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1951-10-22 第12回国会 衆議院 電気通信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十二日(月曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 庄司 一郎君 理事 高塩 三郎君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       關谷 勝利君   橋本登美三郎君       福永 一臣君    椎熊 三郎君       畠山 重勇君    石川金次郎君       田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     富安 謙次君         電波監理委員会         副委員長    岡咲 恕一君         電波監理長官  長谷 慎一君         電気通信政務次         官       加藤隆太郎君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         電気通信技官         (施設局長)  吉田 五郎君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 八月九日  委員竹尾弌君辞任につき、その補欠として關谷  勝利君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員山口武秀君辞任につき、その補欠として田  島ひで君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十月十八日  七北田郵便局電話交換事務開始の請願(庄司  一郎君紹介)(第八〇号) の審査を本委員会に付託された。 同日  盲人に対するラジオ聴取料免除に関する陳情書  (第五六号)  小浜電報電話局舎新築に関する陳情書  (第七〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  電気通信事業に関する説明聴取  電波管理に関する説明聴取     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    關内委員長 これより電気通信委員会を開会いたします。  国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。電気通信事業経営に関する件並びに電波管理に関する件について、国政調査承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 關内正一

    關内委員長 御異議なければ、さよう決します。  なお案文については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 關内正一

    關内委員長 御異議なければ、さように決します。     —————————————
  5. 關内正一

    關内委員長 次に佐藤電気通信大臣より、最近の電気通信事業概要について説明いたしたいとの申出がありますので、これを許します。佐藤電気通信大臣
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまから電気通信省所管業務につき御説明申し上げて、御参考に供したいど存じます。  まず補正予算について申し上げます。本年度電気通信事業特別会計予算は、収支とも六百二十一億五千百万円余でありましたが、その後物価が著しく騰貴し、従業員給与もこれに従つて引上げなければならなくなりましたので、ここに総額百六十三億四千万円余の補正予算案を提出いたしました。以下その内容について申し上げます。  損益勘定におきましては、物価の騰貴による物件費不足三十一億円、従業員給与改善のため基本給を十月より月額千五百円程度引上げ、年末手当を〇・三箇月分増加するための経費等合計二十九億円、及び国際連合軍へ協力するための経費が約二十億円、事業量増加に伴い必要なる経費が約五億円、郵政事業特別会計への繰入金の増加が十三億円、電信電話保守改善に要する経費約八億円、その他五億円で、経費増加額合計百十一億円であります。これに対しまして収入は、事業量増加、外国からの受入金増加等で約三十億円、国際連合軍へ協力することによる収入二十六億円、計五十六億円でありまして、差引五十五億円の収入不足となるのでありますが、これを最小限度にとどめるため、従業員七千四百四十一人を減少し、その他経費節約を合せ約八億円の節約をいたしましたが、なお四十七億円余の収入不足となりますのでやをむ得ず十一月一日より料金改訂して、収支均衡を保持することといたしました。  建設勘定は、当初予定額は二百二十六億円でありましたが建設用資材は当初予算に比し約六四%騰貴いたしましたため、予定工事をなすためには約八十五億円の追加資金を要するのでありますが、これに対し補正予算により六十四億円を計上いたしまして、既定計画の大部分実施大都市電話整備とに充当することにいたしました。大都市電話整備につきましては、東京大阪の二大都市加入者増設上の隘路は、局舎の行き詰まり、その他中継線加入者地下ケーブル局内施設等、莫大なる経費を要しまする基礎的な施設不足にありますので、この資金をもちまして、これら基礎設備整備をはかり、あわせて新規加入三万三千個の開通考えるとともに、これらの都市において大規模なビルデイングの建築が進められている現状にかんがみまして、これに対処すべく増設電話二万個を設備することといたしました。このほか、給与ベース改善等経費として約六億円を必要といたしますので、支出増加率合計七十億円となります。これに対しまして財源は、電話設備費負担臨時措置法による収入約三十五億円、当初予算節約約十億円、計四十五億円が見込まれますので、支出増加額との差二十五億円を資金運用部よりの長期借入金により調達することといたしました。  次に電信電話料金法の一部改正について申し上げます。電信電話料金につきましては、ただいま申し上げました通り経費節約資材活用等、各般の合理化をはかりましても、なお巨額の赤字を生ずる現状でありますので、やむを得ず十一月一日より料金改訂を行い、収支均衡をはかることにいたしたのであります。改正案概要を申し上げますと、電信につきましては全体として約四〇%の値上げになる予定でありまして、市外電報累加料はすえ置きといたしますが、基本料を三十円から五十円に改訂することといたしました。電話につきましては、度数料は二円から五円に、公衆電話料は一円から五円に、基本料平均一六・六%、均一制使用料平均二九・八%、市外通話料平均一六%の値上げになる予定であります。なお今回の料金値上げに際しましては、利用者に及ぼす影響を十分考慮いたしまして、必要最小限度にとどめたのでありますが、同時に事業経営合理化能率化とをはかり、サービス維持改善に努めたいと存じておりますので、この点につきましては国民の期待に沿うべく、今後一層の努力を続けたいと考えております。  次に寄附受理について申し上げます。電話設備費負担臨時措置法施行以来、所要の費用を負担していただいた場合には、局内設備及び線路設備に余裕のある限り、お客の需要に応ずることといたしたのでありますが、なお若干の制限を必要としております。すなわち配線ケーブル収容余力がありましても、それから加入者宅に至る線路新設部分をもつぱら予算上の理由から、一、二級局百五十メートル、三、四級局三百メートル、五級局以下五百メートル以内に制限しているのであります。従いまして普通加入区域内における右の制限距離を越える注文については、一応工事不可能としてお断りするほかないのでありますが、この不足資材寄附してでも開通を希望される向きに対しましては、当省の保守上の見地がら、その不足資材の調達を当省に委託される、すなわち委託調弁の形でその寄附を受けることといたしまして、多数の御要望を満たし、電話設備の急速なる拡充をはかることといたしたのであります。  次に公衆電話拡充について申し上げます。最近におきまして公衆電話はほぼ戦前の個数に近いまでに設置されておりますが、なお十分とは申されないのであります。しかも街頭公衆電話を設置することが次第に困難になつて参りましたばかりでなく、料金収能率も約五一%程度に低下し、さらに盗難、破損等の被害も少くありませんので、今後はなるべく商店等の店頭に電話を架設し、これを簡易公衆電話として数多く設置し、街頭のものと同様に一般利用に供するとともに、電報利用が不便な地域におきましては、この公衆電話利用して電報取扱いもできるようにする方針であります。なお駅や繁華街のように、夜間においても利用が相当多いと認められる場所には、従来の公衆電話を設置いたしますが、これにつきましては戦前のごとく硬貨を投入して利用できるよう、目下研究中であります。  次に共同加入電話普及推進について申し上げます。限られた予算をもつて厖大な電話需要を満たすことが困難である現状よりいたしまして、一定の予算でできるだけ電話利用機会を多くあらしめるために、従来のごとく、単独電話一本という方法を改めまして、今後住宅電話等で比較的電話利用度が少く、同一の線路を二名以上共同して使用しても十分に間に合うと認められる需要者には、共同加入電話利用をしていただくとともに、農山漁村等におきましては、一般加入電話を拡張いたしますことはきわめて困難でありますので、なるべく三名以上が共同して利用する多数共同電話を架設することにより、これらの地域電話の拡張をはかりたい方針であります。  次に人員整理について申し上げます。このたび政府におきましては、行政機構改革並びに人員整理を断行する方針を確立し、これに基きましてまず各省人員整理数決定いたしましたが、この決定にあたりましては、単なる天引整理の結果になることを避けるため、さきに設立せられました政令改正諮問委員会答申案参考といたしたのであります。この答申案趣旨とするところは、各位すでに御案内のごとく、各種事務整理簡素化と、職員能率向上とによつて、人員の縮減が可能であるということでありまして、政府といたしましてもこの趣旨沿つて作業を進めました結果、電気通信省について決定された整理人員は九千八百三十八人であります。人と施設とが一体となつて運営されている電気通信事業においては、施設に対し人員の適正な配置を要するのでありますから、今回の減員に対しましては、管理部門簡素化管理部門現業部門を通じての事務簡素化並びに各従業員作業能率の一段の向上等によりまして、サービスの低下を来さないよう、最善の努力をいたす考えであります。なお今後拡充、増設される電信電話設備運用保守に当るべき適正な人員は、来年度以降において増員措置を確保いたす所存であります。  給与関係について申し上げます。去る八月二十日、人事院より公務員給与ース引上げを中心とする勧告が出され、これに基きまして政府といたしましては、財政事情税制制度ともにらみ合せ、鋭意研究の結果、給与ースにつきましては、一人一箇月約千五百円程度引上げを十月から実施いたすことに決定し、補正予算に必要なる額を組み入れることにいたしましたことは、さきに御説明いたした通りであります。この額は人事院勧告から見ますと、下まわつているかに見えますが、今回所得税につきまして、相当大幅な減税を八月にさかのぼつて実施いたす考えでありますので、実質的収入につきましては、人事院勧告趣旨は尊重されるものと考えられます。また右の人事院給与ベース引上げ勧告の際、当省のごとき現業官庁職員に対しましては、特別俸給表並び奨励手当制度を設けることがあわせて勧告されたのでありますが、これは第十国会におきまする委員各位の御決議趣旨に沿うものでありまして、各位の御支援に対し、深く感謝の意を表するものであります。当省といたしまして給与ベース引上げに関する給与法の改正案中に、右の特別俸給表並び奨励手当制度を織り込むよう、関係庁に強く要望いたしておる次第であります。  行政機構改革公共企業体移行その他について申し上げます。さき政令改正諮問委員会において答申されました行政機構改革具体案については、ことに当省においてはこの機構改革は、根本的には経営機構に関連する問題であるのでありましてこれに関しても同委員会答申があつた次第であります。当省といたしましては、公共企業体移行に関する第七国会の衆議院本会議決議、及び内閣に設けられておりました電信電話復興審議会答申並びに決議もございますので、国営形態に根本的な改革を行い、事業公共性を確保するとともに、経営自主性を確立し、企業性を十分発揮し得るために、目下この行政機構改革並びに公共企業体移行問題について検討中であります。  なお電信法改正についても、現在鋭意研究中でありますので、来るべき通常国会においては、御審議を願うことになると存じております。  最後に、先般サンフランシスコで開催されました対日講和会議関係国際通信につきましては、施設及び運用面におきまして、慎重な準備を行いました結果、取扱い数量が多数に上つたのでありましたが、円滑に疏通できましたことを御報告いたします。  以上、きわめて簡単に当面の問題つき御説明申し上げましたが、委員各位におかれましては、電気通信事業の発展のため、ますます御支援、御鞭撻くださるようお願いする次第であります。     —————————————
  7. 關内正一

    關内委員長 次に富安政府委員より、最近の電波管理状況について説明をいたしたいとの申出があります。これを許します。富安政府委員
  8. 富安謙次

    富安政府委員 電波監理委員会所管主要事項につきまして、簡単に二、三御説明を申し上げたいと存じます。  まず本年八月十六日から三箇月の予定でジユネーヴで開催されております臨時無線通信主管庁会議について申し上げます。これにつきましてはさきに当委員会におきまして申し上げましたところでありますが、この会議は、一九四七年米国アトランテイツクシテイにおける国際電気通信会議で定められた世界的電波分配表従つて、現在まで行われた各種国際会議の結果を総合的に検討し、具体的に個々の無線局に対する周波数の割当を決定して実施期日を定め、無線科学の長足の進歩と激増した需要に即応する最も合理的な電波管理をはかろうとするものでありまして、これによつて各国で実際使用できる周波数が具体的に定められ、従つて公衆通信放送専用通信等の今後の発達に大きな影響を与えることとなりますので、この会議は自然はげしい電波獲得戦なつているのであります。会議予定通り八月十六日から開催され、八月中には会議進め方決定を見ましてこれに従つて八つ委員会及びその分科会が設定されて、軌道に乗つたのであります。もつともこの間におきまして、ソビエト連邦及びその衛星国代表は、中共政府代表中国政府代表と認めること、蒙古人民共和国を正式に招請すること、その他会議進め方とか周波数表作成方法等について、特別の提案を行いまして、いろいろこれについて論議されましたが、これらの提案はいずれも圧倒的多数をもつて否決されたのであります。日本代表団は、電波監理委員会及び現地にある関係各国代表と緊密な連絡をとりつつ、重要な委員会に出席して活躍中でありまして、委員会審議内容も相当進捗しておりますが、現在までの審議経過から判断しますと、特に困難を予想される短波帯周波数表作成につきましては、今まで試みられた新しい技術原則によることなく、現状基礎を置きましてこれに若干の修正を加えるという方式が採択される可能性が多いようであります。これによりますと、わが国が現在まで国際機関に登録した周波数のうち、世界的電波分配表に合致し、しかも現に使用中のものが最も優先的に取扱われることとなるわけで、特に国際放送用周波数についてこの点が強調されておりますので、目下この線に沿いまして、計画中の業務をすみやかに実施し、その実施しているという事実の主張を基として、周波数獲得を有利にしよう、こういう方法努力中であります。  次に、国際放送の問題について、その後の経緯について御説明申し上げます。国際放送につきましては、さきに第十回国会におきまして、これが再開促進に関し、両議院の決議がなされ、政府に対し必要な措置をとるよう御要望もありましたので、電波監理委員会といたしましては、関係方面と鋭意折衝を行うとともに、これが再開可能の際は、ただちにその業務を運行できるよう、準備を進めて参つた次第でありますが、特に講和条約調印後、各国の批准前における対外政策重要性からかんがみましても、早急にこれを実現することが望まれますので、関係各省との間に国際放送の性格、その実施方法、その実施の時期、その所要経費等の根本的問題につきまして、いろいろ協議を重ねている次第でありまして、一日も早く結論を得たいと存じておる次第であります。  それから一般放送及びテレビジヨン放送について簡単に申し上げます。大阪の新日本放送が去る八月十五日、また名古屋の中部日本放送が八月二十八日に、それぞれ運用開始いたしました。また福岡のラジオ九州に対しましては、工事が落成をいたし、検査にも合格いたしましたので、十月四日に免許を與えました。その他ラジオ東京日本文化放送、朝日放送京都放送及び神戸放送の各局も、すでに会社の設立を終りまして、放送局建設等の諸準備を進めております。すでに運用開始いたしました新日本放送中部日本放送運用状況につきまして、ごく概略を御説明申し上げますと、新日本放送においては、午前六時から午後十一時まで、毎日十七時間の放送を行つておりまするし、一日平均四時間が各種広告主に売られている状況であります。また中部日本放送におきましては、午前六時三十分から午後十時三十分まで、毎日十六時間の放送を行つておりまして一日平均二時間が売られている模様であります。次に、免許を與えるかどうかの決定を保留いたしておりました信濃放送姫路放送長崎平和放送及び大牟田放送の四局と、その後新たに申請のありました静岡放送につきましては、その後慎重に審査中でありますが、これらのうち信濃放送につきましては、すでに審査を終了いたしまして、関係向きとの間の手続も終りましたので、一昨日でありましたか、その仮免許を與えた次第であります。その他の局につきましては、申請書類訂正申越しがありまして、審査が若干遅れておりますが、訂正書の提出されるのを待ちまして、ただちに審査を行いたいと存じておる次第でございます。  なおテレビジヨン放送局申請状況につきましては、過般御報告いたしました通りでありますが、その後十月二日、日本テレビジヨン放送網株式会社発起人代表正力松太郎氏から、申請書の提出がありました。電波監理委員会といたしましては、日本におきまするテレビジヨン開始の問題の重要性にかんがみまして、慎重に検討中でございます。  それから電波監理委員会規則の一部改正について簡単に申し上げます。現行の電波監理委員会規則は、昨年十二月一日全面的改正を行いまして、同日より施行されたものでありますが、その後各方面より規則の一部改正意見が提出せられましたので、これらにつきまして調査検討いたし、さらにまた、近い将来において予測されます事項についても検討いたしました結果、広く電波利用者及び無線従事者の利便をはかるために、電波法施行規則無線従事者国家試験及び免許規則及び無線局運用規則等の一部を改正いたしたいと考えております。しかしながらこれらはいずれも電波法の規定に従いまして、聴聞を経てから制定すべきものでありますので、これらの改正案につきまして十月十六日より聴聞を行つている次第であります。なお以上の諸規則改正に関連いたしまして、聴聞を要しない事項改正につきましても、目下準備をいたしている次第であります。  それから行政機構改革及び人員整理について申し上げます。行政機構改革につきましては、御承知通り閣議決定になつたのでありますが、その具体的の内容とか時期等につきましては、内閣におきましても、まだ結論を得るに至つていないようであります。人員整理につきましては、機構改革と切り離しまして、去る十六日の閣議決定によりまして、電波監理委員会の総定員三千四百五十八名に対する一四・一%、すなわち四百九十名を整理するということに相なりました。これにつきましては御承知通り委員会業務は、そのほとんどが国際電気通信條約その他の国際条約によつて義務づけられておるのでありまするが、さらにその業務一般行政官庁と違いまして無線施設検査調査、あるいは電波監視、観測または標準電波発射業務等、いわゆる現業事務がきわめて大きな部分を占めておるのであります。しかも近くは国際放送開始とか、テレビジヨン放送問題等、きわめて多くの事務増加が予想されておるのでありまして、かような際にかような大量の整理をいたすということにつきましては、今後の業務の運営につきまして、委員会としてはなはだしく苦慮をいたしておりまするとともに、整理しなければならぬ者の処置につきましても、いろいろと遺憾なきように万全を期しておる次第でございます。  最後に、昭和二十六年度補正予算概要について御説明申し上げたいと存じます。今回の補正予算におきまする増額は一億八百四万四千円でありまして、その内訳を申しますと大体次の通りであります。一、十月以降国家公務員給与ベース改訂に伴う分として七千三百四十九万四千円、二、行政整理に伴い、退職者に支給する退官退職手当として二千七百五十八万三千円、三、本年十一月一日より電気通信料金改訂されるに伴いまして、専門電話料既定予算不足が生じますので、これを補う分として六百九十六万七千円であります。なお補正で減額されるものは五千四百十二万九千円ということになつておりまして、その内訳を申しますと、一、行政整理に伴う既定人件費不要額として二百九十三万四千円、二、既定予算の中から旅費及び物件費については、大蔵省の指示によりまして節約いたしました額が一千百十九万五千円、三、当委員会庁舎につきましては、本年度予算庁舎買収費が成立いたしておりますが、諸般の事由で年度内買収の見込みがなくなりましたので、既定予算から減額する分が四千万円というわけであります。右補正増補正減等を差引いたしますと、五千三百九十一万五千円の増ということになりまして、年度当初成立額の十一億三千九百七十五万三千円と合せますると、総計十一億九千三百六十六万八千円ということに相なる次第であります。以上、本年度補正予算につきましての概要を申し上げましたが、これらの費目別内訳は、お手元に差上げました調書の通りでございますので、これについてごらんを願いたいと思います。  簡単でございまするが、以上所管事務の大体につきまして御説明を申し上げた次第であります。なお御質問によりましてお答えさせていただきたいと思います。
  9. 關内正一

    關内委員長 佐藤電気通信大臣並びに富安電波監理委員長説明に対し、質疑があればこれを許します。
  10. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は主として大臣質疑をしたい点があるのでありますが、大臣は所用があつて中座されたようでありますから、この機会にはとめておいて別の機会にしたいと思います。ただこの機会に簡単に申し上げておきたいのは、今度の補正予算内容につきましては、私どもさしたる異論はないのであります。大体認めたいという精神です。ただ事ここに至りました役所の一貫した方針の上に、非常に私ども不満の点がありまして、疑義もあります。これらは同一政府の内部における大臣更迭等でありますために、おのずから責任も一貫しておると思われますので、そういう点については強く私ども主張主張しつつ、政府の所見を披瀝してもらいたい、こう考えておりまするので、本日のこの場面はそれには不適当だと思いますから、別の適当な機会にお伺いいたしたいと思います。
  11. 庄司一郎

    庄司委員 所管大臣がここにはお見えになりませんから、政務次官なり、その他の関係局長、政府委員の御答弁でもけつこうでございます。  最近——こう言いますと、至つて最近のようであるが、電通省の関係でかなり刑事上の不祥事件が突発しておるようであります。前の施設局長なんかも、どの程度の御関係あるいは御関連であつたかわかりませんけれども、他の部課長関係と前後して退職をされておる。またきわめて最近には、電気関係研究所というようなところにまた不祥事件が台頭して、刑事上の訴追を受け、取調べを受けておる。また私の郷里は仙台でございますが、仙台の電通局管内の施設課長がひつぱられて、やはり訴追を受けておる。その他公務上委員として各地を出張して見まわつて歩きますと、かなりいろんなスキヤンダルが芽ばえておるようであります。過般本会議において、私の所属の党ではありませんが、他の党の相当おえらい方より、これらに関する質疑もあつたようであります。電通関係においては特に、さような国民より信頼を失うような、いやしくも局長とか、部課長とかというような幹部級に、いまわしい事件があつてはならない。やはり電気通信、電波、さような関係においては、特に国民より信頼感を高めなければならぬのであるが、どうも最近さような不祥事が起きておる。これらに対して最高幹部の諸公は、どういう対策をとつておられるか。それぞれの対策はとられてはおるでありましようけれども、綱紀の粛正の上から、官紀の振粛の上から、最も効果的な対策を持たねばならない。私は特に現政府の与党の党員の一人として、ともに道義的な責任をわかたんとするものであります。国民の信頼を現内閣は高めなければなりません。しかるに電通関係において、特に最近そういう望ましくない事件が突発しておる。これらについて本員の考えておる一端を申し上げるならば、電通関係工事の入札の方法、運営等において、非常に欠陥があるように本員は見ております。たとえば入札する請負業者の資格を、A、B、Cというふうにわけておられるようである。そこでAクラスならAクラスの業者は、地方の電通局管内においては三人あるいは四人あるいは五人、こんなふうにごく少数な人がAクラスの資格者である。あとはそれに準じてエトセトラでありますが、そういう状態になつておる。かりに百万円以上、あるいは三百万円とか五百万円の入札の場合においては、必ずこの三人か五人のきわめて少数な資格者だけに入札権が与えられる。そこで公然と談合が行われる。談合は、むろん政府の一定の予算額以上に談合によつて入札した場合は、刑法の詐欺罪の対象になることは言うまでもありません。安く入札する場合における談合は犯罪にはならない。ところがそのAクラスの連中のやつておるような談合の方法は、従来の談合というような金銭上の談合ではない。たとえば予算が百万円なら百万円ということを察知して、あるいは内通を受けて、それを九十九万円に入札する。それを六十万円で下請負にやる。これを甲、乙、丙、丁が循環的に順繰りとやる、そういう談合が行われておるのであります。そこで、はなはだ遺憾ながら一例を申し上げると、きわめて少数の資格者と、ある部長、ある課長のごときは、予算のある切札まで内通されているという傾向がある。出張先から電報あるいは電話をよこして、必要なことがあるから、すみやかに一つだけ送れ——一つは一万円であります。そういう事実を私は検察庁あるいは警察の調書の上に見ている。かような状態になつておりますので、どうしてもこれは入札の方法あるいは運営、そういう面においても改善を加えなければならない。政府与党の議員がこういうことを申し上げてどうかと思いますけれども、ほんとうに政府をして善政をとらしめるためには、やはり与党の議員も真剣にこういうことを申し上げなければなりません。今申し上げたようなことは、弊風のほんの一例でございますけれども、そういうことを改善される御意図がございませんでしようか。あまりかんばしくないことでありますけれども、どういう対策を持たれているかというようなことを伺つておきたいと思います。
  12. 加藤隆太郎

    ○加藤政府委員 御質問の御趣旨まことに恐縮の至りでございまして、電気通信事業は現在国民の熾烈な御要請におこたえでき得ないような現段階にありまして、この根本対策といたしましては、もとより資金獲得が第一義であることは、申し上げるまでもありません。従つて電通省といたしましては、この資金獲得等につきましては、国民のより以上協力を得ることによつて、電通省の信用を高めることによつて、皆様の御協力が得られると信ずる次第であります。従つてその施設の運営の上にあたりましては、われわれは真に自己の職務を怠らぬように、間違いのないように執務することが、心構えの第一要件だと考えておる次第であります。しかるにそうした非違を犯したような職員が往々にして露呈されるような現状に対しまして、心から恐縮をいたしておるのであります。その責任の軽からざることを自分どもも感じておりますが、これらの行為に対しましては、当省といたしましては、でき得るだけ全職員に対してその粛正を徹底させておる次第でありまして、またその犯した当の責任者に対しましては、厳粛にその行為に対して糾明いたして、それぞれ適当な措置を講じておるような次第であります。最近に起りました事件に対しましても、また新聞紙上に現われるような不祥事を出来いたしまして、これまた心から恐縮に存じておる次第でありますが、これらにつきましては、今現にその実際の事実を糾明中でありまして、どうぞ私どもができ得るだけ電通省の信用を確保する点に、最善の心構えを持つて対処していることを御理解をいただくとともに、この禍根を未然に防ぐ方法としまして、今庄司委員からお話の通り、今後の施設の上に何かまだ実際の面と符合しないような点があることを考えるときに、請負制度その他につきまして今後鋭意研究いたしまして、合理的に運営できますよう、事務の簡素、また合法的な措置につきまして研究をいたして、今後再びそうしたことを繰返さぬよう、努めておるような次第でございます。何とぞひとつよろしく御協力を願いまして、御鞭撻をいただきたいと思う次第であります。
  13. 椎熊三郎

    椎熊委員 きようは御遠慮しようと思つておりましたが、せつかく大臣がいらしたのですから、この際やや耳ざわりなことが多いと思いますけれども、ごしんぼうを願います。  本日この補正予算説明を聞きまして、私ども痛切に考えさせられるのは、本年度の当初予算審議の際における当局の態度、なかんずく当時の大臣考え方——私は当時このことを指摘しております。各省予算のぶんどりをするという、長い間の日本の官僚の習慣は、いいか悪いかは別といたしまして、その役所といたしましては、まつたく当該の責任者は命がけでこれをやつておることであります。     〔委員長退席、辻委員長代理着席〕  本年度の電気通信の予算におきましては、大蔵省と電気通信省の間には、世間公知というほど大きなけんかをしております。折衝の最中では罵詈雑言までいたしまして、ほとんど暴行ざたにも及ばんとするがごとき形勢があつたということすら、私どもは聞いております。従つてどもは、両省の当該官吏のその熱心なる主張、その点におきましてはむしろ感心したくらいであります。そういう熱意のあまり、大体両省の当該官吏の間ではある種の了解を遂げられて、最後は閣議の決定によつて、閣議が決定すれば、大蔵省も、大体当初電通省が要求したる予算に近いものを認容してもいいという形勢にあつたということである。しかるに閣議の結果は、一たまりもなく当時の大臣は池田大蔵大臣のためにやり込められて——聞くところによると、やり込められたのではなくて、初めから主張をしなかつたといううわささえ聞いております。閣議の内容ですから、私はそれはつまびらかにいたしませんが、当時閣内における電気通信省大臣と、大蔵大臣との貫禄の上、識見の上から言つたら、おそらくそのようなことも事実であつたかと、私は電気通信事業のために残念に思います。従つて当初この予算をわれわれに審議をさせられたときに、私は、これは当然破綻を来す予算である。当然補正せられざるを得ない予算である。従つて不完全予算である。こういうものを当委員会に持ち込む大臣というものは、政治家として責任を知らざるものである。逓信省以来、かつて予算の問題でかくのごとき醜態を暴露した大臣というものは類例を見ない。ひとりこの大臣の自己の一身一家の名利栄達のためではなくして、日本の政界のために、日本の通信事業のために、あるいは日本の閣議の席上における大臣の責任の立場から、こういう状態では大臣としてあなたは勤まるものではない。断固として責任を明らかにし、あなたがやめることによつて、せめて電気通信事業の——完璧とは行かないまでも、本年度予算に対する一つの主張が政界に大きな波紋を起して、これが復活せられないとも限らないと、あの席上において私が言つた当時遺憾ながらみずからの所信を閣内に反映せしめることができなかつたという理由において当時の大臣がやめたならば、政治家としては実にりつぱなる出処進退であつたでありましよう。そうしてそのことは、電気通信事業を救つたでありましよう。しかも恋々としてその職にとどまり、下僚を責めることに急にして、みずから反省するところなし。しかも彼の大臣としての生命は、その後何箇月続いたか。私が指摘した通り、この無力なる大臣は日ならずして総理大臣から辞職を勧告せちれざるを得ないはめに至つたのであります。かくのごときは、新憲法下における数代にわたる内閣においても、こんな醜態は断じてなかつたことであります。私はこの内閣のためにも、特に私の関係する電気通信省のために、残念に思う次第であります。従いましてこれを補佐したる政務次官、これを補佐したる事務次官におきましても、当時私どもの乱暴にも近かりし発言に思い合せて、御反省を願いたい。あなた方の責任もないとは言われぬのです。そこで私は今あなた方の責任を責めるのではない。幸いにしてこの無能な大臣のあとに、私の日ごろ敬愛するところの佐藤大臣が、今日絶対多数を持つ天下の第一党の幹事長という重職を、長きにわたつて、しかも成功裡にそれをやり遂げられ、功なつて、さらに認められて閣内に入られた。私はこの機会佐藤大臣に非常なる期待をかけるのです。私はこのようなみじめな電気通信事業を、ほんとうにあなたのような新進気鋭で、そうして閣内にも威力を持つであろうところの、ほんとうに将来ある政治家が、ほんとうに逓信事業というものに身を打込んでやつてくれるならば、画期的な一つの基礎を固めることができるであろう、こう私は期待するのです。よほどの人でなければ、この電気通信事業というものは、今のようなやり方では、いつまでたつてもよくなりません。今度の補正予算を見てごらんなさい。みんな膏薬張りです。このために日本電話がどうよくなるか。部分的には、あるいは一部分は非常にいいところもございましようけれども、こんなに発展して行く日本の経済界、こんなに膨脹して行く日本の国情というものに、追いかけても追いかけても追いつくことのできないような、幼稚なる感覚でその日暮しをやつておるのが、今日の電気通信事業です。こういうことでは、いつまでたつてもよくならぬのです。そこで、こういう強力なる内閣のもとに、あなたのような有力なる大臣が出た以上、これはひとつ国の方針として、来年度予算あたりから、ほんとうに真剣に、画期的な大計画をもつて臨むにあらずんば何年たつてもこういう、状態が解決できない。私が佐藤大臣に望むところのものは、あなたはせつかくこれだけの大きな役所を二つも抱えて閣僚となつたのですから、この際あなたはこのことを解決することによつて、ひとり国家のために貢献するのみではない。あなたが日本の政治家として将来伸びて行くためにも、このことは非常な期待をわれわれからかけられおる点なのです。私があなたにお考え願いたいことは、今度の補正予算で私どもが指摘した通りです。このうちで人件費の賃金ベースによるところの増額のごときは、これはやむを得ない問題でございます。その他は全部当初予算を組む時分に、ほとんど見通しがついておる問題です。これらは前大臣の不手ぎわによつて、電気通信省の役人が計画した通りの、それに近かりし予算をとることができなかつたという醜態の結果、当初予算のまつたく根本的な補正なんで、その後時局の変転その他によるやむを得ざるに出でたる補正だと私は思わぬ。当初予算の編成の当時における役人諸君が持つた熱意が、大臣の政治力とぴつたり合つておるならば、このような醜態の補正予算を出さなくてもよかりたと私は思うのです。しかしながらすでにそれは過去のことです。従つて私は電気通信事業のために、この補正予算を否決しようとは思わぬ。これも何とか通過さして、たとい彌縫策でもやらないよりはいいのですから、やつた方がいいと思いますけれども、そんなことで安心しておつたのでは、いつまでたつてもよくならぬということ、それを私は特に佐藤大臣要望いたします。そうして今同僚から申された、ときたま聞くいまわしい問題のごときも、ほんとうに緊張して大臣が一生懸命役所のためにやり、閣内でも、この役所のために発言権に非常な重きを加えられたということになれば、下の役人諸君の緊張の度もおのずから違うと思う。ああいうような無責任な大臣のもとにおいては、まじめに仕事をやるのがばからしくなつて、すべてが放慢に流れたから、そういう間隙に乗じていろいろいまわしいこともあつたのではなかろうかと、私は非常に残念に思います。どうかこの機会において、佐藤大臣を中心とせられて、下僚の諸君は一生懸命に、この日本のほんとうの基盤をなす神経中枢たる電気通信事業というものを諸君の手によつて、この大臣のときにおいて改革するという意気込みで、ひとつ緊褌一番、大計画を樹立してもらいたい。これが私の念願なんです。特に佐藤さんには、私は非常にあなたの政治力を信頼いたしまして、むしろこれは私どもも多少関係のあつた役所でございまするから、あなたにお願いするのであります。実は大臣説明に対する質疑としては不適当だと思いまするけれども、かくのごとき機会でなければこういう発言もできませんので、耳ざわりではございましたろうが、一言将来の日本電気通信事業のために、憂いを同じくする人々の気持をあわせ代表いたしまして、私はこのことを大臣に進言しておきたいと思います。(拍手)
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま椎熊委員から、椎熊委員の抱負を述べられたのでありますが、椎熊委員はかねてより私どもの扱つております電気通信事業につきましては、格段な御理解を賜わり、またかねての御抱負による御高見を機会ある、ことに御披瀝賜わりまして、私どもに力強い鞭撻をしていただいたのであります。私ども非常に平素からありがたく存じておるところであります。今またこの席におきまして、本年度補正予算等についての概括的なお気持を率直に御披瀝になりまして、われわれの思いの足らない点について、なお十分同情のある御警告をいただいたのであります。私はただいまのお話を伺いまして、私どもが平素携わるところの電気通信事業整備に対して考えております考え方と、全然同一のお考えのように拝察いたしたのであります。この点では非常にありがたく思うのでありますが、われわれのなお努力が足らず、皆様方の御期待に沿い得ない点も多々あるのではないか、かように考えまして、今後一層倍加された熱意をもちまして、本事業整備努力いたしたいと思つておるのであります。この事業は御承知のように、予算編成の際にいつも問題を起すのであります。長いこと官吏生活をしておりますので、官僚諸君のやることについては、私自身もよく理解し、また同情もいたしておるものでありますが、電気通信事業の戦後の状況を見ますると、何はさしおきましても、この整備に積極的に一段も二段も力を入れなければならなかつたのではないかと思うのであります。今回の補正予算等の取扱いにおきましても、すでに年度の終りと申しますか、前半を済ましたこの時期でありますので、当初予算のような気持で補正予算を組み直すわけには参らないのでありますが、まず年度当初において計画いたしました諸計画は、物価騰貴にもかかわらず、実施し得る程度のものは最小限度いたさなければならない、かように考えたのが第一点でありますし、また第二といたしましては、電話整備にあたりまして、別に都市偏重という考え方を持つものではないのでありまするが、今日の国の政治活動なり経済活動の中心が都市に置かれており、しかも都市の電話一般社会情勢に相応した程度整備されておらない、不整備の状態にある。電話自身は、御承知のごとく国全体から見ますれば、戦前の状態にまで復帰いたしておりまして、場所によりましては一〇三%以上の整備をいたしておるのでありますが、ただいま申し上げたように、国の活動の中心点においての整備が非常に遅れておる。この点は予算の使い方から見まして、非常に議論の存するところだとは思いまするが、この際特に、このいわゆる経済活動なり政治活動なり国民活動の面から見て、非常に遅れておると考えられる東京大阪等についての設備の整備に、一段の力をいたそうというような意味合いから、これが資金調達等をもはかつた予算をつくつたのであります。すでに御承知のように、電信電話整備五箇年計画等も立ててはあるのでありまするが、今後講和条約ができまして、自主自立の国ができる、かように考えますれば、この計画は在来のような考え方をいたしますれば、五箇年が七年になる、期間が延長されるようになりやすいと思うのでありまするが、この際はこの自主自立の情勢等をも考えまして、この期間を短縮するような予算をぜひともつくりたい。来年度予算を編成いたすに際しましては、現状等をとくに考え、なお講和締結後のわが国の活動等をも十分取入れまして、この要望に沿い得るように、期間を短縮しての整備計画をぜひ立てたい、かように実は思つておる次第であります。一般財源等から見ますれば、国自身におきましても、支出の面が非常にふえて参りますので、大蔵当局におきましても、この私どもの気持をなかなかまるのみにはいたしかぬるでありましよう。なかなか容易ならない問題だろうとは思うのであります。しかし私はこの事業自身についていろいろの批難を受けておる現状、これはむしろ同情ある批判をいただいておると、かように考えますれば、経済人なり国民の支持を得ておる施設でありますので、この来年度予算編成にあたりましてのわが省の要望は、一層力強く主張してしかるべきだろうと思います。また当委員会並びに国会の皆様方におかれましても、微力なるわれわれに対しまして、遠慮なしに力を貸してやろうという御同情ある御声援を得ておりますので、できるだけのことはぜひともいたしたい、かように念願いたしておるところであります。同時にまた制度そのものから申しましても、現在のような予算方式でこの事業整備をいたしますことは、いろいろな困難もあるやに考えられますので、この経営形態の基本の問題につきましても一層検討を進めまして、早急の間に民間資金をも調達し得て、そうして積極的に整備充実をはかり得るようにいたしたいものだと思うのであります。これらの点はすでに先刻皆さん方が御承知の点ばかりであります。要は皆さん方の一層の積極的の御支援のもとに、われわれがこれを強力に実施に移すということに尽きるであろうと考えるのであります。このような意味におきまして、ただいまの御鞭撻をいただきましたことにお礼を申し上げますと同時に、今後相かわらざる御指導、御支援のほどをお願いいたしまして、私の所信の一端を披瀝してお答えといたした次第であります。
  15. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 大臣が十二時十五分から所用があるようでございますから、一、二の点について簡単にお尋ねいたします。一つは、先ほど大臣の御説明の中に、公共企業体移行の問題が研究せられておる、こういうお話であります。この問題はかねてから当委員会におきましても重要な関心を持つて、かつまた小委員会を設置して、これが進捗をはかつておるのであります。いずれにせよ、当局がこういう考えを持つておるといたしますれば、その期間の遅速は別といたしまして、いずれかの期間にこれが実現を見ることであろうとわれわれは考えておるのでありますが、これにつきまして大臣の御所見を伺いたいのであります。公共企業体になりましても、単なる形式が国営からコーポレーシヨンになつたというだけでは意味がないのでありますから、おそらく革新的な内容が盛られるものと考えられるのであります。その一つの要素として、われわれはこの前の国会にも出すべくして出さなかつた営業法、あるいは電信電話法、これらの法律がいずれにせよ、近い国会に上程を見ることになろうと思いますが、その営業法並びに電信電話法、これらと公共企業体との関連は、まことに重要な相互関係を持つておると思うのであります。従いまして公共企業体が将来発足するという建前のもとに、営業法なりあるいは電信法なりを改正せられんとしているのであろうか、あるいは別個の問題としてこれを出そうとお考えなつておるかということをお聞きしたいのであります。  第二の問題は、国務大臣であり、かつまた現業大臣としての電通大臣としてお考えおき願つておることと思いますが、最近御承知ようにベース・アツプの問題が論議せられて、補正予算にも上程せられております。ただこの問題は、ベース・アツプの千五百円の値上げということだけでは解決できる問題ではなくして、ことに来年四月をもつて主要食糧の統制撤廃、こういうことが政府においても考慮せられておるやに聞き及んでおるのであります。現業大臣として、ことに大部分の労働組合の従業員を持つておられる電通あるいは郵政大臣として、主要食糧の統制撤廃が、従業員、労務者に相当影響することは当然なことでありますからして、これらの問題に対してどう考えておられるのであろうか、特に私個人として考えますれば、統制撤廃は当然やらなければならぬ。従来農民の負担においてのみ低米価政策が行われておつたのであつて、こういうようなやり方は、農民にのみ責任を負わせるところであつて、当然統制撤廃は行われなければならない。しかし従来の事情から、かつまた主要食糧の需給調整の関係から、今日に至るまでまたこれが実現を見ないのでありますけれども、ただ労務者に対しては、政府は従来加配米の制度によつて、一応実質賃金の安定をはかつて参つたわけであります。将来この主要食糧が撤廃になつた場合においては、全面的にいわゆる自由価格によつて主要食糧を使用しなければならない、こういう結果になりますので、相当に生計費は上つて来るのではなかろうか、従つてこの便法として、従業員、労務者の生活安定ということを考えますならば、従来とつて参つた加配米制度、これを政府の標準価格で売渡すような方針考えられないものかどうか、こういう点について、特に多数の労務者を持つておられる電気通信大臣の御所見を伺いたいと思います。
  16. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 電信法並びに営業法は、もちろん公社をつくります際に関連をもつてつくらなければならないもののように考えております。ことに御承知のようにこれが公社になり、また一部におきましては電波の関係等のことも念頭に入れて、ただいまの両法案を整備する必要があるのではないかと思うわけであります。ことに機構改革の問題はただいま検討中でありますので、内容はなかなか申し上げかねるのでありますが、公社にいたすことにつきましては、はつきりした方針を立てておりますので、これは公社になりましたあかつきにおいて、これの監督機構として、よるべきものを整備するという観点に立つての、営業法なり電信法整備ということにいたしたいと思うのであります。公社にいたします際に、いろいろの問題がありますが、ただいま御指摘になりましたように、在来の鉄道公社であるとか、あるいは専売公社というものが、一つの先例としての参考にはなりまするが、同時にこれらの公社が生れました後の実績から見まして、幾多の欠陥が考えられますので、これらを是正した公社をぜひともつくりたい。必ずしも先例にとらわれないものをつくりたい、これが私どもの念願なのであります。個々にいろいろむずかしい問題もあろうかと思いますが、在来の公社のできぐあいから見ますると、まだ欠点が多いようでありますので、新しいものをつくります際には、特にそれらの点にメスを入れて行きたい、かように思つておる次第であります。  次に米の統制撤廃の問題から、労務加配米についてどういう考えをしておるかというような御意見かと伺つたのでありますが、ただいまお話のごとく米の統制撤廃は、自由党のかねての主張であります。われわれといたしましては、ぜひともこの公約した政策を実施に移したい、かように考えまして政府におきましては、ただいまこれが実施案の樹立に非常に力をいたしておる次第であります。しかしこの問題は今おあげになりましたごとく、非常に困難な問題が幾つもあるのであります。総量——総米食の量を確保するということが第一の問題でありますが、同時に価格の問題をいかにするか、生産者価格なり消費者価格なりをいかにするか、この大きな問題があるわけであります。この量自身が現在の配給量を万一下まわるというようなことがありますれば、国民の食生活を脅かすことになるので、この点につきましては外米の輸入並びに国内産米の政府保有量におきまして、国民が安心のできる量を十分当初より計画いたして参るつもりでおります。同時にまたこの数量の計画いかんが、市場の消費価格に対しましても非常な影響があるわけであります。御指摘のごとく、公務員給与ベース引上げをいたしましたものの、食生活の面におきまして、米の消費価格が非常な値上りをするということになりますれば、せつかくの引上げも効果を上げ得ないのであります。そこで政府といたしましては、この影響するところ甚大なる価格政策、これに対しましても事前に十分の用意をいたす考え方でおるのであります。先ほどの保有米、いわゆる操作米の考え方、市場の動き等を見まして、価格の維持をぜひともいたさなければならない状況にあるわけであります。その問題から見ますると、米の値段あるいは麦の値段等の価格設定にあたりましても、十二分に考慮をいたさなければならない難問題なのであります。しかし今日までに用意されました政府の最高の線から考えますれば、この二つの問題、総量についての確保対策並びに価格についての対策、この二つとも、十二分に効果を上げ得る措置をとるということにいたしておるのであります。この点につきましては、私どもとしてはまず一応の対案を立て得た、かように考えておる次第であります。ただ問題は、ただいま御指摘になりました統制撤廃の前後と申しますか、直後と申しますか、この期間におきまする労務加配の米の確保の問題につきまして、これも実はなまやさしい問題ではないのであります。民間の工場等におきましては、工場自身が自分で手配をすることになるだろうと思いまするが、官庁等におきましても、積極的な計画をもちろん立てて参らなければならないと思うのであります。政府と申しますか、農林省自身におきましても、この問題の重要性については、今日より十分注意をいたしておるところでありますので、政府の保有米等におきましても、この労務加配の確保等について、十分の手を打つようにいたしておるような次第であります。いずれにいたしましても、予測される問題はきわめてはつきりいたしておるものでありまするが、実際に統制を撤廃し、自由販売にいたしましたあかつきにおいては、今例示としておあげになりました二、三の問題以外にも、幾つも問題が起ろうかと思いますので、ただいまこれが具体的対策を立てまして、そうして万全を期して、円滑なる自由販売への移行を計画しておるような次第であります。一言お答えをしておきます。
  17. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 テレビジヨン関係政府委員にお尋ねをいたします。御承知のように最近テレビジヨンの問題が、巷間やかましく言われておりまして、監理委員会当局においても、これらについて諸般の準備をせられておることと思うのであります。そのことにつきまして、時間もありませんから、二、三の点だけお聞きしたいと思うのであります。第一にはテレビジヨン方式ですが、これについての当局の準備、それらについてお伺いしたいと思います。
  18. 富安謙次

    富安政府委員 お答えいたします。お尋ねがありましたテレビジヨン方式の、わが国におきまして採用いたそうとする方式につきましては、目下委員会におきまして検討をいたし、委員会といたしましてはほぼ方向を定めましたので、これを案といたしまして、関係向きに対して交渉をいたしておるという段階にあるのであります。
  19. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 もちろんこの法制の建前は、テレビジヨン方式に関して委員会にかける必要はないのでありますけれども、この方式のいかんが、経済界あるいはその他の方面にも非常に大きな影響があるわけであります。従つて今やどういう方式がとられるかでもつて、実際上日本の電気工業に影響が相当にあると考えますので、こういう方式について大体の案ができました際においては、当委員会に一応意見としてお話なさるような御意向はないのかどうか、この点お尋ねいたします。
  20. 富安謙次

    富安政府委員 テレビジヨンの問題は、何分にも関係するところが多方面であり、そして日本の将来に対してもいろいろな点において重大な関係を持つものと思いますので、委員会といたしましても、決定をいたします前に、テレビジヨンにつきましては各方面の意見を十分に伺う機会方法を持ちたいと考えておりまして、具体的にどういう方法によつてその目的を達したらよかろうかということを、鋭意考究しておるのであります。たとえば当委員会におきましても、お知恵を拝借するというような機会方法を得たいとは存じておるのであります。それも大体の考え方をそういうふうにいたしましても、申すまでもなく技術がきわめて重要な要素を占める問題でありまして、技術の点ということになりますれば、その知恵を求めると申しましても、技術面の知恵を要求し、いただける方はどの方面にあるかということも、おのずから限定されるわけであります。技術面はこう、また一般の経済面はこう、法制面はこう、いろいろな方面から、お知恵をいただく方に対しても、それぞれに向つてお知恵をいただかなければならぬと思うのであります。それで技術の方式が、全体にテレビジヨンの日本において向うべき方向に関係をいたすということは、申すまでもないのでありますけれども、方式の問題に関する限り、その点について申しますならば、まず電波監理委員会におきまして一応の案を立てまして、これを公聴会にどうせかけるのでありますから、公聴会におきまして、そのときにはむろん技術の各方面の精鋭をすぐつて論議されることでありましようから、そういうような席上におきまして、その十分な討議の結果を参酌するという方法をもつて進むことが、行き方としては適当ではないか、こういうふうに考えまして、技術の方式の案をつくるときには、ただいま申しましたような各方面の意見を——正式と言いますと、語弊がありますけれども、形に現われた会議体のものの協力をまつという手段はとらなかつたのであります。しかしながらもちろん技術の面におきましても、その案をつくる前に、電波監理委員会でなく、私どもの存じのよりによります技術の学者でありますとか、あるいは関係の深いメーカーでありますとか、そういう人たちに随時委員会の方へ集まつていただき、あるいはまた個々に意見を徴するとか、適当な方法をもつて手段を盡したことは申すまでもないのであります。そういう方法によりまして、技術の方式に関する限りは一応の案をつくりまして、これを公聴会にかけるという方法で進んでおるのであります。しかしながらもつと進めまして、一般の経済の問題であるとかいう、広く一般的な国の良識を求めるという点につきましては、もう少し違つた方法をもちまして、いろいろの方面から御意見を伺うような機会方法を持たなければならない。どういうふうにしたならば一番よい実際的な方法であろうかというようなことについては、今いろいろと考えておるのでありまして、そういう点につきまして、何分いろいろな意味で当委員会等におきましても、お知恵をいただきたいということを考えております。これが私ども考え方の大体でございます。
  21. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 委員長の御説明で大体了承いたしましたが、ただこの問題は、非常に技術的な面もありますけれども、この方式がどういうふうにきめられるかによつて、日本の電波工業に影響するところが重大であります。いろいろ世間で伝えられるように、アメリカでとつておる方式をそのままとつた方が、日本の将来の電気工業の発展のためにいいのじやないか、こういう意見もありましようし、あるいはまた同じものをとつたのでは、将来アメリカとの競争が困難である、こういうことからして、別な方式をとつた方がいいのじやないか。こういうように技術的な面ばかりでなく、日本の経済的発展、ことに貿易発展というものからして、この問題がやはり大きく考えられておるようであります。従つてこういう点につきましても十二分に御研究の上、方式については委員会において原案を作成していただくことを切望するわけであります。  第二の点につきましては、このテレビジヨンはせんだつて放送文化議員連盟で抜山委員、あるいは放送課長のお話を聞いたのでありますが、なかなか先進国においても、経済的にもあるいは社会的にも、いろいろな問題を包蔵しておるようであります。ことに経済的には今なお現在アメリカにおいてすらも、これがペイしておるテレビジヨンの会社は一、二にすぎない。大部分は相かわらず赤字である。あるいはカナダにおきましても、これが困難な結果から考えて、結局一本にする、こういうような話を承つたのであります。ことに日本のように経済状態が弱体な国におきましては、この問題は非常に一般経済に与える影響も甚大であろうと思うのであります。ことに今まで受像機といいましようか、受ける側においては、ほとんど今日まで手がつけられておらなかつたのでありまして、家庭の声のラジオの場合におきましては、NHKが八百万ないし九百万という厖大な受信者を持つておつたときに、民間放送が認められました関係上、これらの進歩が順調に進んでおるということは、たいへんにけつこうでありますが、その原因はそうした基礎ができておつた。ところがテレビジヨンにおきましては、まつたく現在の日本においてその基礎ができておらないばかりではなくして経済上から見ても、日本現状では十万あるいは二十万という受像機を置くということは、非常に困難な情勢にあると思うのであります。従つて、テレビジヨンが現在の電波文化の上から考えて、重要な役割を持つておることは、これはもう言をまたないのでありますけれども、これの受入れ態勢としての日本の弱体経済、及び無経験なテレビジヨンの状態から考えて、これらをどういうぐあいに指導して行くかということについては、よほど慎重を期する必要があると思うのであります。これらにつきまして委員長考えをお聞きしたいと思います。
  22. 富安謙次

    富安政府委員 お答え申し上げます。テレビジヨンの重要性と、それからこれを日本に受入れる日本側の国情の面から見た態勢が、どういうような段階にあるかという大体のお考え方につきましては、ただいまお述べになりましたことと、私どもまつたく同じように考えております。テレビジヨンは文化という面から見て、なるたけ早く日本に移植されることが望ましいということは、申すまでもないのでありますけれども、それはああいうような大きな資本を動かすことであります関係上、国の経済力というような面から慎重に考慮を加えなければならぬし、またこれを受入れる態勢が法則的にどういう段階にあるかということも、一面において考えられなければならぬことは申すまでもないのであります。ただいま御発言の中にもありました通り、ありていに申しまして、テレビジヨンを受入れる法制の建前といたしましては、現在の電波法放送法ができまするときに、テレビジヨンというものを予想しなかつたとはむろん申しませんけれども、かくのごとく早急にその機運が盛り上つて来る、かように早くテレビジヨンを日本に入れようという声が高まつて来るということは、昨年この両法ができました当時などには予想されなかつたというのが、実際の実情ではないかと私どもは存じております。しかしながら事実といたしまして、予想よりもばかに早くそういうような情勢が、いろいろな内外の刺激によつて国民の間に盛り上つて来たということも、これまた事実であると思うのであります。それらの点がどれもみな間違いではないのであります。そういうようなことを考えながら善処しなければならぬという状態にあると思うのでありまして、もつとごく世俗な言葉を用いますならば、ゆつくりしながら急ぐという、ごく矛盾したような立場にあるというのが、ありのままの日本のテレビジヨンの置かれた状態ではないかと私ども考えておるのであります。これが国会における決議等もありまして、そのときにお答え申し上げた通りに、できるだけこれが実現を急ぐということは、私ども所信はかわらないのであります。同時にまたただいま申しましたようなこれを受入れる態勢、ことに日本の経済面から見た、内外諸般の事情から置かれている日本の地位とかいうようなことも、十分考えなければならぬことは当然だと考えております。これらにつきましては、私どももちろん委員会の権限とは申しながら、問題が重大でありますので、先刻も申し上げました通り日本としてのあらゆる情勢を判断の基礎として、私どもがお知恵をいただけるような方法を構じまして、ただいま申しましたように、矛盾したような困難な立場に対して、将来誤りなきを期したいというのが、私どもただいま考えておるところでございます。
  23. 辻寛一

    ○辻委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時十九分散会