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1951-10-25 第12回国会 衆議院 農林委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 千賀康治君    理事 河野 謙三君 理事 松浦 東介君    理事 小林 運美君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    小淵 光平君       中垣 國男君    原田 雪松君       平野 三郎君    八木 一郎君       吉川 久衛君    坂口 主税君       竹村奈良一君    横田甚太郎君       中村 寅太君  出席国務大臣         農 林 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     増田  盛君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         農林事務官         (農政局長)  東畑 四郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  青柳 確郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十月二十四日  購繭資金貸出額増額融資に関する陳情書  (第一九五号)  地方競馬売上収益金畜産振興に充当の陳情書  (第二  一八号)  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法に基く農業振  興計画推進に関する陳情書  (第二三二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  食糧問題に関する件  肥料に関する件  蚕糸に関する件  農林関係補正予算に関し説明聴取の件     ―――――――――――――
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  昨日の委員会において決議になりました小委員会の設置につきましては、委員長委員並びに小委員長の人選を御一任になつておりましたので、この際御指名いたします。農林公共事業小委員    宇野秀次郎君  中垣 國男君    越智  茂君  大森 玉木君    中馬 辰猪君  坂口 主税君    野原 正勝君  足鹿  覺君    平野三郎君  竹村奈良二君    松浦東介小委員長松浦東介君にお願いいたします。  肥料及び飼料小委員    遠藤 三郎君 小笠原八十美君    河野 謙三君  原田 雪松君    吉川 久衛君  井上 良二君    竹村奈良一君小委員長河野謙三君にお願いし三す。  蚕糸小委員    小淵 光平君  幡谷仙次郎君    川西  清君  八木 一郎君    小林 運美君  足鹿  覺君    横田甚太郎小委員長八木一郎君にお願いします。  なおこの際本日の議事について御了承願つておきたいと思いますが、本日は昨日の大臣説明に対する総括的な質疑を行うことにいたしまして、個々の具体的な問題につきましては、あとで一つ一つ取上げて十分に調査を行うことにいたしたいと思いますので、そのおつもりで質疑をお願いいたします。  なおこの際補足をいたしますが、先ほど公共事業小委員を指名申し上げる際に中村寅太君を脱落いたしましたので、あらためて中村寅太君に公共事業小委員になつていただきます。  質問通告がありますので、通告順にお許しをいたします。小林運美君。
  3. 小林運美

    小林(運)委員 私は昨日の委員会におきます根本農林大臣農業政策に関する御意見を承りましたので、その御意見に対して二、三の質問を進めてみたいと思うのであります。  自由党はこの前の選挙以来米の自由販売を提唱して参りまして、最近政府は米の自由販売をするということを声明しております。この件に関しましては、先般本会議におきまして、私は根本農林大臣に大体の質問をいたしまして、それに対する御答弁もありましたけれども、非常に抽象的また楽観的で、個々の問題について納得が行きません。さらに昨日の御説明によりましても、この問題につきまして、大臣は確信を持つて米の統制撤廃をするように見えていながら、その御答弁には非常に不安定なものが多々あるのであります。そこで本日は総括的に質問をいたしまして、またあらためて詳細に御質問を申し上げます。  まず第一に、大臣は米の統制を撤廃しても今後国内食糧には困らない、その一番大きな裏づけとして、輸入食糧見通しが十分あるというようなお票ございましたが、われわれの見るところで、今までの情報を聞いてみますと、必ずしも見通しは楽観できない。しかも東南アジア等政情も、御存じのように非常に逼迫しておる。船舶の問題その他いろいろな問題から考えまして、輸入食糧の確保ということは非常にむずかしい問題であると思います。しかも一番問題になるのは、一体どのくらいで輸入食糧を入れるのか、情報によりますと、カリフォルニアの米が相当量入るというようなお話もございましたが、これらの値段等につきましては、あるいは二百ドルというような値段を唱えておるということを聞きます。かりに二百ドルというような米を買つたら、これに対する補給金を一体どうするのか。補正予算あるいは来年度予算はまだはつきり聞いておりませんが、一体こういう莫大な金額をどういうところから出すかというような、もつと具体的な御説明を私は願いたいのであります。なおこの輸入見通しにつきまして、農林省から配付された資料によりますと百四、五十ドル、今まで百二十ドルくらいのものがだんだん上つて来おる。こういうような海外の値上りを一体政府はどうする気か、こういうことは非常に大きな問題でありますので、これに対するしつかりした見通しを承りたいのであります。
  4. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答えいたします。御質問の要点は、輸入食糧見通しが非常に困難ではないか、その第一の問題といたしましては、船舶関係並び東南アジア諸国政情の問題、価格並びに外貨の問題を御指摘になつているようでありますが、御承知のように、現在におきましては輸入の本米穀年度における計画は順調に入荷いたししおるのであります。従いまして、現在の情勢から見て急に輸入食糧が悪化するという要素考えておりません。なおまた東南アジアの社会の政情の問題を論ぜられておりますけれども、主として外米の給源地であるタイビルマにつきましては、今日政情が悪化するという情勢はわれわれは考えておりません。安定しておるものと考えております。次に外貨についてでございますが、これは本会議におきまして大蔵大臣並びに安本長官から御説明申し上げました通り、現在においては外貨が若干余裕があるのみならず、これは日本国民生活を保障するための外貨であるならば、当然優先的に支出するという前提がありまするので、その点も不安はございません。価格の問題につきましては、これは現在各国とも若干物価の指数上つておる状況でありまするが、しかし急激に高騰するという要素考えておりません。なおまたそのような条件が具備しておつても、食糧輸入に対しては輸入補給金が必要であろう、これは御説の通りであります。輸入補給金については、政府は従来と同様にこれを考慮しておるという状況でございます。なお具体的に二十七年度全体の主食需給計算について述べよとのことでありますが、これは目下安本並び農林省事務当局検討中でございまして、これが成案を得ましたならば御説明申し上げましいて、いろいろと御審議をいただきたいと考えておる次第であります。
  5. 小林運美

    小林(運)委員 大臣の御答弁によりますと、東南アジア情勢も安定して、今までの輸入計画も大体行つているというようなお話でございますが、今まではそうであつたかもしれませんが、今後はどういう見通しか。かりに国内の問題であつても、これはどこでも同じですが、米の自由販売をやればやはり米に対する消費も相当ふえて来る。従つて国内の米の需要は今までよりふえます。こういうものをタイビルマの人だつて知らぬ顔はしておらぬ。必ずこれは情報として入つて、これから日本は米がよけいいるんだということになれば、やはり向うも商売ですから、必ず値段をつり上げるとかいろいろな問題か起つて来る。こういうようなことは現在農林省資料ではまだわかつていないけれども、だれが考えても米は高くなるということはわかり切つている。国内でさえそうなんだ。すでにやみの価格がどんどん上つている。これは現実の問題です。これが海外に影響して、今後輸入食糧は相当高くなるということはわかり切つていることなんです。この見通しについて、あなたがそういうことはないと言えばこれは水かけ論であるかもしれない。しかし現実はすでにそういうふうになつている。こういうような問題から、もし限られた予算で米が買えないということになり、片方ではどんどん食べてしまうということから、国内食糧が足りなくなつて消費者の方に渡らぬということになれば、われわれが心配していた米騒動のようなことも必ず起きるのではないか。もしそうなつた場合の責任はだれが負うかということなんです。私はこれをもう少し考え直してもらいたいと思う。もつと具体的にこまかい例を申し上げたいのでありますが、時間がないので、これをひとつ十分お考え願いたいということを私は申し上げたい。  次は、先日も私は申し上げたのでありますが、バツク・ペイがなくなる関係上、どうしても生産者に対する不公平が起きて来る。この問題をもう少し大臣は真剣に考えてもらいたい。東北であるとか寒冷単作地帯の問題をどういうふうにされるか。私が先般も申し上げましたように、消費地から遠い所にあつては必ずこれが大きな問題になる。これを農林省はほつぽらかしておくか。この点はどういうふうに考えますか。あなたも東北の人なんだからよく考えてもらいたい。
  6. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答えいたします。バツク・ペイの問題につきましては、二十六年度産米につきましてパリテイ計算供出価格をきめておる限りにおいては、明年度につきましても、指数が上りますれば当然それだけバツク・ペイするということは考えております。なおもう一つ指摘されまし単作地帯特に僻遠の地におきましては、おそらく非常に不利になるのじやないかという御質問でございますが、これは本会議におきましても御説明申し上げました通り政府は野放しの需給考えてはおりません。すなわち需給調整をいたしまして、その需給調整におきましてはわれわれは価格支持政策をとる。従いまして、一定価格をもつて制限に買い入れるということを考慮しておりますために、その意味においては現状より著しく悪くなるということは考えておりません。従いまして小林さんが御指摘の点は、需給調整措置を講じない場合を想定しておるようでございますが、ただいま申し上げましたように、需給調整において最低価格による無制限買入れという措置を講ずる方針でございますので、その点は是正されると考えておる次第であります。
  7. 小林運美

    小林(運)委員 価格調整をやるというお話は確かに聞きましたけれども価格調整をやつて制限に買い入れるということになると、莫大な金がかかる。こういうこともあなたがはつきり腹に積もつて、大体どのくらいかかるか、そして、その方法はどういうふうにやるんだということがはつきりしないで、ただ需給調整をやるんだといつても、需給調整つていろいろある。それから買い入れる場合の値段の問題もある。その予算的な措置をどういうふうにやるか、これが問題になつて来る。いい加減なことをやつた需給調整にならぬ。その見通しは一体どうか。ただ需給調整をやるといつてもこれだけではわからない。こうこういう計画でどのくらいで買い上げるという、予算的な金額はどのくらいかかるか、それを今の財政でどれだけやつて行けるかというはつきりした見通しがつかなければ、私は答弁にならぬと思う。その点特に指摘申し上げて御答弁を願いたい。
  8. 根本龍太郎

    根本国務大臣 主食統制に伴いまする立法並びに行政措置につきましては、この前も申し上げましたように、成案を得次第提案いたします。その際に詳細を御説明申し上げたいと思つておるのでありまして、ただいまは方針についての構想をお聞きのようでありますから、その範囲内において御説明申し上げておる次第であります。価格支持政策をとる場合にどういう計算方法をとるか、またこれに伴う買上げの数量をどう見るか、あるいはまた輸入食糧をどの程度にするかということも、成案を得次第こちらに提出いたしまして御審議を願うつもりでございますから、その際にさらに具体的な御質問を受け、われわれもまた詳細にわたつて説明申し上げたいと思います。
  9. 小林運美

    小林(運)委員 ただいまの御答弁はその際にということであるが、将来統制を撤廃すればどうなるかということを今国民が聞きたがつている。その具体的な方法がまだできないというふうでは、ますます不安でございます。まあこの問題は議論になりますのであとまわしにいたします。  次に御質問したいのは行政整理の問題であります。自由党は衆議院において圧倒的上な多数を持つておりますので、政府はあるいは強引に押し切られるかもしれませんが、この自由販買の問題が通常国会において法案として出たときに、もし国会を通らなかつた場合どうしますか。片方では行政整理をきめてどんどん首を切つてしまう。通らなかつた場合にはやる役人がいなくなつてしまう。これでも一体できるのですか。きのう説明によりますと二万六千人の人を整理するということでありましたが、現在やつております食糧統制の人員を行政整理で二万六千人首を切つた場合に、これが通らなかつたときはたしてどうするか。しかも今度の行政整理内容についてわれわれは承知しておりますけれども、数字的な面からいつても非常に不合理がある。しかも農林当局は、あなた方が本気になつて農林行政を拡充してりつぱにやつて行こうと考えて任命した政府の官吏を、そういつたでたらめな方法で、まだ何もきまらぬうちから整理をするなんということはとんでもないことだ。しかもあなた方が、自分の部下としてかわいがつてどんどんやつていた者を、そういつた不合理な理由のもとに切つてしまう。私は行政整理という大きな見地については賛成でありますが、その個々の問題について、時に農業関係整理については、もつと慎重を期してやらなければいかぬ。そういつた具体的な数字等についてもあとで申し上げますが、大体根本的な考え方として、大臣はどういうふうに考えますか。
  10. 根本龍太郎

    根本国務大臣 行政整理の問題について定員法が通らなかつた場合にはどうするかということでありますが、われわれ政府といたしましては、この整理案は通過できる、かように信じておりますので、今からそれが通らなかつた場合ということは考えておりません。但し、これは御承知のように、事務整理並びに簡素化に伴いまするところの整理でございまするので、定員法がもし通らない場合におきましては、さらにこれに対する善後措置は当然講じなければならないと思います。
  11. 小林運美

    小林(運)委員 ただいまの御答弁もはなはだ不安定で、われわれ納得が参りません。これらも、もつと詳細に、具体的な数字をあげていずれ御質問いたしますが、本日は総括的なことでございますので、この程度にいたします。  次に、昨日の大臣の御説明の中に、今度繭糸価の安定に対する法案を準備する。すでに補正予算には三十億余の予算が計上されております。この繭糸価の安定の法案そのものにつきましては、われわれ拝見いたしまして、特にわれわれ民主党が唱えて参りました計画経済、農産物の価格支持政策現実におやりになつたので、われわれの政策を十分入れてもらつたことについては敬意を表します。しかし、この内容について二、三総括的に御質問申し上げたい。特にこの前の委員会でも、私は大臣十分希望を申し上げて、おきましたが、大臣もそのつもりでやりたいということで、今回の法案の中に、第十条に繭の安定を項目として一条あげてあります。ところが、この内容を見ますと、ただ繭価の安定をはかりたい、それに対する特別な措置をするというようなことを簡単に書いてありますが、これでは——この法律はまだ正式には上つておりませんが、何だかわけがわからない。こんなものでは、せつかくわれわれがこの法律をつくつても、絵を描いて、何も目がない。これではどうにもしようがない。やはり竜を描いたならば、目玉をはつきり入れてもらいたい。今まで糸価安定と言つてつたのを、今度は繭糸価の安定と言つて、見たところはけつこうですが、中に精神がこもつていない。どういうような方法でやるか、そのこまかいことば私は言いませんが、やはり生糸を買い上げるなら、繭も買い上げる、その予算措置はどうするのだということを、はつきりここに示さなければならぬと思う。この点を大臣はどんなふうにお考えになつておりますか、総括的な考えけつこうですから、御説明願いたいのであります。
  12. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答えいたします。繭糸価安定法の問題につきましては、小林さん御承知のように、ただいま委員長から申されたごとくに、国会においても常任委員会において特別小委員会を設けられるということでございまして、この問題は現在事務当局におきましても、一応の草案はつつているのでありまするが、御指摘のように、これは糸価繭価相関連して安定せしめ、もつて養蚕業の安定と、さらにこれの進展を期するとともに、一面におきましては、貿易における生糸の持つ重要性にかんがみまして、これの輸出振興並びにその安定を期すということでございます。この観点からいたしまして、繭をうんと買い入れて、繭の操」作によつて糸価並びに繭価を安定すべきであるとの議論も立つようであります。しかし繭によつて逆糸価を安定せしむるという方策をとりますと、尨大なる資金がいるわけでありまして、その操作並びに管理についても非常な難点があります。糸価を算定する場合、その中に繭価というものが当然入つて参るのであります。従つて糸価安定価格を想定する場合において、繭価がその価格形成の重要な要素として入つて参りまするので、その点において繭価も安定される、こういう見方もあるのでございます。しかし全然繭については買わないかというと、そういうこともなかなか困難であろうというので、この問題はどの程度、いかなる方法をもつて操作するが適当であるか、これはかなり専門的な研究が必要でありまするので、法案草案には抽象的に書いてありまするが、実際の操作の面にどうすべきかということを十分検討の上、あの条項をもし改める必要があるとするならば、改めることもやぶさかではございませんが、まだこの点は結論が出ておりません。十分検討いたしまして、小林さんの御趣旨に沿いたいと考えておる次第であります。
  13. 小林運美

    小林(運)委員 ただいまの御答弁、これ以上私は追究いたしませんが、十分御努力を願いたい。  次に、この安定法の一番大きな問題は、中心値段をどこへ持つて行くかという問題と、中心値段中心といたしましての値幅をどのくらいに持つて行くかということでございます。この法案には、中心を二十万円にするとか、二十五万円にするとか、あるいは十六万円にするとか、これは書けません。しかし大臣は大体の目安を持つてもらいたい。この中心値段を今私が聞きましても、大臣説明できないでしようから、これは私は申し上げませんが、一番重要な問題は値幅の問題です。この値幅中心値段に対して上下三割も四割もするとかいうようなことは、これは糸価安定にならない。そこでほんとうの糸価安定というものは、値幅をなるべく少くして、行かなければならぬということが考えられる。これは今大臣でもはつきり御答弁できると思う。その値幅の問題を一体どんなふうに考えておられるか。これは具体的に法律案に書かなくても、こういうふうにやつて行きたいという大臣のお考え答弁できると思いますから、そのお考えをひとつ伺いたい。
  14. 根本龍太郎

    根本国務大臣 糸価安定の場合における標準価格をどこに置くかということは非常に重要な問題であります。従つてこの問題につきましては、草案にもありまするごとくに、一方的に役人がきめるということは、実に相当取引市場にも影響もありますし、なおまた操作上非常に難点もございますので、役人のみならず、民間並びに学識経験者も入れまして、その値段並びに計算方法をも考慮いたしたいと思つております。ただいま、どの値幅にし、また値段をどの線に置くということは、私から申し上げる段階になつておりません。
  15. 小林運美

    小林(運)委員 私は、今大臣に非常に答弁しやすく申し上げた。それを少し考えてもらいたい。というのは、中心値段というものは審議会できめる、そんなことは書いてあるからわかつておる。しかし、この法律をきめる際、糸価安定という大きな眼目からいつて値幅をなるべく小さくするということが大事なんだ。その気持でやつてもらいたい。それを聞いたら、それは審議会できめればいい、それはあまり簡単過ぎる。そうじやない。糸価安定の大きな眼目からいつて値幅をなるべく小さくした方がいい、できるなら上下一割とかいうような点をむしろこの法案に書くべきだというふうに私は考えておる。これはこれ以上申し上げません。しかもこういうことがすでに現実の問題として起つておる。この間ロンドンで開かれた世界絹業大会で、消費者の外国の人たちが、日本中心値段まで向うできめておる。三ドル八十セントという値段をきめております。その値幅等言つておる。こういうふうな現実の問題、これは売手買手のことで、買手は安くするのはあたりまえ、売手は高くする。こんなものにわれわれは拘束される必要はないと思いますが、現実の問題として起つておる。だからそういうことをまずはつきりと大臣が頭に入れてこの問題を処理してもらいたい。しかもこの三ドル八十セントというロンドン会議情報が伝わるとこれが現実の問題として、日本糸価に響いて来るということを考えて、もつと慎重にやつていただきたいと思う。この糸価安定の法案現実にできた場合に、はたしてこれが蚕糸業全体のためになるかどうかというと、たつたこれだけじやしようがない。まだほかにいろいろ方法がある。蚕糸業振興をはかるには、やはり生糸消費宣伝というようなことも非常に必要でございます。ところが、この間のロンドン会議において、各国生糸宣伝費の割当がきまつた日本に対してもそういう要求があつた。しかも日本からも正式に今度は代表行つてつておるにかかわらず、世界で一番供給力の多い日本としての考え方が、どうもはつきりしてない。しかもかなり押しつけられて、これだけよこせ、そのかわりおれの方でこういうことをやつてやる。みんな向う押つけなんだ。そういうような点について、大臣はどんな情報を得ておるか。農林省からも正式な人が代表として行つておる。その報告を受けられたかどうか、そうしてその内容はどんなふうになつておるか。大臣の耳に入つてつたら、ひとつここで言つてもらいたい。これは非常に大きい問題でございますので、さらにお聞きしたいのでございます。
  16. 千賀康治

    千賀委員長 小林君に申し上げますが、申合せの時間が来ておりますから、あとまだ質問があるのでしたら簡潔に願います。
  17. 根本龍太郎

    根本国務大臣 小林さんから重ねて糸価安定の問題について値幅はなるべく小さくすべきである、その御趣旨は私も賛成でございます。但し、何割ということについては、まだ私十分検討する余地がありますので、申し上げられません。  それからわが国の生糸市場を開拓するために措置を講ぜよということでありますが、これはまつたく同感でございます。その意味におきまして、今後在外事務所または正式に大公使館等が設置された場合に、主要な需要国につきましては、生糸に関する専門の人間をぜひそれに配置いたしたい、かように思つて外務省と今折衝いたしているのであります。  なおまた生糸会議についての問題でありますが、あれには政府からは役人として正式に代表は出ていない、民間側からの代表のようであります。これにつきましては、まだ詳細報告を受けておりません。いずれ報告を聴取いたした上善処いたしたいと考えております。
  18. 小林運美

    小林(運)委員 蚕糸業の問題につい、てまだいろいろお尋ねしたいのですが、時間がないので、次の機会にいたします。最後に、本会議質問のときにも申し上げて、御答弁を要求したのですが、大臣からは答弁がなかつた。通産大臣から何だかわけのわからない答弁がありましたが、肥料の問題、これは休会中にこの委員会でもいろいろ論議があつて自由党の専門家の各位から十分な御意見がありました。これに対して農林大臣は、非常な熱意を持つて肥料需給調整をやりたい、しかもこの需給調整に対する予算がかなりのところまで行つたのが、今度の補正予算の中には、肥料需給調整に対する予算というものはどこかに飛んでしまつて、やみに流れてしまつた。これを大臣は一体どんなふうに考えるか、休会中からわれわれは、遠方からみな集まつて何回もやつた。あの委員会において、農林大臣肥料需給調整を非常に熱心にお考えなつた。農林当局もみなそう思つていたわれわれもみなそう思つていた。ところが、いよいよかんじんの補正予算には顔を見せない。肥料需給調整に対する法律も何も出て来ない。これは一体どうなんだ、肥料はもう何もしないでよいのですか。この問題についての農林大臣のお考えはどうか、これを承りたい。
  19. 根本龍太郎

    根本国務大臣 肥料需給調整法の制定につきましては、御指摘通り、私は非常に重点を入れて参つたのであります。従いまして、先般の予算閣議においても、これは各閣僚の了承を得て計上しておつたのでありますが、関係方面との折衝において、遂にこれが通過することができなくなりました。そのために現在さらに構想を新たにして、これを再検討の上成立を企図しておるのであります。そういう関係で、今回の補正予算に正式に上程することができなくなつたことは、まことに遺憾にたえません。
  20. 小林運美

    小林(運)委員 今のお話で、関係方面の了解が得られなかつたというのは、一体どういうことですか。これは関係方面のことですから、あまり詳細には私お尋ねしませんが、一体どういうところが了解を得られないのか、これは今後われわれが考える上において非常によいサゼスチヨンになりますので大体どの方面がいけなかつたのか、これは通産省の関係方面ではないど私は考えます。ほんとうの関係方面で、どういうところがいけないのか、それだけ簡単に御説明願いたい。
  21. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ちよつと速記をとめてください。
  22. 千賀康治

    千賀委員長 速記をとめて……。     〔速記中止〕
  23. 千賀康治

    千賀委員長 速記を始めてください。井上君。
  24. 井上良二

    井上(良)委員 私はこの際当面しております食糧統制撤廃問題について質問をいたしたいのです。  私は政府考えております食糧統制撤廃というものが国民生活の安定、さらに日本経済の再建、または将来の日本の独立という大きな見地から、この問題が非常に大きな影響を持つておるのであります。そういう考え方から、私ども日ごろ自由党政策、その政策を実行に移しておりまする吉田内閣の、最近の基礎産業を中心にする、また国民生活に重大な関係のありまする諸物資の統制解除の跡を見まして、われわれが重いたします日本の安定と日本の将来の独立を達成して行くという大きなこととまつたく食い違つた結果が現われて来ている。ますます国民生活は不安動揺し、産業経済はまつたく破綻に瀕する実情に当面しておる。このことは、私ども個人的には根本農林大臣を尊敬いたし、また熱心に現在の政治にとつ組んで、問題を解決しようとするその努力には敬意を表します。しかもあなたが政調会長時代からこの方打ち立てましたところの自由経済への切りかえの結果が、今日わが国に一体どういう影響を考えておるかということを、あなたみずからひしひしとお考えになつておるのじやないかと考えます。たとえば石炭の問題を取り上げてみましても、電力の問題を取上げてみましても、肥料の問題を取上げてみましても、また鉄鉱の問題を取上げてみましても、ことごとくがわが国の基礎産業としての総合的な大きな力を発揮しなければならぬのにかかわらず、どれもこれもがまつたくどうにもならぬ現状に追い込められておるという、この事実を否定することはできません。この一環としてあります食糧も、またこれと同列に巻き込まれる危険を持つておるのであります。と言いますのは、御承知通りわが国の食糧は絶対不足を告げております。将来国土は狭くなり、人口はふえて行き、耕地は滅つて行くという現状において、絶対不足はますます大きくなつて行くという見通しが立てられるときに、この統制をはずすという考え方が、私どもは何としても納得できません。ただここでお断わりしておきますけれども、現在のような食糧管理方式というものは、これは大いに改善を要しますが、また政府みずから野放しに統制をはずすのではない、一部管理をするのだ、こういうことが言われておりますけれども、しかし一部管理することによつて全体を食いとめることができ得ないということは、食糧完全統制以前の需給調整によつて、よくその経験をわれわれはして来おるのであります。一部管理することによる需給調整ということが、全体を管理しなければならぬという結論を生んでおるのであります。このことを忘れて、一部管理するから不安がないのだということは、今日国内食糧不足の経験をして来ております日本国民としては、納得ができないのであります。そういう面から、政府の年間所要量約五千六百万石、国内生産約四千五百万石、これは消費面の供給量でありますけれども、この食い違つております絶対不足という問題を、外国食糧輸入によつて補うて行こう、こういうのが政府考え方であります。このことから考えられますことは、外国食糧輸入というものは、相手国の意思いかんによつて絶対的なものではないということであります。相手国の意思いかんによつて、こつちが買おうとしても売らんと言うならば、どうすることもできません。この事実はすでに現われております。日本統制をはずして国内保有量をできるだけよけい持とうといたしましたことから、買いあおりをいたしました結果、いかに国際の米の相場を引上げ、また食糧の相場をつりあげておるかという事実を、一体大臣はどう見ますか、この事実をどうお考えになりますか。このことがまた地面食糧不足を告げて、米を買おうとする国々に対して、どういう悪影響を与えておりますか。この事実を大臣はどうお考えになりますか。これをまず伺いたい。
  25. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答えいたします。ただいま井上さんから、吉田内閣の経済政策が漸次基礎物資の統制を解除したために、破綻に瀕しているというような御意見でありますが、これはわれわれのとらざるところでございます。御承知のように、井上さん自身が政府の当局にあられた当時に比べまして、現在の鉱工業の生産指数あるいはまた絶対量、農産並びに水産関係の上昇も著しいものがございます。この点は日本の国力が充実した、政局が安定したということとあわせまして、やはり自由企業による経済の妙味が発揮されたものとわれわれは考えております。  なお食糧の問題につきまして、現在政府が意図することは、基礎産業の不安定とともに国民生活に非常な不安を与えるというようなお考えであるようでありまするが、これも先ほどから申し上げ、さらに本会議において御説明した通り、われわれはさように考えておりません。その理由といたしまして、統制を撤廃することによつて、具体的にしからば農村にいかなる影響があるか、いかなる有利な点があるかということの問題になろうと存じます。すでに井上さんも専門的に御研究になつておるように、従来戦時下において全画的な食糧管理をいたしたいということは、究極において、日本が孤立経済に陥つたからでございます。従前におきましても、日本で米の足らないときは、やはり植民地並びに海外から食糧輸入しておりました。しかるに大東亜戦の勃発とともに、日本が国際市場から締め出されたために、どうしてもアウタルキーの経済をやらなければならない。そのために農民から強権をもつて食糧を供出していただき、それを今度は全面的に政府が管理して配給規正をしたいということが、この食糧管理法ができた、原因なのであります。この客観的情勢は、戦後といえども日本が国際社会から遮断されておつたために、やむなくこれを継続して参つたのでございますが、占領後各国日本に対する同情として出て参りましたのが、いわゆるガリオア・フアンドによるところの食糧輸入でございます。この点からさらに発展いたしまして、小麦協定への参加となり、FAOへの参加となりまして、われわれは完全に国際社会に加入することができたのであります。従いまして、食糧輸入につきまして、は心配はないのであります。現在欧州の各国におきましても、やはり食糧の不足の国はたくさんあります。英国においてしかり、フランスにおいてしかり、イタリアにおいてしかり、ドイツにおいてもしかりであります。しかしそのために孤立経済をとつておるという国は、おそらくソ連圏内以外には私はないと見ております。従いましてこの点は、われわれは国際的な取引が、食糧においてのみならず、現在の鉄においても、さらには綿糸その他においても、すべてにおいて、日本の足らざるところの原料は国際市場に仰いでおるわけであります。こういう観点からいたしまして、われわれは統制が撤廃されることによつて輸入食糧が入らなくなるとか、不安になるということは考えられません。(「高くなる」と呼ぶ者あり)値段の問題につきましては、これは統制を撤廃したために国際価格が高くなるという関係はございません。統制撤廃をしたために若干食糧消費量がふえるということは考えられますが、これは人口の増とも考えまして、統制の撤廃のいかんにかかわらず当然出て来るものでございます。しかもこれは国際的な自然の市場価格においてきめられるのでありますから、そのために統制撤廃によるはね上りはないと考えております。  その次に農民に対して不安を与えるではないかというお尋ねでありますが……。
  26. 井上良二

    井上(良)委員 農民のことは聞いておりません。
  27. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そうですか。それではあとで申し上げます。
  28. 井上良二

    井上(良)委員 私が今質問いたしました一番の重点は、政府統制撤廃の処置として、不足するものを輸入食糧に依存しておるということです。ここに私は食糧政策として非常に大きな問題があるということを説こうとしておるのであります。そこでもちろん絶対不足しておる現状でございますから、いろいろな手を講じて輸入をせなければなりません。しかしながら輸入依存第一主義ということは、わが国の他の産業、また国民生活全般にいろいろ、な影響をもたらして来ることは御存じの通りであります。従つて私どもは、国内生産を飛躍的に高める手をまず政府考えて、国内にある食糧をできるだけ常食化するようないろいろな手を打つて、そこでこの消費物資たる食糧輸入を最小限に食いとめて行くという手を打つべきであるにかかわらず、政府統制撤廃後の食糧不足の不安に備えるために、輸入買急ぎをやり過ぎておるという事実は見のがすことができません。その結果国際的な米の相場の変動を来しておるという事実も見のがすことはできないのであります。そこを一体どう考えるかということが私の今質問した重点であります。  そこで次に伺いたいのは、国内で生産されます食糧を、政府一定価格で無制限に買い上げるということによつて農民の不安を除こうとしておる。ところが今小林さんからも質問がありました通り、その一定価格とは何か、何ぼで買い上げるというのか。この価格が具体的に示されない限り、政府がいくら買い上げようという意思表示をしましても、農民は市場価格よりも政府買上げ価格が安い場合は政府に売らないのであります。買おうとしても売らないのであります。そこに問題が残つて来ます。だからこの問題を先に政府が取上げて、一体従来のパリテイ価格によるあの算定方式によつて生産者価格をきめて買おうとするのか、そのときの市場価格を上まわる価格で買おうとするのか、どちらを一体政府買入れ価格の基礎にするのかということがきまらぬ限り、政府が無制限国内食糧を買い上げると申しましても、われわれは安心しておるわけには参りません。時の市場価格よりも必ず高く買うということであるならば、政府が必要とする所要食糧政府に確保することができます。いわゆる操作米として政府が手持ちしたい米を買い上げることはできますが、市場価格より安い場合は、政府に売らぬということは、これははつきりしている。この問題をどう解決するかということをひとつ明確にしてもらわなければなりません。その点をまず伺いたい。  それからもう一点は、反対に消費者価格の安定線を政府は何ぼと考えでいるか、すでに伝えられるところによると、政府筋では米の消費者価格は大体百十円見当ということが言われておる。ところが一方自由党の政調会長の方では、百円台ではないかということを言われております。この安定価格というものを一体政府は何ぼに押えて、それ以上上つた場合は輸入食料を放出するなり、いろいろな手をそこで打たなければなりませんが、その安定線を何ぼと政府考えておるか。そこで現行価格より当然上ることが予想されますこの百円台の相場というものが、一体維持できると考えておるか。つまり内地米に匹敵するところの朝鮮米なり台湾米が入らぬ現状において、外米をもつてこの内地米の値上りを食いとめようとしても、食いとまらぬのであります。どういう方法で一体内地米の値上りを食いとめようとするか、この手を一応考えておかなければなりません。そこで問題は、現在約八十九円かそこそこの小売価格でありますが、この八十九円から百円台に上つて参ります価格差によつて、それだけ国民の生活は圧迫されることになります。そのことが当然給与ベースの改訂になり、物価の引上げになり、予算の膨張になると思いますが、大臣はそうお考えになりませんか。この二つをまず伺いたい。できるだけ簡単に願います。
  29. 根本龍太郎

    根本国務大臣 簡単にお答え申し上げます。政府輸入食糧をもつて操作しようとしておるが、輸入に依存し過ぎると言われますけれども、われわれはすでに申し上げたように、増産が日本食糧問題の一番の根本であるということはお知りの通りであります。輸入を多くするということは、過渡期における臨時措置としてやるつもりでございます。  その次は買上げ価格について政府需給調整法に基く買上げ価格をどのようにするか、市場価格よりも高く買わなければならないではないか、こういう考え方でありますが、われわれが需給調整考えておる農民保護の立場は、いわゆる最低価格の支持です。従つて現状の生産者価格以下にはしないという方針でございます。その計算方式については、大体今の構想では、パリテイ計算に基くところの価格計算方法が若干改正されてとらるべきではないかと考えております。その次に、内地米に対する需要が非常に多くなるだらうから、これを何によつて抑制するかということでありまするが、内地米に対する心理的な要求は非常に大きいものでありまするけれども、実際上の価格に影響するものは実際の購買力です。購買力が無限にあるということになりますれば内地米は非常に高くなるでありましようが、やはりこれはCPSとエンゲル係数の関係からいたしますれば、大体現在の実敷価格程度が想定されるのではないか、この点についても目下検討中でございます。
  30. 井上良二

    井上(良)委員 生産価格のことについても、私は、それで農民から政府の所要とする操作米を確保することは困難ではないかと思う。現在のパリテイ価格に若干の改正を加えるということでは、とうてい市場価格を上まわる価格にはなりません。上まわらないという見通しのもとで価格がきめられますと、政府国内産米なり国内食糧を年間操作米として一体何ぼ買い上げようとするのか、何ぼと一体見込みをつけて、その見込み数量が今お話なつたような価格で確保できるとお考えになつておりますか、その見込み数量と、いま一度そういう価格で買い上げられる自信があるのかという点について伺いたい。  それからいま一つは、消費者価格は現在の案敷価格、こういうお話でありますが、現在の実数価格は都市と農村において違います。そこで都市と農村においてこれを合計いたしまして、大体百十円くらいのところじやないか、これははつきわした基礎に立つた数字ではありませんけども、こういうことが農林省事務当局の方の検討数字としてとりざたされておりますが、農林大臣の申しますその実数価格というのはこれを指して言うておるのか、その点が明確でございません。それからそうなつた場合、当然給与ベースの改訂や物価改訂や、あるいは全般財政が膨脹いたしますが、この場合どうお考えになりますか、そうしてこれはインフレに拍車をかけることになりますが、そうなつてもよいとお考えになりますか、その点お伺いいたします。
  31. 根本龍太郎

    根本国務大臣 消費者価格の問題につきまして実数価格と申しましたのは、あなたの言われたところの百十円説とは違つております。これは現在の配給価格とやみ米価格とを消費量に按分して考えた実数価格、その程度が安定するところの目標ではないかと考えております。
  32. 井上良二

    井上(良)委員 それはどのくらいですか。
  33. 根本龍太郎

    根本国務大臣 それは九十円ちよつとというところであります。これは自然のままにそうなるというわけではありませんで、その点を安定価格として持つて行くためには、どの程度の外国食糧輸入し、外国食糧を放出する場合にどれだけの補給金が必要であるかということの問題に関連して参るのであります。  それから内地米の買入れ数量並びに価格の問題でございますが、これは井上さんの考えておることとわれわれとちよつと違うのです。これは農民が希望した場合、農民が不安になつたというので申し出でた場合に買うのでありまして、無理に価格をつり上げて買うということは消費者のためにもなりません。内地米と輸入食糧との全体のバランスにおいてこれが操作をするつもりでございます。従つて内地米を何によつて抑制するかというならば、これはやはり外米並びに輸入小麦を比較的安く放出することによつて安定を期するということになるのでございます。  それから統制を撤廃することによつて若干主食が上る、そのためにインフレになるおそれはないかということでありますが、これは米だけで考えることはできないのでありまして、総合的な施策をもつてインフレを極力防止するという考えでありますので、これだけでインフレになるとは考えておりません。  なおまた主食その他の値上りによるべース・アップの問題は、当然それにからんで考慮さるべき問題と考えております。
  34. 井上良二

    井上(良)委員 よくわかりました。そうすると、政府の申しております安定価格というものは九十円、九十円を上まわる場合は外国食糧の放出によつて調整するということですが、しかもその外国食糧の大部分は麦であります。それを比較的安く売るというお話でございますが、そうなりますと国内産の麦の生産にそれがどういう影響をもたらすかということはすぐおわかりでございましよう。そして麦の生産を中心にしております農家の経済がどうなるかおわかりでございましよう。この畑作農家の経済を圧迫しないようなどのような政策をおとりでございますか、つまり政府は麦の消費をできるだけ多くすることによつて、米の値上りを食いとめようとしております。そこで当然起る問題は、麦の実效価格をできるだけ安くすることになり得るのであります。そのことは結局国内の麦の生産を圧迫することになる。そうなると畑作農家を圧迫するという結論がここに出て来る。そこで吉田内閣の最も喜ぶ、池田大蔵大臣の最も喜ぶ、金持は米を食い、貧乏人は麦を食え、麦を食えぬ者はいもを食え、こういうところへ必然に追い込んで行く結果を、大臣はどうお考えになりますか、そういうように、米食率が現在においてさえ都市と農村の不均衡な現状をやむなく続けております。この実情にさらに一層拍車をかけて行く、今度は逆に裕福階級は米を食い、国の生産増強に、国の再建の人柱にならんところの労働階級は麦中心の食生活に切りかえられるという、この事実を一体政府はどうお考えになりますか、この点に対してはつきりしたお答えをいただきたい。
  35. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答えいたします。井上委員は前提をちよつと違えて考えていると思います。われわれは米についても麦についても価格支持政策をやりますので、外国食糧を比較的安く出しても、それによつて内地の麦作地を圧迫することは全然ない、こういう措置考えているのであります。  その次に、金持は米を食え、貧乏人は麦を食えというような議論でありますが、これはわれわれの考えといたしまては、さようになるとは考えません。問題は心理的な問題がたくさんございます。しかし現実にその麦が栄養上非常に悪いとか、あるいはまたこれが消化が悪いということであるならば別でありますけれども、戦時中から今日まで、また欧米の諸国におきましても、必ずしも米を食つているのは上級富有の階級で、麦を食つているのが非常に下級だということではございません。むしろ現在の絶対量の足らない、しかも世界食糧に依存する今日においては、やはり世界的な食糧事情と相勘案して主食改善が行われることが当然であると考えます。その意味におきましてわれわれは心理的な問題をあまり強調することは、食糧政策として妥当でないと考えております。
  36. 井上良二

    井上(良)委員 あなたの言うことはまつたく詭辯です。そうおつしやるなら私は言いますが、あなたはさいぜん私の質問に対して政府は米を農民の希望する価格で買い上げるとは言わないのです。的地産米を政府は必要だけ買上げるとは言わない。つまり現実食糧価格がこれ以上上つた場合は、外国食糧によつてそれを調整するということをあなたは言明されている。その外国食糧とは何だといえば、あの石のまざつた外米と、外国小麦と小麦粉ではありませんか、これを安く放出すれば当然国内の麦作に影響いたします。その結果はどういうことになりますか。米は野放しの状態で価格上つて、参ります。逆に麦は下るという結果になつて来る。そういたしますと生計に困る。勤労大衆は、米を食つてつたのでは家の世帯が成り立ちませんから、そこでまず麦をまぜるなり、パンを食べるなり、うどんを食べるなりして生計費のつじつまを何とかして合せようとすることは、これは経済的なやむにやまれぬ非常手段です。何も好んでパンを食つたりうどんを食う者はありませんよ。白飯ばつかり食つておる者は、たまにはパンやうどんが食べたいだろうけれども、日本人のいわゆる副食関係において、ほんとうに栄養あるものが安く勤労者の家庭にまだ入らない現状におきましては、実際は粉食中心食糧の方が栄養的にはよいのですが、そこまでまだ国民が経済的にも行きませんので、やむにやまれずやはり米の方が手間もかからないし、同時にまた栄養も存外あるというところから、その方に行つておるのです。われわれはそういう粒食本位の食糧よりも粉食本位の食糧に切りかえなければならないということは考えておりますが、何分にも日本国民生活程度は非常に低く、とうていそこまで手が届かない現状にあるところのこの事実を否定することはできません。そこで当然やはり麦を食わなければならない経済的な事情に追い込まれてしまうのです。そこで米食率と麦食率との比率を、食糧の本家本元の責任者として、あなたは一体どうお考えになるかということです。現に政府においては、十一月から十二月にかけて麦の統制をはずそちという腹でおるらしい。一方米は来年の三月末まで配給を続けて行こうというが、その間における米食率を一体どう訂正しますか。都市の方では内地米は四〇%か四五%の配給ですが、農村においては六〇%から六五%の内地米の配給です。同じ日本国民でありながら、吉田内閣のもとでそういう不公平な配給がなされておることに対し、どうして国民は黙つておれますか。これは総合配給全体配給ということで、やむにやまれず政府の施策に従つておるだけですが、米中心の配給になりました場合に、一方においては二十日分の米をもらい、一方においては十五日分しか米がもらえないという現実が起つて参ります。そうなりますと政府は、外国食糧が出て全国十五日平均に米の配給をいたすりもりですか、この米食率の差は一体どう直そうといたしますか、この点について伺いたい。
  37. 根本龍太郎

    根本国務大臣 前段の御質問は何回も繰返して申し上げたことですから省略いたします。  全国の米食率を均等化する意思ありやいなやということでございますが、現在の米食率がこういうふうにきまつたのは、御承知のように井上さんの政務次官当時からでございます。これは生産地と消費地のおのずからなる現象でかようになつておるのであります。しかし米だけに配給を限定した場合には、若干その点は調整する必要はあろうと存じております。
  38. 井上良二

    井上(良)委員 次にもう二点ほど伺いますが、一つは麦の統制の廃止を政府は十一月から十二月にかけてやろうというのに、これの法的措置を一体どういたしますか、法律案として、これに関連するいわゆる食管法の改正法案なり、あるいは食糧需給調整法案なりを議会に提出いたしますか、それとも政令でやるつもりですか。もし政令でやるといたしますならば、それはまつたく食管法の二本の柱である一方の柱を断ち切つてしまうことになりますが、そういう片ちんばな食糧管理政策で一向さしつかえない、何も矛盾はない、少くとも食糧管理法という国民生活に重大な食糧管理の法律は、政府がそれをやろうとする場合は、改正案を出すか、あるいは新しい法律によつてかいたさなければならない。それを事務的措置としての政令でやるということは、現在の国民食糧構成から、特に都会における食糧構成が十五日分麦で来ているという現実から考えて、当然それは法的な根拠によらなければならぬと私は考えますが、その点に対する大臣の所見を伺いたい。
  39. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この問題はしばしば本会議で御説明した通り、その手続については検討中でございますが、しかし政令で可能であるかどうかという議論になりますれば可能でございます。すなわち食管法は授権立法でありまして、政府に権限を与えた法律であります。そしてその実施はほとんど政、省令にゆだねているために、法律解釈としては政令でなし得るのであります。従いまして雑穀並びにいも類については、すべて政令をもつて廃止いたしております。
  40. 井上良二

    井上(良)委員 最後に二点伺いますが、一つはさきに小林君も触れておりました行政整理に関連するものです。私どもこれを考えます場合、現在政府食糧統制なり、あるいはまた農林統計その他の国家的重要事務を必要としてやつて来ております。統制のよしあしは別といたしまして、また統制をやるかやらぬかということは、国会でまだはつきりした態度はきまつておりませんときに、その統計事務なり統制事務に携わりますところの人々を、現に統制行つておりながら整理する法律案をこの臨時国会へ出そうということだそうですが、そういうことが一体許されますか。現実に必要があるとして統制事務をやらし、管理事務をやらし、また統計事務をやらしているが、統制は必要でなくなつた、統計事務はもういらないのであるという国会の意思表示が決定した後に、それだけ必要な人として雇いました人を整理するなら話はわかりますけれども、しかし現実にその仕事をさせておつて、そのことがまだ国会で決定されぬうちに、政府の一方的な措置として人員を整理するということが、一体許されるかどうか。さらにまたこの定員法、特に農林関係定員法の人員整理国会で否決容れた場合、政府は一体どういう処置をおとりになりますか、これも行政的な政令によつてやりますか、そういうことが政令でやれますか、その点も伺いたい。最後に肥料問題について、いろいろ議論がございましたが、御存じの通り肥料生産は、九月以来電力事情や石炭事情によつて非常に逼迫、悪化の一途をたどつております。とうてい政府の予定いたしております外国への輸出というものは、予定通り案行できない段階に追い詰められておりますし、一方また国内価格はどんどん上つておるということも、大臣よく御存じの通りであります。そういたしますと、肥料の輸出は計画通りできない現状にありますが、これを一体どうお考えでありますか。依然として政府は予定通り計画通り肥料輸出を実行する方針ですか。それともこれはなお検討を加えて、国内価格を圧迫しないように、肥料増産によつて国内価格の値上りを食いとめる政策に切りかえるつもりですが、どうお考えになるか、この二点について伺いたい。
  41. 根本龍太郎

    根本国務大臣 人員整理の問題については、先ほどお答えした通りでございます。肥料の問題につきましては、すでに政府といたしましては、十五万トン増産に基く十万トン輸出計画を立てておりますが、御指摘通りの事情でそのまま実行し得ない段階にあると存じております。従いまして、この外国への輸出については、再検討の上国内とさらには国際的な関係をも勘案して措置をいたしたいと考えております。
  42. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私はまず最初に米麦の統制の点でお聞きしたいのでございますが、先ほどから小林君並びに井上君と大臣との議論を聞いておりますと、あなたの方では米麦の統制を撤廃して一切自由販売にするのだというような宣伝をされておりまして、しかもこの宣伝の中に、自由販売をすることによつて、農家を保護し、あるいは消費者にも迷惑をかけないよ一な方針を打出すのだというようなことを常々言われておるわけでありますが、しかし今臨いておりますと、たとえば米麦の統制を撤廃して自由販売をした結果において、米の消費者価格を一升九十円あまりで抑えるというふうに井上君に答弁されたのでありますが、私は今政府のお考えになつておる米麦の自由販売によつて農家を保護するんだということは、遺憾ながら宣伝以外の何物でもないと考えたわけであります。なぜならば、現在米価審議会等によつても問題になつており、あるいは全国の協同組合等に上つて出されました米の生産者価格は、大体一升九十六円以上を上まわつておる。あるいはいろいろな民間の団体においては、一石一万円以上にせよと言われておる。しかしひるがえつて政府が育成するといつておられる協同組合などの出されておるところの生産者価格は、九十六円以上かかると言われておる。つまり九千六百円以上かかるというふうに言われておるのです。現在あの悪評紛々たる官僚統制を一応はずして、自由販売なつたのだからといつて、表面上は農家を非常に保護するように喜ばしていながら、事実は外国食糧をふんだんに輸入し、あるいはいろいろな政治的な操作でもつて消費者価格を九十円に抑えようとするならば、現在自由販売賛成しておる農民というものは、自分たちの生産した生産費を償うところの米価で自由に売れるというところに大きな関心を持つておるのでございますが、それと反対の結果を来すと思う。従つて政府自由販売といつておられますけれども、それは事実において大きな国家資本によつて外国の食糧を高く買つてそれによつて国内価格を押えて行くという、一つの国家資本による統制の方式をやられることであつて、これは自由販売でも何でもないというように考えるのでございます。農林大臣は農家を保護するにどとを基準としてやるのか。たとえば政府は最低米価で買入れるといつておられますが、生産費を償う価格で買入れられる考えでなければ、農家を保護したことにならない。この点について農林大臣は一体どういうふうに考えておられるか伺いたい。
  43. 根本龍太郎

    根本国務大臣 生産費の問題については意見の相違かと思います。これはわれわれ野放しの自由にするのではございません。従つて政府が間接調整するということば当然の建前でございます。先ほど井上さんあるいは小林さんから言われたごとくに、これが自由になることによつて生産者価格が現在公定しておるもの上りも高く取引されることは当然でありましよう。従つてその意味におきましては、現状以上に農村の所得がふえるということは事実であります。問題は出まわり時期に非常にたくさん出た場合に、買いたたかれるという心配が農民にあるだけでありますが、これにつきましてほ農業手形並びに集荷資金を与えることによつて、農業協同組合が、市場において自主的に平均売りなどをすることによつて有利に展開する、かように考えておる次第であります。
  44. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういうような問題についてはまたあとで詳細に論議いたしたいと思います。もう一つ聞いておきたいのは、大体四月から米を自由販売にするということをやかましく言つておられる。そして本年の供出数量二千五百万石を供出さすと言うておられるわけです。しかも大臣もしばしばその買入れ価格は七千三十円で買入れるのだといつておられるが、少くとも現在農林省の調べられたやみ価格等から考えましても、七千三十円というのは非常に低い。しかも四月からの統制撤廃を前にして、農民は自由に売つてもいいということを考える。そうすると、たとえば一升百円か百工、三十円に売れるのだというので、今日本年度のいろいろな災害あるいは虫害その他によつての減収が伝えられておるときに、二千五百万石も供出ざすといつたら、農民は非常に負担になるわけです。また四月から自由になつて、少しは値段が上るということがきまつておるのに、七千三百円で出す農家はよつぽどどうかしておると思う。実際は出さないと思う。これらに対して、政府は七千三十円でとつたあとで追加払いをするといつておられますけれども、実際はこれは時価で払われるのか、今言われておるやみ価格、これが私は生産費を償う価格だと思つておるのですが、そういう価格の追加払いをされるのかどうか。これをされなかつたならば、おそらく二千五百万石というものは出ないと思う。また出す必要はないと思う。実際に四月から自由販売されるのに、これを出すという考を持つている百姓はおかしいと思う。これに対して大臣は、一体どういう対案持つておられるのか。二千五百万石というものは確保できる見込みかどうか。あるいは強権をもつてされるのかどうか。この点をひとつ伺つておきたいと思います。
  45. 根本龍太郎

    根本国務大臣 供出の目標を二千五百万石としたことは事実でありまするが、これはさらにルース台風その他諸般の状況考えまして、知事会議において折衝の上きめる予定でございます。なおバツク・ペイの問題を関連して申しておられますが、バツク・ペイについては先ほど申した通りでありま止す。さらにそのほかに政府が二千五百万石を確保できるかどうか、正式に割当てた場合における割当量は確保するつもりであります。取締わについては、現行法によつて取締つて行く建前であります。  それから政府が三月以降保有米を持つであろうが、それをどういう形で放出するかということと関連しておると思いますが、現在これによつて政府がもうけるということは考えておりません。従いましてこれに対する措置については、現在検討いたしておる次第であります。
  46. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一つお聞きしたいのです。たとえば主食統制を撤廃するためには、外国食糧が予定通り入ると言つておられるのですが、この問題についてはいろいろ論ぜられております。本日の安本側の見解といたしましては、大体外貨収入に大きな負担ができて、外国食糧を買入れるということは非常に困難ではないかというようなことが言われておるのです。農林大臣は、ほんとうに外国食糧国内食糧事情を圧迫しない程度輸入できて、しかもこれを適宜に放出して九十円くらいの消費者価格で押えるような見通しを持つておられるのがどうか、心からそういうことを考えておられるのかどうか、ひとつお伺いいたしたい。というのは、おそらくそういうようなことは大体不可能に近いとわれわれは思うのですが、その点はどうですか。
  47. 根本龍太郎

    根本国務大臣 輸入見通しについては先ほど何回も言つた通りでございます。心配ございません。それから先ほど何回も九十円々々と言いましたが、集散価格程度を目標として操作をしたということを言つたのでありまして、九十円で値段を押えるとか、それできめるということではございません。誤解のないようにお願いいたします。
  48. 千賀康治

    千賀委員長 次会は公報をもつて御通知申し上げることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十二分散会