運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-14 第12回国会 衆議院 内閣委員会外務委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十四日(水曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 木村 公平君    理事 江花  靜君 理事 船田 享二君       田中 萬逸君    松本 善壽君       山口六郎次君    松岡 駒吉君       加藤  充君   外務委員会    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 竹尾  弌君    理事 山本 利壽君       菊池 義郎君    並木 芳雄君       黒田 寿男君    林  百郎君  出席政府委員         外務政府次官  草葉 隆圓君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     高野 藤吉君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君  委員外出席者         外務事務官         (政務局総務課         長)      高橋 通敏君         外務事務官         (国際経済局第         二課長)    永井三樹三君         内閣委員会専門         員       亀掛川 浩君         内閣委員会専門         員       小關 紹夫君         外務委員会専門         員       村瀬 忠夫君     ————————————— 本日の会議に付した事件  外務省設置法案内閣提出第二〇号)     —————————————
  2. 木村公平

    木村委員長 これより内閣委員会外務委員会連合審査会を開きます。  私が連合審査会委員長を勤めます。  これより外務省設置法案につきまして、提案理由説明を求めます。草葉外務政務次官
  3. 草葉隆圓

    草葉政府委員 外務省設置法案提案理由を御説明申し上げます。  すでに御承知通り、本年九月八日にサンフランシスコにおきまして、大多数の連合国わが国との間に平和條約が調印いたされましたが、これによりましてわが国は近い将来におきまして、主権国家として国際社会に復帰いたしたわけであります。従いまして政府といたしましては、外交関係再開のため、鋭意諸般の準備をいたしておる次第であります。加うるに平和條約によりまして、わが国の義務とせられております諸問題、たとえば賠償、漁業、連合国財産補償等、このうちのあるものにつきましては、すでに発効前の現段階におきましても、関係外国との下打合せが開始されておる状態であります。従いまして外務省事務内容が、量と質とにおきまして急激に変化して参りました関係から、従来の機構をもつていたしましては、これに対処することは非常に困難となつて参り、新時代に即応いたしました機構に改めまして、現在の事務遂行に遺憾なきを期しますとともに、近い将来の正式の外交再開に備えんとする次第でございます。  以上がこの法律案提案いたします理由でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 島津久大

    島津政府委員 外務省設置法案内容について概要を御説明申し上げます。  本法案は、現行外務省設置法を廃止して、全面的に本法案をもつてこれにかえようとするものでありまして、形式的には全文改正の形をとつておりますが、内容的には、改正主要点は、外務省機構に関するものであり、外務省任務権限等規定は、多少の技術的な修正を除いては、従前通りであります。  改正されました点は、局の編成の変更、特別な職の設置地方連絡調整事務局の縮小、在外公館に関する規定及び在外公館長に対する官邸の貸与の五点に帰するのでありまして、以下この五点について御説明申し上げます。  まず改正の第一は、局の編成を変更しようとすることであります。従来外務省内部部局は、大臣官房のほか、政務局国際経済局、條約局、調査局管理局及び連絡局の六局並びに情報部からなつておりましたが、今回は、官房のほかに、アジア局欧米局経済局、條約局、国際協力局及び情報文化局の六局を設けました。すなわち、政務局調査局管理局及び連絡局が廃止され、アジア局欧米局及び国際協力局が新たに設けられ、情報部及び国際経済局名称をそれぞれ情報文化局及び経済局に改めるわけであります。  この改正は、まず第一に、従来政務局で行つておりました政務の処理、調査局で行つておりました調査事務管理局で行つておりました在外同胞保護等事務を、戦前のように地域別に行うことによつて有機的なものとするため、アジア局欧米局を設けましたこと(第八條及び第九條)、次に第二に、従来條約局の一部で行つておりました国際協力関係事務を一局に独立させまして、平和後の国際社会における国際協力の促進に十分な準備をいたすこととし、これに当分の間、従来連絡局で行つておりました総司令部との連絡事務を行わせることといたしましたこと(第十二條)、最後に第三に、従来政務局情報部で行つておりました情報文化活動を一局で行わせることにより、平和回復後における情報活動、さらには文化国家としての文化外交に備えて今から準備を固め、遺憾なからしめようといたしましたこと(第十三條)であります。  次に、改正の第二は、外務省に特別な職として、官房長次長顧問及び参与を置こうとすることであります。  この改正は、まず第一に、前述のとおり政務局が廃止されるごとによりまして、従来政務局で行つておりました外務省所管行政総合調整事務は、改正後は、大臣官房が行うこととなりますので、官房官房長を置いてその統括を行わしめることといたしましたこと(第六條第一項及び第二項)、次に第二に、経済局次長を一人置きまして、ますます複雑に、ますます活発になつて参りました経済外交事務に、人的にも万全の準備態勢を整えることといたしましたこと(第六條第三項及び第四項)、最後に第三に、本省顧問及び参与を置きまして、戦後の空白時代を経過して新たに国際條裡に出て参りますわが国外交に、各方面意見を十分反映して、正しい平和外交遂行に努力することができるようにいたしましたこと(第六條第五項及び第六項)であります。  改正の第三は、地方にあります連絡調整事務局を整理して行政簡素化趣旨に沿おうとするものであります。  この改正は、従来十一箇所に設置されておりました地方連絡調整事務局を六箇所に整理いたしまして、占領行政の縮減に呼応し、占領の完了までの間、連絡事務を能率的に行おうとするものであります。このため、関東東海北陸神戸中国及び四国の五つの事務局を廃止して、関東連絡調整事務局事務横浜連絡調整事務局に、東海北陸神戸中国及び四国の各連絡調整事務局事務大阪連絡調整事務局に統合いたしました(第十九條)。  次に、改正の第四は、在外公館に関する規定を具体的に、かつ詳細に規定しようとすることであります。  この改正は、従来、在外公館につきましては、第四章において従前の法令の定めるところによるとしておりましたが、いよいよ在外公館設置も間近に迫つて参りましたので、第四章の規定を根本的に改め、在外公館設置についての法律的根拠を明確にするため、在外公館設置根拠(第二十二條第一項)、種類(第二十二條第二項)、所掌事務及び権限(第二十三條)、名称及び位置(第二十四條)、在外公館長(第二十五條)等を定めることといたしました。すなわち第二十二條におきましては、その第一項におきまして、在外公館外務省機関であることを明確に定め、日本の国外に置かれます政府公館は、すべて外務省機関としてその任務遂行することといたしました。また第二項におきまして、在外公館種類を掲げ、これを大使館公使館総領事館領事館総領事館分館領事館分館名誉総領事館及び名誉領事館の八種類とし、現在在外公館として設置されております日本政府在外事務所につきましては、その性質上臨時的なものでありますので、これを附則に譲り、第二十二條には本来の意味での在外公館種類を掲げたのであります。  第二十三條におきましては、在外公館所掌事務及び権限を定め、その所掌事務は、本省所掌事務同一とし、ただそれらを外国において行うという点に特色があります。また権限につきましては、在外公館性質上当然のことでありますが、すべて條約、その他の国際法上の根拠に基いて与えられた権限を持つこととなるのでありまして、国際慣習法上の権限国内法において立法化されたものをも含めしめるため、第二十三條には、條約、確立された国際法規及び法律に基いて在外公館に属せしめられた権限を行使すると規定いたしました。  第二十四條におきましては、在外公館設置法律によつて明らかにされていることが望ましいことでありますので、原則として在外公館名称及び位置法律で定めるごととし、これを将来在外公館設置の問題が具体化して参りましたときの法律に譲り、第一項にその旨を定めました。しかしながら在外公館設置がまつた相手国政府との合意を前提としております関係上、いつどういうときに設置の必要が生ずるか予測できないことでありますので、国会閉会中であり、かつ非常に急を要しますときには、予算の範囲内で、政令をもつて在外公館を増置し得るように、第二項で規定いたしました。第三項におきましては、ただいま申し上げました理由と同様、相手国政府との交渉いかんによりまして、急に領事館公使館に、公使館大使館にというように、その種類を変更しなければならない事態が発生することが十分予想されますので、こういう場合において、国会閉会中であり、かつ非常に急を要しますときには、政令をもつて在外公館種類を変更し得ることといたしました。この点は、現在日本政府在外事務所設置法において規定されているものと、大体同一規定であります。  最後に、第二十五條におきましては、在外公館長について規定いたしました。これは御承知通り在外公館が、外国におきましてはわが国を代表する政府機関でありまして、その長はわが国を代表するにふさわしい資格を有していることが必要であります。従つてこれを明らかに法律規定いたし、第一項におきましては、在外公館には必らず在外公館を代表する在外公館長を置くという根本原則規定し第二項におきましては、総領事館及び領事館分館を除くすべての他の在外公館の長の官名を定め、大使館公使館総領事館領事館名誉総領事館及び名誉領事館の長は、それぞれ特命全権大使特命全権公使総領事領事名誉総領事名誉領事という官名を必ず持つていなければならないとしております。これは国際慣習法上当然のことともいえるのであります。第三項におきましては、在外公館長任務規定いたしまして、在外公館長が、外務大臣の命を受けて、当該在外公館事務を統括する任務を有することを定め、第四項に生きましては、在外公館長に事故があつたり、在外公館長が欠けた場合において、その職務を代理する者をあらかじめ定めておいて、在外公館長がいなくなつて在外公館事務が統括されないような失態の生ずることを、未然に防止しているわけであります。  なお、現行法第二十一條に規定されている大、公使任免について天皇の認証を要するとの規定は、外交官領事官身分関係に関する法律に一括規定するを適当と認め、本設置法案から削除いたしました。  以上が在外公館について規定いたしました第四章の大要でありますが、現在設置されております日本政府在外事務所につきましては、先ほど申し上げました通り附則に譲りまして、当分の間、外務省機関である在外公館の一として、日本政府在外事務所設置し得る旨をその第三項に定め、その法的根拠は、従来制定されております日本政府在外事務所設置法による旨を第四項に定めたのであります。  最後改正の第五として附則におきまして、在外公館長にも公邸を無料で貸与し得るように国家公務員のための国設宿舎に関する法律改正いたしました。これは、在外公館長十分任地で執務できるよう、生活條件を改善しようといたすものであります。
  5. 木村公平

    木村委員長 これより質疑に入ります。質疑通告順にこれを許します。守島伍郎君。
  6. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 私の質問はきわめて事務的のこと、しかもごく大体のことなのでございますが、外務大臣がおられませんから、御答弁がむずかしい点があるかもしれませんが、その点はお答えにならなくてもよろしゆうございます。その点は、私ども希望として外務省は頭の中に入れておいていただきたい。なおお答えできます点は、簡単でよろしゆうございますからお答え願います。  私は今度のこの設置法は、平和條約の効力が発生いたしましたあとには、当然また修正されるだろうと思いますが、さようでございますか。
  7. 島津久大

    島津政府委員 考え方といたしましては、大体今日の段階相当将来まで続く機構として考えたのが、今回のこの提案でございまして、今度御承認を得ましたならば、できるだけこの機構で続けて行きたいという趣旨でございます。しかしもちろん條約の効力発生以前と以後とにおいては、違つた面も出て参りますので、次の国会で所要の修正をお願いすることにもなろうかと存じますが、しかし大綱は大体この方針で行きたいという考え方であります。
  8. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 私は、大体はこれでよろしゆうございますが、効力発生後はいろいろまだかえなければならぬ点があると思います。そこで私の質問は、修正されるものという考え方で御質問するのであります。  まず第一に御質問したいことは、顧問及び参与制度、これは今まで外務省になかつた。これがうまく運用されればたいへんいいものでありますが、運用を誤るとたいへん弊害がある。ですから一つお聞きしたいと思いますが、今度の顧問及び参与というものはどういう地位のものであるか。さらに詳しく申し上げれば、公務員であるかどうか。それから階級はどうであるか。たとえば大使級人間だとか、公使級人間だとか、そういうような階級おつけになるのかどうか。形式的にはおつけにならないとしても、実質的にはおつけになるのかどうか。もう一つは、国会議員顧問参与になる、そういうことをお考えになつておるかどうか。それをひとつお聞きしたいと思います。
  9. 島津久大

    島津政府委員 顧問参与制度につきましては、大体これは通常一般公務員という意味ではございませんので、それぞれその本職を持たれておる方で、平たく言えば、外務省として御援助も願うしお知恵も拝借する、そういう考え方でございます。大体顧問は社会的にも第一流の方、参与はどちらかと申しますれば、比較的専門の知識を持たれておる中堅どころと申しますか、そういうことを一応は考えております。しかしこれはきまつた地位とか、あるいはきまつた俸給を差上げるという趣旨ではございませんので、そのときによりまして選択する考え方もかわつて参ろうかと思います。国会議員顧問参与にお願いするということは、さしあたり考えておりません。
  10. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 それではお尋ねしますが、そういたしますと、そういう顧問参与に対する外務大臣監督権というものは、どういうことになりますか。その点をお尋ねしたい。
  11. 島津久大

    島津政府委員 顧問参与いずれも通常役人ではございませんので、いわば諮問機関というようなものでございます。従いまして通常の下僚に対する監督という関係には立たぬと思います。
  12. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 そうすると、任免はどういうことになりますか。外務大臣がかつてにいつでもできるわけでございますか。そうしていつでもやめることができるわけでございますか。
  13. 島津久大

    島津政府委員 そういう手続になると思います。
  14. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 この外務大臣監督もできない相当大物をお入れになるということは、いいときは非常にいいのですけれども、これは非常な弊害がありますから、これ以上私は申し上げませんが、よほど御注意なさらなければならないと思います。  それから今外務省にそういう制度があるかどうか、はつきり私は記憶いたしておりませんが、昔は待命外交官制度がありました。これは今ございますか。またなければ将来回復されるおつもりでございますか。これをお尋ねいたします。
  15. 島津久大

    島津政府委員 先ほど説明の際にもちよつと触れました点でございますが外務省職員身分関係につきましては、この法案では触れていないのでございます。これはまた別に法律規定する必要があると思います。待命外交官というような制度についても、これは当然考慮されることと考えております。
  16. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 実は待命外交官というものは、私も待命外交官をして非常に外務省でやつかいになつたこともありますが、考えようによつては非常に弊害のある制度でございます。ことに大公使外国から入つて参ります。そうすると待命外交官制度がありますと、そこの中に入つてしまつて、この待命の期間は今度どうやるか存じませんが、昔は三年間でしたが、その間ぬるま湯の中に入つてつてなかなかやめないという弊害がある。この待命外交官制度はよほど考えなければならぬ。私ども考えといたしましては、普通三年間くらい公使なり大使をした人は、当然やめなければならない。これは私の観念です。ところが過去においては待命外交官制度が濫用されまして、もう当然やめなければならないような人が、役人は実際にやめておるにもかかわらず、二年も三年も外務省のめしを食つて、つまらぬことに干渉する状態であつた。その点はよほどお考え願いたい。これは外務大臣が意思が強ければ、どんどんやめさせることができますが、昔からの友達というようなことで、なかなかやめさせられぬというようなことで、その点は今お考えになつておらぬかもしれませんが、ぜひひとつ御記憶になつて、そうして外務大臣お話になつてよくお考え願いたい。参事官以下のもう一ぺん出る、ちよつと待たしておくというものは、まあよろしゆうございますが、その点はよくお考え願いたい。  それから今度は待命外交官のうちの大公使相当地位一流のもの二流のもの、これと顧問との関係がなるか。私どものの考えによりますと、一面においてはこういう待命外交官というものは、顧問参与として非常に利用できます。さつきから申します通りに、帰つて来て漫然とおるものは困るが、しかしながら今度顧問参与として使う場合には、あるいは私の方から申し上げるのは何でございますが、しろうとの方よりは、ある場合においては非常に役に立つ。そこで顧問なり参与待命外交官、ことにその中の大公使との関係をどういうふうにお扱いになるか、その点を御質問いたしたい。
  17. 島津久大

    島津政府委員 ただいま待命の大公使で十分使えるものは、使つた方がよろしいという御意見でございます。まことにごもつともと思うのであります。そこでそれらと顧問参与との関係になるわけでございます。これはごく実情を申しますと、これから先しばらくの間は、そういうような待命者顧問なり参与のような機構を果してくださる方も当分は出て来ない。まあそういうことで外交再開の際に、外務省が再発足する場合にはこの顧問参与制度がぜひとも私は必要ではないかと考えております。その際に実際外交に経験のある人が、今お話のように顧問なり参与なりに出て来ることもあると考えております。もし将来先になりましてこれが二重になりましたり、ごたごたするというようなこと、これはその際になつてみないとわかりませんが、そういう弊害のないように、十分ただいまの御意見の点は承りまして、運営いたしたいと考えております。
  18. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 この点に関しもう一言申し上げますが、顧問参与をお置きになつて相当のものをお置きになる。これは将来の問題で、さつきから申します通りにもう一ぺん法規もかえなければならぬ、こう私は予想いたします。そうすると待命外交官制度ができて大公使が帰つて来る。私の希望によれば、そういう人はすぐやめてもらいたいが、その中で特に有能な人は待命外交官として、あるいは顧問参与として置く、こういうことになります。外務省の中に相当大物がいる。外務政務次官はこれをよほど考えておかなければならぬ。外務政務次官浮きつてしまう。あるいは浮き上らなくても離れてしまいます。外務大臣と非常によく行つておるけれども政務次官浮きつてしまうということは、ことに終戦後の今の日本の憲法の制度では、政務次官というものをよほど尊重しなければならぬ。その点はどうお考えになつております。お考えになつておらぬかもしれませんが、お考えになつているならばお話を願いたい。しからずんば私ども希望として、外務省の頭の中にとめておいていただきたい。
  19. 島津久大

    島津政府委員 実のところ政務次官に関するただいまの御意見の点は、私もあまり考え及ばなかつた点でございまして、この点は今後戦前と違いまして、外交関係につきまして国会との連絡その他で、従前より非常な違いがあると考えますので、ひとつ十分研究させていただきたいのであります。
  20. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 私の希望を申し上げますれば、顧問だとか参与の方が来られる。そうしますと一つグループができる。その中に法規的でなくてもいいけれども、当然政務次官も入れて常にリンクしておく。これをぜひやる必要があると思う。それからこの点について最後に関連してお尋ねいたしますが、今外務省審議室というものがございます。あれは法規の上の存在でございますか、そうでございませんか。
  21. 島津久大

    島津政府委員 外務省令できめております。
  22. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 これはお尋ねいたしますが、さらに将来存続されるお気持であるかどうか。私の意見から申し述べますが、私はこの審議室というものの内容を知つておりますが、利益の点もあるが弊害が非常にある。私は弊害の方がうんとあると思う。これはよほど考えなければならぬ。私といたしますればこれはやめた方がいいと思う。もしお置きになるとしたら、顧問グループだとか、あるいは顧問参与の団体だとか、あるいは昔の大公使、そういうものに付属さして、相当実務とつないで働かせるということになりませんと、あすこのところに置いておきますと、夜郎自大というかのぼせ上つたような人間もできます。この点はよくお考えを願います。あすこのところを、遊んでおつてほらをふくようなところにせぬように、お考えを願いたいと思います。その点についてもしお答えができまするならばお答えを願いたい。そうでなければそれでよろしいのであります。
  23. 島津久大

    島津政府委員 審議室運営を十分考えまして運営いたしたいと思います。ただいま御意見のように、待命外交官なりあるいは顧問参与等に付属さしたような形で運営することも、これまた私考うべきことと考えております。ただ審議室は、事務官と申しますか、事務当局クラスで、きまつた職場を持たないで、その都度あるいはその人について特別の問題を与えまして、それについて研究なり調査なりをしてもらうということが、やはり現在必要だと考えておるわけであります。御意見のように、弊害がないように極力努めて参りたいと考えております。
  24. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 私はあまり深いことは知りませんが、今の印象によれば弊害の方が非常に多いと思いますが、これ以上あなたを追究しませんけれども運営については、よほどよく外務大臣にもお話になつて、お使いになる必要があると思います。  次に研修所の問題についてお尋ねいたしますが、終戦前も研修所に似たような技術上の若い職員訓練する機関がございまして、終戦後はそれがよほど大きくなつて、公のものになり、内容も大きなものになりましたが、今の研修所運営を見ておりますと、語学を教えるという点は非常にいいと思います。なかなか向うに行けない人、あるいは向うから帰つて来て日本に長くいる間に語学を忘れるので、これを研修させることは非常にいいと思いますが、ほかの方面運営はどうも私には気に入らない。それはちようど研修所のできない昔の、若い人を訓練しておつたときは同じような訓練の仕方をしている。訓練をするならば、実務に結びつけることをよく考えなければならないが、まるで地から離れたような研修をしておる。このごろはそういうようにおやりになつておるかどうかしりませんが、ある時期にはやつてつた。昔やつていたと同じように、美術展覧会を見に行くとか、工場を見に行くとかいうようなことは、われわれは、試験を受けているときには、もう一応知つていなければならないのですから、私はそういうことをやる必要はないと思う。もう少し実務に結びつけて、ほんとうに外務省に使える人間をつくる、国家のために働く人間をつくるという精神のこもつたものにしなければならないというのが、私の昔からの考えであります。それで今どうおやりになつているかということは、御答弁はいりませんが、そういうふうにやつてもらいたい。そこで私の考えといたしましては、幸いにして今度顧問だとか参与だとかを新たにお置きになるのであるから、これと結びつけることが私は非常に必要だと思う。そうして待命外交官相当上の方の人、りつぱな人と結びつけて、ほんとうの外交官を養つて、技術ばかりでなく、精神まで養うということをやらなければならぬ。これは私の希望であります。少し演説になるかもしれませんが、実はほかの方にはおかしいことかもしれませんけれども、各団体がみんな精神をもつております。すなわち外務省精神でございます。とにかく公のためには私は全部捨てて一生懸命でやるという精神、そのほかにもいろいろなことがございますが、もう一つは秘密を非常に守る、めつたに無責任な発言をしない、こういうようないろいろな精神がございます。私は外務省を離れまして年寄りになつたから、年寄りの冷水とおつしやるかもしれませんが、私はどうもそういう点を感じます。そこでそういう点も結びつけまして、外務省の精神の復興という点で、顧問だとか参与も使う。待命外交官も先輩も使う。そうしてもう少し実務に結びつけた研修所とする。研修所は遊びに行くところじやない。今度講和條約ができましたあとで、あるいは今からでもいいですが、画期的にこういうようなものにしていただきたいと思います。必ずしも御答弁を求めませんが、御答弁がございましたら承りたいと思います。
  25. 島津久大

    島津政府委員 研修所のことは、私に少し及びますけれども、昭和二十一年でございましたか、私もしばらく研修所の仕事にも携わつたことがあるのでありまして、御意見のように、実務と結びつけて研修をやつて行くという方向は、私は大賛成でございます。ぜひともそうならなければならないと考えておりますが、実際の運営の上から申しますと、なかなかその点はたやすいことではないわけであります。外務省でもいろいろ苦心をいたしまして、また大臣もこの研修所運営には特に熱心でございますが、今後在外公館もできて参りますので、形はかわつて参りましようが、在外の若い人たちの訓練という点につきましては、本省にございます研修所の研修を合せまして、ひとつ全般の研修という気持で、運営して行きたいという希望を持つておるわけであります。これらの点につきましては、御意見の点はひとつ十分考えて行きたいと思います。
  26. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 お話がございましたが、私はある意味においては内々でございますから、これより以上追究したくないのでありますが、今のあなたの御答弁は、表向きの話しか話しておいでにならぬように考えます。今の外務大臣はたいへんこれがすきだそうでございますが、実は外務大臣は今の研修所をよく知らないのではないかと思います。これ以上は申しませんが、今の研修所みたいなものをお続けになるならば、高い金を使つて、月給を払つて役人を遊ばせておく必要はないから、これは審議室と同じに、やめてしまつた方がいいというふうにまで私は考えておりますが、これは私の意見として申し上げます。  それからもう一つお聞きします。私も詳しいことは知りませんが、どこにも共通の公務員法で仕事をいたしますと、外務省では非常に仕事がしにくい。一例を申し上げますと、九時に出勤いたしますれば、電信が十時にしかできて来ませんので、九時から十時まではみな新聞を読んで遊んでいる。私は代議士になりましてから、いろいろの用事で朝の間に各省を歩きますが、各省も大半そのようなふうに感じます。間違つているかもしれませんが、行きますと十時には出て来ておらぬ人が相当ある。それから九時に行きますと、新聞を読んでいる人が大部分である。ほかの省のことは今日は問題にしませんが外務省は勤務時間なんかを普通の公務員法で実施せられることは困る。私どもからいいますと、十時から始めましてあとを長くした方が実際仕事はしやすい。その他いろいろの点で、今の一般の公務員法を流して使われるということは、外務省が非常に迷惑されるのではないかと考えますが、その点はどうお考えになりますか。また将来どういうふうに処して行かれるつもりであるか、この点をお聞きします。
  27. 島津久大

    島津政府委員 外務省本省の勤務はただいまお話がございましたような面がございます。在外に参りますと、なおさらのこと一般の公務員法の取扱いでは、非常にぐあいの悪い点が多いわけであります。従いまして、できることなら在外も外務本省も合せまして、ひとつ特別な法律でもつくつていただきたいという事務当局の希望をもつて、ただいま研究いたしております。
  28. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 それからこれは私が旧式かもしれませんが、役人を監察する監察制度というものがあります。これは今ございますか、ございませんか、私は知りませんが、私は相当必要なものだと思います。ことに在外公館でもロンドンだとかモスコーだとかワシントンという外交の中心になつているところは割にいいのですが、いなかの公使館領事館あたりはずいぶんだらけている、また風儀なんかも悪いような点もあります。これは日本でも必要と私は思いますが、まあ日本はしばらくおきまして、在外公館に対する監察制度というものが、私は非常に必要だと思います。多少は弊害があります。監察官が来るとそれにこびるような行動をするようなこと、またそれに監察官の方が乗るようなこともございますが、私の過去の経験によりますと、監察官が一年に一ぺんくらい、あるいは二年に一ぺんくらいにずつとまわるというのは非常にいいように思いますが、その点について何かお考えがございますか。ございませんければ、この点はよくお考えを願いたいと思います。
  29. 島津久大

    島津政府委員 監察の必要は十分認めておりまして、ただいま申し上げましたような外務公務員を律する法律というものの中に、査察制度といいますか、そういうふうな制度も考慮してみたいということで、これまたただいま具体的に研究いたしております。
  30. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 次は情報文化局のことについてお尋ねいたします。まず第一に、昔情報局というようなものは三課持つておりました。そのうち第三課というものは庶務課でございまして、庶務もございますが、そのうちに会計がございました。そうして法律上か事実しか知らぬけれども、少くとも事実上は、外務本省の会計と分離してやつておりました。これは非常な弊害がございますが、将来情報文化局なんかをお置きになる場合には、ほかの局にはない特殊な会計課みたいなものをお置きになるかどうか。私はお置きになつてはいけない、会計は外務省で全部統一しなければならぬと思いますが、その点について御答弁願います。
  31. 島津久大

    島津政府委員 各局内の課の編成につきましては、来年度予算その他の関係もございまして、確定的に、幾つ、どういう課ということまでまだはつきりいたしておりません。大体情報文化局につきましては、三課ないしは四課程度で行きたいという考えでございます。従来の情報、報道関係のほかに、文化面につきましても相当力を注いで行きたいという考え方からでございます。そこで昔のように特別の経理をやつて行くかどうかという御質問でございますが、この点は特別の課を設ける考えはございません。
  32. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 それで安心いたしました。その点は特に留意を願いたい。  それから情報文化局についてもう一つ質問いたしますが、私は文化事業で一番重要なことは、学生やら学者、人間の交流であると考えております。ことに永続的の文化の交流は、日本の文化を外国人に宣伝するというか、普及といいますか、要するに日本を知らせるためには、外国から書生さんを連れて来て、これを日本の学校に入れ、日本語を覚えさせる。極端にいいますと、日本語を覚えさせるだけでいい。日本精神なんか吹き込む必要はございません。八紘一宇なんか吹き込んでおりますと、かえつて反感を持たれます。要するに日本に連れて来て親切に日本語を覚えさせ、日本を知らせる。これが根本の一番大事な仕事だと思つております。過去において外務省は日華学会、これは中華民国の学生を連れて参りまして、相当大きく長い間やりました。弊害もございまして、ずいぶん排日も起りましたけれども、やはりあの人たちが日本で勉強していたというのは、日本に非常に役に立ちました。さらに、もう何年になりますか、昭和九年からですが、国際学友会というものを、外務省で補助機関としておつくりになりまして、主として南方、それ以外に南米、欧州の学生を連れて来て勉強させ、日本語を覚えさせる。これはたいへん日本によかつたと思います。南方に帰つた連中、フイリピンに帰つた連中なんか、ずいぶん日本軍にひどい目にあつたにもかかわらず、日本関係した人で、今でも日本に親しみを持つてわれわれと文通をする、連絡をつける、こういう状態でありますが、この情報部の文化の仕事として、将来それをどういうふうにおやりになるつもりであるかどうか。その点を御質問いたしたいと思います。
  33. 島津久大

    島津政府委員 情報文化局の仕事の重要なものといたしましては、日本と各国との文化の交流ということに、努力をいたしたいという考えでございます。現にアメリカあるいは英国との間にも、教授、学生の交換というよなことが進んで参つております。なおまた東南アジア方面との学生の交換、そういうことについても積極的に進めて参りたいと考えております。国際学友会なども、できるだけこれを強化して行きたいと考えております。
  34. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 この点はもう少しつつ込みたいのですが、私ばかり時間を使うわけにも行きませんから、その点は特に御留意を願います。  次に、もう時間がございませんから、私の意見だけを申し上げておきます。簡単な御答弁を得ればよろしゆうございます。講和條約、安保條約が効力を発生いたしましたあと、将来どうなるか知りませんが、さしあたりはアメリカの軍隊が日本に駐留することになります。これとの連絡が当然必要になつて参りますが、それは引続き外務省でおやりになる御方針でございますかどうか。実は私がこれをお尋ねしますのは、やはり外務省でやつた方が一番いいだろうと思いますことと、もう一つはいろいろの連絡関係で、地方連絡事務局をお置きになる。あれは、私の今まで経験いたしましたところによりますと、外務省側にもよかつた地方にもよかつた。要するに外務省人間が世間を知ると同時に、地方の人が外交というものはどういうものか、外国との交渉というものはどういうものか——そうひとりよがりで、自分ばかりただ主張しておつたのではいけないのです。これは商売の交渉と同じものである。ところが普通の人は、外交というものは強気一本で、ぼんぼんやりさえすればいいというふうに考えている人がある。その他いろいろ誤解している人がある。その点を道を開きまして、要するに外務省日本中の人に知られなければならぬが、日本中の人間が常に外交を頭の中に入れておくということが非常に必要である。その点から見ますと、地方連絡事務局を置かれたことは非常に効果があつたと思いますが、その点どうなりますか。どうお考えになつておりますか。それをお聞きしたいと思います。
  35. 島津久大

    島津政府委員 連絡調整事務局地方に数箇所ございまして、ただいまお話がございましたような機能を果して参りましたことは、外務省としても、仕事をやる上に非常に都合がよかつた点でございます。しかし本来の連絡局の仕事というものは、連合国の官権との連絡というようなことが主になつております。従いまして、その仕事が減少するに従いまして、やはり官庁の機構全般の整理という趨勢に従いまして、整理せざるを得ないということで、今後これは縮小して参るわけであります。しかし、先ほどお話がございましたように、安保條約関係その他で、また別に機関を要するということになりますれば、これはまた別途考えたいと考えております。そのことは法案の中には包含されていないのでありまして、必要ができました際にはまた別途考慮したい。その際機構なり人員なりが必要なら、またこれもお願いしなければならぬかと思います。
  36. 守島伍郎

    ○守島外務委員長 最後に簡単に御質問いたします。今の問題は、さつき私が申し上げました通りに、私の質問しているのは、どうせ講和條約が効力を発生し、安保條約が効力を発生した後のことについてもお尋ねする。御答弁ができなければ、われわれの希望として頭の中に入れておいてもらいたい、外務大臣にも話しておいてもらいたい、こう申し上げておるのであります。  最後経済局の問題についてお尋ねいたします。私の聞こうと思つておりますことは、相当長いものでございますが、時間がございませんから、簡単に申し上げておきます。今度の経済局と通産省の通商局とはどういう関係にあるのか、それから戦前外務省の通商局と、今度の経済局との違いはどうであるかということをお尋ねすると同時に、私の希望を申し上げます。実は終戦後に、外務省が非常に人を減らさなければならなかつた。一方各省は、外交関係外国語のわかる人間をお使いになりたいということで、各省に外務省人間が交流して参りました。これはさつき申し上げました地方との関係と大体同じような意味で、非常によかつたと思います。どうしても外務省というのは象牙の塔にこもつていないで、ほかの方と交流をして行かなければならぬ。同時にほかの省の方も門戸を閉ざさないで、相当にお入れになる。だから外交官試験ばかりでなく、普通の文官試験を受けられた方も相当に入れておやりになる。これは語学関係もございますからなかなかむずかしいけれども、できない、できないと言わないで、交流の問題をよほどよくお考え願いたい。これは日本全体として将来よいことと思います。これは私の希望として申し上げて、その点をどうお考えになつておるか。同時にさつきの一と二の御答弁を、簡単でよろしゆうございますからお願いいたします。これで私の質問を終ります。
  37. 島津久大

    島津政府委員 正常の外交関係が回復いたしました際、外務省経済局と通産省の通商局、それらがどういうような関係に立つか。あるいは分担をいたすかという点でありまするが、これはごく簡単に申し上げますと、通商貿易行政の対外面を外務省が担当いたしまして、外国政府との交渉あるいは通商貿易の外面を所管いたします。通産省の方は輸出入の管理、そういうような対内面を掌理するということになろうと思います。そこで昔の通商局と今度の経済局との所管の違いがどうかという御質問でございますが、これは大体同じでございまして、特にかわつたことはございません。ただ機能といたしまして予想されますところは、従来にも増して国際会議、国際機関との協力という面が、はなはだしく多くなるという点にあろうかと考えます。なおまた人事交流の点につきましては、現に関係の省の人に在外事務所に所員として入つてもらつておりますし、本省経済局にも関係の省から人を出してもらつております。また外務省からも御指摘のように関係省に人を出しておるのであります。これまでのようにたくさんの人数を外務省から各省に派遣するということは困難と思いますけれども、あくまで人事交流の建前は続けて行きたいと考えるのでございます。ことに通産省と外務省との関係は、ただいま申しますように対外面、対内面というふうに一応大ざつぱにわけますけれども、その限界になりますとなかなかわけられない面もあるわけでございます。従いまして両方とも人が両方に交流してやつて行くという方針は、この上ともできるだけ続けて行きたいと思つております。
  38. 船田享二

    ○船田委員 今すでに守島委員から御質問がありましたので、それとの重複を避けまして、ごくこまかい点で、二、三簡単に御質問申し上げたいと思いますが、政府から提出された資料では、この法案によつて設置される各局の内部が、どのくらいの課にわかなるのか、またその各課がどんなことを取扱うのかということに関する御説明がありませんで、どの程度になるのか見当がつきませんが、もしできますならば書類で御提出を願いたいし、それほどきまつておらないというのでしたら大体の構想、たとえば御提出願つてある昭和七年における外務省機構とか、あるいは昭和二十六年における外務省機構という程度の列挙的のものでけつこうですから、ごく簡単に御説明を願いたいと思います。
  39. 島津久大

    島津政府委員 局の内部の課の編成につきましては、先ほども申し上げますように最終的にまだでき上つておりませんので、口頭でできるだけ御説明をいたしたいと思います。  官房関係で従来と異なりますのは、現在人事、文書、会計、厚生という課がございますが、それ以外に総合調整する意味で総務課、それから在京の現在の各国ミツシヨン、将来は各国大公使館とのいろいろな連絡あるいは儀典関係がございますので、儀典課というものを設けたい。また在外公館本省との電信の連絡がこれから開かれますので、電信課を設けたい。  アジア局に関しましては、大体四課程度を考慮しております。そのうち三課を大体地域的にわけまして、第一は中国、朝鮮ないしは残務整理の関係、第二はインド、パキスタンないしセイロンの方面、第三はその他の南方地域、もう一つの課はこのアジア局内を総括いたしまして、またさしあたりの仕事としましては、賠償関係を担当するようにいたしたいという考えでございます。  欧米局は大体六課程度を考えております。北米に一課を充てまして、また中南米と移民というようなことに一課を充てまして、あと二課くらいで英連邦と西欧、アフリカ、そういう方面を担当する。その次の一課に東ヨーロツパ——大体ソヴイエト圏、そういうことを担当するつもりであります。なおこれは従来からアメリカ関係の局についておりましたが、海外渡航あるいは旅券、そういうようなことを担当いたします一課を予想しております。  国際経済局に関しましては、大体六課程度考慮いたしております。そのうち一課と二課におきまして通商、経済政策あるいは経済関係の條約その他海運、関税、為替、金融、そういうような問題を二課で取扱いまして、爾余の四課、これを地域的にわけまして、一つは米州、一つはスターリング地域、一つはアジア、もう一つはヨーロツパ、アフリカ、そういうような地域的な分担をいたしたいと思つております。條約は大体四課程度を考慮いたしております。  国際協力局は従来條約局で取扱つておりました国際連合の関係ないしは国際会議、国際機関、そういうものを国際協力局に移しまして、これを二課程度予定をいたしております。そしてそのほかに約三課ほど、従来の連絡局の仕事でなお残つております仕事、司令部関係方面との連絡あるいは司令部との文書の交換、そういうような仕事が占領が終りますまでは続きますので、このために三課ほどを予定いたしております。  情報文化につきましても、先ほどちよつと申し上げましたように三課、でき得べくんば四課程度を予定いたしまして、対内報道に一課、対外報道に一課、その他文化関係に二課ほど充てております。大体そういうような構想で進んでおります。
  40. 船田享二

    ○船田委員 今の御説明の中でのアジア局についてちよつとお尋ねしたいのですが、問題は朝鮮に関することであります。今の御説明ですと、アジア局の中の一課の中で、中国関係と一緒に朝鮮関係も取扱う御予定のようなんですが、申し上げるまでもなく、対朝鮮の問題は非常に重要性を帯びまた複雑性を帯びておるのでありまして、現在国内にいる朝鮮人で、大韓民国人として登録した人たちの数は、表面上比較的少いようでありますが、それ以外の者を合せますと百万を越えるのではないか。これだけのたくさんの朝鮮の人たちがおりまして、いろいろ問題が起きます。もちろん国内問題でもありますが、それが同時に外交問題にもなるのであります。そういう問題ばかりでなしに、以前約四十年の間朝鮮を日本が領土としておつたときに、非常に密接な関係を持つてつた朝鮮、ことにこれは望ましいことではありませんが、南北に現在朝鮮はわかれている。必ずしも韓国だけを相手にどうこうという問題でもありませんので、いろいろ考えまして非常に朝鮮問題が重大であるということは、申し上げるまでもないのであります。実は私長く朝鮮におりました関係から、今でもいろいろな機会に、あらゆる方面の朝鮮の問題を持ち込まれまして、そのときに外務省のごやつかいになつているのでありますが、またその経験から見まして、あるいはまた現在の日韓会談についての報道などを見まして、どうも失礼ながら朝鮮に関して外務省はもう少し進んだ資料を整え、研究も積んでいただかなければならぬじやないかということを、ちよちよい感じさせられておるのでありまして、現在のところでは日本政府としては、どうも国内におる朝鮮人を取締りの方面からばかり考えて、国家地方警察などで非常によく研究しておられるようでありますが、そうでなく、もつと積極的に、いろいろと親善関係その他の友好関係を進めて行くについては、どうしても外務省が主になつて、この朝鮮問題を特に取上げて研究もし、調査もし、それに応ずる対策を講じていただかなければならない、こんなふうに考えるのでありまして、ほかの省との連絡関係もありましようし、できれば一つの課として独立したものが、朝鮮の問題を取扱うというような機構にした方がいいのではないかというようにも思うのであります。これは私の希望にすぎないかもしれませんが、その点について政府の方の御意見を承りたいと思います。
  41. 島津久大

    島津政府委員 ただいまお話のように、朝鮮問題が重要なことはもちろんでございまするし、またこれから先国交の調整その他諸般の問題につきまして、話合いを遂げて行かなければなならぬ関係もございます。なかなか外務省としても手が足りないという状況でございます。従いまして特に一課を設ける必要ももちろんあるわけでございます。これは外務省として、できるだけ朝鮮問題を重点的に考えるという方針にはかわりないわけでございます。課の編成といたしまして、一つ特別のものを置くということは、ほかのいろいろな地域との振合いその他人員関係からしまして、ただいまのところは朝鮮だけの課を独立しては考えておらぬわけでございます。しかしそれにもかかわらず、できるだけ問題の処理には遺憾なきを期して行きたいというように、考えておるわけでございます。なおまた現在中国との間には、実際の実務はあまりないわけでございます。この点に関しましては、中国関係調査研究ということが主になるわけであります。別に経済関係はたとえば台湾の関係あるいは中共の貿易、そういう面を担当しておりますので、事実上中国、朝鮮関係の課は朝鮮問題が中心になるというふうに考えております。
  42. 船田享二

    ○船田委員 今すぐにどうこうというほどのことでもありませんが、その点朝鮮問題の重要性を十分お考えくだすつて、しかるべく御処置を願いたいと思います。  その次はアジア局欧米局との所掌事務についてのことなんですが、第八條のアジア局の方にはありませんで、第九條の欧米局の方の第四号に「海外渡航、移住、旅券の発給及び査証に関すること」というのが入つております。この点なぜこういうふうに欧米局にだけ海外渡航その他の事務を取扱わせるようにしたのかお伺いしたいと思います。
  43. 島津久大

    島津政府委員 御不審の点はごもつともでございまして、海外渡航とか旅券の事務一つの地域局についておるというのは、ちよつと形はおかしいわけでございます。これは昔からいきさつがあるわけでございまして、欧米局に渡般、旅券をつけまして、東亜関係の方の渡航や何かがおろそかになるということではないのでございまして、変則ではございますけれども欧米局のうちの一つの課が全世界の渡航、旅券というものを扱つておる。戦前にはアメリカ三課というような課が、たしかこの旅券関係の仕事を扱つてつたと記憶いたしておりますが、沿革的にはやはり米州関係の移民でございますとか、渡航者が多かつたというようなことから、そういう局についておつたのではないかと考えております。ちよつと形の上からは変でございますけれども運営の上からは問題ないと考えております。
  44. 船田享二

    ○船田委員 沿革的にこういうふうになつておりますことは、私も承知しておりますが、せつかく新たに外務省設置法をつくつて、平和独立回復後の日本外交の行き方に対応して行こうという場合、よほどこの点はお考え願わないと困ると思うのです。つまり戦争前におきましては、アジア局で取扱うような地域、つまりアジアの諸地域におきましても、今問題にしました朝鮮は日本の領土でもあり、また満州は日本の勢力範囲といつていいか、そういうふうになつておりましたし、中華民国に対しても日本相当特権的な地位を持つておりましてこれらの地域に行く場合には、渡航とか移住とかいうようないわば外交問題とはなつておらなかつたのであります。それからそれ以外の各地域は、ほとんど欧米諸国の属国ないしは植民地でありまして、渡航とか移住の問題については、その本国の方と折衝すればよかつたのでありますが、これらの諸地域はすべて戦争後独立して、これから先日本はアジアの諸国と対等の地位で、対外関係を結んで行かなければならない、欧米諸国に対すると同じ立場で、いろいろ物事を処理して行かなければならないような情勢になつておりまして、戦前とは非常に情勢が違つて来ておると思うのであります。いろいろと困難も問題も起きて来ると思うのでありまして、単に沿革的にこうなつておるからというだけでは、ちよつとここのところは了承いたしかねるようにも思うのであります。さらばといつてアジア局の方にも同じようなものを置いて、同じような性質事務を二つの局で扱うというようなことがいいかどうか。あるいは統合するという意味で、大臣官房なり何なりを置いて、アジア地域と欧米地域とどちらにも片寄らないように考えて行くことが、適当な方法ではないか、こんなふうに考えるのであります。われわれも考えたいと思いますが、そちらでももう少しこの点を考えていただきたい。問題は小さいようにも思われますが、これから先の独立回復後の外務省がどういうふうに進んで行くかという根本方針とも関連するのでありまして、単に沿革的にこうだつたからといつて、昔の外務省を復活するような趣旨設置法案をおつくりになると、非常な間違いが起きると思うのです。問題に関連しまして、この点もう少し政府側も考慮願いたい。われわれももう少し考えたいと思います。  それから最後にこれは小さいことなんですが、国際協力局について、先ほど守島委員からも御質問があつたのですが、伺いたい。これは小さなことで、名称の問題ですが、せつかく六局でありますのに、この局にだけ国際協力というふうな名前をつけておりますが、特にそうしなくても外務省全体が国際協力省なんで、皮肉に考えるとほかの局が国際協力をしないような考えも出て来る。それで昔のままの連絡局でもいいのではないかというふうに考えられますが、なぜこんな名をつけたのか、また御改名になるお考えがあるかどうか承りたいと思います。
  45. 島津久大

    島津政府委員 国際協力局は、国際連合の仕事ないしは国際会議、国際機関そういうような国際的な仕事——国際的と申しますと、ただいまお話のような語弊があるかもしれませんが、国際連合を主として扱うというようなことから、国際協力局という名前が出て参つたのであります。しいてこれを固執するわけでもございませんが、いろいろ考えても別に名案が出て参りません。ちようどまあこのくらいのところという考えで、ほかの局の国際協力を排除する考えではもちろんないわけであります。     〔木村委員長退席、江花委員長代理着席〕
  46. 北澤直吉

    ○北澤委員 守島委員それから船田委員からいろいろ御質問があつたのでありますが、いよいよ講和條約の効力が発生するのが来年の二、三月ごろということになつておる。條約の効力発生によつて日本は完全に外交権を回復するわけであります。のみならず総司令部からの覚書によりまして、現在でも外務省は、日本にある各国の代表と交渉ができる、また日本政府の在外事務所も、各国の政府と交渉炉できるということで、いわゆる外交権の相当の部分はすでに回復されておるということでありまして、この外務省の仕事は非常に多くなつておるというわけであります。従いまして終戦以来非常に圧縮された外務省の組織は、新しい事態に対処して相当拡充しなければいかぬ。特に戦争前の日本外交と武力と両方によつて日本の対外発展をしておつたのでありますが、現在のように完全に武力のない日本におきましては、この日本の将来の発展を期するためには、結局外交ということが私は最も大きな部分を占めるものだと思います。そういう意味におきまして、現在の事態に対しまして、外務省機構あるいは人あるいは予算、こういうふうな関係において、外務省の組織を格段と拡充しなければいかぬと思います。今回の設置法案外務省機構でありますが、この機構におきましてもさしあたりのところはこれでもいいと思うのでありますが、そういうふうな外務省に大きな使命にかんがみまして、この機構の点も考えなければいかぬと思う。次にお伺いしたいのは人の問題であります。終戦以来外務省の人を非常に圧縮しまして、また外務省の人を各省に配属さしたのでありますが、外務省が非常に大きな使命を持つて立ち上るためには、外務省の人の問題も相当大きな問題だと思うのであります。それからもう一つ予算の問題、いかに機構があり人があつても、活動するには、どうしても先立つものは金であります。予算の問題も思い切つてとらなければいかぬ。もちろん日本の財政の現状から見ますると、いろいろ問題はありましようけれども、この外交の機能を大いに発揮するためには、予算の面においても相当とれないと、外務省に期待され得る使命というものが遂行できない、こう思うのであります。そういうわけで外務省におきましては、機構の問題、人の問題、予算の問題、この三つをひとつ関連させて十分に考えてもらいたい、こう思うのであります。  そこでこの機構の問題について伺いたいのでありますが、戦争前に日本外交におきまして、二つの大きな欠点があつたのであります。一つはいわゆる二重外交であります。外交というものが一本でなくて、片方には軍部がある。軍部のいわゆる外交外務省外交、霞ケ関の外交と三宅坂の外交、そのほかにも商工省とかあるいは大蔵省とか、こういうふうに外交というのがいろいろにわかれておつた、多元的になつてつたために、日本外交の機能が十分に発揮されなかつたことは、これは世間周知の事実であります。ことに軍部の外交外務省外交というものが矛盾したがために、二重外交というようなことで、非常な問題を起したわけであります。こういうわけでありまして、これが一つの欠点、もう一つは先はど守島委員からお話があつたのでありますが、外務省外交はいわゆる霞ケ関の外交であつた外務省だけの外交であつた。国内のほかの各省とか、あるいは議会とか、輿論、こういうものと遊離した外交だけであつた。いわゆる霞ケ関外交と言われたところである。こういうことでありますから、特に今後講和條約以後の外務省におきましては、二つの欠点を一掃してもらいたい。従来のような二重外交はやめて、日本外交というものは完全に一本になつてもらうということで、先ほど申し上げましたように、外務省だけの霞ケ関外交ではなくて、日本の各方面と密接な連絡をとつて日本の総力を背景にした外交をしてもらいたいそこに初めて強力な外交ができる。従来のような戦争前の霞ケ関の外交ではなくて、日本の国内の全部の総力を発揮した外交をするという意味で、ひとつ国内あるいは議会あるいは各省あるいは輿論というようなものと、外務省との関係を密接にして、ほんとうに日本外交というものが、国の輿論あるいは国のほんとうの総意を発揮するようにしてもらいたい、こう思うのであります。そういう点から考えますと、この設置法は必ずしも十分でないというふうに私は思うのであります。第一点の二重外交の点でありますが、今回の設置法におきましても、この点は十分注意されたようでありまして、たとえば設置法の第三條におきまして、「外務省は、左に掲げる国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う」こういうふうに外交というものが、一元的に行かなければいかぬというふうにも書いてあります。それからまた第三條の十号には、「対外関係事務の処理及び総括」は外務省がするというふうにも書いてあります。それから、また先ほども政府当局からも御説明がありましたが、在外公館——この在外公館というものは、これは完全に外務大臣監督下に置くというふうになつておるのでありまして、こういうふうに外交が二元的に出ないように、外務省が留意された点はわかるのであります。ところが先ほども問題になつたのでありますが、こういう点で今後最も問題になるのは、外務省と通産省であると思うのであります。通商関係の仕事というものは、従来外務省と商工省あるいは通産省の間にいろいろな問題があつた。一時は貿易省というような問題も起きたのでありますが、この外務省、通産省との間の通商関係事務に関する問題、これがなかなか従来大きな問題になつてつたのであります。従いましてこの通産省と外務省との関係をどう調整するかということが、今後に残つておる大きな問題であると思うのであります。ここに通産省の設置法がありますが、これによりますと、「通商に関する協定その他の取極に関すること。」こう書いて、あります。ところが外務省設置法にも「条約その他の国際約束の締結」と、こういうふうになつておるのでありまして、通商に関係する協定などにつきましては、外務省と通産省と両方に権限があるように書いてある。それからまた、これは通産省設置法の通商局の権限ですが「通商に関する政策、計画及び手続を立案し、並びにこれらの実施の総合調整を図ること。」こういうふうに書いてあります。ところが外務省設置法の第三條第一号には「外交政策の企画立案及びその実施」とある。そうすると、いわゆる海外通商政策というものと、一般的な外交政策との関係はどうなりますか。どうもこの点が、ともすると外務省と通産省との間に、こういう問題について二元的に相なりはせぬかというふうな心配を、われわれは持つのであります。こういうわけでありまして、私どもは今回のこの設置法におきまして、特に外務省と通産省との間の国際通商に関する仕事の分担と申しますか、限界と申しますか、そういう点についてひとつはつきり伺つて、こういう問題が一糸乱れず、一本の線でいろいろの政策が立てられ、一本の線で交渉が行われるというふうにしてもらいたいと思うのであります。  以上の点について伺いたいと思います。
  47. 島津久大

    島津政府委員 外務省機構、人、予算について御意見を伺いました。まことにごもつともな御意見でございます。そこで外務省の従来の欠点としまして、一つは二重外交、第二には霞ケ関の遊離した外交というお話がございましたが、この第一点の二重外交の点は、ただいま北澤委員が御指摘になりましたように、この法案にもそういうような趣旨が出て参つておるのであります。在外公館として、外務省以外の公館設置しないという政府の方針を、堅持しておるわけであります。ただりくつを申し上げますと、この外務省設置法で、ほかの省の事務所ができるのを禁止するというようなことを書くのは無理なわけでありまして、参議院でも、そういうような御質問が出たのでございますが、その点は困難でございますので、書いてないだけで、実際は二重外交にならないように、十分その点は留意して参るつもりでおります。  それからまた外務省の施策が、国会ないしは輿論との連絡ないしはその支持を反映していなかつたという昔の弊害、これはもちろんそれらの点を改めて参りたい。現に国会との関係は、ことに当然尊重さるべきものと考える次第であります。  それから通産省との関係は、先ほども一応お答えを申し上げた点でございますが、通産省の設置法ができましたのは、占領下の特殊の事態で書かれたものと、私どもは考ておるわけであります。すなわち各国と日本との通商貿易が許されましても、しかしその形は占領軍当局が当事者となりまして、それと各国との間に協定をしまして、その事務当局として通産省、初めは貿易庁でありましたが、後に通産省の通商局ということになつてつたわけでございます。しかし今後は、これらの対外交渉の面は、一切外務省が統一的に取扱うことはもちろんでございます。ただその交渉の内容、その他資料でございますとか、いろいろな局外の面につきましては、通産省と十分協力して参るということになるわけでございます。その点に、これから占領機構がなくなりますと、御心配のようなことは全然なくなるものと、私どもは確信いたしております。
  48. 北澤直吉

    ○北澤委員 そうしますと、この通産省設置法に書いてあるところの「通商に関する協定その他の取極に関すること。」というこの権限は、これは占領がなくなれば削除される、そうしてこういう通商に関する協定は全部外務省がやる、こういうふうになるわけですか。
  49. 島津久大

    島津政府委員 通産省の設置法がどうなりますか、その点はちよつと私どもからは申し上げられませんが、現在通産省の設置法にあります協定その他の関係は、国内的に実施をする面、そういうような解釈で進んでおるわけでございます。
  50. 北澤直吉

    ○北澤委員 この点は昔からも外務省と商工省との間に、長年の間問題になつてつた問題でありますからして、この貿易事務あるいは国際経済事務に関する外務省と通産省との仕事の調整については、この上とも御研究を願いたいと思うのであります。  それから先ほどちよつと答弁があつたのでございますが、今後できる在外公館は全部外務大臣監督のもとに置いて、いわゆる二重外交にならぬようにするというお話がありましたが、戦前のあれを見ますと、大蔵省ではいわゆる財務官というのが海外におつたそれから商工省は貿易通信員ですか、そういうふうなものがおつた。それから農林省などはニユーヨークに生糸の関係事務所を置いた。こういうふうに、戦争前の状態を見ますと、外務省以外の各省が外国事務所を置いたわけでありまして、これが外務省の管轄外であつたということから、そこにいろいろな問題があつたのでありますが、今後は、在外公館は全部外務大臣監督のもとに属する。それから在外公館に配属される職員は、これまた全部外務大臣監督のもとに属すると、こう了解してよろしゆうございますか、お伺いいたします。
  51. 島津久大

    島津政府委員 御意見通りであります。ただいまお話になりましたような、大蔵、通産、農林あるいは運輸、そういうような関係の役所からも外務省に入つてもらいまして、外務省職員として一体となつて仕事をしてもらう、こういう方針であります。
  52. 北澤直吉

    ○北澤委員 外務省と国内各方面との連絡を密接にして、先ほど申し上げましたような、いわゆる霞ケ関外交のそういうふうな弊を除くということから、今度の設置法では、顧問あるいは参与というふうな制度を置いて、各方面の人を入れるということだと思うのでありますが、先ほどの御説明によりますと、顧問及び参与は専任ではなくして、何か本職を持つてつて、そうしてかたわら外務省顧問もしくは参与になる、こういうふうな制度のようでありますが、ここにも書いてあるように、「顧問は、外交上の機務に参画し、参与は、外交政策の実施に参画する。」こういうふうな重大な任務を持つておるのであります。こういう重大なる任務を持つておる人が、本職を持つてつて、内職に顧問及び参与の仕事をするということはどうもおかしい。と同時に外交上の機務に参画するというふうな、非常に重大な国家的な機密に参画する人が、公務員地位を持たないということは、どうもこれはおかしな問題だと思う。それほど大きな機密事項に参画する人には、公務員地位を与えて、外務大臣監督のもとに属するということでないと、国家の機密がある場合には外に漏れるというような点も考えられますので、どうしてもこういう重大な任務を持つならば、この顧問及び参与というものは、専任の——ほかに仕事を持たない専任の公務員としての資格を与えなければ、運用がうまく行かないし、非常に弊害が起きはせぬかと考えるのでありますが、この点について、もう一ぺん外務省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  53. 島津久大

    島津政府委員 この弊害の点は、先ほど守島委員から御指摘になつたところでございますが、この顧問参与は内職ということだけではないのでありまして、もつぱら顧問参与の仕事をしてくださればこの上ないわけであります。しかし個々の方が何も職を持たないという場合のみに限らないわけであります。現に重要な職を持ちながら、外交のことにも参画してくださるというような必要も出て来るかと思います。従いまして普通の一般公務員のような形で、外務大臣の下につけるということは、やはり顧問参与性質上私は困難じやないかと思う。また外交上の機務に参画するに不適当なような顧問、そういうようなものは、これまた当然考慮されなければならないのでありますが、弊害の点は極力これに気をつけて、運用するよりほかないのであります。
  54. 北澤直吉

    ○北澤委員 戦争前には外務省には外交顧問というものがあつたと思います。あれは専任であつたと思いますが、宇垣外務大臣のころでありましたか、東郷さんとそれから佐藤尚武さんが外交顧問になつておりますが、あのときは外交顧問というものは親任待遇、大臣待遇で専任の顧問であつたと私は思うのであります。今度の設置法のようなこういう顧問でなくして、大臣待遇あるいは親任待遇であつたように記憶しておりますが、その点を確かめておきます。
  55. 島津久大

    島津政府委員 戦前顧問は、制度としてはなかつたと思います。私の記憶するところでは、制度としては確立していなかつたと思います。なおこの点は調べてみます。
  56. 北澤直吉

    ○北澤委員 私、はつきり覚えておりますから、もう一ぺん御調査願いたいと思いますが、はつきり親任待遇を与えておつた。たしか宇垣外務大臣のときに、佐藤さんと東郷茂徳さんが外交顧問をやつてつたように記憶いたします。  そこで伺いたいと思いますのは、そういう顧問とか参与とかの資格を与えると、なかなかそこに適当な人を持つて来るのがむずかしいのであります。そこでお考え願いたいと思うのでありますが、戦争前には外務省に、たとえば通商審議会とか、あるいは対支文化事業審議会というような審議会をつくつて、そこに各方面の適任者を入れて、たとえば外務省が通商政策を立案する場合には、その審議会に諮問をしていろいろ意見を聞くとか、こういう形によつて外務省は、通商政策なりあるいは文化政策の立案にあたつて、民間の各方面意見を結集するというふうな措置をとつてつたのであります。こういうふうな審議会とか、委員会というようなものであるならば、各方面の人を比較的たやすくとりそろえられると思いますが、こういう顧問とか参与とかいうことになりますと、なかなか問題になりはせぬかと思うのであります。外務省は、将来外務省の外郭としまして、あるいは通商に関する審議会とか、あるいは文化に関する審議会とか、あるいは賠償に関する審議会というようなものをつくつて、各方面の有識者の知識を結集するというようなことを、お考えになつておるかどうか。この点を伺つてみたいと思います。
  57. 島津久大

    島津政府委員 審議会というふうなもので、今御指摘のような機能が十分果されるのでありますならば、これはまた十分考えなければならないことと思いますが、御承知通り、こういうふうな委員会とか審議会とかいうものは、運営がなかなかむつかしいのでございます。できますときは希望をもつてでき上るわけでありますが、しばらくたつとこれがなかなか動かないで、有名無実になるというのが委員会、審議会の実情のようでございます。従いまして将来本格的な外交活動が全面的に発動しまして、そうしてもそういうような委員会なり審議会なりをつくつてつて行くことが、適当だというような事情が出て参りましたならば、当然考えるべきであろうと思いますが、現在の段階では、こういうような審議会などは整理するような趨勢にあるわけでありますから、現在は考えておらないのが実情でございます。
  58. 北澤直吉

    ○北澤委員 審議会の方はお考えになつておらぬ、これにかわつて顧問とか参与制度によつて、各方面との連絡を密にするということでありますが、この問題は将来の問題に残すことにしまして次の問題に移ります。  外務省設置法の十三と十四でございますが、十三には「全権委任状、大使及び公使の信任状及び解任状並びに領事官の委任状を作成してこれを交付すること。」十四は「外国外交使節の全権委任状、信任状及び解任状並びに外国領事官の委任状を受理し、並びに外国領事官の認可状を作成してこれを交付すること。」こうなつておるのでありますが、これは日本の憲法の規定がどうも少しおかしいのでありまして、外国に対して日本外交官を派遣する場合にはこれは内閣がやる。外交官を任命して外国に派遣する場合の信任状は、総理大臣が書いて外国の元首あてに信任状を出す。ところが外国大使とか公使を接受する場合には天皇が接受する内閣は接受しない。従つて日本に来る外交官は、天皇あての信任状を持つて来る。こういうふうな片ちんばなことに憲法はなつておるようであります。これは憲法制定のときにも何か参議院でも、これを両方同じにしたらいいじやないかというような修正の議があつたのでありますが、そのままになつておるのであります。こういうふうな点を考えますと、この十四の「外国外交使節の全権委任状、信任状及び解任状並びに外国領事官の委任状を受理し、並びに外国領事官の認可状を作成してこれを交付する。」これは外国外交官の全権委任状、信任状、その他解任状、外国領事官の委任状、これを最終的に受取るのは天皇陛下が受取る。外国領事官に対する認可状——エクゼクエイターを作成するのは、天皇が作成するということになるのであります。ただ外務省はそれを補助するという意味のものであります。その点十三、十四両方とも外務省が作つて出すというふうに書いてあるのでありますが、その点一体どういうふうにお考えになつておりますか。
  59. 島津久大

    島津政府委員 その点に関します外務省の機能は事務当局という意味に御解釈願いたいと思うのであります。受理するというのにあて先ではございませんで、受理に関する事務、受理をするだけのことでありまして、あて先ではないのであります。また認可状の作成につきましても、作成する仕事は外務省がやるというふうに御解釈願いたいと思います。
  60. 北澤直吉

    ○北澤委員 だから同じ作成でも、十三の作成と十四の作成とは、作成の意味が違うのであります。十三の場合には、政府がみずから作成する、十四の場合には、外務省が天皇の補助機関として、これを作成するというふうに思うのでありますが、字句の点において全然相違がないので、そういう誤解が起きはせぬかと思つてお伺いしたのでありますが、その点はそういうふうに了解するといたしまして先に進みます。  第四條の二十一に「在日外国人等の待遇に関する事務を行うこと。」すなわち日本におる外国人の待遇に関する仕事を外務省がやるということでありますが、これは地方においては各府県知事が、在留外国人等の待遇に関する仕事をすると思うのであります。そういうわけで戦争前は、府県知事は外務大臣の指揮監督のもとにあつたわけです。ところが現在は府県知事は外務大臣の指揮監督のもとにないのでありますから、こういう在日外国人の待遇に関する問題について、府県知事と外務大臣の間に、そういう指揮関係がないとぐあいが悪いことがありはせぬか。やはりこういう問題については、外務大臣は府県知事を監督するとか、何かそういう制度がないと、外務省の扱いと府県知事の扱いとの間に、齟齬を来すというふうなことはありはせぬかということを心配いたしますが、政府はその点についてどうお考えになりますか。
  61. 島津久大

    島津政府委員 外国人の待遇に関しましては、国内の地方団体あるいは警察その他関与するところが非常に多いわけであります。これらの関係連絡関係で処理するので、御指摘のような一々指揮監督というような関係を書き表わさなかつたわけです。実際上の関係で処理することができるという考え方であります。
  62. 北澤直吉

    ○北澤委員 現在の府県知事というものは、これは地方団体の長で、しかも公選によつてつておりますので、昔のように外務大臣が指揮監督することはむずかしいかもしれませんが、あるいはお説のように、こういう仕事は府県知事と外務省との間にいろいろ問題がありますので、その間の調整を実際の連絡によつて十分に支障のないようにしてもらいたいということを、希望するわけであります。  それから二十六に、「朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島その他の地域における日本の公私の財産及び負債並びに企業その他の諸施設の整理につき必要な措置をとること。」こう書いてある。この関東州の問題でございますが、この間の平和條約の審議の際におきましては、関東州にある日本人の財産は、中国のほかの地域における財産と同じように、中華民国が接収してしまうというふうな政府の答弁だつたのでありますが、ここを見ると、これは日本の旧領土として扱つておられる。従つて関東州における日本の財産は朝鮮や台湾、樺太と同じように扱うべきものであるというふうな、そういう前提でこれはできておると思うのであります。そうするとこの間の條約委員会における答弁と、この設置法の二十六の規定は少し矛盾がありはせぬかと思いますが、ここに関東州と朝鮮、台湾と並べて書いてあるのは一体どういう意味ですか。ひとつ念のために伺つておきたいと思います。
  63. 島津久大

    島津政府委員 この二十六の項目は、その財産ないし負債その他施設の処理方針というようなところから、出で参つておるのではないのでございまして、現在外務省にこれらの地域の残務整理の事務室を設けまして、管理局においてこれらの地域にありました日本側の官庁の仕事を、引続いて残務整理として行つておるのであります。そういう仕事を引続いて行うという趣旨でございます。それらの地域の性格なり、それらの地域に関する処理の方針ということではないわけであります。
  64. 北澤直吉

    ○北澤委員 どうもこの点はまだ必ずしも納得しないのでありますが、外務省がそういう解釈で、この規定が入つておるということであれば、それで了解しておきます。  次に今度の設置法におきましては、地域的な局としてアジア局欧米局を設け、それから経済関係の局として経済局を設けるというふうに、地域別の局と経済関係の局、こういう二本建になつておるのであります。そうしますと、地域別アジア局及び欧米局においては、大体政治関係の仕事をする。経済局においては、経済関係の仕事をするというふうなことになつておるわけでありますが、いよいよ仕事をやつてみると、政治と経済とはきわめて密接な関係があつて、なかなかわけ得ない問題が多いのであります。戦争前におきましても、アジア局あるいはアメリカ局と通商局との間に、いろいろ権限の問題でもんちやくがあつたことがあるのであります。政治と経済とはわけ得るようであつてなかなかわけ得ないのであります。でありますので、これは理想から申しますと、全部地域別の中に入れてしまう。たとえばアジアに関するものは、政治も経済もすべてアジア局でやるというふうにして、アジア局におきましては、アジアに関するすべての問題を有機的に取扱う。そうしてそこの長が全責任を負うというふうにしないと、政治と経済の区別がはつきりしないために、どつちの責任かわからぬ。アジア局の責任であるか、経済局の責任であるかわからぬような問題が出て来ると思うのであります。ちよつと話が違いますが、アメリカの国務省の行政機構の改革について、前の大統領のフーヴアー氏が委員長になつているフーヴアー委員会がアメリカにあるのでありますが、これを見ますと、アメリカの国務省の問題でもやはり同じ問題が出ておる。地域的な問題と経済的な問題をわけておるために、どうもうまく行つておらぬ。これを完全に一本にしなければならぬというふうなフーヴア委員会の勧告が出ておりますがどうもこの点は日本においても同じような問題があるのでありまして、政治関係地域別の局と経済局との間の関係をどう持つて行くかという問題があるのであります。でき得れば、これはフーヴアー委員会の勧告のように、アジア局欧米局にわけて、アジア局に関するものは、政治も経済も、何であろうとすべてここでやるということにして、この仕事を有機的にするというふうにした方がいいと思うのでありますが、外務省においては、地域別の局との仕事の調整あんばい、責任の限界、そういうものにつきましてどういうふうにお考えでありますか。この点をお伺いいたします。
  65. 島津久大

    島津政府委員 その点はなかなか問題でございまして、北澤委員もいろいろ御経験もございましようし、御意見もあろうと思うのでございますが、われわれといたしましても、この点は地域的な政務局経済局との間の事務分担、調整、運営、その他いろいろ研究いたしましたのでございます。お説のように地域的にわけまして、政治経済を一本にするという行き方も、もちろん私は一案だろうと思うのでございます。その申しましても、そうすると今度は経済的な面を統一しないでばらばらにしてしまうという点で、その面のマイナスもまたあるわけであります。もともとこの機構問題は、どういう形が一〇〇%よくて、これが六〇%、これが四〇%というふうになかなかはつきりわけにくい問題でございまして、どういうふうな機構でどう運営したら一番能率的かというのは、フーヴアー氏の研究されたような結論は一応出て参りましようが、いざそれを実施してみると、なかなか思うように動かないというのが、機構問題の悩みであることは御承知通りであります。そこで今度の外務省経済局政務局との事務分担ということになりますが、地域的な政務局におきましても、やはり経済的な問題は扱わざるを得ないのであります。経済局と言つても、全部経済関係経済局で扱えるかといいますと、そうは行かないのであります。ことに、これは永続的なことじやないかもしれませんが、さしあたつて国交が回復いたしますと通商航海條約というようなものを各国と結ばなければならぬ。それから貿易協定、そういうようなものの前に現にもう貿易を始めておりまして、その関係の協定を各国と結んで行かなければならぬ。それから経済的な国際機関、国際会議というようなことで、実は経済局は手が一ぱいなのであります。それ以外に、平和條約でも予想しておりますような漁業の問題あるいは賠償の問題は、実際経済局では扱い切れない問題でございます。従いまして、賠償とか漁業というのは経済問題なんでありますが、そういう問題も地域的なアジア局欧米局でそれぞれ分担してやつて行かなければならないような実情でございます。はつきりと経済を解体しまして政務局の方にわけてつけるということでも、全部は解決できないのじやないかというような考えもございまして、結局おちつきましたのがこの機構になつておるわけでございます。もちろん利害得失は、これからも考えて行かなければならぬと存じますが、現在のところこれがまず最上とわれわれは考えております。
  66. 江花靜

    ○江花委員長代理 北澤君に申し上げますが、あとにも大分質疑の通告がありますので、ごりつぱな質問ですが、なるべく項目別にお願いします。
  67. 北澤直吉

    ○北澤委員 政府でいろいろ研究の結果こういうような案におちついたようでありますが、この問題は今後とも御研究を願いたいと思います。  次に伺いたいのは国際協力局でありますが、「国際協力局におきましては国際機関及び国際会議べの参加並びに国際行政に関すること。」こうなつております。ところが経済関係の国際機関との協力は経済局でやり、それから国際文化機関との協力は情報文化局でやる、こういうように同じ国際機関に関する協力が、三つにわかれておるわけでありますが、これはやはり国際機関全般に対する問題として一括的に取扱うという意味で、経済、政治それから文化、こういうものに関する国際機関との協力は、全部一つのところでやるというようにした方がいいのじやないかと私は思うのです。先ほどのフーヴアー氏のあれを見ましても、女官補を一人置いて、国際関係機関の仕事は全部次官補が一括してやるというふうになつておりますが、どうも同じ国際協力の問題が、事項によつてあるいは経済局あるいは国際協力局あるいは文化局、こういうふうにわかれておることは、国際機関との協力という面からいたしましておもしろくないのじやないか、こう考えるのであります。この点いろいろ政府において研究の結果、こういう結論に達したと思うのでありますが、これについて政府考えを伺いたいと思います。
  68. 島津久大

    島津政府委員 これも御意見のあるところと存じますが、文化、経済関係を除きましても、国際機関及び国際会議への参加の仕事は、今後非常にたくさんございますので、現状におきましては、十分これで適正な運営ができるという考えでございます。お話のように、次官補というものを置きまして、特定の仕事を総合調整して行くという考え方も、もちろん成り立つと思いますが、これまた徹底して参りますと、各局の分担にも関連して参りますので、次官補の制度も研究してみたのでございますが、やはりただいまのところは、こういうような形以外にはなしという結論に至つたわけであります。
  69. 北澤直吉

    ○北澤委員 外務省はよその省と違つて特殊な仕事をしているわけであります。特に外務大臣あるいは外務次官は、よその省と違いまして、日本におる各国の外交官外交交渉をする大きな仕事があるのみならず、先ほど申しました議会との関係もあり、また日本の国内各方面との連絡もあり、非常に忙しいのであります。従いまして、物をよく考える時間がないのであります。そこで外務省には外務大臣あるいは外務次官のほんとうの参謀になるいわゆるスインキング・スタツフ、こういうものがおらぬとなかなか外交というものはうまく行かないのであります。特に外交団との折衝、講和條約発効後各国と外交交渉を外務大臣がやるということになると、普通の事務はうまく行かぬし、またほんとうにうまく物を考えてやる時間はないと思うのであります。今度の設置法によりますと、新たに官房長というものを設け、顧問参与、こういうものも置いて今の外務省の欠陥を補うというのでありますが、どうも私はこれでは不十分ではないかと思う。これでもやはり外務大臣とか次官というものは、外交団との応接あるいは新聞記者との応接、こういうことで忙し過ぎるではないかと思う。私は、どうしてもこういうもののほかに、外務大臣のいわゆる直属の幕僚といいますか、そういうスインキング・スタツフを置いてやらぬと、日本外交の力を十二分に発揮することはできないのではないかと思うのであります。そういう点につきまして、やはり大臣、次官、局長というもののほかに、あるいは次官補とかそういうものを置いて、外交政策を根本的に研究するようなものがあつていいではないか。アメリカの国務省には現にポリシー・プランニング・ボード、企画委員会というものがあつて、そこに各方面の人を入れて——ここにもありますが、ポリシー・プランニング・ボードにはいわゆる外交顧問のほかに前大使、官吏、実業、商業、労働、各界の指導者及び教育者、こういうものを入れて、そこで国の外交方針を根本的に研究するようになつております。私は、やはり日本外務省にも、こういうふうな実務にとらわれないで、ほんとうに外交政策を根本的に研究するような組織がなければならぬ、こういうふうに思いますがこれについて政府は一体どう考えておりますか、伺いたいと思います。
  70. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの点は十分今後研究いたしたいと思います。ただいまの案ではそこまで考慮いたしておりませんが、何とかそういうような機関でうまく運用ができますならば、これに越したことはないと思います。ただいま考慮いたしておりませんが、今後研究いたしたいと思います。
  71. 北澤直吉

    ○北澤委員 もう一点伺いたい。情報文化関係ですが、最近の外交におきましては、結局外国の輿論あるいは日本の国内の輿論が重要なウエートを持つているわけでありまして、今後日本外交をする場合には、どうしても外国の輿論あるいは輿論を調査して、この輿論を背景としてしなければならぬと思うのであります。そういう意味におきまして、情報文化局の仕事は非常に大きいのではないか。もちろん文化の交流というような大きな仕事もありますが、情報関係の仕事といたしましても、外国のいろいろな調査をし、情報をとつてやると同時に、国内外の輿論をよく調査をして、これによつて日本外交というものに方向づけをしなければいかぬ、こういうふうに私は思うのであります、従いまして情報文化局の仕事は、非常に私は重要と思うのでありますが、これを単に一つの局に限つて置いたのでは、なかなか仕事は十分できないのではないか。私はやはり国内、国外の輿論をよく調査し、また日本外交政策というものを国民大衆に十分納得させるように、啓発宣伝もするというような意味から申しまして、ここに情報文化局の局長のほかに、有力な補佐官がないと、そういう点が十分に行われないのではないかということを考えるわけであります。戦争前日本外務省が、いわゆる霞ケ関外交というようなことで、輿論を無視して日本外交が行われたという非難があつたのであります。この情報文化局というものを十二分に活用して、そうして国内外の輿論を十分に日本外交政策に反映するようにすれば、そういうふうな非難もなくなるわけであります。そういう点から申しまして、私はこの情報文化局というものに、局長だけでなく、有力な次長を置くとか、何かそういうふうにしてやらないと、今のような仕事が十二分にできないじやないかということを心配するわけであります。政府においては、これだけの組織でその点は十分にできる、こういうふうな考えでありますか、承りたいのであります。
  72. 島津久大

    島津政府委員 この機構全般からいたしまして、先ほど北澤委員からも御意見がありましたように、機構、人員、予算の面で大いにやれというようなお話でございます。輿論が許しまして、人がたくさんとれるということになれば、情報文化はもちろんでありますが、ほかの面でもやりたいことがあるわけでございます。やはり政府の行政機構全般の関係あるいは予算の制約ということから、現在の段階ではこの程度で何とかやつて行かなくちやならぬし、またやつて行こうという案がこれなのであります。決してこれで十分やれるという百パーセントの案でないことはもちろんであります。情報文化局次長のような人を置くということも考えたいのでありますが、制度として次長を置くということは、今回の案では考えておりません。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 北澤委員も非常に情報文化局を重視しているのでありますが、われわれの方もまたこの部局を非常に重視しておるのでありまして、どういう宣伝をするかということは、非常に重大な問題だと思うのであります。そこで新聞、通信、放送その他の方法によつて、対外政策及び国際情勢の対内報道といいますが、この対外政策というのは日本の吉田内閣の対外政策のことを言うのであるか。
  74. 島津久大

    島津政府委員 政府の対外政策であります。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 政府というのは、ただいまですと吉田内閣の対外政策ということになる。これが非常に反共的な政束の放送、あるいは調査ということになる危険が非常にあると思うのであります。そこでさらにこの問題を突き詰めて行きますと、対外報道というのがありますが、対外報道をやるとすればどういう機関を通じてどういうふうにやるのか、聞かしてもらいたいと思います。
  76. 島津久大

    島津政府委員 外国に対して日本考え方なりあるいは日本の事情を知らせるわけでございます。方法は幾らでもあるわけでございます。あらゆる方法を通じまして徹底をはかりたいという考えであります。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 要するに今吉田内閣がとつております政策は、英米一辺倒の政策でありまして、もう反共一本の政策でありますから、これが反共政策、反共宣伝の参謀本部になる可能性が、非常に多いと私たちは思うのであります。(守島外務委員長「さようでございます」と呼ぶ)守島君もさようでありますとはつきり言つているように、自由党も認めておるようであります。従来外務省から出ておりましたいろいろの出版物が、非常に反共的な出版物があり、場合によつて外務省役人がわざわざ講演会まで開いて、反共宣伝をしておるのでありまして、われわれは将来これが反共の参謀本部になると考えざるを得ないのでありますが、その点について政府側はどう考えておるか。ここではつきり——そうならそうでわれわれは覚悟をきめて対策を講じますから、そうならそうと言つてもらいたい。
  78. 江花靜

    ○江花委員長代理 ちよつと林君にお願いいたしますが、今の機構問題は、かりに共産党の政権ができたとすれば、共産党の命令のもとにこの機構外交事務を処理するという建前ですから、そういう問題は外務省機構関係で出ておられる政府委員に御質問になつても、これはお答えにならなくてもいいし、またお答えになるにしても非常に困難な問題でありますから、そういう点を御注意になつて、林君には特に時間をたくさん配慮いたしますから、どうか答弁の困難なことをおやりにならぬようにお願いいたしたい。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 大分委員長が助け船を出しておるようですが、そこでこれがさらに、地方支分部局という中の連絡調整事務局の中にも「国際情勢の対内報道に関すること。」ということがあるのでありますが、これはやはり連絡調整事務局が、宣伝の面では情報文化局との連繋のもとに、こういう報道宣伝をするわけですか。
  80. 島津久大

    島津政府委員 連絡調整事務局本省のその面の仕事をするわけでございます。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 本省情報文化局の反共的な宣伝、それから情報交換の仕事を下請としてやると解釈していいわけですか。
  82. 島津久大

    島津政府委員 反共云々は私の御答弁の限りではございません。機構といたしまして大体国際情勢の対内報道は、本省においては情報文化局の所管になるわけでございます。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 それではその点はまたわれわれの方も情報を十分収集してから、あらためて質問したいと思います。  その次に十二條国際協力局の問題ですが、これを見ますと、占領下における現情勢をくんでできた條文があるようでありますが、この十二條の第二号も私はそう考えるのであります。「連合国最高司令官総司令部その他連合国最高司令官の下にある官憲との連絡及びこれに関連する各行政機関事務の総合調整」とありますが、これは講和後になるとどうなりますか。
  84. 島津久大

    島津政府委員 講和後はこの点はなくなることと思います。これは従来の連絡局の仕事が依然として占領管理下にございますので、続いているわけであります。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 駐留軍との関係はどうなりますか。駐留軍との関係、あるいは行政とりきめの問題、あるいは日米合同委員会の問題、こういうのはもし扱うとすればどこの局に入るのですか。
  86. 島津久大

    島津政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、それらの関係事務は別途に考慮するという方針でおります。現在のところ安全保障條約の仕事を、将来その條約が効力を発生しましたあと、どの省あるいはどの局のどういう課でどう扱うというようなことは、現在の段階では未定でございます。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、講和後のそうした合同委員会の問題、行政とりきめの問題、駐留軍の司令官との交渉の問題については、全然まだ考えがまとまつておらないし、どの局で扱うか、あるいは独立の局を設けるかというようなことも、まだコンクリートしておらないというように考えていいですか。
  88. 島津久大

    島津政府委員 その通りでございます。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 それから外務省の人員の問題ですが、私たちはもちろん必要な官吏の行政整理については反対でありますが、しかしこういうように向米一辺倒で、ソ連や中国と全然関係のないような外務省が厖大になるということは、日本の国際的な関係から言つてもどうかと思います。そこで歴史的に人員を調べてみますと、政府からもらつた資料によりますと、昭和七年が九百七十四人、それから昭和十五年が千四百四十二人、昭和二十六年が千八百四十七人というのですが、昭和七年、昭和十五年より、ずつと現在は外務省の人員は多いのですか。
  90. 島津久大

    島津政府委員 現在の外務省の定員二千三百人、これが昭和七年より多くて、この中には出入国管理庁が入つておりますので、これが七百七十四人という数字でございます。それを除きますと、本来の外務本省の人員は大体昭和十五年程度ということになります。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 昭和十五年を見ますと、ここにはソ連だとかフインランド、あるいは欧亜局、それから大陸等の関係、東亜局が独立してあるのでありますが、その東亜局だとか、あるいはソ連、あるいは人民民主主義諸国との関係がないのに、人員がどうしてこんなに必要なのでしようか。よその省では人員を整理するというのに、外務省だけはこういう厖大な人数を持つということはどういうわけなのでしようか。機能が減少しているなら、それだけ人員が少くてできないのですか。
  92. 島津久大

    島津政府委員 これは私ただいま数字を持つておりませんので、確かなことは申し上げかねるのでございますけれども、たとえば昭和十五年ごろの国内官庁定員と現在の定員をお比べになりますと、驚くほどふえておるのであります。ふえないのは外務省だけであります。その点は私ども事務当局から申しますと、非常に不均衡なくらい外務省公務員は少いのであります。なおまた外務本省機構は、先ほどもお話が出ましたように、今後二重外交ということでなくて、関係省の専門家も入れて外交を一元化してやつて参りたいという考えに基いておりますので、今回のこの入国管理庁をかりに除きました二千三百余人という数は、非常にこれは謙遜した数字だと思います。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 昭和十五年といえば、日本外交の面においても、最も大きな面を持つた外交を行つたときでありまして、おそらく外務省としては、人員から言いましても予算面から言つても、一番の充実したものを持たざるを得なかつた情勢にあると思うのですが、その後東亜局だとかあるいはソ連関係、東ヨーロツパ関係中国もそうですが、全然そういうものがないにもかかわらず、人員が昭和十五年ごろと同じだということは、われわれ納得できないのでありまして、こういう意味でも外務省が一元的な外交をしておりながら、実は外務省は非常に反共的な参謀本部としての役割を果す。そのためには人員、予算を惜しまないという政府の方針ではないかということを、われわれは疑わざるを得ないのであります。そこで予算の面でありますが、こういうように外務省設置されますと、予算関係はどうなるのですか。予算関係はふえるのですか、減るのですか。
  94. 島津久大

    島津政府委員 先ほどの人員の数の点につきましても、補足して御説明申し上げますが、戦争前は嘱託というような制度がございました。現在そういうような制度はないのでありますが、臨時の職員相当たくさんかかえておつた。従いまして表に出ております数字よりは、実際の外務省の人員は多かつたと言えると思います。それからまた地域の仕事とおつしやいますが、地域的な仕事の違いが本省の数に現われて参りますところは、それほど大きな違いはないわけであります。主として違つて参りますものは、在外公館の数なり人員ということになつて参るのであります。なおまたこれから外務省の仕事が、戦前と比較にならないほど複雑で大きいということは、第一には平和條約後各種の——いわばこれは外交を初めからやり直しというような面もあるのでありますが、あらゆろ條約を一ぺんにつくらなければならないというような面もあるのでありますが、あらゆる條約を一ぺんにつくらなければならないというようなこともございますし、また国際的な会議、機関、そういうようなものが、昭和十五年ごろとはまつたく比較にならないような面がふえて参つておるのであります。外国の例から申しますと、外国外務省機構ないしはその出先の公館の数、人員というものと日本の場合を比べますと、これは驚くほど貧弱なものなんであります。ただいま御指摘のような意味で、外務省の人員をふやすということは毛頭ないわけであります。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 予算関係はどうなるのですか。従来の外務省と新しい外務省設置法による予算とは、どういうふうな関係になるのですか。
  96. 島津久大

    島津政府委員 この新しい機構によります本年度の外務省の予算は、従来の予算を組みかえて参るのでございます。人員も今日よりは多少減るという状況でございます。来年度におきまして外務省の予算がふえますのは、主として在外公館の増加という点にあろうかと思います。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方は日本外務省が、日本国と民族の運命を安定するために、ある一国に一辺倒することなくして、中国だとかソ同盟あるいは東ヨーロツパ、こういうところとも外交関係を結ぶ必死の努力をして、日本の将来の運命をあやまたせないというならば、私は何も金や人員には関係ないと思う。ところが世界の二つの大きな勢力の対立の中で、一方の面は、中国とかソ同盟あるいは東ヨーロツパのことを、外務省の皆さんに聞くと、まるで木で鼻をくくつたような返事しかもらえない。しかもそうすることは、アジアにおける日本地位を非常に危殆に瀕するような状態に持つて行く。この外務省にむだな金やむだな人員を置きたくないということを、私は質問しておるわけです。だから将来あなた方が、向米一辺倒の形から全面講和の方向に必死の努力をする、中国、ソ同盟ともあらゆるきつかけをつくつて外交関係を結ぶという方向に努力してくれるならば、私はあえてここで予算だとか人員なんというものは問いたくない。ふやしてもいい。ところがせつかくソ連の代表部が吉田首相を招待しても、大磯かどこかに行つて行かないというような形では、日本の今の外務省外交を託しても信頼感を持てないわけです。そういう意味でわれわれは今のこの質問をしておるわけなのです。われわれはそうした外務省には、余分な金や人員をつぎ込みたくないという意味で、今のこの質問をしておるのです。情勢がかわれば大いに外務省を応援するかもしれませんが、今の情勢ではそういう気持にはとうていなれないということです。  その次に各條についてちよつと聞きたいのですが、飛び飛びになるかと思いますが、二十一條の入国管理庁の問題です。朝鮮の諸君の問題の取扱いについては、ここでやはりやるわけですか。
  98. 島津久大

    島津政府委員 これは入国管理庁の所掌といたしまして、出入国に関する限り朝鮮の人ももちろん入るわけでございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 これは第四條の二十一にも関係して来るのでありますが、今、日本にいる朝鮮の人たちというのは、在日外国人に該当するのですか。あるいは特別の身分関係があるのですか。その法律的な立場を御説明願いたい。
  100. 島津久大

    島津政府委員 法律的にただいま日本人でございます。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 法律的には日本人というなら、外国人登録令による登録はどうしてあるわけですか。
  102. 島津久大

    島津政府委員 朝鮮人の国籍の問題その他は、これから確定される問題だと思います。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 朝鮮の人が日本人だということは、私は実は初めて聞いたのですが、それは間違いはないのですか。
  104. 島津久大

    島津政府委員 私ただいまの御説明が足りませんようでした。管理令の中に、朝鮮人、台湾人は外国人とみなす、こういう規定があります。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 それでなければおかしい。  そこで今朝鮮の人たちの強制送還の問題、国籍の問題等が問題になつております。これは機構とあまり関係ないのですが、この問題については外務省としては将来どういう方針で臨むのか、参考までに聞いておきたいのです。これは朝鮮の人たちが非常に心配しておりまして、毎日国会に陳情に来ているのですが、責任のある答弁があるなら承りたいと思います。
  106. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの御質問は、国籍の問題についてどういう方針かという御質問でございますが、これらの点につきましては、ただいま韓国の代表が見えまして、下打合せをしております段階でございまして、この際確定的にどういう方針ということは申し上げる段階にないと思います。また強制送還云々という点は、これもまた未定の問題でございます。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 ポ政令で出ております出入国管理令で、十一月一日から強制送還をするという法令が出ておるのでありますが、あれについてどの範囲の人を送還するつもりなのか。これは出入国管理庁から出ておると思いますが、これは外務省関係だと思います。
  108. 江花靜

    ○江花委員長代理 ちよつと林委員にまたお願いをいたしますが、その問題はもちろん機構とも関連がないわけでもないわけですが、今ここは在日朝鮮人の対策とか、そういう問題の会議になつておりませんので、どうぞその辺ごしんしやくを願つて、お手やわらかにお願いをいたします。
  109. 島津久大

    島津政府委員 ただいま十一月一日からとかいうようなお話でございましたが、この管理令は朝鮮人、台湾人につきましては当分の間は適用しないことになつております。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 それから第四條の二十六「朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島その他の地域における日本の公私の財産及び負債並びに企業その他の諸施設の整理につき必要な措置をとること。」これは先ほど北澤君も質問されたと思いますが、條約の十九條の(d)とはどういう関係にあるのですか。もし朝鮮における占領軍が日本人の財産を処置しておれば、それに従わなければならないと思いますし、これはどういう問題が残つておるのですか。私の財産という問題があります。
  111. 島津久大

    島津政府委員 先ほどもこの点は御説明申し上げましたが、これらの地域に日本の役所がございまして、その役所のし残した仕事を、日本に帰つて来ておつて外務省でやつておるわけであります。恩給でありますとか、そういうような仕事であります。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 在外資産の処理の問題はここで言つているわけではないのですか。役所のやり残した仕事ですか。
  113. 島津久大

    島津政府委員 それは残務整理とわれわれは申しておるのでございますが、そういう仕事でございまして、講和條約に関連して今後とられる請求権の関係、そういうことをここで言つておるわけではございません。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 沖繩がここに入つていないのですが、沖繩人の財産の問題はどうなるのですか。
  115. 島津久大

    島津政府委員 これはその他の地域とございますので、その他の地域に入つております。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 沖繩の問題を特に私が聞きましたのは、ここは日本の憲法、行政、司法、立法の適用はないわけですが、これは財産問題ばかりではなく、当然こことの法律的な関係、それから司法上の財産の問題、市民権の問題、外交問題というものが出て来ると思うのですが、その関係はどこでやるわけですか。要するに潜在的な主権ということは別として、実質的な主権はなくなつてしまうのですが……。
  117. 島津久大

    島津政府委員 一般的な政務に関します事務は、アジア局の所管であります。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 このアジア局の中にはそれがないのですが、ここになくてもやるわけですか。
  119. 島津久大

    島津政府委員 ちよつと私の説明がはつきりしなかつたようでございますが、アジア局の専管とはならないかと思います。沖繩の地域に関しましては、将来いろいろな話合いが起るとしますと、場合によつて欧米局が扱うこともございます。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に私たちがわからないのは四條の二十八「国又は地方公共団体の機関に対して、所掌事務遂行に必要な調査、報告及び資料の提出を求めること。」というのですが、これは何か調べさせるのですか。共産党の動向というようなことをやらせるわけですか。これは何でしよう。
  121. 島津久大

    島津政府委員 いろいろなことがあろうと思いますが、外務省所掌事務全般にわたると思います。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、これは国または地方公共団体ですから、県だとか市町村だとか、そういうところへどんどん調査報告資料の提出を求めるわけですか。提出を求めるとすれば、具体的にどういうことか。こういうようなことについて調査報告資料の提出を求めるというようなことを、具体的な例があつたらひとつ出していただきたい。
  123. 島津久大

    島津政府委員 これはいろいろなことが予想されるのでございますが、限定的に申し上げにくいと思います。しかし引揚げの関係でございますとか、あるいは旅券の関係、あるいは外国人の状況、いろいろなことがあると思います。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると共産党の動向、駐留軍に対する安全の保障などというような問題になりますと、これが非常に特審局的な役割を、この條項で果すようなことになりはしないかということで、われわれこれを聞いているわけですが、そうすると従来もこういうことをやつていたわけですか。
  125. 島津久大

    島津政府委員 従来もやつておりました。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 その問題はそれでけつこうです。  その次にソビエト・ロシヤはアジア局の方に入るのですか、欧米局の方に入るのですか、どつちですか。
  127. 島津久大

    島津政府委員 欧米局の所管でございます。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると「邦人の引揚に関すること。」というのはアジア局でありまして、欧米局ではないのですから、ロシヤには引揚げの問題はないと解釈してよろしいのですか。
  129. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの最後の御解釈は当りませんが、アジア局の中に「邦人の引揚に関すること。」とございますのは、これは必ずしも地域とは関係がないのです。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 アジア局といえばアジアの問題を取扱うので、アジアの問題の中に引揚げの問題があつて欧米局の方には引揚げの問題がないのですから、ソ連との間には引揚げの問題がないと解釈するのは当然なわけです。引揚げの問題だけはアジア局がやるのですか。
  131. 島津久大

    島津政府委員 これは何でも地域的に画然とわけてあるわけではないのでございまして、先ほどもちよつと御意見がございました旅券、渡航の事務というのが欧米局に入つておりますが、アジア関係の渡航の事務も同じでございます。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 念のためにお聞きしますが、もしアジア局で引揚げの問題を扱うとすれば、ソビエトには未復員者はどのくらいいると外務省では思つているのか。数字を知らせてください。
  133. 島津久大

    島津政府委員 これは従来しばしば申し上げております通りであります。私からこの際つけ加える必要はございません。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 その引揚げの問題が非常に反共の宣伝に使われておりますので伺いたい。三十五万が今は七万になりましたし、吉田総理は本会議で、ソビエトにいる未復員者についての三十何万という数字は責任を持てないと言いますし。非常にわれわれは迷惑しているのです。ですから外務省の方で公正な数字を持つているなら、あなた方は国際的な情勢に詳しいのだから、ソ連が三十何万もいるものを一人もいないというような、ばかなことを言うはずもないのですから、そういう点少くもどの程度の数字を考えているのか、この際言つてもらいたい。言えないなら言えないでけつこうです。
  135. 江花靜

    ○江花委員長代理 林君に申し上げます。政府委員はその点に関しては御答弁がないそうであります。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは次にお伺いしたい。第七條、大臣官房事務の中に「機密に関すること。」とあるのですが、これはどういうことですか。
  137. 島津久大

    島津政府委員 これはいわば官房所掌事務のうちのきまり文句でありまして、たいがい役所の官房ではそういう事務を扱うことになつております。外務省といたしましても役所の機密に関する文書なりあるいは電信なり、そういう事務を扱うのであります。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこれは外務省の中における機密に属することというのですか。国際的に機密に扱わなければならないこと、あるいは国内的に機密に扱わなければならないことというのは、省の中における機密を要する事項というように解釈するのですか。
  139. 島津久大

    島津政府委員 外務省所掌事務の範囲における機密事項です。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。それからもう一つ伺いたいのですが、賠償庁の問題を連絡調整事務局で扱うのでありますが、これは将来條約が効力を発生して、役務賠償になつて、施設賠償だとかあるいは製品賠償の関係がなくなつて来た場合はどうなるわけです。
  141. 島津久大

    島津政府委員 先ほども賠償事務につきましては、アジア局で取扱うというように御説明を申し上げたわけです。現在の賠償庁、これは御承知のように施設賠償でございます。この事務がまだ占領下でございますので、完了はいたしておらないわでございます。その後平和條約で予想せられておりますような賠償の事務は、アジア局で取扱うのであります。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 大分こまかくなりましたが、私は最後に伺いたいのですが、外務省の定員は、定員法であらためて定めるということに承知していいかどうか。もう一つは、外務省職員に対しては、勤務時間だとかそういういろいろの保護的な規定をなくして、非常に労働時間なども長くする特別な労働強化の抜け道をつくつておいて、保護的な規定をなくすというようなことも聞いておるのですが、同じ公務員の中でも、外務省職員だけにそういうような方法を考えているのかどうか。これをこの際聞いておきたいと思います。
  143. 島津久大

    島津政府委員 最初の定員の方は、現在定員法の中に織り込みまして提案中でございます。それから第二点の時間その他の点は、先ほど守島委員からも御意見がございましたが、これは事務性質上時間をずらしたというような点でありますので、御懸念のような点は全然ございません。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 時間をずらすというのがよくわからないのですが、たとえば普通なら一定の時間があつて、五時なら五時にしまう。ところがずらして夜幾ら働かしてもいいということになれば、これは公務員としての保護規定がなくなつてしまうわけです。
  145. 島津久大

    島津政府委員 仕事の性質上、あるいは在外公館との連絡上、その他仕事を処理する上から、現在のような時間に始めて現在のような時間に終るというのが、実情に適しないというだけの話でありまして、始めを一時間おそくすれば、あとが一時間おそくなるというだけです。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると時間の点については、外務省だから特に仕事の性質上、時間の制限を取除いて働かせるということはないというように、解釈していいのですかどうですか。大体そういうように答弁を求めるまでもなくそうだと解釈いたします。  私たちは先ほどから外務省の性格から、いろいろの立場から質問したのでありますが、もちろん外務省でまじめに働いている公務員の諸君に対する労働條件その他の点については、十分今後も闘つて皆さんの利益を守つて行かなければならないと思います。ただ外務省の持つている性格その役割が、吉田内閣のもとにおける外務省では、われわれが支持するような外務省の政策が生れないという点で、われわれはこの点について反対いたしているのであります。むしろ吉田内閣のもとにおける外務省というのは、まつたく向米一辺倒、反共の牙城になるような気がするのでありまして、これは外交官の先輩である守島、北澤両委員が非常に心配されたのでありますが、この外務省がかつての二重外交的な性格をみずからが持つ。かつて軍部がやつたような反共的な性格を外務省が持つということになり、外務省の先輩諸公が心配しておつた軍部の横押しを、外務省みずからがするというようなことになると、日本外交上非常にゆゆしき問題だと思うのであります。われわれはあくまで日本外務省が国際的な情勢について卓見を持たれ、二つの対立している情勢の中から、日本の民族の運命を安定させるような方向へぜひ持つて行りていただきたい。そのためには吉田首相やそのほかがワン・マンぶりを発揮しましても、皆さんは所信に邁進して、ただこの方向に進んでいくことを最後希望して、私の質問を終ります。
  147. 江花靜

    ○江花委員長代理 それでは竹尾委員。竹尾委員に申し上げますが、時間も迫つておりますので、サブ・ノート式に簡潔に項目的にお願いいたします。
  148. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私のお尋ねはいつも簡潔でございまするが、簡単にお尋ねいたします。  第一番にこの機構の問題でありますが、今度の新しい機構によりますると調査局を廃止する、こういうことになつておりますけれども、これはなぜ調査局を廃止されたのか。アジア局欧米局にわけるから、この中でそれぞれ調査をするということになつておりますが、外務省の一番弱い点は、今までの調査が完備しておらぬ、こういう点にあつたかと私は思うのでございますが、何ゆえにこうした二局に重大な調査の事項をわけたのであるか。私ども考えではむしろ調査立案する外局すらも、つくつていただきたいと思つているやさきでございますが、その点につきまして、当局の御意向を承りたい。
  149. 島津久大

    島津政府委員 調査関係の仕事を独立した局で処理する、でき得ればこの機構のほかにそういうような機関も設けたいと考えますが先ほど来申しますように、与えられた環境と申しますか、條件のうちでたくさん局をつくるわけには参りません。従いまして地域的な政務局二局に、それぞれの地域の調査事務を分担させることにいたしたわけでございます。なおまた在外公館ができまして、外交再開しますといろいろな資料も入つて参ることでございますので、それぞれの原局において同時に調査をいたしたい、そういう事情でございます。
  150. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私遅れて出席しまして、あるいは前の方のお尋ねと重複するかもしれませんが、その点は御注意願います。やめますから……。  それで次に移りますが、これは顧問を置くということになつておりますが、この顧問参与、これは特別職でございますか。そして常動でございましようか。それからそれらの点についての待遇をひとつ…。
  151. 島津久大

    島津政府委員 これは非常勤の職員でございます。待遇につきましては、どのくらいの額ということは別にないのでございます。従いまして、きまつた俸給を差上げるということもないわけであります。
  152. 竹尾弌

    ○竹尾委員 それでは続いて待遇及び職階制などについてちよつとお尋ねいたします。今度在外公館がたくさんできるようでございますけれども、まず第一に、在外公館の数と職員は、大体どのくらいになる予定でございましようか。
  153. 島津久大

    島津政府委員 在外公館職員の数というお話でございますが、申すまでもないことでございますが、在外公館につきましては相手のあることでございますし、また現在の段階におきまして、各国とそれほど進んだ話もできておりません。また予算の関係もございますので、どのくらいの数ということは、ちよつとただいまのところは申し上げかねるわけでございます。ごく大体の見当としましては、まあ戦前の三分の一くらいな数で行こう。これはほかの各国の公館に比べますと驚くくらい少いのでございまして、まことに残念でございますが、環境上まあそのくらい。それから人員につきましては、現在在外事務所がございまして、その定員が百五十三名ございます。これではとうてい将来の大公使館領事館総領事館の人員をまかないきれないと考えておりまして、これらの点も予算の関係ないし政府部内の、たとえば大蔵省との話合いがございますので、どのくらい増員ということは、ちよつと数字は申し上げかねると思います。
  154. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そこで在外公館のポストに関するお尋ねですが、いすれ大公使総領事等もできるのでございましようが、これは幼稚なお尋ねですが、この大公使というのは官名ですか、職名ですか、どつちでしたでしようか。
  155. 島津久大

    島津政府委員 官名でございます。
  156. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そこで総領事領事官、これは広い意味での外交官でございましようが、この待遇はやはり従前通りですか。あるいは戦前と違うのでございましようか。
  157. 島津久大

    島津政府委員 戦前と同様の考え方でございますが、待遇とおつしやいますとどういう点でございますか。
  158. 竹尾弌

    ○竹尾委員 つまり総領事領事と、入公使館に勤められる大使公使、参事官、書記官等々、こういうものは広い意味外交官でございましようが、外交官領事官の待遇とは違つているように私記憶しておりますけれども、今後もやはり違うということになりましようか、こういうお尋ねです。
  159. 島津久大

    島津政府委員 これは御承知通り国際慣行で、外交官領事官との性格は違うわけです。しかし別の面から申しますと、外務省職員の中で領事官と外交官の待遇は違わないわけです。場合によつて総領事なつた人が、それからまた公使にもなりますし、書記官が領事になりましても、その点はちつともかわりありません。
  160. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そこで総括してお尋ねいたしますが、今後のポストもやはり従来通り大使館公使館には三等書記官から参事官、公使大使、こういうぐあいに置かれることと思いますが、それをひとつ。それから領事官の方は従来副領事というのがございましたが、これを見ると副領事というものはないように思われますけれども、副領事というものはあるのかないのですか。
  161. 島津久大

    島津政府委員 大使公使総領事領事、書記官あるいは副領事、そういう点は戦前とかわりはございません。これらの点は、先ほども説明申し上げましたが、身分の点はこの法案には包含されておらないのでございます。いずれたとえば外務公務員法というようなもので、別の法律身分関係規定されることと思います。これは外交再開までに、おそらく通常国会提案されることと考えます。副領事もございます。
  162. 竹尾弌

    ○竹尾委員 それらの新しい法律ができるといいますから、私はあまりお尋ねいたしませんが、少し待遇の点についてお尋ねいたします。副領事は、今の職階制によりますと何級——八級くらいが副領事でございましようか。それから大公使総領事の待遇は、現在の職階制によりますと、十一級か十二級かと思いますけれども、大体どんなところでございましようか。
  163. 島津久大

    島津政府委員 これらの点も別の法律提案になる事項でございまして、現在確定はいたしておりません。副領事がどの程度いうことも、われわれ腹案はございますけれども、持ち合せておりませんのではつきりいたしませんが、昔の例で申しますと、昔の二級官の下の方で、今の何級かちよつと見当がつかないのであります。それから大使公使あるいは総領事ということになりますと、幅がございまして、これは腹案でございますが、大使の下の方の人と公使の上の方の人とは、重なつたような形になつております。階段的ではなくて、ダブらしてやるように考えたいと思います。
  164. 竹尾弌

    ○竹尾委員 従来の外交官試験というのは、今人事院にまかせてやつておるのですが、外交官試験はどうなるのか。それから従来やつておりました留学生及び書記生の試験は、これは何か留学生の試験の広告が出ておつたようでありますが、これはどうですか。留学生、書記生の試験は、前は旧制の中学校を出ると受けられたようですが、今度はどうですか。新制高校で受けられるのございましようか。
  165. 島津久大

    島津政府委員 現在人事院の試験といたしまして、実際は外務省職員相当入りまして、外交官ないしは留学生程度の試験を行つておりますが、今後法律ができます際には、試験制度の点も織り込んで考えて参りたいと思つております。
  166. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そうしますと留学生、書記生の試験はやるのですか。
  167. 島津久大

    島津政府委員 やるつもりでおります。
  168. 竹尾弌

    ○竹尾委員 これは吉田総理が平和條約の審議のときでございましたか、大公使には民間から優秀な者を引抜くと言われたことがあるのですが、その点についてもう一度お尋ねいたしますが、外務当局としてはこれについてどうお考えになつておりますか。
  169. 島津久大

    島津政府委員 大公使は特別職でございますから、民間から採用することもあり得ると存じます。どの程度採用されますか、これは事務当局ではわかりません。
  170. 江花靜

    ○江花委員長代理 他に御質疑はありませんか。——なければ質疑はこれにて全部終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十五分散会