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1951-10-17 第12回国会 衆議院 農林委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十七日(水曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君    理事 小林 運美君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    小淵 光平君       川西  清君    中馬 辰猪君       中垣 國男君    幡谷仙次郎君       原田 雪松君    平野 三郎君       八木 一郎君    吉川 久衛君       坂口 主税君    竹村奈良一君       中村 寅太君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      桜井 志郎君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君 十月十一日  委員横田甚太郎君辞任につき、その補欠として  山口武秀君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  ルース台風による被害状況に関する説明聴取     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  まず国政調査承認要求の一件についてお諮りいたします。本会期におきましても、農政に関する諸問題につきまして、議長承認を得て調査を行いたいと思います。つきましては、調査事項、目的、方法等は、おおむね第十国会におけると同様といたしまして、衆議院規則第九十四條の規定による要求書提出方委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。     —————————————
  4. 千賀康治

    千賀委員長 次に先日のルース台風の来襲によつて農地農作物等相当被害があつたようでありますので、この際被害状況について説明を伺したいと思います。農地局建設部長桜井志郎君。
  5. 桜井志郎

    桜井説明員 御説明申し上げます。きようの午前十時までに私ども手元に集まりました報告を集計いたしまして、お手元まで差上げたわけでありますが、ただいまのところ判明いたしておりますのは、私どもが予想いたしておりまする数字よりは、ずつと少い程度報告しか参つておりません。御承知でもありましようが、十四日に熊本県に上陸いたしまして、その後山口県を通過し、能登半島をかすめ、再び東北方面に上陸したということによりまして、相当程度被害をもたらしております。ただいまのところ死者三百八十五名、行方不明二百六十七名というふうで、死者の数が非常に多いことが今度の災害特徴でございます。  農地関係災害を、今までまとまりましたのを申し上げますと、山口県を最高といたしまして、山口県ほか十四県からただいま報告が参つております。今日までの集計といたしましては、農地及び農地の付随いたしました灌漑排水設備等を合せまして約六十二億程度損害報告が参つております。  それから山林関係被害でございますが、これも各県の災害はほとんどまだわかつておりません。しかし豪雨状態、暴風の状態山林局で推計いたしました数字を、やはりお手元に差上げた資料に記載いたしておりますが、その総計三十一億八千という程度の一応の推定を立てております。  それから漁港関係災害でございますが、これも報告がはなはだ遅れております。お手元に差上げました資料で、鹿児島、和歌山、熊本、広島、静岡各県の災害報告をいたしております。このたびの災害といたしましては、豪雨による災害と、ちようど台風が高潮どきに参りましたために、潮が内陸に侵入したことによる堤防の破壊とか、あるいは農作物損害農耕地被害相当あるということも一つ特徴になつております。たとえますと、三重県あたりは雨量の点から言いますと非常に少いのでありますが——尾鷲方面の特別な所は別といたしまして、台風による直接の豪雨被害は非常に少いのですが、高潮による被害相当に受けておるということも一つ特徴になつております。  はなはだ簡単な御報告で申訳ないのですが、今手元に集りました災害状態は、以上申し上げた通りでございます。
  6. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまの説明に対しまして、何か御質疑はありませんか——ちよつと速記をとめて。     〔速記中止
  7. 千賀康治

    千賀委員長 速記を始めて。
  8. 竹村奈良一

    竹村委員 この際お伺いいたします。実はこの台風に対して、一体政府はどういうよう対策を持つておるかというような点を、農林大臣等に聞きたいのですが、農林大臣はお見えになりませんか。
  9. 千賀康治

    千賀委員長 きよう聴取ですから農地局責任者だけ……。
  10. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは農地局の方に一応お伺いいたします。こういう台風に対して、一体どういうふうな対策農地局としては持つておるか。それだけ一応聞いておいて、また次会大臣が来られたときに聞きたいと思います。大体どういう対策を持つておるかという点を、わかつておる範囲で聞きたい。
  11. 桜井志郎

    桜井説明員 お答え申し上げます。従来災害が起りました緊急の対策といたしましては、預金部資金放出をいたしまして、それをつなぎ資金にして復旧をはかり、その後におきまして、財政措置を講ずるという方法をとつております。今度も当然そういう方法をとるべきだというふうに考えております。御承知ように二十六年度の災害予備金といたしまして、ただいま八十億残つておりますが、この八十億はすでに政府としてその放出計画を立てておりますけれども、まだ今までに起りました災害、たとえば七月のケイト災害、八月の災害、あるいは春の融雪災害といろものに対しましてり予備金支出はまだ行われておりません。ごく最近に行われる予定でございますが、ただその残額をもつて今度の災害に対応し得るかどうかという問題につきましては、私個人の考えでは、残額がはなはだ少いという関係からいたしまして、困難ではないかと思います。
  12. 竹村奈良一

    竹村委員 預金部資金放出等考えておられるのですが、それでは現在起つた台風に対して、一体どれだけの預金部資金放出される予定でありますか。
  13. 桜井志郎

    桜井説明員 現在の災害につきましては、ただいま御説明申し上げました通り、まだその災害の一部しかわかつておりません。急速にその全貌をつかみました上、当然閣議決定の線で、どの程度預金部資金放出するかということをおきめになると思います。
  14. 竹村奈良一

    竹村委員 それではきまつてないとおつしやるのを、無理にやかましく言つてもしようがないと思いますが、しかし災害が起つたときは緊急を要する問題であつて、あまりのろのろしておつては間に合わぬと思う。だから最近のうちに至急にきめていただけるだろうと思う。  そこでもう一つ聞いておきたいのは、大体八十億の予備金支出は七月、八月の前の災害に出す計画を大体きめておる。本日の新聞を見ておりますと、これをあたかも今回の台風の方に融通して、前のをやめるのだというふうなことも一応新聞には載つておりますが、そういうようなことでなくして、前の計画されたところには全部出して、残金と、不足の分はもちろん今度の予算の方で変更されるだろうと思いますが、そういうよう方法でやられるのか、その点をひとつ聞いておきたい。
  15. 桜井志郎

    桜井説明員 ちよつと速記を止めていた、たきたい。
  16. 千賀康治

    千賀委員長 速記を止めて……。     〔速記中止
  17. 千賀康治

    千賀委員長 速記を始めてください。
  18. 竹村奈良一

    竹村委員 委員長お願いしたいのでございますが、この問題についていろいろ議論しておりましてもどうかと思いますので、私はくどくどしく申し上げたくない。この問題は急を要する問題でございますので、政府から責任ある農林大臣に至急出席するようにとりはからつていただきたい。
  19. 千賀康治

    千賀委員長 なるべく早い機会にそういうことにいたしましよう。  この際お諮りをいたしますが、先ほど佐藤重遠先輩の御発言が、委員長の手落ちによりまして速記に載らぬことになりましたが、佐藤先生の原稿をいただいて、これを速記録に載せることにしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。さようにいたします。
  21. 原田雪松

    原田委員 私も熊本県のルース台風被害状況についてお願いを申し上げたいと思います。十四日の午後六時九州南部に上陸しました台風は、九州を横断いたしまして、同夜半山口県徳山市に達したのであります。熊本県では午前九時に、中心示度が九百四十五ミリバ一ルで、風速三十四メートルないし四十メートルの非常な被害があつたようであります。雨量は二百三十ミリくらいあつたという報告であります。これはきようの午前十一時の県庁からの報告に基いてお願いをする次第であります。災害地帯は特に南部地方がはげしゆうございまして、球磨郡、葦北郡、八代郡及び宇土郡、特に私の住まつておりますところの天草地方一帯が非常に重大な被害をこうむつた。しかしまだいろいろな通信機関が杜絶しておりますので、はつきりした線は出ていない。こういう状況であるのであります。被害状況を申し上げますと、死者が五で、行方不明が四、重傷者が十六で、家屋の全壊が百五十三、流失が六、半壊が百十七、床上浸水が千百七十五、床下浸水が千三百八十四、こういうふうな状況になつております。これを部門別にわけますと、土木が約六億、耕地が二億五千万、水産の方が——これはまだデーターがそろわぬそうでありますが、今のところでは一億、開拓が五千万、文教関係が三千万、厚生関係が一億、農作物が八億七千万、畜産が二億一千万、林業が七千万、合計二十二億八千万円に達しておるようであります。この面からいたしまして、非常に被害が甚大であることは想像せられるりでありますが、国会といたしましては、ただちにこの被害状況等について調査をお始めになる意思があるかどうか、重ねて御質問申し上げておきたいと思うのであります。
  22. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまの原田委員の御発言でありますが、この次の日程といたしまして、災害地調査のために委員派遣いたしたいという考えを持つておりますので、これをお諮りすることになります。多分原田雪松委員の御要求は満足をするのではないかと思います。どうぞよろしく。
  23. 中村寅太

    中村(寅)委員 先ほど建設部長からルース台風による説明を聞いたのでありますが、これを表で見ますと、山口県の死者が百八十五名、これは他県に比べて非常に大きいのであります。先ほどの部長お話の中にも、今度の被害特徴は、非常に死者が多いということを言つておられたようでありますが、この前のケイト台風の際も山口県は非常にひどかつた。その後の災害に対する態度が十分でないために、こういう現象が起つて来るのではないか。今度のルース台風被害状況につきましては、詳細な実情はいまだわからないようでありますが、今までないくらいの大きい被害だということが伝えられているようであります。今までの程度被害に対する態度では、今度のよう災害が再び起つた場合には、予期せないような大きな事態が起つて来るのではないかと思うのであります。この際政府として、今までのようななまぬるい対策でなく、もつと根本的に、十分の復旧工事をやるような特殊の考え方で行かなければならないのではないかと思うのてあります。そういう意味で農林委員長としては、今度の台風に対する調査ももちろんやるということでありますが、調査をやるだけてなく、すみやかに何らかの特別の方法を講ずるというよう措置を、ひとつ考えていただきたいと思うのであります。
  24. 千賀康治

    千賀委員長 九州の方の災害は、私は実はこの夏に一巡いたしておりまして、数年来の災害がまだ清算をされておらぬのに、さらに今年の夏に災害を受けて、その災害の率が非常に大きかつたという現況を認めて参りました。山口県においても同様でありますが、その災害復旧がはつきりできていないところに、今回の災害でさらに災害の度を増したということはお説の通りだと思います。早く抜本塞源的な施設をやらなければならぬのに、国家財政関係からとは言いながら、これが遅れている間に、次々と次の災害が起つて来る。この点は非常に遺憾な点で、まつたくこれは中村君と同じ意見を私は持つております。何とかして次の災害が起らないうちに、次の災害にも耐えるよう施設をもつて報いなければならないと考えておりますので、私も自分の職域を通じまして、中村君の御意思と同じ気持政府を鞭撻して行きたいと思つております。私の気持を申し上げておきます。     —————————————
  25. 千賀康治

    千賀委員長 この際お諮りをいたしますが、先ほどの国政調査承認議長より出ましたならば、でき得れば委員派遣してこの際の水害による被害状況調査せしめたいと思いますが、そのためには議長承認が必要でございますし、また他の委員会との関係もありますので、諸般の手続を委員会に御一任願いまして、議長委員派遣承認を求めることといたしたいと思いますが、これに御異議こぎいませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。ざよう決しました。
  27. 小林運美

    小林(運)委員 本日の災害の問題については、ただいま委員長お話ようでけつこうと思いますが、本農林委員会は、本臨時国会においていろいろ重要な問題もありますので、連日開催して重要案件の審議を進めていただきたいと私は考えます。その方法等については後刻委員長において理事会を開いて方針をきめてもらいたい。それだけ要望いたしておきます。
  28. 竹村奈良一

    竹村委員 私はこの災害調査に対する委員派遣の件が今決定されたので異議はございません。しかしこういう災害につきましての調査は、調査したならば必ずこれを実現させなくてはならぬ。單なる調査だけではやはり国会の威信にも関する問題だと思いますので、もちろん調査されることについては反対ではありませんが、調査をされた結果においては、その調査の結果に基いて責任を持つてこれが対策を樹立するという、かたい決心をまず国会みずからが示さなくてはならぬ。しかしてなおかかる調査の問題は、一党一派に偏する問題ではない。少くとも国家的な問題でありますし、各党ともこの問題については積極的に対策を立てなくてはならぬと考えますので、委員派遣に際しましても各党各派からこの委員派遣人選等考えられるよう特に要望しておきます。
  29. 千賀康治

    千賀委員長 御意見として伺つておきます。  今日はこれをもつて散会いたします。     午後二時散会