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1951-11-09 第12回国会 衆議院 内閣委員会地方行政委員会農林委員会人事委員会運輸委員会労働委員会経済安定委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月九日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員  内閣委員会    委員長 木村 公平君    理事 青木  正君 理事 江花  靜君    理事 坂田 英一君 理事 船田 享二君    理事 鈴木 義男君       井上 知治君    大内 一郎君       松本 善壽君    山口六郎次君       金子與重郎君    村瀬 宣親君       松岡 駒吉君    加藤  充君  地方行政委員会    理事 河原伊三郎君 理事 龍野喜一郎君    理事 野村專太郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    尾関 義一君       門脇勝太郎君    川本 末治君       田中 啓一君    鈴木 幹雄君       床次 徳二君    立花 敏男君       久保田鶴松君  農林委員会    委員長 千賀 康治君    理事 河野 謙三君 理事 野原 正勝君    理事 松浦 東介君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       越智  茂君    小淵 光平君       中馬 辰猪君    幡谷仙次郎君       原田 雪松君    平野 三郎君       大森 玉木君    吉川 久衛君       小林 運美君    井上 良二君       竹村奈良一君    足鹿  覺君       中村 寅太君  人事委員会    理事 田中 重彌君 理事 淵上房太郎君    理事 平川 篤雄君       加藤隆太郎君    塩田賀四郎君       今井  耕君    松澤 兼人君       柄澤登志子君    成田 知巳君       岡田 春夫君  運輸委員会    理事 岡田 五郎君       木下  榮君    木村 俊夫君       淺沼稻次郎君    江崎 一治君  労働委員会    委員長 倉石 忠雄君    理事 島田 末信君 理事 福永 健司君       麻生太賀吉君    天野 公義君       金原 舜二君    船越  弘君       松野 頼三君    三浦寅之助君       赤松  勇君    受田 新吉君       大矢 省三君    林  百郎君       中原 健次君  経済安定委員会    委員長 圖司 安正君    理事 多田  勇君 理事 永井 英修君    理事 竹山祐太郎君       奈良 治二君    渕  通義君       細田 榮藏君    有田 喜一君       笹山茂太郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 根本龍太郎君         運 輸 大 臣 山崎  猛君         郵政大臣電気通         信大臣     佐藤 榮作君         労 働 大 臣 保利  茂君         国 務 大 臣 橋本 龍伍君         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         行政管理政務次         官       城  義臣君         行政管理庁次長 大野木克彦君         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君         労働政務次官  山村新治郎君         労働事務官         (職業安定局         長)      斎藤 邦吉君  委員外出席者         内閣委員会専門         員       龜卦川 浩君         内閣委員会専門         員       小關 紹夫君         人事委員会専門         員       安倍 三郎君         地方行政委員会         専門員     長橋 茂男君         農林委員会専門         員       難波 理平君         農林委員会専門         員       岩隈  博君         農林委員会専門         員       藤井  信君         運輸委員会専門         員       岩村  勝君         運輸委員会専門         員       堤  正威君         労働委員会専門         員       横大路俊一君         労働委員会専門         員       浜口金一郎君         経済安定委員会         専門員     圖司与四松君         経済安定委員会         専門員     菅田清治郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一八号)     ―――――――――――――
  2. 木村公平

    木村委員長 これより内閣地方行政農林人事運輸労働、経済安定の各委員会連合審査会を開会いたします。  連合審査会委員長は私が勤めますから御了承願います。本日は行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について質疑を行うことといたしまするが、本日は七つの委員会連合審査会でありまするから、短時間に連合審査会の目的を達する意味におきまして、各委員会それぞれ一時間以内とし、その範囲内で一委員会内で各委員質疑時間をあんばいしていただきたいと存じます。なお質疑もできる限り重複を避けられて簡潔に願いたいと存じます。質疑は各委員会ごと通告従つて順次これを許します。まず地方行政常任委員会から許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 ただいま提案されておりまする法案自身には直接関係はないかと思いますが、これと非常に大きな関係を持つておりまする地方公務員に対しまする政府の所信を、この機会に伺つておきたいと思うのであります。先に聞いておきたいと思いますことは、今度のこの定員法改正行政簡素化とどういう関連を持つておるかということであります。ことに地方におきましては、御存じのように関連委員会において行政事務の再配分に関する第二次の勧告までも行われておりますので、一体今度の定員法改正は、これらのものとどういう関連を持つておるかということを、まず最初にお聞きしておきたいと思うのであります。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。行政調査委員会議勧告というものは出ておりますが、これは政府はすでに研究しつつありまして、そうして地方行政簡素化本部といたしましては、行政調査委員会議勧告基礎にしまして、また私的ではございますが、政令諮問委員会の答申も参考として、そうして地方事務整理並びに機構簡素化ということを目標にして、今研究中でございます。
  5. 門司亮

    門司委員 研究中だというお話でありますが、そうすると、今度の中央におけるいわゆる国家公務員定員改正されて参りますと、改府の方針がいろいろと各所管別縮小される形が私は必ずとられると思う。もし今研究中だという、こういう御答弁でありまするなら、今度のこの定員法改正は、行政簡素化とは何らの関連を持つていないかということである、この点をひとつ確にしていただきたい。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。定員法改正もむろん中央でやつておりますが、われわれといたしましては、まず地方事務整理ということを主眼にしまして、そうして各省別各省が出しております法令というものを、よく研究しまして、そうしてこの事務はどのくらい縮減できるだろうか、この事務は廃止したらどうかということも考えておりますが、それを研究しておるために、非常に手間がとれまして、まだ研究中と申し上げるより方法はない、かような段階にあるわけであります。
  7. 門司亮

    門司委員 今の御答弁では私ども納得行かないのでありまして、問題は行政事務の再配分、いわゆる地方行政簡素化という問題が大きく取上げられておりますときに、国家公務員定員改正されて参りますと、必然的にこれに伴います地方行政事務というものが、おのずからかわつて来なければならない。申し上げるまでもなく、今日の地方行政の七割ないし八割というものは、国家行政事務地方ではほとんど遂行しておると申し上げてもさしつかえのないほど多くの国家的な仕事を実はいたしておるわけであります。そこでこの国の方針によつて行政簡素化が行われて、その上でなお人員等関係が勘案されることにつきましては、われわれは一応納得は行くのでありますが、地方行政簡素化というようなことを、全然考えないというわけではなかつたと思いますが、まだ未決定の上に、もし国家公務員だけの行政整理が行われるということになつて参りますると、地方行政というものの運営に私は非常に大きな支障を来すか、あるいは支障を来さないといたしまするならば、国家公務員の今度の問題で、人員を減らされただけ地方ではこれを補つて行くというような形で、地方ではとにかく人員を増さなければならないようなことができやしないかというような実は懸念を持つわけであります。従つて私はただ研究中だけでは、実はわれわれには納得は行かないのでありまして、もう少し行政簡素化関係が何もないというなら、地方公務員に対しては今国が考えておりまするこの法案に出ておりますものと関連して、地方公務員行政簡素化関係なくして、整理をされようとお考えになつているかどうか。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申しあげます。行政簡素化関係なしに地方人員整理をするということは私は考えておりません。事務整理をしまして、その事務整理ができればその副作用として自然人員にも影響して来る、こういう立場をもつてつているわけでありますから、手間がとれているわけであります。
  9. 門司亮

    門司委員 もう時間がございませんので、非常に簡潔に伺いますが、地方公務員の――平たい言葉で言いますと、行政整理地方行政簡素化が行われた後に行うということに解釈いたしてよろしゆうございますか。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方行政簡素化をする点におきましては、中央定員改正をいたしますと、地方でもやはり事務簡素化する意味において出発したものでございますから、中央法令なんかにしましても、その事務をこれだけ減して行こうということになりますと、地方もそれに対応して中央で減るならば委託事務もやはり地方において減つて来るのでありますから、地方で減るということで、先ほど仰せになりましたように中央でやるから地方ではかえつて仕事がふえて人を増さなければならぬ、こういう御懸念はないわけであります。でありますから、中央において事務簡素化し、その方で人が簡素化されたということに呼応しまして、地方自然事務簡素化し、同時に縮減しまして、人員縮減ということの結果が出て来る、こういうことになつて参ります。
  11. 門司亮

    門司委員 もし政府意見がそういうただ中央行政簡素化のために行う今度の行政整理であるから、従つて地方もやはり簡素化するのだ、こういうお話でありますならば、これは私は非常に大きな認識不足ではないかと思います。と申しますのは、中央における行政は主として単なる行政事務の問題であつて、実際の仕事はしていないのであります。地方公共団体はそれから下げられて来た現業庁仕事をしておるのが今日の地方の状態であると思う。何割か事務簡素化することはできましようが、現業としてやつております厚生関係事業あるいは衛生関係事業にいたしましても、なかなかそう中央事務これだけ減つたからといつて現地で実際行つておる現業を縮めるというわけには参らぬと思います。地方におきましては、行政事務の上では縮小されても、事業の上ではこれを拡張しなければならない事業が出て来わしないかと思います。それを拡張しないまでも、現状のままでもやはり地方事業というものは遂行して行かなければならない。それを単に中央行政事務と同じように考えて、現業庁としての性格を持つておる地方庁に律せられるということは、私はいたずらにほんとうの国民の福利を増進することのために行つておりますいろいろの事業にさしつかえが生ずると思うが、この点は大臣はどうお考えになつておりますか。
  12. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方における事務をできるだけ簡素化しまして、そうして人員なんかを整理するということになりますから、私はこう考えます。現業事務であるから、ちつとも減らぬのではないかと仰せられましたが、その現業事務も減らせば減らすこともできると思います。そうしてその現業事務がいかに縮小されるか、事務整理がいかにできるかということを検討しているために、非常に骨を折つておるわけであります。
  13. 門司亮

    門司委員 大体半分肯定されたような、半分肯定されないような御答弁でありますが、骨が折れているというだけでは、われわれはなかなか承服ができないのであります。実際整理される方の側から見ますと、単に政府苦心の結果と、こういうことを仰せられましても、首切られることは事実であります。そんな苦心政府にあつても、苦痛は同じであります。  それでは私はもう一つつつ込んでお聞きいたしますが、今度の行政簡素化と言いますか、そのことのために中央において今の、平たく言えば首切り法案が出されておる。これによつて地方公務員に対してもこれがその線に沿うて適用されて来るということは、大体私は政府の今までの大臣答弁でわかつておるのでありますが、そういたしますと、先ほどから申し上げておりますように、中央方針によつて、それに沿う中央地方行政整理をする。その次には地方行政事務の再配分についてもう一回地方でおやりになる。そういうお考えをお持ちになつているかどうか。
  14. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方行政機構改革という大問題が残つております。そうしてそれはあなたのおつしやるように、行政調査委員会議勧告基礎にいたしまして、大幅な事務の再配分をいたします。そういたしますと、そのときにはおそらくまた縮小とかなんとかいうのがありましよう。またふえるところもありましよう。国と府県とそれから市町村というものに仕事があちこち入り繰りいたしますから、人の減るところも出て来ましようし、またふえるところも出て来ましよう。そういうことは第二回目に根本的の地方制度改革のときに相当検討いたします。
  15. 木村公平

    木村委員長 ちよつと門司君に御注意申し上げますが、あなたの方からまだ床次藤田立花の三委員から質疑通告がございますので、もしこれ以上おやりになりますと、他の三君の持時間に影響いたしますが、よろしゆうございますか。
  16. 門司亮

    門司委員 今委員長の御注意でありますが、これ以上ということになりますと、ほとんどこれは何にも聞いてないわけであります。ただ政府構想伺つただけでありまして、実際の本案に対しての質疑を行つていないのであります……。
  17. 木村公平

    木村委員長 だからあらかじめ各委員会一時間以内ということはすでに決定事項でありますから、その以内においておやりになることは御自由であるけれども……。
  18. 門司亮

    門司委員 せつかく委員長のお言葉ですが、大体持時間どのくらいであるかということは委員長から報告を受けておりません。
  19. 木村公平

    木村委員長 そういうことはありません。私からは冒頭において各委員会の持時間は一時間以内ということをはつきり申し上げておるのであります。従つてその委員会の中において適当に時間のあんばいをしていただきたい。あなたの方は四人の質疑の申出がありますから、一時間を四で割れば十五分ずつであります。従つてあなたの時間が長くなることはけつこうであるけれども、万一長きに失すると、あとの床次藤田立花の三君の持時間に影響いたしますから、あらかじめ注意いたしておくのであります。おやりになることは自由であります。     〔「議事進行」と呼び、発言する者あり〕
  20. 木村公平

    木村委員長 門司亮君にすでに発言を許しております。
  21. 門司亮

    門司委員 ただいま委員長の御意見でございましたが、この意見については私どもに話合いがなされたこと自体は委員長の宣告であつて、各委員通告いたしておりません。
  22. 木村公平

    木村委員長 委員長にはそういう権限がありますから、さよう御了承願いたい。
  23. 門司亮

    門司委員 それでは議論はしないでお尋ねしたいと思います。私は端的に申し上げますが、そうすると地方公務員に対しましては、行政簡素化が行われると同時に、もう一回こういう整理が行われるものであるという解釈をしてもさしつかえないと思います。それから同時に私はここで考えてもらわなければなりませんことは、先ほど申し上げましたように、地方公務員の今日の仕事というものはほとんど現業庁の形であつて、これはむやみに縮小されるということは、住民利福の上に非常に大きな影響を持つということと、それからもう一つ考えていただきたいことは、今日の日本地方の状況というものは、いまだ復興の途上にありますのと、それから文化の進展に伴います住民の要求に応じて、やはり都市というものは成長して行かなければならないという性格を持つておる。この性格は非常に強いのであります。従つてこれらのものが、ただ行政事務という事務的の考え方で整理されるということは、これはわれわれは非常に迷惑するのであります。それからもう一つお尋ねして返答しておいてもらいたいと思いますことは、一体政府の今の構想で、どのくらいの地方公務員国家公務員の今度の行政整理に伴うて整理されるのか、その数字をひとつこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  24. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の地方行政簡素化本部でやつております点は、事務整理を第一に置きましてその事務整理が合理的にできますならば、それによつて人員増縮ができるわけでございますから、人員を何人切ろうとか、幾らにしようとかいう目標ではやつておりませんので、ただいまのところで幾ら人員が出て来るかということは明言することはできません。
  25. 門司亮

    門司委員 人員発表はこの際できないというお話でありますが、それなら一体いつごろ人員発表のできる段階に達するか、この点をひとつ……。
  26. 岡野清豪

    岡野国務大臣 大体各省と交渉いたしまして、各省の実情から事務がどのくらい整理できるかということを各省別に協議するわけでございますから、その協議しました結果を――事務的にこの事務がどのくらい整理できるか、どのくらい縮小できるかということをやりましたけれども、これは各省別に個々別々に当つたものでございますから、いろいろでこぼこがございます。そこでわれわれといたしましてはたくさんの地方事務を不均衡縮減することは、地方行政上おもしろくないと思いまして、これを均衡をとるために地ならしをしております。でございますから、事務縮減均衡をとるために今勉強中でございますから、大体今月末くらいにそれが一応の成案が出て来ると思います。しかしこれは慎重の上にも慎重を期したいと思いまして、もう一度各省と、こういうふうな均衡論で行けばこういうふうな事務縮小になるがどうだろうかということを交渉いたしまして、そうして各省とも意見が一致しました点においてそれから縮減する、こういうようにいたしたいと思いますから、大体今月末くらいまでに私は各省均衡成案具体案として出て来やせぬか、こう考えております。
  27. 門司亮

    門司委員 その中に小学校先生が含まれておるかどうかということであります。私がこういうことを聞きますのは、小学校先生あるいは中学校の先生は、御存じのように、これは行政事務ではありませんで、あるいは行政の対象にはなるかもしれませんが、実際は現業員的の性格を非常にたくさん持つておりますので、政府はこういう現業員的な性格を持つているものまでその構想の中に入れられておるかどうか。
  28. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。今度の地方行政簡素化本部方針としてきめておりますことは、事務整理をしまして、そうして複雑多岐にわたつておるところの庁内の仕事簡素化するということが一つのねらいでございます。しかしながらもう一つのつけ足りのねらいとしましては、皆様非常に御心配くだすつております地方財政というものが、非常に窮迫しておりますから、この地方財政というものをもう少し楽にして行く点において財政緊縮もして行こうと思つております。そういたしますと、一般的に地方財政緊縮の建前から、すべての公務員に対して影響を及ぼす、こういうことになりますことを御承知おき願いたい。
  29. 門司亮

    門司委員 ただいまの大臣意見でありますが、財政問題が最後に出て参りましたが、財政の問題については、これは別途私はまた他の機会に議論いたしたいと思います。ここで議論することは避けたいと思いますが、ただ単に先ほど申し上げましたように、日本地方公共団体というものは、やはり成長の過程にあるということは十分御承知おき願いたい。従つてこれは財政面だけ切つてしまいますと、その成長の芽をつむということになつて参りますから、地方行政はやりにくくなつて来る。同時に私は地方行政はできなくなるのではないか、ここまで考えている。財政の問題が出ましたので私は意見だけ申し上げておきますが、これを主として行政整理というものを考えないように、地方においてはひとつ行つていただきたいというのが一つであります。  それから橋本行政長官にひとつお尋ねをしたいのでありますが、今度のこの法案先ほど岡野国務大臣に質問いたしましたように、行政事務の再配分との関連をわれわれの見のがすわけには参りませんが、この政府に提案されております神戸勧告というものを橋本長官はどういうふうにお考えになつておりますか。私がこういうことを聞きますのは、事務の再配分で、政府人員というものは必ず変動を来して来ると思う。同時にこれは事務の再配分ではありますが、その主眼といたしておりますものは行政簡素化であります。しかもこの事業というものが完成を見ないで、そうしてただここへこの法案というものが出されて来るということは、私は二重の手数というか、あるいは二重の行政整理が行われるように考えられるのでありますが、橋本長官はそれをお考えなつたかどうか。
  30. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 行政事務配分の問題は、岡野国務大臣の手元で目下検討中でございます。将来きまる問題につきましては、そのときその際に問題を処置しなければならぬ。ほかにも同じような事例が多く、将来こういうこともあるかもしれぬ、ああいうこともあるかもしれぬということでありまして、これはもう複雑多岐国家行政の問題でありますから、いつまでたつて定員法をいじくれないということになるのであります。やはりその段階ごとに片づけて行く必要があろうと思います。岡野大臣の方で行政事務配分の結論を出されて閣議できまりますれば、いつになるか存じませんが、その際要すれば処理すべき問題であると思います。
  31. 門司亮

    門司委員 今の長官答弁は非常に事務的でありまして、あるいは長官としては、そういうことを事務的にはお考えになるかもしれない。しかし実際的にはそう簡単には参らないのであります。この行政整理というような問題は、そう簡単に行われては、行う政府は簡単かもしれないが、行われるものはたまらぬ。自分の首がいつ飛ぶかわからぬということは、そう簡単に行われてはたまらぬので重ねてお聞きしたいのであります。今度のこの法案は、少くとも行政事務の再配分に対する問題については、先ほど長官の御答弁のようであるといたしますれば、行政事務簡素化構想の上においてはどういうふうに考えられているか。ただ単に行政事務簡素化という面でなくして、再配分との関係をまつた考えないで、ただ行政簡素化ということだけで一体今度のことが行われておるかどうか。私は迂遠なことを聞くようでありますけれども、こういうことを聞いておりますのは、先ほどから申し上げておるように、行政事務の再配分構想というものがかなり大きな役割をして来ると思う。そうすると今お考えになつている行政簡素化構想と食い違いが生ずるということになつて参りますと、事務を行いまするものは、あるいは半年前にこの事務簡素化する必要があるということで、なくなつて人員整理されて、ところがその次に行政事務の再配分でそれが生きて来たということになると、またその事務が生き返るようなことが出て来るのであります。こうなつて参りますと、何か地方行政事務というものが、役人の机の上にただ行政整理だという言葉にかられて、混乱に陥るようなことがあつては、地方の末端の機構を受持つている役所としては非常に迷惑すると思う。従つて今の大臣の御答弁だけではきわめて事務的なものであつて、承服するわけに参りませんから、大臣は今の構想行政事務の再配分のときにも混乱に導くようなことはないかあるかということを端的に心境だけでもいいからお聞かせ願いたい。
  32. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ございません。何か門司委員は誤解しておられるじやないかと思いますが、今回の定員法改正にあたりましては、国の仕事整理をして、それを地方へ移すということを考えていない。国の職員の分について簡素化をはかつているわけでありまして、従いまして将来再配分によつてまた生き返るというようなことはありません。
  33. 門司亮

    門司委員 今の長官言葉は非常に聞捨てならぬと思います。中央のことを考えているから地方のことを考えていないということになると、地方はどうなります。先ほど申し上げているように地方においては大体中央国家事務の七割ないし八割までしていることは、長官もやはり地方長官をされておつたことはありまするので、御承知だと思う。これは中央だけの問題を考えて、地方のことを考えていないということになると、とんでもないことになると思う。私は長官自身が経験のない方ならばとにかく、十分経験のある方が、中央でそれをいじくれば地方にどんなに波及するかというくらいは十分おわかりのことだと思う。これが考えられていないで、中央中央地方地方だ、そのときのことだというような無責任なことで、もし今日のこの行政整理が行われるといたしまするならば、まつた地方行政というものは行うことが困難というと言葉が過ぎるかもしれませんが、実際は非常にやりにくいことになると思いますが、この点そういうことの懸念はないかということでありますが、この点はひとつ岡野国務大臣から御答弁を願いたい。
  34. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御説しごくごもつともでございまするそれでありますから私が地方行政調査委員会議勧告基礎にいたしまして、そうして非常に勉強をして、丹念にこれを研究しているわけであります。中央行政管理庁長官としては、中央事務に対して整理する。同時にそれを受けて地方で呼応してやりますが、また地方には行政調査委員会議勧告がございますから、それを基礎にしなければならぬから、中央における行政簡素化本部とは非常にかわつた形で私はそれを調整しつつある次第でございます。
  35. 門司亮

    門司委員 これだけでやめますが、私は今までの両方の大臣答弁を聞きましても、まだはつきりいたしませんが、時間の関係がございますので、省略いたしたいと思います。最後に聞いておきたいと思いますことは、大体時期の問題は、今月の末あたりにならなければ構想がはつきりしないという岡野国務大臣言葉をそのまま了承してもさしつかえないと思いますが、もし結論が出た場合には、一体地方公務員に対しては全般にわたつてやるというお考えなのか。先ほどから私が申し上げておりますように、ことに地方は全部一応の現業庁とみなすべきでありますが、その中にもやはり現業的なものと事務的なものと二つあると思いますが、地方現業に対してまでも、やはりお考えになつているかどうか。私がこういうことを聞きますのは、中央においては御存じのように、鉄道あるいは郵政というような現業庁にまでそれが実は及んでおりますので、地方におきましても、やはり現業庁までこれを及ぼすというようなお考えを今お持ちになつているかどうかということを伺いたい。
  36. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども申し上げました通り、事務簡素化をするということと、地方財政を助けるという二つの根本的観念から、今この研究をいたしておる次第でございますから、全般的に現業庁においてもやはりやるつもりでおります。
  37. 床次徳二

    床次委員 地方行政整理に関しまして、政府意見発表されておりまするが、実は今日の地方の自治団体の状況を見ますると、財政上非常に窮迫しておりまして、財政上の理由からも、できるだけの緊縮をしたいという御意見についてはもつともな点があると思うのであります。しかしながら、地方の実情がどうであるかということに対しましては、私は政府の認識はすこぶる間違つているということを感ずるのであります。私のお尋ねいたしたいのは、今日の地方行政をやつて参りますのに、政府意見から申しますると、現在の地方財政には若干余裕があるような考え方を持つておられるのであります。地方財政委員会の方におきましては、地方は非常に窮迫している、少くとも交付金においても増額をしなければならぬ。地方財政の欠陥は四百三十億以上に達すると見ておるのであります。この点から見ますると、政府財政上から適当だと思つておられるところの規模は、今日の地方の実情ではすこぶる小さい。換言いたしましたならば、今日の地方は放漫な行政をやつているのだということを、政府は明らかに金銭上において財源的に数字をもつて示しているのであります。しからばその結果として、今日の地方の職員は相当整理してもよろしいと政府はお考えになつていると受取られるのであります。少くとも四百億以上の経費がむだに使われている、この中に多くの人件費も入つているわけでありまするが、こういうものは、まず行政整理の率先対象となるべきものであると、政府はさように考えておられることだろうと私は考えているのでありまするが、この点に関しまして、政府の御見解を承つておきたい。
  38. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方において冗費があるとか何とかということは、一般にいろいろ言われていることでございます。しかし床次さんもよく御承知の通りに、地方財政は非常に窮迫しております。でございますから概観いたしまして、地方財政はきゆうくつである、苦しいのである、こういう建前からわれわれは時期を見て行きたいと考えておりますから、余つているからどうしようとかこうしようとかいう考えは一向持つておりません。
  39. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁はまことにさようあるべきものと私は信じているのであります。しかしながら今日まで政府が、予算委員会または地方行政委員会等におきまして、政府の立場において御答弁になつておりますことは、明らかにただいまの御答弁と違つているのでありまして、今日の地方財政はそれほど窮迫しておらない、従つて平衡交付金等においても、それほど増加を要しないというのが、政府の結論である。私は地方の実情というものをやはり政府当局によく知つていただきたい。財政の問題をここで論じますのは別といたしまして、人員整理にあたりましても、地方事務のあり方というものに対して正しい認識をしていただき、そうしてこの地方職員の整理問題に対処していただきたいということをまずお願いするのであります。  この点に関しまして次にお尋ねいたしたいのは、今日の地方公務員の賃金ベースの問題であります。中央との関係から見ますと、これまたかねがね懸案になつているのでありまして、私は現在の地方公務員の待遇というものは決してよいものではない。やはり中央におきましてベース・アツプいたしましたならば、地方におきましても、これに応じましたベース・アツプが必要であろうと考えているのでありますが、最近新聞紙上で見ますと、地方の方はこれをすえ置きまして、定員整理の方は中央に応じておやりになろうというように見受けられるのであります。この点はまことに不可解に考えられます。やはり地方におきましても、地方の実情というものを考えまして、定員に対しましても必要に応じて、また待遇におきましても中央に準じまして、遺憾のない処置をいたすべきものと存ずるのでありますが、政府がこれに対処せられます考え方は、都合のいい、できるだけ支出を少くするようにという立場においてお考えになつているように思うのでありますが、この点長官の御意見を伺いたい。
  40. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。中央地方を通じまして、国家並びに地方公務員が非常に少ない給料で働いている。実業界などに比べますと、低い。その点は政府もよく了承しております。でございますから、今回中央におきましてベース・アツプするということになりました。またそれに応じまして、地方もやはりベース・アツプすることにいたしております。おそらく今回の補正予算をお通しくださるならば、地方のベース・アツプもできるここと考えております。
  41. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、地方の職員のべース・アツプに関しましては、政府考えておられまする数字はいささか実情に沿わない、もう少し上げる余地が必要があるのではないかということを申し上げたいのでありますが、この点は議論はこの際時間がありませんので差控えたいと思うのであります。御考慮いただきたいと思います。次に地方行政整理方針でありますが、先ほど長官地方事務簡素化整理ということをまず第一に考えまして、これにふさわしいところの人員にしたいということを言つておられますが、地方事務簡素化整理ということに対しまして何と申しましても、いわゆる中央事務地方事務の再配分の問題が必要であると、先ほど門司委員からもお話があつたのでありますが、この点自治庁の長官といたしまして、現在の地方事務の執行状態において、いかなる点を整理改善するかという点に関しまして腹案がおありになるのじやないか、整理の案というものをお持ちになつているはずだと思う。第二の理由といたしましては、財政緊縮ということをおあげになりましたが、地方事務簡素化に関しまして、大体どういう点からこれをおやりになるかということを聞きたい。さらに御答弁になりましたのには、国に準じて地方公務員整理する、国に準じてあるいは各省との均衡をとりながら地方の方も考慮したいと言われるのでありますが、きわめて抽象的なお言葉でありますが、実際問題におきまして、地方事務の執行方法について、どういうような方法で臨まれるのか。この御方針をこの際明らかにしていただきたい。
  42. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。端的に申し上げますれば、先ほど門司君からもお話のあつたように、地方事務の八割ないし八割五分くらいは、国が委託しましてやつている仕事でございますから、どうしても国が委託する各省の法律並びに委託事務というものは、これを縮小しなければ、地方事務縮小しない。でございますから、われわれの方といたしましては、この事務、この法律によつて地方に委託されている事務はもう少し縮小できないものかどうかということをわれわれ各省と交渉して、その事務縮小をしている次第でございます。各省とやはり関係がございまして、地方事務がそういう点において縮減されて行くものと私は考えております。
  43. 床次徳二

    床次委員 委託事務の大小によりまして地方事務影響せられることは当然であります。しかしながら、同じ委託事務にいたしましても、中央考えていることと、地方で実際に委託事務を執行いたす場合の実情とは、著しく異なつておる。この点は十二分に政府においても、地方事務の特色を考えていただきたいと思う。先ほど門司委員からお話がありましたが、教員その他現業と見るべき仕事に従事しているものが少くないのでありまして、こういうものに対しましては、十分なる理解を持たれることが必要であるということを、この際特に申し上げておきたいのであります。  次に、地方におきまして整理いたしまする場合、当然これは地方自治体の自主性を尊重せらるべきものと考えておりまするが、この点に関しまして、政府としてはいかようなる形において地方行政整理を実施せしむるか、その御方針を承りたいのであります。
  44. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。御承知の通りに、ただいま地方公共団体は自主権を持つておりまして、自治の本旨はそこにあると思います。でございますから、われわれといたしましては、中央においてこういうふうに仕事縮減したらいいじやないかという考えを一応具体案にしますが、これはやはり地方団体に対して、こうしたら事務簡素化し、同時に地方財政も助かるのじやないか、こういうようなお勧めを、各地方公共団体にするという程度にとどまつております。
  45. 床次徳二

    床次委員 ただいまのような御方針でもつて、ひとつ十分に地方の実情を勘案しながら、この点を考えていただきたいのでありまするが、私ども非常に遺憾に思いますることは、すでに政府におきましては、地方の職員の整理見込みというものを、相当新聞紙上に出しておられるのですが、現在地方の職員がいかようなる状態にあるかということは、ここにくどく申し上げる必要はないことで、非常に今日はその職務の執行に障害を受けておる。また彼らは不当なる整理を阻止するために、いろいろの運動を今日開始している状態であります。地方行政簡素化本部発表としまして、具体的な数字まですでに発表せられておる。しかし先ほど大臣の御答弁を承りますると、事務の内容等を検討して遺憾のないようにやつて行きたいということでありましたが、私は行政整理に対する態度が、あまりに宣伝を第一にされて、不当な刺激を地方に与え、このために思わざる行政上の障害をたくさん起しておるのだと思います。これはまことに遺憾なことである。私はこの機会に非常に遺憾の意を表しまして、今後の行政整理に対する政府の態度について御反省あらんことを要望する次第であります。政府においていかようにお考えになるか、御意見があればこの機会に承りたい。
  46. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。先般来、地方事務縮減のことにつきまして、一、二の新聞に出ましたが、あれは簡素化本部が考えておることが漏れたわけではありませんで、おそらく新聞社のいろいろな作文にすぎないと私は考えております。われわれの方でああいう数字を漏らしたとか、方針を漏らしたとかいうことは向ないわけであります。簡素化本部がいかにしてやるかということは、国会でお尋ねをこうむりましてそのときにお答えした以外、絶対に外部には発表いたしておらぬ次第であります。あれはいわゆる新聞記事であつて、私もあれは非常に遺憾なことと存じております。
  47. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁の通りであればけつこうだと思うのですが、この点は、相当地方に悪い影響を与えております。どうかその点は、政府においても十二分にひとつ誤解を生ぜしめないように、今日からでもこれを明らかにしていただきたい。今後の地方職員整理方針と申しますか、あるいは政府の態度というものを国会においてはもとよりでありますが――今日承つたわけでありますが、一般にわかり得るように、地方の職員に対しまして誤解のないように、それぞれの手段を講ぜられ、しこうして合理的な事務整理を行つて行くのが望ましい状態でありますから、十分この点善処せられんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  48. 藤田義光

    藤田委員 時間がありませんから、私は簡単に二、三お伺いしたいと思います。  まず第一は、今回の整理の大目標でございますが、橋本行政管理庁長官の手元におきまして、約十二万を整理する数字が出ております。国務を遂行する国家公務員整理ということは、従来の内閣の歴史を見ましても、非常に重大な問題でございます。講和条約がやがて効力を発生せんとする際の整理でありますから、おそらく単なる冗費の節約というようなことでなくして、何かそこに思い切つて雄大な構想のもとに、今回の整理は行われるであろうと想像いたしております。まずこの整理の大眼目につきまして、橋本長官の御意見を伺つておきたいと思います。
  49. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 提案の理由で申し上げました通り、今回日本が昭和二十年以来六年振りでほんとうに独立をいたしまして平和民主国家として再出発するにあたつて、今までずつと戦時中の動員態勢から引続いて、日本行政事務人員機構ともに、まことに複雑になつておりますが、これを今回新しい事態に対処しまして、真に経済的にも経費がかからず、また簡素で能率的に動き得るように事務整理し、人員整理し、また機構整理しようとするものであります。
  50. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの橋本長官の御答弁は、まことにおざなりのお答えでございまして、私は少くとも、十二万という大整理をやられる以上は、国政の運営に関して、何か思い切つた構想を持たれておることであろうと想像いたしておりましたが、これでは普通のいわゆる首切りでございまして、この整理される従業員に対する大義名分としても不十分であると私は断定いたします。  そこでお伺いしたいのは、来年の春おそらく講和条約が効力を発生すると思いますが、その後の国内治安に関連しまして、今回の定員問題の措置についてでございます。現在、国家地方あるいは自治警察を加えまして、十二万五千の警察官がおります。そのほかに、海上保安庁が一万三千、警察予備隊が七万五千、それから橋本長官が厚生大臣として所管されている麻薬取締官、あるいは鉄道公安官のごとく、警察権を持てる官吏が実に九万五千に及んでおります。この厖大なる陣容をもつて国内治安を守つているわけでございますが、何と申しましても、九万五千かの麻薬取締官等のごときは、警察に帰属せしめれば大きな整理もでき、あるいはまた治安行政の一元化ということについても非常に役立つだろうと思います。この問題に関しまして、行政管理庁長官として何か御研究されたことがありますかどうか。総司令部の民生局では、昨年来この問題をとらえまして、特に熱心に、日本行政庁の乱脈を実証する生きた例として、国際的に宣伝いたしておりますから、この問題は相当真剣に考えまして、何とかこの機会にすつきりした形にする必要があると思いますが、お考えがありましたならば、お伺いしておきたいと思います。
  51. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 終戦後行政機構も複雑化し、また行政事務に従事する人員も増大いたしましたが、その増大した大きな原因の一つが、旧警察機構の解体にあつたことは御指摘の通りであります。従来の警察でやつておりました仕事の中で、衛生警察の部分は、たとえばラムネの取締りとか、大掃除といつた方面は、保健所に移りました。それからまた麻薬の取締りの方は麻薬取締官の手に移つたのであります。なお特殊な政治運動等から来る問題に関しましては、これは今日旧特高警察の仕事に一部似たような仕事を特審局が扱つております。また従来の警察の外事課で扱つておりました仕事を出入国管理庁が扱つております。そういうようにいろいろ分化いたしおります。ただ、ただいま総司令部の方でこれが行政庁の仕事の乱脈の証拠だと言つて調べておるというようなお話がありましたが、これは少しおかしいと思うので、むしろこれは全部総司令部の方面の勧奨等があつてつたものであります。今日の事態におきまして、終戦後こうして分化いたしましたいろいろな意味における警察的機構というものを、全部元通りに一緒にするといつたようなことは、これは経費の点、あるいはまた単に力が強くなるという点からだけ言うならばよろしいかもしれませんが、全部を元通りに統合した方がよろしいとは思つておりません。ただ今日までのいろいろな事態を顧みまして、もう少し民主化の筋を通しながら、簡素、能率化することはできないかと考えて、研究中でございます。
  52. 藤田義光

    藤田委員 一つの問題に固定できませんので、次は消防の問題をお伺いしたいと思います。総司令部の消防官のごときは、現在防空を考えざる国家はないということを正式の会同で言明いたしております。消防の必要性ということは申し上げるまでもございません。火災の被害の年々の統計は莫大な数字に及んでおります。東京消防庁の陣容を見ますと、戦争前は一万二千へを越えておりましたが、現在は七千名でございます。人口その他首都としての東京の発展の現状からしまして、非常な手不足でございます。この傾向は全国的な趨勢でございます。その総元締めと申しますか、国家消防庁がございますが、これに対してもほかの行政官庁と同様に、わずか百二十二名の職員から割を削減するという原案をつくられております。この点に関しましては、あまりにしやくし定規で、知恵がなさ過ぎるというようなことが、全国の消防関係者から言われております。橋本長官の消防行政に関する認識をこの際お伺いしておきます。そのほかにあと二点これと同様の問題をお伺いしたいと思います。  次は地方財政委員会人員の問題でございます。この地方財政委員会御存じの通り、今年の一月に十名、四月に三十名増員いたしております。いまだ一年を経ずして、去る八月の閣議決定たる行政改革に関する件をそのまま地方財政委員会にも適用いたしまして、せつかく今年の初め、地方財政強化の建前から増員されましたばかりの地方財政委員会からも、百四十一名の定員の中から十四名を削る。これは一体どういう理由であるか。この資料を読みますと、単に事務に関する簡素、合理化を理由にされておりますが、それならばどうして無理して今年の春に増員されたかということが問題になります。この点に関する理由をこの際お伺いしておきたいと思います。次は海上保安庁でございます。昨年の七月、警察予備隊に関するマツカーサー元帥の書簡とともに、海上保安庁の増員が確定いたしました。この増員計画がいまだ完成せざるうちに、今回一万三千二百七十四名の定員の中から二百十一名を削られる。これもマツカーサー元帥の書簡の内容と反しました結果になるのではないかと思いますが、消防庁、地方財政委員会、海上保安庁の整理に関しまして、長官の所見を伺つておきます。
  53. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 まず国家消防庁の問題であります。消防は元来御指摘もありましたように、一番主たるものは自治体の仕事であります。終戦後消防の問題は大事だというので、従来は中央仕事としては内務省の一部分でありましたが、国家公安委員会のもとに国家地方警察本部とともに並設されたわけでありますが、何といつても重点は自治体の仕事であろうと考えておるのであります。そこで今回におきましても、あらためて今回の行政整理の趣旨は申し上げませんけれども、全体の簡素化、租税負担の軽減、その他いろいろの見地から言いまして、総体的にできるだけの能率をあげ、できるだけの簡素化をはかるという見地からいたしまして、国家消防庁についても、地方財政委員会についても、海上保安庁についても、それだけの定員減を適当といたした次第であります。  なお海上保安庁等につきましては、陸上の事務をいたします者もありますし、それからまた海上で警備をやる者もいろいろあります。その海上警備等の関係の問題については、将来船をふやして沿岸警備を厳重にするといつたようなときに、それに即応する必要な人員がふえるのは当然のことであります。今日ありまする一般的な職員については、これはもう全体的な見地から、できるだけ簡素化、能率化をはかるということで、この数字をきめたわけであります。
  54. 藤田義光

    藤田委員 海上保安庁のごときは、今後、長官整理が具体化する前に、大増員の必要が起きることは既定の事実でございまして、それを閣議決定だからといつて、ほかの官庁並におざなりの整理をするということは、あまりにもせつな主義であるというそしりを受けるのではないかということを私は恐れます。  次にお伺いしたいのは、特別調達庁が六千八百名から千九百名整理されます。終戦処理関係では二千八百名から百三十名、復員関係で二〇%、復員に関連したその他の関係で五〇%が整理されます。私はこの際こういう直接終戦業務をやつておりました諸官庁は、はつきり正常の官庁に移行いたしまして、かかる過渡的な官庁は全廃してもよかつたのではないかというふうに考えておりますが、将来こういう直接終戦直後の過渡的な官庁として生まれましたものは、大体いつごろに完全な整理を終らせるつもりで、今回の過渡的措置を考えられたか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  55. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 今のお尋ねにお答えする前に、海上保安庁の問題を申し上げておきますが、海上保安庁にいたしましても、保安庁の仕事はよく御承知だと思いますが、燈台の職員、航路標識の職員でありまするとか、旧水路部関係仕事をやつておるところもありまするし、それから海上警備の乗務員をやつておるところもあるし、一般庶務をやつておるところもあるわけです。藤田さんの御指摘になりました大増員というのは、これはおそらく将来海上警備関係の乗務員がふえるのではないかということであろうと思いますが、これは必ずしも他の種類の職員と差引できないものでありまして、これは合理化をし得ることはなし、必要な船の乗組員等は、ふやすときにふやさなければならぬという面はほかにもちよいちよい出て来るのであります。  なお御質問の終戦処理関係の問題でありまするが、特別調達庁にいたしましても、今日一万数千軒ある徴用家屋の管理の関係、接収解除関係の問題、そのほかいろいろな問題があるわけであります。そこで今日の状態におきましては、まだ最終的な態度といたしまして、いつどこまで行くかということははつきりわかりません。少くとも今後特別調達庁が従来やつて来たところの調達事務というものは、整理段階に入つて行くということで、とりあえずそれだけの数字を節減いたしたのであります。ほかの面につきましても、多かれ少かれそういつたふうな問題がつきまといまして、今日見通し得る程度において、少くともこれくらいの整理は妥当であるということの関係閣僚間で話のまとまりましたところをお話しいたしたわけでありまして、先の目途につきましては、独立の時期等をにらみ合せまして、できるだけ早くはつきりした姿で持つて参りたいと思つております。
  56. 藤田義光

    藤田委員 最後にお伺いいたしますが、この際行政管理庁長官にお伺いしたいのは、終戦後いわゆる占領行政の落し子として生れました中央官庁の各種委員会、約二十三現存すると記憶いたしておりますが、こういう委員会は将来日本行政運営上いかに考えられるか。私たちはいわゆるコミテイーという制度は、日本行政運営の国情には沿わない。こういうものは即時全廃すべきであるという結論を持つておりますが、この点に関する御所見と、いま一つは、警察予備隊では、事務的にすでに現在ありまする四管区を八管区にふやす、定員を七万五千を十五万にするという準備を始めております。行政管理庁長官は、この現在の予備隊の定員が倍加するということを御承知でございますかどうか。事務的に準備しておることを御存じでありますかどうか。この点が、今回十二万行政整理になりましても、さらに七万五千というものが公務員として追加されるのではないかと想像される節もありますので、お伺いしておきます。これは事務的な準備にすぎないのかどうかもはつきりさせていただきたいと思います。  いま一つ岡野さんにお伺いしたいことは、先ほど床次委員の御質問にもお答えがありました、先般の予算委員会でもお答えがございましたが、地方公務員整理につきましては、地方自治体は自主性を持つておるからお勧めをするだけであるということでございます。ところが町村の合併等に関しまして、シヤウプさんが相当強力にお勧めしたのでございますが、この問題はほとんど停頓いたしておる現実にかんがみまして、この際自治体の自主性を損しない範囲内において、整理の基準を法律で示すお考えは全然考えておられませんかどうか。もし勧奨ならば、勧奨を聞かざる自治体に対しましては、その制裁として平衡交付金の減額のごとき措置が考慮されはしないか。そうなれば非常に将来禍根を残す問題をはらんでおるのではないかと私は考えますが、この点に関しまして岡野国務大臣の御所見をお伺いしまして、私の質問を終りたいと思います。
  57. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 経戦後設けられました各種の行政委員会につきましては、いろいろな批判がございまして、これは機構改革の重要な一環といたしまして目下検討中でございます。但しこれの全部が非常に意味がないというようなことはないと思いますので、特にあの行政委員会の中で総理府にございます土地調整委員会のごとき権利義務の争いであつて行政官庁が始末をつけなければならないもの等に関しましては、これはむしろ非常に有効な働きをしておつて、いいんじやないか、少くとも各種行政委員会の中で一つの権利の争いをさばくような形のものは、むしろ一人の局長とか、課長とかいうものがやるよりも、ああいつた形の方がいいのではないかと思います。問題になりますのは、そういつたふうな権利の争い等の問題でなしに、一般行政事務について委員会の形をとつておるものであります。これに関しましては十分検討いたして参りたいと思つております。ただ基本の方針といたしましては、あくまでもわが国として民主主義の方向というものをますます強めて行く、但しそれが戦後の状態におきましては財政的な経費もかかる、あるいはまたそれによつて効果はあるかもしれませんが、ある場合に力が非常に弱くなるといつたような面を考慮することなしに、単にデモクラテイゼーシヨンという一点からのみ考慮されたようなものにつきましては、他の点ともからみ合せて考え直す必要があると思つております。従いまして安上りの、経費のできるだけ少い、しかもいざというときになるべく力強く動き得る、国民の信頼できる民主主義の行政機構という観点からいいまして、行政委員会というものはできるだけ少くする方法で考えて参りたいと思つております。  予備隊の増強ということについては、聞いておりません。
  58. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方の自治制度を尊重する意味におきまして、自主権を尊重することは、私の心にちつともかわりはございません。でございますから、いろいろこれをぜひやつていただかなければならぬという立場から、法律によつて強行したらどうかというような意見もないではございませんけれども、私の立場といたしましては、これを法律によつて強行するということは、少しでも自主権を尊重しないという結果になりはせぬかと思いまして、これは私考えておりません。しかしながら中央政府といたしまして、地方財政の立場並びに事務の立場をこういうふうにしたらいいではないかということのお勧めをする以上は、やはり自主権はお持ちでございますけれども、自主権でやつていただきたいという強力なお勧めをしたいと存じております。  それから平衡交付金によつて締めつけるのではないかというようなことの御説のようでございますが、われわれが地方行政簡素化本部でほんとうに慎重審議をいたしまして、こういうように事務整理をしたらいいじやないか、またして一向さしつかえないじやないかという結論に到達しましたならば、平衡交付金算出の基礎におきましては、やはりそれでやつて行くわけであります。しかしながらそれと申しましても、平衡交付金はくれないけれども税収はたくさんあるとか、あるいは雑収入がたくさんあるから中央のお世話にならないから、私の方ではこれを固守するのだとおつしやつて、自治権を発揮して、そしておやりになるというにおいては、中央政府においては、法律を出さない限り、これをどうすることもできない、こういう情勢にあることだけは御承知を願います。
  59. 藤田義光

    藤田委員 ちよつと希望だけ最後に……。予備隊のことに関しましては、非常に簡明なる御答弁だけでございましたが、この点に関しましては、今後の国家財政その他に影響するところが重大でございますから、即日増原長官をお呼出し願いまして、ひとつ真相をお伺い願いたいと思います。いずれ近日中に行政管理庁長官が、その後この予備隊増強の準備状況に関してどういう資料を持たれたか、あらためて御質問いたしたいと私は考えております。これをもちまして私の質問を終ります。
  60. 立花敏男

    立花委員 岡野さんにお尋ねいたしますが、最近政府は、地方公務員のベースが国家公務員よりも高きに過ぐる、そういうわけで地方公務員のべ一スに関しまして通達をお出しになりまして、引下げを勧告なさつたということが新聞に出ておりますが、こういうことは地方自治の侵害になるのではないか。御承知のように地方公務員のベースは、地方の条例で決定するということは明らかでございます。明らかにこの措置は地方の自主性を侵害する、地方自治の侵害であると考えるのですが、これをどういうふうにお考えになつておられますか。  また今問題になつておりまする地方定員の問題にいたしましても、これは明らかに地方の自治権の重大なる一つの項目といたしまして、定数は地方の条例で決定するというのが建前なのであります。それをなぜ中央でお取上げになつておるか。これをひとつ御説明願いたい。さいぜんから大臣答弁を承つておりますと非常にあいまいで、はつきりしたことをおつしやらない。しかも私どもは新聞紙上では、すでに具体的なものを見ておるわけなのであります。これに対して大臣は、新聞はそれは作文をしておるのだということを言つておられますが、地方自治庁自体がすでに第一次試案をおつくりになつて各省におまわしになつて各省からの御答弁がこの月末ごろには出そろつて来る。大体大臣もさいぜんそれを言葉のうちにお認めになつて、大体各省との連絡が月末ころにはとれるのじやないか、それで一応の成案が得られるのではないかというような、私が申しましたことを裏づけるようなことを述べておられますが、そういうことを一方でやりながら、しかもこういう公開の席上ではあいまいにして御答弁にならない。これは一体どういうところから来ておるのか。これはおそらく私は、政府が従来のベースに対する態度、あるいは定員に対する態度が、地方自治を明らかに侵害しておるということをみずからお認めになつて、そういうことをはつきり御答弁できないという建前から、こういうようなあいまいな態度をとつておられるのだろうと思いますが、その間の事情、政府意見をはつきりお答えを願いたいと思います。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。新聞紙にどう書いてあろうと、私は新聞紙の材料によつて責任は負いませんから、それは御承知を願います。それから先ほど申し上げましたように、新聞に出たことは私の関知しないことでありまして、同時に地方行政簡素化本部もこれを出しておりません。一例を申し上げますれば、こういうこともあります。先般、簡素化本部でいろいろ討議しておりましたときに、新聞記者が私をつかまえて、話を聞こうということでありました。私はこの点においては、もし事務整理するとしても、人員整理が副作用として出て来る。一人の人には二、三人の家族がついておる。その人が職業を失うのであるから、これは軽々にすべきことでない、慎重にすべきものである。国家の要請上あるいは人員縮減まで行かなければならぬということもあるかもしれませんが、これはしかし大きな見地からいたし方のないことであると考えて、私はやつておる次第でございます。でございますから、人の減るということについて、何ら具体的の成案もできておらぬのに新聞記者にしやべるということは、人道上はなはだよろしからざることと思いまして、私は逃げたのであります。一時間ほど自動車でおつかけられて、とうとうつかまつたのでございます。しかしそのときに、私は新聞記者にこう申しました。簡単に申し上げますが、人の首切りというようなことに結果づけられることに対して、私は絶対に新聞なんかに書いてもらつては困る。どうしてもやらなければならぬ、せつぱ詰まつた最後の段階にこそ、これは社会に対して発表すべきものであるけれども、まだどうなるかわからぬ、雲のようなことを、一々新聞にその場その場で書かれてははなはだ迷惑する、はなはだ人心の不安を起すから、私はごめんこうむると言つてはつきり断つたのであります。そういう状態でございますから、簡素化本部の職員もみなそういう立場でやつております。でございますから、新聞には一切ほんとうのことが出ないはずなんでございます。でございますから、新聞に出たからということについては、私は御答弁申し上げる筋合いでないと存じます。  それからもう一つ地方の職員のベースを切り下げた通知を出した、そういうことは一向出しておりません。これは何かの誤解だろうと思いますから、弁明いたしておきます。
  62. 立花敏男

    立花委員 まつたく秘密的に首切りが準備されておるということが明白になつたと思うのですが、それを一番明らかにするために、簡素化本部でおつくりになつ地方行政整理に対する第一次案というものをお持ちになつておるのかどうか。それによつて各省と交渉なさり、それに対する各省の御意見をお求めになつておるのかどうか。これを新聞に発表するかしないかは別といたしまして、簡素化本部の第一次案というものができ上つておるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  63. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の関する限りにおいては、第一次案とか第二次案とか、そんなものはつくつておりません。
  64. 立花敏男

    立花委員 それではどういう文書によりまして各省との連絡をお求めになり、各省意見を徴されておるのか。その文書をお示し願いたい。
  65. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えを申しますが、それは事務的のことでございまして、私はただいま申し上げる筋合いでもないし、知りませんのですから、知らぬことは知らぬというよりほかに方法はございません。
  66. 立花敏男

    立花委員 このことは……。
  67. 木村公平

    木村委員長 立花敏男君にちよつと御注意申し上げますが、すでに地方行政委員会の持時間は先般なくなつておるのでありますが、特にあなたの立場を了解して発言を許しているような次第でありますから、簡潔にお願いをいたします。
  68. 立花敏男

    立花委員 それは委員長が各委員会で十分持時間の打合せをする時間をお与えにならなかつた、その結果でございますので、私は責任を負うことができません。これは前の三君が十分お使いになられましたので、私の時間が自然少くなりましたので、前の三君と同様に質問をお許し願います。
  69. 木村公平

    木村委員長 立花君に申し上げます。あなたからさような注意を受ける必要はありません。私どもは成規の手続をふんで持時間を決定いたしたのでありまするから、その持時間に不服であつた場合には発言を許しません。さよう御了承願いたい。ただ今日発言を許しておりますのは、あなたの立場を考慮して、私が特に好意的に許しておるのであるから御了承願いたいのであります。
  70. 立花敏男

    立花委員 時間がありませんので質問を続行いたします。
  71. 木村公平

    木村委員長 なるべく簡潔にお願いいたします。
  72. 立花敏男

    立花委員 橋本長官にお尋ねいたしますが、長官中央行政整理機構改革とは一応切り離してやるのだということを言明されておりますが、その通りと承知してよろしゆうございますか。
  73. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ただいまお答えいたしております通り、行政整理につきましては基本は何といつて行政事務整理をすることが基本でございます。これに伴い、人員整理が起つて参ります。機構改革は必ずしもそれとは関係がございませんで、将来機構改革をされて、省庁が動きましても、大体今日提案いたしております修正を経た後の事務は必要でございますので、あちこち動くことはありましても、人員整理は大体これをもつて終ると考えておるのであります。
  74. 立花敏男

    立花委員 そうなると、岡野国務大臣の最初の御意見と大分食い違つて来るのですが、岡野国務大臣の御意見によりますと、現在具体的な行政整理の数字は持つていないので、月末までに各省と連絡をとつて、その上ではつきりした数字を出して、各省意見を入れて数字を出して行く。そうなりますと、中央の方ではすでにはつきり数字をお出しになつておられますので、その後自治庁と各省との折衝の上で、各省事務地方に委譲される、たとえば国立病院のごときの地方委譲、あるいは職業安定所、労働基準監督署の地方委譲、こういうものが行われました場合に、初めて地方行政整理の数字がはつきり出て来るのだろうと思うのでございますが、その場合に再び中央での行政整理の数字が異動を生ずるのかどうか、この点を明確にしておいていただきたいと思うのであります。
  75. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方行政簡素化本部研究いたしておりますのは、地方事務についてございまして、地方事務整理するのにはどうしなければならぬかと申しますれば、先ほども申し上げましたように、地方中央から八割五分以上の仕事を委託されておりますので、その委託された事務縮小しなければならぬから、各省と交渉しておるのであつて、そうして各省が承知して、地方においてこれだけの事務縮減してもいいということになれば、地方においてその縮減をするということでありますが、しかし人員整理につきましては、地方行政簡素化本部人員整理は、何ら中央影響を及ぼすことはないと存じます。
  76. 立花敏男

    立花委員 橋本厚生大臣としてお尋ねいたしたいのですが、国立病院の地方委譲、こういうようなことは、この自治庁との折衝の過程において、おやりになるような御予定があるのかどうか、お聞かせ願いたい。
  77. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 国立病院の問題に関しましては、ずつと前も河合厚生大臣のころ、つまり陸海軍から病院を引継いだころからいろいろ問題があるようであります。いろいろ研究はいたしておりますが、今日まだどうこうするというふうにきめておりません。
  78. 木村公平

    木村委員長 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後は一時半より連合審査会を開き、質疑を継続いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時二十四分休憩L     午後一時五十九分開議
  79. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 休憩前に引続き連合審査会を開きます。委員長が来られますまで、委員長の指名によりまして、私がその職務を行います。  行政機関定員法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。午前中にも申し上げました通り、質疑時間は各委員会一時間以内ということになつておりますから、一人の発言で一委員会の持時間を消費して、他の委員に御迷惑をかけませんよう、あらかじめ各委員会ごとに持時間のあんばいをされるよう特に希望申し上げます。これより質疑を続行いたします。人事委員会委員成田知巳君。
  80. 成田知巳

    ○成田委員 橋本長官に主としてお伺いしたいのですが、運輸大臣がお見えになつておりますので、一点だけお尋ねしたいと思います。と申しますのは、一昨年の定員法の修正のときには、附則に専売公社並びに国有鉄道の点もうたいまして、その意に反して免職、降職ができる、こういう規定があつたと思います。今度の改正案には、この附則がないわけでありまして、この点につきまして予算委員会橋本長官にお尋ねしましたときに、専売公社、国鉄関係は、従業員側と公社側の円満な話合いの上で整理をしたい、こういう意向で附則に規定しなかつたのだ、こういう御答弁があつたのでありますが、そう解釈してようしゆうございますか。
  81. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 ただいまお尋ねの点は、橋本行政管理庁長官答弁の通りで、私どもにおいても同様であります。
  82. 成田知巳

    ○成田委員 といたしますと、整理の数あるいは整理するときの法規的な根拠はどこにお求めになるのでしようか。
  83. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 今お尋ねの数あるいはその根拠等は、十分労使の間に話合いを続けて参りたい、こういう方針でありまするので、それで円満に進める方針で進みつつあります。
  84. 成田知巳

    ○成田委員 整理の数も労使間の円満な話合い、それから根拠についても労使間の円満な話合いによつて整理するというのですが、公社法の第二十二条であつたと記憶しますが、公社の経理上の必要によつて免職するのだ、こういう根拠をお使いになる御意思はないわけでございますね。
  85. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 整理は、申し上げるまでもなく、一面において成立した予算の範囲内においてこれを行つて行くのでありまして、従つて乱雑なる規定を行つて、無用なる出血をするというようなことに相ならぬように、十分にその点は労使の間に話合いを進めて行く、こういう方針で進んでおります。
  86. 成田知巳

    ○成田委員 私のお尋ねしているのは、整理する場合の法規的な根拠におきまして、公社法に解雇する場合の条項を規定しておるのでありますが、その中に経理上の必要云々という文句もありますし、その条項によつて整理されるのじやないか、こういうことをお聞きしておるのであります。
  87. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 技術的の、法規的の説明は政府委員よりかわつてさせたいと思います。
  88. 成田知巳

    ○成田委員 その前に結論だけお尋ねしておきますが、今の大臣の御答弁で、整理の数も、また整理の理由についても、労使間の話合いの上でやる、こういうお話なんですが、一応公社法の整理の条項に基いてやる場合といたしましても、当然これは公共企業体労働関係法に関連して来る問題で、団体交渉の対象になると思う、運輸大臣の言われた労使間の円満な話合いということは、団体交渉によつて話をつける、こういうように理解してよいと思うのでありますが、間違いございませんか。
  89. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 すべて合理、合法的に定められたる法規の範囲内において事を進めて行きたい、こう思つております。
  90. 成田知巳

    ○成田委員 合法的に定められた法規の定めるところによつて処置されるということは、公共企業体労働関係法の団体交渉をさしておられると思うのでありますが、そういたしますと、専売も同じと思いますが、今度の国鉄の整理につきましては、労使間の団体交渉によつてこの問題の妥結をはかる、こういう状態になつて来ると思うのであります。もし団体交渉で話合いがつかないときには、調停あるいは仲裁裁定まで行くと考えるのでありますが、そう理解してよろしゆうございますか。
  91. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 前にも申し上げた通りに、すべて合理合法的に取進める、この一言で尽きることと考えます。
  92. 成田知巳

    ○成田委員 合理、合法的というのをあとで政府委員から御説明願いたいと思いますが、最後に一点だけ大臣に承りたいと思います。整理の基準でございますが予算委員会橋本長官に御質問いたしましたときには、一昨年の行政整理のように整理基準は設けない。国鉄でしたら国鉄総裁にその整理の方法をまかす、こういうことになるのだと思うのでありますが、これは非常に危険がありまして、各官衙の長が勝手に整理基準を設けて整理するということになりましたら、非常に不公平な結果が出ると思うのであります。個人的な憎悪の感もそれに加わつて来るような気もするのであります。特に私たちの恐れることは、いわゆる好ましからざる人物として労働組合の幹部、役員を行政整理の対象にまずあげる、こういう心配を持つものでありますが、当然労働組合法の精神から行きましても、組合の幹部であるがゆえにこれを整理することはできないと思うのでありまして、整理基準を示されないといたしましても、通牒を――通牒をお出しにならないとすれば、本会の席上で、労働組合の幹部であるがゆえに行政整理の対象にすることはしないということを御明言願いたいのでありますが、それに対する御意向を承りたいと思います。
  93. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 ただいま繰返してお答えをいたしたる通り、合理合法的に行うのでありまするし、独裁政治ではないのでありまして、法規に基いて公明正大に行うのであり、労使の間に円満なる話合いを進めつつ行うのでありますから、ただいま御指摘のようなことをことさらにあげてどうこうするということを、私あらかじめ断言することはできないのであります。
  94. 成田知巳

    ○成田委員 では政府委員に、合理合法的というところだけをひとつ……。
  95. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 国有鉄道法及び労働関係法に基いてやるわけでございまして、その詳細なることは条文をちようど持ち合せませんので、後ほど申し上げたいと思います。
  96. 成田知巳

    ○成田委員 しかし公共企業体労働関係法なり、国鉄法に基いて法規の命ずるところに従つて整理をされる、こう了解してよろしゆうございますか。
  97. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 この際要求大臣の出席の関係からいたしまして、人事委員の方の質疑をあとまわしにいたし、運輸委員の方から先に質疑をしていただきいと思います。木下榮君。
  98. 木下榮

    ○木下委員 私は運輸省の所管のことにつきまして、具体的の問題についてきわめて簡単にお伺いしたいと思います。主食の統制撤廃が行き詰つて断念されたことは、皆さん御承知の通りであります。ところが今度の定員法によつて、主食の配給事務に関する人たちが多数盛り込まれておるのでありますが、運輸省の船員関係の二百六十八人という人たちは、全部元の通りに今度の案から削除されるものと思いますが、そう考えてよろしいのですか。
  99. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 当初の計画は、主食の配給統制が撤廃されることになりますれば、百パーセント整理することになつておりました。その後その方が模様がかわりましたので、一般的の整理の基準に従つて二百六十八人を二百人にして六十八人の整理を行う、そういう方針であります。
  100. 木下榮

    ○木下委員 海員に対する配給の状況を見ますと、配給の箇所が全国で二百五十五箇所あります。しかも船員のことでありますから乗船、下船、その他変動が非常に多く、一箇月約四万の変動届があるそうでございます。これを六十八人減員して二百人ではとうてい円滑なる配給ができないと私は考えておりますが、その点はいかがでございますか。
  101. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 その点につきましては事務当局よりお答えをいたします。
  102. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 二百六十八人おりましたものが二百人になりますと、非常に苦しいわけでございますが、そういうふうにきまりました以上、事務支障を来してはいけませんので、われわれ事務当局といたしましては、他の人員を振りかえる等、あらゆる手段を講じまして、事務支障を来さないように努力をいたしたいと考えております。
  103. 木下榮

    ○木下委員 今のお話によりますと、二百六十八人の定員が二百人になつても、非常に努力をしてやつて行く、そうすると今まで六十八人というものは冗員があつたという結論になりますが、私の考えでは、二百五十五箇所というような多数の地において、変動の激しい船員に、しかも主食でありますから、この配給は円滑に行かぬと思います。事務当局はよくお考えになつて調査の上、百パーセント全部復活するように御努力を願います。  それから米麦の統制撤廃を政府は断念されました。聞くところによりますと、石油の統制を四月一日から撤廃するように聞いておりますが、その結果、石油の配給の従事員の方々を八百六十五人整理しようという案でありますが、あれほど政府が力を入れ、総理大臣の演説にも、何回か閣議も開き、また政調会、総務会も開かれて、あれだけ国民に非常な確信をもつて発表された米麦の撤廃すら、断念しなければならぬというような情勢から考えまして、私はこの石油類の統制ということもそういうふうになるのじやないかと考えますが、その際に八百余人の定員を減員しようということは、どういう根拠からそういう案が出ておるのでございますか、それをお伺いしたいと思います。
  104. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 石油についてのお尋ねでありますが、全部を整理いたしますのは、石油の統制の撤廃を進める方針のもとに従事員を減員することになつておる次第であります。
  105. 木下榮

    ○木下委員 全部の減員をなさるといいますが、石油の統制の撤廃ということは仮定の事実であつて、まだきまつているわけではありません。それになぜ全部の減員をしなければならないか、それをお伺いしたいのであります。
  106. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 石油の統制撤廃は、むろん国際的の石油市場の状況によりまして、また日本の石油の情勢もあるのでありますが、しかし既定の方針従つてこの点は進める、それを目標に進んでおるのであります。
  107. 木下榮

    ○木下委員 運輸大臣の御答弁ははつきりわかりませんが、石油の統制撤廃ということは仮定の事実である。また私の聞くところによりますと、GHQにおいてはこれは絶対反対される、なかなか統制の撤廃はできない、こういう見通しが強いのであります。それにもかかわらずなぜ石油の配給関係の人たちを百パーセント減員しなければならぬのか、それをお伺いしたいのであります。
  108. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 これは繰返してお答え申しても同じことでありますが、既定の方針従つて行う、こうお答え申し上げるよりほかにありません。
  109. 木下榮

    ○木下委員 既定の方針という言葉を繰返されますが、既定の方針というのは一体どこの既定の方針かわれわれにはわかりませんが、政府はおそらく気まぐれ的な考えかなんかで、そういう考えを持つておるから、そういう仮定の事実を根拠として減員しようとされるのであつて、われわれとしては承服できないのであります。それではこういうふうにひつくり返してお伺いしますが、配給事務の人たちを全部減員して、しかも配給統制の撤廃ができなかつた場合、海陸運輸交通の行政その他に非常な混乱を来し、また石油を原料とする生産業者も非常に困ることになるのであります。そういう場合にどういう処置をとられるか。運輸大臣として責任をもつて円滑に配給ができるかできないか、それをお伺いしたいのであります。
  110. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 それは申し上げるまでもなく、政府の案として既定の方針の通り進めるというのであれば、責任をもつて万遺憾なきを期するというよりほかにないのであります。
  111. 木下榮

    ○木下委員 主食の統制撤廃でも、御承知の通り総理大臣が施政演説でも演説をされた、また幾たびか閣議も開かれた。与党においては何回かの政調会を開かれ、総務会を開かれ、あれだけの確信を持つてやられても、断念をせざるを得ないことになつたということは、御承知の通りであります。石油の現状から押しまして、今の段階において石油の統制撤廃をするということは非常に無謀なことである。しかもGHQはこれに絶対不賛成を唱えておるということを私は聞いております。であるから普通常識から考えたならば、統制撤廃はできない問題である、こういうふうに考えるのであります。しかも運輸大臣のお答えは、既定の方針、既定の方針とおつしやるけれども、私はできないものと思う。そのできない場合に、海陸運輸交通その他の産業に対する影響に対して万遺憾なきを期すと言われるけれども、そういうことは私はできないと思う。配給に従事する人間はやめてしまつたわ、統制撤廃をすることはできないわ、そのときにただ善処するというだけでは、われわれとしてはどうしても承服できない。運輸大臣は確信を持つて、必ずその責めに任ずるという信念がおありになるかどうか、そこをはつきりお伺いしてみたい。
  112. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 できるだけの手を尽して遺憾なきを期するということを繰返して申し上げます。
  113. 木下榮

    ○木下委員 配給は存続する、配給する機関はない、その人はないという場合に、万遺憾なきを期すと言われても、これは何人に聞かしても承服できない。これ以上追究してもいたし方ありませんが、石油の統制を撤廃するならば、撤廃したそのときに減員されればいいのでありますから、海のものとも山のものともわからない仮定の、そういう既定の方針――御方針だか何だかわかりませんが、そういう既定の方針のもとにこの減員をなさることは非常に危険であります。どうぞそういうことのないように、またもし私の憂慮しているような事態が起つた場合には、必ず責任をとつていただく、そういうことをお願いして、私の質問を終ります。
  114. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 淺沼稻次郎君。
  115. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 質問をする前に、委員長先ほど私は総理大臣の出席を要求しておつたのでありますが、いかがになつているかお答えを願いたいと思うのであります。この行政整理に関する案というものは、行政機構関連をして、人員の問題をどうするかということでありまして、内閣を中心として、内閣の政策を実行しますところの機関をどうするかということであります。従いまして、内閣の中心でありまするところの総理大臣が出席をいたしまして、われわれの質疑に答えることは、私は当然だと思うのであります。従いまして、いかなる事情で御出席にならないのか、まず伺りたいと思うのであります。
  116. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 総理大臣に御要求がありましたので連絡いたしましたが、都合によりまして、やむを得ない事情で見えられませんので、かわりに行政管理庁官が見えています。
  117. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 委員長にお伺いいたしますが、行政管理庁長官は、行政管理庁長官として職務を執行しているわけであります。これが総理大臣の代理というわけには参らぬと思うのであります。総理大臣がその職務を執行する場合におきましては、副総理制があるわけでありまして、それが出て来て答弁するのが当然だと思うのであります。
  118. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 副総理でよろしかつたら、副総理の出席を求めます。
  119. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 副総理というのは、今まで私どもはきまつたように伺つておりませんが、総理の任務を代行する副総理がきまつておるのでありますか。
  120. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 淺沼さんからのただいまの申入れで、副総理の出席を求めると言われましたので、私副総理ということを申し上げましたが、私の間違いでありましたので訂正いたします。吉田総理は都合によりまして見えられませんので……。
  121. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 都合によつて出席ができないということになりますならば、この合同委員会審査中に出席願えるでしようか。私ども議員として、やはり聞くべきところは聞かなければ職務の執行ができないわけでありまして、さしつかえない限りにおいては委員会に出席して答弁するのが、私は総理の務めだろうと思うのであります。私は前に浜口雄幸氏がああいうようなからだでもつて議会に出席したことを思い出しまして、われわれの要求に対しては、総理は応じなければならぬと思うのであります。
  122. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 吉田総理は目下渉外関係で行つております。その通りであります。従いまして吉田総理はそういう事情がありますので、それ以外の大臣に対する御質疑を願います。
  123. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 それでは私はあらためて要求しておきますが、各委員会は一時間でありますけれども、この委員会の審査継続中に、委員長は、必ず責任をもつて総理大臣を出席せしむるように願いたいと考えるのであります。  そこで私は二、三の点について質問をしようと思うのであります。先ほど行政管理庁長官お話を承つてつたのでありますが、今回の行政整理日本の独立を前にいたしまして、独立後の日本の体制に対応するための行政整理だということを言われておるのであります。しかし行政整理を行う場合におきましては、その必然の前提として行政機構改革考えられて来なければならないと思うのであります。先ほど民主的な平和国家をつくるためにやるのだというお話であつたのでありまするが、そういたしまするならば、当然行政の民主化、能率化、簡素化ということが前提となつて行政整理が行われなければならないと思うのであります。そうだといたしまするならば、行政機構改革は一体いつごろなさるのであるか。私はこの定員法改正は、当然行機構改革に付随して出て来るべきものと思うのであります。従いまして今回出ておりませんが、いつごろなされるつもりであるか、もしなされる場合においては、第二の行政整理を意図されておるのか、この際承つておきたいと思うのであります。
  124. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 行政機構改革目下検討中でありまして、大体来月上旬くらいに内閣の案をきめまして、通常国会の休会明け劈頭に提出するように準備をいたしたいと考えておるのであります。午前にも申しましたように前前からも申し上げておりますように、行政事務整理に伴つて人員整理を行いますので、今後機構の改廃を行います場合におきましても、各省庁の間で人の異動は起るかもしれませんけれども事務はいずれにいたしましても今回の定員法改正基礎になりましたものが必要であり、大体十分であると考えておりますので、あらためて人員整理をこれ以上行うことは考えておりません。
  125. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 行政整理の前提としての行政改革が行われて、その後に行政整理が行われるのが当然だと思うのでありますが、首を切つておいてあとで整理をするという逆な行き方をしておるのであります。行政機構改革をやつても首を切らないつもりである、こういうお話でありますが、私はそうであるということになりまするならば、単なる行政機構改革というものは、ほんとうの意味における行政の能率化、民主化あるいは簡素化にならない結果になろうかと思うのであります。私はこの問題については案が出たときに批判をすることにいたしまして、これ以上申しません。しかし首を切る場合においては、当然首を切られる人たちに対して、どういうような態度を政府がとるかということが考慮されておらなければならないと思うのであります。米の統制撤廃後における配給する人の首切りの問題あるいは石油統制撤廃に関しまするところの首切りの問題、数は少数でありますが、しかしこれらのものが積り積つて参りますと、これが十二万人という多数になるのであります。いわば官庁で働いておる人たち、あるいは公共企業体で働いておる人たちにとつては、政府の機関から首を切られるということは、間接的には死刑の宣告にひとしいと思うのであります。これには十分な失業対策がなければならないと思うのですが、具体的にどういう失業対策を持つておられるのか、この際承つておきたいと思うのであります。
  126. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 今回の行政整理にあたりまして、これは整理の対象とされる人々の処遇ということを一番考えなければならないので、今回の行政整理にあたりましても、その点をまず第一に考えて考慮をいたしたのであります。今回の行政整理にあたりまして、われわれが一番基本として考えておりますことは、日本の資源開発、貿易の伸張というものを基礎にいたしまして、特に昨年以来日本の国内の雇用情勢がよくなつておりますが、これをさらに今後積極的な産業施策によつて伸ばして行くということを基本にいたしております。整理の場合におきましては、第一失職後の生活に困らないように、退職手当につきましては、一般の退職手当に対しましてさらに八割増しの手当を出すことにいたしましたのと、それからそのほかに長期欠勤者は整理の対象にならないというような配慮をいたしております。またそういたしまして、退職手当をもらつて退職された人が、職を探すのにあたりましては元の各省庁におかれて、また政府の職業安定機構をあげて職業のあつせんに積極的な力を尽すつもりであります。なおこれに関しましては、手に職を持つ人々の失職状態の点から考えまして、職業補導の点につきましては、労働省の所管で今回の補正予算にも金額を計上して措置をいたしておるのでございます。万一それでも非常に困るというような場合には、従来考えましたような緊急失業対策事業のようなことも考えられないではございませんけれども、本来これらの人々の失業に関しましては、失業対策事業といつたようなものがあまり意味があるとは思つておりません。私どもといたしましては、電源開発や土地改良というような資源の開発、貿易の伸張、産業の発展ということを基本にいたしまして、そうして失職後の生活に困らないように退職手当を十分に与えつつ、職業あつせんに全力を注ぐということを一番の主眼点にいたしております。
  127. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 首切る方は長官の任務で、これを救済する方は労働大臣の任務でありますから、おのずから労働大臣に聞く方がいいと私は思うのでありまして、これ以上は申し上げないのでありますが、やはり首切りをやる場合においては、日本の産業全体の関連において、それぞれの人をどう配分するかという考えのもとにやられることが私は大切だと思うのであります。しかし今長官の頭の中にはその片鱗が幾らか出ておつたようでありますが、もつと具体的になされんことを切望するものであります。  それから先ほど成田君の質問を伺つておる際に私の頭に上つたのでありますが、専売公社並びに日本国有鉄道の職員は、この定員法整理のうち外に今度置かれておるように伺つたのでありますが、もしそうだといたしまするならば、この附則は一体どうなるかということになるわけであります。たとえば現行の点から申し上げますならば、附則において日本専売公社の職員は三万八千百十四人と定員を規定されております。さらに日本国有鉄道の職員は五十万六千七百三十四人と、こう規定されておるのでありますが、この規定は残して置いて、あとの余剰の人員があつた場合においては、これは公社並びに従業員との話合いにおいて解決するという意味でしようか。
  128. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 いやそういう附則はついておらないのでございますが、私が記憶いたしておりますところでは、今手元に法文を持つておりませんが、二十四年の行政整理の案を立てますときには、まだ公社ができでおりませんで、そうして公務員時代にあの案が動きまして、そうして行政整理の完了前に身分がかわるけれども、なお公務員並に処理をするという附則がついておつたと思います。
  129. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 そこで了解がつくのでありますが、そうなるとすれば、結局この公企業体の職員というものは、独立採算制に基く公企業体の従業員であるから、これの整理に対しては国家は関与しない、その自由にまかせる、こう理解してよろしいですか。
  130. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 まつたく関与しない、自由にまかせるということでなしに、総体的な国の行政運営能率と関連をいたしまして、公企業体においても同じくできるだけ能率を上げてもらうように、この際あらためて考えなければならぬという趣旨で、政府部内において話をきめまして、これに従いまして、それぞれ国鉄公社におきましても専売公社におきましても、労働者側とも相談して行政整理を行おう、こういうわけであります。
  131. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 そういたしますと、定員法の規定にはないけれども、やはり政府と公企業体との関連において整理を行うという結果になろうと思うのであります。そこで日本国有鉄道の方は現在の人員でもその能率を上げ、サービスをよくしてやる場合に一万六千人も人が足りないということを言われております。一万六千人の人が必要であるということを国の方に要求しておるはずだと私は了解しておりますが、しかし今回国鉄においては二万三千三百二十名、これだけの者を首切るということになるわけであります。そういたしますと、定員法の規定はないけれども、実際はそのサービスをよくし、能率を上げるために一万六千人も必要であるというのに、二万三千人首切るということになりますならば、ここが私は了解できないのであります。こういうようなことであつては、一面民主化、能率化ということを言いながら、反面においてはやはり無理な仕事をせいということになるわけでありますが、この矛盾は一体どうお考えになるのでありますか。
  132. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 今公社と政府との関係は、人員の面で申しますと、国鉄公社の予算の編成という面を通じて政府としてはできるだけ経費を少くし、安いコストで運営のできるように確信を持つております。その具体的な国鉄運営の内容に関しまして、いかなる理由でこれだけの人数をあんばいして運営ができるかということにつきましては、主管の運輸大臣の方からお聞きを願いたいと思います。
  133. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 長官にこのことを聞くことは私は無理だろうと思いますが、問題は国家が独立採算制でやれということで、その企業の自主性を認めている場合には、人員関係においてもやはり自主性を認めて、その企業が成り立つように考えるべきである。従つて今回の行政整理の対象の中に、間接的ではあるけれども、国鉄を入れるというところに私は非常な矛盾がありはしないかと考えるのであります。  それから、これに関連をいたしまして、今回国鉄で行われますのは二万三千三百二十名の者を首切つて一万三千人の者は長期欠勤者をこれに充てるということになつているのであります。しかし長期欠勤者が首を切られては、自分の生活に非常に響いて参るので、首は切られないようであります。首を切らないで、待命制度とい、ますか、休職といいますか、こういう制度を用いられるようであります。しかしこのことは単に国鉄、公共企業体だけの問題でなくして、政府のあらゆる機構の中に将来待命制度というか、こういうような長期欠勤者の取扱いについて、このような考え方を持つ考えが幾分でもあるのかどうか。この点について、これはあながち行政管理庁長官の所管でもないと思いますから、どなたからでもよろしゆうございますが、お答え願いたいと思います。
  134. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 給与法制の問題は所管としては官房長官、大蔵大臣になつておりますが、一応私からお答えをいたします。今日の給与の建前から、一般公務員の場合で申しますと、病気の場合には九十日までは休むことができる、それ以上を越えて休む場合には月給は一つももらえないという制度になつておるわけであります。これは戦後できた給与法制でありますが、少くともわれわれの考え方から行けば無理でありまして、なるほど仕事をしていないものだからやむを得ないということになるのかもしれませんが、これはあまりりくつに走り過ぎたものであつて、やはりそのときには休職になるにしても給与を支給し養生ができるというのが筋であろうと考えまして、今日の一般職の給与の規定を改正いたしまして、有給で休職にして、これを定員外に置くことができるという制度を設けて、目下関係方面と交渉中でございます。国鉄の給与の規定等は、御承知のように国鉄内部でやりまして、一般の方とは違つておりますので、私も詳しいことは存じませんが、その面については、それぞれの関係の方から聞いていただきたいと思います。
  135. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 それでは私終りたいと思うのでありますが、最後に運輸大臣に一ぺんちよつとお聞きしたいと思うのであります。  運輸大臣は、先ほど問題がこまかい問題でありますからと答弁を濁しておつたのでありますが、こまかいけれども、首切りにはかわりはないのであります。従つてかりに米麦が統制撤廃にならなかつたら、海運局で働いておりました人たちで二百六十八名のうち二百名は使つて、六十八名は首切るのだ、これを考えてみますれば、六十八名の問題でありますから、大したことはないとお考えになつておられるようであります。また石油の統制の撤廃から来る八百十六名の問題であります。この八百十六名、さらには六十八名のものがだんだん重なつて一二万人になるのであります。一人を首切ることも十二万人を首切ることも、何らその個人個人にとつてはかわりはないわけでありまして、もつと私は明確なる答弁がなされてしかるべきだと思うのであります。もし米麦の統制が撤廃できなかつた場合においては、やはり必要数の人間は採用するという規定がございます。しかし石油の統制の撤廃についてはその規定がないわけであります。まだ統制が撤廃になるかならないかということについては明確ではございません。この統制撤廃の問題につきましては、これは米麦同様に絶対量が足りないのでありますから、自然輸入の関係において問題がきまると思うのであります。すなわち客観的な情勢で統制が撤廃にもなり撤廃にもならないということになりまして、問題ははなはだ遺憾しごくではありますけれども、司令部の考えいかんということが、これに影響して来ると思うのであります。すなわちそういうような観点から申し上げますれば、米麦の統制撤廃の問題にいたしましても、国民的要求は強かつたのでありますが、司令部の考え方というものに非常に支配されておることもわれわれはいなむことのできない事実であろうと思います。従いまして、そういう方面もまだ明確ではございません。そういうような点から考えてみますれば、もし統制が撤廃にならなければお前たちの身分は保障するというのが私は当然だと思うのであります。しかし木下さんに対する答弁では、合理合法的にやつてみて、結果においてはどうとかいうような話で、明確ではございません。従いまして、米麦のことが真理とすれば、このことも統制が撤廃にならなければお前たちの首は保障するというのが私は当然だと思うのでありまして、その点を明確に願いたいと思うのであります。また実際から申しまして、こういうようなものを組むのに仮定で国の仕事をやられては困ると思うのであります。米麦の統制撤廃の問題はかりに撤廃になつたらこうする、撤廃にならなければやらぬ、国家の政治の上に仮定を目標としてやるというようなことはあり得べからざることであると思います。今までの立法方式の上において、予定のもとに立法をやつたということはほとんどないと思うのであります。前代未聞のものであると考えます。これが定員法として出されたときには非常に私は考えさせられるのであります。従いまして、そういうような附帯条件はついておりませんけれども、米麦でそうだというならば、これにあつてもしかるべきだと思うのであります。米の方においては首を助けるが、この方においては首を切つてしまうということはあり得ないことだと思うのでありまして、もう一回明快なる御答弁を願いたいと思います。
  136. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 だんだんお尋ねですが、私の答えたことが先ほど明瞭でなかつたということでありますので、お答えいたします。これは先ほど木下君にお答えを申し上げた通り、そのような事態が起る、起らぬにかかわらず万遺憾なきを期する手続をとるつもりでおりますので、ただいま淺沼君の考えられるような将来の状態に変化が起つて来たときにはまたそれに応ずるの方法を講ずるのでありますけれども、現状はこの形において進むということをお答えいたします。
  137. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 どうも先ほどから答弁を聞いておつてあつさりしないところがあるのでありますが、農林大臣及び大蔵大臣はあつさりしたわけでありますから、これもひとつあつさり願つた方が実はいいと思うのであります。やはりそのことが実行できなかつた場合には首は切らないのだ、こういうふうに私はあつさり願いたいと思うのでありますが、これ以上答弁を求めません。これを強く要望いたしまして私の質問を打切ります。
  138. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 まず一般的な問題について橋本長官にお伺いしたいのであります。十二万名からの首切りということは、非常に大きな人道上の問題でもあると思うのです。この問題に対しては、先ほどからるると御説明がありましたけれども、あれでは納得できない。この十二万名の首切りに対してあとどうするか、政局の担当者である吉田内閣はどういう手を打つかということをもう少し具体的に説明をしてもらいたいと思うのです。
  139. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 これはただいま淺沼委員にお答え申し上げた通りでございます。
  140. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 この前の定員法による首切りのときにも、たしか当時の増田官房長官つたと思いますが、本会議の席上で、決して心配はない。日本の経済をどんどん拡張し、この剰余人員を全部吸収する。こういうように自信の満ちた発言があつたのであります。その後一年たち二年たち今日その人たちがどういう状態になつておるかというと、これはまつたく悲惨な状態で、目もくれておらぬのです。こういう非人道的なやり方が再び今日行われようとしておる。しかもそれについては、今長官からの御回答によりますと、非常に形式的な説明である。これでは人道上の大きな問題があとへ残ると思うのでございますが、それでも今のような簡単な形式的な答弁しかできないのですか。
  141. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 前回の、一昨年の行政整理は約二十四万八千人という非常に大きな数で、その後個々の人々の全部に当つたわけではありませんが、総体の就職状況等を見ましたときに、相当の程度の人たちがしかるべき地位に就職されているように、私は報告を受けております。今回の行政整理にあたりましても、私の一番考えておりまするのは、そういつたような方々がほかの職場に総体的に転換が行われることが望ましいのであります。昨年以来今年にかけましての総体の雇用人員の数は、労働省の調査でもあまりかわつておりませんけれども、昨年から今年にかけまして、七月から六月までの一年間に、農林業から非農林業に約二百万人の労働者が転換をいたしております。戦後農林業の従事員が非常にふえておつたのでありますが、これは昨年以来労働人員の内容が非常に改善されて来ていることを示すものでありまして、今後日本の産業の発展、資源の開発、貿易の伸張ということに政府は一そう意を用いまして、今回の行政整理の人々も遠からざる将来において必ずやしかるべき地位に配置されることを強く確信をいたすものでございます
  142. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 何だかお経を聞いたような気がするのです。それだけの御答弁ではまだ納得ができません。この前もそういうような非常に口当りのいい御答弁を得たのだが、結局はうそだ。再び二枚舌を使うような気がするのです。これ以上言つてもしかたがないかもしらぬけれども政府のやり方はいつでもそうです。こういう公開の席上ではなかなかうまいことを答弁するけれども、実際の状態はそれと逆になつて来る。  この際運輸関係について具体的に御質問を申し上げたいと思うのです。一昨年の七月に国鉄は国家経営から公社に移つてつたのでありますが、その際の定員法によつて五十万三千名ということになつたのであります。そこで国鉄はこの五十万三千名というのが定員であつて、それ以下に減員した場合には労働者はその定員を充足させるために要求する当然の権利があると思うのですが、その点大臣はどう思われますか。、
  143. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 その数は一昨年のときの数でございまして、その後予算によりましてその数がきまつて来ておるわけでございまして、その数はもう現地では死んだと言いますか、効力のない数、こういうことでございます。
  144. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 国鉄当局ではこの九月末現在の人員から一万六千名の増員をしなければ、国鉄の完全なる運営はできないということを政府当局に具申して来たということを聞いておりますが、それは事実ですか。
  145. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 予算は要求書を出しまして、大蔵省において査定されまして、いろいろの折衝の経過によつて話合いで最後にきまるわけでございまして、折衝の過程においてあるいはそういうことがあつたと思いますけれども、十分に話合いをいたしました結果としてきまつた数字は、ただいまお話がありました数字でございます。
  146. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 話合いの結果国鉄は先ほどの二万二千三百二十二名の人員整理をやつても円滑にやつて行けるというお話でありますけれども、実際はどうかというと、これも逆です。十月の三日には全国における滞貨が二百三万トンありますし、十月の十四日には驚くなかれ二百十四万トンに達しておるのであります。これは戦後の最高記録です。こういうように国民に非常な大きな迷惑をかけて、それでも国鉄は十分に使命を果しておると思われますか、どうですか。
  147. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 今日の国鉄の持つておる力の最大限度においてそういう事態が出ておるのでありますが、それは輸送量の増加というような点もあり、一面においては施設の老朽によつてこうなつた面もあつて、さらにまた一方においては一般の産業の生産量が非常に増したということも考えられるわけであります。必ずしもこれを人員の多少によつて現われておるということは考えられないのであります。そういうものは貨車の新造もしなければならない。駅等の施設の改善もしなければならぬ。場合によつてはその場所々々における人員の充実も必要に相なるのでありますが、それらが総合されて国鉄輸送の能率が上つて来るのであります。このたびの人員整理国家機関の一部として、今日国民をしてその負担をできるだけ少い方向に持つて行きたいという考えのもとに行われておる整理であるのであります。
  148. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 今申し上げた滞貨は人員の足りないために起つたんじやないと言われますけれども、これは実際の職場をごらんになりますと、人員が少いために輸送に非常に大きな障害になつております。労働強化になるだけではなく、人員が足りないために完全な輸送ができないというような現実の状態が各所に起つております。ここで非常にふしぎに考えることは、一昨年から全然自然減耗が補充されておりません。一箇月に平均二千名の自然減耗があります。そういうように輸送に実際従事する労働者が減り放題に減つておる。それにもかかわらず、この鉄道公安官は去年とことしの六月三十日を基準といたしまして、この一年間に約二百名近くふえておる。一般の労働者は減り、鉄道公安官だけがふえる。これは一体どういうわけですか、どうしてこういうようなやり方をするのか。その点をお伺いしたいと思うのです。
  149. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 予算によりまして定員がきまるわけでございます。その場合に出血を少くするという意味におきまして、自然減耗を補充しないという方針で進んでおるわけであります。従つて自然減耗がありました場合、困るときには配置転換を行つております。また自然減耗の補充を全然やつていないというわけではないのでありまして、要員のやむを得ないものについてはごく少数採用しております。公安官につきましては、また別途の系統でありまして、公安官としての使命がありますので、その使命を十分果すだけの意味において数の調整をいたしておるわけでございます。
  150. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 国鉄における業務が円滑に行かないために、物件費をさいて臨時雇いを雇いまして、そうして労力の不足をこれで補つておるという職場が各所にありますから、そういうような定員の不足、実際の労働量に対して、労働者が少いというような状態に追い込んでまで、との定員を強行しようと思つておられるのか、そういうことが現実にあることを御存じであるかどうか、その点もあわせてお伺いしておきたいと思います。
  151. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 鉄道の業務は、御存じのように一年中仕事の量が一定しておりません。仕事の量は季節によりまして波動があるわけであります。その波動のピークに応ずるための人を必ず維持するということは困難でございますので、波動に応じまして若干の臨時雇いを採用するという制度は、国鉄の運営を合理的ならしめるゆえんであろうと考えます。
  152. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 今の説明によると、ピークのときにのみ採用するのだというお話でありますけれども、このピークのときに採用する非常勤の労働者がほとんど常動的に雇われておるということは事実です。そういうような変則的な補充の仕方をしながら、この定員を強行するというところに問題があると思うのです。そういう点についてはどう思われますか。
  153. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 現在のやり方が適当である、こういうふうに考えておるわけです。
  154. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 ただいまの御返答は非常に不満足です。私が言つたことは事実に相違しておるのですか。相違しておらないとすれば、この定員が非常に不自然なものであるということが言い得ると思うのです。その点をもつと親切に説明してもらいたい。
  155. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 われわれの知つております限りにおいては、今私が申し上げた通りであります。かように考えておるわけであります。
  156. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 次に海運局並びに陸運局の油の統制のための要員の首切りの問題であります。この問題については木下委員並びに淺沼委員からるると質問があつたのでありますが、これに対して山崎運輸大臣の御返答はきわめて不親切であり、しかもピントがはずれておつたと思うのであります。そこで具体的にお伺いをしたいと思いますけれども、この石油の需給計画は今どういう状態になつておりますか。聞くところによりますと、イランの動乱のために原油は非常に不足になつておる、非常に不如意であるということを聞いておりますが、その点はどうですか。
  157. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 需要がどれだけあるかということを的確に把握することは困難でございますが、一応重油なり、軽油なり、ガソリンなりについての需給を調べてみますと、まだ需要に対しまして供給は十分でございません。ものによつて率が違うわけでございますが、相当の開きがある状態でございす。
  158. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 そういうような状態で四月一日から統制を撤廃する自信があるのかどうか。先ほども言われたように、米の統制撤廃と同じことになりはせぬか。その点についての自信があるなら、その根拠をはつきり示してもらいたいと思います。これは大臣にぜひお答え願いたいと思います。
  159. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 先刻もお答えいたしましたる通り、政治でありますから、情勢に応じて最善を尽して行くのであります。むろん現在は現在の方針に基いて進み、先に情勢の変化があれば、これに応じた対策をして行くことは申すまでもないことであります。
  160. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 政治家というものは目の先だけの仕事をするものではなくて、二手も三手も先を読んでこそこれは政治家です、世界の情勢についてどう考えておられるか。世界の情勢を考えて、石油の需給関係はどうなるか、将来むずかしくなるか楽になるか、その点についてはどう考えておられますか。今度の統制撤廃の問題と非常に重要な関係がありますので、どういう見通しを持つておるか、政治家としてひとつ答えてもらいたい。
  161. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 政治家として答えろということでありますが、もちろんであります。二手も三手も先を考えればこそ、現状は現状に即する対策を持つて行き、将来は将来に対する対策で行く、こう考えております。
  162. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 それなら米の統制撤廃をどうしてやめたか、まずそれを聞きましよう。
  163. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 別に御答弁ないようでありますから、他の御質問を願います。
  164. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 重ねて大臣にお願いいたしますが、もう一回どうぞ答弁をしてもらいたい。
  165. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 ただいま米の統制撤廃云々のお尋ねがございましたけれども、これは所管の大臣に対してお尋ねを願いたい、かように思います。
  166. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 あの米の統制撤廃の大問題を、運輸大臣だからわしは知らぬということでは、これは許されぬと思う。これは連帯責任です。もつと明確にしてもらいたい。あなたの御返答はつじつまが合わないのです。米の統制撤廃はドツジさんが来たらやめになつてしまつて、石油の統制は同じように困難な条件があるのだけれども行政整理において首切りをやつてでもこれをやろう、そういうつじつまの合わぬことがありますか。実際に今の吉田内閣がそれだけの実力があるのなら、そういう確信のある御答弁を願つてもいいのだけれども、どうですか、それだけの実力があるのですか。
  167. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 御答弁がありませんから……。なお江崎君に申し上げますが、運輸委員会としての持時間が切れておりますので、簡潔に願います。
  168. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 サンフランシスコ会議で講和条約が調印されてから、自由党並びに内閣では、GHQの方へも、もうこういうことになつたのだから、われわれの言い分も相当通るのだという自信を持つてつたようであります。池田大蔵大臣がドツジは銀行家にすぎない、わしは政治家である、こういうふうなことを放言した。こういつたような空気、それがああいつた米の統制撤廃問題についてがんと首つ玉を押えられて、やはり自主性がないんだということが明確になつた……。
  169. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 江崎君、約束の時間が来ておりますから、なるべく簡単に願います。
  170. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 そういう根本の問題についてちつとも御返答がない。返答してください。
  171. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 御答弁はありませんから……。  次は人事委員会の方からお願いいたします。成田知巳君。
  172. 成田知巳

    ○成田委員 橋本長官にお尋ねします。まず第一に行政整理をやる理由として、これは大体自由党に大部分責任があると思いますが、日本の官吏は多過ぎるということを盛んに宣伝しておる。大衆の間に国民七人半に一人の官吏がおる、こういう考え方がしみ込んでおる。そのために税金が高いんだ、こう考えて、行政整理に賛成するようなけはいも一部あるようでありますが、この七人半に一人の官吏の数字を正しいとお考えになるかどうか、まずお伺いしたい。
  173. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 七人半に一人という数字はどこから出たのか知りませんけれども、新聞の解説じやないかと思いますが、私の方ではそういう数字は言つたことはありません。
  174. 成田知巳

    ○成田委員 私は政府が申したとは申さないのでありますが、そういう宣伝が盛んに行き渡つておるのです。ただいまの長官の御答弁によりますと、政府はそうは考えていない、こう考えてよろしゆうございますか。
  175. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 それは研究してみないとわからないと思います。おそらくその七人半に官吏一人というのは、官吏と家族を合せての一般国民との比率だろうと思いますが、計算してみたことがないので、そういうような計算をしてやるのがいいかどうかわかりません。
  176. 成田知巳

    ○成田委員 行政整理の総元締めである長官が、大体官吏と国民の比率も知らないで、行政整理をおやりになるなどということはもつてのほかだと思う。計算したことがないということでありますが、まず大体の目途だけでも、それこそ政治家としてお見通しをつけていただかなければならぬ。大体の目途はどれくらいになるとお考えになつて行政整理をおやりになろうとしておる、のか。
  177. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 七人幾らというのは、私が今申し上げたように、家族を想定して一つの常識的な比率を出したのだと思います。私はそういうようなことは経済解説などでは意味があるかと思いますが、それよりもむしろ、現在の行政機構の中で官吏が何名あるかということを、その事務の内容と比較しながらその数字を考えて、人数からいつてどれくらいがいいとか悪いとかいうことでなしに、やはり行政事務を当つてみて、ここになお簡素化の余地があるかないかと考えるべき趣旨のものだろうと思います。今お話のありましたような、官吏におそらくは家族数を合せての国民との比率でもつて、ここまでが限度だとか限度でないとかいう考え方はいたしておりません。そういう趣旨であります。
  178. 成田知巳

    ○成田委員 官吏の数と家族を四人といたしましても、決してそうはならないのです。大体国鉄だとか専売、それから電通、郵政、あるいは食糧庁関係、食管持別会計、こういう独立会計とか特別会計というものは、国民の税金とは関係ないわけですから、税金の面から考えますと、大体四十人に一人というのが私たちの数字なんです。橋本長官も七・五人に一人というのは考えていない、こう言われるので、その点は了承しておきます。  それから今度米麦の統制撤廃が御破算になりまして、当然定員法も大幅の修正が行われなければいかぬと思うのですが、政府としていつ修正案をお出しになるつもりであるか、それをお聞きしたい。
  179. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 二十七年度に入りましても、米の配給の事務が若干続きそうでありますので、それに即応して、定員法も目下出してあります附則に書いてあります分を本文に直そうと考えております。ただこれに関しましては、国会の方でも検討しておられる向きがありますので、いろいろ参酌して考えたいと思います。
  180. 成田知巳

    ○成田委員 国会の方で検討するのは、これは国会独自の立場でやるのですが、政府法律案を出すときには、最上の法律案として自信をもつてお出しになるべきだと思います。現在出しておる定員法改正案が、客観情勢からいつて事実にそぐわない、不備だということをお認めになつたならば、これは当然政府が修正案を出すべきだ、こう考えるのですが、お出しになる意思があるかどうか。
  181. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 今日政府法案を提出して、国会の御審議を願つておりますので、国会の方の御意見も尊重して考えたいと思います。
  182. 成田知巳

    ○成田委員 国会の意見を尊重して考えるということは、政府が国会の空気をしんしやくして修正案をお出しになる方針だ、そう了承するのでありますが、それにつきまして、この前の予算委員会でお尋ねしたのでありますが、農林省の食糧統計事務関係でありますが、これが食糧庁と同じように、米麦の統制撤廃を前提にして大幅に首切りを予定されたわけです。その後統制撤廃があぶなくなつて、例の附則という形になつた、それを私、長官にお尋ねしましたところ、ざつくばらんに話をすると言つて、GHQとの交渉経過をお話になりまして、統計調査事務所の関係ももちろん考慮しなければならぬが、GHQとの交渉の経過で一応食糧庁だけを附則に持つて行け、こういう話合いがあつたものだから持つてつた。統計事務所の関係では行政措置で事務に間違いのないようにする、こういうお話であつた。ところがさらに事態は一歩進みまして、統制撤廃がだめになつた、こういう状態になつたとしましたならば、話を根本に返しまして、当然統制撤廃を前提にして考えられました統計事務関係人員整理も、食糧庁関係と同様に復元すべきだと考えるのでありますが、それに対して現在政府はどうお考えになつておりますか。
  183. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ただいま六日の政府声明が、手元に案文がございませんが、あれの趣旨は、二十六年産米につきましては、これを通常のように供出を願い、そうして二十七年度におきましても配給は継続するということであります。そうして政府の主食の統制撤廃に対する基本の方針はかわつておりませんので、二十七年度に入りましてから、二十七年度産の麦及び米の新たなる供出は考えておりません。従いまして統計調査事務所の方面の数字については、政府が現在提出いたしておりますものをいじる気持はございません。
  184. 成田知巳

    ○成田委員 時間がございませんので最後に一点だけお伺いしますが、先ほど国民と官吏の比率の問題を申し上げたのですが、これを具体的な例からとりましても、官吏が多過ぎるということはないと思います。人事院の調査によりましても、非常勤職員、いわゆる臨時職員が約五十万働いておる。しかもこの非常勤職員のうちに二万三千のいわゆる常勤職員、一箇月に二十五日以上働いて、しかも一年以上働いている人が二万三千もおる。一方官吏の超過勤務手当というものは、一年に約九十一億払われている。こういうことを考えましたならば、現在首切りどころか、むしろ増員するような状態にあるのではないかと思うのでありますが、非常勤職員が五十万働き、そのうちに常勤的なものが二万三千おるという事実をお認めになるかどうか。
  185. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 官吏数が少な過ぎるという点については、成田委員とまつたく見解を異にしておりまして、多過ぎると思つております。今お尋ねのお話に触れます前に、第一に日本が戦争気構えに入ります前の昭和六年ごろの時代に比べまして、日本の領土からいいましても、生産力からいいましても、貿易の規模からいいましても、うんと日本としてはやせておりますので、むしろあの当時に比してずつといわゆるチープ・ガヴアメントのもとで、その間における民主主義的な行政の区分をしなければならないということを真剣に考えております。従いまして私は、本来の数字からいいますならば、むしろ昭和六年ごろよりも実質的に簡素な組織で国の運営をすべきものだとすら考えるのでありまするが、あの時分に比較いたしてみまして今日は雇用員が国家公務員に比して簡素化せられているということを差引きましても、あの当時に比べまして今日の方が数が多いと思います。数が多いのは何も遊んでいるわけではございませんで、それぞれの用事をいたしておるわけでありますが、私は、今日の行政整理の基本の方針として成田委員にぜひ御理解を願いたいが、私も今日行政整理をやりながら真剣に感じておりまするのは、いかに日本政府がだらしがなくても、まつたく有害な仕事であるとか、まつたく無益な仕事というものは一つもいたしておらないということであります。ただ、今日の官吏の総体の状況から見まして、国民負担の現状から見まして、事務を当つてみて、もう少し簡素化ができないか。ないしは、事務が昔は忙しかつたけれども、このごろ忙しくなくなつている部分があるのだから、人員を減らすことはできないか。そういうふうに少い人員でできるだけ国の運営をうまくやるということを始終考えるのは私どもの義務であると考えます。機械的な比較で多いの少いのということを言うつもりはございませんが、その比較においても今日決して少いとは思つておりません。さらに今日においては、なおなお簡素化をはかつて行くことが適当だと考えております。  それからただいまお話がありました非常勤職員の数字というものはどういう範囲のものをおとりになつたのか知りませんが、私はいささか数が多過ぎるように思います。今日研究をいたしたいと思つておりますので、成田委員お話に対してどうこうということをただちにここでお答えを申し上げかねるのであります。
  186. 成田知巳

    ○成田委員 今私が申しました数字は人事院の統計でありまして、人事行政をあずかつておる権威ある数字だと思つておりますので、間違いないと思います。この数字によりましてもこれだけの非常勤職員がいる。しかも超過勤務手当を九十億出しているという事実を見ましても、今長官が御説明になりましたように、みな遊んでいるのではない、仕事をしているのです。これを行政機構改革事務整理もやらないで一律に首を切るというところに、今回の行政整理の問題があると思うのであります。本末転倒しておると私は思つております。これだけ申し上げまして、私の質問を終ります。
  187. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 郵政大臣人事院総裁の御出席を願つているのでございますけれどもお見えにならないようでございますが、御出席をお願いしたいと思います。
  188. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 人事院の方からは、間もなく事務総長が見えるそうであります。
  189. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 郵政大臣は……。
  190. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 郵政大臣は連絡をとつてありますが、すぐ見えるそうでありますから、官房長官関係から御質問願います。     〔青木(正)委員長代理退席、委員   長着席〕
  191. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 実は成田委員からもお話がございましたが、定員法が二十四年に施行されまして以来、二十四年に施行されました定員法の不備な点を補う一つの方法として、非常勤制度というものが常識的にも慣例的にも行われて来たのは、これは管理庁長官もよく御存じだと思うのでございます。従つて、よく御存じがないというような御答弁であつたのでございますが、各現業官庁、ことに郵政省関係におきましては常勤的なものが相当に多く、全官公庁で二万数千を越えておるということが、人事院の記録にも明らかになつておるわけでございます。特に建設省関係ではこれを準職員といたしまして、常動的なものであるということがはつきり証明されているのでございます。その数は、先ほども申し述べられましたように四十七万九千百二十名を越え、現在の全官公吏全体の八十九万九千三百八十名の約半分というものが、身分保障なしに実際に官公庁の仕事をやつておるわけでございます。この人々に対しまして、――特に常勤的な、いわゆる官公吏と同じ仕事をやつておりますところの、身分保障のない差別的な待遇を受けております人々に対しまして、かつての郵政委員会におきましては、郵政大臣が、これはやがては当然定員に繰入れられるべきものであるというような御見解を述べられたのでございますが、これは当然のことで、まことに当を得た御答弁であつたと私は了承したのでございます。橋本長官がこの大きな今度の行政整理を思い立たれました際に、これらの事情をもし御存じなしに思い立たれたのであるとすれば、まつたく不遜な態度だと思うのでありますが、その点につきまして現業官庁では、――現業官庁以外の事務官庁でもそうでございますけれども、これらのものが二十四年度の定員法の不足を補うためのやむを得ざる措置としてとつて参りましたのに対して、先日の内閣委員会で、長官が、たしかこういう発言をなさつておると記憶しているのでございます。つまり、これはまことにけしからぬものであつて、というふうに言われたように私は記憶しているのでざいますが、その点につきましての御見解をもう一度ここではつきりと承つておきたいと思うのでございます。
  192. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 非常勤の職員は、たとえば翻訳が忙しいとか、調査の手伝いをさせるというようなことに、ときどき臨時に頼むわけでありまして、非常勤の者が相当の数字になるということも、また忙しい仕事をしているということもあり得ることと思います。ただその中で、非常勤の名をもつて常勤をやつておるというのは、まことに定員法を踏みにじるものでありまして、今後さようなことのないようにすることを定員法で施行する建前というのは、当然のことであります。前回の二十五万八千人の整理後におきまして、一応非常勤の職員であるこの穴を埋めておつたものがあるのは、これはまことに遺憾なことであります。ただ二十五万八千という整理に対して、それをくぐつたものはごくわずかでありまして、今後そういうものを是正して参るつもりであります。
  193. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 是正いたしますというような御答弁でございますけれども、それは具体的な裏づけがなければ是正はされないと思うのでございます。ですからそれはただ非常勤の仕事を減らす、その人々を使わないようにするということであるのか、あるいはそれを定員に組み入れるということであるのか、あるいはどの面の仕事を減らすということであるのか、もう少し具体的に御答弁がいただきたいと思うのでございます。
  194. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 具体的な郵政事務仕事のやり方については、所管の郵政大臣から御答弁いたします。
  195. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 けしからぬとおつしやるのは、今後非常勤をなくするというのでございますか、どういうのでございますか。
  196. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 要するに定員法の趣旨に従いまして、常時いる者は定員法の中にあげる、こういうことであります。
  197. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますると、ただいまのお話から推しますれば、当然少くとも常勤的非常勤だけは定員に組み入れて、今度の予算酌措置その他のことが行われていなければならないと思うのでございます。その点は予算ではどうなつておるか、あるいは今度の整理ではどういうふうに御勘案になつておるのか、その点につきましてもう少しはつきりした御答弁をいただきたいと思うのでございます。
  198. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 要するにくどいようでございますが、私申し上げました通り常勤職員は定員法定員と合わなければならないということであります。今日年度半ばでありまして、今年度については非常勤職員の看板で、常勤的な職員を予算で置いておるようであります。これにつきましての年度末から来年度へかけての仕事のあんばいにつきましては、所管大臣から御答弁いたします。
  199. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 たいへん私もくどいようではございますけれども、実際現業の官庁の責任者でありますところの方々が、これは定員に組み入れなければ仕事ができないということをお認めになつていらつしやるのでございます。それにつきまして、ただいまの御答弁では、予算的にも非常勤の予算というものが、従来の通りにやはり組まれているわけでございまして、何らただいまの長官お話の裏づけにならないものが実際に行われようとしているわけでございますから、その点ただいまの長官の御答弁では、満足できないのでございます。ちようど郵政大臣がお見えになりましたので、郵政大臣に続けて質問さしていただきたいと思います。
  200. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 今経過を詳しく伺いましたので、お尋ねの趣旨と別にはずれはしないだろうと思いますが、いわゆる賃金要員、賃金でまかなう人たちの処理をどうするかというお話だろうと思います。この制度は過日郵政委員会でもお話申し上げましたように、企業官庁におきましては、養成的な定員もある程度必要でありますし、あるいはまた郵政省のごとく、年末等のあの繁忙の際におきましては、臨時職員を相当雇い入れるのであります。そういう意味で賃金要員としての予算を組み込んでおるわけであります。ところがその中に、郵政委員会でも申し上げましたように、相当長期にわたつて常用されている者があるのじやないか、そういう者を早急に定員化しろ、こういうお話だろうと思うのであります。この点につきましては私どもといたしましても、その実情に卸したように適当に処理して参りたい、かような考え方を持つております。これは将来に残された問題であります。
  201. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ただいまの御答弁はこの前の郵政委員会ですでに伺つておることでございまして、常勤的非常勤というのは、これは当然定員に組み入れられるべきものだという御答弁があつたもので、けしからぬものだというような橋本長官との御意見とは大分開きがあるのでございます。その点につきまして橋本長官の御意見を求めていたわけでございまして、そういうお考えでありますると、たいへん大きな食い違いが出て来るのでございまして、またこれが今度の定員法改正の際には、同時に行われなければならないというふうに、私ども了承しておるのでございます。     〔発言する者あり〕
  202. 木村公平

    木村委員長 立花君、静粛に願います。
  203. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 郵政委員会で詳しく申し上げましたように、実情に即応いたしまして、処理する考えでおるのでございますので、今回なければならないと、かようには考えておりません。
  204. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 橋本長官の御答弁をいただきたい。
  205. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 私も先ほど申し上げましたように、目下年度の半ばでございまして、今年度につきましては、ただいま申し上げましたような予算措置が講じられておるようであります。郵政大臣も申しました通り、今後の郵政省の仕事についても、いろいろ考えられている点もありまするし、今後実情に即して解決をいたしたいと思います。しかし根本の趣旨は、あくまでもまつたく一年中つきつ切りで仕事をしている人は、定員法の数と合うようにするのが建前であります。
  206. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 定員法の数と合せなければならない人が二万数千あるというので、今問題にしておるわけでございます。その点ではいかがなものでございましよう。定員をふやしていただきたいと思うのでございます。
  207. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 賃金でまかなつている人の数、これはむしろ延人員で申し上げる方の種類のものであります。それを年間で換算されてのお尋ねだと思いますが、私どもといたしましては、常用としてはさような数は考えておりません。実情と違つておるようであります。
  208. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これは郵政省だけのことを申し上げたのではないのでございまして、全官庁にわたりましての四十七万九千百二十という人事院から出ました数字に基いた中で常勤的非常勤、いわゆる一年を通じてお使いになつていらつしやる、身分の保障のない人々について、橋本長官に申し上げたわけであります。
  209. 木村公平

    木村委員長 御答弁ありますか。
  210. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 格別ありません。
  211. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それではそのことについては御答弁がないものといたしまして、あきらめているわけではございませんけれども、今度の定員の新しく出ました修正案につきまして、お聞きしたいと思うのでございます。ちようど労働大臣がおいでになりますので、労働省の関係もあわせてお伺いしたいと思うのでございます。今国会で労働者が心配しておりますことは、この行政整理ともう一つ合せまして労働法規の改悪の問題でございます。講和が結ばれた、独立した、自由になつた、民主的だ、平和になつたということが言われております反面に、ポツダム宣言で保障されました労働組合の活動の自由というものが剥奪されようとしていることに対しまして、労働者は非常な不安を持つているわけでございます。しかしその法規が、まだ法律的には改悪はされていないのでございますけれども、予算的措置その他におきまして、現実にはこれが基準法の監督も何もできないというような形で、次から次と既得権がとられて行つているのが現状だと思うのでございます。労働省では労務加配その他の関係で、今度も整理が上程になつておるのでございまするが、米の統制撤廃が御承知のような難航によつて、醜態をさらしました今日、労働関係整理人員の中で、もし農林省の整理人員が統制撤廃ができない場合には、当然もどされるというようなことが、労働省の場合にも、当然労務加配関係の問題は、これは定員が削らるべきではないのだというような意見も、組合関係から聞いているわけでございます。聞くところによりますと、七百数十名というものが労務加配関係定員として今まで確保されていたというのでございますが、それらは今後どういうふうになつて行くのでございますか。それにつきましてひとつ御答弁願いたいと思うのであります。
  212. 木村公平

    木村委員長 橋本行政管理庁長官からお答え願います。
  213. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 食糧の配給の問題に関しましては、四月一日から配給を全部撤廃するつもりでおりましたが、四月一日以後においてもある程度配給を続けることといたしましたので、労務加配の問題につきましても、所要の人員を復活することにいたしました。ただ一般の整理等によりまして、人員を全部復活する必要はございませんので、労働省の労務加配関係は、原案においては千三百十七名削減することになつておりますのを、三百三十八名、約二割五分減員することに修正をいたしたいと思つております。
  214. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほど成田委員からも御質問があつたのでございますが、修正案は政府としてお出しになるのでございますか。
  215. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 すでに提案をいたして国会の御審議も得ておりまするので、国会側の御意見も十分に参酌いたして参りたいと思つております
  216. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 労働関係では、先ほど申しました労働法規関係の実施にあたりまして、基準局の具体的な例を申し上げますれば、定員をふやしてもらいたいという声が、労働省の職員並びに民間の基準法を適用されます労働者側からの声として、非常に高くなつているわけでございます。東京の一例を申し上げまして一つの例といたしますると、二万五千くらいの職場を持つております中央監督署で、事実は国勢調査によりますと三万五千ぐらいだそうでございますが、事業場の届出が二万二千だということでございます。一人対一人というような雇用関係も入れますと、約五万の事業場を持つているところで、九人の監督官がおりまして監督しているそうでありますが、二万二千の申告の事業場を一わたりまわりますだけで六年間もかかるというようなことで、基準法がありましても、実質的には看板だけで、三十人以下などはまわれないというようなことを承つております。政府は法律を実施なさろうとする前に、予算的な裏づけが当然必要だと思いますし、これらの実情から申しますると、労働省の監督関係だけでも、四十名の職場ですでに六名の人員整理が来ておるというような話でございまして、とうてい一般監督の業務というものは、申告以外のものはやれなくなるということで、基準法は有名無実で、たなざらしの骨董品というだけではなく、むしろあるというだけでじやまになつて来るのだ、何とかして定員をふやしてもらいたいというような声があるのでございますが、所管大臣として基準法を実施されるところの当面の責任者であります保利労働大臣と、さらに小さな一つの例でございますが、四十名から六名を減して、基準法実施を実質的に骨抜きにしようとするような計画を立てられました橋本長官の御見解を賜わりたいと思います。
  217. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたしますが、あなたの方の御調査ではそういうふうにたびたび承つておるわけでございます。もとよりこの労働基準法は一人でも工員を使用して業を営んでいるところには、基準法の適用があるわけであります。それを一々みんなまわらなければならぬというようなことになれば、これは何万人おりましてもきりがないのでございまして、おそらく十分まわることはできないだろうと思います。要はわが国の労働条件が一歩一歩前進して参るようにやつて行くために、監督官制度が今日の状態でいいかどうかということは、私は相当問題があると思う。むしろ数よりは質ではないかという点においては、十分今後研究をしなければならぬと思つております。今回の整理はできるだけ直接監督の衝に当つている人には触れないで、事務所でいろいろな雑務等をやつている人に犠牲を払つていただきたいというつもりでおりますから、基準行政を今回の行政改革によつて骨抜きにするという意思は毛頭ありません。
  218. 木村公平

    木村委員長 柄澤君に申し上げますが、人事委員会の所定の時間はもはやまことに少くなりましたので、岡田春夫君の御迷惑も考えますので、この際なるべく簡潔にひとつお願いいたします。
  219. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 続けさせていただきたいと思います。今のことは一面確かだと思うのでございます。しかしながら予算的な措置が、旅費は一日五十円で一日に三軒歩いても一箇月十二、三日しか歩けないというようなことになつておりまして、その点で実際には質をどうこうするという問題ではなくなつております。それを断行されようとした橋本長官の御意見をひとつこの際承つておきたいと思います。
  220. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 先ほど所管の労働大臣からお答えした趣旨の通りでございます。
  221. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 まことに無責任な御答弁だと思うのでございます。実際にはあなたの政府の御方針では、超過勤務も払われていない、時間外もない、昼休みもとれない。炭鉱争議にいたしましても、十時間労働でなければ政府の割当てられたところの石炭が掘れないという状態、非常に賃金が安いというここと同時に、そういう基準法を無視したやり方が一つの原因になつておると思うのでございます。いくら共産党員を全部職場から追い出しましても、労働者は生活の非常な圧迫のためには立ち上るものでありまして、そういうような社会不安を激成するようなことをみずからやりながら、警察や何かだけを増員されるという行政整理のやり方、ここにやはり橋本長官の頭の向け方をかえていただかなければならない大きな点があると思うのでございます。一つ、時間もございませんので、承つておきたいことは、現在の職階制、この職階制は、承りますとアメリカの方でも、まだワシントンその他で実際にこれが完全にいいものだというような保証がない、試験的にやられているものだ、まだ検討中なものだということを、人事院から出されましたところの資料で拝見いたしまして、実は驚いたのでございます。これによりますれば、現実に今専売裁定でストライキをやつておりますあの労働者にいたしましても、何千円ベースということを言いましても、実際にほこりにまみれましてタバコをつくつている大部分の女工諸君というものは、そのベース以下のいわゆる非常に低いところの条件しか与えられていないのでございます。非常に高いところの三倍も四倍も、ひどいのになりますと五倍もの給与をもらう者が、職制でもつて職場で圧迫しているというやり方、それらのことは給与だけではなしに、全部超過勤務に至るまでも、一時間残りますと、局長はやはりその職階制でもつてぶらぶらしながら超過勤務をもらう。一生懸命事務をやつているところの者は、同じ職階制で、非常に低い賃金でもつて安い超過勤務しかもらわない。こういうような矛盾のところにお目をつけられないで、そうして労働者の賃金を少くすることが国民経済の得になるのだというような形で、遊んで支配している者の職階制を非常に強固にいたしまして、実際に仕事をして苦しんでいる労働者の首を切つて、これを埋めようというような職階制の強化によるところの賃金体系というものをひとつ打破しなければ、やはり今の矛盾というものは救われないと思うのでございますが、橋本行政管理庁長官は、そういうような点につきましての御検討をなすつたことがあるかどうか、あるいはそれにつきましてどうお考えになるか。いずれ御答弁はきまつておると思うのでございますが、ひとつこの際に職階制賃金というものが、吉田内閣の賃金体系の一つの特徴となつておりますので、御見解を承つておきたいと思うのでございます。
  222. 木村公平

    木村委員長 御答弁はございますか――御答弁はないようであります。柄澤君に申し上げますが、あなたの時間はすでにまつたく尽きましたので、はなはだ遺憾でありますが、発言はこれ以上許可するわけには参りません。岡田春夫君。(発言する者あり)答弁はありません。岡田春夫君――岡田春夫君に発言を許しました。(発言する者あり)岡田君に発言を許しました。(「そんなむちやをする委員長があるか、不公平だ。」「委員長から答弁を押えるという法があるか。」と呼びその他発言する者あり)岡田春夫君、発言を求めておきながら、おやりにならない場合は、棄権と認めます。岡田春夫君。
  223. 岡田春夫

    岡田(春)委員 まず佐藤さんに伺いますが、先ほどお話を承つておりますと、郵政省の場合には特別な関係で、年末等においては相当忙しいことがあるから、非常勤の職員を使うことがある。これはまああたりまえのことであります。非常勤職員というものの解釈を佐藤さんがなさつたのだと思うのでありますが、これについて柄澤さんの質問というのは、その点を聞いておるのではなかつた。この非常勤職員という中で常勤的非常勤の職員がいるから、これをどうするかということを質問したのです。これについて、何か佐藤さんは、初めて聞いたような顔で、そういうものについては今後何らかの措置を講ずると、こういうような御答弁があつたと思います。ところで佐藤さんは、いまさらこういう問題について初めて聞いたような顔はできないはずだ。国鉄の場合においても、あなたは自由党に入つて代議士になる前には、国鉄の管理者側として、労働組合の方から、ああいう管理者の中でもまあまあ進歩的な人らしいような佐藤さんもいるのだ、と言われたほどで、組合の事情は知つているはずなんだ。それにもかかわらず、今になつてほおかむりをするということは、私は受取れない。そこでこういう非常勤の中で常勤的非常勤の職員というものが、いまさら研究をするまでもなく、現実に郵政省には中にいる。これについて一佐具体的にどうするか。それ以前にまず、こういうものが郵政省にはいないのかいるのか、この点についてはどうするのかということをまず伺つておきたいと思います。
  224. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、郵政委員会において詳しくその点をお話いたしておりますので、岡田委員は、私が初めてのような顔をしていると言われますが、そうではないのであります。定員法に基く定員もおりますし、また事業の性質から、臨時に雇う者もおります。また行政的な人員もいるわけであります。従つて、そういう例にあげられるような、いわゆる常勤的非常勤というもの、これは理論的に先ほど橋本長官から申しましたように、本来定員としてまかなうべきものだろうということを言われるわけであります。今郵政省にも、ごく少数ではありますが、そういう定員に一時組み入れるべき筋と考えるべきものも、少数ではありますがいるわけであります。それについての処置としては、今日ただちにそれを組み入れるわけには行かないが、適当な時期にそれを組み入れるという親切な答弁先ほどいたしているのでありますから、岡田さん、おわかりのことでございましよう。
  225. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今の御答弁によると、本来定員として組み入れるべきものを、現在の場合、今度の定員法においてはこの点は定員として組み入れることを考えておらない、かように解釈してもよろしゆうございますか。
  226. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 その通りであります。
  227. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今の御答弁ですと、行政事務上、本来ならば定員として組み入れらるべきものが、今度の定員法の場合においては、これを考慮に入れておらない、こういうことになつて来ると思うのであります。そこで橋本長官に伺いたいのですが、今度の定員法をつくられる場合において、ただいま佐藤大臣答弁されましたように、本来定員として入れらるべき者まで定員として考慮しないで、しかもなおかつ今度の整理を行わなければならないというような根拠、その基準はいかなるところにあるか、この点を伺いたいと思う。
  228. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 定員とすべきものがはつきりしておるものについては、これをちやんと考慮いたしまして、定員法定員が合うようにいたしたわけであります。郵政大臣の所管の方の問題につきましては、いろいろ検討を要するそうでありますが、結局問題というものは、私がさきに申し上げました通りに、実際に一年中働いておる人と定員法の数とを合せるようにするということであります。
  229. 岡田春夫

    岡田(春)委員 先ほど佐藤大臣答弁では、実際に働いておつて、本来これは定員になるべきものである、こういうものがあるのだという事実を明らかにされました。しかしこういうような定員を、今橋本長官の話によると、定員法定員と合せるようにするのであるというならば、これは当然佐藤大臣考えておられる本来定員となるべき常動的非常勤は入れなければならない。あなたの御意見の通りであるとするならば入れなければならないにもかかわらず、これが入つてないという理由がますます不明瞭になる。この点についてはいかがでございますか。
  230. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほどから申し上げておる通りでありますが、今橋本長官も言われますように、問題は行政庁の問題ではなくて、郵政省としてこれを定員に組み入れるか組み入れないか、今回これを実施するかどうか、これは郵政省として考えるべき筋なので、ただ抽象的な、原則的な議論とは、この点実際に行う場合に相違がありますことは、これは当然であります。
  231. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あまり時間をかけてはいけませんので、続いて次へ進めますが、先ほど淺沼委員からもお話があつたように、行政機構改革があつてから、それに応ずる人員上の整理をやるということならば、これはまだ一応それはそれなりとしての理由が立つのかもしれないと思います。特に橋本長官が、今度の行政整理をやられる当初の方針としては、行政機構改革と、これに応じて行政整理をやるのだというような点を新聞でも拝見したことがある。ところが今度の整理の場合においては、行政機構改革の問題については、これは今のところ何らの具体的な国会における提案も行われておらない。しかもそれ以前に行政整理の面だけ、いわゆる首切りの面だけを先に行つて、しかも行政機構の問題については、あまり明確に方針が出ておらないとするならば、この首切りの問題、行政整理の基準になつて行きまする基礎になるものは、一体何を基礎にしてやられておるか。本来ならば、先ほど申し上げたように、行政機構とマツチした関係において考えられなければならないにもかかわらず、その基礎になるべき行政機構というものがそのままになつてつて、そうして整理考えられている。その基礎になるものは一体何ですか。この点を伺いたい。
  232. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 繰返し申し上げましたが、行政事務であります。私は機構をやらないと人員整理ができないというお話がよくわかりませんが、たとえて申しますのに、公益事業委員会にいたしましても、公益事業委員会において今日電力関係仕事を所管をいたしております。かりにこの公益事業委員会をやめて、もとの通産省にもどすといたしますと、要するにその本体をなしまするところの電力関係仕事というものは必要なのでありまして、行政機構をかえて、かりに公益事業委員会という行政委員会の制度をやめれば、わずかに数名の委員がかわつて来るだけでありまして、何も事務というものがかわらない限り、それを処理するに必要な人員というものはかわつて参りません。くどく何べんも申し上げましたが、整理の基本になるものはあくまでも行政事務、これの繁閑、これの合理化の可能性、こういつたものであります。
  233. 岡田春夫

    岡田(春)委員 行政事務基礎である、行政事務の繁閑を考慮してということになると思うのですが、そうすると、当然今度のように十二万人も首を切るということになつて来ると、大体七分の一ほどの大量の首切りを行うということになつて来ると、行政事務の繁閑を考慮してということだと、今まで役所というものはずいぶん遊んでおつたのだ、あるいはひまであつたのだ、人間が多過ぎたのだ、こういう前提に立たれてお話が進められているのだろうと思いますが、さように解釈してよろしゆうございますか。
  234. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 全体から見ますと、十二万という数は、国家公務員及び政府関係機関を入れたものでありまして、百五十二万人に対照する数としては一割に達しません。ただ今回は一昨年のときと違つて現業庁が少うございますから、現業庁関係を除いた一般官庁では一割ぐらいになると思います。今回の事務整理で目立つたものを幾つか拾つてみますれば、各省の渉外関係事務だとか、外務省の連絡調整事務とか、あるいは公職追放の事務とか、通産省の対日援助関係事務とか、特殊物件関係、占領任務の終了によるものとか、一昨年の整理の際にはまだ出ませんでしたもの、あるいは諸般の経済統制事務がその後かわつて来ているもの、そのほか経済民主化関係事務でかわつて参りますもの、それからなお内部管理関係の、つまり会計、庶務そのほか人事関係仕事、そのほか安本の制度関係とか、あるいは財務局関係、一般行政事務、こういつたような仕事でありまして、事態の変化に応じまして仕事の減つて参りますもの、それから今日まで仕事はございましたけれども、なお事態に顧みてこれを簡素化して統合するという面から出て来るものでありまして、私前にも申し上げましたように、まつたくむだな仕事をやつてつたわけでもなし、ましてや不要な仕事をしておつたということもございません。事態の変化に応じて用の少くなつて参りますものと、なお整理のできる仕事をできるだけ圧縮をしておるわけであります。
  235. 木村公平

    木村委員長 岡田春夫君の持時間は終りました。  次に経済安定委員会の方はきわめて簡単で、委員長一人のようでありますから、先にやつていただきます。圖司安正君。     〔岡田春夫君「時間が切れたのなら先に委員長が予告するのがあたりまえだ」と呼び、その他発言する者あり〕
  236. 木村公平

    木村委員長 圖司安正君に発言を許しました。時間はあらかじめはかつておやりになつているここと思います。圖司安正君。     〔「事前になぜ通告しないか」「まだ何もやつていないじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  237. 木村公平

    木村委員長 時間はあらかじめわかつておる。(「わかつてない」と呼び、その他発言する者あり)わかつておる。圖司安正君に発言を許した。圖司安正君。  なお御了解を得ておきますが、この後には井上良二君より特に橋本長官に短時間の質疑を行いたいという申出がありましたから、それも後ほど許可いたしたいと思います。圖司安正君。     〔岡田春夫君「あと何分間という予告がないじやないか――私はここを動かぬぞ」と呼び、その他発言する者あり〕
  238. 木村公平

    木村委員長 目頭において一時間ということを申し上げておいた。人事委員会の持時間は一時間、その時間が過ぎたので、君の発言は許さぬ。圖司安正君。
  239. 圖司与四松

    ○圖司経済安定委員長 私は経済安定本部の所管につきまして、行政監理庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  今般政府の行わんといたしております行政整理は、行政事務簡素化公務員一人々々の能率向上と、その責任態勢を確立する上におきまして、きわめて当然のことであると考えられるのでございます。しかしながらその整理というものは、あくまでも各省問の実情に即して公平であり、かつ納得されるものでなければならないと考えられるのであります。しかるに今手元に配付されました資料によりますると、各省の減員率はじつにまちまちであります。すなわち各省別の減員率をちよつと申し上げますと、総理府におきましては七・七%、法務府におきましては三・三%、外務省におきましては二・〇%、大蔵省におきましては一五・一%、文部省におきましては五・七%、厚生省は五・三%、農林省は三〇・三%、しかしこれはこのたびの修正によりまして、おそらく二二%あるいは二三%くらいになるのではないかと推算されるのであります。通商産業省におきましては二一・〇%、運輸省におきましては八・〇%、郵政省においては五・六%、電気通信省においては六・四%、労働省においては一二・七%、建設省においては六・五%、経済安定本部におきましては四〇・二%と相なつておるのでございます。そこで長官にお伺いいたしたいのでございますが、何ゆえに減員率が各省間にかくのごとくまちまちであるか。なかんずく経済安定本部におきましては、特に経済調査庁の人員整理に関しましては、各省に比較いたしまして、約五〇%の減員となつておるのでございます。由来同庁は、各種の経済行政監査の方面で、中央及び地方を通じて大いにその効果を上げておると私どもは確信をいたしておるのであります。政府といたしましても、同庁に対しましては、国民生活の正しく明るい消費面を指導する上におきまして、今後も大いにその活動を期待し、また期待されねばならないであろうと思われるのでありますが、今回の行政整理にあたりまして、他の官庁に比較いたしまして、ひとり経済安定本部及び経済調査庁のみが、四〇%ないし五〇%多くなつておる。その理由に関しまして、まずお伺いを申し上げたいのでございます。
  240. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ただいまの御質問にお答えを申し上げる前に、各省間の整理の比率がまちまちであるということについてお答え申し上げます。これはむしろお尋ねをいただくのがふしぎだと思つておるのですが、よくお尋ねをいただくのであります。まつたくの天引をするなら、数がそろうと思いますけれども事務整理をいたします限り、その省の仕事の構成、それから仕事の移りかわりによつて、非常に大きな開きがあるのであります。今お話にありました総理府、法務府、文部省、厚生省、の少いのは、総理府で大きく響いておりますのは、国家警察の人数、予備隊の人数が大きく入るので、総体の人数が大きくなります。それから文部省は国立学校職員が大きく響いております。厚生省も総体四万七千名の中で、四万二千名くらいが病院、療養所の職員であります。それから法務府も、刑務所の職員が大多数を占めております。こういつた関係から、総体の人数を考えますと、どうにも動かせないというところがあるので、こういうふうになつておるのであります。郵政、電通省についても同じようなことが言えるわけであります。農林省、通産省につきましては、一昨年の整理の際にはなおはなばなしく行われておりました経済統制が、大きくかわつておるわけであります。  そこで経済安定本部関係の問題でございますが、これは何と申しましても、経済安定本部も、物価庁も、経済調査庁も、経済統制ということが主体になつてできておりますので、今回の整理におきましては、これはむしろもつと大幅に整理されてもいいではないかという意見がしばしば出るくらいでありまして、いろいろと検討いたしました結果、この辺が適当であろうと考えておるわけであります。なお経済調査庁につきましては、本来が経済統制の励行という観点でできておりますのが、現在においては当初の目的によるものがほとんどなく、昨年一部官制を修正いたしまして、経済統制の励行以外に若干行政監査的な面に力を入れられるようになつて、特定の仕事を取上げてやつて参りました。これは将来行政機構を総体的に見直します場合に、会計検査院によるところの会計検査のほかに、行政監査の何らかの仕組みが必要じやないかということとからんで検討はいたしております。それにいたしましても、現在の経済調査庁というものがその人数を半減いたしましても、会計検査院の全機構とちようど匹敵するくらいの人数になつておるわけでありまして、今日の事態の変化から見まして、関係閣僚とも話合つた結果、もつとも妥当な数字だと考えておる次第であります。
  241. 圖司与四松

    ○圖司経済安定委員長 各省間の人員整理にあたつて、いろいろそこに事情があつて一様に参らないということに関しましては、ある程度納得をいたすのでございますが、実は経済安定本部は、単なる消極面だけの行政事務を担当いたしておるのではないのでありまして、むしろ自由主義経済下におきましては、総合企画官庁としての使命の方に、はるかに大きい役割を果さなければならぬと考えておるのであります。そのことは後に申し上げることにいたしまして、まず経済調査庁のことについてもつとつつ込んでお伺いをいたしたいのであります。おそらく政府におきましては、公団の廃止とか、あるいは主食その他各種の統制事務の撤廃ということよりいたしまして、調査庁の調査対象が減少いたしたがために、減員をなさるというお考えであろうとは存じますけれども、しかし経済調査庁法の第一条によりますると、経済法令として食糧管理法が指定されておりまするし、経済調査庁といたしましても、その法令に基いて主食に関する行政の円滑なる運営を確保するために、中間経費の調査だとか、配給行政の監査だとか、いろいろな広汎な仕事をいたしておるのでございます。ところで農林省におきましては、御承知のようにこのたび統制事務の撤廃を見送りましたがために、相当数が復活をいたしておるということでございますけれども農林省は生産面、経済調査庁におきましては消費面の正しく明るい生活を指導いたす、特に横流しや犯罪の未然防止をいたす、かような任務がきわめて重大であり、その線に沿うて中央地方を通じて第一線の役人は非常に活動いたしておるのであります。農林省におきまして定員を復活なさるということでありますならば、経済調査庁におきましても、やはり御復活なさる御意思がおありになるかどうか、その点をお伺いいたしたいと存じます。
  242. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 復活をする意思はございません。実は経済調査庁につきましては、もともとが先ほど申し上げましたように、経済構成の変更という見地からでありまして、今日の二千五百四十三人の定員が働くためには、私も実は存じておりますが、ほんとうからいうと、何か役に立つ仕事がないかとうことで、いろいろ公団の監査等をやつておられたわけであります。昨年の仕事のしぶり等から考えましても、むしろ公団監査等に非常に力を入れられまして、経済統制の励行といつたような面にタツチされておつた人数というものは、むしろ比較的少いのじやないか。それでは経済調査庁は持てないというので、公団監査というものを一生懸命やつておられたというような事情であります、今日新定員といたしまして千三百四十六名でありますが、  これは先にも申し上げましたように、今日の会計検査院の全機構に相当するものでありますが、これは前の経済統制の励行という面から引続いての相当大きな人数でございまして、今日におきまして、主食の配給面は二十七年四月以降においても継続するようにいたしましたが、そのために特に経済調査庁の人数をふやさなければならないと私は考えておりません。
  243. 圖司与四松

    ○圖司経済安定委員長 長官は生産面に従事しておる農林省の定員の方は復活なさる。しかし明るい消費面を指導しておるところの経済調査庁の定員は復活なさらない。そこに何だか私は割切れないものを感ぜられるわけであります。同じ食糧事務に携わつておる職員であります。そうしてこのたびの統制撤廃の見送りによつて、一方は復活し、一方は復活しないということでありましたならば、公務員に与える心理的な影響というものも、政治面からは考えてみなければならぬじやないか。私はさように考えます。ことに食糧事務に従事しておる調査庁の人員というものは、五百数十名に上つておると聞いております。農林省におきましては、最初は四〇%以上の整理の対象であつたが、このたびの統制撤廃の見送りによつて二二%くらいに率が下つておるということでございますならば、やはり同じく公務員としての職責を持ち、まじめにその任務に従事して、何らの過誤を起さないでおるこの調査庁の公務員に対しましても、政府としてはあたたかい親心があつてしかるべきではないかと考えられます。そうした意味におきまして、この修正にあたりましては、特に経済調査庁の定員に関しましても、農林省同様にその減員率を引下げて、そして復活をするということが合理的であり、公平な行政整理であろうかと考えられますので、この点を希望いたしておきます。  最後に経済安定本部について触れておきたいのでございます。独立後のわが国の国際関係がますます複雑となるのは、言をまたないところでありまして、特に民主主義陣営に加わり、自由主義によつて、外は日米経済協力を強力に推進し、さらに東南アジア方面の開発に大きな役割を果さなければなりません。内におきましては自立経済の確立、達成するために、当面の緊急課題となつております国土の総合開発や、あるいは電力の開発等に、万遺憾なきを期する必要があることは、いまさら申し上げるまでもありません。つまり自由主義の経済体制下におきましてこそ、私は計画性、企画性というものの重大性を強調いたすのでございまして、この意味におきまして、現在政府の縁の下の力持ちとなつて、総合的な企画官庁としての重大な役割を果しておる経済安定本部に対しまして、より内容を充実し、さらに強力なスタツフを整備する意味におきましても、今回の安定本部全体の減員率が四〇・二%になつておるということは、世界各国の趨向から見ましても、私はいささかふに落ちないのでございます。従つてこの減員率はできるならば御修正を願いたいのでございますが、この際長官として、今後わが国の新しい独立後の経済安定本部が果さなければならない役割に対しまして、十二分の御配慮をいただくよう、特にこの際希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  244. 木村公平

    木村委員長 次に、農林大臣が来られたようでありまするから、農林委員会委員諸君からの質問を許すことにいたします。まず河野謙三君。
  245. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 この機会農林大臣に、大臣所管の中の食糧検査の問題について、大臣の基本的な考え方を伺つておきたいと思います。  最近行政整理の問題が起りまして、農産物検査の問題と現在行われておる米の供出の問題、食糧統制の問題と非常に密接不可分の関係にあるように世間の誤解があるようですが、大臣御承知のように、本来農産物検査というものは、食糧の統制、供出にはほとんだ関係のないものであります。かるがゆえに、去る国会におきましては、私が提案者になりまして、議員提出で農産物検査法というものを出して、各党各派の了承を得て、両院を何らの摩擦なく通過して現在の法規ができておるわけであります。私はこの機会に申し上げまするが、従来の食糧庁の中に農商物検査を置いたことは非常に変則であります。これらに従事しておる農産物の検査員は、食糧管理の特別会計のお先棒をかつがされて、いたずらに農民の非難を受け、非常に気の毒な状態であつたと思う。しかし去る国会におきまして、いよいよ内外の食糧情勢からいつて、最近のうちに統制の撤廃ができるということを見通しまして――これはわが自由党だけではありません、各党各派、特に共産党までがこの見通しについては同調した結果、自由販売を前提として、そのときに備えて農産物検査法というものを出して、そうしてその自由販売の際に、農産物検査というものは、食糧管理の特別会計から離れて、独立した機関において食糧検査本来の使命を遂行する、すなわち自由経済になりました場合に、産地銘柄、品種銘柄、これらを主体にしての従来の検査を行い、同時に種苗の検査、品種の改良までも、これらの検査員をして行わしめるということになつた経過につきましては、大臣御承知の通りであります。しかるに最近、食糧統制に全然関係ないとは言いませんが、ほとんど関係のないこの食糧検査、農産物検査というものが、食糧統制と関連を持つて整理の対象にあるかのように考えられておる面があることは、私は非常に遺憾でありますが、私の今申し上げた経過において、大臣はまつたく同意見であると思いますが、この際明確に、食糧検査に対する基本的な考え方を御答弁いただきたいと思います。
  246. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。ただいま河野さんから言われた、食糧検査が日本の農業生産を進展せしめ、さらに品質の向上に役立つ、こういう意味におきまして、その重要性についてはまつたく同感でございます。なおまた従前、戦時中から戦後の食糧事情の困難なときにあたりまして、検査事務のほかに、供出の一線の事務を負わされて、そのために非常な苦労をされた。その結果一部におきましては、逆に農民から非常に怨嗟の的になつたということも事実でございまして、私はこれらの人々の今日までの努力に対しては、満腔の謝意を表する次第であります。  次に供出問題とこの検査事務との関連についてでございまするが、従前におきましては、この検査は検査オンリーでございました。その意味におきましては非常にすつきりとした姿でございましたが、統制下におきましては、その検査員が農業手形との関係あるいは金の支払いの関係からいたしまして、実は検査事務本来の上から、はずれた相当量の仕事をしておる。その点も含まれておることは事実でございます。しこうして政府は、統制撤廃をするという前提に立つて行政整理につきましては、その点をも勘案して整理をいたす次第であります。これは理想を申すならば、むしろ減員をせずに、この人員をもつて検査事務をさらに正確に、しかも検査を通じての農村指導ということが望ましいことでありまするけれども、現在の段階といたしましては、でき得るだけわずかの人員をもつて、そして行政効果を上げたいという観点において、今般政府において提案いたしたところの整理案をつくつた次第でございます
  247. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 一方において、現在行われておる食糧統制の事務の一部を検査員が負担しておることは事実でありますが、反面、自由になりました場合には、私先ほど申し上げましたように、今までの検査とはまつたく本質的に違つた検査事務が行われる、こういうことになりますと、プラスとマイナスと勘案いたしました場合に、私は少くともプラス・マイナス・ゼロになるような形になると思う。さらに積極的に今後農産物の商品価値を上げよう、農村と一体になつて検査員が農産物の商品価値を高めようという点を考えました場合に、今後の検査員の定員につきましては、特に私は十分の御考慮をいただきたい、かように考えます。同時に私はこの機会に一言伺つておくのですが、将来さような性格を持つた農産物検査をやる以上は、現在のような、食糧特別会計の中にこの事務を置くべきでない。少くともこれは、ただいまの機構で申せば農政局が適当であるかと思いますが、かような別の独立した機関に食糧検査の事務を移して、真の独立性を持たすべきだと考えますが、この点についての大臣の御所見はどうか。同時にもう一つは、食糧検査についての負担でありますが、現在各農家、生産者に検査料を負担さしておりますが、この検査料につきましても、私は本質的にこれを考えるならば、これは国においてこの検査料は負担すべきである、また全額の負担ができないならば、少くとも適当な補助がこれに対してあつてしかるべきだ、かように考えますが、この二点について大臣の御所見を伺います。
  248. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。検査事務のその本質から申しまして、食管特別会計によつて人員を置くことは考えものである、まことに私どももそう考えます。これは農政局かあるいは農業改良局か、いずれかになると思いますが、十分河野さんの御意見を尊重いたしまして善処いたしたいと存じます。  なお食糧検査手数料の問題につきましては、私もその議論には本質的に賛成でございます。これはできるだけ農民の負担を軽減いたしまして、そしてこの成果を上げるように今後努力いたしたいと思う次第であります。
  249. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 時間がありませんので次の問題に移ります。統計調査の問題でありますが、大臣御就任以来、統計調査に対しての期待は、前大臣より以上に大きな期待をかけておられたことは事実であります。一つの例としては、この統計調査を基礎にして農村の景気の予測までも行わしめる。そして全国農民に利便を与えるということまでも、この機関に期待をかけられたことは事実であります。従つてこの問題は大臣構想から行けば、現在の食糧の統制と、統計調査とは関係がないのであります。大臣もそう思つておられるはずであります。しかるにもかかわらず、これまた食糧統制と統計調査とまつたく一体のような世間の誤解が、閣内にも私はある程度起つたんじやないかと思います。そういうことによつて、当初とは大分考え方は違いましたが、統計調査についての大幅な減員の議論があるようですけれども、私は少くともこれは大臣の御意見じやないと思います。もちろん仕事の分量と人間の数とは必ずしも正比例しません。私は必ずしも人間を減らしていけないとは言いませんけれども、統計調査の本質について伺いたい、時間がありませんから私の意見をこの際つけ加えて、大臣の御答弁をいただきたいのであります。まず私自身が統計調査に一番期待しておることは、税金の問題であります。現在農民はどういうふうにして税金をかけられておるか。末端の税務署が反当収入予定というものをつくつて、つかみで、お前の村は一反当り幾らの収入がある、畑は幾らだ、田は幾らだ、こういうことで、その税務署の基礎調査というものは、なつていない。たまに坪刈りくらいのことをやる程度であります。またたまに農家の物置に飛び込んで俵を勘定するというようなことで、乱暴なる農家課税をやつておる。ところが一方において、あなたの管轄内の作物報告事務所――今の統計調査――これが末端に行きまして、きわめて科学的な、合理的な調査をしておる。これをとつてつて課税の対象にすれば、きわめて公平であり妥当な納得の行く課税ができる。ところが現在におきましては、こういう政府にりつぱな機関があるにかかわらず、税務署の若い男が、不合理きわまる、ずさんきわまる農家課税の基礎をかつてにつくつておる。この結果はどうかといいますと、私は必ずしも税金を安くしろというのではありませんけれども、大蔵省、すなわち税務署の調査と、あなたの方の作報の調査による基礎調査と、これを比較いたしました場合に、東北のわずか二、三の県だけがあなたの方の統計調査の数字が高くて、あとの大部分の県はいずれも、無謀にも一部の大蔵省の若い官吏が簡単にやつたところの調査によつて、いたずらなる課税をされておる。これで農民が非常に苦しんでおる。少くとも私は将来、農林省の管轄の統計調査部の作況調査によるこの数字を基礎として、これを政府全体の数字として、ある場合には大蔵省も使い、また必要があれば労働省も使い、あらゆる省でこの数字一本で農村の数字は行くべきだ、そういうことによつて初めて課税の公平が期せられ、農民も納得が行く、かように思うのでありまするが、その点についての御意見をまず伺いたい。
  250. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 農業統計調査の貴重性は河野さんの御指摘の通りでございます。これは御承知の通り、農業政策樹立並びに遂行の一つの羅針盤とも申すべきものでありまして、この意味におきまして、私は非常にこれを高く評価し、これの整備をはかりたいと思つてつたのであります。しかるところ先ほど御指摘のように、一部世間におきましては、作報というものは供出だけに使われておるものだという印象のもとに、また供出時代におきましては、この作報の職員が、第一線におきまして集荷の基礎をつくり、また集荷促進の督励をしたために、不当なる批判を受けたことは、まことに残念だと思つております。なおまたこれが自由経済、になりまして、いわゆるアウト・ルツクの作業をするということになりますれば、これは農民のみならず、一般の産業界においてこれを利用すること、また裨益すること大なるものがあると考えておるのであります。今回の行政整理にあたりまして、この問題が非常に議論になつたことは御承知の通りでありまするが、一面におきまして、供出が続くという前提のもとに、実はこの末端割当において、個人並びに町村別の資料を確立するという意味におきまして、以前におきましては二箇町村に出張所、これだけを持つてつたのでありまするが、漸次統計技術並びに運営の改善ということから、これが今回に至りましては、約五箇町村に一箇所、さらにまたそれ以上に能率を上げている次第でございます。統制撤廃になりますると、末端割当におきまして、個人割当あるいは町村割当ということがそれほど必要がなくなりまするので、その部分について、特に水田におけるなわ延び、こういう方面の仕事も簡略にしてよろしい、但しサンプル・システムの方法は堅持する、そうして最小限度において国際的に是認せられる角度の調査をいたす、こういう前提で今回の整理なつたのであります。しかし一面においては、この仕事も時期的に繁閑の差がありますもので、非常に忙しいときには非常勤職員等の措置をもつてその点を補いたいと考えている次第でございます。
  251. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 統計調査の事務は、年々その使命の重大性にかんがみて、政府は内容を充実し、また量的にも拡大して来て、ようやく市町村の統計調査ができるようになつた、これが現在の段階です。そうしてこの数字は今言うように、税務署もすぐこれは使える。特に現在におきましては市町村長はこの統計調査部から出るところの数字というものを、自治体の行政に非常に参考にしている。ところがこれを県の段階まで後退して、国際的にただ問に合えばいいのだ――そうおつしやつたわけではありませんが、そういうふうな考え方になつた場合には、市町村の自治体の運営の参考にもなりません、税務署の参考にもなりません。またもう一つ、とかくのうわさのある農業共済の問題でありまするが、農業共済は簡単にこの数字一本で運営することによつて、現在とかくの紛糾を起している問題は一ぺんに解決するんだ、農林大臣も農業共済の問題は、この統計調査の数字と結び合せることによつて、農業共済の明朗化をはかる、またこの制度の徹底化をはかる、こういうお話であつたはずであります。ところが、せつかくそこまであなたがおやりになる御決心があつても、現在のように一方において行政整理の面において、せつかく市町村まで伸びたものを県の段階まで後退したことによつて、相かわらず農業共済の紛糾は繰返されざるを得ないと思う。今言う税務署の問題も解決しません。市町村の問題も解決しません。こういうことでありまして、この問題につきましては、私は必ずしも十人、二十人の人の問題にとらわれませんけれども、少くとも統計調査の使命というものは、今まであなたがお考えなつたこれを一歩も後退することなく、どこまでも市町村の統計調査はやり抜くのだ、そうしてこれを農林行政の基本にするのだ、あなたの農林行政の腹ごしらえはここから出て来るのだ、町村長にも教えてやろう、大蔵省にも数えてやろう、そうして一方農村にも、この数字によつて農民を助けて行くものは助けよう、こういうふうに私は行きたいと思うのであります。数字の問題はとにかく、あなたの統計調査に対するお考えが後退したのか、それとも一歩も後退しない、どこまでも今までの理想に向つて行くのだということならば、これを伺つて、他の委員の方の御迷惑になりますから、私の質問を打切ります。
  252. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま河野委員から御指摘された通り、私はその方針を堅持するつもりでおります。なおこの統計調査の事務は、一面におきましては、地方自治体において利用されるのみならず、税務関係においても非常に役立つていることは御指摘の通りであります。また農業共済においてこれが最後の判定の基本になつておりますことも事実であります。この点は非常に貴重な貢献をしておると思います。なおこの機構行政整理の過程において縮小されておりますが、他面におきましては、この統計調査のエキスパートをもちまして、地方自治団体関係の職員の教養を高め、なおまた幸いにして最近におきましては、各地方の自治体、農業団体、産業団体からこれが非常に支持されまして、各地方におきまして統計調査協会と申しますか、こういうものが漸次できつつありますので、いわゆる制度の力とともに、地方自治体のこの機能も拡充し、私の考えておる統計に基く科学的な施策の基本を確立したい、かように考えておる次第でございます。
  253. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 最初にお呼ねいたしました統計調査の数字を国の全体の基礎数字として課税の面に及ぼせということにつきまして、これは大蔵大臣が御出席ありませんから、ここで政府体としての御答弁はいただけないと思いますけれども、少くともこの私の考え方には同意する、ついては今後大蔵大臣と大いに研究して、その趣旨に沿うべく御努力がいただけるかどうか、これを伺つて今度こそは私の質問を打切ります。
  254. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。河野委員の御方針は私も是認いたします。それに基いて今後努力いたしたいと思います。
  255. 吉川久衛

    ○吉川委員 昨日の十一時半から農林大臣を今までお待ちして、すつかりくたびれでしまいましたが、ようやくお顔を出されたので、農林大臣に若干のお伺いをするのですが、それに先立ちまして、行政管理長官がこの整理問題についての担当でございますから、一言伺つておきたい。その前に委員長にお願いがありますが、常任委員会の各委員長の中で、この委員会委員長くらい、驚くべき権威を……。
  256. 木村公平

    木村委員長 それは君、議事進行か。
  257. 吉川久衛

    ○吉川委員 ちよつとお願いがある。権威をお持ちになつておいでになる方はまずないと思うんです。そこであなたは理事会にも諮らないで、かつてに各委員会の時間の権威をもつておきめになつたようでございますが、それほどの権威を発揮なさる方は、おそらくこの問題については、農林委員会には重大な関係がございますので、他の委員会よりは多くの時間を御割愛いただけるということを、私は確信をいたしております。どうぞそのおつもりでお許しを願いたいと思います。
  258. 木村公平

    木村委員長 吉川君に申し上げますが……。
  259. 吉川久衛

    ○吉川委員 発言中であります。もう一つ聞いてください。それからこの新旧定員増減一覧表を拝見をいたしますと、農林省もさることながら、電気通信省、郵政省等が、特に大きな数字が示されております。しかるにこの合同委員会に郵政関係委員会が参加されていないように思うのでございますが、これはどうぞその権威をお持ちになつて、これにあわせておはからいをお願いをいたしたい。
  260. 木村公平

    木村委員長 吉川君に、もう少し議事法規の御研究を願いたい。まずこの合同委員会理事会の会議によつて運営さるべきものではありません。各合同委員会に参加されたる委員長との懇談のもとに、時間制限をすることは法規の許すところでありますから、法規に従つて私はやつておるのであります。さらにまた、ただいま郵政委員会が何とかいうお話がありましたけれども、これは合同委員会は開かなければならないという意味ではないのでありまして、申込みがあつた場合に主管の私の方の委員長考えによつて、合同委員会を持つか持たざるべきかを判断するのでありますから、郵政委員会から参加の申込みがなかつたので、こういうことになつておるのであります。(「委員長不信任だ」と呼び、その他発言する者多し)
  261. 吉川久衛

    ○吉川委員 委員長のお言葉でございますが、郵政委員会はどうぞ加わるように御配慮願いたいということです。
  262. 木村公平

    木村委員長 申込みがなかつたわけなんですから、さよう御承知を願いたい。
  263. 吉川久衛

    ○吉川委員 それから重大な問題であるだけに理事会くらいには諮つて、ひとつ慎重のおとりはからいあつてしかるべきではなかつたか……。
  264. 木村公平

    木村委員長 委員長会でけつこうであります。法規によつてつておりますから御心配いりません。     〔発言する者多し〕
  265. 木村公平

    木村委員長 林君御静粛に願います。――林百郎君、御静粛に願います。
  266. 吉川久衛

    ○吉川委員 橋本長官にお伺いいたしますが、先ほど岡田君の質問に対するお答えを伺つておりますと、行政機構改革という問題と、事務との問題についての御論議があつたのでございますけれども、これは結局同じことを意味するのであると理解をいたしております。そこでこれだけの問題をとりはからいになるからには、その担当の長官といたしまして、いつごろからどういう機関とどういう方法、手段で、この問題をお取扱いになつたかをまずお伺いをいたしたいと思います。
  267. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 私としてですか、それともずつと引続いての問題ですか。
  268. 吉川久衛

    ○吉川委員 長官、担当長官として。
  269. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 私は行政管理庁長官として就任いたしましたのが七月の四日であります。この行政改革の問題は、私の就任前から引続いてございまして、廣川前長官から引継ぎを受けました七月四日以来でございます。
  270. 吉川久衛

    ○吉川委員 その手続あるいはいろいろ検討なさつた何か機関をお持ちになつたか。
  271. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 七月四日以来、前大臣の引継ぎを受けまして検討いたしまして、八月の末に行政簡素化本部という閣議の申合せの機関をつくりまして――ちようどその直前に政令諮問委員会から答申案が出たのであります。その政令諮問委員会の答申案を受けまして、行政簡素化本部において私が本部長となり、関係官庁の主任者を集めて検討いたしたわけでございます。そこで九月の半ばごろに一案を得まして、あとちようど九月末から十月の初めにかけて連続閣僚懇談会を開いて、最後に十月五日の閣議で決定をいたしたのであります。
  272. 吉川久衛

    ○吉川委員 なぜ私がこのことを伺うかと申しますと、事非常に重大な問題であるのでございますが、ちようどあの主食の統制撤廃の問題と同じように、この問題をお取扱いになつたとするならば、これはきわめて重大でございます。慎重になさつたかどうかを私が確信の行くまで伺いたくて、この問題をお伺いしたわけでございます。お答えによりますと、おそらく主食の統制撤廃の問題と五十歩百歩のような私は感じを受けたのでございます。そこで橋本長官は、この農林関係整理の問題でございますが、どの程度に農林大臣から説明を聴取なさつたか。今日の日本の食糧事情等について、十分御確信を持たれてこの数字を長官としてお認めになつたのかどうか、お伺いしたい。
  273. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 食糧の主食の統制撤廃関係の問題は、内閣改造後においても、しばしば閣議でいろいろな主食関係の問題について出たのでございます。その内容について私今日ここで申し上げる必要もないと思いますが、十二分に検討いたしました結果、今日の成案を得たものでございまして、農林大臣ともしばしば懇談をいたしました。
  274. 吉川久衛

    ○吉川委員 農林大臣にお伺いいたしますが、主食の統廃が結局において流れてしまつたわけでございます。昨日の本会議で、予算の問題等についていろいろわれわれは意見伺つたのでございますが、こうなつてからは、当然その予算にあわせて、この行政機関職員定員法の一部改正に関する法律案を組み直されてしかるべきだと思うのでございますが、農林関係人員についても、何らの手心を加えられない、附則の問題等については承知をいたしたのでございますけれども、その後農林大臣としてどういうようなお考えを持つておいでになりますか。
  275. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 予算の組みかえをすべきであるとのあなたの御意見でありまするが、政府としては、予算の組みかえ必要なし、かように考えております。  なお統制撤廃の問題に関しまして、政府声明が出た、そこで全面的に定員法を再検討する必要がありはしないか、こういう御質問のようでありまするが、政府といたしましては、政府声明に申し上げた通り、またその他の委員会においても申し上げたことでありまするが、政府の主食の統制撤廃についての基本方針はかわつておりません。ただ時期、方法について、いま少し検討の余地がありまするので、その成案を見るまでに至つておりません。二十七年度産米並びに麦については、供出制度をしない、こういう方針のもとに、今回の定員法ができておるのであります。
  276. 吉川久衛

    ○吉川委員 農林大臣は、主食の統制撤廃はしないというのではない、統制撤廃はするのだ、こういうようにおつしやつたと私は了解をいたします。ところが実際はできないことになつたのです。できないことになつたものを、やらないのではないと断定なさいますと、これは生産農家はもちろんのこと、全国の消費大衆は非常な不安にかられるわけなのでございますが、この点はきわめて重要な問題でございまするから、おやりになるならば、いつから、どういう方法でやるかということを、はつきりおうしやつていただきたいと思います。
  277. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 統制撤廃の方針がかわらないことは、先ほど申した通りであります。本日の参議院の本会議において質問がありましたので、私は明確にお答えいたしたのでありまするが、配給につきましては、明年の十月末までこれは継続する方針でございます。なお麦の撤廃につきましては、明年の一月以降六月までにはこれを実現する、こういう方針で今進行中であります。方法につきましては行政措置によつてなし得るものと、立法措置を講ずべき必要があるものとありますので、その方法については目下検討中であります。成案を得次第御審議を願いたいと思つております。
  278. 吉川久衛

    ○吉川委員 せつかく大臣の明快とおつしやる御答弁でございましたけれども、はなはだ明快でないのです。これはどうかはつきりしていただきたい。特に方法に至つては、はなはだ私の納得に苦しむところなのです。今回この問題が政府の御期待の通りにできなかつたということは、どういう理由に基くかということを御反省になれば、はつきりするわけなのです。そういう根拠となるべき問題を、すなわち条件が解決されるかされないかの見通しを誤つたために、今回御期待に沿うような結果が出なかつた。この見通しが立たない、わずか数箇月の将来の見通しが立たなかつたこの政府が、今また来年度の問題を予想されるとは、私ははなはだ頼りにならないような感じがいたしますが、私が頼りにならないような感じをするだけではなくて、国民は非常な不安にかられると思うのです。この点を大臣は今後時局の見通し、そうしてこの統制撤廃に対するところの諸条件が整備するところのはつきりした見通しのない限り、軽々に統制撤廃の問題をお口になされない方が、国民のためになると思います。そこで統制撤廃を前提といたしますところの予算の編成であり、特に農林関係の、そのうちでも食糧庁関係のこの人員の減員の問題につきましては、これは前提条件がくつがえされました以上は、当然に修正されなければならないのですが、それが行われないということであるとするならば、はなはだわれわれは了解できないのでございます。この問題について、この臨時国会において、衆議院はこれを押し切られるとなさいましても、参議院においては、おそらくこれは通過の可能性がないのです。それよりはこの際、勇敢に一刻も早く修正を言明されて、そうしてこの予算の前提の主食の統制撤廃のだめになつたのに合された修正案をすみやかにお出しになる御意思があるかどうか、お伺いしたい。
  279. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 予算並びに定員法政府がただいま修正するという意見は持つておりません。今後修正するか通過せしむるかは、もつぱら国会の審議権にゆだねておる次第であります。政府はこれに対してただいま撤回、もしくは修正するという考えは持つておりません。
  280. 吉川久衛

    ○吉川委員 大臣のお言葉によりますと、来年度へ入りますると間もなく麦の統制撤廃をおやりになるやの御言明でございましたが、この点も重要でございますから重ねて伺つておきますが、もう一度、その問題についての御答弁を願いたい。
  281. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほども申した通り、一月以降準備の整い次第に実施する方針でございます。
  282. 吉川久衛

    ○吉川委員 わが国の主食は米であり麦であるのでございます。しかもこの米麦というものは、切り離しては考えられない性格を持つております。すなわち米麦は不可分の問題でございます。その麦だけの統制を撤廃することによつて、需給のバランスがはなはだしく破れて、そうして国民生活に混乱を招来するということを私は憂えておりますが、大臣はどういうようにお考えでございますか。
  283. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘の通り現在日本の国民の主食として米、麦が主体をなしておることは事実でございます。しかしながらこれは米と麦が不可分であるという議論については、認識を異にしておる次第でございます。
  284. 吉川久衛

    ○吉川委員 今回の政府の主食統制撤廃の問題は、これは財政支出の節約というようなことからスタートをしたために、非常に急激に起きて来た問題であつたのでございますが、このことによりまして、操作米等の輸入を緊急にやらなければならない、こういうことで、その輸入の資金の手当、あるいはまた補給金等の関係で、莫大な支出増加になるのでございますう政府はこのことを顧慮せずに、当初十二万の人員整理をやることによつて、二十数億の財源が出て来る、すなわち支出の節約ができるというようなお考えであつたのでございますが、この食糧の操作のために、緊急食糧の輸入等を考えられたその差額は、むしろ財政支出増であるということに、大蔵大臣は驚かれて、そうして狼狽をされていたのでございます。その大蔵大臣は、常に麦価の対米比率を下げることによつて米価を下げて、そうして消費者の生活の安定を企図できるというようなことを、折々口にされたのでございますけれども、麦価を下げることによりまして、麦の生産は減退をする。麦の生産が減退すれば、日本の食糧の絶対量が、自給度が確保できなくなります。そうなれば、外国の食糧に依存しなければならないことになつて行くことは、当然でございます。日本の経済の自立を考えますときに、われわれは消費物資であるところの食糧をできるだけ国内で増産をして、食糧の輸入を少くし、そのかわりにそれだけの資金をもつて、工業用の原料、材料等の輸入に振り向けなければならないというときに、その日本の絶対量の食糧の増産をはばむような低麦価の政策を、大蔵大臣は常に口にされましたが、農林大臣もこれに御共鳴になつておいでになるかどうか。それからまたこうすることによりまして、日本の食糧の絶対量が確保できないということになりますと、今後の国際情勢の見通しのはつきりしていないときに、われわれ消費国民は非常な不安に駆られるのでありますが、国際情勢から見るところの食糧の輸入等の問題について、農林大臣のお見通しを承つておきたいと思います。
  285. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。統制撤廃をするというところの理論的根拠について、御質問のようでございます。これは先般も農林委員会その他において申し上げたことでございますが、現在の統制下におきましてはパリテイ方式をもつてつておりますから、究極においては漸次是正されるのではありますが、常に時期的に考えますれば、いわゆる低米価、低麦価になる可能性があるのであります。なぜならば、現在わが国におきまする商品のうち、主食と石油だけが、実は統制配給並びにマル公でやつておるのでありますが、他のものはほとんどいわゆる自由になりまして、従いまして需要供給の関係から申しまして、おおむねこれが国際物価にさや寄せされ、あるいはそれ以上に高くなつておるのであります。しかるに現在の日本の米、麦は外国食糧から見るならば、非常に安くなつております。輸入補給金は消費者保護のために、実は生産者の抑制になつておるとも考えられる筋があるのでございます。この主食が自由になりますことによりまして、価格が若干上昇し、それによりまして農民所得がふえる。そこですなわち限界生産費がふえまして、これが増産の刺激になるのであります。  麦についてのお話でありまするが、大蔵大臣がどういうことを申し上げたかは存じませんが、われわれは麦につきましても、統制撤廃後野放しにするのではなく、価格支持政策を実施する方針でございます。すなわちもし農民が望むならば、農業の再生産を可能にする一定価格をもつて政府がそれを買い応ずる。こういう方式をとりますので、麦の統制撤廃による減産にはならぬ、そうさせない、こういう前提のもとに考えておる次第であります。ただ消費費者保護のために、二重価格制度をもつて消費者の保護に当るということは、おそらく大蔵大臣考えておつたことだろうと存じます。  それからもう一つは、財政上の必要だげかち統制撤廃をするかのごときお考えのようでありまするが、そうではございません。この切りかえ時期におきましては、御指摘のように、輸入食糧も相当の余裕を見て輸入をいたし、さらにまたそのために必要とするところの外貨並びに補給金は当然ふえるのであります。これは行政整理にあたりまして、その行政整理をする当初におきましては、やはり退職資金等から考えて一時財政の増を来すことも、これは当然のことかと考えるのであります。単に財政上の理由からのみ、この統制撤廃の問題が論議されたのではないことだけは、明確にお答え申し上げておきたいと思います。
  286. 木村公平

    木村委員長 吉川君に申し上げます。が、井上良二君、竹村奈良一君、足鹿覺君等が先ほどよりお待ちのようでありますが、願わくば時間を割愛されんことを望みます。
  287. 吉川久衛

    ○吉川委員 時計を見ながらやつておりますから……。
  288. 木村公平

    木村委員長 しからばきわめて簡潔にお願いいたします。
  289. 吉川久衛

    ○吉川委員 麦の統制撤廃は来年一月一日からおやりになるように伺つたのでございますが、それは行政的の措置でおやりになるような感じを受けたのでございますが、その通りでございますか。
  290. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど申したように、一月以降準備の整い次第にやるという考え方であります。従つて一月一日きつちりやるということはきめておりません。なおまたこの方式につきましては、先ほど申し上げましたように、行政措置をもつてなし得る部分と、立法措置をもつてなさなければならない問題と、二つこれに関連して参ると存じます。この点については目下検討中でございます。その方法について、ただいま明確に申し上げる段階ではありません。
  291. 吉川久衛

    ○吉川委員 次に食糧の統制撤廃問題と関連をしたかのごとき感じを与えられておりますから、この点明確にしておきたいと思いますが、先ほど自由党の委員から御質問がありました、統計調査の職員の問題でございますが、これを見ますると、非常に大きな数字が掲げられております。これは農業委員会が七月、八月から出発をいたしまして、村つくり、県つくりの仕事をただいま担当をいたしております。しかるに今日まで日本には的確な、科学的なよるべき調査資料がございません。これなくして新しい村をつくり、堅実な県をつくるということは、きわめて困難であろうと思うのでございますが、この問題について農林大臣はどういうふうにお考えでございますか。私どもは、これからの日本の農業はかりに主食の統制を撤廃するしないにかかわらず、この統計調査、すなわち科学的な基礎調査は、今後の日本の経済再建の基礎となるところの農村問題にとつては、きわめて重要な問題であると考えるのでございますが、これについてどういうお考えを持つておいでになりますか。ことに日本の食糧の自給度を高め、そうして真に日本の経済の復興を考えられるとするならば、土地改良に力を入れるとか、あるいは日本の農政の盲点と言われますところの草地と申しますか、牧草地等に対するところの改良に重点を置きまして、むしろこの点には相当の人員を増加いたしまして、そうして日本の自給度を確保することこそ、日本の自立経済の基礎になると考えるのでございますが、農林省のこの予算面並びに人員整理される表を拝見をいたしますと、この点に対するところのお考えがはなはだ軽視されているような感じがするのでございますが、農林大臣にこの点について明快な御意見、お答えをお願いする次第でございます。
  292. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 農業統計調査の必要性については、河野委員に対してお答えした通りであります。政令諮問委員会におきましては、これは地方の申告並びにこれに基く面接調査だけによつてそれを中央において集計、加工すればよいという議論でありましたが、私はその議論に強く反対し、今日の制度を支持いたした次第でございます。なお農業生産の基本といたしまして、増産に重点を置くということについては、まつたく同感であります。しかしながら御承知のように、戦前の日本の官吏の全員と現在と比べて、国力に比して著しく現在の人間が多い、これはできるだけ能率を上げて簡素な姿においてその効果を上げるというのが、今回の行政機構改革並びにそれに伴うところの人員整理の基本的な政府考えでございます。
  293. 吉川久衛

    ○吉川委員 先ほど河野委員に対する農林大臣のお答えの中に、検査員の問題とか、あるいはその他農業改良普及事業の問題、あるいは統計調査の問題等に関しては、できるだけ地方に適当な職員を養成をして、そして地方庁で自主的にやつて行くようにしたい、こういうような御意見でございましたが、しかしながら今日の地方財政の困窮状態において、それからまたこの仕事性格からいたしまして、さようなお考えは根本的に誤つております。もし農林大臣がそのお考えを貫かれんとするならば、少くとも平衝交付金百億の増額問題にあなたは御協力されなければならないのでございます。この点について最後にお答えを願いまして、私はしりぞきます。
  294. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。地方自治制度というものは、御承知のように国家事務のほかに独自の建前におきまして、いろいろの行政事務をやつておるのであります。その場合におきまして、やはり統計の事務もやつておる次第でございます。これらの地方本来の建前においてやつておる統計調査の仕事国家的にやつておるものと相並行し、そうしてこれを指導する立場において充実いたしたいということで私は申したのでありまして、全部を地方に委譲して国家がやらないというのではございません。
  295. 井上良二

    井上(良)委員 先般、私内閣委員といたしまして人員整理の問題に関連し、特に農林省食糧庁関係人員整理について質問をいたしました。その質問の重要な点は、提案をされております提案理由の中に、米の統制解除につきましてはなお関係方面との話合いが済んでおりませんので云々の言葉が提案理由にありますので、関係方面との話合いが済んだ上で法律案を提案をするのが当然の措置ではないか、そうしないと万一司令部の方のオーケーが取れなかつた場合、事実上委員会の審議の上に非常な支障を来す。従つてその司令部の許可と言いますか、話合いがつかないものを提案をされるということは、一つの仮定の上に立つた法案であるから困る、私はこういう質問をいたした。ところが橋本行政管理庁長官農林大臣も若いせいでしよう、政治的にあまりもまれていないせいもありましよう、まことに単純素朴に、きわめて純情一点ばりにお考えになつている。ここ数時間後には閣議決定通り提案の趣旨が必ず御了解の行くようなことになるから、ぜひひとつ審議を進めてもらいたい、こういうあなたの強い御希望であつた。ところがそう言つたその晩、その晩に舞台はひつくりかえつてしまつた。そうなりますと、あなたは行政管理庁長官とし、農林大臣は自分の部下を一万六千のうち数千名を犠牲にせなければならぬという重大な問題です。お前たちは首切るぞという方針を示しておいて、それでもう切らぬようになつた。これで一体政治的な責任と、大臣としての部下統率の責任が果されますか。その点二人から承りたい。そこをはつきりしてください。
  296. 木村公平

    木村委員長 御答弁がありますか。
  297. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 先般答弁申し上げました通り、近く話がつきましよう、その結果食糧統制の撤廃の問題につきましては、本年度産米の供出を終りまして、あと配給については、来年の四月一日以降なお本年度産米の配給をいたしますので、趣旨はかわりませんが、附則についておりまするのを本文に入れた方がいいと研究をいたしました。今回については、もうすでに提出済みの法律でございますので、今回はもういいというように、十分に参酌をいたして措置いたしました。
  298. 井上良二

    井上(良)委員 農林大臣はあとから一緒に答弁してもらいます。まず橋本さんの方から片づけて行きます。
  299. 木村公平

    木村委員長 井上君、御注意申し上げますが、議事規則によりまして、なるべく議会の権成のためにお言葉を上品に願いたいと思います。
  300. 井上良二

    井上(良)委員 あなたも上品にやつてください。
  301. 木村公平

    木村委員長 お願いいたします。
  302. 井上良二

    井上(良)委員 わかりました。橋本さんは、自分は提案通りの具体的事実がはつきりする、こういうことをあなたは言明されているのですよ。ところが今日の結果は違うのです。そうして現にこの定員法は修正しなければならぬ事態に立ち至つているのです。国会の意思の御自由な判断によつてという言うが、国会の意思が、これをもし承認したとして政府の配給統制は一体現状で行けるとお考えになりますか。責任を国会へ持つて来てあなたは何を言うんですか。あなたみずからが解決しなければならぬじやないか。あなたみずからが提案をして、話合いが済んでいないからこうこうという但書をつけて、それが別な結果に現われて来ている以上は、当然現在の人員整理というものは中止しなければならない事態に至つているんですよ。そうしなければ現在の食糧統制というものは、円滑に行かない事態に入つているんですよ。それをあなたはどうお考えになりますか。
  303. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 井上委員はどういうように受取りになられたか知らないですが、私は今その話を申し上げた。私はあの附則に四月一日までに統制撤廃に至らない場合には、七千九百六十一人を復活することを要するという附則をつけて提案をいたしましたところ、審議の最中にそれについての総司令部関係の折衝の結果がはつきりいたしました。四月一日までに統制撤廃に至ることはむずかしいということは、七千九百六十一人は必要である、この法文の整理の方法につきましては、これは国会に責任をなするとかいうことではないので、提案をいたして御審議願つておりますので、国会の御意見も十分尊重いたして措置をいたしたい。
  304. 井上良二

    井上(良)委員 なるほど附則はそうなつております。何ゆえに附則をつけなければならぬかというのが私の質問の本旨であつたのです。司令部と話合いがついていないものなるがゆえに附則をつけたんでしよう。かくのごとき附則はつけたくないというのがあなたの本心ではないかね、つけたくないという立場に立つて提案をしているのではないかね、司令部との話合いで必ず附則をとるような事態になるというのが閣議の決定じやないかね。閣議の決定とまつたく異なつた事態が起つたんです。そうなれば当然政府みずからが附則を削除してそれだけの定員は復旧して、人員整理全体のわくをこうする、みずからやらなければ、あなた、国民が一ぺんも欠くことのできない食糧を政府の責任においてやつておられるんでしよう。それを国会の方へ責任を持つて来て、国会で何とか考えてくれるだろう、よくあなたそんなのんきなことで提案をしなさるね。問題はそこですよ。もう少しあなたは政治責任を負わなければいけませんよ。そんな事務的な場合じやないですよ。
  305. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 私さいぜんから申し上げている通り、あの附則は閣議の決定を経て、総司令部に食糧統制の撤廃を折衝中でございましたので、あの附則をつけたわけであります。前にも申し上げました通り、私は閣議決定通り食糧統制の撤廃に至ることを希望いたしておりました。これは四月一日までにはむずかしいということがはつきりいたしましたので、あの附則の七千九百六十一人というものは、四月一日以降においても必要であると考えております。私はただ今日提案中の法律でございますから、十分に国会の方面の御意見も承りましてこれを措置すべきものと考えております。
  306. 井上良二

    井上(良)委員 これ以上私とあなたとここで渡り合つてつても、時間をとつてまた中止されますから、次に農林大臣にお伺いいたします。農林大臣は先般来私の質問に対して、附則によると七千九百六十一人ですか、これが四月一日までに復活できればよし、できなければ一月から三月末までに残余の八千何ぼを整理する、この八千何ぼの整理は大体麦の統制がはずされるという前提に立つておる、こういう基礎的なこの人員整理の御答弁をされておりますが、今の御答弁によると、四月から六月まで、こういうことになると年度をわたりますが、この八千何ぼの人員はどういたすつもりでございますか。これを伺いたい。
  307. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。今度の人員整理の期間は一月から六月までの間になつておるのであります。従いましてさよう申したのでありまして、六月まで麦の統制を続けて行くということではないのであります。一月から、いわゆる行政整理の期間内においては必ずこれを実行するという幅を申しただけでございます。  それから先ほど御質問の中におきまして、今度の行政整理ということを、はつきりと政府において示しておいて、しかも一面におきましては、食糧確保という重大な問題を統制撤廃をしつつやるということは、非常に困難な状況であろう、従つて農林大臣として部下掌握について非常に困難であろうが、自信があるかどうかということでありますが、私は自信を持つて部下を掌握し、国政上遺憾なきを期するつもりでございます。
  308. 井上良二

    井上(良)委員 非常に自信のほどをお示しになりましたが、事態はそれとまつたく逆であります。まつたく不確実な根拠に立つた、しかも司令部の了解を得ていないような整理案を天下に発表し、部下に解雇の、首切りの恐怖を与えた結果は、現実に供米の成績に現われて来ておるのではありませんか。本日われわれの調査するところによると、十月末の供米成績は、去年に比べて二百万石から悪いのであります。大臣はこれは作況その他が悪いから、あるいは電力事情その他の結果これが遅れた、こういうことを申されるかもしれませんけれども、それは早場米地帯の一部地域に限つた問題であつて、もうすでに早場米が出まして、いよいよ本供出にかかる今日、この定員法改正による、米麦統制撤廃によるいろいろな影響が現実にここに現れて来ておるという、この現実の事態を一体どうお考えになりますか。現実に二百万石昨年同期に比較して供出は減つておるではありませんか。この具体的事実をどうお考えになりますか。
  309. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 井上さんも御承知のように、早場米の本年の割当予定は、約一千万石でございます。これは平年に基くところの六千三百万石以上の収穫予想を見越しての割当であつたのでございます。しかるところ本年の秋の気候の状況が、にわかに悪くなつたために、これが実質上一千万石を割当することそれ自身が無理であつたということがわかつたのであります。なおまた時期が遅れたために早場米の期間が上半期、それから中と後期、三期にわけておるのでありますが、特に初期が悪かつたので、十日間この時期を延ばしまして、さらに今回また地方からの要請に基きまして、十日間を延ばしておるのでおります。こういう観点からして、現在の早場米の予算上の割当は、今までの一千万石を減しまして、約九百万石になつております。これに対して十月三十日付の集荷の状況を見ますと、大体八四、五パーセントになつてつたと存ずるのであります。従いまして十日延びました結果になりますれば、計画上は若干遅れますけれども、予算の範囲内において計画したところまでは大体行けるのではないかと思います。  なおまたこの政府の統制撤廃に関するところの措置について、若干の手違いのために、生産者に不安の念を与えたことは事実であります。私この点は深く遺憾とするところでございます。明日から三日間にわたります知事会議におきまして十分に御説明し、協力を得て供出の万全を期したいと存ずる次第でございます。
  310. 井上良二

    井上(良)委員 非常に供出に対しても自信があるようでございますが、これは先般本会議で各同僚から述べられております通り、政府の割当てようとする二千五百五十万石というものは容易ならぬ努力を要するのであります。しかも政府が現実に食糧統制は撤廃をする方針だということを言明しておる今日、そこへ持つて来て、この麦の統制をはずすということを、内閣官房長官もきよう小麦協定の外務委員会で言明をされておるようですが、今吉川さんからもお話がありました通り、一体麦をはずした場合米は何ぼ配給しようとするのですか。そうしてその場合、一体七千幾らつた定員でやつて行けるかどうかという問題がここにあります。それから実質上米だけの需給調整というものはできなくなつてしまいはしないかと思うのです。というのは第一この米の現実の配給が生産地と消費地と違います。現に消費地は十日分の配給が完全にできていない状況です。配給しようと努力しておりますが、すでに三日分、四日分と遅配が起つておるところがあります。生産地へ行きますと、内地米だけで十五日も二十日もおくれております。この不均衡を一体どういうふうにして直すかということは容易ならぬのです。そこへ持つて来て労務加配米は依然として続行して行かなければなりません。この労務加配米が少くとも四百四、五十万石かかりはせぬかと思つております。この労務加配米は米で確保してやるつもりでしようか、そういうことになつて来ますと、たとえて言いますと、三月末までにいりますものが約千二百万石ほどいります。そうすると四月以降に約一千万石しか、かりに知事側が責任をもつて引受けようとする二千三百五十万石が確保されたとして――私はこれの確保はむずかしいと考えておりますが、確保されたとして四月以降に一千万石なければ予定通りの配給はできないのです。このうちから少くとも二、三百万石の加配米を差引きました場合、内地米配給というものは政府幾ら配給しようとしているかはつきりお答え願いたいのですが、かりに一合ずつ配給すると予定をして、その配給自体がまつたくくずれてしまう、私はこう見ておるのです。くずれないという自信をあなたはお持ちになりますか。労務加配米は米でやろうというのか、今の配給基準を引下げるというのか、それから一般配給を何合一体配給しようとするのか、その配給基準はくずれないで堅持できるかどうかという問題について明確にお答えを願いたい。
  311. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。井上さんの御質問は、まず第一に、政府が非常に苦労をして努力しても二千五百万石が出ないだろうということの御心配でありますが、供出の状況は非常に困難であることは私も認めます。万全を期してその確保をいたしたいと考えます。なお麦の統制撤廃をした場合におきましては現在米麦合せて二合七勺の分が、今度は米だけでありますから、従つて現在の配給率からいたしますれば生産地においては二十日分、あるいは二十二、三日分のとこもあり、消費地におきましては、東京、大阪のごときは十五、六日分、従つてその間に多少のアンバランスが生じますが、これを全部平均並にするかどうかという御質問のようでありますが、これは御承知のように従前からこういう比率でございまして、その比率が少しずつ実は下つておることも事実でございます。麦の統制を撤廃いたす前提は、御承知のように現在のマル公とそれから実効価格あるいはやみ価格よりはむしろ安い状況でありますので、これをはずしましても消費者の生活には影響がない、こういうことになるのであります。従いまして現行の米食率でおおむね配給いたしましても、従前とかわりはない。こういうような観点で目下検討中でございます。  それから労務加配についてはどうかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、米につきましては来年十月末日まで配給をいたすという建前になつておりますので、現行の加配米の基準に従つて配給をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  312. 木村公平

    木村委員長 井上君、時間が超過いたしましたから、なるべく簡潔にお願いいたします。
  313. 井上良二

    井上(良)委員 時間がないそうでありますが、ただ麦をはずした場合においても、橋本さんでしたか、麦をはずした場合どれだけ人を減さなければならぬか。食糧庁の定員は麦で何ぼ、米で何ぼ、そういう定員のようになつていない。食糧庁の定員の構成は食糧管理で幾ら、検査の方の関係幾ら、こういうわけ方になつておるのであります。従つて麦をはずしたということだけで八千人もの人たちを首切らなければならぬというほど麦に多くの人がかかつておりません。これは大臣御承知の通り。内地産の麦で、また外国食糧を入れましても、内地産だけで配給に使えますものは八百万石くらいであります。しかもその麦は先般も申しました通り、供出は完了し、内地産の麦はほとんど本年年末までに配給は全部してしまつて、あとは外国食糧になつてしまいます。ところが外国食糧の輸入管理、払下げは政府の手に残つておる。単に配給の面だけの仕事が今民間に移つておる。配給面の仕事がはずされるということによつて、八千もの人が首切られなければならぬという、それほどむだな人を食管がかかえておるということはわれわれ考えていない。どんなことがあつて考えられない。そうなりますと、現実に需給調整の円滑なる運営に重大なる支障を来して来やせぬかという大きな問題が、ここにどうしても残るのじやないか。この問題に対して国民を納得せしめ、また被整理者をして納得せしめる政府の具体的な答弁がなければ、われわれ農林関係の者としまして得心ができないのであります。これを明らかにしてもらいたいのが一つ。  それからいま一つ、さきに河野氏からきわめて適切な御質問がありました検査官の問題でありますが、問題は検査の重要性を大臣も認められている今日、また自由販売になればなるほど検査が重要な要素になつて来ることは、法律の規定してある通りでありますし、大臣みずからもそれを確認しております。そうすれば当然この所要人員というものは、さらに充実して行かなければらぬとわれわれは考えるのであります。ところがこの面を大幅に減そうとしているのです。これをどのくらい復活する予定でございますか。かりに政府の統制撤廃完了までと予定をいたしましても、現在政府はまだ続けて行くといいますから、そうなると、ただちに本年の産米の供出にも重大な影響を来して参りますので、どれだけ復活をする見込みでありますか、これを明らかに願いたい。それが二つ。  三つは統計調査のことも、これに関連がありますから、これも当然復活をしてもらいませんと、実際上全体の収買その他の上に影響がございますが、この統計調査の方の救済し得る人員はどのくらいになりますか、これを明らかに願いたい。  最後に災害関係でございますが、農林関係の災害復旧費全体で百四十億ほどありますが、この百四十億の予算によつて八十五人の人で仕事をやらしております。ところがこの八十五人から十六人減らそうというのですが、この八十五人の扱うておる事務量というものは三万件に上つております。八十五人で三万件の災害復旧関係の処理しなければならぬ現状になつておるのです。そのために、いろいろな現場の査定といいますか、書類の査定が遅れてしまつて、現にまだ七月豪雨ですか、六月豪雨ですか、あれがどうにか片づく現状です。新しく起りました、その後の災害等については、全然手がつかぬ現状にあります。それといま一つ、全体の公共事業定員を見ておりましても最初五千八百三十七人の定員が、現在いろいろな関係から二千三百三十一人に減されておるのです。そこへもつて来て、最近は災害、災害、災害で、まつたく災害に追われる現状にあるのです。これに関係の人々はもうへとへとです。そういう状態にあるのに、特に農林関係事業というものは、植付期までに何とか応急処置でも復旧しなければならぬ。至急に現場査定というものが必要なんです。そういう大事な仕事をやつておる人々の首を十六人もここでちよん切つてしまい、あとどうしようというのですか、災害復旧は少々遅れてもかまわぬというのですか。常に災害復旧のすみやかなる進行を要求しておる大臣といたしましては、現に逆な結果が出ておりますから、これはほんのわずかの人のようでありますけれども、及ぼす影響は大きいですから、これはぜひ御考慮を願わなければならぬ、この四つについてお答えを願いたいと思います。
  314. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 農林省の、特に食糧関係の人間が多く切られる、しかもそれが麦の統制撤廃という前提だけでこれをやるというのは非常に多過ぎはしないか、こういうことでございまするが、先刻も御説明申し上げましたごとくに、今回の整理におきましては、配給につきましては来年の十月末日まででありまするが、供出については二十七米穀年度には考えていないというここと、それから一般整理という点と、事務簡素化に基くところの理整と、こういうものを合せまして考えた次第でございます。従いまして、今回もしこの整理がなされましても、――附則から本文に直つても同じことでありますが、その程度の人間をもつて配給事務も十分やれる、こういう考え方でございます。従いまして政府といたしましては、ただいまこれを訂正して増員をするという考えは持つていない次第であります。  その次に検査の問題でございますが、検査も先程申し上げました通り、この必要性は私も認めておるのでございます。先ほども申し上げましたように、の検査事務は実は供出促進という問題と、支払い事務も含んでおりましたので、この点の合理化はでき得る。もう一つは検査員の定員を、どの時期をつかまえてきめるかということには、いろいろ議論があるのでございます。最も忙しいときにフルに十分なる仕事ができ得るという前提でありますと、相当多くの人員を要するのでございます。それからまた閑散のときを見ますと――これは一年を通じて申しますれば、時期的な繁閑の別がひど過ぎる、こういう観点からしまして、中庸をとりまして、最も忙しいときには、臨時職員をもつてその事務に当らせるということになりますれば、定員を相当程度節約できる。今政府でとつておるのは、その中庸をとつておる。臨時事業費に基く事項の措置をいたしたいという考え方でございます。  第三点の統計調査の問題は、これも先ほど申し上げました通りでございまして、これを最もこまかにやるとすれば、もつと人がいるのであります。たとえば農家別についてやるということになりますれば、これは厖大な人員を要するのでありますから、大体三箇年の経験に基きまして――統計は御承知のように一年だけではなかなか固まらないものです。一年二年やることによつて、大体その基礎になる根底ができまして、年々その差というものがこれによつて修正されて行かなければならないのであります。そういう観点からしまして、実は昭和二十三年からこれができましたので、二十三年から二十四年は非常に多かつたのでありますが、供米制度が漸次緩和されるに従い、また統計の実質が技術的にも能率を上げることによりまして、今回の整理をもつて大体目的を達成し得る、こういう考え方を持つておるのであります。  第四点の災害復旧の要員でございますが、これは本省定員における問題でございます。本省の定員は、御承知のように企画立案でございます。それで先ほど御指摘になりました復旧の現場の仕事は、御承知のように、地方農地事務局でやつておるのでございます。そうしてさらにその末端は、実は府県においてこれを実施いたしておりますので、中央における十六名は相当程度がきついようでありますけれども、一般的な他の官庁と同様の整理率でありますので、これをもつてなし得ると考えておる次第でございます。
  315. 井上良二

    井上(良)委員 それはちよつと違う。農地関係整理は、御存じの通り農地事務所というものは今度大幅に整理するじやありませんか。そうすると話が食い違うて来るがな。中央を残してあるから心配ないというのならいいけれども地方を大幅に首切つておきやがつて、それであんた、そんなうまいことはできやへん。
  316. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 出先機関につきましては、御承知のようにこれは一般的に同率をもつてつておりますので、これは御心配ございません。地方農地局を全廃するのではございません。一般整理をいたしただけでございます。
  317. 井上良二

    井上(良)委員 そんなことはないよ。まああとは別のときでいい……。
  318. 木村公平

    木村委員長 井上君、終了いたしましたか。
  319. 井上良二

    井上(良)委員 いや、最後に一言申し上げておきますが、今の御答弁によりますと、たとえば統計関係においても、全然統制を続けることによつて救済はできない、こういうのですか。それとも国会で修正をすれば、政府は修正を認めますか、その点はどうです。それから橋本さんにもその点をお答え願いたい。
  320. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。政府は統計につきましても、これは御承知のように統制が続いても、これはかわらない方針でございます。なお検査につきましても、二十七年度におきましては統制は解除するという方針で、この定員法はできておるのでありまして、本年の問題につきましては現定員がありますので、これには関係がないと思います。なおまた委員会において修正したなら政府はそれをのむか。これは当然なことでありまして、われわれは国会においてきめたことを実施するのでありますから、それはその通りであります。
  321. 井上良二

    井上(良)委員 それでわかりました。     〔委員長退席、青木(正)委員長代理着席〕
  322. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私はまず農林大臣に伺いたいのですが、先ほど来の各委員に対する答弁を聞いておりますと、たとえば農地局の府県出先の整理、あるいはその他の整理にいたしましても、ほかの官庁並にその同じ率で整理するんだ、こういう答弁がされておるわけでありますが、そういたしますと、たとえば私はこういう人員整理というものが、あなたは農林大臣で少くとも農林行政をつかさどるに必要な人員は確保する、もし不要であつたならばこれはやめる、こういう建前から、少くとも農林行政を推進する上において、自分の政策を実行する立場から、一切の整理というものをもしやられる場合においては、そういう観点からやらなければならないと私は考えるのですが、しかし一般ほかの官庁が、そういうふうに一応やることにきまつたから、必要があろうがなかろうが、とにかく必要であつても、まあその率に従つて行く、そういうふうに受取れるのですが、そういうお考えで、一般並だからしかたがないというので首を切る、こういうふうに考えられたのかどうか。それだけまずひとつ聞きたい。
  323. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。現在の政府の出先機関の人員は、おのおの必要をもつてつておるのでございます。ただ政策の転換によつてこれが廃止するという場合については、これと別問題でございます。一般並だからそれで必要があろうが、なかろうかということではございません。ただいまみな必要な機構として、必要な人員を持つておるのでありますが、今回の整理におきましては、出先現業機関については、これこれの基準をもつて整理するということになつておりますので、先ほど井上さんの質問は、実は出先農地局が非常な大幅な切られ方をしておつて、その上に本省における企画事務も非常に減つておるというお話でありました。それなので、私は一般整理でやつておるのでありまして、そういうような激減はしていないということを申しただけでございます。
  324. 竹村奈良一

    ○竹村委員 まあ承つておりますと、大体自分が農林行政をやる、その政策を実行するために必要な人員だけは残して、それ以上は首切つたのだ、こういうふうに受取つたわけですが、そういたしますと、大体現在あなたは国内の食糧問題は一応自由販売にするというような政策をお立てになつておるので、その場合に自由販売にできるほど、いわゆる国内の食糧生産というものが充実したものであるとお考えになつておられるのかどうか、その辺を伺いたいのです。
  325. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 はなはだ失礼でございますが、ちよつと実は秘書官から急な用事で話がありましたので、もう一ぺんここで立つたままでお聞きいたしますから、ひとつ……。
  326. 竹村奈良一

    ○竹村委員 あなたは自分の政策を実行するにさしつかえないという観点から、今回の首切りを始められた、こういうふうに受取つたのですが、そうするとあなたは、それと同時に国内の食糧需給の問題についても、先ほど来の答弁によりますと、一応来年度からは野放しにする、大体自由にするのだ、こういうふうに言うておられるのだから、それには国内の食糧自給の問題、いわゆる食糧の生産の問題については、これで十分だというお考えを持つておられるかどうかということを伺つておる。
  327. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。これは農林委員会もしくは本会議においてしばしば御説明申し上げておるところでございまするが、現在の日本の食糧は外国に依存することが約二〇%程度でございます。従いまして国内の自給度を高めるということが最も大事な政策でございます。その意味におきまして、増産に重点を入れることもこれまた当然でございます。従いまして現在の増産程度でよろしいとは断じて考えておりません。これは大いに増産の施策をせなければならぬと考えております。なお統制を撤廃した場合において、野放しにするから管理関係がないようなふうになりはしないかとの御心配のようでありまするが、さようではございません。すでに定員法に示しておりまするごとく、統制撤廃いたしましても、外国食糧については管理し、さらに内地産の米麦につきましても、需給調整のために必要なる予算と必要なる人員をもつてやるということで、すでに定員法にありまするごとくに、今なお一万数千人の人間がここにおるわけでございます。約二万人近い人間が、この食糧の間接の管理のためにあるわけでございますので、この程度をもつてなし得ると私は考えておる次第でございます。
  328. 竹村奈良一

    ○竹村委員 現在の日本の食糧政策というものは、このままでいいことはない、増産さすのだ、まあその通りでありますが、しからばそういう場合に、その増産をはかる、つまり自給度を高めるために増産をはかるのだ、万般の施設をしておるとおつしやいましたけれども、実はわれわれは一つも万般の施設はされていないと思うのでございます。そこでひとつお聞きしたいのですが、たとえば日本において、現在あなたの考えでは、自給度を高めるために、干拓地、採草地あるいは大体開墾に適当な山林等がどれだけあつて、これを開拓するに必要な人間、つまりそれを開拓することを進める人間がどれだけ必要だとお考えになつておりますか。少くとも現実に日本の食糧自給度を高めて行く、生産を高めて行くとするならば、まずこれを第一にやらなくてはならぬと思うのでありますが、これに対して農林大臣は一体どういうような具体的な方針を持つておられるか、伺いたいのであります。
  329. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 食糧増産の政策について何ら持つていないというお話でありますが、これは吉田内閣成立以来の予算並びに実績を見ていただけば、ただちにおわかりのことと思います。すなわち現在の日本におきまして、大規模に開発並びに増産し得るところの地点は北海道でございます。北海道につきましては、年々この開発のために多額の経費を計上しておる次第であります。特に一昨年来大きな問題になつておりますのは、泥炭地の改良でございます。泥炭地につきましては、排水と客土によつて、これは相当飛躍的に増産ができておるようであります。この点についても重点を置いておる次第であります。なおまた増産のために大きな余地を持つておるのは東北地方でございます。これにつきましては、単作地帯振興臨時措置法等を通じて措置を講じておるのであります。なおまた増産のために必要なる問題におきましては、これは非常に消極的であるようでありますけれども、最も効果的なものとして病虫害の予防駆除でございます。これにつきましても、本年は薬品の備蓄をいたしまして、これの対策を講じておる次第でございます。なおまた秋落ち地帯、酸性土壌の改良についても施策を進めておるわけでございます。またこれは公共事業費のみならず、農村における土地改良並びに経営改善のために要する費用が今までとざされておつたのでありますが、これにつきましては、農林漁業融資特別会計において六十億を計上し、さらに今回の補正予算において六十億を増額しておる次第でございます。全体の計画といたしまして、御指摘の通り今後の土地造成が問題であることは、もとよりであります。その意味におきまして、国有林の開放、あるいはまた開拓地の造成についても予算措置を講じ、その推進をいたしておる次第であります。長期計画としましては、すでにこの前も申し上げたのでありますが、政府は十箇年において食糧自給度を高める計画を持つておりまして、その一部がすでに復興三箇年計画として示されておるわけであります。
  330. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もつともらしい説明はしておられるのですが、しかしそういう施策を重点的に行うという人々の首切りを、同率的に、率で割出したようにやられるのは一体どういうわけですか。
  331. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 増産並びに土地造成をやるために、役人だけがふえることによつて目的が達成することではございません。むしろこのために必要な経費が問題でございます。なおまたその企画立案が最も能率的になされるということでございますので、そういうことに重点を入れるから人間を多くふやせということにはならぬと存じます。たとえば、御承知のように貿易の振興は非常に大事でございますが、貿易の振興のために役人だけをふやしまして、そうしてその基本をつちかわない場合においては、役人だけをふやしても何にもならぬのであります。
  332. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私はいたずらに役人をふやせということを言つているのではないのです。先ほどからあなたの説明を聞いておりますと、結局においては、もつともらしい説明はされますけれども、そういう重点的なほんとの農政というものをやつて行こうとするならば、たとえば重点的なところに金さえふやしたら、役人はふやさぬでもいい――もちろんそういう場合もありますけれども一つのそういう大きな開墾政策、日本において少くとも百万町歩は開墾でき得る余地がある。たとえば山林にしても、国有林にしても、いろいろな点にしても、それはあなたの方の農林省から出た統計にもはつきりされておる。こういうものを、現在失業で苦しんでおるような人々をも動員して、一切の日本の国力をあげてこれを一挙になし遂げるというような施策は、一つも見当らないのであります。あなたの先ほどから言つておられることを聞きますと、平々凡々として、とにかく口ではそういうことを言うけれども、実際の面においては、首切りの問題等を通じてみましても、全然現われていない。そこに私は問題があると思う。あなたが説明されておられることを、実際におやりになる考えを持つておられるのかどうか。私は持つておられないと思う。持つておられないために、三箇年計画といつたところで、実際においてやつておられない。そしてたとえば外国の麦なんかをどんどん入れておられる。そしてまた先ほどから聞いていますと、麦の統制撤廃を一月から六月までの間に行う、こういうふうにはつきり言つておられるが、これに対する、いわゆる麦作農家に対する施策というのはお考えになつておるのか、おられないのか、このことも一つも言つておられない。そして私が先ほどから言いましたように、開墾の問題についても、全然そういう重点的にやる施策はない。そうして今度麦の統制撤廃をした場合に、いわゆる麦作農家に対してどういうような施策を行わんとするのか、この点を伺つておきたいのであります。
  333. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。国家の施策というものは、一つだけに重点を置いて、すべてを放棄するわけには参りません。やはり総合的な均衡のもとに、しかもそのうちにおける比較的な重点というのがございます。これはいずれの国家においても同様でございます。なお麦の統制撤廃によりまして麦の減産を来すではないか、何らの施策がないと言われましたが、これは先ほど井上委員その他の方に対して答えた通りであります。われわれは野放しの撤廃ではなくて、価格支持政策によつて調整して参るということを、これまで繰返し繰返し申し上げた次第でございます。
  334. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではあまり言いたくないのだが、聞きますが、価格支持政策、こういうふうに言われますが、それでいわゆる麦作農家を保護する、そういたしますと、その麦の支持価格といいますか、何か最低価格、こういうものを政府は米と対比して、米の価格の六〇に押えようとするのか、あるいは五〇に押えようとするのか、あるいは七〇に押えようとするのか、その点はどうお考えになつておるか伺いたい。
  335. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。これははつきりと何十にするというようなものであつたならば、価格支持政策にならぬと思います。大体の目標は、麦の再生産を可能にする限度を目標にしまして、大体現在におきましてはパリテイ計算をもつてつて、それと今度は対米比価との総合的観点においてこれがきめられるものでございます。
  336. 竹村奈良一

    ○竹村委員 再生産を償う麦価をきめる、これは名答弁だと思う。しかし実際にそれがお行いになられるのであつたならば――あなたの方の統計事務所なんかで出された統計によりますと、現在麦の生産費というものは、少くとも大体米と同じくらいの生産費がかかる。こういうふうにはつきり統計事務所は報告しているわけです。各地においてそういうことが報告されている。大体麦の生産費というものは、米の価格にやや似通つておる。こういうふうに報告されておるのですが、そうすると、あなたの今おつしやつた答弁からして、麦の生産費が償う価格に支持価格をきめたいとおつしやるのならば、少くとも米と同等な形できめなければ生産費は償えないのでありますが、そういう価格でおきめになる考えでおられるのでございますか、その点をはつきり伺つておきたいと思います。
  337. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 麦の生産費については、麦の単作の場合と、連作している場合と、いろいろの条件があるのでございます。あなたのおつしやられたのは、その最も高いのをとられたのだろうと思いますが、私の申したのは、再生産を可能にするところのものを目標としまして、そしてパリテイと、さらに対米価と総合して考えるべきものだと申したのでございます。
  338. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 竹村君にちよつと申し上げますが、すでに農林委員会の方の持時間は、お約束よりもずつと超過しておるのであります。ほかにまだ農林委員の方が一名、労働委員の方が三名も待つておりますので、この際できるだけ簡単にお願いいたします。
  339. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そこで問題ははつきりして来たと思うのです。たとえば農林統計関係の首切り、これも問題は、私は先ほどからいろいろ麦価の問題についてあたかも関係のないようなことに聞えていましたが、ここに問題があると思う。今あなたの答弁されたところによりますと、少くともあの農林統計事務所で出しました、いわゆる麦の生産費というものが、高いところでは米以上の生産費がかかつておる、あるいは安いところでも、少くとも米から見て八十ないし八十五くらいの統計が現われて来ておる。これが正直に統計の上に現われて来たので、こういう統計調査事務所の職員を置いておくと、おそらく完全に自分の足元をすくわれる。つまりあなた方としては農民の麦の生産費というものをまあ六十か、できれば五十くらいに押えたい。押えたいが、あなたの使つている足元から、米の生産費はこうこうこれだけかかつておりますという統計をどんどん出されては、とても麦をどんどん安い値段で買いあさることができないというふうな観点から、いわゆる低米価政策の基本をつくろうとすれば、どうしてもこの統計調査事務所というような、正直に統計に現われて来るようなものが非常にじやまになる、じやまになつてしようがない。ここから政策を転落して行く。だから統計というものはなくした方がいい。自分のめちやな政策をやるのには、そういう正直な数字が現われて来てはどうも困る。こういう観点から首を切ろうとされておるのだろうと思いますが、私はそういうことはおやめになつた方がよいと思う。そういう無暴なことは現在の世の中では長続きしません。私はいろいろ言いたいと思いますが、無理に言いませんけれども、そういう考え、もつと根本的に言いますと、あなたのおやりになつておるところの日本の農政というものは、結局一切をあげて外国食糧に依存して行く。米の生産を高めるのだとかなんとかいいましても、開拓をやるとかなんとかいつておりますけれども、事実は具体的にはやらない。こういう観点から首切りをされるのだろうと思いますが、これは答弁しないでもどちらでもいいです。私の質問はこれで終ります。
  340. 足鹿覺

    足鹿委員 なるべく重複を避けて農林大臣にお伺いいたしたいと思います。今までの質疑応答でいろいろお聞きしたいこともあつたのでありますが、尽きておる点もあろうと思います。しかし若干観点をかえまして二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。今回の行政整理にいたしましても、先回の行政整理にしましても、その基本的に貫ぬかれておる共通性は、私をして言わせますならば、きわめて画一的に行われておるという点であろうと思います。特に日本農業の特殊性から考えて、これを主管しておられる農林大臣としては、この画一的な行政整理方針に対して、どのように日本農業の特殊性を強調せられ、そしてその観点から画一に堕することなき配慮がなされたかということをわれわれは非常に疑いたいのであります。すなわちこれを具体的に申し上げますと、たとえば技術の軽視、その内容としては、試験研究施設の人員の画一的な整理、あるいは統計事務の過半数に近いような首切りというふうな形でもつて、いわゆるただ単なる行政ではなくして、相当長い年月と相当突き進んだ経験を基調とする技術の裏づけを持つ面に対しましても、きわめて画一的に行つておるという点を私は指摘いたしたいのであります。この点について農林大臣は、農林省所管の行政整理に対しまして、いかような配慮と措置を講ぜられたか。基本的な御所見をこの際承つておきたいのであります。
  341. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御承知のように、今般の行政整理にあたりまして、その草案の基本ともなつたものは、御承知のように政令諮問委員会の答申でございます。これによりますれば、相当農業行政についての認識の点が違つておりましたので、この点は大幅に修正を私は要求し、それを貫いたつもりでございます。しかしながら私の思う通りにこれは行きませんので、若干の遺憾なきを期し得ないのでありますが、しかしこれは原則として私が持つておるところの構想はおのおの生きておると私は考えておるのであります。御指摘の、特に技術の問題について、この技術というものは一朝一夕にしてならない。特に長い経験と深い検討の結果できたところの技術員を画一的に首切るのではないか、こういうお話でありますが、これは農業関係の技術員のみならず、各省の技術関係にも同様のことでございますが、今回の整理にあたりましては、現業のうち特に試験研究機関は非常に整理率を少くしておるのでありまして、この点は一般官吏並びに他の現業と比較して非常に少い。試験関係については五%の整理をいたしておる次第であります。
  342. 足鹿覺

    足鹿委員 御所見を承つたのでありますが、ただいまの農相の御答弁と事実とは食い違つておると思うのであります。特に農業改良局関係行政整理の内容を小さい点まで検討してみますと、農業技術研究所あるいは農業試験場というようなものは、昭和二十五年に総合的な大整理が行われた。その結果ローカルな試験施設というふうなものはほとんど廃止されまして、一つ構想のもとに大きくこれが統合統一された。結果から見ますと、それは大きな整理になつておるのであります。そうして今日に至つたのでありますが、またもや一年をたたずしてこの人員の相当数の整理を見るのでありまして、関連をして見ますと、私はただいまの農相のお言葉を返すようでありますが、少し矛盾をしておるのではないか。このことは、ただ単に小さな問題を取上げて論ずるのではないのでありますが、現内閣は食糧の自給政策を推進して行くのであるということを常に言われますけれども、その政策が、私をして言わしむるならば、空転していやしないか。特に技術的なあるいは統計的な非常にじみな増産施策なり、生産力増強なり、農業の近代化なり、そういう施策の基盤をなし、あるいはきわめてじみな、表面には現われないこういう施設に対しては、非常に無慈悲に大なたを振つて行かれる。ことに食糧の自給政策の三箇年計画、あるいは五箇年計画、十箇年計画を主張せられるにかかわらず、事実は空転しているのではないか、こういうことを私どもは見るのであります。たとえばただいま申し上げました農業改良局関係がそういう試験研究施設を削られておるし、また農地局関係も、土地改良関係が相当大幅な整理率を示しておる。また畜産局関係について見ましても、たとえば種畜牧場、家畜衛生試験場のごとき、特に家畜の疾患が横行しておる今日におきまして、この家畜衛生施設あるいは種畜施設に見る人員整理というものは、ただいま農林大臣のおつしやつたこととは事実が相違しておるのではないか。そういうふうに、農林省所管の各局の中で占めておる技術的な面が、一齊に画一的な減員を受けておるということは、それ自体は少くても、その業務の占める特殊性から見て及ぼす影響がきわめて大きいだろうと思うのであります。そういつた点で、私の資料が間違つておりますか、ただいま農林大臣がお言いになつたことが正しいのであるか、いかがでありますか。
  343. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 この問題は先ほど関連して出た問題でございまして、各省ともみな画一的にやられておるということでありますが、これはその通りであります。なぜかならば、御承知のように各省における試験研究機関は、おのおのその必要性を持つてこれを設立しておるのであります。整理にあたりましては、やはり整理の基準がございます。従いまして試験研究機関については、どういう性質のものについては何パーセント、どういう性質のものについては何パーセントといつてやりまするから、結果的にはそうなるのであります。しかし他面におきまして、整理はいたしますけれども、また必要の場合においては、これまた増員することがあるわけであります。その場合におきましては、その必要性が特に強調される部面においては、増員はそれだけその度を強くして来るのでありまして、整理にあたりまして常にそういう結果になることは、行政整理の技術上、当然の結果であると考えておる次第であります。
  344. 足鹿覺

    足鹿委員 配置を転換して、真実の行政整理の成果を上げて行くというお考えはわかるのでありますが、画一的に流れておるという事実はおおうべくもないと思います。この点で押し問答いたしましてもきりがありませんから、いま一つお尋ねしたいと思います。  先般全国の農業改良普及員が会合を開きました。自分たちの身分の問題等につきまして、ああいう技術者の立場から、全国大会を開くというがごときことは、かつて例のないことであります。これが全国から参集をして参りまして、そうして開設後三年、ようやく地につこうとした改良普及事業に対して非常な心配をして、いろいろな決議をして、農林大臣も当日御祝辞を述べられて非常に激励されたのを聞いたのであります。ところがこれと相前後して、自由党の政調副会長の田中啓一氏は、この普及事業に対して無理解な御所見を、政調会の副会長として発表になり、当日相当問題があつたように思うのであります。いわゆる政党内閣として、一方農林大臣は、この問題について積極的な意見を述べられ、また一方には、これに反するがごとき政調会の意見が述べられるというがごときことで、非常にじみな仕事をし、黙々として食糧の自給態勢の末端を背負つて立つ一万数千の技術者というものが、二つの意見のどちらが主であるかということに非常に迷つたことは御存じの通りであります。その結果として、当然政府が農業改良普及制度というものに対して、何かその信念に動揺を来していやしないかということを案じておるのであります。たとえばこれを地方庁に委譲して行くとか、あるいは協同組合に委譲をして行くとかいうような形において、直接の国家負担を免れる、あるいは地方自治団体等にこれを委譲して行くというふうな形において、その制度が弱体化して行きはしないかということすらも心配をいたしておるのであります。現在の普及制度ができましたその前には、ソビエトの制度の模倣でありますが、いわゆる模範農場制というようなものがありましたが、それがまだ緒についたばかりでこの制度に切りかえられ、そうしてまた三年たつかたたぬかの今日に、この制度そのものが相当な動揺を来しておるのではないか、そういつた心配を第一線の人々に与えることは、政府が口を開けば言われる食糧の自給問題をはたして心から念じておられるかどうか、われわれ疑わざるを得ないのであります。この機会に技術の問題については特に慎重を期して、できる限り画一的に流れないようにしたいという農相のただいまのお言葉でありますが、これらの点についていかように考えておいでになつておりますか。普及技術員の制度はこのまま強化して行くお考えであるか、それともこれを地方自治体あるいは農業団体等に委譲して行くお考えであるか、これは非常に重要な問題であろうと思いますので、この機会に明確に御所見を承つておきたいと思います。
  345. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 足鹿さんの御意見はまことに適切な御指摘でございます。農業改良普及員の制度と申しますものは、以前は御承知のように試験場がありまして、その試験場の成果を実は学術研究として発表しただけにすぎません。ごく特殊なる篤農家の人々が試験場の成果をみずから使うか、しからずんば今度は逆に試験場とは別個に独自の見解を持つてこれが行われ、それが近隣に伝わるという状況でありまして、せつかくの国家の試験設備によるところの成果が十分に地方農民の末端に行き渡らない。これを遺憾に思いまして、この普及制度の問題が出たのでございます。なおこの普及員の関係においては、農村におきまして重大な役割を演ずる農家の婦人の立場の問題、家庭生活の合理化ということをもあわせてこれができたものでございます。しこうしてこの制度は、実は国家の補助事業としてやつておるのでございます。従いましてこれにつきましては、現在政府といたしまして、これを弱化するという考えは毛頭持つておりません。もしそういうふうな方針でありまするならば、当然今回の行政整理において、全面的に地方に委譲するというような考えが出て来るはずであります。地方委譲というとこれは誤解があるといけませんが、実はこれは国庫補助による地方職員でございます。従いまして地方に委譲するとかなんとかいう問題ではございません。問題は廃止するかいなかということの問題になりまするが、われわれとしては廃止する意思は毛頭持つておりません。  それから田中政調副会長との問題が出ましだが、田中政調副会長は、私が政調会長時代農林部長であり、まつたく同意見でありました。そのとき私はおりませんでしたが、表現の方法においてあるいは若干の食い違いがあつたと思いますけれども政府、与党ともに、この問題についてはまつたく同意見であることを申し上げておく次第であります。
  346. 足鹿覺

    足鹿委員 まだいろいろ申し上げたいことがたくさんありますが、省略いたしまして第三の点についてお尋ねいたしたいと思います。それは統計調査関係の急激な減員が、今後の政府の主食の生産者価格政策にどういう関連を持つかということについてであります。先刻もどなたかから御質問がありましたが、大体米の生産者価格の算定の方式というものにつきましては、生産費主義によることが妥当であるということは、政府もお認めになつておるのである。ただそれを固めて行くために必要な資料が欠如しておるということである。政府が従来パリテイを主張せられ、矛盾欠陥に満ちたパリテイを存続しなければならないというのに対しで、生産費方式はけつこうであるけれども、資料が不足しておるということがいつも言われておる。しからば資料の整備を一体どうして行くかということについて私ども考えた場合に、これは現在の農林関係の統計事務所が、その内容を従来農民から誤解をされ、供出のお先棒をかつがせしめたような印象を与えたが、この印象を払拭いたしまして、新しい一つの業務の内容に改善を加えて行くということ以外に大体ないと、これは農林大臣もしばしばお述べになつている。そしてこれに対する業務の内容の是正ということにつきましては、農産物の調査あるいは農林経済調査というような面に重点を今後置かれねばならないはずなのだ。ところが実際において統計調査関係行政整理は四三・六%という一番農林関係でも著しい整理率でありまして、こういう行き方をもつてしましては、農林統計調査のいわゆる最低程度を維持して行くことはできないと思う。従つて現在なそうとしてなし得ない米の生産費による生産費方式の確立に必要な資料の充実ということは願うべくもない結果になりはしないか。こういう点で事実上において政府はいわゆる米麦の統制撤廃という仮定の上に立つて今回の行政整理を強行せられようとしたのでありますが、かりに統制が撤廃になつたとしても、需給調整の構想の中心をなすものは、やはり政府の買上げ価格が問題になるのであつて、その価格を何人がどういう方法によつて決定するかということについては、依然として統計資料の必要のあることは論をまたないのである。その点について事実将来政府考えておられる需給調整の基幹をなす政策の裏づけであるこういう行政面の大幅整理をやつて、はたして政府が申しておられることが実現できるかどうか私どもは疑わざるを得ないのであります。どうも農林大臣の御所見は、いつも良心的な御所見をわれわれ委員会等においても聞いておるのでありますけれども、現われて来る政策の現実の姿と農林大臣の御所見とは、必ずしも一致しないような――これは偏見かもしれませんが、そういう印象を受けるのである。そこでこの米価決定について統制が存続しようと、あるいは撤廃になつて需給調整が新しく登場しようと、その根幹であるいわゆる根本の生産費の価格算定並びに決定方式について、生産費方式を政府は放棄しようとしているのであるかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  347. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。足鹿さんから今たいへん理論的な問題に関連して理路整然と御質問がありました。私もその点についてはまつたく傾聴いたします。問題は今度の行政整理によりまして農業統計調査職員が著しく減らされている。従いまして今後主食の統制撤廃がなされましても、価格支持政策をとる限りにおいて米価算定の基礎的な資料が整わなければならない。これはまことに同感であります。しかして今度の整理にあたりましては、足鹿さんも御承知のようにこの統計調査のうち一番多くのウエートを占めているのは作報職員であります。作報職員については大きく切つているのであります。今御指摘の農業統計、特に生産費等を計算するところの職員は、これは作報の人員からすればずつとその整理率は低くしているのであります。総体として非常に大きな率になりましたのは作報職員が減つたのでありまして、この点については私は十分吟味したつもりでございます。大体農業統計調査のうち気象感応あるいはそういうような生産費関係などを調査する人員については、一〇%の整理の方式でこれは算定したものでありまして、この内容についてはわかれておるのであります。作報事務とそれから気象感応の事務、それから集計、加工の事務とわかれておりまして、そのうち繰返して申し上げますが一番大きなウエートを占めているのは現業の作報事務であります。
  348. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に農林大臣にいま一点お尋ねをいたしたいと思います。先刻の竹村委員の御質問に対しまして、いろいろと単作地帯の振興等について御所見がありました。しかし現実の問題として東北、北陸並びに山陰方面の単作地帯に対するところの振興対策というものは、その基本的な法律が前国会において通つた、その補助金も二十億というものが近く参議院がこれを可決するならば通るのでありますが、この交付基準等について、事実上最も振興を要するような奥地山村地帯の耕地改良が、百町歩という大きな基準にぶつかつて、事実上不可能になる現実が動いている。これに対しまして直接本日の議題につております問題とは関連がありませんので、私お尋ねいたさないつもりでおつたのでありますが、先刻御答弁がありましたから、この点について予算の執行にまで大蔵当局がいろいろと農林当局を制約して行くような形が、この単作地帯の振興と限つて出て来るのかどうか、これは非常に関係方面が注目をしております大きな問題であり、また政府が単作地帯に対するところの常に熱意を表明しておられる振興臨時措置法の具体的な裏づけの大きな問題でありますので、この機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  349. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法に関し、その予算の執行について大蔵省の完全なる了解を得ていないのは御指摘の通りであります、目下折衝中であります。これは御承知のように、予算の項目の内部についても、大蔵省の発言があることは農林省のみならず、各省においても同様でございます。この点については大蔵省といたしましても、予算の編成上どの項目まで認めることが妥当であるかどうかということは、農林政策上の立場と違つた意味におきまして、今後の予算の膨脹あるいは限度ということから考えていうのでありまして、農業政策それ自身に対する干渉とは考えていない次第でございます。
  350. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣に対しまするお尋ねは以上で打切りたいと思います。  最後に橋本長官にお尋ねをいたしたいと思います。私の農林大臣に御質問を申し上げました点を、そのままそつくり基本的な考え方についてお尋ねをいたしたいのでありますが、いわゆる行政整理の基本的な共通方針は、前回の際もまた今回も同様画一的な一つ方針によつて貫かれておる、これはやろうと思うころにはやむを得ない措置であるとは申しながら、私は非常にそれから来る結果というものの影響が大きい関係上、主張したいのであります。特に日本農業の場合は、他の関係省も技術方面に対しても同様な画一方針で臨んでいるのであるから、農業のみがこれを免れることは困難であるというがごとき農林大臣の御所見がありました。しかし日本の人口の過半数に達するような厖大な人口を有し、そうして日本経済における地位もきわめて重要であり、特に食糧問題等について戦後における一番大きな役割を果そうとしておるこの農村政策の基調になるのは、一般農政と同時にその裏打ちをする農業技術についての深い理解がなしに行われたのでは、私は、政府が望んでおられるところの国民への奉仕のために、この行政整理が断行せられんとしておりますけれども、結果から見て逆な事実を招来するのではないかと思うのであります。常に行政が技術に優先して行く傾向を私どもは非常に遺憾に思うものでありますが、万やむを得ない面もあるでありましよう。しかし将来ほんとうにこの政策が空転しないために、いろいろな重点施策が真に裏づけされるためには、技術的な面が画一的な行政方針の犠牲になるような方針では、私どもは非常にまずい結果が来るのではないかと憂うるものであります。その点について行政整理の主管長官として、基本的な今回の御構想、またこれに対してどのような御配慮がなされたかということを最後にお尋ねをして打切りたいと思います。
  351. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 今回私が行政整理の案をつくります元になりました政令諮問委員会田中一郎委員がつくりました案によりましても、それを基本にして私が考えて参りましたのも、今足鹿委員からお話になりましたものとまつたく違つた方向でございます。個々の何千という項目について、個別に事務整理をいたしたわけでありますが、その間におきまして、技術的な面につきましては特に十分に尊重いたしまして、研究機関等に関しましては、これを十分に伸ばすようにいたして参つて来ております。あるいはお考えによりまして、こういう部分は技術尊重でないというふうにお考えかもしれませんが、それはおそらく例をあげておられるのは作報の問題ではないかと思います。これは格別これが技術であるから尊重しないとかなんとかいうことではまつたくございません。むしろ一番の問題は一般行政仕事のやり方、つまり技術的な面というものはおのずからいろいろな制約がありますが、一般の事務行政の面における仕事の繁閑に応じた整備ということを一番主体にして参つたのであります。
  352. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 次は労働委員の方々からの質問をお願いします。受田新吉君。
  353. 受田新吉

    ○受田委員 まず労働大臣にお伺いいたしたいと思います。先ほど淺沼委員より、この定員法改正によつて、大量の首切りが断行されるのであるが、同時に地方公務員等にも当然累が及ぶ結果となるのであるが、これに対して失業対策が十分打立てられておるかどうかという質問もあつたが、その席で大臣不在のためにつまびらかにせられなかつたのでありますが、きわめて簡単にその対策をここで開陳していただきたいのであります。
  354. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。先般も内閣委員会でつぶさに申し上げましたわけでございますが、大体今回政府提案になつております整理案によりまして、私の予測しておりますところでは、実際退職をせられる方は六万内外ではないか。従来のいろいろな経験から割り出してみまして、そのうち六、七割ぐらいが再就職の希望を持たれる方ではないか。これは橋本長官からもしばしば申しておられると思いますが、今回政府行政改革をやるという方針をきめますと同時に、それに着手するにあたつては、退職者の処置をどうするかということを合せて、基本的な態度を決定しなければ、かかる問題に着手すべきでないという考え方から、まず離職後における相当期間の生活不安をなからしめることが大事である。と申しますのは、依然としてわが国の失業情勢というものは相当深刻なものがあるわけでございます。いろいろな方途を尽しましても、再就職をされるには相当の期間がいると見なければならないわけでありますから、そこで退職金も財政力の許す限り、できるだけ大幅に支給しなければならない。その支給した退職金に現行のような過重な税金がかかつたのでは、政府の意図するところが実際に効果が上らない、むろん税制一般との考慮の上からではございますけれども、この考え方から今回の退職金に対する課税の大幅緩和も由来しておるわけであります。そこでひとつ再就職をしたいという方に対しては、実施官庁でまず第一番にできるだけごあつせんを申し上げ、それではむろん十分ではありませんから、職業安定所あるいは民間の協力を得て強力な求人開拓をやる。もう一点は、今日の労働市場から見まして、失業問題は深刻だとは申しますものの、また一面相当の技術を持つておられる方は比較的就職の機会が多いようであります。たとえば現在施行せられております職業補導所の講習終了者の就職率を見ましても、就職を希望せられる方はほとんど百パーセント就職をされておるのであります。いかに技術習得者が今日の労務状況に照して就職が容易であるかということから考えまして、また今回の行政改革主眼とするところは、余剰の人ができるだけ産業再建の面に働いていただくということが、また一つの趣旨であるわけでもありますから、むろん政府でどうこうということは考えませんけれども、本人の御希望によつて技術を習得して安定した職業につきたいと希望せられる方には、今回の退職者を対象として、二十七年度一年を限つて臨時の短期の補導施設を開設したい。そういう上からいたしまして、先般御可決願いました予算の中に、三月までに準備をいたすその所要の資金として四千万円の予算をお願いいたしたのであります。四月早々にこの活動を開始いたしますことによつて、非常に困難であるとは思いますけれども、私ども考えておりますことによりまして、大体処置して行けるのではないか、こう考えております。
  355. 受田新吉

    ○受田委員 今失業対策に対するあらましの構想伺つたのでありますがその中に労働省所管の職業安定所が相当重大な役割を果すことを指摘されております。ところがこの行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の提案理由説明の中に、「職業安定事務等の窓口事務に従事する職員」等とあげまして、軽微な整理にとどめたと書いてありますが、失業対策が今度非常に重大になつて来るこの際、窓口事務に従事している職員というものは、現在ですら一日二十数名の者を取扱つて非常な過重負担をやつておりますが、しかもこの失業対策がさらに倍加されるということになると、この職業安定所の窓口事務に従事している職員は非常な負担過重になるのでありますが、この提案理由の説明によると軽微の整理というのでありまするが、幾ら整理するのか、事実そういうことで整理することが可能であるのか。むしろ失業対策としては、現在加配米等の取扱いもあるから、これをいろいろと考えた場合に、この職業安定関係の窓口業務の従事者は増員する必要があるのじやないかというぐらいに考えておるのですが、この点幾ら整理するのか、整理することを是正する必要はないか。今私が申し上げた、むしろ増員するというような構想に対しては徹底的に否定せられるのか、この点についてお伺いいたしたいのであります。
  356. 保利茂

    ○保利国務大臣 これはごもつともでございまして、職業安定業務に携わつておられる人たちを今日以上に減らすということは容易ではない。しかしその点は十分政府全体としても参酌していただいて、職業安定所の職員八百四人の整理ですが、それも実際紹介業務をやつている人たちにはさわらないで、まつたく内部事務に携わつている人たちの五%という軽微な率の整理をするわけでございますが、そのうち特にこの関係におきましても、いわゆる労務加配の面は六百七人の定員を持つておるわけであります。これは先ほど橋本長官も言われましたように、四月以降配給を続けるということになれば、これは当然是正の措置をとられると期待いたしておるわけでございます。そういたしますと、一万有余の安定所の中において、実際の整理人員としては二百人くらいなる。今日非常に困難な職業紹介事務に携わつていただいている安定所のことではございますけれども、これは季節によりまして、特に新卒業生を目前に控えておるわけでありますし、今回の退職者の世話と新卒業生の世話とかち合つて参りますから、相当安定所の職員の方々には御苦労でございますけれども事務当局とも十分話合いまして、万全を期して行くつもりでありますから、御心配は大体なかろうかと私は思つております。
  357. 受田新吉

    ○受田委員 今の大臣の御答弁の中に、職業安定事務の窓口の事務に携わつている者は整理しないというお言葉があつたのですが、この提案理由の説明の中に「職業安定事務等の窓口事務に従事する職員は軽微な整理に止める」と書いてあるのですが、それは間違いですか。
  358. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 提案理由の説明は私が述べたので、その内容を御説明申し上げます。「窓口事務」とそこに書きましたのは、労務加配関係のものだけを書きました。労務加配の関係につきましては、配給が継続されますので、ごく軽微な整理でありますが、今お話のありました一般の職業紹介関係の窓口事務の者は一人も整理をいたしておりません。整理をいたしますのは、労務加配関係整理の対象になりました。あとは窓口に出ません庶務、会計関係のものについて軽微な整理をいたすのであります。
  359. 受田新吉

    ○受田委員 この提案理由の御説明をなさつた橋本大臣の御答弁で、その性格はわかつたのでありますが、先ほど橋本大臣が言われたように、労務加配米の担当職員を約三百数十名残すということに切りかえるようにする。整理するのをそのくらいにとどめる。同時に今内容を調べてみると、加配米関係の職員六百七名のうち、百五十名を整理するような案になつておると思うのですが、四分の一の整理というようなことが加配米担当者として事実可能でございましようか。この四分の一の整理ということは、整理としてはあまり高率ではないのでしようか、労務の過重を来しはしないかということをお尋ねいたしたいのであります。
  360. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。私はこれで十分やつて行くつもりでおります。
  361. 受田新吉

    ○受田委員 この職業安定業務のごときものがいよいよその責務が過重せられるときに、あるいはこの職業安定業務を地方移譲にするような意図が含まれておるのではないかという不安も感ぜられるのでありますが、その点について心配はありませんか。
  362. 保利茂

    ○保利国務大臣 私はそういうことは考えておりませんから、心配もいたしておらぬのであります。現在の状態でやつて行くつもりでおります。
  363. 受田新吉

    ○受田委員 この労務関係のもう一つの問題として、先ほど柄澤さんから質疑された労働基準監督官の職務過重の問題でありますが、さつき柄澤さんのお説にもあつたように、基準監督官が事業場を一まわりするのに六年もかかるという比率を出しておられた。私の調査によれば、三年くらいでまわれるというように、いろいろ見方で違いがあると思いますが、この労働基準法を実施される上にそそうはないかどうか。非常に重大な労務管理の立場からの職務が、今後労働基準法その他の法規の改悪というものをひそめて、労働基準をそそうにしてもよろしいということになるのではないか。現在ですら、その目をかすめて労働基準法違反をやつている事業場が数え切れないほどあるにもかかわらず、さらにこの不安が増大するのではないかということを感ずるのであります。従つてこの労働基準監督関係の職員を整理するということに対しては、非常な過重負担を与えるという結果になり、今申し上げた労働関係の法規改悪という線にその意味が含まれるのではないかという危険を感ずることに対して、大臣としての御答弁を願いたいのであります。
  364. 保利茂

    ○保利国務大臣 その点はよく言われますけれども、そういうふうには実は考えていないのであります。御承知のように、工場法が制定せられて施行せられるまでにも、数年間の実施準備の期間を置いてやつてつたわけです。ところが労働基準法は制定後すぐ実施された。それでそういうことを率直に申し上げるのはいかがかと思うのですが、準備不足のまま実施せられたと思つております。そういう上から行きまして、監督のあり方についても、現在の通りでいいかどうか、実施の面においていいかどうかということは、これはほんとうに慎重に研究を要することではないか。さらばとて基準行政を骨抜きにして行く、しかも法律を改悪して骨抜きにして行くという考えは、私ども毛頭持ちませんが、あくまで日本の全労働者の労働条件を向上して行くように、適切合理的な監督方法を講じて行く上においては、これは別途に考究しなければなりませんが一今回の整理の対象にいたしておりますものは、むろんこれはある程度はやむを得ないかと存じますけれども、監督行政の面に携わつている人については、できるだけその犠牲を少くするようにいたして万全を期して行きたいと考えます。
  365. 受田新吉

    ○受田委員 労働行政定員法の改悪が非常に重大な悪影響を及ぼすということは、これはもうわかり切つたことでありまするが、今大臣としていろいろと対策を持つておられるようであります。しかし実際問題として、さしあたり失業対策に非常な手を必要とする時期がもう目の前に来ているのですから、来年度の失業対策について、あるいは窓口業務に携わる人を増員するというような時期が来るかもしれない。そういう実態をつかんで、今後この問題に対して適当な措置を当局は考えておられると思いますが、しかし願わくばこの法の改正にあたつてこの示された数字に何とかいま一歩修正の道はないものか、非常に憂えているのであります。先ほど橋本長官から、加配米関係の職員の定員の首切りは、非常に減少することになつたということがありましたが、そのほかにもこれに関係して、政府として今構想を持つている定員の数字を切りかえる用意があるのかどうか、これをちよつとお伺いしたいのであります。加配米関係以外の統制職員であるところの食糧関係、その他の現在出されている数字を今橋本さんが言われたような立場で修正される点がなおほかにあるかどうか。
  366. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ございません。食糧関係の問題についてだけは、関係方面とも話がはつきりしませんので附則をつけたのであります。附則の部分が、四月一日までには行われないということがはつきりして参りましたので、この点の規定を整理いたしまして、同時にあの際に落しておりました加配米の、食糧の配給関係の問題でありますが、配給に関しまする食管の定員と、それから加配米の労働省、運輸省の定員を増加するように考えております。
  367. 受田新吉

    ○受田委員 橋本長官行政管理庁の最高責任者として、次にお尋ねいたします。  先ほど以来の質問者のほとんどの方から言われたこの整理はいささか天引き整理で、おしようばん整理であり過ぎるという意見が多かつたのでありますが、この中で最も私心配しているのは、長官が兼ねておられる厚生省所管の人員整理でありまして、この点特に厚生省所管の人員は、人命をあずかるという重大な職務を持つているのであるから、特に国立病院の職員のごときは、国家的な医療施設として大きな役割を果している際に、一つの国立病院でさえも、例をとつてあげるならば一日七百名も入院患者があり、外来患者が九百人もいる。そのような大きな病院であるにもかかわらず、エツクス線とか、あるいは最近の技術者とかいうものはたつた一人しかおらぬ。あるいは八十人以上の投薬はできないということに規定はなつているにかかわらず、二百人以上の投薬をするような薬剤師もいる。こういう実態であるにもかかわらず、国立病院の医師あるいは薬剤師等の整理がされるとするならば、これは重大な人道問題だと思うのでありまするが、この点国立病院関係の職員の整理対象となる数字を明らかにしていただきたいのであります。
  368. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 厚生省所管の仕事について御理解あるお言葉で恐縮であります。ただ私も総体の関係かち見まして、両面の、厚生大臣としても行政管理庁長官としても考慮いたしているのであります。病院に関しましては、まず看護婦が約八千名おりますが、これも全然手をつけておりません。これはまつた整理の余地のないものであります。あとは庶務や会計でありますとか、あるいはほかの雇用人関係のものにある程度整理をいたします。医者、薬剤師その他の面につきましては、五分程度のごく軽微な整理であります。この中には、何分にも現在の国立病院というものは、陸海軍から引継いだものでありまして、陸海軍時代には辺鄙な場所にも医者も薬剤師も配属ができましたけれども、どうも辺鄙な所には行き手がございませんので、若干欠員等もありまして、医者や薬剤師関係につきましては、きわめて低い整理の率であります。それから癩や精神病や、それから脊髄疾患関係の療養所等につきましては、いろいろな事情でほとんど手のつけどころがありませんので、現在約二百名ばかりでありますが、これを整理の対象から除いております。一般の療養所につきましては、病院とやはり似たような率によりまして、一般管理業務を扱つております庶務会計の事務とか、雇用人関係の者を主体として整理することにいたしております。
  369. 受田新吉

    ○受田委員 提案理由の第一にあげてあります休職者は定員から除くということでありまするが、長期病欠者に対しても恩典を与えたような形になつておりますけれども、実際は療養期間のうちで休職になるまでの最初の一年間というものは、これは当然整理の対象に考えられるのでございますか。休職取扱いでないその以前の一年間というものの取扱いであります。
  370. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 休職の関係の者につきましては、これは一般職の給与に関する法律で、私の所管ではございませんけれども、あの法律によりますると、一年間というのは間違いで、長期欠勤者は有給で休職にして、定員外に置くことができる、こういう規定になつてつたはずであります。
  371. 受田新吉

    ○受田委員 今の長期病欠者の場合であります。長期病欠者で最初の一年は十割をそのまま支給しておりますが、その次の二年間は休職として八割を支給するという案を今政府が持つておられるようでありますが、これは関係方面と折衝しているということを聞いているのでありますが、私がお尋ねしているのは長期病欠者の場合であつて、最初の一年、まだ休職になる前の一年の待遇が問題でありまして、この点についてのお尋ねであります。
  372. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ちよつと待つてください。私の所管でありませんが、できるだけきよう御答弁したいと思いますから。――ただいまの受田委員の御質問の趣旨でありますが、定員内で給与をやつて一年間置いておくということは、何でも昭和十八年以来法律制度としてではなくて、次官会議か何かの決定で慣例としてやつておるそうであります。今閣議で決定して関係方面と折衝中の法律の立て方はいささか違います。これは所管の大蔵大臣の方から答弁をした方が間違いないと思いますので、後刻受田委員の方に所管大臣の方から答弁することにいたします。
  373. 受田新吉

    ○受田委員 ここで一つ申し上げておきたいのは、今のところ長期病欠、すなわち結核患者の場合です。この場合に、最初の一年は全額を支給して、その次の二年間は休職として八割を支給するという案なんであります。最初の一年は休職でないのですから、休職の場合はこの提案理由の第一にあげてありますところの整理の対象としないというのでありますから、休職になれば整理の対象にならぬ。しかし最初の一年現職で十割もらつておる長期病欠期間というものが整理の対象になると、胸のわずらいをして苦労しておる患者が、いつおれは整理されるかもしれぬという不安を抱かなければならぬ。休職期間に入つた定員外になれるとしても心配であります。
  374. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 私は、念のためにそう申し上げたのでありますが、間違いありませんから今御答弁申し上げておきます。何だつたらあとで所管の大蔵大臣から訂正してもらいますが、今日政府で立てております法案は、長期病欠者を定員内に置くということを規定しておりません、長期病気欠勤の場合にはこれを休職として定員外に置くことができるという規定でございます。そしてこれを定員外に置きました場合には二年間八割の給与を給することができる、こういう規定でございます。
  375. 受田新吉

    ○受田委員 今ので間違いがないということになりますれば、この休職になる期間の前の一年間、十割の給料を全額支給する期間の問題であります。全額支給する期間、休職でない現職で一年間はまるまると支給しておる期間中であります。この期間中が整理の対象になるということになると、これは大問題であります。
  376. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ただいまお話のございました一年間というのは、戦時中に次官会議決定か何かで、これは慣例的に、むしろ一種のやみの制度みたいなものでそういうものがあるそうでございますが、今日国家公務員法で規定してございますのは、九十日間は休むことができる。そして九十日を越えて休む場合には休職になつて給与を給しない、こういう規定になつております。今日提案をいたそうと思つております法律案は、あくまでもやみの方でない正規の給与体制を整えなければなりませんので、九百十間はまるまる給与をもらつて休んでいることができる。九十日を越えた場合におきましても、結核の場合においては二年間八割の給料を支給して、定員外で休むことができる、こういう規定でございます。
  377. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 受田君に申し上げます。時間が大分超過しましたので……。
  378. 受田新吉

    ○受田委員 今向うの話合いで時間をとつたのでありまして、政府側の責任ですから、それは差引いていただかなければならぬ。  今慣例として残されているものを廃止して、ただちに休職に繰入れるということは非常に悪政だと思うのです。慣例で今までよかつた点は十分尊重してやらなければならぬと思います。この点さらに検討をしていただきたいと思います。  私は、橋本さんが、国立病院その他厚生省所管の医務行政その他の定員をうんと減らすことは非常に心外に思うのであります。この人命をあずかる大事な職を担当している方々に対しては、この際その地位を安定さした上で、十分その職責を全うさせるようにやつてもらいたい。いわんや結核対策で、一年間に十五万も死ぬる、百五十万の患者がいる。そのために治療費が公私合せて約二千億に余るというこの厖大な結核対策に対して、思い切つた施策をとることが政府の責任であると思うのでありますこの点厚生省としては、定員を減らすのではなくして、むしろうんと増員をして、この不幸なる方々の手当をして上げて、死者を少くして、そうして結果から見たら、その方へかかる治療費がほかの経済復興にまわされるということになりますから、この大問題については十分考えていただきたいと思います。わけて橋本さんは、身体障害者の立場で今日の地位を築かれた努力家でありますから、病院に呻吟する不幸な運命の人たちに対する行政の最高責任者として、この人たちを守るための職員は十分確保してあげなければならぬ。特にわれわれとしては、天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむという為政者の心情としても、ぜひ一つ大臣の地位にあるあなたが、この身体障害者のよき味方となつてあげ、その目標となつてあげ、あとに続く人たちのために希望と光を与えてやる施策が必要と思いまして、この行政整理に当つて、少くとも不幸な運命の人の立場を守つてくださる人たちの定員は、保つて行くという線を守つていただきたかつたのであります。この点について何らか修正の道があるならば、この人たちのよき味方となつてあげるために、さらに一般の努力を要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  379. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 お話はよくわかりました。ただ私申し上げておきますが、大体そういう趣旨でなつているわけであります。先ほど申し上げましたように、看護婦は全然整理いたしませんし、それから医者や薬剤師につきましては、先ほど申し上げましたような理由で欠員が非常にございまして、そういう人たちにつきましては、この整理というものがほとんど実際的にはございません。そこで整理いたしまするのは、これはもう病院によつて、陸海軍の病院を引受けた関係で都市のものとごくいなかにあるものと人数が違うのでありますから、ごく庶務的な部分は一般に能率向上をはかつてほしいので、そういう方向の整理をいたすわけであります。今お話のございましたような気の毒な病院の看護婦や治療をする人、薬剤の方というような点については触れておりません。
  380. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんから簡単に問題点だけ聞いておきたいと思います。まず保利労働大臣にお聞きしたいのですが、保利労働大臣のお考えですと、今度の行政整理の実員はどのくらいになつておりますか。
  381. 保利茂

    ○保利国務大臣 的確には申し上げかねますけれども、大体六万人内外ではないかと思つております。
  382. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつと橋本さん、大分食い違いがある。保利労働大臣は、大体今度の行政整理の実員は六万人と言つているのです。あなたの提案理由だと八万七千、それから二十六年度の補正予算によりますと九万二千になつているが、幾ら首を切るつもりなのですか。今あなたが向うで話している間に保利さんは六万だと言つている……。
  383. 保利茂

    ○保利国務大臣 どういう食い違いがあるか存じませんけれども、全体の、たとえば鉄道、専売公社等を含めます。と十二万、それを除きますれば、公務員としては、今回の定員法に現われているのは九万何がし、ただいま受田さんのお話がありました長期欠勤者やあるいは欠員等を差引いて、実際の実人員は、的確には申し上げかねますけれども、失業対策を講じて行く上から六万内外と押えておる。
  384. 林百郎

    ○林(百)委員 橋本さんにお聞きしたいのですが、あなたの八万七千九百十五人というのは実定員ではないと解釈していいのですか。それと予算の説明書には九万二千となつていますが、これはどういう人数になるわけですか。
  385. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 その八万何がしとおつしやつた数字は、定員法の本文の削減人員です。なお九万幾らと申しますのは定員法の附則の数字で、それを合せた、要するに定員法の本文及び附則で総体的に減員するものは九万幾らということであります。ですから労働大臣の申しましたのは欠員を差引いた、長期欠勤者で先へ行つて定員を削減をする、こういつたようなものを考えたもので、実際は一つのものであります。
  386. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとあなたのお考えでも、実際に首切られるのは六万幾ら考えておられるわけです。
  387. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 これは欠員で、実際に差引の可能なものと可能でないものとありまするし、また長期欠勤者なんかは多い見方も少い見方もありまするので、はつきりいたしません。一応労働省の方で申された六万という数字も、そう食い違つてはおらないのではないか、大体六、七万くらいかと思つております。
  388. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとここで八万七千あるいは九万とあるのは、予算定員あるいは公務員法上の減員であつて、実際首切られるのは六万あるいは七万と聞いておきます。この点いくらあなたと論争してもしかたがありません。そこでこの六万幾らの、長期欠勤者とかそういうものはほとんど除いて、ほんとうに血の出る首を切るわけなのですが、これはどういう基準で首を切るわけですか、どういう人を切るわけですか。
  389. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 整理基準といつたようなものは全然立てておりません。その省庁によりまして、まず第一には退職希望者を募ります。今回の行政整理にあたりまして、一月から六月までの間の最初の三箇月に、現行退職金の法律で、行政整理の場合は八割増を支給するというのも、その期間に自発的に退職する人をできるだけ求めるという趣旨で、前半に退職する人は八割増、あとは四割増というふうにいたしたわけであります。自発的退職を除いた残りの人たちにつきましては、これはその省、庁の事情によりまして、整理の基準といつたようなものを特別に設けておりません。
  390. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたは首を切る方ですからいいですが、切られる者の身に品なつてみますと、家族もあるし、行政整理というものがいかに官吏の家庭、本人はもちろん、その家庭に暗い影をただよわしておるかということは、おそらくあなたの想像以上だと思う。そういう場合に一定の基準が示されておれば、その基準に該当する者は心構えもしますし、また基準に該当しない者は不必要な不安にかられないのであります。ところがあなたの言うように、だれを首切るかわからぬが六万首を切るのだというようなやり方で、だれが公務員として自分の職務に精励する気になれますか。いつ自分が首になるかわからない、そういう無責任な首の切り方がありますか。この際六万首を切るというならば、これに対して、少くともこういう者は首切るという基準を示すべきだと私は思う。大体あなたの考えだけでも知らしてもらいたい。そんな不安な状態を八十万の公務員に与えておいて、どうして今の非常時を公務員にこぎ抜かせることができますか。あなたの考えを聞きたい。あなたはどういう人を首切りたいのです。
  391. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 これはいろいろ御意見もおありだろうと思いますが、今林委員会の言われたのと別の考え方もございましよう。むしろ私は国家公務員法の趣旨に従いまして、任免に関しましてはその任命権者の見るところによつてやるということが、一番合理的であろうと思います。
  392. 林百郎

    ○林(百)委員 私は首を切るという点数かせぎはあなたがしておいて、実際首を切るいやな思いは現場の責任者に負わせるのは卑怯だと思う。あなたが六万首切るなら、こういう基準で首を切れという、政府の責任ある基準を示したらどうです。だれだつて首を切るのはいやにきまつている。八万首切るぞ、具体的に切るのは下の者がやれ、そんなばかなことがありますか。だから六万首切るということの今度の整理の基準は、こういうものだということを私は示すべきだと思う。ほかにいろいろ重要な問題がありますから、ここであなたにこの点はこれ以上迫りませんが、首を切る基準については、たとえば従来労働組合運動をしていたとか、あるいはその人の政治的な信条だとか、こういうことがあなたの首切りの基準にはないということを、ここではつきり言明できますか。
  393. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 林委員から何か基準を示すことがいいような悪いようなお話がありましたが、私は先ほど申しましたように、基準は全然設けておりませんので、そういつたことを格別考えておらないのであります
  394. 林百郎

    ○林(百)委員 私はむしろ基準を示すことこそがあなたの務めだと思う。基準も示さないで、だれが首切られるかわからないような不安な状態を八十万の公務員に与えて、だれが自分が首切られるために一生懸命働く公務員が世の中にありますか。基準を示しておけば、公務員としては家族の者の生活の問題とか、いろいろ心構えだけはつくるわけです。それが首になるかならないかわからない。あれは首になるかもしれないが、おれはならないかもしれない。そうすると職場の内部に暗い空気がただよつて来る。それが家庭の中にも及ぶわけです。むしろあなたが首切るというなら、こういう基準によつて首切るということを示すことが親切だと私は言つているのです。ところがあなたの説明によると、首切る標準は出したが、どう首切るかは現場の長の諸君、あるいは各省の責任者にまかせるということは卑怯だと思う。そういういやな思いをあなたからほかに転嫁させることは卑怯だと思う。しかし先ほども言うように、こういうことについてあなたとあまり論争しません。従つて私はここで長官からはつきり言つてもらいたいことは、基準を置かないということは、あなたの考えとしては、その人の労働組合運動の中における地位とか、あるいはその人が日ごろ持つている信条とか、そういうものは長官としては首切りの基準とは考えておらないということを、ここで一言はつきり言うならそれでけつこうです。
  395. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 先ほど申し上げたように、私はそういうようなことを首切りの基準と考えないとか何とか――首切りの基準というものは考えておらないということをさつきから繰返し申し上げておるわけです。従つて基準というものを考えていないのですから、労働組合運動をやつたものを首切るとか、共産党員を首切るというような基準を設けておるつもりは毛頭ございません。
  396. 林百郎

    ○林(百)委員 およそ驚いた話で、首切りの基準もきめなくて六万人首を切るとは何のことです。少くとも六万人首を切ることができるという事情があつて、こういう状態の者は首切ることができるということで六万人というものが出て来たのでしよう。それではあなたの首切りというのは、何を基準にして六万人という数字が出て来たのですか。それを示してもらいたいと思います。まるで天くだり税金みたいにこれだけ首を切れというから切るというのですか。
  397. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 林委員も御承知だと思いますが、人事院規則にも「職員の意に反する降任及び免職」という規則がございます。それにも「職員を降任又は免職することのできる場合において、当該職員のうちいずれを降任し又は免職するかは、任命権者が定める。」というのが公平の原則であるというようになつておるのであります。繰返して申しますように、これは任命権者がその省庁の事情によつてわけたのであります。  先ほど点数をかせぐというお話がありましたが、行政管理庁長官として行政整理をやるなどということは実に損な立場であります。私は点数を大分損したと思います。御同情願いたいと思います。
  398. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたは首切り浅右衛門の役を買うということで吉田内閣の中に新たに加えられたということを世間で言つているので、それであなたは感激して、大いに心勇んで首を切つておるのではないかと思つて私はそう言つたわけです。  その次に保利労働大臣にひとつお聞きしたいのですが、先ほどのあなたのお話は大分御親切なお話で、首を切つたあとはあなたがお引受けになるようなお話でしたが、四千万円の職業補導所費で何をなさるわけですか。
  399. 保利茂

    ○保利国務大臣 斎藤政府委員からお答えさせます。
  400. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたに聞いているのだからあなたが言つたらいいでしよう。私は保利労働大臣から責任のある答弁が聞きたいのです。四千万円で十二万人の首切りをどうやつて処理するかということを聞きたいのです。
  401. 斎藤邦吉

    ○斎藤(邦)政府委員 職業補導につきましては、男子、女子それぞれ向いた職種につきまして、たとえば男子につきましては、機械関係の技能とか、あるいは経理事務、速記の事務、女子につきましては洋裁その他の技術を授ける。大体そういうやり方で本年度中に設備施設を準備しまして、来年度になりましてこれを開設して補導しよう、こういう計画でございます。
  402. 林百郎

    ○林(百)委員 あまり子供だましみたようなことはお聞きしたくない。四千万円で施設を幾つつくつて何人それに収容するのですか。
  403. 斎藤邦吉

    ○斎藤(邦)政府委員 職業補導施設の経費は総事業費としては八千万円でございまして、国はその二分の一を補助する、こういう建前でございます。大体八千万円で一万人を収容してやつて行けるだけの機械施設等を本年度中に用意しよう、こういうことであります。
  404. 林百郎

    ○林(百)委員 このたびの行政整理は来年の八月まで入れて、一般の政府機関関係まで入れて十二万人であります。十二万人の行政整理が出るのに一万人を収容する補導所をつくつて、十二年間でそれに職業を与えるわけですか。
  405. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えします。初めから申し上げておりますように、そういう方がたくさん出られることを希望いたしております。一万人の施設はいたしたいと思つておりますが、これは本人の意思に従うことでございますから、おそらくこれで今回の整理退職を対象とする施設としては十分であろうと思つております。しかし何もこれだけで今回の退職者全部の対策を講じているわけではございません。先ほど受田さんにお答えいたした通り、最後の線に来るところとしてこれを考えておるわけでございますから、これによつて六万なり十二万なりの退職者の処置を全部講じてしまうという考え方ではございません。その点誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  406. 林百郎

    ○林(百)委員 どうせ今どき役人が首を切られて、迎えられるところはどこにもない。しかも役人などを十年も二十年もやつておれば、頭がかたくなつて通用ができなくなつておるわけであります。だからたいがい最後にはこういうようなところへ行くよりほかに道がないと思います。そこで、この職業補導所にいる間は給料をもらえるわけでありますか。一定の補助金か何かあるのですか。
  407. 斎藤邦吉

    ○斎藤(邦)政府委員 お答え申し上げます。補導所に入所している間には政府から手当など出さぬことにいたしてあります。
  408. 林百郎

    ○林(百)委員 そうして職業補導所を出たときには、職業のあつせんは責任を持つてつてくれるわけでありますか。
  409. 斎藤邦吉

    ○斎藤(邦)政府委員 お答え申し上げます。先ほど大臣がお答え申し上げましたように、今日まで補導所を出ました方々はほとんど一〇〇%近く就職しておる状況でございますので、今回の当初入所いたしました者につきましても、公共職業安定所で万全の努力をいたしたい、かように存じておる次第であります。
  410. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、職業補導所を出た者は、責任を持つて就職のあつせんをしてもらえると解釈していいのですか。
  411. 斎藤邦吉

    ○斎藤(邦)政府委員 補導所の終了生を採用いたしまするのは、それぞれの民間工場でございますので、その人々が採用しなければどうにもなりませんけれども、過去の実績から申しますれば、大体うまく就職している、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  412. 林百郎

    ○林(百)委員 その点についてなお御説明願いたいのですが、そこで、職業補導所を出て就職をされた人たちの平均賃金はどのくらいですか。数字がありますか。
  413. 斎藤邦吉

    ○斎藤(邦)政府委員 お答え申し上げます。補導生を出ましたあとの賃金は、その人の能力なり年齢なりによりまして、おのおの差がありますので詳細は未詳でございます。
  414. 林百郎

    ○林(百)委員 私たちの持つている数字ですと、あなたの言うように一〇〇%ではなくして大体八〇%ぐらいであるが、これも大体半分家で働いて半分仕事に行くというような半失業状態でいる。あなたの言うように完全な就業ではない。しかも平均賃金が、男子が三千四百五十三円、女子が二千円程度で、とうていこれは首切られた後の家庭生活の保障には足りないという数字が出ております。これはあなたと私でここでいくら論争してもしかたがないと思うのでありますが、私は、この職業補導所を理由にして、首切りが及ぼす公務員の生活苦をごまかそうとするのは、少し安易過ぎるじやないかと思う。もしほんとうにあなた方がそう考えるならば、少くとも予算的な処置も十分なものがなかつたならば、わずか四千万か八千万で十二万人の行政整理の犠牲者の跡始末をするということは少し子供だましだ、私はそう考えます。この点はこれだけにしますが、その次に橋本行政管理庁長官にお聞きいたします。地方公務員に及ぼす影響でありますが、中央でこういうように首を切りますと、今度はこれが地方公務員に対してはどういう影響を及ぼすと考えますか。
  415. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 地方公務員とは格別直接の関係はございません。
  416. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、地方公務員をどうするかということは地方の自主性にまかされる、こういうように解釈していいのですか。
  417. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 地方公務員につきましては、林さんも御承知だと思いますが、種類が幾つかございまして、たとえば、学校教育に関する法律に基く学校教員でありまするとか、警察法に基く警察の職員でありまするとか、農業改良関係の法律に基く農業改良普及員といつたように、国の法律に基いてきめられておりまするところの地方公務員と、それから純粋に地方自治法に基いて、まつた地方のイニシアチーヴで置かれておる地方公務員とございます。これは岡野国務大臣の主管でございまするが、今日特に府県の行政はほとんど八割が国の法律に基く委任事務でありますから、これは地方のイニシアチーヴで地方だけでふやす減らすということはできないのでございます。岡野国務大臣の方で所管しておりまする地方行政簡素化という面につきましては、国の法律に基いて、国のイニシアチーヴでむしろ増減をすべき分については、国の方として案を考えておりますし、もちろんそれは地方とも相談をいたしましよう。それからまつた地方のイニシアチーヴによるものにつきましては、これは地方財源等との関連ももちまして、おそらくは勧奨するというようなことに相なるのだろうと思います。
  418. 林百郎

    ○林(百)委員 国の法律できめられている地方公務員についてまずお聞きしたいと思います。純粋の地方公務員については、たとえば市の従業員だとか、こういうものは別としまして、国の法律で規定されておる地方公務員についてあなたにお聞きしているわけなんです。主管大臣岡野国務大臣だということはわかりますが、これは今岡野国務大臣がおりませんし、問題は非常に重要であるから、吉田内閣の国務大臣としての橋本さんにお聞きしているわけなんですが、将来の地方行政簡素化ということは、橋本さんが国務大臣の立場として、吉田内閣の政策の一環として考えているのかいないのか。それからたとえば地方行政簡素化本部からいろいろの答申書がでておりますが、こういうものについては、吉田内閣の政策としては将来どういう方向で行くつもりか、これをお聞きしておきたい。
  419. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 政府といたしましては、地方行政簡素化をいたすつもりでありまして、地方行政簡素化本部を設けて、岡野国務大臣が本部長として目下立案をいたしております。
  420. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 林君、大分時間が過ぎましたが、なるべくひとつ簡潔に願います。
  421. 林百郎

    ○林(百)委員 これは重要な問題です。これがまた地方の首切りにまで及ぶことになると重大ですから、もう少し……。そうするとやはり地方行政簡素化本部行政簡素化意見に基いて、吉田内閣としては地方行政簡素化従つて地方公務員行政整理ということも考えておるというように承つていいわけですか。
  422. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 簡素化本部の仕事の内容なり立案の趣旨、経過等を存じておりませんけれども地方行政事務簡素化することを主体にいたしまして、おそらく人員整理はそれに伴つて付随するであろうと思います。
  423. 林百郎

    ○林(百)委員 吉田内閣の首切り政策がはつきりわかりましたから、その次の問題に移りたいと思います。  この提案理由の説明によりますと、吉田内閣の首切り方針にもかかわらず、非常に好意的に優遇されておる部門があるのであります。正直にここにもちやんと書いてあるのでありますが、治安関係の職員については、ほとんど整理をされておらないようでありますが、このあなたの言う治安関係の職員、これは軽微な整理にとどめておる部類に入るのですが、これはどういうものが入るかお聞かせ願いたいと思います。
  424. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 警察が主体であります。
  425. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、警察はほとんど首を切らないというように解釈していいわけですか。
  426. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 たしか総体で二千四百人の整理だと思います。
  427. 林百郎

    ○林(百)委員 その二千四百人というのはどういう種類の警察ですか。その警察の、実際にピストル、こん棒を持つている人たちですか、事務をやる人たちですか。
  428. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 二千四百人というのは純粋な警察官であります。そのほか警察の事務をやつております一般職員を何名か整理したいと考えております。
  429. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつと大臣の説明が間違つておると思いますから、もう一度よく表を見ていただきたい。国家地方警察官の方は減つておりません。一般職員の方が減つておるように書いてありますから、もう一度よく見てください。
  430. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 表に出ておりますのは一般職員の方の減るのが出ております。警察は御承知のようにこの春の国会で、定員外で五千名置くことができることとなりましたが、その部分の方の整理をいたしました。
  431. 林百郎

    ○林(百)委員 よくわからないのですが、あとで聞くことにして、もう少し総括的にお聞きしたい。このたびの行政整理で、あなたは国民に奉仕するという話だそうですが、本年度は幾らこれによつて予算上の余裕金が出て来るわけですか。
  432. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 二十六年度は退職金と差引いたりしまして約四十三億円の増加であります。支出増であります。二十七年度が差引をいたしまして約百五十七億円の節減であります。平年度が約二百七億五千万円の節約であります。
  433. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、本年度は首を切つても、むしろ四十三億余分に金を出す、二十七年度に至つて百五十七億減るということですが、そこで吉田内閣の政策全体についてお聞きしたいのですが、首を切つて人員を減らしましても、現に本年度の警察予備隊の補正予算は百五十億余分に組んでおるのであります。先ほどお聞きしますと、一般の平和的な仕事に携わつておる公務員の首を切つて、警察だとか、あるいは警察予備隊とか、あるいは特審局、海上保安庁、あるいは刑務所の吏員、こういうものは全然減らさない、これが吉田内閣の政策と考えていいのですか。
  434. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 行政整理をやりまして、まず第一に、それを減税とベース・アツプにまわしておるのであります。治安の関係の問題につきましては、御承知の通りソビエト・ロシヤの世界平和に対する脅威を中心といたしまして、民主主義の世界がこれに対抗するために防衛措置を要するのは、今日世界の常識だと思います。
  435. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、首切りの責任はソビエト・ロシヤにあるということに解釈していいわけですか。
  436. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 それは別であります。ただいま申し上げましたように、われわれは行政費を節減して、まず減税とベース・アツプに充てるということであります。ただついでにお話のありました治安関係の問題については、治安を増強せざるを得ないということを申し上げた次第であります。
  437. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 林君、もう大分時間が超過しました。なるべく簡潔に願います。
  438. 林百郎

    ○林(百)委員 減税に充てるということですが、本年度はむしろ四十三億出過ぎております。もし国家の役人の数が多過ぎるから首を切つて、国民の負担を減らすというなら、警察予備隊に百五十億ふやし、国家警察に三十七億ふやし、特審局には一億から十億ふやす、こういうのを軒並に整理なさつたらどうなんです。平和的な産業、郵便だとか電信だとかあるいは医療関係だとか、労働関係だとか、こういうわれわれ国民の平和的な生活を保障する面の役人は首を切つて、警察予備隊に百五十億ふやし、国家警察で三十七億ふやすとかいうことは、減税どころかむしろ増税になる。あなたの考えておる行政整理というのは、要するに日本機構国家警察的、軍事的な機構に切りかえるための行政整理じやないんですか、ほんとうの考えは。もしそうでないというなら、そうでないということの説明を聞きたい。
  439. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 林君にお答えをいたします。世界最大の軍事警察国家のソビエト・ロシヤの脅威がなくなつて日本の予備隊とか警察の経費が節減をされたならば、国民はどんなに楽になるかと思います。
  440. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、ソビエトの脅威があるから、こういう平和的な方面の職員の首を切つて、警察や軍隊をつくる。要するに今度の行政整理の責任は、ソビエトにあるというのがあなたの考えだというようにわれわれは解釈せざるを得なくなるのでありますが、ここであなたと人生観や世界観の争いをしてみてもしようがない。一体ソビエトのどこに侵略の危険があるかということを私は言いたいが、そういうことをここであなたと高邁な理論を展開してもしかたがありません。そこで公務員の首切りに際して大阪特別調達局では、最近庶務課から、旧日本帝国軍人で尉官級の職員に対し、警察予備隊の幹部になつて出て行く者はないかと調査をされている。希望者は申し出るように勧められているというのですが、行政整理をしながら、その首になつた人たちを今度は警察予備隊の方へできるなら入れようというのが政府方針ですか。これは大阪特別調達局では現にこういうことをやつておるということを報告しているわけであります。
  441. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 格別御返事をする必要もないと思いますが、その新聞記事は、政府の何ら関知せざるところであります。それから繰返して申し上げまするが、われわれが行政費を節減する第一の目的は、減税をして国民の負担を軽減することと、公務員諸君の給与べースの改善をすることで、それをまず第一に行政費の節減に求めなければならないと考えております。治安関係の経費は別問題であります。
  442. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 林君、時間が超過しましたので……。
  443. 林百郎

    ○林(百)委員 治安関係を別にして、それで予算を減らすといつても、実際は予算を減らすことにならない。現にあなたの方から出ている説明を見ましても、警察官は全然首を切つておらない。特審局についてはむしろ拡張する必要があるので整理がない。刑務官は整理しない。検察官は整理しない。海上保安庁については減員を行わない。あなたは減税だとか何とか、国民の耳ざわりのいいようなことを言つておるけれども、平和的な国民の生活を十分保障し、国民の安定をするような方面の公務員を首切つて、こうした警察だとか、警察予備隊だとか、特審局だとか、あるいは刑務官吏だとか、検察官だとか、こういう方面に金をまわすために、また来年度は駐屯費として二千億の金――私は今ちよつと計算してみたのでありますが、日本の九十万の役人に月に手取り一万円の金をやつても一千億円です。ところが来年度は、国防分担金として二千億も負担しなければならない。要するに警察だとか、軍隊だとか、こういう方面に金をまわし、人をまわすための行政整理だ、これをはつきり正直に言つたらどうです。現にあなたの説明書を見ると、警察、刑務所、検察官、特審局あるいは警察予備隊、海上保安庁、こういうものは全然減らしてない、むしろふやすといつている。これでは口では減税だとか何とか人聞きのいいようなことを言つておるが、実際はあなたの考えの中には、かつての東条が考えたような軍事的日本行政機構を切りかえるのだということがあるのではないか。これがあなたのほんとうの考えだということを正直に言われたらどうですか。私はあなたが答弁するしないはあなたの自由にまかせますが、あまり国民を欺瞞しないで、あなたの東条的イデオロギーをはつきり言つたらどうです。
  444. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 中原健次君。
  445. 中原健次

    ○中原委員 まず最初に橋本長官もあるいは保利労働大臣も、首切り後のいわゆる失業者の受入れ態勢のことについて、主たる対策は、臨時職業補導施設をもつて臨むというふうに言われておるし、またそれを承認しておられるように考えます。同時にまた所属官庁のできるだけの世話、あつせんによつてこれを解消する、さらにまた職業のあつせんのために求人開拓に努める、こういうことが今までの答弁の中から拾い上げられて来るわけであります。そこで私はまず最初に一つの矛盾にぶつつかるのでありますが、たとえば職安の機能が今度の整理に伴つて一層忙しくなるのではないかということが予想されるのであります。しかるに職安関係中央地方を合せまして千名に近い人たちの整理が上げられておることを見るときに、その間に一つの矛盾が出て来やしないかと考えるわけであります。このことについて労働大臣の御見解を聞いておきたい。
  446. 保利茂

    ○保利国務大臣 さつき受田さんにお答えいたしましたところで御了解が得られると思うのですが、職業安定所の関係は、人員減としては、労務加配の関係が補正せられますれば、一万一千名以上に対しまして、二百名くらいになると思います。実際の人員関係には影響はないと考えます。
  447. 中原健次

    ○中原委員 それから職業補導施設によつて、いろいろ職業補導がなされるという御計画のようでありますが、その職業補導に主としてどういう方面の職種が選ばれて行くかということにつきまして、これは御答弁をまつまでもなく、斎藤職安局長から自動車の整備、電気メツキ、板金、機械等々のものが指摘されておりまするが、こういう仕事は実際をいいますと相当熟練を要する仕事なんです。そう簡単にこの仕事が一人前に仕上げられるということはむずかしいのでありますが、そのことはともかくといたしまして、こういう職種の中へ指導がどんどん持ち込まれて行くということの結果として、その人たちがどういう工場に紹介され、就職することができるようになるのか、このことについて御見解を承りたいと思います。
  448. 斎藤邦吉

    ○斎藤(邦)政府委員 お答え申し上げます。先ほどお話になりましたような職種について補導をやるのでありますが、そうした職種を選びましたのは、現在公共職業安定所の窓口に現われておりまする労働市場において、そういう技能者の求人がありながら、実はこれに見合つた就職者がないということで、せつかくありました求人に見合う人がいないという状況でございます。すなわち労働市場の要求する技能者がない、こういうようなことから、そういう職種を選んだ次第でございます。
  449. 中原健次

    ○中原委員 ところが実際にはそういう職種は、大体最近の傾向から考えますと、たいていの場合、これは臨時的な需要、すなわち臨時的な求人ということになつている場合が多いのであります。従つてその職種から来るのにこたえた、いわゆる就職者はほとんど安定した条件を確保することができない、こういうことになるのであります。従つてその人たちがせつかくどこかへ就職されたといたしましても、それが恒久性を持つことができず、しばしばそれは臨時的なきわめて不安な状態の中で終始させられる。遂には行き場がなくなつて来る、こういうような結果に陥る場合が多いことを私どもは予想し得るのであります。こういうことについて、過去のいろいろな経験の中からどのような実証が上つて参りますか、それについての労働省当局としての御調査でもあれば伺いたいと思います。
  450. 斎藤邦吉

    ○斎藤(邦)政府委員 お答え申し上げます。ただいまそうした資料を持ち合しておりませんが、必ずしも臨時的な期間だけ雇われるような職種だけといつたようなことは考えておりません。
  451. 中原健次

    ○中原委員 このような実に大量の人員整理をいたします場合に、当該官庁の責任者の諸君が最も心を用いなければならぬことは、このような人たちがほんとうに将来どのような方向に安定の道を求めて進んで行くかということに対する真剣な考慮がなければならぬ、このように思うのであります。もとより言葉の上では非常にその点についてもいろいろ配慮がされておるかのように表現されておりますけれども、問題はそういう言葉の上のことではなくて、現実にその生活自身と密接に結びついた問題でありまして、従つて実際に結びついた生活の実態、状況というようなものが見通されなければ、非常な危険が伴うて来るわけであります。従つてこの失業者に対する受入れ態勢としていろいろ当局から説明のあつたところでありまするが、それにもかかわらず、その並べられましたそれらのいわば受入れ態勢そのものが、私どもから考えますと非常に不安である。不安であるばかりか、過去の経験から言えば、まつたく逆なことが結果としては現われて来ておるように思われるのであります。従いましてまつたく逆な結果が現われて来るということが、過去の経験の中から実証されるならば、これはまことに恐るべき一つの政策でありまして、このような場合に、当局者は少くともあらゆる角度から問題を検討して、ほんとうに適切なる道がこのために選ばれなければならない、このように思うのであります。過去の実情につきましては、私はここに一つの――これはこの前の二十四年の場合における整理の結果現われました現象なんですが、そのことをあなたの方の資料でひとつ読んでみます。こういう結果が出ておるのであります。これは整理後七、八箇月を経過いたしました後の否定すべからざる現象なんです。「失業者の中にも、失業期間中就職した事実のあるものがかなりあり、これらは再び人員整理のため解雇されたり、あまり給料が安いために退職したり、仕事がなくなつて失業したりしているものが大半をしめていることによつても、再就職者で群小企業に就職したものの不安定な様相はうかがうことができる。離職後ただちに就職を見出したものを除いて、就職条件は次第に悪化している。失業保険金受給終了期に一時低劣な条件の再就職者が見られるが、再び就職状況は悪化を示している。同時に長い就職活動ののち、就業に対する熱意を失い、あきらめをもつて労働力に脱落したもの、労働市場から影を没しているもの、長い失業生活の後病気で倒れるもの、あるいは犯罪者、夜逃げ、家出人を若干まじえる労働階級の下積みが現われ始める。就業者の中には、臨時日雇、自営業を多く含んでいるが、これらはきわめて不安定な就職状況を示し、特に人夫やコツク、配達人、雑役夫、進駐軍関係等に就職している臨時、日雇従業員に、他のより安定した就職を希望し、求職活動をしているものがかなり見られる。自営業の中にも、紙芝居屋、焼いも屋、土工請負、ブローカーなどをしているものに、賃金労働者として他の求職活動をしているものがかなりある。これはあなたの方の報告書の一ページの部分でありますが、おそらくこれは間違いないと思います。私ども現実の生活の中から、われわれの身のまわりを振り返つて見ますると、こういつた状況が多々あるのであります。従つてそういつた状況が多々ある場合に、しかも今日のわが国内の経済事情を考えてみますると、もとよりこれは政府の政策に支配されておるところでありまするが、中小企業あるいは平和産業、こういう方面の企業はまつたく成り立たない状況にどんどん追い込まれて行つておるわけであります。金融だとかあるいは資材の配慮だとかいうようなことが、言葉の上では言われておりまするものの、実態はまつたくそれに反しておる。そういう現実が目の前に展開しておるわけでありまして、そういう場合に、これらの失業者諸君が、おそらくおもむくところはただいまの報告書の中に現われましたような、そういう結果を私どもは今否定し去ることがむずかしいように思うのであります。そこでせつかくここにいろいろな曲折を経て御提案になられた定員法人員整理のこの方針は、橋本長官のいろいろな説明にもかかわらず、われわれはこの際もう一度考え直す必要がある、このように考えるのであります。しかもわれわれの調査いたしました範囲では、決して冗員を生じておる部分がそれほどたくさんあるわけではない。きわめて小部分のところでは幾らか配置転換等を要するような部分がないとは申しませんけれども、全面的に見ますると、先ほどからもいろいろな質問者によつて指摘されましたごとくに、むしろかえつて増員をさえ必要とするような官庁が多々あることを思うときに、この定員法の作成は慎重に慎重を重ねられたようには、いろんな報道を通じて承りますけれども、私は必ずしもそうではない。やはり先ほど橋本長官が指摘されたような、妙な政治的な考慮がそこに多分に含んでおるといたしますならばなおさらのこと、これを大局的に問題をあらためて検討しなければ、うつかりこういう定員法を押しつけて行くということは、大きな国家的なあやまちになるのではないかと私どもは思うのであります。ことにこれはちよつと必要でないと思いますけれども、一応つけ加えますが、ソ同盟にしましても、中国にしましても、これはまだわが日本といたしましては、当然講和を締結すべき対象国となつておると考えるのであります。これを敵国なりと初めから規定してかかるようなことは、ちよつと行き過ぎではないか。橋本長官は青年ゆえに血の気が多いと思いますけれども、これはちよつと行き過ぎだ。こういうことをこの席上で放言して毒づくがごときは、これは厳に慎しまるべきではなかろうかと私は思う。これは一言つけ加えるにすぎませんが、いずれにいたしましても、このような政府の報告書から考えましても、うつかり首切りなどというものはできないものであるということを私どもはしみじみ考えるのでありまして、この点につきましては、これは労働大臣から特に、このような過去の経験と今回の首切り後における展望との間に、どれだけの相違点があるか、今度は絶対にそういうことはないということが言い切れるのか、それともやはりそうであるかもしれないという不安を持ちながらであるか、この点について労働行政の立場から一応の御見解を承つておきたいと思います。
  452. 保利茂

    ○保利国務大臣 好んで人員整理をやるというような者はおそらくおらぬわけですけれども、しかし先ほど橋本長官が言われておりますように、一方において行政費の節約による国民負担の軽減ということは、全国民的要請であろう。その国民的の要請に基いて行政改革の一環として人員の、余剰人員整理、これはまた余儀ないことである。しかしながら、もとより今日やるといたしましても、それはさらに多々ますます多いほどいいことは、その面からすればいいにきまつておりますけれども、そこで前回の場合は、ちようど経済九原則による安定政策が強力に推進せられて、民間におきましても、ちようど経営合理化ということで、相当整理も多い時期であつた。二十四年当時の経済状況と今日の経済状況とは、これは中原さんもおそらく、全然趣を異にしておるという実情は御認識であろうと思います。しかしながら、それでは先ほど申しましたような施策でもつて十分であるかと言われれば、これは何人といえども、今日一人漏れなく十分ということは言い切る勇気はないと私は思う。しかしながら先ほどお話のように、わずかばかりの補導施設の予算をもつてして、これで十分か。しかし私ども職安行政に携わつている者、あるいは民間の関係者の、要するに退職者に対する理解と同情と真心を加えなければ、少々の金をかけた施設をしたからといつて、それで事が解決するものではない、そういう意味におきまして、誠心誠意全力を上げて対処して参るつもりでおります。
  453. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 中原君、時間も大分おそくなりましたので、なるべくひとつ簡潔にお願いいたします。
  454. 中原健次

    ○中原委員 次に産業戦線という文字がこの委員会の記録の中で出て来る。従つて産業戦線に向つて失業者の諸君を転換させて行こう、こういう試みのもとに職業補導をなさるということはわかるのでありますが、たまたま私はここに妙な文書を発見したわけです。しかもその文書の指さしているところが、職安局長の指摘されました職種などと非常に関連性が深いので、ちよつと私自身として気をまわすわけです。四、五行ですから読んでみます。これはどういうものかといいますと、日産協の文書ですが、その中に、「日本及びその周辺に駐屯する米軍の軍需物資を生産供給する、これは朝鮮動乱に伴う特需の延長としての性格を有し、当面は軍需部品及び補助軍需物資の生産、修理、サービス等の提供が中心となる。その次は、「日本以外の極東諸地域に駐屯する米軍の軍需物資調達に応ずる。」第三は「米国を中心とする太平洋諸国の安全保障協定と表裏の関係において、これら諸国の必要とする軍需物資の一部生産供給にあたる。」大体以上のように三つの問題を目ざして今後の協力態勢を強化して行く、こういうことがたまたま日産協の文書で出ておるわけであります。これは決して祕密文書でも何でもない。日産協の文書なんです。そういうものがあることを指摘し、しかもたまたま今回の大量整理等に伴うて、その受入れ態勢として機械関係の職業補導に相当な重点を置く、こういうこととにらみ合せて考えますると、あるいは中小企業もすでに問題じやない、平和産業も壊滅に瀕しておる、この経済事情は御存じの通りのわけですし、そうであるならば、結局はこういうような方向へこの人たちを動員して行くということが予想されるわけです。しかし何でもいいじやないか、仕事があればそれでいいじやないか、こういうふうに一口に簡単に片づける人がもしあるとすれば、これは問題ではありません。しかしわが日本が、今後おもむくべき方向は、やはり平和な日本、こういうことだと思うのです。それでありまするならば、こういう方向へ動員される労働者の仕事というものは、平和とはまつたくうらはらの仕事に動員されて行く、これが予想されるわけです。しかもこれらの職種を動員するいわゆる軍需産業というものは、おそらくこれらの人たちを永久に臨時工として、臨時雇として使うことを最も都合よしとするであろうと考えます。そのことは情勢の変化につれては、簡単にまたもう一度首を切るということの必要を考えるからでありまして、これはどのような大工場にいたしましても、本雇いの人たちにこれを転換して参りますると、首を切ります場合に、相当費用がかかります。しかも首切るのに、はなはだ不便を感ずるので、簡単にさつと片づけるために、やはり臨時工であることが適切だと彼らは考えております。また今までの例から考えましても、特需、新特需以来、その関係工場の労働者は、たいてい臨時工である場合が多いのです。ことに最近臨時工の採用の数が非常に激増いたしておることにつきましては、今さら私が指摘いたしませんでも、主務官庁としての大臣並びに局長は御存じだと思います。こういう諸傾向が出ておるわけであります。そこで私が一つ心配いたしますのは、そういうような方向へ、何でも仕事さえあればいいではないかというので動員され、しかも安い悪条件の臨時工として、しやにむに引きずつて行くということになつて参りますると、いかに失業者といえども、特に官庁関係労働者諸君は、しばしば平和、独立、こういうことを主張して参りましたはずであります。従つて骨の髄まで平和を愛好する熱情に燃えておると思うのです。しかもその仕事の条件が、経済的には非常に劣悪であるし、また雇用条件が臨時工であるし、そういう不安定な条件をからみ合せて考えますときに、これらの首切られた人たちが、喜んでおもむくとは考えられない。あるいはまたそればかりじやなくて、それ以外の一般失業者も、それを求めるようになるであろうと考えまするが、そういう一つの産業軍の動員といいますか、労働者のそういう動員の態勢というものが、これから非常に重大な課題になつて持ち上つて来るのではなかろうか、こういうふうに私は思うのであります。私どもが非常に心配する一点がすなわちこれなんです。そうなつて参りますると、労働階級の、日本国民の願うところと相反した方向へ、しかも積極的に協力態勢を強化して推し進めようとするならば、当然労働者動員のためのきつい方針が出て来るような危険性がないと保証しがたいのであります。しかも先日来からの委員会のいろいろな質疑の中の答弁を調べてみますると、そういうにおいがやはり出て参るのであります。そこで私はこの問題について、政府がどのようにほんとうには考えておるのか、まつたくそういうことは夢にも思うておらないことなのか、このことを私は責任ある大臣答弁として承つておきたいと考えるのであります。しかしつけ加えておきまするが、私の仄聞するところでは、職安局あたりで何かそういうような構想が討議されておるということなんです。そうではないと一言にこれは否定なさると思いまするが、しかし一種の強制労務徴用のごとき恐るべき方針が、労働省所管内で論議されておる、ではなくてむしろ研究されておる。いやむしろそれがさらに進んで、もつと具体化されつつあるということさえ耳にいたすのであります。これは決して笑いごとじやありません。そういうことにもしなつて参りまするならば、日本の国民は自分の自由な意思によつて職を求めることが、その辺から許されなくなるでありましよう。しかもそういう場合に直面する日を予想するとき、この繰返し述べられました御答弁の中では、本人の意思に従つて、本人の技能に沿うて、いわゆる本人の自由のおもむくところにこたえるというような御答弁が繰返されておるやさきでありまするが、しかしながら私はそのいかようなるお言葉にもかかわらず、現実は非常に冷酷にも、とてつもない方向に動こうとしておることを憂えなければならぬと思うのであります。そういう問題に関しまして、大臣はどのようにお答えをいただくことができるか、私はこの際この点についての御答弁を求めておきたいと思います。
  455. 保利茂

    ○保利国務大臣 実はお答えのしようもないわけですけれども、どうも大分私の考えと違うのじやないかという気がするのであります。日本職業安定局におきましても、職業はあくまで本人の意思でございますから、その意思に反してどうこうする、すなわち労務統制をやろうというようなことは、私の労働省では毛頭口に上せたこともございませんし、いわんや研究しておるなどということは全然ないわけなんです。何か技術を習得して、そうして再就職の機会を得るにやすくし、しこうして将来の生活の安定を求めようとすることが、それが何か軍需産業へ労務動員する腹であるとかいうような御意見は、どうも私にはわかりません。御懸念のようなことは政府としては何ら考えておりません。
  456. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 中原君、もう大分時間も遅くなりましたので……。
  457. 中原健次

    ○中原委員 最後です。もうこれで終ります。その点はそのくらいにいたしまして、それ以上の御答弁を求めることは無理だと思いますので、私は最後に二つお尋ねして終ることにいたします。一つは労務賠償の問題です。これは平和条約の第十四条にあるあの条項でありますが、この労務賠償をどうせやらなければならないような結果が生れて来ると思います。もちろんその実際のあり方については、これはこれからの折衝の結果でありましようけれども、いずれにいたしましても、平和条約の中に明確に労務をもつて賠償するという項があるわけでありまするから、これについて、労務賠償の条件その他がわれわれの予想いたしますところでは、必ずしも人たるに値する生活どころか、労働再生産をするに足りるようなゆたかな賃金が約束されるように思わないのであります。従いまして、この労務賠償のために動員されることが将来必ず起るであろうことを思いまするときに、失業者がだんだんたくさんつくられて行くというこの国策というものが、そういう方向にもまた何かのつながりを持ちはすまいか。つまり労務賠償のとき、背に腹はかえられなくて、いかにそれが低劣な、劣悪な条件であろうとも、やむを得ず追従しなければならないというような結果を約束づけるためにも、やはりこの首切り整理、こういう問題が一つの前提条件として国策の中に考えられて来るということがわかるわけです。そういうことになつて参りますると、これはまた一大事なんです。ことにこの労務賠償の場合には、できるだけより低廉な労働を供給して行くというようなことに、当然これはなつて参りましよう。すなわちそのすべては国家財政との関連になつて参りまするので、ここにいわば犠牲が労働者にしわ寄せさせられて来るという結果が生れて来るように思えるのであります。このようなことについて主務大臣である労働大臣は、この労務賠償等の場合が起りましたときに、どういうような心構えとお考えを持つておいでになるか、これをひとつ承つておきたいことが一つと、もう一つは、これは橋本長官に最後に伺つておきたいのでありますが、整理の方法等についても、先ほどからいろいろ意見というより、むしろ論争が繰返されたようであります。私が気づかいますのは、なるほど国家公務員法の命ずるところに従つてばつさりやる、こういうことは言えると思いまするが、しかしいやしくも誠実を傾けて忠実なる仕事を続けて参りました人たちを首切りまする場合に、一方的な意思でかつてにばさばさと切れるものではないと思うのです。従つてそういう場合には、やはり組合というものが、各官庁にも組織されておるはずでありまして、組合の意向というものを当然尊重し、かつ組合との協議の結果、そのような整理という問題は取扱われなければならぬのではなかろうか。国鉄あるいは全専売等におきましても、労働組合との間における団体交渉の結果として結論を出すというようなことを伺つておりまするが、やはりこの両公社を除く一般公務員諸君の場合といえども、同様に労働組合の意向というものを十分付度し、かつ労働組合との対等の関係における自由なる協議において、この問題が審議されなければならぬのではないか、このように私は思うのであります。従つて退職を決定する場合の方法として、このことを橋本長官はどのように考えておいでになるか、これをこの際承つておきたいと思います。
  458. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 先ほどお答えをいたしましたが、今回の整理にあたりまして、まず第一に考えなければならないことは、やはり自発的な退職者を求めることであります。一般の退職金の規定に対しまして八割増しというものは、相当大きな金額になります。今回は退職金に課せられる所得税もずつと軽減せられまするので、二、三十年勤めておつた人には数十万円になるかと思いまするけれども、いろいろな面で、人々によつて退職する事情も違いまするし、なるべく自発的退職を歓迎するということが、一番大切でありまして、これでどれくらい行くか、そのときどきの事情によつて違うと思います。組合との間の交渉によつてきめるというふうな趣旨のことをやるというつもりはございません。やはり任命権者におきまして、それは事実上それぞれ部内で相談もありましようけれども、省庁の事情によりまして、いろいろなやり方があろうと思うのであります。一律に退職基準というようなものをきめることが何か非常にいいようなお話でございましたけれども、私は退職基準というものを閣議できめて一律にやる方が、むしろ非常に無理がある。むしろその方がばつさりやるという言葉にふさわしい結果になるんじやないかと思つておるのであります。役所の中のおちつきということを考えますると、人員整理するようなことも、衆目の見るところ、ああいう人が退職して、こういう人が残つたということがもつともでなければ、決して省内の規律なり安定なりというものは維持して行けるものではございませんので、私はむしろ整理基準といつたようなものを設けることなしに、省庁の事情にまかせる方がけつこうであろうと思います。今回の整理にあたりましても、実際整理者と直接話合う衝に当るところの事務次官なり官房長なりとも、八月以来何べんも会見いたしまして、そういう問題についても練りましたけれども、異口同音に、そういう意見でありまして、むしろ整理基準というものを内閣できめるというようなことはせぬ方がいいというようなことでありました。
  459. 保利茂

    ○保利国務大臣 賠償の問題は役務賠償ということになつておりますが、これは賠償協定ができた上でないとわからないのでございます。なるほど十四条に役務賠償と書いてございますが、こういう賠償関係に従事する者が、何か苦役にでも使われるような連想をせられておるのではないか。かかる賠償は全国民で、国家の負担において行われる。しこうしてそれにかかわる労働者の方は、一般国内法によつて何らかわるところなく保護せられて行くということは当然のことであろうと思う。そういうふうに解釈いたします。
  460. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 これにて連合審査会を終ります。散会いたします。     午後八時四十九分散会