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1951-11-01 第12回国会 衆議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月一日(木曜日)  議事日程 第十号     午後一時開議  第一 所得税法臨時特例に関する法律案内閣提出)  第二 法人税法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 診療所における同一患者収容時間の制限に関する医療法特例に関する法律案大石武一君外七名提出)  第四 保健婦助産婦看護婦法等の一部を改正する法律案参議院提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  議員請暇の件  日程第一 所得税法臨時特例に関する法律案内閣提出)  日程第二 法人税法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 診療所における同一患者収容時間の制限に関する医療法特例に関する法律案大石武一君外七名提出)  日程第四 保健婦助産婦看護婦法等の一部を改正する法律案参議院提出)     午後一時四十八分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。     〔椎熊三郎君「議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕
  3. 林讓治

    議長林讓治君) 議事進行の発言を椎熊君より申出がありますが、内容がわかりませんから、適当の機会にこれを許します。      ————◇—————
  4. 林讓治

    議長林讓治君) お諮りいたします。犬養健君から、渡米のため十一月一日から今会期中請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ————◇—————
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、所得税法臨時特例に関する法律案日程第二、法人税法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員長夏堀源三郎君。     〔夏堀源三郎登壇
  7. 夏堀源三郎

    夏堀源三郎君 ただいま議題となりました所得税法臨時特例に関する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  これらの法律案提案趣旨は、政府説明によれば、わが国経済朝鮮動乱国際情勢との影響をきわめて強く受けるに至り、一方においては生計費増嵩を通じて国民生活影響を及ぼしたるとともに、地方においては法人収益の異常な上昇を来した等、租税負担の配分上考慮すべき問題を生ずるに至つたのにかんがみ、また本年度租税その他の歳入において、当初予算に比し相当多額に達する自然増収が見込まれることを考慮し、所得税軽減合理化を行うとともに、法人税につき若干の増徴を行おうとするものであります。  まず所得税法臨時特例に関する法律案について、その大要を申し上げます。この法律案は、所得税に関し昭和二十六年度特例を定めんとするものであります。すなわち、給與所得者に対する源泉徴収については、本年十一月一日以降本年度において支給される給與については改正後の控除税率によることとし、八月から十月までの間の源泉徴収額の過納額は本年の年末調整において調整すること乏しております。また申告納税所得者については、本年度分基礎控除を三万八千円に、扶養控除扶養親族三人まで一人につき一万七千円にそれぞれ引上げるとともに、税額計算は、本年八月にさかのぼつて改正税率を適用したものとして作成した簡易税額表によるものといたしております。この特例は、これを年間に換算してみるときは、基礎控除につきましては現行三万円を五万円に引上げ扶養控除につきましては、現在扶養親族一人につき一率に一万五千円となつておりますのを、扶養親族三人までは一人につき二万円に引上げたるものに相当するのであり、税率につきましては、現行税率適用上の階級区分の刻みをゆるやかにし、八万円以下百分の二十より漸次逓増して、最高二百万円を越える金額百分の五十五と改めたるものに相当するのであります。なお不具者控除老年者控除寡婦控除及び勤労学生控除につきましては、現在一万五千円を所得から控除することとしておるのでありますが、今回その性質及び税額計算上の便宜を考慮してこれを税額控除に改め、年四千円を税額から控除することといたそうとするものであります。  次に退職所得につきましては、さらに今回その税負担軽減課税簡素化をはかるため、昭和二十七年一月一日以後支給される退職所得については地の所得と総合せず、分別して課税し、その収入金額から十五万円を控除したあとの金額総額課税所得として一般の税率を適用することとしようとするものであります。なお本年中に支給される退職所得に対しては、平均課税の方式はそのままといたしますが一控除金額を十分の一・五から十分の三に引上げ経過的に負担の緩和をはかることといたそうとするものであります。  次に、昭和二十七年一月一日以後支拂いの確定する配当所得については、新たに百分の二十の税率により源泉徴収を行うことといたそうとするものであります。  次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。最近における法人収益状況個人負担との関係等を考慮して若干の増徴をはかるとともに、法人税の円滑な納付に資するために徴収猶予制度を設ける等の改正を行うのが、本法律案内容であります。  まず税率につきましては、普通法人については現行百分の三十五を二割方引上げて百分の四十二とし、昭和二十七年一月一日以後終了する事業年度分法人税から適用することとし、協同組合等特殊法人及び公益法人収益事業に対する税率につきましては、その実情にかんがみ、現行税率通りにすえ置くことといたしております。  次に、新たに徴収猶予制度を設けようというのであります。すなわち、現在法人税納期限事業年度終了後二月以内となつておるのを、最近の金融及び取引の実情にかんがみ、法人税額半額につき、現行納期限からさらに三月以内を限つて、申請によりその徴収を猶予しようというのであります。  以上、二法案につきましてその大要を御説明申し上げましたが、これらの改正措置によりまして、政府説明によれば、所得税においては、源泉徴収所得税で三百六億八千三百万円、申告納税所得税で百億八千九百万円、合計四百七億七千二百万円の減収を生ずる見込みであり、法人税においては二億六千二百万円の増収となる見込みでありまして、差引四百五億一千万円の減税となるのであります。  十月二十四日、この二法律案大蔵委員会に付託されまして、まず政府委員より提案趣旨説明を聴取し、次いで数回にわたり委員会を開き、大蔵大臣及び政府委員に対して質疑を行いました。また特に法人税法の一部改正案に関しましては、十月三十一日、参考人を招いて意見を聴取しました。この間の経過の詳細は速記録に譲ることにいたします。  次いで、質疑を打切り、討論に入りました。まず法人税法の一部を改正する法律案については、島村委員自由党を代表して賛成の意を述べられ、宮腰委員民主党を代表して希望條件を付して賛成の意を述べられ、松尾委員日本社会党を代表して反対の意を述べられ、深澤委員共産党を代表して反対の意を述べられ、上林委員日本社会党二十三控室を代表して反対旨討論をされました。  次いで、ただちに採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案通り可決すべきものと決しました。  次に所得税法臨時特例に関する法律案について、島村委員自由党を代表して賛成の意を述べられ、宮腰委員民主党を代表して希望條件を付して賛成の意を述べられ、松尾委員日本社会党を代表して、希望條件を付して賛成せられ、深澤委員共産党を代表して反対の意を述べられ、上林委員日本社会党二十三控室を代表して賛成の意を述べ、ただちに採決に入りましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。  以上御報告申し上げます。(拍手)  〔発言する者あり〕
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 大蔵大臣渉外関係の用務のため出席いたしかねております。討論の通告があります。これを許します。松尾トシ子君。     〔松尾トシ子登壇
  9. 松尾トシ子

    松尾トシ子君 私は、ただいま上程されております税の二法案に対しまして、社会党を代表して、所得税法臨時特例に関する法律案に対しては條件付賛成法人税法の一部を改正する法律案に対しましては反対をいたすものであります。(拍手)  補正予算算を拝見いたしますると、本年度に関する限りは減税財源が思いのほかたくさん発見されましたので、政府が公約の減税を実行なさることについて賛成をいたします。けれども、朝鮮事変後九箇月の間に物価が五〇%上昇しているにもかかわらず、勤労生活者収入面は二五%ぐらいに打切られている現状であります。農民も同様でありますし、特に個人で小さな企業を営んでいる者にとりましては、この程度の減税では過少だと言いたいのであります。政府主食値上げし、電力料金鉄道運賃通信料等々の値上げまで断行いたしている現在、国民負担の加重を減税によつて十分にカバーする必要があると強調いたすものであります。言いかえますと、収入が諸物価に見合つていないということが言えるのであります。政府はまたインフレーションをいささかおそれていらつしやる御様子でありますが、勤労者農民個人小企業者支出面からインフレを促進するようなことは絶対ないと信じておりますので、控除額は、来る通常国会においては倍額ぐらいまでに増額をしたらいかがかと希望するものであります。これの裏づけといたしましては、これに見合うものは法人収益で十分にカバーできるのではないかと私は申し上げたいのであります。けれども、日本社会党としては、限りたく賃金物価のいたちごつこを希望しているものではありません。講和をよい転機として完全な物価体系の樹立をなさつて、どうかこのような悪循環を断ち切つていただきたいことを希望して、この法案に対しては賛成をいたします。次に法人税反対理由を簡単に申し上げますと、これも朝鮮動乱影響を受けて、大会社や大銀行が莫大な収益をあげていることは、昨十月三十一日、大蔵省が国会提出した資料によつて明らかにされております。それによりますと、社内留保総額は、二十四年度においては四百三十五億円、二十五年度においては一千五百二億円に比べ、二十六年度は三千五百九十二億円に上昇しており、また拂込資本金に対する配当金の割合は、二十四年度がわずかに二・九%であつたのに対し、二十六年度は一七%にはね上つているのでございます。他方銀行収益率は、二十六年の九月末決算では四二・八%に達し、昭和十二年六月末に比べますと三・六五倍に達しているのでございます。また七月末の税収実績を見ましても、法人税収入は抜群の成績を示し、その収入歩合というものは実に八七・五%の高率を示しているのであります。このような状況にありまして、法人税率引上げること自体は当然というべきでありますが、問題はその引上げ方にあると思うのであります。会社、銀行収益高率は、大企業資本蓄積の好調を示すもりでありまして、中小以下の法人の苦しい内幕はこれに入れられていないと思うのであります。しかしながら、現在問題になつている中小企業協同組合に対する課税を初め、これら中小企業の最も大きな頭痛の種が税金にあることは、天下周知の事実であります。かような状況においては、一率に四二%までの税引上げに対しましては、一方的に大企業負担を軽くせしめ、他方中小企業に対する負担を加重するものだと私たちは言いたいのであります。わが党は、中小企業に対する税率現行のままにとどめて、しかも大企業の税に対する調定を厳格にいたし、超過利得税を設置いたしまして税負担の公平をはかるべきだと主張いたすものであります。このような事情によりまして、法人税法の一部改正案に対しては反対をいたすものでございます。(拍手
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 深澤義守君。     〔深澤義守登壇
  11. 深澤義守

    深澤義守君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程になりました二つ法律案に対して反対するものであります。  第一に、所得税関係であります。池田大蔵大臣は、世界的標準減税であると豪語しております。ところが、この吉田内閣減税政策に対しまして、先日来朝いたしましたドツジ氏は、世界情勢に逆行するものであると、これを指摘しているのであります。これは、米英を先頭とするところの西欧帝国主義陣営が、第三次世界戦争準備のために必死になつて軍備の大拡張をやつておる。そのために国民増税を強制しております。この西欧陣営に仲間入りをいたしました日本減税をやるのは世界情勢に逆行しているのではないか、この世界的標準にならえとドツジ氏は指摘していると、われわれは解釈するのであります。  また一方、平和條約と日米安全保障條約に調印した結果といたしまして、米軍駐屯費や、あるいは日本の再軍備費賠償費連合国財産補償費援助費の返済、あるいは外債の支拂い等、莫大なる国民負担が予定されております。日本の権威ある幾つかの経済雑誌の論調を見ますれば、増税赤字公債かの二つ以外に道はないと指摘しているのであります。これが戦争隷属の條約に調印し、またこれを批准せんとする結果として当然たどるべき日本の運命であると、われわれ考えるのであります。     〔議長退席、副議長着席〕 このような国際帝国主義の要請を無視して、吉田内閣がはたして実質上の減税ができるかどうかという問題であります。本法案は、多少基礎控除並びに扶養控除引上げ、また多少の税率を引下げております。この税法上、形式上の減税措置をやつたといたしましても、それで日本国民の当面しておるところの重税問題を何ら緩和するものではないのであります。(拍手)  爾来、帝国主義者というのは、常套手段として、戦争という恐るべき毒薬を飲ませるために、常に美しい平和のオブラートを使うのであります。これと同じ手口で、吉田内閣は、重税という毒物を隠蔽するために減税というオブラートを使つているのだと、われわれは指摘せざるを得ないのであります。  税金が高いか安いかは、税法上今までよりも基礎控除あるいは扶養控除が多少引上げられた、あるいは税率は多小の引下げが行われた、これが標準ではないのであります。国民生活実情税負担に耐え得るかどうかが問題であるとわれわれは考えるのであります。現在の日本国民生活実情は、朝鮮事変以来五〇%の物価の値上りに苦しんでおります。政府主食値上げし、電燈料あるいは電力料金値上げし、ガス、運賃郵便料金値上げを断行して、全日本労働者農民中小企業並びに中和産業は、今破滅的な苦しみをしているのであります。  過去二年間、吉田内閣は、減税政策を大看板にして来ました。しかし、この吉田内閣の政治のもとで、重税のために国民が転業し、廃業をし、さらに一家心中までしなければならないという事態がいかに多く起つたかということであります。これこそが、吉田内閣の欺瞞的な減税政策に対する国民の身をもつての抗議であると、われわれは断ずるのであります。(拍手)この国民生活の塗炭の苦しみに対して、吉田内閣は、徴税官吏に対して過重労働を強制するのみでなく、数千人の臨時雇いを入れまして、差押え、公売等を容赦なく強行しております。  東京隅田税務署におきましては、最近明らかになつたのでありまするが、税務署長国税徴収法改正を全然知らない。そのために、国税徴収法改正によつて差押え禁止物件になつている、零細な菓子製造業者の唯一のモーターや機械や器具を差押えしているという事実があるのであります。さらに、差押え調書にないところの物件公売のために引上げたという事実すらあるのであります。なお先般の大蔵委員会におきまして、自由党有田委員が指摘されていることごとく、天くだり申告所得の強要が行われております。脅迫的な暴言が行われて、重税を強要しているのであります。このような事案は、全国に枚挙にいとまのないほどあるのであります。これが吉田内閣減税政策の実体であると、われわれは指摘しなければなりません。  政府は、税法上の減税行つたと同じその手で、すぐ必ずそれを償うのになお余りあるところの所得水増しをやるというのが常習であります。そうして予算外自然増収収奪をやるのであります。大蔵当局のいうところのこの自然増収の中にこそは国民の血と涙がにじんでいるといことを、われわれは警告しなければなりません。吉田内閣税法上の減税をやればやるほど、所得水増しという伝家の宝刀にものをいわせて、国民の心胆を寒からしめるようなことになるでありましよう。わが党は本法案によつて行われるところのこの吉田内閣税法上の減税という欺購に対して徹底的に反対し、彼らが帝国主義者の忠実なる収奪者であることを指摘しなければなりません。  第二に法人税についてでありますが、今般の改正は、税率を三五%から四二%に引上げるところの増税案であります。その根拠は、朝鮮事変によつて法人所得が著しく増大したということでありますが、この朝鮮事変か慈雨のごとく喜んでドルの恩恵に浴したものは、わずかな大企業軍需産業のみでありました。平和産業中小法人企業は、政府の金融引締めのために金詰まり苦しみ政府中共貿易禁止や、あるいは高い原材料の輸入によりて、原料高製品安という状態で、破滅的な状態になつております。しかるに、この事実を無視して、一律に法人税率引上げを行うということは、中和産業中小法人企業を死地に追い込むものであります。  われわれは、特需によるところの利益者に対しましては、法人税率引上げどころか、戦時利得税的な特別税を設けて徴収すべきものであると主張するのであります。しかし、中和産業中小企業法人に対しましては、累進税率をもつて保護すべきであるということを主張いたします。それを今般の改正によりまして、法人に対して三箇月の徴税猶予を行う、あるいは退職手当積立金を損金に認めて非課税とする、あるいは特殊の機械船舶等取得価格半額特別償却として非課税上するという問題さらに今政府が立案しつつあるところの、たなおろし資産の価格変動準備金制度を設けて減税をしようとしておるのでありますが、この恩恵に浴するものは、ことごとく大企業軍需産業のみであります。従つて法人税率引上げは、大企業にとつては、いろいろな非課税減税措置によつて法人税率が多少引上げられましてもそれをカバーし得るになお余りある処置が講ぜられているのであります。平和産業中小企業法人のみ犠牲になつて行くということがこの法案の結果として起つて来るのでありまして、われわれは、このような法人税改正に対しましては絶対に反対せざるを得ないのであります。  この二つ法案は、一つ減税であり、一つ増税でございます。しかしながら、一貫するものは、ただ一つのものであります。それは、日本西欧軍備拡張の中に投入せられまして、日米経済協力の各で一部の大企業軍需産業を育成して、これにわずかの利益を與えつつ、全日本産業国民を植民地的な搾取と隷属状態に置くことがねらいであることは、いうまでもございません。このような法案に対して、わが党は断じて反対するものであります。(拍手
  12. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 上林與市郎君。     〔上林與市郎登壇
  13. 上林與市郎

    上林與市郎君 私は、日本社会党二十三控室を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法臨時特例に関する法律案には賛成し、法人税法の一部を改正する法律案反対せんとするものであります。  この法人税法改正反対する理由は、政府昭和二十七年月一日以後終了する事業年度分から税率を二割引上げ現行百分の三十五を百分の四十二に改正しようとしておりますが、われわれはこれに反対するものであります。反対理由の第一点は、税率二割の引上げが少きに過ぎることであります。第二の点は、昭和二十七年一月一日以後終了する事業年度分からにしていることの不合理性であります。  そもそも法人所得は、大蔵大臣もしばしば自慢されている通りに、最近非常に増加しております。すなわち、昭和二十四年度は一千六百四十億のものが、昭和二十六年度には四千四百六十億に増加するという、実に三倍近くの激増が予想されるのであります日本経済が繁栄し、日本経済の前途明るしとする大蔵大臣楽観論根拠一つがここにあることは、皆さんの御承知の通りであります。しかし、この法人所得激増の反面には、労働者俸給生活者が低賃金、低給與のために悩む、農民が農業の再生産を確保し、経営と生活を保持するに足る収入を保障されていないばかりでなく、中小企業が大企業、大法人のために破滅に追い込められつつあることがひそんでおる事実を見のがすわけには行きません。従つて、非常な繁栄を誇りつつある法人は、さらに租税負担能力と余裕を持つものでありますから、この点からいつて法人に対してはさらに高率引上げをなすべきことが至当であると存じます。この点に積極的な態度を示さないために、世界の輿論からは、世界的増税の傾向に逆行するものとの非難すらこうむることになるのであります。  ことに、明年一月一日以後終了する事業年度分から引上げを実施するということは、少くとも実際には今年は引上げをやらないと同じことになるのでありまして、このことは、事実今年度はわずかに二億六千二百万円の増税をやるにすぎない結果となつているのを見ても明らかであります。少くとも所得税法改正と時期を合して本年八月から実施することが至当と考えるものであります。そうなれば、日本法人の大部分が九月を事業年度期としておるのでありますから、この期の分から増徴されることになるのであります。法人所得が最もふえると思われる本年の九月期を逸することは、形式だけ増税の体裁をつくろつて、実際は徴収しないという、あくどい欺瞞政策といわざるを得ないのであります。担税能力のある法人からは多く徴収して、最低生活すら保障されていない低額所得者層減税をさらに大幅にして、その財源をまわすことがわれわれの主張であります。  以上述べました理由によりまして、われわれはこの法案反対するものであります。(拍手
  14. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。まず日程第一につき採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。次に日程第二につき採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  16. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  17. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第三、診療所における同一患者収容時間の制限に関する医療法特例に関する法律案日程第四、保健婦助産婦看護婦法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員大石武一君。     〔大石武一登壇
  18. 大石武一

    大石武一君 ただいま議題となりました、診療所における同一患者収容時間の制限に関する医療法特例に関する法律案並びに保健婦助産婦看護婦法等の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審査の経過並びに結果について申し上げます。  まず診療所における同一患者収容時間の制限に関する医療法特例に関する法律案について申し上げます。医療法第十三條におきましては診療所管理者は原則としては同一患者を四十八時間を越えて収容してはならないこととしておるのであります。ただ、医療法の附則第七十九條第四項によつて医療法施行の際に存在していた診療所については、医療法施行の日から三年間は第十三條の規定によらないことができたのでありますが、昭和二十六年十月二十六日をもつて、三年の猶予期間が終了するのであります。しかしながら、病院の普及状況が十分でない現状におきまして、今ただちに第十三條を適用いたしますれば、診療上著しい支障を来すおそれがありますので、診療所における患者収容時間制限に関する医療法特例を設け、この法律施行の日から三年間は医療法第十三條の規定によらないことができることといたしたとともに診療所管理者は、診療上やむを得ない事情がある場合を除いては、同一の患者を四十八時間を越えて収容しないように努めなければならないことといたしたのであります。以上が、本案提出理由並びに内容のおもなるものであります。  本法律案は、十月三十日、本委員会に付託せられ、同月三十一日、提出者大石議員より提案理由を聴取した後、ただちに審査に入り、討論を省略して採決に入りましたところ、本案は全会一致をもつて原案通り可決すべきものと決した次第であります。  次に、保健婦助産婦看護婦法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案内容について御説明申し上げますれば、第一に、旧保健婦規則、旧看護婦規則または旧助産婦規則によつて免許または登録を受けておりました保健婦、看護婦または助産婦は、現行法の附則による厚生大臣の定める講習を受けた看護婦を除いては、いずれも現行法の本則による国家試験を受けなければ、現行法による保健婦、助産婦または看護婦と同様の身分をそれぞれ取得することができなかつたのでありますが、いわゆる旧規則による既得権者につきましては、それぞれ国家試験を免除して現行法による免許を與えることができることといたしたりであります。  第二に、外地において保健婦養成所または助産婦講習所を卒業した者、助産婦免許を得ていた者、看護婦免許を受けていた者等に対して、内地においてもなお就業のできるように、都道府県知事がその履歴を審査して適当と認めた場合には、それぞれの旧規則による免許を與え、または登録する道を開いたことであります。  その他学校の指定、養成所に関する事項につきまして、省令委任の根拠規定を整備するとともに、右の改正に伴う條文の整理を行う等必要な改正を行うことといたしたのであります。  本法案は、十月三十日、本委員会に付託せられ、同月三十一日、提案者、参議院議員井上なつゑ君より提案理由説明を聴取し、委員と提案者、政府当局との間に熱心なる質疑応答を行つた後、討論を省略して採決に入りましたところ、本法案は全会一致をもつて可決すべきものと決した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  19. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めますよつて両案は委員長報告通り可決いたしました。本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十二分散会