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1951-10-25 第12回国会 衆議院 電気通信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 庄司 一郎君 理事 高塩 三郎君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君       岡西 明貞君    中村  清君      橋本登美三郎君    福永 一臣君       椎熊 三郎君    畠山 重勇君       石川金次郎君    田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君         電気通信事務官         (経理局主計課         長)      井田 勝造君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         電気通信事務官         (業務局長)  田邊  正君         電気通信技官         (施設局長)  吉田 五郎君         参  考  人         (電気通信協会         会長)     梶井  剛君         参  考  人         (全国電気通信         従業員組合書記         長)      鈴木  強君         参  考  人         (東京商工会議         所副会頭)   清水 康雄君         参  考  人         (日本新聞協会         編集部長)   江尻  進君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君 十月二十四日  川崎市の電話施設拡充に関する陳情書  (第一八二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  電信電話料金法の一部を改正する法律案(内閣  提出第六号)     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    關内委員長 これより電気通信委員会を開会いたします。  前会に引続き電信電話料金法の一部を改正する法律案を議題とし、その審査を進めます。  本日は、一昨日の委員会におきまして決定いたしました、参考人より本案に対する参考意見を聽取いたしたいと存じます。  この際委員長より参考人に一言申し上げます。本日御出席願いましたのは、ただいま本委員会審査いたしておりまする電信電話料金法の一部を改正する法律案につき、広く各界より御意見を伺い、本委員会審査参考に資するためであります。各参考人におかれては、その立場々々より忌憚なき御意見をお述べ願いたいと思うのであります。なお参考人発言時間は、一人大体二十分程度にお願いいたしたいと思います。次に委員の方に申し上げますが、御質疑は参考人全部の発言が終りました後、一括してこれを許すことにいたします。  それではただいまよりその参考意見を聽取いたすことにいたします。まず第一に、電気通信協会会長梶井剛君にお願いいたします。
  3. 梶井剛

    梶井参考人 参考人といたしまして、意見並びに希望を申し上げます。  今回の料金値上率を拝見いたしますと、現在における諸物価の値上りに比しまして、比較的低く見てあります。これは公共事業性格として当然のことでありまして、当局として相当考慮せられた結果だろうと考えます。またその細目につきまして検討いたしますことは、算出の根拠を伺いませんとよくわかりませんが、電話使用いたしまする加入者に比較いたしまして、大衆が比較的利用いたしまするところの電報並びに公衆電話値上げは、妥当な程度に、大衆の便益ということを考慮せられておるように思います。もちろん公衆電話は、一般加入者の一通話同一の価格になつておりまするが、しかしこれは戰前におきましては、公衆電話の方が一般加入者料金よりもむしろ高くなつておりました。それは公衆電話一回線を設ける経費が、一加入経費よりもはるかに多くなり、またその運営においても多くなるのでありまするから、当然なのでありまするが、これを同等に見てあるということは、大衆利益を考えておられることと考えるのであります。またこのこまかい料金の一々の表を見まして、その均衡を得ておるかどうかということにつきましては、大体均衡を得ておるという感じがするのであります。もつともこの料金表を拜見いたしますると、電鈴一個をつけますのにも、また同一の家屋内において、一つ部屋から他の部屋電話機を移すというような料金に至るまで、実にこまかい点まで法律に規定されております。法律性質上から、かかるこまかい点まで法律に規定すべき性質のものであるかどうかということにつきましては、われわれはいささか疑問を持つておるのであります。料金としてはむしろ大綱をきめて、こまかい点は施行規則か何かによつて決定さるべきものではないだろうか。  今回料金値上げされる理由としまして、当局が述べておられる点を拜見いたしまするのに、現在わが国通信は、戰後かなり復旧いたしましたけれども、まだとうてい文明の利器としてその機能を発揮しておらない。特に大都市におきましては、話中の率が非常に多く、電話をかけることは一つの手数のかかることであるという非難攻撃を、使用者から受けております。また東京から大阪に電話をかけますのにも、普通の通話では一日待つてもかからない。特急通話にしてようやくかかるというような状態になつております。これらの状態は、戰時中から必要欠くべからざるもの以外は、ほとんどすべて放置して参つた結果でありまして、これをこのまま捨てて置きますならば、通信機関は遂には麻痺状態に陷るおそれがあると思います。従つて今回の値上げは、もつぱら戰時中並びに終戰後におきまして廃頽して参りましたこの機関を新規にとりかえて、その機能を十分発揮せしめるために必要である。こういうふうに述べられておるのでありまして、この点はまつたく同感の意を表せざるを得ないと思います。特に大都市において、その欠陷を救済することが急務であると思いまするので、市内通話料金よりも市外料金の方が比較的値上げになることは、当然であると考えるのであります。しかしかかる欠陷の多い機械類使つて、なおかつ今日のサービスを上げておられるということは、これはひとえに当局の十八万余の従業員各位努力によつて、わずかに維持せられておるのだろうということを察するのであります。しかも現在におきましては、これらの状態において、政府予算の制約によりまして、当局としては意のままに補修その他をやることができません。勢い今回の値上げが、その予算の限られた範囲であるということに対して、相当の効果を発揮し得ることとわれわれは期待するのであります。値上げにつきましての理由並びにその適否ということについては、ただいま申し上げた通りでありまするが、なおこの場合、通信事業経営の見地から、一言希望を述べたいと思います。通信事業そのもの公共事業でありまするから、できるだけ国民利便を増進するようにしなければなりません。しかるに今日民間におきましては、通信事業官営であるがゆえに、官営の弊によつてその能率がきわめて低い。むしろこれを民営にするならば、能率向上せられるのではないかということをしばしば聞くのであります。しかし民営がよろしいか、あるいは官営がよろしいかということにつきましては、一朝にしてその是非を判断することは困難なことでありまするが、聞くところによりますると、当局としては、来年度より官営民営の中間であるところの公社として、通信事業能率向上努力せられんとするやに伺つておりますので、ぜひ公社案によつて 一歩能率向上に御盡力あらんことを希望するのであります。  またかような通信事業が、今日独立会計として運営されておるのでありまするが、もしこれが民営であると考えまするならば、もちろん自己資本によつて拡張をなし、なお不足の分については借入金によつてやるべき性質のものであります。しかるに今日における官営状態におきましては、ほとんど独立会計として採算はむしろ赤字になつておる、ほんとうに減価償却をいたしまするならば、赤字になつておる。従つて自己資本というものの余裕は全然ありません。わずかに預金部資金から百三十五億の借入金をして拡張をしておられるという程度でありまするから、もし値上げをされまして、その結果非常に能率向上して、自己資本が蓄積せられるというような場合に至りましたならば、これは民営の場合と違いまして、税金も払わない、利益配当をする必要もないということでありまするから、その余裕資金自己資本として将来の拡張に投じて、ますます事業の発達をはかられんことを希望する次第であります。  またかような事業性格としましては、当然継続事業の必要があるのであります。今日におきましては、年々予算国会において審議せられ、しかる後にその年の計画を立てて、これを実行に移すという状態であります。戰前におきましては、常にこれは継続事業として、五箇年または十箇年の継続事業として、議会の承認をいただいておつたものであるにかかわらず、終戰後財政の事情によつて、年々歳々その予算を要求しなければならぬという状態になつております。ところが継続事業でない結果は、きわめて事業を遂行する上において非能率的に相なります。少くとも年度初頭におきましては、拡張工事というものは、計画を立ててしかる後にやるということでありまするから、四、五箇月の間は実行に移すことができないような状態になつております。それがために事業そのもの収入も、年度初めから増加いたしません。もしこれが民営であるならば、もちろん予算に束縛されることなく、できるだけ早く加入者利便をはかつて、同時にその民営事業としての収益をはかるものと存ずるのであります。従つてもしこれが継続事業であり、予算が一たび承認せられたならば、数箇年にわたつて継続して計画を立て、実行に移すということができるならば、非常に事業能率改善せられる点があるのではないかということをわれわれは感じるのであります。  なお今日官営事業のままでありましても、幾多の改善すべき点があるのではないかと、われわれは民間の者として考えるのであります。たとえば経費の節約という点におきましても、これが民間事業であつたならば、かかることもなすであろうといういろいろの点があるのでありまして、当局としましては、ぜひともむだを排除して、経費を節約して、できるだけ広くこの利便国民に与えられるように、一日も早く改善の道を講じていただきたい、こう考えるのであります。特に考うべき点は、本来、通信事業のごとき技術進歩に伴うものにおきましては、技術的の改良進歩というものが、事業運営能率の上において、非常に大きな要素をなしておるのであります。ことに通信技術の最も進歩しておりまするのはアメリカでありまするが、その進歩によつて戰後においては著しい改善が行われておると聞くのであります。もちろん電通省としましては通信研究所をお持ちになり、その優秀なる技術者によつて改良進歩をはかつておられるということは、われわれも信ずるのでありますけれども、單に官庁のみの技術改良進歩のみによつては、その効果はきわめて薄いと考えるのであります。特にこれらの機器材料を製作いたしますところの民間技術改良進歩と相まつて、初めてその効果をあげ得ると思いますので、いわゆる官僚の独善主義に陷らない、広く日本の各方面における技術改良進歩と相まつて技術能率を上げ、同時に経済的に最も安く拡張ができ、もつと安い料金によつて民衆利便が与えられるようにすることが、技術を担当する者の任務だろうとわれわれは信ずるのであります。特に電信におきましては、現在人員要素が非常に大きな影響を持つております。いわゆる電信を打ちます技術、熟練というものが、かなり大きな影響を与え、また技術運営における人件費がその大部分を占めている。これを機械化することによつて、もつと能率向上せられるのではないか。たとえば電信を中継しますのに、人手にまたずに自動的に中継する、あるいは現在進歩しておりますところのフアクシミルの技術を、もつと広く応用するということが必要ではないかと思います。また電話の方におきましてはマイクロ・ウエーヴを使い、すなわちセンチメーター波を使いまして、市外通話における待合時分をもつと短縮し、その機能を発揮し、国民利便を増進することを考えなければならないのではないかと思うのであります。  また次には、通信事業に従事しておられまする方の待遇改善の問題であります。聞くところによりますると、電話交換に従事せられる人が、初任給は三千三百円であります。そうして三年後において支給せられる給与が四千二百円であります。また電信オペレーターが、初任給がやはり三千三百円、そうして三年後において五千円になります。また機械類あるいは線路を保守します者の初任給は三千八百五十円でありまして、やはり三年後において五千円になる。この給与というものは、国民の全体の所得から見まして、あるいは必ずしも少いといえないのかもしれませんけれども、しかし今日わが国の人口一人当りの国民所得が、年に四万五千円平均になつております。しかし実際にこれは子供までみな入れた所得でありまして、給与を受ける人の収入としましては、少くともこの倍以上平均になつていると思うのであります。それから見ましては、はるかに従業員待遇は悪い。これは一般官吏としての均衡の上から、かくなつておるのかもしれませんけれども、しかし通信事業に従事する者には、特殊の技術を必要とするのでありまするから、一般官吏と同様に待遇すべきものであるかどうか、むしろ事業能率という点から見まするならば、能率によつてその給与を上下すべき方法をとらなければならぬのではないか。しからば事業改善進歩能率向上において、この能率給を給することによつて、一段の進歩を来すのではないだろうか。これはわれわれは従業員各位努力に対して、待遇改善せられることを希望すると同時に、單なる機械的に均一に待遇改善をするのでなく、事業能率と結びついたところの待遇改善をせられることが、このたびの料金値上げのために、一般国民の期待に報いられるゆえんではないかと思うのであります。  最後に申し上げたいことは、事業進歩いたしますると同時に、非常に合理化されるのであります。アメリカのごとき国におきましても。ニユーヨークからサンフランシスコに電話をかけまするのに、その時間わずか一分を超過するにすぎないのであります。かようなことは技術的の改善ばかりでなく、その利用度を非常に高めまして、設備したところのものを百パーセントに運用し得るように合理化が行われるのであります。技術的な進歩事業合理化とによりまして、経営は漸次改善せられると同時に、事業全体として見ても、収支の関係は有利になるべき性質のものであります。従つて今日料金値上げされましても、将来において事業能率向上によりまして、料金の値下げが可能になるという見込みがありましたならば、その場合には單に物価騰貴のみを考えずして、むしろ国民利便のために、料金合理化をあえてやつていただくことが、必要なのではないかというふうに感ずるのであります。  これをもちまして私の意見並びに希望を終ります。
  4. 關内正一

    關内委員長 次に全国電気通信従業員組合書記長鈴木強君にお願いいたします。
  5. 鈴木強

    鈴木参考人 私は全国電気通信従業員組合鈴木でございます。以下私は全電通の組合員十三万の意見を総合いたしまして、申し上げたいと思います。私がただいまから申し述べますことは、すでに私ども電気通信事業のためには、いろいろと深き御理解と識見を持たれまして、いろいろ国会で御活躍いただいております議員の皆さんに、あえて私どものはつたりとか、あるいは意見がましいことを申し上げようという気持はさらさらございません。ただ組合側といたしまして、今度の電信電話料金法の一部改正法律案に対しての率直なる意見として申し上げますので、どうか審議の御参考にお願いいたしたいと存じます。  私はまずこの案件の個々の料金の問題に入ります前に、今日における電気通信事業の現況と申しますか、そういうものにつきまして少しく述べさしていただきたいと思います。御承知通り電気通信事業は、人間の神経系統にも匹敵するものでございまして、一国の政治、経済、文化、その他国民日常生活におきましてなくてはならない事業でございまして、しかも今日まで公共性を強く要求されつつ運営をして参つておるわけでございます。この間すでに八十二年の長きにわたつておりますが、この事業が国の発展、伸張に果して参りました先駆的使命というものは、非常に大きなものがあつたというように私ども信じておるわけでございます。しかしながら今日の電気通信事業経営の面、あるいはサービスの面、施設面等を十分考えてみるときに、私どもきわめて事業自体としての憂慮すべき状態があるように考えておるわけでございます。ちようど第二次世界戰争が終りましたあのあとの状況は、せつかくつちかつて来ました施設が、資材が、器材が、局舎が、まつたく四分五裂いたしまして、全国にまたがる電信電話の回線というものは、麻痺状態に陷つたことは事実でございました。このような中にありまして、私ども組合といたしましては、非常に苦しい生活の中から、社会情勢のきわめて暗黒の中におきましても、ただ一遂に事業を愛する一つの心から、大臣あるいは次官等のしりを大いにひつぱたきまして、できるだけの努力をして参つたつもりでございます。幸いにいたしまして、皆さんの非常に深い理解もございまして、終戰後六年、ようやく戰前の水準にひとしいようなところまで、サービスをとりもどすことができたわけでございますが、しかしながらただいま梶井さんからもございましたように、まだわれわれ従業員に対する批判、あるいは国民要望というものは、非常に熾烈なものがあるわけでございまして、この熾烈なる御要望に、あるいは御批判に沿うためには、前途にまだ非常な困難があることも、率直に私ども承知しておるわけでございます。われわれは今後といえども組合立場から大いに事業のために盡して行きたいとは思つておりますが、この際特に皆様に申し上げたいことは、現在の電信あるいは電話機械施設というものが、あまりにも老朽化しておるということでございます。はなはだしいものに至りましては、耐用年数をはるかに越えて酷使しておるものもございます。戰時中あるいは戰後資材が非常に悪いために、故障が続出しております。かような機械と取組みながら、私ども晝夜をわかたず、多くの通信量を扱つておる組合員立場から見まするならば、非常に困難なる情勢があることも御了察いただけると存じます。言葉を簡單に申し上げますならば、要するにこういつた機械を使いまして私ども日常仕事をする場合に、自分自体として一一〇%の能率がありましても、タイプライターの機械がすぐ故障になる、キーが故障になるということで、実際には能率というものは一〇〇%に減つてしまうという情勢が実際あるわけでございます。こういうのが実態でございまして、結局そのしわ寄せというものは、われわれ従業員側にかぶさつて来るのでございまして、そのことからやはり公衆不平不満というものが絶えないというような状態にあります。現在定員等につきましても、非常に少いわけでございまして、こういうような情勢の中で、ただ單に個人の能率というものを考えて人員を算定いたしますと、非常に実情にそぐわないような定員が出て参りまして、従つて現場では馬車馬のごとく働かなければ、円満な疎通ができないというようなことが事実でございまして、こういつたことがやはり皆さんサービス向上というその要望からしましても、また従業員側からいたしましても、必要以上の犠牲がしいられるというような情勢にあることを、ひとつぜひ御認識いただきたいと思うわけでございます。われわれ組合といたしましては、ちようど去る本年の二月でございますが、銚子の第一回の中央委員会におきまして、電気通信事業の現状は、はたしてこれでいいのかどうかということを真劍に考えました結果、電信電話再建闘争というのを取上げておるわけでございます。以来私どもの現在の事業欠陷その他に付きましては、いろいろ申し上げておるわけでございます。第一番に私どもが取上げておる問題は、先ほど申し上げましたように、要するに老朽化した機械あるいは、施設というものを、ただちに更新していただきたい。そうしてさらに設備を拡充いたしまして、サービス向上するようにやつていただきたい。そのためには、相当な建設資金も必要でございますが、先ほどお話もありましたように、今年度百三十五億の資金では、とうていこの老朽機械あるいは施設拡充ということは不可能でございまして、この建設資金拡充については、大いに省側努力していただくように、私どもは強く要望して参つておるわけであります。  さらに第二には、現在の予算あるいは会計制度というものが、非常に企業に即応していないわけであります。財政法にいたしましても、会計法にいたしましても、一般官庁会計を適用するようないわゆる基本法が、電気通信事業にも原則的に適用されておりますので、いろいろな不合理が出ておることは、先ほど梶井さんからもお話がございました通りで、予算計画の問題にいたしましても、長期計画の問題にいたしましても、あるいは予算使用の制限、認証制度、いろいろございますが、そういつたものをどうか企業に適応した方法に一日も早く改正していただきたいということを、第二点としてさらに強く要望して参つたわけでございます。  さらに第三点といたしましては、御承知のように一昨年逓信省から分離いたしまして、電気通信省が発足したわけでございますが、あの機構は非常に日本実情にそぐわない機構でございまして、組合側としてはまつこうから反対をして参つたわけでございましたが、遺憾ながら、ああいつたきわめて複雑な機構ができ上つてしまつたわけでございます。従つて現在の官庁機構の中におけるこの機構複雑化が、勢い仕事の非能率化の方向に通じまして、あらゆる面で御迷惑をおかけしておることも私ども承知しておりますので、こういう点につきましても、機構を簡素化して、もう少し企業体に即した敏速な運営ができるようにということを、常に主張しておるわけでございます。  さらに梶井さんからも御指摘のありましたように、従業員に対する給与というものは、一般公務員と同じような給与が支給されておりますので、この点につきましては、どうか私ども企業実態に即した給与を制定していただきたいということで、いろいろとお願いをいたしました。過ぐる国会におきましても、いろいろと皆さんにも御協力をいただきました結果、不満足な形ではございますが、一応人事院からも、特別俸給表というものの制定が勧告をされておるわけでございます。私どもといたしましては、あの形では非常に不満足でございまして、少くとも頭打ちだけは解消いたしますけれども、全体的な企業に即した給与とは言いがたいのでございまして、いずれ給与準則等も御指示があると存じますが、私ども最初から皆さんにお願いしておりますように、現在の俸給より三号程度のアツプをぜひともお願いしたいというように考えておるわけでございます。  それから次に、ただいま問題となりました適正なる料金制度をつくることということも、私どもはその再建鬪争の中で取上げておりますし、さらには現場定員が非常に少い。従つて現場定員をもう少しふやしたらどうか。電信電話オペレーターは、非常に高度の技術を要しますので、一朝一夕にはなかなか養成ができないのでございまして、ある程度補充定員と申しますか、機動的に使える定員というものを、ぜひとも電気通信省の中に置く必要があるのではないかということも考えております。予算合理的な使用あるいは不正の絶滅ということにつきましても、絶えず私ども大臣、次官等にも申し上げておるわけでございまして、こういつたふうなことを中心にいたしまして、私ども再建鬪争を鬪つて参るわけでございます。私どもは現在の電気通信事業が、国有国営の形の中で以上の欠陷があるために、ややもすると国民大衆から痛烈な批判を受け、あるいは事業自体の頭打ちということも考えられますので、一日も早くこの実現を期していただきまして、国民皆さんに満足の行かれるようなサービスを提供するようにしていただきたいというように考えておるわけでございます。  かような観点から、私ども今回の電信電話料金値上げについて考えてみますならば、当然労働組合のこれはあらゆる労働組合の考えといたしまして、現在のごとき日本の経済情勢あるいは社会情勢の中におきまして、少くとも利用者大衆の負担の加重するような料金値上げ、これは諸物価値上げにも通ずるわけでありますが、今の世の中でインフレに悩むわれわれといたしまして、しかもそのインフレの高進の方に、ややもすると拍車をかけるような形の諸物価値上げということについては、反対せざるを得ないわけでございます。電気通信事業のごとく、公共性を強く要求される事業におきましては、特にその点は愼重にお考えを願いたいということで、私ども省側の幹部にも申し上げておつたわけでございます。しかし前述の通り再建鬪争を推進して行く過程におきまして、やはり現在の料金制度そのものに非常に矛盾があることは十分承知しておりますので、私どもも一日も早く適正料金化の問題について、一つの結論を出したいということで、今日まで鋭意努力はしておりますが、なかなか組合としての結論は出ておらないわけでございます。今回の改訂の理由等を見ますならば、物価の高騰その他給与べースの改訂の人件費、あるいはそれに伴う郵政省への繰入金、減価償却、保守の改善、どれを見ましても、われわれが再建鬪争の中で考えますときに、必要な予算でございます。従つてこの予算支出をまかなうために、どうしても本年度百二十六億の収入不足をまかなうために、料金制度を改正しなければ、事業運営ができないというふうな段階に追い込まれておりますので、私どもといたしましては、できるならば、こういうふうな公共性を持つ事業に対しては、全部が全部利用者負担の形でなくても、ある程度一般会計からの繰入れというような形で、独立採算制の建前から行くと、非常に矛盾はあるわけでございますが、そういうふうにしても、とにかくこの事業は育成発展して行かなければならない事業だと考えますから、何とか一般会計からのある程度の繰入れというようなことも考えてみたわけでございますが、なかなかその点も困難な情勢でありますので、そういうことが困難であるならば、現在の程度値上げにつきましては、組合側としても、これを認めざるを得ないような情勢にあるわけでございます。ただ私どもがこの値上げを見て考えることは、われわれが先ほど来指摘しておりましたような組合側の要求というものが、もう少し早く適切に官庁組織の中に消化され、しかも実施に移されておりますならば、全体としての値上り等についても、もう少し軽減されるようなことができたのではないかというふうに考えますときに、私ども従業員立場から非常に残念に思いますと同時に、今日までこういつた企業官庁の中において、矛盾きわまる法規を適用し、それによつて運営し来つたところの政府の無策といいますか、施策の欠如といいますか、そういつたものについては、非常に憤激を感ずるような気持がするわけでございます。  さらにこの値上げの問題について考えますときに、私ども先ほど再建鬪争の中で最後に申し上げておきました予算経費の適正な使用、不正の撲滅ということでございます。これにつきましては、組合も非常に熱心にやつておるわけでございますけれども、先般も新聞紙上に若干、通信研究所の問題が出ておりました。私ども組合としては、まだこの真偽については十分調査をしておりませんので、直接この問題についての発言は避けますけれども、少くもかような形の経費の不正使用というものがもしあるとするならば、こういう料金値上げ等に対しましても、国民大衆から、非常な関連性を持ちまして、まだ電通事業の中では、そういうことがやられておるのではないかということを当然指摘されて来ることは、私どもは無理のないことだと思いますので、こういつた点につきましては、なおわれわれも、また官の首脳部におきましても、十分目にとめていただきまして、こういつたことのないように嚴重に監視をして行かなければなりませんし、またこのような悪質な従業員に対しては、私どもとしては嚴罰主義で臨んでいただきまして、再びそういつた不正官僚が跋扈しないように、適切な処置を希望するわけでございます。  次に、個々の料金値上げについて簡單に申し上げますが、先ほども申し上げたような観点から行きまして、まず電信でございますが、今度の値上げで見ますと、内国電報料平均四〇%になつておりますが、私ども、はたしてこれが適正料金であるかどうかということについては、先ほど申し上げたように結論を持ちませんので、率直にこの場では申し上げられませんが、やはり原価計算あるいは減価償却その他いろいろと検討を加えて行くならば、はたして五十円か妥当であるか、あるいは六十円が妥当であるのか、あるいは四十五円が妥当であるのか、私どもわかりませんが、ただ一般として考える場合に、一挙に四〇%というような値上げは、非常に無理ではないかというような感じはいたします。ただ電気通信事業の中でも、特に電報につきましては、すでに昨年度三十八億の赤字もございますし、この赤字の解消が一つの宿命ともいわれるように、これは世界各国どこの電信を見ましてもそうでございますが、そういつた情勢があります。このことは電信事業は、電話事業以上に公共性を強く要求されております、どんな山間僻地に行きましても、国のすみずみまで電報局はございます。そこにたといわずか十通の電報がありましても、最低二名あるいは三名程度の局員が必要になるということは、梶井さんの御指摘になりましたように、やはり人件費が相当なパーセンテージを占めておるわけでございますが、これも公共性という形を考えるならば、どうしてもなくするわけに行かない事業でありますので、こういう事業に対してはやはり国家としてある程度の補償といいますか、そういつたものをすべきではないかというふうに考えますときに、今の四〇%の問題についても、そういつた方向を考えていただくならば、何とかもう少し直接利用者大衆に対する料金値上げというものは押えられるのじやないかというような気もいたします。私ども組合としては、むしろ今後の料金制度については、電信の場合は非常に矛盾がありまして、たとえば鹿兒島から宮崎県に打つ電報でも十字三十円でございます。それから鹿兒島から北海道に打ちましても三十円、まことにこれは不合理でございまして、数千キロの回路を伝い、しかもその間二回、三回の中継を経て行く電報と、わずかに鹿兒島から郡部に打つ電報とまつたく同じであるということは、確かに矛盾でございます。この原価計算をしてみても、長距離につきましてはおそらくコストを割つていると考えます。従つて将来の方向として、管区制の料金を考えていただきまして、少くとも日本の四十数県の、この県單位くらいの料金制度をひとつつくりまして、これは従業員からいいますと非常に手数がかかることでございますが、そういうような方法で何とか料金の適正化ということを考えていただいたらどうかというふうにも思つております。これはもちろん将来の希望として、ひとつぜひ実現していただきたいというふうに考えております。  今回の料金値上げについて、特に私どもの考えることは、先ほど申し上げたような公共性という建前から行くならば、電報の内容によつてある程度識別いたしまして、一般性の電報、あるいは慶弔電報、人命に関するような電報、あるいは着いたとか立つというような旅行に関する電報、あるいは新聞電報、通知電報等は、特に従来安い料金になつておるわけでございますが、そういうような形で庶民階級といいますか、一般大衆生活上必要欠くべからさるような電報は、ある程度内容によつて識別して、格安の料金を課したらどうかというようなことも考えております。今回のこの改正によりまして省側もいろいろとサービス改善等を考えておるようでございますが、慶弔電報、オーケー電報、そういつた電報につきましては、実行上非常に新しい制度を設けておりますが、できるならば私どもの今申し上げましたような形のものも、ぜひとも新制度として実施していただくならば、ほんとうに公共性を持ちまして、日常生活の中で必要やむを得ないところのそういつた電報には、特に安い料金が適用できるのではないかというふうに考えます。  それから次に電話の問題でございますが、これは平均約三〇%の値上りになつております。電話の案件の中で見ますと、使用料金の中で度数料金制と均一料金制とありまして、均一料金制のうちで單独と共同、この両方とも基本料金の中で事務用と住宅用にわかれておりますが、私ども考えてみますならば、まだ今の段階で日本電話を持つておるという階級は、もちろん中小企業あるいは一般の人たちもあるわけでありますが、大体においてわれわれがいうブルジヨア階級的な方々が多いのではないかと一応考えます。従つて住宅まで電話を引けるような人たちは、相当の身分の人でもあるでしようし、財的にも惠まれた方ではなかろうかと思いますので、こういつた住宅用を安くして、一般の中小企業の必要な事務用の料金を高くするということは、むしろ逆ではないかということも考えるわけです。従つてもし住宅用という中に、一般の中小企業の人たちが使用するそういつた電話が入るならば別ですが、ぜひともそういつた人たちの電話についても、住宅と事務用というような差別の中にひとつ解決をしていただいて、少くも今申し上げたようなものは安くなるような方向に行くならば納得できるわけです。この形では非常に私ども矛盾があると思います。  それから次に市外電話料金でございますが、長距離逓減制、あるいは即時、準即時、待時間といいますか、そういつたものの区別が今度なされておるわけですが、待時通話、準即時の問題については、私ども考え方としてはわかりますが、ただ長距離逓減制の場合に、これは鉄道等のことを考えると、必ずしも論拠に矛盾はないとは思いますが、改正料金は千八百キロ以上は、現行料金の金額と同額あるいは安くなつております。こういつた点は、取扱い通話数としては千八百キロ以上というのは少いかもしれませんが、それが同額あるいは安いということは、現行料金の建前からいいまして、若干矛盾があるのじやないかというふうにも考えます。  最後に、公衆電話料金の問題でございますが、これが五円に値上げになつております。硬貨を採用するというようなこともお考えのようでございますが、これはかりに五円に値上げしましても、何とかこの硬貨を採用して、確実に料金を収納できるような実施の方法を考えませんと、料金を上げても、結局これはむだな奉仕になるような形になると思います。現在は金のかわりに紙が入つておつたり、皮の切れつぱしが入つておつたりするというような形で、まつたく採算もとれないような形になつておりますが、こういう点は簡易電話制度の実施等も考えておられるようでありますが、どうか確実に料金の収納ができるような方法を、すみやかに確立していただきたい。  最後にお願いしたいことは、これらの料金改正は、直接利用者大衆に相当響きます。現在電話がかからない、あるいは電報が誤謬が多い、おそいというような非難がたくさんございますが、どうかそういつた国民の非難にこたえまして、料金改正を期してそういつた国民大衆の非難を生かすべく、政府としても十分努力をしていただきたいと思いますし、またわれわれも従業員立場として、できるだけの協力もいたすつもりでございます。  大体以上で参考意見を終ります。
  6. 關内正一

    關内委員長 次に東京商工会議所副会頭清水康雄君にお願いいたします。
  7. 清水康雄

    ○清水参考人 それでは御指名によりまして申し上げます。実は商工会議所といたしましては、法案が出て日が浅いものでありますので、みなの意見をまとめて会議所としての御意見を申し上げることができないのは、はなはだ残念であり申訳ないと思います。今日申し上げるのは、私個人の意見としてお聞きを願いたいと思う次第であります。  この電信電話料の改正につきましては、私どもとしまして、本年百二十六億円の不足が出るということにつきましては、何とかこれの穴を埋めなければ経営が成り立たないという点につきましては賛成なのでありまするが、いかにもただいまいろいろなインフレーシヨンの要素が非常に多いときに、電話料の大幅の値上げということは、またインフレーシヨンに拍車をかけるのじやないかというふうに考えられます。また中小企業といたしましては、電話料の大幅の値上げ経営に大きく響いて参るのでありまして、こういう点につきましても、なるべくならば電話料金としての値上げをしないで、ほかの方法をもつてこの穴を埋めていただければ仕合せである、こういうふうに考えております。特に先ほどもお話がありましたように、電話が自由に使えておるときでありますといいのでありますが、非常に不便だ、私鎌倉から通つておりますが、東京電話をかけるのにもたいへんなことでありまして、電話を待つているよりは、東京へ出かけるなり、人を使いに出した方が早いという状況であります。そういうときにまた大幅な値上げがあるということは、どうも一般としてはなかなか賛意を表しにくいのであります。しかしながら先ほども申し上げましたように、経営面ではまつたく不利な状況なのでありますから、何とかして百二十六億というものを、借入金なり何かでこの一、二年を過して、そうしてインフレの様相が少くなつたときに、改訂をなさつたらいかがかと思うのであります。また電話の足りない部分の補修とかいろいろな金は、あるいは電話公債というものを発行なされましても、これはインフレに別に影響はないものと考えられます。こういう面でこの穴を埋められ、また電話の改良をしていただいて、当面料金値上げということをしないでいただきたい、こういうふうに希望する次第であります。  それからこれは、商工会議所に対して一部の証券業者からも意見が出ておるのでありますが、これをつけ加えてちよつと申し上げますと、証券業者の料金を、新聞社、通信社及び放送事業者に準じて、軽減してもらいたいという意見が出ておるのであります。これはアメリカの方の証券業者は、営業費に対しまして電話料金が三%にすぎませんのに、現在におきましては、東京の証券業者は、六・七%の高率をすでに示しておるのでありまして、ある業者になりますと、営業費の中の三〇%を電話料に払つているというような状況であります。大きな社になりますと、年間五千万円以上を電話料に払つているということで、会議所に対しまして、こういう証券業者に対しましては、新聞社、通信社、放送事業者と同じように、ぜひ軽減してもらいたいというような御意見も出ているのであります。営業費の面の占める部分が、現在の日本におきましては、証券業者に限らず非常に大きいのでありますので、大幅の値上げということが直接業務に関係して参ります。従つてこれは物価に非常に大きく響いて来るのではないかということを憂慮しておるのであります。特に今電気、ガスの値上り、あるいは米の統制撤廃の問題が出て参りますと、非常にインフレーシヨンの要素が多いのでありますから、特にこれは御留意を願いたいと思います。  それから先ほども梶井さんからお話が出ましたが、政府であるいは公社というようなお考えもあるということですが、私の方の仕事の面から行きますと、こういう大きな組織を一本にかえるということはなかなかむずかしいし、場合によると失敗することもあるし、いろいろありますので、一つの私の試案でありますが、テスト・ケースとして適当の都市に対しまして公社のようなものをやつてみるとか、あるいは民営をやつてみるとかして、これならいいという腹がきまつたならば、全国的になさつたらいかがか。一ぺんにするということは、今日本の経済が安定していないときに、大きな衝動を与えることになり、よくないのではないかというふうに考えられるのであります。これはほんの私個人の意見でありますが、そういうふうに考えております。  まとまらないことを申しましたが、実は先ほども申しましたように、まだ会議所としてまとまつた意見がありませんので、こまかいことは差控えて、單に私個人の意見でございますから、あしからず御了承を願いたいと思います。
  8. 關内正一

    關内委員長 次に日本新聞協会編集部長江尻進君にお願いいたします。
  9. 江尻進

    ○江尻参考人 新聞、通信、放送関係の事業は、申すまでもなく電信電話を最も有力な伝達の手段として利用して、その機能を発揮しているものでありますから、新聞界といたしましては、電信電話に関する問題については重大な関心を持つものでございます。また一般の世論に接する機会も多くその動きに関心の深い立場にあります関係上、本日は新聞界の意見並びに一部の世論を代表するという立場で、二、三の意見を申し述べたいと存じます。  結論から率直に申し上げますと、われわれといたしましては、今回の値上げ案に対しては、遺憾ながら賛成いたしかねると申すほかはないのでございます。次にその理由を申します。  第一には、ただいま清水さんもおつしやいましたように、電信電話料金だけでなく、郵便料金、電気、ガス料金など、国民生活の根幹になるいろいろな物価を全面的に引上げるというような政策を、政府みずから率先してとるということは、インフレの機運を助長する結果になるわけでございます。わが国電信電話事業は、あげて政府の手で行われておりまして、独占企業体でありますから、その料金の引上げはそのまま全面的に、利用者側の負担とならざるを得ないのであります。こういう実情では、アメリカなどと違いまして、経営当局合理化するという熱意を失わせる傾向がありますが、合理化を伴わないところの値上げというものは、インフレを促進することは言うまでもないところでございます。政府事業や独占企業が相次いで価格や料金を引上げ、インフレを懸念されているところの日本経済の前途にますます不安を加えるということは、われわれとしては賛成できないところでございます。これは国民生活を圧迫するだけでなく、独立を目前に控えて、目下何をおいても確立を必要とするところの日本経済の国際的競争力を、弱める結果になるものと考えざるを得ないのであります。これは單に電気通信当局だけの問題ではございませんから、政府全体の問題として御考慮願いたいと存ずる次第であります。  第二に、同じ交通関係の機関として、国営の鉄道事業と国営の電気通信事業とを比べますと、先ほどから梶井さん、鈴木さんなども申されましたように、鉄道のサービス改善というものは相当顯著なものがございますが、電気通信事業、ことに電話については、国民全般を通じて、不満の声は遺憾ながら依然として高いと申さざるを得ない実情にあろうと存ずるのであります。従つてこういう状態のもとでは、急激な値上げを行うということは、国民の納得と支持を得ないところだと考える次第であります。  第三に、値上げ理由としてあげられておるのは、物価騰貴に伴う物件費の増加、給与ベースの改訂による支出増加などが最も大きなものでありますが、他面、定員の整理、経営合理化などということについては、大して努力が行われておらないのじやないかというふうに見受けられるのであります。自由競争の立場にある民間企業が、もしこれと同じような措置をとつたならば、その事業は早晩つぶれてしまうだろうというのが一般意見のようであります。ただ物件費が上り給与ベースを引上げなければならないから、その都度料金を引上げて行くというのでは、あまりに安易なやり方ではないかと考えられるのであります。  第四は、電信電話の間における独立採算が不明確な点でございます。政府事業といえども、独立採算制をとらなければならないことは、いまさら申すまでもないことでございますが、一概に電気通信事業と申しましても、大別して電信事業電話事業とにわけられるわけであります。ところが両事業の収支を見ますると、電信事業赤字であるにもかかわらず、電話事業の方は相当の黒字になつております。それにもかかわらず、電信料は四割、電話料は三割というように、一様に大幅の値上げを行いまして、電話事業であげた利益を、電信事業赤字を埋めるために振り向けるというように仕組まれております。また電話事業はその上にさらに、まつたく別会計である郵政会計にまで、相当の金額を繰入れるというような状態と見受けられますが、そうなりますと、独立採算をとなえておる根拠が明確を欠くことになります。もし電信電話、郵政の間に、おのおの安全な独立採算制をとるならば、おのずから違つた結論が出ることは明らかであります。すなわち極言するならば、電話事業においてはむしろ料金をすえ置いて、電信事業において徹底的な合理化を行い、それでもなお赤字が出るというならば、電信事業に限つて値上げをすることもやむを得ないという結論になるわけであります。  第五は、値上率に関する点でございます。電信関係はさておきまして、電話関係の改訂料金を見ますると、一部においてはすえ置かれている部分もございますが、最も需要の多い加入電話の市内電話料金が、度数制において一五〇%の値上げとなり、均一料金制でもなお三〇%、市外電話の近距離通話は一〇〇%以上という値上げになつていますことは、まことに大胆な値上率と言わざるを得ないのでございます。ことに報道関係の市外專用料金については、基本料金が上つた上に、倍率までも引上げるということになりまして、三一%の引上げとなつております。倍率については、従来新聞と同様の取扱いを受けておりました警察、消防などは、今回はすえ置きながら、報道関係だけを引上げて、あらためて差等をつけたという点については、特に報道関係においては、不満を感じている次第でございます。  最後に第六点といたしまして、新聞、通信、放送などの報導機関の特殊性について、この際十分の認識をいただきたいと思うのであります。郵便、電信電話などの通信機関及び鉄道、航空などの運輸機関は、広い意味で同じく交通機関に属するものでございます。そしてこれは公共機関とされているのでございます。その理由とするところは、交通機関によつて人間とか、物とか、あるいは人間の考えというものが、一つの地域から他の地域に伝達されまして、それによつて初めて社会が成立するからという理由によるのであります。すなわち人間の相互の関係を媒介いたしまして、社会というものを成り立たせるという重要な條件になるのが、いわゆる広い意味の交通機関というわけでございまして、この意味で電気通信事業は、現在社会で最も重要な地位を占め、ことに世界的に見まして、いわゆる一つの世界というようなものが成り立つ根本のもとになるのは、この電気通信を初めとする交通機関の力によると言わなければならないのであります。ところがこうした交通とか通信というものは、特定の個人と団体の間だけの意思の交流をはかるにすぎないのでありますが、新聞はこういうふうな交通手段を利用いたしまして集めたものを、多数の人の間に広く伝えて、通信、交通の持つているところの非常に重要な役割を、なお一層強力に遂行する機関なのであります。従つて新聞と電気通信とは、相まちましてわれわれ社会の結合を促す上に、重大な役割を果しているものでございます。それでありますから、新聞は公器であるといわれるのでありますが、最近では米国の大学の憲法の講義などでも、いわゆる立法、司法、行政の三権と並べまして、第四に新聞その他のいわゆるプレスというものを揚げております。この四つつの作用が相まつて民主社会の運営が円滑にできるのであるということを教えておるのであります。これは日本の憲法の條文にもアメリカの條文にもそういうことはございませんが、このように新聞の社会的作用というものは、われわれ社会の最も基礎的なものでございますから、警察や消防の機能などよりも、優先的に考慮せられなければならないものだと信ずる次第であります。それで電気通信事業の目的とされるところも、やはり社会の結合を円滑に行うというところにありますので、これと同様の機能を果します新聞というものについて、一層の認識を持たれまして、将来の施策の御参考にされるようお願いする次第であります。
  10. 關内正一

    關内委員長 これにて参考人全部の発言は終りました。参考人発言に対し、質問があれば、これを許します。
  11. 椎熊三郎

    椎熊委員 簡單にお伺いしたいと思います。従業員組合を代表しておらるる鈴木参考人にお伺いしたいのですが、この事業経営のために、十数万の従業員の考え方というものは、非常に重大なる影響があると思うのであります。ことに終戰後、労働組合の発達などから見まして、今日まで数年間の電気事業経営に、従業員諸君の考え方というものは非常に重要な部分を占めており、これを無視してはこの経営は成り立たない。そこで今度の料金の改訂等についても、従業員諸君がこれに対してどう思つておるか、明確なお考えを率直に聞かしてもらいたいのであります。あなたのお話は一々ごもつともでございまして、私ども非常に感銘深いものがございまするけれども、提案されておる電信電話料金値上げが適正なりやいなや、端的にそのことを率直にお答えを願いたい。ただあなたのおつしやるように、必要な部分もあるだろうし、また生活影響する部分も大きいので、研究してもらいたいというようなことでは、今提案されておるこの議案を審議するのに、ことに十一月一日からこれを実施しなければ一日二億からの財政上の差が出て来る。これは大問題です。私どもこれは二十七日に本会議でどつちかに決定するということに追い込まれておる問題ですから、これから研究すると申しましても、なかなかそうは参りません。率直に従業員組合としての、当値上げに対する賛否の意見を承りたい。
  12. 鈴木強

    鈴木参考人 私の意見が非常にあいまいだつたかもしれませんが、私ども率直に、先ほど申し上げますように、電信電話再建鬪争を取上げまして、本年の二月以来、電信電話料金がはたして現状の形で、これが適正であるかどうかということについて相当研究はいたしました。しかしながら私どもの組織もなかなか調査研究にひまどりまして、はたして現在の四〇%の値上げというものが、適正料金であるかどうかということについては、遺憾ながら結論が出ておらないということを私申し上げたわけでありますが、先ほど江尻さんからの御意見もありましたように、確かに電話は黒字になつております。電信は先ほど申し上げたように三十八億の赤字になつておりますが、たとえば私ども公共事業である事業経営して行く場合に考えることは、ある程度の国庫の補償といいますか、資産に対する補償というものがあるならば別ですが、本事業のように独立採算制で、要するに収入の範囲内によつて支出をまかなつて行くというような事業におきましては、電信電話を二つかかえておる以上は、相互の関連の上で、私ども物事を考えて行かなければならないと思つております。確かに電信赤字になつておるが、電話の黒字によつてカバーしておるということは、その通りでございます。ただ電話の場合にいたしましても、たとえば東京で、局内設備から線路からいろいろと設備をして参りますと、一箇の電話を引くのに二十五万円程度の金がかかるということが、計算上一応出ておりますので、そういう公共性を持つ事業であつても、わずかに数万円の金で電話を引くことがいいのか悪いのかということまで、やはり経営立場からいえば考えねばならぬのですが、その場合に、コストを割つて、しかも全然国家補償がなくて、その事業収入の範囲でやつて行く、あるいは今年百三十五億というような資金の借入れはいたしますけれども、いずれにしてもそういうような形の中でやることが、はたして料金制度から見まして、事業全体から見て適正かどうかということは、多大の疑問があるわけです。ただいま椎熊先生から、これが適正かどうか率直に言えと申されますが、そういうわけで実際問題として適正でありますということも申し上げられないわけです。その点は一応結論が出ておりませんので、お許し願いたいと思います。いずれにしても、百二十六億の予算というものは、江尻さんもおつしやつているように、政府の借入金か何か知りませんが、会計上のむずかしいこともあるわけですが、そういう面も克服して、何とかこの際使用者大衆の直接な負担を軽減する意味において、そういつた予算が持つて来られれば、私どもとしてもぜひその方法でやつていただきたいということも、組合としても考え方は同じでございます。ただ今度の百二十六億の予算というものが、独立採算の立場から非常に困難であろう、またこれをかりに一般会計から繰入れるという形にしても、その及ぼす影響はやはり税に関係して来ます。従つて一人々々の税金によつてまかなうということはいいことでありますけれども、ただ電話にしても、電信にしてもそうでありますが、利用者というのはある程度商用といいますか、生業といいますか、業務のために必要とするということになりますならば、日本においてはまだ一部の人たちが利用しておるということでありますから、そういう人たちのために、一般国民が税金からまかなう必要があるかどうかということまで、深刻に考えざるを得ないわけです。従つてやはり私ども組合立場からいつても、非常に申訳ないと思うわけですが、今のような段階である程度直接利用者から御負担を願つて、この経営を切り抜けて行かない限りは、私ども事業の現在の赤字は打開されないのではないかと考えております。私先ほど申し上げましたように、従来官営事業の中でいろいろ批判がありましたが、この問題がもう少し早く解決しておつたならば、私どももつと合理的な、しかも能率的な運営ができたのじやないかというように思うのでありますが、遺憾ながら会計方法等に縛られまして、なかなか企業体に即した運営ができなかつたところに、いろいろむだがあつたというわけで、拔本的な解決策といたしましては、先ほど申し上げました七つの点を、一日も早く実施していただくということを、組合としては確認しておるわけであります。答弁が的確でないのでありますが、お許し願いたいと思います。
  13. 椎熊三郎

    椎熊委員 従業員組合の方のいろいろ御苦心のほどは、察するに余りあるものがありますけれども、今度の値上げのために、支出面を見ると、業務費の約半分を越すものが従業員給与増額の問題に向けられておるのであります。これらを考えると、今後の値上げというものに、よほど深刻な御決意が従業員の間にもなければいかぬ。自分たちは結論をはつきりしなくても、どうせこれはきまるだろうというような、組合立場から賛成と率直に言うこともどうかと思うし、反対するとどうも給与の上に影響するのだし、そういうような政治的含みをもつて結論を出さないなら、それは電気通信事業に忠実な考え方ではありません。そういう点はやつぱり勇敢に率直に結論を出してこういう席に臨まれることが、ことに外部から来た参考人と違つて、内部で働いておる従業員として、無責任のそしりを免れないのじやないか、こういうふうに考えられるのでございます。しかしながら現実にそのようなお考えだとすれば、やむを得ません。  次に私は梶井先生にちよつとお伺いしたいのですが、梶井さんのお話を承りまして、非常に專門的なりつぱな御意見でございまして、非常に私ども傾聽に値する御意見だと拝聽いたしました。その要点は、要するにこの値上げによつて、今まで不完備であつた機械設備その他の保守改善が、非常によくなるであろう、そういう点で賛成だというのが、賛成の要素一つのようであります。そこで私は真にこの値上げが、あなたの指摘せられたように使用せられて行くならば、通信事業の発達のために非常にいいことだ。ところが支出面を見ますと、保守改善のために、減価償却のために使われて行く金の。パーセンテージが低い。低いばかりでなしに、この面に現われている保守改善費が、真に保守改善に使われているかどうか。そうではなくして、これは逼迫したる社会の要求にこたえるやむを得ざる関係から、あるいは新規架設等の建設費の方に振向けられている部分が、過去において非常に多かつた。今度の予算でもそういう点がありそうなにおいがあつて、万全に保守改善に使われていると思われない節がある。また万全にこれが保守改善に使われているといたしましても、その額は非常に不足だ。そうするとあなたが指摘されたように、今度の値上げによつて日本電気通信事業が非常に改善されて行く、今までの不平不満が一挙にではなくとも、非常に速度を高めて解決されて行く方向に向うのだという御意見が、実際の予算の仕組みの上からいつてお話のごとくであればけつこうだが、私は非常に疑念を持つ。その点についての御見解をさらにお教え願いた。
  14. 梶井剛

    梶井参考人 ただいまのお尋ねに対しましてお答えを申し上げます。私自身は電気通信当局でありませんので、予算の内容についての検討はまだ十分はしておりません。しかし戰時中においてほとんど、減価償却的な性格を帯びたものは支出されていない。また終戰後におきましても、数年間減価償却的な支出がなかつたのであります。最近になつてようやく減価償却的なものが少しずつ顔を出して、本年において多少増額され、またさらに将来において増額されるという傾向を、この予算面では見たのであります。ただ拡張と保守改善との区別というものが、現場においてなかなか困難なのであります。従つて予算面において計上される通りに、拡張と減損償却の取替に使われるかどうかということは、当局がその必要に応じて緩急を得なければならぬと思います。事実一つ事業経営しておりまする限り、その事業が健全に運営されるまでは、当然償却の経費というものはいるのであります。その償却の経費事業性格によつて違うでしようが、これでは償却が四・九%が五・八%になるようになつております。それで現在この通信事業の設備を再建設するといたしますると、二千七百億円いるのであります。従つて五・八%で百何億かの金がいるのであります。さしむきいきなりその減価償却の取替をやろうといたしましても、工事能力その他から考えまして、一挙に理想的にはできないのではないだろうか。従つてこの程度の償却を予算面には見ておられる。年々歳々それを増額して行かれるのではないだろうかというふうに考えて、一応拜見したのであります。実際の数字につきまして、こまかく検討するいとまもありませんし、また現状について詳しくわかりませんので、ただいまの程度のお答えでごかんべん願います。
  15. 關内正一

    關内委員長 よろしゆうございますか。石川金次郎君。
  16. 石川金次郎

    ○石川委員 私は梶井先生にちよつとお伺いしたいのであります。ごく簡單でございますが、お話のうちに電気通信省が、経費の節約をやつたらいいじやないかというお話がございました。先生は專門家であられ、電気通信省の内部もいろいろおわかりのことと存じまするが、節約しなければならない経費というようなものは、大体どういうようなものでしようか、それをひとつ伺いたいと思います。
  17. 梶井剛

    梶井参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。経費の節約そのものにつきましては、現実に検討するということは、当局の方によほど伺いませんと、確実なお答えはできないのでありまするけれども、しかし大体論として申しますると、現在通信事業に従事しておりまする現業の人、つまり電話局であるとか電信局、あるいは線路、機械の保守をやつている人というようなものの定員は、先ほど鈴木さんからのお話にありました通りに、むしろ不足しておるのではないかというふうに感じられます。これは労働基準法に準拠しておられまする関係上、勤務時間が昔のごとく長くありません。従つて人員戰前よりはむしろふえておるのでありますけれども、しかしなおかつ不足しておるということは言い得るのではないだろうか。しかるにわれわれが考えますると、いわゆる管理要員、アドミニストレーシヨンの方の人は、戰前よりも著しくふえておるように感ずるのです。これはこの混乱した今日の状態において、管理要員が非常にいるだろうということは考えられまするけれども、現実に現場で働く人の方が不足して、管理要員の方が余剰があるというようなことは、これは経費一つのむだではないだろうか。ことに管理要員の人は上級の官吏でありまするから、むしろ自分の超過勤務をできるだけ努めまして、そうして人員の節約をすることも、経費の節約の一つではないだろうかというふうに考えるのであります。  次に物品の購入の問題であります。物品の購入につきましては、計画を十分に立てて、むだなものを買わないようにしなければならぬように思うのであります。しかし終戰直後においての混乱状態のせいでもあつたろうと思うのですが、相当資材その他をいまなお持つておられるように思うのであります。中には数年間貯蔵しておられたというようなものもあるやに聞き及んでおります。もしこれが民間事業でありますならば、さようなむだなことをいたしますると、その金利だけでも相当なものになります。従つて資材の購入ということについては、十分検討して、むだをできるだけ少くして、必要欠くべからざるもののみを買うことによつて経費の支出が軽減されるのではないだろうかというふうに感ずるのであります。これは單に建設に必要な資材ばかりではありません。その他一般の厚生に必要な経費であるとかいうような方面におきましても、実際に従業員の方々の幸福なり、慰安なりに使われるのならば幸いでありまするけれども、さつき鈴木さんからお話がありましたように、饗応に使つたり、あるいはむだに娯楽に使つたりするというようなことは、これはたといわずかな経費でありましても、公共事業性格の上から言いまして、極力避けなければならないというふうに感ずるのであります。そういう意味において申し上げましたので、現実にむだな経費が幾らありますかというようなことは、まだとうてい検討はできません。
  18. 石川金次郎

    ○石川委員 鈴木さんにお伺い申し上げます。今政府は人員を整理いたしますのに九千八百三十八人、こう言つておりますが、現業で難儀して働いておる人、これはどちらでも難儀しておられるでしようが、今梶井さんからおつしやられましたように、人員は不足かと思いますが、現業関係でどれほどの整理が必要だという発表が政府からございましたか。政府が言つた分では七千幾らかと聞いておりますが、それでもつて事業の施行にさしつかえないかどうかということをまずお聞きしたい。
  19. 鈴木強

    鈴木参考人 石川先生の御質問にお答えいたします。前の、政府からどの程度整理するかということについては、正式に私ども聞いておりません。情報その他もありますが、ああいつた困難の中でやられておるようですから、明確な情報も入つて参りません。大体情報として聞いておりますところによりますと、五%程度の現業の整理をするというようなことを聞いております。私ども考えてみますに、現在の電気通信事業の中で現場段階、いわゆる電報局、電話局に働く従業員というものは、いわゆる神経系統仕事だけに、神経を非常に使いまして、そのためにほんとうの技倆を十分に発揮することになりますと、作業條件等も非常に悪くて、寝具だとか、休憩室とか、最近当局努力によつてやや改善されつつありますが、まだなかなか十分に行つておりません。それから御承知通り郵政とわかれまして、とにかく同じ郵便局の中で電報局ができたというようなわけで、同じ局舎の中でやつております。従つてまことにいすを動かすのにも不便な中で、私どもの同志は仕事をしておるわけでございまして、そういう観点から行きますと、現在の本省で考えている人員算定の根拠も、われわれから言いますと、たとえ休暇補充定員とか、年次休暇の補充定員とか、あるいは生理休暇の補充定員とかいうようなものも認められておりませんし、今後問題になります休職の問題でありますが、私ども事業性質から、非常に結核になる人が多いのです。塵埃もありますし、神経系統仕事でありますから、非常に結核にかかつて倒れておる人もありますが、こういう拔本的な対策も政府において行われておりませんので、いろいろな点を考えまして、とにかく今の段階で休憩時間も十分とれずに、実際に働いておるというのが実情でございまして、むしろわれわれとしては、電信オペレーターにしても、電話オペレーターにしても、一朝一夕には養成できませんので、こういう事業においては、ある程度先ほど申し上げましたようなプール的な定員がありませんと、たとえば朝鮮事変が勃発して、無線関係の要員がこれがために非常に困難したという事実もあるわけでございます。そういつたことをいろいろ考えてみますと、ある程度のプール要員を置きまして、いかなる事態が起きても、事務の安全のために、この機能が十分に発揮できるような態勢を整備して行く必要がある。従つて東京とか大阪とか、そういう電信電話局には、ある程度そういうプール定員を置きまして、どこにどういう事態が起きても、ただちにかけつけて応急措置ができるような対策も考えてもらいたい、そういうことを考えますと、現在の定員では非常に現場が少うございます。従つて現場に八万人もいるのだから、その中から五分程度の行政整理をしてもいいのではないかということも言われておりますが、それはまつたく逆でありまして、私ども事業のようにさらに発展して行く事業においては、また事業の特性から行きましても、相当な要員をもつともつと必要だと考えておるのでございます。先般御審議いただきました本年度定員法の改正におきましても、八千何人かの定員増になつております。こういうわけで、最初政府が言われたように、本省段階から管理段階までの機構を、十分に簡素化するということの前提に立つて整理するというならばいざ知らず、機構はそのままにしておきまして、まず天秤にかけて、機械的に頭から何%整理して行くということについては、私ども従業員は絶対に納得していないわけであります。従つて現業段階についてはまつぴらお断りだ、もつと人がほしいのだというようなことで、いろいろ具体的なデータも持つております。とにかくそういう状態でございます。
  20. 石川金次郎

    ○石川委員 続いてお聞きしますが、整理するというような話が出ましたために、現場で不安を感じておるという点はございませんか。また整理をするについては、政府はどういう條件で、どのような待遇において整理するということを明らかにいたしましたか。お伺いいたしておきます。
  21. 鈴木強

    鈴木参考人 現場では、私ども組合といたしましても、いろいろと情報その他を集めまして、なるべく不安動揺のないような形で、組合が組織的に統制をしております。私ども今の段階で、基準はどうかというようなことははつきりわかりませんが、たとえば希望退職というような形でございますか、そういつた人たちが何名程度あるとかいうようなことも、おそらく管理者は管理者なりにいろいろな調査もしているかと思いますが、今のところ別に下部がこの問題について大きく動揺しているというようなことはございません。私どもはいろいろと政府で考えて閣議で決定します新聞等の情報、あるいは私ども官公労とか、総評とか、そういつたところの組織を通じまして、たとえば退職金は八割増しにするとか、あるいは一月から六月というような、普通新聞に出ている程度の情報しか、私ども実は持ち合せておらないような情勢でございます。
  22. 石川金次郎

    ○石川委員 もう一つ、特別給与法という法律ができましてから、収入がどれほど多くなつたか、皆さんがどれほどこれで恩惠をこうむつているか、具体的にひとつお知らせを願いたい。
  23. 鈴木強

    鈴木参考人 特別給与法ができてから、私どもがどのように恩惠をこうむつておるかということでございますが、実はまだ特別俸給表というものはできておらないわけでございます。この前衆参両院の通信委員の方を初め、いろいろと御盡力をいただきままして、われわれ電気通信事業の職員に対して、特別の俸給表を制定すべきであるという結論に達しまして、参議院では特に本会議で、院議として決議をしていただいたわけであります。その線に沿いまして、人事院では今度の勧告の中に、別表の制定を勧告しております。これはまだ御承知通り現在審議中であるように考えておるわけです。まだそういつた形で、今は一般の職員とまつたく同じ俸給を支給されておりますので、特に調整号法というような形のものが昨年の暮れになくなりまして、そのために若干ながら私ども現業に対して、一号ないし二号程度の特別な上積みもあつたわけですが、それもなくされた形で、従業員の勤労意欲というものは、非常に今そがれております。従つてども何とか今度の国会におきましても、適正なる別表というものを早急に決定していただきまして、少くとも人事院勧告のあの線は、ぜひともお願いしたいというふうに考えておるわけです。ですから別にまだ利益は受けておりません。
  24. 石川金次郎

    ○石川委員 今私特別給与法があるかのごとく伺いましたのは誤りであります。  それから機械が非常に普及した、こう言つておるのでありますが、これは、電信などはそのために非常に労力を使うのだ、こうおつしやつたのですか、全部新しい機械が入つておりませんでしようか。
  25. 鈴木強

    鈴木参考人 それはもちろんいろいろと技術も進んでおりますので、相当程度優秀な機械も入つております。たとえば最近の国際回線におけるテレタイプ化、それから電信の方で言いますと、タイプライターにしましても、あるいは印刷あるいはクランシミツト、そういつたような機械も相当に優秀なものが入つておりますが、まだ遺憾ながら全部を更新するというような段階に至つておりません。たとえば悪い機械あたりでありますと、普通二時間くらいパンチしましても十分持てる機械が、三十分ぐらいするとだめになる、それですぐとりかえるのですが、まただめになるというので、そのために一々あの重い機械を修理に持つて行くという手数がかかる。そういつた面で非常に困難をしております。さらに、たとえば電鍵その他の問題につきましても、最近は印刷化、自動化の方向に進んでおりますので、そうたくさんはございませんが、東京電報局あたりですと、まだ六・七百名程度いる従業員のほとんどが音響通信でやつておりますが、そういつた場合に、ブザー、サウンダーとか、電鍵とか、そういうものも徐々にはよくなつております。それに付随するタイプライターもよくはなつておりますが、どうも一生懸命やりましても、機械が不完全なために、ロとたたいた字が二になつてしまつたり、そういつたことも実際あるわけです。ですから自分が一生懸命やつても、機械がそういうわけでうまく動いてくれないので、無用な心配までして、しかも一生懸命やつたにもかかわらず事故が出ておる。事故が出ると、結局従業員が責められるというようなことで、こういう点私ども非常に弱つているわけなんです。
  26. 石川金次郎

    ○石川委員 最後に、あなたにもう一度お伺いしたいのですが、あなたの企業内、電気通信省の中に、つまらない経費使つていると思うこと、たとえば物品購入にあたりましても、もつとちやんとしたらよかろうじやないか、接待費などももうちつとぜいたくしなくてもいいのじやないか、こう従業員としてのあなた方が思われることがございますか。これは非常に悪い点でありますが、率直にお答えを願いたい。
  27. 鈴木強

    鈴木参考人 私どもそういうことは、組合自体としてその現場を見て直接指摘して来たということはあまりございません、ただ話にはいろいろ聞きますけれども、組織として正式にそういう問題を取上げてやつたというような、不正事件とか、あるいは饗応といいますか、宴会とか、そういつたようなことは聞いておりません。
  28. 石川金次郎

    ○石川委員 もう一点だけ江尻さんにお伺いいたします。これはうつかりしたことは言えませんけれども、電報料と電話料を値上げした、こういうために、新聞がまた値上げしなければならないというような話合いが、業界の方で起つておりましようか。それともただこれは電報料と電話料のみが値上げした、こういうわけですか。いろいろ上げなければならぬものが出て来ると思いますが、さらに新聞の原価計算が高くなつて、生産費が高くなつて来るから、上げなければならぬというようなうわさでも出ておりますか、お伺いいたします。
  29. 江尻進

    ○江尻参考人 最近の値上げには、電信電話料の値上げは入れて計算してございません。従つて今度大幅の値上げになりますれば、どうしても再び新聞の値上げということも、考慮せざるを得なくなるのじやないかというふうに考えております。
  30. 關内正一

    關内委員長 他に御質疑ありませんか。——別にないようでありまするから、この際委員長といたしまして、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。本委員会電信電話料金法の一部を改正する法律案審査にあたりまして、参考人各位には御多忙中にもかかわらず御出席をいただきまして、それぞれの立場に立つて、あらゆる角度から貴重な御意見を発表していただきまして、本委員会の本法律案審査の上に多大の参考となりましたことを、厚くお礼を申し上げる次第であります。  それでは午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後は一時半より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後二時五分開議
  31. 關内正一

    關内委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  電信電話料金法の一部を改正する法律案に対し、質疑を継続いたします。田島ひで君。
  32. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私は電通関係の少しこまかいこともお尋ねしたいのでありまするが、他の委員会と重複しておりまして、時間がございませんので、こまかい点は次会に保留いたしまして、新しい大臣がおいでになりましたので、大臣の所信を二、三お伺いいたしたいと思います。  さきに電信電話施設料などの値上げがなされまして、今度またここに電信電話料金の一部改正によつて値上げがなされる。この値上げも、政府の説明理由の中には、給与ベース改訂による人件費の増加によつて多額の不足があるから、値上げをするのだということが書かれておりますが、政府はこれが根本の理由であるかどうか、お上げになつ料金は、これを全部給与べ一スの中にお入れになるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  33. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 お答えいたしますが、田島君は私の提案理由の説明で十分御承知のことだと思います。今回の料金値上げは、物価騰貴並びに人件費の高騰等、この設備機能運営して参
  34. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 そういたしますと、経費の一部分の中にも入ることになりますが、もちろん物価が上つたから給与ベースも上げなければならないと大臣は申されております。大体現在の従業員給与ベースにつきましては、政府はどのくらい上げる予定でいらつしやるのか。またどのくらいの程度が、現在の従業員生活を安定し得る点か、その点の見通しがございましたならば、はつきりと御説明いただきたい。
  35. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 どうも私の説明を誤解しておられるようですが、今回の料金値上げは、重ねて申し上げますが、人件費の不足だけを補うものではありません。物件費の高騰による諸施設資材の獲得上必要な面もあるわけであります。従つて二つの要素から今回の値上げをしておる、かように御了承をいただきたいと思います。この点いかにも人件費だけのような考え方で御質問なさることを、先ほど来御説明申し上げるのに、どうも誤解があるようでありますので、重ねて申し上げます。  次に、人件費は一体幾ら上げるかというお話でありますが、これは補正予算も出しておりますので、予算の場合にいろいろまた御質疑があろうかと思うのでありますが、今回その点についてお触れがありましたといたしますれば、予算審議の際には重ねてかようなお話もないだろうと思いますので、この機会にお答えいたしておきますが、政府におきましては、減税ともにらみ合せまして、十月一日以降千五百円程度給与ベースを引上げることにいたしております。
  36. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 大臣の御説明の言葉の点を一々私はとらえるわけではございませんが、千五百円程度のベース・アツプで、従業員生活安定できるかどうか、その点を大臣としてどうお考えになつておられるかをお聞きいたしたいと思います。
  37. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま申し上げます程度の引上げ、減税と合せて考えますれば、私これで十分だとか、非常に余裕があるとか、かようには申しませんが、今日の国力からは、従業員の諸君においても、これでしんぼうしていただきたいと思います。
  38. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私はこの点につきましては、いずれ詳しくお尋ねしたいと思います。見解の相違ではなくして、立場の相違、つまり勤労者の立場に立つているか、一部特権階級の立場に立つているかという、この立場の相違が、結局わずか千五百円のベース・アツプで、従業員生活が安定できるという立場に立つておられる大臣に対して、私はここではこれ以上お伺いいたしませんが、いずれまた後の機会に詳しくお尋ねしたいと思います。  次に、さきに電通省から出ました電通白書によりますと、電通関係の事業収入の中に、連合軍関係の料金が相当入つております。これは私がこの前、田村大臣のときにもお尋ねしたと思いますが、政府は最初今年度の予定といたしまして二十五億の徴収の予定を見ておられましたが、それが諸般の情勢によりまして、二十二億ほどは入らなくなつたと言つておられるのであります。ところがこの二十二億は、諸般の情勢で入らなくなつたのではなくて、何かの関係でとつておられないのだ、私はそう理解しておりますのですが、その間の点を詳しく御説明いただきたいと思います。
  39. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 あえて私議論するつもりではありませんが、先ほどの給与ベース云々について、立場の相違だということを言われましたが、私はイデオロギーの相違、共産党において初めてかような議論をなさるものだ、かように解釈しております。  なおただいまのお尋ねの点については、経理局長から御説明いたします。
  40. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 二十億余り調定に至らないものがございます。それにつきましての御質問でございます。これは連合軍関係あるいは進駐軍にサービスを提供いたしまして、その料金でございますが、実は非常に忙しい間にいろいろと仕事をやつておりまして、そのサービスも国内のサービスとは、相当愼重にやつておりまして、多少かわつた面もございますので、その料金を確定いたしまするのにやや手間取るということがございまして、そのためにそれだけの数字が調定に至らないで、本年度に持越されたわけでございますが、本年度におきましては、すでにその大部分を徴収し終つたのでございます。
  41. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 それでは、この説明理由の中でもう一つお尋ねいたしますが、警察電話の費用はわずか倍額になつておりまして、一般料金が非常に値上りになつております。この電通白書によりましても、電話を新しく開通していただくのに、一般の方の申込みはなかなか引かれない。警察なんかは特別でございましようが、むしろそのほかの金融業者とか、あるいは大きな商人の方なんかのところにはどんどん引いておりますが、一般のところにはほとんど引かれていない。こういう一般の、不便を感じている国民からはどんどん徴収して、警察電話料金はわずか倍額——大臣は最近おかわりになつたばかりだから、おそらく御存じないと思いますが、あのボロボロの警察電話を接収いたしましたために、それでもつて電通関係が非常に経費をとられていることは、すでに何回も前の国会で私どもが論議いたしたところでございますが、何ゆえに警察電話だけは料金をこのような少い値上げになつておりますか、その点をもう一つお聞きしておきたいと思います。
  42. 靱勉

    ○靱説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。警察の方は非常に少いとおつしやいますが、この料金表の総括表をおつしやつているのだと思います。警察の專用というものはもちろん、一般大衆の利用される市外通話量に比べますれば、その利用度は少いのでありますから、この表に掲げてありまする増収率というものは低くなつております。しかしながら値上率と申しますのは、一般の方の市外通話ないし專用料も大体一六%、警察も同様のパーセンテージを上げてあるのでありますから、一般より低くしたというようなことにはならないのであります。ただ今回の市外通話料の改訂にあたりまして、新聞、通信、放送というものにつきまして、現在は警察と同様に五十三通話分を頂戴しておつたのを、今度六十通話分にいたしました。その点だけが警察と通信、放送関係との差でありまして、従いまして通信、放送等は、一般に利用される市外値上率より高くなつておりますが、一般より警察が低くなつておるということはないのであります。
  43. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 もう一つお尋ねいたしますが、ここで警察專用線については、その特殊の性質にかんがみ、今回は現行倍率にすえ置く、これに対するお答えですか。
  44. 靱勉

    ○靱説明員 ただいまの御質問は、警察だけは値上率が少い、一般の方にかぶせておるという御質問のように聞きましたので、まつたく同じ率に上げてあるということを申し上げたのであります。ただ新聞、放送、通信とこの際差ができたという点は、まだ御説明してございませんが、一般とのお話でございましたので、一般と同じように値上げしておりますということをお答えいたした次第でございます。
  45. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 その点は了解いたしました。  電通白書によりますと、風水害の非常にたくさんになつておりますのですが、二十三年度には十一億、二十四年度は三十億、二十五年度は二十五億、本年度は出ておりませんけれども、これは自然現象のためだ、こう言つておられますけれども、政府はそうお考えになつておられるのかどうか。私はここで議論は申しませんけれども、結局はボロボロになつ施設が、保守関係、機械関係の更新がされていない結果だと思いますけれども、こういうものに対しましてどういうお考えを持つておられるか、それにどういうふうに対処されておるか、予算との関係で御説明できる点を伺いたいと思います。
  46. 靱勉

    ○靱説明員 毎年風水害等によりまして、非常に大きな被害を受けておりますことは、まことに私どもも遺憾に存じております。これは結局施設を強固にいたして参りますならば、かなりの災害に対しても耐久力があるかと存じますが、御承知のように予算面におきましても現在の施設の維持におきまして、十分なる保守費も在来必ずしも充てることができなかつた。今回の料金値上げというものも、そういう事態も勘案されて考えられたのでありますが、一方新規の拡張というものも、もちろん全体の資金の制約というものがあるのでありまして、でき得る限りの拡張を終戰以来やつて参りまして、施設としましては、戰前よりようやく一割程度の増加に現在なつておるわけでございますが、年々の災害に対しまして、私どもといたしましてはやはり予防的な措置を講ずるという意味合いにおきまして施設の予防、保守と申しますか、その点さらに施設される場合において、相当強固なものをつくるというような方向をとつておるのでございますが、これは結局これに充て得る資金の額によりまして、左右されることになるわけであります。  なお電信電話の災害に対する予防的な措置としましては、裸線のものをケーブル化するとか、あるいは線路におきましても、水害等によつて断線されるということもありますので、重要地間におきまする超短波の施設の整備というように、いろいろな災害におきましても、重要通信が確保でき、さらに通信全体としても確保できるような対策はもちろん講じつつあるのでございますが、何と申しましても、ひどい災害に対しまして、ただいまのところ絶対的に確保するということは非常に困難であります。しかしながら最小限度の通信の確保というものにつきましては、なお一層の対策を講じ、施設を整備して行きたい、こういうふうに考えている次第であります。
  47. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 それに関連いたしましてもう一つ、今非常に施設が老朽化いたしておりますが、この点で戰前の一割ほど設備がふえているというお答えであります。大体電信電話公共事業なことはおわかりだと思いますが、公共性が非常に無視されております。そして都会中心になつておりまして、地方が非常に無視される。地方の電信電話の老朽状態は非常にひどいもので、過半数です。もちろん都会でも電話の数は多くなりましたけれども、ほとんど通じない。私どもの家などでも通じない。しかも料金だけは一月遅れても催促が来る、こういう点につきまして、地方の電話はまことにあつてなきがごとく、むしろ歩いて行く方が早いというところがいまだにございます。そういう老朽状態に対しまして、具体的な方針をどういうふうにお持ちになつているか、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 電信電話がパブリツク・サービスを提供している、かような意味においてもつと普及し、そのサービスの万全を期せよ、かような御意見については私自身も同感であります。今回の料金値上げにおきましても、本事業企業として、事業としての基礎を強固にし、さらにただいま御指摘になりましたような方法に向つて発展を期する、かような意味においての料金値上げ計画しておるわけであります。今日までの電信電話が何かと不自由だ、また不便だ、架設を頼んでもなかなか架設ができない。あるいは現在ある電話自身も、話中であつたり、しかも交換局自身が話中であるために通じないとか、非常な御不便を与えておるわけであります。これについて、根本的な原因等をいろいろ探究いたしておるわけであります。そしてその結果は、今日の施設そのものにおいて、基礎的な設備である中継線ケーブル、あるいは交換局そのものが、非常に不足しておる、これをまずふやすというのが必要なのではないか。もう一つ見のがせないことかあります。最近当委員会からもアメリカに行かれて、お帰りになつたばかりでありますので、視察されました方々は十分御承知のことだと思いますが、戰時中並びに戰後におきまする電信電話技術が、世界的水準から見ますと非常に立ち遅れておるのではないかという問題であります。技術をもつと進めて参つて、先進国の域にこれが到達し、同時にまた資金の獲得ができまして、そして基礎的の設備である交換局なりあるいは中継等が整備されることになりますならば、ただいま言われたような事柄も解消するのではないかと思うのであります。私どもは今回料金値上げをいたしまして、この結果料金だけを外国と比較いたしてみますれば、これはまだ非常に安いものであります。アメリカ自身でもいろいろの料金制度があるようであります。まず高いところは市内で一通話十七セント、平均で十セントということがいわれ、十セントを邦貨に換算いたしますれば、三十六円五十銭であります。日本電話は今日までわずか一通話二円であつて、今回上げたにいたしましても、わずかに五円である。従つてこの料金だけを比べてみますれば、高い料金を課しておるというのでは絶対にない。だが私ども省みまして非常にはずかしく思いますことは、二円だろうが五円だろうが、せつかく設備された電話が通じない状況にある。アメリカでは電話料金が高いというけれども、日々の通話も非常に円滑に参るし、さらに架設の場合におきましても、増設の場合におきましても、非常に簡易な手続である。また短期間のうちに、数日のうちにその架設が終るというような状況であります。従いまして料金だけを比べるわけにはいかない。サービス向上サービスの万全を期して参りまして、初めて事業としてはりつぱなものになり、国民の支持を得るようになるのではないかと思うのであります。私どもの念願は、このサービス向上して行く、そうして国民要望にこたえる、これが私どもの念願であります。しかしこの念願を達成いたしますためには、ある程度料金値上げもやむを得ない。今回の料金値上げによりまして、わが電気通信事業におきましては、相当額の減価償却費を見込み得るような状況に相なるのであります。事業自身が一応経営の規模が強固になりまして、事業として独立ができる、こういうことにならない限り、サービスの面に思いをいたすわけにもなかなか参らないのであります。かような意味におきまして、お話のような線に沿つてども努力して参りまするが、その状態をつくりますためにも、今回の料金改正は必要だということに相なるのであります。重ねて申し上げますが、今日の電信電話事業についての基本的な欠陷は、やはりもつと進んだ近代的な技術を取入れること、そして基礎的な施設の整備拡充をはかること、この二点に盡きるのではないかと思います。
  49. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 佐藤大臣の電信電話事業に対する基礎方針の御高邁なる御方針を伺いましたが、私も言い分がありますけれども、それを言いますと討論になりますから、それ以上は申し上げません。結局それで値を上げるという結論に達しましたので、値をお上げになる点につきまして、サービス事業欠陷について大臣がいろいろ今申されております。電通白書にもありますが、そのサービスの劣つている点のもう一つといたしまして、従業員が労働強化になつている。しかも人員が不足だ、こういう点を電通白書自身にたくさんお書きになつていられます。それにつきましては御承知のように、賃金が非常に安くて食べて行かれないのに、わずか千五百円で十分だと言つております。こうなりますとお互いに意見の相違、立場の相違になりますからそれ以上申し上げませんけれども、それに関連して行政機構の改革という美しい名前で、また首切りがなされようとしておる。首切りの上に上る人々の数が出ておりまするが、大臣は現在の電通事業従業員をこれだけ首切つて、それでさらにサービスがよくなるものかならないものか、これは常識でおわかりと思いまするから、それに対してどういう御方針を持つておられるかを承りたいと思います。
  50. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 田島君の御質問、実は私十分つかみかねておるのでありますが、行政整理をやる、あるいは定員の縮減をやれば、仕事がやりにくいじやないかというようなことでありますが、今回計画いたしております定員縮減によりまして、事業上の支障は来さないつもりでおります。
  51. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 あなたは電通白書をお読みになつておられぬかもしれませんから、これ以上聞きませんが、現業員も人が足りないと言つております。従業員はほとんで休暇をとつておりません。三年間一度も休暇をとらなかつたという従業員もおるのです。その上五分ですか首切るというのでありますが、人が足らないことはわかり切つておる。それでサービスが落ちないわけはないのです。その点につきましてもきようここでこれ以上私はお尋ねいたしません。ただこの首切りに対しまして、どういう方法で首切りをなさるのか、その基準は何か、二年前の定員法のあの基準でなさいますのかどうかを、ちよつと大臣にお尋ねいたします。
  52. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 行政整理あるいは定員削減という問題でありますが、私どもは行政整理という言葉は使つておりません。定員の減員を計画しておるわけでございます。なるほど御指摘のように超過勤務はとつておる、あるいは休暇は全部もらつておるわけではない、従つて定員を増加すべきである、かような意見は非常に上つらな議論としては成立つように思います。しかし私どもは先ほどお尋ねのうちに、また御意見のうちにもありましたごとく、この事業自身が公共の企業として、パブリック・サービスをいたしておるものであります。従いましてこの事業を遂行して行く上から考えますれば、できるだけの経費を縮減する、できるだけ切り詰められた人手によつて、この業を運営して行く、かように考えることは当然であります。この事業は今日私どもが預つておりまするが、電気通信省だけの事業では絶対にない、従業員のものでもなければ、管理者のものでもありません。これは国家国民そのものであります。この考え方からスタートして参りますれば、できるだけの創意、くふうをいたしまして、縮減をいたすことは当然であります。今日定員減を計画いたしまして、なおかつ事業運営上支障を来さないという確信を、管理者の最高責任者として私は持つものでありまするが、ただいま申し上げるような信念からスタートしておることを、この機会に御披露申し上げます。しこうして具体的な九千八百数十名に対する整理方法でありまするが、今回の整理におきまして最も特徴といたしておりますものは、過去において長期欠勤者は、役所に現実には出ておらないが、これが定員を食つておるのであります。これを今回定員外にすることであります。この点は今まで定員々々というその言葉だけでごらんになつておりまするが、実際に働かない人が定員を食つておる、そのために元気な人たちが、その人の仕事の分までも負担しておる。ここに定員合理化ができておらなかつたわけであります。これを今回定員外にはつきりいたしまして、そうして元気な人だけでほんとうに仕事をして行くような建前に、合理的にこれを切りかえるわけであります。  もう一つは、これは他の委員会でも申し上げたわけでありますが、共産党の諸君からは、とにかく官吏が足りない、こういうことを言われるのでありまするが、私どもの耳に入る一般の輿論と申しますか、大多数の意見は、敗戰後日本といたしましては官吏が多過ぎるんじやないか、もつと官庁の事務を簡素にして、そうして官吏の数を減らして、税金を減らすのが当然ではないか、これが今日国内の一般にとなえられておる輿論だと私どもは考えるのであります。他の委員会で申したことでありまするが、その際に共産党の議員の方は、それは自由党の宣伝がきき過ぎたのだ、こういうことを言われましたが、私は答えて言うのに、共産党の宣伝が自由党の宣伝に負けるようなものじやないだろう、従つて共産党の諸君の言われることは、どうも私どもは納得できないということを実は申し上げた次第であります。従いましてただいま申し上げるような筋でありますので、ことしの年度に入りまして以来、すでにこの定員減ということが計画されており、従業員の協力を得まして、欠員の補充等も行つてつておるのであります。そうして現実に仕事をして参つておる状況から見ますれば、九千八百数十名というものは、私どもは無理なことをいたさなくても、実施し得る確信を持つておるのであります。申し上げたいのはこの点であります。少しわき道にそれたようなお話をいたしましたが、これを申し上げることによつて、この結論が一層納得しやすいのではないかと思つてお話申し上げたような次第であります。
  53. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私はここで大臣と共産党論をしようとは思いませんし、その宣伝論をしようと思つているのじやありません。また一般的な官吏が多いか少いかという議論をここでしようとも思つておりません。ただ電通事業につきましては、おそらく大臣は電通白書をお読みになつておられないと思います。私は政府の資料に従つている。現に従業員が足らないのだ、労働強化になつているのだ、結核患者は三倍になつておる。それだから仕事サービスも落ちていると書いてある。それを大臣はそんなことはおかまいなしに、電通白書も見ないで、一般論でごまかしておる。結核患者が三倍になつておる。これは結局仕事がひどいから三倍になつておる。賃金が安くて栄養がとれないから結核になる。こういうことで首切りになる。長期欠勤者などを首切るのは、こういう犠牲になつ従業員を首切ろうという御方針でございますか。それをお伺いいたしたい。
  54. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほどたいへん大きな声で申し上げたのでおわかりになつたと思うのですが、長期欠勤者が今まで定員を食つておつた。今回長期欠勤者は定員外に置くということを申し上げた。そこでもう少しわかりやすく申し上げますれば、過去の行政整理の際におきましては、しばしば長期欠勤者、病欠者が整理の対象になつたものであります。しかし今回の定員縮減に際しましては、これら長期欠勤者に対しましては、二年間政府が保障するということをはつきりいたしたわけであります。従つてこれらが積極的に整理の対象にならないということをはつきり申し上げます。
  55. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ちよつと私頭が悪いものですから——。そういたしますと予算との関係ですが、首切りから浮く費用というのはどうなりますか。定員外に長期欠勤者を置いて給料を払つておるといいますと、そこから出ますものをこつちにお使いになるというのじやありませんか。私は頭が悪いから理解できない。その点をはつきりお答え願いたい。
  56. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 これは仮定の数字ですから、そのままの数字をお考えになる必要はありません。たとえば一万の定員がある。一万のうち三十人が長期欠勤だといたしますれば、一万の定員は必要はないのであります。それから三十人を引いた九千九百七十人をもつて定員といたしてもよいわけであります。さような方法をとるということであります。
  57. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私はもう少しお聞きしたいのですが、時間がありませんから、いずれ詳しい点につきましては次の機会に讓りまして、最後に大臣に一言だけお尋ねいたします。というのは、私が第五国会以来電通関係の委員をいたして来ましてから、大臣が三回もおかわりになつた。今度の新らしい大臣は非常に御聰明でいらつしやいまして、電通事業の御抱負についても、今たくさんの御意見を聞きましたから十分でございますが、こんなに電通の大臣がおかわりになるということは、電通事業についてはほとんど官僚まかせでいいのか、それほど簡單に大臣が御理解できるのか、あるいはだれでもできる仕事なのか。おそらく電通事業の根本の方針については——私も第五国会以来たびたび申し上げておりますから、基本方針についてはここでは申し上げませんが、三回もおかわりになつていらつしやる。いくら頭のいい大臣でも、電通事業の根本方針を私は言おうと思えばいくらでも言える、田島委員が御心配になりますけれども、私が責任を持つということを言われた問題があります。大臣が責任を持つと言われますけれども、大臣がおやめになれば、責任を持たない。そのときの諸般の事情によつて違うじやないかということを言われたことがありますけれども、次々におかわりになりましても、自由党としてはおかわりにならないからよいのかもしれません。あるいはまた大臣は御聰明でいらつしやるから十分かもしれません。しかしこういう点につきましては、ほかの省よりあまりおかわりになることは、政府としては軽視して、ほとんど官僚におまかせになつておられるのか、一言その点だけお聞きいたしまして、あとの質問は次会に讓りたいと思います。
  58. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 たいへん意外の御質問をいただくものであります。政党議員の御質問としては、私非常に意外に思うのであります。なるほど郵政大臣はしばしばかわりました。しかしながら今日は民主主義政党政治、同時に議会政治の時代であります。従つて今の御意見のうちにありましたごとく、政党がかわつておらない限り、佐藤がお預かりしようが、田村がお預かりしようが、それにかわりがないはずです。皆さんもこの委員会に出ておられて、おそらく委員会委員の方が、いろいろおかわりになるだろうと思います。しかし共産党はやはり共産党の主張をなさるし、自由党は自由党の主張をこの委員会でやつておる。それでけつこうなんです。それをもつて官僚にまかしたとかなんとか言われることは、議員の方の御意見としては、私非常に心外に思います。それだけお答え申し上げておきます。
  59. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 たくさんお聞きしたい点がありますけれども、これ以上言えば大臣と討論になりますから言いません。私は三年電通関係の委員をやつておりますが、まだほんとうにわからないことがたくさんあります。今いろいろ大臣のりつぱな御意見をお聞きしまして、これで安心いたしましたが、まだ申し上げたいことがありますが、これは次会に申し上げることにいたしまして、きようの質問を終ります。
  60. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 私はもう一言申し上げておきます。共産党ではフユーラー・システムがあるので、個人によつていろいろ政策が違うように聞いておりますが、私どもの政党ではさようなことはないということだけ申し上げておきます。
  61. 關内正一

  62. 石川金次郎

    ○石川委員 私は委員になりましてから日も浅く、それに加えて東北人でございますから、質問も要領を得ない、言葉もおわかりにならない点があるかもしれませんが、どうかイデオロギーの相違だなどとおつしやらないで、私がわかりますまでお教えいただきたいと思います。大臣も非常にお忙しいので、第一にお聞きしたい二、三点を申し上げて、あとは事務当局の人にお伺いいたします。  大臣が今年の八月七日の委員会におかれまして、料金の改訂について、「損益勘定におけるこの不足額は、これをそのまま料金改訂により補填するというような考えは持つておらないのでありまして、事業経営合理化経費の節約、その他企業努力をいたして参ることは当然でありますが、現在のサービスを維持し、またなおサービスの正常化をはかるためには、ある程度料金改訂もやむを得ないような見通しとなつておりまして、目下いろいろな案について検討いたしているのであります。」こう言われております。ごもつともであり、御信頼申し上げております。しかるに今法律案の提案理由を拜見いたしましても、また十二回国会における大臣の説明資料を拜見いたしましても、企業努力をせられたという事実、事業経営合理化をされたという事実、経費の節約のために御苦心をなすつたという事実を、われわれは明らかにすることができないのは、はなはだ遺憾であります。もつとも人員の整理、七千四百四十一人を整理すると伺うのであります。これも一つ経費の節減でありましよう。しかし失職者を出す、人員を整理することのみが、企業努力でないことは、これまた申すまでもございません。これのみが事業合理化ではないのであります。企業が損失が出て参りますと、最も簡單に使用者を馘首する、こういうことが簡單に行われる。よくこの方法がとられるのであります。しかしこの方法は冷酷無情であります。一体大臣はその資材の購入にあたつて、どれほど経費節約のために御努力なさつたでありましようか。またその他の諸経費について、どれほど節減に御努力なさつたでありましようか。朝日新聞のきのうの三角点に、「一土木出張所でさえ接待費三百万円。ヤブをつつけば、赤い顔する議員もニヨロニヨロ出よう」こう書いてあります。まことにさびしいことであります。まことに肺腑をつかれているような言葉であります。あるいは接待費の額は小さいかもしれません。しかし他面に馘首せられている従業員諸君、その家族には冬が参りましても、一握りの木炭を買えないために泣いておる細君なしとも限りません。たとえば電線を購入するにあたりましても、どのような購入の方法を考えて、節約せられたでありましようか。電線製造会社の経営が一体どうなつておるのか、その会社の状態が、どう利益を上げておるのか、上げておらないのか、大量の得意先があるのでございますから、十分検討した上で、安く買い得る方法を講じておかなければならぬと思います。大臣の経営の御苦心がわからないではございません。経営の御苦心があることは十分察することができるのでありますが、料金値上げにあたつて経費の節約にこれだけ努力した、一銭一厘の宴会費も使わぬぞと、こう国民にお示しくださつてこそ、改訂の妥当性というものが生れて来ると思う。大臣がこの経費の節約と言われるところの企業努力を、どういうふうにやられたか、お聞かせ願いたいと思います。
  63. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 お答えいたします。私がかねてから申し上げております点を、ただいま速記をあげてのお話でございますが、今日の心境においても何らのかわりはありません。御指摘になりました人件費を縮減するということが、一番楽ではないか、一番やさしいその方法によるのではないかという点でありますが、かねて申し上げておりますごとく、これらの私がお預かりしておる事業は、事業性質上、非常な人件費を要しておる事業であります。御承知のように人手によらなければ、事業運営ができないというものであります。物件費その他の経費の節減は、これは総額といたしましては、目に見えたものではないのであります。そこでこういつた大幅な思い切つた縮減を計画いたしますとすれば、自然に人件費の縮減をいたさざるを得ない、これは実はやすきについた結果ではないのであります。事業経営合理化するという観点に立てば、従業員においても、この犠牲をひとつ忍んでいただきたいと思うのであります。ことに今回の定員減は、二度目であります。過去の定員減におきまして、非常な苦しい経験をなめて来ております。一応荒削りは済んだのであります。従いまして二度目の定員減を実施することは、現実に整理されるということを考えて参りますと、私どもの腕も実は鈍るのであります。私どもの内閣がしばしば、非常に人情に薄いのではないかということをいわれますが、私ども事業、この種の公共的な公企業におきましては、人的つながりこそが、初めて事業の発展を期し得るゆえんのものであります。かような観点をもつているいろいろくふういたして参りますと、今回の人員整理は私どもまことにつらい思いをいたしているのであります。しかし九千八百三十八名でしたか、これを定員から落すという場合におきまして、いろいろのくふうをいたし、同時にこれが消化可能かどうか、あるいはまたサービスの面において支障を来すのではないかというような点を、しさいに検討いたして参つたのであります。  まず第一点といたしまして、最も公衆と接するところの現業については、できるだけその負担を軽減すべきではないか、場所によりましては、せつかくの設備がありましても、定員配置がないために、その設備が十分働かないというような面も、必ずしもなきにしもあらずであります。かように考えますると、現業から定員を削減するということは、よほど緻密な調査の結果でない限り、できる事柄ではないのであります。  そこでいろいろの議論も出て参りましたが、管理部門と現業部門におきましては、定員減の目標の率をかえることにいたしたのであります。その結果管理部門におきましては、一般官庁は三割を目標にするが、われわれの事業官庁においては二割五分を目標にする。同時に現業においては現業の特殊性から、これを五%の非常に低い率で定員減の目標をきめて参りました。同時にまたいずれをもつて現業員と称し、いずれをもつて非現業員とするかという内容の点についての、しさいな研究を遂げたわけであります。その結果皆様方の御審議をいただきますところの予算査定に際しましては、大まかに管理定員は総定員の一割であり、残り九割が現業だというふうな区分をいたしておりますが、これはとんでもない間違いだ、もつとしさいに管理要員と現業要員とを区分すべきだということで、調査をいたしました結果、一応管理機関と見られるもの、たとえば本省であるとか、地方の局、これは一応現業を扱わない管理機関だと見る。しかしながらこの管理機関に勤務する者におきましても、はつきり現業と目される部分があるわけであります。御承知のごとく電気通信省におきましては、本省に工事を担当する部隊を擁しているわけであります。これは明らかに職員であります。その他運転手であるとか、あるいは倉庫手であるとか、あるいは單なる計算だけに従事している者であるとかいうような者を、本省あるいは地方局の勤務でありましても、これを現業職員といたしまして、率の低い方に切りかえたわけであります。  さらにまた在来の予算査定の場合において行われますところの第一線部隊の中における、たとえば局長というようなものは、管理要員ではないかというような議論も立つわけでありますが、かような者は現業の末端の機関としてなければならないものでありますので、これはあわせて現業として考える、そうしてその低率を適用して参るというような方法をとつて、一応の基本数字ができ上つたわけであります。  そこでこの基本的数字をしからばいかに実施に移すか、これはいろいろ検討いたしているわけでありますが、先ほど来田島君からの質問にもお答えいたしましたように、今回は長期欠勤者で実際には仕事をしておらない、しかしながら定員を食つている、これらの人たちをまず定員外にする、これは明らかに定員減になるわけであります。もう一つは四月以来定員の縮減をはかるという事柄が、ほとんど官界並びに国民の間の常識になつておりますので、事務当局におきましても、できるだけ欠員の補充をいたさないように、いういろいろくふうをいたして参つておりますので、この欠員もあるわけであります。従つてこれは今日は定員を食つてはいるが、現実には実員はいなくて済んでいる、かような者が今回の九千八百三十八名の定員縮減の際に、まず第一に考えられるのであります。次に、長い間積極的な整理が行われず、また社会的な生活不安等の問題もありまして、人員の交代が行われておらないのであります。前整理の際におきましては、有経験者というものが非常に尊重された、従つて上の有経験者はそのままにいたしまして、定員の足りないところを一番若いところに負担さして、若い人が失職したという状況になつておるのでありますが、最近の国内情勢から見ますれば、まず後進に道を開いてもよいじやないかというような気持の人も相当あるわけであります。ことに今回はすでに御承知のごとく退職金も、普通退職金の八割増しを出すということにもなつております。同時にまた今後も引続いて行われることではありまするが、退職金に対する課税も格段な減額を見るようになつたわけであります。これを一月一日から実施され、ただいま御審議をいただいておるのでありますが、総額のうちから十五万円を引きまして、残りの半額に安い率を課する。たとえば三十五万円もらうといたしますれば、十五万円を差引きまして、残り二十万円の半分十万円に対して税を課するというような方法が講ぜられるわけであります。しかもその課税率は過去のものよりも安くなつておる。これによりまして、今回は有経験者と申しますか、後進に道を開いてもいいと思われるような人たちの、希望退職を募り得るような情勢にも相なつたのであります。これらのことをいろいろ勘案して参りますると、今日十五万何がしの定員を擁しておるうちから、一万に近い数が減るということは、いかにもたいへんな問題のように考えられまするが、現実の問題といたしましては、私どもいわゆる大なたを振うというような事態を招来しないでやつて行ける、かように考えるのであります。  お尋ねのうちにはなかつたのでありまするが、もう一つつけ加えて申し上げますれば、定員減をいたしますれば、翌年におきましてももちろんその定員を維持して行くというのが普通の建前であります。過去のごとく定員縮減はいたした、翌年また人間がふえて行つた、こういうようなことでは、せつかくの定員減が生きて参らないのであります。でありまするが、私どもがお預かりしておるところの電気通信は、これは事業であります。国民自身の要望によりまして、仕事の量はふえて参るのであります。新しい交換局もつくつて参らなければならないし、線路を延長し、これの数もふやして参らなければならない、かように考えますると、交換局がふえれば当然交換手が必要になつて参るし、線路がふえて参りますれば、補修要員も当然ふえて参るのであります。これらの事業の特殊性から、当然来年度予算におきましても、必要な人員を要求する考え方でおるのであります。今回の縮減と申しますか、それを人員整理にだけ負担さしたというような非難、ことに従業員が非常に苦しい思いをするのではないかというような非難は、これは一部だけごらんになりまして、全貌についての、特に私どもの苦心についての御理解がないやに実は私ども思うのであります。ただいま申し上げるような気持で今日やつておる、これはどこまでも国民自身からお預かりしております仕事でありますので、先ほど田島さんに声を大にして申し上げたように、これを電気通信従業員事業と考えたり、あるいは管理者の事業と考えたりするような、そんなものではない。これは国民自身の事業なのであります。国民からお預かりしておりますものでありますので、国民要望に沿うべく私どもは非常な責任を痛感し、苦しい思いをいたしながらも、ただいまのような経費の縮減を計画しておるような次第であります。物件費その他におきましても、いういろいろくふうをいたしておるわけであります。それらの点については説明を省略いたしますが、私の気持を率直に申し上げた次第であります。
  64. 石川金次郎

    ○石川委員 私も一つ企業体が健全合理化をやつて行くためには、人員も決して多くかかえておらなければならぬとは思いませんけれども、現在の従業員を馘首いたしますときには、まずもつて役にもたたないかもしれないけれども、一夜の宴会費もそれを注意しなければならぬ。それからそのあとでやることが、政治を信託せられた者の任務でないか、それを大臣しつかりやつていただきたいぞ、これはつまらないことです。つまらない、きわめて安価な人道主義的の考えでありますけれども、そう思うのでございます。どうかあなた方の事業国民の信頼を得るために、従業員を馘首せられることは、これはやむを得ないと認めるのでございますが、ただそのほかに、それにもかかわらず、上級職員が出入り商人のだれかと宴会場に行つたということになりますと、がまんできない。これを注意していただきたい。このためにどれだけの努力とどれだけの経費をはじかれたかをお聞きしたかつたのでありますが、これを十分お考え願うことにして、次に進めて行きます。  大臣は、給与の点につきまして、提案説明でこうおつしやつた。一千五百円のベースを引上げるほかに、特別給与それから奨励手当、この制度を織り込む、こうおつしやつておるように拜見したのでありますが、この給与のうちには、千五百円のほかに、現業員については特別給与あるいは手当、こういうものをさらにお考えになつて、これを御交渉中でございまするか。もしありますれば、その額、率等をお知せくださいまして、従業員に安心させるため、あなた方の好意のあるところ、努力のあるところをお示し願いたい。
  65. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 十月一日から給与千五百円程度の引上げを計画しておる。これは予算にはつきりいたしております。もう一つは年末手当を、予算におきましては半月分を計上しておるのでありまするが、今回それに〇・三を増加いたしまして、〇・八になるわけであります。これも計上済みであります。  それから先ほど申しました減税の方は、これは八月一日か、二日からよつと中途半端な日になりますが、とにかく八月にさかのぼつて実施に相なると思います。この減税はすでに新聞等にも出ておりまするが、今回の所得税の減税は相当大幅でありますので、これは潤いを持ち得るのじやないかと思います。私どもの方で計算をいたしますれば、最近の米の値上りなり、電気、水道、ガス、鉄道、さらにまた今回上げて参ります郵便料金等を、吸収し得る程度のものではないかというような計算をいたしておるのであります。  次にただいまお尋ねになりました特別給与ではなくて、特別号俸を制定する、並びに奨励手当の制度を設けるという問題、この二つの問題は、当委員会からも強い御要望があり、皆様方の御決議も得ましたので、私ども事務当局といたしましても、たいへんありがたい仕合せに存じましたので、人事院に対しまして強く要望して参りました。その特別号俸並びに奨励手当の制度をつくることにつきましては、人事院も最後に決意をいたしてくれまして、政府に勧告をいたした次第であります。政府といたしましても、現業の特殊性にかんがみて、この二つの制度を法制化することに決意をいたしました。近く法案が整備されまして国会に上程されるのではないかと思います。ただ法律は整備されましたが、今後皆様方の御支援のもとに、十分内容を盛るようにいたしたいと思うのであります。と申しますのは、今回人事院から勧告を受けました特別号俸は、現業官庁の特殊性から見まして、同一職に永年勤続いたしますために、永年勤続者が昇級できないようになる、この頭打ちを緩和する程度のものであります。従いましてこれは必ずしも皆様方が要望され、同時に私ども管理者がこうもしてやりたいと思いますものから見れば、実は不十分なものであります。不十分なものではありますが、在来の給与制度に特例を認めてくれたこの考え方は、非常な進歩に違いないのであります。また奨励手当の問題につきましては、いろいろな議論があります。その詳細をただいま申し上げるわけでもありませんが、御承知のように今までも現業官庁におきましては、特別の事業成績によりましては、ある程度の現物給与を支給いたしておるのが例であります。しかしこれは実は予算上やりくりできるというような範囲においてやつておる。それを今回はつきり制度化いたしたのでありまして、今後はまたこれを出します場合に非常に気持よく出せる、はつきりして来るという一つ進歩があるわけであります。けれどもこの方の予算的内容が、今日ただちに盛り込まれておるわけではありません。それは私ども事業経営をいたしまして、特別な利益を得て参る、そういうあかつきにおいて、従業員に対してその勤労に対する報奨を考えて行こうというわけでありまして、以上の二点が人事院より勧告をされて、政府自身も採用し、法案を整備いたしまして、近く国会に提案するという段取りになりましたことは、皆様方の強力な御決議を賜わりました結果でありまして、この点は喜んでいただくと同時に、私もこの機会にお礼を申し上げる次第であります。
  66. 庄司一郎

    ○庄司委員 関連して……。ただいまの問題に関連して、大臣に対してきわめて簡單な一つ二つのお伺いをしてみたいと思います。逓信関係の現場従業員諸君のためにいろいろお骨折りの段拜聽してまことにうれしい次第でございます。ところが過般本員が国会議員としての公務出張の場合に、東北六県を経めぐつて参りました。その場合に青森県あるいは秋田県その他の県においても、従業員の労働組合の諸君に取巻かれて、いろいろ下意上達の意味における陳情、請願を受けたのでございまするが、積雪寒冷地帯でございまするところの東北地方のごときは、なるほど燃料のお手当は頂戴しておるけれども、目下石炭が一トン最終小売で買えば五千五百円もしておる。そこでただいま頂戴しておる越冬燃料手当は、石炭においては実際の必要量の、あるいは金額からいえば、約半分の金額しか頂戴しておらない。青函連絡の海一つ越えた北海道の従業員諸君と比較して、決して遜色のない、真冬においては積雪丈余に及ぶところの東北積雪寒冷地帯における従業員諸君には、何とかもう少々この燃料の手当を増して、せめて一冬を越せる程度の燃料手当に増額してほしい、こういう切なる懇請がありました。それはごもつとものことであると思いまして、書面にして委員長までお届けしておるのでありまするが、積雪寒冷地帯に対しては、政府もいろいろあたたかい手をさしのべられておるが、電通関係の現場従業員のために、せつかくいろいろの待遇改善の至情を示されておるようでありまするから、燃料の手当の増額等の面においても、大臣におかれてはお忘れなく御留意を、この上ともお願い申し上げたいと思うのであります。  第二は、前の電通大臣にも二度ほど私は懇請いたしましたが、それは従業員諸君の待遇改善するということは、一にも二にも金、金という、金の問題ではないと私は考えております。先年新しく全国にでき上りました電気通信管理所の所在地等において、所長以下従業員各位、あるいは独身の職員諸君に至るまで、新しくできた役所でございますので、住宅というものはほとんど払底といいましようか、全然ないのであります。私の郷里の宮城県の大河原町にも、電気通信管理所ができ上りましたが、約八十名の職員の大部分は、十里以上の仙台から通勤しておる。住宅があれば喜んで役所の所在地に転住するのであるが、住宅がない。そこでさしあたり私は町長に相談して、町営で厚生省の援助のもとにでき上る庶民住宅の二十戸のうち、五戸だけをまず一応電気通信従業員諸君のために、特に歓迎の意味においても、優待の意味においても、まわしてほしいということを私自身が頼んで、どうやら間に合わしたのであるが、まだまだ住宅は足りません。そこでこれはひとり宮城県の場合だけではないと思います。全国何百箇所あるかわかりませんけれども電信電話局、あるいはこの通信管理所等の所在地に、特に電気通信大臣の御配慮によつて、建設大臣と御相談の上、公務員が住み込めるところの小住宅なり、あるいは独身者の入り得る寮のようなものなり、かようなものをひとつ向う五箇年なり十箇年の計画性を持たれて、住宅を安直な家賃をもつて提供するというようなこともまた、従業員諸君の待遇の大きな問題である。私は住宅を与えて安住の心理状態を与えるということが、働く諸君にとつてこの上ないけつこうなことである、おちつきがあり、安心して転任もできるというような状態にしてあげなければならぬ、かように考えておりますので、電通省としても、従業員各位の住宅問題に関しましては、特段の御配慮と御計画をお願い申し上げたい。実は田村前大臣にも一年ほど前にお願いしたるところ、私と一つの協約を結んで、五戸くらいはぜひあなたのところにも建てるということを約束しておるが、五戸どころか一戸も建たない。これはひとり私の大河原町だけを差別待遇されたのではない。全国的にさような状態にあるように思われるのであります。特にただいま申し上げたように、積雪寒冷地帯におきましては、相当の防寒施設の設計のでき上つておる、厚壁にして、雪雨の漏らない、越冬期間におけるところの保温の住宅を与えるような親心がなければならぬ、こう考えますので、特にこの二点を申し上げ、一層の御奮励をお願い申し上げたいと思うのであります。
  67. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 二つともしごくごもつともな御要望でありまするが、なかなか実現が困難であります。第一の積雪寒冷地の手当の問題でありますが、この積雪寒冷地手当を決定いたしました場合に、海峡一つ隔てて非常な差等が生ずる、これは一体いかがかというような議論はいろいろあつたわけでありまするが、いろいろ議論の末、現在のような等級がきまつておるのでありますから、この基本的なものをただちに直すことは、いろいろむずかしい問題ではないかと思います。しかしながらただいま言われましたごとく、事務所なりその他の共同施設の利用上の問題として考えます際に、特に燃料の手当をあの寒冷地手当の率によつて区分するようないわれは毛頭ないのでありますから、これらの点は御要望のような線に、十分経理当局をして見させる考えでおります。  次に住宅の問題でありますが、住宅は現在はまことに不足の状況であります。役所自身がつくりますところの宿舎も不足でありまして、やむを得ない場所におきましては民家の借入れ等もいたしておりまするが、その数もきわめて少数でありまして、総体から見ますると、なお二万二千四百名程度の収容を要する人員が残つておるように考えられるのであります。今日までのところ、別に都市を中心にして地方をおろそかにするというような考え方はございませんが、限られた予算でありますので、比較的住宅の提供の困難なる地を先にいたしまして、容易に——容易というわけでもありませんでしようが、比較的たやすく住宅を得られるというような場所が、遅れておるような状況であります。私は、ただいまのお話のごとく、給与ばかりが能ではない。実質的な賃金が増加されるようにくふうするのが、政府の責任であり、同時に管理者といたしましても考うべき事柄だと思うのであります。従いまして住宅であるとか、あるいは療養施設であるとか、その他いろいろくふうをいたす、いわゆる厚生施設として考えられるようなものについては、十分考えて行かなければならないだろうと思うのであります。また過去におきましては、統制なりあるいは配給等のために、組合機関等も停止しておるのでありまするが、今後主食の統制をも撤廃するというような時期になりまして、すべての物資が自由販売というような形になりましたあかつきにおきましては、過去において非常に整備され、従業員生活上も利して参りましたところの各種組合等も、もう整備する時期に来ておるのじやないかというような感じがいたすのであります。これらの問題は、いずれ組合の諸君ともとくと相談をいたしまして、発足いたしたいような感がいたしておるのであります。しこうしてこれらの問題を整備いたすにいたしましても、気持においては私皆様方に劣らない気持でおりまするが、何を申しましても、資金そのものの獲得が容易でない。今日までのごとく独立採算で、事業自身が一人立ちができないような状況でありましては、なかなか今言われますような点にまで、手を広げて参るわけにも参らないのであります。今回の料金値上げが、幸いにいたしまして皆様の御賛成を得ますならば、この中にはすでに相当額の減価償却をも見込み得るような予算になつて参る。言いかえれば、独立採算のとれるような時期に相なるわけでありまして、そうすれば事業といたしまして、利用者公衆にも満足を与え得る活動ができるような素地ができるわけであります。そういうような時期になりますれば、従業員に対します諸施設等も積極的にいたして参りたいと思います。ただここにさらに今後の問題といたしまして残つておりますのは、今日の国営の形のそのままでありますと、一般公務員並みの待遇を受けて参るわけであります。そこに事業経営体といたしましての従業員が、一般官庁の公務員と同じような待遇を受けることは、必ずしも適当でないのであります。私は従業員の福祉の面から見ましても、また利用者の面から見ましても、事業の発展の面から見ましても、いずれ御審議をいただくつもりではおりますが、経営形態の問題も当然考えて参らなければならない、かように思うのであります。一言所見をつけ加えてお答えといたします。
  68. 石川金次郎

    ○石川委員 今経営形態の改造についてのお話がありましたので、ちよつとお聞きいたしたい。大臣は、公共企業体による電気通信事業経営ということについて、注意深く、今どういう方針で行つているかということについて、まだお示しになつておられない。しかしお言葉のうちから感得されますことは、一方公共性は失わない、一方においては私的企業のいいところを取入れて行くということを言つておられる。つまり独立採算制が目的だというように拜察するのであります。ところがこういう意味から、今度は提案理由を拜見いたしますと、新聞通信、放送関係は一般に比べて安い。それから警察の電話通信も安くしているということを一方からおつしやつているが、この辺はちよつと無理が出て来はしませんか。たとえば独立採算制という一つ企業体として進もうとするのだが、私的企業のいいところはとつて来るのだということになりますと、特定のものだけに利益を与えるということは、企業体としてはどうかと思う。放送であつて通信であつても、公共的なものである。警察も公共的なものでしようが、公共的なものであるがゆえに優待してやらなければならぬということは、その企業自体からは出て来ない。別に国が施策をとるべきだと思う。そこでこういうものに対して、経営形態をかえられた場合、これからどういう御方針かということを一点お聞きいたしたい。
  69. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 一口に電信電話と申しますが、いろいろの扱い方をいたしておるのであります。従いまして経営上から区分をしての原価計算を、相当嚴格にいたして参りますれば、ただいま御指摘になりました新聞、通信あたりは、原価を割つておるじやないか、警察もそういうことになるのじやないか、どうして原価を割らすのだ、こういうことになります。他方において原価以上のものをとつているのじやないか、なぜそれを原価以下に切下げるのかというお話でありますが、ここに経営上の苦心があるわけであります。それをもつとわかりやすく申し上げますれば、利益の上る方のものは、おそらく一通話ごとに見ますれば、ごくわずかの利益でありますが、非常な度数が重なることによりまして、非常に大きな利益が生れて来るので、実はこれを減らしようがないのであります。それからもう一つの安い方の扱い方の問題であります。おそらく新聞、通信——あるいは警察はちよつと考え方が違うでしよう。先ほども申しましたように、利用回数その他の問題もありますので、これは幾分か違いますが、新聞、通信等について特に同情のありますゆえんのものは、おそらくこれは議論をいたさなくてもおわかりであろうと思う。そこで私どもといたしましては、こういうものに対しては安くいたしまするが、この安くいたしました結果、他面においてこれを補うために、非常に苦痛になるような料金制度を設ける考え方は毛頭ない。従いまして総体として考えますると、一応納得の行く料金体系に実はなつて来るのであります。ここらにこの事業自身の問題として、純論理的ばかりにも行かないものがあるわけであります。やはり総合的経営という点からの建前であります。だから問題は、あるものは安くなり、あるものは高くなるということはやむを得ないといたしまして、その率に格段の開きがあるということは不都合でありますので、私どもも採用しないが、まずがまんのできる程度の差はやむを得ないだろう。そうして総体としての採算がとれるかとれないかということを見ようという考え方なんであります。
  70. 石川金次郎

    ○石川委員 あと一点伺います。電気通信の不正事件についてでありますが、この前八月七日の国会におきまして、高塩委員が質問されましたのに大臣は答えられて、「不正不祥事件が続発いたしますことは、何と申しましても残念でたまらないのであります。私どもといたしましては、今後監督者、現場を問わず、部内を一層引締めて参りまして、再びこの種の不正事件が起らないように、十二分の指導と監督をいたして参るつもりであります。」と述べておられますので、私は安心しておりました。ところがまた三鷹における事件が出た。これは何も大臣の責任だと申し上げるのではございません。私も弁護士をやつておりますから、犯罪の起り方というものは、どこに責任があるかということにつきまして、簡單に責任呼ばわりすることはできないということは知つております。しかしこのうちで一つ聞いておきたいことがある。高塩委員の前会の質問の中に現われて参りました丸の内電気通信管理所に起つた事件であります。この浮貸しをやつた一千万円の手形には、銀行の支払い保証が出ておつたというのでありますが、その後の経過において一千万円は御回収になりましたかどうか。
  71. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 ただいまお話の件は、訴訟をやつておりまして、明日判決のある予定になつております。
  72. 石川金次郎

    ○石川委員 これは原告があつての民事の請求でしようね。
  73. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 もちろん民事でございます。この訴訟は浮貸しをやりました水越が原告となつて、訴訟を提起しております。そして今までの模様では、おそらく水越が勝つのではなかろうかということを、われわれ想像いたしております。役所といたしましては、その訴訟が済みますれば、その債権は役所の方にただちに取上げまして、役所の方に損害がないようにしたいという予定であります。
  74. 石川金次郎

    ○石川委員 被告はだれです。
  75. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 被告は手形保証をいたしました静岡銀行になつております。
  76. 石川金次郎

    ○石川委員 使い込みました人から電気通信省に対して、債権讓渡するという約束が成立したのでありますか。
  77. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 先の言をちよつと訂正いたします。被告は中西某とそれから静岡銀行の両方になつております。そういたしまして債権の関係につきましては、御指摘のように問題があるのでありますが、私どもの方ではいろいろ検討いたしまして、本人との間にまだ債権の讓渡はいたしておりませんが、これが債権讓渡予約とでも申しましようか、債権が確定いたしますれば、役所の方に債権を讓渡するというぐあいな契約を結んでおる次第でございます。
  78. 石川金次郎

    ○石川委員 その他下関、神戸、秋田と三箇所ありましたが、この結末はどうなりましたか。
  79. 靱勉

    ○靱説明員 三件につきましては、それぞれ当該非行為のあつた者に対しまして、懲戒処分をいたしております。それから役所で不当支出と認めまして、返還を請求するものにつきましては、それぞれそれらの人に返還するような措置をとつております。
  80. 石川金次郎

    ○石川委員 返還処置をもう少し知らしてください。小さいようですけれども、これは国民の金ですから、たとい何十万であつてもお聞きしておきたい。役所に使い込みがあつたら使いつぱなしか、刑事事件になればそれでよいのか、そうではないのか、やはりこれを回収するように努力するのかどちらかをみんな知りたいのですから、請求して調査した結果がどういう関係になるかということを、小さいことですが伺いたい。
  81. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 ただいまの三件の大体の内容につきましては、御案内のように今予算執行職員等の責任に関する法律というのがあります。それによりまして、政府の予算を非常に不当に使用いたしましたので、その法律を適用いたしまして、弁償を命じたのであります。神戸につきましては七十万円弱、下関につきましては三十万円ほど、それから秋田につきましては約十六万円の弁償を命じたわけであります。
  82. 石川金次郎

    ○石川委員 弁償を受けましたか。
  83. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 秋田の場合と下関の場合におきましては、本人が全額をただちに弁償する能力がございません。従いまして本人から分割納入を申出ましたので、私の方でその分割を承認いたしました。神戸につきましては、私どもの方では一応弁償能力ありと信じておるのでございます。従いまして、本人はやがて弁償して来るものと予期いたしております。
  84. 石川金次郎

    ○石川委員 こうして弁償して入つて来ました金は、費目の何に入りますか。
  85. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 これは雑収となつてつて来る予定であります。
  86. 石川金次郎

    ○石川委員 それでは不正の金額が出ました場合に、勘定は今度どういうことになつて来ますか。雑収でよいか。一面貸借対照表で見て行くと、入るべき金がなければならないのですが、それは何になりますか。損失を受けた場合にはどういうように措置しておりますか。
  87. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 当該年度にすぐ入つて参ります場合は、定額戻入と申しまして、予算としてまた本筋を通して使うことのできることは、御案内の通りでございます。しかし今問題になつておりますのは、二十五年度のことでございます。従いましてこれは雑収として入りまして、金が入つて参りましても、また新たに予算に組まなければ予算としては使えない。従いまして当該年度といたしましては、それだけ工事費がむだに使われたということになりましよう。しかし資金としましては返つて参りますので、新しく予算化されて工事に使われる、かようになる予定であります。
  88. 石川金次郎

    ○石川委員 二十五年度事業として使つたとおつしやるのですが、それを二十五年度の決算に、事業費として使つたということでなく、不正にこれだけ使われた。こう決算するわけに行きませんか。そうしますと私たちは、どこそこの省にはどれだけの不正支出があつたということがわかるわけですから、その方法予算上あるいは会計法上とられないかどうか、とつてはならないかどうか、それをお知らせ願いたい。
  89. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 この事件は、私どもの方でそれぞれ処分いたしまして、検査院にも報告いたしました。検査院には先ほどの報告でも申し上げました通りを報告いたしております。従いまして検査院から、おそらくそれだけの不正使用があつたということで、国会に報告になりまして、決算委員会審査を受けることと存じております。
  90. 石川金次郎

    ○石川委員 この事業についてこれだけの不正支出があつたということの会計検査院の報告は拜見しております。しかし電気通信省として、事業費は実際支払わなかつたのだから、その決算にあたつても、このような不正の支出があつたということを、決算書に明らかにすることはできないのですか。そういう方法をとられないか。とられないとすればどういう法律がじやまでとられないかということをお聞きしたいのです。
  91. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 これは、工事をやりました当該年度の建設勘定の決算は済んでおります。これだけ使つたということになりまして、固定資産にすでに入つて来てしまつております。私ども発見いたしましたのは、その後年度決算を過ぎてしまつてからでありますから、決算を直すことはできませんので、その点御了承願いたいと思います。
  92. 石川金次郎

    ○石川委員 それでよくわかりました。次に三鷹の研究所、これはどのようなかつこうで、どのような損失なんですか、この内容をお知らせ願いたい。
  93. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 実は今私がこちらへ参りまするときに、通研の事務長が参りまして、説明を聞きかけておつたのでありますが、こちらの方へ早く来いという電話がかかりまして、途中で出向いたのでございまして、あまり正確なところは存じませんが、大体メーカーの方へ支払う金を支払いをしませんで、少しく横領使用しておつたということがあるようでございます。そのほかの件も少しあるようでありますが、この点よく確かめました上で御報告申し上げたいと存じます。
  94. 石川金次郎

    ○石川委員 その金額はどれほどですか。これを聞きますのは、二円の電話料が五円になる、それと何も関係がない。こう言われるかもしれませんが、払います方からいいますと、そのようにさんざん横領されたり使つたりされて、その損失を電話料でやるのかということになりますから、お聞しておきたいと思います。
  95. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 ただいまの件は、私どもの監査とか、あるいは会計検査で発見したのではありませんで、検察当局でやつておりますのを、進行模様をはたから聞いておるのでございます。そういう状態でございまして、実は私どもの方でまだあまりつまびらかには存じないのであります。なお検察当局で調べました現在の進行模様も、ある程度通信研究所の方では知つておるようであります。その関係を実は先ほど申し上げましたようなわけで、ちよつと時間の余裕がなかつたので、私はまだつまびらかにいたしていないという事情でございます。ひとつ御了承を願いたいと思います。
  96. 靱勉

    ○靱説明員 この事件は、はなはだ遺憾な次第でございまして、現在四名問題になつております。そのうち二名は起訴になつておりますが、あと二名は目下取調べ中でございます。大体のところは、不用品を売却して、かりに受取つたものが百万円程度であります。それから製造会社に支払うべき金のうち、一応全部支払つて支払つたことにしまして、個人貸借としたのが約二百万円程度、これは要するに役所の公金を横領したということじやなく、買つたところへ支払うべきもののうちから、個人貸借に二百万円程度した。先ほど申し上げましたのは不用品でございますが、これは公のものでございます。それを売払つて借受けしましたところのものを百万円程度というふうに報告を受けておりますが、まだ全体の調査が全部はつきりいたしておりませんので、大体ただいま申し上げた程度のところで、金額として現金としましては百万円程度ではないかと思つておりますが、何分にもただいま経理局長からも御説明申した通り、目下取調べ中でございまして、私どもの方で最後的に詳細にはいたしておりません。御了承願います。
  97. 石川金次郎

    ○石川委員 これは念を押してお聞きしますが、メーカーに二百万円支払つてまた借りた。そこで責任がないというのですが、役所としましてメーカーから受領証が入つておりますか。
  98. 靱勉

    ○靱説明員 実は受領証は入つておりますので、私どもの方で発見が困難だつたわけであります。
  99. 石川金次郎

    ○石川委員 そこでもう一つお伺いしたいのでありますが、先ほど大臣にお聞きいたしましても、大臣は大きなことしかわからない、大綱しか握つておられぬようですからやめましたが、物品の購入、経費の節減、資材の買入れ——これは物品の購入と同様でありますが、この点についての節約の方法はありませんでしたろうか。これは事務次官にお伺いいたします。
  100. 靱勉

    ○靱説明員 物品の購入につきましては、私ども電気通信省といたしまして、かなり原価計算をいたしまして、相当他に比べましてと申し上げては語弊があるかもしれませんが、価格については適正を期しておるつもりでございます。在来電気通信機材につきましては、電気通信省が非常に大きな買主でございますが、もちろん他にも御承知通りございます。それらと比較されてみましても、非常に私どもは原価計算をやかましくやりまして、むしろあまりたたき過ぎるという非難があるかと思われるくらい、あるいはまた資材の値上り等に対しましても、なかなかその値上げに応じない時期的に非常に遅れているという非難も一部からあるわけでございますが、私どもただたたけばいいという観念ではなく、これはなかなかむずかしい点ではございますが、できるだけ材料を集めまして原価計算というものをやつて、そこに若干の利益を見て行くというような方法で、物品の購入につきましては、価格につきましてかなり嚴重にやつておるつもりでございます。ただ御質問の物品の購入について、さらに経済的にできないかという問題につきましては、やはり私どもとしまして、あまり寝るということは困る、そうかというて御承知のように電話設備におきましては、非常に多くの部品機材がいるわけであります。一つの部品が到着しないために、全体の施設を動かすことができないというような例もあるわけでございまして、この物品を購買し、これを配給するということにおきまして、さらに企業的に改善をいたして行かなければならぬという点はございますが、今回の料金値上げにつきまして、もちろん経営合理化というものをさらに推進して行く、その上に立ちまして、なお料金値上げをせざるを得ないというようなところで、御審議をお願いしておる次第でありますが、百億が百億全部そうなつておるかとおつしやられますれば、これは人間の努力でございまして、私どもの率直なる今後の努力の決心を示しまして、御了解を得たいという考えでございます。
  101. 石川金次郎

    ○石川委員 この点についての次官の御苦心はよくわかりましたが、どうもわれわれの側からいえば疑いがある。というのは、ただいまメーカーから、支払つたことにして二百万円を借りたという。メーカーからいえば、その人を信用して貸したのかもしれない。それはいい。それはいいが、一般の受ける感じは、メーカーにそれだけの利益を与えるから、係員に二百万円も貸すのじやないか。二百万円といいますと、政府の金から見ますれば小さい金だけれども、われわれから見れば大きな金であります。そういうことが現われて参りますと、資材購入について注意すべきところが十分あるのじやないかと思われる。それが一つ三鷹で発見された。しかしまた他の不正事件もあつた。こうなつて参りますと、どこにもありはしないか。全国のどこにも関係がありはしないかと思われる。人聞はあらゆるときにおいて善意を信じなければなりません。けれども悪が出て参りますと、ここに悪あらずやと思うのは人情の自然であります。そこでこうして参りますと、あなた方の御努力がさらにこの資材購入等の、そういう経営方法へももつともつと注意を向けなければならないのじやないだろうか。現に参考人の方が来て、経営の面についての経費の節約すべきものが電通省にあると言つておる。その努力をこれほど示して、なおかつ料金をこれにしなければならなかつたのだということを、もつと詳しく説明できませんか。
  102. 靱勉

    ○靱説明員 まことにごもつともな御意見で、私どもがこれに対して少しでもむだがありますれば、これは何とも答弁できないわけでございますが、経費の節約につきましては、今回の補正予算におきましても、節約額を大臣から申し上げた通りお示ししてあるわけであります。十億ばかりの経費節約をやつておるわけであります。物品の購入等につきまして、さらに徹底的な遺憾のないように期するということにつきましては、私どももちろん最善の努力をいたす決心でございます。それからその他の面につきましても、これは経費の節約ということ自体につきまして、いろいろ仕事のやり方、たとえば全体的に人事給与制度が非常に複雑しており、それを簡素化することによりまして、さらに経費も浮いて来る、手数も浮いて来る、こういうような点を私どもは考えておるのであります。今度の人員整理も、もちろん事務の整理、簡素化と伴いまして、経費の節約、人員の縮減、こういう方向になつております。一例を申し上げますと、市内出張等の場合におきまして、わずか四、五十円の電車賃をもらうために、それに要する経費が六十円も七十円もしておつたというような、非常な矛盾もあつたわけであります。そういう面をさらに全体的に考え直して行く、これは單に電通省だけの問題ではないと思います。私ども電通省発足以来、この点につきましては常に経費の節減ということに努力いたしておつたのでございますが、一々これはこういうふうに節約になつたという実証もあるのでございますが、全体といたしまして、私ども能率向上対策といいますか、増収対策ということを数年来やつておるのでございます。同じ施設を運用いたしますにつきましても、これを能率的に運用いたしますと、収益がふえて参ります。今度の値上げに対しましても、できるだけ施設能率的に動くという前提のもとに、収入も見込んであるのであります。それでもなお支出がオーバーしておるというので、料金値上げという最後の手段に訴えた次第でございますが、一方その能率向上対策ないし増収対策におきまして、一定の経費をさらに節減した場合には、若干これに対して報奬する。それから予定の能率以上に運用いたしまして収入をあげた場合にも、若干の報奬をする、こういうような制度によりまして、実は数年来電信電話事業の収支というものは、ともかく独立採算制をとつて来た、こういう実績を示しておるかと思うのであります。赤になればこれをそのまま一般会計から補給される、あるいはただちに料金値上げに訴えるというような方法は在来とつておりませんし、ことに過去の料金値上げにおきまして、決して容易に料金値上げができたわけではないのであります。国家機関といたしましても、物価庁、大蔵省その他が非常に嚴格なる調査をいたしまして、ほんとうにむだがないかどうかということを、嚴重に他の機関からも、事業経営の実体をつかまれておるような立場でございまして、今御指摘の点一々、たとえばこういうことをやつて何千万円節約したとか、ただちに申し上げられないのは残念でございますけれども、そういう方法によつて数年来やつてつております。
  103. 石川金次郎

    ○石川委員 今度は別な方に移ります。この法律案の提案の説明書によりますと、人員整理は七千四百四十一人と現われておりますが、大臣の説明資料という方には、九千八百三十八人と現われておる。多分定員の関係と現実の整理の関係から現われたことと思います。この数字がどうしてこうなりますか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  104. 靱勉

    ○靱説明員 それは、大臣の御説明の印刷物には七千と書いてございますが、誤解を生ずると思いますから、大臣の御説明の中にはその前に、九千八百三十八人であつて、損益勘定に属するものが七千云々というふうに説明してありまして、総体といたしましては、九千八百三十八人でございますが、損益勘定の方と建設勘定の方と、その勘定の違う人がございます関係で、この七千というのは損益勘定においては、ということが入つておるはずでございます。ですから、建設勘定にその差というものが入つておる次第であります。
  105. 關内正一

    關内委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕
  106. 關内正一

    關内委員長 速記を始めて。
  107. 石川金次郎

    ○石川委員 ところで、七千四百四十一人の整理で、十二億の年間の節約になる、こう言つておりますが、退職金等を支出する、そういう点から考えますと、実際本年度はどうなつて来るのですか。
  108. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 本年度は損益計算におきましては、その一部を整理するだけになるわけであります。従いまして本年度の節約といたしましては、一億足らずの金になるわけです。料金値上げの場合に、十二億と掲げてありますのは、これは料金値上げは一応平年計算で勘定いたしまして、そしてその経費収入とがどうなるかということを見なければなりませんので、そこで損益勘定に属しまする七千四百四十一名を減員いたしますと、十二億余りの金額になる、こういうことになつております。
  109. 石川金次郎

    ○石川委員 ところで提案説明によりますと、電信の方につきましては、収入の金額を書いてありますが、電話の方には書いてございません。電話収入がどうで支出がどうか、ひとつお示し願いたいと思います。
  110. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 ただいまのは、平年収支の場合でございましようか。
  111. 石川金次郎

    ○石川委員 平年収支でよろしゆうございます。二十五年度の収支でよろしゆうございます。提案理由の説明にあります電話の方と相対応して、ひとつお伺いします。
  112. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 平年収支におきましては、収入のところで電信電話収入とありますが、電信収入は九十五億であります。それから電話収入は三百七十億余り、それから工事収入が十一億円余り、それから雑収入が十三億円余り、そこで合せまして四百九十億という数字になるわけであります。これは二十五年度末におきまする電信電話の設備をもちまして、一年間仕事をやりました場合に、どれだけの収入が上るかという数字でございます。そうしますと、こういう数字になるわけでございます。
  113. 石川金次郎

    ○石川委員 この法律案の提案理由説明によりますと、電信の方では三十八億円赤字が生ずると書いてありますが、電話の方につきましては書いてございません。そこで先ほどの参考人の話にもあつたのですが、従来皆さんの御説明のうちにも、電話収入をもつて電信赤字をカバーしているのだ、こういう御説明があつたのですが、そこで電話はどのような利得があつたのかを、ひとつ聞いておきたいと思います。
  114. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 工事収入等はもちろん大体見合つておりますので、電信で赤を出しましたそのものだけ、電話の方で大体黒字を出して補つている、こういう形でございます。
  115. 石川金次郎

    ○石川委員 それで次官にお伺いしたいのでありますが、電話で利得があつた、それを損失のあつた電信に振り向けて行くということは、その一企業体において採算をとつて行く、企業合理化をはかるという点と、どういう関係になりますか。これは損があるからしかたかない、こうやつて経理して来たというなら別であります。この点はおとといでありましたか、自由党の長谷川委員から問題になつたようでありますが、もう少し聞いておきたいと思います。電話のもうけを電信赤字の方に補填して行く、こういう形態のままで、一体公共企業法をこしらえて行こうとなさるのか。電話電話一つ企業と見て、電信電信一つ企業と見て、企業体系をおつくりになろうとするのか、これをお聞きしたいと思います。
  116. 靱勉

    ○靱説明員 結論を申し上げますと、電信電話を合せて一つ事業として考えて参つておる次第でありますし、今後公共企業体になる場合におきます事務当局の準備としましては、一体的に考えておる次第であります。その理由と申しますのは現在の電信電話との関係というものは、非常に一体的な関係がございまして、要するに電報を送信する線路というものが、全部電話によつておるわけであります。なお話を別の方から申し上げますと、電話一回線で電信十二回線の搬送回線がとれるというようなことで、電話と一体的に経営しておるために、非常に電信としましては経済的な運営ができておるというふうに考えられるのであります。しからばなぜ赤字が出るかという問題になるわけでございますが、これはやはり電話に比べまして、電信は明治二年以来、国民の電気通信を利用いたしますところの、一番大衆的なものである。従つて全国津々浦々どこでも電報が行けるように、現在の仕組みはなつておるわけであります。従いまして一日に一通か二通の電報しか来ないところでも、やはり電報が受信され、配達され、あるいは受付けて他に送るというような形になつておりますために、かなりそういう面で経費や人の労働力にむだができておる。と申しては語弊があるかもしれませんが、一定時間流れ作業的に一つの事務ができない。もちろんできるだけこれを経済的にやるために、郵便局に委託業務として取扱つていただく。あるいは非常に通数の少い場合には、一定の契約のもとに配達をいたすというような方法もとつておりますが、全体といたしまして、電報におきましては、なお人的な経費の面におきまして不経済になつておる。しかしながらこれを他の部門に転換するといたしましても、これはあるいは租税なりその他によつて補給されなければ、電信の維持はできない。一方電話におきましては、二十五年度決算におきまして、電信電話を通じますと、決算上は約九億の赤字になつておるのでございまして、電信は決算で三十八億円赤字でございますが、電話の方の収入を見ますと、若干減価償却を増すということになりますと、ただちに赤字になる。電話自体は黒字というように先ほど参考人の方がお話になりましたが、これは私どもの説明が悪かつたのかと思います。電気通信白書におきまして一応黒字となつておりますが、この黒字の内容は、とくと説明してあるのでありますが、そこまではなかなか読んでいただけない。ただ黒字だということで、頭でお考えになる。これは私どもの書き方が悪いかもしれませんが、実際に減価償却を完全に見て参りますし、また年限のたつた老朽したものではなくても、それは減価償却をして行きますし、平素の保守を十分にやつて故障が起つたらすぐ直しに行けるというような人員を配置するとしますれば、電話赤字でございます。最近の物価高で換算いたしてみますれば、局舎から、土地から、市外交換台、市内交換施設、全部つくるといたしますれば、一個につき二十五万円かかる。これはアメリカにおいても同様な金がかかるというふうに換算されるのでありますが、それに対して資本利子を見ましても、一個どのくらいの収入があるべきかということが出て来るのであります。現在大体電話機一個によりまして、二万七、八千円の収入となつております。しかしながらこれでは減価償却を今度のように五・八%いたすといたしまして、また二十五万円かかるという計算をしますれば、一個につき年五千円の赤字が出て来る、こういう計算であります。今度の料金値上げによりまして、それでは今まで通り利用されるとしたら、一個につきどれくらいになるかと申しますと、約三万三、四千円の収入となります。そうしますと先ほどの五千円の赤字というものは、約一千円程度年々赤字になるのであります。それでは経営ができないじやないかという点につきましては、二十五万円かかる施設ばかりではないのでございまして、ほかから持つて来た施設がありますから、それをつきまぜて、そういうような計算になるという結果が出て来るのでありますが、とにかく現在の料金では今後取替をしたり、あるいは修繕をするというものに対して十分でない、これは赤字ということがはつきり計算上出て来るわけであります。そういうところで料金値上げとなりますが、ただいまの電信電話を一体として考えて来るのは不都合ではないか、ことに電話収入電信赤字を埋めるというのは何事かということにつきまして、これはあくまで私ども国民に電気通信の便益を提供する。一体的に、独占的に電話経営をしておるものが、電信とあわせて行くことが、施設面からいつても最もいいということになりますれば、その赤字を総合的に考えて行くことは、私はこれは一つの政策として必ずしも不当ではないと考えます。また一方、電話加入者から、おれたちだけそういう税金を払わされてはかなわぬ、こういう御主張に対しましては、いささか詭弁かもしれませんが、電話はそれではほんとうに税金を納めているでしようか。利用者だけが投資をしているのではありませんで、多くの最近の投資というものは、国家資金をもつて投資しているのでありまして、いやしくも資本を投資して、プロフイツトの上らぬのは何事だ。こういうようなことを考えて参りますれば、電信の三十億円前後の赤字を負担することが、電話加入者に対して非常に酷であるというような批判もないのではないかというふうに考えておる次第であります。
  117. 石川金次郎

    ○石川委員 われわれの受けまする感じというものは、豆腐屋がありまして、豆腐と油揚げとを売つている。油揚げの損失を豆腐のもうけで補つて行く、そういうことは独占企業だからできる、こういうように思われるのであります。従つて電話料の利益で、どうしても電信事業をカバーして行かなければならぬ。電話電信が一体不可分であるのだ、そうしなければ経営ができない。そうすることが最も経営合理化であるのだということを、ひとつ国民に徹底するように万般の御配慮を願いたいと思います。  次に私は平和條約と御所管の事業の関係について承りたいと思いましたけれども委員長盛んに時計を見られまして、あまり長いからやめろという御趣旨かと思いますので、他日また機会がありましたら、この点をお聞きしたいと思いますが、どうか御研究の上でお知らせ願いたいと思います。
  118. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 次官にちよつとお尋ねいたしたいのですが、電話料金の改正に伴いまして、依然として普通の通話、急報、特急という三段階というものが、これに出ておるように見られますが、この方法料金改訂後もとるお考えでございますか。
  119. 靱勉

    ○靱説明員 特急はなるべくやめたいということで、私ども計画を立てたのでございますが、現在の市外回線の状況をもつてしましては、特急をやめますと、かえつて緊急通話要望に対しておこたえできないという区間もあるということで、やむを得ず特急制度というものが置いてあるのでございます。将来、と申しましても、なるべく近き将来ということを期待するわけでございますが、市外線路が整備されますれば、ほつておいても、これはなくなりますが、また積極的にそういうかつこうは、なるべくやめまして、至急と普通ぐらいにいたしたい、こういう考えでございます。
  120. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 それは次官の非常な詭弁じやないかと私は思う。少くとも特急という例は、おそらくどこにも見受けられない。これは特別な処置を戰時中にとられたのじやないか。さらにこれを今後持続して行くというのは、終始増収のみに目的があるのだ、かくのごとくにしか考えられない。特に増収期間中は、特急のみを要求するという現実がこれを物語つておる。こういうような点について、私たちはこの料金値上げに対して何ら反対するものではないけれども、この一項目だけは絶対賛成はできないのであります。従いまして、今後この収支のバランスがとれた場合には、これは撤廃する意思があるかいなやをお伺いいたします。
  121. 靱勉

    ○靱説明員 現在の料金実態を調べてみますと、ただいまおつしやられた通りに、確かに特急料金によつて相当の財源を得ております。従いまして特急通話制度を廃止すれば、至急通話なり普通通話料金——基準は普通通話でございますが、普通通話料金を相当値上げしてバランスをとらぬと、収入確保ができないだろう、そういうような意味合いの点をつかれておりますが、実際におきまして、さような次第なのであります。そこで今特急制度をただちに廃して行つた場合に、そういう収入面の問題もあることは事実でございますが、今度の料金制度におきまして、即時、準即時区間においては、特定料金を設けておるという点は、将来なるべく特急あるいは至急というものを廃して、即時、準即時区間が完成されますれば、特定料金で行ける、こういうことになるわけでございまして、いつまでもこれを存続すべきものでないことは、私どもも同じような考えで進んでおる次第であります。そこで収支のバランスがとれた場合に、特急制度を廃止する意思がありやいなやという点につきましては、収支のバランスがとれます場合におきまして、全体的な利用関係等とにらみ合せまして、何とか特急制度を廃止できるならばしたいという考えでおる次第であります。
  122. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 大体大づかみのバランスで、特急、急報、並報、これの収入はどの程度になつておるか、御説明を願います。
  123. 田邊正

    ○田邊説明員 現在特急による収入は、全体の収入の約四〇%でございます。それから至急通話による収入が約一六%になつております。残りが普通通話と定時、予約等でございます。
  124. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 次官の御説明ではつきりわかりましたが、私たちはどうしてもこの特急制度だけは、早急になくしてもらわなければならない、私はそれを要望いたしまして、これで打切ります、
  125. 關内正一

    關内委員長 これにて質疑通告者全部の質疑は終りましたが、他に御質疑はございませんか。——なければ、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  本日はこの程度にとどめまして、次会は明二十六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十一分散会