○位
野木政府委員 これは免責の制度の本質に
関係することでありますが、今申された部分は、むしろ復権の点を申されておるのではないかと想像するわけであります。破産者が破産宣告を受けたために公職につけないとか、いろいろそういう制限を受ける
ということをなくする
という点は、これは免責の制度をとらなくても各個の
法律でそういう制度をなくすればとれるわけです。今度のこの
破産法の改正で考えておりますのは、むしろその点をさらに一歩進めて免責自体のことを考えておる。資格のみを與えても、債務が永久に残
つて行く
ということでありますれば、これは一生日陰者に終る
ということになる。善良なる破産者で、特に責めるべき事由もない事由によ
つて破産に
なつた
というような人は、非常に大きな債務を負つた、そのために一生立ち上る
機会を持たない
ということでは、これは非常に気の毒なことではないか。そこまでも追及するのが、現在の社会の制度として合理的かどうか
ということを考えた場合、むしろ財産全部を善良に投げ出してそして誠実に行動して行く
という破産者に対しては、債務自体も一応
責任を免れしめる
ということにした方が合理的じやないか。
債権者の立場からしても、事実今まであまり破産宣告後において破産
債権の追及をした
という例を聞いておりません。
執行吏役場等でも大分調べましたが、そういう経験は全然ないそうです。そういうふうなことから行きましても、これはただ債務者をいじめるだけにすぎない。そういうようなことが考えられますので、むしろそういうふうな免責の制度を思い切
つて採用して、その濫用を防止すればいいじやないか
というようなことで、免責の制度を考えた。英米等におきましては、これは非常にうまく運用されて、早く破産者を
更生させて、一日も早く社会の中に明るく
更生させて社会の活動に寄與させる
というふうなことをや
つておるように聞いております。そういうふうなことを今度この法案によ
つて考えておるのであります。