運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-07 第12回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月七日(水曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 木村公平君    理事 青木  正君 理事 坂田 英一君    理事 船田 享二君       大内 一郎君    鈴木 明良君       本多 市郎君    松本 善壽君       小林 運美君    村瀬 宣親君       井上 良二君    松澤 兼人君       加藤  充君    高倉 定助君  委員外出席者         参  考  人         (全職業安定所         職員労働組合中         央執行委員長) 熊川 廣衛君         参  考  人         (毎日新聞論説         委員)     井上縫三郎君         参  考  人         (日本銀行政策         委員会委員)  荷見  安君         参  考  人         (全食糧労働組         合中央執行委員         長)      菊池 健作君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ――――――――――――― 十一月六日  旧軍人老齢者恩給復活に関する陳情書外二件  (第四六三号)  厚生省並びに都道府県衛生部局廃止に関する陳  情書外二件(第  四八一号)  厚生省存続に関する陳情書外三十件  (  第五〇八号)  同外二件  (第五二八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一八号)     ―――――――――――――
  2. 青木正

    青木(正)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。本日は行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、参考人として日本銀行政策委員会委員荷見安君、全食糧労働組合中央執行委員長菊池健作君、毎日新聞論説委員井上縫三郎君及び全職業安定所職員労働組合中央執行委員長熊川廣衛君より御意見を承りたいと存じます。  一言ごあいさつを申し上げますが、参考人方々には御多忙中にもかかわらず、本委員会のために御出席くださいましたことを厚く感謝いたします。御承知のごとく本法案はきわめて重要なものでありまして、参考人方々の率直な御意見を承り、愼重な審議を重ねたい所存であります。  なおこの際お諮りいたしますが、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会及び農林委員会より連合審査会開会の申入れがありますので、両委員会内閣委員会との連合審査会を明日開きたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木正

    青木(正)委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたします。  これより参考人方々より御意見を承りますが、御意見は一人大体十五分前後でお願いいたしたいと存じます。それでは最初に全職業安定所職員労働組合中央執行委員長熊川ざんからお願いいたします。
  4. 熊川廣衛

    熊川参考人 御存じ通り安定所は非常に特殊な業務を担当しておる官庁であります。その特殊な業務の中で今回の行政整理によつて整理されようとしておる定員数が八百四十八名になるわけであります。従つて総数の一万一千八百七十名の七・一%になるのでありまして、この中に食糧管理に基く加配米事務取扱つておる職員六百七名が入つておるわけであります。これが食管法撤廃に伴う整理対象になる定員数であります。私たちはこの一万一千八百七十名の職員をもちまして、業務をそれぞれ担当し、やつておるのでありますが、全体的に見まして職員数がきわめて不足であるということを率直に申し上げたいのであります皆さんのお手元に差上げておきました「公共職業安定所の組織と業務実態」この資料ごらんなつていただきますと、いかにわれわれの業務が多岐にして、しかも量が非常に多いかが十分におわかりのことと思います。一つ窓口に例をとつて申し上げますと、現在一日平均二十七人の窓口に来る方々窓口職員取扱つておるわけであります。手引きによりますと、一人に要する時間は最低二十分をかけろというようなことになつておるのでありますしかしながらこの業務量職員数をもつて割りますと、一日に二十七人の窓口に来る方々に対する応接をしなければならないことになつておるのであります。従つてこれを七・五時間で割振りいたしますと、一人に対する所要時間が十六分ということになりまして、まさに手引き通りにも行かない現状であります。  いま一つ申し上げたいことは、安定所仕事サービス的なことであり、なおかつ対人業務であるという関係からも、屋内と屋外にその業務の範囲がわたつておるのであります。従いまして屋外業務にも相当努力をしなければなりません。そういたしませんとせつかく求人開拓も不可能な状態になりまして、職を求める方々に対するサービスが十分に行かないというようなことになるのであります。それといま一つは、保険金取扱つております。この保険金金額も、資料によつて明らかなごとく、相当厖大な現金を取扱つておるわけであります。それといま一つ皆さん新聞などで御存じのように、失業対策事業をやつておりますが、これの全体の紹介安定所でやつておるのであります。大体これまた相当数字になりまして、とにもかくにも、朝六時半には職員安定所行つて勤務しなければならないというようなことになつております。この職員が六時半に勤務するということは、即、家族が四時半に起きなければならないということとも結びつきまして、朝疲れた体を、他の方々が休んでおるときに、すでに安定所へわれわれは行つて、早朝から勤務をしなければならないというような形になつておるのであります。しかもその数も非常に大きいのでありまして、一人平均毎月百名程度紹介はしなければならないというようなことになつております。もちろん安定所は、この日雇い方々紹介するのには、まず第一に民間の日雇い求人を開拓し、そしてそこに紹介をする。それからその次が公共事業失業者方々紹介をする。そしてあぶれた方々について、日雇い紹介をするわけでありますが、しかもなお現在きめられた二十五日——大体二十五日で失業対策事業は算定しておりますが、これも非常にあぶれ数が、失業者数が多いために、平均十九、七日しか就労できないといつたような状態なつております。その他の方々につきましては、日雇い失業保険認定事務というものをやるわけでありましてこれまた相当の時間を要するわけであります。しかも安定所職員として一番悩みを持つ点は、この日雇い方々に対してどういう態度でサービスをするかというところに根本的な心配があるのであります。と申しますのは、現在の情勢から行きまして非常に日雇いの、ことに失業をしておる方々生活状態は悲惨であります。そういう中でこの失業をしておる方々安定所に来て、きようはあぶれるという、その一事をわれわれが申し上げる際に、そのあぶれた方々の顔が非常に蒼白となります。その実情を私たちが知つたときに、いかにして、きようはあぶれであるがということをお慰め申し上げるかということは、真險な気持で私たちも非常に努力を要するのであります。そういうような点から皆さん御存じ通り、職よこせ闘争といつたような形で、まずあぶれをなくするといつたようないろいろな問題がこれにからんで参つております。それらに対しましても私たちは親切丁寧に、しかも納得の行くような線でいろいろと御説明は申し上げておりますが、それでもなおおしかりを受けるような場合が相当あるのであります。こく最近の例を申し上げますと、大阪ではわれわれ職員が刺殺されております。八月の十三日に、刺身ぼうちようをもつて咽喉を断ち切られて死んでおります。それから約二週間ほど前には、三重の安定所が、日雇い労務者方々のために二日間占拠されまして、一切の業務ができなかつたというような事実もあります。また十日ほどさかのぼりますと、保險金をどうしても支払えない、そういう法的な理由がないということで、日雇い保險金の支給を拒否いたしましたところが、それが恨みとなりまして、職員の家屋に対する放火の未遂事件が発生しております。これらの点につきましても、大体におきまして安定所におけるところの日雇い労務者求職闘争状況が、これまた資料に書いて差上げておきましたので、後ほどごらんなつていただけば、その数やいろいろな状況が十分おわかりになることと存じます。そのような中でわれわれは相当仕事をしているわけでありますが、何としても職員数が絶対量が不足であるということを率直に申し上げなければならないのであります。従いまして、われわれが、職員数さえいま少しあるならば、大阪のような不祥事件もあるいは未然に発覚し防止できたのではないかというような点も申し上げることができますし、また求人開拓ももつともつとやることができるのではないかことに公共事業の問題にちよつと触れたいと思うのでありますが、公共事業では、法的にはその所要労務者の六〇%は安定所紹介する失業者を就労させなければならないというようなことになつておるのでありますが、どこに原因があるかはここで申し上げませんが、とにかくなかなか安定所紹介する失業者方々を使うことに積極的でない方々が業者の中にあるのであります。こういう方に対しては、直接われわれが現場におもむきまして、いろいろの角度からこれに御説明を申し上げ了解を得て、吸収率に達するまでの失業者方々を使つていただくというような点もあるのであります。これらはこの業務量資料の中には上つて来ない数字でありまして、こういう点にも安定所といたしましては、相当努力を要するということも御了解いただきたい、こういうように思うわけであります。  私がここで皆様にお願い申し上げたい点は、何としても安定所職員数が絶対不足関係上、加配米取扱つておる食管法に基くところの六百七名の職員も、これは加配米のみを取扱つているのではないということを申し上げたいのであります。やはり朝六時半には交互に参りまして、そうして一般の職員同様加配米以外の仕事もやつておるのであります。そういうような点から申しまして、これが法的に食管法撤廃に伴うところの予算であるので当然これを落されるというようなことになりますと、業務相当支障を来すわけであります。これらの職員も総合的な安定所特殊性から、他の仕事相当つておるのでありまして、この点について格段の御同情をいただきたい、こういうふうにお願いするわけであります。  そういうふうなことによりまして、何とかしてわれわれは相当また発生するであろう失業者方々に対しても、できるだけの努力はしなければならないというような決心を持つております。しかしながらこういう中で非常にわれわれの事務そのものがきわめて不健全なる環境の中において取扱わなければならない事務であります。これは対人行政ということと結びつきまして、かりに一例をとりますと、結核患者自分窓口参つたという、しかるにお前は結核患者であるがゆえに、おれはちよいと感染するといけないから、わきの方を向いて話をするぞというようなことでは、サービスの完全を期し得ないわけでありまして、そういうようなことも押して私たちはやはり正規にきめられた応待をやつておるのであります。そういうような点と、それからきわめて安定所庁舎そのものが不完全であります。そういうような点からも、非常に衛生上よくない環境に置かれておりますので、合計一万一千八百七十名の中ですでに三・四%の長期欠勤者が出ておるような状態であります。こういうようなことも申し上げまして何とかしてこの際私たちは現定員を下らないような形に御措置をお願いいたしまして、今後のふえる失業対策問題につきましても、われわれの立場で万全を期して行きたいというような決心をしておるわけであります。詳細な点につきましては、お配りいたしました資料の中にございますので、そういうところから御判断をいただきたい、こういうようにお願いするわけであります。この食管問題については何とか別の措置を講じて、との定員だけを残していただけないものでしようか、こういうようにお願いしたいのであります。私は食管法そのものにつきましては公務員の立場から、これについてとやかくのことは申し上げられませんが、とにかくかりに食管法の問題がどういうふうな形になろうとも、これによつてまかなわれておつた六百七名の職員は、どうしてもこの際存置するような御処置をいただきたい。この点を特にこの際お願いしたいのであります。  大体時間も参つたようでありますので、私たちが非常に苦しい状況にある従つて何とかして今後やつて行けるようなことにぜひ御処置をいただきたいということをお願いいたしまして、一応私の御説明を終らしていただきたいと思います。
  5. 青木正

    青木(正)委員長代理 御質問もあろうかと思いますが、一応次の方の説明を聞きまして、あとで質問をしていただくことにいたします。  次に毎日新聞論説委員井上縫三郎君にお願いいたします。
  6. 井上縫三郎

    井上参考人 私ただいま御紹介にあずかりました井上でありますが、実は私毎日新聞を代表して参つておるものではございませんで、論説委員個人としての井上意見としておとりを願いたいと思います。  私本日は呼ばれまして、この議案になつておりますところの行政機関職員定員法の一部を改正する法律案という問題につきまして考えますに、私は今日行政機構を改革し、官庁人員を減らすというところの原則というものには根本的には反対はできない。と申しますのは、日本の現在の税というものが、国民に対しては非常に大きな負担なつておる。税の重圧を感じておる。しかもこれから先日本が独立いたします場合において、講和條約に件うものといたしまして、賠償の負担、外債の支払い、さらに安全保障條約によりますととろの国防費の分担、さらに自立経済の前途というものを考えた場合におきまして、今日以上に財政支出をふやすような方向というものは、できるだけ避けなければできない。そういう意味におきまして、可及的に税の負担を少くして行くところの努力というもの、これはやはり考えなくちやできない。そういう意味におきまして、私は今日若干の人員整理はどうしても原則としては認めざるを得ないのではないか、こういうふうに考えます。しかしながら、ここに提案されておるところの定員法の一部改正というものが、はたしてそのまま納得できるかというと、私には相当な点にいと疑問があります。ことに私は、この定員法の中を拝見いたしました場合においで、一番問題になつて来る点は、農林省のところに今度の定員法改正人員整理というものが集中的に集まつて来ておる。八十九万のうちにおきまして、全体の減員が約一割、その場合におきまして農林省関係というのは、八万九千三百六十七人のうちの二万七千四百六十五人という約三割に匹敵するものが農林省に集中しておる。しかも問題の点は、その中には多分に今政府でお考えなつておつた米穀統制撤廃というものが織り込まれておる。ここに私は問題点があるのじやないか、こう考えるのです。幸か不幸か私はその点を中心にして本日お話申し上げたいと思つておりましたが、私が出て参らぬでもよさそうになつたのじやないかとも考えます。けさの新聞を見ますと、どうも司令部了解を得ることができなくて、四月一日からは実現できない、こういうふうな状態なつておる。しかしそれにつきましても、私はどうも政府の声明といいますか、関係大臣説明を見ておりますと、原則的には認められたのであつて、時期と方法というものが問題だということであります。私は一応おしやべりをやめてもよいかと思いましたが、どうしてもこれは自由党といいますか、政府としてはやがておやりになるというお考えではないか、そういたしますと、この問題は一応延期の形で、再び出て来る性質のものであると考えなくてはならない。そういう意味におきまして、私はやはり一応考えておつたことをそのままお話申し上げた方がいいのじやないかと考えます。  どういう点が問題かと言いますと、私は最後にあります附則の3にかかわる点だと思うのです。昭和二十七年四月一日までに米穀統制が廃止されるに至らなかつた場合においては、食糧庁関係定員というものがこの提出法律案によりますと、一万五千二百四十二人となつておつて減員するというものは現在の定員から見ますと、一万六千十四人、約五〇%の減員なつておりますが、この四月一日までに実現しなかつた場合においては七千九百六十一人を限度として定員外として政令によつてこれを認めて行こう、そうした場合におきましても、なおかつそこで減員になる人というものが三万一千二百五十六人の中から八千五十三人というものが減員される、こういう点が出て来ておると思います。この八千五十三人というものがおそらくどういうふうになりますか、政府で今度米の統制撤廃を四月一日におやりにならないとおきめになつたから、一応政府提出を引込めて新たにお出しになるか、議員の方の修正になるかわかりませんが、私はこの点はもう少し問題の点が残つているのじやないか。その中をさらに詳細に見て参りますと、現在の人員三万一千人くらいおいでになるのが約一万六千人削られて一万五千人だけが残る。その中におきまして食糧管理関係というものが六千八百八十二人、そのうち四千百二十九人というものが削られる、あと残りますのは二千七百五十三人、これは自由販売といいますか、統制撤廃ということから来るものだろうと思いますので、私は統制が是か非かということは触れずにおきまして、おそらく管理撤廃されるならばそういうふうな数字がおそらく出て来るかと思います。問題はその次にあります検査人員というものは二万三千五百三十四人が現在の人員である。そのうちから一万一千七百六十七人を減らして一万一千七百六十七人ということにする。これはもし統制撤廃ということを見越しておいでなつていらつしやるならば、自由経済にする場合に、一種の私は矛盾を感ずると思うのです。と申しますのは、現在のように米価というものを一本にして、供出という制度である場合においては、私は農家の方にしましても、米の質というものは問題にされないことが多い。しかし米が自由販売なつて、いわゆる米の商品性というものが高まつて来ることになりますと、米穀検査というものはもつと嚴重なつて来る。それはどうしても多収穫ということよりも、一方において商品性が高まつて来ると、商品の質というものが問題になつて来るし、従つてそこで検査というものはもつと嚴格なつて来る。またそれが農民にとつて、いい品物をつくつた方が高く売れるというのは自由経済原則ではないかと思う。そうすると、検査というものはもつと嚴格に行われなければいけない。これはおそらく後刻お見えになる日銀の荷見さんは米の専門家でありましたから、その点にお話が触れるかと思いますが、これは自由経済というものを前提にしながら統制を解くことの一面において逆行したところがここに出ておるのじやないか。現在の場合においては、米の検査というのはそれほどやかましくないが、私たち供出制度ができる前の農林省なんかに行つてみますと、銘柄による格差、それから等級別格差というものが非常にやかましかつた。茨城の三等米なら三等米を基準にして、全部の銘柄格差によつてそれをつけて、さらに等級別の差がついて来る。これは自由販売なつて来て、米穀取引所というものができて来るならば、ますますそこの点は嚴重になされて行くべき性質のものである。またそれによつて農民の米の生産に対する意欲が出て来るのじやないか。一方において自由経済にするといいながら、一方において自由販売を受入れる態勢とは逆行するところの検査に対する考え方がここに出ておるのじやないか、こういうふうに考えるわけです。この点についてどういうふうな考えなつておるか私存じませんが、それは政府の公務員によつてやらない、地方庁によつてやらせる、あるいは農業協同組合というふうなものによつて検査をやらせるというお考えがあるかもしれませんが、それは少し検査として体をなさないのじやないか。と申しますのは、かりに地方にまかせるとするならば、地方における検査というものは、自分の県でできた米をできるだけ高く売りたい、等級を上げたいという考え方が出て来ると、全国的に統一した基準による検査が不可能になつて来るのじやないか。さらにもう一つこれを農業協同組合にまかせることになつて来ると、どういうことになるか。米の販売機関といたしましては、米商連といいますか、米商人というようなものと農業協同組合との関係が、これから先自由販売なつて来れば、非常にデリケートな問題が起きて来るのじやないかと思う。一方においてそういう団体におまかせになつて、はたして円滑なる検査とか運営を期することができるかどうか。この点で統一的な検査ということ、そのためには国家検査する国営検査というものを厳重に励行するのでなければ、かりに自由販売に移つた場合においてもうまく行かないのじやないかと私は思う。この点についてはこれだけの厖大なる人員検査という面から削ることは納得しがたいような気がいたします。これが根本的な点だと思うのですが、さらにもう一つ農林省関係で見ました場合におきまして、本省減員が他の省に比較して非常に大きい。本省定員が二万八千八百十二人、それが減員になりますのが八千二百六十四人、この数字も一律的に見ました場合において一割減ということからしますと、約三〇%減になつて来ている。その三〇%減の焦点がどこに置かれているかということになりますと、大体においてその中心をなしているものは農業統計調査という点に重点が置かれているように見えます。たとえば統計調査事務所全体の欄を見ますと、一万四千四百六十二人のうち減員が六千四百六人、こういうふうな非常に高い率を占めている。私はここで統計全体について一つ意見を持つておりますが、それを申し上げますと、政治の大きな対象経済である。そうしました場合において、経済というものは動く実態をつかむことが必要ではないか。そうしますと、鉱工業生産にしましても、農業生産にしましても、たえずこれを統計的につかんで行くことが一番大切なことではないか。その具体的な数字をつかむためには、相当程度の金を国家が使うことが必要じやないか。特に農業の場合におきましては、その企業が非常に小企業であり、零細農である日本におきまして、農家自体においてこれを期待することはできない。これが鉱工業におきます場合においては、私は経営者というものも、労使の問題がやかましくなつて来ると、賃金の問題なんかで労使の間で争うという場合において、どうしても正確なる収支の状態生産販売、さらに生産費というものに対して正確につかんで行く。これは業種自体その問題があるからして、これは国家の力を借りなくても相当行ける部分があると思う。しかし農業の場合においてはそうは行かない。特にこれから先、たとえば今度の政府の予定にしましても、外国から輸入する食糧が三百七十万トンであると予定されておるとしました場合、これが正確に農家生産する主食を中心にしてどの程度の嚴密なる生産数字というものが把握されておるかどうかということは、輸入する量に大きな関係を持つで来るんじやないか。たとえば今度の関係でも予定されておる金が、おそらく食糧輸入のために、金額にいたしまして千五百億円くらいになる。千五百億円といたしますと、日本の現在の予算を九千億といたしました場合には、六分の一を占める。それだけに輸入数量をはつきりさせるためには、国内の生産量を明確につかむことが必要じやないか。そういう点におきまして、この統計調査、特に農作物の調査という点についてはつきりこれをつかむことが必要ではないかと私は思う。現在の調査によりますと、大体米の場合においては五箇町村を一單位ぐらいにして、サンプル調査といいますか、基本調査をやつておる。麦の場合においては一郡單位だと思いますが、そういう点において、県内の正確なる調査はできていないじやないか。しかし今度の場合におきますように、約一万人の農作物の調査の中から六千人近くがとられてしまうということになつて来ると、これから先出て来る数字は、おそらく私は県單位のもののほかつくれなくなつて来るじやないかと思う。県単位のものということになつて来ると、それが集計された場合の実収との誤差というものが非常に大きくなつて来る。さらにこれは食糧輸入と関連して実態をつかむことも必要ですが、もう一つ日本のようにしよつちゆう風水害をとうむり、台風の被害をこうむるといつた場合に、地方から要求して来ます災害復旧、これは農業の場合においては農業保險の場合が多いと思いますが、そういう場合においても、正確なる数字がつかまれていないとすると、それに対する補助金なり、政府の支出というものの基礎になるものが、はつきりつかめなくなつて来るおそれがあるのではないか。この点につきましても、少しこの数字というものはほかのところに比較して大き過ぎると思う。この点は何とかお考えになるべき点じやないか、こういうふうに考える次第であります。  これは私農業の点につきまして申し上げたのですが、もう一つ私はとの案を見ておりまして、問題の点として労働省があると思う。労働省の現在の総数が二万一千三百十人、それが減員いたしまして一万八千八百十四人、こういうふうになつておりますが、これは本省だけの問題であります。その本省だけの減員のうちでどの機関がその大部分を占めておるかといいますと、労働関係地方機関に重点が置かれておる。二千七百人の減員のうちで二千五百人というのが労働関係地方機関である。特にここで注目しなければならないと思いますのは、この表によりますと、労働保護官署となつておりますが、労働保護官署というのは、私は労働基準局と労働基準監督署を指しておるものだろうと思うのですが、その減員というものが千七百二十人、こういう大きな数字を占めておる。残りが他の関係で約千人で、労働基準関係だけで千七百二十人を占めておる。これは私たち現在見ておるところによりますと、労働基準監督署の人たちが克明にまわつても、おそらく全体の事業所をまわることは五年くらいかかる、こういうふうに私たちは承つておるのですが、これをこういうふうに減らして行くということになつて来ると、せつかく日本が国際的水準に達しているところの労働基準法の実施というものが円滑に行かない。極端に表現するならば、労働基準法をそのままにしておいて、政府は実施の面において、何かごまかしをやるのじやないか、こういうふうな印象を受ける点が出て来はしないか。この点については、労働基準関係の役所を減らす場合においても、私は全体のあれから行きまして、一割程度減員を越えることは、少し過酷ではないか、こういうふうに考えます。もう一つありますのは、安本関係経済調査庁、これも調査の対象が減つたし、価格や配給の面における統制というものがはずれて来たから、半分くらい減らすのはさしつかえないのじやないか、こういう御意見からおつくりになつておるのではないかと思いますが、この経済調査庁も加えまして食糧管理検査関係、労働基準関係、こういうところの役所というものは終戦後にできた役所であり、そこに働いておる人たちというのは、大体が外地の役所あたりから引揚げて来た事務系統やら、技術系統の人が多い。そうしますと、こういう人たちが就職をする場合においても、自分の力ではなかなか困難な状態にあるのではないか、しかも政府はどういう御方針か私知りませんが、政令諮問委員会というもので出ていますところの失業後の対策というものを見ましても、單に失業対策については、政府において万全の措置を講ずること、この一行で片づけられている。私はある程度行政整理はやむを得ないと思いますが、それならばそれに即応するだけの政府失業対策というものが、嚴格に、打立てられておらなくちやならぬと思います。新聞なんかで私たち拝見いたすところを見ますと、職業補導所をつくるとか、あるいは民間の方で相当受入れる余地があるというふうにお考えなつておるようであります。私は民間の方がどれだけ受入れられるかということについてはむしろ若干悲観的に見ざるを得ないじやないかと思います。電力と石炭というものがあれだけ減つて来ておるからして、この十月あたりから生産というものは相当落ちて来ている。そうした場合に單に民間の方に受入れてもらえるということだけで納得できるかどうか。私はこれについては、ある程度政府としてはつきりした納得の行くところの対策をお持ちにならなければ、ただ街頭に投げ出されるということになつて、結局国家のための犠牲というものを、こういう官公吏だけが受けなくちやいけないということは、納得しがたい点がある、こういうふうに私は考えます。  悪口ばかり言つておいてはいけませんから、いい点をひとつ加えておきますが、それはこの人員整理の場合におきまして、従来は定員内に置かれておつたところの長期の病欠者というものを定員外に置いたという点、これは一つのいい点だと思います。それからもう一つ現業関係であるとか、窓口事務あるいは病院、試験場というふうなものの整理をできるだけ軽微にとどめようといたされた点、こういう点は納得できる点だと考えます。それから全般から見まして、いわゆる管理事務といいますか、人事とか会計というふうな点の能率化をはかるために、そういう点に、全般的に減員を求めて行かれた点は、従来に比較していい点であるというふうに考えます。
  7. 青木正

    青木(正)委員長代理 以上熊川井上両君の御意見に対して御質問ございませんか。ありましたら簡潔に願います。
  8. 松本善壽

    ○松本(善)委員 委員長の発言もありますから、簡潔に御質問いたします。ただいま両所から御意見を拝聴いたしましたが、まず第一に熊川さんからお伺いしたいのでありますが、今度取上げますところの定員法の一部改正案につきましては、本省においてはこの問題を十分検討されてお当りになつたことと私は了承いたしておるものであります。従いまして、本省においては特に四千万円の予算を計上し、また地方自治団体においてもこれと同額の四千万円くらいの経費を計上して万遺憾なきを期するとわれわれは伺つておるのでありますが、しかし行政整理をやつてもらいたくないということは、これは当然のことであつて、われわれもその説は了承し得る一面があるのであります。特にその中において、長期欠勤者三・強の者がある、かような者も、今度の案では例外として取扱つておるというような内容からいたしましても、了承すべき点があると思うのでありますが、ちよつと尋ねてみたいところは、現在私どもの聞くところによりますれば、職業安定所で施設を強化し、あるいは技術、事務仕事を教えて、九〇%までが就職されておる。おそらく今度もかような点に立つて考えまする場合においては、九〇%くらいはもちろんできるだろう、その後においてあるいは一割くらいは失業されるものもある、いわゆる、日雇い労務関係については前例から考えてそういう疑問が起る点でありますが、失業対策費については七十七億五千万円と思いますが、かような点については一応私どもこの予算をながめて、実際にいかようになしておるかということについては疑問を持たないのでありますが、あなたのお考えとしましては、たとえば二十五日予算で、実働においては二十二日くらいというようなことも承つておるのでありますが、この日雇い関係のことについてはどういうふうに考えておるか、ことに予算と実際の場合のお話を承りたい。
  9. 熊川廣衛

    熊川参考人 御質問の要点が大体日雇い予算関係であるように考えられるわけでありますが、その前にわれわれの長欠の状態についてちよつと先生が触れられましたので申し上げますが、この長欠は、職員の長欠が大体四・三強でありますが、なお現在要注意者というものが一五%あります。これは先般九月の人事院におきましての健康週間、あのときにやつた結果がそういうふうな形になつております。これらの者は、きわめて業務の内容が特殊的でありまして、健康上危険なものがあるというような点から、厳格な健康診断をやつて採用しておるというようなことで、採用時においてはきわめて健康であつたのでありますが、その後業務遂行中にそういうような不健康な職員が出て来るというような状態なつております。この点御了察いただきたいと思います。  それから四千万云々という、その四千万というのはどういう意味においての予算費目か、ちよつと私今つかみ得ないのでありますが、この点どの予算でございましようか。
  10. 松本善壽

    ○松本(善)委員 本件の予算については、あなた方はまだ了承しておられないかもしれませんけれども、今度の失業対策の予算として四千万計上するということは大臣も答弁されておるところであります。
  11. 熊川廣衛

    熊川参考人 これはたしか補導関係予算じやないか、こういうふうに思うわけであります。そこが今度の行政整理後の失業対策法の万全を期することと結びつかつた点ではないかと思うのであります。現在の失業実態、われわれが取扱つておる失業者方々の救済の内容を申し上げますと、大体賃金は最高が二百五十円、最低が百三十円、こういう形で全国平均が百九十三円というようなことになつております。これが失業対策事業におけるところの賃金でありましで、なお表によりますと毎日安定所に参ります際は、はたして失業者として失業救済事業に就労させ得るかどうか、その適格者として判定する際は身上調査をやつておるのであります。この身上調査は市町村あるいは社会福祉主事の方々にお願いいたしまして、実際の家庭の状況までも御調査を願いまして、そうしてこれは失業しておるという判定に基いて適格者とするわけであります。そこで失業対策事業の現在の適者格としてあるのが一箇月平均いたしまして二十六万七千四十七名というようになつております。従つてこれらの中で十四万三千が現在失業対策事業に就労しておるようなことになつておりまして、あとの大部分はあぶれておるわけであります。このあぶれた方々についてもいろいろと民間の求人や何かやるのでありますが、なおかつこれらの者はあぶれる。これは失業の認定をやるというようなことになつておるわけであります。何としても先ほど申し上げましたように、現在のこの賃金で失業者の方方がいくら失業対策事業に就労したとは言いながら、生活ができるでしようかということも私たち考えてみるわけであります。現在の失業者方々平均家族数は三・七になつております。しかも現在この平均が百九十三円でございますので、失業の認定をし、失業保険金をかりにとつたといたしましても、継続四日あるいは継続一箇月に六日あぶれなければ失業保險金は出せないようになつておりますので、大体月の収入が五千五百、そういうような形になる。そこで私たちは非常にお気の毒だというようなことになるわけであります。先の御指摘の四千万の点につきましては十分私承知しておりませんが、たしかこれは補導関係のものではないでしようか。従つて安定所といたしましては、かりに補導関係に収容して、そうしで技術を教えても、実際この技術を持つた方々を今度は紹介するのが安定所業務になるわけです。そのときには求人開拓といつたような形になる。あるいは重要産業の需給調整というようなことで調整会議をブロックごとに開く、あるいは数府県の担当者が集まつてやるわけなのですが、そういう際にどういう形になつて行くかということは、非常に困難な問題も起つて来るわけであります。ことに先ほど井上さんがおつしやいましたように、石炭事情とか、あるいは電力事情というようなことで、今後雇用の傾向がどういうようなな形になつて行くかということは、当局といたしましてはある程度楽観的な見通しも持つておるようでありますが、われわれとしては決してこれを楽観視することはできない。よほど今後努力をしなければいけないのじやないでしようか。こういうようなことを申し上げなければならないと思うのであります。それからここでちよつと申し上げたいことは、現在の民間の日雇いの賃金のことでありますが、これがそう高いものではないということを申し上げなければならないのであります。少くとも緊急失業対策法ができた際は、民間の日雇い平均賃金というものは先にできておつたわけであります。これに対して一割から一割五分安くしておけというようなことにこの失対の方ではやつてつたのでありますが、最近の傾向といたしましては、失業対策事業のこの平均賃金、これを前提として民間の賃金が算定されて来ておる傾向がある。これは非常にわれわれとしては、心配している面であります。この点については私たち安定所職員として、こういう数字にあげますと業務量については出て参りませんが、こういう点につきましては直接業者の方々、事業主体の方々に参りまして、これは昭和二十四年にできた法律である。そのときにこうであるので、それを基準としてやられるということでは非常に失業しておる方方もお気の毒だ、何とかしてこの際いま少し上げてもらえないかというこの苦労が人並ではないのであります。こういう点が業務量には出て来ないのでありますが、そういう部外的なものについても私たち相当今後努力を要さなければならないのじやないでしようか。こういうような点を考えております。
  12. 青木正

    青木(正)委員長代理 なおちよつと御注意申し上げますが、御質問も御答弁も定員法関係になるべく限局いたしまして、一般的な問題でなしにお願いいたします。
  13. 松本善壽

    ○松本(善)委員 簡單に申し上げますが、私が言いましたところで、もしも了解に苦しむ点がありましたら、どういう点かお聞きいただけばけつこうであります。先ほど申しましたことを簡單に申し上げますと、政府は四千万円ぐらいの予算をとつて、今度の整理にあたつては、大体できないものは補導所を通じて、事務的または技術的訓練を主とした場合について私はお答え願つた。従いまして慣例によれば、大体補導力を受けた方の一割ぐらいは就職しないというような例をとつて、そうしてあなたの御説明を願つたわけなのであります。従いまして、いざ定員法改正をいたしますこの場合におきましては、大体かような点を含んでやるわけであります。もちろん仕事につこうという意思のない人は世間にないわけであります。だれでも、いいところに勤めたいというのは、われわれの本能でございます。ややもすると、こういう考え方が世上で言われております。職業安定所関係からごあつせん願つた方は腰がおちつかない。いわゆる保險がもらえる間は、御紹介つてもすぐ帰つてしまう。この制度がそもそも浮足にするところの制度ではないかというような極端論を吐いておる方方も世上にあることは、あなたも御承知であられると思います。かようなものもありますが、あるいは仕事を全然したくないという者も中にはあるということを、私ども知るのであります。今度整理されますところの皆さんは、もちろん、かつてのレッド・パージと違うことは、私ども了承しなければならぬところであり、かような点から考えますれば、当然職を失うという場合には、かような人を取上げて技術の指導あるいは事務の指導までして就職のあつせんをするという段階にならなければ、この定員法改正については、もちろん了承しがたいところがあるのではないかと思うのであります。その点は私ども心配ないと思うのでありますが、その内容におきまして、どうしても日雇い関係で二万六千人ぐらいはあぶれるということですが、実際にどういう方々の職別あるいは年令別、あるいはどういう方面の方があぶれるか、この点一応簡單にお聞きしたいと思います。
  14. 熊川廣衛

    熊川参考人 大体従来は技術とそれから事務と、それから單なる労働と、こういつたような傾向になつておつたようであります。従いまして、もし今回整理されるということを前提といたしまして、これを補導関係に入れるということになりますと、現在の補導関係は——私そういう方面は十分わかりませんけれども、大体技術では機械関係、それから事務では筆耕といつたようなことになつて行くのではないでしようか、ですから、そういたしますと機械関係でありますと、健康ということが当然考えられて来なければならない。現在の業者の方々が御要求される健康というのは、大体通常労働に対しては、十一貫のものをかついで約一町程度継続的に運搬できる。これが男子の普通労働に対する要求のようであります。それから例を一つとりますと貨車に積み込めるような健康体でなくても、貨車からおろすという程度の能力がなければならないというようなことになるようであります。そこで現在の失業対策事業取扱つておる内容を見ますと、そういう方々ばかりでないという点を卒直に私は申し上げなければならないのではないでしようか。健康がそれほどに耐え得る方々ばかりでない。民間に紹介する際もそういう傾向があるようであります。そこで今度の補導関係につきましても、機械関係、筆耕関係、そういう方面、あるいはその他印刷というようなことになるのではないかと思いますけれども、その案は私存知しておりません。けれども従来の傾向としては、そういうようなことであります。そういう方々は、従来は確かに九〇%程度は民間に紹介されておつたわけでありますけれども、これは最初からそれを喜んで出て行つた方々であります。この補導関係に何人かの中から選考して入れて、一生懸命訓練させた方々であります。その方々で九〇%程度紹介して来た、こういうようなぐあいになつております。今回の問題がどういうふうになつて行きますか、そのときになつてみないと、はつきりしたことはわからないということになるのじやないかと思いますが、非常に困難である、こうは思います。
  15. 松本善壽

    ○松本(善)委員 次に井上さんにちよつとお尋ねしたいことがあります。先ほどのお話によりまして、原則的には賛成のように承つておりますが、特に農林省の主管におきまして、やや注意をしたがよかろうというような御説明を承つておりますが、ことに農業統計の実際についてその重要性を説かれたようでありまして、特に農業統計関係で私ども同感でありますが、私どもといたしましては、ただいまの御説明によつて農協などにこれをまかしては、おそらく信用がなるまいというようなことを一応漏れ承つたのであります。私、もと農業会計等にいたものですが現在の見方から考えれば、井上さんの言われることをまともに受取つてさしつかえないと思われるのでありますが私どもといたしましては、現在の農業協同組合の形が最後まで続くだろうということは想定すべきではないのであつて、また赤字財政等は、再建整備法による政府の援助なしでは立ち上れなかつたのはもちろんでありますが、現在の段階に立ち至りましては、やや指導がよければ、おそらく雄々しく立ち上る姿になつておるのでありまして、私も実は郷里に帰り、農業協同組合その他を一まわりして一昨日帰つたのでありますが、大体日銀関係のお仕事、すなわち農業手形、倉荷証券あるいはその他の問題について、戰前やつておりましたような流通性が切び市場において認め得られるといたしました場合におきましては、決して困難なものではあるまいと私は考えております。その点に立つて、もう少し日銀との折衝が必要であるだろうということは、私どもそのまま了承しておるものでありますが、さような点に立ち至り、たとえば極端に困りましたもので青田を売るというような農家自体考えました場合においても、この金融施策がなされるならば、また農家におきます動産不動産に対する貸付の能力、かようなものについても一応再検討いたして、農業協同組合の育成という点に立てば、その点については私決してまともから反対するわけではありませんが、あなたの説に対して一応新しい線を考えておるのでありますから、かような点ができたとすれば、ももろん井上さんも了承される段階でありましようと思う。従いまして附則の第三項についてたいへん申されたようでありますが、現在の米の統制撤廃というような観点に立ちますれば、ほかの官庁から見れば非常に整理人員が多い。そうして附則第三項においては、かような特例を設けた。むしろ私個人としての考えからいえば、農林省においてかような特例を設けられたことは、私たち農民にとり、またわれわれ議員としてもまことに幸いなことで、私に言わせれば、もしも国家財政あるいはその他において経費がいらなければ、この整理は一切すべきではないということは、私個人としては一応言えるわけですが、現在の独立国家として今後雄々しく立ち向ういばらの難関を考えみまする場合において、われわれとしてもある程度税の軽減ということも考え、あるいは将来における日本立場ということも考え合せますれば、この点はもちろん法文的に附則第三項で特例を設けられることは、農林省にとつてもまたわれわれ農民にとつてもまことにいい規定ではなかつたか。もしも現在通りかようなことで行つたなれば、当初の検査の問題あるいは食糧管理の問題についても、あるいは井上さんが考えるような問題が出たと思いまするが、かような問題が特に取上げられて附則にあるということは、私どもにとつて非常にいい條項ではないか、かように考えておるものであります。そこで簡単に一、二を尋ねたいのでありまするが、現在やつておる農林省統計調査事務の内容についてですが、この点について井上さんのお説によりますと、現在の半数くらいにしてしまえば全然統計仕事はできない。ことにりつぱな統計はできない。供出その他については、今まで五箇町村に一つくらいの検査所があつた。それが郡單位になるおそらく県單位になる、こういうことは私もそのまま了承いたしまするが、農林統計の点において、現在の半数になれば全然県一木の統計しかできないというお説がありまするが、現在の半数の定員でもつてはたして今言うような県全体の統計はできないということは、もちろん井上さんとしても言葉が足りなかつたのではないかと思うのであります。それはなぜかと申しますれば、農林統計においては標本統計というものがあるわけでございまして、各府県單位に出していただく、または町村單位、群單位で出していただく方法もあるわけです。ことに現在は統計の内容によつて現在着々としてむしろ供出單位によるところの統計というもうものが要請され、すべてそれが供出対象に使われたということは皆さん御承知の通りであります。しかしながら今後は供出対象として統計を得るのではなくて、現在のあり方から統計が必要だ、すなわち面積別であり、あるいは作況別の調査がなされるわけです。統制を解くということにかれば、あるいはそういうものの考え方がかわりまして、むしろよりよい統計が申告されるかもわからないと私どもは考えておるものであります。従いまして供出保有の統計というものは原則的になくなるわけであります。もちろん統計を出せばそれを裏書きにされて供出をさせられたという事例はございます。ことに麦などの作付関係において、非常に実際と違つたために、麦を買つて供出をしたという例が私どもの県にある。ほかの県にもあるのです。かような統計がもしもよくできなかつたために、かような間違つたことがあつたというならばいざ知らず、はたして本質のごとく統計がなされているかということを御検討いただくならば、ことの統計人員を減らすことによつてあるいは実際にふさわしくないような統計が出て来て、めちやくちやになつてしまつて困るのじやないかという原則の理論はそのまま受取れるのでありますが、実際にはさようなことは今後において出ないと私は考えておるのであります。従いましてあなたの考える農林統計は、しからばどうあるべきかということを私は参考にお聞きしたいと思います。
  16. 井上縫三郎

    井上参考人 まず最初の問題でありますが、私は現在の農協にやらせる、あるいは地方にやらせるということよりも——農協にやつていただいても、地方にやつていただいても、どうせこれは金のかかることです。そうすれば国家一本のスタンダードにおいてやつて行く方が、いろいろな利害関係も伴つて来ないし、それの方がすつきりした形においてできるのじやないかと考えます。  それから農業検査の問題、これは私の方あたりでやつております輿論調査と同じで、任意の基点を抜いてそれを検査する、それが比較的こまかく行われておるのであります。これから先半分も減つて来るということになると、結局五箇村ぐらいが郡、郡を中心にしたものがもつと上の郡のブロツク、こういうふうになつて来る危險があるのではないか。そうすると実収との開きが私はかなり大きくなつて来ると思う。調査はこまかくなればなるほど実収に近いところの正確な数字が出て来る。それが半分に減らされた場合どの程度になるかということは、私はつきり申し上げられませんが、でき上つて来るところの農業統計というものは、相当粗雑になつて来ることは間違いないと思う。これはあなたのおつしやいます点からいえば、今は供出に使われておるということですが、なるほどそういう面があると思いますけれども、もちろん過去におけるようなものに帰るとは思いませんが、過去におけるやり方を見ておりますと、地方にまかせるとかなんとかいつてつた場合の例によりますと、肥料を配給するということになると、とたんに作付反別がふえて来る。供出を要求されることになつて来ると、九州全体ぐらいの作付反別が減るというようなことが起きるのであります。それで私は五割の減員というものは少し行き過ぎではないかと考えますが、特別に私として方式があるわけじやなくて、現在の方式かできるだけ持続した方かいいという考え方でございます。
  17. 松本善壽

    ○松本(善)委員 それで大体了承いたしましたが、農林統計の今後の見通しということについて伺つたのでありますけれども、その点触れられなかつたようでありますが、農林統計として今後どうした方がいいでありましようか。
  18. 井上縫三郎

    井上参考人 だから私はできるだけ現状を守つて行くということを望んでおるわけであります。
  19. 加藤充

    ○加藤(充)委員 二点ほど井上さんにお聞きしたいのでありますが、このたびの定員法改正という首切り法では、数字だけが並べられて、はなはだしい部分には、御指摘の通り附則三項というふうなものがつきまして、まつたく仮定的な條件の上に立つた数字でありまして、こういうようなものをわれわれは審議させられておるのですが、あなた方はあなた方の立場からごらんくださつて数字だけで、いわゆる行政機構の改革というようなものとの関連なしにこの行政整理を十分に批判できるというふうなお考えでしようか。
  20. 井上縫三郎

    井上参考人 お答えいたします。その点は私は時間が長くなると思つて、ほんとうは論ずべきところを省きましたわけですが、今まで行政整理というものが数回行われて来ましたし、この前、二十四年の大きな整理の場合におきましても、結局行政機構改革と事務の再配分、行政事務の合理化といいますか、そういうことを抜きにして、結論として出て来るものは天引的な整理なつておる。今度の場合においては、説明を読みますと、一応いろいろなものがついておりますが、その点がはつきりしていないのであります。各役所によつて簡單に二、三行書いてありますが、私ども読みまして納得できない。私がさつきちよつとあげましたように、労働基準関係の機関におきましても、簡單に説明して、どういう程度にまでそれが行われるかということがわからない。私は根本的には行政整理というものは、行政機構の改革と必然的に相伴つて提案されるべきものではないか。さらに機構の改革に先立つものとして、行政事務の再配分なり、廃止、縮小なりというふうなことが考えられ、全体としまして一人の作業量というものが大体きまつておるわけですから、その作業量を中心にして人員整理というものが出されて来なければならぬ。そうすると当然事務整理、廃止、合理化というものが先行して、そこから合理的に積み立てられで行くのが理論的な行き方ではないか。ところが今度の場合には行政機構改革があとになつて、人員整理だけ先に出ておる。そういう点においては私たちが評論をやる場合に評論ができがたいと同様に、おそらく委員の方としても審議がしにくいだろうということは十分お察し申し上げられるのです。
  21. 加藤充

    ○加藤(充)委員 第二の点は先ほどの御意見の中にあつたようですが、二十四年度にもいわゆる行政整理というものがやられました。また今度やられようとしておるのでありますが、国民負担の軽減ということが表看板の能書の一つであります。それでお尋ねするのですが、二十四年度の行政整理で国民の負担というものは事実上軽減されたという考え方を十分にお持ちできるか、あるいはまた二十六年度の今度の定員法による整理で、国民負担の軽減というものができるだろうという強い期待を持ち得るかどうか、その点をお尋ねしたいのであります。大体におきまして定員の給與並びに定員の数から申し上げても、二十四年度におきましては、これはあとから言いますが、問題が多いと思うのです。  それからもう一つ定員の数とか、その給與予算とかいう面を離れまして、行政事務の質の問題です。これはやはり国民にサービスをする福祉厚生その他の機関、社会保障その他の国政、同時にその業務の分担の面が非常に粗悪になつて来たりしますと、これは必ずしも全体として国民の要望に沿うた行政整理であるということはできなくなると思うのであります。そういう点から検討をしていただきたいと思うのでありますが、簡單に言いますと二十四年度の行政整理の結果、なるほど定員というものは少くなりました。しかしながら実際上の人間というものは減つておらぬのです。これは人事院から提供された資料に基くものでありますが、このたびの定員法によつて大体九十万——八十九万ほどの定員が八十万ほどに減らされるわけであります。しかしながら前の九十万の時代の定員のときに、いわわゆる臨時職員、非常勤職員というものが実に四十八万あつたのであります。そうしてまた主食関係の、食糧庁の問題ですが、これなどは前の二十四年度のときに定員が三万一千二百五十六人あつたのであります。ところがこれを一万五千二百四十二人にするというのでありますが、前の三万一千ほどの定員のときに、食糧庁はどのような人間をかかえて仕事をしておつたかと申しますと、常勤職員が三万百七十二人なのであります。非常勤職員が実に三万九千三百五人、この中にはいわゆる常勤的非常勤といわれている人々があつたのであつて、ほんとうの非常勤職員というものは、この中の一部であると思うのであります。こういう体たらくで食糧庁の仕事をやつて来ていたのであります。ですから実際言いますと、前の定員整理は無理な定員をやつて、結局これだけのものを定員の陰に隠れて、表の看板と違つてべらぼうな人員を擁しておつたということがわかる。この点から見ても国民負担の軽減にならないことがわかるのであります。二十六年度の当初予算を例にとりましても、大体総予算六千五百七十四億のうち給與旅費を含めた人件費というものは七百五億で、総予算の一割にすぎません。むしろ物件費、補助費が総予算の大半を占めておるのであつて行政整理によつて人員を二、三割整理したからといつて、総予算から見ると二ないし三パーセントで、こういうことで国民の負担の軽減ということを質的には言い得ないと思うのです。これは期せずして先ほど熊川さんが意見の御陳述をなさつた中にもあつたのでありますが、民間の企業でも実は昨年の七月ころからの統計をとつてみますと、労働生産性が非常に上昇しておる。その割合に賃金の上昇率がはるかに下まわつてつて、製造工業の労働費の比率というものは、指数がうんと減つておる。それだから会社がもうかつておるのだ、こういうことは政府の発表した報告書の中にもあるわけであります。大体二十六年度の予算の全体から言いましても、今総予算の点を言つたにすぎませんが、今度補正が問題になりますけれども、今指摘しましたような民間の企業のやり方と同じように、公務員の事務量のさばき——労働強化です。しかも賃金ベースが低いということであつて、正式に払うべきものを払つておらない実情であり、その払う分も全体の総量からすればパーセンテージはきわめて低いのであります。二十四年度の行政整理を見ますと、回顧的に数字を拾つてみただけでも一般会計から六万八千余人、特別会計から十九万二千人の人が整理されたのであります。退職手当を差引いた初年度の節約額は一般会計四十三億、特別会計百一億、計百四十四億、平年度の節約はこれによつて一般が五十二億、特別が約五十四億、計百六億が節約されるという宣伝であつたのであります。ところがその後今申し上げましたように、九十万の定員のことろへ持つて来て、四十八万ほどの臨時職員を常時的に雇い入れておる。こういういようなことをやつて、さつぱり減つておらないばかりか、さらにそのあとすぐ引続いて予備隊費というものが二十五年度においては二百億、昭和二十六年度においては百六十億、補正が百五十億ですから、計三百十億。それから国警費が百五十八億であつて、こういうようにこの面がどんどん増強されておるのであります。先ほど申し上げましたように、国民に対する政務、同時に行政事務サービスこういう部面が縮小されて、ただ目の子計算で公務員の数だとかいうようなことを計算されても、国政というものは、質的に反国民的な面が強化されて、国民に対するサービスの場面というものは著しく縮小されておるのであつて、総予算の二、三パーセントの節減ということだけでは、取返しのつかない重大な問題であります。日本の国政が何のために、何の利益のために運営され、そのために公務員がその業務に当るか。これは公僕としての公務員の熱意の点にも影響して来ていることろであると思うのであります。以上申し上げましたよらな諸点から、最初お尋ねしたように、二十四年度の行政整理で、国民の負担は常識から見てはたして軽減されたとお考えになるか。また二十六年度の行政整理の首切りで、政府が宣伝しでいるように、国民の負担が軽減されるという見通しを強くお持ちになる基礎資料を持つておられるかどうか、そういう気持がするかどうか、その点を最後にお尋ねしたいと思います。
  22. 井上縫三郎

    井上参考人 政府委員のような答弁を要求されているようでございますが、ほうつておけば新しく役所ができるのは、国家の行政事務として必要ができて来るからです。昭和二十四年のやつは二十四年そのままほうつておいて、新しい国家の情勢で必要とするものができて来る。二十六年のものは今度減員されても、講和後の独立態勢に伴つて今度出て来るものがあるのではないか。そうしますと、ふくれものはふくらさなければできないとすれば、やはりどこかで減らすという努力がなされる。だから二十四年の人員整理をやつたのが、現実にどれだけプラスになつたのかというと、あるいは二十六年にやつて八万の人が減つて、それの額だけただちに国民負担が減つたことになつて来るかというと、現実にはそう出て来ないかもしれません。あるいは二十四年の後にふえたものもあり、これから後にふえて来るものもある。しかしそのふくれて来るものは、必要やむを得ざる事情のもとにふくれて来る。それはできるだけ過去のものを圧縮することによつて、ふくれるものによつてふえる負担がそれだけ減らされておつたら、やはり国民に相対的にプラスを與えていると言えるのではないか。それから人員が減る場合に、人件費だけを論ずるのではなくして、人員に伴うところの物件費というものがあるとすれば、人員減というものはやはり物件費の面においても当然反映して来べきものではないか。どれだけ減つたか、どれだけ減るかということは、現実的なものではなくて、やはり減つただけのものはプラスになつて来ているものがあるというように見るべきではないか。私は政府委員ではないのに政府を弁護する形になるが、私は国民としてはそうとるべきではないかと考えます。
  23. 青木正

    青木(正)委員長代理 加藤君、要点だけを簡單に。
  24. 加藤充

    ○加藤(充)委員 その質問をするのに、私どもの立場をはつきりさせておかないと、無責任な質問になると思つてつたのですが、そういう配慮が必要がなければ、質問だけいたします。  サンフランシスコの講和條約、並びにそれと不可分でないと吉田さんはおつしやつていますが、不可分の一体である日米安全保障協定、こういうようなものからひいて日本行政機構、あるいは定員なんかの面からふえると予想されるものは、どんなものがありますか。たとえば今月の六日だつたか、先月の六日であつたかと思うのですが朝日新聞で——これはあなたのところの新聞ではありませんが、朝日新聞の報道によれば、人員整理と同時に特審局員が千二百名から三千名に一躍増員されるというような問題もありますが、これなども講和に随伴する人員の増加、機構の整備強化ということになるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  25. 井上縫三郎

    井上参考人 たとえば今御指摘になつた問題といたしまして、特審局の問題、あるいは場合によつては国警、予備隊というふうなものの増員ということが問題になつて来るのは、やはりそれだけ公務員の数が現在よりもふえるということになつて来るだろうと思いますが、そのことがいいとか悪いとかいうことは、私ここで今御議論するのはよしておきます。
  26. 青木正

    青木(正)委員長代理 他に御質疑がなければ、午前中はこの程度にいたしまして、休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。     午後零時四十六分休憩      ————◇—————     午後一時五十二分開議
  27. 木村公平

    ○木村委員長 午前中の会議に引続きこれより再開いたします。  まず日本銀行政策委員荷見安君より行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対する御意見を拝承いたしたいと思います。荷見安君。
  28. 荷見安

    ○荷見参考人 ただいまお話のございました点につきまして、簡單に申し上げてみたいと存じます。大体数日前資料を頂載いたしまして拝見いたしましたが、時間の都合上詳細にわたることができませんことをお断り申し上げておきます。  国の行政を簡素化いたしまして、事務能率を増進し、国費を節約して参るということは、結局国民負担の軽減をはかることになるのでありますから、政治を担当せられる人の大切な任務であるということは、だれも認めておるところと思います。この整理については、いろいろな困難も伴うのでありますが、それもやむを得ないことと考えております。ただ一言申し上げておきますことは、行政整理を行うにあたりましては、最も重要な点があると存じます。それはただいまも申し上げましたように、行政の簡素化、すなわち国家行政事務整理いたしまして、それによつて人員整理をするということは適当でありますが、国家行政事務整理いたしませんで人員整理をいたしますと、整理に無理が出るのでありまして、整理も事実上困難であるばかりでなく、整理後間もなく人員がまた増加をいたすというようなことになり、むだな骨折りをするということになる場合が、これまでもございます。また無理な整理をいたしました結果、行政事務の澁滯を来しまして、行政の相手方になる民間人に幾多の迷惑をかけるというようなこともありがちでありまして、さようなことでありますと、行政整理をいたしましても、行政整理の趣旨に相反するような結果を招くことがあるように思われますので、これらについては十分御注意が願いたいということが一つであります。それでありますので、そういう国家事務整理するといたしますれば、申し上げるまでもなく、国家の行政事務中不急不要のものを整理し、これに伴う人員整理をするということがおもになると思うのであります。かような見地からいたしますと、整理が適当なりやいなやということについて、いろいろなお考えを願いたいことがあるのでありますが、その一つ一つについて、おもなものを申し上げたいと存じます。  あの案を拝見いたしまして、米穀統制撤廃行政整理の部門に非常に大きな割合を占めているように考えます。申し上げるまでもなく、行政事務の能率増進ということは常に心がけなければならないことでありますし、その合理化が行われることは、どの部門においても必要であるのでありますから、一般論としては、ただいま申し上げたようなことを申し上げ得ると思うのでありますが、米麦統制撤廃に関する行政整理につきましては、これが他の部門よりも非常に多くの人員整理されることになつておるように私からは見受けられるのであります。そういたしますと、その整理が、ただいま申し上げました行政の円滑なる遂行に支障を来さないかどうかということについて考える必要があると思うのであります。昨夕ラジオで、統制撤廃も何か延期よるように承知いたしたのでありますが、一応あの御案を拝見いたしたことによつて申し上げてみたい。第一、米穀統制撤廃によつて食糧管理事務がどういう影響を受けるかということでありますが、今回の統制撤廃と申しますのも、食糧統制を全廃する意味ではなくて、食糧供出並びに配給に関する部門を緩和するというような趣旨に受けとられるのでありまして、私が関係の方面から伺うところによりますと今後におきましても、一、最低価格による無制限買入れを行う、二、需給調節、米麦の時価による買入を行う、三、最高価格の調節のために米麦の売渡しをいたす、四、供給不足食糧の供給補充のために、食糧の輸入をいたす、かような項目が実行されるということに承知いたしております。それで一の最低価格による買入れというものはどらなるかということを考えてみますと、これは最低価格がどんな値ごろの程度に定められるかにもよりますけれども、その程度がもしも低うございますと、買入れに対する希望が出ぬ場合もあるというのでありますから、これは数字の見当がつきにくいと存じます。  第二番に需給調整米麦の時価買入れは、これは私ども過去に従事いたした仕事でもありますが、現在の状態から考えますと、社会の状況もありますし農家経済事情もございます。金融の状況もございますので、生産者の方でも相当つて参るのではないか。また問屋の主食関係からいたしましても、出まわり期に一時に買う力はないように思いますから、政府の調節用の米麦を必要とする点からいたしましても、相当に数量を買い入れることができるものと思うのであります。その数量はただいまの供出割当ほどではありませんでも、その何割か相当の分量が買い入れられることになると存じます。  それから第三の最高価格を調節するための売渡しでございますけれども、これは配給制度撤廃したあとにおきましても、価格が上昇するのを調節いたしますために政府が買い入れております内国産の米麦または輸入食糧は、しばしば売渡しを行わなければならないと思うのであります。しかしその売渡しは現在のように規則正しく消費者に配給されるのではありませんから、時期的には、あるいは社会経済的には売渡しが少い場合もありまして、政府の手持米はときにただいまよりも増加するような場合も想像し得るのではないかと考えられます。それからその売渡しにつきまして、政府所有の食糧地方に分散配置する必要があろうと存じます。従来は価格が一定しておりましたから、局地的に、地方によつて価格が変動するということはないのでありますが、自由取引にいたしますれば、地方的にもまた季節的にも変動があり得るのでありまして、それを十分に調節いたしますためには、食糧地方分散配置ということが必要になると思うのであります。  それらの監督も管理も重要な務めになると存じます。それから配給制度を廃止いたしました後に食糧の数量の調節、価格の調節を有効適切にいたしますためには、売買事務を適時適量に、時間的にも一層迅速に的確にしなければならないという、配給に比べますといろいろ複雑な事務が起るようにも存じます。  それから輸入食糧のことでございますが、これは内地産食糧で供給の足りない事情は統計で御承知の通りでありまして、今後国内人口の増加と、消費規正を撤廃することによりまして、一人当りの消費量の増加によつて輸入食糧は増加するでございましよう。現在政府の発表されておりますように、三百二十万トンないし三百七十万トンの輸入をいたすといたしますと、内地の石に換算いたしますれば二千万石ないし二千五百万石程度に達するかと考えるのでありまして、これは数量調節の見地からは十分確保されなければならない数字であります。また必要な数字でもあります。その数量は、配給制度が行われておりましたときは、規則的に消費者に配給されましたが、自由取引になりますと、社会情勢、経済情勢のいかんや、外国産地の模様で輸入時期が片寄りますような事情を考えますると、季節的変動がかなりありまして、時期的にはこれもさらに手持数量を多くする原因になるかと存じます。これらを総合観察いたしますと、政府保管米も現在より相当量の増加をいたしませんと、調節が十分でない点もあると思いますので、それらの点を十分にいたすための人手というものも、相当いるように思います。それこれ考えますと、どうもこの規則的な配給統制を自由取引にかえました結果、人手を整理し得る可能量というものは、よほど少いものではないかと考えておる次第であります。  それから穀物検査のことについて一言申し上げます。日本の穀物検査は、米の検査が初めでありまして、明治三十年ごろかと思いますが、同業組合の組織で発足いたしまして、それが県営になり、国営になつておるのであります。これは正しい検査でよい農産品をつくりました人はそれだけ利益があり、悪いものをつくればそれだけ損があるということになりまして、生産の合理化を助ける上にも非常にけつこうな制度であります。本年ですか制定されました国営の農産物検査法というものは、私は非常に進歩的なかつ産業上に有利な制度であると確信いたしております。米穀統制制度が行われまして以来、現在の検査はどういうふうになつているかと申しますと、政府買入れ米麦の受入れ検査の形になつておるように思います。統制撤廃後どうなるかと申しますと、これは生産者の重要生産物である米麦の、商品としての等級を定める一層重要な仕事になるように思うのでありまして、これによつて生産者の利益が増したり減つたりすることもあるのであります。これが統制撤廃後はどうなるかと申しますと、今後は政府で割当でた供出数量程度の米麦を検査いたしますほかに、現在までやみ取引をされておりました分も公然取引されることになり、その販売のための検査を要求する者がふえて参ると思うのでありますから、検査受検数量も当然増加しようと思います。またただいまも申し上げましたように、統制撤廃後の穀物検査は受入れ検査ではなくて、米麦の等級検査でありますから、民間取引の公正、円滑を期するための検査になりまして、また民間人の要求に応じ、迅速かつ正確な検査が行われなければならないと考えるのであります。受検数量が増加し、検査の的確性や速度も増さなければならないといたしますれば、これをさしつかえないようにいたすための人員も整備されなければならぬと存じておるのであります。数字に入ることは御遠慮を申し上げますが、一、二申し上げてみますと、昭和十七年の農産物検査職員は約一万九千人、昭和二十一年は二万人余と伺つておりますが、米穀昭和二十年が収穫は激減して三千八百万石、昭和二十一年が六千万石程度でありました。しかるに米の産額は戰後漸次生産力を増加しておりますから、当時よりも検査員一人あたりの取扱い数量は増加すると思われます。販売数量を自由取引の時代において一応申し上げてみますと、昭和十二年から十四年までの間の状況は、昭和十二年が六千六百万石、販売数量は三千六百九十万石、三千七百万石ばかりの販売数量になります。昭和十三年が収穫高が六千五百八十万石、販売高が三千五百七十万石になります。昭和十四年の産額は六千八百九十万石、これは珍しい収穫でありましたが、販売高は三千六百四十万石でありました。これを要約いたしますと、戰前は大体六千六百万石の産額に対し、販売高が三千六百万石程度であつたのでありますから、今後自由取引になりますれば、少くともその程度検査数量は増加するであろうと考えるのであります。  なお一言申し加えておきますことは、農地改革実施後におきまする農家の一戸あたり耕地面積はかなり減少して参つでおるりでありますから、今後農家の産額は小口のものが多くなりまして、従つて小口の検査が増加することは疑いないと存じます。さようになりますと、検査総数量は同じでありましても、小口検査がふえますれば、実際検査の数量はそれだけ増加することに相なりますので、検査の手続というものはなかなか手数がよけいにかかるようになると思うのであります。それこれを考え合せまして、米穀検査人員整理ということには、愼重なお考えが願わしいと存ずるのであります。ただいまよりはよほど数量は増加するものとお考えになることが正しいということを数字で申し上げた次第であります。  一言国営検査について簡單につけ加えさせていただきますと、国営検査米穀関係者に地方的差別待遇を受けるおそれがなくなります。昔は県でやりましたときには、県の知事さん初めみな中央へ来まして、市場関係者に販路拡張の運動をいたしたことは御承知の通りであります。国営検査になりますれば、全国一本でありますから、さようなことはなくなるはずであります。全国にわたつて正当な取引が行われることになりますから、生産者は生産改良による産米成果の増進に大きな利益があり、消費者は米の品質の等級に応じて買い入れられる利益があり、商人といたしましては、公正な取引を円滑になし得る利益があるのでありまして、これほどけつこうなことはないのであります。なお国家といたしましては、必要な手数料はこれを徴収し得ることに法律がなつておるのでありますから、行政費の増加ということはないのであります。かような次第でありますから、統制撤廃による自由取引を円滑に行わせるためには、検査の準備が整備されることが必要と思われるので、統制撤廃と関連いたしまして減員ということはむずかしいことではないかと私は考えておる次第であります。  次に統計調査の整理案について一、二申し上げておきます。農林統計の人数の多いということは、これは産業の性質上でありまして、御承知の通り山の上にも谷間にも、平野にも海岸にもあまねく農業、林業は行われておるのでありまして、それらの調査でありますと、各省の事務を実行するように簡單には参らないので、全国的にわたるために人数が多くなり得るのであります。また今回の整理案によりますと、町村別資料の調査が困難なるかのように考えるのでありますが、食糧調節のため統制継続の場合に、供出割当の基礎資料として町村別資料の必要なことは申すまでもないのでありますが、これは統制撤廃いたした後におきましても、凶作、豊作等の場合に、地方に対する特殊救済等を実行いたしますためにはなくてはならぬのでありまして、なお統計性質上これが中断されますと利用価値というものはきわめて減少するのであります。その一つの例を申し上げますと、昭和八年に市町村別に詳細な調査をすることにいたしまして、そのときは大豊作でありましたので、もみの貯蔵を奬勢いたし、補助金などを出しましたが、町村ごとの産額がはつきりいたしておりましたので、そこに貯蔵倉庫の設備などをする助成がきわめて迅速に行われたのであります。また昭和九年には非常な大凶作でありまして、東北のごときは半作くらいにしかならなかつたのでありますが、そのときも町村別収穫がわかつておりましたので、五箇年平均に比して半作の地方に対して、政府米の無償交付をいたしました。これで非常な安定になつたのでありますが、これも町村別数字がわかりませんと、一県一郡になりますと、凶作という程度が非常に緩和されるのでありまして、特殊の地域に対する救済ということが非常に困難になります。八年、九年と続いて実行いたしました豊年対策、凶年対策につきまして、市町村の生産統計が非常に役に立つたことは著しいのでありまして、当時あれがなかつたら、とうていあのようなことはできなかつたと思います。これは簡單にその程度に必要論を申し上げたのであります。  それから輸出農産物等に対する商品作物の調査が重要でありまして、これが明瞭になりませんと、輸出収支の計算などを建てます上にも非常に困ることがありますので、商品作物の標本実測調査ができるようになることを希望いたします。  最後にちよつと申し上げますが、国の第一線の事務に当る人は、りつぱな人でなければなりません。従つて、もしもその中に不適当な人がおりますと、その行動がおもしろくない結果になるのでありますから、これは行政を円滑に遂行するためにも相当の待遇をいたしまして、優秀の人材を第一線に当るようにしていただくことが必要であります。従つてむだなことはよしていただきたいのでありますが、必要なことはあくまでも皆様の御努力によつて継続できるようにいたしたいというのが、私の希望でございます。はたしてそれが、何人あればよいのか、悪いのかということになりますと、私にはまだ実際調査の時間も余裕もございませんので、申し上げることができません。  なお検査に関連いたしまして、検査がいかに重大だかということを各団体が決議しております。それを最後に御紹介いたしておきます。米穀統制撤廃に関する、十月十八日の社団法人日本食糧協会の意見書によりますと、この統制撤廃を十分成算ある対策を立てられたいという中に、検査の権威と信用の発揮を要望しております。それから全国指導農業協同組合連合会の県連会長会議におきましては、取引の円滑をはかるため、国営検査制度を確立する要求をいたしております。     〔委員長退席、青木(正)委員長代   理着席〕  それから全国食糧事業協同組合連合会の十月十八日の決議によりますと、検査制度を整備し、銘柄等級による取引を可能ならしめたいという決議がございます。それから全国米穀商組合連合会、これまた統制撤廃についての決議を十月十三日にいたしておりまして、これはいろいろと検査機構の改善充実のことを申しておりますが、物の価格を論ずるに際しては、品質が重要な要素であるべきに、内地米の等級別銘柄別、水陸稻別並びに外米間の格差が見られておらない。さらに行政整理のために検査制度が破壊せられるにおいては、不安状態であるから、検査員の充実と技術の向上、不正検査の排除に努め、権威ある検査を行うべくこれが改善拡充をはかるべきであるという米穀商組合連合会の意見書が私の手元に参つております。私の手元にもらいました各団体の意見をこの際御紹介申し上げまして、私の説明を終ります。
  29. 青木正

    青木(正)委員長代理 ただいまの荷見君の御意見に対しまして、御質問がありましたならば、どうぞ。申し上げるまでもなく、御意見にわたらず、なるべく質問程度にお願いいたします。
  30. 松本善壽

    ○松本(善)委員 委員長からの意見もございますので、簡單に私は発言いたすとともに、質問の要旨がおわかりにならないならば、また再質問もいたすつもりですから、さような意味で私も簡單に質問いたしたいと思います。  ただいまのお話を承つて、ちよつとお聞きしたいことがありますが、なるほど、統制のあり方について検査は必要である。もちろん農産物の検査法というものがあり、これによつてつておることは当然であります。その量においてふえるからというお話でございまするが、この点において必要な人間もあるということであります。その人員については申されませんでしたが、その質において、大体ふえるということは、私ども了承しておりまするが、過去において、あなたの御経験から見られて、たとえば東北はどうだつたとか、あるいは関西の方面はどうだつたというような点において、実際に危機であつた昭和九年当時のことがおわかりになつておられるとすれば、その点を御説明いただきたいと思います。昭和九年当時の実際面について、需要供給の面はどうだつたか。たとえば地方的に見て、秋田あたりはどういう相場で、関西の相場はどうだつたというよろなことも、この際お示しいただきたいと思います。
  31. 荷見安

    ○荷見参考人 地方別の価格を今記憶いたしておりませんが、大体市場の格差取引がありましたことによると、東京市場におきまする格差から見ますと、青森辺が、関東の八県の標準米より三、四円下つております。北海道は五、六円下つてつたかと思いますが、その当時の値ごろが二十三、四円の時分のことでありますので、この割合を出さぬと、はつきりわかりかねるかと思いますが、そういうふうな状況であります。価格は、大体東京市場で立ちまする穀物の格差によつてわかれております。それから関西の方は大阪市場でありまして、そのほかに新潟にも市場がありますし、たとえば四日市、下関等、各地に二十数箇所あつたかと存じますが、それらは大体東京の格付相場の反映であつたように、いわゆる写真相場であつたように考えております。
  32. 松本善壽

    ○松本(善)委員 それから当局の資料でありましたが、大体農林統計関係がかつても整備されておつたために、その救済手段として、町村別にわたつたといろ事例を申されたようでありますが、それは年については私ちよつと聞き漏らしましたが、何年ごろの事例でございましたか。
  33. 荷見安

    ○荷見参考人 今詳しく申し上げるとおわかりやすかつたと思いますが、時間の制限があると思つて急いで申し上げたのでありますが、昭和九年が非常な大凶作でございました。東北六県のことに寒冷地帯がひどく、大体普通の年でありますと、東北六県で一千万石くらいの収穫がありまして、そのうち四百万石ばかりが東京市場に移出されたものでありますが、昭和九年におきましては、東北六県の収穫高が大体六百万石だと思つております。それでその土地だけの消費でありますれば、とんとんに行くはずでありますが、同じ県の中でも、郡によりまして、冷害の被害を受けないところは平年であります。そのうちで冷害の被害を受けたととろは、ほとんど収穫皆無あるいは半作以下である。それを救済するためにいたしたのでありますが、その標準を立てるのに、どういう標準で凶作ということを見たらよいかというのでありまして、大体五箇年平均産額の半ばを下つたものに政府米の無償交付をいたしました。そういうことをいたすのには、どうしても各年の町村別収穫というものがわかつておりませんと、実行いたしかねますということを申し上げたのであります。  もう一つ、前に申し上げましたのは、昭和八年の大豊作に対するもみ貯蔵倉庫の設備助成であります。これは町村ごとに非常な収穫過剰分がありましたところを見つけて、もみ貯蔵倉庫の助成をいたしたわけであります。おのおの各町村の事情が必要であつたということを申し上げたのであります。
  34. 松本善壽

    ○松本(善)委員 この農手関係の流通について、そのときはどういうふうな方法でなされましたか、一言つけ加えていただきます。
  35. 荷見安

    ○荷見参考人 当時は農手という制度はございませんで、豊作のときには売控え資金を融通いたします。それから凶作のときには肥料購入資金というものを預金部から直接組合を通じて融通いたしておつたわけであります。
  36. 松本善壽

    ○松本(善)委員 そこでもう一つお尋ねしたいのです。助成金あるいは肥料購入資金として農村関係の金融対策がなされたというように受取れますが、もし今後なされるような場合において、たとえば過去におきます統計は、三年ないし四年の統計ができておると思います。五年間における統計がなされておつても当然のように考えますし、もちろん大体それに近いようた統計が今月できておるのではないかと考えます。もちろん完全ではないが、その途上にある、大体それに近いものが曲りなりにもできておるのではないかということも、私どもには一応受取れます。また現在ある統計というものが完全であるということは私は認めますが、さような観点に立つて、ただいま定員法の一部改正でただちにかような統制撤廃の問題を取上げるということは、もちろん考えるべき問題であるかもわかりませんけれども、現在の農業対策としての手形の流通性ということを強化していただくとともに、また現在作付関係資料としてもやや間に合う程度のものがあるのではないかというような考えから、これをだれかにしてもらわなければならぬというようなこともわれわれは考えるべきであると思います。いずれにいたしましても、もちろん統制撤廃することによつて検査事務というものがふえるだろうということは、私ども了承いたしておるものでありますが、はたしてこれが国家機関をもつてやる。すなわち農産物検査法によるところのお役人が、これに携わつていただくことはいいかどうか。もちろんその言葉自体から申し上げるならば、まことにその通り受取れるようでありますが、実際面にあたつてかえつて農業会——現在からいいますと協同組合関係でありますが、当時の農会関係仕事の一部として取扱われたことを考えてみましても、統制撤廃をいたして、ただちにかような面がぐらつくとは、私どもにはとうてい受取れないのであります。もしもかような面に立つて一応考えますれば、手形の現在の流通性はどうなつておるか。また手形の流通というものが今度どういうふうな方向にできるかというその可能性について——たとえば現在日銀関係方々と農林中金関係方々、あるいは農協関係方々も、農業手形に関する問題については、まだ結論を得ておらないように承つておりますが、あなたのお考えとして、農手の扱いは今後どうあつたらいいかということの見通し、または現在のあり方についてもう少し御説明を承りたいと思います。
  37. 青木正

    青木(正)委員長代理 松本君に申し上げますが、定員法との関係外の問題になりますので……。
  38. 松本善壽

    ○松本(善)委員 定員法以外の関係であるということでありますから、一応この点は遠慮いたしますが、しからばこの論点に立つて、まず検査が非常にふえるから、人間の量においては何人あればいいとか、あるいは減らさなければならぬということは言わぬというけれども、検査の量がふえているから、結局この対策として人員が大いに必要だというようなぐあいに、私どもには受取れましたが、さようなことであれば、当然人員についても整理されることは無理だというお説のように承つたのでありますが、私の方の考えはそこが少しかわるところでありますから、別な観点から考えた場合、たとえば今申したように、検査事務はもちろん国営でやつてやるのが当然だし、また理も通つているが、しかし農業協同組合あるいはその他の地方自治体に一部農林統計のようなものを委任ざれるとしても、完全に取扱われるためには、そこに金融対策ができるわけでございますから、かような問題が行政整理の内容になるのではないかと思います。従いまして、農地関係において、いかなる観点に立つて日銀の方々が今後施策をなし、また研究されるかということが、あなたの言われたところのうらはらになりはせぬかと思うのであります。従いまして、その観点の相違から来るところの必要性、すなわち凶作対策も、当時東北六県においてはできないところもあつたが、さような場合においては肥料の金融政策で大体なしたというお説も承つておりますから、現在問題としておるところの農手の流通性ということが、あなたが言われたところのうらはらになりはせぬかと思うのでありまして、あなたのお考えによつて御答弁なさらなくてもけつこうでありまするが、できる範囲において再度御答弁を要請するものであります。
  39. 荷見安

    ○荷見参考人 重ねてお尋ねでございますから申し上げますが、農手の今後の問題になりますと、統制撤廃されました場合と、撤廃されません場合とでは取扱いが違つて参りまして、現在は供出代金を決済の見返りといたしまして、これによつて肥料その他の資材の代金を手形で発行いたしております。これが統制撤廃されましたときにはどうするかということは、ただいま決定いたしておりませんが、農林事務、当局もしばしば打合せをいたしておりますし、日銀の事務当局の話も聞いており、大蔵省の方のお考えも承つておりますが、大体農家の連帯保証のような手続によりまして、決済方法を確保して実行しよう、かような傾向に研究が進められておると存じますので、撤廃されますれば、さような方向に行くことと考えます。  それから検査員の問題でありますが、私くどくど申し上げるまでもないのでありますが、非常に苦い経験をいたしまして、県の検査でありましたがために、不公平な等級検査が行われて、昔から有名な産地の価格が非常に落ちておるところも戦前はございました。これは有名な人もありますが、人の名前も県の名前も申し上げません。それからある地方では政党の争いがはげしゆうございまして、知事がかわると県内三分の二の検査員が罷免されて新しく任命されたというようなところがありまして、かようなところでは公平な検査はとうてい望み得ないのであります。また県の検査関係の人の運動が適切でなかつたために、ある県におきましては、その取引が非常に不利に陥りまして、非常な損失を受けた県もあります。私が直接世話をした県でありますから覚えておりますが、それも名前は申し上げませんが、県別にいたしますと、非常な円滑な取引に支障を来すということを、私は身をもつて体験いたしておりまして、その地方方々もおそらく同じとろの人はよく覚えておられると思います。さようなわけでありますので、今度政府でできております検査は、これはぜひ御実行にならぬといかぬであろう。いわんや自由取引になるならば、なお御実行なさらなければいかぬと思います。それからよく言われておりますが、統制撤廃されたら販売米がよけい出るではないかということも、皆さんも各階層を通じておつしやるのでありますが、私も若干出るだろうと思います。それはさきに申し上げました昭和十二年ないし十四年の産額に対する販売米の数量の統計数字でも明瞭に証明されておると思います。そういたしますと、ただいま受入れ検査をいたします際にも、検査員の必要なることはもちろんであります。これが自由になりますような際に、ことに商品でありますから、迅速なる検査が行われなければいけないのでありますから、人手が減つてはなかなか円滑に行きにくいのではないかと、私は何も関係なしに公平に心配をいたして申し上げておるわけでありますから、その点は御了承を願いたいと存じます。
  40. 松本善壽

    ○松本(善)委員 簡單に質問をいたしますが、ただいま県段階の統計を確立することが肝要である。県別の銘柄等級別の点については、過去の実績にかんがみて、その実行がなかなか困難であつたというようなことの御意見をしばしば承つております。その点についてはそのまま了承いたしてもいいだろうと思いますが、今後の問題といたしまして、もしも現在統制が解かれたならば、県別に大体どういう統計が出て来るかということも、一応考え方によつて論点は違うと思いますが、あるいは表式調査的なものが出て来ておつて、その統計が出て来るだろうと思うし、その様式においては、表式統計というような名がつくかもわかりませんけれども、さような統計でもつてはたして現実に合うかどうかということも、また今後の問題として取上げるべき問題だと思いますし、かつての苦い経験はわれわれも過去において知らされておる点でありますし、知つておりますがゆえに、問題として取上げるのは——今後の統制撤廃という問題に立つてこの論点を進めるならば、県段階においては、検査員というものは許可すればよろしい、質的にも第一線に適合するほどの重要な人を選抜しなければいかぬ、かようなものを私らも取上げて行きます場合においては、大体においてあなたの意見を了承できますが、そういう場合において、検査員の重要性を取上げ、また先ほども関連事項として前言者が取上げた事項の中にも、検査手数料の問題というものも、そこにあるのでありますがゆえに、にわかにたとえば統制撤廃がされたといつても、手数料の問題はいかにあるべきかという問題によつて、また国家の重要性にかんがみて、あなたのおつしやつていることがあるいは私はできるだろうという観点に立つて、再びこの問題を取上げてみまする場合に、県別の要員は大体半数においても、おそらく県別はもちろんのこと、町村別までには行けないけれども、県單位の検査員というものは、相当強化して重点的に置き得るだろうということも、われわれは受取れるのでありますが、その際において、たとえば昔の検査員という資格は、もちろん国家的においてこれを認め得る、また検査員というものは辞令だけであつて、その仕事をされるものが、地方官庁、現在で言うと地方の知事または農業協同組合というものが、免状だけを持つてつて、そんなものではできるものではないというようなお説のようにも私は聞きますが、大体検査員という性質であれば、そういう場合においは、国家であるいは助成金を出し、または検査手数料の問題を別に取上げて、この問題を解決することができるがごときことも考えられる見地に立ちますれば、検査員の素質という問題が、そこに取上げられなければならぬ問題だ思います。そこでまた言葉を返しては失礼ですが、従来昭和九年の当時において、あなたの御記憶としてどれぐらいの検査員がおつたか、そして以前に東北六県において大体凶作に対しては、どれくらいの検査員が活動されたか、その模様を一応お聞きしたい。
  41. 荷見安

    ○荷見参考人 検査員はもちろん検査もいたしておりましたろうし、農業のことに関係いたしておりますから世話もいたしておりましたろうと思いますが、昭和九年の凶作の例は町村の産米統計というものがあつたので、あの無償交付ができたということを申し上げたのでありまして、昭和九年の検査から何からみな一緒に申し上げたわけではないのでございます。私のこれまで申し上げましたことは、昭和十年ごろから昭和十四、五年ごろまでに関係いたしました全体の経験から抽出いたしましたことを申し上げているのでございまして、昭和九年一つのことを申し上げているわけではございません。
  42. 青木正

    青木(正)委員長代理 松本君、簡潔に質問の要旨をお願いします。
  43. 松本善壽

    ○松本(善)委員 失礼でありますが、もう一点御質問申し上げます。生産米に対する検査の量についてただいまお伺いいたすつもりでありましたが、その要点を得ませんので重ねてお伺いいたします。大体昭和九年でなくてもけつこうでありまするが、検査員と検査の数量、この点について一応御説明がいただきたかつたのであります。
  44. 荷見安

    ○荷見参考人 一人当りの検査員の検査数量はこれは非常にまちまちでございまして、これがモデルだということを私申し上げることが困難であります。大体一町村に二名くらいの検査員がおりまして、産額の多い場合にはそのほかに臨時職員を数箇月にわたつて出まわり期かけ雇い入れたり嘱託を置きましたりして検査をいたしておつたことと存じます。当時の町村数は約一万二千ばかりございましたから、それによつて御推定を願えばけつこうかと存じます。
  45. 青木正

    青木(正)委員長代理 加藤充君。
  46. 加藤充

    ○加藤(充)委員 今御意見の陳述の中に、行政整理に伴つて種々の困難を予想されるが、やむを得ないことであるという言葉があつたのであります。それでお尋ねするのですが、やむを得ない事情があるにかかわらず、押し切つてやらなければならない、困難を押し切つてもやらなければならないと言われたあなたの予想される種々の困難というものは大体どういうところにあるのか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  47. 荷見安

    ○荷見参考人 私の言い方が少し抽象的であつたので、今のようなお尋ねが出たと思います。私もずいぶん長く在官いたした経験がございまして、行政整理にも数回あつております。その場合に、まずやめようという人は非常な有能な課長さんとか上の技師の方とかいうのがりつぱな人でありますと、自分がよします。それじやあなたは残つてくださいというようなことにもしばしば私どもは出会つたことがございまして、まことに惜しい場合でありますが、さようなことがあるのもやむを得ないという感情に訴えた言葉が出たわけでございますが、やめる人もやめない人も一緒に働いておつた人でありますから、まことに情愛からいつては忍びがたいものがあるのでありますが、私の申し上げました意味は、それが国家事務整理されまして当然不要になつてやめるというのでありますれば、これはやむを得ない事情であろうと思いますという感じを申し上げたのです。
  48. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それでそういう意味合いを前提にいたしまして、無理な行政整理というものは避けなければならないというお言葉が続いたのだろうと思うのであります。その例といたしましては、農林関係定員整理のことについては、非常に詳しく述べられたのであります。統制撤廃という一事からただちに人員整理というものは成り立たない。しかもさらに、進んでは、あとに残つたたち立場考えて、それが相当な生活ができるようにしなければ、能率その他の点から見ても困難な問題が予想されるというようなお言葉だと思うのでありますが、それはあながち農林関係だけではないと思うのであります。もちろんそういうことはお含みの上御発言になつたと思うのであります。  そこでお尋ねいたしますが、不急不要の部分は整理しなければならぬ。これはそれ自体まことにその通りなんでありまして、その文書の中からどこ一点の非をつき上げるところもないのであります。不要、不急な場所だとあなたがお考えなつている点が見受けられたら御指摘を願いたい。
  49. 荷見安

    ○荷見参考人 見受けられません。あれば整理なさるのが相当だと、あなたがおつしやつた通り意味で申し上げております。
  50. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それじや不要不急なところは整理されてもさしつかえないと思うというのですか、現実の定員整理から言うと、少くともあなたの御意見なり御感想では不要不急の場所というものは、さしあたり見当らないということにお聞きしていいのですね。
  51. 荷見安

    ○荷見参考人 さようにおつしやられては、はなはだ迷惑でありまして、私は冒頭に、数日前にこの資料をちよだいいたしました。それで十分に検討する時間がありませんので、詳細なことを申し上げることはできません。しかしながら農林関係に関しての所感を申し上げればかようでありますと申し上げたのでありまして、農林関係のことを申し上げたあとで、また所感をつけ加えておりますが、これは一般の抽象的な問題であります。ただいまの御趣旨とは違います。
  52. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それじや私がほかの事例を引いて、こういうものはあなたの御見解として不要であり、不急なものであると思われるかどうか。問題を提起して、参考のために御意見を確めておきたいと思うのでありますが、最近政府は御承知のように連合国財産補償法というものを出して、衆議院は少くとも通過いたしました。これは開戰時以来の連合国入側の持つておりました動産、不動産、さらには無体財産権それから会社、商社の得べかりし利益の損失、全体として戦略爆撃の被害を受けた物件、権利関係におきましても日本人が補償しなければならない。こういう法律が出たのであります。その半面には、このたびの行政整理で特別調達庁方面の職員が初めは七割と言われ、やつとおちついて三割天引首切りにあわされようとしておるのであります。そこでお尋ねするのですが、二十六年の七月一日現在までに接収されている不動産の借上げ件数は、民有のみでも土地が件数にして約一万三千七百九十件、これを坪数に直しますと、三万七千町歩、建物が三千件で坪数にしますと、約百三十六万坪、その他動産二百五十件というようなものがあるのであります。それでこのほかにも昭和二十六年七月一日以降二十七年の三月三十一日までに、州兵駐屯その他によつてさらに接収の行われます見込みの数量は、土地だけでも三千二百四十一件、二万一千七百七十町歩に上る見込みだということが予想されるのであります。しかるに何ぞやと言いたいのでありまするが、前記接収済みの不動産に対する借上げ料の支払いや、今日まで相次いで行われた接収解除に伴う処理業務その他の一般の補償業務はもちろんのこと、こういうふうな補償しなければならない営業権、無体財産権買上げ、あるいは契約ができていないというままに借上げられ、接収されまして、現実に補償を受けておらないという問題が山積しておりまして、事実上は二十四年に解除になつた分までしか補償業務はなされておらない。従つて二十五年、二十六年度はそのまま残されておるのであります。憲法の建前を持ち出すまでもなく、自分がため上げた財産、そういうようなものに対する接収、片や一面においては戰略爆撃の対象なつたものまでが急遽補償の準備がなされているにもかかわらず、一面においてはこういうものがそのまま取残されておつて、こういう業務をたな上げするかのごとく、初めは七割あとで三割という天引首切りになつておりますと、日本人にして戰争の犠牲にあい、さらにまた残つた財産までが今申し上げました、数字のように、アメリカを中心として連合国側に接収されて、こういうものの補償というものが実際上になされていないのであります。もちろんサンフランシスコ條約に伴つて、連合国人に対する補償というのでありますが、事実上賠償でありますが、英米両国人に対する賠償の意味合いを含むと思うのでありますが、そういうものはなるほど急を要する業務なつたのかもしれません。しかし日本人の中には、大きなものもありますし、一坪、十坪の土地を奪われ、あるいは漁業権などを奪われたりいたしますと、さしずめ一家が路頭に迷うような事例はたくさんあるのでありまして、私はこういうようなものをほうつておいてよいというわけには行かないと思う。これも連合国に対する補償に劣らざる重要な急を要するものだと思うのでありますが、念のために参考人に具体的な事例をあげて御意見をお聞きいたしておきたいと思います。
  53. 荷見安

    ○荷見参考人 お話を伺つておりましても、ごもつとものようにも考えるのでありますが、何しろ研究が足りませんので、どうか、こうかという御返事を申し上げることができません。
  54. 青木正

    青木(正)委員長代理 加藤君に申し上げますけれども、大体参考人の方に総理の施政演説に対する質問みたようなことをなすつても無理かと思いますので、どうぞ定員法の関連においてお願いいたします。
  55. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それではもう一つ、これはわかりそうなことだと思いますが、これにははつきり御返事願えるものだと思つて、最後に一点具体的な事例をあげて、参考人の御意見を念のために聞いておきます。なるほど日本に軍事力、武装というものがなくなれば真空状態なつて侵略を受ける。これは防衛しなければならないという論理に立てば、それは急を要するというかもしれません。しかし急を要するにしても、日本には憲法の建前もございます。このたびの定員法改正につきましては、警察予備隊や国警方面の人員は、人的にも財源的にも増強されておるのである。機関銃一ちようで十坪の住宅が幾つも建たつたり、あるいはまた重爆機一台つくると、公務員九十万人に対して二千円ずつのベースアップができるほどの金がかかると言われておるのであります。こういうような問題が急を要するのか、それともいろいろな失業地獄の中に追い込まれて、わずかの首切り料で首を切られて行くのが、不要であり不急であるとして忍ばねばならぬ問題であるのかどうか。私は責任のある立場から意見を申し上げますならば、憲法の建前もあり、そういうようなことはなさないでおつても、そういう予算を使わずに、首切りなどはやらないで、しかもあなたが言われるように、業務量定員の数とは一定の科学的な合理的な割合を持つものである。それを無視して、農林省関係でるる御指摘になつたような無理な行政整理を天引きでやられるということになつておりますが、不要不急という点はどういうことを言われるのか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  56. 荷見安

    ○荷見参考人 私は研究する時間がございませんでしたので、多年の経験からわかつておる点だけは自信をもつて申し上げましたけれども、そのほかの部門になりますと、もう一ぺん考え直さぬと御返事できませんので、差控えておきます。
  57. 加藤充

    ○加藤(充)委員 憲法がありますし、前の戰争の苦々しい経験をわれわれは数年前に持つておりまして、今私が申し上げたような事例についての御答弁は、何も国会から送られた数枚、数十枚の数字や印刷物をごらんにならなくとも御答弁いただけるのだと思いますが、いかがですか。
  58. 青木正

    青木委員長代理 別に参考人の方から御答弁ないようでありますから、次に高倉定助君。
  59. 高倉定助

    ○高倉委員 一、二お伺いしたいと思います。私はちよつと遅く参りましたので、参考人の御意見を全部聞いておりませんので、あるいはすでにお聞きになつたことがあるかもわからぬが、率直に御意見を聞いておきたいと思います。参考人は全指連の会長でもあられますので、主として米穀検査の問題、これが今度は半減されるというような問題でありますので、それについて御意見を拜聽したいと思います。米毅の検査の重要性はすでに申し上げるまでもないのであります。戰前におきましては、地方各県において自治的検査をしておつた。戰争になつてから国家検査に移行したことは御承知の通りでありますが、現在の検査制度をこのまま存続することは当然であります。ことに今後独立国家日本といたしましては、米麦はもとよりでありますがことに雑穀等の輸出の関係相当に旺盛になつて来ますと、相当嚴重検査をしなければならない。従つて検査員も相当の技術を要することは当然であります。そこでこの際検査を指導連の系統左通じてやつたらどうか、こういう意見があるのでありますが、これはななか困難な問題だと思います。しかしながら指導連におきましては、系統的に組織があり、この系統を通じて單協から連合会までの間において、町村から府県の検査まで一貫してやられるのであります。そこで経費の問題が出て来るのでありますが、相当検査料をとつているが、この検査料ではとうていまかない切れないので、その足らない不足分は、国家相当の助成をしてやつて行けば行けるのじやないかと私たち考えるわけでありますが、これに対してどういう意見を持つておりますか、伺つておきたいと思います。
  60. 荷見安

    ○荷見参考人 どうもただいまの建前から考ますと、国の公務員による検査の方が、対外的にもまた対内的にもよいのではないか。時勢の変化によりまして、あるいはさらにその制度考え直すというようなときには、よほど愼重にお考えを願いたい。何を申しましても、これは生産者の主要農産物の商品等級を付して、それによつて格差が発生するわけでありますから、どうしても公務員に公正な検査を願つた方がよろしかろう、かように思つております。
  61. 高倉定助

    ○高倉委員 そういたしますと、これは相当研究を要することに相なりますが、現在の検査員は二万三千数百人おります。これが今度半減されるというのでありますが、しかしこれは米麦の統制解除を前提としての人員だと思いますが、こう半減されたのではとうてい万全なる検査が施行できない。従つて今まで量的にすべてをまかなつておつたものが今度は質的に移行することになりますと、相当優秀な技術員を置いてやつて行かなければならぬ。しかしこの検査は、取入れの秋とそれから二月ころまでが相当忙がしいわけでありまして、その後におきましては閑散なときもあるのです。そういう場合にはそれらの検査員は非常にひまである。こういうことを考えますと、農協とのつながりをつけて、忙がしいときには相当検査員を要請いたしまして、協同組合の方から応援するようなことにしたらどらかという意見もあるのでありますが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
  62. 荷見安

    ○荷見参考人 ごもつともなお話でありまして、私どもが執行いたしておりましたときにも繁閑はございました。それでそれに対する補充の方法といたしましては、臨時雇いのようなものを動員してやつたのでありますが、それも当時は臨時雇いといつても、そのときどきにかつてなものをつれて来たのではございませんので、毎年頼むような人はちやんときまつているのでありまして、その期間だけとつたのであります。今の制度では定員法か何か知りませんが、そういうことはむずかしいように承知いたしております。しかしお手伝いができるような態勢のものは農協の方においても整備いたしまして、一面検査と対応いたします農業倉庫の保管の問題がございます。農家は御承知の通り小口の農家が非常に多うございまして、共同販売に持つて来るにも、五俵以下のものがかなりあるようでございます。それで倉庫にはい積みいたしますと、どうしても八十俵から百俵は一つの範囲に積まなければならぬわけでありまして、検査をいたしまして、銘柄等級別のはい積みをするとなると、混合保管をいたしませんとできません。それで検査をいたしましたものと相対応するような倉庫の受入れの態勢ができませんと、長らく訓練のできておりません現在の農協の方ではいかがあろうかと思いますので、お話のようなこともよく御相談を願いまして、できるだけ効果をあげるようにいたしたいと私も考えております。
  63. 青木正

    青木(正)委員長代理 それでは次に全食糧労働組合中央執行委員長の菊池健作君より御意見を承ります。
  64. 菊池健作

    菊池参考人 菊池でございます。ただいま荷見先生からいろいろ総論的なお話がございましたので、私すぐ本論の方に入つて参りたいと思いますが、本論に入ります前に、食糧政策のあり方というようなものにつきましてはいろいろ見解のわかれるところでございますので、これには全然触れないで話を進めて参りたいと考えております。なお話の進め方にいたしましても、現在政府考えられているような線に沿うて、業務の量と合せた人員というような観点から、食糧庁の行政整理の問題についての見解を申し上げてみたいと考えております。実は昨日先生方に申し上げる原稿の草稿のようなものをつくつてみたのでございますが、一夜明けてけさになりましたら、情勢が相当かわつて参つたのでありまして、内容の相当不適当な箇所も出て参つておりますので、口頭で述べさしていただきたいと考えております。食糧庁の行政整理の問題は、今度の各省の中におきまして最も紆余曲折をきわめたことでございまして、これは政策転換とからんで参つたというような経過から、こういう関係なつて来たものと考えられるのであります。政令諮問委員会の答申案が出たのがたしか八月の末だつたと思うのでありますが、その当時農産物検査を先ほど来御意見が出ましたように、自治団体に移行せしめようというようなお考えで、七〇%の整理率というものが出ておつたのでございます。こういうものに基本を置きまして、政府の方で鋭意御検討いただいたようでございますが、結論として出て参つた線は、農産物検査の方は検査法によつてつて行くのだということと、管理制度に関しましては、これは全面的に廃止して、需給調整法をもつてやるのだというような構想が立てられたようでございます。その結果定員法に現われておりますように、管理業務は六〇%、検査業務は半減の五〇%、合計いたしまして五一・二%というような莫大な整理率が発表されたのでございます。その後司令部とのいろいろな交渉の過程におきまして検討いたされました結果、定員法に出ておりますような附則がついて来たというのが大体の経過のようでございますが、この中で非常な問題点が二つほどあるように考えられるのであります。  一つは、今回の政策決定が閣議で非常に短期間に決定されているというような関係上、細部にわたつて業務実態を検討して行く余裕がなかつたのではなかろうかと思うのでございます。従いまして、六〇%の管理業務整理につきましても、どういうよりどころで決定されて行つたかということに非常に不明な点が多いのでございます。その後主食統制撤廃に関する措置要綱というのが出ておりますが、その内容を見ましても、さらに不明な点があるのでございまして、その業務の内容が決定しないうちに整理の率がきまつてしまつたというようなところに、何かしら納得しがたいものがまずあるのでございます。先ほど来業務量と見合つた人員というような観点が各参考人から、また先生方からも御意見として出ているところでございますが、その点が一点ふに落ちない点でございます。  第二点といたしましては、司令部との交渉の結果、特別会計の中の整理人員のちようど半分でございますが、七千九百六十一名を情勢によつて復活することができるという附則がついているわけであります。このちようど半分であるということについて各方面の御意見を承つたのでございますが、岡崎官房長官のお話によりますと、これは麦の統制撤廃した場合と、それにプラスして業務を合理化した場合の整理人員なんだというようなこともおつしやつていると聞いております。ところが、関係筋方面に実際に当つてみたところでは、補正予算のあつた際に、関係方面としまして、まだ主食統制問題に対する態度が決定していなかつたというようなことから、一月から三月までの整理人員を了承した。しかし四月から六月までの整理人員を含めて定員法の検討を求めて来た際には態度が鮮明になつていたというようなことから、附則のような措置をとつていただくというように承つたのでございます。そういたしますと、この一—三の整理人員と、四—六の整理人員との間に思想的な流れがまつたく違つておるわけでありまして、一貫した考え方に立つべき整理基準が、ここで二つにわかれておるというような点が問題ではなかろうかと考えておるものであります。先生方も今後の御審議にあたりまして、どうかこの考え方を一貫するように御審議願えれば幸いだと考えておるのであります。  以上が大体諸般の経過を顧みて感じた問題でございますが、次に今回の整理の方針が統制撤廃を唯一の足がかりといたしまして案の作成が進められているということでありますけれども、この統制撤廃あるいは緩和というようなことが、現在の統制機構を單純に整理して行くということにはならないのではなかろうかというように私ども考えている次第でございます。と申しますのは統制以前の農林省が、いわば戰前の農林省が持つていた機能が、戰時中に統制機構にかえられましたごとく、再び自由な時代になりますれば、統制の機能が性格をかえて生きて行かなければならないというように考えるのでありますが、そういう観点から食糧庁の機構を少し分析してみたいと思うのであります。  先ほど申し上げましたように、管理業務と申します部分は、いわゆる米穀事務所として昔需給調整に当つていた機関でございます。それから検査部門と申しますのは、先ほど来荷見先生からいろいろ詳しくお話がありましたように、昔の食糧検査所でございます。この需給機関と検査機関とが食糧管理法制定を契機といたしまして、仕事の上で歩調を一にしていたのでございますが、昭和二十二年でございますか、統合いたしまして現在の食糧事務所という機構になつたのでございます。そこで自由な時代におきましては、現在の機構は食糧検査とそれから米穀事務所という二つの機構であつたことをよく御認識願いたいと思うのでありまして、調整の問題の関係する分野は言うまでもなく生産関係のある調整機構、いわば米穀事務所を前身とする機構でございます。食糧検査機構は既存の検査制度でございまして、そういう意味で今後の自由経済下における機能を十分発揮させていただくようにお考え願いたいというように思つているわけでございます。こういうように機能を異にする二つの機構が今自由経済を迎えましてわかれるような機運にあるわけでございますが、今後の御審議に当りましても、どうかわけて御審議いただくようにお願い申し上げたいと思うのであります。説明の順序といたしまして、先ほども荷見さんからお話のありました検査の部門から御説明申し上げて参りたいと思います。  検査部門は冒頭申しましたように、現在人員をちようど半分にいたしまして、一万一千七百六十七名を残すというような観点に立つておられるようでございますが、検査統制のために生れたものではないということは、先ほど来の荷見さんのお話でも明瞭にわかることでございまして、明治二十二年——先ほど荷見さん三十年とおつしやいましたけれども、文献を拾つてみますと二十二年のようであります。二十二年に同業者の検査組織ができまして、その後明治三十四年ごろから逐次府県営の検査が開始されて、昭和九年には全国県営検査に移つたというのが実態なようでございます。しかもその検査機構の確立して行く順序をながめますと、生産県から始まりまして消費県で終つているというような形になつております。昭和十五年に農産物検査法というのができまして、国営検査の形が打立てられたわけでございます。あらためて申すまでもなく、国営検査ということは統制なつてから始まつたのではございませんので、昭和十五年の統制に入るころに国営になつているという実態も御認識いただきたいと思うのであります。このように検査制度は既存の制度でございまして、新しい情勢に対しましては、つまり自由経済の社会が想定される場合におきましては、こういう時代に適応せしめるような構成、性格というものを與えていただくことが、今後の問題点となるのではないかと思うのでございます。そういうことがもし十分果されないといたしますならば、農産物の取引機構の上に重大なブランクを残すような結果になることも予想されますので、愼重な御審議をお願いいたしたいと考えております。国会におきましてはすでに検査制度につきまして十分な御理解をいただいているところでございまして、先般三月に農産物検査法が皆様のお力によつて制定されたわけでございます。この趣旨は今さら申し上げる必要もないところでございますけれども、将来次第に農産物が自由経済機構に移つて行くのだということを前提としてつくられたのでございまして、法律的にも従来食管法八條に基いて検査を実施いたしておりましたものを、單行法の農産物検査法に切りかえたのでございます。そういうように統制検査を漸次離して行くという方向が議会でも確認されているところでございまして、どうか皆様の先般の御確認をそのまま今後もお進めいただくように御努力願いたいと思うのでございます。なお農産物検査法の御審議をいただきました際の参議院の農林委員会の質疑応答を私読んでみましたところ、非常にたくさんの注文が付されておるのでありまして、その一、二を拾つてみますと、現在の検査機構はまことに弱体である、もつと人員をふやすなり、予算を強化するなり、とにかくしつかりやつてもらわなくちやいけないというような、非常な御鞭撻を受けているところでございます。また検査品目にいたしましても、北海道の議員のお方から出ている要望でございましたが、澱粉の検査を忘れているということはいかぬ、あるいは除虫菊、はつかというような、こういう外国向け生産品の検査を落しておくということははなはだいかぬ、次の近い将来においては、ぜひこれらの農産物を検査法の内容に織り込むようにという強い御要望があつたわけでございます。また長野県の議員の方だつたと思うのでございますが、あわ、ひえの雑穀類もぜひ入れなければならない、また製粉なんかにつきましても、ぜひこれは入れなければならないというようなことで、六品目ほど追加要請があつたのでございますが、いずれ農産物検査改正の機会を見てこれらを追加するというようなことで、両院、全員一致賛成をもつて通過を見たのでございます。そういうよらな経過をたどつた農産物検査法でございますが、国会の御理解をいただいている点を今後の政策の上に十分具体化していただきたいと重ねてお願い申し上げる次第でございます。くどくど申し上げるようでございますが、そのように統制撤廃後の検査業務というものは、政府案のように人員を半減してやれるかどうかということにつきましては、非常に疑問があるのでございまして、その理由につきましては先ほど来申されていることでございますので、あえて説明をつけ加えませんが、メモ的に申し上げますと、統制撤廃されましても、農産物検査法に規定されてあります農産物の範囲というものは変更がないということ、それから検査の数量には変更がない、むしろ増加の可能性があるであろうということは荷見先生からおつしやられた通りでございます。また検査の技術に最も嚴正高度化が要求されるということにつきましても、先ほど高倉先生から御確認のあつたような点でございますので、このほか銘柄等級別検査を復活いたして参りますと、仕事の範囲がきわめて複雑多岐にわたつて来るということも否定できない問題だと思うのでございます。さらに農産物検査の特徴といたしまして、農家の庭先に及ぶような指導が今後ぜひとられる必要があるというように考えておりますが、そこまで行きますと、現在の人員ではまつたく手不足でございます。今後の問題としてぜひ御研究願いたい点でございます。日本農業はしよせん零細農でございまして、一定の数量を集めて商品化するという上におきまして、規格の問題が非常に重要か問題になつて参ります。しかも対象となる農家は全国で六百万戸に及ぶ多数の農家でございまして、これに一々商品化技術を指導して参るというためには、どうしても庭先検査を実施する必要が生じて参るわけでございますが、そういうふうな時代ができるだけ早く来るように今後の御研究が願わしいと思うのでございます。  先ほど高倉先生から御意見が出ておりました臨時職員の問題でございますが、これまでの経過を見ましても約二万人近い検査員が業務に当つて参つたというのが実態でございまして、忙しいときには臨時職員を雇つていたことは事実でございます。その臨時職員を加えますと、これは年度はちよつと記憶にないのでございますが、約四万人近くなつた時代があつたというように記憶いたしております。この検査の権威というものを保つ意味からも、非常勤職員というような形で進めて参りますことは、今後の検査の権威あるいは信用というような点から非常に疑問のあるところでございまして、ぜひ現在のように正規の職員としての検査員を配置いたしていただくように御研究願いたいと思うのでございます。  次に戦前と現在の検査を比較いたしまして、業務量が減つているかどうだろうかという点について一言申し上げたいと思うのでございますが、先ほど荷見先生から国内の問題はほとんど同じであるか、あるいはふえるであろう、しかもその傾向としては小口検査が戰前より増加するであろうということが申されているのであります。そのことが国内的な特徴でございまして、もう一つ対外的な面が新たに加わつてつております。御承知のようにただいまの日本食糧生産をもつていたしましては、国内食糧は約三百二十万トン不足である、こう申されております。これは消費規正を中心とする管理制度があるので、三百二十万トンに押えられているわけでございますけれども、消費規正がもしなくなつた場合、これは当然量の増加が予想されるところでございます。最近の新聞を見ますと、政府でもそのことを予想してだろうと思うのでございますが、五十万トンの増加をいたしまして、三百七十万トンを輸入するというように申しておられます。三百七十万トンと申しますと約二千五百石万になります。二千五百万石くらいの数量が外国から入つて参るわけでございますけれども、この数量は実に莫大な数量でございまして、今日米の供出数量が二千五百万石というようなことで割当てられるという報道が伝えられております。日本の米の販売総量に匹敵するほどの外国食糧日本に入つて参るわけでございます。しかも戦前におきましては米の輸入は朝鮮、台湾に限られておりまして、その検査は現地の検査を信用してそのまま入れていたというのが実態でございまして、何ら検査がなされていなかつたのであります。今後二千五百万石に対して新たな検査が生れて来るという実態があるのでございます。  以上大体統制撤廃後の検査業務が数量的に、また技術的に非常に複雑多岐になつて来るということについて申し上げたのでございますが、一面私どもの実行しております検査に対しまして、きわめて非科学的だという御非難も受けておるところでありましで、非科学的なるがゆえに能率も悪いのじやないかというようなことも、あるいはお考えの筋があるかと思うのでございます。これは確かに現状におきましてはさしを使う検査が大部分でございまして、原始的な形をとつていることはいなめない事実でございます。ただ申し上げたいことは、欧米の農業のように大規模の農業を行いまして、一戸の生産量相当数量に上りますような場合には、その検査は大量の中から抽出いたしまして検査を実行するというような方法がとられるわけでございます。あるいは大量を大きな機械の中につつ込んでおいてサンプルをとり、検査をするという方法がとられるわけでございますが、日本のように零細農を基本といたしました農業におきましては、どうしても小口の販売数量になりまして、結局一俵單位の検査にならざるを得ないのでございます。こういうような小口の検査を実施いたします場合に、一々科学検査というものを実行しで参ることに一定の限界が参ることは当然でございまして、先ほど荷見先生からもお話がございましたように、商取引の迅速性という点からも、ある程度われわれの勘とさしの検査、いわば熟練を基礎とした検査というものが必要になつて参るわけでございます。なお今後科学的な施設も整いまして、科学的な裏づけのできるように努力して参る計画は立つているのでございますが、そういうように一定の限界があるということを御認識いただきたいと思うのであります。  最後に検査問題につきまして一言触れさしていただきたいと思いますことは、先ほど来お話のありましたように、検査制度は受益者によりまして手数料が支払われているのが常態でございまして、統制撤廃後のこういう手数料収入というものを考えてみますと、おおむね独立採算が可能な状態考えられているのでございます。検査関係職員というのは、こういうように財政的な負担をあまり要しないところの職員であるということが、他の官庁機構に勤務する職員と著しく趣を異にした点でございます。  なお御参考までに、この検査員が半減いたしました場合に、検査員の町村別配置がどういうようなぐあいになるかということについて、下から積み上げて検討してみたのでございますが、現在検査員の配置のない町村は全国で三百七十一町村ございます。全国の市町村数が一万三百六十五でございますから、三%くらいになるかと思います。ところが検査員を半減いたしました場合、検査員の配置ができなくなる町村が三千四十になるように計算いたされております。その結果、約三割の町村が検査員を持たない町村になつて来るということが申されるかと思います。先生方の御郷里の市町村をお考えいただきまして、そういう状態が起きて参りました場合、今後厳密な検査を実行しなければならないような経済情勢にありながらも、それは逆行するような状況が出て参ることが、容易に御想像がつくのじやなかろうかと思うのでございます。  ここに数県のサンプルを拾つて参つたのでございますが、岡山県におきましてはちようど三〇%くらいな町村が配置できなくなりますし、委員長の御出身の県でございます岐阜県におきましては、五二%の町村が検査員の配置ができない結果になつて参ります。また石川県におきましては、三八%の町村に検査員の配置ができない結果になつております。長崎県におきましては同様三〇%、栃木県におきましては二七%というように、各県の状況によつてかわつておりますが、農産物の検査が現にできないというような状況が出て参ることは必至でございます。まつたくこう考えて参りますと、過去五十年にわたる農産物検査制度の崩壊が今来ようとしているというような感に打たれるのでございます。  次に食糧管理業務の面でございますが、これがいわゆる一夜にして情勢の変じた点でございます。従いまして内容についてどの程度申し上げれば、人員の的確な判断の基礎になるかということにつきまして、私何にも持つておりませんが、ただ新聞の伝えるところによりますと、麦だけは統制撤廃するのだというようなことが申されておりますので、その線に沿うて考えてみたいと思うのでございます。食糧職員行政整理についてというつづりがお手元にあると思うのでございますが、その最後に、その場合を想定した業務内容の増減について資料をつけてございます。その資料のアウトラインを申し上げますと、検査関係につきましては、先ほど申し上げました事由によりまして、何ら変更はないわけでございます。農産物検査法の中に麦が強制検査ということではつきり規定されておりますので、数量的にかわつて来るという要素が一つも発見できないのでございます。また管理部門のうち買入れにつきましては、麦につきましても、かりに農家の希望に対して買い応ずるというような態勢を持つとしますれば、常時店開きをいたしておく必要があるのでございます。しかも麦の総食糧の中に占めるウエートは、御承知のように二〇%前後でございまして、買入れ数量といたしましては、国内産食糧の買入れ数量の中で二二%くらいなウエートでございます。従いましてそれじや二二%切れるのじやないかというような感覚が生れるかとも思うのでございますが、麦と米とでは時期が違うのでございます。何と申しましても、食糧管理の面から申しますれば、米を買うという態勢が最も大事なのでございます。麦はまつたくその余暇に現在まで買い入れる力があつたのでございます。その点で繁閑の差は多少出るかもしれませんが、必要人員という点では、買入れで減員考えられないというのが実態かと思うのでございます。  次に売却についてでございますが、売却につきましては、今後の輸入食糧の増加を考えに入れ、また国内産米の買入れというようなことを考えてみますと、最も大きな部分はそのままそつくり残つてしまうという関係なつて参ります。たとえて申しますならば、昭和二十五年度における国内産米の買入れ予定数量が二千八百万石でございます。それから輸入食糧が三百二十万トンでございますから二千二十万石、合計いたしまして四千八百二十万石、これが輸入食糧と国内産米の数量でございます。これに麦の七百ないし八百万石を加えましても五千六百万石、その程度の数量になるわけでございます。今年の割当は二千五百五十万石と伝えられております。さらに輸入食糧が三百七十万トンといたしますれば二千五百万石になりますが、合せまして五千五十万石、それにどれだけ加えるかわかりませんが、販売数量は、八百万石の麦のうちかりに半分入つたといたしますと、昨年までの売却数量とちつともかわらないという結果になつて参るわけでございます。買入れの面におきましても、売却の面におきましても、輸送、保管の面におきましても、業務量にはいささかも変化がない。しかも仕事実態は複雑になつて参ります。御承知のようにこれまでは却売業者に払い下げて参つたものが、今後の払下げの形式は、自由市場を通じて流すわけでございますので、いろいろな面で複雑な面が生じて参りまして、仕事の量は減つて参らないというのが、麦だけはずれた場合の実態だろうと私ども見ておるのでございます。資料をつけてございますので、よく御検討を願いたいと思うのでございます。  以上要約いたしますと、新しい情勢に基く食糧管理におきまして、何ら私ども減員の余地というものを考えられないように思うのでございます。定員法のことについて申し上げる予定でございましたが、これは新しい情勢のもとにおそらく修正されると思いますので、これについてはここでは触れないことにいたしたいと思います。  次にもう一つ申し上げておきたい点は、財政的な見地から見た食糧庁の人員整理でございますが、政府が今度とられておりますところの行政整理の基本的な理由と申しますのは、財政負担の軽減にあるように私ども聞いて参つておるのでございます。この財政負担の軽減によりまして、結論的には減税をはかるということが政府の目的のようでございますけれども、こういうような見地から食糧庁の人員整理を見ますと、まつた意味のないことは先生方御承知の通力でございます。と申しますのは、食糧管理に必要な一切の経費というものは、これまで食糧管理に当つたサービスの代償といたしまして、消費米価の中に織り込む建前になつておるのでございまして、お手元の資料の中にございますけれども、全部消費米価の中に含まれております。税金からは建前としては負担をいただかないことになつているのでございます。ただ輸入補給金とインヴエントリー・フアイナンスの面におきまして、財政負担が生じているのでございますが、その輸入補給金は御承知のように二百二十五億円でございまして、インヴェントリー・フアイナンスは百億円が計上されているのでございます。しかし輸入補給金につきましては、池田蔵相は今後も輸入食糧の価格調整をするために補給金は支出して行く考えであるということを申されております。そういうことになりますと、この輸入補給金の面は、財政負担の軽減というものには別につながらない問題となつて参るわけでございまして、インヴエントリー・フアイナンスの百億だけが問題かと思うのでございます。かりに——これははなはだ私見にわたつて恐縮でございますが、百億円と申しますと現在操作されております約六千万石の数量で割つてみますと、石当り八十五円くらいでございまするし、一升にいたしまして八十五銭になつて参ります。で、統制がはずれた場合に、よく政府の要路から申されておることでございますが、米は百十円くらいになるだろうというようなことを申されております。この百十円ぐらいということにつきましては、私ども別の考え方を持つておりますが、かりに百十円といたしましても、現在公定価格が八十七円ほどでございますから、二十三円ほど一升について上るわけでございます。そうなると、インヴエントリー・フアイナンスが統制のために存在するそのための財政負担が一升八十五銭であるとすれば、ただいまのように、統制撤廃後百十円ということによつて一升当り二十三円の負担をいたします消費者にとつては、インヴエントリー・フアイナンスがあつた情勢の方がよいのじやなかろうかというよろな感覚もあるいは出るのではないかと思います。そういうような点から見ますと、インヴェントリー・フアイナンスは、米の値上りによつて支払われなければならない金額に比しまして、きわめて少い金額ではなかろうかというようにも見られるのでございます。このように見て参りますと、財政負担の軽減を理由とするところの行政整理という問題には、食糧庁の場合つながらないのではなかろうかと考えている次第であります。  次に今回の行政整理全般にわたる問題について、多少触れさせていただきたいと思うのでございますが、以上申し上げましたように、食糧庁の人員整理につきましては、どうも私ども理論的に納得しがたいものがたくさんあるのでございまして、どうかここを十分御審議願いたいと思うのでございますが、行政整理の行き過ぎということにつきまして、先ほど荷見先生からお話のありましたように、国民に対するサービスがそのためにこわれてしまう、たとえば農産物検査制度がこわれてしまう、あるいは需給調整もやれなくなるというようなことになりませんように、どうか愼重な御審議を願いたいと思うのでございます。今回の行政整理を全体的にながめまして、農業関係に非常に重くかかつていることは各参考人から申されていた通りでございまして、お手元の資料の中に各省の整理率と比較したものがございますが、農林省全体といたしまして、三一・四%でございまして、これに次ぐ整理率を示しておる省は通産省の二〇・九%でございます。その次が大蔵省の一五・一%でございまして、その他は三%から六%の間になつているのでございます。こういうように今回の行政整理の三割を農林省が一手に引受けておるような形になつておりますことが、どうも私どもの常識的ならち外を越えておるよう思われてならないのでございます。これははなはだ失礼な話でございますけれども、そういうような感じがいたしておるのでございます。特に食糧庁の職員についてきわめて苛酷でございまして、過半数の整理というような形になつておるのでございます。これは統制撤廃に基因するものであるというような御理由かと思うのでございますが、この統制撤廃に関するところの整理は、農林省内におきましてもう一箇所統計調査関係職員がございます。これがやはり四五%の整理率を適用されておるのでございまして、二人おれば、お前かおれかどつちかというような、そういう整理率でございます。統計につきまして先ほど来松本先生から種々御意見が出て参つていたようでございまして、申告調査等によつてつてもいいのではなかろうかというようなお話であつたように承つております。しかし現在統計技術というものは、世界的に非常に高いレベルに達していることは御承知の通りでありまして、世界の統計のレベルというものがある程度そろつておりませんと、一つの国際的な統計というものはまとまつて来ないこともおのずから明らかなことだろうと思うのでございますが、申告調査のような場合におきましては、いわば統計技術的に見ましたところの確率と申しますか、正確度というものが出て参らないのでございます。科学的な基礎のもとに立ちました数字においてのみ一つの正確度というものが考えられるのでございまして、その辺もひとつ世界統計の水準から御判断が願えれば、御理解いただけるのではないかと思うのでございます。わが国の統計は数年前に参りましたドクタ一・サールによりまして、やつとこれで国際的な水準に達したのだというような賞讃の言葉をいただいておるわけでございますが、ただいまこの賞讃を水泡に帰するようなことがありますと、これまでの努力がまつたく何のためやつたのかわからないようなことになると思いますので、この面につきましても、十分御検討が願いたいと思うのでございます。なお統計の面につきましてつけ加えたいと思いますことは統計は必ずしも統制のために生れたのではなくて、ただ戰後生れたものだから統制のために生れたもののようにお感じになるかもしれません。あれは司令部からもたしかサゼスチヨンがあつてできた組織だと思つていますが、その際は政府もまた民間人も、一切のものから離れた第三者的な立場においてものを正確につかむ機関をつくるのだという趣旨でつくられたのでございます。決して統制のためにつくられたのではなくて、国家百年の計の基礎といたしましてつくられた組織でありますことを、あらためて御認識願いたいと思うのでございます。  なお今回の行政整理につきまして、さらに社会的な問題点があると思うのでございますが、それは行政整理のあとに何ら失業対策というようなものが確立されていないことでございまして午前中毎日新聞井上さんの触れられた通りでございます。この点をどうかもしおやりになるならば十分国民が納得できるだけ御説明いただきたいのでございます。ことに食糧庁の場合あるいは統計関係の場合というものを拾つてみますと、半数あるいは過半数に及ぶ整理人員でございますのでこれまでのように残留者が少数の整理人員に対して友情をもつて就職のあつせんを努力した、あるいは永続勤務者が退職金で何かの仕事を始めるといつたようなことで、救済が講ぜられていたこともまつたく困難になるのでございます。半数以上の人が切られるということになりますれば、当然同僚愛をもつていたしましても救済の方法はございませんし、また永続勤務者ということではなしに、きわめて短期な勤務者につきましても、その事情を問わずに辞職を勧告しなければならないというような事態が出て参るわけでございます。このような人々が、将来の自分の身分の不安定というものをすでに感じているようでございまして、職場における動揺はきわめて大きいようでございます。どうかこの辺につきましても、政治家としての先生方の十分な御配慮によりまして、路頭に迷う日本人の一人も少くなるような方向で御審議が願いたいと考えるのでございます。私の意見を終ります。
  65. 青木正

    青木(正)委員長代理 菊池健作君の御意見に対し御質疑はありませんか。
  66. 加藤充

    ○加藤(充)委員 あまり繰返さないで質問だけをしたいと思います。あなたが労働組合ないし職員組合という組織の代表的な意見の開陳をされましたので、あなたにお確かめ願う以外に他に適当な人がありませんので、あなたに二、三の質疑をいたしたいと思います。あなたの関係のところでは、農林省一般といわず食糧庁では、二十六年の多分六月か七月現在で三万一千二百五十六人の定員、これは二十四年の行政整理、首切りの結果なつたのです。ところが常勤職員三万百七十二人、非常勤職員三万九千三百五人という数字が人事院から発表されているのでありますが、それが今度定員一万五千二百四十二人にされようとしておるようであります。私はお尋ねしたいのですが、この非常勤職員というのは、まつたくの臨時雇の職員であるのか、いわゆる常勤的な非常勤職員の部類に属するものか、それが第一点。それからいわゆる非常勤職員というものの身分の保障、給與、諸手当その他の待遇、その中には共済組合、健康保険組合あるいは失業保険の給付関係なども入りますが、臨時職員のそれらの諸点と、定員職員との間の相違はいかなるものであるか、まずこの二点をお尋ねしたいと思うのであります。
  67. 菊池健作

    菊池参考人 ただいま非常勤の職員が三万九千三百五名あるのではないかというお話でございますが、確かに私どものところに非常勤職員がそれだけただいまございます。これは常時勤務するところの者ではございませんので検査の繁忙期に、米の出まわり期につきましては二箇月、麦の出まわり期につきましては一箇月という期間を区切つた算定の基礎で、三万人の非常勤職員予算が計上いたされております。これは官吏とはまつたく別な身分でございまして、通常の日雇い労務者といいますか、月間の労務者といいますかそういつたような関係なつておりまして、身分上の保障ないしは給與上、一般職員と同様ではないことはもちろんでございます。ただ非常勤と関係があるのでございますが、常勤する非常勤という人数が千六百八十九名ございます。この者に対する給與関係はほとんど一般職員並の給與関係なつておりまして、勤務日数も年間を通じての勤務日数になつております。若干違います点は、超過勤務手当がすでに給與の中に含まれたものとされておりますことと、それから旅費等の予算の計上が見込まれておらない点でございます。
  68. 加藤充

    ○加藤(充)委員 国家公務員法の七十五條及び七十八條から八十條、八十九條から九十二條というようなもので、臨時職員が一般から除外されて適用になつていないということを私聞いておるのですが、あなたが御指摘になつた数多い非常勤職員の中の常勤的非常勤職員千六百八十九名については、こういう公務員一般が保障されている部分についての保障は、一般公務員とかわりない保障があるのでございましようか。
  69. 菊池健作

    菊池参考人 健康保険等の便宜ははかられてございます。給與は事務所長の権限で定めておりますが、大体一般の公務員に準ずる取扱いをいたしているはずでございます。
  70. 加藤充

    ○加藤(充)委員 こまかくなりますが、臨時職員の中で、まつたくの臨時雇いはしかたがないけれども、非常勤的な職員に対しては、一般公務員並の待遇を與える、あるいはまたそれを定員の中に加えるというような要望は出ておりませんか。またあなたの方の公務員の立場に立つて、二十四年度の無理な首切りで定員が狭められたが、この千六百八十九名は、食糧庁の関係だけでも定員のわくに入れなければならないというような業務上の必要はございませんですか。
  71. 菊池健作

    菊池参考人 ただいま質問の御趣旨のように、常勤労務者の中には、先般の首切りによりまして非常勤に切りかえられた人々も相当つております。従いまして、もう一ぺん元の地位に立ち返りたい、そして安定した身分で働いて行きたいという要望は、きわめて強いものがございまして、私ども常にこのわずか全体の三%にすぎない人員からの声に耳を傾けなければならないほどに熾烈な声になつておるのでございます。
  72. 加藤充

    ○加藤(充)委員 もちろんあなたの方では今御指摘になつた千六百八十九名の常勤的非常勤を定員のわくにはめてもらわなければ、あてがわれた業務量はこなし切れないという実情もあるのですね。
  73. 菊池健作

    菊池参考人 その通りでございます。
  74. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それで第二の質問をいたすわけでありますが、いわゆる臨時工的な臨時職員で、無理な二十四年度の定員の首切りの補いをつける一方定員職員方々にもずいぶん過重な業務がそれだけ押しつけられて来ておるのではないかと思われるのでありますその点はいろいろありますけれども、私のお尋ねしたいのは、定員業務量との関係、それが端的に現われて参りますのは、超勤の手当の支給の問題だろうと思うのであります。先般建設省関係相当な地位の人々の証言によりますと、一箇月六時間見当しか出されておらない。これではどうにもならないのだという問題がはつきり出て来たのでありますけれども、あなたのところでは超勤の手当は実動に対して何パーセントくらいが支給されておる状態でありますか。
  75. 菊池健作

    菊池参考人 労務が相当過重になつておるだろうという非常に御同情のある御質問なのでありますが確かに過重な労務の影響というものは職場にはつきり現われておりまして、ただいま長期欠勤者の数が六、七百名に上つております。それぞれ入院加療をいたしておるようでございますが、非常にお気の毒だと考えております。また定員業務量との問題から、超勤が実績に対して何パーセントくらい出ておるかというお話でございますが、これは予算上大体十時間そこそこのものでございますが、御承知のように供出時期になつて参りますと、農産物検査法に昔書いてあつたのでございますが、夜が明けてから日没までが検査の勤務時間だというような、きわめて過重な労務規定が出ておるようなわけであります。そういうような実態から見ましても、十時間そこそこの超勤手当では三日かそこいらになりますか、大体一割くらいなものかと思います。
  76. 加藤充

    ○加藤(充)委員 最後に一点。先ほど附則の点についてはあまわ触れられないという御意見で除外されたのだと思うのですが、私はその点を最後にお伺いいたしたいのであります。これは日本に限つておるようでありますが、日本の公務員は争議権も団体交渉権も政治活動もできなくされておるのであります。このことにつきましては、ことしの二月でありましたか、南米のある国で行われたと私は記憶しておりますが、国際的な労働会議で、幾ら占領下とはいいながら公務員にこの制限を加えたというのは、これは明らかに民主主義に反する、世界の労働者の基本的な人権にそむくものである、けしからぬものだという決議がなされたほどであります。ところが今度の定員法の附則によりますると、不利益処分を受けた者に対して、せめてもの審査請求権が全然無視されて奪いとられておるのであります。もちろん人事院というところが、今まで六箇年近い実績の上から、能書だけできき目がさつぱりないあんなもの当てにならないところだという一般労務者公務員の気持もわかりますが、そのせめてもの人事院の審判が、制度としてなくなつて、このたびの首切りのときにはそれが全部的に適用がないということ自体に対して、一般の民主的な、あるいは労働者の基本的な要求が、憲法に保障されている建前に立つてどう思われるか、附則についてお述べにならなかつたことなので、この点について参考人意見を聞きたいと思います。
  77. 菊池健作

    菊池参考人 ただいまの御質問は、官庁労働者の身分、行動が、ただいま国家公務員法によつて縛られているということに基くところのいろいろな障害の問題がございますが、このことにつきましては、官庁労働者が常にあらゆる大会のスローガンに掲げているところでございまして、御意見通り私ども将来に望を託しているところでございます。
  78. 加藤充

    ○加藤(充)委員 私が聞いたのは、今度の附則でそういう審査請求に基いた審判がなされないということについての御意見はいかがですか。
  79. 菊池健作

    菊池参考人 納得されざる首切りに対しましては、組合員といたしましては、あくまでも御趣旨のような道を開いていただきたいのでございまして、附則として、ぜひそういうものを設けていただきたいと思う点でございます。
  80. 松本善壽

    ○松本(善)委員 簡單にお答え願いたいと思います。農作物検査法のあり方ということについてはその通りでございまして、検査の量においても今後ふえるだろうということも私は想像しております。そこで検査のあり方を農協に委託または委任した姿でやられての可能性と、それからまたサールさんが賞讃されたいわゆる世界の統計の水準になる農林統計のあり方について、まことに私どもとしても同感でありまするが、この点についてもしも半減されたような姿になつた場合には、県庁あたりに委任またはその他の出先においてこれがなされるかどうか、またその可能性について簡單に御説明願いたいと思います。
  81. 菊池健作

    菊池参考人 検査にいたしましても統計の問題にいたしましても、一つの共通した点は、第三者が物の量をはかりあるいは数の判断をする客観的な価値判断、あるいは客観的な計量という問題が最も大事な点かと思うのでございます。それが検査にいたしましても、統計にいたしましても、権威を持ち、信用を持つところの基本的な立場じやなかろうか、そういうように考えられるのであります。そういたしますと、統計がかりに県に移るということになりますれば、県が種々の利害関係を持つような統計につきましては、第三者的な客観的な資料として提出されることがむずかしいということが想像されますし、さらに農協が検査に当るということは、これは非常に形式論になるかと思いますけれども、生産者の団体が生産者のものを検査するという形になりますために、きわめて客観性というものが阻害されて参るかと思うのでございます。なお検査につきまして、その他二、三の点を考えることができると思いますが、農協と申しましても、各県でスタッフあるいは財政的な面におきまして力を異にいたしておるようでございます。そういう中におきまして、検査の面を全国均衡のとれたウエイトで育てて行き、全国一本の権威ある検査という方向に持つて行くことが可能かどうかという点についても多少の疑問が感ぜられて参ります。なお予算につきましては、いずれの機関がやつてもこれは同じことだというようなことも言い得るわけでありますが、少くとも現在食糧事務所と同じ屋根の下で同じ長をいただいてやつておりますこの形が、寄合い世帶とはいいながら、一応の予算上の節約に貢献しているものじやなかろうかというように考えられるわけでございまして、予算的な面あるいは権威、信用、そういうような面から申しまして、現在の形の方が私としてはけつこうではないかというように考えております。
  82. 青木正

    青木(正)委員長代理 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にいたしまして、明日は内閣委員会地方行政委員会農林委員会連合審査会を午前十時半より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十五分散会