には、その対米価比率を、前年に比して小麦八一%を六四%に、大麦七つ%を五四%に下げているのであります。しかも、農家の麦による反当收入は、三十四年度には平均一万四百八十二円だつたのが、二十五年度には八千八百四十七円とだんだん減少しまして、今や小麦のやみ値はマル公を下まわるような状態になつているのであります。このときに対米価比率を切り下げるということは、まつたくこれは日本の米作農家には痛手であつて、このために、静岡、神奈川を初め全国至るところの農民は、麦の減反の方向をたどつているのであります。このことは明らかに日本の小麦の生産を破壊して、日本の人民を飢えさしてその地ならしの上に、外国の高い小麦を補給金のもとに輸入する。これがこの小麦協定に対する日本政府対策であります。  政府は、本年度輸入食糧三百二十万トン、これに要する補給金を二百二十五億円つぎ込んでおるのであります。この食糧輸入の補給金は、農家一戸当り約四千五百円であります。もし七百戸の農家のある村への補給金を割当てますと、日本一つの村へ三百十五万円ずつの補助金をやることができるのであります。この補助金を出すことができるならば、輸入食糧くらいの増産は、日本農民にとつては決して困難ではないのであります。このことは、日本農民のひとしく言明しておるところであります。ところが、農林大臣の答弁によりますと、来年度は、驚くことには、食糧の輸入量はさらに本年度の三百二十万トンから三百六十万トンに増大して、そのために補給金もふやすというのであります。  今や吉田政府の農業政策は、アメリカの過剰小麦をどうして処理するかということが中心でありまして、これはまつたくアメリカの農商務省の日本出張所と同じ役割を日本農林省が果すのであります。このために、政府は麦の統制を撤廃すると言つておるのであります。従来ですら、保護政策によつて初めて立ち行くことのできた日本の麦の生産農家が、すつぱだかにされて国際的なカルテルによつて保護されている外国の高い小麦と、どうして太刀打ちできるでしようか。日本の麦作農家を絞め殺して、その上にアメリカの小麦を輸入すること、これが政府のたくらむ麦の統制撤廃の本体であります。日本の百姓の麦はうんと買いたたいて、生産を減退さして、その上で外国の高い小麦——トン当りにいたしまして、日本の小麦の生産価格よりは、外国のこの協定による小麦ですら千円余り高いのであります。ましてやコマーシヤル・べースで輸入する小麦は、日本の百姓のつくる小麦よりは、トン当り五千円も高いのであります。しかも、これを補給金まで出して、この補給金を日本の百姓から税金まで取立てて輸入しておるのであります。日本の百姓の首をつらせて、その上に足をひつぱるような政策が、これが吉田政府の農業政策なのであります。  問題は、こうした経済的な問題だけで済めばいいのでありますが、一国の主要食糧をまつたく外国に依存するということは、逆にその国の政治的な自主性を外国に売り渡すことになつてしまうのであります。そうして他国に政治的な指導権を握られることになるということが一番寒心にたえない点であります。一国の国民が、もつばら外国から食い物を当てがつてもらうようなことしか考えなくて、どうして政治的に自主性を主張することができるでありましようか。それこそ文字通り外国の保護国となり下ることであります。だからこそ、あるときには、家畜のえさのようなとうもろこしや、はては、あんずや、いものカン詰を押しつけられても、これを恩惠によるものであるかのごとく国民に思い込ませようとするのであります。そんな政策をとつている吉田内閣だから、米の統制撤廃の公約のごときも、ドツジ氏の上陸第一声でふるえ上つてしまつて、池田蔵相の媚態を盡した、たいこ持ち的なサービスにもかかわらず━━━━━━━━ことができなくて、今や閣内ではその責任のなすり合いをして、天下にその醜態をさらしておるのであります。(拍手)食い物の託だけならいい。そのうちには外国の軍隊や軍事基地の提供まで━━━━━━━、はては領土も━━━━━━━、みずから自分の頭の上で破裂する━━━━━━━━━━━━━━━━これを心から歓迎するなどというたわごとを言わざるを得なくなつてしまうのであります。  この協定の背後に大きな政治的條件がつけられていることは、本年インドの大飢饉に際しまして、インドがサンフランシスコ会議に出席を拒否したところが、この協定に基く四十万トンの小麦の提供が、とたんに四万トンに減額されようとしたことによつても明らつかであります。しかし、このときインド政府とつた態度は、日本の吉田━━━政府とつた態度といささか違います。インドは、自国の独立を守るがゆえに、いかに飢えても、かかる政治的條件のついたカナダの小麦——そこでは小麦があり余つて、ぶたや家畜の飼料にまで使われておるのでありますが、この小麦を拒絶したのであります。そしてインドは、これにかわつて、今や新たに中国、ソ同盟と友好的な取引を開始しまして、中国から百万トンの小麦の提供を受けておるのであります。  第四に問題になるのは、この小麦協定にソ同盟が参加していない点であります。このことは、外務委員会における政府の答弁でありますから、よく聞いていただきたい。なぜソ同盟がこの小麦協定に参加しなかつたかといいますと、ソ同盟は、価格の点では何らの異存がなかつたのみか、むしろアメリカよりも低い価格を主張したのであります。しかし問題になつた点は、ソ同盟の方ば輸出希望量として年間七千玉百万ブツシェルを希望したのに、アメリカの意見によつて、このソ同盟の七千五百万ブツシェルの希望が五千万ブツシェルしか輸出割当が来なくて、減少されてしまつたのであります。このように、ソ同盟が七千五百万ブツシエル希望するのに、五千万ブツシェルしか割当がないということになるならば、この協定の主導権は明らかにアメリカが握ることになります。そして、この協定ば、あくまでも資本主義国、ことにアメリカの高級投機家がこの協定の支配権を握つて、それによつて十分独占的な利益を思うままにするためのものであるということで、ソ同盟はこの協定に参加することを拒否してしまつたのであります。  また一方、わが国は何の必要があつて中国、ソ同盟から余つておる小麦の輸入をしなくて、船賃だけでもトン当り五千円、コマーシヤル・ベースを含んでの輸入食糧二百二十万トンは、実に船賃百六十億円以上でありますが、この船賃を出して、どうして遠く六千マイルも離れたアメリカから小麦を輸入しなければならないのでありますか。全面講和を締結するならば、われわれはいつでも、隣の中国やソ同盟から、いくらでも安い小麦の輸入ができるのであります。しかも、そのことは、ひいて日本とアジア諸国との友好関係をあたためることになるのであります。しかも、そのことが、アジアにおける日本の限りない繁栄と独立をかちとることになるのであります。  それに引きかえまして、現在の吉田内閣のとつておる單独講和の結果はどうでありましようみすみす損をしながら、恩に着せられて、あり余つている小麦を高い値段でアメリカから押しつけられておるのであります。そのために、意識的に日本の農業を低麦価政策によつて破壊し、その地ならしの上に輸入を強行しようとしておるのではありませんか。吉田内閣の麦類統制撤廃についての万般の準備ができたということは、実はこのことをさすのであります。今や吉田内閣は、━━━━━農業投機家たちの出先機関であつて日本農民にとつてはまつたく━であります。
  39. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 林君に申し上げます。申合せの時間が過ぎましたから……。
  40. 林百郎

    ○林百郎君(続) 日本農民は、必ずや、かかる反農民的な吉田内閣の存在を一日も許さないでありましよう。国民は今や、わが党が常に指摘して来たように、吉田内閣がいかにもつともらしい顔をしておつても、それは外国の戰争政策や植民地政策をもつともらしくおおい隠すための、いちじくの葉の役割しか果しておらないということを遂に見きわめて来たのであります。おそらく吉田政府の運命が李承晩や蒋介石のそれである日が必ず遠からざるうちに来ることを断言しまして、私の反対討論を終る次第であります。(拍手
  41. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 土井直作君。     〔土井直作君登壇
  42. 土井直作

    ○土井直作君 私は、ただいま議題となりました国際労働機関憲章受諾について承認を求めるの件について、日本社会党を代表いたしまして賛成の意思を表明するものであります。(拍手)  申し上げまするまでもなく、国際労働機関の持つ使命は、その憲章前文にもありまするよう、恒久的な平和は社会主義を基礎とし、労働條件の改善、生活水準の向上をはかつて初めて可能であるといつておるのであります。すなわち、民主主義の基調として、世界人類の福祉と幸福をもたらすために世界の平和を希求し、進んで労働階級の解放と社会正義の確立を期するのであります。  わが国は、以上の趣旨に従いまして、すでに国際労働機関には、一九一九年、すなわち大正八年に加盟しまして、引続いてわが日本からば、政府、使用者、労働者がこの代表を送りまして、毎年会議に参加しておつたのでありまするが、一九三七年、すなわち昭和十二年に開かれましたワシントンにおける纎維工業三部制技術委員会並びにジユネーヴにおいて開かれました会議を最終といたしまして、日本からは完全代表が出なかつたのであります。越えて一九三八年に、わが国からは不完全代表、すなわち政府の代表だけを送りまして、この会議を最終として国際労働機関から脱退をいたしたのであります。  戰後、御承知通り国際関係が復活して参りまするや、政府はこの機関の重要性にかんがみまして、一九四五年、六年、この二回にわたりまして、国際労働機関参加の意思を、それぞれの関係筋をたどりまして申入れたのでありまするが、一九四九年、初めてわが日本からはオブザーヴアーとして参加を許され、さらに一九五一年、本年の六月の第三十四回の会議から、この会議を通じまして、先ほど委員長報告にありましたように、百十七対十一票の差をもつて、わが日本の国際労働機関に復帰することが認められたのであります。しかして、この会議の席上におきまして、各国代表から、特にイギリスの代表から日本政府の代表に対しまして、うわさによれば日本では目下労働三法、ことに労働基準法の改惡をするという意図があるやに聞いているが、これに対する所見いかんということを聞かれたときに、わが政府代表は、そういうことは全然あり得ない、また改惡をするがごとき意図がないということを表明することによりまして、百十七対十一の大多数をもつて加入が認められたのであります。(拍手)  また、私が過般アメリカに参りましたときに、われわれと行をともにいたしました、自由党の領袖的な立場におる、ことに労働問題に対して非常なる薀蓄を持つておりまするところの某氏が、米国の国務省に参りましたときに、アメリカの国務省関係筋から同様な質問がありました。私も幸い同席いたしておりましたが、そのときに某氏は、この労働三法改惡という問題は、目下新聞等に発表されてはおるけれども、少くとも私の関する限り、また日本政府の現在の考え方は、この労働三法を改惡するがごときことは断じてないということを表明されておるのであります。政府はしばしば国民をだますことがありますが、いかに政府が強心臓であり、あるいは無感覚でありましても、国際関係の各諸国に対しましては、これをごまかすがごとき一時的遁辞を弄するがごときことは断じてあり得ないということを、私はかたく信じておるのであります。(拍手)  かかる見地からいたしまして、われわれ自身といたしましては、わが日本の戰後における労働問題、ことに労働階級に対するそれぞれの待遇條件等を見て参りまするならば、ようやく国際的水準に達しつつあるのでありまするが、それは法理的な内容、法文上の問題でありまして、現実の上におきまして、世界の労働階級から比較して、非常なる見劣りのする待遇を今日されておるのであります。われわれが世界平和を希求し、しかしてそれの達成に進みますためには、わが日本における労働階級の地位は、より高く保たれて行かなければならないということは、私が言うまでもないことであります。わが日本有体の将来の発展を期することは、労働階級の決意と勤勉によつてのみ初めて達成し得るのでありまして、これらの人々のために、より国際的な高い水準をもたらそうとするこの会議に対しましては、われわれは心から進んで賛意を表することにやぶさかでないのであります。(拍手)  かかる意味合いにおいて、本案に対しまして、私は社会党を代表して満腔の賛意を表明するものであります。(拍手
  43. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  まず日程第二及び第三を一括して採決いたします。両件は委員長報告通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  44. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両件は委員長報告通り承認するに決しました。  次に日程第四につき採決いたします。本件は委員長報告通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告通り承認するに決しました。(拍手)      ————◇—————
  46. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第五、一般会計歳出財源に充てるための資金運用部特別会計からする繰入金に関する法律案日程第六、米国日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案日程第七、財産税法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員長夏堀源三郎君。     〔夏堀源三郎君登壇
  47. 夏堀源三郎

    ○夏堀源三郎君 ただいま議題となりました一般会計歳出財源に充てるための資金運用部特別会計からする繰入金に関する法律案外二法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず一般会計歳出財源に充てるための資金運用部特別会計からする繰入金に関する法律案について申し上げます。  資金運用部特別会計は、資金運用部特別会計法の規定により、毎年度の決算上剰余を生じました場合には、当分の間その全額一般会計に繰入れることとなつております。しかして、この会計が旧大蔵省預金部特別会計から引継いだ積立金につきましては、現在これを一般会計に繰入れることとなつておりませんが、右の積立金額は現在八億八千八百四十万円余あります。今回この金額を本年度一般会計歳出補正予算財源に充てる必要がありますので、この積立金を一般会計に繰入れることができることとしようとするのがこの法律案趣旨であります。  この法案は、十月二十四日、本委員会に付託せられ、翌二十五日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、本月八日及び九日の両日にわたり審議を重ねました後、昨十二日、討論を省略して採決に入りましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)  次に、米国日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  米国対日援助物資等処理特別会計において取扱つておる軍拂下げ物資の対価につきましては、従来は米国対日援助物資及び援助役務の場合のように、この会計からこれを米国対援助見返資金特別会計へ繰入れることとする規定を欠いていたのでありますが、今回これを見返資金特別会計へ繰入れることとする必要がありますので、これに関する規定を設けようとするものであります。すなわち、軍拂下げ物資について、この会計から見返資金特別会計へ繰入れる金額は、その売拂い代金から、この会計で負担した当該物資に関する諸がかり等を控除した金額といたしておるのであります。  この法案は、十月三十日、本委員会に付託せられ、翌三十一日、政府委員より提案趣旨説明を聽取し、本月八日及び九日の両日にわたり審議を重ねました後、昨十二日、討論を省略して採決に入りましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)  最後に、財産税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  財産税法昭和二十一年十一月二十日施行されましたが、本年十一月十九日後は、財産税については課税を行うことができないことになつているのであります。しかるに、財産税の課税財産のうち賠償指定施設等については今日まで課税を延期して参つたのでありますが、今日においてもなおその帰属が確定しませんので、これらの財産に限り、さらに今後三年間においてその帰属が明らかになつた際に課税し得ることとしているのであります。  この法案は、十月二十四日、本委員会に付託せられ、同日、政府委員より提案趣旨説明を聽取して、質疑に入りましたが、その詳細につきましては速記録に讓ることといたします。  次いで質疑を打切り、昨十二日、討論を省略して採決いたしました結果、本案は原案の通り可決いたしました。以上御報告申し上げます。
  48. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) まず日程第五及び第六の両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  49. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  次に日程第七につき採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  50. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案内閣提出
  51. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  52. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員長小淵光平君。     〔小淵光平君登壇
  54. 小淵光平

    ○小淵光平君 ただいま議題と相なりました、内閣提出農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議の経過及び結果の大要を御報告いたします。  現行の農林漁業組合再建整備法は、去る第十国会におきまして成立を見たのでありますが、爾来資産及び債権が固定化し、また経営が不振に陷つている農林漁業組合に対し本法を適用して、政府並びに組合が一体となつて、鋭意これが再建整備に努めて来たのであります。しかしながら、農林漁業組合再建整備につき十分な効果を上げますためには、現行法にはなお若干不備な点がありますので、今般これら不備な点を補いまして、十分にその目的の達成をはかりますため、本改正法案を提出されたのであります。  今、改正の要点を申し上げますと、二点あります。まずその第一は、欠損金の解消をはかり、赤字のない健全な組合を育成するため、法人税法の繰越し欠損金の控除に関する規定の特例を設けたことであります。この特例の対象となつております欠損金の範囲は、昭和二十五、六両事業年度に生じた欠損金といたし、この欠損金につきましては、従来青色申告をしておられない組合であつても、昭和二十六年度以降青色申告をすれば繰越し控除ができることといたしたのであります。次に増資奨励金は、毎年度の拂込み済み出資金の増加の実績を基礎として算出されますので、その一部は翌年度において交付できるようにしたことであります。  本法案は、去る八日、本委員会に付託せられ、十日、島村農林政務次官より提案理由の説明を聞きました後、同日並びに本日質疑を行いましたところ、自由党河野委員、社会党井上、足鹿両委員、共産党竹村委員の各委員より、再建整備計画の進行状況及び今後の見通しいかん、経営不振の組合に対する監督並びに会計監査をいかにしておるか、再建整備の対象となつていない組合をも含めた農林漁業組合全体を確立すべき基本政策を立てるべきである等の質疑または意見の開陳がなされたのでありますが、詳細は速記録に讓りたいと存じます。  本日質疑を終了し、ただちに討論に移しましたるところ、共産党竹村委員は、農林漁業組合の健全なる育成をはかるための根本的政策を樹立すべきであるとの希望を付して賛意を表されました。  次いで表決を行いましたるところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。  以上をもつて報告を終ります。(拍手
  55. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十二分散会