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1951-12-07 第12回国会 衆議院 通商産業委員会大蔵委員会連合審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十二月七日(金曜日)     午後一時五十六分開議  出席委員   通商産業委員会    委員長 小金 義照君    理事 中村 幸八君       今泉 貞雄君    小川 平二君       澁谷雄太郎君    永井 要造君       中村 純一君    南  好雄君       石井 繁丸君    風早八十二君   大蔵委員会    理事 小山 長規君 理事 内藤 友明君       大上  司君    清水 逸平君       三宅 則義君  早稻田柳右エ門君       松尾トシ子君    八百板 正君       高田 富之君    深澤 義守君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制課         長)      泉 美之松君         通商産業事務官         (通商企業局         長)      石原 武夫君         通商産業事務官         (通商企業局企         業第一課長)  塚本 敏夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    松尾 金蔵君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部指導第一課         長)      阿部 久一君         通商産業技官  白川  溝君         通商産業委員会         専門員     谷崎  明君         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君         大蔵委員会専門         員       黒田 久大君     ————————————— 本日の会議に付した事件  企業合理化促進法案(小金義照君外三十四名提  出、衆法第七号)     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  本日は法案所管委員会である通商産業委員会め委員長たる私が本連合審査会委員長の職務を行います。右御了承を願つておきます。  本日は企業合理化促進法案を議題といたします。本法案は御承知通りさき国会、すなわち十一月三十日に閉会中継続審査案件として院議により正式に決定いたしたものであります。それでは通告の順に従つてこれより質疑に入ります。三宅則義君。
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は前国会におきまして質疑をさしていただいたのでございますが、継続審査になりましたので、さらにお尋ねをしておきたいと思うのでございます。  この提案者は、もちろん通産委員会並びに各党の代表者がおなりになつておるわけでありますが、企業合理化促進法案、こういう名目でありますが、実際上は租税特別措置法であるというふうに私どもは考えるのであります。なぜこういうような名前を使われたか、企業合理化促進法案という根本趣旨提案者から承りたいと思います。
  4. 中村純一

    中村(純)委員 お尋ねもつともと思うのでありますが、本法律案立案経過からいたしましても、企業合理化促進ということを目標といたしまして各種の案を練つて参つたのでございます。ところで今お尋ねのごとく、この租税関係特別措置が本法案の重要なる内容をなしておるのでございますけれども、これは私どもの当初からの構想から申しますならば、企業合理化促進のための一つの有力なる方法としてかようなことを考えて参つた次第でございまして、なお法案全部を通覧してごらんをいただけば御了解願えるかと思うのでございますが、そのほかにも産業関連施設整備あるいは特殊の試験研究に対する補助金の交付とかいつたような、相当重要な内容も含まれておるわけであります。さような趣旨、またさような立案経過からいたしまして、そのような内容盛つた法律案が生れて来たわけであります。何とぞさような意味において御了承をお願いいたしたいと思います。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 私どもの観点からいたしまするならば、今提案者中村代議士からお話があつたのでありますが、こういうような問題は、人をあやまたしめる、あやまたせなくても、ある意味におきまして実態と合つていない、これは事実である。でありますから、企業合理化促進法といいまするならば、租税面もちろんありましようが、ほかの面も多分に取入れてやるということが根本趣旨であろうと思う。これは八〇%ないし九〇%も租税特別措置ということになるわけでございますからして、むしろ英断をもつて名前をおかえになつたらどうか、かように思いますが、いかがでありましようか、承りたいと思います。
  6. 中村純一

    中村(純)委員 法案名前につきましては、いろいろ御意見もあることとは思います。しかし先ほど申しましたように、この法律目的企業合理化を促進するということでスタートいたして参りました。またその有力なる一手段として、ただいまのような租税関係措置を考えて参りました。かような経緯からいたしまして、かような法律名前を付して参つております。何とぞその立案経緯並びに趣旨からいたしまして、御了承をいただきたいと思います。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは私は通産省ちよつとお伺いしたいのです。この問題につきまして通産大臣もちろん大蔵大臣と同様に監督せられることと思いますが、こういうことによりまして産業合理化あるいは企業発達にどのくらい貢献するか、たとえて申すならば、租税面においてはどのくらい、あるいは技術面においてはどのくらい、こういうような計算があるものでしようか、ないものでしようか。もしありましたならばどういう軽減内容で、どういう発達ができるか、こういう線をお示し願いたい。
  8. 石原武夫

    石原説明員 お答えいたします。ただいま御質問のありましたうちの一つの、税の関係につきまして、どのくらい税が軽減になるかという点につきましては、この前の委員会のときに大蔵省主税局長から大体十億ないし十五億という御答弁があつたのでありますが、一応われわれの方といたしましても二十七年度といたしましてはこの程度のものであろうと推定をいたしておるわけでございます。従つて償却がふえ、内部蓄積としてふえる分といたしましては、一応その程度の金額になるだろうと考えております。しかしその他の関係で、たとえば試験研究の点につきまして補助金を出すとか、あるいは特別の試験研究につきましての短期償却を認めるという規定がございますが、この規定が実施せられまして、どれだけの具体的な成果が上るかということにつきましては、的確な数字をあげてここで御答弁いたしかねるのであります。これは今までいろいろ補助金も出して、できるだけ試験研究発達に資しておりますので、特にこの措置によつてどれだけということは、事の性質からいいましてもはつきりしたことを御答弁いたしかねます。企業合理化全般つきましては、いろいろな面によつて合理化を行いますので、この措置だけでどの程度になるかということは、これもまた御説明をいたしかねるのでありますが、今までどの程度企業合理化が行われて来たかという点につきましては、なかなか実情をつかむことが困難でございますが、われわれの手元で一応現在まで判明しておる点につきましては、別に企業合理化の資料といたしましてお手元に差上げておるわけでございまして、詳しくはこれによつてごらん願いたいと思います。各原単位が非常に改善せられて来ておる点でありますとか、生産性がどの程度に上つて来ておるかという点につきまして、一応終戦以来現在までと戦前と比較いたしまして、どの程度向上しておるかという点はそれによつてごらん願いたいと思います。今後の合理化の問題につきましては、資金的な措置の問題もございますが、今後の輸出の状況とかいうような、いろいろな問題とも関連をいたしますので、的確なお答えはいたしかねますが、それぞれ各業種によつて合理化を逐次推進して参つておりますので、そのような点と相まつて相当な成績を収めるだろうと思います。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 試験研究お話でございますが、われわれは試験研究所というような国家的な事業につきましては、援助すべきが当然であると思うのであります。その例といたしまして、ことに瀬戸市の試験所日本陶磁器試験研究一大権威である、かように考えております。ただいま行政整理等によつてそれが廃止になるといううわさがあるのです。特に日本の国でできますところの原料であり、また整備をいたしておりまする瀬戸市におきましての陶磁器試験所というようなものは、廃止するよりもむしろ拡張すべきである、かように思つておりますが、通産省ではどういうようにお考えでありますか、ひとつ承りたいと思います。
  10. 石原武夫

    石原説明員 私から御答弁を申し上げるのは適当でないと思いますが、きようは政務次官がお見えになりませんので、便宜私からお答え申し上げたいと思います。今お話がございました試験所整理というような問題につきましては、御承知通り行政整理関係から、ある程度一般的に人数も減少するというような問題とも相からみます。また各所にございます陶磁器試験所につきましても、京都にもございますし、瀬戸にもございますが、それらの効果もつと上げる意味におきまして、ある程度の統合というようなことは現在通産省研究中でございます。ただ従来の、たとえば瀬戸市にございました陶磁器試験所陶磁器試験研究というようなことをやめるという意味ではございませんので、陶磁器につきましては京都にもございますし、瀬戸にもあるわけですが、その辺をあるいは一箇所に統合して、できるだけ重点的にやつた方が効果が上りはしないかというような方向で研究をいたしておる段階でございます。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま通産省局長から、大蔵省のこの前の答弁租税措置に関しまして十億ないし十五億という答弁であつたという御説明がございましたが、その後大蔵省の方におきまして、主税局長並びに税制課長等が御調査をなさいまして、どういう結果になつたか、この際泉課長から伺いたいと思います。
  12. 泉美之松

    泉説明員 企業合理化促進法関係でどの程度の税の軽減を行うかということにつきましては、さきに私ども主税局長から十億ないし十五億と御答弁を申し上げたのでございます。その後いろいろ適用すべき業種及び機械等の種類につきまして検討いたしておるのでありますが、この前もお話があつたと思いますが、明年度租税及び印紙収入をどの程度に見積るかということはまだなかなか本ぎまりになりません。その点とにらみ合せつつ、各方面といろいろ検討合つて研究をいたしておりますが、依然として十億ないし十五億という数字以外に申し上げるほどの段階にまだ立ち至つておらないのでございます。しかし検討を続けておりますので、今年中にはそうした数字もはつきりするようになるのではないかと考えておる次第であります。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま泉課長から御答弁がありましたが、われわれはこういうような重大法案を審議するにあたりましては、当然予算、決算ももちろん考慮に入れなければならないと考えておりますので、至急来年度予算原案をつくられることと思いますが、その際にはひとつ検討を加えまして、大体このぐらいになるだろうということがもう少しはつきりするように、本委員会もしくは大蔵委員会に御発表になつてしかるべきだと思いますので、そのような御用意を願いたい、かように望んでおきます。  ついでに申し上げますが、これは議員立法でありますから大蔵省は知らぬといえば知らぬわけでありますが、むしろ事前に相当交渉があつたと私は思うのですが、実際はどんなものですか、審議の過程として承りたいと思います。
  14. 泉美之松

    泉説明員 この法律案成立過程におきましては、適用すべき業種範囲というものについてきつちりお打合せしておるわけではないのでございますが、さき主税局長からも申し上げましたと同様に、主として鉄鋼及び石炭等基礎産業並びにその設備近代化によつて他産業にできるだけ広範囲ないい影響を及ぼすと認められるような工作機械製造業等、特定のものに限つて適用するという趣旨立案をし、その内容としましては、すでに御承知通り、初年度の五割償却試験研究費について三年間の特別償却ということで案ができておるわけでございますが、具体的にそれではどの業種のどの機械適用したならば減収額は幾らになるかということは、明年度におけるそういつた機械生産及び輸入の計画等もにらみ合せなければなりませんし、またどの業種に最も重点的に合理化をはかつて行くべきかという点も種種検討しなければならぬものがございます。片一方におきましては、明年度租税印紙収入をどの程度にするか、所得税の減税を引続いて実施しつつ、租税印紙収入の歳入をどの程度に押えるべきかということが、経済界がいろいろ変動しておる状況にありますので、なかなか目途をつけるのに困難を感じて日夜作業を続けておるような現状なのでございます。お話通り成立過程においていろいろお話がございましたし、また本法案提出各省からいろいろ要求が出ておりますが、各省要求全部を合せますと非常に厖大になりますので、それを全部認めるわけには行かないと思います。しかしそのうちのどれを切り、どれを入れるかということはいろいろ折衝を要する困難な問題がございますので、それらの検討をいたしました上、いずれ御報告を申し上げたいと思います。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 今大蔵省側の御意見を承りましたが、これもちよつと中村純一提案者に伺つたわけでありますが、鉄鋼業もしくは石炭工作機械日本産業の中心でありますし、原動力である。これには私どもは承認を与えておるわけです。そこで漠然とこういう根本趣旨は御決定なつたと思うが、その内容はどういう機械かということについて、もちろん通産省局長とも御相談になつたと思いますので、その鉄鋼業石炭工作機械等品名もしくはその内容等についてもう少し詳しく伺いたいと思います。
  16. 石原武夫

    石原説明員 ただいまのお尋ねのうち、いかなる業種を取上げるべきかということは、先ほど大蔵省から御答弁がございましたように、いろいろ税収との関係もございまして、まだ大蔵省検討中でございますので、われわれの方からこれとこれという業種を明確に御答弁いたしかねますが、それの対象となります機械については、たとえば鉄鋼業が取上げられるといたしますと、それのいかなる機械対象にするかということにつきましては、現在租税特別措置法で三年間五割増し等償却を認めることになつており、大蔵省関係告示等機械品名が明確になつておりますので、大体それを規定いたしていただくということにいたしたい。通産省として取上げます機械は、原則として現在大蔵省租税特別措置法施行規則等に載つている機械、かように考えております。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは大蔵省特別措置法の限界を基準といたす、こういうふうに了承しておきます。  私はこの前も聞いたことでありますが、このようにたくさんな業種を並べておいて、実際は鉄鋼業石炭工作機械の三点に基準を置きますが、ほかからもいろいろな注文があつて、それを切る場合において、どういうような算定で切りますか。それを大蔵省で切るか通産省で切るか知りませんが、どういうふうに切る予定になつておりますか承りたい。
  18. 中村純一

    中村(純)委員 各産業所管省側といたしましては、この種のものも入れてもらいたい、これもほしいという意見がむろん出ると思います。しかしてまたこれは当然に税収関連をいたす問題でありますので、各産業所管省意見大蔵省意見とが事務的にも政治的にも完全に一致いたしましたところで最終的な決定を見ることになる、手続的にはかように考えるのでございまして、従つて先ほど来両省当局から御答弁をいたしましたように、目下連日その適用範囲について関係各省大蔵省との間に折衝が行われておる段階であると考えるのでございます。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 この法案によりますと、企業合理化関係のありまする道路、港湾施設漁港施設の改善あるいは維持復旧というように、漁業も入つておるわけでありますが、先ほどのお話によりますと、漁業等はあまり入らないようなお話でありましたが、全般にひつくるめまして基礎産業関連いたしますものはどれでもこれでも入れるという趣旨でありましようか、それを承りたい。
  20. 中村純一

    中村(純)委員 ただいま産業関連施設に関する点にお触れになつての御質問がございましたが、この産業関連施設におきましては、事業者に対してこの法律適用がある関係になつております。しかしてこの場合における事業者は何であるかということは、さかのぼつて第二条における事業者定義において示されておるわけでありまして、その関係におきましては、第二条にありますごとく、水産業というものが明らかに取上げられておるのでございます。また租税特別措置関連いたします面といたしましては、第六条に根拠いたしまして、先ほど来申し上げておりますごとく、目下いかなる企業にこの六条関係適用すべきかという内容について、各産業所管省大蔵省との間に折衝が進められておる段階にあるわけでございます。従つて漁業のごとき重要なる産業は、その事業者というものは、本法律案に現われて来ております範囲におきましては当然法律上入つておると考えられますが、さらに本法律内訳といたしまして、第六条の適用を受けるかどうかという面につきましては、目下関係各省間において検討中である。ただいまのところはこの程度の御答弁しかできない段階でございます。
  21. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は法律のことはあまり詳しくないのでありますが、八条と六条との関係を聞いてみますと、書いてはあるが実際は用いない、こういうふうにも見られるわけであります。私は非常に不満足であります。こういうふうに書いてある以上は、やはり申請した以上は許可するという方針のもとにやらなければ、立法府といたしましては矛盾しておると思うのです。多少インチキがあると解釈されてもしかたがないと思いますが、中村純一提案者はどういうふうに考えておられるか承りたい。
  22. 中村純一

    中村(純)委員 第二条におきまして広い幅を示しておつて、さらにまた内訳においてこれがある程度しぼられることになると思います。そこに誤解を生ずる事情が考えられて困るというお話でございました。それはまことにごもつともと思うのでございまするが、先般もちよつと申し上げたかと思いまするが、昨今の法律におきましては、どうしても中にある文句の定義を書く慣例になつておりまするので、法律技術上、一見ややこしいようなかつこうになつてつておるのであります。さてしからば、たとえばこの六条のごとく、さらに内容的にしぼることが考えられまする条文の適用におきましては、私どもとしては、財政の許す限りにおいて、重要産業といわれるものについては、なるべく広い範囲にこれを拾つて行きたいと考えるのでございますが、一面財政関係もございまして、その間に企業面財政面との調節をどの点にとつて決定をするかという問題が残されておるわけであります。私どもとしては、まず財政の許す限り、重要産業についてはなるべく広く適用をして行きたい、従つてこの第二条に掲げておりまする幅になるべく合せるように全面的になれば非常に幸いであろう、かように考えておるわけであります。
  23. 三宅則義

    三宅(則)委員 提案者もちろん政府でありませんから、内容のことについて、財政については、ある程度までおわかりにならぬかと思いまするが、この立法精神からいたしますると、本年度は間に合わなくても、相当財政に余裕が生じ、もしくは生ずるような状況なつた場合においては、広範囲にこれを広げて適用するという趣旨で立法せられております。これはとりあえずこういうふうにしなければ食いつきが悪いからこういうふうにしたのでありまするか。その点をもう少しはつきりしていただきたいと思います。
  24. 中村純一

    中村(純)委員 政府はいかに考えておるか存じませんが、提案者といたしましては、ただいま御指摘のごとく、財政面との関連において、事情の許す限り広く適用いたしたいというのが提案者趣旨であります。従いまして二十七年度においてはこの程度しかできないが、さらに将来の年度において財政事情がもう少し幅を広げることが許されるならば、できるだけ広げて行きたい、かように考えております。これが提案者趣旨でございます。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員 通産省石原局長お話願いたいと思いまするが、これはややもすると大企業に恩典が多く、中小企業においては少いという非難を聞くことがある。われわれはもちろん大企業中小企業も同じように関連を持ち、重要産業一つだと思つておりまするが、通産省は、大企業を救うためにという意味合いでもございませんでしようが、そういうそしりが世間にありますのを御存じでありましようか、承りたいと思います。
  26. 石原武夫

    石原説明員 ただいまのお尋ねでございますが、これは先ほど来お話がございましたように、一つ業種をきめる、一つ機械を客観的にきめる、その内容につきましては現在租税特別措置法で五割増し償却が認められておるというようなことで、それに業種機械設備さえ該当すれば、その企業の大きさはどうこうということは一切問わないことにいたしております。従つてその両方に該当いたしますれば、自動的にその適用になるということで、特に大企業だけにこの特典を認めるとか、中小企業を排除するという意思は毛頭ないわけであります。ただお話のように、六条の対象になりますのは基礎的な重要産業ということに相なりますと、その結果、かような業種に属しておる企業は割合規模の大きいものが多いのじやないかということになれば、私もさように相なると思います。法律趣旨としては、大中小を問わず適用する、その業種に属し、それらの近代的な設備を持ちさえすれば一律に適用して行く、かような趣旨でございます。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員 この前首藤通産政務次官がいましたときにちよつとお伺いいたしましたが、今度は提案者にお伺いしたい。中小企業というものはむしろ金融ということが一番問題でありまして、これを救済するには金融面を先に考えて、しかる後にこれをやつた方がいいと思いますが、提案者はどう考えておられますか。
  28. 中村純一

    中村(純)委員 この中小企業対策一般ということになりますと、私のただいまの立場で御答弁を申し上げる資格もないのでございますが、個人的に考えますれば、むろんお話のごとく、この中小企業金融面に対する対策が一番の重要な問題であると思うのでございます。これにつきましては、われわれ通産委員といたしましては、今日まで委員会におきましても、機会あるごとに政府にただし、また政府を督励して参つておるのでございます。各種中小企業金融をできるだけ円滑にする手段方法は、われわれ議員といたしましても講じて参つたつもりでおるのでありまして、現に前国会におきまして通過を見ました商工中金法改正とか、あるいは信用保険制度改正とかに関する法律案のごときも、中小企業金融円滑化をはかることを目的として私ども協力をいたして参つたわけであります。お示しのごとく、中小企業については金融救済ということが最も大きな問題でございます。私どもも、今後もその点につきましては、皆様方と相ともに政府を督励して努力をして行きたいと考えております。
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員 石原局長お話を承りたいと思います。この中小企業につきまして、この前通産政務次官から簡単に御答弁があつたわけでありますが、実際面としては、地方公共団体がこの法律に基いて申請をいたして、こういう中小企業に対しては診断を行つて何とか金を貸してやるとか、補助してもらいたいとかいうようなことになりましようが、事務当局として、その辺をどういう経過によつて中小企業を救済せんとするか、いわゆる十二条とか、十三条とかに書いてあること等については、どういう経過もしくはやり方によつてこれをやつて行こうという御趣旨でありましようか。
  30. 松尾金蔵

    松尾説明員 先ほどお話のございましたように、中小企業対策としては、当面金融の問題が最も逼迫しておることはまさにその通りでありますが、同時にまた今回のこの法案の中にうたわれておりますように、企業診断その他によりまして企業自体が合理化されまして、その結果によつて金融を受け得るような態勢に中小企業自体を持つて行くことが必要なわけであります。その両方の対策は、一応並行的にやつて行かなければならないというふうに私どもは原則的には考えております。企業診断の制度につきましては、今お話のございましたように、各地方公共団体がこの実施に重要な役割をいたしておるわけでありますが、企業診断と金融とをただちに結びつけてどうこうということには必ずしも行かない場合があるのであります。しかし企業診断の結果によつて企業合理化ができ、企業金融を受け得るような態勢になれば、当然に金融もつきやすくなる、そういうところにまた企業診断の大きなねらいがあるわけでありますが、両方の対策は並行的に行かなければならないというふうに考えております。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員 企業診断につきまして専門的なお話があつたのであります。これを私が言いますと、民間ですと、この中小企業診断は、計理士とか、公認会計士とかいうものに委嘱することになりますが、公共団体でありますと、県庁もしくは市役所等の何か産業係とか、そういつたようなものがやるのでしようか、それとも民間の有力な人に依頼をしてこの企業診断をしてもらうのでありましようか。どういうふうにやるのでありますか。
  32. 松尾金蔵

    松尾説明員 現在やつております状況から申しましても、企業診断の実際の専用的なことは、必ずしも地方公共団体の職員だけでできるわけではございません。専門的な能力は、民間の権威者に多いような状態でありますので、両方力を合せてやつていただくようにしておるのであります。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員 あまりこまかくなりますが、石原局長からお話を承りたいと存ずるのであります。これはもちろん委嘱されることはけつこうでありましようが、むしろ国家といたしましても、経営診断士というものをこしらえて能率をよく見てやることが必要であると思うが、そういう必要はないかどうか。委嘱してやることが一番よろしいと思つておりますが、私はむしろ、国家がそういうふうに産業自体を検査するならば、診断士、監察士、あるいは経営士というようなものをこしらえた方がなお合理化するのではないかと思うのであります。その辺はどう考えておりますか、承りたいと思います。これは局長から承りたい。
  34. 松尾金蔵

    松尾説明員 お話のように、企業診断の、特に特殊な能力のある権威のある人を診断士という形に制度化することは、理想としては確かに望ましいと思うのでありますが、御承知のように、企業診断の制度そのものは、われわれの方の経験としては、そう長い経験を持つているわけでもありませんし、こういうむずかしい診断に十分なそれだけの能力を持つておる人というのは、実はそうたくさんは現状ではないのであります。むしろ中小企業庁で企業診断を実施するに際しましては、同時に企業診断委員を養成しながら企業診断の実施をしつつあるというような現状から申しますれば、まだ登り坂の状態でありますので、診断士というような制度をいきなり制度化して、診断士でなければ企業診断の実施ができないというような形に持つて行くのは、現在では少し時期が早いのではないか。むしろそういう意味の養成にもうしばらく努力して参りたい、こう考えて進んでいるわけであります。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは通産省局長なり、あるいは大蔵省局長からお聞きしたいわけでありますが、試験研究ということは先ほどお話があつたのでありますが、よほどこれは問題になるのです。相当利益がありましても、これは試験研究費だといつて経費に落す場合もあるし、実際かかつている場合もある。こういう点からいたしますと、この試験研究費等につきましては、相当よく研発し、調査をしなければ、必ずしも試験研究費として認めるわけに行かない。かように考えますが、大蔵省もしくは通産省ではどういうふうにしてこれは認めておるか。たとえば利益があつた場合に、それを格下げするために試験研究費をとるということが多少民間にあると聞いておりますが、政府はどう思つておりますか承りたい。
  36. 石原武夫

    石原説明員 ただいまのお話は、民間で試験研究費を適当に経費に落すというような意味お話ですが、これは私もその実情は十分承知しておりませんので、この辺は私からお答えいたしかねます。この法案対象となつております試験研究費につきましては、一つ補助金を出す項目でございますが、これは各民間からいろいろ申請をいたされまして、省内で十分審査をいたしまして、新しい補助金を出すに価値あるかどうかということを十分検討しておりますので、補助金対象になつておりますものについては、さような問題はないというふうに考えております。それからまた試験研究設備等につきましては、特別の短期償却を認める制度を四条に置いておりまするが、これも大蔵省及び各その責任の主務大臣の間で、その試験等についての計画を十分検討いたしまして、承認をして、初めて本条の適用をすることになつております。これらのものにつきましては、御心配のような点はないように、十分慎重に検討してやるというふうに考えております。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこの十四条を中心にお伺いをするわけですが、研究所に立ち入り、あるいは事業場あるいは営業所に立ち入つて云々と書いてあります。この帳簿を検査するということになりますと、相当何か権限を持ち、あるいは権能を持つておらなければならぬと思いますが、ただ職員と書いてあるが、どういうふうな職員でありますか、もう少し何とか資格のある職員でありましようか、それともほかの方に依頼をした職員でありましようか、その辺を承りたいと思います。
  38. 石原武夫

    石原説明員 ただいま十四条に関しての御質問でございますが、十四条はいろいろ各種法律にあるのとほとんど類似の規定がありますが、今お尋ねの臨検検査をいたす職員は、これに関連いたします事務を担当しております官庁の職員でございます。これは特に資格はどうかということは別にきまつておりませんけれども課長でなければいかぬとか、かようなことはございませんで、たとえば試験研究につきましては、試験研究補助金を出す実際の事務に当つております担当官がこれに該当するということで、これは他の法律にもたびたび出て参りますが、共通にさような解釈でございます。
  39. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 委員長、恐縮ですが、私ども大蔵委員通産委員会には初めてなものですから、どなたがお見えになつておるのか、どういうお仕事をやつておられるのか、顔だけ見ておつてもわからないのです。どうかひとつよくやつてください。そして委員長は、委員質問するときに、それはお前お間違いじやないかというふうなことをおつしやらないで、ひとつ教えてやつていただきたいと思います。どうぞよろしく。
  40. 小金義照

    小金委員長 今出席されている人は、大蔵省では泉税制課長通産省では通商企業局石原武夫君、中小企業庁の振興部長松尾金蔵君、中小企業庁指導第一課長阿部久一君、通産省通商企業局企業第一課長塚本敏夫君、工業技術庁通産技官白川清君、食糧庁加工輸送課長井原稔君、以上であります。
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの委員長お話によりまして出席者がわかりました。工業技術庁はむしろ特許庁のようなものだと私は思うのですが、そういうような重要な職務に携わつている方もおいででございますから、本案につきまして相当研究をせられたと思うのでございますが、私は民間におりまして、日本技術発達には、特別に技術庁もしくは技術省を設けて日本の科学技術を振興せよということを言つたのであります。かような意味合いと関連をいたしまして、技術面につきましての御構想をちよつと簡単にお述べいただきたい。遅れておりまする日本の基幹産業もちろんのこと、科学技術が十年も二十年も三十年も遅れておると言われておりますが、これを取入れるためにこの法案ができたと思いますが、ちよつとそれから御説明を承りたい。
  42. 小金義照

    小金委員長 技官なんですから、ちよつとその質問は無理でしよう。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは次に申し上げます。十五条の罰則では三万円とか二万円とかとなつておりますが、罰金はむしろ相当高い方がいいと思いますけれども、これは法律のぐあいで二万円とか三万円というふうに安くなつているのですか、どういうわけでしようか。
  44. 石原武夫

    石原説明員 これに罰則を設けておりますのは、お尋ねのように、十五条で、十四条に関連して罰則があるわけでありますが、本法は合理化を促進しようという趣旨法律でございまして、特に重い罰をもつて臨まないと、問題が起るという法律でもないと思いますし、大体これに類似しております法案の前例になりましてこの罰則を設けたのであります。ただこの中には、先ほどからお話がありますように、税法の関係規定がございますので、それらの違反の場合は、税法の関係規定適用があるようになつております。たとえば六条にいたしましても、細目はすべて租税特別措置法によるようになつておりますから、それらの違反ということになりますので、税関係の違反が十五条の三万円以下ということになるわけではございませんで、それ高め法律適用がございますので、それらのものについでは前例等も考えまして、この程度でしかるべきだというふうに考えております。
  45. 三宅則義

    三宅(則)委員 今度は泉大蔵省税制課長から承りますが、この前の国会で平田局長が御答弁になりましたが、私はこれに関連いたしまして申し上げまするが、青色申告というのは赤裸々申告、白色申告というのは多少情実のある申告、こういうように見るわけであります。青色申告については、これは相当免除もいたし、あるいは軽減するということが通常であると私は思う。前々国会等においても、青色申告は一割減ぜよ、こういうことを言つたのでありますが、平田主税局長のそのときの答弁は、青色申告でありましても、白色申告でありましても、何ら差別はないから、同じようにいたしまして、引かない、こういう話でありましたが、私はむしろこういうことが、青色申告者はもちろんのことでありまするが、白色申告者も同様にある程度まで軽減をするという根本趣旨を貫くことこそ、企業合理化の本旨であると思うのですが、課長は一体どう考えていますか、承りたいと思います。
  46. 泉美之松

    泉説明員 青色申告者につきまして、課税上何らかの特典を設けるということにつきましては、三宅委員承知通り、すでに所得税法及び法人税法におきまして、いろいろの特典を設けておるのであります。しかしながら、なおまだこの特典では不十分であつて、課税標準である所得が、青色申告すると正確に出るのだから、その所得から、たとえば一割とか何とかを引いて課税するようにと、こういうような御意見かと思うのでございます。この点につきましては、いろいろ御見解、御意見はおありになろうかと思うのでございますが、やはり所得税及び法人税というものは、きつちりした所得が出ますれば、それに対して課税するのが当然のように考えられるのでございまして、所得は百万円あるけれども、まあ九十万円で決定するというのは、どうも正しい行き方でないように考えるのでございます。しかしながら、現在の青色申告者に対しまする特典ではなお不十分だから、一層特典をふやすべきであるというような御意見につきましては、十分拝聴いたしておりますので、この前の国会におきましても、青色申告につきまして、たとえば退職手当積立金の損金算入を認めるとかいうような特典を設けたのでございますが、来るべき通常国会に提案いたしまする所得税及び法人税法の改正におきましても、何らかもう少し特典を設けまして、青色申告の制度が一層普及するように努めたい、かように考えておる次第でございます。
  47. 三宅則義

    三宅(則)委員 これに関連をいたしまして、今税制課長はまことにいい御答弁をしたわけでありまするが、通常国会は十二月十日召集されます。ぜひ今の御趣旨は、この場限りでなく、十三通常国会におきましても、堂々と信念を吐露されて、今青色申告に対しまする軽減並びに特典等を考慮しておるとおつしやいましたが、一般の法人税あるいは所得税改正と並んで、特に留意せられて、われわれの満足の行くような法案を、ひとつ立案してもらいたい。われわれもこれに協力を惜しむものではございません。  次にもう一つお伺いしておきまするが、青色申告者は法人では大体今のところは、私の計算では、四八%ないし五〇%が青色申告になつておるはずであります。ところが個人の方はわずかに二%か三%、あとは全部白色申告ということになつておるわけです。この場合聞くのはどうかと思いますが、関連いたしますから申し上げますと、もう少し青色申告が法人並にふえることが当然だと思いますが、ふえない原因はどうかと申しますと、あまりにも規則がやかましい、また白色よりも青色申告の方が所得が多くなるという点じやないかと思いますが、この構想を政府は持つておりますかどうですか。
  48. 泉美之松

    泉説明員 先ほど私が申し上げましたのは、三宅委員のおつしやるように、青色申告につきましては所得がきつちり出たら一割ぐらいまけてやれという意味においての特典を設けるということを申し上げたのではないのでございます。この点はあらかじめお含みおき願いたいと思うのでございます。  なおお話のように、青色申告は法人につきましては、約七〇%が青色申告になつております。個人につきましては、二十五年におきましては事業所得者の七%程度が青色申告でありますが、本年におきましては減税等の関係もあろうかと思いますが、若干減る見込みでございます。これはいろいろの原因があろうかと思いますが、一つにはやはり個人の企業は法人と違いまして、従来あまり帳簿をつけておらないのが実情であります。法人となりますと、やはり株主もおることでございますし、相当の従業員をかかえておることでありますから、帳簿組織が一応できておりますので、青色申告をするのがそう困難でない。従つて相当数の者が青色申告を提出することになつておるのでございますが、個人の場合でございますと、従来どうも帳簿の記帳ができておりませんために、一挙に青色申告の制度をしきましても、なかなか帳簿をつける習慣が育たない。そのためにまだまだ普及しておらないという事情もあろうかと思います。しかしこの点につきましても、中小企業庁などの方の御努力もお願いいたしまして、帳簿をつけることの普及をはかるという意味におきまして、いろいろ御努力を願い、またわれわれとしましても、できるだけ帳簿をつけていただくようにお願いしておるのでございます。そういつた面と、もう一つは、やはり現在要求しております、青色申告を提出する前提となります帳簿の記載が、業種、業態を一応通じまして、全部一律にこういうことを記載するようにと規定しておりますために、とかくあの規則を見ましただけで、非常に煩雑なように感ぜられまして、青色申告をするための帳簿の記帳をやらないというお方がおありになろうかと思います。これはしかし実際記帳いたしますと、そのようにむずかしいものではないのでございまして、いろいろお話申し上げると、それだけのことを記帳すればいいのかというようなお話すらあるような次第でございます。しかしなお業種、業態によりましては、あの要求しておる帳簿組織では、まだ記帳に非常に困難を感ずるというような御意見もございますので、こういつた点は、われわれといたしましても、十分御参考にいたしまして、できればもつとあの帳簿様式を簡易な、つけやすいものにするように、もう一度再検討いたしたい、かように考えておるのでございます。  それからもう一つの原因は、先ほど来お話がありましたように、青色申告をしてみると、どうも所得が正直に現われて、青色申告をしない人よりも、たくさんの税を納めなければならぬというような事情がある。この点につきましては、先ほど来お話があるわけでございますが、やはり所得が出ればその所得に対して課税するのが正当なやり方であろうかと思うのでありまして、青色申告をしない人の所得が、実際の所得をつかんでいないというような状況の方が、かえつて青色申告を提出することを妨げるというような状況にあると考えますので、青色申告をしない人の所得を正確に把握するという方向に努力を向けて行き、さらに課税標準の軽減以外に各種の特典を与えて行くというふうに考えて行くべきものと存じます。
  49. 三宅則義

    三宅(則)委員 あまり長くなりますから、この程度にいたしますが、提案者に総括的なことをもう一ぺん繰返してお聞きいたします。企業合理化促進法案は、非常に美名でありますが、内容は先ほどお話のありましたように、基礎産業鉄鋼業石炭工作機械、こういうふうになるわけであります。私は与党でありますが、むしろ来国会におきましてでも、これらの名前を修正して、もう少し範囲を狭めておやりになつた方が、国民に対して忠実であると私は思うのであります。こういうふうに大幅に認めたようであつて、実際は認めない、こういうことは立法といたしまして非常に不分明であると私は思うのでありまするから、提案者におきましても、ぜひもう一ぺん考え直して、ある程度まで字句の修正あるいは内容の修正等もなさるべきものであろうと信ずるわけです。たとえばその名前において、租税特別措置法というふうに直し、内容の面におきまして多少修正する方がよろしかろうと私どもは思うわけですが、提案者といたしまして、ひとつ信念のほどを承り、またわれわれも後日質問の機会を得たいと考えます。
  50. 中村純一

    中村(純)委員 だんだんおしかりを受けて恐縮なんですが、もともとこの法案は、そのときの情勢によりまして、直すべき点がございますれば、当然修正を考えて行かなければならぬものと思うのでございます。しかしながらただいまの段階におきましては、適用条項によりまして幅の大小が出て来ます。その点がいろいろ御疑問の点と思うのでありますが、ただいまのところといたしましては、立法技術上、どうもこういうかつこうにならざるを得ぬのでございます。のみならず、この租税関係規定いたしておりまする条文を適用いたす場合としても、重要なる基礎的産業ということの概念といたしましては、さように考えておるのでございまするが、その具体的な内容といたしましては、財政の許す限り、できるだけ幅広く、この法律そのものといたしましても、私どもとしてはさようにいたして行きたい、かように考えておる次第でございまして、将来の問題につきましては、もとよりそのときの情勢に応じまして、必要なる修正を加えて行くということにつきましては、やぶさかでないものでございます。
  51. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の提案者の御趣旨もわれわれの趣旨も大体同じなのです。別に反対じやないのです。ただこの法律をつくるときに、羊頭を掲げて狗肉を売るというわけではございませんけれども、ややともいたしますと、大企業のみにというふうに誤解を受けることは、立法者といたしましてあまりおもしろくない、これが私の意見でございまして、おそらく他の大蔵委員もそういうふうにお感じであろうと想像するのであります。財政が許すならばもつとやりたいということは、中村提案者と同じであります。しかし現段階におきましては、ちよつと行き過ぎであるから、御修正なりあるいはお直しになるなりなさつた方がよろしかろう、こういう意見を申し上げたわけでありまして、その趣旨におきましては、まつたく同感でありますが、現段階といたしましては、一応大蔵通産連合審査会でありますから、大蔵委員の希望をよく申し上げておきますから、もう一度考え直して再修正をお願いしたいと考えております。
  52. 小金義照

    小金委員長 八百板正君。
  53. 八百板正

    ○八百板委員 ただいま三宅委員から質疑が行われたのでありますが、私は今までのお話の中でもなおはつきりいたしておりませんので、この際企業合理化促進法案目的につきまして、提案者にもう少しはつきりした御見解を承つておきたいと思います。すなわち第一条は本法の目的をうたつておるのでありまするが、大体合理化というのは、どういうものを提案者は考えておるのであるか。さらにまた原単位の改善の指導奨励、経済の自立達成ということを申しておりまするが、一体どのような角度から見ておられるのであるか、その根本的な認識について、まずお伺いをいたしたいと思います。
  54. 中村純一

    中村(純)委員 企業の経営を合理化いたして行きます上から申しまして、これはあるいは私の個人的な意見になるかもしれませんが、提案者の一人として考えておりますところは、わが国の企業は、特に技術あるいは機械設備等の面におきまして、戦時中あるいは戦争後の長い空白期間を通じまして、国際的な水準から申しますると、はなはだ老朽化し、非能率的なものになつておるやに考えられるのでございます。しかるところ、わが国がいよいよ独立をいたしました後におきましては、なおさら今日以上にわが国経済の自立達成ということが特に緊急な問題になつて参る。その自立達成のためには、わが国の産業企業の経営のレベルが、技術面機械設備の面等におきまして国際的なレベルに達しなければ、とうてい今後の国際経済競争場裡において、わが国経済の自立を達成して行くことは困難であろうと思われるので、できるだけその目的を達成いたしまするために、わが国産業の重要なる部面に対して、国家としての直接間接の援護を与えて、できるだけ早い期間にこの立遅れた空白を取返して、わが国の産業をして国際的のレベルに達して行かせたい、かような考え方をもちまして、この法律立案いたした次第でございます。
  55. 八百板正

    ○八百板委員 そこで端的にお伺いしたいのですが、「重要産業」とありますが、その「重要」と考える場合の角度をどこに置いたか、この点をお尋ねしたいのであります。
  56. 中村純一

    中村(純)委員 「重要」ということはやや抽象的な感じでございますが、わが国の産業経済の自立を達成いたしまする見地からいたしまして、まずその基礎的な部面を担当しておるところの重要産業、こういう考え方であるのでございます。
  57. 八百板正

    ○八百板委員 私の尋ね方も悪いかもしれぬが、どうもよくわからないのです。そこでちよつと考え方を伺つておきたいのでありますが、どういう角度からその重要性をきめられたかはしばらく別といたしまして、重要と思われる産業に対して、その合理化を促進して行くために、これに対する奨励策が必要であるということは当然だろうと思うのであります。そこでこの法律は、一つには特別に税金を軽減するという形でその促進をはかり、もう一つ補助金と申しまするか、交付金と申しまするか、そういうふうな形において奨励の実を上げようとしておるようでありまするが、提案者はそのどちらを重く見ておるのですか。
  58. 中村純一

    中村(純)委員 これはいずれを重く見るという差別は考えていないのでございまして、ものによりましては補助金を交付するという積極的な施策をとり、またものによりましては税金の軽減という消極的な方策をとつておるわけでございまするが、お尋ねの点は補助金を交付しておりまする——これは現在もこういうことはやつておるのでございます。これを法律化いたしまして、その法律を根拠として、さらに今後財政の許す限り強化して行きたいという趣旨から、その点は立法化いたしたわけでありまするが、現在やつておりまする実情等を、もし御必要でありますれば、申し上げればあるいは御了解がさらに深まるのではないかと考えるのであります。
  59. 八百板正

    ○八百板委員 それで大体具体的にどれだけ補助的なものを要求し、どれだけ税の面から軽減をはかつて行けばその目的を達成し得るというような、大体の数字的の目標があるだろうと思うのですが、それをひとつ各省別に出していただきまして、具体的なもくろみと申しまするか、さらに若干の例をあげて御説明をいただきたいと思うのであります。
  60. 中村純一

    中村(純)委員 この補助金の点でございまするが、これは昭和二十六年度予算といたしましては、各省内容を含めまして通産省予算に計上されておりまするものが四億五千万円でございます。その内容等は、また御必要がありますれば、政府側から御答弁をいたします。それから税金の軽減がどれくらいになるだろうかということは、その適用さるべき業種がまだ、先般来政府委員側から申し上げておりましたように、目下関係省間で折衝中でありまするので、確定的な数字は申し上げかねるのでありますが、およその見当といたしまして、十億ないし十五億円が二十七年度において軽減されることになるのではなかろうか、ただいまのところこういう見通しでございます。
  61. 八百板正

    ○八百板委員 二十七年度補助金はどれくらいですか。
  62. 石原武夫

    石原説明員 ただいまお話ございました補助金につきまして、四億五千万円というのは二十六年度でございますが、二十七年度は、まだ御承知のように予算がきまつておりませんので、幾らになるかはつきりいたしておりません。
  63. 八百板正

    ○八百板委員 幾らになるかわからないにしても、どれだけあれば目的を達成し得ると考えておられるか、その点をひとつ……。
  64. 石原武夫

    石原説明員 来年度予算につきましては、現在大蔵省折衝いたしておりますが、合計で申しまして約九億ぐらいの予算要求をいたしておるわけであります。
  65. 八百板正

    ○八百板委員 それから条文についてちよつと伺つておきたいのですが、非常にはつきりしない点が多いのであります。たとえば第六条などにいたしましても、政令でどれをとり、どれをとらないというような点で、そういうふうな不確定な条件を、どういうふうにしてだれがきめるか、その規定の仕方、基準、そういうふうな点が非常にはつきりしておらないのです。たとえば手続だけをきめるにいたしましても、実質的な規定にまで及んできめようとするのか、場合によると、やるもやらぬも一部の人の手によつてつてに取扱われるということになるのですが、そういう点について、どういう考え方でおられますか、その点を御答弁願いたいと思います。
  66. 中村純一

    中村(純)委員 先ほど三宅委員からの同じような御質問で、ちよつとその点申し上げておいたと思うのでありますが、これは各産業を所管いたしまする官庁は、大部分が通産省が所管をいたしておるわけであります。そのほか農林省あるいは建設省あるいは厚生省、いろいろと産業所管庁があるわけでありますが、そのそれぞれの産業所管庁におきまして、この種の企業に対して条項の適用をさせたいという考え、意見が必ずあるわけでございますが、しかしながら一面適用を受けまするならば、当然これは税収関連して参るわけであります。財政所管庁といたしましては、これをどの辺にとどむべきかという財政上の見地からの意見があるわけでございます。ただいまその各産業所管庁と大蔵省との間において連日検討して結論を出すべくやつておるのでございます。そこでこれらとの関係の向きの意見が定まりましたところにおいてこの内容決定をいたして参るわけでございますが、これが大体ものがきまつて行く筋道であるのであります。なお事務的の点等は政府委員から必要があれば御答弁いたします。
  67. 八百板正

    ○八百板委員 適用範囲とか、運用とかが、ほとんど役人の判断にまかせられる結果になるだろうと思いますが、そういうことになりますと、相当程度要領よく運動をやつた結果だとか、あるいは当該官吏のかつてな判断、そういうものが入る余地が非常に多くなつて、公正を期せられないのではないかと思うのでありますが、その点について、そういう弊害を除くような考慮がどういうふうに払われておるか、その点を伺いたい。
  68. 中村純一

    中村(純)委員 それはただいま申し上げましたように、各産業諸官庁と大蔵省との間においていろいろ研究するわけでございますが、むろん各産業自体といたしましてもいろいろと希望意見があるわけでございます。そういうものは当然この法律を運用せられる諸官庁にそれぞれ意見が出て来るはずであります。しかしてこれは結局は事務的な手続と申しますか、それを申しますと、次官会議にかけて、最後は閣議において政令をもつて定めることになると考えておるわけでございまして、十分お示しの点等につきましては、政府部内においても実際の産業担当者の意見等も反映して最後的に結論が出る、かように考えておる次第であります。
  69. 八百板正

    ○八百板委員 十分とおつしやつても、不十分であるのでお尋ねしておるのでありますが、先ほど三宅委員からも質問もありましたように、この法律の体裁を一応見ますと、ほとんど全産業にわたつてこれらの措置適用されるような形をとつておるわけであります。しかしながら予算の点から、あるいは提案者の今までの答弁等によりましても、きわめて少数の産業にだけそれらの措置がとられるということはほぼ明らかであります。ということになりますと、非常に大きく看板は出しておいて、実際にやるのはわずかであるということになりますと、しかもそれをやるもやらぬも当該官吏のかつてな判断によつてできる、代表の意見は十分聞くというような程度であつては、当然そこに公正な運用は期待されないのでありまして、そういう点について公正な運用をするために、条文の上に、あるいはそれを審議する機関として、何か明瞭にそういう用意があつてしかるべきだと私は思うのでありますが、そういう点についてどういう考慮を提案の過程において払われたかというふうな点を、私はお尋ねしておるのであります。この点もう少し明らかにしていただきたい。
  70. 中村純一

    中村(純)委員 全産業適用されるがごとくにしてしからずというお言葉でございましたが、たとえば補助金の支出、あるいは産業関係関連施設の整備中小企業の診断等の面におきましては、この法律に第二条の定義において掲げておりまするような、相当広い範囲産業にも適用されるのでございます。ただ租税特別措置に関しまする点においては、これは私ども立案者といたしましては、できるだけこれも広い範囲適用をいたして行きたいと考えておりますが、それはやはり財政収入との関連において妥当なる調節をはかつて行かなければならないと思うのでございまして、この点も先ほど申し上げましたごとく、たとえば昭和二十七年度においては、国の財政上この限度しかできないが、次の年度、あるいはさらに次の年度等において、国の財政がさらにこれを許します場合においては、できるだけ範囲を広げて行きたい、かように考えておるわけでございます。
  71. 八百板正

    ○八百板委員 どうも何べん聞いてもはつきりしないから、いいかげんにいたしますが、それから十二条の企業の診断のことですが、これはどういうわけで中小企業だけを対象としたのですか。
  72. 石原武夫

    石原説明員 第六章で中小企業の診断というのを設けておりますが、これは現在かような制度を設けておりますのは、中小企業だけでございますので、一応この法文はそれを取上げたわけでございます。しからばどうして大企業にやらずに、中小企業だけやつているかというお尋ねになるかと思いますが、大企業はそれぞれ相当の実力を持つておりまして、内部に相当の技術者もおりますし、また外部にコンサルタント的な、そうしたものを職業としておる者もございまして、それぞれ政府あるいは地方公共団体等の援助なしにも、相当程度さようなことが自力でできるだろうと考えられますが、中小企業につきましては、御承知のような実情でございまして、とても自分の力だけではなかなかかようなことが実行できないだろう。また外部におりますこれらの計理士等につきましても、これに相当の報酬を払つて診断をしてもらうということもこれもなかなか期待できませんので、特に中小企業対策としてかような診断制度を設けまして、地方公共団体が中心になりまして、無料で診断を行うという制度を現在とつております。それを法制化したということであります。
  73. 八百板正

    ○八百板委員 大企業には実力があるが、中小企業にはないからということになりますと、従つて、ないだけに実質的なものを伴うような指導がされなければならないと思うのであります。この程度では、結局金のかからないことだけをやるということであつて、結果においてはややもすると、行政官庁の権限を出たような企業指導が行われる危険も伴わないとは言えないと思いまするが、そんなふうな点をどういうふうに考え、さらにまたこの中小企業の十二条に定めました診断の実施上の効果というものを、どの程度に期待されておられるのであるか、この点お尋ねいたしたいと思います。
  74. 中村純一

    中村(純)委員 中小企業の育成対策全般から考えますならば、本法律案にあげております診断、勧告ということよりも、もつ金融面における援助と申しますか、金融を円滑にできるだけしてやるということの方が、非常に大切な面ではないかと考えられるのでございます。それらの面につきましても、これは私は政府当局でありませんから、その意味で申し上げるのではないのでございますが、われわれ通産関係委員会といたしましても、これまで十分にできるだけの努力を払つてつております。前国会におきまして、商工中金法あるいは信用保険法等の改正を見ましたことも、やはりこの中小企業金融円滑化のための有力なる方法として、私どももその法律の通過に努力をいたして参つたわけでありますが、本法律案に盛られております診断、勧告ということも、これも企業者側からの申出に基いてやるのでございまして、決して天くだりに押しつけるという趣旨ではございません。また今日までこの診断、勧告は相当に実行いたして参つておるのでございまして、その実績効果等も相当に上つておるのでございます。それらの過去の実績等につきまして、もし御必要でありますれば、政府側から御答弁をさせたいと思います。
  75. 松尾金蔵

    松尾説明員 この制度自身は、御承知のように、二十三年の暮ごろから実施をいたして参つたのでありますが、診断の効果が上るかどうかということは、企業診断の実施をする人の能力に非常に支配されるわけでありますけれども、現在までの実情はどのくらい効果が上つたかという点は、実際にその実施をいたしました各工場の実例によりまして、例示的に御説明を申し上げるほかはないと思うのであります。  現在までの実施の状況では、二十三年の暮から実施以来、約七千工場が実施を受けておるのであります。この効果といたしましては、たとえば木製品関係の工場で、診断前と診断後の経営状態の比較をしてみますと、一人当りの生産高が、企業診断の実施以前において一万一千円であつたものが、診断実施後においては一万八千円というような数字になつて来ております。しかも資本の回転率等におきましても、診断前においては一〇六%という回転率でありましたものが、二〇五%というふうに、資本の回転率も上つて来ておるというような例もあります。これは診断の効果の上り方は、業種、業態によつていろいろであるのでありますが、今申しましたのは、一木工工場における一つの例であります。
  76. 八百板正

    ○八百板委員 よろしゆうございます。
  77. 小金義照

    小金委員長 次は深澤義守君。
  78. 深澤義守

    ○深澤委員 この法案を受取りましたときに、非常にりつぱな法案名前であり、しかも提案者がそうそうたる方方が提案者となつておりますので、これはたいへんな法律であるというぐあいにわれわれは感じたのであります。ところが内容検討してみますと、先ほどから各委員によつて指摘されたように、大体は租税特別措置に該当するものではないかということに相なつて参りまして、どうも間口の割合に奥行きが非常に狭い法案であるというようなことに、われわれは現在承知しておるわけであります。そこで先ほど提案者も御説明になりましたように、これは企業合理化の一手段として行うのだということをわれわれは聞いたのでありますが、どうもこの企業合理化促進法案という法案名前内容とが、均衡がとれていないじやないかということは、だれしも考えるわけであります。この点につきまして、三宅委員からも、この修正の意思があるかどうかということを聞いたようでありますが、どうも看板と内容とが一致しないという感じをわれわれは消すことができないのであります。これはむしろ重要産業租税特別措置何とかというような名前にした方がいいのではないかというぐあいに考えるのですが、この点をひとつ重ねて提案者にお伺いいたしたいと思います。
  79. 中村純一

    中村(純)委員 たびたび御同様なおしかりを受けるわけでありますが、先ほどお答えいたしましたように、私どもはあくまでもこのわが国の立遅れておりまする企業技術なり、機械設備等をできるだけ早い期間に国際的な水準にまで引きもどしたいという目標をもちまして、企業合理化を促進する方法をいろいろと研究して参つたのでございます。その間にいろいろな構想も出て参つたわけでありまするが、結局お手元に差上げてありまするごとく、この法律でも各種内容を持つておるわけでございますが、租税に関しまする特別なる措置を有力なる一つ手段として考えて参るということに相なつておるわけでございます。そういう立案過程、また考え方をもちまして、本法律案を作成いたしたわけでございます。  なおこれも先ほど申し上げておりますごとく、今後の経済情勢の変化なり、あるいは財政事情の変化等に応じまして、必要なる改正を加えて行くことにつきましては、これは毛頭やぶさかではないのでございます。どうか将来のことはまたひとつその情勢に応じまして考慮いたすといたしまして、ただいま申し上げましたような経過並びに目的にかんがみまして、御了承を得たいと思うのでございます。
  80. 深澤義守

    ○深澤委員 そこでこの法案対象になつておる業種が、第二条に事業者とはこういうものであるというぐあいに定められておりまして、水産業は含まれておるのであります。ところがわれわれ現在日本産業において、一番近代化が遅れておるのは農業ではないかと思います。しかも農業は日本基礎産業でありまして、この近代化こそは、一番日本で今重要になつておる食糧問題の解決に無視し得ないものであると考えます。この法案においては、水産業までは行つておるが、農業というものが全然無視されておるということは、一体農業を企業と認めていないのかという疑問すらわれわれは持つのでございますが、この点はどうでありますか。
  81. 中村純一

    中村(純)委員 この二条に取上げておりまするものは、この法律の中で事業者という文句が出て参る箇所が数箇所ございますが、その場合におきまする定義を第二条に掲げておるのでございまして、法律内容におきまして事業者の出て参りまする場合は、これらのものは当然適用を受けるのでございまするが、この農業もむろんある意味におきましては、国のきわめて重要なる産業であるのであります。そこでこの二条におきましても、農業をここに画然と除いたのではございませんので、今後の研究におきまして、その他政令で定める事業というゆとりがまだここにあるわけでございまして、必要があれば、それも考えなければならぬことと思うのでありまするが、しかしながら一面考えますると、農業の問題は、これはまた別の意味から申しますると、きわめて重要な問題でございまして、私どもは農業については、もし必要がありまするならば、この農業の合理化ということのための単独の法律も考えなければならないほどの重要な問題であると考えておる次第でございます。
  82. 深澤義守

    ○深澤委員 農業を非常に重要視されるような御答弁があつたのでありますが、しかし前の御答弁によりますと、もし必要であるならば政令で定めるというぐあいに言つておるのであります。やはりこの法案制定の下準備の中においては、どうも農業関係はほとんど考えられていなかつたのではないかということがはつきりわれわれにはうかがえるのであります。こういう点についてひとつ十分の御考慮を願いたいと思うわけであります。  それから幾多の質問がありましたから、私は簡単にいたしますが、第六条の「重要産業に属する事業で政令で定めるものを営む者」という、この政令で定めるというのは、どういうものを政令で定めるのか、あらかじめすでに予定されておると思うのでありますが、その点についてお伺いしたい。
  83. 中村純一

    中村(純)委員 この農業の点でもう一言追加をいたしまするが、この法律は主として、いわゆる産業技術あるいは機械設備合理化ということを目標にいたして立案をいたしておりまするので、先ほど申し上げましたごとく、研究の上でさらに必要があれば追加をいたしたいと思うのでありまするが、農業につきましては、それ以外の面において各種の重要な問題を包蔵しておると考えられますので、その他の重要面におきましては、むしろこれは単独法でもつくらねばならないほどの問題であると考えておるのでございます。  さらにまたただいまの御質問の、第六条におきまする政令で指定せられまするものの内容いかんということでございまするが、これは先ほど来申し上げておりまするごとく、ただいま一口に申し上げますれば、各産業所管庁と大蔵省との間において検討中でございまするので、まだ結論的なことを申し上げる段階に達していないのでございまするが、ここに通産省政府当局もおりまするので、通産省としてはたとえばどういうことを考えておるかというようなことでありますれば、あるいは御答弁申し上げることができるかとも思います。
  84. 石原武夫

    石原説明員 ただいま中村委員からお話がございましたように、大蔵省と打合せまして、大蔵省の方としてはほかの官庁の事業もございますので、まだまつたく結論を得ておりませんので、そういう意味通産省の希望という程度にお聞取りを願う以外にないのでございますが、例示として申し上げますれば、先ほど来お話の出ておりまする鉄鋼石炭のほかに、同じ地下資源で金属鉱業というようなものも同じような考え方で考えられるというふうに思つております。それから同じ地下資源で、金属鉱業以外にも、たとえば硫化鉱でありますとか、そういう鉱物がございますが、かような地下資源で重要なもの、それから非鉄金属のうち、あるいは化学関係でも、やはりわれわれといたしましては基礎的な化学原料になるというようなことで、たとえばソーダ工業であるとか、あるいはカーバイドの工業であるとか、さようなもの、それから機械関係といたしましては、工作機械でありますとか、あるいはこれに準ずるような意味で、ベアリングでありますとか、さようなもの、各業種につきましての基礎的なものを拾つてこの対象に取入れて行きたいというふうに考えております。
  85. 深澤義守

    ○深澤委員 それから試験研究対象が、個々の機械になるのか、あるいは試験工場自体が対象になるのかということが問題でありますが、これは松下電器の社長なんかは、日本産業施設の上において試験工場上いうものを持つべきであるというようなことで、松下電器等においてはそういうものがあるやに聞いておりますが、そういう工場全体をひつくるめてその対象にするのか、それとも個々の機械対象にするのか、その点はどういうことになりますか。
  86. 石原武夫

    石原説明員 原則として、いろいろ個々の試験のために専用される機械ということを考えておりますが、試験をいたします場合に、専用の建物その他の構築物がいるという場合がありますが、それらはあわせて考えたいというふうに考えております。
  87. 深澤義守

    ○深澤委員 それから研究者ということになりますが、これは個人の場合でも、あるいは法人の場合でも対象になるのでしようか。
  88. 石原武夫

    石原説明員 お話のように、個人でも、法人でも、両方含むというつもりでおります。
  89. 深澤義守

    ○深澤委員 それから固定資産税の関係でありますが、地方税法によつて、第六条の規定適用するということでありますれば、六条の一項によりますと免税になる、二項によりますと不均一課税ということになるのでありますが、その結果として、総額としては、さつき十億ないし十五億ということがあつたわけですが、この固定質産税に関する限りにおいては、どのくらいの減税措置を見込まれておりますか。
  90. 石原武夫

    石原説明員 この点は、先ほど来国税の方として十億ないし十五億というお話がございまして、それに対応するような五条及び七条の固定資産税の計算をいたしておりますが、これもまだ実は的確に出ておりません。ことに五条、七条につきましては、法案にありますように、一応地方税法六条の適用があるものということで、地方といたしましては、ただちに免税なり、不均一課税をしなければならぬという義務を生ずるわけでございませんので、地方自治団体の判断で、それに該当するものとして免税なり軽減ができるということをうたつただけでございますので、はたしてこれに該当する設備がある程度ありましても、各地方がおのおのその財政状況によりましてどこまでそのような措置を具体的にとるかということは、まつたく各地方自治団体の自由の判断、従いまして各地方自治団体が、この六条の規定によりましてどの程度税の減免をするか、まつたく見当がつきませんが、われわれの一応の、ごくざつとした考えでは、これは一年間に一億にも達しない程度ではなかろうかというふうに推定をいたしております。
  91. 深澤義守

    ○深澤委員 固定資産税の場合におきましては、これは地方公共団体の認定によつて、減税あるいは免税ができるのか、あるいは事業者の申請によつてやるのか、その点がどうも明確でないようでありますが、これはどういうことになりますか。
  92. 石原武夫

    石原説明員 これは地方税法の六条の運用の問題になりますが、地方自治団体の認定で、地方自治団体としてかようなもので減免をすべきだという御意見であれば、その認定でできるというふうに考えております。
  93. 深澤義守

    ○深澤委員 そうすると、国税の方においては、そういう減免の措置あるいは償却措置ができた。しかし地方公共団体の方では、そう認定しなかつたという場合には、これは事業者の申請があつても減免はできない、こういうことになると思うのですが、その点はどうですか。
  94. 石原武夫

    石原説明員 この規定は、地方税法六条の減免をすべき場合には該当する。しかし該当しても、地方税法六条では減免できるということで、するかしないかは、これは地方自治団体の自由でございますので、従つてそこは地方自治団体の意思いかんにかかわる。たとい企業がこの適用をしてもらいたいという希望を申し出ましても、これは適用しないという場合が当然あろうというふうに考えております。
  95. 深澤義守

    ○深澤委員 第十四条に立入検査が認められております。これを拒んだ者は、十五条あるいは十六条によつて罰則の適用を受けることになつておるのでありますが、現在の政府企業の自由を尊重しているわけです。結局企業の自由の中には、お互い競争がありますから、企業々々によつて秘密がある。特に試験研究のごときは、そういう秘密性を保持することは、競争場裡においては非常に重大な問題であると考える。それに対して立入検査権を認めて、いかなるところにでも立入ることができるということになりますと、企業の自由の侵犯ではないかと考える。この点は非常に重要な問題になると思うのでありますが、この点を提案者は相当研究されておられますか。その経過並びに御見解を承りたいと思います。
  96. 中村純一

    中村(純)委員 企業の自由を尊重いたしますことは、私どもといたしましては、最も重点を置いて考えていることでございますが、この法律適用を受けます結果、各個の企業におきましていろいろな恩恵を受けることになるわけであります。従いまして、この法律を適正に、かつ円滑に運行して行きますためには、場合によりましては、この種の調査あるいは検査をする必要が出て参る場合がありますので、さような場合におきまして、かようなことができることを規定いたしておるのでございます。これを濫用して、企業の自由を破壊するというような趣旨では毛頭ないのでございます。この運用につきましては、政府といたしましても、十分法律趣旨を尊重してやることと信じておる次第でございます。
  97. 深澤義守

    ○深澤委員 法律制定のときには、非常に善意に法律は制定されるのであります。しかしその実施の場合におきましては、非常に被害を受けるものが多くなることは、これはもう過去の幾多の事例があるわけであります。特にこの法案におきましても、第十四条の三項に、立入検査は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない云云というぐあいに、すでに法律制定のときにおいて危惧があるわけです。そういうようなことから推しまして、今までの幾多の過去の法律の運用の事例から申しまして、そういう危険が相当起つて来る可能性があると私は思う。そういうことになつて来れば、結局企業の自由に対する一つの脅威であると私は考えるわけです。どうもそういうことによつて試験研究というものが減税、あるいは減価償却等の恩恵を受けるために、その企業自体の重大な、他に漏らしてはならないようなことが漏れてしまうというようなことによつて、重大な被害を受ける結果になることが非常に心配されるのでありますが、この点はひとつ通産当局からも特に答弁をしていただきたいと思う。
  98. 石原武夫

    石原説明員 この十四条の制定の趣旨につきましては、先ほど中村委員からお話がございました通りでございます。今特に試験研究等に対して、その秘密がかような立入検査の結果漏れはしないかというような御危惧もおありのようでございます、通産当局といたしましても、先ほど来中村委員からお話がありましたように、この十四条を適用いたします場合には、この法律の適正かつ円滑なる運用をはかりますために、ぜひ必要な場合だけということで、御心配のようなことが起りませんように、十分に注意して運用して参りたいと思つております。
  99. 高田富之

    ○高田(富)委員 ただいまのお答えで明らかになりましたが、重要産業は鉄、石炭、その他の地下資源、その他の何種類かの各業種の基礎的なものということがありましたので、通産省の専門の方にお伺いしたいと思いますが、例をあげて説明していただきたいのですが、現在たとえば採鉱あるいは選鉱等の基礎的な設備が、わが国の現在のものが非常に時代遅れであつて、当面可能性のある先進国にならいました設備等を入れるとすれば、こういうものがあつてこれにかえられるのだという、何かこの法案を出すにあたつて基礎となつておる——非常に急速に近代化を要すると書いてありますが、急速に近代化を要すると思われる重要産業の基礎的な施設について、例をあげて簡単に御説明を願いたいと思います。
  100. 石原武夫

    石原説明員 どうもただいまの御質問は、私専門家でありませんので、はなはだ不十分かと思いますが、もしさらに御質問がございますれば工業技術庁から来ておりますから、さらにもう一ぺん申し上げたいと思います。今の採拡関係は私よく存じませんが、たとえば鉄で申しますと、これはアメリカで現在鉄の価格を見ますと、八十ドル前後というのが日本で標準にしている棒鋼の値段であります。薄板にしましてもほとんど同じ値段です。アメリカは各鉄の品種によりましてもほとんど差がないわけです。八十ドル前後で棒鋼もできますし、薄板もできるという状況でございますが、日本におきましては、棒鋼が百三十五ドル前後しております。それが薄板になりますと二百ドルをはるかに突破するという現況でございますが、これは御承知のように、アメリカには連続の圧延の設備ができておりまして、非常に能率的に大量に生産ができますので、ほとんど棒鋼をひくと同じに薄板ができるという状態であります。今鉄あたりで考えております連続圧延のストリツプ・ミルが入つて、それを運転することになりますれば、少くとも品種間のそうした大きな差はこれで消えてなくなつて、同じようなべースで薄板も棒鋼もできるというふうに大体なると思います。さようなのは一つの例でございますが、その他いかなるものを一応機械として考えておるかという点につきましては、現在の租税特別措置法で五割増し償却を認めておりますが、それらに載つております機械はおおむねさような、今後日本として近代化するという観点からいたしまして、設備を更新しなければならぬ種類を並べております。これは機械の数にいたしますと相当の数になりますが、業種別に大蔵省告示によつて例が出ておりますが、それらを今度も一応対象にいたしたいというふうに考えております。
  101. 高田富之

    ○高田(富)委員 そういうふうな例が他にもたくさんあるかと思いますが、そうしますと、そういうふうに急速に近代化を要するいろいろなものを、今までこの法案の出ておらない従来は、ほとんどそういうものが当然使わるべくして使われないで現状に至つておるのか、それとも何らかの方法で業界の独自の努力とか政府のいろいろの施策によつてある程度まで進んでおるのか、あるいは何らかの障害にぶつかつておるという段階にあるのでありますか。その点伺いたいと思います。
  102. 石原武夫

    石原説明員 先ほど鉄の例で申しましたように、ストリツプ・ミルはこの措置ができます前にすでに鉄の各社で同じような、さような計画をもちまして、輸入機械につきましては、すでに昨年あるいは本年に入りまして外注をいたしております。それから中に一部ストリツプではございませんが、たとえば電縫管のパイプをつくる非常に新しい機械がございます。これはすでに二、三社入つて稼働をいたしております。さように各産業によりましてその進捗程度は必ずしも一律ではございませんし、またそれらの機械日本内地で十分に稼働しておるという状況に至つておりませんで、相当各社とも計画をして進行しておりますが、ただいろいろ資金的な問題もございまして、各社が希望するほど現状においてはまだ促進がされていないと思いますので、かような法律でそういうようなものの促進をはかりたいというのが本法の趣旨でございます。
  103. 高田富之

    ○高田(富)委員 部分的にちよつと改良するぐらいならいいでありましようが、相当設備そのものをかえなければならぬ、設備そのものはもう旧式で、あるというのが今例にあげられたのですが、そうなりますと、これをかえるには設備資金等も必要であつて、おそらく設備資金等は一度に相当多量のものを企業に融通することは不可能な現在の状態であつて、これが可能なものを不可能ならしめておる最大の隘路ではないかというふうに考えるわけです。そうしますと、ここで入れてしまつたものについて租税を幾らか軽減するというようなことについては、入れてしまつてあるのはけつこうなのであつて、問題は今後新式の設備にとりかえるのにいかにするか、いかにしたら近代的な設備産業の基礎的なものをかえ得るかということが企業合理化根本でなければならぬ。入れてしまつたものに対して幾らか租税軽減するというようなことは、おそらくこの問題の促進には役に立たぬと思う。それらの企業で若干機械を入れたところで、もうけが多くなる、資本蓄積が幾らか助かるということだろうと思う。そういう新式の設備が入つたからといつて、そこで資本の蓄積が幾分か多量にできたというのでは、何ら企業合理化なつたということは言えないと思う。それらの余分にもうかつたものがどう使われておるかという、経理の内容まで国家がやつておるなら別でありますが、個々の企業が多少ゆとりができたということと、企業合理化とは別個の観点から見らるべき現象でありまして、非常にこれはおかしいと思う。従つてもしもこういうふうな措置で入れた固定設備については、幾らか税金が軽減されるということのために、今後そうした新式設備がどんどん入つて来るという具体的な業界の要望——どうすれば入るのだ、今障害になつておるのはこの租税問題だというふうな声が、声ばかりでなく、実際客観的に見て、提案者並びに当局が見て、この障害を取除くことによりて、そうした新式設備の急速な近代化がされて行くという見通しがありましたら、その根拠をひとり御説明願いたいと思います。
  104. 石原武夫

    石原説明員 ただいまお話がございましたように、日本産業設備近代化いたしますために相当多数の機械の更新と申しますか、新しく入れなければならぬということはその通りでございます。そのために非常に多額の所要資金のいることもまた御指摘の通りでございます。それを促進いたします方法といたしましては、まず第一に、それらの機械設備を取得いたしますことが先決問題でありますので、それらの一つ方法としては金融の問題がございます。これは現在でもいろいろ市中金融もございますし、開発銀行等を通じてその資金をさような面につぎ込み得るように努力をいたしておるわけでございます。また一面企業内部の蓄積をできるだけ増加するということもまた必要だろうと思いますので、それらの自己資本の蓄積ということをはかります一つ方法として、今回提案しておりますような短期償却というような制度を設けたわけであります。もちろんこれだけでは企業が所要いたします厖大な所要最に足りないことはもとよりでございまして、外部からあるいは増資その他の方法、その他金融的な措置によりまして、所要の資金を調達しなければならないことは当然でございますが、些少なりとも内部蓄積を保留して行けば、それが厖大な資金量の一部になることも当然考えられると思います。なるほど入りましてから償却は始まりますので、その機械が入る前に内部蓄積ができないという点は御指摘の通りでございまするが、今その中で合理化の計画を考えておりますのは、少し大きいものは大体三年くらいの計画をやつております。これは一つには資金の量が非常に大きいということにも関連いたします。従いまして設備近代化をいたします場合も、順次いろいろな機械を入れております。かようなことによりまして社内に蓄積されたものが次の合理化設備の資金にまわるということは十分考えられると思いますので、かような面といたしましても相当の効果がある、かように考えておるわけであります。
  105. 大上司

    ○大上委員 時間がおそくなりましたので、簡単に二、三お尋ねします。まず第一に八百板委員から企業合理化促進という企業の熟語について相当お話があつたが、私も実はこれについて疑義を持つておるのです。そこでまず第に聞きたいのは、この法案を一条からずつと見せていただいておりますと、随所に省令という言葉が使われております。まず第三条に使つており、第八条、第十条にも使つておる。政令という言葉は第二条、第六条に使つておる。このように、われわれが一条から十六条までの法案を見ますと、なるほど窓口はきれいですが、実際の運用が省令または政令によつて、われわれが存知しない点が多々あるように思うのです。そこで提案者お尋ねしたいのは、省令または政令等はどういう方向で、どういうふうな内容でお流しになるのか。なお深く言うならば、この間においては通牒というようなやや法律に似たようなものまで出て来る。そうなると、われわれが慎重審議した方向とちよつと角度が違う場合が多々あるように思うのです。そこでこの政令または省令の概括的な内容を承りたいと思います。
  106. 中村純一

    中村(純)委員 御指摘のように、法律の中に政令もしくは省令にゆだねた部分があるのでございますが、その中で先ほど来皆さん方の御質問において最も中心的なお尋ねでありましたものは、第六条にありまする、政令で定めまする事業内容いかんということであつたのでございます。これにつきましてはたびたびお答えを申し上げておりまするごとく、まだ確定的なことは申し上げられませんけれども、主として関係をいたしております通産省側として、どういうものをこの政令の内容においてきめたいかということにつきましては、数個の事例をもつてお答えを申し上げたのでございます。それが一番御関心の点だろうと思うのでございまするが、その他の場所に出て参りまする政令あるいは省令をもつて定めんといたしておりますることは、大体において事務的な、判断の基準なりあるいは手続なりに関するものでございます。これらの点についてもし御必要でございますれば、政府側から、わかつておりまする限りお答えをしたいと思います。
  107. 石原武夫

    石原説明員 それでは今考えておりますことを一応御説明申し上げて御了解を得たいと思います。政令できあまするのは、第二条にございます事業のうち、その他政令で定める事業とございますので、これが一箇所ございます。今研究をいたしておりますが、現在のところ二条としてはすぐに追加をする必要はないのではないかということで、ただちにこれを指定するということを今御答弁する段階までに至つておりません。その次の第六条でございます。これは先ほど来いろいろお話がございました通りで、まだ確定的なことは御答弁できないのでございますが、第四条に政令がございまして、これできめまする事項につきましては、これの対象となります機械設備等の範囲について、ここできめることに相なると思います。これらをどういう内容にいたしますかは、今後大蔵省とまだ御相談いたしますので、通産省限りで考えておりますことの範囲内でひとつお聞き取りを願いたいと思います。一応はこれの対象になる機械設備等につきましては、機械試験研究のために専用される機械装置に限る、これが一点でございます。二番目は、試験研究に不可欠な車両でありますとか、運搬具であるとか、工具であるとか、そのようなもの、三番目は試験研究を行うために建造される建築物として、試験研究以外の用途に供することができないような性質のもの、大体それらのものに限定するという趣旨と申しますか、それの対象となる機械設備等についてはかようなものだという内容を政令で一応書く予定にいたしております。なおそのほかは、それの申請の手続を書くだけでございまして、政令は以上の三点でございます。  省令の方につきましては、これもまだ大蔵省その他の関係省との打合せが済んではおりませんが、一つは三条に補助金の交付の規定がございます。これに関する規定を数箇条手続的な規定をつくる必要があると思つて、それを考えております。それの内容をごくあらまし申しますと、一つ補助金の交付の対象になるものを書く。これは現在でもやつておりまして、対象となりますのは、次に掲げるものであるというような規定を置くわけでございますが、それは設備及び装置の新設、増設、改造、修理に要する支出でありますとか、機械器具の改造、製造、すえつけ等に要する支出、前各号に掲げるもののほか、特に主務大臣が必要と認めた支出、さような規定を設けます。その次は、補助金の交付の民間側が出します申請書、それの手続様式等を決定いたしたいと思います。その次には補助金の額を決定いたしました場合に、それらの役所としてその者に文書の手続をするというような手続規程、それから補助金の使用の制限、受けました補助金につきましては、その申請の目的以外には供してはならない。それに関連いたします条項、かようなものを備える。それから事故のありました場合の報告、試験研究が完了いたしました場合の報告というような事務の、そうした手続規程を主として、以上申し上げましたような点について規定を設けるつもりでございます。なお第八条の関係につきましても、同じような、主として手続関係規定を書いて行くという程度で、実体に触れる点はほとんどないと思います。
  108. 大上司

    ○大上委員 いろいろ御説明を承つたのでありますが、そこで一貫してわれわれ聞き取れたものは、第六条の規定においてもそうであるように、まだ各省が話合いがついてないというようなことを提案者政府当局からも承つたのです。そこでまず税が大体国税面においては十億または十五億円程度だというお話提案者の方からあつた、あるいはこれの関係の主税局の方からもお話があつた。それでこれ以上にオーバーするという場合には、第六条の規定適用できるのか、できないのか、その点をまず提案者お尋ねしたいと思います。これが一点。  その次に、たとえばこの第一条の、これは法制上の字句のテクニツクということは、たびたび申し上げているのですけれども、こういうふうな第一条の目的から見る場合に、税の面において、そのものは第二条の規定には入れない。いわゆる事業者とは呼ばない。たとえばここに一例を出してみますと、船舶がある、これは設備資金あるいはこの第六条の規定によりますと、相当高額になるところの減収になるわけです。大体私の概算した数字によりますと、これに適用すると、大体二十七、八億というような、また見方によれば三十億円を突破するようにも思われます。そこで法案の主流とし、根幹としては、まず税の面で大体ある程度の金額のものであるならば承知をする。それから非常に厖大なるものであるならば、これは承知ができない。この法案の恩典に浴さないという二つの見方はどちらをおとりになつておるか、この二点をまず提案者に承りたいと思います。
  109. 中村純一

    中村(純)委員 今船舶の例をあげてのお尋ねでございましたが、第二条といたしましては造船業は工業の中に入りますし、また船を動かす方は運輸業の方に入ると思うのでありますが、第六条の関係といたしましては、この法律案趣旨といたしましては重要なる基礎的な産業と考えられるものは、これはすべて包含をいたして行きたいと考えるのでございますけれども、一面におきまして国の財政面との関連もございますので、その辺のところはひとつ適当な線で現実の問題として調整点を発見しで行かなければならないものと思うのでございます。そのどこに調整点を求めるかという具体的の内容につきまして、ただいま各産業所管庁と大蔵省との間に交渉が行われておる段階であるのでございます。私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますごとく、国の財政事情の許す限り重要なる基礎的産業はすべてこれが一ぺんにできなくとも、おいおいであつても、なるべく早く包含をさせて行きたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 大上司

    ○大上委員 国の財政面といいますか、予算の面、歳入歳出のバランスから見ると提案の理由がよくわかるのです。またこれをどの程度に調整して行くか目下各省間で審議中であるということも了承できるのであります。だがたびたび聞くように、十億または十五億程度租税的な措置でピリオドを打つのか、あるいは財政面で許すという言葉がありましたが、そうなればどの程度で調整なさるのか、その金額は提案者はおわかりだろうと思いますが、その大体の金額を承りたいと思います。もちろんこの十億または十五億にはいろいろの産業が入つておると思います。だからこれ以上にオーバーしてよいのか悪いのか、さしむきどの程度で調整なさるのか、それをお尋ねしたいと思います。そうすれば当然第二条の規定の専業者の各業種もわれわれは法案の審議過程において十分のみ込めるだろうと考えます。
  111. 中村純一

    中村(純)委員 十億ないし十五億ということは、二十七年度の問題としてただいま一つの線が浮かび上つて来ておるものと考えるのでございますが、もとより二十六年度といたしましても、さらに二十七年度といたしましても、二十七年度予算全体がいまだ未決定の状態にありますので、その予算全体の構成が、さらに研究が進められました結果、もう少し財政負担が考えられるということでありますれば、これは私どもとしては多々ますます弁ずるものと思うのでございます。二十八年度以降といたしましては、さらにまたそのときの財政事情に応じまして、できる限りの幅を吸収して行きたい、私どもはかように考えておる次第でございます。
  112. 大上司

    ○大上委員 そこでさらにお尋ねいたしますが、今申しました二十七年度予算ですら、現在まだ歳入歳出諸項目において結論が出ていない。しかしこれが出ればというお言葉がありましたが、この法案はいわゆる今度の予算とにらみ合せなければいけないが、大体法案を通過せしめるについての年月日を承りたい。すなわちこれが来る通常国会の三月の最終日ならば予算の計数も大体出て来るけれども、通常国会が十日から始まつてすぐ採決なさるとすれば、問題を後に残して行かなければならない。だから提案者としてはいつ委員会で採決なさつて、本会議に持つて行くのか、提案者議員であるだけに、まずそれをお伺いしたいと思います。
  113. 中村純一

    中村(純)委員 二十七年度予算国会の協賛を経ますのは、相当先になることと思われるのでございますが、予算の輪郭と申しますか、概要は遠からぬうちに決定を見るのではないかと思うのでございます。のみならず予算面ばかりでなく、その他の面におきましてもいろいろと準備して行かなければならない事柄もありますので、提案者といたしましては、この法律案は一日も早く御審議を願いたい、かように考えている次第でございます。
  114. 大上司

    ○大上委員 非常にしつこくて恐れ入るのでありますが、もう一つお尋ねいたします。なるほど提案者趣旨はよく了解したのですが、第三条で深澤委員からの関連質問がありまして、大体予算範囲内で補助金が幾らかということをつつ込まれたのに対して、概算九億円とおつしやつた。しかるに予算上から見、あるいは財政面から見て、十五億または二十億円、合せまして、二十四億または三十億円と仮定してもいいでしよう。ところが十五億円と九億円ですから、二十四億円、またはこれが三十億になつたとしても、それで見きわめてこの法案提案者要求通りに通過さすのがいいのか、いわゆる予算の一切合切とにらみ合せて、さらに財政面の調整でこれ以上に二十億または三十億円出た場合に、この法案適用するのがいいのか、これはわれわれとしては判定に苦しむわけですが、そこで提案者としては、この第一条の「機械設備等の急速な近代化」をはかるという字句と、また六条の規定においては同じ言葉であるけれども、今度は「機械設備等を緊急に近代化する必要のある」という字句の使い方がある。これほど六条に「緊急」という言葉をお使いになるならば、大体判定がついていると思う。そこでさいぜん申しましたような、概算三十億円で持つて来るのがいいのか、財政の調節面で五十億または六十億円出て来る可能性があるという場合に、これを通過さすのがいいのか提案者お尋ねしたいと思います。
  115. 中村純一

    中村(純)委員 私どもは欲を言えばきりがないのでありまして、多々ますます弁ずるようにいたしたいと思うのでありますが、一面において緊急にやりたいということも私どもの強い考え方でありますので、予算の面は、国会の通過は日がかかりましようが、いずれ遠からぬうちに輪郭もできると思います。また二十八年度においてさらにふやすことができますならば、おつかけてこれをふやして行くということも考えまして、私どもはおよその見当がつき次第できるだけ早くこの法律を実施いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  116. 小山長規

    ○小山委員 関連して質問いたします。今大上委員から申されたことをさらに敷衍して提案者並びに主税当局にお尋ねしたいのでありますが、この第六条関係の政令でもつて指定する事業、これが指定されますと、自動的に租税特別措置法が動いて来るということは、法律から見ても、この間からの説明を聞いてもそのようでありますが、指定された事業に対してこの法律が自動的に適用され、そしてそれが税収上に及んで行くであろうという数字は、この間から聞いておりますと、二十七年度において十億ないし十五億だと言われている。これが予算であるならば十億が少いとか、あるいは十五億が多過ぎるとかいうことが言えるのであります。ところがこれは法律から自動的に出て来ますので、実際問題としては、大蔵省の役人と各省の役人同士が話し合つたところで多いとか少いとかいうことはきまるのではないかと思う。つまり役人同士できまつたことに対して、国会が一口も文句を言えない、こういうことになるのではないかと思います。租税特別措置法というものは大体そういうものなので、これはやむを得ぬかもしれんが、十億だか十五億だかわからぬというような状態のもとにおいて審議されておる場合には、ただ単に大蔵省の役人と各省の役人とが話し合つた結果、十億なら十億の範囲内で租税特別措置法が動けるようにやろうとか、あるいは十五億で動けるようにやろうということは、どうもふに落ちない。国会側はこの場合には一体どういうような形で参画できるのでありますか。それを提案者と主税当局にお伺いいたしたい。今申し上げたことは、あるいは非常にまわりくどくてわかりにくかつたかもしれませんが、予算ならば国会はこれを増額することもできるし、減額することもできる。国会はそれだけの力があるのであります。ところがこれは租税特別措置法で、端的に言えば、主税当局が、十億では困る、十五億でひとつやつて行きたいということで、それに合うように業種を定めるということになるのでありますが、その場合にいかにも変則だ。予算ならば国会がくちばしを入れられるのに——この法律は確定したのではないのです。大体業種はきまつておるならばいいのだが、きまらぬ場合でも、この法案が通過するかもしれぬのだから、国会側は一体どの程度これに参画できるのか。あるいは参画する場合があるのかないのか。これをひとつ提案者と主税当局に、特に私は確かめておきたいのであります。
  117. 中村純一

    中村(純)委員 お話のごとく、これは歳出予算ではございませんで、歳入見積りに関連する問題でございます。従いましてこの租税特別措置法から出て参ります面は、これは国会にかからぬかもしれません。しからばお話の御趣旨を徹底いたしますることは、この法律面におきまして適用業種を定めることが一番はつきりするわけでございまするが、お話のありましたごとく、これは歳入見積りとも関連をいたしまするので、また今後の産業の進展と申しますか、あるいは今考えられておりますること以上の新しい技術とか機械が出て来るというような将来の変化も考えられますので、この業種の指定は政令にゆだねることが適当であろうかと考えまして、かような立案をいたした次第でございます。
  118. 泉美之松

    泉説明員 ただいまの小山委員の御質問まことにごもつともでございまして、われわれといたしましては、この法律が通過します前に、できるだけ早くその政令の内容であります事業範囲をきめたいと思いまして、今各省と日夜研究いたしておるような次第でございます。ただそれは、小山委員も御承知通り法律におきましていろいろな措置を行います場合に、政令あるいは省令にゆだねられている場合がかなり多いのでございますが、そういつた場合に、政令の内容及び省令の内容につきましては、国会の御審議の御様子を十分拝聴いたしまして、国会の意図のあるところをわれわれ十分尊重の上で、政令なり省令を規定して行くという考えでおるのでありまして、別段行政権にゆだねることによつて不当なことが行われるというようなことはなかろうと考えております。
  119. 小山長規

    ○小山委員 私の質問が少し長かつたので、図星をずばりと言わなかつたのがいけなかつたと思いますが、今度ははつきり申します。法律の審議過程上において、その政令の内容というものは大よそわかつておる。少くとも八、九分通りわかつているのならば、政令にゆだね、それが自動的に動いて来てもかまわない。ところがこの法律の審議の過程において、金額で申しますと十億だか十五億だかわからぬ。こういうあいまいな状態のもとにおいて——法律案はあるいは間もなく通過するかもしれません。そうしてそのときにまた政令の案の内容すらわかつていないということであれば、結論は、当然に大蔵省の役人と各省の役人とが話合いをした結果、それでは十億の線で第一回はきめてみようとか、十五億の線できめてみようとか、いわばそちらの御都合主義できまることになつてしまう。国会は一口もものを言えない、こういう形になるのでありますが、政令の案は、それを確定される前に国会側に何らかの方法でお示しになるのかどうか、端的に申せばこういうことなのです。
  120. 小金義照

    小金委員長 小山君に申し上げますが、それは私から御返事いたします。お説はまことにごもつともであるので、この法律の施行については、大蔵省並びに各関係省に対して、政令または省令の内容を閉会中といえども提示を求める予定でございます。
  121. 小山長規

    ○小山委員 それならばよろしいです。
  122. 小金義照

    小金委員長 それでは本日の質疑はこの程度にいたしまして、散会いたします。明日は午前十時より連合審査会を引続き開会いたします。     午後四時十七分散会