○
安田説明員 私
どもの方の今度の
整理案につきましては、農作物
調査の点から申しますと、農作物
調査につきましては、終戦後先進国と対等あるいは対等以下か判断に迷いますが、時代の進歩とともに、各国にわたりまして、一統計の尊重がございまして、各種の行政、政治が国際規格に応じました統計をもとにして、これを尊重して—それを基礎にして行われるの風潮が大きくなりまして、特に農林漁業につきましては、まことに統計がとりにくい
調査統計でございます。従いまして古くからいたしておりました統計方法をかなり刷新をいたしまして、簡単な言葉で申し上げますと、標本
調査と申しておりますが、まず
人間でも、畑でも、
農家でも、品種でも、収量でも、ざつとこれを大まかに全部申告か土地台帳かその他のもので調べまして、その中に類似性を持
つた階層わけを経費、人に応じてだんだんといたしまして、その中の階層に応じた標本を上手にとりまして、それら少数の標本をしつかり調べて、全体を調べたものと、両方でも
つて統計をつくりますと、
人数も比較的少く、経費も比較的少く、そして間違いが割合少い統計ができる、こういう方法をとるものでございます。この方法は、アメリカ、カナダ、イギリス、ソビエトから英領、ベルギー領のアフリカに至りますまで、インドを含め約十五箇国、最近では西ドイツでもと
つておる方法の
ようでございます。この方法を私
ども採用いたしておるのでありますが、この方法には全国画一の設計と申しますか、規格が必要でございますと同時に、
調査にあたりまして、各階層を代表いたしまする標本を的確にと
つて、そうしてこれを実測する必要がございまするので、統一した機関を必要とするのでございます。そこで
農林省では、国際的に通用する
調査を農業統計においてとることといたしまして、各県とは別に独立の統計官を設置して、今後も国内、国際
関係を通じまして、これが必要だと考えております。過般の
整理案の際にも、その必要性と存続性とを大体内定していただいておる、
政府側案としては、そう考えております。
そこでこの正確な統計が本来必要であることは、国内、国外の国際的な
関係から申しましても、また広く農林漁業行政全体の基本の統計といたしましても、必要でございますが、たまたまただいま
お話もあり、
松本委員からも
お話がありました
ような、日本が特に食糖事情において窮迫をいたしました際には、特にその価値を発揮し、まただんだん
食糧が緩和をいたしました場合においても、
食糧の国家生産の上において占める割合、あるいは輸入
関係といたしまして、
輸入食糧が大きな割合を占めること、あるいは農山漁村に住んで生業を営んでおる方々が全人口の四五%を占めておるという
ような事情からいたしまして、農業統計が非常に重要で、その
ような統計機関を持
つた統計が、今後の国際的にも必要だと考えておるのであります。これは講和條約の調印にあたりましての日本
政府の宣言においても、一九二九年のジユネーヴにおける経済統計に関する国際協定議定書その他のものに、最短期間において日本は加入する意思を有するというふうな、宣言が表明されたことによ
つても、この協定議定書においてその
ような統計がおそらく必要であろうということも
規定いたされておりますから、必要だと考えておるのであります。
この
調査方法をとる現在の
ような機構を維持して、そして今回の
整理案による
調査はどうなるかということになりますと、従来との比較において申し上げますことが、御
説明の一つになると思うのでありますが、従来は昭和二十四年の初めにおきましては、一万九千五百人くらいの人を擁しましてそうして
市町村別に農業統計が、特に
米麦統計は面積、収量を通じてできる
ようにということで、必要な事業費を加えて事業をいたしておりました。それがだんだん
整理をされて、今年度の初期におきましても、六月までに千五百名の
定員の減がございまして、それをやつと終
つたところでございますが、その約一万九千人以上の人をも
つて市町村別の農業統計をやることに
なつておりました
関係は、
相当こまかい
食糧供出
制度が日本の
食糧の窮迫な経済状態において行われてお
つたためであろうと思うのであります。今回におきましては、本来の農業統計を、今後の
食糧需給調整のこととか、あるいは土地改良、農業所得の差等、その他生産状況の変化、あるいは単作地帯の対策、農業保険の各種の
制度、これらに最小限度に必要なものだけはぜひつくる
ようにということを意図いたしますと同時に、また
行政整理という
ような大きな
政府の政策に従いまして、従来の
調査方法、
調査機構というものを維持しながら、最大限度にこれを削減をいたされたものと
事務局は考えておるのであります。
その結果といたしまして、
整理案の
定員からどんな
調査ができ上るかということに問題があるかと思うのでありますが、しさいに検討の上、こういう
調査にはこういう
定員がいる、またあわせて事業費がいるということが、必ずしも明瞭でなしにきま
つておる点もございます。事の性質上そういうことだと思いますので、概略を申し上げることが、今の段階で今後研究をいたさねばならぬと思いますが、先ほど
市町村別と私が申し上げたものは、都道府県別とでも申し上げると
ちようど合うということであります。すなわち日本全体で
米麦がどれくらいできるかという
ようなことがわかる際に、北海道、新潟、茨城、鹿児島、東京という
ようなところで、前年と比較がつく
ように、また国全体として外国との
関係でもそのくらいであ
つたということがわかる
ような範囲で、都道府県統計ということになると思います。そこでもしこれを県の中で、
市町村別とか、あるいは郡別とか、平坦部、山間部、二毛作地帯、一毛作地帯を、昭和二十四年以降本年度に至りますまで計測して来ました
ような県内の細別を統計ができるかということにつきましては、この
整理案による
人員をも
つて調査をいたしまする統計の一年分だけではできないかと思うのであります。最近の三箇年とか、ほかの資料とか、あるいは簡単な
調査をつけ加えて何かくふうしてみないか、こう言われれば、だんだんと
事務当局としてもくふうするつもりであります。この
整理案によ
つて、端的に
食糧供給
制度そのものに役立つ
ようなものとか、
市町村別の単作地帯の振興計画に役立つものとか、
市町村別、さらにはこれをこまかくして筆別、
農家別の農業共済
制度に役立つ
米麦その他の農作物統計ができるか、こういう点に至りますと、それはとうていいたしかねるのであります。
もう一つ、この私
どもの機関は、国内、国際情勢の
関係で、また
調査方法の
関係で存立されており、今後は、国際的にもアフリカまでや
つている
ようなことでありますし、当然講和後の日本としましても、財政が
いかようになろうとも、農業統計として必要な
調査方法と
調査機構だと思います。これができまする前の県庁の統計といいますのは先ほど申しました
ように、大体
農家から申告をとりますとか、ひどいものは、部屋の中で、この村の
米麦の収量はどうか、山林の状況はどうか、水産の状況はどうかという
ような、表式
調査と申しますが、そういう
ような方法によりますが、国勢
調査で皆さまよく御経験と思いますが、申告をさして、紙に本人に書かせてと
つて、単にそれを合計する。実際どうであ
つたかどうかを顏を合せて調べたり、ものさしを使
つてはか
つたりする
ような、そういう統計方法でございません。そういう方法ばかりをや
つておりましてまた農業統計としましては、県間のバランス、均衡ということが、非常に今後の
食糧需給調整でも—いわんや従来の
食糧供出
制度では、また単作地帯、土地改良、農業共済
制度という
ような点で、国家財政、国家行政というものにおきましても、いずれもその間—
のバランスがとれておる、また国際的に通用する正確度を持
つた調査が必要である。こういう
ような観点からいたしますと、現在ほかの鉱工業等の
調査はともかくといたしまして、私
どもが基本統計として必要な農林統計におきましては、府県庁の行
つておる
人員と、府県庁の行
つておる
調査方法では、十分でないと考えるのであります。そこでこの
仕事を各県別々に、方法も訓練も
職員のやり方も企画設計も、統一せずして行わせることはできませんが、
整理後におきましては、先ほど申し上げました
ように、引下
つた国が最小限度ギリギリのところで必要な統一国家統計という
ようなものになるわけでございますので、しからば地方では県内統計なんかをどういうふうにやるか、こういう
ようなことにつきましては、私
どもが指導訓練教育の立場に立ちまして何かいたしますか、地方費をも
つて私
どもに援助してくれて、私
どもが
仕事をするか、いつそのこと
人員を
整理しないで、もつと拡充して私
どもでやらしてもらうか、あるいは私
どもの統計の範囲外に県別の、愛知県なら愛知県の
数字を私
ども使
つてもら
つて、その中を細別
調査をしてもらう
ように、地方自治の精神に従い、地方自治体の機構を使
つてや
つていただくか、それらの方法について研究をいたさねばならぬと考えておる次第でございます。