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1951-12-08 第12回国会 衆議院 通商産業委員会大蔵委員会連合審査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十二月八日(土曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員   通商産業委員会    委員長 小金 義照君    理事 中村 幸八君       阿左美廣治君    神田  博君       澁谷雄太郎君    永井 要造君       中村 純一君   大蔵委員会    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久問 徹君 理事 内藤 友明君       大上  司君    島村 一郎君       清水 逸平君    苫米地英俊君       西村 直己君    八百板 正君       高田 富之君    深澤 義守君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会税務部市町村         税課長)    松島 五郎君         大蔵事務官         (主税局税制課         長)      泉 美之松君         通商産業事務官         (通商企業局         長)      石原 武夫君         通商産業委員会         専門員     谷崎  明君         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君         大蔵委員会専門         員       黒田 久大君     ————————————— 本日の会議に付した事件  企業合理化促進法案(小金義照君外三十四名提  出、衆法第七号)     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  昨日に引続き私が本連合審査会委員長の職務を行います。  企業合理化促進法案を議題として質疑を継続いたします。質疑通告順従つてこれを許します。奧村又十郎君。
  3. 奧村又十郎

    奧村委員 私は前三回の連合審査会に出席できず、よんどころない用事で遅れて質疑をいたすので、まことに相済まぬと思いますが、なおまたすでに同僚委員から御質問のあつた点と重複するかもしれませんが、しかしなお同僚委員質疑に対して十分の御説明もなかつた点もあるように思いますので、お許しを得て質疑をいたしたいと思います。  日本独立達成を前にして、相当財政困難であることは申すまでもないのであります。このインフレを抑制し、経済自立を達成するがためには、日本税制確立が特に大事であると思うのであります。今回のこの法案について、私は特にこの財政収入を確保し、税制を確立するという建前から主としてこれを見ておるのでありますが、その観点から相当いろいろな疑問もあるので、その点お伺いしてみたいと思うのであります。まず何としましてもこの法律によつて国財政及び地方財政にどういう影響を与えるかということが問題でありますが、政令あるいは命令に委任した事項が非常に多いので、この法律だけ読んでみてもどうもはつきりしない点か多いのであります。そこでまずお尋ねいたしたいのでありますが、この法律によつて財政措置としてはまず補助金を与えるという点、減価償却を認めるという点、それから個人に対しては減価償却経費として落すという点、地方税について免税の処置をする点、こういうようなことが見られると思うのであります。そこでこの法律実施によつてまず補助金はどの程度年間出されるお見込みであるか、どういう方面にどういうふうにお出しになるのであるか、この点は第三条に単に「予算範囲内において補助金交付し、」とあります。交付するのはまことにけつこうであるが、その交付方法内容、これはほとんど何も明らかになつておらぬ。これはこの減税措置と関連して来ることであるから、この点補助金交付するその内容及び年間の見込み、この点をまずお尋ねいたします。
  4. 石原武夫

    石原説明員 この三条に規定いたしております補助金につきましては、ここに書いてありますように、鉱工業等に関する技術研究、それから工業化試験、この二つにつきましては従来から予算に計上いたして補助金交付いたしております。その総額鉱工業技術研究に関するものが二億、工業化試験関係補助金が二億五千万、合計四億五千万を二十六年度予算に計上いたしておりまして、今それに基きまして補助金交付いたしておるわけであります。それから二十七年度につきましては、御承知通り予算が確定いたしておりませんので、どの程度になりますか、まだ未確定でございますが、通産省といたしましては、さらにかような試験研究あるいは工業化試験補助金を、現在よりもできるだけ増額をいたして、こういう目的を達したいということで、まだ大蔵省と折衝中でございます。
  5. 奧村又十郎

    奧村委員 提案者お尋ねしますが、この第三条の規定によつて政府が特に補助金を増額する義務を負うのではないか、二十六年度においては、この法律法律になつていなかつたが、二十七年度以後においては政府はこの法律拘束を受けるのであるか、この法律によつて特に補助金をどの程度ふやすということになるのか。
  6. 中村純一

    中村(純)委員 二十六年度予算の状況につきましては、ただいま通産省側からお答えを申し上げた通りでございます。それから二十七年度以降のここにつきましては、この法律ができたために特に予算をふやさなければならないという、そこに拘束が生じることは絶対にないと考えております。通常の予算構成手続なり順序を経まして二十七年度以降の予算は編成せられるものと考えております。
  7. 奧村又十郎

    奧村委員 提案者の御説明によりますと、従来とも補助金は出ておつた。またこれによつて特に補助金をふやすというような趣旨でもないというと、これは何と申しますか、法律の体裁を整えただけで、補助金を出そうということにこの法律重点を置いていない。そうすればこれは減税措置重点を置いておる、こういうことに解釈できるが、その点はどうか。
  8. 中村純一

    中村(純)委員 補助金を将来ふやさなければならぬという法律的な拘束が生じるものではないという意味を申し上げたのでありまして、今日まで実行いたしておりまするものは、法律根拠はございませんが、省令以下の定むる手続によつて計上された予算範囲内において実施をいたしておるのでありまするが、それを法律根拠を置きました趣旨は、今後日本企業をできるだけすみやかに——戦時中戦後を通じて非常に立遅れをいたしておりまする技術なり設備面を改善をして行きたい、従つてこの補助金の問題も予算の許します限りはふやして行きたい、こういう希望はむろん提案者としては持つております。ただ御質問の点が、法律ができたために、そこに何らかの当然ふやさなければならぬ拘束が生じるかというお尋ねでございますれば、法律的にはさようなことはない、かように申し上げたのであります。
  9. 奧村又十郎

    奧村委員 それじや現在までの補助金はいかなる方面に、いかなる方法補助金交付しておられるのか、またこの法律実施によつて、この交付方法内容がかわるのかどうか。
  10. 石原武夫

    石原説明員 交付方法につきましては、現在も補助金を出しておりますので、通産省の告示でいろいろ手続をきめております。それによりまして申請をとりまして、審査をした上補助金交付対象とすべきものを決定いたしまして交付をしておるわけであります。今後におきましては、その手続を大体そのまま踏襲するつもりでございまして、この法律に基く省令などでさような手続関係規定を書いて行くという予定にいたしております。  それからこの補助金をいかなる対象について出しておるかということのお尋ねのようでありますが、非常に多数ございますので、二十六年度にこの補助金を具体的にどういう技術あるいはどういう企業に対して出しておるかという点は、後ほど御必要あれば資料で差上げてごらんを願いたいと思いますが、試験研究につきましては、各業種にわたりまして相当多数——これは今数を正確に覚えておりませんが、資料といたしましても数枚にわたる程度の多数の対象を取上げて補助金交付いたしております。交付をいたします基準について、工業化試験につきましてどういうものを対象にしているか、抽象的な基準を一応申し上げますと、その試験研究成果が新しい技術を生み出して将来の技術水準を引上げるというようなもの、わが国の立地条件、資源、またはいろいろ資本の関係でありますとか、そういう点から見て最も適当であるかどうか、その技術研究基礎となる試験研究基礎理論というようなものが十分できておるかどうか、それから試験計画、あるいは試験方法がはたして妥当であるかどうか、それから当該企業技術的の陣容その他から見まして、その試験研究成果を上げ得るような条件が備えられているかどうか、それからその試験研究——補助金は一部でございますので、その他の資金調達についての一応の目途があるかどうかというような点を審査いたしまして、民間から出ています申請に基きまして、具体的に試験研究所を一通り審査するということにいたしております。
  11. 奧村又十郎

    奧村委員 一方新しい試験研究のための機械設備補助金を国から交付する。しかもその試験研究設備については、相当大幅な免税措置をする。そうすると、同一助成対象に対して補助金も出し、免税もする、そういうふうな重複した措置になりはしないか。こういう点からお尋ねするのでありますが、設備を直接対象として補助金を出すのか出さないのか。
  12. 石原武夫

    石原説明員 今のお尋ねの点につきましては、もちろん試験研究につきましては、設備対象にして補助金を出しております。従いまして、一面補助金適用対象にもなり、本法で参りますと、四条短期償却対象にもなる。こういうふうに二重になる場合に、当然予想されることであります。その点はたして重複してやる必要があるかどうかという質問かとも思いますが、元来試験研究対象にいたします固定設備は、普通の設備のような長い耐用年数使用されることがないのが現実でございまして、相当短期間に試験研究目的は達せられるべきで、従つて従来のような普通の生産設備と同じような耐用年数を認めることは、必ずしも実情に合わないのじやないかということで、試験研究設備につきましては、短期償却を認めることがむしろその実態に合うのじやないか、こういう点で、この償却の点は考えましたので、お尋ねのように両方適用する場合があるということであります。
  13. 奧村又十郎

    奧村委員 それじやただいまの御答弁に関連してお尋ねいたしますが、この法律規定全体が、試験研究の場合も、あるいはまた重要産業の施設の場合においても、非常に短期償却を認める、個人の場合においても短期経費として落すということを規定されておる。そうすると、つまり非常に短期にその機械がだめになる、使用価値がなくなる、そういう短期の効果しかないものに限つてこの助成をなさるのか、  つまりそういうものに限つて政令内容はきめられるのか。もしかりに二十年も耐用できるものを二年や三年で全部帳簿から落すということになれば、はなはだ不当になる。ただいまの御答弁のように、そういう二、三年で全然その機械設備がだめになるようなものに限つてこの適用をなさるのか、政令内容はそうなるのか、その点をお尋ねしたい。
  14. 石原武夫

    石原説明員 先ほど私から御答弁申し上げましたのは、試験研究設備についての御質問かと思いましたので、試験研究設備につきましては、その設備自身耐用命数は必ずしもそう短期ではないけれども、使用する主たる目的試験研究用という場合には、それが使われる期間が非常に短いという点で、四条に関します試験研究設備については、実際上の使用期間が短いだろうというふうに申し上げましたので、六条の方の生産設備につきましては、もとよりさようなことはございませんので、その機械耐用命数は、普通の税法等にきまつております通り耐用命数は当然あるわけでありますから、六条につきまして短期償却を特に設けましたのは、四条試験研究設備について短期償却を設けましたのと多少事情が違うわけでありまして、四条の方は先ほど申しましたように、元来の使用目的からいつて、そう長期に使わないであろうということを申し上げたのであります。六条の方の関係につきましては、さようなことはございませんので、耐用命数全体といたしましては、三年なりあるいは五年というところで全部償却されるわけではございませんが、ただ初年度に五%償却し、残りは当該機械耐用命数償却されるということになるわけでございまして、御承知のように現在租税特別措置法で五割増し特別償却を三箇年認めておりますが、それをさらに一段と強化するという趣旨で六条の方は規定ができておるわけであります。
  15. 奧村又十郎

    奧村委員 試験の場合と六条の減価償却の場合とは全然考え方が違うということがはつきりいたしました。それでは泉税制誤長にお尋ねいたしますが、六条の規定に基いて、しかもこの法律附則によるところの租税特別措置法の改正によるならば、この六条の規定による減価償却はどういうふうなことになるのか。この法律が非常に複雑に書かれておるので、ちよつと簡単には理解ができないのでありますが、この法律に基いて法の範囲内で極限まで減価償却をやつた場合には、この機械設備は何年間帳簿上ゼロとなるという償却ができるのかどうか。
  16. 泉美之松

    泉説明員 今回企業合理化法案附則におきまして、租税特別措置法の一部を改正しまして、特定重要産業使用します特定機械設備につきまして、初年度五割の償却を認めるということにしたいと考えておるわけでございますが、その場合にどういうふうな償却になるかということを申し上げます前に、現在租税特別措置法できめられております五割増し償却のとこから申し上げた方がわかりいいかと思うのであります。  御承知のように、現在機械設備につきましては、耐用年数をきめまして、定率法または定額法によりまして減価償却を行うことを認めておるわけでありますが、従来ありました五割増し償却と申しますのは、そうした特定機械設備あるいは船舶につきまして、取得の年から三年間法定償却額——これは定率法及び定額法でそれぞれ耐用年数に応じまして一年の率がきまつておりますが、この定額法または定率法できまつております償却額を五割増したところの償却ができるということになつておるのでございまして、それによりますと、大体耐用年数が十五年くらいの機械でございますと、三年間に五割一分二厘という償却ができるということになつておるのでございます。その三年間に五割一分二厘の償却をした後は、これは普通の法定償却額を認めて行くわけでございますが、三年間割増し償却をいたしておりますから、実際におきましては、十五年の耐用年数のものも大体十三年くらいで帳簿価格残存価格の一割までに達しましてあとはそれによつて償却はできないということになるわけでございまして、いわば償却の繰上げということになるわけであります。今回取得の年に五割の償却を認めようと申しますのは、それをさらに一歩進めようというわけでございますが、初年度五割の償却をいたしましても、次年度からは、あと半額につきまして耐用年数に応じて償却をして行きますので、次年度以降の償却範囲額というものは小さくなるのであります。しかし初年度五割の償却を認めておりましても、その初年度におきまして五割の償却ができませんときは、これを繰越し償却額としまして次年度以降の償却範囲額にいたしておるわけでございますが、それによつて行きますと、先ほど申しました十五年の耐用年数の場合に五割増し償却いたしますと、三年間に五割一分二厘の償却ができるわけでございますが、今度の方法によりますと六割八分程度償却ができるのでございます。しかし次年度以降は半額について法定償却額を計算いたしますので、その次年度以降の償却額は非常に減つて参りまして、耐用年数関係からいたしますと、先ほど申し上げました五割増し償却の場合に十五年の耐用年数のものが、およそ十三年で償却できるという関係はほとんどかわらないのでございまして、今度の償却の場合におきましても、やはり十三年程度たつと初めて残存価格の一割に達することになるわけでございます。初年度の額とその後の額が違うだけでありますから、長い目で見ますれば大して違いないのでございますが、ここ急速に日本機械設備近代化をはからなければならぬという事情から考えまして、そうした措置近代化促進のために一つの大きな役割を果すものと考えておるような次第でございます。
  17. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまお話の五割増し償却は、特に日本経済再建のための重要産業と認めるものに行うということになつておるが、今回またこれは五割増しとは違つて設備そのものの五割の償却をするという。これは特別償却という名前をつけておるようでございますが、その二つ償却はどういう性格の相違があるか、こういう問題が起つて来ると思う。そこでこの五割増し償却というもの——これは政令できまつたものですが、その政令内容、それから今回の取得価格の五割という、これはまたけたはずれた償却のその政令内容、その両方を対象して比較研究することが大切であると思うので、まず先に日本経済再建のための特別償却政令内容お尋ねいたします。
  18. 泉美之松

    泉説明員 お尋ねの五割増し償却につきましては、機械のほかに総トン数三百トン以上の船舶を入れておるのでございますが、その機械の種類につきましては、お手元に差上げてあると思いますが、租税法規集の千八十七ページから千百五十七ページのおよそ七十ページにわたりまして、相当広汎な機械指定しておるのでございます。これは別に業種というものを限つておりません。汎用機械専用機械にわけまして、この機械を使つておる企業でありますれば、いかなる業種のものでありましようとも、五割増し償却ができる。それではこの機械をどういう基準によつて選定いたしたかと申しますと、法律にもございますように、日本経済再建をはかるためには、戦時中及び戦後の空白期間によりまして、日本機械が外国に比べまして非常に遅れておるのでございます。これは一般的に遅れておるわけでございますが、そのうち各業種を通じまして特に遅れているような機械を取出しまして、五割増し償却適用を認めまして、その三年間法定償却額の五割増し償却を行うことによつて、そういつた機械設備取得が容易にできるようにというふうに考えてできておるわけでございます。これに対しまして、今度初年度取得価格の五割の償却を認めようというのは、この機械の中で特に緊急に近代化をはかる必要のある重要産業機械だけに限りたい、そうしてそういつたものについて五割の償却を認めようというわけでございまして、奥村委員とつぴな償却というような御発言がございましたが、これは長い目で見ますと、現在の五割増し償却と大して差はないのでございます。ただ最初の数年間に差が大きく出るということでございます。なお御参考までに申し上げておきますが、決してとつぴな償却方法ではございませんで、こうした償却方法は第二次世界大戦によつていろいろ産業設備につきまして損害を受け、また技術が遅れているのを取返そうというので、イギリス及びドイツその他各国において行われているところでございます。イギリスにおきましては、初年度四割の償却を認めております。ドイツにおきましては初年度及び次年度におきまして、取得価額の五割の償却を認めております。決してとつぴの方法ではないということを御了解願いたいと思います。
  19. 奧村又十郎

    奧村委員 これは議論すべきではないのですが、とつぴであるかとつぴでないかということは政令内容その他全般を明らかにしてみなければわからぬので、それはむしろ今後の問題になる。私はとつぴになつてはならぬということで質問をしている。またイギリスドイツにおいても相当償却をしていると言うが、これは法人税率その他、他の税法も勘案して行くべきであつて、今回のように四二%の法人税を課する日本において、五割の償却、つまり取得価格半額償却ということ、そのことがどうか。それは法人税税率論から比較して行かねばならぬので、今の点についてはこれは御意見として承つて、私はなるべくとつぴでないように行きたいと、こう考えてお尋ねするわけであります。  そういたしますと、最初日本経済再建のための五割増し償却、これは年間でどのくらい減収になるのか。
  20. 泉美之松

    泉説明員 この点につきましては、さきの国会で租税特別措置法を一部改正するときに申し上げたと思いますが、これの分は、昭和二十六年四月一日以後終了する事業年度分から適用するようになつてつたのでございますが、二十六年度におきまして八億円ほどの減収を見込んでおつた次第でございます。
  21. 奧村又十郎

    奧村委員 二十六年度で八億円、その八億円の減収の見積りの根拠はできておりますか。概数でもいいがお知らせを願いたい。
  22. 泉美之松

    泉説明員 これはこの法によりますと、非常に厖大になるのでございますが、これらの設備につきまして、それぞれ輸入計画設備計画がございまして、この計画ごとに、それぞれ普通の償却の場合には幾ら償却になる、それから五割増し償却をした場合には幾らになる、但し五割増し償却でも、企業事情によりまして全部が全部五割増し償却はおそらくできないであろう、従つておよそ五制増し償却として考えられる範囲額の七〇%相当額償却を行うであろうというふうに見積りまして、各機械についてそれぞれ計算いたしました結果が八億円になつているのでございます。
  23. 奧村又十郎

    奧村委員 私はただいまのそのことをお尋ねしているのじやなしに、その政令によつて指定された償却資産総額幾らであつて、これに対して、五割増しをしない場合は幾ちの償却になり、五割増しによつて幾ら償却がふえるということによつて減収がどうなる、そういう数字的根拠を示してもらいたい。これが今回のこの合理化促進法による減収を判断する上において相当資料になる、こういう意味からお尋ねしたわけであります。
  24. 泉美之松

    泉説明員 これにつきましては、同じ取得価格だけで申し上げても、耐用年数がそれぞれ違つておりますし、償却範囲額というのがそれぞれ違つておりますので、一口に簡単に申し上げかねますので、後ほど資料を差上げたいと存じます。
  25. 奧村又十郎

    奧村委員 もちろんこれは厖大数字になり、複雑なものであるから、ここではつきりお示しできるとは思わぬが、少くとも八億の減収になるという答弁をなさるについての数字的な資料が十分用意されているかどうか。ただ腹づもりでそういうことを言われているのか。これは償却資産全体を相当把握しての数字でなければ、われわれも今の八億円の減収ということは認められない。それだけの御用意が十分あつての御発言かどうか、その点だけははつきりここで御答弁願いたい。
  26. 泉美之松

    泉説明員 その点につきましてそれではごく大ざつぱに申し上げますと、もちろん計算の基礎はあるのでございますが、三百トン以上の船舶昭和二十六年度中にこの五割増し特別償却を受ける……。
  27. 奧村又十郎

    奧村委員 それを言い出したら一時間も二時間もかかるから、資料があるということを言明できるかどうか、その点を……。
  28. 泉美之松

    泉説明員 それはございます。
  29. 奧村又十郎

    奧村委員 それではその五割増し償却指定をされた中から選んで、特別償却というものを指定なさるのかどうか。全然別にまた指定されるのかどうか。
  30. 泉美之松

    泉説明員 今度の取得の年の五割の償却につきましては、この現在指定をいたしております機械のうち、特定重要産業に使つている機械限つて五割の償却を認めるという方針をとりたいと思つているのでございます。
  31. 奧村又十郎

    奧村委員 五割増し償却をしている指定の中からこれを大体見て行かれる、これは当然のことと思いますが、そうすると五割増上の償却とこの合理化促進法による償却と重複しないか。そこで条文によれば重複しないという規定がありますが、つまり取得した年に半額控除して、翌年度からはこの五割増し償却適用するのか。その半額はその年度においては適用しないとはつきりしている。しかしその翌年度からの適用はどうなるのか。
  32. 泉美之松

    泉説明員 翌年度からはその五割増し償却の方に移るということはございません。取得の年に五割増し償却方法をとりましたものにつきましては、その方法でやつて行きますし、それから法定償却額の五割増し方法をとるものにつきましては、それでやつて行くわけでございまして、いずれこの政令によりまして産業の種類を指定いたしますと、それに該当する事業で使つておる機械につきましては、初年度五割増し償却ができることになるわけであります。ただそれはたまたま現在の五割増し償却と一致しておるわけでございますが、その場合にどちらを選ぶかということは、企業の収益状況を見て、企業が自由にきめればいいことになつておるのであります。一旦選定いたしました場合には、どつちかへ移るということはできないことになつております。
  33. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは地方税法の方に移つてみます。法第五条においては、個人に対する固定資産税の免税規定、第七条は法人に対する固定資産税の免税規定適用が書いてありますが、この法によつても、自動的にこれに該当する機械設備は、すべて固定資産税が免税になるのかどうか。
  34. 中村純一

    中村(純)委員 五条と七条の規定でございまするが、これは地方税法第六条の規定適用があるということをここに示しておるのでございます。しかして地方税法の第六条の規定によりますると、免税をすることができる、あるいはまた不均等課税をすることができるという建前になつておるのでございます。それでこの法律に五条、七条が出ておりまするのは、この法律に該当する機械設備等については、地方税法六条の適用があるということをここに示しただけであります。従いまして必ずこれによつて地方税の減免がされるかどうかということは、これは地方税規定の運用の問題になつて来るわけであります。
  35. 奧村又十郎

    奧村委員 これは地財委の政府委員お尋ねしなければならぬことでありますが、それにいたしましても、もう少しこまかい規定なり政令なりが出されなければ、この条文だけではこれは非常に誤解を生ずると思うのです。つまり法人税法における減価償却というのは、これは命令があつてはつきりなさるようでありますが、地方税法においては何ら規定がなされていないから、この法律だけで解釈をいたしますと、重要産業政令で定めるものの機械設備、これが全部固定資産税の免税の処置を受けることができる。だからこれは法人税法の減価償却とは全然違つて、うんと範囲が広くなる。それを課税しないことができるというような地方税法のこの規定に当てはめようと思うと、これはまことに雲をつかむような規定になる。これは地方で予算をつくる場合に、この規定ではおそらく予算の組みようがないだろうと思う。これは地方財政委員会の政府委員を呼んで来なければならぬが、提案者としてはそこまでの御配慮あつてこういう規定をなさつたのか、ただ単にこれはほんの希望的な、先ほどの補助金規定のような気分でお書きになつたのか、これは将来相当解釈上の問題が出ると思うのですが、その点いかがですか。
  36. 中村純一

    中村(純)委員 この法律適用を受けまする機械設備等の対象は、この法律及びこれに基く政令によつて、ただいま政府側から御答弁申し上げたようにきまるわけでございます。この法律に基いてきまりました対象物に対しまして、今度は地方税法においていかに取扱うかということが次の問題になつて来るわけでございますが、現在の地方税法六条におきましても、地方税を取扱う地方自治団体の判断によりまして税の減免ができる建前になつておるのであります。この法律の五条、七条におきましてかような規定を置きましたのは、この法律によつて確定いたしましたその対象については、同じくこの地方税法の六条の規定によつて、地方自治団体の判断によつて租税の減免ができるということをここに書き出したものでございます。
  37. 奧村又十郎

    奧村委員 これは地方財政の面から行くと重大な問題が起つて来ると思う。つまり第五条、第七条で固定資産税について適用があるとするならば、納税者がこの規定従つて地方団体に対して免税の要求をした場合に、これを地方団体が拒むことができるか、また地方団体がそれでは自発的に条例をもつて相当の減税の処置を規定をした場合に、自動的に平衡交付金をふやすのか。ただでさえ地方財政が府県ごとに非常に不公平になつておる。しかもこの規定によつて、これをいかに取扱うかはすべてこれは地方団体に一任してあるので、従つて地方によつてこの規案まるまる適用する地方もあれば、ほとんど適用しない地方もある。そうすれば工場ごとに非常にこれは不公平が生ずる、こういう点の御配慮があつたかどうか。免税にした場合においての平衡交付金は国がめんどうを見る、そこまで行くのか、その点の腹構えをお伺いいたします。
  38. 中村純一

    中村(純)委員 地方税法におきまして減免の規定がありまするが、これは地方団体の自分のところの財政事情を勘案をいたしまして、減免をするかしないか、するならばどの程度にするかということは、地方税法の規定によつて地方団体がやる建前に相なつておりますので、この法律に五条、七条の規定を置きましても、その建前をくずす考えもなく、またそのことにもならないと思うのでございまして、地方団体としては、それぞれ自己の財政事情を勘案いたしまして、適当に取捨選択をすることに相なる次第と考えております。
  39. 奧村又十郎

    奧村委員 御承知通り平衡交付金は、地方団体の赤字は自動的に政府がめんどうを見る、こういうことになつております。そこで地方団体がこの法五条、七条に従つてこれをかりに半額免税というふうにすれば、その地方団体の平衡交付金算出の基準がかわつて来るはずです。そこでそれだけ地方団体の財政収入が減るということになれば、平衡交付金によつて自動的に国がそれだけのめんどうを見ることになるのかどうか、その御配慮があるのかどうか。
  40. 中村純一

    中村(純)委員 地方団体は本法の五条、七条の規定があるからただちにこれを減免適用をしなければならないということにはならないのでございます。その自己の財政事情等を勘案をいたし、かつまた平衡交付金の面、それぞれその面との関連をも考えて、自己の判断においてきめるものだと考えております。
  41. 奧村又十郎

    奧村委員 どうもその点ははつきりいたしませんが、これはひとつ地財委の政府委員にお越し願つて、また地方財政の立場からの、この法律施行の法律的な意味を、ひとつお尋ねいたしたいと思います。  それでは次に法人税法の方に移りたいと思います。この試験研究の場合は、青色申告をしていてもいなくても、これは全部この法律適用できる、こういうことになつておるが、その通りですか。
  42. 泉美之松

    泉説明員 特別償却につきましては、青色申告の提出を要件といたしておるのでありますが、試験研究につきましては、別段青色申告の提出を要件といたしておりません。
  43. 奧村又十郎

    奧村委員 先ほどの日本経済再建のための五割増し償却は、これは青色申告の提出の条件がついておるのかどうか
  44. 泉美之松

    泉説明員 五割増し償却のものにつきましても、青色申告の提出が要件になつております。
  45. 奧村又十郎

    奧村委員 この法律の条文を見ると、今まで青色申告をしていなかつた法人であつても、昭和二十六年の一月にさかのぼつて青色申告の手続をし、書類を出せば青色申告をしたものとしてその取扱いをする。これはずいぶん思い切つた規定であるが、先ほどの五割増し償却の場合もさような手続を認めておるのかどうか。つまり遡及して青色申告を認めるということをほかの場合でも通用しておるのかどうか。
  46. 泉美之松

    泉説明員 御趣旨がちよつとわかりかねるのでありますが、遡及して青色申告を認めるということはいたしておりません。
  47. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは今回の附則の五項、つまり青色申告をしていない法人のことを五項が記しておるのでありますが、それでも法第二十五条の青色申告を提出したときは、二十六年四月一日を含めてですから、昭和二十五年十一月一日からの事業年度の分の償却が、あとから提出した青色申告によつて適用される、こういうふうな意味に読みとれるのですが、それは間違いでありますか。
  48. 泉美之松

    泉説明員 これは法人の書き方があるいは誤解を生ずるようなことになつておるのかもしれないのでございますが、法文の趣旨は、昭和二十六年四月一日以後終了する事業年度開始の日から特定の、現在五割増し償却適用を受ける機械取得したものにつきましては、その取得年度におきまして、青色申告を提出いたしておりますと、昭和二十七年一月一日以後終了する事業年度におきまして、その機械につきまして、今年取得の年に五割の償却ができる機械に該当するということになりました場合には、その取得の年に五割の償却ができるということにしまして計算して、償却範囲額を見るわけでありますが、実際にはすでにその事業年度につきましては、終了いたしまして申告をしておるわけでございますから、その実際償却額初年度取得の年に五割償却でき得る金額との差額を、昭和二十七年一月一日以後終了する事業年度において償却範囲額に加えて償却することができる。実際におきましては、今度の取得の年、初年度に五割償却というのは、二十七年四月一日以後終了する事業年度適用するのでございますけれども、すでに二十六年四月一日以後において終了する事業年度において取得しておる機械もございますので、そういつた機械につきましては、実際上は今度の改正がさかのぼつて適用されたと同じようにしようというわけでございまして、青色申告をそのとき出しておらなくても、今度認めるという意味ではないのでございます。取得の年の青色申告を出しておらなければならないことは絶対の要件でございます。
  49. 奧村又十郎

    奧村委員 どうもそこのところははつきりしない。この附則の第五条の八、これは青色申告を提出する法人で云々と、まず青色申告を要件に書かれてあるわけです。五項の方はそうじやなしに、青色申告の条件でなしに、単に法人がとずつと書いて来て、そうしてその法人が法人税法第二十五条一項の規定による青色申告を提出したときは、さかのぼつて適用する、こういうふうに読み取れるのですが。
  50. 泉美之松

    泉説明員 これは条文の書き方があるいは悪いかもしれないのでございますが、先ほど申し上げましたように、今度の初年度の歩合償却というのは、現在の五割増し償却を認めておる機械のうちに、特定重要産業使用されておるものについて認めることにしておるわけでございます。従つて今度政令特定重要産業をきめますと、その重要産業昭和二十六年四月一日以後終了する事業年度開始の日から取得しておる機械で、五割増し償却適用があるものがあるわけでございます。それが今度昭和二十七年一月一日以後終了した事業年度の方で行きまずと、初年度五割の償却ができるわけでありますが、すでに昭和二十六年四月一日以後終了する事業年度が終了しておることになりますので、その際にはすでに申告書の提出なんかも終つておりますので、それは申告書まで直すのはどうかという考えから、取得の年に五割の償却をしたならば、償却し得た範囲額があるわけでございますから、それと実際償却額との差額を繰越し償却するということにしておるのでございまして、法人税法二十五条一項の規定による青色申告を提出したときはというのは、その前に「当該法人がその事業の用に供した事業年度の所得につき」という前提が入つておりますから、取得の年に、その機械取得した事業年度において青色申告を出しておらなければならないということは当然になつて来るのでありまして、今後青色申告を出したら認めるという趣旨ではないのであります。
  51. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは法第六条の政令内容であります。これは同僚委員からずいぶんお尋ねがあつたようでありますが、内容が明らかにされておりません。ところが一方において、この法によつて、大体年間十億円内外の償却をするのだ、こういうことを言つておられる。政令内容が明らかにならずに償却の金額はこうなんだ、それはどういうふうな根拠があつてそういうことを言われるのか、政令内容だけはこの際はつきり言うていただきたい。
  52. 泉美之松

    泉説明員 今度の企業合理化法による初年度五割の償却ということによつて、どの程度減収になるかということにつきまして、これは来年度の租税及び印紙収入全体の予算関係して見なければならないのでございますが、まだそれが最終的に確定いたしておらないのでございまして、この点はなはだ申訳ないと思つているのでございます。この来年度の租税及び印紙収入全体の見積りをいろいろ立てておりますが、現在の財政需要から行きますと、どうも今度の特別償却による減収につきましては、十億ないし十五億程度範囲に限らなければいけないのじやなかろうか。そしてまた業種につきましても、鉄鋼、石炭そのほかの産業において使つており、特に緊急に近代化を必要とする機械におきましては、大体その範囲程度でまかなえるという見通しをつけているのでございますが、最終的に範囲をきめるというまでにまだ立ち入つておらないのでございます。鉄鋼だけについて申し上げてみますと、鉄鋼だけにつきまして約十億近くの減収額になるのでございます。従つてそのほかにどの程度重要産業機械を入れるかということを目下検討いたしているような次第でございます。
  53. 奧村又十郎

    奧村委員 鉄鋼業だけについて十億くらいの減収になるというのであるが、鉄鋼業に関する取得する設備は全部該当するおつもりなのか、そのうちの特に命令で指定する機械でなければならないのか、鉄鋼の場合は命令の内容はつきりしているのか。
  54. 泉美之松

    泉説明員 もちろん鉄鋼業で使用する機械の全部では、ございません。そのうちの現在租税特別措置法の告示で指定いたしております機械につきまして、二十七年度におきまする設備計画では相当機械が輸入品になるのでございますが、輸入の計画、こういつたものから見ますと、大体十億程度減収になるのではなかろうかという計算を今いたしているのであります。なぜ私が鉄鋼について申し上げたかと申しますと、私ども業種別に今検討を始めておりますが、鉄鋼についてだけ一応検討し終つたので申し上げたような次第でございます。
  55. 奧村又十郎

    奧村委員 どうもこの減収見積りなどについて大蔵省は確固たる資料ができているのかどうか、基礎があるのかどうか、腹づもりで何もかもしやべつておられるので、実際問題としては政令内容はきめられた、いよいよその年度が経過して、初めは十億の減収見積りであると思つたが、実は八十億も減収になるというようなことで大蔵省みずからびつくりするというようなことになりはせぬか。今の御答弁ぶりによるとどうもそういうような不安が多いのであります。そうすると、まずこの法律によつて年間十億くらいの減税だということの御説明は、何も政令内容によるのではなしに、歳入の全体の見積りから、法人税でもつて十億くらいの減収ならがまんはできるが、そうでなければがまんができぬというようなことで十億ということを言われたのですか。その点をひとつはつきり聞かしていただきたいと思います。
  56. 泉美之松

    泉説明員 お言葉を返すようでございますが、大蔵省におきましても私手元にこれだけ資料を持つておりますが、こういう資料を集めて検討いたしているのでございます。もちろん租税収入の見積りでございまして、輸入計画あるいは設備取得計画というものを基礎にして減収見積りを出すわけでございますから、それが計画通り行かなかつた場合におきましては若干の差異が出るということは、これはあらかじめ御承知置き願わなければならぬと思いますが、しかしその誤謬というものは、一割か二割の限度でございまして、おそらく奥村委員の言われるほど大きな差は生じないものと思つております。輸入機械につきましては、御承知のように関税法におきましても免税措置を講じておりますので、そういうた方面ともいろいろ連絡し、また関係産業官庁とそれぞれ取得計画を連絡して見積りを立てておりますので、さような間違いが起るとは考えておらない次第でございます。
  57. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは十億ほど年間減収になるということは、政令内容をきめずしてそういうことを言われるのなら、その十億ほどという金額を出した根拠はつきり御答弁願います。
  58. 泉美之松

    泉説明員 主計局長はさきに十億ないし十五億と御答弁申されていると思うのでございまして、それはそのときにも御答弁がありましたように、重要産業範囲をどれだけにするか、およそ鉄鋼、石炭、工作機械、そのほかの若干の基礎産業ということで見ますれば、十億ないし十五億程度減収で済むのではないかというふうに考えておるわけなのでございまして、かたがたまた租税収入の見積りの面からいたしましても、法人税におきまして十億ないし十五億の減収を出しましても、来年度財政需要には応ずることができる。両方の考え方から十億ないし十五億ということにいたしておるのでありまして、別段どつちからきめたというわけではないのでございます。
  59. 奧村又十郎

    奧村委員 この規定による命令の内容が明らかになつてつて、十億あるいは十五億の減収だというなら話はわかるが、その内容が明らかにされずして十五億と言われるのなら本末転倒しておる。とするとどうしても十億か十五億より減収にはできないのだ、つまり国家財政全般からしてその程度がぎりぎりだという意味に受け取れる。どうもさつきの答弁は前後少し食い違つている。それならお尋ねしますが、国家財政七千億の上から十億か十五億で食いとめなければならぬ、そういうことを言われる数字的根拠をひとつお尋ねします。
  60. 泉美之松

    泉説明員 これは先ほども繰返して申し上げましたように、大体のわれわれが考えております重要産業範囲と、租税収入の来年の予想等からいたしまして、十億ないし十五億と申し上げておるのでございまして、いずれ来年度予算が一応事務当局といたしまして確定いたします際におきましては、十億ないし十五億ということでなしに、きつちり金額はきまるわけであります。それがきまりませんから十億なし十五億という相当幅のあることを申し上げておるのでございます。その点はおくみとり願いたいと思います。
  61. 奧村又十郎

    奧村委員 本年度法人税が自然増収で八百五十億を見込まれておるし、また所得税は予算よりも昨年は二百数十億も決算において減収になつておる。そういう予算において十億とか十五億以外には減税できぬ、そんなことをわれわれ大蔵委員答弁できぬはずです。そうすれば少くとも政令内容に入らなければ話にならない。それで政令内容がどうしてお話ができないのか、政令内容が言えないのなら、その内容が想像できる程度にまでもう少しつつ込んだ御説明ができないのか。
  62. 中村純一

    中村(純)委員 まことにごもつともなお尋ねであると思うのでございまするが、元来この六条の取扱い方、すなわち政令でいかなるものをきめるかという考え方につきましては、各産業を所管いたしておりまする産業所管庁といたしましては、あるいはまた産業界といたしましては、いろいろとこれも入れてもらいたい、これも入れてもらいたいという希望が、ずいぶん多いことと思うのであります。また私ども提案者といたしましても、財政事情の許します限り、なるべく広い範囲に取上げてもらいたいということを考えることも、これまた当然かと思うのであります。しかしながら、一面また国の財政事情も考えなければなりませんので、どの限度において財政事情が許すか——また財政一本やりで来られましても、そのためにせつかくどうしてもこれは取上げなければならないと思われるような基幹的な産業が落ちるということでも困るのでございまして、ただいまそれぞれの産業所管庁から案を持ち寄りまして、大蔵省と折衝をやつている段階であると考えるのでございます。先ほど大蔵側から話のありました十億ないし十五億という減収見込みということは、これもまだ、今日の段階における一応の見通しと申しますか、案を申し述べたにすぎないものでありまして、もとよりこれも、大蔵当局から申しましたことく、来年度予算の全体の構成がきまりませねば、この面におきまする減収見積りがどれだけ立ち得るかということも、はつきりしたことは今日の段階においては申し上げかねるのではないかと思うのであります。しかしながらそれにしても、ただ財政の面からだけでわくを先にきめてしまつて、どれを取上げるかという、その今折衝段階にある内容の片鱗もわからないのでは困るじやないかというお尋ねであつたと思うのでありまするが、これもまことにごもつともである。そこで今幸いここに通産当局もおりますので、この産業所管庁といたしましては——ほかにもございまするが、やはり通産省が一番分量的に多いわけでございまして、通産省としてどの程度のものを今考えておるかということにつきましては、通産省側から申し上げさしてもよいと思うのであります。なおまたつけ加えて申し上げておきまするが、私が冒頭に申し上げましたごとく、産業面からします希望と申しますか、要望と申しますか、それと、財政面からする一定の限度というものとの調節点をどこに置くかということが最終の目安であると思うのでございます。このことは二十七年度においてはこの程度しかできないが、二十八年度、二十九年度、将来の年度において財政事情が許しまするならば、二十七年度はこれだけだつだが、この程度にふやせるということは将来の問題としてはあり得ることと思うのであります。もし御必要でございましたならば、通産省側が今考えておることで、大蔵省と、まだ未確定のものでありますが、折衝しておりまする面につきまして、御説明申し上げさしてよろしいと思います。
  63. 奧村又十郎

    奧村委員 どうもお尋ねいたしましたところ、年間十億あるいは十五億程度減収となるという御答弁が、ほんのそのときの、まあ言うならば出まかせの腹づもりの御答弁だと思う。特に提案者のお話は、これは来年度はあるいは十億か十五億、来々年度になつて財政事情によつてはもつとふえるかもしれぬ、そういうような非常に幅の広いというか、つかまえどころのない話であります。そこで、そういうようなことのできる政令——政令の形でわれわれが政府に委任するということは、これはいいかどうか。今自由党内閣であるからそれでよろしい。まあこれは野党の諸君に怒られるかもしれぬが、これがもし民主党の諸君なりあるいは社会党が内閣をとられて、この法律の条文通りに施行したらどうする。命令によつて、すべて委任されておるその内閣が、かつてにこれを利用するということになつたらこれはどうなるか。われわれ安全保障条約において行政協定の白紙委任状を進んでやつたが、これは行政協定の委任状よりまだひどいと私は思うのであります。それでは白紙委任状的な——非常に独断専行的なことを委任状つきで政府にまかすことになるのだが、この政府の行動を、何とか財政確保の面から縛るような規定——何か拘束があるのかないのか。少くともそれならば、この法律の効力を二年間なら二年間に限定するというふうなことぐらいは規定しておかなければ、これは危くてしかたがない。その点の提案者の御説明を求めます。
  64. 小金義照

    小金委員長 それじや便宜私からちよつとお答えいたしますが、奥村さんの御心配まことにもつともで、これだけの大幅の政令あるいは省令政府に委任するということはもとより不安が伴わないわけではございませんが、こういう例はほかにも実は相当立法例としてあります。のみならず、本件につきましては、政令あるいは省令の制定をするときにあたつては、あらかじめその要綱その他について国会から説明を要求することになつております。そこで国会としての発言をして、意見を述べて、直させるべきものは直させる。さらにまた拡張させる必要があるときは拡張させる、こういう方法をとることにいたしておりますから、私からそれだけ申し上げておきます。
  65. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまの御説明に対して、それではひとつ委員長お尋ねいたします。少くとも、この法律の効力が、二年に限るというふうなことになつておればまだしもですが、内閣がいつ何どきかわるかわからないという場合、法律は効力があるということになるとどうなるか。まず第一にお尋ねいたしますが、国会とよく相談してというが、政府に国会と相談しなければならぬという拘束を持たす何か法的な規定があるのですか。
  66. 小金義照

    小金委員長 私からそれでは申し上げますが、国政調査で委員会で決議をしてもらえば、いかなる事項についても政府に要求ができると思います。そこでそれでは年限をなぜ切らないかと申しますと、これは内容に伸縮があると同様に、二年、三年ではこの合理化が完成しない場合もあります。のみならず、海外の技術の進歩、製造工業の発達というものに対して追いついて行くのには、一体何年間かかるかわからない。日本の国情がこういう状態でありますから、場合によつては細々ながら、また国の財政のいかんによつて相当大幅にこれによつて合理化を進めて行こう、大体こういう腹案でやつておりますので、あなたの御心配われわれもまことにごもつともだと思いますが、一応そういう方針で今まで進んで参りました。それで内閣がかわりた場合においても、国会なりあるいは委員会なりは——大蔵委員会でも通商産業委員会でも、国政調査の決議をしていただけば、いかなる要求でもできるのでありますから、それでやつて行きたい、こういうふうに考えております。
  67. 奧村又十郎

    奧村委員 この法律の効力を二、三年間に限定せよというのは、この法律を施行するのは、当分の間は非常にけつこうであるという点があると思う。たとえば自由諸国家群の軍備拡張ということに、日本も国連側に協力する意味において、ここでうんと日本のそういう方面の生産力を拡充しよう、しかしそういう軍備その他、今の状態に適応しようとする場合には——世界がまたいつ情勢がかわるかわからない。そういう企業者に対して、その取得した設備の半分を一気に免税処置をするということであれば、思い切つてこの世界の情勢に日本企業が対処することができる、その意味において私は非常にけつこうであると思う。しかしそれもやはり二年なり三年なりの効力を限定してあるということであれば、私の理論が成立つのですが、どうもそこまで行つておらぬ。そこで、それでは国会は国政調査によつて調べることはできるといいますが、すでに政令省令で委任してある以上は、政令省令は出すまではわかりません。出してしまつてから国政調査で調べたつて何にもならない。出すまでに国会に相談をかけろという法的な規定は何もない。ないことがわかつているから、そこを白紙委任状として、私はお尋ねしているのです。これ以上は議論になりますからやめておきます。  それからもう一つ大事な点は、委員長政令に委任するということはいろいろ例があるというが、しかし直接国の財政に関する政令、それもこういう大幅な政令がはたして今まで委任されたことがあるかどうか、たとえば来年度予算を審議するときに、そのときの税法を頭に置いてわれわれは予算を通過させる。ところがその通過後において、政府がかつて政令を出して償却するということになると、国会の予算審議というものは、これは無意味になる。その意味において、ほかの政令とこれは政令意味が違う。しかも償却資産はおそらく何千億円かあるでしよう。政令内容によつてこれは百億円くらいは簡単にかわつて来る。つまり先ほどのとつぴかとつぴでないかということは、政令内容によるのです。そういうことを案じると、この場合は、委員長の言われたことは少し違う。そこでひとつ泉課長にお尋ねいたしますが、税法の面において、かような大幅な減税のできるようなことを政令で委任してやる事例があるかどうか。
  68. 泉美之松

    泉説明員 政令あるいは省令に委任されておる事項で、相当重要なものがあるかどうかというお話でございますが、現在、先ほど申し上げました五割増し償却を認めておりまする、日本経済再建に資する機械その他設備及び船舶、これは命令に委任されておるのでございます。今度の所得の五割の増しを認めるというのも、大体それと同じ考えで政令に委任するということにいたしておるのでございまして、例がないわけではございません。
  69. 奧村又十郎

    奧村委員 私のお尋ねしたのは、それじやなしに、物品税においても政令で委任しておるのもあるし、あるいは今の御説明のも、それはあります。しかし今の御説明の五割増し償却は、つまり通常の償却の五割増し従つてかりに十五箇年の償却を五割増しとすれば、その十五箇年の償却がまあ三年ほど早くなる。しかもこれは取得後の三箇年間、しかも青色申告、というような、そういう条件をつけて政令に委任したのだから、これは政府に委任しておいても年間はそう、十億と違うことはない。そのほかに相当予算関係するような政令委任事項はないのか。
  70. 泉美之松

    泉説明員 予算関係した面でそうした大きな委任があるかどうかという点につきましては、現在法人税の施行規則で重要物産の免税範囲をきめることにいたしております。これは予算相当影響あるものでございまして、重要物産の範囲というものはやはり政令できめられております。
  71. 奧村又十郎

    奧村委員 おそらくその重要物産の範囲政令できめることは、その法律の審議のときに政令内容は明らかになつてつたと思う。しかしそれをあなたに聞いてもだめなんだが、そこでもう一つ、話は元にもどるが、この重要物産指定と同じ、あるいはそれ以上の重要な委任政令であるからして、ここで政令内容が明らかでなければならたいことになるのであるが、これもたび重ねてお尋ねしたにもかかわらず、御答弁ができなかつたことはまことに残念に存ずるのであります。
  72. 泉美之松

    泉説明員 お話の政令案の内容は、先ほど申し上げましたように、われわれ日夜検討いたしておるのでございまして、国会で御審議が終るころまでには政令案の要綱として提出いたしたい、かように考えておるのでございます。その点は御了承願いたいと思います。
  73. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは今度は相続税の方に移りたいと思います。第四条第三項に、相続移譲の場合の例外規定が出ておるわけであります。そこでこの条文を見ると、所得税法第五条の二第一項の規定適用しないことになつておるので、相続の場合の譲渡所得税もかけない、それから相続税もかけない、こういうふうに解釈できるのであるが、その点はいかがですか。
  74. 泉美之松

    泉説明員 第四条の三項に関連しての御質問でございますが、これは試験研究を行つておる個人がその途中で死亡いたしました場合におきまして、その相続人が被相続人の行つておりました試験研究関係する事業を承継しましたその試験研究を継続して行きますときにおきましては、相続の際に看做譲渡の規定による譲渡所得に課税をしないということを規定いたしておるのでございますが、これは相続人が引続き有しておるものと見まして、その相続人がさらに譲渡いたしました場合に譲渡所得を課税するということにいたしておるのでございまして、要件としましては、先ほど申し上げましたように、被相続人が行つておりました事業をそのまま継続するということ、それからさらに被相続入が行つておりました試験研究を継続するということを要件としておるのであります。それではなぜ、このような規定を設けたかと申しますと、せつかく被相続人が行つておりました試験研究を相続人がさらに継続して行います際に、その三年間減価償却の特例を認めないということは気の毒でありますので、試験研究も続けるし、被相続人の事業もそのまま続けて行くという場合には、そういうことにしたい。そうするためには、相続の際に看做譲渡の課税を行いますと、相続人の取得価格というものが時価によつて出て参りまして、従来の償却と違つたことになつて参りますので、そういう継続を認めようという趣旨で、この規定を設けているのでございます。
  75. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは看做譲渡はかけないというのであるが、この場合に相続価格というのはどういう価格になるのか。
  76. 泉美之松

    泉説明員 相続税自体は、もちろんその機械等の時価で課税になるのでございます。時価の判定はもちろんいろいろむずかしい点があろうかと思いますが、これは類似の機械の時価を参照いたしまして評価することになるわけでございます。
  77. 奧村又十郎

    奧村委員 第六章に、中小企業の診断としてまことにけつこうな規定が出ております。そこでこの六章に何か補助金とか、あるいは減価償却とか、いささかでも何か入れなければ——この六章では中小企業の看板だけかけて、何も見てない。第十三条には、調査、診断、勧告を行う公共団体に、予算範囲でその経費の一部を与えるというのだが、これは直接何も中小企業に与えられるものではない。そうすると、この第六章で中小企業に対しては、せつかく看板を掲げながら、ほんとうにこれはなんにも実質がない。これについては提案者も御苦心なさつたことと思うのであるが、これに対してなんとか課税の方法について、せめてほかの企業措置についてと同じようなことはお考えにならなかつたか。
  78. 中村純一

    中村(純)委員 まことにごもつともなお尋ねでございますが、この法律全般を通じまして、たとえばこの補助金の支出にいたしましても、あるいはまた租税の減免の措置にいたしましても、実は企業の大中小にかかわりなく、全部条件に適合しておるものにつきましては、やる建前になつておるのであります。しかしてまた現に補助金交付等につきましては、中小企業におけるものに対しましても支出しておるケースが相当にあるのでございます。ただその他の重要なる機械設備取得に対する減税措置というような事柄は、建前は先ほど申しましたことく、中小企業であつてもむろんさしつかえないのでありまするが、実際問題としてはどうしても大企業になりがちだということは、これは考えられる次第なのでございます。これは実情から参りますと、やむを得ない結果でございます。また中小企業そのものに対しましては、これはこの種の本法のねらいといたしております技術の向上の面とか、あるいは機械設備近代化の面とかということも、もとよりでありますが、そのほかにどうしても金融の面において中小企業の育成措置を講じて行くことが最も肝要かと考えられるのです。それらの面につきましては、私は今日政府当局でございませんから、中小企業対策のことを申し上げる立場にございませんが、通産委員会といたしましても、極力今まで努力を払つてつておる次第なのでございます。従いまして、これはなるほど六章だけを見ますと、これだけのことが書いてあるようでございますけれども、全面的に、私どもといたしましても中小企業対策は考慮をいたしておる次第なのでございます。
  79. 奧村又十郎

    奧村委員 税法に関連する質疑については、こういう重大な規定は、大蔵大臣なり、せめて主税局長なりを呼んで、ここで御質疑をしなければならぬ、そういうように思うのでありますが、残存ながらそれができませんで、地方財政委員会の政府委員がお見えになられたようでありますから、もうあと簡単にお尋ねをして、私の質疑をひとまず終了いたしたいと思います。  地方財政委員会の政府委員お尋ねいたしますが、今回国会に提案されておるところの企業合理化促進法案の第五条及び第七条、この規定によつて地方税法第六条の規定適用、つまり固定資産税を減額することができる、あるいは場合によつては全然免税することもできる、こういうことになつておるのであるが、この法律によつて、当然地方団体においてはこういう機械設備免税することになるのか、この法律規定をどの程度に地方団体が消化できるのか、その点のお見通しをひとつお尋ねいたします。
  80. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。「地方税法第六条の規定適用があるものとする。」という条文は、地方税法の第六条に、市町村は公益上必要ある場合においては課税をしないことができる、また第二項に、一部について不均一の課税をすることができるという規定がございます。その規定適用があるということを、この企業合理化促進法案においてうたつておるわけであります。従いまして、こういつた機械設備あるいは研究施設等に対して、固定資産税の軽減あるいは免除をいたしますことが、地方税法の第六条に該当するものかどうかという解釈をここに明らかにしておるのであります。しかしながらここに解釈を明らかにするということは、同時に国の立場において、こういつたものについては地方団体にこの法律趣旨に沿つて減税なり免税をするようにということを、勧奨する意味を含んでおるものと私は考えております。従いましてその範囲内において、地方団体においてもその国の施策に沿つて減税するということは考えられるのであります。しかしながらそれを減税するかどうかということの最後の決定権は、これは地方団体が課税自主権に基いて判断するものであると考えておるのであります。
  81. 奧村又十郎

    奧村委員 そこで先ほどもお尋ねしておつたのですが、その問題と平衡交付金の問題とがどういうふうになつて行くのか、そこであります。そういうふうな国の指導勧奨に基いて、それではこういう企業合理化法案による機械設備に対しては、固定資産税を減税する。その減税した分は、特に平衡交付金はふやされるのかどうか。
  82. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいま申し上げましたように、地方団体がこれを減税するかどうかということは、地方団体が実情に応じて、その判断に従つてなされる事柄でありますので、法律上の建前といたしましては、その減税をなされた分に当然平衡交付金が補填をされるという建前にはなつていないと考えます。ただ国が勧奨している建前上、その問題について平衡交付金のうち特別平衡交付金等で、どう考えて行くべきかという問題は、その場合にも残ると思いますけれども、これにつきましては、平衡交付金主管課との相談の上、何分検討を進めて行きたいと考えております。
  83. 奧村又十郎

    奧村委員 国はこの法律によつて地方団体に特に固定資産税の減税を指導勧奨する、それに従つて地方団体がみずから減税する、しかし平衡交付金に必ずしもこれは算入しないということになると、妙なことになつて来る。そこでこれをもう一つ突き詰めて言うならば、地方財政で各府県あるいは各市町村が非常に不均衡になつております。そこで平衡交付金の交付を必要としないような富裕な市町村あるいは府県においてはもちろんこの税法を自動的に適用して、またこの企業合理化を自動的に適用して、大幅な減税ができる。ところが平衡交付金をうんと必要とする地方団体においては、この規定適用に対して平衡交付金の増額はしないということなら、事実上においてはこれは減税できない、そうすると事実上においては府県、市町村の財政の状態によつてこの規定適用が非常に大幅に差別あるいは浮動があるということになるが、そういうふうにあなたはお考えになりますか。
  84. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいまのお話のような問題が起きて来ると思いますけれども、しかしながら現在の地方財政というものが、地方団体に自主権を与えて、その範囲内においてすべての問題を処理するという建前をとつております以上は、かりに地方団体間にある程度そういつた相違が現われて来ることも、またやむを得ないのではないかと考えられるのであります。たとえば現在の法律で、税率につきましては標準税率という制度がございますけれども、この標準税率の制度によりましても、それは一つの標準でありまして、それによらないで、財政上の必要があれば税率を上げ、もしくは下げることができるという建前をとつているわけであります。従つてそういうことから申しますと、標準税率以外の税率で課税する団体と、そうでない団体との間には、非常に不均衡が起るのではないかという問題も、同じような問題として起るわけであります。しかし課税自主権というものを認め、地方団体の財政経理の自主権を認めております以上、その地方団体の財政の自主性と、その地方団体のいろいろの問題は、判断によつてこの問題が適正に取扱われることをわれわれは期待しているのでありまして、全部が全部一律にこうなつて来るということは、かえつて実情に即さないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  85. 奧村又十郎

    奧村委員 地方団体は標準財政を一応想定して、標準税率のもとに平衡交付金が交付されておるということで、従つて一応の標準は立てられておるが、地方財政の実情によつて課税自主権が認められておる。それはよくわかつておる。そこでその平衡交付金を交付するための基準率というものは、この法第五条、第七条は今の御答弁では全然御考慮になつておらぬ。これははつきり考慮しておらぬということなんですか、重ねてもう一ぺんお尋ねしておきましよう。
  86. 松島五郎

    ○松島説明員 今の普通一般平衡交付金の算定の基準から申しますと、これは法律上何ら考慮の対象にはならない。しかしながらそういつたいろいろな一般的な基準によつて算定します欠陥を補うために、特別平衡交付金の制度がございますので、そういつた問題について、今後どうこの問題を取上げて行くかということについては、なお検討いたして行きたいということは先ほども申し上げたのでございます。
  87. 奧村又十郎

    奧村委員 納税者がこの合理化促進法及び地方税法の規定に基き、もし減税の措置を地方団体の長に要求した場合に、これを拒むことができるのかどうか。
  88. 松島五郎

    ○松島説明員 これは先ほども申し上げましたように、「地方税法第六条の規定適用があるものとする。」ということを法律で言つているわけでありますが、その第六条を適用するかどうかということは地方団体の課税自主権にまかせられております関係上、個々の問題について差別的な取扱いをするということは違法であろうと思いますけれども、一般的にこういつた取扱いをその市町村がするかしないかという決定は、市町村の自主権にゆだねられていると考えます。
  89. 奧村又十郎

    奧村委員 大体この地方税法の第六条の規定というのは、はなはだあいまいな規定であるが、これに対してもう少し内容を明らかにする政令あるいは命令があるのかどうか、お尋ねしておきます。
  90. 松島五郎

    ○松島説明員 地方税法第六条は、市町村が公益上その他の事由により課税を不適当とする場合においては課税しない、あるいは不均一の課税をすることができるという規定でございまして、その公益上必要であるかどうかという判断は、これは市町村を中心にして考えて、それが公益上必要であるかないかという判断を市町村ができないということは私はないと思います。従つてその程度の判断を政令なり法律なりで縛らなければ、市町村が判断できないのだというのでは、市町村の課税自主権が有名無実になつてしまう。従いましてこの判断は、市町村においてされるべきであると考えております。従いまして現在のところ、この公益上必要であるかどうかということについての判断は、内容がこれこれのものであるということの政令なり命令なりは出ておりません。
  91. 奧村又十郎

    奧村委員 そうするとそういう内容は出ておらぬとするならば、そこでしかも平衡交付金でこのめんどうを見ないとするならば、もし納税者がこの合理化促進法規定に基いて、また地方税法の第六条の規定に基いて減税を要求した場合において、地方団体の長は公益上あるいはその他の理由での減税免税の必要なしという解釈のもとに、これを拒むごとができるのか。
  92. 松島五郎

    ○松島説明員 できると考えます。
  93. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは企業合理化促進法案の第五条、第七条にもどるというふうに考えますが、これは議論になりますから、この点はやめます。なおまたこれも議論になりますが、おそらくただですら今地方団体の非常な財政の楽なところもあり、困つているところもある。従つて財政の困つているところは極度に地方税が加重されているし、財政の楽なところは極度に税がゆるいというふうな状態だが、今回のこの法律施行によつて、なおその浮動がひどくなるという印象を強くするのでありますが、これも議論になりますので、私はこの辺で質疑をひとまず打切ります。
  94. 小金義照

    小金委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  95. 小金義照

    小金委員長 速記を始めてください。  それでは本日はこの程度にて散会いたします。     午後零時四十八分散会