○勝間田清一君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、
政府に対し
財政経済に関しての
質問をいたしたいと思うのであります。
池田
大蔵大臣は、去る十九日の
財政経済演説におきまして、
財政経済政策の基本を、いわゆる安定と能率と発展の三つに置かれたのであります。これは文字
通りに解釈いたしまして、もちろん何らの異存はないところでありましよう。しかしながら、同時にそのことは道徳的な標語以外の何ものでもないと言うことができるでありましよう。今日
日本国民が期待しておるところの問題は、
政府はいわゆる特定国家陣営との單独
講和を締結して参り、軍事同盟を締結して参り、さらに
朝鮮問題に対する積極的な介入をいたす外交政策を一面に遂行いたしておるのでありますから、これらの諸政策が国内の
経済及び
財政にいかなる
影響を及ぼし、同時に
日本の
財政が成り立
つて行くのであるか、
日本の
経済の自立ができて行くのであるか、はたして今後における
国民生活の実態はいかなるものであるか、これらの問題について
政府の明確なる
対策を説明することが、今日の
国民の最も期待しておる点であると存ずるのであります。(
拍手)
まず私は、
大蔵大臣及び
安本長官にお尋ねいたしたいのであります。領土を喪失した
日本が、対
日援助が打切られて参り、しかも
賠償、補償あるいは債務返済等の
負担を負いまして、はたして
日本の
経済の自立が可能であるかどうか、でき得るとすれば、いかなる條件によ
つて可能であるか、また国際収支の拡大と均衡とをいかにして今後積極的に達成いたして行くのであるか、なかんずくへ後における
貿易政策をいかにせられるのであるかということをお尋ねいたしたいのであります。
池田
大蔵大臣は、今日約六億
ドルに達する
外貨を保有しており、本
年度末においては一億七千四百万
ドルの受取り超過の見込みであ
つて、ガリオアがなくても一億二百万
ドルの黒字になると言われておるのであります。しかしながら、今日における問題の中心は、国際収支の規模がどの
程度になるか、
貿易水準が来
年度においてどの
程度に
確保できるのであるか、戰前のわずか三、四割
程度の
貿易水準の今日、国際収支に黒字が出たり、
外貨の保有が
増大することは、先ほど来荒木氏からもお話があつた
通りに、むしろ
輸入の不振を
意味するものであり、あるいは原料取得が十分に行
つていないことを
意味するものであ
つて、今日の国際
情勢の
もとにおいては、むしろ好ましからざる状態といわなければならぬと存ずるのであります。
先ほど池田
大蔵大臣は、本年の一月からの
貿易について、確かに進んでおるではないか、こういう御説明があつたのでありまするけれども、しからば今日における、数箇月以前からの
輸入貿易はいかなる状態であるかを、池田さんは御説明にならなければならぬと思う。現に
貿易は停滞の方向にある。しかしそれが、先ほど池田さんのおつしやつた
通りに、高いものを
輸入し過ぎたから現在それが買控えの状態にあるのであるという御説明であ
つては――われわれは、一月あるいはそれ以前において、昨年末の五億
ドルの
外貨かたまつたときに、
世界的な買付競争が行われており、
輸入原材料は急速度に騰貴しつつあるから、当時の西ドイツのように早く原料を買い集めて、国内の安き原料を
確保しなければならぬのではないかという提案をし、勧告をいたして参つたのでありますが、それができずに、
世界的に高い材料を入れて、そのうちに
世界的な
経済の中だるみにあい、
朝鮮問題の停戦交渉にあ
つて、ここに
輸入業者、加工業者一切の方々の重大なる犠牲が要求せられておつたと思うのであります。ここに問題の中心があるのであ
つて、今日池田
大蔵大臣の言う、なお六百億
ドルの
外貨を保有しておるという
事態は、かかる経過、かかる事実からこれをながめてみて、われわれはまさに好ましからざる
事態と見ざるを得ないのであります。
次に注目を要するのは、国蔡収支の均衡が
特需あるいは新
特需等の一時的かつ不安定な條件にささえられておるという事柄であります、こうした不安定な
経済條件に
日本経済が依存すればするほど
日本の
経済の安定性は失われて来るでありましよう。かかる
意味において、今日の真の
意味での国際収支の改善ができておるものとは考えられないのであります。
政府は常に
日米経済協力を主張されるのでありまするが、いかにして
日米経済協力の中に平和的な、恒久的な安定を見出して行くかを今日
政府は考えて行かなければならぬと存ずるのであります、しかしながら。今日われわれが考えるのに、単なる軍事的な、非
経済的な條件で日米
経済が連な
つている限り
日本の
経済の安定性は失われるものと私は考えるのであります。
そこで私は
政府にお尋ねいたしたいのでありまするが、
政府のいう
中共貿易あるいは
日米経済協力への切りかえ――
中共貿易のかわりとして、東南アジア
開発によ
つてこれをカバーせしめようという議論を聞くのでありまするが、はだしてどれほどの期待がこの地域にかけられるのであるか、諸君も御存じの
通りに、エカツフェの第三回総会において、
日本との
貿易問題が論議せらもたのであります。その
会議で決定せられたる重要な問題は、エカツフエ諸国は
日本に原料を供給し、
日本から製品を得るという方式をとる。これは言うまでもなく加工
貿易形式を言うたものでありましよう。そこでわれわれは疑問が起
つて参るのであります。
このたびの
講和條約中における
日本の
賠償、この
賠償がいかなる
賠償であるかは、諸君の御案内の
通り、原料を供給されて無料でこれに加工する、いわゆる加工
賠償でありましよう。しかも、これらのいわゆる
賠償地域は、フィリピンにいたしましても、あるいはインドネシアにいたしましても、
ビルマにいたしましても、すべてエヵツフエ地域に属しておることを知らなければならぬのであります。
従つて、東南アジア
開発による
外貨の、あるいは国際収支の改善というものが加工
賠償形式によ
つて打消されるであろうことは明白なことでございます。これによ
つて、
政府がいかにここに宣伝せられても、真実な
意味におけるエカツフエ地域に対する
開発が
日本経済にいかなる貢献をなすかを明白に示していただきたいのであります。
なお
政府は、
中共貿易のかわりとして、従来これらの東南アジア地域に対する
開発を宣伝せられておりますけれども、われわれは、これらの地域が今日何を考えているかを考えなければならぬと存ずるのであります。すなわち、
日本が再び軍国主義国家となり、非民主的政策に逆転することを極度に恐れるということは言うまでもありません。
従つて、
日本政府が反動的な政策をとればとるほどこれら地域の信頼を失うことは明らかであります。私は、
日本が平和的な
国民として民主化を徹底し、アジアの独立と繁栄の中に
日本の繁栄と独立とを見出して行こうとする政策をとることによ
つて初めてこれらアジア諸国との
経済的提携が可能ともなり、
賠償もおのずから緩和されるものと確信いたすのであります。
次に、本
国会においてしばしば論議せられた問題は、
中共貿易に関する
政府の態度の問題でございます。ある論者は過小評価するなといい、ある者は過大評価してはならぬといわれておるのでありますが、しかしながら、吉田内閣の
中共貿易に対する考えはきわめて感情的であり、対外的
考慮に支配され過ぎておると私は考えるものであります。何ゆえに
日本経済の自立と繁栄の
ために正当にして当然なる要求をわが
日本政府は持ち得ないのであろうか。
ここにあえで通商白書をひ
もともとまでもなく、
日本は戦前アジアから
食糧と豊富な原料を
輸入して参り、
輸入総額の実に五割をここに依存し、また
輸出については、繊維製品、機械、雑貨等の工業品を
輸出いたし、
輸出総額のこれまた五割をここに依存いたして、これら地域への出超によ
つてアメリカその他から綿花、工作機械、くず鉄、
石油等の工業の原料及び
資本財を
輸入して参つたのであります。しかるに、今日における
中共貿易は、アジアにおける
動乱がありとはいえども、本年一月から九月までの
輸出はわずかに六百二十四万
ドルで、しかも九月はわずか四万
ドルにすぎない。
輸入も塩、粘
結炭、くずコム等わずかであります。本年九月以降バーター制によ
つて綿製品を出し、粘
結炭を入れる、あの政策も今日停滞しておることは、御存じの
通りでありましよう。
政府は少くとも平和
産業を通ずるこれら
中共貿易をさらに進展せしむべきであると思うのであります。このたび中共を
講和から除外し、單独
講和をし、日米軍事同盟を締結し、
日本が新たなる宣戦布告をしたと中共に言わしめたことは、私は
日本外交の失敗であつたと存ずるものであります。(
拍手)
貿易に対する次の問題は、
日本商品の対外的競争力強化に関する
政府の政策についてであります。
日本の卸売
物価は、アジアのいかなる主要国よりも、また西欧のいかなる主要国よりも、ひどく上昇をいたしております。いかにして
政府は国内
物価を
国際物価にさや寄せいたそうとするのであるか。
政府は依然として非
経済的な地域から、高価な運賃を拂い、高い原料を仕入れておるのであります。同時に米価をつり上げ、運賃をつり上げ、電気料金をつり上げ、金利を引上げ、法人税を引上げ、等々の諸収策を今日と
つておるのであります。かかる政策をと
つて、コストの切上げがはたしてそこに可能なりであろうか。結局これらの政策をと
つて貿易を進展し、対外
貿易を強めて行くという政策でありとするならば、労賃にしわ寄せするか、為替レートにしわ寄せするか、しからずんぱ池田
大蔵大臣が極度にきら
つておる竹馬
経済を復活する以外に
方法はないであろう。(
拍手)
しかも
周東安本長官は、常に今日まで、これらの
関係の改善の
ために、造船を発展せしめて、それによつで対外競争力を強める、国際
価格べのしわ寄せを行うと主張せられて参つたけれども、このたびの第七次造船に見られるごとく、二十万トンの
要請に対して、
大蔵大臣の主張であるわずか十万トン、それに対する見返り
資金はわずかに三十五億円、こういうまことに貧弱なる状態ではないか。ここに国際
価格へのしわ寄せの問題について、今日
政府はいかなる明白なる態度をとろうとするのであるか、私はこれを明らかにいたしてもらいたいと存ずるのであります。
次いで、さらに重大な問題は、言うまでもなく
外資導入に関する問題であります。
政府は、荒木君の言われるごとくに、しばしば今日まで
外資導入に期待をかけさせて参りました。しかしながら、今日何ら見るべきものがないことは、諸君御案内の
通りであります。なかんずく、
外資導入にこと寄せて今日まで
電力の総合
開発をサボタージュして参つたことは、現
政府の重大なる
責任であると私は存ずるのであります。(
拍手)
しかして
政府は、今回困難なる
財政の中から、国際通貨基金あるいは
開発銀行に対して約二百億円を投資いたさんとしておるのであります。もちろん、これに対する加入がいつになるかも御説明願いたいのであります。また外為
資金を円で買
つて、はたして
ドルで支拂うのであるか、支拂い
方法も御説明願いたいのでありまするが、それ以上にわれわれが今日聞きたいことは、現在の国際通貨基金にいたしましても、あるいは
開発銀行にいたしましても、すでに
資金は
不足と聞いております。アメリカが何らかの形によ
つて増資をするなり、
資本の増投を行うことなくしては、新規の貸付も困難とわれわれは聞いておるのであります。これらの基金、
開発銀行に参加した場合において、具体的にわれわれが何を期待できるのであろうかを、
大蔵大臣に明白に示していただきたいど存ずるものであります。
次に私がお聞きいたしたいと思いますることは、
講和後における
日本の
財政問題であります。同時にこれと関連いたしまして、
日本の
金融統制をいかに
大蔵大臣はやらんといたしておるかであります。
まず、先ほど荒木君の
質問にもあつたようでありますが、
蔵相は、来
年度の
財政規模を本
年度と大差ない
程度にとどめ得る見込みであるという言明をされました。とどめ得る見込みということは、とどめたいという希望と違
つておると思う。これは
政府は少くとも確信あ
つての発表でなければならぬと私は存ずるのであります。今日いたずらに
国民に対して真実を知らしむることなく、楽観論に終始いたすといたしますならば、私は政治の大きな欺瞞といわざるを得ないと思うのであります。(
拍手)もちろん、現在
賠償なり、あるいは債務償還、補償等についての個々の
金額が幾らになるかを説明しろと申しましても、
政府はお困りでありましよう。しかし、今日においてわれわれが一番大切に思われることは、
日本のどうしても維持しなければならない
生活水準、取得されるであろう来
年度の
国民所得、
従つて日本経済の最高の
負担能力の限度、かかるものを明らかにすることはできると思うのであります。しかも、これから
政府が
賠償の交渉に入れば入るほど、補償の交渉に入ればと、
日本の
負担の限度を明白にしておくことが
日本国家の再建の
ためにきわめて重要であるということは言うまでもありません。(
拍手)
そこで、さらに
政府に対して、もし
政府が本
年度とほぼ同様な規模でできるということでございますならば、純然たる
意味における、
講和に伴
つて負担しなければならない
財政負担の規模はどこにあるか、同時にその場合における通常の内政上の
財政規模をどの
程度に
確保することができるのか、この面を
大蔵大臣に御説明願いたいと思うのであります。
池田
大蔵大臣は、種々な
政府機関、特別会計等にたくさんの
資本蓄積をお持ちであります。インヴエントリー・ファイナンスその他の
資金をお持ちであります。これらを今度投げ出そうと
計画されておるのではないか。
政府は今度主食の
統制撤廃を強引に行おうとするのでありますけれども、ある者は、食管特別会計の運転
資金を引き出す
ための処置であるのではないかという疑問をお持ちの方もございます。ここに
大蔵大臣の
見解を承りたいのであります。同時にわれわれは、單に円だけの問題でなく、対外支拂いに
外貨で支拂い力、その
程度、これをもあえて御説明願いたいのであります。
さらに外債の
処理の問題について、イタリアに行われたことくに、
日本において借りかえの交渉をする用意があるのかないのか。同時に、対
日援助費は、従来
終戦処理費に見合うものでありまして、われわれは、つとにこれが贈與を期待いたして参つたのであります。しかるに、今日債務としてこれが残るとのことでありますが、二十数億
ドルに達するこれら債務を考えるときに、
日本国民は唖然たらざるを得ないのでございます。(
拍手)これを打切ろうとするのであるか、
政府の
所見を明白に承りたいと存じます。
次に、このたびの
財政状況を見ますと、国家
予算中に占むる軍事的、警察的な支出がきわめて多いのみならず、これが漸次
増大することをわれわれは恐れるものであります。
日本が現在いかに
財政困難であり、
文化、教育、社会保障あるいは
災害復旧等の諸問題について幾多解決しなければならぬ問題が山積いたしておるにもかかわらず、これらの軍事的、警察的な
負担が
増大することは、国家の再建を遅延せしむることにほかならないと思うのであります。(
拍手)
政府は、このたびの
補正予算において、警察予備隊の装備拡充費百五十億、国家警察の
人員増加に対して数十億を計上いたしております。これによ
つて、昭和二十六
年度の
終戦処理費、あるいは軍事、警察上の諸経費、これらを合せますならば千五百億円以上に達するでありましよう。さらに
平衡交付金の中に含まれておるところの自治体警察に対する補助金等を含めまするならば、実に
予算の二割以上にこれらの費目がふえるものと見ざるを得ません。しかも、来
年度の予備隊等の治安費は六百五十億
程度要求せられておると聞いておるのでありますが、外国軍隊の駐屯費の分担を含め、まさに現在の
予算は軍事的な、警察的な国家
予算であると性格づけることができるでありましよう。(
拍手)
かかる費目は、われわれが申すまでもないことでありまするけれども、現在の吉田内閣がとりつつある、
朝鮮問題に介入し、軍事同盟を締結し、單独
講和を締結せんとするその外交政策から当然導かれて来るものであると私は信ずるものであります。(
拍手)しかも、これらに対して、
政府はあるいはゼネストの禁止といい、団体等規正法の制定といい、反動的な諸立法をあえて樹立せんといたしておるのであります。これを法務総裁に対してよくお尋ねいたしたいのであります。
次に池田
財政の特徴は、
財政的に超均衡
予算をつくり、国家
資本を半ば強制的に
蓄積いたしまして、
財政のしわを
金融に寄せて参り、一面
インフレの
抑制を企図し、他面において
金融統制の実をあげて行こうとするところにあると信ずるのであります。このたびの
補正予算におきましても、外為、食管特別会計等に対するインヴエントリー・ファイナンスの四百億、国際通貨基金に対する二百億、特別調達
資金に対する七十五億の投資、糸価安定特別会計に対する三十億の投資、合計七百五億円の投資をしておるのでございます。しかして、これらのことは、軍に
予算に関連しただけの問題ではございません。現在の
資金運用部
資金、あるいは見返り
資金等の運用についてもいえることであ
つて、これらの
資金の中には、あるいは五百億円の国債の保有のごとく、あるいは糧券というような短期流用の
資金といたしまして多額の余裕金が保有せられておることは、諸君の御案内の
通りであります。しかしながら、私は今日の
段階に当面して、こうした
財政金融政策は、好むと好まざるとにかかわらず、もはや転換すべきときであると私は考えるのであります。
その大きな
理由を私は三つ考えて参りたいと思うのであります。一つは、こうした国家
資本が
増大すれば
増大するほど、投資をすることによ
つてインフレを懸念する臆病な姿が生れて参る。
従つて常に国家
資本の効率が漸次下
つて参るのではないか。現在あるいは金詰まりといい、あるいは
生産を阻害しておるのは
金融であるといわれておる。しかし国家
資本は、かかる姿において保有をせられておるのである。そこに
資本の効率がきわめて
低下しておる拙劣なる
金融政策ということになるのではないか。これが
金額が
増大した今日における一つの大きな課題であるでありましよう。
二つは、かかる政策を続けて行く限り、民間
金融に圧迫が加わることは当然でありましよう。しかし同時に、現在の姿のままにおいては、むしろ
金融業における超過貸出ができて参る。市中
銀行の信用に対する不安定が他面に生れて来る。これを池田
大蔵大臣がむちうたれておることはわかるのでありますけれども、現在の
日本の、かかる半端な姿における信用を私はむしろ喜ぶものではございません。
同時に三つには、対
日援助が打切られて参り、有力な
資本の源泉であつたところの見返り
資金の根源がなく
なつたのであります。伝えるところによれば、池田
大蔵大臣は、本
年度財政投資を含めたのは、来年の見返り
資金が少くなくとも四、玉百億
程度になる、その
程度のものになるならばこの際に出しておかなければならぬという気持があつたとも聞いておりますけれども、確かに国家
資本がそこに源泉を失うことはわれわれの認めるところであります。これに対して、いかに
日本の必要なる
資金を動員して行くか、その場合における
政府の余裕金をどうしておくか、これが当然今日において問題にならなければならぬと存ずるものであります。
そこで、今日
インフレを伴うことなく、しかも
経済の安定や能率化や発展の
ために、これら国家
資本をどう高い効率において適用して行くか、これが何らかの
意味でくふうされて参らなければ、この長期
資金あるいは
資本蓄積の困難なる
現状において、
日本の
産業の発展をつくることはできない。おそらくこのたび池田
大蔵大臣が
貯蓄債券を発行しようと、あるいは
銀行法を制定して
大蔵大臣の権限を
増大しようといたしておるということも聞いておりますけれども、すべてこれらのものが、かかる
事情を物語
つておると存ずるものであります。しかし、これらの政策は、官僚による
金融支配を
増大せしむるだけのものであ
つて、本質的なる
資金の
統制を可能ならしむることは断じてないと思うのであります。(
拍手)われわれ
日本社会党は、昨年以来、
産業自立
計画についての検討をして参りました。戦前の
生活水準を維持し、完全雇用を可能ならしめ、弾力性ある
日本経済を樹立して行く
ために、厖大なる
資本の
蓄積が必要なることは明白であります。その場合における、
資本を投下してその目的を達する
ためには、
資本が偏在したり、いわゆる二重投資が行われることなく、ましてや
資金が睡眠状態で眠るという問題ではなくて、これらが油を流すごとく完全なる効率を発揮したときに初めて可能であるということが言い得られるでありましよう。ここに
経済が
計画化せられ、
資本の傾斜的な貸付の一元的な
機構が確立して参る。さらに最近問題にな
つておる
通りに、物の
統制が適当な形でこの
金融行政の裏づけをして行くことなくしては、それらの
計画も行われて参らぬでありましよう。
このことは、アメリカの準戦時態勢を見てもわかる
通りに、国防
生産法をつくり、
金融間接
統制から進んで参つたけれども、最後には緊急調達
計画なり稀少
物資の貯蔵
計画に対して物の裏づけをなして初めてアメリカの
経済が安定の一歩か踏み出したようにわれわれは見るのであります。あるいは今日のイギリス等における
経済の
統制の状況を見ても、われわれはそこに見受けられると存ずるものであります。いずれにせよ、これに対して重大なる国家
資本の現在の非効率なる状態を改善し、次の社会の
経済の発展と安定の
ために何らかのくふうをしなければならぬ
段階に達しておることは明白でありましよう。ここが池田
大蔵大臣に対して
所見を特にお伺いいたしたいところであります。
第三に私がお尋ねいたしたいことは、今後の
国民生活がどうなるか、
政府はこれからの
国民生活に対していかなる政策をと
つて行こうとするのであるか、これを私はお尋ねいたしたいのであります。
まず第一に、
国民生活の必需
物資の
生産は著しく圧迫を受けるのではないかという心配をわれわれは持
つております。その一つの
理由は、
日本政府は、
日米経済協力の名の
もとに、アメリカの緊急
物資調達
計画に参加いたそうといたしております。
日本の低い
生産力の相当の部分がこれに動員され、それだけ平和的な、建設的な
生活必需
物資の圧迫を受けることは明白でございましよう。しかも、マーカツト少将かメモランダムで言つた
通りに、これらの調達
計画に対して何らかの
理由で
日本が協力できないとするならば、
日本の
食糧輸入等々の問題について重大な問題が発生するであろうと言われたほど、これはきびしき
要請と見なければなりません。これはいわゆる新
特需といわれるものであ
つて従来は化学工業、光学機械、パラシュート、双眼鏡、通信機等でありましたが、最近では工作機械があるといわれる。米本土で
不足いたしておる硫黄、アルミ、
鉄鋼等の増産の慫慂がなされておることを聞くのであります。またわれわれは、これと関連いたしまして、新たにアメリカ駐屯軍の現地調弁が行われるであろうことも予測しなければなりません。また新たなる課題として加工
賠償による
日本の
生産力の動員であります。
賠償が加工
賠償であ
つて、原料が他から供給されることは不幸中の幸いでありましようが、
生産力、なかんずく
電力等の動力源がこれに動員されることは、きわめて重大なる問題を含んでおると思うのであります。
日米経済協力の問題、現地調弁の問題、加工
賠償等の問題から見て、
日本の現在の動力源の限度から見て、当然
国民生活必需
物資がここに大きな圧迫を受けるであろうことは明らかでありまして、そこに
政府はいかにして
国民の
生活水準の維持の
ための
産業を
確保するかを私は
政府に聞きたいのであります。(
拍手)
しかも、これが
日本にか
つての
生産の
資本蓄積があるならば問題はないでありましよう。今後における
生産増強の可能性があるならば問題はないでありましよう。しかし、それがない現在の
生産計画――先ほど来、
周東安本長官が、一四〇という指数を言われておる。最近二、三箇月来の
電力危機から来ている、あの
生産減退を見られたら、よくわかるでありましよう。二十六
年度の
生産水準が低くなるのであろうというのは、
安本自体が御存じのところであります。われわれは心正しくこれを見なければならぬと思うのでございます。
ここで私は、今度の重大な
関係を持
つておる
電力問題についてお尋ねしたいのであるけれども、これについてはすでに荒木氏が御
質問になられたので、私はこれを簡単にいたしますが、一体
自由党の諸君は、
電力を九分割し、そして一元的
統制をここに
撤廃いたして参り、一体いかなる成果がここに現われるというのでありましようか。私は、現在の
自由党諸君が
電力の
統制撤廃をした結果にかんがみられて、安定の基礎である
電力の
開発についての真に具体的な説明を承りたいのであります。さらに池田
大蔵大臣は、公務員の給與をわずか平均千四百円
程度引上げ、若干の税制改正によ
つて、最近の
物価値上りによる生計費の赤字をカバーしようと言われておる。これは明らかに欺瞞である……。