○佐藤国務
大臣 お答え申し上げます。私も本来御高税のような感じを持
つておるのであります。この事業自身の持ちます使命から申しまして、もつともつと
利用度が拡張されなければならない。そして真にそのものが文化の向上に寄与するとか、あるいは
経済活動に便するとか、政治活動に便するとかいうように、本来の機能を発揮するようにぜひともいたしたいのであります。今回公共企業体に移行することを
考えて参りましたゆえんのものも、もちろん当
委員会の強力な御決議もいただいておりますので、その線に沿
つて善処するという
考え方で、公共企業体への移行もいろいろ計画しておるのであります。その際におきましては事業としてりつぱにその使命を果し得るように、その機能を十分に発揮し得るようなものにぜひとも中味を盛りたい、かように
考えてただいま種々くふうをめぐらしておる次第であります。と申しますのは、現在あります
施設なり、設備なりの効用を、十分に発揮するということはもちろん
考えますが、現在の設備、効用と申しますのは、
一般の需要から見ますると非常に不十分であります。従いまして今日最も急を要しますのは、
一般需要に対応する設備の増強と拡張と整備である、かように実は
考えておるのであります。でありますから、ただいま御高見の中にありましたように、現在の
利用度を高めるために、非常な多数の
利用者に対しての便宜を払つたらどうだというお話、これはしごくごもつともなことで、将来もつと事業の内容が整備されますれば、さような方向に進むことだと思います。しかし今日の事業自身が持ちます力の上から申しますれば、
一般の要望に沿
つての拡充をいたしますだけでも、実はまことに不十分きわまりないのでありまして、その中の一部をようやくまかない得るにすぎないのであります。従いまして今日有するところの設備、その機能を十二分に発揮するようにいたしますために、同時にこの点についても力をいたしてはおりますものの、なかなか思うようには行きかねるだろう、かように
考えますと、今日の状況のもとにおきましては、この事業の面から申せば、
電話はあ
つても輻輳してなかなかかからない、受話器をとればただちに相手方を呼び出し得るような
電話にしてくれろという要望が、非常に強い際であります。さような際におきまして、特に
利用頻度の高いものに対しまして、
料金の
値上げをすると申すことがはたして適当であるかどうか、これは私
どもとしても、現在の状況のもとにおいてはなかなか決しかねるのであります。ある
程度の需要を満たし得る状況になりまして、設備も非常にふえて参り、架設も非常に容易だ、また
電話の使い方の上から見ましても、しごく円滑に
利用ができる、相手方を呼び出せば相手方がすぐ出て来る、かような時期になれば、もちろん先ほどお話のごとく、需要頻度の高いものにつきまして、これは軽減をしてもしかるべきではないかと思うのであります。今日の
料金の
考え方の面は、各種の
料金について巨細に点検してみますと、あるものによ
つては
利益をあげる。たとえば市外
通話においては
相当の利潤を得ておる。あるいは市内
通話においては、今まではあまりもうか
つておらないが、今回の
料金値上げによ
つて適正なる利潤が生れて来る。しかし
新聞通信については、特に安い原価を割つたものがある。また例に取上げられました
警察等の特殊の
国家の要務の問題についても、これまた原価を割
つている、こういうようなことが
考えられるわけであります。個々の
料金そのものについて、原価を割
つているかいないかはもちろん問題になるわけでありますけれ
ども、事業全体としてみて、それぞれの
利用の性格等も考慮して、そこに均衡のとれた
料金制度を設けて、総合しての事業の
独立採算制を
考えて行くということにならざるを得ないのではないかと思うのであります。私
どもこれらの相互の間において均衡がとれているかどうか、あるいは不均衡の
状態であるのではないか、その不均衡であるために、と申しますのは、ある種のものを特に安くしたために、
一般のものに対して非常な高率の
料金を課することになるのではないか、これは非常に迷惑な話だ。
独立採算制だとい
つて、総合的にはバランスがとれるかもしれない、
相当の収益をあげるかもわからないが、特別のものに特別安い
サービスをして、そこで赤字を出していて、しかも
相当の利潤をあげるためには、他の面において高率の
料金を課することになるのではないか、これは一体どうなるのだろうという問題に発展して参りますので、各種の扱い
料金相互間においての均衡は、ぜひとらなければならない、かように
考えます。従いまして、今日まで私
ども事務的には、一応均衡がとれたという
観点をも
つて、
料金制度を
考えて参
つているわけでありますが、御説のような点については、今後ともなお十分意を尽して、特別のものを安くしたために、
利用に対して制限を加えるような、耐え得ないような高率の
料金が生れることのないように、十分注意して参るつもりでおります。問題は、ある一つの安定した
状態にまで
電話の
状態が
改善して参りますれば、積極的に事業自身として、その発展を期するような考慮をもちろん払わなければならないと思います。従いまして、先ほど御
指摘になりましたような、
利用頻度の高いものについて安くすることを、もちろん
考えるべきだろうと思いますが、まず私
どもが
最小限度念願しているところのものは、この
料金改正によ
つて、初めて
電気通信事業は独立の基盤をつくり得るのではないかということであります。この
料金改正を御承認願いますならば、
電気通信設備をこれから積極的に増強し、現在ありますものについては、その保守が完全になり、最も円滑な
利用ができるようにな
つて来る、そのまず基盤を強固にすることを第一の念願として、
料金の
改正をいたしたいと思う次第であります。御説のような面は、今後われわれがこれを実施して参りまして、事業の整備状況に応じて、積極的に
サービスの
改善として当然考慮すべき事柄ではないかと思うのであります。