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1951-10-30 第12回国会 衆議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月三十日(火曜日)  議事日程 第九号     午後一時開議  第一 日本国憲法八條規定による議決案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 日本国憲法八條規定による議決案内閣提出)  中共東南アジア及び近東貿易に関する緊急質問宮腰喜助提出)  電力危機に関する緊急質問加藤鐐造君提出)     午後二時十分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————  第一 日本国憲法八條規定による議決案内閣提出
  3. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、日本国憲法八條規定による議決案議題といたします。委員長報告を求めます。内閣委員会理事青木正君。     〔青木正登壇
  4. 青木正

    青木正君 ただいま議題となりました日本国憲法八條規定による議決案について内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案の要旨は、貞明皇后から受継がれる御遺金を救らい事業の資に充てるために、皇室は、皇室経済法施行法第三條及び第五條に規定されているもののほか金二百万円を昭和二十七年三月末までの間において賜與することができることとするものであります。  本案は、十月十九日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、十月二十七日、討論省略、採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  中共東南アジア及び近東貿易に  関する緊急質問宮腰喜助提出
  7. 倉石忠雄

    倉石忠雄君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、宮腰喜助提出中共東南アジア及び近東貿易に関する緊急質問をこの際許可されんことを望みます。
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 倉石君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  中共東南アジア及び近東貿易に関する緊急質問を許可いたします。宮腰喜助君。     〔宮腰喜助登壇
  10. 宮腰喜助

    宮腰喜助君 私は、民主党を代表いたしまして、わが国貿易問題に宿命的要素を占めております東南アジア貿易並びに中国貿易につき、政府施策を率直にお伺いいたしたいと思うのであります。  由来、わが国対外貿易の過半は歴史的にアジア諸国に依存しておりまして、日本経済再建のための不可避的な要請は依然としてアジア諸国との経済交流にあるということは、各界有識者の常識であります。特に中国との貿易は、経済同友会の資料によりますると、日華事変勃発の年である昭和十二年においてすら、日本貿易総額中において、輸出面においては四三・七%、輸入面においては二九・八%を占めておつたのであります。特にその間の貿易差額は常に多大の輸出超過を示し、わが国がこれら以外の地域からする輸入超過をカバーしておつたのであります。その後戰時体制の進展につれて、わが国中国との相互依存性はさらに急角度に高まつて行き、経済的にも一つブロツクをなすまでに発展し来つたのであります。それが昨年度におきましてはいかがでありましようか。中国全土中共が支配することになりましたとはいえ、昨年度における中国貿易は、輸出面におきましてはわずかに貿易総額の二・四%、輸入面におきましてはわずかに四・一%というさんたんたる現況であります。  吉田総理は、公開の席上において、しばしば中国との貿易に依存せずに日本経済は自立して行けると言明し、そのかわり東南アジア貿易を強調しておるのでありますが、現在も近い将来もあまり有望を期待されない東南アジア貿易のみを強調して、中国との貿易故意に過小評価し、国民の目をごまかそうとしておるのであります。たとえば現在における鉄鋼の高価格も、中国より強粘結炭鉄鉱石輸入をはかれば、ただちに解決するはずであります。私は、総理並びに通産大臣に対し、中国貿易わが国経済における比重をいかにお考えになつておるかをお伺いいたしたいのであります。  次に、昨日総理は、参議院におきまして、中共が望むならば、イデオロギーを離れて上海に在外事務所を設置する旨を言明しておりますが、一歩進んで中共全面的通商交渉を行う意思があるかいなか、お伺いしたいのであります。  次に、東南アジア諸国が対日貿易についてどんな態度をとつているかと申しますと、これまた政府の楽観するような事態は望めないのであります。すなわち、今春アジア極東経済会議出席した通産省鉄鋼局の三井君の、鉄鋼連盟主催帰朝講演会における講演によれば、きわめて悲観的であります。たとえば、同会議産業貿易委員会において、東南アジア各国代表は、対日貿易について次のように述べております。ビルマ代表は、日本の商品はカタログと違つたり、契約後値上をしたり、信用が持てないと言つております。インドネシア代表は、中国貿易が停止されていては、アジア日本との貿易振興など議論しても的はずれだと述べております。インド代表は、日本生産資材は品質や規格の点でまだ親しまれていない、しかし一番障害になつている点は、日本通商上軟貨圏にあることだ、またパキスタン代表は、日本は外貨の関係でときどき買付を修正して困る、貿易協定をもつと彈力性あるものにしてほしいと述べております。英国代表は、日本に対する債務を負うことはアジアは警戒せなければならぬ、日本はすでに原材料不足と高価格に悩んでいるから、資本財輸出は当てにならぬ、またフランス代表は、日本アジア経済関係故意に強化することは一種のブロツク形成で、経済自由の原則に反すると言明しております。  以上のようなきわめて冷淡な雰囲気の中で、この産業貿易委員会において対日貿易は葬られてしまつたのであります。これは日本製品の評判がきわめて悪いことに基因するとのことであります。一番大きな原因値段が高いことであります。産業機械などは、ドイツより七割高であります。鋼材ども、ベルギーよりも二、三割高く、その上受渡し期間も三箇月も長いということであります。  輸入の面においても、政府が期待しているくず鉄も、東南アジア諸国からはほとんど望みがなく、特に統制撤廃を控えての米の輸入も、タイ、ビルマ仏印連合においてまつた輸出余力のないことが言われております。一方中国からは、亜鉛鉄板建築用鋼材など軍需物資でないものと製鉄原料とのバーターを要望して来ております。また石炭硫安との交換、米と硫安との交換亜鉛鉄板や薄鉄板と米との交換等の要望も続々来ているのであります。もちろん、価格は最も低廉であります。たとえば米にしましても、トン百二十五ドルから百三十ドルくらいであります。また現在わが国では、亜鉛鉄板や薄鉄板輸出不振のため滯価が多く、やむを得ず半製品で、きわめて安く濠州や南米に輸出している現状であります。紡績機械も、東南アジアには値段の点で売れません。明年は大幅な生産制限危機が予想されております。  かかる憂うべき現況を一挙に打開する中国貿易全面的振興を、政府はいかなる方法で、いつより実施するつもりであるか、あるいはまた何らかの対策があるならば聞かしていただきたいのであります。繰返して述べますが、要は東南アジア貿易振興のためにも、安い原材料入手できる中国との貿易を復活しなくては不可能であります。もし政府中共貿易現状のごとく放置して、東南アジア貿易のみの振興をはかるということであるならば、その見通し並びに具体的施策を示していただきたいのであります。私は中共貿易東南アジア貿易とは不可分の関係にあることを強調するものであります。政府の両貿易に対する見通し並びに具体的施策の開陳を望むのであります。  以上で終ります。(拍手)     〔国務大臣高橋龍太郎登壇
  11. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) まず中共貿易についてお答えいたします。中共貿易については国連協力の範囲内で行うよりほかないと思うのでありますが、私も中共貿易が盛んになることは非常に希望しております。ところで、実際現状を申し上げますと、中共はやはり鉄とか機械とかいうものを実際に希望しておるのであります。そしてまた昨年までは、あちらから輸出をして、そのあとで日本から輸出をするという形式でやつてつたのでありますが、近来は中共の方から輸入先行形式を主張しておるのであります。そういう状態では、あまり増進する期待が持てないと、非常に遺憾に考えております。  次に東南アジア貿易についてでありますが、いろいろただいま御指摘になりましたような点もあると私は考えます。これは日本貿易増進のために非常に考えなくてはいかぬ問題だと思うのであります。しかしまた、一面にいい面も私どもの耳に入るのであります。プラント輸出計画通り進んでおりませんのは、いろいろ調査団など出して報告を聞きますと、やはり価格が高いとか何とかいう面があります。これはどうしても下げるように指導して行かないといけませんが、他面にやはり、これらの国々にもドルが不足しておるわけであります。ただしかし、この東南アジアヘの輸出というものは、決して計画を上まわつておるのではありません。今月に入りましても相当引台いがありまして、今の十三億幾らというものは、十分輸出ができる見通しであります。  なお近東貿易について御質問がありましたが、これらの関係は、御承知通りイラン、イラクからは主として大麦を輸入しておるのであります。またこれに対しては繊維品陶磁器等雑貨類輸出しており、アラビアの方からは石油を輸入しておるのでありますが、これらの国は現在では非協定国でありますので、なるべくすみやかに協定を進めたいと考えております。(拍手)      ————◇—————  電力危機に関する緊急質問加藤鐐造君提出
  12. 倉石忠雄

    倉石忠雄君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、加藤鐐造君提出電力危機に関する緊急質問をこの際許可されんことを望みます。
  13. 林讓治

    議長林讓治君) 倉石君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  電力危機に関する緊急質問を許可いたします。加藤鐐造君。     〔加藤鐐造君登壇
  15. 加藤鐐造

    加藤鐐造君 私は、日本社会党を代表いたしまして、電力危機に対して政府対策所見等をお伺いいたしたいと存ずるのでございますが、本日総理大臣が御出席にならないことは、私ははなはだ遺憾に存ずるのでございます。電力の重大なる危機に臨みまして、政府がいかなる対策を持つておるかということについて、総理大臣見解を承つておかなければならないと存ずるのでありまするが、本日御出席がないということでございますから、所管大臣からできるだけ明確な御答弁をお願いいたしたいと存ずるのでございます。質問の時間が制限されておりますから、質問はきわめて簡單にいたしまするが、御答弁は明確にお願いいたしたいと存じます。  十一年ぶりと言われます電力危機は、ルース台風によりまして一応切り抜けたのでありますが、しかし台風が去りまして、危機はまた元の状態帰つたのであります。台風はたびたび来るものではございません。危機はますます深刻になるのでありますが、これでは、わが国自立経済前途暗澹たるものを感ぜざるを得ないのでございます。産業はまさに破滅の寸前にありといつても過言ではないと私は思うのでございます。(拍手)そして、この危機を招いた責任はまつた吉田内閣にあるといわなければならないのでございます。(拍手)  われわれは、いまだかつてこの国会におきまして、自立経済の基本でありますところの電力拡充の問題につきまして、一度も政府からその根本対策を聞いたことがないのでございます。(拍手)まつた無為無策のままに放任されておつたのであります。しかも高橋通産大臣は、過日新聞記者に語りまして、電力危機はまつた電力会社の無能と怠慢の結果であるというようなことを、人ごとのような口吻で述べられておつたのを、私は新聞紙上で見たのでありますが、無能と怠慢の責任はむしろ政府にあるといわけなければならないのであります。(拍手高橋通産大臣にもし責任感がありまするならば、みずから引責辞職をすべきではないかと私は考えるのであります。(拍手)  政府は、さきに無理な九分断を強行したときに、その目的は豊富低廉な電力供給するにありと言明したのでありますが、その結果、各社間の融通はなはだ不円滑となり、電源開発設備の補修は遅滯して、今日の収拾すべからざるところの混乱を招いたのでございます。その原因の第一は、無力にして、しかも電力会社利潤追求にのみ奉仕するところの公益事業委員会政府がつくつたことにあると思うのであります。第二は、吉田内閣の十九世紀的な自由放任経済政策の無為・無計画性にあると思うのであります。  公益事業委員会は、事実上松永安左ヱ門氏の独裁であります。五人の委員の中で、電力に直接経験があり、具体的な体験と知識を持つた者は松永氏一人でありまして、電力界の大ボスといわれるところの松永氏の独裁になるのは必然であります。この委員会のやつたことは、不合理な九分断と、不当な料金値上げのみであります。九分断値上げの第一の理由と思われるのは外資の導入ということでありましたが、それが今日はもはや一片の夢と化しておるのであります。しかも、有力な金融関係者委員の中におりながら、資金の獲得は全然できないありさまであります。各社間の融通についても、融通命令一つ出せないという状態であります。松永氏は、過日の通産委員会で、各社に頭を下げて頼んで歩いておるという答弁をされましたが、何と権威のない公益事業委員会ではないかと考えざるを得ないのであります。(拍手)  そこで電力対策として、まずわれわれは応急対策考えなければならない、それから恒久対策についても考えなければなりませんが、私は応急対策として第一にお伺いしたいことは、消費規正に伴うところの割当の問題であります。割当方法は今日実績主義によつておられますために、最近の産業構造の変化に伴うところの彈力性を考慮しておられないのであります。その結果、産業界ははなはだしい混乱状態になつておることは、今日われわれが目前に見るところであります。この点については、産業構造にマッチするために、割当の権限を今日のように政府と何ら連絡のない公益事業委員会にまかせておかないで、総合企画庁たる安本にゆだねるべきではないかと私は思うのでありますが、その点についての政府見解をお伺いしたいと思うのであります。  これについて、最近はなはだしい消費規正のために、半分くらいしか稼働のできない工場が続出いたしておりまして、労働賃金の遅配が随所に起つておるのでありますが、この労働不安は日を追うて拡大しつつあるのであります。政府はこの重大なるところの社会問題をいたずらに放置しておかれるつもりであるかどうか、これは労働大臣にお伺いいたしたいのであります。  第二にお伺いしたいことは、公益事業委員は今日おいでになつておられないようでありまするから、これは所管大臣から適当に御答弁願いたいと思うのでありまするが、公益事業委員会はなぜ融通命令を出さないかということでございます。時間の関係で具体的な事例を申し上げませんが、電力各社利潤追求を第一に考えておりますために、地域によつてはなはだ不公平な供給が行われておりますことは、公知の事実であります。委員会はなぜ單なる勧告のみによつて一時を糊塗しておられるのか、なぜ融通命令を出さないのか、この間の事情について、政府においておわかりになりましたら御答弁を願いたいのであります。  第三は石炭入手方法についてでありまするが、日発以来、中小炭鉱にのみ依存しておるということの結果、今日石炭需要がはなはだしく増加したために、価格は上る、品位は下る、いまさら大手筋に頼むわけにも行かない、大手筋も相手にしない、こういうことで今日の窮地に陷つたのであります。しかし石炭は、今日値段さえ出せば買えるのであります。ただ電力会社需要が浮動であるために大手筋炭鉱が喜ばない。こういう事情でありまするので、政府電力用石炭入手につきまして何らか方法を改めて、確実に入手のできる方法考える必要があると思いまするが、この点についてのお考えを承りたい。  次に私は、電力拡充恒久対策についてこの際簡單にお伺いしておきたいと思いまするが、第一に電源開発促進の問題でございます。今日の電力危機は、異常渇水あるいは応急対策の怠慢という点にもありまするが、さらに大きな原因は、電力需用の増加に対する政府見通しの誤りという点にあつたと思うのであります。産業計画にマツチするところの開発計画を、政府責任を持つてみずから立てるべきであつた、それを今までやらなかつたという点にあると思うのでありまするが、この点についての政府見解を承りたいのであります。  最近政府は、今日の電力危機に臨みまして、あわてて電源開発についていろいろな考慮をされておるようであります。たとえば開発公社を設立するというような構想を持つておるやに承ります。過日、池田大蔵大臣の言として発表されてもおります。また政府部内も大体この意見に傾いておるように新聞紙上に散見せられるのでありまするが、もしそうといたしましたならば、その開発公社の内容はどういうものであるかということを、この際詳細に承りたいと思うのであります。またその点について特に池田大蔵大臣が発表しておられますので、おそらく資金の裏づけという点についても考えておられると思うのでありますが、この点についての池田大蔵大臣見解を承りたいのであります。  それから公益事業委員会は、会社側にこの開発計画を立てて実行させるというふうに考えて、政府のこの開発公社案に反対をしておられるようであります。その点について公益事業委員に承りたいと思いましたが、おいでにならないので、この際私の見解を申し上げてみたいと思います。私は、この電源開発、しかも厖大な電源開発について、私益追求の一企業会社のみにその開発をまかせておくということは、資金の点から考えましても、いずれの点から考えましても不可能ではないかと思うのであります。従つて政府は、いわゆる自由主義経済の立場に立つて、いたずらに私益追求の私企業にこの電源開発をまかせておかないで、政府がみずからの責任においてそれをやるべきではないかと思うのであります。日本自立経済を達成するために、その基幹たるところの電源開発は、どうしてもみずからの責任において、日本経済計画性の上に立つてやらなければならないと思うのであります。また政府みずからも、今日の電力危機に際会してその点に気づかれて、開発公社案とか、あるいは政府の直接融資方法等考えておられると思うのであります。この点につきましては、政府がいわゆる自由主義経済を唱えた建前から、こうした計画経済あるいは直接融資というようなことにつきましては、いろいろ面子の問題もあつて、二の足を踏んでおるのではないかと思うのでありますが、私はこの際、政府は今申し上げましたような見地に立つて、どうしても自由主義経済のわくをはずして、日本自立経済達成計画にマツチするところの計画性をもつて政府みずからの手によつて電力開発を促進されることを希望いたしたいのであります。この点についての政府の御見解を承りたいと思うのであります。  はなはだ簡單でございますが、明確なる御答弁を承りたいと思うのであります。(拍手)     〔国務大臣周東英雄登壇
  16. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 電力の問題についての非常な御心配から起る御質問に対しては、よく了承いたしました。政府といたしましては、本年度の電力危機に対処いたしましては、大体次のような方針のもとに強力に施策を進めつつあります。御承知のように、今年の電力危機一つは、当初計画いたしておりましたよりも、生産の増強によつて九%ほどの需用がよけいにふえたことと、もう一つは、異常渇水による水力発電の二〇%ほどの減が大きな理由であります。この際におきまして、二〇%の渇水が今後続くものといたしまして、総体の不足量火力発電によつて補うということも計画を進めておりますが、それにつきましては、大体石炭にいたしまして、当初の計画から約六十五万トン不足になるわけであります。下期の火力発電としての石炭対策は、大体当初は四百七万トンでありましたが、このたびの不足量を補うために四百七十一万五千トンというものが必要になつて参りますので、これに対しまして国内における石炭業界協力を得て、大蔵三・四半期より四・四半期を通じて三百十二万トン余電力に対する供給を確保いたすとともに、新しい増産対策といたしましては、中小炭鉱業者等に対して開発銀行及び市中銀行から必要な資金融通をいたすことによつて四十万トンの下期の増産対策を立てております。さらに石炭を重油に転換する方法をとりまして、下期において大体九万二千キロリツトル余りの油をかけるように、バーナー設備その他のつけかえを行いつつ実行いたしたいと思います。これによりますと、大体石炭換算で倍でありまして、十八万トン余の石炭と同じ火力になります。さらに、これにいたしましても内地の石炭不足でありますので、この際申し上げておきますが、相当量外炭輸入計画を立てて外炭の確保を期しております。その上に、全体の企業界協力を求めて、むしろ電力に対する石炭融通協力を大体百二万トン余り計画いたしております。こうすることによつて火力設備相当部分完全活用ということができるのであります。そのほかに自家用発電完全利用、これに対しましては従来から問題になつておりますが、大体におきまして、各自家発電所有者が、買電量——外から買う量、それを相当節約することになります。自家発電をふやして、その結果起る経費の増嵩に対しては電力会社がそれを負担するという方法によつて自家用発電完全活用をはかつて行きたいと思つております。  以上のような事柄をいたしますことによつて異常渇水に対する対策としての具体策を強力に進めますが、しかしまだこれでも幾分不足になります。そういうことになりますれば、これに対してどうしてもある部分は今後電力消費制限ということを行つて参らなければならぬと思いまするが、大体二九%近くの不足に対して、以上の施策の実行によつて十四、五パーセントくらいの不足だけになります。これに対しての制限の場合においては、今のお説のように、各地区における均等の供給をいたしますために、融通命令は強力に出させるつもりでおりまするし、従つてその上に起る制限に関しましても均等な制限をつけるということについては、お説の通り実行いたしたいと思つております。  恒久対策としての御質疑がありましが、大体政府としても案が進みつつあります。まだ具体的にすべてをお話申し上げるわけに行きませんが、お話のように、政府といたしましても、相当大きな箇所については、これは国の直接の力か、あるいは国の出資による会社か、とにかく国の力によつて開発をいたす箇所考えております。しかし、それだけではいかぬのでありまして、結局私どもは、現在の各地区における会社発電開発を可とする部分についてはこれは認めて行く。同時にまた、公共団体といいますか、県営等に対しましても、適切な箇所についてはこれを開発させる。自家発電はもとよりであります。こういうことに対する相当思い切つた施策をとるために、必要な資金についても大体計画を立てておるのであります。いずれ確定いたしました上においてお話を申し上げる機会があるかと存じます。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇
  17. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  電力用石炭入手のための金融並びに電力不足によりまする企業不如意のための賃金不拂い、こういう具体的の問題につきましては、その都度適切な措置を講じております。  次に電力増加のための資金の裏づけでございまするが、これは先ほど安本長官よりお答えになつた通りでございまして、電力開発には、今までやつてつた方法が三つございます。それは自家発電のための開発銀行からの融資、また九電力会社開発のための見返り資金からの融資、また公共団体開発のための預金部資金の地方債の形による融資、これをやつておるのであります。その額も相当な額に上つております。電力の九会社水力発電のためには、今年度二百五十億円を予定いたしておるのであります。それだけでは不十分な点がありますので、私は政府の出資によりまする開発会社を設けて、特定の大きい場所の開発計画したらどうかというようなことを考えておるのであります。何も政府開発会社を設けたからといつて自由主義に反するような考え方は持つておりません。金融その他につきましても、全額政府出資の機関を設けまして、適当に自由主義経済のもとに開発発展を策しておるのであります。(拍手)     〔国務大臣高橋龍太郎登壇
  18. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 石炭の問題につきましても、安本長官から詳しく御答弁がありましたので、私はほとんどつけ加えることがありません。ただ、今一番問題になつておりまする関西電力火力用の石炭は、通産省といたしましても全力を盡して確保に努力しております。関西電力の要望しまする数量は、一箇月に二十五万トンであります。おそらく大体それに近いものが確保できると思います。また関西電力の貯炭も、幸いに日々少しずつ増加しておる状態であります。(拍手
  19. 林讓治

    議長林讓治君) 政府委員松永公益事業委員会委員が御出席になられましたが、質問の要旨を聞き漏らされておりましたので、適当な機会にお答えを願うことにいたします。     〔国務大臣保利茂君登壇
  20. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私に対する直接の御質問はないようでございましたけれども電力不足に伴います稼働率の低下、それから起つて参ります賃金減収等に処する処置といたしましては、ただいまの労働基準法のわく内における彈力的運用により、休日の振りかえをいたしますとか、あるいは就業時間の変更をいたします等によりまして、できるだけ労働時間を維持するように、そうして生産の維持と賃金収入の維持をはかるように処置をいたしておるわけでございますが、それにいたしましても、相当異常渇水による電力不足は大きいのでございますから、ただいま大蔵大臣が申し上げておりますような、たとえば賃金遅配の問題等に対しましても、地方庁と協力をして、できるだけの措置を講じて参るように、ただいま関係省とも連絡して相談をいたしておるところであります。十分の措置をとつて参るつもりでございます。(拍手
  21. 林讓治

    議長林讓治君) 本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十二分散会