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1951-11-15 第12回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)     午後一時二十分開議  出席委員    委員長代理 理事 江花  靜君    理事 青木  正君 理事 坂田 英一君    理事 船田 享二君 理事 鈴木 義男君       井上 知治君    大内 一郎君       鈴木 明良君    松本 善壽君       山口六郎次君    松岡 駒吉君       加藤  充君    小平  忠君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         外務政務次官  草葉 隆圓君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君  委員外出席者         專  門  員 亀卦川 浩君         專  門  員 小関 紹夫君     ――――――――――――― 十一月十二日  委員村瀬宣親君及び金子與重郎辞任につき、  その補欠として苫米地義三君及び千葉三郎君が  議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員青木孝義君、尾関義一君、高橋英吉君及び  川島金次辞任につき、その補欠として橋本龍  伍君、池田勇人君、平澤長吉君及び鈴木義男君  が議長指名委員に選任された。 同月十五日  鈴木義男君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 十一月十四日  公職に関する就職禁止退職等に関する勅令の  規定による覚書該当者指定解除に関する法  律案内閣提出第四六号)(予) の審査を本委員会に付託された。 同月十二日  厚生省存続に関する陳情書  (第  六一八号)  旧軍人老齢者恩給復活に関する陳情書  (第  六一九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  外務省設置法案内閣提出第二〇号)  公職に関する就職禁止退職等に関する勅令の  規定による覚書該当者指定解除に関する法  律案内閣提出第四六号)(予)     ―――――――――――――
  2. 江花靜

    江花委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。  本日はまず昨日予備付託されました、公職に関する就職禁止退職等に関する勅令規定による覚書該当者指定解除に関する法律案内閣提出第四六号について、提案理由の説明を求めます。岡崎官房長官
  3. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいま議題となりました、公職に関する就職禁止退職等に関する勅令規定による覚書該当者指定解除に関する法律案提案理由を御説明申します。  政府は、覚書該当者指定解除については、従来極力努力をいたして参りまして、現在までに数次にわたりその指定解除が行われており、特に本年に入りましては、去る六月の昭和二十二年勅令第一号の改正により指定が公正を欠くと認められたものについては、内閣総理大臣はその指定取消し得ることとなり、爾来政府は能う限りの努力を傾注いたしこれが実施に努め、十月三十一日をもつて十九万三千余名の覚書該当者中十七万七千余名に対して指定取消し行つたのでございます。今回の措置は、多数の者につき処理の迅速を期する為にもつぱら政府資料に基き実施いたしましたのでこれが終了した現在においては、取消しを受けなかつた一万八千名の覚書該当者について、訴願を受理し、陳述を行う機会を與え、これに基き指定が著しく不公正と認められる者につきその指定解除する道を開くことは、政府として措置の公平を期するために当然考慮すべきことと存ずる次第であります。  もとよりいわゆる公職追放措置は、終戦後の重要行政措置一つでありまして、これについての取扱いは充分に愼重を期すべきものでございますので、学識経験者をもつて構成する公職資格訴願審査会総理府に設置し、覚書該当者としての指定解除措置につきましては、この審査会意見を徴し、愼重かつ公平を期する考えでございます。  右の趣旨によりまして、覚書該当者で、その指定が著しく不公正と認められるものの指定解除し得る道を開くこともに、諮問機関として公職資格訴願審査会を設置いたしたく本法律案を提出いたした次第でございます。  何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いする次第であります。     —————————————
  4. 江花靜

    江花委員長代理 本案に関する質疑次会にいたし、次に、外務省設置法案を、議題といたします。  質疑通告順にこれを許します。加藤充君。
  5. 加藤充

    加藤(充)委員 順序が前後するかもしれませんが、まずこの法案の第四條に書かれております文に関してお尋ねをいたします。  この法律案は、現在の外務省設置法の第四條とこの一項の部分は、文字通りつたく同じものなのであります。外務省権限行使規定されておりまして、その権限行使は厳格でなければならない旨が規定されておると思うのですが、條約というようなもの、それから確立された国際法規というようなもの、並びに法律というようなものは、厳重に解釈されなければならないものである、当然のことでありますが、今般の講和條締結調印ないしは批准に関連いたしまして、カイロ宣言ヤルタ協定ポツダム宣言というようなものが問題になつて参ります。ところがこれはりつぱな国際條約であり、国際協定であります。しかもこれは連合国間の協定なのでありましようが、政府はそのうちのヤルタ協定というようなものは全然知らないというように言つております。私はここでこういうよう考え方、解釈の立場、あるいはその行動に関しましては、中華人民共和国外交部長である周恩来の声明の一部を今思い出すのですが、これはあなたがち中華人民共和国政府外交部長である周恩来一人の意見であると軽々しく軽視すべからざるものを持つと思うのでありますが、それによりますると、アメリカ政府は、対日講和條約の手続のみならず、対日講和條約の共同の基礎を変更せんとしておるし、連合国の対日共同の目的にまつたく違反したものであるとともに、日本に対する一切の国際協定を踏みにじつたものであるというのであります。私はこういう意味合いにおいて、日本においても外交の大道というものは、権威のある国際協定というようなものに対しては十分それを尊重するという態度がなければなりません。しかもそういうような学説そういうような主張がいろいろありまするときに、軽々にそのいずれかについて行動するというような事柄は、日本の将来の外交について決して私は軽視すべからざる危険なものを見届ける次第であります。なお講和條約の内容につきましては、その問題のほかに、日本憲法の第九條の規定あるいは九十八條一項との関係が十分理論的にも問題になり得るのであります。立場によつては、明らかにこれは外務省それを代表した外務大臣としての吉田氏、あるいは日本総理として、あるいは代表者としての吉田あたりが、憲法で與えられた権限をはるかに立ち越えて、独断専行越権行為をやつたものであるということすら言い得ると思うのであります。そういう点で私は、この第四條の第一項に規定された外務省権限行使は、條約、確立された国際法規及び法律従つてなされなければならない、という件に関連して、今の二点について政府の所信を伺つておきたいと思います。
  6. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ただいまのお尋ねは、この外務省設置法案の第四條にありまするその権限行使につきまして、「條約、確立された国際法規」、これに従つてなされなければならない、従つて、確立された條約なり国際法規を十分忠実に実施して行くという点で、これが外務省のいわゆる所掌事務の中心の問題であるというお話、まつたく同感でございます。また外務省はその通りに、これを忠実に守つて参る所存でございます。つきましては、その上にヤルタ協定というものがあつて——結局国際法規の問題あるいは條約という問題になりますが、ヤルタ協定は従来から外務省政府はこれをあまり認めていないのではないかという意味からの多分御質問であつたろうと存じまするが、実は厳格に申しますと、條約なり確立された国際法規というのは何によつて基本を求めて来るかということになりますが、これは国際連合憲章の中に登録というのをきめております。加盟国国際連合事務局に登録いたしました條約その他の協定を、国際的な公表された條約と見て、これによつてなして行くというのを基本にとつておるのであります。従つて、それによりまして国際関係條法規というものを外務省考えて参る予定でございます。  また憲法との関係において、今度の日本との平和條約は憲法に不十分な点があつて、さような條約を締結したことになりはしないか。條約の締結は、事前事後におきまして、国会承認をいただくことになつております。従つて憲法に違反しました場合には、国会承認を得られないものと考えております。国会において承認を得られました條約を、外務省は執行して参る予定でございます。
  7. 加藤充

    加藤(充)委員 今問題になりました條約は、連合国間の條約であります。日本が敗戦したということ、ポ宣言その他の連合国のとりきめに無條件降伏したという一つの歴史的な條件のもとに今回は置かれているのでありまするが、連合国間側でなされた協約というものをあくまで私は原則的に尊重するという態度がなければならないと思うのであります。いろいろどの立場に立つかという御見解の御発表がありましたけれども連合国側の間に、日本との講和條約その他の問題、その内容についていろいろ論争がありまする場合においては、まずその條約というものを直接取結んだその効力が日本に及ぶか及ばないかは、いろいろ説のわかれるところか知りませんが、私はわかれてはならないと思うのであります。それは第二段に置きましても、連合諸国側の間が、この自分たちがやつた條約協定内容についてしつくりして行くところまでわれわれはその協定国権威を維持し、尊重し、同時に日本のこれに対する態度をきめるという態度がなされなければならないと思う。ちよこちよこ出て行つて自分のところはこうこうこういう立場をとるのだから、それは認められないということ自体は、各国特に問題になつた條約の締盟国自体の尊厳というものを一方的に、出合いがしらに横つつらを張つたように、無視し軽視する立場が出て来る。こういう外交態度は愼むべきだと思うのであります。  それからもう一つ憲法の問題ですが、憲法に違反するものは国会承認を得られないというのは、聞捨てならないと思うのであります。先般もじようだんで話したのですが、ただいま国会行政監察委員会専売公社あたりのいろいろな不正腐敗の問題を問題にしておりますが、会計検査院の証言などを承りますと、それは私の方では国会に報告してあつた決算委員会において愼重に十分な審議をして処置をしてもらえば、こういうことにならなくたつてよかつたはずだ、とまでの趣旨証言がございました。こういうようなことはどこから起るかというと、何といつても衆議院において絶対多数を擁した自由党の多数決——民主主義の論理的形式的な点から論ずれば、多数決の横暴ということがあり得ないということは一応は成り立ちましようが、実は多数決というこのルール、規則にのつとつて、許すべからざる不法が行われている事実を指摘し、例をあげるに苦しむものではないのであります。そういう点から見て、私は国会承認を得られることによつて、すべての不適法、不法が合理化され、合法化されるということは、まつた——俗世間言葉でまことに恐縮ですが、それは盗人の論理とでもいうべきではないかと思うのであります。そういう点で少くとも私どもは、今までの日米外交、同時に外務省行動の中にすこぶる憂慮すべき、絶滅を期さなければならない方向内容をもつていたことをここに指摘しまして、第四條の第一項というものは、だてや酔狂で掲げておるのではないということをここに強調いたします。  それから第二段にお伺いいたしたいのは、第八條以下にアジア局事務、並びに第九條に欧米局事務というようなものが書かれておりまするが、これは先般船田委員からも指摘があつた点に関連いたします。その点は第九條の四に、「海外渡航移住、旅券の発給及び査証に関すること。」がうたわれておりまして、第八條の五には「邦人引揚に関すること。」というふうになつておる。私はこれは事の性質上、この邦人引揚げとさつき申し上げました九條の四項に掲げられておるものとの違いがあることを全然無視するわけではありませんが、私はこういうよう規定の持ち方の中にアジア局といいますか、アジア国家アジア民族アジア人に対する軽視の念があつてはならないと思うのであります。今までの帝国主義的な戦争の勝利支配者としていた日本は、そういうことでもこと足りたかもしれませんけれどもアジア民族、諸国家というものが、将来の政治面において、経済面において、あるいはその他諸般の問題において、今までと同じよう植民地の隷属に甘んじ、植民地支配に満足して眠れるししのごとく、あるいは居眠りをした豚のごとく、この屈辱と悲惨な状態に満足しておるものとは考えられない。またそのアジアの同じ人間として、あるいはアジア地域における国家としての日本は、将来のためにアジアの問題というものを十分に私どもは重要視しなければならないのであります。ところが先ほど指摘いたしましたように、この部類わけの中に、どうも私はアジアの問題を軽視して、敗れて、もうかいしようがなくなつたにもかかわりませず、またどつかのおつき合いと、主人を見つけて、うしろだてにして、そうしてもうすつからかんのくせに、やはりアジアを軽視し、アジア支配し、アジアを隷属化して行く、こういうふうな少くとも蔑視的な気持を私はこの外務省設置法案條項文字の中に見届けざるを得ないような気がいたしますが、その点についてお尋ねをいたす次第であります。
  8. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これはよくごらんいただきますと、従来とかわつて地域別の局を今度置きまして、従来ずつと前にはもつとこまかくわけておりましたが、しかし終戦後はこういうものを廃止いたしておつたのを、米欧局アジア局という地域局を置いたのであります。しかしお話とは全然違つた考え外務省は実は持つておるのであります。むしろアジア局というのは、単独な局にいたしまして、その世界米欧局をというようにわけて、しかもアジア局を第一に出しておる、こういうのであります。これはお話とは全然違つてアジア局を最も大事な局として第一に置きしかも世界の各国々をかりに分類いたします場合において、アジアだけを一局として、ほかを米欧局、こういう取扱いをいたした次第でございますから、従つてこのアジア局というのには、いわゆるアジア地区というのには最も力を注いでおるつもりであります。また御引例になりました引揚げなり、渡航の問題、これらは結局全体の外務省設置法にありますよう仕事をするのには、いろいろと便宜のいい分類の仕方をするという問題になつて参りますから、従来の関係から便利のいい分類には一応こういう分類がいいというのが、この分類としてあげた点であります。
  9. 加藤充

    加藤(充)委員 私は今の問題の中にやつぱり差別と区別があることを認めざるを得ません。このあなたが御答弁になつた米欧局というものは條文のどこにもそういうものはございません。欧米局なのであります。米を先にして欧をあとにして、その次にアジアが来るという根性は今の答弁の中に表われていると思うのであります。私は技術的なものじやなしに、そういう本質、魂胆というものを全然従来の外務省の中から拂拭してしまわなければならないということを指摘するつもりであつたのでありますが、はからずもあなたの答弁の中は、語るに落ちたという証拠を見つけたのであります。それでお尋ねするのですが、技術的な問題だというが、ソ同盟は一体これはアジア局なのか、米欧局じやなしに欧米局所管に属するのか、いかがでありますか。
  10. 草葉隆圓

    草葉政府委員 私まことに言葉が間違いまして、欧米局でございます。この点は訂正いたしておきます。このプリントが違つておりましたからうつかりそう申し上げて——それはそういう意味じやなかつたのでございます。決して軽んずるとか、重んずる、そういう意味ではございません。それからソビエトの方は欧米局の中に入つております。
  11. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、私は外交というものは地域の問題じやなくして、主権国を相手にしなければならないものだと思います。またその通りと思いますが、数字を私はここで一々げあて論争はいたしませんが、令までわれわれが聞かされていたところによりますと、引揚げ邦人の一番の問題が、量的にも質的にもソ同盟にあつたことは政府並びにその所管人々や、あるいはその他の人々から幾たびか聞かされたことなのでありまして、その一番問題の邦人引揚げの問題、しかもこれは重大なる問題でもありまするけれども、これは国家百年の大計というよりも、むしろ当面の時期的な問題ですらあると思うのでありまするが、こういうよう邦人引揚げに関する問題は、それならなぜ欧米局ソ同盟部類に属するところで取扱うという部局わけ、分担わけをしなかつたのですか。
  12. 草葉隆圓

    草葉政府委員 局課の分割をいたしますときには、実はそこで取扱いまする種類の問題なり、また分量の問題なりをよく検討いたしまして、なるべく仕事が偏頗にならないように、従つて、厳格に申しますと、区域別もありましようし、あるいは種類別もありましよう。しかしこういうのを一方的だけでは数ばかり多くなりまするから、従いましてなるべくこういう仕事の分野の量等をあんばいいたしまして、そう連絡をよくしながら、能率を上げるというのが部局を配分する根本だと思います。従いまして、引揚げアジア局に持つてつたら、アジア局以外の引揚げはやらないぞというような問題とは全然異なつて参ると思います。もちろん引揚げが他の局にありまする場合にも、十分いたしまするし、また引揚げの問題についてほかの局と関連いたしまする場合には、十分関連を持たせて参ることは当然であります。
  13. 加藤充

    加藤(充)委員 私はそこで先ほど言つたように、九條の四項の事務所管のものと、邦人引揚げというものは、性質は違うかもしれぬけれども、しかし結局海外渡航か、移住かというような問題を大きく見まするならば、これは当然ではないかもしれないが、第九條の欧米局事務所管規定のところに入れてもいいのではないか、これは技術的な面でもそうだし、体裁上もそういうような気がいたしますし、なお先ほど申し上げましたように、欧米に属するソ同盟引揚げの大半がおるのだ、そしてそれが宣伝されたように一番がんなのであるということになれば、まさしく本質的な問題からいつても、欧米局の方に入れてもいいのではないかと思うのであります。これは別にこれ以上続けませんけれども、私は外交仕事の中には、日本の国土でありながら——あるのか、ないのかわかりませんが、政府答弁によると、ありながら、その地域には、変則的あるいは時間的なのかもしれませんが、主権の全部が発動されないという地域仲縄でございます。この所管事務のわけ方を見ますると、「朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島その他の地域における日本の公私の財産及び負債並びに企業その他の諸施設の整理云々というような、仕事の摘述をしておるくだりを見るかけでありまするが、こういうようなところまでやつているとするならば、日本領土であるか、ないかの、理論的な、実質的な問題はさておきましても、現実日本主権が発動しないという沖縄地域、こういうところには、外交で片づけなければならない問題がたくさんあると思うのであります。さつき申し上げましたような問題まで書き上げるというのであるならば、この沖縄の問題を、当然真剣な問題として、外務当局の重要な処理事務としてあげないというのは、私は不見識のそしりを免れないのではないかと思うのでありまするが、この点についてはいかがでございましようか。
  14. 草葉隆圓

    草葉政府委員 お示しの通りに、第四條の二十六にはそれぞれこまかく区域的に名前を出しておりまするが、これは御承知通りに、これらの地区にありました従来からの日本の官庁の残務処理を現在いたしております。従つて、その残務処理をまだ解決しておりませんから、引続いていたす意味において、二十六にはこういう名前を別個に出しておるのであります。また今回日本との平和條約におきまして分離地区といたされておりまする北緯二十九度以南諸島についての問題、これは今後どうなるかというお話でありますが、現在占領下におきましては、これは十分連絡する必要がありまするから、国際協力局等におきまして十分連絡を密にいたして参らねばならないと存じます。また平和條発効後におきまして、受任国でありまするアメリカ日本との間に、国際連合信託統治になす、なさぬは将来の問題でありまするから、それまで行政司法等のもろもろの問題をどの程度受任国施政権者としてやるか、あるいは日本がこれをやるかということは、相談の結果出て参りまするので、その上で、平和條発効後の状態に応じてさらに部局等を変更する必要がありますると、さらにそのときに御審議を願うという段階になつて行くものという予定で進んでおります。
  15. 加藤充

    加藤(充)委員 フィリピンの上院の選挙の情報が、昨日から今朝にかけん各新聞報道機関をにぎわしておるようでありますが、こういうことになれば、條約に署名されても、批准の問題は相当困難なものをフイリピンにおいても見のがすわけには行かないと思うのであります。またインドネシア等においてもそれと同様な事態が起きておることも、先般御承知通りであります。さすれば、講和條発効後というようなことを言つておりまするが、この時期は予想されたように簡単には参らないということも私は考えて行かなければならないのではないかと思うのであります。奄美大島沖縄等におきましては、全面的な日本主権から離脱されて行つているということについては、これまた御承知通りの非常な熱烈な事態の動きが見られるのでありまして、この面から見るならば、発効後というようなことに対して、当面の外務省仕事の中から、あるいは仕事規定する法律文字の中からこれを除外するということでなしに、積極的にその問題を取上げて行かなければならない問題だと思うのであります。しかもまた理論的にいいましても、主権があるのかないのか、あるとすれば、主権がありながら、相当期間、しかも発効以前には特にしかり、発効後においても問題は残りますが、この主権の全面的な回復ということは、私は外務省としては真剣な重大な問題の一つであると思うのであります。しかるにそのことが書かれていないのは、私は最初に第四條の点に関連してその心構えと態度方向についてお尋ねしたような、また確かめておかなければならない危惧があることを、さらに今の答弁の中に深めざるを得ないのであります。しかも今の外務省設置條文事務分担の中から言いますと、それは当然アジア局あたりに属して行くと思うのであります。島津局長も昨日か、そういうことの趣旨答弁したと思うのでありますが、そうすると、アジア局仕事の中には、沖縄の問題はアジア諸国一般として取上げられて来ざるを得ない。沖縄アジア諸国一般であるかどうか、問題は重大でありますので、そういう点についてもお尋ねをしておかなければならないと私は考えます。
  16. 草葉隆圓

    草葉政府委員 お話ように、北緯二十九度以南沖縄その他の諸島につきましての問題は、在留の方はもちろんでありますし、国民も強く正常な状態における日本領土としての復帰を熱望いたしておるのでございます。この点は、従来ともるる申し上げておる通りであります。従いまして、今後の協議の結果におきまして、これが具体的にいろいろと現われて参る問題だと存じますから、従つてこれはいわゆる外交という観念ではないと思います。外務省が取扱つております中には、これらの現実の姿に即応して、あるいはアジア局でやり、あるいは国際協力局で関係方面と十分な連絡をいたしながらやる、あるいは経済問題でありますと、経済局等、すべて外務省一体となつて進んで行くべき問題と存ずるのであります。
  17. 加藤充

    加藤(充)委員 日本主権が行われない地域であることは、吉田首相あたり答弁によつても明確なのであります。そういうところは、日本の国に準ずるというよりも、あるいは日本の国であるというふうに言うよりも、理論的には、あるいは実盾的には外国に準ずるものではないか。またそういう取扱いを受けて、万般の主権の回復に当面全力をあげて努力をすべきである。従つてその面に関して事務配分というような問題も明確に規定されてこそ、日本外務省としての権威を増すものだと私は考えるものであります。  しかし私は次の質問に移りますが、今度の外務省設置法によつて重点を置かれた活動として、従つて新しく局の設けられたものは、国際協力局、それから情報文化局というような局と、その事務だと思うのであります。私はこれについてお尋ねいたすのですが、二十六年度国の予算という、大蔵省の出しております文書によりますと、今私がお尋ねしたいと思うことに関連しましては、情報啓発事業実施に必要なる経費というのが目につくのであります。これは二十六年度に一千六百六十二万六千円で、二十五年度の六百八十五万円に比して実にたいへんな費用が、今申し上げた経費に費されておるのであります。ここでどういうことがいわれているかというと、国内啓発のための経費と、それから共同通信社に対する補助金、これが国際情勢の変遷、すなわち二十六年度は朝鮮事変という問題が起きたので、この国際情勢の急変に対応するために、情報啓発事業を拡充して強力に推進する必要を生じた、それで費用がふえたのだということが読まれるのでありまするが、一体そこではどんな仕事を具体的にやつて来たのか。共同通信社というものは、ラジオの放送や、あるいはまた毎日の新聞に見られるような、少くとも私ども、あるいは世の識者が感ずるように、一方的な記事しか送つて来ないところなのであるか。それとも、共同通信社から入つた万般のニュース資料の中から、外務省あたりでしぼつて適宜選択して、ラジオや新聞なんかの報道を統制して行つているのか。このことは将来国際協力局の事務だとか、あるいは情報文化局の事務関係して重大だと思いますで、私はお尋ねするのであります。
  18. 草葉隆圓

    草葉政府委員 実はかような国際情勢で、いろいろと條約を結びましても、この條約がたいへん重要な條約でありましても、対外的の報道啓発というのが全然ありませんと、徹底いたさない次第であります。従いまして、これはどうしても国民の総意による理解と協力とによつた、いわゆる国民外交という立場をとります上には、どうしても十分なる理解と支援とを、国内において持つことが必要でありますと同時に、また対外的には、努めて日本の真摯な姿を理解してもらいますような方法をとつて来なければならないと存じます。ことにただいま御指摘になりましたような、具体的の共同通信というような問題につきましては、なお在外邦人あるいは抑留邦人等に対しまする放送等も考えて参らねばならないのでありますから、こういう点を考え合せますと、お話ように費用が相当増額を来して参つた次第であります。
  19. 加藤充

    加藤(充)委員 情報文化局の仕事を定めた十三條に「新聞、通信、放送その他の方法により、対外政策又び国際情勢の対内報道、対外政策及び国内情勢の対外報道並びにこれに必要なる情報の収集を行うこと。各国との文化交流及び国際文化機関との協力に関すること。」というようなことがあるのでありまして、ここで問題になりますのは、私はこういうところだと思う。日本はずいぶん今まで反共だとか、反ソだとかいうようなことで、百万の精鋭を満洲に送り、みんな狩り出されたのでありまするが、一方的な、ためにする宣伝のために、やがては結局残忍な、侵略的な帝国主義戦争に動員されて、今日この悲惨と屈辱の中に泣いている、こぶしを握り固めている日本人が大部分だと思うのでありますが、そういうときに、こういう情報文化局とか、あるいはそこから来る宣伝、放送というようなものは、日本人の目と耳を一辺倒に開かせるのではなくして、文字通り世界各国との文化交流なり、各国の情報なりを知り、そしてその間に立つて国家百年の万全の大計を立てるということにならなければ、私は前の悲劇がむだになつてしまうと思うのであります。ところが新聞やラジオ等は、現在——外務省も関連しておると思うのでありますが、あまりにも一辺倒であつて、またしても私どもは片耳、片目のまま、とんでもないところに行かされるような危惧を強めざるを得ない実態なのであります。その点で私は、この莫大な金を朝鮮事変の発生以来使いました情報啓発事業の実施の面について、外務省にも強く反省を求めざるを得ないし、またそういうことを言う理由の一つには、少くとも第十二條にうたわれておる国際協力局という部局の名称、並びにそのところで取扱う事務の問題から、私はそのことを見届けるわけなのであります。大体において国際協力というような事柄が、外務省一つ部局をあげての仕事としてうたわれたり、取上げられたりしているということが、理論上おかしな話でありまするし、また国際協力ということ自体が、今までの吉田政府なり、あるいは外務省仕事の実績から見ると、いわゆる世界各国に対する問題じやなくして、非常に一辺倒的な、そうして常識的に言われる二つの世界、その中の自由の世界に明らかに一辺倒いたし、その中にはつきりと一方的に足を踏み入れてしまつた。そのことがいわゆる国際協力という名前で宣伝されて来た。このことはやつて来た実績に徴しても明らかなのでありまして、私どもは国際協力局という名前自体の問題にこだわるばかりでなしに、こういう部局をあげてここにうたわれているよう仕事をやつて行くところに、ますます国家百年の大計、日本国家民族が将来よつてつて立つべき態度と指向の方向を誤るものであると私は強く指摘せざるを得ないのであります。この点についてひとつお伺いいたしたいと思うのであります。
  20. 草葉隆圓

    草葉政府委員 外国の情報の収集等につきましても、最大限度の方法をもつて、発表されます外国の情報を収集しております。しかしごく秘密にいたしておりまする国々の情報はなかなかとりにくいのであります。現在許されておりまする最大限の方法を公平にとつておるつもりであります。  また国際協力は、御承知ように現在国際機関なりあるいは国際会議というような点から考えますると、ほとんどそれらの多くのものは二つの世界が一緒に入つて来ております。従いましてこれらの国際機関なり国際会合等におきまする国際協力の問題の取扱いという点だけでは、決して一辺倒的なものじやないと考えます。そういう意味におきまして、外務省はすべての国際機関、国際会議その他の国際協力という意味において進んでおる次第でございます。
  21. 加藤充

    加藤(充)委員 最後に一点、今の御答弁の中に機密ということがありましたのでお尋ねいたします。第七條は大臣官房の事務を定めておるようでありますが、その四に「機密に関すること。」というのがあります。機密というのは発表してはならないこと、そういう性格のものでありましよう。時間的に多少の変更が来ることももちろんでございましようが、この機密というのは、外務省内部だけの事務をやつて行く上の一時的なものであるのか、それとも先般吉田首相が外相として言われた、外交は機密なものである、あるいは機密ということでいけなければ秘密なものであると言つたいわゆる秘密外交、そうしてまたこれが従来憂えられておつて、今日の国家の悲運をもたらしたのであるが、そういう秘密であるのか。この復元的な日本外交というものにはいずれにしても機密が関連するものでありますが、国会並びに国民に対してこういうようなものはあつてはならないという原則に立つて、坦々として明らかな、褐寛博といえどもわれ行かんとする日本外交の大道がなければならぬと私は考えますが、この機密ということについて今申し上げましたような点についての御所見を承つておきたいと考えます。
  22. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ここで申しております機密というのは、これは各省ともにありまする機密でございまして、たとえば人事なら人事の異動をいたします場合に、その決定をし、発表するまではすべてこれ機密ということでございます。予算にいたしましても同様であります。そういうふうな意味におきまする事務の機密の問題でございます。
  23. 加藤充

    加藤(充)委員 それで国民と国会に明らかにされない外交というものは、少くとも今後はあり得ないものであるという明確な趣旨の御答弁を得たと私は思います。それで最近、十月の四日付であつたか、出入国管理令というものがポ政令で出されて、外国人、とりわけ問題になつております朝鮮人に対しては、十一月一日から強制送還の実施をやるということになりました。これについては先般来、昔の朝鮮の一部——地域的には明らかにその一部分だと思うのでありますが、韓国と日本との間に外交的な交渉が行われておるということでありますが、一体そういうふうなものはどういう内容でいかなる段階に到達したものか。聞きますれば、十一月一日からのポ政令による強制送還は一時実施いたさないというようなことになつたということも、島津局長から承つたのでありますが、もしそういう事態になつたとすれば、どういう理由で急いで出したポ政令を一時実施しないでもいいことになつておるのか、この点はその不見識の点から見てもお尋ねしておかなければならない点だと思います。
  24. 草葉隆圓

    草葉政府委員 お話ように出入国管理令を出しまして十一月一日から実施いたしたのであります。しかしこれはよく、ごらんになりますとわかりますが、決して朝鮮人全部に退去命令を出すというようなことは全然ないのであります。附則の中に、従来ありました外国人登録令でありましたか、そのうちのたしか十六條、十七條も除外をいたすことになつております。従つて最初からこの出入国管理令はこれら朝鮮人の方に対しては直接十一月一日からは該当しない、こういう方針で来ておりますから、従来とこの点については何らかわりがないことを御了承願いたい。
  25. 加藤充

    加藤(充)委員 日本の国籍を取得することを望む旧朝鮮人がおるかおらないかの事実問題は第二段に置きまして、おそらくあの政令の取扱いの実体になるのではないかと思う点から判断いたしますと、日本で生れついた昔の朝鮮人はまず日本の国籍を取得するという権利を一応まつ先に與えられるといいますか、付與されるということが、国籍取得についての国際法上の大勢になつておるのではないかと思うのです。しかるにその取扱いについて、あのポ政令の強制送還の條件の中には、そういう点が無視されておるのではないかと思うのでありますが、この点は参考のために、外務省あたりが先ほど申し上げました第四條第一項の点からも関連して確かめておきたいと思います。
  26. 草葉隆圓

    草葉政府委員 今度の出入国管理令の中では、実は国籍の問題等は全然触れておりません。これはいずれ今後の両国間の問題になつて来ると存じますので、十分話合いまして進めて参るはずでございます。ただ問題は、従来朝鮮は独立しておつて、その後日本に合併して、それがまた元の姿になつたという考え方から、今度はいわゆる朝鮮の奴隷的状態を解放するということになつて来たと存じます。従いまして、これは今後両国間におきまして十分協議をして、納得の行く方法できめて参る予定でおります。
  27. 加藤充

    加藤(充)委員 国籍法に譲るといつたのは逃道だと思います。多分あそこには十二歳か十四歳の年齢の制限の規定があつたとは今思い出すのですが、十二歳以上であろうが以下であろうが同じですが、国籍取得の手続をしない前に、そういう利益と権利を踏みにじつて、そうして朝鮮に返してしまつてからこれを国籍法の問題に譲るというのでは、ポ政令の強制送還の問題と関連する国籍取得についての原則なり常識を無視しておるばかりでなく、国籍取得についての世界的な原則的なものになりつつある方向と違つた方向である。出入国管理令の今度のきめ方を見ると、どうもそういうふうなことになつていると思うのでありまして、国籍法にその点は譲るというのでは、私が今お尋ねしたような、大体の世界の各国の方向、方針と違つた方向内容を、ポ政令は国籍取得に関しても持つているのではないかと思うのであります。
  28. 草葉隆圓

    草葉政府委員 国籍の問題は、たいへん大きい、またむずかしい問題でございます。従いまして原則的にはいろいろな国際法的な問題も従来からありまするが、朝鮮と日本との関係におきましては、従来の関係も十分考えながら、円滑なる両国間の友好を持ち来さなければならないと考えております。従いまして、現在出しました出入国管理令には、さきに申し上げましたように、朝鮮人に対する適用は当分見合しておる次第であります。従つて両国間において十分この問題の基本的な話合いをつけて、それから先にこれらの問題は解決すべきだと考えております。
  29. 加藤充

    加藤(充)委員 まだお尋ねしたい点はこまかく行けばありますが、ほかの人の発言もあろうと思いますので、私の質問は打切つておきます。
  30. 江花靜

    江花委員長代理 ちよつと念のため草葉政務次官に申し上げますが、先ほど、朝鮮の合併後また元の独立国になつたというところで、奴隷的な状態から解放されたというお言葉がありました。そうなると、日本の朝鮮に対する統治というもので奴隷化されておつたということになりますから、政府委員のお言葉としてはちよつとまずいのじやないかと思いますので、御訂正願いたいと思います。
  31. 草葉隆圓

    草葉政府委員 あれはカイロ宣言の中でそういう言葉を使つて連合軍が申しましたから、その言葉を引いたのであります。
  32. 江花靜

    江花委員長代理 それでは政府委員のお言葉ではなくて、そういう言葉を引用したというだけでありますね。それでは政府委員言葉としては取消されますね。
  33. 加藤充

    加藤(充)委員 それはじようだんだからいいけれども、さつき言つたように、日本は朝鮮を植民地にしておつてどういう状態を與えたかということを、世界各国、連合国が少くとも認めたのを、それは都合が悪いからというよう言葉じりでごまかして行くというやり方自体、国際関係の各国の権威連合国権威を認めたことからすると、非常に重大な問題であると思うのであります。その点委員長、考慮を要する重大なものを含むと思うのですが、いかがですか。
  34. 江花靜

    江花委員長代理 今ちよつと政府委員と話をしておつて聞き漏らしましたが、もしこの場で取上げなくてもよい問題でありましたら、いずれ会議でも終りましてから御指導を受けることにいたします。この程度で、ごかんべんを願つておきます。松本善壽君。
  35. 松本善壽

    ○松本(善)委員 今度提案されております設置法案内容を見ますれば、日本が独立してからの分野がある程度まで機構のあり方においてもできそうであるという考え方を持つておるものであります。しごくごもつともと思いまするが、その中において二、三お聞きしたいと思います。  かつて外務省のあり方は、昨日たしか言われたと思いまするが、象牙の塔に立てこもつて、一部局あるいは他省において外交がなされておつたということから、今度は幾分か民主的なあり方から考えて、顧問、参與というものを設けた。これは国際的な観点に立つて、国際的な外交を回復する以上、どうしてもかような顧問とか参與とかいうものが必要であるというように見受けられるのでありまするが、外交権を回復するからではなしに、根本的な意味において、顧問、参與という制度が、審議室あるいはその他のごときものでなく、当然本文において明文化されてほしい事項だろうと思います。しかしながら、この顧問、参與は大物ぞろいであつて、民主化しようとする外交方針に対して逆行を来すようなことはもちろんいむべきことではありまするけれども、この別の項に設けたところの顧問、参與というような制度を本文の中に入れて、今後行われるところの民主的なる外交は一般の輿論を大いに推進力とするようにしてほしいと私は考えているのであります。従いまして、この点について昨日もお話があつたと思いまするが、まず顧問、参與の設置に関しての御方針を承りたい。
  36. 島津久大

    島津政府委員 顧問並びに参與につきましては、昨日も御説明申し上げましたが、これはただいま御指摘のようにごく経過的のもので、外交再開に必要だからというだけのものでございませんで、あらゆる意味で各方面の代表となるような方のお知恵を拝借するという趣旨であります。
  37. 松本善壽

    ○松本(善)委員 この條文の中から見ますと、あるいは外務省だけが一つ事態を取上げて、天皇がこれを認証することがいいというような感情もあるがごとく、他の者に対してはいわゆる民主的なるところのあり方が何らできないじやないかというような点が少しうかがわれるのでありまするが、ただいまの答弁によつてようなことはないということを明らかにいたしました。  次に、今度機構改革の中にアジア局欧米局を設けられた。そういう中において考えなければならぬことは、ここの第一課として雑務課というような筋合いでもつて、かつての朝鮮、それから中国、かような問題も取上げられるということでありますが、私どものそもそもの考えといたしましては、中華人民共和国という国が、国として認められるかどうかは後の問題でありましようけれども、この問題を取上げまする場合においても、われわれとしてはポツダム宣言あるいはその当時にさかのぼれば、その相手国としては中国である、人をいえば蒋介石であるはずでありますがゆえに、そのような問題を分離して取上げるということは、最も当を得たるものとは思いますけれども、今後の貿易関係のあり方において、今度は経済局というようなものを設け、そこに次長を置くというような方針でありまするが、現在通商産業省に属しておりまする貿易諸官庁とどんな関連づけの上において、その効果を発揮するかということについても、御方針があられるかと思います。どうかその点承りたいと思います。
  38. 島津久大

    島津政府委員 通商産業省と外務省の経済関係事務につきましては、昨日も御意見がございまして、これに対して大変外務省におきましては対外面、通商産業省におきましては対内面、そういう大まかなわけ方があるということを申し上げたわけであります。ところがこれは昨日も申し上げたと思いますが、厳格にどこに線を引くかということは非常にむずかしい問題でございまして、各国でもこの点は対外面、対内面をどこで線を引くかということはなかなか論議もありましたし、機構としても変遷のあとがあるわけであります。日本でも戦前におきましても、この点の権限の分界につきましてはいろいろないきさつもあるわけであります。今日のところは通商産業省におきましても、やはり通商産業省の通商局におきまして地域的なものを持つております。外務省の経済局におきましても、やはり地域的な分担を持つております。ただその事務内容といたしましては、外務省が対外面を受持ちまして、その対外面あるいは外国との條約あるいは協定、そういうのを国内的に実施に移す、そういう場合通商産業省がこれに当る、また條約、協定の話合いをいたしますにつきまして、その内容をなす各種の資料ないし方針につきまして、十分両省の間で緊密な連絡をとつてつて参る、そういうことで権限も一応わけておられますし、協力もいたす。協力の方法といたしましても、両省の人を交流させて本省におきましても、また出先におきましても、両省の人が入りまじつて協力をして参るという態勢をとつておるわけであります。
  39. 松本善壽

    ○松本(善)委員 その点了承いたしました。次に今度の改正の内容を見ますると、国際協力局というものを新たに設けておられる。これはまことにけつこうなことと思いまするが、現在の日本のあり方としては、先ほど共産党の議員からもお話があつたようでありますが、現在の日本の建前から申し上げますなれば、外交権は復活したと言われているようなことではありまするけれども、目下の状態からいうと国際関係、各国に対するところの信義を厚うするというのが、現在われわれとして最も痛切なるところの事項であると思いまするがゆえに、ここに国際協力局というものを設けて、諸般に関するところの行為を行う、このことについてはまことにけつこうだと思いまするが、もしもつと自由な立場において言わしめていただくことができることなれば、私といたしましては、外交の方針で行きますなれば、もちろん日本が独立したということの建前について申し上げまするなれば、やはりソ同盟もこれは世界でもつて国際連合関係の諸事項について取上げられておるけれどもようなものも専門的に取上げてみることも、これはあながち当らないことではない、かように私は考えます。しかしながら現在においてかようなものが全然ないということを、私は申し上げるものではございません。現在においても、改正前の機構内においても調査局あるいはその他においてソ連通であられる諸官が特に研究をなされているということは、私ども認めるものでありますけれども、もしもできるならば、かようなものもこの内容と実際において、もう少し検討されたらどうかとも思われる次第でありまするが、その点について承りたいと思います。
  40. 島津久大

    島津政府委員 ソビエトないし東ヨーロッパ関係につきましては、ただいまお話がございましたように、従来調査局の一課で主として取扱つてつたのであります。今回の改正によりまして、欧米局のうちに同様の所管の一課を設けまして、引続きその関係仕事を取扱うことにいたしております。
  41. 松本善壽

    ○松本(善)委員 わかりました。次にお尋ねしなければならぬと思いまするのは、関連事項になりまするが、先ほど出入国管理庁というもののあり方についてあるいはポ政令その他でもつて問題がありましたが、あるいは法務府を主管とするとかいうような御意見もあつたようなことも私ども聞き及んでおるのでありまするが、この問題については治安関係の問題に関することであり、また適切な方法であるとすれば、法務府あるいはその他において取上げられるべき性質のものであると思います。しかしながら私どももつと自由な立場でこれを考えさしていただきますなれば、国内関係におきまするところの体制、すなわち治安関係の体制が一括して取上げられなければ、かようなものの終局の目的を果すことはできないと信ずるものであります。たとえば海上保安庁とか、あるいは警察予備隊とか、あるいは出入国管理庁、かようなものが同時に取上げられなければ、所期の目的は当然できないものと思いまするけれども、その点において、先ほど言いましたように途中でやめて、どうも権威のないようなことになつたというようお話でありまするけれども、私ども考え方から申しまするならば、かえつてその方が国内的にも治安がより守られたとかよう考えておるのでありまするが、そこで現在のあり方として、入国管理庁としての、いわゆる外務省の外局としてありまする分野と、現在運輸省の主管でありまするところの海上保安庁というようなあり方とか、それからいま一つ申し上げますならば、警察予備隊というようなあり方があるわけであります。この観点に立つて外務省の外局としてはどういう面かということをこの際明らかにしておかれた方がよろしいんじやないかと思いまするが、ゆえに、お尋ねしたいと思います。
  42. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの御質問は、治安関係の機関の一環としてただいまの外務省の外局の入国管理庁のあり方は、どうあるべきかというような御趣旨かと思います。この問題につきましては、御意見もございましたし、また私どももいろいろな角度から研究はしておるのでございまして、従来もこの点につきましては、政府部内でも論議があつた点でございまして、今後どうなりますか、これは政府全般の機構の問題にも関連いたしますので、私からその点は確定的なことはまだ何も申し上げられないわけでございます。いろいろな研究の末、現在のところは外務省の外局という体制になつておるわけであります。御承知ように入国管理庁の事務全部が、必ずしも外務省本来の仕事と全部一致するというものでもないわけでございます。従いまして内局という体制はとつておりません。しかしただいまのところは、外務省所管ということで本来の外務省の通常の事務とは多少系統を別にいたしまして、外局という形をとつておる次第でございます。
  43. 船田享二

    船田委員 私は実はきのう開かれました外務委員会との連合審査会で、主として外務委員の方々から行われ、また私自身も行いました質問、それに対する島津政府委員の御答弁と多少重複しても、きよう大臣または政務次官から政府の方針について責任ある御答弁を願い、また内閣委員としての質問を申し上げたいとこう思つてつたのでありまするが、草葉政務次官が御都合で御退席になりましたので、そういう意味で私の質問はまた別の機会に讓りまして、ほんの補充的に一、二点質問を申し上げたいと思うのですが、一つは昨日外務委員の方からの御質問で、この法案を間もなくまたかえるつもりで提案されたのではないか、つまり平和條約が効力を発生すればまた改正するようなことになる、そういうことを予定して提案されたのではないかというような御質問があつたのに対して、島津政府委員は相当恒久的な性質を持つものとして提案したという御答弁であつたと記憶するのですが、なるほど第四條ことにその十二号以下などを見ますと、日本が独立を回復した後におけるいろいろな事務、そういうことに関する権限外務省が持つという建前で規定されております。ところが昨日もちよつと問題になりました国際協力局について第十二條を見ますと、その第二号に「連合国最高司令官総司部その他連合国最高司令官の下にある官憲との連絡及びこれに関連する各行政機関の事務の総合調整に関すること」とあつたり、同じく十二條の第四号に「連絡調整事務局に関すること」が国際協力局の事務となつておりまして、そうして連絡調整事務局につきましては、十八條の一号、二号において連合国云々という事務規定されておるのであります。これらは平和條約が発効するまでに本法案がもし成立するとすれば、成立して施行されてから平和條約が発効するまでの間のことでありまして、それからあとになると、何らかの規定の変更をしなければならないもののよう考えられる。内容的に見ましてもいろいろ疑いがあるばかりでなしに、法律の建前としてもこういうような一時的なことがわかつておる。平和條約が間もなく発効するのではないかということが今予想されるときに、こういう一時的な規定と、それから恒久的な規定というものをまぜこぜにして規定するということが、非常におかしなことではないかというふうにも考えられる。便宜的にこういうような十二條の規定あるいは十八條などの規定は、もしできれば附則なり何なりに規定しておいて、そうして平和條約の発効後にも本文はそのまま用いることができるというような方法にした方がいいのではないか、こんなふうに考えられるのですが、その点いかがお考えですか。
  44. 島津久大

    島津政府委員 ただいま御意見の点はごもつともでございまして、この法案の全体の行き方が昨日申しましたように、できる限り恒久的な制度のつもりで立案してございますが、やはり現在まだ正式に外交関係が回復したわけでもありません。占領機構は依然として平和條約の発効まで続くわけでございます。従いましてお話がございましたような十二條、国際協力局の所掌事務の一部、こういうものは現状において続かざるを得ないわけであります。しかしその他の点は、ほとんど平和條約が発効いたしました以後にもかわらないかと思うのであります。主としてかわるのは御指摘になつた点であろうかと思います。それが本文にまざつておるのがおかしいようだという御意見でございます。その点はやはり何と申しましようか、あまりさつぱりしない書き方かもしれないと思うのでございます。全体が本省の機構の編成からしまして、ただいまのところはそういうものもやはり内局の国際協力局の一部の仕事としてやつて行くのが適当だと思いましたので、この本文の中にあげたわけであります。当然これは次の国会あたりで変更願わなければならない点であろうと思います。しいてこれを附則に落すということももちろん考えられますが、これは体裁の問題と考えます。またこれを書きますことによつて仕事の運営に支障を及ぼす点もなかろうと私は考えておる次第でございます。
  45. 船田享二

    船田委員 そうしますと、結局この法案が今度通過いたしたとしても、平和條約の発効後には再びこれを審議しなければならない情勢が起きて来るということを、大体政府側も予定しておられると思うのでありますが、それと関連しまして、昨日も私問題にいたしました海外渡航その他に関する事務が、欧米局にあるというようなことについても、お考えを願いたいと思うのであります。昨日は、アジア諸国が独立したという新しい情勢に応ずるという観点から、この海外渡航移住その他の事務を、どこへ持つて行くかということを、新しい立場から考えていただきたいということを申し上げたのでありますが、そればかりではなしに、もう一つは国民に対してなんです。たとえばこれから大緯民国へ渡航ようとするときに、欧米局に行かなければならないというようなことは、しろうとにはかわからないのです。外務省のいろいろな局、あるいは課が、どこへ行つたらいいのかわからないということが非常にたくさんあります。これと関連いたしますが、たとえば今までも第一課、第二課というように、数字で表わされておりまして、なかなかわからない、中には国民と直接の関係のない課もありますので、そういうのは、外務省内部だけでおわかりになつておれば、それでいいかと思いますが、こういうような点は、この法案を改正するというときでなくて、現在提出されております法案が通過した、これに基いて局を編成する場合に、すぐ問題になることであります。とかくこれまで、先ほどからちよいちよい問題になつておりますが外務省が国民との接触が薄かつた、それを改めろというようなことも言われておりますが、こういうような面の考慮も拂つて、課をつくるような場合に、できればその名称ですぐその課の内容がわかるよう——なかなかむずかしいことかもしれませんけれども、そういう課を設置されるよう努力していただきたいというふうに考える次第であります。これについては、もし御答弁がありましたらしていただきたいし、私の希望として申し上げまして、私の質問はこれで打切ることにいたします。
  46. 島津久大

    島津政府委員 昨日も引揚課ないしは渡航課について御意見がございまして、将来研究するというようなお答えを申し上げたと思います。これは外部からごらんになりますと、ちよつと不自然なような、ふしぎな点もあるかと思うのでございます。たとえば渡航関係、これを地域局のどつちかに置かずに、官房というような点も考えられますが、また渡航問題その他に関連いたしまして、地域局でやつておりますよう仕事に、密接な関連を持つて来る移民政策その他にも関連して参る点もあるわけでございます。はたして官房に置くことが適当かどうか、これまた簡単には申せないわけであります。また一方経済局というようなところに置くことも、一案でございまして、ずつと以前には外務省の通商局に、たしかこういうよう渡航、旅券関係仕事があつたように記憶いたしております。その後これがやはりその当時の仕事の割振りからしまして、アメリカ局に移つたというような事情もございます。これらは完全なとは、ちよつと今申せないわけでございまして、今後運営をいたしまして、ある時期には、所要の修正をなさねばならないかと考えております。御意見の点は十分研究をいたします。
  47. 松岡駒吉

    ○松岡委員 私のお尋ねしたいことは、きわめて簡単なことであるが、ひとつお答え願いたいと思います。  二十四條を見ますと、「在外公館の名称及び位置は、別に法律で定める。」となつておるにかかわらず、二項には特別の必要がある場合、それからさらに三項には特別の事情がある場合、こうなつておるのであります。説明によれば、国会が閉会中であり、かつ急を要する場合という説明がありますから、これはよく了解できるのでありますが、私の常識をもつてしますと、この説明の趣旨はわかつてはおりましても、法律ができ上つてしまいましてから、法律條文についてなるべく疑義を生じないように、法律というものは規定しておくことがいいのではないか、かよう考えるのであります。従つて二項の、必要がある場合というのは、むしろ生じたる場合という意味でなければならぬのではないか、それから事情がある場合も、また事情が生じた場合というのでなければ、事情がある場合とか、特別の必要がある場合ということになりますと、提案の説明にあるところの、休会中であるとか急を要する場合という、そういう精神が法律の上にきつぱりと出て来ないよう考えております。これは文字の使い方にしか過ぎないので、あるいは法律はこうしておくのがいいのでありましようが、ただ私は疑義が生ずるおそれがあると考えますので、これはどうお考えになつておりますか。
  48. 島津久大

    島津政府委員 これはただいまお話になりましたような、必要が生じた場合と同様の意味に解釈しております。従来在外事務所の設置法が出ておりまして、これにも同様な表現を用いております。解釈も同様でございます。
  49. 松岡駒吉

    ○松岡委員 その点はわかりました。  御承知ように、講和條約にアジア地区の諸国が取残されておるのが相当ありますことは、これは日本にとりましては、はなはだ遺憾千万なことであるのでありますが、ついてはそれらの国々も、日本と平和な状態を回復することを希望することはだれもが同様であることは言うまでもない。それについて私昨年インドを旅行いたしまして、ことに太平洋会議に出た東南アジア地区の各国の代表諸君に会つて、しみじみ感じましたことは、それらの国々の代表者が、ことごとく同じよう考えを持つて日本のやつた過去の侵略戦争に対しては、非常な反感を持つておることは事実であるが、依然として何か一つの好意とそれから信頼感、あるいは親近感というものを持つておりますこと、並びにことに感じましたことは、一般文化の交流というようなことばかりではなくして、日本の科学あるいは技術というようなものが、自分たちの国の後進性あるいは貧困を克服することのために、大いに役立つであろうという、大いなる期待を持つておるもののように私は感じたのであります。感じたばかりでなくして、具体的にそういう相談を持ちかけられる機会がしばしばあつたのでありますが、そういう事実にかんがみて、今後の日本の貿易などにしましても、ただに市場の拡張というようなことばかり考えるというのではなくして、それらの国々の産業の興隆、進んではアジアの後進性を克服、その貧困か克服するということのために、誠実なる協力をするという気構えが必要ではなかろうかということを私は感ずるのであります。従つてさつき自由党の松本君からの御質問のときにもありましたが、私の考えでは、本来外交は民主的であり、あるいは国民的なる外交でなければならないと思うのでありますが、従つて各国の大公使などというものも、でき得るだけ広い視野からこれを見まして、民間からりつぱな人を簡抜するということが必要ではないかと思うのであります。ことにアジア地区においては、さきに言うよう意味で、ただ外交上の技術、知識というような専門的なことばかりではなくして、経済などについてもやはり知識、経験を有する人を大公使に任命されることが、日本外交としては非常に必要なことではないか。それは調印しないでいる国々との間におけるただ消極的な講和を成立させるということでなくして、進んで積極的に親善の関係、協力関係を打立てるために必要である、こう思うのでありますが、私のただいま申し上げるようなことに対する所見並びに外務省としての方針をお聞きしたいと思うのであります。
  50. 島津久大

    島津政府委員 将来できます大使館あるいは公使館の長としまして、広く人材を求めるという方針につきましては、吉田総理大臣からも数回意思表示があつたところでありまして、ただいまの御意見ような点は当然考慮される問題と考えております。
  51. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 大体私の聞こうとしたことも盡されたようでありますが、二、三補遺的なものを質問してみたいと思います。これは総理大臣か行政管理庁長官にお尋ねをすべき問題でありますが、伝え聞くところによると、行政機構は思い切つて簡素化して、そうして大幅な人員の整理をやるという現内閣の方針のように承つております。むろんまだ成案を得たわけではないようでありますが、たとえば法務府などはこれを最初つくりましたときには、その職能的分類従つて十六局というたくさんの局を設けた。但しそれに配属する人員は、今まで例を見なかつた少い一局五十人くらいでできておる。そうして分業的に仕事性質が違うのであるから、ただ名だけは局としてわけるけれども、その機構は決して通産省の局のように何千人という者を持つておるのではない。そういう建前の行政機構のあり方もあるというのでやつたわけでありますが、伝えられるところによると、すでに法務府のごときも三局にしてしまう、すべて合せてそうして課にしてしまうというやり方、これは一つの分業さえ成り立てば局を課に下げて一向さしつかえない。その建前から行くと、外務省も四つの島に縮められて、仕事の分量からいいましてもそうたいへんとは思えない。この局がもつと減らされる可能性がありはせぬか、少し多過ぎはせぬか、政府当局としてどういうふうにお考えになつておるかということをお尋ねいたしたい。経済局あるいは国際協力局、情報文化局というようなものは、やり方によつては合せてやつて行くことができるのではないかというように思われるのですが、その点どういうふうなお考えか、承つておきたいと思います。
  52. 島津久大

    島津政府委員 局の数その他につきましては、実は私ども事務当局におきましては、もう少し多い方が適当ではないかというよう考えを持つてつたわけでありますが、政府の全般の方針に従いまして、極力切り詰めましたのが、この数になつておるわけであります。たとえば地域局アジア欧米という二分をいたしておりますが、これなども実際の必要から申しますと、やはり少くも三つくらいにわける必要がある、そういうよう考えを持つておるのであります。なるべく局を少くするということでこのような数になつております。これはやはり政府部内におきまする各省の仕事の性格にもよることではないかと思うのであります。どちらかと申しますと、外務省仕事は本省でございましても、表現は語弊があるかもしれませんが、割合に上級の職員が自分仕事をする、仕事性質上そういう傾向がございます。また在京の外国大公使という人たちとの連絡あるいは折衝ということも、それぞれの分担に従いまして局長が当る。また最近は昔と違いまして、国と国との一対一の話合いというよりは——そういう話合いも非常にたくさんございますが、会議外交というような面も従来に比べて非常に多くなつてつております。それで事務当局からいたしますと、大体局長クラスくらいな人間が相当多数いるという事情があるわけです。従いましてほかの役所のように、たとえば局長の下に課長が数人おりまして、その課長の下に非常にたくさんな事務官を擁しておるというような態勢と違いまして、外務省の編成は割合に局が多くし、その下にやはり所要の課がつきまして、その課の人員は他省に比較いたしましてかなり少い人数になつておるわけです。そういうところから人員全体の数を他省と比べますと、局も課ももつと少くていいということになりはせぬかと思うのでありますが、その点はやはり外務省仕事の特質じやないかと考えております。
  53. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それからこれはすでに御質問があつたかもしれませんが、顧問、参與という問題であります。「顧問は、外交上の機務に参画し、参與は、外交政策の実施に参画する。」という非常に抽象的な言葉でよくわかりませんけれども、これはアメリカなんかがやつておるようなダレス特使、これは外務大臣の顧問というよう意味において海外に使いする、大使、公使の役割を勤めるような場合を予想しておるのでありますか、承つておきたいと思います。
  54. 島津久大

    島津政府委員 顧問ないし参與に関しましては、これが大公使として臨時的に特別の折衝するということは、当然には予想いたしておらないのでありまして、大体顧問、参與は外務大臣の諮問に応ずることもございますし、あるいは特定の仕事につきまして顧問として参画する立場にあるわけでございます。その顧問は将来大公使に任命することができるようになりましたときには、あるいはこれを大使、公使に任命することがあり得るかと思います。ここに書いてあります顧問、参與というものは直接には大公使という資格は予想しておりません。
  55. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 次にこの国際協力局の仕事の中にはいろいろなものがあるようであります。たとえば将来安全保障條約というようなものが効力を発生しました場合に協力する機関が必要になるわけであります。そういうものは外務省だけの所管とも考えませんが、そういう中に入つて来るものとお考えになつているかどうか、承つておきたいと思います。
  56. 島津久大

    島津政府委員 安全保障條約に基きます機構につきましては、本案のうちには考慮いたしておりません。これは別途考慮いたしたいと考えております。従いまして、外務的の所管の一部に入つて参りますか、あるいは他の機関の所掌となりますか、それらの点はまつたく現在の段階では未定であります。安全保障條約の関係仕事の進行に従いまして、だんだん固まつて来ると考えます。今日のところは、この案には考慮しておりません。
  57. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 次に第十三條の情報文化局でありますが、この仕事は非常に大切な仕事で、かつ非常に広汎な仕事であります。これらは外務省だけでやるのにはあまりに大き過ぎる仕事よう考えられる。文部省の仕事もあり、厚生省の仕事、その他各省に触れる仕事があると思いますが、ある意味では内閣直属の仕事としてこういうことはやるべき仕事ではないかということも考えられる。そういう競合関係、将来管轄の争いというようなものが起ることも考えられる。そういう点についてどういうふうにお考えになつておられますか。
  58. 島津久大

    島津政府委員 戦前におきましては、情報局というような独立した機関もございましたが、ここに予想しております情報文化局の仕事は、もつぱら対外関係でございまして、外からの情報を内に紹介いたしましたり、内の事情を外に知らせましたり、そういう仕事をするわけでございます。国内での仕事は、おのずから各省が分担することになろうと思います。現在のところ、外務省の機構として情報文化局を置きまして、十三條に掲げましたよう仕事をぜひやりたい、また外務省でこういうことを取扱いますことが、お話がございましたような、たとえば内閣あたりに置いた情報関係の局というものとは競合しないのじやないかという考えを持つております。
  59. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 これはどの範囲まで入つているか存じませんが、学会に派遣する者でありまするとか、あるいは芸能人の交換でありまするとか、あるいは公衆衛生の水準を世界的に高めるためにどうするとか、いろいろなことを考えてみると、非常に広汎にわたりますので、どの範囲まで入りますか、ただ事務的にすべてここに統括して海外との交渉派遣等をきめる、こういう意味であるのかと存じますが、将来これらの点は各省との間に緊密な協力ができるように希望しておきたいと思うものであります。  大体私の質問はそんなものでありますが、いま一つちよつとお伺いしますけれども、第七條の第七号に、「外国人に対して栄典を授興すること」ということが外務大臣仕事としてあります。この栄典制度というのは、今実際は停止になつておりまして、将来つくられることと思います。それを予想しておることと思いますが、外務大臣だけの権限とすることは、新しい栄典制度がどうなるかということにかかりますけれども、やや行き過ぎではないかと思うのでありますが、これはどういう想定のもとに御規定になつておるか、ちよつとお尋ねいたしたいと思います。
  60. 島津久大

    島津政府委員 第七條第七号にありますのは、「栄典を授與すること及び外国勲章又は外国記章を日本人が受領することに関しあつ旋を行うこと。」という書きようでございまして、これらのことに関する事務外務省でやる、こういうことでございます。
  61. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 その程度でよろしうございます。     —————————————
  62. 江花靜

    江花委員長代理 本日の質疑はこの程度にいたします。
  63. 江花靜

    江花委員長代理 この際お諮りいたしますが、理事でありました鈴木義男君が委員辞任せられ、再び委員に選任されましたので、鈴木義男君を理事に御指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 江花靜

    江花委員長代理 御異議なしと認めます。それではさよう決定しておきます。  次会は明日午後一時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後三時十六分散会