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1951-11-08 第12回国会 衆議院 通商産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月八日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 高木吉之助君 理事 中村 幸八君       高橋清治郎君 理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       永井 要造君    中村 純一君       山手 滿男君    加藤 鐐造君       柄澤登志子君  出席政府委員         公益事業委員会         委員     松永安左エ門君         総理府事務官         (公益事業委員         会事務総長)  松田 太郎君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         資源庁長官   始関 伊平君         労働事務官         (労政局長)  賀来才二郎君         経済安定事務官         (産業局長)  近藤 止文君  委員外出席者         通商産業技官         (通商化学局         化学肥料部長) 柿手 操六君         専  門  員 谷崎  明君 十一月八日  委員中西伊之助君辞任につき、その補欠として  柄澤とし子君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月七日  輸出信用保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二二号) 十月三十日  電気事業による公納金増額並びに保証年限延長  の請願岩本信行紹介)(第五一五号)  輸出球根貿易調整品目等に指定の請願(遠藤  三郎君紹介)(第五七二号) 十一月二日  水火力調整金制度撤廃等請願植原悦二郎君  紹介)(第六〇六号)  積算電力購入資金として見返資金融資等に関  する請願(多武良哲三紹介)(第六〇七号)  工業技術庁陶磁器試験所廃止反対請願(大石  ヨシエ君紹介)(第六四八号) の審査を本委員会に付託された。 十一月一日  中小企業金融対策に関する陳情書  (第四〇八号)  電気需給調整規則改訂に関する陳情書  (第四〇九号)  事務用機器輸入割当確保に関する陳情書  (第四一一号)  東北興業株式会社に対する水力発電事業実施促  進に関する陳情書  (第四一七号) 十一月六日  若狭地方電力所属変更に関する陳情書  (第四七〇号)  度量衡事務諸手数料の收入を地方庁へ委譲の陳  情書(第五  一〇号) 十一月八日  電力危機打開に関する陳情書  (第六〇四号)  電力不足対策に関する陳情書  (第六〇五号)  電源開発等に関する陳情書  (第六〇六号)  中小企業資金拡大強化に関する陳情書  (第六〇七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  天然ガス開発促進に関する件  化学肥料に関する件  炭鉱ストライキに関する件     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。
  3. 中村幸八

    中村(幸)委員 私はこの際天然ガス開発促進に関する決議を本委員会意思として採択せられんことの動議提出いたします。以下その提案の理由を申し述べたいと存じます。  まず決議案を朗読いたします。   天然ガス開発促進に関する決議案   本委員会は、去る第七回国会において、熱や動力の源泉であり、有機合成の主原料でもある天然ガス緊急開発するため、探鉱調査費国庫補助その他一連助成措置政府に要望した。   しかるにその後未だ所期のごとき進展を見るに至つていない。よつて、その重要性に鑑み、茲に重ねて、天然ガス資源探鉱開発促進に関する強力な施策、特に   一、賦存状態を確認するための試錐補助金増額   二、開発促進並びに合理化をはかるため新式さく井機輸入奨励関税撤廃並びに補助金交付   三、法人税法第六条の適用による法人税の免除   四、設備資金に関する日本開発銀行融資彰旋等措置について政府の善処を要望する。  右決議する。  天然ガスが家庭や工場の燃料として、また動力用として、さらにアセチレン・ガスを通じて塩化ビニール、醋酸ビニール、その他の有機合成方面にも広汎な、かつ重要な用途を持つていることはいまさらここに喋々を要上ないことと存じます。  わが国天然ガス資源は、その調査はいまだすこぶる不十分ではありますが、現在判明しているだけでも、その埋蔵量は約千三百億立方メートルあるものと推定せられているのでありましで、現下、電力並びに石炭石油資源等実情考えてみまするときは、わが国天然ガス資源開発促進の要今日より大なるはないと痛感する次第であります。  本委員会は去る第七国会におきまして、天然ガス緊急開発に関する決議をいたしました。さらに同じく第七国会の本会議においてもこの決議満場一致をもつて可決せられたのであります。これに対しまして、当時の政府当局からは決議趣旨にはことごとく賛成である。ただこれを実施するためには多額の資金を要する。しかしこの方面に対しては極力今後努力しよう、こういう御所見の開陳があつたのであります。しかるにその後様子を見ておりますと、遺憾ながら必ずしも私どもが当初予期しておつたような措置がとられていないのであります。もとよりわが国の財政の現状より見まして、これらの資金供給その他には非常に大きな困難を伴うことがありますことは万万承知はしているのでありますが、今申し述べましたごとき重要かつ緊急性にかんがみまして、開発促進具体策としてこの際次の諸項目について政府当局の特別なる配慮をお願いしたいと思うのであります。  それはまず天然ガス賦存状態を確かめるための試錐補助金を増額して、探鉱調査を積極的に推進すること、開発速度を早め、かつ開発事業合理化をはかりますために、新式鑿井機輸入奨励上、補助金交付輸入関税撤廃等のごとき助成措置を講ずること、天然ガス事業基礎を確立し、事業の発展を容易ならしめるために、石油と同様に法人税法第六條を適用して、操業初期における法人税を免除すること、所要設備資金の調達に関し、日本開発銀行等融資につきまして積極的にあつせんすること、以上の四項目であります。何とぞ慎重御審議の上、満場一致をもつて御賛同あらんことを希望いたします。以上をもつて私の決議案に対する趣旨弁明を終ります。
  4. 小金義照

    小金委員長 ただいま中村幸委員より、天然ガス開発促進に関する決議を、本委員会意思表示たる決議として採択せられるよう動議提出がありました。これについてお諮りいたします。お手元に配付されてあります案文の通り天然ガス開発促進に関する決議を本委員会意思として決定し、これを大蔵、通商産業大臣、及び経済安定本部長官にそれぞれ送付いたしたいと存じますが御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではそのように決定いたします。なお関係当局への送付その他の手続等につきましては、前例により委員長に御一任を願つておきます。     —————————————
  6. 小金義照

    小金委員長 次に肥料に関する件について調査を進めます。
  7. 中村純一

    中村(純)委員 化学肥料増産確保促進いたしますることは、国内需要の面から見ましても、また最も好適な輸出品という面から見ましても、絶対に必要なことでありますることは、申し上げるまでもないことでございます。しかるに先般来の電力飢饉影響を受けまして、肥料生産相当に脅かされておるのではないか。かくては輸出計画の遂行が予定通りに可能であるかどうか、あるいはまた国内需要の面からも憂うべき問題が起つて来はしないか。かようなことが憂慮せられるような状況に立ち至つて参つたのであります。そこで本委員会工業に関する小委員会におきましては、一昨日小委員会を開催いたしまして、この問題に関しまする調査検討をいたしたのでございます。その結論をここに御報告を申し上げたいのであります。  肥料生産に関しまする当面唯一の隘路は、申し上げるまでもなく、この電力供給制限であるのでありましてこの乏しき電力供給の面において、肥料生産に要する電力供給を、できるだけ十分に確保することが絶対に必要なことであるのでありまするが、これに関しまする政府当局のとつておりまする現在の措置並びに方針といたしましては、大体以下申し上げるような状況になつておるのであります。  すなわちガス法によりまする硫安並びに過燐酸石灰に対しましては、石炭に対する電力供給と同様に、最優先的にこれを取扱うこと、また電解法による硫安並びに石灰窒素等につきましても、それぞれこれに準じた優先供給措置をとること、次に硫化鉱に対しましては、これを第二種需要者とみなしまして、特に松尾柵原鉱山に対しましては、第一種に準ずる取扱いをする、そのほかたとえば台風による河山硫化鉱山輸送道路修理等につきましても、特別の措置をとる等、一連対策を講じつつあることが明らかになつたのであります。その結果といたしまして、これらの措置予定通りに遂行せられまする場合におきましては、肥料生産予定数量に対しましても著しき影響はないであろう。予定通り国内需要を完全に充足し得るのみならず、輸出に関しましても、おおむね当初の計画を遂行し得るであろうという見通しが明らかになつたのであります。  以上が小委員会におきまする調査の結果でありまして、これを御報告申し上げまするとともに、今後政府当局は、以上のような方針並びに措置を十分に推進せられまして、肥料生産予定通り確保せられることを切望いたしまして、私の御報告にかえる次第であります。
  8. 小金義照

    小金委員長 ただいま工業に関する小委員長中村純一君より、去る六日の小委員会における審議経過報告がございました。  これから質疑に入りたいと存じます。今澄勇者
  9. 今澄勇

    今澄委員 ただいま工業に関する小委員長から報告がございましたが、私はこの際一点だけ質問をいたしておきたいと思います。公益事業委員会としては、ただいま小委員長報告した電力制限に対する割当については、肥料の第一種割当並びにただいまの硫化鉄に対する第二種割当柵原松尾に対する特別な申合せ等、これが誠実に運営されることを、この委員会において確約できるかどうか、責任者の方から御答弁を願いたい。  それからもう一つは、電力の特別な措置によつても、なおかつ肥料増産というものには危惧が感ぜられるかどうか、輸出の問題と並びあわせて一体通産省はどう考えておられるかという点について、柿手部長から見解をお述べ願いたいと思います。  なお肥料の第一種電力割当については、全般的な産業は四月、七月の平均の指数ということになつております。特に肥料を第一種とした理由は、この増産計画というものが、大きくそのバツク・アツプをなしているのであるから、肥料割当についての基礎資料としては特別な考慮がなされなければならないと考えております。これについての公益事業委員会見解もあわせて伺つておきたいと思います。時間がございませんから、一点だけ質問して終ります。
  10. 柿手操六

    柿手説明員 肥料につきましては、この八月から来年の七月までが肥料年度であります。その肥料年度につきましての計画並びに最近の八月以降十月までの経過を御報告いたしたいと思います。  今年の八月から来年の七月までの一箇年間の当初の肥料生産計画は、まず窒素肥料から申し上げますと、硫安石灰窒素合せまして、硫安に換算いたしまして、二百十四万四千トンであります。しかしながら肥料需要も非常に旺盛であります。農業生産等の見地からこの程度国内にまわしたいという考えでありますが、一方朝鮮、台湾、フイリピン等東南アジア地区からも非常に切実な要請がありますので、それに対しましても日本としてはぜひこたえて行かなければならぬというように考えております。九月中旬に窒素肥料生産をさらに年間を通じまして十五万トン増産するという計画を立てまして、それにはどうしても電力を増配するという措置が必要なのでありますが、こういう際は相当他の産業影響があるのでありますが、ある程度影響は覚悟の上で十五万トンの増産計画を立てまして、当初の二百十四万四千トンに十五万トンをプラスした二百二十九万四千トンという計画を立てたのであります。そういたしまして、八月から十月までの三箇月間の経過を見ますと、八、九月におきましては予定計画量に対しまして約一万一千トンの増産を見ておるのであります。十月は御承知のように、初め十月の中ころまでは非常な渇水でありまして、相当減産をしたのでありますが、中旬以後相当降雨がございまして、当初は相当減産を見るのではないかというように思つておりましたが、結局のところは硫安において約二万トンばかり、石灰窒素において一万トン、約三万トン余の減産にとどまつたのであります。そういうわけでありますから、八、九、十を通算してみますと、大体目下のところ二百二十九万四千トンの年間計画に対しまして三箇月の実績は約二万トンばかりの減産になつておるのであります。  今後の見通しでありますが、これは天候、降雨の問題にも関係しますので、百パーセントの確実さはないのでありますけれども、私どもといたしましては、国内農業に対する需要もぜひもらつて行かなければならぬと同時に、先ほど来申し上げますような東南アジア地区に対する切実な要求にもこたえなければならぬということから、当初の立てました計画はもちろん、増産計画につきましてもぜひともこれを遂行したい、かような考え方から、今まで結局二万トンばかりの減産はしておりますけれども、今後電力確保につきましては、万やむを得ないときに制限する場合におきましても、他の産業とは別に、制限率緩和するという措置公益事業委員会にも申し出まして、そういう方向協議を進めておるのであります。さようなわけでありますので、私どもといたしましては現在までのところ二百二十九万四千トンの計画に対しまして、二万トンの減産はしておりますけれども、今後あらゆる手を使いまして、ぜひとも計画量を達成いたしたいというふうに考えるのであります。燐酸肥料につきましては当初百五十万トンというふうな計画を立てたのでありますが、これまた非常な要請があつたので、燐鉱の輸入資金も約六万トンの増加を計画いたしました。十万トンの輸出余力ができるように諸般の手当をいたしておるのであります。現在までのところ燐酸肥料電力制限下におきましても、所要量は非常に少いのであります。非常なくふうをいたしまして、八、九、十は大体所定の計画を遂行いたしまして、幾分、数千トンは増産して参るというような実情になつておるのであります。窒素肥料燐酸肥料とも計画通りぜひとも遂行いたしたいというような考え方をもちまして努力をいたしておるわけであります。
  11. 松永安左エ門

    松永政府委員 ただいま肥料関係において電力優先的割当についてどういう考えを持つておるかという御質問のようでありますが、その点をお答えしておきたいと思います。電力制限をいたしますについても、国民の最も緊急を要し、重要なりとする面につきましては、需用制限の段階を一種、二種、三種という需用の性質にわけまして、これをもつて優先的に割当てる産業をきめたのでありまするが、この点について経済安定本部通産省等方面と十分の連絡をとり、お考えを織込みまして御質問に対する化学肥料につきましては、ことにガス硫安、過燐酸石灰等につきましては、第一種需用として供給を優先的にするように決定したいと思つております。ただいまのところ客観上の御意向とも一致すると考えておりますので、近くその筋とも相談して、告示、指令の形で公益委員会より発表する考えになつております。さよう御承知願います。
  12. 今澄勇

    今澄委員 ただいまの松永委員長代理の概括的な説明を了としますが、あわせて、ちようど事務局長が見えておられますから、松田さんから、硫化鉱に対する第二種の設定を大体なされておるが、松尾柵原等に対する特別措置等については考慮されるお見込みがあるかどうか。なお肥料電力割当について、四—七の増産計画基礎とした基準について含みある御措置がとられるかどうかということについて御説明を願いたい。
  13. 松田太郎

    松田政府委員 第一の御質問の、硫化鉱、特に松尾柵原、両鉱山に対する御質問でありますが、ただいま委員長代理から申し上げましたように、肥料、なかんずくガス法及び過燐酸石灰原料とする化学肥料等につきましては、経済安定本部通産省と十分協議いたしまして需給調整、言いかえれば使用制限をいたします場合にも、第一種需要として最も高度に緩和をはかつて行く業種にいたしております。当然それに伴いましてその原料である硫化鉱の問題につきましても、並行してこれの増産をはかり得るようにしなければならぬという御要望が各方面からも非常に強いので、委員会としましても、最近の電力事情から、本来であれば豊水期にこういう措置を講ずべきでありますけれども、あらゆる面からの強い要請によりまして、ただいま申し上げましたような措置を講じます以上、硫化鉱につきましても、第一種需用に準ずる措置といたしまして第二種需用として硫化鉱鉱山に対する使用緩和措置考えておるのであります。  なお特定の鉱山に対していかなる特別措置を講ずるかという点につきましては、今申しましたように全般的に硫化鉱については第二種需用として緩和したいと考えておりますが、その地区地区情勢等によりまして、また出水の状況その他の観点から、ある程度さらに緩和し得るような状態になれば、もちろんそういうような点につきましては十分関係方面とも相談いたしまして、万全の措置を講じて参りたいと考えております。  第二の問題といたしまして、肥料に対する電力割当の問題についてお話がございましたが、私の方といたしましては、全体に対する供給力をふやすことが先決問題でありまして、その点につきましては、ただいま石炭確保の問題について、安本通産省ともいろいろ御協議を願い、あらゆる努力を講じていただいて、下期に四百七十万トン程度石炭を入れて、火力発電フル運転をしたい。そういう措置並びに各地区間の必要に応じての融通措置を講じまして、できるだけ供給力の増強をはかりたいと考えております。  なおその中で肥料関係電力は、おおむね三千キロワツト以上の需用者でありますので、その中でどういう優先順位を与えて、肥料なら肥料増産をはかつて行くかということにつきましては、結局経済安定本部の方でその点は十分御検討になることであります。またその結果に対しましては、大体公益事業委員会としましては、その線に沿つて割当てをいたしまして、各支局の方へ命じて遺憾なき措置を講じて参りたい、かように考えておる次第であります。
  14. 小金義照

    小金委員長 ほかに御質問はございますんか。——それではこの問題につきましてはこの程度にいたしておきます。     —————————————
  15. 小金義照

    小金委員長 次に昨今問題となつておりまする炭鉱ストライキについて調査を進めたいと存じます。首藤通産政務次官
  16. 首藤新八

    首藤政府委員 石炭ストライキは、当面の非常な重大問題と相なつておりますることは御承知通りであります。通産省並びに労働省、安本その他関係各省ともこれが解決のためにあらゆる努力を払つておるのでありまするが、一応今日までの経過について、その概略を御報告申し上げて御参考に資したいと考えます。  今次のストライキの根源は、十月からの新賃金協定を九月から始めておつたのであります。爾来炭鉱側労働者側の間に幾たびか折衝が続けられたのでありまするが、どうしても解決の曙光が認められないということから、途中から中労委があつせんに乗り出して、そうしてその後炭鉱業者の方から、一次案として千三百円の案を出したのであります。しかしこれも拒否されたので、さらに進んで第二次案を千五百円として提案いたしたのでありまするが、これも労働組合から拒否されたのであります。そうして十月三十一日を期しまして、大手八社、九州六社がそれぞれストライキに入つたのでありまするが、このストライキの内容は、大手八社は四十八時間、九州六社は無期限スト、こういう形でストライキに入つたのであります。本月の四日に至りまして、中労委事態重要性にかんがみましていよいよ本腰に調停に乗り出しまして、中労委として千九百五十円の案を出したわけであります。これに対しまして、大体その夜の空気は妥結できるのではないかというような、一応の楽観的見通しがあつたのでありまするが、労働者側中央闘争委員会に諮つて、その後において回答するということで、一応この会議は休憩になつたのであります。しかるに中間と相談の結果、中労委の千九百五十円の案に対して、さらに一千円を増額して二千九百五十円という要求がなされました。炭鉱側はこれを拒否しました結果、さらに七十二時間のストライキに入つた。それが大体昨日で終つたのでありまして、大手八社の方は、今日から就業いたしておるのであります。しかしながら十日から第三次ストライキに入るという宣言を実はいたしておりまして、事態は容易ならぬ方向に現在進んでおるのであります。  さてこのストライキによつてつた影響は、どういうことになつているかという問題でありますが、今日までのストライキによる石炭減産は、一日十万トンないし十万五千トンで、総量では四十八万トンに達しておるのであります。御承知のごとく、電力に対する石炭確保あるいはまた一般産業石炭確保がきわめて困難の際、こういうストライキのために大量の石炭減産を見るということは、各方面に与える影響はきわめて深刻であります。幸いに電力に対しましては、先月以来通産省が主体となつてこれの確保のためにあらゆる努力を払つて参りました関係上、一応現在のところは、関西電力は大体七万トン前後の貯炭を持つておりますし、その他の電力会社もおおむね十日間くらいの貯炭を持つております。従いまして今ただちに電力会社に大きな影響はありませんが、一方ガス会社の方は、最近大手ストライキ関係上、急激に貯炭が減少いたして、現在のところ三日ないし四日程度にすぎないという、きわめて不安な状態に追い込まれておるのであります。  もう一つは、いわゆる特需の関係朝鮮向け司令部関係石炭輸送が、これまた大手ストライキによつて相当契約が遅れているというような状態になつておるのであります。そこで昨日来から中労委が、もつぱらこれの妥結のあつせん努力を払つておるのでありますが、遺憾ながら今日ただいままでのところでは妥結されていないのであります。通産大臣労働大臣並びに安本長官等関係各相は、いずれもこれが解決のために極力努力をいたしたのでありますが、何分にも労働者側の態度が、従来と異なり非常に強硬であります関係上、交渉が行き悩んでいるという状態に置かれておるのであります。但しここで多少楽観的な問題は、十月の生産量予定計画を二十万トン上まわつておることであります。従いまして今日まで四十八万トンの減産になつておりますけれども、実際の減産は二十八万トン程度にとどまつておるわけであります。  もう一つは、従来の例から見ますと、ストライキが終息いたしますれば、このストライキ期間中の減産は、その後においてあまり長くない間に取返しておるというような事案もありますので、この際ストライキが何らかの方法によつて妥結いたしますれば、その後における増産と相まつてあまり深刻な影響はないと考えるのでありますが、このまま第三次のストライキが始まるということになれば、それこそ各方面に及ぼす影響はいよいよ深刻となつて参るという情勢にありますので、この点につきましては深く憂慮いたしておるのであります。大体今日までの状態は、以上申し上げたような状態になつておることを御承知願いたいと思います。
  17. 小金義照

    小金委員長 この際委員の変更についての御報告を申し上げておきます。ただいま委員中西伊之助君が委員を辞任せられまして、柄澤登志子君が補欠選任せられました。なお柄沢君の小委員会の所属は、中西君のあとを全部踏襲していただくことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではそのように決定いたしました。  次に質疑を許します。高橋清治郎君。
  19. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 ただいま首藤政務次官から、炭鉱ストの今日までの経過についていろいろ御説明がありました。まことにこの状態が今後長引くとするならば、社会的にも、経済的にも重大なる事態が発生し、しかもわが国産業を壊滅に導くような、憂うべき状態になるのではないかと思うのであります。しかしてこの炭鉱ストの原因についてはいろいろあるようでありまするが、ある一面から聞きますと、金鉱連の賃金ベースということが原因となつて、今度の賃金値上げの問題が起つて来ておるということであります。この炭鉱ストの根本的解決につきまして、ひとつ次の二、三点をお伺い申したいと思うのであります。  第一労使お互いに自主的な解決をするのに放任しておく、まかせておくということでは、今後またこういう問題が勃発した際に、長引くならば、いつでもこういう憂慮すべき状態に陥ることは当然であると思います。某方面から承るところによりますと、武藤委員長労働大臣、それから通産大臣が会いました際に石炭を公益事業に指定する意思はないということを声明したということを承つておるのであります。もしも公益事業に指定する意思がないとするならば、かかる状態なつたときにおいては、いかにしてこれらのものを円満調停に持つて行くつもりであるか、そういうことをまずお伺いいたします。
  20. 首藤新八

    首藤政府委員 通産大臣並びに労働大臣が武藤委員長に、公益事業等に指定する意思はないということを回答いたしたというお話でありますが、その点はその内容を承つておりませんので、ここではつきりは申し上げかねます。但し現在のところでは、政府といたしましては、相なるべくは自主的に解決してほしいという強い意向を持つておるのであります。従いまして、先ほど申し上げましたごとく、中労委が仲介の労をとつておりまして、極力あつせんを進めておるのでありますが、遺憾ながら今日までまだ妥結を見ておりませんけれども、少くとも金鉱連におきましても、現在の社会情勢を十二分に認識しておりますので、一般から見てはなはだしく不当の要求を出して、あくまでもストライキを継続するという方針には出ないであろう。実はこういう考え方のもとに、ぜひとも双方の間に妥結を見てほしいという基本的考え方のもとに進めておるというのが現状でありまして、今日の情勢下におきましても、なおこの方針をとることが適当であるという考え方を持つておるのであります。
  21. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 公益事業に指定する意思がないとかあるとかいう問題よりも、こういう問題は今後またこういうような場合に立ち至らないともはかりがたいのであります。そういう際において、こういうものを円満妥結するような何らかの方法を、政府としても考えておく必要があるのではないかと私は思うのであります。その点を今お尋ねしたわけであります。大体十月中旬において百六万トン程度貯炭があるから、昨日あたりまでにこのストライキ解決するとすれば、大して産業には影響がないというような楽観的な考えを、政府当局は持つてつたように承つておるのであります。それが、遂にその予想が裏切られまして、なお今後持続するような傾向にある。そのために他産業に及ぼす影響が非常に甚大であつて、憂慮すべき状態にあるのであります。この際政府として一体どういう手を打つつもりであるか。またいかにあつせん努力するつもりであるか、その点も政府の意見を承りたいと思います。
  22. 首藤新八

    首藤政府委員 ただいま申し上げましたように、今回は強制調停はできるだけ避けたいという考えのもとに進んでおるのでありますが、今日の事態を根拠として考えましたならば、なお今後労使双方に妥結の早からんことを強く要望する。そうして形勢の推移を見たいと考えておるのであります。但しこのままなお荏苒日を延ばしまして、事態がいよいよ悪化するということに相なりましたならば、また別な対策を講じなければならぬとは考えておりますが、そこまではおそらく行かずに解決するであろうという見通しを持つておるのであります。
  23. 今澄勇

    今澄委員 ただいま労政局長が見えておられますので伺います。この炭鉱ストの情勢にかんがみて、ただいま通産政務次官のお話では、労働組合側の態度が強硬で、という御説明がございましたが、石炭企業の企業体の現状においては、労組の要求しておる線が必ずしも不当なものであるとは私には思われません。少くとも昨日妥結した常磐労組の賃金の結果等からながめてみるならば、この労使双方の賃金の食い違いというものは、何らか妥結を見得るというふうに私どもは観察ができるのでありますが、労政局として、これまでの推移、今回に至るまでの打たれた手、並びに今後の見通しについて、ひとつ詳細御説明を願いたいと思います。
  24. 賀来才二郎

    ○賀来政府委員 これまでは、先ほど政務次官からお答えのありましたように、自主的解決にまつ、この自主的解決につきましては中労委の強力なあつせんによつて解決をして行きたい、この方針で参つたのであります。現在の段階ではまだ直接自主的交渉は行われておりませんが、結局昨夜の中山会長のあつせん状況から見ますると、昨日朝の常磐地区の解決條件というものが結局一つのメルクマールになるのじやないか、それはなるのだという組合側と、いやならないのだという使用者側の対立になりまして、そこまで問題を見詰めて来ておるようであります。今日現在では表面に出た交渉は行われておりませんが、裏面においてはいろいろ事務的に動いておるようであります。従いましてわれわれは今日現在におきましても、中労委のあつせんによつて自主的な相互の交渉で解決の可能性は五分々々というところに来ておるのじやないか、かように考えます。
  25. 今澄勇

    今澄委員 労政局長の御説明なつた常磐炭鉱解決條件である坑内夫が五百五十円、坑外夫が三百四十円の金額、並びにこれらの常磐関係石炭の炭質、あるいは特殊企業体としての特徴等を考えに入れると、労組側が言うようにこの常磐争議の解決條件というものが一つの根本的な姿になる。特に大手八社が今もんでおるところの坑内夫が五百七十円、坑外夫三百六十円という数字からするならば、通産当局としてはこの際現下の事態の重大性にかんがみて、何らか大手八社に対して、その企業体の現状からこれらの情勢に善処するような勧告をされる意思はないかどうか、それから労働省としてはこういつた一つの妥結の條件が出ておるのであるから、これを中心として少くとも十分討議を尽して、何らか至急これが解決をはかつて、次の十日からのストを避けるということが、日本の現産業の置かれた状態としては最も私は妥当であると思うが、それらに関する見解をひとつこの際承りたいと思います。
  26. 首藤新八

    首藤政府委員 常磐がただいま労政局長報告通りに昨夕解決した、これは確かに一般の争議解決一つの目標ともなるかと考えられるのでありますが、いずれにいたしましても、通産省としてはこのストライキによる影響が日を追うて深刻化して参ることに非常な憂慮の念を持つておりますので、労資双方に対しましてなおできるだけの解決促進の勧告なりその他の方法を尽したい、かように考えております。
  27. 賀来才二郎

    ○賀来政府委員 労働省といたしましては、ただいま御意見もございましたように、全体の産業の立場あるいは炭鉱労働者の争議を避けたいというこの気持もよくわかるのでありますから、できるだけ第三波は避けるように努力をしなければならない。しかしながら政府が今日現在これに介入して行くということは適当でない。従いまして中労委と緊密な連絡を保ちつつ、中労委努力に対しましてあらゆる協力をいたしておるというのが現状でございます。
  28. 今澄勇

    今澄委員 なおもう一つ、資源庁の長官がちようどおられますから、私はこの機会に、この炭鉱ストによつて生じた現下の石炭需給のありさまと、なお今後資源庁としては問題になつておるこれらの石炭の優先出荷、あるいは割当統制というようなことはむろんありますまいが、このストのあるなしにかかわらず考えられる将来の石炭の優先出荷等の特別措置についてのお考えと、この根本ベースの上に今回のストが及ぼした影響、並びに声明されておる本格的なストがもし十日から行われるとすれば、資源庁としてはどのような対策をお持ちであるかを伺つておきたいと思います。
  29. 始関伊平

    始関政府委員 今日までのストによります生産減は、先ほど政務次官が申し上げましたように、大体四十八万トンということになつております。それで十一月の出炭の予定は、大体三百八十六万トンでございました。なお十一月分の石炭需要減の中で、需要を削減することのできないもの、国鉄でありますとか、電力ガス、進駐軍需要、特需、こういうものが百七十一万トン程度あるわけであります。総出炭から減産分と、それからただいま申し上げました需要の削減のできないと思われるもの百七十一万トンを差引きまして、これをその他の需要に当てはめてみますと、一般炭につきましては十一月において大体二割三分程度の配炭減、原料炭については二割五分程度、発生炉炭については二割二分程度になるわけであります。それで先ほど政務次官からもお話がありましたように、十月の出炭も相当順調でございましたし、それから一般の工場には若干の貯炭もございますので、ストライキが今日までのところでとまるといたしますれば、需給面にはそれほどの混乱も生じないのではないか、また一般の生産もそれほどの減少は見ないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  今後の見通しの問題でございますが、十日以後のストライキが阻止できない場合、ある程度減産がそこにも起つて来るというような場合にどうするかという問題でございますが、その場合においては、ただいま申し上げたような電力部門とか国鉄とか、ガス、進駐軍、特需といつたような方面に優先的な配給、重点的な配給をいたす必要が出て来るわけであります。従いましてその場合には、こういうものを除きました一般の工場その他に対しては、従来の実績から二割なりあるいは三割というものを差引いたものでがまんしていただくというようなことにならざるを得ないと思うのでありますが。そういう操作を法的措置でやるか、あるいは話合いでやつて参るかというような点が問題だと思うのであります。石炭業界におきましては、従来のお得意先の石炭を切りまわしても、政府の指示に従いましてただいま申し上げましたような重点部門への優先配給を極力やつてもらいたいと申しております。私どもといたしましても、優先出荷命令等から、だんだん全般的な配給統制になつて参りますと非常にめんどうなことになりますので、石炭業界の協力、それから割当を減らされる一般の産業界の理解と協力をも求めまして、できるだけ法的な措置には入りませんで、しばらくの間を切り抜けて参ることができれば非常にけつこうだと考えておるのであります。そういう方向にいろいろ準備をいたしおります。ただしかしながら事態の進展のいかんによりましては、優先出荷命令というようなことを考える必要が起ることも相当に可能性がございますので、どういうような事態になりましたらば、どういうような法的措置をとるのかという点については、ただいま検討を進めておるような次第でございます。事態の進展のいかんによりましてどういう手でも打つて行けますように、万全の準備をしているというのがただいまの段階でございます。
  30. 今澄勇

    今澄委員 私関連質問で長くなつてはいけませんからこれで終りますが、石炭の需給が非常に緊迫しておつて、ボタでもどんどん売れて行く。この現状のもとにおいて、何ら石炭需給についての根本的な対策を立てなければ、結局炭鉱経営者としては、少々の減産を見ても、これは値上りによつてカバーして行くという安易な気持がないでもない。私はこういつた現下の石炭行政のあり方そのものに今度のストライキの原因も多少はひそんでおりはしないかと思う。今度のストライキの特色は、御承知のように政治的な問題は一切含んでおりません。ただ単なる賃金という経済の面からのみである。あらゆる物価が値上げされておる、この値上げの真最中における賃金の面からのみのストライキであるところに、今回の石炭ストの特色があるのであつて、私はこのように民主的な労組の賃金問題に関する闘争については、政府は十分石炭労働者の声を率直に聞く必要がありはしないかと考えます。  なおわれわれはこれらの石炭需給の問題についても、こういつた石炭減産が及ぼす影響を切り抜けるためには、優先出荷なり、あるいはその他法的措置を講じて、全産業の打撃を救いながら、石炭企業への大きな損害があつても、やはり日本産業全体の計画達成ということに進んでいただきたいのであります。こういう処置を講じないで、ただ減産すれば、石炭の値上りによつてカバーができるということで炭鉱ストライキが放任されているとすれば、私は政府産業経済政策全体に破綻を来すものであり、これはやはり政府の責任であると考えなければなりません。こういう事情を十分考慮せられて、今次炭鉱労働者が要求している賃金のベースについては、労政局長もこれは現下の一般水準からするならば妥当なものであるという線に立つて解決努力せられんことを要望して質問を終ります。
  31. 山手滿男

    ○山手委員 私も関連して二、三お尋ねしておきたいと思います。先ほどの次官のお話はよりますると、ガス方面は二、三日の貯炭しかなくて相当にきゆうくつであるけれども、その他の関係部門におきましては大したことはないような、いわば楽観的なお話があつたように私は聞き取つたのでございまするけれども、これは相当事実と相違している。なるほど非常に大きな資本力を持つてつたり、余裕のあるところは相当に手当をして買い込んでおりますが、きわめて偏在していると考えるのでありまして、さつきのお話をもう少し敷衍し、御説明願いたいと思います。
  32. 首藤新八

    首藤政府委員 個々の企業体の貯炭がどういう状態になつているか、その点は調査いたしておりませんが、出炭量の絶対量から見まして、必ずしも今日までのところでははなはだしくきゆうくつにはなつていないはずだということを申し上げたのであります。これは先ほど申しましたごとく、今次の罷業によりまして四十八万トンの減産を来しておりますけれども、しかしながら、十月の生産計画量を二十万トン超過していること、もう一つ貯炭相当減少していること、この二つの面がそれぞれの需要部門に輸送されておりますから、今日までのところは数字的に計算いたしましても、はなはだしく不安な状態にはなつていないであろうということが一応推定されるのであります。但し今後この状態がなお引続いて継続されるということに相なりますれば、各方面に深刻な影響を及ぼすであろうことが当然予想されるのであります。従いましてこの際できる限り十日からの第三次ストライキは避けるように、極力中労委のあつせんをまつて妥結を見たいという要望を持つていることを御承知願います。
  33. 山手滿男

    ○山手委員 なるほど今年は今まで石炭生産は比較的順調に来たように私は思つておりますけれども、この全国の石炭需要を操作いたしまするのには、普通であれば二百万トンぐらいの貯炭がなければうまく操作できないじやないかというようなことさえ言われておるのでありまするが、現在実際に操作し得るところの貯炭はどのくらいあるものか、また十日からのストに対して、それがどういうように影響を及ぼして行くものか、ストの進行状況とのにらみ合せによる政府見通しを承つておきたいと思います。これは資源庁の長官からお答え願います。
  34. 始関伊平

    始関政府委員 現在の貯炭は大体百十万トン程度であります。お話のように、円滑な操作のために必要な貯炭は三百万トン内外なければいけないと思うのでありまして、ただいまの貯炭は最小限度の貯炭で、余裕があるという意味においての貯炭とは申しかねるのであります。さような意味におきまして、貯炭によつて減産をカバーすることは、今後においては非常に無理であろうと存じております。
  35. 柿手操六

    柿手政府委員 さつきの資源庁長官のお話ども関連するのでございますが、さらに今後ストが継続される、十日からの第三波が始まるということになると、当然臨時物資需給調整関係による優先出荷命令とか、あるいは出荷制限とかいうような事態が起きるのじやないかということも考えられます。すでに政府はそういう関係の用意をされ始めているというふうにも承つておるのでございまするが、供出をもらう方はもちろん文句はないであろうと思いまするが、供出する方の側、現在すでに手当をしているにもかかわらず、持つて行かれる方の側に対する補償そのほかについて、すでにお考えになつているのでありまするかどうか御説明願います。
  36. 始関伊平

    始関政府委員 石炭の総量がきまつておりますので、電力部門その他に従来の実績よりよけいにまわすといたしますと、どうしても他の部門より切つてまわすよりほかに方法がございません。なおその場合におきまして、電力用炭の確保の問題、電力の総供給量の見通し、工場の操業の問題、この三つをにらみ合せまして、どれだけを従来の工場配炭から切りまして、電力用炭に持つてつたらいいかということを安定本部が中心になつてきめまして、それによつて必ずしも法的な措置はいたしませんが、実際の話合いで、先ほど申しましたように、石炭業界、一般工場等の石炭需要者の協力を得まして、今日までやつてつたのであります。従来のお得意先の配炭を執るということが法的措置がなければできないといたしますれば、今日までの電力用炭の確保もできないはずだと思うのであります。これはもう少しきつい程度になりますけれども、ある程度までは、今後といえども話合いによつてやりて行けるのではなかろうか。でありますから、先ほど今澄さんが言われましたように、値上りによつて需給が調整されるのを待つということではございません。国家的な計画を話合いの線でやつて参りたいというのがただいまの考え方であります。  なおその場合におきまして、従来のお得意先あるいは契約のありますものが、損害があつた場合にどうするかということでございますが、これは実際損害がございますれば、委員会におきましてこれを審査するというふうに、保障に関する政令をつくることになつておる次第でございます。
  37. 山手滿男

    ○山手委員 私は、最悪の事態が来ることは当然覚悟をしておかなければならないのじやないかという気がいたします。というのは、今澄君は今この問題は単に経済的な闘争であるというふうに言われましたが、どうもこのストの背後には、やはり政治的なゼネスト禁止を目ざして来ているものがあるのではないかというような気も、私どもはしております。そういたしますと、このストの解決に対処して行くということは、今の政府のおやりになつておるやり方では、私はなかなかたいへんでないかというような気がするのでありますが、労政局長からその辺のことについてお話を承りたいと思います。
  38. 賀来才二郎

    ○賀来政府委員 炭労が、かりに政府がゼネスト禁止法を具体化した場合には、ストライキをやるということをきめておることは承知いたしておりますが、今度のストにさような含みがあるとは考えておりません
  39. 山手滿男

    ○山手委員 そういうことであればもちろんけつこうなのでありまするが、今度の炭鉱ストの問題を解決いたしまする面で、巷間伝えられておりまするところによると、炭鉱業者の側においてもたかをくくつておるというのでありますか、ストをやるならやれというふうな態度が相当にあつたのじやないか、現にあるのじやないか。やはり炭価にはね返つて来るし、いろいろな面を考え、需給の面とのにらみ合せも考えて参りますと、炭鉱業者の側においても、ストをやるならやつてみろ、これは当然いわゆる公益を害するというふうないろいろな問題が出て来るのだから、おれたちはどうでもやつて行けるのだというふうな、たかをくくつたというか、そう構え込んだ態度があるんじやないかということが巷間伝えられておるのでありますが、これは抽象論になつて来て御回答しにくいかもしれませんが、そういう面と、今の労組の関係というものについて、もう少労政局長のお話を承りたいと思います。
  40. 賀来才二郎

    ○賀来政府委員 この春の争議の場合におきましては、そういうことが言もれた向きもあつたようでありますが、今度の争議に関しましては、使用者側は非常に輿論の動向ということを考えておりまして今度ほど使用者側が何とかしてストライキを回避したいという勢力をやつた例はあまり見ないようであります。従いまして御質問のような関係はないものというふうな考え方でわれわれは対処いたしておるのでございます次。
  41. 小金義照

  42. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 通産政務次官にお伺いしたいと思うのでございますが、政府が配炭公団を解きまして、自由販売に移りましてから、まだ幾ばくもたつていないと思うのでございます。きようもお話の中にございましたように、優先割当というようなことも問題になつておるようなお話で、再び近いうちに統制の復活が——もうすでに生じておるのではないかというふうに一般の消費者が言つておるわけでございます。それは北海道などでは、寒さをえ控まして、家庭用暖房炭がほとんど入手できない。値上りで高いので買えないといというだけでなしに、品物がまわつて来ない。これは貨車まわりその他がございますけれども、そういうような大きな立場からの統制復活が石炭産業の上にはことに顕著に起きておるように私ども考えられるのでございますけれども、そういうことにつきましての政府の御方針見通しを少し承りたいと思うのでございます。
  43. 首藤新八

    首藤政府委員 御指摘の通り、現在の状態では若干供給が不足しておるのではないかというような見方が行われておると思うのであります。従いまして統制の再現ということも一面考えておる方もあると思います。しかしながら過去の統制によつて生じた経済界に及ぼす影響考えた場合、やはり現在の自由経済を推進いたしますことが、日本経済の自立達成の土において、最も適当な対策であるという確信を政府は持つておるのであります。従いまして、当面この不足をいかなる方法によつて緩和するかということが問題だと考えるのであります。この点につきましては、すでに新聞もしばしば発表されたと考えますが、インド炭並びにアメリカの石炭等々を相当大量に輸入する計画を進めております。さらにまた重油の輸入もあわせて行いまして、電力会社の方におきましても、できる限り重油の設備を早く完成して、石炭と併用するという方法も現在講じておるのであります。これらの一連対策を講じまするならば、現実に若干不足しておりまする供給も、早晩緩和いたしまして、需給のバランスははつきりマツチする、そうして統制の必要はないという情勢に参るであろうという考え方を持つておるのであります。
  44. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 製鉄業者の中にも、アメリカ炭の高い点につきましての声は相当常識的になつておると思うのでございます。政府がインド炭並びにアメリカ炭——業者の好まざるものをあえて輸入しなければならないという現状は、並々ならぬ事態がやはりあるのだと思うのでありますが、先ほど資源庁長官のお話の、優先出荷になつております国鉄とか、電力ガス、進駐軍というようなものの内訳につきまして、御説明をいただきたいと思います。
  45. 首藤新八

    首藤政府委員 インド炭並びに米炭に対して価格の点で業者があまり希望していないという御意見でありますが、インド炭はともかくといたしまして、なるほど米炭は相当価格は高いのであります。但し米炭は約八千以上の高カロリーを持つておりますから、これをカロリー的に計算した場合、必ずしも高いものとは断じられないのでありまして、御指摘のような、一部価格が高いという御批判をしておる方は、おそらくこのカロリーを計算に入れないで、単に石炭の価格そのものを対象として考えた場合にそういう御批判が出るのではないかというふうに考えておるのであります。  なお優先出荷の対象となる業種の内容並びに数量は、資源庁長官から御返答申し上げることにいたします。
  46. 始関伊平

    始関政府委員 ここに十一月分の数字がございますので、これで申し上げたいと思いますが、国鉄が四十二万トンでございます。それから電力が七十六万九千トン、ガスが二十二万二千トン、これは原料炭であります。進駐軍用が十六万五千トン、いわゆろ特需が十四万二千トン、大体これらのものが優先出荷の対象になるのではないかと思います。先ほどお話のありました北海道の暖房炭につきましても、優先出荷をしてくれるようにということを石炭業者の方に申し入れまして、石炭業者にも協力してもらつておるのでございますが、ただこの冬までに全部が今の段階で手に入るというわけに参りませんので、そこに若干不安の問題もあるのではないかと思いますが、国の全機関を通じて不自由しないようにやつて参りたいと思います。
  47. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 配炭公団のあつた当時も問題がございましたけれども、とにかく家庭用の暖房炭の最低というものは保障されていたと思います。しかし統制が解かれまして石炭が安くなるというお話でございますけれども、今度の米の統制の場合にも、政府は中間経費がなくなるから非常に安くなるのだ、人員も節約できるのだ、統制を解けば自由になつて米の値段も安くなるのだといろいろおつしやつておるのでありますが、最もはなはだしい例は石炭だと思います。石炭の統制が解かれてから安くなつたかどうか、これは米と同じように潤沢に最も必要であるところの石炭が、北海道の住民に対し十分な保障もできないというこの状態が、政府が統制を解いた後にどうなつたかということを最も露骨に物語つておると思うのであります。そういう点につきまして政府はどう考えておられるか。国民生活の最低保障ということは、これは生命線でございます。この点についてただいまの資源庁長官の御説明だけではどうも納得が行かないのでありますけれども、これだけは完全に保障するという手が打たれておるかどうか。北海道では炭鉱の労働者は食えないといつてストライキをやつておる。増産しておる、石炭がよけい出ておる、それなのになぜわれわれの方には来ないのだ、政務次官のお話のように十月には三十万トンの石炭がよけいに出ておる。それなのに暖房用炭が配炭公団があつたときよりもわれわれの手に入らないというのはどういうわけだ、その点が納得が行かない、こういうことを言つておるのでございます。統制時代と違つて参りました理由はどこにあるか、国鉄はもちろん当時もいつたと思います。またガス電力も——電力の点は多少違つて来ておると思いますが、違つて来ておりますのはやはり特需とか、そういう特別の関係だと思います。配炭公団当時と比べて何か特別な特需ができまして、まわつて行かない理由についてひとつはつきりと御説明願いたいのであります。
  48. 首藤新八

    首藤政府委員 配炭公団を廃止しましたのは一昨年の八月であります。当時の貯炭は四百万トンを越えております。また当時の経済環境から見た需要量を推定いたしましても、配炭公団を廃止しても需給のバランスに狂いがないという見通しを持つて実は廃止したわけであります。この状態は昨年の六月まで継続いたしまして、炭価も配炭公団の存在した場合よりも若干下値に低迷しておつたのであります。しかるに昨年六月二十五日、朝鮮動乱の勃発によりまして日本経済の様相はまつたく一変いたしたのであります。爾来日本の生産指数は月を越すごとに著しく上昇いたしまして、昨年六月の指数が、戦前の昭和十年ないし十二年を一〇〇とした場合に八七であつたものが、本年四月にはそれが一四三というおよそ倍の生産増強を来しているのであります。これが石炭をきゆうくつにいたしました一番大きな原因でありまして従いまして政府も急激に増加した需要に対処いたすべく、昨年の石炭生産量は三千九百七十万トンであつたものを、本年は四千四百万トンの計画にいたしたのであります。今日まで石炭が一割以上増産した例はわずかに戦時中一回あつたのみでありまして、その他にはそういう大幅の増産の事実はないのであります。しかしながら政府は当面した経済的な変化と厖大な需要に応じますべく、あらゆる施策を強力に進めまして、四千四百万トンの計画を立てたのであります。しかるにその後電力需用がわれわれの予想よりも相当大量必要とする要請かありましたので、四千四百万トンの計画をさらに百万トンふやしまして、四千五百万トンの計画に変更いたしたのであります。しかもなおかつ供給が不足ということになりますので、先ほど申しましたごとく、インド炭、米炭あるいは重油、また亜炭の生産促進というような各般の需要にマツチした施策を進めているのであります。
  49. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 政府のただいまの御方針をお進めになりますと、この事態はもつと強化すると私ども考えているわけでございます。また吉田首相のあらゆる御答辯を承りましても、また今度の両條約を受けました後の日本の状態考えましても、この事態はますます強化されて行くと私ども考えているわけであります。その点につきまして、実質的には大づかみの統制は復活しているように思われるのでございますけれども、それが先ほどからの質疑応答を承つておりますと、法的にと申しますか、そういう形で、確保されるために何らかの措置をとるように政府の方ではお考えになつておいでになるかどうか、その点を承ります。
  50. 首藤新八

    首藤政府委員 資源庁長官からこの問題について詳細な答辯がなされたのでありますが、要するに政府考え方といたしましては、法的根拠によらざるところの行政措置によつて需要を充足いたしたい、供給をふやして行きたいという基本的考え方を現在もかえていないのであります。同時に現在の情勢下におきましては、今後もかえずにこの問題を解決いたしたいという考え方を強く持つております。そこで外炭に依存することからできるだけ早く脱却いたしたいという考え方から、明年の生産量は五千万トンに引上げて、外炭その他の輸入をしなくても十二分に供給し得る態勢をつくりたいと考えております。つきましては、それに必要とするところの設備の拡充、あるいは金融の問題あるいは輸送の問題等々一連増産対策を今後強力に進めて参りたいという考え方を持つているのであります。  なお先ほど柄澤委員から個人の石炭が非常に獲得困難であるという御意見でありましたが、統制下におきましては黙つておりましても配給はありますから当然手に入つたと思いますが、自由経済でありましては、やはり必要とする個人が積極的に入手の方法を講じてそれによつて初めて獲得ができるのでありまして、今日石炭状態相当窮迫しておりまするけれども、個人の使用するくらいの少量炭の確保は必ずしも困難でない。少くとも各方面ともそれらの需要には一向支障を来していないのか現状の姿でありますが、あるいは北海道の方は、統制当時と同じ考え方のもとに、黙つてつて石炭は手に入るんだというような考え方を、現在でも持つておるのではないかという気持がいたすのであります。
  51. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これは寒さを控えない非常にのんきな議会の委員会での答辯でございましまして、北海道民に聞えないから怒らないだろうと思いますが、もしこの御答弁が聞えましたら、さぞ北海道の道民は怒るだろうと思います。政府は統制を解けば安くなるということをしきりにおつしやる、増産すれば日本が再建できるんだとおつしやる。炭鉱労働者にも、増産するのが賃金問題の解決のかぎだということが、この前の大闘争の場合にも政府側の御答弁としてあつたと思うのでございます。三千九百万トンか四千四百万トンにふえておるのでございますけれども、これを五千万トンにさらにふやしたいとお考えだということでございますが、先日の炭労の大会においては、賃金問題と同様に労働強化の問題が取上げられ、その決議の中には、ただいまの政府増産方針に対しては反対であるということが述べられておると思うのでございます。そういたしますると、政府の御方針が何ら立たずに、ただ賃金問題だけで解決の道が開かれるというようなお考えは甘いのではなかろうかと思うのでございます。なぜかならば、炭鉱では、北海道では相当大量の首切りが強行されまして——これは賀来労政局長に伺えば具体的な数字がわかると思うのでございますけれども、三千九百万トンを生産しておつた当時と、四千四百万トンを生産しておる今日では、労働者の数がむしろ減つておるはずなのでございます。つまり一人当りの労働者の出炭量が高くなつて、基準量が上つたことによつて、二月闘争以来の労働者の今日の賃金の要求というものが、深刻な形で来ておると思うのでございます。その点について、政府としてはどんな考えを持つておいでになるか。炭鉱の資本家にまかせて、ただ労資双方の協力にまつという形、このような方針で進められて行つていいかどうか、これでは本質的な解決にはならないと思うのでございますが、その点についての御見解を聞きたいと思うのでございます。  さらに、賀来労政局長には、参考として、昨年の炭鉱労働者の数と、今年の労働者の数と、一人当り労働者の生産量について、できましたら御説明を願いたいと思います。
  52. 首藤新八

    首藤政府委員 三千九百万トンの当時と、四千四百万トンの現在の労働者の数がどうなつておるか、その資料は持つておりませんから、賀来局長から御回答すると思います。但し考えられますことは、能率の向上をいたさなければ炭価が安くならないのでありまして、先ほど柄澤委員から統制撤廃する際の目的は炭価を安くすることが大きな條件であるという御説がありましたが、まことにその通りであります。でき得る限り自由経済にして、増産いたして炭価を低くする。炭価を安くいたしますためには、前提として原価を安くする必要があるのであります。戦時中戦後を通じまして、特に戦後の能率は、御承知通り戦前に比較してはなはだしく低下いたしております。これは戦時中濫掘いたしました結果の大きな原因かとも存じまするが、少くとも能率の低くなつたことを回復する必要がある。それがためには機械化をできるだけ促進いたしまして、合理的な経営をやらなければならぬということが相当強く要請されまして、政府は過去数年の間、極力経営の合理化を勧告して参つたのであります。北海道の炭鉱で、出炭量は非常にふえた、しかし従業員が必ずしもそれにマツチしていないということでありまするならば、それは要するに採炭の機械化、合理化であるとわれわれは考えるのであります。  なお今日の能率でありまするが、大体平均しまして十トンないし十一トン程度には向上しておるし、また山によりましては十四万トン程度になつておるところもあると聞いております。しかし平均いたしまして、戦前に比較いたしますればなお相当低いのであります。どうしても今後、企業の合理化即金融並びに機械設備ということによりまして、できる限り採炭の能率を上げる必要があると考えております。従いまして合理化が進みますれば、その結果は御指摘の通り労務者の数はだんだん減つて参るかと考えますけれども、しかし先ほども申しましたごとく、石炭需要はますますふえて参る。特に明年は五千万トンの出炭を計画いたしておりまする関係上、かりに一面において合理化が進みましても、その出炭量の計画は非常にふえておりますので、労務者は減るどころではない。相当ふえなければならぬという一応の見通しを持つておるのであります。
  53. 賀来才二郎

    ○賀来政府委員 全体といたしまして炭鉱労働者の数は減つておるということは聞いております。ただいま数字を持つておりませんので、御満足の行く答えができないので申訳ないと思つております。減つたことにつきましては、特に企業整備という意味から首切りか行われたというふうには聞いておりません。一部の会社におきまして、組合と話合いの上で、老年の方にやめてもらうとか、合理化に伴いまして、不要な者にやめてもらうということが行われたことは聞いております。しかしいずれも労働組合と話合いの上で実施をされておると聞いておるのであります。  なお労働能率の点につきましても、本年の春の争議の結果、労働協約によりまして現在の能率をきめておるというのでございますから、一方的に労働が強化されたとは承知しておらぬのであります。
  54. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 数字がないというお話でございますので、一つの例を申し上げます。三井上砂川の炭鉱でございますが、一昨年は一人大体四・五トン掘つておりましたのが、現在では六・四五トンくらい掘つておるわけです。一日に二トンくらいよけいの出炭量になつております。大体これは関係方面の指示がございますように、十時間掘らなければ基準量が掘れらないという線が出ておりまして、現場の交代が切羽交代であつたものが坑口交代にかわり、休み時間がなくなり、残業は当然だというふうにかわつて来ておるわけでございます。ですから基準量を掘らなければ規定の賃金がもらえないわけでございます。きよう賀来さんのお話のございました常磐の妥結の方法でございますが、これがもし伝えられておりますように、今までよりも出炭量が上つた線で給与が上つたのでございますと、二月の闘争と同じような事態が繰返されまして——上砂川という所は共産党員が全部首切られてしまつた山でございます。そこの山で無期限ストを大衆が絶対圧倒的な多数できめまして、組合の幹部がびつくりしたというくらいに、大衆の生活が切迫しておる状態にあるわけでございます。ですからストの対策をお立てになりますところの通産政務次官は、やはり労働者の賃金と、一人当りの出炭量というようなことをお考えになりませんと、問題の解決ということはできないと思うのでございます。ですから、ただいま炭労の掲げております賃金の要求の陰には、血の出るような労働災害が非常にふえまして、炭鉱労働者の人死にが多くなり、怪我人がふえておるということは、具体的な数字に表われておることが証明しておると思うのでございます。その点につきまして、ぜひ政府がもつと腰を入れられまして、具体的に基準法が改正される以前に踏みにじられております炭鉱の賃金問題については、ただ単に五千万トン増産するんだ、いや四千二百万トンになつた、十月に二十万トンふえたというようなことでなしに、実際に当つていただきませんと、石炭が安くなつたから統制をしくといつて石炭が上ると、また朝鮮動乱のためだというような無責任なことでは、済まない問題であると思うのでございます。このことにつきまして、増産すれば日本の再建になるんだという意気でやつて来ました炭鉱労働者が、次から次へと増産のたびに裏切られて、生活が苦しくなつて来た。だから自分たちの掘る石炭が日本の再建のためになるのかならないのか、どこへ行つてしまうのかということも大きな疑問になつておるわけでございます。ですからその点につきまして、ぜひ政府は基準法違反とか、労働災害がふえていることに対して、現在の日本の法律のわくの中からだけでよろしいのでございますから、法の実施のために厳重に監督をやつていただきたい。具体的な基準法違反をやらなければ、基準量が掘れないという炭鉱の現実の状態、この状態につきまして、具体的に政府はどんなような監督をしておられるか、あるいは方針を持つておられるか、承つておきたいと思います。
  55. 賀来才二郎

    ○賀来政府委員 はなはだ申訳ないのでございますが、またこういうことを申し上げて恐縮なんでありますが、基準法関係につきましては、私存じませんので、私から申し上げますと、かえつて失禮にあたると思います。いずれ別の機会に、ただいまのような御質問があつたということを私から伝えまして、基準局長からお答えを申し上げるようにいたしたいと思います。
  56. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 常磐の方はどうなつておりますか。出炭の量がふえまして給与が上つたでございましようか。
  57. 賀来才二郎

    ○賀来政府委員 昨日朝の常磐の協定につきましては、坑内夫五百五十円、その他がきまつておりまして、その他の條件につきましては協議によるということになつておるのであります。そこで今その協議による内容はどういうことになつておるかということを調べておりまするが、まだわかりません。従いまして今の御質問ごもつともでありまして、五百五十円だけではわからないというのでございますが、その点われわれの方にわかつておりませんので、いずれわかりましてから、その点はお知らせ申し上げたいと思います。
  58. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 資源庁長官にお伺いします。北海道の暖房炭に不安な問題が残つておるような御答弁でございましたが、その他に優先的な出荷ということを政府の指示でやつておいでになると思いますけれども、暖房炭がなぜ優先出荷の中に入つておらないか。これはぜひ入れていただきたいと思います。
  59. 始関伊平

    始関政府委員 北海道の暖房用炭の優先出荷の問題につきましては、大体百三十万トン程度必要のようでございますが、それをここにございますような優先的なものと同様に市場にまわしてもらいたいということを私どもの方なりあるいは現地の札幌の通商産業局なりから、北海道の主要な業者に申入れをいたしました。業者はこれに協力するという態勢で今日まで進んでおるのであります。ただ一冬分を、全部今年中に一度に手に入れるということはなかなか行きかねますけれども二回にわけ、三回にわけましても、ぜひ確保したいというふうに考えております。
  60. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 特需とかそういうものにつきましては、政府が優先出荷の特別な措置をなさるわけでございますか。
  61. 始関伊平

    始関政府委員 いわゆる法律によります優先出荷は、先ほどから繰返して申し上げておりますように、今の段階ではいたさないのでございます。先ほどから御説明申し上げておりますのは、石炭業者の方に話をいたしまして、一般の工場の配炭は従来の実績から二割なり二割五分なり切つて、それを優先的に扱うべき部門にまわしてもらいたい、こういうことにいたすわけでございます。特需とかその他につきましても考え方は同様でございまして、法律による命令を出しまして、優先的に確保したいということではないのであります。
  62. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうしますと、米と同じくらいな家庭の暖房炭につきましても、同様の措置政府としてはなされるわけでございますか。
  63. 始関伊平

    始関政府委員 家庭用の暖房炭の確保は非常に緊急な問題でございますので、もし優先出荷というような法律上の措置が講ぜられるといたしますれば、その際は当然考慮の中に入らなければならぬと思います。そうでございませんでも、実際上の優先扱いをするという今の段階におきましても、そういう扱いの中に入れまして、ぜひ確保したいというふうに存じております。
  64. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 もう一つつておきたいのでございますが、これは米の統制撤廃に関連いたしまして、炭鉱労働者にとりまして欠くことのできない労務加配の問題があるのでございます。もし労務加配米がなくなりますと、これは炭鉱労働者にとりましては一大問題でございまして、もし世間に流布されておりますような米の値段で労働者が買わなければならないということになりますれば、大体月に二千円くらい違うことになるのでございます。そういうことにつきまして、これは業者と労働者との交渉というような形ではなかなか行きにくい問題もあり、ストライキのような形が起きる紛糾のもとになると思います。そのもとになつておるのが政府方針にあるわけでございままして、労務加配米がなくなりました場合、炭鉱労働者の保障につきまして、政府として何らかの意思表示がございますか、御見解を聞きたいのでございます。
  65. 首藤新八

    首藤政府委員 米の統制撤廃は、御承知通り、農林省が主管でありまするので、具体的な答弁は現在のところできないのであります。特に統制撤廃の時期が多少延びるかもしれないという情勢にもありまするので、そういう内容にわたつた特殊な配給方法、その他につきましては通産省としてはただいまのところお答えしにくいことを御了承願います。
  66. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 労政局長にひとつ、これを確保するということを何とかやつていただきたいのでくざいます。
  67. 賀来才二郎

    ○賀来政府委員 ただいま政務次官からお答えの通りでございまして、ここで政府としてのお答えをすることはできませんが、労働省といたしましては、御指摘のように労務加配米の問題は非常に重要な問題であります。従いまして特にまた炭鉱労働者が一番影響を受ける量が多いだろうということは認識をいたしております。その線に沿うていろいろ研究をいたしている、これだけを申し上げておきたいと思います。
  68. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 いずれもたいへん無責任なお答えだと思いますが、きようはやはり炭鉱の労働争議に対する政府の御見解対策を承る委員会だと思うのでございまして、今後はこういう事態の起きませんためにも、ぜひ私の所管ではないとおつしやらずに、炭鉱争議の起きない一つの重要な原因となると思うのでありますから、今後の炭鉱労働者の生活保障のためにもぜひ炭鉱労働者の労務加配米確保のために、生産者のための重要な命のかてでございますので、努力するというような御答弁がいただけましたらたいへん喜ばしいと存じます。
  69. 首藤新八

    首藤政府委員 先ほど来申し上げておりますように、石炭が日本の産業に最も必要なものである。そしてそれが現在非常に窮迫状態に陥つている。今後はできるだけ増産しなければならぬという強い考え方を持つておりますので、その増産に協力していただかなければならぬ労務者に対しましては、できるだけ希望に沿うような措置をとつて行きたいというふうな考え方は持つております。
  70. 山手滿男

    ○山手委員 一点だけ……私 さつき次官のお話のありましたことに少し関連して念のためにお伺いしておきたいと思うのでありますが、最近電力がああいう事情でありますし、石炭が足りないということで、火力発電設備なんかもだんだん——だんだんでなしにどしどし重油に切りかえて行く。それから中小企業そのほかにおきましても、停電が多いために石油による動力源を求めるようにというふうなことが奨励されているのか、はやつているのか知りませんが、そういうことをやつております。政府の方は先般そういうことに対しまして少し重油の輸入を懇請されているというふうなことも新聞に出ておつたのでありますが、どうもこういうことがどろなわ式に流行して来てパツパツと始まる。何か発動機あたりができ上つたころにはまたほかの状態になつて行くというふうなことで、しかもでき上つても重油の供給が完全に行われているのかどうか、自家発電設備を重油に切りかえて、これがまた困つた事態が別の状態から起きて来るのではないかというふうなことも、私は心配できると思うのでありますが、重油の輸入見通し、懇請をいたしましたそれに対する見通し、いつ入つて来るのか、増配を実際にどの程度するのか、また政府は、この液体燃料に関する統制がまだ残つているのでありますが、この統制を解くという折衝をしておいでのように承つておりますが、油の関係の統制を解くという問題、それについてもどうなつているかということをひとつ、関連をした重要な問題でありますから御説明を願いたいと思います。
  71. 首藤新八

    首藤政府委員 重油の輸入を火力電力の不足をカバーするために十五万トンの要請をいたしておりました。司令部の了承も得ているのであります。従いましてこの重油の輸入は十二月末以降順次入つて来る予定になつております。なお個人の企業体等がこの重油使用の設備をいたしているのも相当あるやに聞いておりますけれども、これは政府が特に慫慂したというのではないのでありまして、ただそれらの企業体が、自衛上そういう方法をとることが経済的に利益だという観念から、それぞれ自発的にその設備を進めておるというふうに考えておるのであります。もつとも一部大きな設備に対しましては、政府の方で勧告した事実もあります。この際あらゆる施策を進めまして、不足の電力確保いたしたいという一連考え方の中に含まれておることを御了承願いたいと思います。  なお統制撤廃の問題でありますが、ガソリンを除いたものは、たとえば重油であるとかあるいはその他の油に対しましては、この際統制を撤廃いたしたいということで折衝いたしております。しかしまだ司令部の了承を得ておりませんので、いつから統制を撤廃されるかということはこの際明言いたしかねるのであります。
  72. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほど資源庁長官からずつと御説明がありまして、十一月分の優先出荷の内訳がわかつたわけでありますが、聞くところによりますと、要請がふえまして、今までの進駐軍用というものが、承つたのでは十四万二千トンでございましたが、それでよろしいでしようか。特需が十六万五千トンで……
  73. 始関伊平

    始関政府委員 逆でございます。特需が十四万二千トン、進駐軍用が十六万五千トン。
  74. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これは聞いております、いわゆる朝鮮向けの七万数千トンというのが入つているのでございますか、別でございますか。
  75. 始関伊平

    始関政府委員 朝鮮向けは特需の中に入つております。
  76. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 十四万二千トンが国内の特需と朝鮮向けでございますか。
  77. 始関伊平

    始関政府委員 ここにあります特需は大体朝鮮向けでございます。
  78. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 七万数千トンというものがこれだけにふえたわけでございますか。
  79. 始関伊平

    始関政府委員 朝鮮向けの特需につきましては、大体四十万トンとか七戸トンとか、その後また三十何万トンとかいろいろございますが、大体月をならして十万トン内外に相なつておるわけであります。
  80. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これは非常に上級の粉炭というふうに承つておるのでございますけれども、そうでございますか。
  81. 始関伊平

    始関政府委員 先ほど申し上げましたように口がいろいろありまして、七万二千トンというのは粉炭の品でございます。これは月ではございません。総量で七万二千トンが粉炭の口であります。その他につきましては必ずしも粉炭ではございませんで、中塊等でございますが、あまりいいものだけを持つて行かれますと、国内の需給に支障がございますので、切込み炭も含めてもらいましたし、またカロリーもそう高いものでなくてもいいというふうにだんだん条件を緩和してもらつておる次第でございます。
  82. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 インド炭というものはどんなカロリーの、どういう使途のものを入れていらつしやるのでございますか。
  83. 始関伊平

    始関政府委員 従来入つておりますのは、製鉄用のコークス炭でございます。今後そのほかに発電所で使います一般炭を入れたいということでございますが、そのカロリーその他詳細な点は、ただいま資料がございませんので、ちよつとこの場所ではお答え申し上げられません
  84. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 向うへ行つております特需の値段が非常に安値で押しつけられて、三井あたりでも困つておるというようなことを聞いておりますし、それから新聞紙上などでも、炭鉱労働者のストに対して、世間では炭鉱の資本家が非常にもうかつていると言われ、事実配当も多く、増資もしておるようでございますが、税金が多いのと、それから特需の部分が非常に安値だということを聞いておるのでございますが、その点につきまして御所見をお伺いしたいと思います。
  85. 首藤新八

    首藤政府委員 特需用石炭は、全部が同じ価格ではありませんが、大体一トン十五ドル見当になつておると記憶いたしております。従つて契約当時は、必ずしも安値ではなかつたと思いまするが、その後炭価が漸次上昇いたしておりまするので、今日の炭価に徴しますれば、相当安値であるということは言い得るかとも考えます。しかしながら、ただいま申し上げましたごとく、その総量が十四、五万トンにすぎないのでありまして、絶対量に比較いたしますればそのパーセンテージはきわめて低いのでありますから、この分だけが多少安値でありましても、これがために経営上に大きな影響を及ぼすとは考えていないのであります。
  86. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 資源庁長官にお伺いしたいのですが、今まで多少保障されました家庭用暖房炭が、今後どのくらいまで購入されるか、まだその割当が行かない。どのくらい補充すれば十分になるというような数量をちよつと伺いたいと思います。
  87. 始関伊平

    始関政府委員 北海道で一冬に必要な暖房用炭は大体百三十万トン程度というふうに聞いております。それでただいま統制もございませんので、そのうちのある程度、ある割合のものはすでに家庭にまわつていると存じますが、その割合がどのくらいになるかということはわかりかねております。私どもの方から石炭業者に要請いたしておりますのは、絶対的に必要な百三十万トンの量があまり遅くならぬ適当なる時期に家庭にまわるように計画してほしいということでございまして、それに対して石炭業者もそういうふうに協力しよう、こういうふうに申しているわけでございます。
  88. 小金義照

    小金委員長 以上をもちまして発言は全部終了いたしました。  次会は明九日午後一時と予定いたしておきます。  本日はこの程度にて散会いたします。     午後零時四十四分散会