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1951-11-15 第12回国会 衆議院 通商産業委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)     午後二時三十八分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君    理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    今泉 貞雄君       江田斗米吉君    小川 平二君       神田  一君    澁谷雄太郎君       永井 要造君    中村 純一君       福田  一君    南  好雄君       村上  勇君    山手 滿男君       加藤 鐐造君    風早八十二君  出席政府委員         中小企業庁長官 小笠 公韶君  委員外出席者         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事長)  豊田 雅孝君         専  門  員 谷崎  明君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(  小金義照君外十八名提出衆法第二号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三六号)  商工組合中央金庫運営等に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。  この際請願及び陳情書の取扱いについてお諮りいたします。本会期中において当委員会に付託せられました請願及び送付せられました陳情書は、今日まで三十六件及び二十九件となつております。以上の請願及び陳情書審査につきましては、十分慎重を期するため、先ほど各派理事各位と協議いたしました結果、小委員七名よりなる請願及び陳情書審査小委員会を設置して審査いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。  それでは小委員七名よりなる、願及び陳情書審査小委員会を設置することに決しました。  次に小委員会の小委員及び小委員長は、委員長において御指名申し上げたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それでは御指名申し上げます。    阿左美廣治君    小川 平二君    比村 幸八君    南  好雄君    高橋清治郎君    今澄  勇君    風早八十二君  以上七名。小委員長中村幸八君。  以上御指名申し上げます。     —————————————
  5. 小金義照

    小金委員長 ただいま商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について、関連いたしまして緊急質問の通告がありますので、これを許します。福田一君。
  6. 福田一

    福田(一)委員 本通産委員会におきましては、また今議会においては、中小企業金融というものが非常に重要な問題に当面をいたしておりますので、いろいろな法案提出してわれわれは審議を進めて参つたわけでありますが、その法案を今や可決しようとするこの際にあたりまして、本日の新聞紙上によつて了承するところによれば、商工中金に非常な何か疑獄事件が起きておるやの新聞記事が出ておるわけであります。私たち新聞記事そのものを信用するという考えでおるものではありませんけれども毎日新聞などを見ますと、何か箱根で九十万円くらいの豪遊をしておるのだ。こういうようなことがあり、現に商工中金貸付係長である品川某というのが、検挙されて取調べを受けておるというような事実が出ておることを見ましては、私はこれはもう中小企業金融のために非常に遺憾に存ずる次第であります。このような疑獄事件が出ておつて、しかもなおかつそこへいろいろのわくをふやし、あるいはいろいろの便宜を与えて参りましても、はたして中小企業金融というものが円滑に行くかどうかということについて疑問を持たざるを得ないのでありまして、ここにはちようど企業庁長官も、また新聞紙上に名前が載つております理事長も、これは豊田さんが直接関係があるかは別としても、中金責任者としての豊田氏も出ておいでのようでありますから、この新聞紙上に出ておるところのこの問題について、ひとつ責任のある答弁をまずしていただきたい。いかなることに相なつておるのかということについて、御説明を承りたいと思うのであります。
  7. 小笠公韶

    小笠政府委員 ただいま御質問のありました点につきまして、私が知つておる範囲についてお答え申し上げます。  実はけさ新聞で承知いたしたのであります。早速調査いたしたわけでありまするが、問題になつております東京製材協同組合でありまするが、本組合事業経営状況は良好のようであります。かつ資金の返済というものも、その期限々々にやられておるようでありまして、非常に普通の取引として動いておると私は承知いたしたのであります。ただ問題になつておりまする汚職と申しまするか、そういう事件につきましては、ただいまのところ新聞に載つておりまする人は検察庁に呼ばれておるということでありまして、その内容等につきましては、ただいまのところはつきりいたしておらぬのであります。私の見るところは、ただいまのところはそういう事情でありますが、融資等につきましては適正に行われておると私は一応考えておるわけであります。  なお具体的な問題は将来の調査によりましてまた御報告いたすことにいたしますが、ただいまのところその程度が実相であります。しかも本問題の起りました端緒は、組合内部におきまする資金の割当てに関連して一部の者の不満がいろいろ起つて来てそういうふうな事態になつたように承知いたしておるのであります。  以上簡単でございますが、ただいままでわかつておりまする点を御報告申し上げます。
  8. 小金義照

    小金委員長 この際お諮りいたします。商工組合中央金庫理事長豊田雅孝君より参考人としてお話を聞きたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小金義照

    小金委員長 御異議ないと認めます。それでは豊田君は参考人として意見を発表することができることに決定いたしました。豊田雅孝君。
  10. 豊田雅孝

    豊田参考人 ただいまお尋ねのございました点につきまして率直に御報告をいたしまして、同時にまた今後の中小企業金融支障のないように御援助をお願いしたいと存ずる次第であります。  ただいま小笠中小企業庁長官からお話のありましたことく、問題になつておりまする東京製材協同組合は、組合といたしましては優良組合でありまして、その取引振りも非常に優秀なのであります。またこれに関連いたしております東京洋紙商業協同組合事業面容がよく、その取引ぶりは優秀な組合であります。ただ東京製材協同組合におきましては、これまた中小企業庁長官からお話がありましたことく、事業内容は優秀であるのでありますが、その副理事長が非常に腕ききと申しますか、木場方面では敏腕家と言われてもるようでありまして、それだけにいろいろ反感疾視もあるようであります。ことに組合内部に副理事長とよくない向きがありまして、すでに一つ事件、これは商工中金等関係のない特別調達庁関係のことのように聞いておるのでありますが、問題が内部から投書等によりまして検察当局の手にかかつておりますが、当時事は大したことはないということになりまして、今回またあらためてその問題が提起されておるようでありまして、これに関連いたしまして幹部の横領というようなことまで問題にせられて来たようでありまして、これに伴つて組合帳簿等が押収せられまして、これに伴つてその組合担当者になつておりまする私の方の品川という者が留置せられておるのでおりますが、その内容につきましてはまだ私どももつまびらかでないのでありますけれども情報によりますと、盆暮れ商品券、あるいはこれは商工中金生え抜き職員ではないのでありまして、満州中央銀行におりまして、引揚げ参つた者を途中から入れたのでありますが、引揚者のことでありまするので、住宅に非常に困つて、非常に小さなものを建てましようということで、この建物に必要とした木材を製材協同組合から提供した。それにつきましては代金払つて領収書ももらつておるということでありますけれども、その辺が問題になつておるようであります。同時にその所管をいたしておりまする他の組合関係につきましても、全部帳簿等について調べられたようでありまして、その一つとして東京洋紙商協同組合というものも出ておるのでありますが、これがどの程度になつておりまするか、まだ情報もはつきりしておらず、他に参考人といたしまして職員が二名呼ばれたのでありますが、これは即日帰されまして、平常通り出ているようであります。品川新聞によりますると、何か融資係長というように出ておりますが、これは単に幾つかの組合を担当いたしておりまする平の融資係員であります。そういうことに相なつておるのであります。一方先ほど御指摘を受けました箱根豪遊というのも、これは遺憾ながら営業部長が招待を受けておることははつきりいたしておりますが、他の者は職員はもちろん、役員もだれも出ておらぬわけでありまして、いろいろかようなことで御心配をかけておりますことはまことに恐縮に存ずる次第であります。ことに私どもといたしましては、中小企業金融につきましては、今後非常に大きく進展を見ない限り中小企業合理化ということは困難であるという線からいたしまして、いろいろ各方面の御援助を受けまするだけに、役職員に対しましてはかたく自粛をするように常に申し、また地方に出張いたしますることに特に従業員まで集めてこの点に触れ、同時にサービス向上を強調して参りましたにかかわりませず、新聞で伝えられまするところとは相当大きな開きがありますけれども、一名の者にせよただいま留置せられておりますることはまことに遺憾に存ずる次第でございまするが、実情はただいま申す通りでございまして、情報によりますると、ほぼ完結しかかつておるということでありますので、愁眉を開いておりまする矢先にああいう新聞が出たわけであります。この新聞記事は、御想像がおつき願つておると思いますが、警視庁の発表記事ではないようでありまして、木場方面にいろいろうわさの出た道聴途説が主になりまして、それにいろいろ揣摩憶測が加わつておるというふうなことになつておるのでありまして、業界、組合方面も非常に憂慮して、この結果が中小企業金融に少しでも支障を来してはとんでもないことだ。ことに年末を控えて年末資金もやかましく言われております際に、かようなことが影響してはまことに自分らは耐えがたいものがあるというので、組合有志は寄り寄り相談をいたしておるような状況であります。  なおこれに関連いたしまして、あの新聞の中に、どれでありましたか、日銀の再割のきかないような手形に対して融資をしておるということが出ておつたのでありますが、中小企業を対象にいたしまして貸し出しまする場合に、再割可能な手形のみを取上げて融資をいたしておりましたのでは、とても中小企業金融というものは円滑に行かないのでありまして、日銀の再割のきかないものでも、相当の信用力のある手形でありまするならば、特に日本銀行に頼みまして特別に融資をしてもらう。これがいわゆる日銀別わくという制度でありまして、本来ならば再割適格手形のものでなければいかぬという線を、私が日本銀行総裁にもるるかつて話をいたしまして、中小企業特殊性を認識せられまして、当時認められた。これがやがて興銀、勧銀にも認められるようになりまして、ただいま商工中金に十七億のいわゆる日銀別わくというものが来ておるのであります。これはまつたく、普通なら再割のきかない手形日銀に持ち出しまして融資を受けておるというのでありますが、中小企業金融の逼迫の伝えられまする際、皆様方からも日銀の別わくをもう少しふやしてくれというようなことをよく御要請くださいまして、それはただいま申しまするようなものでありますが、かような再割適格手形でなくとも、ある程度信憑力のありまする、担保力のある手形ならば、これを見返りにして融資をし、さらに日銀から融資を受けるという行き方こそ中小企業金融と申しまするか、特に商工中金の特色をなしておるものであります。これは金融専門家に見てもらいまするならば筋合いがはつきりいたす問題であります。  なお何か延滞が非常に多い、新聞には三分の一もあるような記事が出ておつたのでありまするが、役職員従業員延滞につきましては従来から非常に努力いたしまして、漸次この延滞状況は好転いたしておるのであります。ただいま形式的な延滞と申しまして、手続きの一日、二日遅れるというようなものも加えまして、いわゆる形式延滞を加えまして、三月以上の延滞になつておるというものは、貸出し残高の六%、一割もないのでありまして、六%弱になつておるのであります。絶対額も漸次減つて来ておるというような状態でありまして、これはひとり商工中金のみならず、中小企業界全体のために非常に喜んでおるような次第でございます。  かような実情でありまするので、どうか事情を御了承いただきまして、今後さらに一層私ども従業員に対しましてはかたく自粛を要請をいたし、また実行をいたします所存でございます。何とぞ以上のような実情を御了承いただきまして、今後一層中小企業金融が円滑に参りまするように御援助のほどを切にお願いいたしたい。
  11. 福田一

    福田(一)委員 中小企業庁長官からは、今までのところあまりたくさん御報告を受けておらないので、今後事件が発展すれば御報告いたします、こういう御説明があつたので、私は実はちよつと意外に思つたのであります。参考人豊田氏からは、まことに遺憾であつて、今後十分監督するからという言があつた。この点豊田氏の考え方はわかつたのでありますが、一体中小企業庁長官は、こういうような不詳事件が起きたにかかわらず、これについて何らかの責任、あるいは今後の監督方法という問題を考えておられるのかどうか、これを明らかにしておいていただきたい。
  12. 小笠公韶

    小笠政府委員 従来商工中金に対しまする監督方法といたしましては、まず大蔵省と私の方から監理官を出して、監理官を中心といたしまして監督をいたしておるわけでございますが、さらに貸出しの問題につきましては、一応商工中金自主性にまかしてありますが、たとえば一千万円以上という限度をきめまして、その限度以上の場合には、大蔵、通商両省認可を得るというような制度で、従来個々のケースについての調査をいたして参つておるわけであります。従いまして、今後の行き方といたしましても、できるだけ商工中金の仕事の自主性というものを尊重しながら、中小企業金融の大網と申しますか、方向とあわせて動いて行くように、監督といいますか、指導を厳にして参りたいと考えておるのであります。なお福田さんからのお話で、責任を感じておるかどうかというつつ込んだお話がございましたが、私はこういうことができましたことにつきましては、まことに相済まぬというふうに考えておるのであります。先ほど理事長からお話がありましたように、中小企業金融というものが、いろいろな要望にかかわらず、なかなか打開できない。その打開できにくいところに、中小企業金融のむずかしさがあるのでありまして、いろいろな手を打つて行かなければならないという際に、新聞に出たようなことは、一般の心証を害するということもありますので、私ども遺憾に思つておるのであります。これからそういうことのないように、できるだけ私たち自身自粛いたしまして、中小企業金融が少しでも円滑になつて行くように、一層の努力をいたしたいと考えております。
  13. 福田一

    福田(一)委員 実は中小企業組合金融の問題でありますが、これは当委員会においてもしばしば力説いたしておつたのでありますが、組合から融資の申請をしたような場合でも、これが半年も一年もかかつてなお決裁がつかないというような事例が、従来は非常に多かつたのであります。最近はこういう点についても大分勉強をしておられまして、この種のこともだんだん改善されておるようでありますが、こういうような新聞記事が出たときに、ただちに世間の人が一般印象を受けますことは、中金に申請しても、なかなか認可がおりない。   委員長退席中村委員長代理着   席不認可なら不認可でもよいが、とにかく決裁がつかないで、いわゆる未決裁の書類が多い。そこで何かこれを運動でもすると決裁されるのではないかというような印象一般の者が持つておると思うのであります。こういうような印象を持つておるところに、こういうような新聞記事が出ますと、世間は、なるほど、やはり未決裁のものも、運動をするとできるらしいというような疑惑を一層深めたと考えるのであります。そこで中金豊田理事長に特にこの際警告を申し上げておきますことは、これはものによつてはできないものもあるだろうし、ものによつてはできるものもあるでありましようけれども、やはり未決裁のものをたくさん持つておいでになるということは、今言つたような意味でも非常な疑惑を受けることになります。そこでなるべく早くこの調査をいたされまして、これはかくかくの事情でこういうふうになる、これは認可できません、今のところでは認可してもなかなか金をまわすまでに行かない、あるいはこういう事情になつておるというようなことを、親切に当事者に連絡されることをひとつ大いに努めていただきたいと思う。今まで私の聞いておる範囲でも、非常に調査がおそい、ぐずぐずしている、何度頼みに行つてもやつてくれないというようなことを言つておられる組合の方が多い。実はそういう例を私はしばしば聞いておるのであります、その後当委員会でもこの問題が取上げられまして、大分改善されたように聞いてはおりますけれども、なお一層この点は大いに勉強をしていただいて、そういう運動があつたから認可するとか、運動がなかつたから認可しないというような、疑惑を招かないような措置をとつていただきたいということを、特に警告を発したいと思うのでありますが、これについて理事長から何か御発言があつたら承りたいと思います。
  14. 豊田雅孝

    豊田参考人 組合金融になりますと、いかなる組合でも、できて来ておれば融資するというわけに行かぬ点がありまして、ことに御承知のごとく、組合による中小企業合理化の線に沿つた設備の改善なり、あるいは技術の向上なり、あるいは経営改善ぶりが見えておりませんと、なかなか融資はしにくいというような点がありますために、ただいま御指摘のような、貸せるかのごとく見えながら貸し得ないというようなものも相当あるわけでありますだけに、お話のごとく、何ゆえにこれがお貸しできないか、あるいは、こうもすればお貸しできるようになるだろうということにつきましては、お断りをするときに十分に納得の行くようにするということを、従業員には従来からやかましく言つておるのでありまして、また処理につきましては、できるだけ迅速にやらなければいかぬということは、申すまでもないのでありまして、ただいまでは貸出しの事務簡素化ということを最もやかましく私は取上げておるわけでありまして、最近短期資金につきましては、一枚の紙に所要事項を書きまして、第一線の出張所長が判をついて、そのものが来れば、そのままで上部まで進みまして、私もそれに判をついて事を処理して行くというような、一枚主義によります貸出し事務簡素化までやつておるようなわけでありまして、ただいま御指摘願いましたことく、漸次改善せられておると思いますけれども、この上とも断るときの態度、あるいはお貸しをする事務の迅速、サービス向上、これにつきましては、今後できるだけ力を入れて参りたいと存ずるのでありまして、特に私も、今回のような新聞記事によりまして、お話のように、遅れておるのは、何かそこにすべきことをしないがゆえであろう、断られたのは、またそういうことに関連があるのじやないかというふうに思われることを一番恐れておるのでありまして、同時にまた、この際これがために中小企業金融拡大強化をはかろうという機運がまた阻害をせられやしないかというような点を非常に憂慮いたしておるような次第でありまするが、それだけに今後一層サービス向上事務迅速化について最善を尽したいと存ずる次第であります。どうか御了承を願います。
  15. 福田一

    福田(一)委員 ただいままで小笠長官並びに豊田理事長からこの問題に関するいろいろの説明なり陳謝のお言葉があつたのでありますが、この問題は、新聞紙上によりますとまだ緒についたばかりであるという報告になつております。また御両人のお話を承りますと、もうすでに片づきかけておるのだというようなお話でありまして、その真偽のほどを判断する材料に乏しいのでありますから、この事件が今後どのように発展するかという内容を見ました上でさらに質問をいたし、あるいは警告を発し、あるいはそれ以上の措置に出ることといたしまして、これをもつて私の質問を打切ります。
  16. 風早八十二

    風早委員 同僚福田委員質問に関連して、商工中金に現われた汚職事件について関係当局並びに豊田さんにお尋ねしたいと思います。読売新聞の今日の朝刊によりますと、商工中金の二百数十億円に上る融資の三分の一は不良貸付だ、こういうことがこの事件進展によつて明らかになつたと断言してあるわけです。さらにその内容としては、都内の某料亭で、この融資係長品川某が数回にわたつて饗応を受けたという事実も上つておる。さらに金品を収賄したということも書いてある。さらに毎日新聞によりますと、箱根で五十万円の豪遊ということも出ておるわけであります。これは相当断定的に、この検挙取調べの過程において出て来たという事案として出ておるわけであります。こういう具体的な不正事実についてこれを認められますか、その点をひとつ明確にしていただきたい。
  17. 豊田雅孝

    豊田参考人 その点につきましては、すでに福田さんからお尋ねがありましたので、触れたと思つてはおるのでありますが、この品川につきましては、ただいままだ留置をいたされておりますのではつきりしたことはわからないのでありますけれども情報によりますると、盆暮れ商品券を受取つた。それから先ほど申しましたように、ささやかな建増しをいたしますにつきましての建築材をとつておる。しかしこれは代金は支払つたので、受領証もあるということになつておりますが、その点だけであります。それから饗応の点につきましては、まだ情報がはつきりいたしておらないのであります。ただ箱根の問題につきましては、これは先ほど申しましたるごとく、営業部長が招かれたことは事実でありますが、他の役職員等がこれに招かれておるということはないのでありまして、その点どうか御了承願いたいと思います。
  18. 小笠公韶

    小笠政府委員 先ほどのお話の中の一点でありますが、貸出し総額の二百数十億という数字が出ておりますが、これは、現在貸出し総額は百七十億余であります。その三分の一が不良貸付だということが書いてあるようでありますが、その点は、先ほど豊田理事長からお話がありましたように、延滞も非常に少くなつて全体の六%の見当だ。こういうようなことから考えましてもそういう事実はないものと私は考えております。  それからもう一つの方の、品川某等のいろいろなお話につきましては、実は私も詳しいことは存じません。先ほど理事長からお話のあつたことを商工中金から伺つている。こういう程度で、それ以上のことは実は存じておりません。そういう事情でありますから、その方はあしからず御了承願います。
  19. 風早八十二

    風早委員 いやしくも新聞にこれだけのことが出て来るのに、監督官庁並びに当該の理事長が御存じないというのでははなはだ無責任ではないかと思う。われわれは、自由党の議員の提出するこの法案に関連して実は今日の緊急質問をやつているわけでありまして、昨日も、この商工金融について、今回の改正案は直接個々企業者に対しても貸付をやるという点に主眼が置かれてあるわけであるが、そのことは結局協同組合を通じての貸付ということでは十分に機能が発揮し得ない。つまり、今までの協同組合というものの機能には何か欠陥が出て来たのではないか、こういうことをわが党が質問したわけであります。これに対して、今委員長の席に着いておられる中村幸八委員は答弁に立たれまして、商工中金融資は非常にうまく行つている。何らそこに問題はないという御答弁があつたわけであるます。実はわれわれは商工中金のことを聞いているのではないのであつて商工中金については昨日はまだ疑問も何も持つていなかつたわけであります。ただそれから受けるところの借入れについて、協同組合が何か機能に欠けるところがあるのではないかということを聞いたのでありますが、それを感違いされたのかどうか、とにかく商工中金のことを答えられた。これは今日にしてみれば、冷静に見ましてもどうもいささか語るに落ちているという感じを持つのであります。大体われわれは、これが中村委員なりあるいは小金委員長なりの提案にかかる法案であるというところから、本来これに非常に信用を置いておつたわけであります。しかしながら今日はしなくもこういう事実が出て来て、しかもこれを否定されるのではなく、よくわからないと言う。そういう無責任なる御答弁とあつては、これは非常に問題が出て来たのではないかと考えられる。大体不良貸付というのは、結局裏返せばそれは信用のある手形を実際にかたにして貸しておるかどうかという問題よりも、むしろその反面に非常な贈収賄の事実をもつて裏づけられておる貸付である、こういうことであると考えるのであります。従つてこの不正融資というものが、とにかく新聞におきましても、三分の一はないと言われますが、相当多額に上つておるということになれば、これはいかにこの法案を改正してみたところでどうにもなるものではない。しかも今度の法案におきまして直接個々企業者貸付が行われるということになりますと全体の融資わくがきまつておる関係からして、これらの人たちがむしろ優先的に融資を受ける、そうしますと他の小企業者個々については、かえつて逆に非常に不便が生じて来やしないか、こういう問題があるのでありまして、そういう点についても非常に疑義を持つておつたわけです。ところがこうやつて企業者の側において、すでに不正融資の事実が出て来ておるということになりますと、ますますわれわれのこの疑問点を深めることになりはしないかと思うのです。そういう点で、われわれもできるだけこの法案に賛成したいという立場で実は質問しておるわけでありますが、もう少し責任のある、また納得の行くような御答弁がなければならぬと思いますが、これについて、これはさしずめ提案者である諸賢から御答弁を煩したいと思います。
  20. 中村幸八

    中村委員長代理 ただいままだ商工組合中央金庫法を議題としておりませんから答弁の要はないと思いますが、提案者の一人として参考までに風早君にお答えいたします。  けさの新聞に出ておりました記事につきましては、まだ刑事訴追中でありまして、はたして犯罪事案があるのかないのかということは、われわれとしてはまだ断定できない。従つて先ほど来中小企業庁の長官、あるいは中金理事長からいろいろ説明がありましたことが、まだはつきりしないようでありますが、これは当然ではないかと思います。  なお中金の業務がはなはだ乱れていやしないかということにつきましては、両人から説明がありましたように、あまり延滞もないような説明でありまして、不良貸しというような問題も認められないように考えられます。さらに中金法の改正案内容につきましては、今後組合員にまで取引の対象を拡張するということになりましても、これは昨日私から御説明申し上げましたように、今後中金法四十四條の、主務大臣の監督命令によりまして、一定の基準を示し、その基準に従つて貸付をするということになります。たとえば組合員に対しましては、一定限度以下の金額しか貸すことができないとか、あるいはまた中小企業信用保険法の保険につけてあるとか、あるいはまた信用保証協会の保証がついておるとか、こういうような確実なる者に限つて貸出しをする、あるいはまた組合の結果を乱さないように、組合員に貸出しする場合には、組合の承諾を得てから貸出しをする、こういうような相当厳重な制限を付することになつておりますので、今後組合員にまで貸付対象を拡張いたしましても、御心配のないように十分われわれとしては政府をして、あるいはまた中金をして取扱わさせたい、かように考えております。
  21. 山手滿男

    ○山手委員 今御答弁がありましたが、一点だけ私お伺いしておきたいと思います。さつき問題になつておりました品川という人は係長でもないし、一係員にすぎないというふうなお話でございました。私どもいろいろ承つておるところによりますと、各地で相当な融資の申込みがありましても、係員なんかに相当手を尽して説明をいたしましても、すぐ上の段階に、またその上の段階にというふうに、地方ではなかなか借入れられないのが、商工中金から融資を受ける実態であると思う。ところが今度問題になつたのが、今豊田さんからお話なつたところによりますと、係長でもないのに、それだけの収賄をし、あるいはまた莫大な饗応を受けて、一億何千万円というものを独断専行的に、その組織の上から見ても、よくそういうところで動かして融資を完了さすということは、ちよつと常識的には考えられない。そうしますと、やはりこれは相当根の深いものがある。たつた一人の一係員だけに、それだけに、それだけ莫大なものを饗応したりなんかいだしまして、それですぐ一億何千万円というふうな相当の融資が動いて行くということは、常識上からも考えられない。普通地方における融資の実態から見ますると、とうてい私どもはこれを了解することはできないのでありますが、さつきの豊田さんのお話の、たつた一係員のような者が、そういう饗応を受けるということは、商工中金の中の組織あるいはそのいろいろな面において欠陥があるのではないか あるいはまた変なわだかまりがあるのではないかという気がするのでありますが、その点について詳細なる御答弁を願いたいと思います。
  22. 豊田雅孝

    豊田参考人 今回の新聞に出ております組合に対します融資は、全然これは不正融資ではないのであります。これはだんだん調べがはつきりして来れば、私は明瞭になると思うのでありますが、先ほども最初に申し上げましたるごとく、組合としては非常に優秀組合事業内容もよほどしつかりした組合でありまして、当然貸出し得る線のものでありまして、従つて回収なども時期々々に確実に行つているものであります。しかもその品川という職員に関しましてのことも、ただいままでわかつておりますところでは、請託関係等から物を受取つておるというのではないのであります。何らそこに請託関係はなかつたのだけれども、順調に行つておる謝礼の気持から出たものを受領しておるということが、ただいまわがつております。     〔中村委員長代理退席、委員長着席〕 そういう点につきましては、不正融資ではなく、請託関係ではないというふうに今の段階ではなつております。また事務の取扱い方でありますが、係の者が一存で一億なんという金はもちろんでありますけれども、かりに十万の金にいたしましても、決して係だけで行けるようなことにはなつておらないのであります。係が一応話を聞くことはありますけれども、これも私の方では店舗長中心主義でやつておるのでありまして、本店では営業部長、地方では支店長、出張所長、これにまずお話を直接に聞くように、そうしてその結果、下の係にまわして事務的に事を処理して行く、それが順次店舗長あるいは営業部長の補佐の者の手にかかりまして再検討し、そこで営業部長なり店舗長がまた責任を持つて再検討いたしまして判を押す。相当の金額のものになりますと、別に審査部というものがありまして、これは全部その審査部でまた一係から次長、部長を経まして、その後理事か副理事長が私の方へまわして来るというようなことになつておるのでありまして、そういう点から見ますると、かようなことが起きておる。そこの関係というものは実際私どもはふしぎでならないくらいに思つている。その点ひとつ御了承願います。
  23. 小金義照

    小金委員長 以上で緊急質問は終りました。ただいま緊急質問に出ましたように、商工組合中央金庫の運営上間違いが起つた、または起つたかどうかはわかりませんが、起つたという新聞記事もありましたので、この際商工中金法の四十四條の「主務大臣必要アリト認ムルトキハ商工組合中央金庫貸付手形ノ割引又ハ保証二付其ノ金額又ハ方法ヲ制限スルコトヲ得」、この規定に関連して提案者と政府当局と打合せたところがございますから、それを中小企業庁長官から説明していただきます。
  24. 小笠公韶

    小笠政府委員 今回の改正案に関連いたしまして、非常に御心配になられる点は、一つ組合の団結を弱めはせぬかということが一つ、もう一つはごく一部の人に片寄つた貸付が行われはせぬかということが心配になる点だと思います。そういうふうな点につきまして、今委員長お話のように、四十四條に基きまして監督命令を施行と同時に出す予定であります。監督命令の内容といたしましてただいま考えております点は、第一はまず一人当り、一企業当りの貸付額の限度の問題であります。第二は貸付と同じように為替の問題も限度をきめて行きたいと考えております。  第二点といたしまして、どういうふうな用途を優先させるかという順位を規定いたしたいと考えております。  第三点といたしましては期限、これは設備資金と運転資金によつてつて参りますが、期限も規定いたしたいというふうに考えておるのであります。そのほか担保あるいは担保に準ずるものとしての信用保険あるいは信用保証協会の保証の問題、これを條件にすることはむずかしいのでありますが、必要に応じましては、そんなふうなことも考えて貸付條件というものもある程度考えて参りたい、そういたしますことによりまして、先ほど御心配になつておりまする二点が起らないようにいたしたい、かように考えております。
  25. 小金義照

    小金委員長 それではこれより商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては昨日質疑を終了いたしておりますので、本日はこれから討論に入ります。討論は通告の順に従つてこれを許します。南好雄君。
  26. 南好雄

    ○南委員 ただいま議題と相なつておりまする商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について、自由党を代表して簡単ではありまするが、以下賛成討論をいたしたいと思います。  中小企業のわが産業界における地位と申しまするのは、申し上げるまでもなく重要なものでありまするし、またこれが活動に必要である資金金融制度につきましても、刻下の最も急務でありますので、先国会におきましても、中小企業信用保険法等をつくつて中小企業金融梗塞につきまして、あらゆる観点からその打開に努めて参つたことは皆様御承知の通りであります。がしかし、その上においても、この年末を控えまして、中小企業協同組合の系統金融機関と相なつておりまする商工組合中央金庫法を、なるべく活動しやすいようにいたしたいというのが本法案提出した主目的であります。大体本法案が通りますれば、商工組合中央金庫もその活動において遺憾なきを期することができまするが、ここで問題になりまするのは、法律が改正されてもその法律を動かして行く資金源の問題であります。先日来関係当局の答弁をお伺いたしましても、十分納得できないものがあつたのでありますが、今後この法律が通過いたしまして、なおかつ関係当局の熱心なる御協力によりまして、中小企業協同組合が産業界に占めまする役割を十分に果し得られまするよう、その資金源の充足に十分御協力願いますることを條件といたしまして、私は本法案について賛成を申し上げる次第であります。
  27. 小金義照

  28. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 ただいま議題となりました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、国民民主党を代表し二、三の希望を付しまして賛成したいと思うのであります。   一、現在商工中金は官僚的な点が非常にあると見受けられるのであります。本改正案施行とともにこうした空気を一掃してもらいたい。   二、国民金融公庫は手続、調査等に早急に事務的処理を行われるといいまするが、これに反しまして一方中金は、非常にいろいろ手間取る、こうした点の事務簡素化をはかられたい。   三、政府においてはこのたびの議員提出法案を有効適切に運用していただきたい。ことに年末を控え、別途中小企業対策を樹立していただきたい。  右三点について即刻実行に移されんことを要望いたしまして、私の討論を終る次第であります。
  29. 小金義照

    小金委員長 次は今澄君。
  30. 今澄勇

    今澄委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本法律案に賛意を表します。  中小企業協同組合法によつて組織化せられつつある現在の中小企業者の一番大きな悩みは、何といつてもその組織の裏づけをなすところの金融の確立にまたなければなりません。そこで私は商工組合中央金庫法の改正によつて、これらの中小業者の今日の金融的な問題を打開し、あわせて将来の協同化あるいは近代化の基礎をつちかうということは、非常に意義のあることだと思うわけでございます。ただ問題は商工組合中央金庫が現在持つているところのその性格の士にもつと民主的な新しい要素を取入れ、これが民主的に運営されるという面について、将来にわたつて敢行されんことを希望する次第であります。なお中小企業金融をいたしておりまする、コマーシャル・ベースに乗つた信用金庫であるとか、あるいは信用協同組合であるとか、あるいは相互銀行のごとく、同じく預金を吸収しつつあるところと、これらの商工中金との関係においても、一連の中小企業金融体系を整備して、この商工組合中央金庫がこれらの中小企業金融機関の中に占める地位を明確にし、かつその権限を与えて運営せらるべきようになれば、中小企業関係資金吸収面の混乱が救われるので、この点を希望として申し述べておきます。
  31. 小金義照

    小金委員長 次は風早八十二君。
  32. 風早八十二

    風早委員 私は日本共産党を代表して、本法案に対して條件を付して賛成の意を表するものであります。  この法案のねらいとするところは、すでに明らかなように、個々企業者にもその融資を直接やるという点にあると思うのでありますが、今中小の企業者が明けても暮れても融資の問題で悩んでおるという現状からして、この点は文字通りにこれが行われるならば、きわめてこれは有意義であると考えるのであります。しかしながら他面において、なぜ中小企業協同組合に参加するかといえば、やはりこの企兼協同組合の力にたよつて、それによつてこの融資の道を開かんとする点にあるのでありまして、中小企業協同組合そのものの発達が、今度のこの改正によつて少しでもゆるめられては何にもならない。そういう点で多少ここに問題が生ずるのでありまして、その点で先ほど関係当局からもいろいろとそれを阻止するために、つまり組合の団結を弱めない、あるいはまた一部の者に貸付の偏在が行われない、こういう点について適当な措置を講ずるということでありますので、この点は一応了承したいと思います。  ただ條件と申しますのは、たとえばその中で用途の優先、用途の順位をきめられるというふうな場合におきまして、結局大企業の下に請け、ことに軍事的な用途にこの貸付が優先されるという傾向がすでにあるのでありまして、そういうことではなく、これはあくまでその手形の、つまりその担保の確実性という経済的な面から公平に扱つてもらう。多数の中小企業者は、何といつてもやはり雑多な平和産業です。そういう平和産水にさつぱり金が行かないということでは、これは大きな災いを残すということになると思うのでありますから、そういう点で用途の優先といわれる点は最も厳重に考えていただきたい。これは強く要望したい点であります。  さらに最後に、今日新聞にも出ましたように、商工中金のものの融資に多大の不正がある、不良貸付が多い、こういうようなことがとにかく新聞にでかでかと出るような状態では、これは元も子もない問題でありまして、こういう点についてはさらに監督を厳重にされ、またその当該商工中金の当事者も厳重にこの点は自粛するということを強く要望したいと思うのであります。  これらの要望並びに條件を付して、私は日本共産党を代表して本案に賛成の意を表する次第であります。
  33. 小金義照

    小金委員長 以上をもつて討論は終りました。引続いて採決を行います。  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに御異議は、ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は全会一致をもつて原案通り可決いたしました。  なお委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。本件につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それでは御一任願つたものと決します。
  36. 小金義照

    小金委員長 次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、去る十三日提案理由の説明を聴取いたしましたので、本日より質疑に入ります。質疑は通告の順によつてこれを許します。南好雄君。
  37. 南好雄

    ○南委員 ただいま議題となつております中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に関しまして、二、三御質問申し上げたいと思います。  先ほど本委員会を通過いたしました商工中金法の一部改正、これと相まつて、現下の中小企業金融梗塞の状態を打開するために、中小企業信用保険法の改正がぜひとも必要だとわれわれも考えておるのでありますが、この中小企業信用保険の利用状態が一体現在どういうふうになつておるか。巷間、法律はできたが利用があまり活発でないというようなことも聞くのでありますが、その理由を完全に払拭するように必要な條項を本法律案改正に盛つてあるかどうかをまずお答え願いたいと思うのであります。
  38. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。中小企業信用保険法が昨年の十二月の十五日から施行せられまして、今日までのところこれが活用の跡を見ますと、遺憾ながら十分であるとは申し上げられないのであります。十月までに約二十七億円が保険にかけられておるという数字でありまして、予定の大体四分の一というふうな程度の利用率であるわけであります。  なおお尋ねの第二点の、信用保険法の活用をよりよくして行くというために必要な方途を全部この改正法案に盛つてあるか、こういうお話でありますが、なお検討を要する点が若干あるのでありまして、検討の余地をあとに残しておるので、特に最近一企業あたり三百万円、こういうところに大分問題がありますので、その点を改正する。爾余の点につきましては、なお検討の上改正をお願いするということにいたしたいと考えておるわけであります。
  39. 南好雄

    ○南委員 ただいまのお答えでは、中小企業金融を側面から助けて行く上において、本法律の改正がまだ十分政府においても自信がないというようにも受取れたのであります。せつかく努力していただきますようにお願いいたしますが、この程度で一体金融機関を相手方とする保険制度の利用が活発になるかどうか。何で一体これがそういう四分の一、二十七億程度の利用にしかすぎないのかどうか。そこの理由をもし調査してあるならばお聞かせ願いたいと思うのであります。
  40. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。信用保険制度の活用が思うようでないという理由は、いろいろあると思うのであります。一つは、制度がまだ十分に習熟されていないということが一つであります。  それから基本的に問題になりますのは、この制度金融機関の自己資金を貸し出す場合に保険にかけるということになつておりますので、金融機関に長期の資金が少いということが、何と申しましても基本的に問題になると思うのであります。この点につきましては、いわゆる金融機関に長期資金を流してやるという制度を別途どうしても講じて行かないと解決されない問題だと思うのでありまして、せつかくその方向に努力をいたしておるわけであります。  第三点といたしましては、法文の上におきまして、あるいは若干のぎこちない点があるというようなことから利用がはばまれていると思うのでありますが、要するに今申し上げた二点が一応中心的な原因であると私は考えておるわけであります。
  41. 南好雄

    ○南委員 そこで私つつ込んでお伺いしたいのでありますが、自分が金を貸す。なるほど金融機関の面子の上において、あぶないものに金を貸すということを非常に危険視するのも当然でありますし、またあまり再保険でしよつちゆう国に保証させるというようでも、金融機関としてどうかというような問題も起きて来るという点でなかなかかけないのか、あるいは貸出し利率が保険料率を含むために、高くなるので、利用する人が少いのか、そういう点ももしお調べであつたら御返事願いたい。さらに進んで一体中小企業金融をほんとうに十分にやつて行くというときには、今のいわゆる保証額の七五%というのは大体低過ぎるのじやないか。結局金融機関が金を貸すときに、これが焦げつくかどうかという点を心配して踏み切らないものに、この制度を利用することによつて踏み切らすというのが本法制定のほんとうの目的ではなかろうかと思う。それにもし踏み切らぬ場合、焦げついた場合にはお前も二五%損せいというようなやり方では、画竜点睛を欠くような気もするのであります。いろいろな事情があつて、七五%を増すということができなかつたのだろうと思いますが、どうして一体七五%にとどまつておるのか、その間の事情もあわせてひとつお答え願いたいと思います。
  42. 小笠公韶

    小笠政府委員 保険率を七五%にいたしておるのでありますが、これを引上げる問題でありますが、引上げなければいけない、引上げた方がいいという考え方を私どもつておるのであります。しかしこれはどの程度まで引上げて行くのがいいかということを考えてみますると、まだ研究の余地があるのでありまして、今回の改正までに結論を得なかつた、こういうような事情にあるのであります。従いまして結論が出次第に上げたいという希望を私は実は持つているわけであります。  それから第二点の保険料率の問題でありまするが、年三分以内ということで今日三分をちよつと下まわつたところをとつているのでありますが、この年三分の保険料が高いから利用をこばんでおるというふうなことは私は比較的少いのじやないかと思つておるのであります。先ほど申し上げましたような長期賢金を保険するというところに問題の焦点があるのではないかと私は思つている次第でございます。
  43. 南好雄

    ○南委員 確かに私の記憶ではこの中小企業に対する国の再保証制度の実績が今の通産省に残つておるはずと思います。たしか私の記憶では、五億くらいの再保証をやつて、実際保証金額はわずかに五十万円程度であつたように記憶するのであります。結局これはその金額保証であつても、本法制定の際にもこの点を御質疑申し上げたのでありまするが、さして個々の負担なりそういうものは増大せぬと思うのであります。もちろん長期の金を用意して資金源を十分にしてやるということは、これは当然でありますが、中小企業金融にもし万一焦げついた場合に、二割五分も金融機関の負担にするという根本的な考え方が非常に私解しかねるのでありまして、この点一日もすみやかに資料を整備し、調査を遂げられまして、本来の趣旨の通り全額保証をするという方針に改正されんことをお願い申し上げるのであります。  次に金融機関の保証と相並んで、信用保証協会の概略を少し御説明をお願いしたいと思います。
  44. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。今回の改正法案の主要点は、国家が信用保証協会の保証を再保証するというところに実はあるのであります。信用保証協会は現在五十ございます。信用保証協会が保証しておる残高は約百二十四、五億でございます。従来やつて参りまして、保証をやつた額になりますと、三百数十億というふうなことに相なつておるのであります。それでこの保証協会の現在の形は、昭和十二年に、東京府でいわゆる信用保証協会というものができましてから今日まで各地にできて、戦後の中小企業金融に大きな役割を演じておるのでございます。今日この五十の信用保証協会は、大体財団法人の組織によつておるのであります。そのうち三十九が財団法人で、十一が社団法人というような形に相なつておるようであります。この保証協会の活動の基礎は、大体都道府県あるいは大きな市というところの財政支出を基礎にして動いておるのでありまして、今日までのところ、全保証協会五十の出資金のうち、出資金あるいは基本財産と申しまするか、そういうようなもののうち九〇%余というものが都道府県その他の公共団体から出された金によつてまかなわれておるのであります。今日までのところ、各保証協会におきましては、大体保証基金の十倍見当というものを目安にして債務の保証をいたしておるようであります。一件当りの金額につきましては、大体多くの府県は五十万円から百万円というところを頭にいたしておるようであります。ただ東京、大阪につきましては、五百万円が一件当りの最高に相なつておるようでございます。期限につきましては大体二箇月ないし三箇月の短期融資を中心にいたしておるようであります。例外といたしまして北海道の信用保証協会のように、設備の資金としてのものは約二年というものもございますが、大体短期融資を中心にいたしておるようでございます。この間におきまして、いわゆる保証協会が、いわゆる債務者が金融機関に対して支払わなかつたために、一定期間が過ぎまして支払いました。パーセンテージになりますと、大体三%半くらい、四%を切つておるというのが最近の実情でございます。これも代位弁済いたしましてから、あとで信用保証協会と債務者の間で割賦弁済その他の方法によつて回収をいたしておるようでありまするが、大体そういうふうな危険を出しておる、こういうふうな状況でございます。この信用保証協会は、今申し上げましたような全額で動いておりまして、保証残高が百二十数億ということになりますると、相当多くの中小企業金融に役立つておる。先ほどお話のように、これによつて踏み切らしておるということが言えるのでありますが、最近この保証協会の利用希望というものが非常に多いのでございます。ところが実際問題として、各保証協会には審議会というようなものがありまして、そこでふるい落しをするというか、選択をいたすことになつております。それは先ほど申し上げましたように、各都道府県の財政的負担の限度がございますので、わくが大体きまつて来ておる。こういうような状況で、一方希望はふえてもわくがきまつて来ておるという状況になつているから、そういうことになるのであります。言葉をかえて申しますと、保証協会の活動限度というものが、大体極限と言うと語弊がありますが、相当程度行詰まつて来て、こういうようなところまで参つておるわけであります。そこでこれに対しまして政府が再保証ををしろ、こういう要請が昨年来強いのであります。これは横道に入ると思うのでありますが、両三年来、保証協会を立法化いたしまして、保証協会法というふうなものをつくりまして、それを中心にして、それに国家が損失補償をする、こういうふうな体系を考えたことがあるのでありますが、またごく最近におきましても考えたのでありますが、いろいろ事情で立法化がむずかしいということになつたのでございます。ところが今申し上げましたように、国が信用保証協会の活動を助けてやるという必要は日々に強くなつて参りますので、今回新しく中小企業信用保険法の改正をいたしまして、ここにいわゆる責任保険という観念をもちまして、信用保証協会の保証債務を保険にかけるということを新しく考えまして、この提案に及んだ次第であります。保証協会の大体の活動事情、それからこの信用保険法によつて保証協会が再保証をしようということに至りました経緯は、以上の通りでございます。
  45. 南好雄

    ○南委員 ただいまのお答えによつて金融機関に対する保証は七十五、それから信用保証協会の保証に対しては五十というような、その差別ができた気持もわかるのであります。しかし私は、信用保証協会というものは都道府県が管掌してできておることもつとに承知しておるのでありますが、御承知の通り都道府県管掌の信用保証協会には、とかく政治的な関係が入りやすい。そこでいろいろの弊害もあるやに聞いておるのであります。もつとはつきり申し上げますならば、保証協会へ申し込んでも聞いてくれる人と聞いてくれぬ人がおのずから色わけになる、こういう非難も頻々と聞くのであります。ただいま小笠君より、信用保証協会の法制化はいろいろむずかしい点があつたというお話でございましたが、こういうような弊害があるという声を聞かない意味におきましても、信用保証協会をもう少し整備する上におきましても、一刻も早く保証協会の法制化が必要ではないかと思うのであります。ここに大蔵当局の出席がないので、いかなる理由によつて法制化ができないのか、つつ込んでお聞きすることもできないのでありますが、ぜひともこの機会において、単にいろいろの事情から信用保証協会を法制化する時期でないというようなあいまいな御答弁でなくて、これは一刻も早くやつてもらつて、そうして今問題になつておりまする中小企業金融梗塞を全面的に打開するあらゆる方法を講じてやる必要があるのではないか、こういうふうに思うのであります。あまり私ばかり御質問申し上げてもどうかと思うので、私の質疑はこの程度で打切りますが、いずれもう一度大蔵当局にも出ていただいて、信用保証協会の法制化について、大蔵省の意見を聞くことを留保いたしまして、きようは私の質疑をこの程度で終ります。
  46. 小笠公韶

    小笠政府委員 ただいまの保証協会の法制化の問題でありますが、大蔵省よりも私からお答えいたした方がよいかと思います。実は三年ほど前でありまするが、私が振興局長をやつておつた当時に、事務的に大蔵、通産両省の共管案として案をつくりまして、政府部内の意見を大体まとめて司令部との折衝に移つたのであります。私は数箇月を費していろいろやつたのでありますが、遂に話が妥結に至らなかつたのであります。理由は、いわゆる信用保証協会というふうな考え方を、特に都道府県という地方公共団体を中心にやることはおかしい。いわゆる相互組織としてのみ考えるならばというところに、実際上の問題の開きが出て参るのであります。そのほかにも理由があつたのでありますが、日本の現在の実際の情勢を織り込んだ立法ができながつたというのが当時の事情であります。その後昨年の夏ごろでありまするが、同じように信用保証協会の立法問題を再び問題にいたしまして、いろいろ交渉いたしたことがあつたのでありますが、遂に成功しなかつたのであります。本中小企業信用保険法によつて、信用保証協会の国家による再保証の実を上げるということに考えつく前に、本年の八、九月のころでありまするが、私はさらにもう一度その問題について当つたのであります。しかし実際問題として、この信用保証協会の法制化というものは、なかなか話ができなかつたという状況であるのでありまして、信用保証協会の法制化に関しましては、以上申し上げましたような事情で、もつぱらその筋との交渉は私が当つてつたのであります。そういうふうな事情から、ここで経済的にどうしても信用保証協会の機能の拡充という見地からこういうふうな制度で経済的な実を上げたいということで、本改正業になつた次第でございます。簡単でありまするが、経過だけを御報告申し上げます。なおそれかと申しまして、すなおな制度としましては、お話のような点は重々承知いたしております。なおこの制度によりまする場合に問題になりますのは、信用保証協会に対する監督権限が弱い、いわゆる民法に基く監督権限では弱過ぎはせぬか、こういうところに重点があると思うのであります。この点につきましては、信用保険法の監督命令、民法に基く監督命令、両者を併用しまして、できるだけこの運用に遺憾のないようにいたしたい、こう考えておるわけであります。
  47. 小金義照

    小金委員長 それでは本日はこの程度にいたして散会いたします。次会は明十六日午後一時よりと予定いたしておきます。     午後四時十分散会