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1951-10-29 第12回国会 衆議院 文部委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十九日(月曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 佐藤 重遠君    理事 若林 義孝君 理事 小林 信一君    理事 松本 七郎君       鹿野 彦吉君    柏原 義則君       高木  章君    圓谷 光衞君       飛嶋  繁君    笹森 順造君       渡部 義通君    小林  進君       浦口 鉄男君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     寺中 作雄君         文部事務官         (管理局長)  久保田藤麿君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局長)     辻田  力君         文部事務官         (大学学術局         長)      稲田 清助君         専  門  員 石井  昂君        専  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 十月二十六日  委員圓谷光衞辞任につき、その補欠として滿  尾君亮君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員滿尾君亮君辞任につき、その補欠として圓  谷光衛君が議長指名委員に選任された。 同月十日  公立大学管理法案内閣提出、第十回国会閣法  第八二号)  国立大学管理法案内閣提出、第十回国会閣法  第八三号)  国立大学管理法及び公立大学管理法の施行に伴  う関係法律整理に関する法律案内閣提出、  第十回国会閣法第八四号) 同月十八日  富山県立水産高等学校遠洋漁業科及び製造研  究科設置等に関する請願内藤隆紹介)(第  六八号)  新日本精神普及徹底に関する請願内海安吉君  紹介)(第九九号)  新編入地区所在中小学校教官勤務地手当に関  する請願辻寛一紹介)(第一〇〇号)  寒冷地帯学校屋内運動場建設費国庫補助等に  関する請願辻寛一紹介)(第一〇一号) 同月二十二日  学校給食継続実施に関する請願鹿野彦吉君紹  介)(第一六六号)  教育委員会法の一部改正に関する請願辻寛一  君紹介)(第一六七号)  校舎建築国庫補助金建坪単価増額等に関する  請願岩川與助紹介)(第一六八号) 同月二十五日  重要文化財建造物修理費国庫補助請願佐藤  親弘君外一名紹介)(第二三〇号)  公立学校事務職員教育公務員特例法適用の請  願(松澤兼人紹介)(第三〇〇号)  教職員行政整理に関する請願大石ヨシエ君  紹介)(第三〇一号)  富山大学経済学科学部昇格請願外一件(  内藤隆君外二名紹介)(第三〇二号) 同月二十六日  東中学校舎増築費国庫補助に関する請願(金光  義邦君外三名紹介)(第三四九号)  教育財政確立に関する請願佐藤重遠君外四名  紹介)(第三五〇号)  通信教育学生救済対策確立に関する請願(佐  獺昌三紹介)(第三五一号)  奄美大島在住教職員身分保証に関する請願(  床次徳二紹介)(第四三一号)  志知中学校舎建築費国庫補助請願塩田賀四  郎君紹介)(第四三二号)  学校給食継続実施に関する請願千賀康治君外  二名紹介)(第四三三号)  同(田嶋好文君外一名紹介)(第四三四号)  同(塩田賀四郎紹介)(第四三五号)  世界無名戦士墓建設に関する請願山口六郎  次君紹介)(第四三六号)  富山県立水産高等学校遠洋漁業練習船建造の  請願内藤隆紹介)(第四三七号)  公立学校事務職員教育公務員特例法適用の請  願(寺崎覺紹介)(第四三八号)  同(内藤隆紹介)(第四三九号)  富山大学経済学科学部昇格請願外三件(  佐伯宗義紹介)(第四四〇号)  厳島神社修理費国庫補助請願山本久雄君外  三省紹介)(第四五五号) の審査を本委員会に付託された。 同月十八日  小学校児童に対する教科用図書給与費全額国庫  負担陳情書  (第二号)  社会教育主事設置に伴う経費負担に関する陳情  書  (第一五号)  近畿大学不当解職に関する陳情書  (第二二号)  新制中学校雨天体操場建築に対する補助並びに  起債容認陳情書  (第七八号)  六・三制中学校整備費増額に関する陳情書  (第八四  号) 同月二十二日  教育委員会制度改正に関する陳情書  (第一〇五号)  六・三制中学校整備費増額に関する陳情書  (第一〇七号)  町村の教育委員会廃止に関する陳情書  (第一二二号)  山形大学農学部に第二教育学部併置に関する陳  情書  (第一四二号)  六・三制建築費単価引上げ並びに産業教育振興  法実施に関する陳情書  (第一七四号) 同月二十四日  教職員結核休職三箇年完全実施に関する陳情  書外四件  (第一八五号)  義務教育費全額国庫負担に関する陳情書  (第二〇〇号)  同(第二一五号) 同月二十七日  義務教育費全額国庫負担に関する陳情書  (第二五五号)  中学校の雪中避難建築に対する国庫補助及び起  債許可陳情書  (第二七四  号)  六・三制確保に関する陳情書外四件  (第二七九号)  六・三制中学校整備費増額に関する陳情書外十  二件  (第二八〇号)  公民館助成に関する陳情書  (第二八九号)  教育委員会制度改正に関する陳情書  (第二九〇号)  文教施設整備に関する陳情書  (第二九一号)  教職員給与ベース引上げに関する陳情書外百  七十件  (第三〇九号)  同外十二件  (第三一〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  学校給食に関し説明聴取の件  昭和二十六年度文部省関係補正予算に関する説  明聴取の件     ―――――――――――――
  2. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 これより会議を開きます。  本会期中も衆議院規則第九十四条により国政に関する調査承認を得ておきたいと考えますが、ただいまその承認要求書を朗読いたします。    国政調査承認要求書  一、調査する事項 六・三制教育制度実施に関する事項   教育委員会制度に関する事項   商船大学に関する事項   学校給食に関する事項   産業教育に関する事項   学術研究に関する事項   道徳及び情操教育に関する事項   勤労青年教育に関する事項  二、調査の目的 六・三制教育制度実施実情調査し、教育委会員制度商船大学学校給食産業教育学術研究道徳及び情操教育並びに勤労青年教育調査をなしその対策を樹立するため  三、調査の方法 小委員会設置関係方面より説明聴取報告書及び記録の要求等  四、調査期間本会期中右によつて国政に関する調査を致したいから衆議院規則第九十四条により承認を求める。   昭和二十六年十月二十九日      文部委員長 長野 長廣    衆議院議長林讓治殿  ただいま朗読いたしました要求書議長に提出するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 御異議なければさよう決します。     〔岡(延)委員長代理退席委員長   着席
  4. 長野長廣

    長野委員長 学校給食について当局より説明を聴取することにいたします。  速記をやめてください。     〔速記中止〕     〔委員長退席、岡(延)委員長代理   着席
  5. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 速記を始めてください。     ―――――――――――――
  6. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 それではただいまから昭和二十六年度補正予算について、文部当局より説明を聴取いたします。寺中政府委員
  7. 寺中作雄

    寺中政府委員 今国会に提出しております補正予算につきましては、お手元に一枚刷りで、文部省関係を一括してお配りをいたしてあると思いますので、それに従いまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。  第一の、義務教育教科書無償配布費補助金の増加でありますが、これは今年小学校一年の生徒につきまして、国語と算数の教科書を無償配布することにいたしまして、当初予算をとつたのでありますが、下半期に至りまして、教科書の値段が相当上りました。そこでそこにありますような単価並びに人員の関係で千九百四十万円の増額を必要とすることになつた次第でございます。  それから第六回冬季オリンピック大会選手派遣費補助でございますが、これはオスローに選手十五名を派遣する旅費補助でありまして、一人当り大体五十八万円の旅費十五名分の半額補助する予定にいたしておるのであります。  それから学校給食経費。これにつきましては、いろいろ社会的反響も強かつた問題でございますが、そこに掲げましたように、二十四億の一般会計からの支出並び見返り資金四億七千万円を給食のために支出するということにきまつた次第でございます。大体計画は十一月から来年三月までのミルク及びパン給食費でありましてミルクの十一月、十二月分は見返り資金支出いたします。それからミルクの来年度分並びにパンの十一月以降の分はこの二十四億から支出するわけでありますが、計画といたしましては、予算上は現在八百万人に給食をいたしておりますミルクを、十一月から七百五十万、毎月五十万ずつ減らしまして、三月には五百五十万人分にする。パンの方は現在四百万人分の給食をいたしておりますが、それを十一月は四百万、毎月百万ずつ減らしまして、三月には百万の給食にするという予定にいたしておりましてこれによりまして大体父兄負担は一人舟二百二円、それから政府補助は百四十八円四十銭ということになります。そういうような計画で、給食実施をするに可能な金額を計上しておるわけでございます。  それから次は六・三制の経費九億五千六百万円でございますが、これは四十三万坪の学校建築建築費が、単価が上りましたためにこの補正を必要とすることになつた次第でありまして、木造につきましては一坪一万二八百円から二万三千円に上げ、鉄筋については三万八千円から五万七千円に上げる。その差額の金額をこの補正要求し、なおこの九億五千六百万円の対象としまして同額の起債九億五千六百万円を必要とするということになつております。  それが文部本省関係補正予算要求でありますが、学校関係といたしましては、大学附属病院運営費不足なつておることの見通しがついておるのでありまして、これは患者が当初予算のときよりも大体一四%くらいふえるという見込みなつておりますのと、完全給食実施いたしますために、まかない費が増額する。また薬価その他一般病院運営費増額されるという関係でございます。大体患者増関係で一億八千二百万円、単価増関係で四億九千九百万円、合せて六億八千万円ばかりと相なりまして、これに見合う収入といたしましては七億二千三百万円を計上しておるのでございます。  それから文化財保護委員会関係といたしまして、千百十三万八千円を計上いたしておりますのは、京都恩賜博物館がありますが、これを文化財保護委員会附属機関といたしまして、国立博物館京都分館にいたしますために五十四万七千円――大体修繕費でございます。それから奈良県立商工館のようなものを国に移管いたしまして、奈良文化財研究所といたしますために五十九万一千円、それからほうつておけば海外流出のおそれのある文化財を国に買い取るために一千万円、合せて千百十三万円となつておるのであります。     〔岡(延)委員長代理退席委員長   着席〕  次の文化財保存に必要な経費といいますのは、そこにありますようにジエーン台風及びキジヤ台風による損害の災害復旧費でありまして、一般災害復旧費関係で六千三百六十一万円。それから松本城関係に三百万円、日光の関係に五百万円、合せて七千百六十一万円を要求しておるのであります。  それから共通問題といたしましては、ベースアップ並びに行政整理関係の問題がございます。すなわち給与改善関係では、この十月から一般に千五百円平均のベースアップをいたしますのと、それから年末手当が、現在半月分を計上しておりますのを、八割の年末手当にいたします。それから従来当初予算の際すでに給与不足が見込まれておつたものがございます。その他育英会研究生関係であるとか、あるいは日本芸術院関係の年金であるとか、外人教師であるとか、そういう給与に準ずるようなものの一般的なベースアップ、それらを全部含めまして十六億六千七百万円となつておるのであります。  その次に、節約による既定経費減少とありますのは、本年度の当初予算について旅費の二割、物件費の五分を節約するという閣議決定に従いまして、内部的にこの節約予定したわけでありまして、その節約のうちからその後に生じた少額の新しい要求のものを差引いて、純粋に節約による経費減少が三億四百二十六万円となつております。  それから行政整理に伴う退官退職手当でありますが、今回の計画によりまして、大体文部省関係で約三千七百人の整理をするという見込みなつておりまして、それを本年度中に、すなわち一月から三月までの間に約半数の人に退職をしてもらうという形になつておるのであります。その関係退職手当を大体一人約十一万円ぐらいに見積りまして計上したのが、この二億九百三十三万円でございます。  それから行政整理に伴う既定経費減少といいますのは、その三千七百人の半分の千八百人につきまして、一月分の俸給を減額するということにいたしておるわけであります。  以上がそこにあります文部省関係補正予算内容でありますが、文部省関係ではありませんが、地方財政委員会要求関係といたしまして、地方教員給与改善問題がございます。これに関しましては大体地方一般的行政経費全体をにらみ合せ、平衡交付金を百億増額することにいたしまして、全体的計画を立てた次第であります。これによりまして文部省関係としましては、給与改善関係が百二十八億、年末手当関係が二十七億、合せて百五十五億のベースアップその他の調整が可能であるという見込みのもとに、地方財政全体の計画が立てられておるのでありまして、大体計画通り給与改善その他をやり得るものという見込みでわれわれもこれにタッチしておるような次第でございます。  大体以上でございます。     ―――――――――――――
  8. 長野長廣

    長野委員長 次に、この際東北の高等学校長から陳情を申し出ておりますので、しばらく許すことにいたします。速記をとめてください。     〔速記中止〕     ―――――――――――――
  9. 長野長廣

    長野委員長 次に、特に産業教育振興に関する予算について説明を願います。辻田説明員
  10. 辻田力

    辻田説明員 明年度予算要求いたしております産業教育振興に関する必要な経費について、御説明申し上げたいと思います。  さきに産業教育振興法国会において制定されまして、その結果各方面産業教育振興に対する機運が非常に醸成されまして、至るところでその具体的な振興方策が講ぜられ、また着々とその実施について研究が進められておるような状況でございまして、われわれといたしまして非常にありがたく存じておる次第でございます。つきましては、文部省といたしましても、この産業教育振興法の御趣旨にのつとりまして、一層その教育振興をはかりたいという考え方から、お手元にお配りいたしましたような内容要求を目下大蔵省に対していたしておる次第でございます。  その内容の大綱を申し上げますと、産業教育振興法によりまして定められております補助性質は、大体三つの性質なつております。第一は、最低基準と申しますか、一定の基準を設けまして、その基準に達するまでの経費を現状とにらみ合せて充足して行くための経費、第二は、その基準いかんにかかわらず、地方々々あるいはまた国によつて必要だと考えられます産業教育上必要なものを指定いたしまして、それに対して補助をするというやり方、第三は、勤労青少年対象といたします短期教育に対する補助というふうになつておる次第でございます。しかし、この予算要求の仕方といたしましては、要求性質から考えまして、高等学校中学校大学というふうにわけまして、これをただいまの精神にのつとつて要求しておる次第であります。  お手元に差上げました資料について申し上げますと、ここに事業計画内容とありますが、そこにありますように、高等学校産業教育振興費といたしまして十一億五千九百五十六万円。その内容は、高等学校については施設設備充実を期しまして、施設については、実習船及び実習教室――一県一校を予定としてモデル的な実習教室をつくりますための建築費六千二百八十六万円、それから設備といたしましては、先ほど申しましたように、最低設備基準にまで充実するために必要な経費が、全部で二百二十七億円になるのでございますが、その中から半額政府補助いたしますと百十三億円ということになります。その百十三億円を大体五箇年計画実施して行きたいというわけで、最初の年は六・三制の経費その他の関係もありますので、この百十三億円の約十分の一を計上いたしたのでございます。なお次年度以降におきましては、六・三制の経費等とにらみ合せまして、あるいは増額するというようなことになろうと思つております。  それから高等学校指定研究校研究費でありますが、これは農、工、商、家政の四つの種類の学校に対して、一県四校ずつと、それから水産学校が八校あるのですが、これに対して研究費補助するものでありまして、これは九百九十八万円ということでございます。  次に中学校でありますが、中学校施設充実のために四億一千五十三万円、それから中学校研究指定校設備及び研究費のために三千四百五十万円――これは一県五校、二百三十校分として計算した次第でございます。  次に、高等学校中学校と両方にまたがるものでありますが、共同実習所施設及び設備費要求されておるのであります。これは現在計画中、あるいはまた計画が相当進んでおり、その具体性が非常にはつきりしておりますもの、高等学校三箇所、中学校一箇所、合計四箇所につきまして一千五百八十六万円を要求しておる次第であります。  次に、大学費につきましては、大学産業教育振興のために短期大学設備費として二十二校分六千五十三万円、教員養成大学設備費として、公私立大学十一大学予定しておりますが、一千七百十四万円ということになつております。  なお、短期産業教育費用といたしまして、定時制分校設備費として一県三校の割合にモデル的なものをつくつて、それによつて地方定時制分校充実をして行きたいという考えで、百三十八校分を計上いたしまして二千七十万円、それから学校開放講座運営費は、一郡市で一校ずつを予定いたしまして、講師の謝礼とか教材、教具の費用とかいうものを計算いたしまして千六百六十三万円、合計短期産業教育費として三千七百三十三万円を予定しております。  なお、現職教育費として講習会の開催及び内地留学費用についてでありますが、講習会については一県二講座分を考えております。内地留学につきましては中学校高等学校担当教員総数の百分の一に対しまして三箇月間の内地留学を勧めるということで、この合計が二千二百九十万円になるわけであります。  次に、産業教育奨励費用、これは総合計画を立てて産業教育具体的方策を推進すると同時に、産業界との関係も十分考慮いたしたいという考え方から、使用者状況調査、あるいはまた卒業者就職状況動態調査といつたような調査を主にいたしますが、そのために一県約十五万円の補助をいたしまして、合計で七百二万円を計上してある次第でございます。  以上が産業教育振興法に基礎を置きまするところの経費として、目下大蔵省要求し、いろいろ折衝している次第でございますが、このほかに産業教育関係経費といたしましては、産業教育教員養成のために別途八千六百三十四万九千円、それから産業教育振興設備充実のために二億八千六百九十四万九千円、なお産業教育現職教育費としまして一千八百九十五万六千円、国立大学関係におきまして合計して三億九千二百二十五万四千円を要求している次第でございます。  最後に、これらの事業実施いたしますために、文部省関係といたしまして産業教育振興法実施に必要な経費として四千二百四十五万円を予定している次第であります。合計十七億六千五百三十七万円を目下大蔵省要求しているのでございます。私どもといたしましては、教育重要性から考えまして極力その実現をはかるように努力している次第でございますが皆さん方におかれましても、種々御指導のほどをお願いいたしたいと思います。
  11. 長野長廣

    長野委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕     〔委員長退席佐藤(重)委員長代理着席
  12. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員長代理 それでは速記を始めてください。
  13. 若林義孝

    若林委員 辻田局長に伺つておきたいと思うのですが、幼稚園所管事項に入るのですか。
  14. 辻田力

    辻田説明員 入ります。
  15. 若林義孝

    若林委員 幼稚園保育所機能の限界についてという陳情が来ておるのです。六・三ということに一生懸命になつておりました当委員会といたしまして、幼稚園保育所研究については、今まであまりここで論議がかわされなかつたのでありますが、地方へ行つてみますと、幼稚園という名目であるけれども、実質法的の根拠は保育所ということで、どんどん拡張されておるわけでございます。この機能と、政府のいろいろな補助対象なつております区別とを、ひとつ御説明願いたいのです。
  16. 辻田力

    辻田説明員 ただいまの幼稚園保育所との関係でございますが、御承知の通り幼稚園学校教育法の制定の際に、学校教育法に基く関係ということになりまして、その点におきまして、教育上非常に地位を高めたのでございます。しかし、それにもかかわらず、その裏づけとなるところの地方支出というものが非常に僅少でございまして、その関係の国の補助費としては全然ございません。そういうような関係等もございまして、せつかく学校教育法上のりつぱな学校なつておるにかかわらず、この振興が比較的進まないというようなことになつておりますことを、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。われわれといたしましては、何とかしてこの幼稚園振興をはかりたいというふうに考えて、実は予算等についても要求をしておりまするが、いつも義務教育関係のものをまず優先ということで、あとまわしにされるという傾向にあるのでございまして、この点は文部省といたしましても、今後十分努力いたしたいと思つております。それに関連しまして保育所方面につきましては、保育所施設といたしまして、厚生省の所管として補助金が相当額あるのでございまして、その関係幼稚園関係保育施設として補助をもらつておる。すなわち二枚看板になりまして、補助金をもらうためには保育施設なつており、表看板としては幼稚園なつておるという関係がございますのは、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。従つてこの二つの関係の官庁から監督を受けるということになりまして、監督行政からいつてもおもしろくない点もございますので、われわれとしましては、ただなわ張り争いをするという意味でなしに、この点を一元化いたしたいと思つて努力しておる次第でございまして、この幼稚園補助金につきましても、若干は要求をしておる次第でございます。これはやはり義務教育優先関係であとまわしにいたすことがないようにと思つて、努力しておる次第でございます。現在の状況が、保育所については補助があり、幼稚園については補助がないというところから、いろいろな問題が起つて来るのだと思つております。
  17. 若林義孝

    若林委員 これは全部保育所にしてしまう方がよいのですか、幼稚園にしてしまつた方がよいのですか。
  18. 辻田力

    辻田説明員 教育の立場から申しますと、幼稚園にした方がよいと思います。しかも幼稚園振興をはかられるように、財政的な裏づけをすることが適当であると思つている次第でございます。保育所幼稚園とは、おのずから設置の目的が違うのでありまして、保育所の方は、特別な、経済的に比較的貧困の者とか、あるいは労働関係で家で保育する者がないのを一時預かるというような関係からできた施設でありますが、それが現在では混合されている。従つて当然その資格に当てはまらないような家庭の幼児までも保育所に収容しているというふうな関係もありまして、混合しているわけであります。そこで、そういうことであつてはいけませんので、先般法律を改めまして、法律の関係は、はつきりとするようにしたのでございます。すなわち保育所に収容する者についての条件と、幼稚園に収容する者の条件については、はつきりいたした次第でございますが、これもやはり財政的な裏づけがないと、条文の上だけはそうなつておりましても、やはりそちらに流れて行くという結果になるのであります。
  19. 若林義孝

    若林委員 現在の状況から申しますと、幼稚園であつたものも、保育所に名前をかえてしまつて補助を仰ごうというような傾向になつて参りまして、文部省が企図する幼稚園というものは、早晩影を没してしまうのではないかという懸念が持たれるわけであります。少くとも幼稚園の新設は望みがたい。保育所として新設はできて来るかもしれませんけれども、ここに限界を明らかにするか、あるいはむしろ一つものにしまして考慮して行くべき時期が到来したのではないかと考えますので、ひとつ、より以上の考究を願いたいと考えるものであります。  それから通信教育補助費請願を私ここに持つて来ておるのであります。これは文部省のお手元にも届いていると思うのでありますが、格別の御研究を願つて、ほとんど就学できない、上級学校に進学できない六〇%の者が受けます恩恵が、より厚くなるように御配慮を願いたいと思うのでありますが、この点、明年度はどのくらい御要求なつておられますか、伺つてみたいと思います。
  20. 辻田力

    辻田説明員 勤労青少年対象といたしまして、通信教育が非常に意義を持つておることは、申し上げるまでもないこでありまして、文部省といたしましても、この通信教育については、よほど力を入れておるつもりでございますが、まだこれも予算の裏づけが比較的僅少であります。昨年は千二百五十五万五千という予算でございましたが、ただいま要求いたしておりますのは千九百九万九千円でございまして、この要求額はぜひ貫徹して実現を見たいというふうに考えておる次第であります。
  21. 若林義孝

    若林委員 その金額増額は物価の値上りだけを見込んでおるのですが、あるいは拡充強化という意味が含んで千九百万円になつておりますか。
  22. 辻田力

    辻田説明員 今の増額の根拠でございますが、これは前年度に比較して生徒数の増加と、消耗品と物件費が上昇した増額と、両方見込んでおりますが、項目といたしましては、別に新しい項目をつくつておるわけではございません。
  23. 若林義孝

    若林委員 これは請願要求の趣旨を解しまして、われわれも微力を尽したいと思うのでありまして、今少し増額をし、これが完全を期したいと思うのであります。しかし、これは当初設けましたのは、発展途上にある準備期間に対しての補助だつたのであります。去年からこれがまた違つた意味で復活をせられておると思うのでありますが、その意味は強化せられる御意思があるのかどうか伺いたい。
  24. 辻田力

    辻田説明員 まつたく同感に考えておる次第でございます。
  25. 浦口鉄男

    ○浦口委員 問題でありました給食が、二十六年度年度末まで大体見通しがついたことは、たいへん喜ばしいことと存じますが、念のためにひとつお聞きしておきたいのは、見返り資金を合せて二十四億九千六百万円は、現在の完全給食四百万、ミルク給食八百万、この数字を動かさないで年度末までやり得る、こういう見通しの予算ですか。
  26. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 予算経費といたしましては、ある程度表にも入つておると思います。人員を減らして行く形になつておりますが、事実船がだんだんと遅れて入つて来ておる関係から、品物の現在のあり方と、将来その金額で買い得る分量との関係から申しますと、おそらく本年度内は給食対象の学童の数を減らさないで、現状通り行き得るという大体の目安になつております。
  27. 浦口鉄男

    ○浦口委員 来年度からの予定について、文部省としてお考えがありましたら、ちよつとお知らせを願います。
  28. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 後ほど私から特にお願いいたしたいと思つておつたところでございますので、お許しを得てひとつお願い申し上げたいと思います。本年度補正予算が閣議で決定されるにつきまして、来年からの給食のやり方について、別に新しい方法をとりあえず考えて給食を続けるということについては、閣議も喜んでこれを承認するという形に相なつておるように伺つております。そこで問題は、本年と同じように給食を続けるということになりますと、御承知の通り九十六、七億の金がないと継続できぬわけでございますので、今日の財政状態から見てそのままの姿で同じように運べると甘く見るわけにも参りません。私どもといたしましては今給食に関する専門の人々の手を借りまして来年からの給食はどういう姿のものを描くかということの研究をいたしております。問題は給食費の最高をどの辺で押えるかというところにあるわけでありまして、現在大体百七、八十円というところでありますが、現実にパンでもミルクでも有料ということになりますれば、少くとも三百円というところで押えなければならぬかと思つております。そうするとその三百円と、現在との間の差額をどうするかという問題と同時に、この制度が大きくなればなるほど、生活保護法の扶助を受けている部類の子供たちに対する手当を増さなければならぬといつた問題と、両面からこの問題を考えなければならぬわけであります。  第二の問題はともかくとしまして、第一の給食を、これからどういう種類のものでどういうやり方でやつて行くかといつた問題を、私どもの関係の専門家の手で大体の用意をいたして来ておりますが、これを相変らず文部省教育的な感覚だけで扱つておりましたならば、先ほど申しますような閣議決定の趣旨にも沿いかねるかと考えております。先般の国会で両院の文部委員会からも、成規の決議という形ではなかつたと思いますが、この給食を何とかして続けるように持つて行こうという意味のお話合いを伺つておる関係もございますから、両文部委員会としては、これをどういうふうにお扱いくださるかという意味のことを――これは正式に国会議員のどなたかに参加していただくということになりますと、またたいへんでございましようから、非公式な形で十分だと思いますが、内閣でそういう問題を扱つてもらいますのと並行して、両委員会側の特別な方に、特に委員長から御指名でもいただいて参加していただくような形をおとりいただけないものであろうか、お願いいたしたいのでございます。参議院の方にも同じことをお願い申し上げております。ここ一両日中に大体の給食の姿を出して参りますが、それをどんなふうに扱つて行つたらいいのか、また実際の食糧対策というような点からも、また外貨をどういうふうに使うかといつたような面からも、文部委員会にこうした問題を正式にかつぎ込むという形でなく、一応どんなふうにながめたらいいかという意味のおさしずを仰ぎ、御相談を願うという意味合いのお手伝いをお願いしたいと考えておる次第でございます。閣議も、この給食が来年も続き、また続けるべきだということについては、はつきりした線が出ておるように伺つておりますので、できますれば、今年のような形で予算的な補助をするのでなくて、事実上給食にそうした手当ができますことを中心に、新しい給食の姿を描きたいと考えておる次第でございます。
  29. 浦口鉄男

    ○浦口委員 閣議決定の話が出ましたので、伺つておくわけですが、七月の休会中に、給食の問題でこの委員会を開いたときに問題になりました、大蔵省文部省との、補助金を交付しての継続かどうかという問題は、結局補助金を続けて、講和後も給食をするという文部省の主張は認められなかつた、こういうことに解釈してよろしいのですか。
  30. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 本年と同じような形で、政府補助を出すことはしないぞという意味に伺つておりまして、私どもの申しておりましたミルク補助を国がしてもらいたいと言つておつた部分は通りませんで、何かの手当によつて給食費が軽減されるように、また地方においても一律にミルクでなければいかぬ、パンでなければならぬという考え方は修正しなければならぬ、そうしたふうに了解しております。
  31. 浦口鉄男

    ○浦口委員 大体来年度からもお続け願うという文部省の御意向でありますが、これは国家全体の予算と、児童一人当りの負担のわくを、どの辺に押えるかという実際問題とがからんで来るわけですが、それと関連して、結局対象になる児童、たとえば完全給食何百万にし、ミルクミルクとは限らないわけですが、その数を何百万にするという、対象児童の数について、何か文部省として基礎的な考えをお持ちでありますかどうですか、それを承つておきたい。
  32. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 予算計画を立てました当時と、今日と、その意味においては全然かわつておらぬのでありますが、たまたまミルクの方が八百万になつておりますのは、せつかく無償でもらうものでありますから、設備なり給食のやり方がどうあるにかかわらず、できるだけ多くの児童に差向けたいという意味で、八百万を対象にいたしておりました。それから完全給食の方は、向うからもらいます分量に拘束されて、やむを得ず四百万ということになつておつただけでありまして、四百万が正しいとか、正しくないとかいう議論から始まつた四百万では、毛頭なかつつたのであります。そこで私どものやりたい給食の姿は、ともかく完全給食というのでありますので、完全給食をやるというためには、一応の設備があつて、その行われます給食が、一応効果的にやれる舞台でなければならぬというふうに考えておりまして、現在その四百万の対象なつております学校は、そうした意味の舞台の用意ができたところであります。またそれにこたえますだけの、先生方も、父兄も、その関係者皆が、その給食を効果的に生かそうという気力が、そこになければならぬわけでありまして、それが現在私どもの押えております数字では、大体四百万から五百万見当に上つて来ております。その上来年からの学童の自然増を考えなければなりませんので、それを約一割と見て、五百五十万見当の学童を対象にすれば、大体給食が効果的に行える舞台であろうと考えておるわけでございます。
  33. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういたしますと、来年度からは給食設備などに対しては全然補助がない、こういうふうに見てよいと思うのでありますが、その点を一つお聞きしたいのと、これも来年度からの問題になりますが、伝えられるところによりますと、輸入食糧をこのために特別安く文部省が払い下げてもらつて、児童の負担を少くするというようなことも伝えられておりますが、そういうことも現在お考えでありますかどうか、二つお聞きしておきます。
  34. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 給食設備補助は、できるだけ私ども予算を獲得して行きたいと思つております。  第二の食糧を安く払い下げていただくということは、私どもも一つの理想の程度で考えておりますが、先ほど来申しますように、文部省だけの考え方でこの問題を実現するのは、相当たいへんな問題でありますので、これを内閣にかつぎ込んで、一応総合的な見地から給食というものをながめてもらいたい、というふうに希望しているわけであります。
  35. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員長代理 次は高木委員
  36. 高木章

    ○高木(章)委員 最近給食問題に関しまして、農林関係の方からちらりと伺つた話でありますが、粉食奨励の建前から、来年度全国の小学校中学校に、農林省が主体になつ給食を実行したい、それについて大蔵当局もどうやら賛意を表しておるのだという話を、ちらつと伺つたのでありますが、この問題は文部当局と話合いの上で、農林当局がやつておることでありますか、伺いたい。
  37. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 先ほどお話申しましたことを、やや重複するかと思いますが、ぜひそうありたいと思いまして、私どもの方から農林省の方へそういう話合いをかけておることは事実であります。農林省の正式な、というところまで参つておりませんが、米の統制とからんで、そうした対策が必要であろうかという意味の了解を得ております。しかし、大蔵省はそれに対して、どの程度まで行つておるかということは、まだそういう段階に進んでおるとは思つておりません。
  38. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員長代理 何か御質疑はございませんか。
  39. 若林義孝

    若林委員 行政整理は、これは当然行うべきだと思うのですが、教職員については、簡単に、これを行政整理対象とすべきでないという考えを、私たち持つているのであります。教育内容をかえて行かなければいかぬことにもなるのじやないかと思うのでありますが、この点ひとつどちらの局長さんからでもよろしいが、文部省の見解を伺いたい。これは国策ですから、事務系統は対象なつてもいたし方ない。しかし教職員の減員ということは、大学などでいえば、講座にも影響して来るでしよう。あるいは学校でいえば、定員――子供の数などにも一応影響を及ぼして来る。ほかの行政事務は、簡略化することによつて、人員を減らすという精神でも行けるが、学校の教える内容を減らすというわけには行かぬのでありますから、それらを考慮せられておるのかどうかということについて、ひとつ文部省としての御見解を伺つておきたいと思います。
  40. 辻田力

    辻田説明員 教職員行政整理の問題でありますが、これは国立学校の場合と、公立学校の場合と、一応わけて考えておるわけでございます。国立学校につきましては、国家公務員といたしまして、先般行政簡素化本部で一応の内定は見ているわけでございますが、それによりますと、国立学校におきましては大体平均八・五%くらいが整理されるように承つております。国立学校関係は直接庶務課長が衝に当つておりますので、庶務課長から話してもらうことにいたしまして、公立学校のことについてお話いたしますと、公立学校といたしましては、主として高等学校以下の学校の場合においてでありますが、現在のところは、地方行政簡素化本部で研究をしておられるのでございまして、まだ結論に達していない次第であります。これにつきましては、文部省からいろいろ資料を出しまして、教員行政整理は困るということについて主張しておる次第でございます。その理由の若干を申し上げますと、一つは教員の労働時間と申しますか、勤務時間の関係でありまして、岡山県の例について調べてみますと、人によつて違いますけれども、平均して大体九時間から十時間になつておるわけであります。九時間から十時間の範囲でございますと、そのうち教壇に立つておる時間が大体三五%に当ります。その場合に、ややともいたしますと、教壇に立つておる三五%の時間だけをとつて教員の勤務時間というように見る点がございまして、その点から教員行政整理が出ているんだという考え方を持つておる人もあるようであります。われわれから申しますと、新しい教育の方針から考えまして、教壇外において児竜を指導する時間、あるいは評価をする時間、P・T・Aの時間、講習会に出席する時間、そういうふうなものを全部総合いたしまして、これを教員の勤務時間というように考えておりますので、そういう計算で行きますと、九時間ないし十時間という計算になるのであります。従つて、これは勤務時間として短かい時間ではない。一般公務員から見ると、むしろ過重であるというふうに思つております。そういう点が一つ。  それから結核教員の点から行きまして、従来平衡交付金を算定いたしまする場合の基礎資料として、結核教員につきましては一・三三%で計算をして来たのでございますが、それをわれわれの方で研究いたしますると、二・四四%は必要であるというふうに実情が示しているわけであります。結核教員がだんだんふえておるというよりも、事実多いというようなことでございますので、これは十分考慮して教員の数をきめなければいけないというのが、第二の点でございます。  第三の点は、実際学級に対する教員の数でありますが、これは漸滅しておるというような関係でありまして、従つて一人当りの先生の方からいいますと、負担が多くなつておるというような関係もありますので、そういう点も主張しております。また教員充実程度にいたしましても、県によつて非常にでこぼこがありまして、そのでこぼこのあります現状を、一率の基準整理してしまうというのは、相当無理があるというふうな考え方を持つておる次第でございます。  さようないろいろな理由からこれらに対してこまかい資料を出しまして、行政簡素化本部に再考を求めているような次第であります。しかし行政簡素化本部では、何らかの行政整理はしなければならぬというふうな考えで、まだやつと検討を進められておるような次第でありまして、目下現状はさような実状であります。まだ決定はいたしておりません。
  41. 寺中作雄

    寺中政府委員 国立学校教官の行政整理につきましては、文部省としても教官は絶対に人員を減らさないという方針をとつておつたのでありますが、当初の行政整理の目的がだんだんかわりまして、各省とも、おつき合いでも何でも、とにかく少しは協力しなければいかぬというような形になりましたので、ごく僅少の人を考慮に入れて、文部省関係全体で三千八百人という人数になつておるのであります。事実は教官については大体二千人くらいの欠員があります、また長期欠勤者が千五百人くらい――これは事務職員も合せてでございますが、実際は教育にさしつかえのないやり方でやつて行けるつもりでおります。
  42. 小林信一

    小林(信)委員 私はあとから来たので、きようは質問をいたしませんが、ただ、今課長さんからのお話で、つき合いでやられるということは、これはどこでそういうことを言つているのか、それを文部省は了解しているのか、もう少しはつきりお話願いたいと思います。
  43. 寺中作雄

    寺中政府委員 行政整理の責任官庁は、行政管理庁でありまして、皆様も十分御承知の通り行政整理の目的は、事務の簡素化並びに不要事務の廃止というところから発しておるわけであります。でありますから、文部省教育関係につきましては、そういう事態は、特に教官関係についてはないのであります。ただ、どこがどう言つたということははつきりありませんけれども、行政簡素化本部というようなところから出ております。仄聞いたしますと、大体そういうことでありまして、事務整理の面が非常にある省だけに強いということは、これは均衡の関係から無理であるから、全体的にできない相談でも、ある程度乗る必要があるのだ、何が何でも片棒をかつぐんだということが、一般的な方針になつておるというふうに聞いておるのであります。そういう意味で、私どももそれに多少関係したわけでありますが、教官については、特殊事情を十分考慮してもらいまして、特殊なこういう学校のこういう教育をやつておる者は絶対に引けないというようなことを全部認めてもらつて、その他のもので申訳的な数字を出してもらつておるような形になつておるのであります。
  44. 小林信一

    小林(信)委員 そのつき合いという言葉は、この前の行政整理の場合も、前の高瀬文部大臣でありましたか、やはり大臣自身も同じように、文部省としては、先生の数を減らすということは、一般行政整理と同じようには考えられない、ただつき合いでやつていて、これは行政上やむを得ないことであるというふうなことを言われたのです。そのときに、各委員からも、そういうことはいけない、ほんとうに教育行政というものを考えて行くならば、そういう不見識なことを言つてはいけないし、そういう態度で一般教育費を刺激してはいけないということは、大分論議されたのでありますが、おそらく今回はそういうことはないだろうと、私たちは予想しておつたのであります。しかし文部省直轄の学校の先生はもちろんのこと、地方学校の先生たちも、これに準じて必ず行政整理対象になるのではないかと、先生方は自分の生活の不安という問題を考えて心配しておられる。それから父兄の方たちも、さもなくても教員の数が非常に足りないで、一学級の担任児童の数が非常に多くて困つている。そういう中で文部省が先生の行政整理を考えられたのは、とんでもないことであるというようなことが、今盛んに言われて、心配されておるのです。それを文部省が事もあろうに、つき合いの形でやるというふうなことをお考えになられては、重大な問題だと思うのです。そういう場合に、決して血は出さない、現在職場についている人をやめさせるようなことはしない。現在欠員が何人あるとか、あるいは長期欠勤で実際仕事についていない先生が何人ある、つまり血の出ないところで定員を減すのであるから、心配ないというふうなことを言われるのですが、事教育に関しては、たとい実際には血が出なくても、一般の行政官庁の行政整理と同じように、教育者をも一緒にし、それを対象にして考えるということは、非常に私は問題だと思うのです。この点につきましては、いずれまた機会があつたらお話を伺いたいと思うのですが、それはやはりそういう考えで文部省もやるのか、そしてこれを地方にも波及するという見解を持つておられるか、もう一応お聞きしたいと思います。
  45. 寺中作雄

    寺中政府委員 ただいまは、主として公立学校の教官の整理の問題について御意見があつたようでありますが、それは国の方針からいつて、国立学校の教官との関係があるわけでありますけれども、ただいま申しましたような関係で、要するに行政整理の数字を出した基礎としましては、教官も幾らかつけているということになつております。しかし現在定員法に載つておる数字としましては三千七百人という数字でありまして、その内訳といいますか、その中で実際教官にどれだけ当て、事務職員にどれだけ当てるかというようなことにつきましては、その数字を出した根拠とは別に研究するごとになつておるのでありまして、そういう意味で現在その関係研究しておるのであります。私どもの方針としましてはも定員的にも教官には大して影響を来さないように、具体的な事情に照して不都合のないように、行政整理の定員の配当を考えることにいたしておるのであります。また一面欠員とのにらみ合せ等もありますので、実際に教官の関係で血が出るようなことはないと考えておるものであります。また公立教職員関係は、いまだ何もきまつておりません。地方行政簡素化本部の方で研究中であります。これについては文部省として全然教官に影響のないように極力努力中でございます。
  46. 小林信一

    小林(信)委員 課長さんには経費の問題をお聞きすべきであつて文部省がこれに対してどういう態度を持つていなければならぬかというふうなことについてお伺いするのは、無理だと思うのですが、やはり私はそういう場合に文部省はどういう態度をとるべきが正しいのか、それが現在の客観情勢からどういうわけでやむを得ず譲歩しなければならぬのかというような根本問題をお聞きしたいのです。しかし、それはまたいずれかの機会にお尋ねすることにして、今お聞きすると、地方の公務員の方たちの問題は行政簡素化本部の方で進めるので、文部省としては何ら考えておらない、態度がきまつておらないということですが、実際地方では心配しておるのですから、これに対して早く文部省の態度をはつきりすべきだ。そのように上から何か言つて来られて、文部省がこれに順応するとか、あるいはその際になつて考えるというふうな態度を持つておられるから、今回の給食の問題にしましても、あるいは平衡交付金の問題と関連して、地方財政教育費というふうな問題で、全国的に父兄の方たちが非常な関心を持つていろいろ努力されておることを私たちは見ているのです。文部省というのは非常に弱いところで、いくら文部省の役人の方たちが努力されても、文部省の意向は大蔵省には通じない。大蔵省が財政的にこうであるからと言えば、それに順応して六・三制をどう考えておろうとも、六・二制にしなければならないのだというようなことが、今一般国民に考えられておる。最初六・三制を六・二制にするというようなことも、教育的な見地から一つの考えが出て来たというようなことで、一般の方たちは心配したのですが、それが単に文部省が弱くて、大蔵省予算的に牛耳られておるがために、そういう形になるのだというようなことまで言われております。今のところ教育行政に冠しては文部省が主体であるからして、これが信頼を失つたら、日本の教育というものは、非常に憂うべき状態になるのではないかと思う。ことに最近問題になりました建築費補助の問題、それから給食の問題等をめぐりまして、文部省を信頼しなければならぬ立場にある地方で、とかく信頼できないということで、まことに憂慮すべき状態にあるのですが、行政整理の問題等も、その衝に当る当局側の意向が出て来なければどうこうしないというような態度でなく、この際厳然たる教育的な考えをお持ちになつて対処せられるように、私はお願いしたいのであります。もちろん課長さんといたしましても、一つの考えがあり、あるいは文部省の意図はあると思うのですが、あながち関係当局の意向を待つということでなければならないのですか、いかがですか。
  47. 辻田力

    辻田説明員 公立学校教員行政整理の問題について特にお話がございましたので、私からお答えいたしますが、先ほども若林委員からの御質問にお答え申し上げたつもりでありますが、文部省といたしましては、地方行政簡素化本部から話があつて初めて動き出したということではなくて積極的に種々資料を出しまして行政整理の不可なるゆえんを強調しておる次第でございます。ただきまらないと申しますのは、政府全体と申しますか、むしろ行政簡素化本部としてまだ決定しないような実情でありますので、文部省としましては従来の方針に従つて一層強力にわれわれの主張をして行きたいと思つておる次第であります。  なお、ただいま六・三、六・二制の問題についてちよつとお触れになりましたので申し上げますが、この点は、文部省としましては、大臣初め打つて一丸となつ教育的見地から、またその他の種々の見地から、六・三制を六・二制にすることは適当でないということを、きわめて積極的に述べて来ておりますし、また過般の本会議におきまして、吉田首相からも、六・三制は継続するということを明言されておりますので、われわれとしましても、六・二制になつてしまうという考えは全然持つておりません。今後ともこの問題については、あくまでも六・三制を堅持して行きたいというふうに考えております。
  48. 小林信一

    小林(信)委員 もちろん文部省で六・三制を六・二制にするということは、私はないと考えておりまして、当然今局長さんもおつしやつたように、大きな努力は払われておると私は考えておりますが、その努力が必ず目的を達成するように、私はこの際文部省がもう少し主体性を確立していただきたいということを要望したいのです。  ただいま管理局長さんがおいでになりますからお伺いしたいのですが、先ほどもお話があつたように、文部省一丸となつてその問題、それから補正予算の問題等について非常に御苦労を願つておることはよく承知しております。この九億五千万を獲得されたことは、私は当時の情勢からして文部省の大きな努力だと思うのですが、この九億五千万円であなたが考えておられる予定というものは大体遂行できるのですか承りたい。
  49. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 この九億五千万円は、私どもの要求の半分にしか到達しておりませんので、御指摘のように、これで十分であるということはとうてい申しかねますが、今私どもが考えております大体の方向は、この九億五千万を非常に生かして使いたい。その金を下手に死なせるようなことをさせないために、地方の工事量をどれだけか圧縮してもらうことを今地方の方にお願いしております。そうしてその圧縮された分量は来年の建築に持ち越すということについて、約二十億見当になりますが、大蔵省とも大体事務的には了解をつけておりますので、本年度の工事量は、予定よりもその圧縮された分だけ全体として減少せざるを得ぬ。減少させてでも、この際着手したような工事、また現に相当進んでいるような工事は、完成させたいというふうに考えているわけであります。
  50. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員長代理 本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じます。  なお去る第十国会において当委員会より東海、近畿に委員を派遣して調査を行いましたが、その派遣報告書が提出されておりますので、これを速記録にとどめておきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員長代理 それではさようにいたします。  本日はこれにて散会いたします。  なお次会は理事の諸君と御相談の上公報をもつて御通知申し上げます。     午後零時三十四分散会