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1951-10-24 第12回国会 衆議院 電気通信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十四日(水曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 庄司 一郎君 理事 高塩 三郎君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君       大西  弘君    岡西 明貞君       中村  清君   橋本登美三郎君       福永 一臣君    椎熊 三郎君       畠山 重勇君    石川金次郎君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 亀三君         電気通信事務官         (経理局主計課         長)      井田 勝造君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (大臣官房審議         室長)     金光  昭君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         電気通信技官         (施設局長)  吉田 五郎君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  電信電話料金法の一部を改正する法律案(内閣  提出第六号)     —————————————
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより電気通信委員会を開会いたします。  議事に入る前に昨日の委員会におきまして、委員長に御一任を願いました参考人選出の件について御報告いたします。本件につきましては、すでに各委員のお手元に印刷物で配付いたしました通り電気通信協会会長梶井剛君、日本新聞協会編集部長江尻進君、全国電気通信従業員組合書記長鈴木強君、東京商工会議所副会頭の清水康雄君、以上四名の方々を選出いたしました。以上御報告をいたします。     —————————————
  3. 關内正一

    ○關内委員長 それでは前会に引続き、電信電話料金法の一部を改正する法律案を議題とし、その質疑に入ります。質疑通告順にこれを許します。橋本登美三郎君。
  4. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 電信電話料金改訂につきまして、二、三政府当局の御説明を願います。  まず第一には、大臣説明にもありましたから、大体のところは了承いたしておりますけれども、今回の値上げに対する値上げ体系といいますか、基本的な体系をどこにおいて今回の値上げの案がつくられたか、まず第一点をお伺いいたします。
  5. 靱勉

    靱説明員 お答えいたします。昨日大臣から提案理由において御説明申し上げました通り物価騰貴あるいは給与ベース改訂等によりまして、電信電話維持が困難である。すなわち歳出が増大いたしまして、現在の料金によつて歳入では、あるいは事務簡素化による人員の整理、あるいはまた事業経営合理化というようなことをやりましても、歳出に要する歳入がどうしても不足であるということによりまして、やむを得ず電信電話料金改訂をいたさなければならぬということになつたのでありますが、根本的に申しまして、電信電話はわが国におきましては国営事業といたしまして、公共的な経営をやつておるのでございますから、できるだけ利用者負担をかけないように、要するに安く、いいサービスを提供できるということが、事業経営の根本でございます。しかしながらやはり事業経営のもとにおきましては、適正なる料金のもとに経営されなければ、健全な発達はできない。そこでいろいろと原価につきましてもでき得る限りの検討をいたしまして、さらに経費の節約という面におきましても一層の努力をいたしまして、最小限度料金値上げという結論なつたわけであります。しかしながらそれではこれによつて辛うじて現在の施設維持運営できるのかという点につきましては、すでに御承知のように、現在の施設維持運営も必ずしも十分に行つておりません。従いまして私どもぜひこのサービスを正常化するためにどうしても必要な経費は、やはり認めていただかなければならないというような観点から、やはりサービス改善ということにつきましても若干考慮いたしまして、この改訂案を作成いたしたのでございますが、全般的に料金値上げということは、現在のいろいろな面に影響を及ぼす関係もありますし、この際最も合理的なる事業経営をするような料金を算定するということは、現在の時期において、必ずしも十分達成することは困難であるというような制約もあつたわけでございまして、やむを得ざるに出た料金改訂だけが認められるというような態勢のもとにおきまして、十分それを達し得るというふうには考えられないのであります。これらはさらに経営やり方をもつと合理的に、能率的にすることによりまして、せつかく料金改訂いたしまして、サービスが辛うじて現在程度維持できるということでなく、むしろ私どもはさらにくふうを凝らしまして、サービス改善ができるようにという含みをもつてこの料金改訂をいたした次第であります。  なおまた現在の料金は、戦後物価の高騰に伴いまして、そのときどきの情勢に応じまして、ある一定率をもつて上げて参つておりますので、実際のサービスの実態から、あるいは経営の実際にかかる実費と申しますか、そういうものから計算いたしてみまして、料金相互間に必ずしも権衡がとれていないという点もありますから、できるだけこれを均衡のとれる料金にするというような根本的な観念のもとに改訂をいたしたわけでございます。
  6. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 次官の御説明の全般はよく了承しておるのでありますが、今回のこの改訂料金の率はいろいろな面においてかわつております。最高一五〇%から最低一六%、こういうように改訂基礎相当大幅に差がある。かようにいろいろな事情からして料金値上げしなければやつて行けないという事情はわかつておるのでありますけれども、こういうような改訂率が大幅に違つておるということについては、やはり電気通信省として、従来の料金基礎が必ずしも実情に合つておらなかつた、従つて現実実情から照し合せてこの差を設けたという一応の説明は、大臣の御説明の中にもあるのであります。なおこの点に関しても、従来の不合理な点は大幅に是正されておるようでありまするが、なおわれわれこの中を見ますと、地方において相当に過重な点がありはしないか。従つて現在のこの改訂料金基本線が大体において合理的なものか、なおこれは暫定的であつて、将来なおこれらに対して改訂をする考えがあるのかどうか、その点の基本的な問題についてお伺いしたいと思います。
  7. 靱勉

    靱説明員 ただいまの御指摘の点は、地方電話においてはやはり都会に比べて少し割高ではないかというような点を中心としまして、さらに将来是正する意思ありやいなやという御質問でございますが、現在におきましては、計算いたしますと確かに地方の方が負担は高いのであります。しかしながら一方収益の関係から見てみますと、地方におきましては、これは必ずしも黒字になつておりません。これは結局集団的にある電話と、地方におきまして割合に散在的にある電話との間におきまして、やはり人件費等におきまして不経済になる点があるのでありまして、これは公共的に電信電話を取扱うという見地から見ますれば、単に一箇所だけの収支計算をもつて、ただちにそれがペイするようにするということは、これは私ども料金政策としてとつておりません。全体的なにらみ合いにおきまして、できるだけ国民利益に合致するようにという精神で、料金を策定しなければならぬというふうに考えておる次第でございます。そういう意味合いにおきましては、さらに地方を軽減するようにということも私ども一応考えた次第であります。しかしながら都会等におきまして、あまりに急激に料金改訂をするということも、ある限度があるのでございまして一応この際こういう程度にいたしまして、現在のものは相当是正されるというふうに考えておるのであります。将来の問題につきましては、私どもこれ以上上らないようにいたしたいというような考えは持つております。コスト的に見ましてももつと軽くいたしまして、電話料金なり電報の料金を今後は下げて行く。下げて行く場合における最も合理的な是正というものは、かなり楽にできるのではないか。上げて行く場合に一挙に是正をやりますると、どうしてもあるところには非常なパーセンテージの値上率を見なければならないというふうに考えておりまするので、国民所得から見ました負担から見ましても、決して電信電話料金が軽いとは私ども考えていないのでありまして将来はできるだけコストを安くしまして、値下げの場合に是正して行くというようなことを現在は考えておるような次第であります。
  8. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体その御方針については了承いたしました。  個々の問題について伺います。電話料金増収率についてでありますが、年々増収率に変化が来ておると思います。本年度においても多少の増加があるのじやないかと思うのですが、来年度のもの想定する場合において、本年度増収率基準にしたのか、あるいは過去三箇年間増収率基準にしたのか、この点についての御見解をお尋ねいたします。
  9. 肥爪亀三

    肥爪政府委員 増収率につきましては、過去三年の状態を見まして、大体平均をとつて計上しておるわけであります。
  10. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 過去三箇年間増収率は、どのくらいになつておりましようか。昭和二十六年の七月から最近までの増収率比較をお示し願います。
  11. 肥爪亀三

    肥爪政府委員 今各年度増収率につきましては、ちよつと手元に資料がございませんので、後刻整えましてお手元に差上げたいと思います。
  12. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 それではその点はいずれお知らせを願うといたしまして、度数料金が一五%の値上げになつており、これに対して利用減を二〇%と見ておるのでありますが、一五〇%の値上げに対して二%の減収率というのでは、はたして予算通り収入があるかどうか。この点について、政府当局の確信のあるところを承りたいと思います。
  13. 靱勉

    靱説明員 一五〇%の値上げに対して、二%しか利用減を見ていないという点について御質問でございますが、私ども実は現在の利用状態を見てみますと、なかなか有効な通話ができない。疏通率の点におきまして、大都市における非常に悪い状態におきましては、すなわち最繁時におきましては疏通率が十回に二回なり、三回である。こういうような現状を見ますと、大都市の、特に電話利用を多く必要とする方面におきましては、あまり減少率を見る必要がないのじやないかというふうに考えます。しかしながら度数制を施行しておりますのは、必ずしも大都市ばかりではないのでありまして、その結果若干の減少率を見ざるを得ないのではないかということで、これは非常にむずかしい点でございますが、五%という計算もいたしてみたこともあるのでございますが、結論的に二%といたしましたのは、現在の電話利用状況から見まして、なお相当利用の需要もありますし、また五円ということは、現在の二円を基準といたしますと、きわめて大幅な値上げになるわけでございますが、これは利用の効果と申しますか、他の交通通信等料金との比較から見まして、非常に驚くべき値上げでないというふうに了解できるのではないか、あるいは一時減少率は二%以上に上まわるかもしれませんが、大体時間の経過によりまして、またある程度もどつて来るというようなことも考えまして、最小と申しますか、二%におちつけた次第であります。
  14. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 政府当局の方では、見通しとして大体二%程度で済むのではないかというような見解でありますが、それは私も了といたします。  小さい問題でありますが、公衆電話減収率を一〇%程度に見込んでおります。これは過去の例から考えてみますれば、約四一%の減収を見ているようでありますが、今回の場合においては、従来の公衆電話やり方とは違つて、交換を利用するとか、店頭電話利用するとかいうような点から、一〇%程度で食いとめるという御希望のようであります。これは金額においても大したことはないのでありますから、予算影響するほどのことはないと思いますが、この点できるだけそうした方面についての御配慮を願いたいと思います。  なお警察専用電話は、一般値上げ率は適用しておりますけれども、従来の五十三通話というのはそのまま適用しております。他の新聞及びその他の公共的なものと同じような従来の率からして、一方は六十通話、一方は五十三通話という差ができたのでありますけれども、これは財政上のいろいろな理由がありましようが、われわれといたしましては、警察電話であるからといつて、特に他の公共的な、あるいは公共的に準ずる施設違つた率をあてはめるということは、いろいろの点において支障があるのではないか、たとえば現在どの程度警察予備隊が使つておるかわかりませんけれども警察予備隊、あるいは将来において安全保障条約が結ばれた結果、アメリカ軍が駐屯することになるのでありますが、それらの使用する電話料金ということも問題になつて来ると思うのであります。この場合において、従来の連合軍料金は、普通民間同様の金額をもつて扱つてつたようでありますが、今後の日本は、これは国際条約によつてできたものですから、少くとも日本における最恵国待遇を与えなければならぬのではないかと思います。そういうことになりますと、金額相当影響があると思うのでありますが、将来の駐屯軍の使用する電話料金に対する考え方並びに警察専用電話料金が、新聞料金などと違つた理由について御説明を願いたいと思います。
  15. 靱勉

    靱説明員 御指摘の点は、まことにごもつともな点でございますが、実は警察関係新聞放送関係専用料金の差というものは、今回が初めてではないのでありまして、二年くらい経過いたしておりますが、それまでは三段制と申しまして、一般新聞通信放送警察という形になつておりました。今回の改正は、大臣からも御説明があつたのでございますが、新聞放送警察等専用料金は、必ずしも現在のコストをペイしていないのでありまして、できるだけ実費をもつて提供することにいたしたいということで、一応その案も策定いたしたのでありますけれども、やはり電気通信公共性と申しますか、あるいは国が一体的に経営しているという建前から、他の政策面も出て参りまして、今回やむを得ずまた三段制ということに、結局結論が到達いたした次第であります。この点につきましては、警察事務等の、国の治安維持という点からの特殊性という点にあるのでありますが、今後におきまして連合軍関係の同じような専用料が、警察治安というか、それと同じように取扱われるということも、御指摘通り考えて行かなければならぬのではないかと思いますが、現在におきましては、連合軍関係通信命令によりまして、まつたく別料金体系をなしております。ただ国内のものに準じまして、さらにまた連合軍への協力の実際的なコストと申しますか、そういう観点から考えまして、一番高い一般専用料と同額にいたしております。将来それが別の形態になつた場合におきまして、同じような性質のものにかえてはどうかというような問題があるかと思いますが、これらはその時期におきまして、警察ともにらみ合せて、あるいはまた一定の妥当なところに、何か改訂いたさなければならないかと考えるのでございます。現在のところ警察連合軍関係とは、ちようど五十三通話と二百通話という開きをもつて、当分このままで行きたいという考えでございまして、問題が起りますれば、その際におきまして両者をどういうふうに考えて行くかという、一つのチヤンスがあるのではないかというふうに、率直に申しまして考えておる次第であります。
  16. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 警察等一般治安関係の方は特別料金を設定する、これについては原則としては異議はないのでありますが、予備隊あるいは警察、軍隊にいたしましても、いずれにせよごれらは国の財政において補うべきでありまして、電話を引いておる人が特に治安を守つてもらうのじやなくして、国全体の治安関係があるのであります。従つてそれの不足額国家財政としてみるならば、これは問題がないのでありますけれども電信電話収入によつてこの欠損を補うという考え方は、根本的に間違つておりはせぬか。国家及び国民全体の治安、安寧に関する問題でありますから、かかつただけの費用国家負担するなり、あるいはそういう特別会計において負担するのが当然であつて、それを電信電話収入の中から、マイナス面を補充するという考え方は、考え方としても無理がある。従つて今回の新聞及びこれに準ずるものは大体実費主義を採用して、実費だけは頂戴するという原則に立つたことは、健全なる特別会計としては当然の措置であろうと思う。従つて警察用におきましても、そのマイナス面電信電話料金の中から補うのだという考え方は、電信電話経済的基礎といいましようか、特別会計としての、いわゆる独立会計建前からいえば、金額は少くとも、そこにひとつの大きな欠陥を抱いておる。これは国家財政において補うものでありますから、当然その実費だけは特別会計としてはとるべきものであつて、この点はいかなる場合においても主張してもらいたいと思うのであります。たとえば今後安保条約に基いて駐屯軍が来た場合においても、その専用料からして、もうける必要はないけれども、少くともかかつたものだけは特別会計建前上これをとる、こういう建前で行くべきが、少くとも独立採算制原則をはずさないことである。こういう意味では当然に必要な点だろうと思いますので、この点は将来において特に御考慮願いたいと思うのであります。  次いで歳出面について二、三御質問いたしますが、今度の補正予算のおもなる原因が、先日来主管大臣から御説明があつたように、ベース・アツプ並びに物件費の値上り、こういうことが中心になつて改訂を余儀なくされたのでありますけれども、特に人件費相当の額を占めております。この人件費の内容について概略を御説明願いたいと思います。
  17. 肥爪亀三

    肥爪政府委員 人件費の構成につきましては、大体一人当り一箇月千五百円程度を十月からベース・アツプするという経費でございます。そのほかに〇・三箇月分年末に出すというようなこともございまして、大体そういう点が人件費のふえましたおもなものでございます。なおその他に当初の計算にやや不十分な点がございまして、現在の給与関係で普通にやつて行きます場合にも、やや不足のものがございましたが、おもなものといたしましては先ほど申しました千五百円のベース・アツプというものがあるのであります。
  18. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体は今回のベース・アツプによる費用中心であるようなお話でありますが、これはこの会計ばかりではないのでありまして、地方財政の問題からもそういう問題が起きておる。政府ベース・アツプに対する給与のしかたは、大体平均千五百円なりあるいは千円というような考え方で行くのでありますけれども、その場合において、実際上のベース・アツプ等級制改正で行くのだろうと思うのであります。一級なりあるいは二級なりというようないわゆる等級制改正が実際は行われる。その結果、大蔵省なり関係当局が、大体一人当り千五百円というような金額できめられましても、それを等級制にあてはめると、その間に狂いが生じて来る、こういう例があるようであります。こういうものは、短時間の間に一応千五百円というように金額でやつて行きますために、その総額の出し方に狂いが生じて、それがために相当な金が出て来る。ある県のごとき場合におきましても、そういうことから年間一億円前後の狂いが生じて、それが翌年度経費に繰込まれるという例があるようであります。この場合、先ほどの人件費の中に年間給与不足額が出ておるということは、そういう点にあると思うのでありますが、こういう点については国会審議建前からいいますれば、できるだけ正確を期してもらいたい。すでに職員に対しては値上げをするということを約束して、それが予算に計上せられ、予算内において当然支給せられなければならないもので、実際上においてはやむを得ないのでありますが、その予算を越えて支給しなければならぬ。こういう結果になつて、もしこれをそのまま押し通す——とこういうような臨時国会がありますれば何らかの改善方法があるのでありますが、何らかの都合で臨時国会なり追加予算ができない事情がありますと、最後の一箇月なり四十日分の給与は支払うことができないという実際上の不合理があるのであります。そういう点から考えましても、少くとも予算内においてこれを支給するのが憲法上当然の建前でもありますから、こういうような結果にならないように今後とも御注意願いたいと思うのであります。  なお物価騰貴に伴うところの費用及び電信電話保守改善費というものが相当見込まれております。それらは進駐軍が参りましてから原則として直轄工事という建前でやつて参つたのでありますが、その直轄工事でやつて参つた今日とその以前においては——今日でも法律上においてはいわゆる請負工事をすることができないというのではなくして、一応進駐軍命令によつて原則として直轄工事をやつておるという現状でありまするが、これを請負工事をもつて行う場合においての利益というか、それらの差額というものがある程度考えられるのではなかろうか。もちろん直轄工事が正確であり、請負工事が悪いということはあり得ないのであつて、将来においてはそういう請負工事というものが当然行われると思うのでありますが、この場合における予算に与える影響は、どの程度考えられるかを御説明願いたいと思います。
  19. 肥爪亀三

    肥爪政府委員 ただいまの人件費計上不足の問題につきましては、橋本委員のおつしやる通りでございまして、将来十分注意をいたします。  なお御質問請負直営の問題でございますが、私どもの方におきましては、この請負直営関係は、従来直営の方に重点を置きまして、請負の部分は少うございました。しかし現在の官庁機構におきましては、工事をやりますのには、給与体系その他の関係におきまして、非常に能率の上げにくい面があるのであります。しかしまた一方その筋の関係もございまして、技術的なものにつきましては直営でやるようにして、請負でやることを禁止されているというようなことがあつたのであります。しかし請負工事が能率的であるという面もございますので、来年度におきましては相当大幅に請負の面をふやすように予算を組んでおるわけでありまして、目下大蔵省と折衝中でございます。そういうようなぐあいに、請負でやります場合には、工事そのものといたしましては相当能率化するのでありますが、しかしそれについては監督検査というようなこともあるのであります。そういうようなぐあいになりますので、目下のところ実行においてどうなりますか、予算の面においては直営の場合も人の賃金、工費みな合せましたものと、請負工事費検査監督というようなものを総体比較いたしまして、大体同じような金額予算を計上いたしておる次第でございます。
  20. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 なお続いて、減価償却費が今回十六億の増額になつて合計百億を越えるのでありますが、この減価償却の実際上の使用方法はどういうぐあいにしてやつておられるか、お伺いしたい。
  21. 肥爪亀三

    肥爪政府委員 減価償却につきましては、再評価をいたしますシヤウプ勧告の時期が二十四年の三月でございます。その時期で物価を押え、その当時の物価資産を再評価いたしまして、そうしてそれに対して大体五分八厘という総合減価償却率をかけて償却額を算出いたしております。この五分八厘は普通に見てやや高いのではないかという説もあるのでありますが、これにつきましては私どもの方の資産は、もし再取得価額というもので見ますれば、三千五百億ほどの金額になるのであります。そういう状態でございますので、それに対して再評価の金額を見ますと、二千七百億というようなことになります。そのようなことから償却率は今再評価額を標準にすることができませんので、相当高率に見るという必要も生じて参ります。再取得価額と再評価額はなぜこんなに違うかと申しますと、再評価は基準年度でありまする昭和九、十年というようなところを基準にいたしまして、それから先物価騰貴を見ておりますが、私どもの方の事業は明治二十年代からやつておりまして、それからずつと昭和九年まで経過しております。その間に相当物価の変動もあるのでありますが、その間はまつたく帳簿価額そのままをとつておるというようなことから、今きめられている方針によりましては、再評価が十分できないという点でそういう開きがあるのではなかろうかと思うのでありますが、そういう面から見ましても、相当の償却率を見込みませんと資産維持ができません。その上に昭和九年に特別会計になりましたが、それから終戦の年までぐらいは、私どもの事業でもノルマルな施設状態でございますれば、四分五厘ぐらいで大体済むかと思うのでございますが、その十分の一にも足りない程度の・二五%から〇・五八%ぐらいしか、とりかえ補充という名において減価償却をしていたにすぎないのであります。つまり資本の食いつぶしをやつておりまして、非常に資産がいたんでおります。その上に戦争の始まる前、戦争中には戦時規格品といつて非常に粗雑なものを使つておりまして、資産減価償却をする必要は、命数が短かい関係で非常に多かつたのであります。それからなお戦争後におきましては、資材が十分入らないというような関係からいたしまして、非常に粗雑な、命数の短かい施設を使つておるのであります。そういうふうな状態でございますので、大体相当の償却をしなければ、所期のサービスの提供が困難だということを御了解いただきたいと思うのであります。そういうふうな観点からいたしまして、シヤウプ勧告基準の再評価法による再評価によりまして、大体千八百億ほどでございますが、それに対して総合償却率五分八厘ということで、減価償却額を算出した次第でございます。これだけ償却をいたしますれば、そしてまたこれをほんとうにとりかえ補充のために使いますれば、サービスは今よりも改善できるという自信を持つておるわけでございます。
  22. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 減価償却の割合としてその程度を認めることはやむを得ないと思います。ただこれの使用方法ですが、使用方法としては実際上に特別保守費、保守改善費約二十億が見積られておるのでございます。これと減価償却というものは、性質上はもちろん別個のものではありますけれども、実際上としてはこれらを含めて行われるのではなかろうか。この百億という厖大な金額ですが、この一部が建設勘定として使われておりはしないか、こういう点をお尋ねいたします。
  23. 肥爪亀三

    肥爪政府委員 保守改善費としてあげておりますのは、実は保守費が現在の状態では非常に少くなつておるのであります。安定いたしました施設に対しましては、大体六分程度の保守費を必要とするのであります。ところが料金におきましては昭和二十三年以来料金値上げをやつておりません。ところがその後物価騰貴ベース・アツプがございまして、結局経費が非常に不足になりました。その経費不足をどこにしわを寄せたかというと、人件費を省くわけに参りません。従いまして結局落してもすぐには目立たない保守費を落して来たのであります。そのため保守費は、安定した年度に必要であります六分を下まわりまして、四分ほどしか計上できていない。さきほど申しましたような非常に悪い施設に対しましては、せめて八%くらいの保守を必要としたのでありますが、それもできませんで、それの半分の四%しかできていないというような状態であります。従いましてそのために故障が多いというようなことが非常に目立つて参りまして、一般お客の非難を招いておる次第でございますが、今回この値上げの機会に、せめてもこの保守費を六分程度には上げて、もう少し完全な保守をやつて行きたいということで、この保守改善費を計上しておるのでございまして、この保守改善費はそのようなぐあいにいたしますから、決して建設勘定に繰入れまして建設に使うということをいたしませんで、まつたく損益勘定において保守のみに重点を置きまして、保守の強化に資したい、かように考えておる次第でございます。
  24. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 最後に根本問題を一括して大臣にお聞きしたいのですが、この前の大臣説明によりましても、電信電話事業を公共企業体に移そうという考えで研究をされておるようであります。しかもその内容については、できるだけ従来のような国営主義ではなくて民営を取入れた、大幅の権限を持つ公共企業体にしたいという考え方のようであります。今回提案されました改正料金の表を見ますると、もちろん現在は官業でありますから、官業の基本からはずれておらないのでありますけれども、将来公共企業体に移そうという画期的な電信電話の復興を念願としての公共企業体に対して、今回の電信電話料金改訂の基本方針が何ら従来とかわつておらない。これは私の意見でありますけれども、少くとも電信電話事業というものは、国営ではありまするが、その実際は何ら民営と異ならないものである。すなわち一方においては産業の振興に役立ち、一方においては文化の向上に貢献する、こういうのが電信電話事業の特質であろうと思うのでありますが、この改訂案を見ますると、やはり従来のごとくに官業精神というものがあまり抜けておらない。私はこういう事業は国鉄の事業にせよ、あるいは郵政事業にしても、もつと根本的に企業的な性格を持つべきであると思う。従つてその料金の扱い方においても、すなわちサービス主義といいましようか、多数使うものに対してはある種の逓減法を用いるとか、また文化の向上をはからなければならぬところにおいては、公共企業体、国営の性格でありますから、それに対しては損益を度外視してやらなければならぬ。こういうような特徴が、もつと積極的に現われなければならぬと思うのであります。先ほど来次官の説明があつたのでありますが、いやしくも電気通信事業は特別会計であるからして、原則としてみずからの収入によつてまかなうというのが建前であります。しかるにある官庁に対しては特別の考慮を払い、ある官庁に対しては民間同様であるという考え方はやめなければならない。従つて警察電話のごときも、損をしてまで特別料金を設定する必要はないのではないか。かつまたこれは将来の日米安全保障による駐屯軍との関係から考えても、こういう点については特に考慮を払う必要がある、こう私は次官に申し上げ、次官からこの点については考慮したいという説明があつたのですが、この二点に対しての将来の見通しを、大臣から承つて私の質問を終りたいと思います。
  25. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 お答え申し上げます。私も本来御高税のような感じを持つておるのであります。この事業自身の持ちます使命から申しまして、もつともつと利用度が拡張されなければならない。そして真にそのものが文化の向上に寄与するとか、あるいは経済活動に便するとか、政治活動に便するとかいうように、本来の機能を発揮するようにぜひともいたしたいのであります。今回公共企業体に移行することを考えて参りましたゆえんのものも、もちろん当委員会の強力な御決議もいただいておりますので、その線に沿つて善処するという考え方で、公共企業体への移行もいろいろ計画しておるのであります。その際におきましては事業としてりつぱにその使命を果し得るように、その機能を十分に発揮し得るようなものにぜひとも中味を盛りたい、かように考えてただいま種々くふうをめぐらしておる次第であります。と申しますのは、現在あります施設なり、設備なりの効用を、十分に発揮するということはもちろん考えますが、現在の設備、効用と申しますのは、一般の需要から見ますると非常に不十分であります。従いまして今日最も急を要しますのは、一般需要に対応する設備の増強と拡張と整備である、かように実は考えておるのであります。でありますから、ただいま御高見の中にありましたように、現在の利用度を高めるために、非常な多数の利用者に対しての便宜を払つたらどうだというお話、これはしごくごもつともなことで、将来もつと事業の内容が整備されますれば、さような方向に進むことだと思います。しかし今日の事業自身が持ちます力の上から申しますれば、一般の要望に沿つての拡充をいたしますだけでも、実はまことに不十分きわまりないのでありまして、その中の一部をようやくまかない得るにすぎないのであります。従いまして今日有するところの設備、その機能を十二分に発揮するようにいたしますために、同時にこの点についても力をいたしてはおりますものの、なかなか思うようには行きかねるだろう、かように考えますと、今日の状況のもとにおきましては、この事業の面から申せば、電話はあつても輻輳してなかなかかからない、受話器をとればただちに相手方を呼び出し得るような電話にしてくれろという要望が、非常に強い際であります。さような際におきまして、特に利用頻度の高いものに対しまして、料金値上げをすると申すことがはたして適当であるかどうか、これは私どもとしても、現在の状況のもとにおいてはなかなか決しかねるのであります。ある程度の需要を満たし得る状況になりまして、設備も非常にふえて参り、架設も非常に容易だ、また電話の使い方の上から見ましても、しごく円滑に利用ができる、相手方を呼び出せば相手方がすぐ出て来る、かような時期になれば、もちろん先ほどお話のごとく、需要頻度の高いものにつきまして、これは軽減をしてもしかるべきではないかと思うのであります。今日の料金考え方の面は、各種の料金について巨細に点検してみますと、あるものによつて利益をあげる。たとえば市外通話においては相当の利潤を得ておる。あるいは市内通話においては、今まではあまりもうかつておらないが、今回の料金値上げによつて適正なる利潤が生れて来る。しかし新聞通信については、特に安い原価を割つたものがある。また例に取上げられました警察等の特殊の国家の要務の問題についても、これまた原価を割つている、こういうようなことが考えられるわけであります。個々の料金そのものについて、原価を割つているかいないかはもちろん問題になるわけでありますけれども、事業全体としてみて、それぞれの利用の性格等も考慮して、そこに均衡のとれた料金制度を設けて、総合しての事業の独立採算制考えて行くということにならざるを得ないのではないかと思うのであります。私どもこれらの相互の間において均衡がとれているかどうか、あるいは不均衡の状態であるのではないか、その不均衡であるために、と申しますのは、ある種のものを特に安くしたために、一般のものに対して非常な高率の料金を課することになるのではないか、これは非常に迷惑な話だ。独立採算制だといつて、総合的にはバランスがとれるかもしれない、相当の収益をあげるかもわからないが、特別のものに特別安いサービスをして、そこで赤字を出していて、しかも相当の利潤をあげるためには、他の面において高率の料金を課することになるのではないか、これは一体どうなるのだろうという問題に発展して参りますので、各種の扱い料金相互間においての均衡は、ぜひとらなければならない、かように考えます。従いまして、今日まで私ども事務的には、一応均衡がとれたという観点をもつて料金制度を考えて参つているわけでありますが、御説のような点については、今後ともなお十分意を尽して、特別のものを安くしたために、利用に対して制限を加えるような、耐え得ないような高率の料金が生れることのないように、十分注意して参るつもりでおります。問題は、ある一つの安定した状態にまで電話状態改善して参りますれば、積極的に事業自身として、その発展を期するような考慮をもちろん払わなければならないと思います。従いまして、先ほど御指摘になりましたような、利用頻度の高いものについて安くすることを、もちろん考えるべきだろうと思いますが、まず私ども最小限度念願しているところのものは、この料金改正によつて、初めて電気通信事業は独立の基盤をつくり得るのではないかということであります。この料金改正を御承認願いますならば、電気通信設備をこれから積極的に増強し、現在ありますものについては、その保守が完全になり、最も円滑な利用ができるようになつて来る、そのまず基盤を強固にすることを第一の念願として、料金改正をいたしたいと思う次第であります。御説のような面は、今後われわれがこれを実施して参りまして、事業の整備状況に応じて、積極的にサービス改善として当然考慮すべき事柄ではないかと思うのであります。
  26. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大臣の御答弁で大体了承したのでありますが、私の質問が不十分なので簡単な御説明でありました。  警察電話の場合、これは国家治安影響するから特殊な料金を設定してあるのですが、こういう場合でも、私の意見は先ほど言つたのですが、他の利用者利益によつて一部の人のマイナスをカバーするという考え方は、電気通信事業特別会計のような場合においては、そこに基本的なあやまちがありはしませんか。これは当然国家治安ということでありますから、国民全体の感情において行うべきであつて、当然国家財政において支拂うべきものである。電気通信事業の収入によつてこれをまかなうべきものではない。従つてこの点については、将来少くとももうける必要はないが、実費だけはちようだいするという建前で行かなければならぬのではないか、これが一点。  それからもう一つは、これは話は違いますが、公共企業体ということが近い将来実現することになりますれば、従来の国営の場合でありますと、預金部資金を借入れて行つておるのでありますが、この点に対しては、将来同様に預金部資金をもつて公共企業体が借り得るような措置があるのか、あるいは預金部資金が引受けとして、電信電話公債というか、建設公債を発行してやつて行くというような段取りになるか、この点がややもすると、日本の政治組織が内閣の連帯責任制の建前からして公共業企体の監督機関はできると思いますけれども、しかし直接に公共企業体の首脳部が内閣に列しないということのために、往々にして経理上の点において、公共企業体の主張が通らない場合が行われる。こういう場合において、もちろん日本経済情勢が、電信電話公債というようなものでまかない得ればいいのでありますが、少くとも二百五十億ないし三百億というような厖大な金額を、電信電話公債によつて将来民間からとれるとは考えられない。どうしてもこれは国家財政によつて、ある程度のわくをきめてもらわなくてはならぬ、こういうことになるのでありますけれども、その間公共企業体の場合においては、法律的にそういう措置をとるお考えであるか、それとも従来同様に、所管大臣がそういう点についての責任をもつて、そういう建設財源をつくるお考えであるか、あるいはまたそういうことが可能であるとすれば、一面において電信電話公債というものを、民間から募集することによつて、建設資金の一部を補助する、こういう考えでおられるかどうか、具体的なことは決定には至つておりますまいが、大臣の御意見を伺いたい。
  27. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 警察電話の問題につきましては、先ほど次官からお話したように伺つておりましたので、私特に触れなかつたのでありますが、この点は過去の沿革的な問題をも考慮のうちに入れたのであります。元三段階になつていた時代もあつたわけでありますので、今回の改正に際しまして、そういう点をも考慮に入れられて実はきめたような次第であります。しかしながらこれらの倍率と申しますか、それは新聞なりあるいは一般との間に、はたして均衡がとれているかどうか、こういう問題にもなるわけであります。また影響するところもいろいろありますので、今後の問題といたしまして、十分御所見を参考にいたしたいと思います。  第二点の公共企業体の問題でありますが、お尋ねの点が公共企業体に移行いたします際の一番大きなねらいになるわけであります。公共企業体にいたします最も大きな理由は、この事業を事業的経営の形に切りかえようということを申すわけであります。その点では日々の運営そのものも、もちろんいわゆる官営から民営の長所を取入れたものに切りかえるわけなのでありますが、特に資金計画等におきましては、国家予算にできるだけ縛られないようにくふうしようというところがねらいなのであります。今いろいろ考えておりますものについて申し上げてみますると、現在までできております鉄道の公社なり、専売の公社等は、もちろん国家資金の援助を受けているのであります。この点については、電気通信を公社にいたしました場合においても同様であると私ども考えるのでありますが、ただこればかりに、いわゆる国家資金にのみ依存するという形でなしに、さらに民間資金をも吸収し得るものにいたしたいというのが私どもの念願であります。しかしこの点では、まだ十分の成案を得て、必ずそれが実現する見込みがある、こういう段階には立至つておらないのでありまして、今後の折衝にまたざるを得ないのであります。しかし最小限度といたしまして、いわゆる預金部資金等の国家資金の借入れももちろんしなければならない事柄なのであります。
  28. 關内正一

    ○關内委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、本日はこの程度にとどめます。  次会は明二十五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二分散会