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1951-11-15 第12回国会 衆議院 文部委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 佐藤 重遠君    理事 若林 義孝君 理事 松本 七郎君       甲木  保君    鹿野 彦吉君       小西 英雄君    坂田 道太君       平島 良一君    井出一太郎君       渡部 義通君    浦口 鉄男君  出席政府委員         文部政務次官  水谷  昇君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房人事         課長)     岡田 孝平君         参  考  人         (全日本高等学         校教職員組合執         行委員長)   坂本 勝元君         (全日本高等学         校教職員組合書         記長)     中谷 盛国君         専  門  員                 石井つとむ君                横田重左衞門君     ――――――――――――― 十一月十三日  六・三制教育施設整備に関する請願野村專太  郎君紹介)(第一一五六号)  学校給食継続実施に関する請願久野忠治君紹  介)(第一一五八号)  学校給食継続実施に関する請願小澤佐重喜君  紹介)(第一二〇七号)  小学校舎改築費国庫補助請願小澤佐重喜君  紹介)(第一二〇八号)  教職員結核対策強化に関する請願倉石忠雄  君紹介)(第一二〇九号)  寒冷地帯学校屋内運動場建設に関する請願  (稻田直道紹介)(第一二五九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  六・三制教育制度実施に関する件  京都大学事件に関する報告聽取の件     ―――――――――――――
  2. 長野長廣

    長野委員長 開会いたします。  前回の委員会におきまして、六・三制教育制度実施に関連する教育公務員給与問題に関して、参考人を招致して意見を聴取することに決定いたしましたが、この際全日本高等学校教職員組合執行委員長坂本勝元君及び同書記長中谷盛国君の両名を参考人に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。坂本勝元君及び中谷盛国君を参考人に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 長野長廣

    長野委員長 これより六・三制教育制度実施に関する件を議題とし、教育公務員給与問題について参考人より意見を聴取いたします。坂本勝元君。
  5. 坂本勝元

    坂本参考人 ただいま委員長から御紹介のありました私が全日本高等学校教職員組合執行委員長である坂本であります。一緒に参りましたのが同じく中谷書記長でございます。ちよつと御紹介いたしておきます。  私ども全日本高等学校教職員組合というものを、昨年の四月八日につくりまして、当時は一道七県の高等学校にすぎませんでしたが、その後私ども組合に参加する県が漸次ふえて参りまして、現在私ども組合一道十八県に擴大されております。本日は参考人として喚問を受けまして、教育者としての視野、観点から把握いたしました私どもの気持を、あるいはいろいろな意見を開陳いたす機会を得ましたことを心より喜んでおります。文部委員先生方には、連日政務御多端の折り貴重なる時間を私どものためにさいていだだきまして、ほんとうにありがとうございました。私どもが要望いたしたい事項につきましては、書記長の方から詳しく御説明をいたすことにいたします。そしていろいろ御質問に対してお答えを申したい、このように思つております。何分よろしくお願いいたします。
  6. 長野長廣

  7. 中谷盛国

    中谷参考人 私は書記長中谷と申すものであります。六・三・三・四の教育制を円満に発育成長させるために、教職員給与制度という立場からの参考事情を申し上げさせていただきます。  私どもは、教育職員には特別俸給表というものを制定していただきたいということを、文部省並び人事院に要望して参りました。しかるところ、両官庁におかれましても、その必要性を、立場は異なりますが、おのおの認めていただいております。そうして着着研究が進められ、今日ではほぼその結論が出ているように、私どもは観測いたしておるわけでございます。これは深い喜びと存じております。せつかくここまで官庁が乗り出していただいたものでありまするがゆえに、何とか全国民代表であられます皆様のお力によつて、ぜひこれを完成さしていただきたいとお願いする次第であります。  ところが、この別表制定を絶好の機会としまして、長年私どもが待望いたしておりました教育職員給与制度上の規模、すなわちその内容は、大学が一、高等学校が一、義務教育が一と、こういう三つ職域おのおの個性に相応立脚いたしましたところの給与体系を確立していただきたいという悲願がございまして、この悲願をこの機会に実現していただきたいという希望を持つておる次第であります。私どもはこれを普通三本建給与制度と俗に申しておる次第であります。一般教員給与制度は、一本建がよいという意見もございますけれども、たとい一本建であつても、結局は三大職域におのおの顕著なる個性が存在しておりますがゆえに、結局取扱いによつて、また三本建実質上同じ規定を決定せねばならぬことになるわけであります。これから短かい時間の間に私どもの把握いたしております教育職員給与制度制定上の事情並びに意見を申し述べさせていただきます。  私どもは、教育職員給与制度には、三つ要素がぜひ必要であるというふうに存じておるものでございます。三つ要素と申しますのは、一つ生活給でございます。一つ学歴給でございます。一つ職域給、この三つ要素が円満に織りなされ、含まれて理想的な給与制度である、かように考えます。  生活給と申しますのは、これはもう申し上げるまでもなく、生活せねばならぬための必要最低措置でありますから、人間である以上平等であるべきであるというのが当然でありまして、従つて小、中、高、大学どこに勤務される教職員でありましても、その水準は一貫した同一水準が規定せらるべきであるというのは当然でございます。しの生活給基礎概念というものは、給与制度上の基底、奥底に織り込まれなければならないという点では、私ども日教組とも意見を同じくするものであります。しかし、わが日本の国が極貧状態である現在、将来まだ十年や十五年は生活給一本やりで行かなければならぬというような意見に対しては、私どもは同感できないわけであります。終戦後六年を経た今日は、ある程度学歴給職域給添加措置が断行せられることが、社会活動の停滞を打開するために絶対必要なことであると存じます。  さて学歴給に関しまして申し上げますと、これには若干一般社会教育界と異なる事情がございます。教員世界には、あたかも一つ通門券が必要であるというようなわけであります。すなわち小、中、高にあつては、免許状というものが必要であります。大学教職員ですと、論文審査等によつて講師であるとか、助教授教授などというふうにきまるわけであります。すなわち何かの証書を持たなければ教員になれない。それゆえこの免許状とか学歴を、給与上全然無視することはできないわけであります。それゆえにこの学歴給概念を、給与制度において生活給にプラスして織り込んでいただきたいわけでありますが、ここに一つ意見があるわけであります。それは学歴給教員世界にすでに入つておるという意見であります。これは教員給与が、今まで学歴勤続年数別、紋別推定表なるものによつて昭和二十三年一月一日以降規定せられておりますから、学歴給が明確に入つておるではないか、かように申す意見があるのでございます。この意見については、正しいとも申されますし、また正しくない、妥当でないとも申されるのであります。このような意見は、真相はどうであるかと申しますと、例をあげますと、旧中等学校を出た者と旧制大学を出た者が、十五年ぐらいも勤続して、ようやく一号俸程度大学を出た者が高くなるわけであります。一方は一号でも学歴給がちやんとついておるではないか、という意見がある、一方では一号俸ぐらいなら、ついていないも同様であるというわけで、ついていると言う者と、ついていないと言う者があるということになるわけであります。うつかりいたしますと、大学を出た者で、中学から旧制高校高校から大学入学試験でまごつきまして、浪人などの経験を持つている者なんかは、一号俸はおろか、田中等学校を出た人たちよりも下まわつておることがずいぶん多いのであります。さらに大学を出て民間会社などに勤務しまして、その後高等学校などの教員になつて来た者は、まつたく旧中等学校などを出た者よりも、はるかに下まわつておるのが実際でございます。それゆえわれわれが申し上げたいところの学歴給は、今日学歴給がついておると申しても、実際は形式的であつて、ついておらぬも同然である。そこである程度つけていただきたい。どれくらいつけていただきたいと、具体的に申すわけではありませんが、すなわち将来上級学校に入学する希望者がだんだん減つてくるとかいうことがないように、就学意欲が停滞しない程度には、給与学歴給を残していただきたい、かように存ずるわけであります。  三つ要素のうち、生活給学区給について申し上げましたが、最後に職域給について申し上げます。第三番目の給与制度制定上の大切なる要素としての職域給であります。これが私どもがいわゆる三本建給与体系と申しておる部分でございます。その三本建の区分は、現在としては大羊を一つ職域高校を一、義務教育を一という三大職域にわかつのが妥当であると考えるわけであります。この職域給という点では、不幸にして日教組趣旨と私どもとは見解を異にするわけであります。日教組趣旨は、三本建職域給実施された場合は教育が破壊せられる、かように言うのであります。私どもは逆に現行のように大学だけ別としても、新制高校までを同一水準に一本にして置くということこそ、教育が漸次、物が融ばまれるがごとく破壊せられて行くと申すわけでありまして、まつたく逆なような結論が両組合から出ておるのでありますが、これは不幸なことであるとか、感傷的なことを申してもいたし方がないわけであります。組合として自己の所信を述べるということは、また当然でありますから、ただ二つの相反するような主張の相剋というものは、そのままに放置をしておきますと、おそらく永遠に続くものと考えられます。私どもはこの二つ主張のいずれを選ぶのが教育のためであるか、教育興隆になることであるかということを、国民代表であります。皆様裁断におまかせいたすよりほかはないわけであります。従つて、ここで私どもは、三大職域個性に立脚した三本姓給与体系制定せられねばならぬ理由を簡単に申し述べます、  その理由は、価値評価の点から申しますと、義務教育両校教育大学教育というものに、価値上下のあるはずはありません、また上下をつけても無意味であります。すなわち言いかえれば、義務教育高校大学教育価値上下は、まつたくないというのが、そのまま妥当であります。ところが、価値上下がないから、給与小学校から大学まで、そこに勤務している教職員が同一水準俸給であるべきであると言うことは、できないわけであります。その理由は、端的に申し上げますと、義務教育高校大学と、上級学校に進むにつれまして、生徒肉体的年齢が高まります。それと同様に、精神的年齢も同まるわけであります。言いかえれば、生徒教養識見が漸次高まつて参ります。それであるがゆえに、それを指導する教職員も、それを上まわつた教養識見能力のある者が教育に当たらなければ、教育はやりおおせぬわけであります。それゆえに、義務教育高等学校大学を通じて考えるならば、義務教育学校にあつては、教育をするという真心と申しますか、つまり誠実味のある人ならば教員として勤まるわけであります。ところが、高校大学と行くにつれまして、単にまことと申しますか、誠実味だけでは、教員は勤まらないのであります。誠実味にプラスする能力というものが、漸次必要になつて参ります。もしここに仮定が成り立つて、すなわち学校卒業生が、工場で主産される規格品のように、同一能力を持つて卒業して来るものならば、話はまた別でありますが、事実は不幸にして学校事業者が同一能力ではないのであります。それゆえ、どうしても能力を必要とする場所には、能力のある人がまわつてもらわなければならぬということになるわけであります。このように申しますと、義務教育には無能力着が勤めてもよろしいかということに相なるわけでございますが――むろん有能に越したことはないのでありますが、前に申し上げたような事情から、義務教育大学を出た有能者がそろつて上級学校が手薄になるというようなことでは、六・三・三・四教育制というものの円満なる発展は望まれないわけであります。私どもが三大職域にわかれた三本建給与体系制定希望するところの理由の最も大いなるものを端的に申し上げれば、以上の通りであります。  ところが、現在この職域給が全然無視されておるかというと、そういうわけではありません。すなわち大学だけが別に一つ職域に考えられておる。従つて職域給もある程度見られておるということになります。すなわち、大学新制高校以下の二本建というのが、現行体系であります。私ども大学職域給を認めたことを、どうのこうのといつて非難するわけではございません。ただ、何がゆえに、高等学校にもこの職域給実施上なかつたということを、民心に存じておるわけであります。これが現行給与制度上の一つの盲点となりまして、過去数ヶ年間いろいろな教育上の問題を惹起して参つたことを、遺憾に存じておるわけであります。このような跛行と申しますか、私どもから見ますと、一つの跛行的の給与制度昭和二十二年に決定を見て、昭和二十三年一月一日より施行せられた足跡、歴史を考えますと、ちようど昭和二十二年片山内閣の当時、社会情勢終戦面後の混乱でありまして、また教員組合は、日教組のみでありまして、まだ私ども組合はできておりませんでした。それに組合には罷業権正式団体交渉権等もあつた当時であります。またこの決定に参画いたしましたものは、官側では文部省大蔵省給与実施本部二つでございました。組合側日教組、この三者合同協議によつて決定せられて行つたというのが実際でございます。官側は大体小、中学校適用一表の級別推定表高等学校適用一表、大学適用一表という三表の級別推走表を原案として提案したようであります。これに対して日教組は小・中・高・大学一本、ただ一つ級別推定表制定する力がよろしい。かように意見が一応対立したわけでありますが、遂に妥協点として現行のよりに二本建の給与制度と相なつたわけであります。そういうわけでありますが、このように決定しました事情を考えますと、現行の二本建給与制度というものが、それほど神秘的な理由をもつて決定されたというわけではないのであります。それに教員職名も昔は訓導、教諭、教授というふうにあつたわけですが、これも民主的にもとるというわけで、教員に統一せよという声があつたわけでありますが、これも教授職名のみが残ることになつたわけであります。私どもは別に職名などにこだわつておるわけではありません。またついでに申し上げますと、文部省の局も、大学学術局残りまして、初等中等教育局に一本にして、高等学校教育局というものはないわけであります。それでどうも高等学校の方が忘れられるわけではありませんが、実質上は忘れられる場合もありまして、産業教育振興法などで、ようやく実業学校に筋金が入るようにわれわれは期待しておるような実情でございます。これは余談でございますが、以上ただいままで約半歳にわたりまして、人事院文部省教育職員特別俸給表というものを制定していただきたい。そうしてこの制定機会に、給与体系も六・三・三・四全教育制が円満に成長するような政策に立つたものを決定していただきたいということを要望して参りました。すでに両官庁においても、この研究はかなり進捗しておると存じます。どうぞ職域給を認める、もう一つは認めず、この二つ主張の流れにつきましても、国会においてぜひとも二者択一の御裁断をいただきまして、教育界興隆が跛行的に陥ることなく、円満なる成長がなされますように実現していただきたく、切なる希望を申し述べる次第であります。
  8. 長野長廣

    長野委員長 何か参考人に対して御質疑がありますか。
  9. 井出一太郎

    井出委員 ただいまお二方の御説明伺つたのでありますが、この問題につきましては、日教組側とまつたく真正面から対立をされておるようでありまして、われわれとしても、これが裁断をただいま要請されたのでございますが、十分慎重に研究をしてみなければならぬと考えております。私はそういう意味においては、教組側ばまつたくニュートラルな立場でございますが、ごく基礎的に一、二点伺つでおきたいと思います。と申しますのは、全高教という団体は、発足してまだ歴史も浅く、現在では一道十八県というように承りましたが、まだ参加されておらない都道府県においては、高等学校教職員の諸君は、現在やはり日教組に所属をされておるのでございましようか、まずその点を伺いたい。一部三府四十何県をいうものから見ますと、まだ皆さんのお立場というものは、一種少数意見のような感じもするわけです。皆さんの組織が漸次拡大されつつあつて、そういう点で日教組側とやはり同じ職域おいで尖鋭対立をされておるのか、こういう点を基礎的知識として伺つておきます。
  10. 中谷盛国

    中谷参考人 今の御質問について申し上げさせていただきます。現在は約三分の一が全高教――私ども組合に入つておるわけでありまして、残りの約六割は日教組に加入しておりますが、それ以外に、どちらにも加入しておらぬところがあるのでございます。私どもが明確に知つておるところを申しましても、鹿児島県、滋賀県、栃木県、和歌山県、茨城県、これは県全体がどちらにも入つておりません。そのほかまた一つの県内でもいろいろなところがありますが、大体において三分の一は私どものところに入つており、残りの三分の二のうち約六割ぐらいが日教組に入り、はなはだ概数でありますが、あとはまだどちらにも入つておらぬという数字になつております。そういう点からいたしますと、私どもが三分の一の少数意見であるということは、確かに形式上はそう言われるわけであります。また実質上は、境い目もございませんから、確実なことを申し上げるわけには行きませんが、大体意見は私どものようである。そこで漸次私ども組合が年に五県、十県ぐらいずつふえておるのでありまして、このごろは一月に一県、二県というような割合でふえて行くようになりました。そこらあたりが、私どもの方に賛成があるという一つの証拠であります。まだ加入しておらぬ方から、署名運動が展開されまして、大いにやつてくれという署名捺印書がたくさん来るところから見ましても、加入しておらぬ高等学校でも、かなり私どもの方に賛成者が多いということがよく察知されます。また高等学校校長協会は、全部私どもの方の意見を支持し、同じように運動しておりまして、これも日教組加入人たちという意味において、私どもに加入しておらない日教組関係人たちの中にも、われわれと同様の意見を持つ人が非常に多いということの一つの証左であると存じます。
  11. 井出一太郎

    井出委員 もう一点。現行の二本建というものが、一種妥協によつて生れた、ただいまあなたから沿革その他を伺つてそういう感じもいたしたのでございますが、これを徹底するならば、一本建という主張論拠がありましようし、皆さんの御主張になるような三本建ということにも、論拠があると思うのです。そういう点は、われわれも今後十分研究をさせていただきますが、従来、新教育が発足する以前は、小学校先生というものは、何とか検定でも受けて中等学校先生になりたいというような、一つのはしごを登つて行くといいましようか、上の学校になるほど、それが社会的にも偉いのだというように思つていた。これは一種の謬見だと思うのですが、それと同じような考えで、高等学校先生方が、過去の特権意識とでも申しましようか、そういうものを温存されるような方向に向つておるようなにおいが――こう言うことは、あるいは失礼かもしれませんけれども、そういう感がないでもないのですが、そんな点はどう考えておられますか。
  12. 中谷盛国

    中谷参考人 簡単にお答えします。今まで幾たびか私ども三本建運動しておりますと――まあ露骨に申し上げますと、君ら偉いと言うのだろう、偉いから高くせいと言うのだろう、そんなことははやらないよというようなことで、ずいぶん罵倒されたことが何べんもございます。それは当然さような印象を与えられるが、しかし、私どもは今申しましたような、偉いからそうせよというこであるならば、はずかしくて本日ここにかようなことは申し述べられませんし、このような運動を長い間継続することはできないわけでございます。偉いからというのは、何かの感情の問題でありますから、それをがまんしておれば、――実際教育上の悪い影響が出て来なければ、何年でもがまんしておられるわけでありますが、実際上、高等学校教員にだんだん人が来なくなりまして、あたかも虫ばまれるごとく漸次破壊されて行く姿を、中でも学校校長が一番よく知つております。そこで校長協会は、熱心に支持しておるわけであります。そういうことがありますと、さような、たとえば誤解とか誹謗がありましても、なおかつこの運動を続けるということになるわけであります。
  13. 井出一太郎

    井出委員 これで私は打切りますが、今お話になりましたところの、高等学校教育が虫ばまれて行く、いい先生がだんだん職域から去つて行かれる、こういうようなことについて、何か数字的な資料が――あるいはここにちようだいしたものの中にあるかどうか存じませんが、ここには何か具体的なものがございますか。
  14. 中谷盛国

    中谷参考人 ここにはございません。
  15. 井出一太郎

    井出委員 そういうようなものがあつたら、参考ちようだいできれば、資料として非常に貴重なものと存じます。
  16. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 この別表の問題は、諸般の状況を勘案いたしまするに、私が属しております自由党の政調会文部部会におきましては、これは三本建にすべきものだということの結論に、大体において達した状況でありまして、でき得る限りそういうような方向に運んで行きたいというような希望を持つているのでありますが――実は、この給与に関することだけに限定したいということでございますけれどもちよつと参考のために伺います。御承知の通り日教組というものは、思想的に非常に左翼である。両條約に対しましても、いわゆる青々である、両方とも反対である。要するに、社会党左派共産党中間あたりを行つている。ということは、初代の日教組委員長が、推されて当選しまするや共産党に入党した。これは岩間君です。それから次代ですが、――その間に何かあつたか知りませんけれども、その次の荒木君は社会党左派なつたということで、日教組思想的指導精神は、大体社会党左派共産党中間を彷徨しているのではないかというふうに、われわれは今想像しおるのであります。またそういうような材料もあるわけであります。青々であつて委員長等は、そういう方向に行つておるということにかんがみましても、それが一応言えると思うのでありますが、あなたの高教組の方は、どの辺にあるのですか。あなたとしては、あるいは言いにくいかもしれませんけれども、われわれはいろいろのことを決定する上において、やはりそれが参考になるのですから、ちよつとその点をおつしやつてください。
  17. 中谷盛国

    中谷参考人 それについては、つい最近中央委員会決定した内容が、一番最近の新しいことですから申し上げます。不偏不党であります。ただ不偏不党と申し上げましても、漠然としておりますけれども、つい先日の中央委員会で、日教組の平和運動に対して、われわれはどうすべきであるかという一つの提案がなされました。それに対して皆が審議決定した内容あたりが、今の御質問に答えるべく一番機微に触れているかと思います。それは、今までは戦争への教育であつたと考える、これからは平和への教育教育者として推進しなければならない。この点については、われわれは大いに賛成であり、努力をすべきことであるが、それ以外に、現在の講和條約、安保條約に対する批判もしくは賛否、さような内容を含むところの平和運動の雲行に対しては、私どもはいたさない。こういうような決議がなされました。大体ここらで御了承願います。
  18. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 今一番端的に思想傾向のわかるのは、ここに一つのテスト・ケースがある。両條約に対してどうであるか。平和運動云々というのは、日教組あたりの言つているのは、妙な平和運動です。また世界の現状を全然認識しないところのいわゆる平和運動です。これは共産党あたりのあれにカムフラージされている一つの平和運動であると思うのです。ちようどここに試験台があるのです。ですから、今のは抽象的でわかりませんから、両條約の問題に対して、あなたはどういう態度をとられたか、――そういうことが論議されなかつたはずはない。どういうものであるか、参考のために承りたい。
  19. 中谷盛国

    中谷参考人 それは早く申し上げますと、平條条約と安保條約の両方に反対するという立場からの平和運動というものは、実行はいたさないという決議だけが、私たちの機関にはかつたものとして申し上げられるわけであります。そのときに、賛成してどのように持つて行くというようなことは、別に話がなかつたものですから、申し上げられません。ただ私は、組合の役員として今日までやつておりますが、平和條約と安保條約に反対せよというお話を、一度も組合員から聞いたことがないということを申し上げます。
  20. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 大体の傾向はそれでわかりました。それ以上は、あなたの苦衷をお察ししますから、申し上げません。そこでもう一つお聞きしたいのは、逐次、あなた方が指導しているところの高教組の加盟県が非常にふえつつある。一箇月に一つくらいずつふえつつあるというのですが、これは何かえさでつるというような――ちよつとおかしいのですけれども、あなた方の組合に加入する県がだんだんふえて来る。県によつて学校単位になつて来る。そういうような傾向が、もつと顕著になつて来れば、それらの学校あるいは県も、だんだんとあなた方の方へ加盟して来るという可能性がありますか。見通しとして、その点を伺います。
  21. 中谷盛国

    中谷参考人 これにつきましては、このようにお答えさせていただきます。私ども組合に今加入しておらぬ県におきましては、確かにあまり力がないし、ああいう小さい組合は何も仕事ができなかろう、それで入つても役に立つまいというわけで、入つてくださらない県が相当多いわけで、あります。そこで何か仕事をすれば、その仕事に期待を持つて、加入する者が多くなるであろうということは申し上げられます。確かに多くなると、はつきり申し上げるわけに参りませんが、まず普通の推定では、力が弱いということをたよりなく思つて、入らないところもたくさんあるという点からいえば、何事かを、もしかりにしたとすれば、加入者が多くなるだろうということは、われわれの立場から推察することができるわけであります。
  22. 浦口鉄男

    ○浦口委員 きようは給与問題が主になると思いますので、参考人になるべく論争しないように、質疑を二、三いたしたいと思います。それに先だちましてまず高教組といたしましては、現行の六・三・三・四制をあくまで守り抜くための給与ベースの改訂である。こういうふうに考えていいと思いますが、その点を一応念のためお聞きしておきます。
  23. 坂本勝元

    坂本参考人 その通りであります。
  24. 浦口鉄男

    ○浦口委員 先ほどお話がございました、二十二年に従来の給与ベースが改訂されましたときに、その当時の模様のお話がちよつとあつたのであります、この間も東北の同等学校長会議の方がお見えになりました陳情の中にも、当時高等学校側としては反対したが、数が少いために、遺憾ながら日教組に押し切られた、こういう御意見の開陳があつたわけですが、その当時高等学校側といたしましては、具体的に何か日教組に対して、別な給与の具体案を持つておられたかどうか、その点をお聞きしたい。
  25. 中谷盛国

    中谷参考人 それについては、私その当時日改組の役員をしておつたわけではありませんから、よく知つておりませんが、ただ今まで聞き及んでおつたことを申し上げます。やはりその当時、高等学校教員出身である日教組の役員が、さような二本建になるということは困る、やはり三本建にしてほしいということを、確かに申し入れたそうであります。申し入れたそうでありますが、十分に意見が開陳された後、すべてのことは最後に表決によつてその結果日教組の一本線というものが要望線となつたということであります。それからさらに文部省で、その当時参画した人が現在でもおりますが、さような人のお話を伺つても、やはり同様でありまして、高等学校から、その後直接に文部省へ出向く人も、ずいぶんあつたそうでございます。日教組意見とは異なつておるけれども、みな日教組に加入しておつたわけであります。加入しておりながら、日教組意見に反対しておるという矛盾をあえてしておつたわけでありまして私どもは、今回脱退して申すがゆえに、さような意味では矛盾がかいことになるわけであります。
  26. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういたしますと、そのときの三本建の案と、現在高教組で立案をされて実行を考えておられる三本建の案は同じだ、こういうふうに考えてようございますか。
  27. 中谷盛国

    中谷参考人 そつくり同じというようには考えられないと思いますけれども、基本的な考え方としては、一致したものがあると思います。
  28. 浦口鉄男

    ○浦口委員 次に、この問題では、われわれ委員立場といたしましては、日教組、高教組両方の風から、個々の問題についてお聞きをしているわけでありまして、先ほどお話があつたとこるによりますと、この三本建の案については、日教組とまつこうから対立をしているというふうにも考えられるのでありますが、われわれの経験するところでは、必ずしもまつこうから対立をして、妥協の余地がないというふうには考えられないのであります。ただ三本建というふうな言葉の問題であるとかいうことに、幾分疑義があるようでありますが、内容においては、必ずしも妥協と申しますか、歩み寄りというか、解決の点は決して困難でないというふうに考えているのでありますが、そういう点の現段階における高教組としての見通しを、お聞かせ願いたいと思います。
  29. 中谷盛国

    中谷参考人 それは私役員の一人ですから、ここで申し上げるということも、若干都合の悪いこともあるのですけれども、しかし、この世の中に全然妥協ができないというようなものは、珍しいと思います。そういう意味で、妥協ということも、両方の組合がもつともと感ずるような、さらに前進したりつぱなプランというものが、全然できないとは考えられないのであります。従つてさようなプランがある一方で考えられたときは、それが悪く言えば妥協、よく言えばさらにたくさんの者から支持を受けるようなプランができたということになるのでありまして、そのようなプランができることをむしろ望むのであります。
  30. 浦口鉄男

    ○浦口委員 これは文部当局にお尋ねいたしておきますが、先ほど参考人の御意見にもありましたように、現在高等学校が、初等中等教育局の中に包含されているということに対する一つの御不満、それからいま一つは、教師の省称であります。これは必ずしも名称にとらわれないという御意見もあつたわけでありますが、所管の問題と教師の名称の問題について、文部省は何か今お考えになつていることがありますか。
  31. 水谷昇

    ○水谷政府委員 高等学校ということは入つておりませんが、初等中等教育局が所管しておるのでありまして、具体的に名前が出ておらぬだけであります。それから教諭、教授の名称につきましては、ただいまのところでは、大学教授高等学校以下は教諭、こういうことになつております。
  32. 浦口鉄男

    ○浦口委員 政務次官のお話は、事務的には高等学校の仕事もやつているから、名称にとらわれることはないだろう、こういうふうな御意見であります。これは一応御意見として承つていいとは思うのでありますが、しかし、先ほども参考人の御意見にあつたように、何か高等学校を軽く扱われているというふうなことから、給与問題などに対する文部省の熱意と、高等学校に対する理解というふうなものが、やはり低くなる一つの原因ではないか。これは非常に一般論になるわけでありますが、そういう点について文部省で何かお考えになつておりましようか。
  33. 水谷昇

    ○水谷政府委員 もう一回お答えいたしますが、中等教育というのは中学校高等学校教育である。高等教育というのは、大学教育ということになつておるのでありますから、この点御了承いただきたいと思います。それからなお、こういう点から高等学校に対する文部省の認識、あるいは態度が低くなるのではないかいうようなお話でありますが、そういうことは全然ありません。その給与におきましても、高教組等の主張せられる点は十分了承いたしまして、私どもの計画しておることは、職域の点において、明らかに職域給としてはおりませんが、学歴、それから資格というものについては、十分認めまして、その点において給与の点を引上げるような考慮をいたしております。
  34. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 今政務次官もお答えになりました通り、いわゆる高等学校までを中等教育というふうに考えて、分課規定におきましても、初等中等教育局の中に中等教育課というのがあつて、その中に押し込んでしまつている。こういう考えは非常にいかぬと思う。要するに、高等学校教育は、高等学校教育として一本建にして、プライドを持たせなければならぬ。給料等においても、その通りと私は思うのであります。どうかその点は、高等学校の振興のために、そういう考えを一瞬してもらいたいということを、私は強く申し上げまして、要望いたします。これは張合いを持たせなくてはならぬ。やはり今の中等学校というのは、昔の中学校と違うのです。義務教育で、全部が行く。卑近な言葉で言うと、権兵衛もだれでも行くところだ。胸を張つて教育を受ける選ばれたチャンピオン、これは高等学校から上であるのですから、これをまつたく一緒くたに考える思想から、今の高校の問題が出て来たのじやないか。これはきわめて重大だと思う。高等学校程度が非常に低いことを、われわれは嘆いております。実力がいかに低下したかということも、私はやつぱりここに根本があるのじやないかと思う。そういう意味におきまして、そういつたような文部省の考え方、分課規程の問題、そういうことからこの高校の問題も解決して来るのではないかと確信するものでありますが、どうかひとつ文部省はそういう考えを一擲して是正してもらいたいということを要望しております。
  35. 浦口鉄男

    ○浦口委員 給与問題については、人事院でも三本建に、たいへん理解のある立案がなされているということは聞いておりますが、文部省人事院とは、現段階において、どんな連繋のもとに立案されているか、その経過をひとつお聞きしておきたいと思います。
  36. 岡田孝平

    ○岡田説明員 この問題につきましてはかねてから人事院といろいろ協議いたしておりますが、人事院といたしましては、すべて新しい俸給制度につきましては、給与準則というものを法律でつくりまして、それによつて新しい給与制度をつくることになつております。この給与準則と言いますのは、通常国会に出す予算でありますが、その中にいろいろ俸給表がございまして、一般行政職員俸給表、あるいは船員俸給表とか、あるいは現業職員俸給表とか、いろいろございますが、その中に教員特別俸給表というものが出て来るわけであります。これは人事院がつくるわけでありますが、文部省といたしましては、かねてから教員の優遇につきまして意見を申し上げ、具体的な資料もたびたび提出いたしまして、その促進をはかつておる次第でございます。大体におきまして、人事院文部省とは、何ら意見の食い違い等はございません。まだ具体的な案はできておりませんが、いろいろと試案をつくりまして、それについて両方で研究をいたしております。  先ほど問題になりました高等学校先生給与の問題でございますが、これにつきましては、高等学校教員会議の御意見は、十分に私ども了承いたしております。また別に日教組の方の意見もありまして、これも伺つておるのでありますが、われわれといたしましては、高等学校先生も、それから中学校小学校先生、みんなが満足が行くような、そういう案をつくりたいということで、各方面から、またいろいろな角度から研究いたしております。一方は満足するが、一方は満足しないということではいけない。いろいろな点から、いかにしたらその処置をとり得るかということで苦慮いたしておりますが、大体高等学校の方の御希望は、十分に満足できるようなぐあいにつくりたい。二本建、三本建というような話もございましたが、そういう形式そのものにはとらわれませんで、内容的に高等学校先生実質的に有利となるような俸給表をつくりたい、こういう考えで努力しておる次第でございます。どうかそういうみんな満足するりつぱなものをつくりたい、かように念願しておる次第でございます。
  37. 浦口鉄男

    ○浦口委員 地財委が見えておりませんので――これは地財委の意見を聞くことがほんとうだと思うのでありますが、文部省ちよつとお聞きしておきたいと思います。それは今度のベース・アップでも、結局地方教職員については、財源の問題で非常に困難な場面に行き当つておるわけであります。今度の給与改訂も、結局地方財源を圧迫するというふうな問題になつて来ると思うのであります。それは現在の給与より下らないということは、これは最低の線であるということを承知しておるか。地財委の方の問題であると思うのでありますが、その辺地財委の意見がどの程度表明されておるか、文部省の御答弁を伺つておきたいと思います。
  38. 岡田孝平

    ○岡田説明員 ただいまのところでは、俸給表の原案について、従来いろいろ研究いたしておりますので、まだその案ができません関係上、財政方面の折衝は、あまり進んでいないのであります。
  39. 浦口鉄男

    ○浦口委員 三本建にするか、あるいは実質的にそれはふさわしい給与を与えるか、これは非常に形式の問題になると思うのでありますが、われわれの聞くところでは、こういう意見も出ているのであります。これをどちらにするかということは、われわれとしても非常にむずかしい問題で、まだ結論も得ていない問題でありますが、たとえば三本建といたしまして、大学教授を一本にし、高等学校の現在教職にある人を一本、それから初等中等の職にある人を一本、こういうふうに現職を基礎として現実的に給与をきめるというのが、大体高教組の希望のようにも考えている。ところが、一面には学歴を主に置いて、たとい現在初等中等学校の教職にあつても、たまたまそれが大学あるいは新制大学学歴を持つた人であれば、その学歴を重点に置いて給与体系をきめるべきだというふうな意見もあるように聞いているのであります。その点に対して、高教組の参考人の御意見をまずお聞きして、あとで文部省でもし意見があればお聞きしたい。
  40. 中谷盛国

    中谷参考人 申し上げます。私どもが今まで申し上げましたのは、職域給でございます。そして学歴給も中に入り込む必要がある。職域一本やりであるというのには、ちよつと教員世界は困る事情がある、ほかの社会でありますと、たとい小学校しか出ない人でありましても、たとえば会社の社長になつてさしつかえないわけでありますが、学校教員は、学歴とか免許状とかいうものがないと、いかに実力のある人でも、昔は代用教員と申しましたが、今ですと助教とか、そういうものにしかなれないわけであります。それほど学歴とか免許状をやかましくいう以上は、職域一本やりではいかぬ、学歴も含まなければならぬと、こう申したのであります。学歴一本で行くならば、これは私どもが先ほど申し上げましたような意味合いから、必ず欠陥が生じて参ります。学歴は、むしろそれに必要な措置だけして純粋の理論的には、やはり一般社会と同じように、職域給で行かなければ、教育上の文化は向上しない、かように考えるわけであります。
  41. 浦口鉄男

    ○浦口委員 最後に、これは議題の本筋ではないかもしれませんが、われわれが聞くところによりますと、高教組はこのたびの数職員の首切りに対して、あの首切りを肯定するから、交換條件で三本建をひとつ通してくれ、こういうふうな運動をしているといふことをほかから聞くのでありますが、おそらくこれはまあデマだろうとは思いますが、いかがですか。
  42. 中谷盛国

    中谷参考人 それは多分、日教組から出ております。機関誌である「教育新聞」というのがございます。あの中にさような記事があつたわけであります。あの新聞が相当流布されておりますから、従つてそういうことが広まつたと思います。あれはちようど古典の「徒然草」という書物がありますが、うわさというのは、一つできると次々に伝わるものである。そのうちには、確定したもののように伝わる。ちようどそれと同じようなものであろうと、われわれは考えております。今まで私たちは、三本建給与体系制定を御希望申し上げると同時に、教育職員の行政整理についても、乙号表、基準を決して割つてはいけない、甲号表を基準に一日も早くやつていただきたいということを、各所で運動しておる次第でございます。以上でございます。
  43. 若林義孝

    ○若林委員 さきに日教組から、教育関係者は一つ組合で、日本の教育なり、またお互い関係者が生活を保障せられて行くということについても、組合として一本であるのが私たちは理想のように思うのでありますが、今日、大学先生たちは、これには関与せぬ、また高等学校の関係者が離脱をしているということについては、大いにお互いに反省もあり、また別の希望もあるからであろうと思うのであります。おそらくこの三本建であるとか、一本建であるとかいうことで、分離をしたのではなかろうと思うのでありますが、この分離をせられました理由、これを簡明率直に参考人から承りたいと思います。
  44. 中谷盛国

    中谷参考人 簡単に申し上げますと、六・三・三・四という四つの教育というものができました。大学大学として学術専門教育いろいろありますから、世間の人は忘れないのであります。また義務教育は、基礎であり根本であるというようなことで、どなたもお忘れになられないようであります。ただ高等学校は、忘れるということで意識してお忘れになるわけではありませんが、その点六・三・三・四の円満なる発展という点から見ますと、高等学校のように欠くるところが、悪意ではないが、結果として出て参りました。さような意味合いから、日教組義務教育を中心に、われわれは高等学校中心に、大学は、南原東大総長あたりが、常に大学教育の振興ということを考えておられるようでありますが、大学大学として中心に、そうして六・三・三・四の円満なる発展が期待できるということから高教組というものをつくつた、これが真実な、全般的な御説明になるかと思います。
  45. 若林義孝

    ○若林委員 あるいは参考人からは言いにくいかもしれぬと思うのでありますが、われわれひとしく教育に関心を持つております者から、日教組の活動というものを考えてみまするときに、私はこの組合というものは、あまり政治的に、政党に利用されるような組合であつてはならぬと思う。そうすると、たつといところの教育というものが、政党によつて毒されるおそれがあるのであります。過般免許状の法案についてのときであつたと思うのでありますが、本会議において社会党のある議員が、自由党がこれに反対するというのは、日教組社会党に属しておるところのものであるからであろうというようなことで、いかにも日教組社会党の手足に甘んじておることを誇らしやかに述べられたのであります。私は、そのあとに立ちまして、やはり大会議場において、これは教育を冒涜するところのもつてのほかの言辞であろということを述べて、その後地方行政委員会でありましたが、やほりこの意味において述べておいたのでありますが、やはりこの言葉が、本会議で述べたにもかかわらず、日教組の方は何の抗議も出て来ない、甘んじてこの政党の手足になつているという、このことを認めておるということ自体が、不可解きわまるものだと私は考えているのであります。すべての行動を、選挙その他に関連いたしましても、中央から一本で発せられる指令のまま、外部の第三者の目から見ますならば、自分がたつとい教職に携わつておるということさえ忘れたような行動をあえてし、香川県のごとき餐盛を買うておるというような事柄があるのであります。これは私は決して社会党を責めておるのではございません。日教組の指導者が誤つたため、かくのごときたつとい使命を持つておる日教組みずからが墓穴を掘つておるのではないかという気持で慨嘆にたえぬのであります。岡山県のごときは――私直接関係があるのでありますが、かくのごとき政党の手足になつたことも、ときにはあつたでありましようけれども、それは偶然そうなつただけである。常に教員というものの良識によつて行動いたしておるのでありまして、私はこれには敬意を払つておるのでありますが、今私が述べましたような事柄が、やはり分離の原因に拍車をかけるのではないかという気持がするのであります。そこでこのお気持が分離の理由の中に入つておるかということが一点と、なお希望として、幸いもしそういう気持が分離する理由なつたといたしますならば、この高教組というものは、これまた政治的活動においても、あるいは日常の経済面の運動においても、教職というたつとい職務に携わつておる者の組合であるということを自覚せられて――政党は利用してよろしい、自分たちの目的達成のために政党を鞭撻して行くということは大いに望ましいことであるけれども、一もなく二もなく無條件に政党の手足になつて、しかも、随喜の涙をこぼすがごとき行き方で行くというようなことのないようにしていただきたいと希望をするのであります。少くとも良識を備えた国民の師範となるところの者の組合である。だから、各労働組合あたりをも、ほんとうにリードして行くものであつてほしい、こういうように思うのであります。先ほど首切りと交換に云々というようなことがあつたようでございますけれども、これはためにすることである。私たちはこの見地に立つて、ほんとうに模範的な労働組合に高教組がなつて行くのだという決意で行かれますならば、われわれといたしましても、政党政派を超越して、正しき要望はひとつ貫徹さすべく努力をすべきであるというような気持が起るのであります。由来文部関係というものは、特に文部委員会は、参議院はともかくといたしまして、各政党的の色彩を持つた人たちの集まりではありますけれども、この委員会の空気というものは、事文教に関することに関しましては、おそらく政党政派を超越して――ときどき共産党委員は、良心には反するけれども、やむを得ず指令を受けた者の言辞は弄せられますけれども、腹のうちはわれわれと同じ心持ちでおられることはありありと見られるのであります。ここにおられます社会党の松本七郎委員のごときも、口には出されぬかもしれぬけれども、おそらく日教組が今までとりました態度は、苦々しく思われておることが多々あると思うのであります。少くとも本委員会は、政党政派を超越して、文教政策の推進をして来たつもりであるのであります。にもかかわらず、何かといえば、日教組というものがへんぱな行き方になろうとすることは、先ほど岡委員の言われたようなことがありますが、この点高教組は、われわれが一生懸命になつたから、自由党の手足にならなければならぬというような考えは毛頭お持ちにならないよう、またいわゆる政党的な色彩を帯びないで、真に日本の教育を推進して行く、また大学教育に関しましても、これは無関係ではないので、やはり連関を持ちつつ国会にその正しい輿論を反映するものであつてほしい、こういう希望を申し述べておきたいのであります。申せばいろいろたくさん言いたいこともございますけれども日教組が今までとりました政治活動について、先ほど岡君は平和條約と安保條約についての態度で表明をされておつたようでありますが、私は日教組が悲しいかなみずから墓穴を掘りつつあるように思つて寒心にたえないので、その点ひとつ高教組関係の皆様方の意見を承つておきたいと思います。
  46. 中谷盛国

    中谷参考人 これにつきましては、私たちの正式な機関で正式に決議したということは、今まで不偏不党ということだけであります。あとは正式な会議でなく、役員が個人的に、組合員が個人的にお話した空気ならば申し上げることができます。正式に決定したことは不偏不党ということでありますので、空気を申し上げます。従つて空気でございますから、これは決定というのとは違いますが、それは確かに今若林先生が言われましたような、社会に存在意義の深い組合でありたいという希望は、どなたも抱いておるというふうに私は確認しております。それから政治活動につきましても、ともかく国民である以上、政治に無関心であつてはいけないということは承知しております。ですが、ともかく行つてならないところまで行き過ぎたりするとか、さようなことについては、みな良識をもつて判断した行動をとりたいというふうに、各組合員の意向をわれわれは聞いております。機関にはかつた決定ではございませんが、私がとらえた人人の空気をお伝え申し上げて、お答えとさせていただきたいと思います。
  47. 松本七郎

    ○松本(七)委員 文部当局にちよつと伺つておきたいのです。文部当局の御説明では、何か職域の建前は現行通りとして、学歴を加味することによつて両方が満足するようなものにしたい、このように私は理解したのでありますが、そう了解してよろしゆうございますか。
  48. 水谷昇

    ○水谷政府委員 それでけつこうでございます。
  49. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そうすると参考人の方に伺つておきたいのですが、高教組としてはそれを改めて、いわゆる職域別をもう少しはつきりして三本建にするということを第一條件にしてその上に学歴を加味するという行き方をしたいというわけでありますか。
  50. 中谷盛国

    中谷参考人 そうであります。
  51. 岡田孝平

    ○岡田説明員 ただいまの職域別云々というお話は、厳密にいいますと、職階制の問題になつて来るのでありますが、教員の職階制ということは、一般の行政職員の職階制とは違いまして、むずかしい問題だと思つております。小学校の職員が一番下であつて、その上が中学校、それから高等学校というふうに、はつきり職階制上の区分があるということは、なかなか言いにくいのじやないか、普通の意味の職階制ということは、なかなか言い切れないと思う。むしろ教員のいわゆる職階制につきましては、幾多の問題と、また疑問を持つておるのでございまして、その意味で、はつきり職階制を打立てて上下の関係をつくり、たとえば高等学校先生から中学校にかわつた場合は降任だ、中学校から高等学校にかわつた場合は昇任になる、そういうようなことはちよつとまずいのであります。従つて教員の場合の職階制といいますのは、われわれのような普通の行政職員の場合とは違つて、これは職種の一つの代名詞、たとえば校長であるとか、あるいは教諭であるとか、そういうような職種の代名詞というふうにわれわれは考えておるわけであります。そういろ関係もありますので、なかなか職域別に、学校体系別に載然と職階をつくつということは、問題があるわけであります。しかしながら、そうかと申しまして、全然職域の別がないとはいえないのでありまして、現実的に見まして、高等学校と中学校とは、明らかに職務内容も違いますし、一つ職域とみなすこともできるのであります。また一方学歴、それから資格、免許状の関係、これにつきましても非常に大きな関係がありまして、学歴の高い方は、大体上級学校へ行つているのが普通であります。免許状の高いものを持つているのが、上の方へ行つておるのであります。学歴、それから一方勤続年数、資格、そういうような関係等、いろいろな面を総合いたしまして、一つ体系をつくりたい。まだはつきり具体的にはなつておりませんが、大体の考え方といたしましては、かように考えております。従つて三本建というふうに、はつきり体系そのものを形の上に現わして示すということは、いろいろ問題がありますので、そういう形の問題でなしに、内容的に学歴あるいは資格というものを中心にいたしまして、それに学校の区別を考えて加味して行くというふうに行きたい、かような考えで、人事院にも意見を申し上げております。
  52. 長野長廣

    長野委員長 参考人に対する質疑はこの程度でよろしゆうございますか。――それでは参考人よりの意見聴取は、本日はこの程度といたします。  この際私より参考に対して一言お礼の言葉を申し上げます。  参考人の方には、御多忙中にもかかわりませず、当委員会審査のために貴重なる御意見を承りましたことを、厚くお礼申し上げます     ―――――――――――――  参考人の方には、御多忙中にもかかわりませず、当委員会審査のために貴重なる御意見を承りましたことを、厚くお礼申し上げます
  53. 長野長廣

    長野委員長 これより政府当局にする質疑を許します。渡部君。
  54. 渡部義通

    ○渡部委員 大学学術局長が見えておるので、ちよつとお尋ねいたします。十二日の京都大学学生事件について、大学事務局長が何か書類を携えて上京しているということが新聞に見えましたが、そのことによつて事件の内容なるものが、どういうものであるという点が明らかにされたのか。これに対して京都大学当局が、どういう考えでどういう処置をとられようとするように見えるか、さらにまた文部当局はこの事件をどういうふうに処理をしようという相談をしておるのか、考えられておるのか、その点をできるだけはつきり、具体的に御説明願います。
  55. 稻田清助

    ○稻田政府委員 お話のごとく、京都大学の事務局長が参りまして、当日の事件の経緯につきまして聴取いたしたのであります。お話の第二の点であります、大学当局の措置につきましては、目下大学当局が検討中でございまして、その結論はいまだ聞き得ないのであります。従いまして、その措置に対しまする文部当局としての考えも、まだきまつておりません。
  56. 渡部義通

    ○渡部委員 第一に、経緯はどのようなものであつたのか、詳細に御説明願います。
  57. 稻田清助

    ○稻田政府委員 大学当局から聞きますところによりますれば、当日、十二日午後、陛下が京都大学に着御せられまして、学長室にお入りになり、学長から大学一般状況を御説明申し上げてその後各教授から研究の結果につきましていろいろ御説明申し上げ、その御説明が長引きましたし、御下問もありましたような関係で、予定よりも約十一分遅れて御還幸になつたわけでございます。この行幸に際しまして、京都大学及び府、市の警察当局と万般の手配をいたしておつたのでありますが、お帰りに際しまして、学生の一部及び学外から参つたと考えられまする学生、その他の人々が、陛下の歯簿の通路に、以前は整列いたしておつたのが、だんだん出て参りまして、自動車が進行いたしますに支障を来すという状況がありましたので、大学当局がそれを制止いたしましたけれども大学当局としては制し切れない状況に立ち至りましたので、警察に依頼いたしまして、その辺を整理いたしたわけでございます。その整理によりまして歯簿は通過せられたのでありまするが、その間におきまして、学生の一部はプラカードを立てましたり、あるいは平和を守る歌等を歌つて、相当混乱の情勢を示したというような状況であるのでございます。これにつきまして、学生がどういう順序においてこういう行動に出たか、また取締り手配等についての職員の措置責任等がいかようであつたかというようなことにつきまして、さらに詳細に事実をきわめるとともに、大学自体の措置を講ずるということになつております。
  58. 渡部義通

    ○渡部委員 新聞によりますと、事件発生前に警官をして警備させておけばよかつたというふうな大橋総裁の答弁が、参議院において行われておりますが、事件発生前において、学校当局と警察当局との間に、事件を予想してか、あるいは一般警備の問題としてか、何か打合せがありましたか。
  59. 稻田清助

    ○稻田政府委員 大体大学当局と警察当局と打合せましたことは、学内は大学自身において秩序を維持する、正門外については警察官が秩序を維持する、これを建前としながら、なお少数の警官を学内に配置しておつたわけでございます。事件が起りまして、大学当局としては警察官の応援を頼む以外に、秩序を維持することができなくなりまして、その時期において警察官が多数入つて参りまして、秩序を維持するに至つたのであります。
  60. 渡部義通

    ○渡部委員 警察官が多数入つてと言われましたが、どのくらいの警察官が入り、またどのような形で秩序の維持がなされたのか、その点詳細にわかりますか。
  61. 稻田清助

    ○稻田政府委員 事件前から配置いたしましたのは、二十名以上の警官であつたと聞いております。事件が起りましてから入りました警察官の数は、私どもつまびらかにいたしておりません。大学職員が制止するのとともに警察官において歯簿の進行路の整頓をしたということを聞いております。
  62. 渡部義通

    ○渡部委員 その後の学校当局の方針はまだ決定していないと言われているが、いろいろ新聞では、厳重な処置をとるか等々のことが伝えられております。現に考えられているところは、どういうふうにされるつもりなのですか。
  63. 稻田清助

    ○稻田政府委員 前申し上げましたように、目下大学当局において検討中でございます。
  64. 渡部義通

    ○渡部委員 検討中というだけの報告を受けられたのか、大体こういう事柄について検討しつつあるという報告を受けられたのか、その点を伺います。
  65. 稻田清助

    ○稻田政府委員 報告としては検討中という報告でございますが、この事態を見ますれば、あらかじめ大学において、集会をする、あるいは示威行動に出るというような場合におきましては、大学の許可なくしてやり得ないことになつておりますから、こうした事態が発生いたしますれば、そうした行動を起した個人あるいは学生の団体に対しまして適当な措置を必要とすると考えられます。
  66. 渡部義通

    ○渡部委員 文部当局としては、大臣もその他も、非常に遺憾であるということを強調されておりますが、しかし、単に遺憾という問題だけじやなしに、この種の問題についての当局の考え方と、さらにまた起きた事態についての収拾処理の方法については考えられつつあると思うし、一般的には考えられておると思うのですが、その点について説明してください。
  67. 稻田清助

    ○稻田政府委員 学生の自治活動につきましては、もとより学生自身の覚醒と、そうした団体の健全なる運用についての進歩に期待するのが第一であるわけでございますが、遺憾ながらその間常軌を逸脱するような行動に出ました場合におきましては、大学当局において断固たる処置をとられることを、文部省としては期待いたしております。
  68. 渡部義通

    ○渡部委員 この種の問題が、天皇でなかつたならば、もちろんさほどの大きい問題じやなかつたと思うのですが、天皇であることのために、この事態があたかも民族や国家の重大事件であるかのような口吻をもつて大臣も本会議に報告されており、当局も考えられているようですが、天皇であることがなぜこの種の問題をこれほどの大きな問題として取上げなければならなかつたのか、大学局長としての考えを伺つておきます。
  69. 稻田清助

    ○稻田政府委員 憲法に規定いたしておりますように、国家の象徴、国民統合の象徴であります天皇陛下を大学に迎えます場合におきましては、迎えるにふさわしき大学の学生の態度があるべきものと考えております。
  70. 渡部義通

    ○渡部委員 私は、根本問題については大臣にお尋ねしたいと思うのですが、ただちよつと考えを申し上げておきますと、事件の内容は、学生諸君が平和と民族の問題に関連して、あるいは二つの條約問題に関連して天皇の考えを知りたい、あるいは学生諸君の考えているところを天皇に伝えたい、こういう事柄であつたわけです。この事柄について、日本の青年として自分たちの考えているところ、切望しているところを、ほんとうに天皇にも訴えたい、こういう見地からなされたようにわれわれは、新聞紙上でありますが、見受けているわけです。先日衆議院で承認されました二つの條約が、日本民族に対する隷属的な條約であるということ、またその結果が戦争を促進するような内容を持つものであるということについては、多くの方面に懸念があるわけです。これは日本の国民の非常に多くの中にも、また世界の民主的な平和勢力の中にも、このことを非常に懸念する空気が強い。これはだれも御存じの通りでありますが、こうした国民的な空気を鋭敏に感じている学生諸君が、日本の民族の独立を考えたり、戦争の危機を防がなければならぬと考えて、また戦争が起つた場合には、みずからがその戦争のために動員せられなければならないかもしれないような状態に置かれている学生諸君が、非常にこれらの問題を重大視することは当然のことであり、従つてこれをその行動に現わすことも、当然のことだと考えられるわけです。第一に、その点が当然のことであるし、さらに――天中は日本の国民統合の象徴であつて、政治的な存在でないから、この政治的な存在でないものに政治問題を訴えるというのは、非常識でもあるというふうな意見があるようでありますが、しかし天皇は明らかに、単に憲法の紙の上に伝えておる国民統合の象徴であるというだけではなくて、はつきり政治的な存在であるということが言えると思う。ごらんの通りたとえば国会の…。
  71. 長野長廣

    長野委員長 渡部君、御質問はあまり討論的にならぬように…。
  72. 渡部義通

    ○渡部委員 質問の内容です。――だから国会における開院式の勅語を読んでも、はつきり一定の政治的の性質を示しておる。この一定の政治的な性質を持つている天皇であるから、その点、国民としてその意見を聞くということも当然のことであるし、さらにまた、この天皇の場合には、太平洋戦争のとき、日本帝国主義が東洋を侵略した場合にも、この侵略や戦争について非常に大きな責任があつたと思うのです。この責任があつた天皇についてその考えを聞くことも、これは学生としてわれわれは認めなければならない。こういうふうな……(「主権在民だ」と呼ぶ者あり)在民論じやなくて、そういう天皇に現実的な政治的な色彩を持たせており、また現に持たせようとしておる支配階級の意図があるので、この問題がこういう大きな問題としてことさらに取上げられているのじやないかとわれわれは考えざるを得ないわけです。つまりこの空気は、天皇制を復活さようとする一つの空気として諸君肩身が実際つくり出していると思う。……(「ばかなことを言うな」と呼び、その他発言する者あり)たとえば……。
  73. 長野長廣

    長野委員長 渡部君簡潔に質問を願います。
  74. 渡部義通

    ○渡部委員 つまり文部当局の教育方針からいいましても、君が代を奨励じたり、国民実践要領をつくろうとすることが、天皇制復活へ向つて方向、少くとも歴史的な方向をつくり出そうとしているのだということを、委員会としても認識されなくてはいかぬ。それから国会の中でも、横ばいをしたりするような空気が存在しておる。これはあなた方も横ばいをされておるのですが、そういう形で依然として存在しておるわけです。広くこういう空気をつくり出して行こうとするところに、われわれは今度の問題をことさらに大きく問題として取上げようとする空気があるのではないかというふうに考えておるのです。こういう事柄を、文部当局としては十分判断されて、この問題はそれほど大きな問題ではないのだ、むしろ天皇に対してその意見を聞いたり、訴えたりするということは当然であるというような空気をつくり出す必要がある。国会もまたそういう必要があると思う。国会も横ばいというようなことはやめて、今天皇が憲法に認められておる地位にふさわしい形においてのみ考えて、何か神聖不可侵であるというような昔の観念を再びつくり出すことのないようにすることこそが、国会自身も必要であるし、特に教育の上では、将来の日本の新しい創造のために、ぜひされなければならない態度であろうとわれわれは考えるわけです。こういう空気をつくり出していること自体が、つまり憲法の中に天皇を象徴として温存させて来た根本の理由もそこにあるわけです。こういう空気をつくり出して、やがて日本を軍国主義化して、戦争の方向に動員するためには、天皇が必要であつたからこそ、アメリカは日本の憲法をつくるときに、その草案の中で天皇を温存させておる。だからこの観点に立つて、今度の問題も、われわれは文部委員会としても、学校当局としても慎重に考えられなければならないじやないかというふうに考えておるわけなんで、この点についての文部当局の意向を聞きたいと思います。
  75. 稻田清助

    ○稻田政府委員 学生が意見を述べたり、あるいは国政運用の動向を知りたいという場合におきましては、これに対すべきいろいろな方法と機関があろうと思います。そこには大学当局もあり、行政機関もあり、また国会もあるわけでございます。ああした場合におきまして、天皇陛下に対して、直接こうしたことについての交渉を持ちたいという学生の動向を制止いたしました大学当局の措置につきましては、私どもは当然だと考えております。制止を聞かずしてある行動に出ました学生に対しましては、大学当局において適当な処置があるべきことを期待いたしております。
  76. 渡部義通

    ○渡部委員 それでは、天皇に対する意見を聞き、あるいは訴えることのための行動が問題になるのではなしに、学校当局の制止を聞かなかつたという点が、学生の処罰上の問題になるのか、その辺はどうなんですか。
  77. 稻田清助

    ○稻田政府委員 具体的な問題といたしましては、その経緯は一連のこととして検討せられるべきものだと考えております。
  78. 浦口鉄男

    ○浦口委員 局長に簡単にお聞きしますが、結局これは方法の問題だということはよくわかる。ところが、先ほど渡部委員のお話のような、これは学生が、天皇の憲法上の位置、権能その他の問題は別としての、純粋な、陛下にお聞きしたいという気持からやむにやまれずして出たものか、あるいはその他に何か意図があつたものか、その点文部省としては何かお考えになつておりますか。
  79. 稻田清助

    ○稻田政府委員 行幸の前において、しばしば学生と学校当局の間において、学生のこうした希望を取上げる取上げないというような点について交渉があつて、制止して参つたのでございます。学生の心のうちにおいて、いかなる動機に発したかということは、なかなかわかりにくい問題だと考えておりますが、ただ表面に現われました要求そのものが不適当であるという点で、大学が制止して来たことだと考えております。
  80. 浦口鉄男

    ○浦口委員 今後こうした類似の問題がないとは限らないのでありますが、そういう点について、文部省としても慎重に対策をお考え願いたい。  いま一つは、こうした具体的な問題が起きたときに、直接文部省に監督権がないということは承知しておりますが、何かそこに勧告というふうな形はなされるとも承知しておりますが、文部省として、今度の事件に対してこうあるべきであるとか、こうあるべきでないとか、意見を発表されたか。あるいはこうしたいろいろな問題について、単なる学生の自治会だけにまかせる、自発的判断成長にまかせるということだけでなしに、指令というふうなやかましいものでなくて、意見を発表するつもりかどうか、そういうことに対して局長の御答弁を承りたいと思います
  81. 稻田清助

    ○稻田政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、目下大学当局において措置を考究中でございますので、その措置の決定の線を見まして、もしわれわれとして必要あれば、必要な措置をとりたいと考えております。
  82. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それからいま一つは、こういう問題が起るのは、突発的な問題でありますから、たとえば、きのう起きた事件をすぐきよう当局の意見を聞くというのは、実際むずかしいと思います。しかし今までいろいろ大学に起きた問題について、この委員会で問題になつたのでございますが、そのときにまだ全然聞いていないとか、三日四日たつてもまだ調査中とかいうこと希非常に多いのであります。一体文部省は、こうした具体的な事件に対して、どういう方法で連絡されておるのか。そういう事件を知るとともに、すぐ電話で聞くとか、あるいは人を派遣するとか、何かそういう積極的な方法を、つておられるか、向うの報告だけ待つておられるのか、全体的の連絡に対して承りたい。
  83. 稻田清助

    ○稻田政府委員 いろいろな問題の起りました場合には、ただちに大学当日から文部省に報告するようになつてもるわけでございます。また反面文部当局といたしましては、いかなる角度から耳にいたしましても、いろいろな行政官庁を通じましてあるいは、また大学当局に直接照会する等の方法をもつて、すみやかに事件の実態を把握することに努めております。ただいろいろ御質問のありましたときに、お答え申し上げる場合に、事の的確を期しまするために、いろいろな資料の集まるまで御猶予を願うというような場合も、従来相当あつたかと考えております。
  84. 浦口鉄男

    ○浦口委員 最後に希望を申し上げておきます。きのう同委員からもお話があつて、天野文部大臣も、何かそういう発言をされたのでありますが、現在の文部大臣は、義務はかりあつて権利かない、大学管理法を撤回して云云というような御意見かあつたわけであります。これもちよつと問題になつておるのでありますが、私はそういう法的な措置をする前に、根本はもちろん大学の自治を破壊しないという原則に立つとは思うのでありますが、今申し上げたような具体的な問題について、文部省はもつと敏速に、的確にひとつ連絡をとつて御処置いただきたいということを、要望して、質問を打切りたいと思います。
  85. 渡部義通

    ○渡部委員 大学局長は私の最後の質問に対する問題の焦点を、まつたくぼやかしていると思う。私の言つたのは、天皇に対して意見を述べたり、あるいは天皇の意見を聞いたりするような行動それ自体と、それをやる場合において、学校当局の方針に基く学内秩序を保つ問題とは区別して考えらるべきじやないかという点なんです。
  86. 稻田清助

    ○稻田政府委員 学校当局といたしましては、当日陛下に学生が直接お目にかかつて、いろいろ意見を申し上げたいという希望を、適当ならずと考えて阻止いたしたのであります。また第二攻に、その阻止にかかわらず起しました行動については、遺憾としておるわけであります。
  87. 渡部義通

    ○渡部委員 それはで学生が天皇に対して意見を述べたり、その意見を聞いたりすること自体は、問題ではないということになるのですか。
  88. 稻田清助

    ○稻田政府委員 先ほど申し上げましたように、学生が直接天皇に対して意見を申し上げるということは、私は不適当と考えております。先ほど申し上げましたように、そこには学校当局もあり、行政機関もあり、また国会もありますから、いろいろ事の性質によりまして、学生が意見を述べる相手は、適当な機関があろうかと考えております。
  89. 渡部義通

    ○渡部委員 従つて不適当ではあるが、それ自体としては、不敬罪はないはずなんだから、何ら処罰に値するような性質のものではないというふうに考えていいですか。
  90. 稻田清助

    ○稻田政府委員 申入れを大学当局が拒絶いたしました場合に、その拒絶に服せば問題はないと思います。
  91. 渡部義通

    ○渡部委員 私はそれを言つているのじやない。大学当局に申し入れて、大学当局の意思は従わなかつたということを問題にする前に、天皇に対して意見を述べ、天皇の意見を聞こうとすること自体が、学生として不適当であると当局は考えたとしても、これは当局から処罰に値するような性質のものとしては、考えられないのじやないかということなんです。
  92. 稻田清助

    ○稻田政府委員 その意味でお答えしたつもりでございますが、大学当局の制止に従いましたならば、処罰に値しないものだと思います。
  93. 渡部義通

    ○渡部委員 そういうことじやない。ぼくの言つておるのは、大学当局に従うか、従わないかという問題を、問題にしているのではない。そうじやなくて、天皇に、いわば昔の直訴をなすことが、不適当ではあつても、処罰の対象にはならないのじやないか。大学当局の意見に服するか、服さないかということは、第二の問題であり、そういう問題は一応次の事柄として考えてもいいと思う。
  94. 稻田清助

    ○稻田政府委員 御質問意味を、的確に把握しかねるのでございますけれども大学大学の秩序を、大学の責任者において維持いたしておるわけでございます。学生の行動も、大学の秩序に従つてすべきものである。それを破つて学生が行動したとすれば、その程度に応じて処置があり得べきものと考えております。
  95. 渡部義通

    ○渡部委員 では、大学の秩序との関連においてのみ、これが問題になるのであつて、天皇に対して意見を求め、あるいは天皇に意見を述べるという行為そのものは問題じやない。大学の秩序そのものに関連してのみ、そのことが問題になるのだ、こういう意見ですか。
  96. 稻田清助

    ○稻田政府委員 大学の秩序というものを、具体的の場合に当てはめて考えますれば、その際において、天皇に直接意見を述べるということは、いけないと考えたわけでございます。
  97. 渡部義通

    ○渡部委員 いけないと考えたわけだというのは、あなたがいけないと考えたわけですか。
  98. 稻田清助

    ○稻田政府委員 大学当局がでございます。
  99. 渡部義通

    ○渡部委員 文部当局はどうですか。
  100. 稻田清助

    ○稻田政府委員 文部当局も、大学当局の考えは是なりと考えております。
  101. 小西英雄

    ○小西(英)委員 文部当局に一言お尋ねしたいのですが、このたび京大に起つた騒擾事件の学生の一派と、数日前に同僚の水谷議員のところに相当な乱暴をした学生があると伝え聞いておりますが、それと関係があるかないか、一言お伺いしたい。
  102. 稻田清助

    ○稻田政府委員 京都大学における学生団体たる同学会の構成分子において、両方の事件に一連のつながりがあると察しております。
  103. 平島良一

    ○平島委員 学生が京都で騒いだことは、私としては重大な問題だと考えております。ただ学生が憲法も知らなかつたというような立場から、軽挙妄動したというだけなら、まだ許すべきであろうと思うのでありますが、現在日本には、この日本の現状をどこまでも破壊しようという危険な思想を持つた人達がおるのでございます。そういう人達が、天皇にかくのごときことをすることによつて、社会への影響を大きくせしめて、自分らの抱懐しております危険なる考えを実現せしめる一歩一歩を歩んで行こうとする計画的のものであろうと、私は考えておるのであります。そういう意味合いから考えますと、これはまことに重大なことになつて来るのであつて大学当局においても、文部当局においても、それはどういうものであつたかという原因を、よくお調べになつて、それに対する厳重なる処断をお願いいたしたいと思うものでありますが、それについてどういう御意見を持つておられるか。
  104. 稻田清助

    ○稻田政府委員 お言葉のように、事態を検討いたしますれば、相当計画的なものであつて、決して偶発的なもので、はないと考えております。従いましてお言葉のように十分事態を調査いたしまして、適切な処置を慎重に考究いたしたいと思います。
  105. 小西英雄

    ○小西(英)委員 渡部委員は、この天皇行幸の際の騒擾事件に対して、大した問題ではないじやないか、直訴するくらいのことは、何もいろいろな犯罪に問われぬというような含みの話を絶えずここでされておりますが、数日前すでにそういうふうな厳重な処置が講じられなかつた例が、同僚水谷議員の家の一部を破壊してあのような状態になつたので、あの際まさに制止の警官隊が少い場合には、あるいは陛下の自動車を破壊して、けが人を出したかもわからぬ可能性があつた。これは数日前の事件とつないでみれば、今答弁されたように、一連の団体のしわざはかような危険なものであるので、われわれは文部当局並びにそれらに対する処置を厳重にする必要があると考えます。
  106. 渡部義通

    ○渡部委員 今言われたような意見が、一般にいろいろ行われており、これらの意見が、まつたく間違つた意見であるということを、はつきり論証できるのでありますが、しかしきようはそういうふうな問題を論議するのではな上に、文部当局の意見をこの問題について明確にしておきたい。少くともその情報をはつさりさせておきたいというのが、私のほんとうの質問の趣意でありましたから、情報がある程度明確になりましたし、さらに今後明確になるでありましようから、私の根本的な考え方――私の考え方だけではなしに、日本の民族として、日本の国民として当然こう考えらるべきもあるという考え方については、そのときに大臣と意見を交換してみたいと思います。  それから、きようは法務総裁に対して、この問題に関連する他の問題で明らかにしておきたい問題があるので、しばしば委員長の了解を得た上で、法務総裁の出席を要求しておつたのですが、その点はどうなつておるか。法務総裁は多忙であるらしいことは了解できるが、参議院の方ばかりまわつてつて、これほど重大なものとして取上げられておる問題、あるいはさらに別個の重大な諸問題があるのに、文部委員会の要望を満たさないということについての、はつきりした説明を求めてみたいと思います。
  107. 長野長廣

    長野委員長 渡部君にお答えいたします。法務総裁は、ただいま参議院の予算総会あるいは、條約問題等につきましてどうしても手が離せないそうでございますが、しかしこの次の会におきましては、相なるべく出席していただくように、一層努力をいたしたいと思つております。御了承を願います。
  108. 松本七郎

    ○松本(七)委員 さつきの渡部さんの御質問に関連した問題で、これは法務総裁に伺つた方がよろしいかと思いますが、文部当局として御存じの範囲でけつこうですから、伺つておきたいと思います。今度の事件で、さつきの渡部さんの質問に対上、文部当局の方では、要するにあれを学校当局の制止、拒否ということと切り離して考えるわけには行かないという建前からの御答弁であつたように思います。渡部さんの方は一応これを形式的に分離して、制止した、としないということは別に、とにかく直接陛下に訴えること自体が――もちろん文部当局の考えでは不当だと言われるけれども、処罰の対象になるのかならないのか、こういうふうなことを聞いておるのだろうと思うのです。そこで、昔でいえば直訴、陛下に直接そういうふうなことをしようとすることそれ自体が、処罰の対象になるのか、法的なところをひとつ御参考までに伺つておきたい。
  109. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまの問題につきまして、一般論的な法的問題につきまして、われわれといたしましては、言及することをお許しいただきたいと思いまするし、これはひとつ法務府関係におただしいただきたいと思います。
  110. 長野長廣

    長野委員長 この際私からひとつお尋ねしたいと思いますが、今春の国会におきまして、本委員会では、三大学の学長の出席を求めて、学生の思想及び行動に対する問題について、その参考人としての意見を聴取したことがありました。今回の京都大学における事件につきましては、当時の学生思想と根本的に、形式の点において相似たものがあると思います。ただいま平島委員の述べられたように、これについては、いろいろの観点から考えまして、重大控を感ずるものであります。つきましては、文部当局とせられては、今後あつてはならないことであるが、またこれに似たような問題なりとも発生した場合におきまして、事後に区々の対策を論議するということでは、いかがかと思いますので、この際基本的な対策とでも申しますか、これをひとつ考えて、樹立しておく必要があるのではないかと思うのであります。ただにこの種の問題のみではありません、学生思想に発端する問題及び社会的に関連した複雑な関係よりするところの問題、これらに対していかなる対策をとるかということを、はつきり腹につくつておく必要があるのではないかと思うのでありますが、いかがでありましようか。またさような点について、今後いかに実行に移されるのでありましようか。これをお尋ねしたい。
  111. 水谷昇

    ○水谷政府委員 すでに大臣も本会議でこれを御報告になりまして、遺憾の意を表せられたのでありますし、この問題は、私ども非常に重大に考えておりますから、よくその真相をきわめまして、将来のために備えたいと考えております。よく相談をいたして対処いたしたいと考えております。
  112. 渡部義通

    ○渡部委員 実は提案があるのです。この問題は、ともかくもセンセーシヨナルな形で、国会の中でも、社会一般の中でも、問題になつておると思います。事は天皇に関する問題であり、あるいはまた天皇制に関する問題だと言つた方がいいかもしれませんが、いずれにしても、天皇に関する物の考え方が、こういう問題をセンセーシヨナルなものにしたのだと思います。この天皇に関しての事柄は、憲法にも規定されておるのだが、今後の国民教育、今後の日本のあるべき将来を予想した上での、もつと明確にいえば、科学的に検討した上での日本のあるべき方向を見出す、それを見出した上で、日本国民教育についての方針を立てて行くという上からいえば、この天皇の問題が起つたことは、幸か不幸かは別としまして、非常に重大な関心を新たにするものだと思いますから、この際この天皇に関する問題を明確にするだけではなしに、それと関連しての日本の教育方針を明らかにするという見地から、これを広く日本国民の良識に問うてみようじやないかという考えなのです。つまり、しかるべき学識経験者、あるいは、できるならば他の階層の代表者とか、あるいは学生なら学生たちとか、そういう人たちから意見を聴取する機会を、委員会として持つ必要があると私は思う。そういう広い国民諸層の意見が、天皇に対してどういうふうに持たれておるかということが明らかにされて、さらに日本の方向が明らかにされるならば、こうした問題の取扱い方についての、本質的な根本的な点が理解されると思うのです。従つて、天皇問題と言う心要は必ずしもないのですが、こうした事件を中心として学識経験者その他を参考人として呼び、これを委員会で聴取するという機会を持たれたいと思うのです。これは実は参議院の方では、昨日国民実践要領のために、学識経験者の意見を聞くというふうに、委員会で話がまとまつておるそうであつて国民実践要領というものの中心思想は、天皇は道徳的中心であるという点にあることは、大臣も申しておられますから、いい機会であるから、ぜひ衆議院においても同様に国民実践要領という今後の文部大臣の方針を明らかにするような問題を検討するために、そういう機会を持ちたいと思うのです。これをぜひ提案していただいて、また自由党を初め各党派の御賛成を願いたい。
  113. 松本七郎

    ○松本(七)委員 今の問題ですが、実践要領については、この前からも文部大臣といろいろ話し合つているので、一応委員会でこの実践要領の取扱い方とか、そういうものについて至急検討する必要があると思います。それをやつた上で、さらに参考人とかいろいろな意見を聴取する必要があると認められれば、その上で決定したいと思います。
  114. 浦口鉄男

    ○浦口委員 渡部委員のおつしやることは、もつともだと思います。これは天皇問題ということに限らず、大学の自治全般に国連すると思いますので、京都大学の学長なり、当時の関係者を参考人として呼んでいただいて意見を聞きたいということは、私も賛成いたします。  それからもう一つは、この間岡委員からお話がありましたが東大学長の南原氏の政治的重大発言についても、これは、この春の例もありますし、あわせて参考として聞くことができれば、たいへんいいと思いますから、委員長にお願いいたします。
  115. 長野長廣

    長野委員長 ただいまの諸君の御要求につきましては、ただいまただちに委員長が、ここで専断をすることは、いかがかと存じます。それで理事会だ円いまして、慎重打合せをいたしました上で、適切に処置をいたしたいと思います。  本日は、この程度にて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時十三分散会