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1951-11-07 第12回国会 衆議院 電気通信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月七日(水曜日)     午後一時五十二分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 庄司 一郎君 理事 高塩 三郎君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       岡西 明貞君   橋本登美三郎君       福永 一臣君    松本 一郎君       椎熊 三郎君    畠山 重勇君       田島 ひで君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     富安 謙次君         電波監理委員会         副委員長    岡咲 恕一君         電波監理長官  長谷 慎一君         電気通信政務次         官       加藤隆太郎君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 亀三君  委員外出席者         検     事         (検務局長)  岡原 昌男君         大蔵事務官         (管財局総務課         長)      小林 英三君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  牧野 誠一君         電気通信事務次         官       靱   勉君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (大臣官房審議         室長)     金光  昭君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君 十月二十七日  委員高橋權六君中村幸八君、中村純一君、淵  上房太郎君及び山口好一君辞任につき、その補  欠として犬養健君、樋貝詮三君、井上信貴男君、  小峯柳多君及び森下孝君が議長の指名委員に  選任された。     ――――――――――――― 十月二十六日  宝塚地区電話交換方式改善等に関する請願(  塩田賀四郎紹介)(第三七七号)  大見局電話交換事務開始等請願福田繁芳  君紹介)(第三七八号)  西脇、大阪間直通電話回線増設等に関する請願  (川西清紹介)(第三七九号)  尼崎市の電話網拡充等請願吉田吉太郎君紹  介)(第四七四号)  ラジオ共同聴取料値下げに関する請願椎熊三  郎君外一名紹介)(第四七五号)  六瀬村に電話架設請願塩田賀四郎紹介)  (第四七六号) 同月三十日  豊岡電報電話局の新築並びに電話交換方式改善  の請願有田喜一紹介)(第五八四号) 十一月二日  鳥取県下の電気通信施設整備拡充に関する請願  (稻田直道紹介)(第六一三号)  神岡、富山間直通電話回線新設等請願(岡村  利右衞門紹介)(第六六二号) の審査を本委員会に付託された。 十月二十七日  鹿児島市の電話施設改善に関する陳情書  (第二六六号) 同月二十九日  電信電話施設整備拡充に関する陳情書  (第三三五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  海底ケーブル線払下げ事件に関する件  テレビジヨン放送に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    關内委員長 これより電気通信委員会を開会いたします。  まず電気通信事業に関する件について調査を進めます。前会の委員会におきまして、青森、函館間、青森大湊間海底ケーブル線払下げ事件について、電気通信省よりその概要について説明を聴取いたしたのでありますが、本日はさらに法務府並びに大蔵省当局より説明を求め、事件検討いたして参りたいと存じます。まず法務検務局長岡原昌男君。
  3. 岡原昌男

    岡原説明員 ただいま委員長からお話のございました青森津軽海峡海底電線切断事件でございますが、本件につきましては、青森地方検察庁より最近書面による報告が二回参つております。これによりますと、事件大要はすでにこの委員会において御検討なさつたと思いますので、検察庁捜査関係だけを申し上げますと、本年四月二十九日、青森水上警察署から、窃盗として事件送致が来ております。並びに同年五月三十日、これは青森海上保安部から、航海の制限等に関するもの、第四条違反、船舶の引揚げまたは解撤手続に関する件違反、並びに窃盗という罪名をもちまして、二回にわたつて送致を送つて来ているのであります。  被疑事実の大要は、要するに本年一月十八日ごろから四月二十日ごろまでの間に、問題になつております海底電線を多量に切断した。そうして盗んだというような被疑事実になつております。この件につきましては青森検察庁におきまして、いろいろ鋭意検討を重ねたようでありますが、相当に事案の内容が複雑しておりまして、必ずしも簡単に解決ができないというふうな見通しのようであつた報告されております。これに基きまして、実は私の方は書面検討をいたしたわけでありますが、若干の法律問題並びに事実問題が、これに含まれているように考えられました。この事実問題と申しますのは、最初被疑者東北産業株式会社村越市郎並びに諸泉正士、この連中がいかなる契約に基いて、この海底電線引揚げ事業に関与するに至つたか、この契約内容と、その後これを実際に引揚げる際に、いかなる手続をもつてこれに着手したか。そうしてこの着手をした後に、実際に引揚げている期間が約三箇月くらい続いておつたのでありますが、その間はたして当該監督官庁あるいはその他関係官庁が、何か注意をしたかどうかというふうな諸点が、まず問題になつて参ります。それからそれについて被疑者らが、ほんとうにこの海底電線自分たち権限に基いて引揚げる、つまり正当にやつているという認識に出たものやら、あるいはよそのものかもしらぬという未必的な犯意があつたかどうか。あるいはさらに決定的にほかの施設であることを承知の上で引揚げたかということが問題になるわけであります。さらにこれを法律的な面から問題にいたしますと、この海底電線の実際に陸揚げした部分の払下げを受けてよそにさらに転売するについて、いかなる当初からの契約があつたか、これによつてはたしてこれが窃盗になるか、横領になるかという問題が出て来るのでございます。さような問題につきまして最近電報等で参りました報告によりますと、青森検察庁におきましては、最後の段階の捜査をいたしておるようでありますが、これ以上の詳しいことにつきましては目下捜査中でございますので、ちよつと御説明いたしかねる次第であります。いずれ本件につきまして決定的な結論が、そう遠くない将来に得られると期待しております。その上はいずれまた機会がありましたならば、御説明申し上げたいと存ずる次第であります。
  4. 關内正一

    關内委員長 ただいまの発言に対し質疑があればこれを許します。庄司君。
  5. 庄司一郎

    庄司委員 本件は前委員会において本員が申し上げた通り、私は行政監察委員会委員でもないし、法務委員会委員でもございませんので、実はあまり深入りをしたくないのであります。だが青森地方に本委員会委員として公務出張いたしましたとき、新聞記者団より声を大にして、かようななまなましい重大問題があるにかかわらず、検察庁もお取調べが遅々として進んでおらない。起訴するがごとく、起訴せざるがごとく、事件やみからやみにほうり込むようである。電通関係委員であるならば、すべからくかような重大問題――金額においても相当被害高である。これらを軽々に放置しておくべきではないということを、地方新聞記者諸君から受けました。問題が問題であるだけに、それから金額相当巨額であるという意味において、地方においては非常に話題になつておる。これらに対して検察庁調査はすこぶる低徊しておるというようなことで、何も本件の事実を知りません本委員が、やぶから棒にさような質問やら、あるいは新聞のニュースを委員としての私の口より何らかとりたいというような職業意識もあつたでありましよう。問い詰められまして、実は本委員も閉口したようなわけであります。従つてこの事件については、公なる国政調査でありましたがゆえに、委員長まで書面をもつて報告申し上げておいたのであります。私は決して検察庁を監督督励して云々という、そういう考えはありません。ただ司法権の確立の上より、公正妥当なる検察が進められ、もつて地方民衆疑惑を解いてくださることが望ましいことであると考えまして、あえて法務庁答弁を煩わしたような次第であります。そういう意味において、かような事件は、むろん慎重な調査も大切でございますけれども、どうか公明なる態度に出られて、あらゆる疑惑を一掃されんことを、司法の尊厳のために私はこいねがつてやまないものであります。まだ払下げ許可認可を与えたという大蔵当局の御報告に接しておりませんので、本件の事実の問題がどうなつておるかということも、実は本委員は知らないのであります。かるがゆえに御報告を要求しておるのであります。ただ電通事業の将来のために、最も重大性を持つておるケーブル線が、故意か悪意か、窃盗横領か、そういう法律問題はわかりませんが、通信上の非常に大きな障害を受けたという本件は、電通大臣におかれても、将来再びかようなあやまちのなからぬがために、善処さるべきであるというような意見を持つておる次第でありまして、法務府においても捜査中であるというのでは、あえてこの上重ねての御答弁を求めませんけれども、どうか公明な態度をもつて臨まれんことを、また司直の権威のためにも、ぜひ真相を把握していただきたい。  続いて、委員長にお願いしておきました通り、戦争中の軍事関係ケーブルを合法的に払下げ許可認可を与えたという大蔵省財務当局の御報告を承れれば、本件を究明する上において、はなはだ幸甚であると思うのであります。
  6. 關内正一

  7. 小林英三

    小林説明員 ただいまの問題につきまして、はなはだ申訳ないことでありましたが、実は私ども中央としてこの問題を知りましたのは、きのう電気通信省の方が来られて初めてこの問題を知つたわけであります。たまたま本日とあすにかけまして会議をやつておるのでございますが、その会議の係官が参りまして、一応私の方としては事情を聞きました。もちろんこの点についてまだ調査も不十分でありますので、今後さらに調査を進めて行きたいと思いますが、今まで聞きました範囲につきまして、担当課長牧野君から御報告を申し上げたいと思います。
  8. 關内正一

  9. 牧野誠一

    牧野説明員 御報告申し上げます。今小林総務課長から申し上げました通り、私の方に昨日電通省から御連絡がありまして、ちようど東北財務局の方から担当官で来ている者があります。きのう、きようにわたつていろいろ事情を聞きまして、聞き得た範囲でただいままでの経過を申し上げたいと思います。  ただいま法務府の方からお話がありました通り、本年の二月に東北産業株式会社社長村越市郎さんという人から、旧軍用財産である海底電線青森と脇野沢の間、それから原別と大森浜の間に沈んでいる、これを引揚げ東北産業に売つてもらえないか、それで引揚げについては事前に調査をする必要があるから、調査許可してもらいたいという話を、二月に言つて来たそうでございます。それで財務局の方の話では、そのときに電通省出先機関連絡を申し上げたと申しておるのですが、――海底電線工事事務所があちらにあるそうでございます。そこに連絡をいたしまして、立会いの上で現実にあるかどうかを調査しようということで、日時をきめて調査するということにいたしたそうであります。そのとき約束の日時電通省の方がお見えにならなかつたので、それでこれから先はどうも大蔵省の手落ちであるとわれわれは思いますが、そのときに電通省の方が立会わないままに調査をさせて、その上で売払いというようなことに行つてしまつたのだそうであります。それで売り払つたものは、数量はちよつとはつきりいたしませんけれども金額にいたしまして七万円、割合わずかなものでないかと思います。ところがそれ以外のものがあつたことがあとになつてわかつて来た。それで七万円というのは一部であつて、それ以外のものも市中にばらまいておつた。それがどこかの駅にあつたところを警察に押えられて、それで問題になり、財務局としては非常に驚いたというようなことだそうでございます。それでわれわれの方としては、まことに残念なのでございますが、本日本件事情についてこの程度事情しかはつきりいたしませんので、今至急調査いたしまして、本委員会に御報告申し上げたいというふうに思つております。
  10. 松井政吉

    松井(政)委員 ちよつと法務府の方にお伺いしたいのですが、権限の問題です。大蔵省の方は、要するに電通省が立ち会わなかつたけれども売り払つたと言われる。そうした場合に、東北産業村越某その他が引揚げたものと、切断したものが、大蔵省の払い下げたものであるかどうかは不明でありましようけれども大蔵省が売り払つたということになりますならば、その権限は一体法務府としてはどういうぐあいにお考えになりますか、これを一点お伺いしたい。
  11. 岡原昌男

    岡原説明員 お尋ぬの点でありますが、実は報告によりますると、実際に海底から引揚げたら、それを特定の場所に積み上げておけ、そうしてその一つ一つについて検査があつたら、その上で正式な払下げをしてやるというふうな契約があつたかに報告が来ておるのでございます。そこではたしてそういう契約があつたかどうか、それで契約内容が、会社財務局との間にとりかわされておつたものかどうか、それらの関係によつて事実も法律関係も大分違つて来るのではないか、そこがわれわれとして問題になつておる点でございます。最初にもちよつと申しましたように、窃盗につきましてはたして故意あるいは過失、未必の犯意というものがあつたかどうかという点になりますと、これは相当被疑者の弁解が立つ可能性があるのです。これはわれわれの机上の判断だけで法律問題でありますが、事実問題としては必ずしもそう簡単には行かないのじやないか。ただいま庄司委員が御指摘のように、青森県の検察庁が少しその処理を遷延しておりましたのは、おそらくそういう点についての操作が困難をきわめたためじやないかとわれわれは想像しております。これはよくわかりませんが、それによつて今の法律的な判断が違つて来るのではないかというふうに、これはほんとう法律論だけでございますが、申し上げる次第でございます。
  12. 松井政吉

    松井(政)委員 お調べの結果、東北産業そのものの輪郭と、それから東北産業はいわゆる会社でありますかどうか知りませんが、そういう引揚作業切断払下げ等を取扱う資格があるものと御断定でございましようか、それをお伺いいたします。
  13. 岡原昌男

    岡原説明員 その点は報告が参つておりませんので、私にはよくわかりませんが、会社組織であります。しかし専務取締役の諸泉というのが、何か村越社長の婿であるというところから見まして、同族会社といいますか、非常に小ぢんまりした会社ではないかというように想像いたされます。
  14. 松井政吉

    松井(政)委員 会社の所在地をお伺いいたします。
  15. 岡原昌男

    岡原説明員 青森県上北郡大三沢町字古間木四百七十一番地の三、東北産業株式会社かようだなつております。
  16. 松井政吉

    松井(政)委員 それから大蔵省にお伺いいたしますが、大蔵省側としては、こういう国家的電通事業に影響のあるようなものに対する払下げは、電通省側が立ち会わないでもやつてよろしいというお考えでやつたのでありましようか、もう一ぺんお伺いいたします。
  17. 牧野誠一

    牧野説明員 電通省が立ち会わないでもやつてよいという考え方は持つておりません。われわれの方としては、電通省十分連絡の上でやるのが当然である。かりにそれが現在ほとんど役に立たないものであるということが大体常識的に言えるもの、すなわち海軍が元入つてつて、それがほとんど放置したままになつておるというような事情のものについても、やはり電通省連絡の上でなければやれないというのがほんとうであろうと思います。それで本年の春から、電通省大蔵省その他関係各省で、旧軍用財産につきまして共同通牒を出しまして、海底ケーブルについては必ず電通省連絡をし、立会いを求めた上でなければできぬという形にはつきりと定めてあります。
  18. 松井政吉

    松井(政)委員 もう一つ聞きますが、大蔵省出先機関東北産業村越さん、諸泉さんとの関係について、おわかりの点がありましたらお聞かせ願います。
  19. 牧野誠一

    牧野説明員 東北産業出先機関青森財務部部長との関係については、われわれ現在わかりません。わかつている程度は、東北産業申分によれば、その海底電線は旧軍用財産海軍のものであつたと言うのであります。それを引揚げたいということを申し出て来たので、最初調査だけを許可するつもりであつた、その税度の接触であると聞いております。なお調査いたします。
  20. 松井政吉

    松井(政)委員 法務府の方にお伺いしますが、大蔵省の方は調査だけを東北産業にまかせたということが、現在までの調査の結果だと言うのであります。調査だけのものであれば、切断して引揚げるということは権限外だと思いますが、その点のお調べがついているかどうか。
  21. 岡原昌男

    岡原説明員 私の方に参りました報告によりますと、最初調査を命じたかどうかという点につきましては、私の方に報告が漏れてございますが、会社が三月二十日に東北海運局海面作業許可申請手続をとりまして、許可を受けているようであります。そして青森電気通信管理所の方とも連絡がとれまして、それから引揚げた後に、四回にわたつて東京方面その他に発送していることは事実のようでございますが、この調査承認を受けてから、正式な検査並びに払下げを受けたかどうかという点は、むしろ消極らしいというような報告であります。
  22. 松井政吉

    松井(政)委員 先ほど大蔵当局の方が、売り払つた額は少額で七万円ということでありますが、第二番目の質問お答えになつたときには、調査のみを東北産業許可したと言われましたが、こういうところにかなり矛盾があります。食い違いがありますので、この点を明らかにしていただきたい。  それから法務府の調べによりますと、四回にわたつて東京方面に売つたことが明らかになつたそうでありますが、そういうことになると七万円やそこらでない。しかも調査のみを許可したものではないように考えられます。この点について大蔵省側の明確なお答えを願いたいと思います。
  23. 牧野誠一

    牧野説明員 ただいま御指摘になりました点は、事実七万円で売り払つております。  それから二番目の本人と青森財務部長との関係のお尋ねでありますが、私、実は何か個人的なつながりでもあるかということをお聞きになつたように解釈いたしまして、それで個人的なつながりというのではなしに、調査を申し込まれて、その関係で二人が知合いになつたのであろうという意味で申し上げました。調査をしたあとで七万円のものを売り払つた事実はございます。これは最初調査だけを許可いたしまして、さらに引揚げ許可し、それから売り払つた、このように七万円の件については連絡を受けております。
  24. 庄司一郎

    庄司委員 ただいま伺いますと、海底軍用ケーブル調査あるいは引揚げ等許可された、最後払下げに関してオーケーを与えた、かような御報告のようでございますが、いやしくも国有財産を民間に払下げる場合は、従来大蔵当局は、これを公に公告をして、希望者はそれぞれ公入札をする、大蔵省公入札をさせるという慣習でもあり、またさような措置をとることが、従来の払下げ措置であるように私、は考えております。そこでお伺いしたいのは、七万円で売払いを許可された旧海軍軍用ケーブルの量、これはトン計算でございますが、どの程度のものを七万円で払下げをされたものであるか。そういう関係はわかりませんが、これは指名といいましようか、特定東北産業なら東北産業の願出によつて、七万円が妥当であるというお考えで七万円に払下げされたものと思いまするが、その七万円に払い下げられた当時の引揚ケーブル線の量は、まだ調査済みになつておらないのでしようか。それからこれは縁故によつて調査を許し、払下げをしたものであるか。御報告によると公入札はされておらないようでありますので、この間少少明朗を欠くように本質は考えられてなりません。もし御承知であるならばお答えを願いたい。御承知でないならば、さらに調査をされて、適当な機会に御報告を願いたいと思うのであります。
  25. 小林英三

    小林説明員 先ほどの松井委員の方の御質問の点でございますが、御質問の七万円の問題でございます。私の方といたしましては、先ほど御指摘のありましたように、一般競争入札でやるということにしておるのでございます。海底に沈んでおつたり、あるいは地下に埋没しておつたりするようなものがあるわけでありますが、御承知通り海底から引継いだ、あるいは陸軍から引継いだような財産については、財産台帳に載つておるようなものもありますし、また所在の不明なものもあるわけであります。こういう場合におきましては、私の方としては必ず調査をするということになるわけですが、だれに調査させるかという問題が出て来るわけであります。この問題につきましては、その人が資格が十分あるというならば、一応先願的に調査許可する。この調査許可するというのは、同時に私どもとしましては旧軍用財産は、普通財産として売払い処分をするということになつております。いわゆろ随意契約、その調査をした者に売り払うという形になつております。この場合におきましても、調査してそのものがどれだけあるか、量なり質なりをはつきり見る、すなわちわれわれは看貫と言つておりますが、実際にそれを計算して、その者に売るという形をとつております。この場合の価格の算定につきましては、やはり私の方から示されたいろいろな基準をもつて、これを売るわけであります。ただいまこれが七万円ということになつておりますが、どの程度のものか、私の方でもさらに詳細に調査いたしたいと思いますが、七万円で売つたのは、おそらく引揚げたものの一部を財務部の方で看貫しまして、その分を売つた金額が七万円だつた、こういうふうに私どもの方も聞いておるわけであります。そのほかどの程度ケーブルを揚げて、それがどうなつておるか、その七万円がどの程度の量になつておるか、明確な調査がございませんので、別途調査して御報告申し上げたいと思います。  次に庄司委員の御質問に対しましてお答え申し上げます。大蔵省といたしましては、これは通常の場合でございますれば一般競争入札、場合によりますれば指名競争入札ということで、厳格に実施しておるわけであります。しかしながら今申しましたように、これがはたして埋没してあるかどうかわからない、たとえば海に沈んでおりまする船というようなものがありまするが、これを私の方で一々国の金をかけて調査するには、莫大な費用がかかるわけであります。こうした場合におきましては、そこに確かにありそうだということがありますと、それの引揚げという問題になるわけです。この場合に海の中にあるものを幾らかというて、売払いはできないわけであります。こういう場合においては、まずどこら辺にあるか実測をする、あるいはどの程度のことならこれが引揚げられるだろうかという、いわゆる調査許可することになるわけであります。そして調査した結果よろしければ、その引揚げ許可することになるわけであります。青森の場合におきましては、ただいま申し上げたような事例に該当するので、競争入札をやらずに、随意契約という形でやつたわけでありまして、これは会計法規に認められておりますし、また現に私の方としては実行している方法でございます。
  26. 庄司一郎

    庄司委員 そうすると、大蔵省東北産業最初調査の件を許可した。その調査の結果、海底より引揚げたものを看貫計算して、七万円で払い下げたものである。しかして払い下げられたそのものは、旧海軍の軍用関係ケーブルであつて、日本政府の電通省が現に使用しておるケーブルあるいは予備ケーブルというようなものでなく、旧海軍の所有でありしものだけを、その範囲内において払下げ許可されたというようなことに了承してよろしゆうございますか。
  27. 小林英三

    小林説明員 結果的に見ますと、電気通信省の方で調査した結果、これは旧海軍のものでなかつたということが判明しておるようであります。私の方としましては、今引揚げたものは旧海軍のものであるということは申し上げられないだろうと思います。私の方のこれは想像でございますが、財務部といたしまして、また大蔵省一般といたしまして、そうした旧海軍以外のものを引揚げるというようなことは、絶対にあるべきことじやないと考えておる次第でありまして、財務部といたしましてもおそらくこれは間違いで、旧軍用財産のものだと思つてつたことじやなかつたかと想像するわけであります。
  28. 松井政吉

    松井(政)委員 私はさつぱり見当がつかないのです。法務府の方は調査中だということで、こまかい御報告を受けるわけに行かないし、大蔵当局の方はきわめて最近に電通省の方から話があつたので、調査にとりかかつたということでありますから、詳しい報告を受けないので調査のしようがないのでありますが、この問題は旧軍用電線の払下げつた、ところがこれは電通省の電線が切断されたというような問題にも発展して行きますので、私はこの際通電と大蔵と法務府の調査なさつている事柄との三つを合した、この問題に関するできるだけ詳細なる報告書を要求いたしたいと考えます。これはぜひ三つの官庁御相談の上、調査書類をわれわれに配付願うようにおとりはからいを願います。
  29. 關内正一

    關内委員長 了承いたしました。
  30. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ただいま松井さんから申されましたけれども大蔵当局お話を聞いておりますと、非常に御説明があいまいなのです。海底ケーブル調査だけを許したというような御説明かと思うと、結局それを売り払つているというような結果になつているのですけれども、そういう国家のものを払い下げするときなんなのことは、公文書としてはつきり残つているはずだと思うのです。それはきのう電通省から通知を受けたからわからないとおつしやるのか、それとも公文書に残つていないのか、残つているのか。残つているとすれば、今松井さんが言われましたように、その間の詳しい資料をお出しになつていただきたいということが一つ、それから一月から四月までの間になされたことで、海軍用のケーブル以外の電通関係ケーブルが使われていた。この間電通省大蔵当局に対して、きのうまで何ともおつしやらなかつたのはどういう理由か。その相当長い期間どうして大蔵当局に対してその交渉をなさらなかつたのか。おそらく庄司委員がこの問題を提出されたから、大蔵当局にその間のことを申されたと思いますけれども、その間の電通当局のお考えちよつとお伺いしたいと思います。
  31. 小林英三

    小林説明員 お答え申し上げます。第一の問題でございますが、先ほど他の委員の方の御質問の際にお答え申し上げましたが、調査ということは結局売払いの前提、すなわち引揚げてそれを売り払うということの前提で、調査許可することになつておりますので、調査だけを許可したということではないのであります。  第二の問題は、なぜ本省にそういう書類がないのか、公文書として残つておらないか、こういう御質問でございますが、御承知通り私の方といたしましては、本省、財務局財務部、さらに末端に行きますと出張所という機構を持つて、管財行政をやつておるわけでありまして、おのおのその所管の権限を委譲しており、財務部でやる権限については、売払い処分のことでは大体三百万円程度のものは、財務部長限りででき得るような仕組みになつておりましてこの問題については青森財務部長の所管の権限になつておりますので、それで処理したというふうに考えております。ただ庄司委員の方からも御指摘になりましたように、いろいろ新聞の問題になつたにもかかわらず、本省の方に何ら連絡がなかつたということについては、われわれの方の非常な手落ちだと考えておりますので、厳重に今後とも注意して行きたいと思います。
  32. 金光昭

    ○金光説明員 ただいまの点につきまして、電気通信省としてこれまでの大蔵省関係当局との間の折衝の模様を御説明申し上げます。ただいま大蔵省管財局総務課長からお話のありましたように、本件につきましては大蔵省の方でも、直接本省の方でその事務を担当しておいでにならないで、財務部の方で御処理になつております。この事件が起りまして、私の方でも関係官を三回ばかり青森県の現地の方に出しまして、検察庁財務部あるいは水上署、海上保安部等と連絡をとつてつたのでありまして、直接大蔵本省の方に交渉いたしましても、その間の事情を御存じないと思いましたので 今日まで現地の財務部当局を相手にして、いろいろと折衝を続けて来た次第であります。
  33. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 大蔵省小林課長に、調査と売払いという点についてお聞きしておきますが、調査するのは売払いの前提であるとあなたは断言しておるが、そういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  34. 小林英三

    小林説明員 すべてが今申し上げたように、調査即売払いだというようにはなつておらないのでありますが、私どもといたしましては、ただいま申し上げた青森県の方はそういうことでやつたんじやないか、こう考えるわけであります。
  35. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 おそらくあなたが断定する範囲内ではないと思いますので、調査を命ずるということと売払いということは、まつたく違うことだと私は思つております。従つて東北産業調査を命ずるときに、売払いをする契約になつていたかいなやということの資料を、一緒に御提出になつていただきたいということを御要求申し上げます。
  36. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 念を押しておきますが、たしかこの間庄司委員の御説明では、三千万円くらいのものだというように私記憶しておりますが、先ほどはたつた三百万円ということでしたが、この間の開きが大きいように思います。この点について法務関係の方の御説明をもう少しいただけませんか。もしいただけないのでしたら、その詳しい資料を次会にでも提出していただきたい。
  37. 關内正一

    關内委員長 他に御質疑はございませんか。なければ次に移ります。     ―――――――――――――
  38. 關内正一

    關内委員長 次に、電波管理に関する件について調査を進めます。  まずテレビジヨン放送について説明を求めます。
  39. 富安謙次

    ○富安政府委員 電波関係のことにつきまして、本日この席において御説明申し上げたい点は、先刻資料をお手元にお配りしてありますが、それについて御質問がありますればお答えをいたしたい、かように存じております。  大体テレビジヨンの問題については、前回もこの席においていろいろ御意見を承つておりますし、私どもといたしましては事柄の重大性にかんがみまして、各方面の権威者の最もよろしいという方法についての御意見を十分に伺つた上で、大計を誤りないようにいたしたい、そういう心構えをもつて進んで参つておるわけであります。国会の御意見は申すまでもなく、各方面のあらゆる分野の権威ある方々の御意見を伺い、それをば適当な方法をもつて、できる限り立法府とも御連絡をとりながら進んで参りたいというのが、私どもの大体の心構えでございます。お手元にお配りいたしましたものは、標準方式を決定する途中において、ただいまはまずこういうようなものが準備されているというものをごらんいただきまして、これについていろいろ御意見を伺つたり、また御質疑をいただいたりすることができれば仕合せだ、かように存じている次第であります。とくとごらんを願いたいと存じます。
  40. 關内正一

    關内委員長 ただいまの富安政府委員の御発言に対して御質疑があれば、これを許します。
  41. 庄司一郎

    庄司委員 きわめて簡単な御説明並びにやや詳細な参考資料を二冊だけちようだいしたのでございますが、三、四日前、最も権威ある毎日新聞に、テレビジヨンに関する社説が盛られておりまして、それを二、三度通読いたしました。前国会であつたと思いますが、テレビジヨにン関する決議案を国会において出して、それぞれ政府に対しても要望されたのであります。多分椎熊さんが御説明に立たれたと記憶しておるのでございますが、毎日新聞の論説を読むと、ただいまわが国としてはできるだけすみやかにテレビジヨンを開始したいということを冒頭に述べられているが、その中ごろにおいて、NHKの出願もあるようだ、あるいは正力松太郎氏の出願もあるようであるがと書いてあり、そのあとにいろいろ出願者に対する批判的な所見が述べられておるのであります。従つて委員会としては、公式であろうが非公式であろうが、NHKにおいても、あるいは正力氏においても、テレビジヨンの創設の許可認可に関する出願をなされているという以上は、重大なる関心をもつて、さような出願者の御意図と御計画を聴取する機会を持ちたいものである、かように考えておりまするが、委員長におかれましては、適当な時期に理事会等にお諮りの上、御善処あらんことを希望してやまないものであります。
  42. 關内正一

    關内委員長 他に御質疑はございませんか。
  43. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 技術的の面でわからないのですが、ここに「カラー・テレビが開始せられても白黒受像機に何等変更を加えることなく、」とあるのですが、白黒がカラーにかわつて行くのに、何ら費用をかけないでカラーが受像できる、こういう意味でございましようか。
  44. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいま電波監理委員長から御報告申し上げましたテレビジヨンの標準方式につきましては、内容がきわめて技術的な点にわたるものでございますけれども、大体どういう考え方で、またどういう手順に従つて、この一応の案ができ上つたかということを御説明申し上げたい、こういう気持から、この案と一緒に、標準方式に関する資料というものをお手元に差上げたのでございます。ただいま長谷川委員から御質問のありました点なども、実を申しますとこの資料はきわめて短時日の間に、概要をつかんでいただくのに御参考になるかと存じましてしたためたもので、ある点は表現の仕方もたいへんまずいところもございます。あるいはまた純技術的にいつても、表現があまりにも一般的に書かれておりまして、やや厳密さを欠くような点もないとは言えないのでありますが、あまりに専門的な事柄でございますので、一応時間をいただいて、ざつと御説明申し上げたいと存じますが、いかがでございましようか。
  45. 關内正一

    關内委員長 どうぞ。
  46. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 それではこのテレビジヨン方式に関する資料というものに基いて、大体の御説明を申し上げたいと思います。テレビジヨンにつきましては、電波監理委員会といたしましては、すでに一年数箇月も前から、近くテレビジヨンというものが日本においても問題になる、また御承知のようにNHKにおきまして、戦前も行つておりましたし、戦争後もテレビジヨンの実験を行つております。だんだん一般の国民の方々が、テレビジヨンに関する心を高めてをられまして、現にいわゆるアマチユアの人々も東京近辺におきましては、百名以上の人々が研究心に燃えて、みずから手製の受像機をつくつて、NHKのテレビジヨンを楽しんでおるというような状況にもなつて来ております。テレビジヨンには、世界各国の様子を調べますと、お手元に差上げました資料の最後の方に表としてあげてございますように、英国、アメリカ、フランスそれぞれ違つた方式をとつております。また国際電気通信連合の中の無線通信諮問委員会、これは私どもは略しましてCCIRと言いますが、このCCIRが、国際的にいろいろテレビジヨンの現在の技術と将来の方向等を考えまして、推奨しておる方式もございます。またこういうものが現実に世界の各国でどんなぐあいに活用されておるかというのが、最後の方に表にまとめてございますが、そのうち大部分の国はただいま実験中でございます。本格的にテレビジヨンの放送を実施しておりますのは、御案内のようにアメリカ、イギリス、フランス、この三つだけが本格的に業務を行つておりまして、そのほかにもこの表の中に一、二の国が放送中と書いてございますが、これは単に研究所の中のいわゆる技術的な実験という段階から、実用的な試験の段階に移つておるという程度でございまして、本格的な業務を行つておる意味ではございません。これらの外国で行われておる実際の状況並びに標準方式は、大別しまして四つあるわけでございますが、これらの関係等を十分調査いたしまして――この一番最初のところに経過と書いてございますように、単にわれわれ電波監理委員会の職員ばかりでなしに、広く学識経験者の御意見もいただかなければならぬ。従いまして現実的には、昨年の十月以来いろいろな形で、電気通信省の研究所の方々、あるいはNHKのテレビジヨンを長く研究された方々、各学界、学校方面の方、製造工業界の方、あるいはその他の学識経験者の方々の御意見もいただいて、十分検討を重ねまして、また電波監理委員会としましては、純然たる技術的なことばかりでなしに、いろいろ他の面から考えなければならぬ点もございますので、そういう点からもにらみ合せをしていただいて到達しましたのが、別刷りでお手元へ差上げました標準方式なのでございます。  この標準方式を決定するのは、どんな考え方ででき上つておるかということが、この資料の三枚目のところに書いてございます。それは一口に申しますと、ただいま申し上げましたように、諸外国の事情、日本の経済事情なり、あるいは現在の技術水準というようなこと、それから政治的、経済的な国際的関係というようなことも、当然考えなければならないのでございます。なお標準方式というものについて平たく申し上げますと、たとえば電力の何ボルトで、電源のサイクルを何サイクルにするかというようなことにやや似通つております。御案内のように、日本では大体電圧は一般家庭では百ボルト、電力は二百ボルト、サイクルは、御承知のように関東では五十サイクル、関西では六十サイクルというぐあいにかわつておりますが、テレビジヨンは、日本における電力と同じように、関西と関東でサイクルが違つておるというようなことでは、全国的にテレビジヨンのサービスを行うことができなくなります。送る方も受ける方も統一するようにしなければなりませんので、たとい実験段階におきましても、一応標準方式というものをきめて行かなければならない事情にございます。  大体この標準方式を今申し上げたような観点から、いろいろ調査を進めて参つたのでございますが、なおその際に考えなければならないのは、最近アメリカで非常に発達しております天然色テレビジヨンとの関係でございます。この資料にも簡単に述べてございますように、たといとりあえず白黒の標準方式をきめるといたしましても、将来天然色のテレビジヨンが実施されます場合に、それに移るのにあまりにも不経済になつたり、今まで持つておる受像機が全然役に立たなくなるということではいけない。できるだけスムースに移りかわりができるということを考えに入れて行きたい、こういう意味でございまして、ただいま長谷川委員から御質問のありましたのは、そういう意味で、何ら変更を加えることなくというのは、少し行き過ぎた表現になつておりますが、全然そのままでという意味でもございません。このコンパテイブルであるという意味はどういう意味かと申しますと、天然色のテレビジヨンを出しておつても、受ける側は、天然色で見たいならば天然色で受けるような受像機に改造するか、新しいものを買えば天然色で見れる。しかし従来白黒で受けておつたものは、天然色には映らないが、そのまま白黒で受けれる、こういう意味でございましてカラー・テレビが実施されても、従来使つてつた白黒の受像機で、何ら手を加えないで、但し白黒として受けられる、こういう意味でございますから、御了承願います。そういう考え方から、とりあえずは白黒の標準方式をきめるのが――またかねてお話もありましたように、国会におきましても実施促進に関する決議もございまして、とりあえずは白黒の標準方式をきめるのが妥当であろう、こういう考え方から取上げたのでございます。なお御案内と存じますが、アメリカにおきましても、いろいろな国際情勢から、大体天然色のテレビジヨンの見通しはついたけれども、当分はその製造を禁止するということが国防長官の名前で発表されまして、現在はその製造を中止しておる段階に来ております。そういう点も考えまして、とりあえず白黒でやれるかつこうで標準方式をきめるのがまず妥当ではないか、こういうことから白黒だけの標準方式を取上げた次第でございます。  それならば、この白黒の標準方式の中で、どの方式を日本では採用するかということになるわけでございます。先ほど申し上げました各国で実施しておる標準方式の長短をいろいろ調査してみますと、現在イギリスとフランスで採用しております方式は、きわめて特殊な方式でありまして、現在国際的にこの方式がだんだん普及して行くとは思われないのであります。なお先ほど申し上げました国際電気通信連合の委員会で提案しておりますのも、イギリスとフランスというものでなしに、別な方式を提案いたしておるのでございます。ところがこの国際電気通信連合の委員会に提案されましてから後に、御案内のようにアメリカにおきまして非常に急速な発展を見まして、昨今は一千四百万台を越ゆる受像機の普及を見ているわけでございます。それとともにアメリカの方式が、南米その他にそのままの形で普及を見つつございますので、本年七月にヨーロツパで開かれました国際電気通信連合の委員会におきましては、前に推奨をしたところの方式については委員会ともて正式に推奨することをやめまして、ただ現在世界各国で行われているのはこういうものが行われておるのだ、それのどれを採用するかは、それぞれの主管庁が諸般の事情を考慮して、適当に採用すべきものだろうと思うということに、委員会の意思の表明もかわつて来ておるのでございます。そういう点も考えなくてはいかぬのでございますが、大体われわれとして対象になりますのは、要約して申し上げると、アメリカの方式と、ただいま御紹介申し上げました国際電気通信連合が推奨し、特にヨーロツパの大陸方面で目下試験中の方式、この二つの方式の間の比較になるように存ずるのでございます。この二つの方式の長短を私どもとしていろいろ検討いたしましたもののうちで、重要な点だけを資料の中に一、二書いてございますので、それに基きまして御説明申し上げたいと思います。  まず第一番目には、一秒間にテレビジヨンの絵を何枚送るかということでございます。御案内のように、映画は一秒間に二十四牧というぐあいに送るわけでございますが、この一秒間に送る画の数は、画面のちらつきに関係して参ります。このちらつきというのは、画面が明るくなるほど明るさと関係いたしまして、画面が暗いと多少画の数が多くなくともちらつきを感じませんが、だんだんテレビジヨンの技術が進みまして、昔は暗い部屋でしか見えなかつたテレビジヨンが、最近は明るい部屋でも見られるように、画が非常に明るくなつたのであります。明るくなりますと、一秒間の画の数が少いと非常にちらつきを感じます。従つてその点から言いますと、先ほど申し上げましたアメリカともう一つの方の方式との優劣を考えますと、一秒間に二十五枚送つておるものよりも三十枚送つている方が、見る人はちらつきを感じがなくなる。端的に申し上げますと、アメリカ式の方が片方よりは目に対するちらつきの度が少い。従つて三十枚という方をとつた方が妥当だというふうに考えたのでございます。なおこの一秒間に送る画の数は、従来電力のサイクルと関連がついておりました。アメリカのように電力のサイクルが六十サイクルのところでは、ちようどその半分の三十という画を送る方式を使い、ヨーロツパのように電力のサイクルが五十サイクルのところでは、一秒間にその半分の二十五枚画を送る方式をいずれもとつてつたのでございます。ところが御案内のように、また先ほどちよつと触れましたように、日本では関西と関東で電力のサイクルが違います。従つて日本の場合には電力のサイクルと関係のない、しかも目のちらつき等にもつとよい方の画の数をきめたい、こういう問題になつて参りまして、われわれといたしましては、最近におきまして電力の周波数とサイクルと関係がなく、独立してやれる見通しも十分ついておりますので、これも世界各国の技術の動向ということもにらみ合せまして、電力のサイクルには関係なしに、画の数は三十ということにするのがよかろうという結論を出しておるのでございます。それならばこの三十というのは、実際なまのテレビジヨンの放送でなしに、どこでも映画のフイルムからテレビジヨンの放送を行つておるものが非常に行われておりますが、その映画のフイルムからテレビジヨン放送を行う場合の関係はどうかということを調べてみますと、その場合は、映画の一秒間二十四駒という数字からむしろ離れておる。三十の方が技術的に非常にやりよい。二十五枚よりは三十の方がよろしいという結論も得ておりますので、そういう面を考えまして、毎秒に送る画の数は三十という方を結論的に採用しておるのでございます。  次に走査線でありますが、この走査線と申しますのは、テレビジヨンの画を送る場合に、これをこまかい細い線に分割して送る、そのこまかくわける線の数でございます。一口に申します。と、この線の数が多いほど画面が緻密に現われるわけです。許されるならばこれはこまかい方がいいので、結局走査線数は多いほど、テレビジヨンの画が精密に出るわけです。ところがこれをどんなにこまかくいたしましても、テレビジヨンを受ける場合の――これをわれわれは受像管と申しておりますが、画面に出て来る画型が、たとえば太く出て来ておるのでは、送る方がどんなに精密に送りましても、それに追従して精密なきれいな画が浮かびません。これはもつぱら真空管あるいはわれわれはブラウン管と申しておりますが、画の映る大きな一種の真空管でございますが、これの性能のいかんにかかるわけです。たとえば英国では四百五本という方式を使つておりますが、見た目ではアメリカの五百二十五本とほとんどかわらないということもいわれております。これは送る方の技術と受ける方の技術を、総合的に考えてみなければならないのでございます。大体私どもといたしましては、一般の家庭で見る場合のことを想像いたしますと、結局五百二十五本というので十分満足が行くであろうということで、五百二十五本の方をとつてみたわけでございます。  最後に、この資料には周波数帯幅という言葉で書いてございますが、これはテレビジヨンの放送をするためにどのくらいの範囲の電波を専有してしまろか、こういうやや技術的な問題になりますけれども、われわれはこれを周波数帯幅と申しております。これは精密なものを送るほどよけいこの幅がいります。たとえば電信を送るのでは非常に狭い幅で送れますが、電話になるとこれが相当広くなるつ電話のうちでも放送のように相当音質のよいものを送るということになりますと、相当幅が出て来る。ところがテレビジヨンの場合は御承知のように一秒間に三十枚の画で、しかも微細な点まで画面に現われるように送るためには、幅が非常に広くなるのであります。私ども電気通信関係いたします者の一般的な常識として考えておりますのは、同じものを大体実用的な範囲で送れるならば、できるだけこの幅は少くしたい、そうすればたくさんいろいろなものをほかに送れますから、できるだけ一つのことに専有される周波数帯幅は狭くしたいというのが、われわれ関係者の志すところでございますが、そういう点からいろいろ考えまして、また先ほど御説明申し上げました走査線数は、一応五百二十五本というぐあいにとつてみたわけであります。これと一秒間に送る画の数の三十枚、こういうものの関係をいろいろ調べますと、一番適当な周波数帯の幅は六メガサイクルで十分だということになりますので、大体走査線が五百二十五本、画の数が三十枚、周波数帯幅六メガサイクルは、ちようどアメリカが現在採用しているものと同じ規格になるわけでございます。  なお最後ちよつとつけ加えたいと存じますのは、カラー・テレビジヨン、いわゆる天然色になつた場合にどうであるかということでございますが、現在最も天然色のテレビジヨンの研究が進んで、一応実用の段階まで達しているのはアメリカだけでございます。そのほかの国では、天然色テレビジヨンが本格的に広範囲に研究されているところはございません。そのアメリカにおきましては、すでに六メガサイクルの周波数帯の幅で、満足すべき段階に達しております。しかもなお最近の情報によりますと、続々いろいろと新しい考案なり方式などが生れまして、まだまだ天然色のテレビジヨンの技術は進歩して行くように思われますが、現実にアメリカにおいて六メガサイクルでこの方の要求が十分満たされているのでありますから、将来日本におきましてテレビジヨンが天然色に移行する場合にも、これだけの周波数帯幅をとつて行くならば十分であろうというふうに考えられまして、先ほど別途差上げました標準方式の案というものができ上つたわけでございます。なおこの標準方式の案の中には、そのほかのこまかい点もいろいろ書いてございますが、これはただいま概略御説明申し上げました一秒間に送る画の数、それから走査線の数、周波数帯幅、これが骨子でございまして、あとはそれがうまく画になり音が伝わるために付属していろいろきめてあることでございますので、説明は一応省略させていただきたいと思います。なお御質問によりまして、追加して御説明申し上げたいと思います。
  47. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 長官にお聞きいたしますが、ただいま御説明いただいたのですが、これらに対する御研究の結果が、今の御説明でございましようか。要するに電波庁あるいはNHKの機関を使い、あるいはその試験所を使つて、その結果これが日本に一番いいのではないかという御説明でしようか。
  48. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、この案に到達するまでの間には、各方面の権威の方々あるいは関係された方々のいろいろ御意見をいただいて、その御意見の中には、この案とまつたく同じ御意見の方もありますし、違つた御意見の方もございます。しかも現在日本におきましてテレビジヨンを、たとい研究所等におきましても行つているのはNHKであります。なお製造会社の方々がそれぞれ研究をなさつておられますけれども、それぞれ違つた立場でやつておられるのと、本格的に事業としてやる段階までの試験は行われておりませんので、今後本格的に日本においてテレビジヨンが行われる場合の方式を考えるときには、今までのデータだけでは不十分な点がございます。従つて先ほども申し上げましたように、諸外国における実情等もこれにつけ加えまして到達したのが、先ほど申し上げました案でございます。
  49. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 まことにごもつともな御説明を拝聴したのでございますけれども、承りますと、この試験研究の大部分が、ほとんどNHKの試験所で行われておるというお話でございまして、この試験が日本においてまだ完成しておらないという点も多々あると思います。従つてNHKにおかれましても余剰品があるとするならば、まずこの研究にあるだけのものを全部出していただいて、さらに足らないところは政府から補助を受けて、研究を重ねなければならない段階ではないかと観察するのであります。今日本の国民経済を振り返つて考えてみますのに、私たちはこの促進をやつてくれということを国会で決議いたしましたけれども、まだアメリカその他の各国においても、長谷長官がおつしやる通りカラー・テレビジヨンは完成しておらない。現にアメリカにおいても完成するのは来年であろうということを唱えておるのであります。しからばその完成をしないというのはどういうところかといいますと、決して映像そのものが不完成ではないのであつて、もつと廉価で、より以上よくしたものを国民に売り出して行くところまでは完成しておらないのだという御説明等もありますので、私の考えとしましては、促進決議案はしたものの、もう一段わが国においても研究をしなければならない。その研究に今申し上げたような方法をとつて、政府もこれにできるだけの補助を出し、NHKの余剰品があるならば全部これに振り向けて、この研究を完成していただきたいことをお願いするのであります。さらに白黒と天然色の関連にいたしましても、白黒と天然色の映像を見ますと、おそらく白黒をだれも振り返つて見る者もないと思うような現実でございます。従つて私の考えにしますならば、まず日本にこれを行わんとするならば、白黒でなく直接カラーに行くべきである。なぜならば、一つの白黒の機械をカラーにかえるという場合には、やはりこれは金がかかるであろう。従つて国民経済というものを第一に考えてなすべきである以上は、国民の負担を軽くしなければならない、こういう点を考えても、私は今一年間とは申しません。たとえば一年間でも、あちらの完成するのを待つまでもなく、まずわが国みずからが、これに大いに研究を傾けていただかなければならない。しかして後に日本にこれを実現してもらいたい。おそらく国民だれ一人としてその一日も早き完成を願つておらない者はないはずです。しかし今の国民経済というものを考えますときに、ぜひそうしなければならないのではないかということを痛感するので、一言申し上げるわけであります。願わくばぜひともあらゆる面において一体となつてこの研究に当ることが、今与えられた使命ではないか、こういうふうに考えて私は今申し上げたわけであります。いろいろ長官からの御説明もありまして、このように一日も早く実現してもらうことはけつこうですが、ぜひともその研究を第一番目にやつていただきたいということを重ねて申し上げておきます。
  50. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいま長谷川委員からきわめて適切な御意見をいただいたのでありますが、なお先ほど御説明に際しまして私一つ取落しておつたことがございますので、この際につけ加えさせていただきたいと存じます。  標準方式は先ほど御説明申し上げましたように、この案に到達するまでに各方面の方々の御意見もいただきまして、一つの案につくり上げましたが、これはまだ電波監理委員会として最終的に御決議をいただいておりませんけれども、できるだけ早い機会に聴聞会にかけまして、あらためて各関係の方方の御意見を十分に聞いて、最後的に決定することになるという段取りにいたされておりますので、その点も御了承願いたいと存じます。  なお標準方式がきまつたから、即ちテレビは本格的に実施されるのだということは、これも別問題でございまして、先ほどもちよつと触れましたことく、たとい実験なり研究をするといたしましても、標準方式というものはきめてやらなければ、やはり電力のサイクルとか、あるいは鉄道の狭軌、広軌というようなものと同じように、受ける方と送る方との関係からきめなければならぬ問題でございますので、われわれといたしましてはテレビジヨンがどんな形で、いつから実施されるかということは別問題としても、できるだけ早くきめなければならぬ、こういう考えで進めて来ております。その点つけ加えておきます。
  51. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は同僚長谷川君の御見解とは、別な観念を持つております。こういう科学的な発明、発見には、限度というものはあり得ないと思います。さらにさらに一段というような飛した発明、発見というものは、日に日に新たに発見せられて行くわけですから、アメリカではすでにカラーの放送をやつておる、日本も白黒をやらずにカラーでやつた方がよいじやないかという見解は、私はとりたくない。今電波監理委員会態度として、日本に白黒でもやるとすればどういう標準でやるべきか、それは日本の技術としては実施できるかどうかということであつて、そのために費用がどのくらいかかるかなどということは、第二の問題です。それとは別個に、文化日本を建設せんとするわれわれの意欲は、あくまでもこういう発明、発見を追究して、日本の今日における技術、日本の今日におけるあなた方の見解では、この程度ならできるという信念的な一つの標準を考えていただきたい。幸いにしてこれを自分の手でやろうという出願が、四つも五つも出ておる。ただ単に権利をとつておくというような無責任なものは、もとよりあなた方の見識の上から、これを許すことはできないでしようけれども、出願の内容をよく検討して、これはこれだけの技術をこういう方法で持つて来るのだ、こういう計画でやるんだ、これを産業としてやる以上は、赤字を初めから予定してやろうというものはないでしよう。結局は利益を目的としておるかもしれぬ。そういうものでなければみだりに手を出せない事業です。彼らは自信を持ち、しかもあなた方はこれを点検して、この準備でこの技術をもつてすれば実施できるというものを、カラーであろうが白黒であろうが、一刻も早く実施いたすべきである。そして年がら年中不断の試験を積んで、さらに一段の進歩発展をいたして行くというところに、科学の発展があり得るので、日本の科学の段階がそこまで行つていないから、アメリカの科学の水準が高くなるのを待つて、その高くなつたときにそれを借りてやろうというのでは、すでにそれは科学的な考えではない。そういう点から私は、幸いにしてこれをやろうとするものが日本にあるならば、NHKであろうが、ある種の新聞の団体であろうが、何でもよいと思う。内容を点検して、適切なものには一刻も早く許す。われわれ院議をもつて、日本にテレビジヨン放送の実施を促進するということを決議しておる。しかも満場一致をもつて、国権の最高機関たる国会がこの意思を決定したのである。これを今日われわれがひつくり返す理由は毫末もないと思う。その点についての監理委員会としての御見解を承りたい。
  52. 富安謙次

    ○富安政府委員 お答え申し上げます。ただいま長谷川委員からの御所見はとくと拝聴いたしました。また椎熊委員からのお言葉によれば、違つておるのだというお断りがあつたようでありますが、他の観点に立たれた御意見も十分拝聴いたしました。私どもといたしましては、どちらの御意見も十分に尊重いたさなければならね。というのは、どちらもそれぞれりつぱな識見に立つた一つの結論だと考えておるのであります。このような高い文化を早く日本に吸収しなければならね、これはまことにその通りであり、それに基いた国会の御決議は、十分に尊重しなければならねと私は思うのであります。同時にまたこれを実際問題として考えましたときには、日本の政治、経済、文化、あらゆる方面に及ぼす大きな影響をも考えまして、実施の時期、方法及び具体的な運び方について、これまた慎重に考えなければならぬと思うのであります。その間に立つてどの辺にするのが一番適当であるかということを、皆様自身の考えだけでなく、広く日本の各方面の意見を代表するものとして伺い得るような方々から、日本としての行くべき道、テレビに関してとるべき道を十分教えていただき、それを私どもは十分拝聴して、日本の有識階級の結論を得るようにいたしまして、それに基きまして私どもの職責においてその二つの考え方、二つの歩き方のどこを具体的にとるべきかを定めて、万全を期したいというのが、今の私ども考え方でございます。何とぞさように御了承願いたいと思います。
  53. 椎熊三郎

    椎熊委員 私はただいまの電波監理委員長の御所見は、実ははなはだ遺憾である。電波監理委員会はわが国の電波に関する最高峯の機関である。そこで私が承りたいのは、特にその費用とか何とかいう問題が第二だというのは、その意味なんで、科学者たるあなた方の見識の上から、学問上の知識の上から、今日本におけるテレビジヨンをいかなる形式、いかなる標準で実施するか。それがはたしてできるかできないか、この程度ならできるんだ、この程度ならできないのだ。そういうことは他人様の意見を聞くまでもなく――聞いたらさらにいいかもしれぬが、あなた方以上の専門的知識を持つておる者は、日本にはそうないと私は信ずる。そこで最高権威たる電波監理委員会において、日本の現状にはこの標準で、このテレビジヨンなら、この技術ならできるんだということをきめておいてもらいたい。そこへ多くの人が出願するでしよう。その標準に合わないものは日本には適合しない、やろうと思つてもできない。それは不許可にする。この標準に合つて、できるものは資金面その他をみずから考慮をするのであつて、それをさせるために国家が何でも補助しなければならぬというがごときは、今日の日本の経済組織からいつても、承知できないところです。これはなるべく自主的に許すべきである。国家の補助などをたよつてつたのでは、進歩的な発明、発見を日本の社会に実現することはだんだん遅れます。これがなければ人間の生活ができないというものならば、米の配給と同じように統制もよかろうし、国家の補助もいいだろうと思う。そうではなく、さらに一段と文化の度を高めるということは、自由にまかせ、競争にまかせて、正しき方向に導いて行くために、権威ある学者が、しかも権威ある機構を持つておる電波監理委員会が、ほんとうの見識を持つて一つの標準を定めてくれなければ、われわれはしろうとなんですから、今後テレビジヨンの問題についての審議はできないのです。それなのにあなた方は、これから多数の人の意見を聞いてからと言つておる。多数の人の意見なんというものは、かつてなことを言うのでしよう。学問的のこともありましようし、また常識的な論もある、金もうけ一方の人もある。それらを判断するのは、あなた方の範囲ではなく、国家最高の機関たる国民の代表たるわれわれがするのだから、あなた方は科学の上に根拠を置いて権威ある判断を下してもらうことが、一番適切だと考えるが、あなたの御意見はそれとは違うのですか。違うとしたらはなはだ遺憾だと私は言わざるを得ない。
  54. 關内正一

    ○關内委員 いろいろ御意見もありましようが、この問題は非常に重大な問題でありますから、今後お互いに研究、研鑚を重ねることにして、本日はこの程度でとどめたらいかがでしよう。
  55. 椎熊三郎

    椎熊委員 しつこいようですけれども、現にできるという自信を持つて出願しておるものがあるのに、あなた方の態度が未決定なために遷延されて行くことは、日本のために悲しむべきことです。一日も早くあなた方の態度を決定してもらいたい。現にやれるという自信を持つて願書を出しておるのを、拒絶する必要はない。私は必ずしもNHKで独占しなければならぬものだとは思いませんし、また民間だけでやれと主張するものではない。あなた方の権威によつて、日本の最高の技術者として、どれが一番いいかということを、政治的にでなしに、学門的な研究の立場からきめておいてもらうところに、われわれ政治家側が非常に幸いを来すゆえんがある、こう思うのです。ですから日本にテレビを実施するかどうかの問題は、まず電波監理委員会における科学的研究の結果の標準を、こういう程度ならばできる、こういうものならばよろしいということを明確にしておいてもらつて、今日競つて出願している問題をさばいて行くことを、相当促進して行かなければなりません。実施されるといなとは、おのずから別の問題でありまして、現に出願しているものの処理だけは、一日も早くしてもらわなければ迷惑であるということなのです。
  56. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 ただいま椎熊さんのお話通り、スタンダードをどうきめるか、それに引続いて研究を重ねなければならない、ごもつともな説だと思います。私の申し上げたことも、アメリカのでき上つたものを日本に持つて来るというのでは決してございません。現に戦争前、昭和十五年に、日本のNHKでさえもテレビの試験をしてみたということが、この間も何か書かれてあつたようであります。私たちに決して彼らのまねをするのではなくて、各国がかような状態である、従つて日本の国民経済を考えた上において、国民に負担をかけさせないようにやるのには、まず試験を十分にやつてもらいたい、研究をしていただきたい。これが私の念願でございますので申し上げたわけでありまして、試験をするのにも研究をするのにも、日本の標準をきめて、各人が競うてこの研究に当ることができたならば、もつと早く日本にこれを実現することができるであろうと私は思うのであります。このあとにいろいろ懇談があるというお話ですから、私はあえて申さなかつたのでございますが、以上申し上げて私の質問を終ります。
  57. 庄司一郎

    庄司委員 これは単なるうわさでございますが、NHKに独占的にやらせるのだという放送などを、ちよちよい発しさせておるようなうわさを聞いております。今速記録に載つたのですからやがて明瞭になるのでございますが、先ほどの電波監理長官の標準に関する御説明の中で、NHKがわが国において率先して試験、実験等をやつた功労者ででもあるような印象を与えたのですが、各帝国大学等においてもそれぞれ研究をやつておる。私のおいなども東北大学の教授をしておる理学博士でありますが、相当つておる。どうも先ほどNHKだけのたいこ持ち的な印象を私は受けたのですが、どんなものでございましようか。長官にいま一度あなたの御信念、あるいは先ほどお話いただいたあの御口吻に対して、御所見があれば伺いたいと思います。
  58. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいまの庄司委員の御質問に対して、お答え申し上げたいと思います。後ほど議事録等を拝見いたしますと、その点はつきりすると思いますが、私はNHKに力を入れて申し上げたようなつもりは毛頭なかつたのでございます。現在テレビの実験をやつておりますのは、NHKともう一件ございますが、これはまだ完成いたしておりません。現実にテレビの実験を政府の許可を得ておりますのは、NHKだけでございましたので、NHKということを申し上げて、それに添えて各メーカーがそれぞれ研究されておるということを申し上げたのであります。  なお私どもはこの標準方式の検討につきましては、戦争前、各研究所、現在の電気通信研究所の前身である電気試験所、あるいは大学等におきましても、皆さん方相当テレビの研究をしておられる方々がございますので、われわれこの案を何とか皆さん方の御了解を得たい、妥当なものに持つて行きたいという観点から、そういう方々の御意見を十分聞いて参つたのでありまして、今庄司委員が御心配の点は、特に私どもはそういうような考えでおるわけではございませんので、御了承願いたいと思います。
  59. 關内正一

    關内委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は明後九日午後一時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後三時四十二分散会