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1951-10-30 第12回国会 衆議院 通商産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月三十日(火曜日)     午後一時二十五分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 高橋清治郎君       阿左美廣治君    今泉 貞雄君       江田斗米吉君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       永井 要造君    中村 純一君       福田  一君    南  好雄君       風早八十二君    河口 陽一君  出席政府委員         公益事業委員         会事務総長   松田 太郎君         通商産業事務官         (資源庁炭政局         長)      中島 征帆君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      森  誓夫君  委員外出席者         公益事業委員会         委員      宮原  清君         公益事業委員会         経理長     中川 哲郎君         総理府事務官         (公益事業委員         会ガス課長)  小池 輝一君         経済安定事務官         (産業局燃料課         長)      近藤  勝君         参  考  人         (東京ガス株式         会社社長)   高田 五郎君         参  考  人         (日東化学工業         株式会社常務取         締役)     和田 伯士君         参  考  人         (主婦連合会組         織宣伝部長)   吉田静子君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 十月十七日  委員河野金昇辞任につき、その補欠として山  手満男君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員中村幸八君及び中村純一辞任につき、そ  の補欠として樋貝詮三君及び井上信貴男君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十七日  委員井上信貴男君、今泉貞雄君及び樋貝詮三君  辞任につき、その補欠として中村純一君、中野  武雄君及び中村幸八君が議長指名委員に選  任された。 同月二十九日  委員中野武雄辞任につき、その補欠として今  泉貞雄君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  中村幸八君が理事補欠当選した。 十月十八日  大淀川発電所復元に関する請願平井義一君紹  介)(第七六号)  奥只見川流域変更による電源開発反対請願(  菅家喜六紹介)(第一〇四号) 同月二十二日  電源開発促進等に関する請願辻寛二君紹介)  (第一八七号)  工業技術庁陶磁器試験所廃止反対請願大石  ヨシエ紹介)(第一八八号)  中小企業に対する金融対策確立に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第一八九号) 同月二十六日  電気料金値上げ適正化に関する請願松浦東介  君紹介)(第三六三号)  電気料金値上げ反対請願佐藤重遠君外四名  紹介)(第三六四号)  同(關内正一君外一名紹介)(第三六五号)  中小企業者に対する金融対策強化拡充請願(  塩田賀四郎紹介)(第四四七号)  工業技術庁陶磁器試験所東海支所廃止反対の請  願(多武良哲三紹介)(第四四八号)  丸山ダム建設に伴う治水利水権に関する請願(  江崎真澄紹介)(第四八五号) の審査を本委員会に付託された。 同月十八日  南西諸島向輸出品に対する輸出品取締法一部緩  和に関する陳情書  (第九号)  電源開発増強促進に関する陳情書  (第二  一号)  モーターボート競走地指定に関する陳情書  (第二八  号)  北陸通商産業局設置に関する陳情書  (第五三号)  中小企業金融打開策に関する陳情書  (第八二号)  中小企業振興対策に関する陳情書  (第八三号) 同月二十二日  北海道における電源開発増強促進陳情書  (第二二五号) 同月二十四日  煖ちゆう房用家庭炭の確保に関する陳情書  (第二二五号)  奥只見川流域変更による電源開発反対に関する  陳情書(第  二二九号)  度量衡事務諸手数料の収入を地方庁へ委譲の陳  情書(第二三  七号) 同月二十七日  中小企業滞貨金融に関する陳情書  (第二六八号)  中小企業簿協同組合育成強化並びにその課税  免除に関する陳情書  (第三〇一  号)  電気需給調整規則改訂に関する陳情書  (第三三号)  貿易振興に関する陳情書  (第二二五号) 同月二十九日  只見川電源開発促進協力に関する陳情書  (第三四〇号)  ガス料金減額に関する陳情書  (第三五四号)  北海道における中小企業金融難打開等に関する  陳情書  (第三五八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長補欠選任ガス料金に関す  る件     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。  この際委員変更についてお知らせいたします。去る十七日委員河野金昇君が委員辞任せられ山手滿男君が、同二十六日委員中村幸八君及び中村純一君が辞任せられて樋貝詮三君及び井上信貴男君が、同二十七日井上信貴男君、今泉貞雄君及び樋貝詮三君がそれぞれ辞任せられて中村純一君、中野武雄君及び中村幸八君が、また昨二十九日中野武雄君が辞任せられまして今泉貞雄君がそれぞれ補欠選任せられました。  なお以上の委員変更に伴いまして、理事、小委員長及び小委員補欠選任をいたすのでございますが、それについてお諮りいたします。中村幸八君は本委員会理事及び地下資源開発及び合理化に関する小委員長であり、中村純一君は工業に関する小委員長でありますので、両君が委員補欠選任せられたのに伴いまして、それぞれ従前通り選任いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではそのように決定いたします。  なお中小企業に関する小委員武良哲三君及び繊維に関する小委員中村幸八君がそれぞれ辞任せられましたので、中村幸八君を中小企業に関する小委員に、多武良哲三君を繊維に関する小委員に、それぞれ選任いたしたく存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではそのように決定いたします。  次に山手滿男君を中小企業及び繊維に関する小委員とし、その他の補欠選任せられた委員はそれぞれ従前通りの小委員に選任いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではそのように決定いたします。     —————————————
  6. 小金義照

    小金委員長 次にガス料金に関する件について調査を進めます。本件につきましては種々議論のあるところでありまして、国民生活上重要なる問題でございますので、先ほどの理事会において御決定を願つたところに従つて、当委員会といたしましては、調査参考に資するため、東京ガス株式会社社長高田五郎君、日東化学工業株式会社常務取締役和田伯士君及び主婦連合会組織宣伝部長吉田静子君、以上三君を参考人として御意見を承りたいと存じますが、御異議はござはませんか。     〔「異議なし」もと呼ぶ者あり〕
  7. 小金義照

    小金委員長 それではさよう決定いたします。  参考人方々に申し上げます。参考人におかれましては雨の中をわざわざ御出席くださいましてまことにありがとうございました。何とぞ忌憚のない御意見をそれぞれの立場からお述べくださるようお願いいたします。  なお念のために申し上げますが、各参考人の方の発言の時間は大よそ十五分間にお願いいたします。御発言の際は規則によつてその都度委員長の許可を受けられることに相なつておりますので、御了承願つておきます。  それでは本件につきまして、まず公益事業委員会当局よりガス料金改訂についての説明を求めます。
  8. 宮原清

    宮原説明員 ガス料金改訂につきましてこれから御説明申し上げるのでありますが、事いささか専門にわたり、かつ数字の問題がございますので、ガス課長をして御説明させたいと思いますから御了承いただきたいと思います。
  9. 小金義照

    小金委員長 お諮りいたします。事が専門的にわたり、かつ数字の問題がございますので、ガス課長説明員として、この際ガス課長から説明を聴取することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではそのようにとりはからいます。小池君。
  11. 小池輝一

    小池説明員 おさしずによりまして私から御説明を申し上げさせていただきます。御了解願いやすいようにお手元に資料を差上げてございますので、大体これを朗読しながら補足させていただきたいと思います。  ガス料金は昨年の七月に現行料金改訂を見た次第でございますが、その後各種の経済情勢変動につれまして、原価要素が非常に高騰して参りましたために、適正な採算事業を遂行することが非常に困難であるということを主たる理由として、八月末までに全国七十四の事業者のうち、六十四事業者から料金改訂の御申請を頂載したのでございます。委員会といたしましては、料金算定するにあたつてガス料金算定基準に関する規則——これは原価主義をベースにして料金をはじき出して適正なリターンをそれにプラスして、結論的には事業者の健全なる企業育成需要家の利益の尊重という、二つの要素を兼ね合せてバランスする仕組みで料金算宅をすべしという建前なつてございますが、その規則従つて審査をさせていただきました結果、計算の過程においてミステークを幾つか発見いたしましたので、各事業者申請書をさしもどしまして御訂正をお願いした次第であります。これを受けられまして六十四事業者改訂をなされました結果、当初お出しいただきました原案比較いたしまして、料金値上率全国加重平均いたしまして二%程度低目の案になつて出て参りました。この案が大体全国加重平均いたしまして二一%前後におちついた次第であります。これを受けまして聴聞会——これは公共事業令の規定に従つていたしたわけでありますが、聴聞会開催手続を公示いたしますと同時に、各社原価計算の中味を示した書類を公益事業委員会の事務所及び全国九箇所の支所一般に公示いたしまして閲覧し、御関係方々にごらんいただいた次第でございます。この閲覧の法定期日を経まして、十月十二日から十七日までの間に、全国九箇所で全事業会社に対する料金関係聴聞会を開催いたしたのであります。その聴聞会意見を取入れまして最終的な補正を行い、ただいま一応の成案に達しまして、司令部その他関係方面最後的な了解を得た上で一両日中にとりきめまして、十一月一日に正式に認可をさせていただくつもりで準備を進めておる次第でございます。  最後に、補正いたします前の案につきましては、先般聴聞前に通産委員会皆さん方にも御説明いたしたことがございますので、その後の経過を主として申し上げたいと思います。最終的な補正考え方につきましてずつとそこに羅列してございますが、まず第一に聴聞会の模様は、大体各地とも非常にはげしい反対にはぶつかりませんでしたが、ただやはり需要家立場から値上げは困るという御議論はかなり伺つたのであります。大体経済的に考えまして、企業採算維持という最低限度を守る範囲において可能な御主張は、全般的な問題でございましようとも、その会社自体に対するだけの問題でございましようとも、いずれもこれを取上げて採用させていただく方針をきめた次第でございます。  第二に、御承知のように最近非常に石炭その他の価格が上つておりまして、修正案に織り込みましたのは、大体今年の七月末の各社契約実績炭価でございますが、これではとてもやつて行けないというお申出が各事業者から相当強くございましたが、先行きの見通しについては非常に困難でございますので、聴聞会後のそういうお考え方の御変更につきましては、この際は取入れないという建前をとりました。  第三に、主として文部省方面からの御主張でございましたが、学校関係試験研究関係に対する料金割引、あるいはたくさんのメーターを使つておるのを一本に計算して割引してほしいという御意見に対しましては、先ほど申し上げたように、原価計算主義建前で貫いておりますのと、もう一つはお使いになる使用者負担をすべての方に公平にお願いするという建前からいたしまして、特定の部門にだけ割引制をつくることは一種の政策料金になりますので、この際これはのんでいただくことにいたしました。なおガス電気送電ロスと同様に、漏洩が非常に多うございまして、終戦後はガス供給量の半分くらいが漏れてしまつてつたのでございますが、最近企業者の御努力によりまして漸次減りました。昨年の料金改訂のときには一一%のロスだけを料金に織り込みましたが、この際非常な企業努力をお願いして、八%までしか漏洩率を認めない。これによつてガス供給量がふえまして値段もそれだけ下るわけであります。  第五番目に、修繕費価格の中に大きな要素を占めるわけでありますが、これは修繕費の立て方をどう見るかと考え方によりまして、それぞれ議論が出て来るかと思います。私どもの方としましては、事業のサービスの向上と、企業体の強固な育成という見地からいたしまして、長きにわたるガス事業育成という面を考えて、戦前の平準時を例にとつ標準修繕費の概念を取入れまして、それからはじき出した数字修繕費の織込みを考えた次第であります。  第六は、人件費全国平均約一万五千六百七十円くらいになつておつたかと思いますが、これは最近のCPSの金額と比較いたしまして約六百円くらいの開きがあるかと思いますが、最近の企業体の一人当り石炭処理能力、エフイシェンシーの点を考えますと、一応この線が妥当であるということにして、この人件費は各所の申請案通り織り込んでございます。  減価償却につきましては、ガスは長年定率法でやつて来られたのでありますが、この際料金を引下げることをモツトーとする建前からいたしまして、定率法から定額法にお切りかえ願いました。また再々評価をなさろうとする向きがかなりございますが、これについても一〇〇%を認めるということはいかがかと存じますので、法定限度額の九〇%までしか料金織込みは認めない。事実上一〇〇%なさることは御自由でありますが、料金の面では九〇%までという考え方とつたわけであります。それから配当率につきましては、これは委員会として同時にやつております電気の方が実は一〇%になつておりますが、ガス事業電気事業と異なりまして非常に厖大な資金を必要とし、本年度において約六十数億の資金需要しておるのでございますが、これはほとんど自由市場から他の産業と競争してかち得なければならぬ、国家資金の流出はほとんど見られないという特殊事情を加味いたしまして、マキシマムの一五%の配当はやむを得ないものと考えた次第でございます。  次に副産物ではございますが、コークス価格は昨年の価格改訂時に比べまして著しく上昇いたしております。この上昇率石炭上昇率とパラレルでございますならば料金値上げは必要としないわけでございますが、現実には石炭値上りほどになつていない。コークス一トンをつくりますのに石炭が二トンいるわけでございますので、一トンの石炭値上りが二倍になつた場合、コークス値上りが四倍になれば、ただいまの議論はバランスするわけでございますが、現実の内容はそこまで行つておりませんので、その開きだけを料金に見ざるを得ないことになつたわけであります。なおかつコークスの織込み価格について、もつと企業努力の余地あるものと考えまして、さらに二百円ないし四百円程度を、大会社においてはコークス織込み価格を上げまして、料金低下努力していただいた次第であります。  このようなおもなる要素から最終的補正をいたしました結果、最後におきましては全国加重平均聴聞会にかけました案に比べまして、約三%の値下り、当初の申請案原案に比べましておおむね五%の低下全国平均いたしまして一八%何がしの値上り率なつた次第であります。一番うしろにその詳しい各社別のデータを書いた比較表を掲げてございますので、ごらんいただきたいと思います。  なおこの料金値上げの実施は十一月の一日に認可いたしますと、十二日ごろから効力を発生する法律的な手続なつております。  次にこの料金値上げ家庭及び産業に及ぼす影響につきまして一言申し述べさせていただきます。まず家庭に及ぼす影響でございますが、現在ガス使用総量の約五六%は一般家庭使用のものでございます。ことに今日以降一般家庭消費量は非常な勢いで逐増する傾向がございますので、そのパーセンテージはさらに上まわることがあると私どもは信じているのでございますが、この料金値上げの家計に及ぼす影響を見ますると、かりにこれを東京に例をとつて考えますと、本年の四月ないし六月間の毎月平均のC・P・S勤労者世帯当り平均収入が、家族四・六八人といたしました場合、一万七千五百六十四円に相なつております。現在一世帯ガス平均使用量は大体五十立方メートルでございますので、税込み現行料金が月に平均東京で六百八十四円でございますのが、新たに八百五円となります。負担の増が百二十一円でありまして、全生計費に及ぼす影響は、ただいまのC・P・Sの数字と照し合せますと、〇・六九%になつております。同様の計算で六大都市の平均をとりますと、〇・六四%になるわけであります。なお念のために東京ガス普及率は総戸数の約六〇%に及んでおりまして、まだ戦前に比べて戦前に達しておりませんが、これは一つのメートル、つまり一つ家庭で幾世帯か入つている関係を考えますと、普及率はもう少し上つているとお考えいただいて誤りないと思います。またこれを今度の新料金計算で行きますと、最近のほかの競争燃料との比較をここにやつてみますと、かりに一升の御飯をたきます場合にかかりますコストが、ガス標準に置きまして一といたしますと、電気は冬場で二・二三、夏で一・七五、木炭——これはたしか一俵四百円を標準にしてはじいたと思いますが、一・六九、薪で一・一〇でございまして、相対的にはまだこれでもガス料金の方が一番安いということが一応申し上げられると思います。  次にほかの産業に及ぼす影響につきましては、電気の場合と著しく趣きを異にいたしまして、約一七%程度工業需要でありまして、それ以外が一般商業角及び進駐軍関係需要でございます。これも東京の場合でございますが、工業部門に例をとりますと、ガス値上り率の結果、それぞれの工業事業者のおつくりになる製品に及ぼす価格影響は、真空管アンプルで一・七七%の増、金属機械で——この機械金属部門が一番星が多いと思いますが、〇・三九%、ガラス加工で〇・六二%、工業需要全部の平均で、千円に対して六円三十銭という程度でございます。かように産業に及ぼす影響はきわめて軽微でありまして、ほとんどそうひどい痛手はおかけしない結果に相なるだろうと考えている次第でございます。  一応ただいま申し上げましたような基準料金をはじきまして、あとにございます案をつくつた次第であります。これはまだ関係方面最終的承認を得ておりませんので新聞発表もいたしておりませず、本日初めてここに配付いたしたような次第でございますので、お含み置き願いたいと思います。
  12. 小金義照

    小金委員長 以上をもちまして公益事業委員会説明は終りました。次に参考人方々より御発言を願います。東京ガス株式会社社長高田五郎君。
  13. 高田五郎

    高田参考人 ガス料金改訂申請をいたしました理由につきまして簡単に申し上げます。申請は六十四社ございましたが、私は東京ガス会社立場において申し上げたいと存じます。  ガス料金認可を要しますところの統制価格でありますが、これがためにはガス料金及び原料炭、及びコークス価格一般物価との間に、いわゆる関連価格として均衡と安定が保たれておることが絶対に必要でございます。しかるに経済情勢変動から、この関連価格均衡と安定とが今日くずれてしまつて、現在の料金安コスト高となつたのでありますが、それでは事業経営は困難であるばかりでなく、公益事業としての使命達成にも支障を来しますことは明白なことでございます。しかも従来のガス料金は低物価政策見地から、政策的にきわめて低く押えられまして、この企業経営立場を十分に考慮されなかつたように思うのでございます。現行ガス料金は昨年の七月に改訂されたものでありますが、その際料金原価に織り込みました諸要素は、朝鮮動乱以後発生経済情勢の変化によりまして、著しく変動を来している次第でございます。まず原料炭の著しい騰貴に加えまして、修繕材料費等も大幅に値上りいたしまして、その他資産の再評価による償却価格増血固定資産税増加等の結果、今日では料金の適正さが失われておるのでございますが、この中にも特に原料炭価の著しい騰貴は非常なる影響を与えておる次第でございます。もちろん当社といたしましては、この経済情勢変動に即応いたしますために、設備機械化生産能率向上漏洩の低減、経営管理合理化等によりまして、極力コスト低下するようはかつてつたのでありますが、なおこの間コークス等副産物値上りはありましたものの、それだけでは原価の上りましたことをカバーできないのでございます。その結果収益力の不足から、製造、供給等設備維持、あるいは更新いたすことが困難となりまして、このままで進みますならば、償却も十分に行うことができませんし、数年にして設備及び資本を食いつぶし、かつ供給能力低下なつて、公益的な使命の遂行はまつたく困難な状態に立ち至るのでございます。  かような理由によりまして、今般ガス料金改訂申請いたしたものでありますが、料金原価算定の方式は、もちろん公益事業委員会が制定せられましたところのガス料金算定基準によつて計算いたした次第でございます。この料金原価算定の際に、需要家生計費並びに他産業に及ぼしますところの影響はきわめて少くするように考慮いたしまして、企業努力を十分に織り込みまして、最小限度値上げ申請をいたした次第であります。すなわち料金改訂しましても、本社のありますこの京浜地区供給区域においては、平均二割一厘、それから地方の供給区域におきましては二割六分一厘の値上げ程度にすぎないのでございます。  次にこれらの原価費目並びに供給規程の改正につきまして少し述べたいと思うのでございます。それで原価費目の中で、原料炭騰貴がどうかということを申し上げたいと思いますが、原料費の中で原料炭が総原価において占めています割合は、二十五年度の実績におきましては五七%、申請料金では実に六三%を占めておるのであります。その平均価格は、昨年七月の現行料金改訂のときに比べますれば、現在では三七%方値上りしておりますし、原料炭市況は、朝鮮動乱発生以来の鉄鋼その他の産業の活況に伴いまして、需給関係がまつたく不均衡になりまして、逼迫の度を加えて参りまして、そのため価格は著しく騰貴したのでございます。将来においても引続き市況はますます強調でございまして、価格は一層高騰するものと考えられるのでございます。それは山元の生産原価についても、値上り材料としては、あるいは労賃が上るとか、あるいは資材費電力料値上りが考えられる。運賃につきましても、貨車運賃船運賃港湾荷役はしけ賃等、それぞれの値上りが予想されますので、そのはね返りは直接ガス料金原価にも重大な影響を及ぼすのでございます。また最近の電力事情の悪化は、火力発電用石炭需要を一層激増せしめましたので、ひいては原料炭需給関係を逼迫させまして、その影響するところ、ガス事業にとりましても楽観を許さない次第でございます。当社は最近のガス需要の旺盛なる要望にこたえるために、原料炭につきましては、必要量の確保に最大の努力を払つておりますが、国内炭の絶対量がはなはだしく不足いたしており、将来も引続き相当量の不足が予想されますので、今日価格の著しく高い外国炭にも依存しなければならないのであります。これらの米国炭あるいはインド炭等の外国炭を使いますことは、コスト影響する度合いもおのずから高くならざるを得ないのでございます。副産物コークス価格は、現行料金改訂当時と現在と比較すれば、その値上率は五七%上つておりますが、もともと原料炭一トンから生産されます、得ることのできるコークスの量は、おおむねその半分以下でございますから、コークス価格騰貴額が原料炭価格騰貴額の二倍になりますれば、原料炭値上りコークス値上りによつてほぼカバーせられるのでございます。しかるに今日のごとく原料炭騰貴率が三七%であつてコークスがその倍額でなくて、五七%では、その比率が一倍半しかならないのでありまして、料金改訂の重要な要素がここにあるのでございます。  また次に修繕材料でございますが、当社は厖大な発生炉とかあるいはガスの精製装置とかコークスの処理装置等の製造の設備とか、あるいは銅管、ガスだめ、メーター等の供給設備使用して、ガスを豊富、円滑に供給する必要から、また危険の防止、安全保安上の必要からも、不断に絶えざる修繕補修をゆるがせにすることができないのであります。しかもガスの供給を断続しないでこれが処置を必要とする現在の実情にあるのでございます。ところがこれらの修繕材料価格騰貴は、現行料金の定められましたときと現在とを比較しますれば、その騰貴率はいわゆる鋼管、鉄管におきましては一七三%、一般の鋼材におきましても一七一%、セメント一一五%、耐火れんが五一%、鉛二七二%、銅八三%のごとく高率を示しております。経済情勢の推移によるのでありますが、今後の見通しといたしまして鋼管や一般の鋼材は目下横ばいでありますけれども、まだまだ先は予測はつかないのでありますし、鋳鉄管も当分変化はございませんし、その他の材料もなかなか現在ちよつと下る見込みはないのでございまして、従来の料金原価ではこの費用の増加をまかなうことはとうてい及びもつかなくなつた状態に追い込められている次第でございます。今回申請原価に織り込みましたところの修繕費の、総原価に占めます割合は一一%でありますが、これは昭和五、六年度における同一の割合の一二%に比較しますならば、なお低い率で織り込んでいる次第でございます。  次は減価の償却費でありますが、当社は相当厖大な固定資本を擁しておりますので、常に資産維持更新をはかるため、資産の公正なる評価と、これに対します適正なる減価償却を必要とするのでございます。しかるに終戦後は、償却もきわめて不十分であつたところへ、昨年の七月に行つた資産評価は、ガス料金が低いため、収益力が不足するために、当社の再評価額は法定額の約七〇%程度にとどめざるを得なかつた次第でございます。しかも現行料金には資産評価分の減価償却の増加は織り込まれておりませんので、現状のままにしますならば、設備や資本をますます食いつぶして、結局ガスを豊富に円滑に、安全に供給するという当社の社会的な使命の遂行がまつたく不可能となるのでございます。従いまして資産評価の適正な実施と、これに対応するところの適正な減価償却料金織込みが絶対に必要でございます。  なお当社の現在持つておりますところの設備は、これを再建しますとするならば、約五百億を要するのでございますが、かりにこの再建費をここで全額回収いたしたとしても、減価償却は相当大きいことになるのでありますが、当社が見込んでおります償却額はこれに比べればまことに少額なものしか入れていないのでございます。  次に固定資産税について申し上げたいと思います。固定資産税は、昨年料金がきめられましたときにはなかつたのでありますが、その後に起りました新しい事情でありまして、これが料金原価に及ぼします影響もまた少くないのであります。なお需要家の新増設の申込みに対して、ガスの供給を豊富円滑にするために、製造供給設備を拡充すれば、これに伴いまして固定資産税はさらに今後も増加して行くことは明らかなことでございます。  さらに公正報酬のことについて申し上げたいと思います。今日産業の回復に従いまして、ガス需要が増加して参りましたが、これに伴いまして、製造及び供給設備の改善、拡充強化をはかりますことは、公益事業といたしまして社会的使命の遂行上絶対に緊急なことなのでございます。これまでも設備資金調達のためには、増資及び社債の発行その他によつて努力して参つたのでありますが、投資市場は自由競争にまかされておりますので、自然ガス事業のように利潤のきわめて低い企業には資本が入つて来ないのでございます。当社は戦災後の整備によりまして、社内の蓄積は非常に乏しくございますし、また収益も少いので、勢い設備資金は、公正市場の事情から見まして、その調達がなかなか困難な今の状態になつております。従来のガス料金には公正報酬は認められていなかつたのでございますが、それでは資金の調達が不可能であり、事業は行き詰まつてしまうのであります。当社は真にやむを得ない措置ではありまするが、雑収入によりまして償却金を少くしまして、最近ようやく二、三期間低率な配当を行つた次第でございます。これも資金を得て、次の拡張に充てるということにほかならなかつた次第であります。今後かような措置をなすことのないように、また現在の経済の情勢から見まして、資金の調達のために一五%程度の公正な資本土の報酬を申請いたしましたが、国家融資を認められることが至難であります現状では、むしろこの率では低過ぎるのではないかと思うのでございます。  以上、本申請をいたしましたやむを得ない事情につきまして申し上げましたが、さしあたつて需要者の負担が増加することは、今日の経済の情勢から申しますと、好ましくないことは言うまでもないことであります。しかし現在の料金では、前申しましたように事業設備が荒廃いたしますし、供給の不円滑を来しまして、ガス事業としての社会的使命の遂行は困難となつて、かえつて需要者各位に迷惑をかける事態が招来すること必至とも考えられるのでございます。つきましては、当社はこれまでも経営の合理化をはかり、コスト低下とサービスの向上努力して参つたのでありますが、今後とも設備の改善、作業能率の向上副産物の品位の高度化、販売工作の刷新、経営管理の改善等、技術面におきましても、また経営面におきましても極力これが合理化を促進することは申すまでもない次第であります。  今回申請いたしました申請料金最小限度のものであることを御認識くださいまして、どうか御承認願いたいと思いまして改訂を申し出た次第であります。以上で終ります。
  14. 小金義照

  15. 和田伯士

    和田参考人 私は日東化学工業株式会社常務取締役和田でございます。私ども会社では、東京と横浜と青森県の八戸で硫安、過燐酸等の化学肥料と薬品類を製造いたしております。研究用等に、東京、横浜の両工場でガスを月間約五千リユーべ、コークスは八戸と横浜の両工場で月間約一万二千トン使用いたしております。その一万二千トンのコークスで硫安を月間約一万六千トン製造いたしております。私は硫安業者の代表としてここに出席したわけではございませんが、一通りコークスと硫安工業関係を申し述べて行きますと、昭和二十五年四月から二十六年三月までの一箇年間の硫安の全国生産高は約百五十万トンでありまして、この製法別内訳を申し上げますと、コークスを原料といたします俗称コークス法の硫安は八十一万三千トン、電気を原料といたします電解法硫安が四十万トン、石炭をそのまま原料として使います石炭法が二十八万トンとなつております。全硫安の五三%がコークス法によるということになるわけでありまして、これに用いますコークスの量は約五十五万トンに当るのであります。すなわち硫安の半量以上がコークスによつて製造されるのでありまして、これにさらに年間約三十万トンの石灰窒素がやはりコークスを原料とすることを思いますならば、八千万国民の食糧の基本中の基本資材であるところの窒素肥料はコークスなくしてはできないということになります。極言いたしますれば、窒素質肥料はすなわちコークスである、コークスはすなわち食糧であるということまで申し上げられるかと存じます。  御承知の通り、ガス会社の経営の主体は、ガスの製造販売とコークスの製造販売で成り立つているわけでありますので、ガス料金コークスの値段との間には密接なる相関関係があることはすでに皆さん御承知の通りであります。今回のガス料金算定にあたりまして、私ども重大なる関心を払わなければならないゆえんはここにあるのであります。  コークス値段とガス料金とは、これを昭和七年ないし九年の三年間の平均値をペースといたしまして、その後の推移を見てみますと、そのペースにとりました昭和七—九年の平均値は、石炭一トンの価格が十一円四十銭となつております。それに対しましてコークスは十八円で、ガス一リユーぺが八円三十六銭となつております。これに対しまして終戦後の昭和二十二年二月を見ますと、石炭がそのベースの十七・五五倍、コークスは四十一・六〇倍、ガスは十七・九五倍となつております。それから二十三年の七月に至りますと、石炭は百二十一・六倍、コークスは三百一・六倍、ガスは六十一・八倍、それから二十六年の七月、これは多少推定の数字も入つておりますが、ほぼこのあたりに落ちついたと思つております。二十六年の七月は、石炭は六百六倍、これに対しましてコークスは五百六十六倍で、ガスは百六十倍にとどまつております。石炭値上りいたしますれば、この影響は当然コークスガス原価に直接響いて来る次第でありますが、一般的な常識の考えからすれば、この響き方の比率はガスにもコークスにも均等に響いて参るべきだと考える次第であります。しかるに前述のようにコークスは五百六十倍にも暴騰したにかかわらず、ガスは百六十倍にとどまつておる、このことはコークスの犠牲のもとにガス料金が不当に低位に押えられていると私どもとしては考えるほかはない次第であります。前述のようにコークスの値段が不当に高いということは、結局肥料の値段を騰貴せしめ、ひいては国民全般の生活の根底たる食糧の価格を高騰せしめ、ガス需要者以上に全国広汎にわたる国民の公益を蹂躙するという結果になるのではないかと考えられます。私どもももちろん一都民といたしましてガス料金値上げは直接台所に響きますし、家庭経済には多少とも影響のあることは存じております。そうでありますので、ガス消費大衆のためには料金値上げには反対をとなえたいところでありますけれども、一方コークスの問題を考えますとき、この問題は常に両者を冷静に勘案いたしましてあんばいすべきものであることを申し述べたいのであります。われわれはガスコークスもともに安価なることを理想といたします。しかしながら原料炭価格が何らかの方法で調整されない限りにおきましては、このことは現状において望むべくもないことと存じます。従つて現状のままをはつきり申し上げますならば、ガスコークスに比して不当に安価であるということを申し述べる以外に方法はないのであります。ただいま公益委員会の課長さんの御説明で、今度のガス料金値上げに対してコークスの方に二百円ばかりを値上げする——聞き違いかもしれませんが、二百円ばかりの値上げを見込んでおるということを申されたように聞きましたが、硫安業者といたしましては、コークスはこれ以上一円でも二円でも上げてこれを消化する余力はないのであります。この点は委員会におきましても、二百円くらいはということでなく、ひとつ考えていただかなければならないかと思うのであります。われわれはこのガス料金改訂にあたつてコークス価段の引下げをこそ期待すれ、さらに二百円、それ以上の値上りを見込まれるということは夢にも想像していないところであります。これはある一箇月の計算でございますが、全市販コークスの五三%がガス会社から供給されるコークスでありますので、ガス会社から供給されるコークスの値段は全市販コークスの値段を支配するものであることを特に申し添えておきます。  最後に御参考のために申し上げますが、硫安の三製法の原料費は昭和十二、三年ごろにおきましてはほぼ相ひとしかつたものであります。つまり平準の物価の年においては電解法もコークス法もあるいは石炭法もその原料費に関する限りはほぼ似たようなものであつたのでありますけれども、これをごく最近の状況に照してみますと、コークス法におきましては硫安一トン当り主原料としてのコークス代は七千円についております。石炭法におきましては四千七百円、電解法におきましては三千八百円ということになつております。いかにコークスが他の物価に比べて高いかをこれによつて御想像願いたいと思います。もちろんこのことは私どもで経験しておりません他社の電解法等も申し述べましたので、多少推定の数字であることを御承知おき願います。もちろん操業度等の関係で、総記産原価がこのままの比率で開いておるということを申し上げるわけでないことをここにお断りしておきます。以上をもちまして私の参考陣述を終ります。
  16. 小金義照

    小金委員長 次は主婦連合会組織宣伝部、長吉田静子君。
  17. 吉田静子

    ○吉田参考人 このたびの東京瓦斯株式会社料金値上げに対しましては、私ども一般主婦を代表いたしております連合会といたしましてはどうしても反対しなければならない立場にあつたわけでございます。東京瓦斯株式会社管内の需要家と申しますのが、先ほどもお話がありましたように約六十四万八千戸、そのうち都内にあります需要者がその約六割を占めておるというように考えられます。その家庭の中で特需の景気に潤されておるものは非常に少いのでありまして、その大部分の一般家庭は皆さん御承知のように精一ぱいの苦しい生活をいたしております。特にガス料金一つだけの問題じやなくして、受身になつておる家庭立場から申し上げますと、この間の電気値上げからお米の値上げ、あらゆるものを一切家庭でまかなわなければならないということになりますと、私ども家庭の主婦といたしましては、どこにもその不足の寄せどころがないというぐらいまでに困窮の状態でございます。そこで何とかしてガス値上げを防止したいというところから、瓦斯会社の経営の状態を私ども主婦の力で幾分見まわしてみたわけでございます。そうして現在のガス価格公益事業料金といたしましては割合高いところにあることを一つ見つけました。これを証明いたしますと、この間上りました電気のことはこれを別といたしまして、ラジオにいたしましても五十倍、都の水道料金にいたしましても六十九倍、国鉄の運賃にいたしましても九十二倍、貨物の運賃が百六十六倍、郵便はがきが百三十三倍、電報料が百三十三倍、電話の料金が百二十八倍でありまして、ガス料金現行でさえも百八十二倍の高い率を示しておつたわけでございます。それでこのたびまたガス料金を上げなければならないという理由は成り立つまいと私ども思いました。それでも瓦斯会社の申しますのには、ガス料金は統制で全物価体系の中で一番低く押えられて来たものだということであります。私どもの考えではそれは昭和二十一年ごろではなかつたかと思うのでございますが、昭和二十三年以来五回の値上げをいたしております。私ども主婦の頭で考えただけでも、このたびの値上げはもう少し押えていただきたいというように考えるのでございます。瓦斯会社におきましては、値上げしなくとも、私どもの見るところでは、事業内容が非常に堅実なように思われます。去年の五月までの決算を見ますと、ガスコークスあるいはタール代というようなもので四十億三千六百万円、それから製造代、一般管理費、販売費というようなものを差引きましても二億三千万円の利益をあげております。昨年の七月より十二月までの約四倍も利益をあげておるように思われるのでございます。従つて株の配当というようなものも相当によいように思われまして、昭和二十四年九月以降一割の配当なつております。今期は一割五分、その上にガスに対する新規需要者というものは相当にふえておると思います。そういうところから見ましても相当の収益があるのじやないか。また一方資金の面で考えてみますと、このごろの事業家というものはほとんど資金の融通に非常に困難を来しておりますが、ガス会社資金の面ではきわめて順調でございます。戦災による設備復旧のために帝銀初め四つくらいの銀行から相当の融資を受けておると思います。昨年七月の第一回の社債は五億二千万円、その後七月までに五回発行しております。続いて最近第六回として一億円発行するというように私どもは聞いております。このような内容を持つておる東京ガス会社は、値上げ理由といたしまして原料炭、資材の値上り、あるいは減価償却、あるいは供給設備維持拡充、資金の調達といろいろ言つておりますけれども、これだけの内容を持つておるガス会社として、何とかここで一般家庭消費者のことをお考えくださいまして、どこかにそのさや寄せをしていただきたいものだと願わざるを得ないのでございます。ともに私どもの生活を考えてくださいますときに、どうぞ何とかそこに御協力を願いまして——先ほどのお話では平均百二十一円という話でございますけれども、そのはね返りというものが家庭に響くところは相当に大きいだろうと私どもは非常に不安に思つておるのです。原料炭朝鮮動乱後四割以上も値上げした、それが理由なのだというふうにたいへん苦しそうにおつしやつておられますけれども原料炭が上つたから料金を上げるのだというようなことは、これは最も素朴な考えではないかと思う。それならばあらゆる産業がその通りです。もしこれが個人経営の八百屋さんなりお魚屋さんであつてみたならば、よけい働いて自分たちの生活を切り詰めても何とかして消費者にはサービスをしなければならない。そういう気持で現在皆さんがやつていらつしやるのじやないかと思うのです。われわれ家庭の主婦といたしましては、収入はあまり上つておりません。あらゆるものが上り、また今度ガスが上るといたしますと、私たちの生活のやり方はほかに道がないわけなのです。家庭の主婦といたしましては、生活の合理化程度を越しますと非常な疲労を覚えます。その次に来るものは思想の悪化でございます。そうしたところまで突き落されておりますときに、私ども主婦の目で見ただけでもこれだけの堅実性とこれだけの内容を持つておるガス会社として、私どもに何とかもう少し御同情があつてもよいのじやないかと思うわけでございます。特に東京ガス会社は傍系会社といたしまして東京コークス会社を持つております。関東タール製品株式会社とかいろいろそうしたものを持つているのでございますから、私どもの生活でもいろいろとくふうしておりますように、これらの会社の運営を合理化して、消費者の値段は上げないでいただきたいものだと私どもは思つているわけでございます。このたびの料金値上げは、低い生活者が多いということをお考えくださいまして、なるべく家庭の消費者の負担にならないように、そういうところにお気をお配りくださいまして、絶対上げないようにはできないかもしれませんけれども、国民の生活の安定を考えないところに国の発展はないと思います。そういう意味において、どうぞ家庭というものを念頭に置いて、このたびの料金改訂をお願いしたいと私どもは考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  18. 小金義照

    小金委員長 以上をもちまして参考人の御発言は全部終了いたしました。  次に委員の質疑を許します。質疑は通告の順に許します。福田一君。
  19. 福田一

    ○福田(一)委員 ガス料金改訂についてでありますが、ガス会社といいましても千差万別でありまして、非常に大きい会社の持つている施設あるいは設備と、小さいものが持つているものとでは非常に違う。またその所々によりましての特殊事情等があるのでありまして、そもそもガス会社を一括して公益事業委員会の監督下に置くことがいいかどうかということは従来からしばしば議論のあつたところでありますが、この面について公益事業委員会としてはどういう見解をお持ちになつておられるか、これがまず第一に問題にすべき点だろうと思います。これについて委員会の責任のある答弁を承りたいと思います。
  20. 宮原清

    宮原説明員 福田さんの御質問にお答えするのには少し私準備が足らないことをおそれますが、しかしただいま考えていることだけをお答えして御参考にしてくだされば仕合せだと思います。  公益事業電気ガスとに限りまして、しかも電気が九分割せられて、大きな存在を九つ持つて方々々で区分をしております。しかるにガス事業は自由企業のあと、整備をされたと申してもおおむね所在々々にそのものがあるのでありますから、ただいまお話のごとく千差万別、その規模の大小によりまして発生するガス原価計算における差等が、非常に数多いものを表の上に一列にしますならばちよつと見当のつかないようなところもあるのでありますから、そういう意味においてこれらを一括して公益事業委員会が見ている場合に、さぞその間における誤謬が多いだろうという御趣旨であろうかと思います。しかしながらこれらは、やはり原価主義をもつて公益事業に関する価格算定をするのでありまして、それぞれの基本的な規制事項は、あげて料金算定基準にしてあるのでありますから、その間における公差においては、さまで混雑はないように確信いたしております。もちろん地方的事情、ことに原料を得る難易、また需要家の数が少いほどよけいかかるというような事実は、現存事情としては、対照的に調べるときには、かえつてはつきりしておるのではないかと思うのであります。従つて個々にあげて、平均幾ばくであるという率を、全国的の六十余りの値上げの要求に対して決定的な数字をお目にかけることは、あるいは事柄として当つておらないかもしれない。いわんや加重平均と申しても、各それぞれの数字についての適正なる操作が困難であるかもしれません。しかしこれは、全体が元が幾らであるということを、すでに今までの料金においても算定数字を使つたのでありますから、さて値上げ現実にしたものを集計してみての平均との対照上、勢い一応お目にかけるにすぎないと御了承いただくべきであろうかと思うのであります。すなわち所在々々におけるガス会社料金の変化について申し上げれば、それはむしろその平均とは離れて、現存のものがかりに一応一種の基本が成り立つておるものとすれば、それとの値上りについての対比だけをごらんいただくよりしかたがないと思うのであります。御質問の、いわゆる監督上ときに適正を失いはしないかという御懸念に対しては、私も地方へも参つて聴聞の会合にも出ましたが、なるほど大小によつて非常に違います。ことに技術面におけるものなどもひどく違うようであります。おそらく発生の上におけることは、設備のいい悪いよりは、操作の上における巧拙または原料炭の購入の巧拙などということが相当に影響するのだと思います。ただこれは電気のごとく、広くしかも共議範囲における処置が、いわゆるパイプを通しておるのとおらぬとの違いからしますと、どうしても所在々々における変化が非常に多いのだ。またそれを共通せしめることは意味身なさないということでありますので、平均で幾ばくという全国的なものを申し上げても、それをもつて一見標準とするに足りないということは、確かに認めております。ただそれを比較した意味は、先刻申し上げたようなことでありますので、さように御承知をいただきたいと思います。なおしかし私の御返事申し上げたことと御質問の意味が違いますれば、重ねて御質問をいただきたいと思います。
  21. 福田一

    ○福田(一)委員 私の質問しておる点は、御説の通り、今おつしやつた点ではないのでありまして、実をいえば、小さい地方的なガス会社などというものは、むしろ自由企業にした方がいいのじやないか、監督権を抜いてもいいのじやないかと思うのであります。なぜかといいますと、小さいところでは、先ほどおつしやつたようないろいろな理由もあります。もつと高くてもいいから、ガスをやりたいというようなところがある。またその方が住民のために便利な場合も多いのであります。そうしてそれを一律におしなべて、いわゆる公益事業という範疇にはめておくことの方が合理性がない。かえつて不合理になり、住民のために不便になる。ある一定の規模以上になつた場合、また一定数の、たとえば六大都市とか、あるいはその他の特に認むべきものがあるようなところでは、そういうような組織をするのもよろしいし、あるいは六大都市の周辺のようなところは、事業の性質上これを含めて行くということも考えられる。またやり方としては、合併あるいは吸収というようなことによつて、全般的な監督をして行くということも考えられますが、あまり地方的な小さいものまで公益事業としてその対象とすることは、これはさきの電気ガスの再編成令というか、編成令に関係がありますので、あるいは公益事業委員として答弁がしにくい問題があるかもしれませんが、方向として、将来適当な機会にこういうものをそのわくからはずすという方がよいのではないか、かように考えるので、この意味で御質問をしている次第であります。
  22. 宮原清

    宮原説明員 その点につきましては、ただいまおつしやつているように、私ども自身において、いかにかえるべきだという議論をする立場ではないと思いますが、たとえば周辺に対する送ガス設備等に関する合理化ということについては、現に大阪が、周辺の小さな都市に大きな無煙パイプを中心にして相当量を送つております。そうしてその結果、それらの小さい所は、以前非常に高かつたものが、合同して一企業における中心においての発生ガスを圧力で送つてもらうために、京都あたりまで大阪からのものが送られて安くなつている。豊中だとか、ああいう周辺の市、おそらく二十一近いものが、それぞれ一本の所在から送られているものが大部分である。そのような実例から申しますと、非常にコストが下つて、その周囲から都合のよいことを感謝されているようであります。またただいまの、かえつて不便ではないかというお話でありますが、天理教の所在地である丹波市にあるものを、この間の聴聞で承知したのでありますが、これなどは、小さな会社で協同組合のようなかつこうでありまして、実際計数的に成り立たないのであります。従つて非常に高い。今回の値上げでも、一番高い三割九分九厘というような要請をしております。そういう所在のことを考えてみますと、ただいまのお話にちようど当てはまるのでありまして、そういうものは、まことに統制などというかつこうで事業の監督を受けることは迷惑であるかもしれません。しかしまた一面において、共同で出しておる自家用というようなかつこうであればとにかくでありますが、やはりそういうところでも、一定の標準を与えられることが、企業経営をする者の立場から申して、かつてなことができないということと、もちろんそういう組合でありますから、ほとんど企業者すなわち経営者であるようなかつこうでありますけれども、これに類したものも、やはり一応の規制を与えられることが、かえつて仕事の上において、あらゆる意味において都合がいいかもしれません。これは実質的に問題個々について考えなければ適当なお答えにはなりませんが、今のように、そういう人人からこの規制を受けることは非常に迷惑だという声はまだ聞いておりませんので、従つて意見としては承り、将来のこととしては、われわれも一応考慮に入れるといたしましても、さしあたりのところでは、そういうことに対する特別の考え方は、少くとも委員会としてはいたしておらないのであります。かように御承知を願います。
  23. 福田一

    ○福田(一)委員 今あなたの御答弁を承つてみますと、公益事業委員会委員としては、そういうような法律の問題にはあまりタツチしたくない、こういう御見解のように承つたのでありますが、私はこれは大きな考え方の相違であろうと思う。公益事業委員が自分の担当しておるこの問題をよく検討して、また研究をされまして、これが社会のために国家のためによくないとお考えになるならば、当然それを改善するような考え方もお持ちになつてよいのではないかと考えます。もう一つ、何も私はあげ足をとつておるのではないのでありますけれども、まだそういうような声が出て来ないのだからその必要はないと思うというような御答弁と承つたのでありますが、およそ声のない声を聞くのが政治でありまして、公益事業委員のごきげんを損じたら値上げも認めてもらえないだろう、何か頼みに行つてもやつてもらえないと思つて、だれも公益事業委員会の権限を少くするような問題をあなたのところへ持つて行く道理はないではないかと思う。そういうことではなくて、もつと下の方まで掘り下げて、こういうような種類の問題を解決して行くというのが私は政治であろうと思う。一般の事務的な問題を処理しておれば、それで能が足りるようなふうに答弁されたのではないかと私は考えて、もしそうであつたならば、はなはだ遺憾であります。しかしながらこの問題は、別途の機会に考慮した方がよろしい。今の問題とは直接関係がないかもしれませんから、一応この程度で私は質問を打切ります。しかしこの点は将来も十分お考えを願つて、あなたの御所管のことを法律できめておるからといつて、その法律できめておることは金科玉条であつて、今後変更する必要はないというようなお考え方でおやりにならないことを特に強く希望を申し述べておきます。  そこで今回のガス料金改訂について問題になるのは、こういう小さい地方の問題ではなくて、主として東京、大阪あるいはその他の六大都市を中心にしたような需要家が非常に多いところの料金値上りすることの影響がいかがあるべきであるかということを、今対象にして行くべきだと考えるのであります。先ほど東京ガス、日東化学また主婦連合会というような方面の参考人からも陳述があつたのでありますけれども、その中で私たちが一番切実に感じ、またふだんからさように考えておりましたのは、やはり需要者、特に一般家庭ガスが及ぼす影響がどんなものかということであります。しかしこれは抽象論をもつていくら議論をしても意味がないと思いますので、そこで公益事業委員会に承りたいのであります。たとえば東京ガスなら東京ガスというものの経営の実態について、どの程度調査を今までにされて、そのガス値上げが合理的であるという判斯を下されたか。先ほどの説明によりますと、ただ一般的に全国的な平均のようなものを申されたのでありますが、むしろこれは重点を東京とか大阪とか名古屋とかいうようなところに置いて、こういう方面においてそれぞれの会社の経営がいかが相なつておるかという具体的な数字が出て参りませんでは、この案の審議は私ははなはだ迷惑だと思うのであります。この意味においてどの程度調査を進められておつたか、まずそれを承り、またその調査がいかがなつておるかということについて説明をお願いいたしたいと思います。但しこれは東京も大阪も京都もということをいつておりますと、あまり時間をとりますから、さしあたり東京についてはつきりした数字を示していただきたいと思う。
  24. 宮原清

    宮原説明員 ただいまの御質問については、要するに経理の上における実態いかんということに帰するかと考えますので、この点につきましては、そのことに当つておりますガス課長から一応御説明を申し上げさせたいと思います。
  25. 小池輝一

    小池説明員 ただいまのお尋ねにお答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、去る六月の聴聞会を経て決定を見ました料金算定基準にのつとつて、今回の原価計算をさしていただいたわけでございます。その前に一つ申し上げたいと思いますのは、御承知と思いますが、従来ガス料金は、六十四の会社に対して政府が改訂の都度決定しておつたようなわけであります。このたび委員会制度になりましてから、各事業者が自主的にその算定基準にのつとつて計上されました金額を受取りまして、ただいまお尋ねのような趣旨に基く内容の審査をさしていただき、なおかつ各方面の利害関係方々の御意見聴聞会を通じて拝聴し、もし企業努力によつて原価を吸収し得る面があるとすれば、その点は査定によつて削減するという措置を建前として参つております。大体の審査方針は、従来政府がやつておりました、つまり物価庁がやつておられました方針に——二、三の箇所では新しい見方はいたしておりますが、大体従来の方針にのつとつたということをまず申し上げたいと思います。大きな要素を占めますものは、原材料費、修繕費、労務費等、それから利潤、副産物関係コストでございます。大体原価計算のいたし方は、料金改訂に伴う一年間の新料金が乗るべきペースの期間と、その前の一年間、旧料金の期間の総原価とを見合いまして、その開き値上げ率になつたわけでございます。まず最大の理由でございます石炭につきましては、東京ガスの場合に原価の六十数パーセントを占めておりますので、最も大きな要素でございます。これは先ほど申し上げましたように七月—九月の東京ガスで契約されました炭価実績とつたわけでございます。炭価は御承知のように上つてつておりますので、一月、二月ごろにお買いになつたのはそれよりも安かつたわけであります。その後は大体同じ価格で先々上つて行くという見通しで、大体六月をとれば年度の半分になるわけでありますが、七月—九月の実績を一年間の総平均炭価と踏んだわけでございます。これは厳格に申せば計数的に議論が出るかと思いますが、先行きにつきましては何人もはつきりした数字がつかめませんので、一応七月—九月の炭価に一年間の総使用石炭トン数をかけ合せまして、石炭原料費が出たわけでございます。その石炭使用量につきましては、これまた会社の購買のやり方によつてそれぞれ違いますので、会社で出されました案と、政府、主として資源庁で決定されております東京ガスの年間の総使用石炭数量とを見合いまして、大体資源庁の案に慕いた次第でございます。  それから修繕費は先ほど申しましたように非常に大きなウエイトを占めますので、戦後の修繕不足ということがいろいろ言われておりますが、これにつきましては私どもは戦争前のノーマルな時期における修繕費が一体どのくらいかかつたかということをまずはじきまして、それにその後の各資材の値上り分を加味いたして出しました数字を一応標準修繕費と考えまして、その標準修繕費を上まわるものについては、これを修繕費の見方が甘いということでしぼつたわけでございます。労務費につきましては、これはちよつと先ほども触れましたが、現在料金には全国会社の賃金が同一価格で一応織り込まれておりますが、これは会社会社によつて非常に違うわけでございますので、東京ガスの場合はこの平均を上まわつております。しかし先ほど申しました趣旨によりまして、大体申請平均価格と数百円しか違わない。また各社料金体系というものもあるわけでありますから、これを人為的にふやしたり減らしたりすることは、大きな開きのない限り意味がないという、冒頭に申し上げました自主的建前をもちまして、賃金につきましてはその数字を一応そのまま取入れております。但し人員の自然減耗でございますとか、あるいは賞与につきましては全部落していただきました。こまかいことを申し上げるようでありますが、役員の給与につきましても、定款人員なり、欠員なりは一切とりませんで、常勤の実員の数だけをはじき出した次第であります。経費につきましても、会社の出されました実績と称する数字は、実はあまり参考にいたしませんで、会社が現におやりになつておる昨年度上期、下期の考課状の数字をとりまして、それにその後の操業度の増なり、一年間の物価値上り分、これは日銀で調べておられる指数がございますが、それを参考にいたしまして、その後の値上り分を換算して数字をはじいております。減価償却費につきましては、先ほど申し上げましたように、定率でお出しになられましたところは、全部定額へ切りかえていただきました結果、金額が下つております。配当原案が一五%でありますのを、先ほど申し上げました趣旨で、一五%で見込んであります。なおこれまたこまかいことでございますが、建設営業関連費、その他ガス料金に本来入れる必要のないものは、こまかいものに至るまで全部これを控除いたしました。副産物価格をどういうふうにわけるかという建前は、料金算定基準の行き方に従いまして、年間の総原価中から、年間のコークスその他の副産物の売上げ金額を控除して、その残りの額がガスの年間総原価になるわけであります。それを年間に出しますガスの総立米で割りまして、一立米の単価を出しました。コークスの値段が非常に問題のあるところでございますが、これは御承知のように、市場に対します価格は自由価格なつております。従つて会社の出されました案は、直販のコークス会社に売り込まれる仕切りの値段で入つております。このコークスの売込み価格は高くすればするほど、控除するわけでありますから、ガス料金原価は安くなる。かようになるわけであります。大体コークス会社のマージンが、一千円台程度各社なつております。東京もそうだと思います。この額をいま少し販売過程の合理化ということで節約していただく。先ほど申し上げました二百円ないし六百円というのはそれでありまして、料金に織り込むコークス価格は多くして、それだけつまり控除額を多くして、料金を下げる。しかしコークス販売会社から需要家に行く値段は現状以上にしてもらつては困る。日東化常さんが御心配になりました二百円値上げ云々はそういう意味でありまして、ほかには影響させないという建前にいたしておる次第であります。なお東京ガスの場合におきましても、一つの銅管でつながつておる地域を一単位と考えまして、それ以外の東京ガス所管の地方の営業所は、それぞれ原価が違うという意味から、東京本部よりも高く相なつております。これを大体東京ガスの売上金の比率で配分いたしまして、大体東京都を中心とした供給区域において、一七・七%程度東京ガスのそれ以外の地域においては二〇%を越えるわけであります。こういうふうにして算出いたしましたのが、ただいま申し上げました数字であります。たとえば年間総使用量の正確な数字実績等につきましては、営業であげられました数千万枚のカードを一枚一枚めくつてみなければわからぬのじやないかという議論もあるいはあろうかと思いますが、大体会社の考課状を中心にしてこれを考えておる、申請書に出ておる実績と称せられる数字は実はあまり参考にしなかつたということを申し上げておきます。
  26. 福田一

    ○福田(一)委員 そこで私はこういう点をまずはつきりさせなければいけないと思うのであります。それは大体今回のガス料金値上げについて、その理由となるものは、結局石炭代が値上りした。あるいは修繕費をもう少し上げなければいかぬというような問題があると思いますが、主として石炭代の問題が理由になると思うのであります。しかし大体われわれがガスを引く場合でも、ガスの引込線は全部私たち持ちでありまして、みな私たちが負担をしておるというふうに了解いたしております。そして石炭値上りしたから、どうしてもこれを上げなくちやいかぬと言われるのでありますが、はたしてしからば経営の合理化という面で、どれだけの努力をしたかということが一つも私は出ておらないように思う。この経営の合理化の面で特に質問いたしたいと思うのは、今公益事業委員会は昨年度の考課状を中心にしてこれを取上げたというのであるが、一体考課状の内容をよく調べないでおいて、それを基準にして認めたということが、大体われわれには納得が行かない。また最近われわれガス需要がふえて来ておると思うのでありますが、同じ鉄管から五軒の家が通なつてガスを供給しておる場合と、これが二十軒、三十軒となつた場合とはたいへんな相違ができるはずであります。そういうふうにガス需要がどんどん増加しておるような場合ならば、当然原価は安くならなければならないわけです。そういう点をどの程度この案の中に見込んであるかどうか、この点についてお答えを願いたいと思います。
  27. 小池輝一

    小池説明員 ただいまのお尋ねはごもつともの点と存じます。私どもも一番考えましたのは企業努力でございますが、これは先ほど申し上げましたように、コークス販売の問題でまず一つ。それからいま一つ一番大きいのは、先ほど申し上げました臨検費——漏洩率をどうするかという問題でありまして、漏洩を大きく切るということが、ほかのこまかい点は抜きにいたしましても、一番大きく原価に響いて参るわけです。大体ガスのノーマルな状況における理想的な漏洩、つまりこれ以上下げることは事実上無理だというラインは、六%前後と私は考えるのでありますが、御承知のように戦災後のひどい状況で、この回復が非常にむずかしい。東京ガスにおきましても、三〇%、四〇%という大きな率からだんだんと回復をいたしまして、とにかく一〇%前後までごぎつけて来られたわけであります。大きな率のときの一%を下げるのに比較して、非常に少くなつたときに一%を下げるのは、漏洩箇所の発見その他が非常にむずかしゆうございまして、漏洩率引下げのために必要な経費が相当かかる次第でございます。ところが今回はこれを大幅に八%の線まで下げた次第であります。大体年間三%を下げるということはかなり無理かと思うのですが、ここで実は大きな企業努力をお願いしておる次第でございます。  なお炭価の問題につきましても、最近の状況を見ておりますと、最初の申請案を頂戴いたしましたころに比べまして、上り方のスピードがラピッドでございまして、あるいは無理じやなかろうかという検討もした次第でございますが、聴聞会にかけて一応各需要家にお目にかけた数字を、その意味で後に動かすことはいかがあろうかという見地から、これまた料金面の考え方といたしましては、上つて行つた炭価は、現実にそれで受入れなければならぬとしても、でき得る限りの企業努力で、ひとつ吸収していただいて、原価にはね返さないようにお願いしたいという趣旨で行つておる次第であります。  なおそれ以外の各項目につきましては、これは算定基準によつた算出の考え方でございまして、一応その建前に従順でなければならない私ども立場上、計数上のミスを補正して行くという線を貫いた次第でございます。  一つ落しましたけれども、どんどん需要がふえているじやないかというお話がございましたが、確かにさようでございまして、東京ガスは一月の新しい需要家戸数の増と一軒当り使用量の増が少しずつございまして、両方勘案し、織りまぜまして、つまり年間に使います石炭の増量となつて現われて来る次第でありますが、これを一八%の操業の増を見ております。パーセンテージがふえればふえるほど一立米当りの金額が下つて来ることは御了承願えるかと思います。
  28. 福田一

    ○福田(一)委員 私が質問したうちで、昨年度の考課状を基礎として考えたかということについてお話がなかつたようでありますが、私が昨年度の考課状とか、一昨年の考課状というものを中心にして考えなければならぬ、その問題が議論の焦点になるということを言いますのは、大体終戦直後にはコークスの値段が非常に高かつたのでありまして、コークスをみなが買いたがつた。最近はだんだん事情がかわつて参りまして、当時の状況と今の状況では若干の相違があつたにしましても、経費の関係から見たり、あるいはそういうようないろいろな面を見るときには、よほど事情の変化というものを考えてみなければならないわけであります。そういう意味で昨年度の考課状が正しいかどうかというような検討をされたかということをお答え願いたいのであります。
  29. 小池輝一

    小池説明員 お答えいたします。率直に申し上げまして、考課状そのものにつきまして、それだけを取上げての検討はいたしませんでしたけれども、昨年度の、つまり実績として出ております数字が正しいかどうかを判定いたしますには、さしあたりのよりどころとしては考課状に——考課状を信じないということになりますと、これまた議論は別でございますが、よるのが最も妥当であるというような見地に立ちまして、出ております実績数字と考課状の数字との開きで高い実績が出ておる場合には下げた、かような数字で使わさせていただいたわけであります。一から十まで考課状によつたというわけではございません。
  30. 福田一

    ○福田(一)委員 先ほど主婦連合会の方が説明された中にもありましたが、東京ガス会社はなかなか資産内容がよろしいということは、株価を見ましても大体うなずけるところでありまして、また設備もよくできております。これは私たちも一ぺん見せていただいたのでありまして、その内容もよく了承はいたしておるつもりであります。もしそういうようによくできておる、また資産内容のいいものであるとすれば、今言つたように一八%もどんどん需要がふえているのに、その面における利益率というものを見て、今回の値上げを何がしかでも押えて行くということがなくて、昨年度と同じ考課状を大体基準として、やつたということでは、私はどうも納得が行かない。これが今までに御説明なつたうちで最も盲点になつておる点ではないかと思うのであります。この点についてのはつきりした御答弁が願いたい。  もう一つは、大体国税庁はいろいろ各会社の内容というものをよく調べておるのでありますが、国税庁と連絡をとられまして、会社内容について一応調べられたかどうか。私はこういう全国的なものは、全部調べるというほどの必要はないと思いますけれども、少くとも東京とか大阪という大きなガス会社、特に社会に大きな影響を与えるようなガス会社については、公益事業委員会としては、万般の準備をしてからおやりになるのが当然だと思うのでありますが、こういう方面ともよく御連絡をとつておいでになつたかどうかひとつ承りたい。
  31. 小池輝一

    小池説明員 お答え申し上げます。先ほど考課状云々を申し上げたのでありますが、これは会社側として出されました案のうちの昨年度の実績、あるいは昨年度の上期なり下期の実績という数字を検討するに使つた資料としてのみであつたという点を御了承願いたいと思います。  実は率直に申し上げまして、収益内容がいいじやないかというお話でありますが、ガス事業の実体は、はなはだ遺憾なことでございますが、経営が苦しいために、当然本来会社の金をもつてまかなわなければならない新規申込者の工事費を、採算が合わない建前から、従来から工事負担金という名目で需要家に約半分お持ちを願つていたわけであります。この工事負担金を、経常の苦しいためにある程度利益処分していたということが、相当長い期間の実績でございます。これは本来の建前から申してもおかしなことでございまして、私どもの見方では、明らかに資本的支出であろうと考えられますので、会計規則では、この利益処分を禁止する規定をこのたび掲げております。来年の一月から実施する予定でございます。従つて今度のコスト計算にあたりましては、新しい工事負担金は一応社内に蓄積しておいて、将来これを需要家に返すなり何なりするのであつて、利益処分をしてはいけないというので、その点著しくしぼつております。これは金額にいたしますと、相当な額になると思います。大体一件当りの新規引込みに、私の記憶に誤りがありませんでしたら、平均二千円近くかかるかと思います。かりに十万件新しい申込みが年間にあれば、その十万倍という非常な大きな数字になるわけであります。これの利益金処分をこのたび以降早急にやめていただくという建前にしております。アメリカでは工事負担金は、その都度の資金のやりくりで、一度いただいても漸次ある時期に返しておるという実情でございますので、一日も早くその線に進めて行かすように——これまた企業努力になる次第でありますが、させていただいておる次第であります。  なお、国税庁にこまかな連絡をしたかというお話でございますが、全体の会計規則なり、料金策定基準をつくりますときの構想につきましては、連絡をし、御相談をしておりますが、詳しい数字の内容につきましての御相談はいたしておりません。
  32. 福田一

    ○福田(一)委員 国税庁との連絡はもう一ぺんおとりになつたらどうかと私は考える。特に重大問題でありますから、この点は一応おとりを願いたい。そうして国税庁が、ガス会社というものをどういうふうに理解しておるかという点も十分研究をしておいていただきたいという希望を申しておきます。  もう一つは、今お話があつたのでありますが、東京ガス会社などはなかなかはでにやつておるといううわさが一般に出ておるのであります。こういうことを私が申し上げてはいかがかと思いますけれども会社内容がいいだけになかなかはでに経費を使つておられるというようなことも私たちは聞いておるのであります。そういうことを聞くだけに、もう一ぺん考課状の内容を検討し直される必要があるんじやないか、そういうものを参考にしたと言われるけれども、はたして考課状の内容が正しいかどうかということを、公益事業委員会としては当然研究してもらう必要がある。これがなくてガス料金値上げの問題を議論するということが大体おかしい話で、当然私はあつたものと思つて、あなたから御説明があるだろうと思つて実は参つたのでありますが、参考にしたとか何とかいろいろ言われるけれども、どうもぴんとした返事がいただけない。これは明らかに検討していなかつたということを裏書きするような感じがいたすのでございますが、この点は非常に遺憾でございます。ひとつこの考課状の内容、従つて経費の内容をもう一ぺん詳しく調べてもらいたい。私は自由党であつて、資本家のことをむやみに育つておるようにとられると、はなはだ遺憾ですが、私の聞いておるところでは、東京ガスなんかでは、なかなかはでな金の使い方をしておるように了承しておる。その内容をあげろといえば私は実例を示してもいいが、そうするまでの必要はないと思いますから、その点をひとつよく見きわめてもらいたい。  もう一点は、先ほど言つたように需要がどんどん増加しておるにもかかわらず、その需要増による利益と企業合理化従つてガス料金の値下げというものがあつてしかるべきものであつて、一八%ずつもふえて行つておるならそのうちの三%なり五%は当然値段を安くするという方面に持つて行つたらいいと考えるが、この点が考慮してないように思われるのははなはだ遺憾であります。この点をもう一ぺん再検討していただきたい。この点がこういう具体的な問題で明らかになりませんと、単なる数字の問題をいくら取扱つてつても、一般数字をいくら言つてつても、この案が妥当なりやいなやという妥当性の問題はついて来ないと思うので、この点はもう一ぺん資料をはつきり示してもらいたい。特に私は委員長に希望するのでありますが、この問題は重要な問題でありますから、そういう資料が出た上でもう一ぺん検討をするような機会を与えられんことを依頼いたしておきます。  そこでその問題は別といたしまして、もう一、二点承りたいのでありますが、先ほどのお話によりますと、私たちも了承はいたしておりますが、今までは物価庁でやつておつた、ところが今度は公益事業委員会でおやりになるということであります。物価庁も出ておられることでありますから、物価庁の方から今回のガス料金値上げに対していかなる見解を持つておられるか、承りたいと思います。
  33. 森誓夫

    ○森政府委員 物価庁はただいま料金の問題につきましては法律上の権限を持つておりません。しかしながらこれは一般物価関係があるというので深い関心を持つて料金審査につきましては当初から事務的な連絡をとつてつたのであります。そうして物価庁意見は相当程度今度の公益委の案には反映されておると考えております。項目によりましては完全に一致しているものもございますが、物価庁の方法と違つた方法で計算された二、三の項目につきましては若干の開きがある点もございます。しかしながらその結果として現われました値上率につきましては、物価庁の考えとそう大した開きは示しておりません。今後の物価の動向を考えますと、その程度の差異はここでしいて問題とする必要もなかろうかというふうに考えております。従いまして今度の公益委の決定認可案につきましては、まずやむを得ないものではないかというふうに考えております。
  34. 福田一

    ○福田(一)委員 前後して恐縮でありますが、先ほど言われたうちでちよつと抜けておつた面がありますから、もう一度公益事業委員会会の方に承ります。それは戦前標準修繕費というものを例にとつて、それを上まわらない場合には認める、上まわつた分は認めないというお話があつたのでありますが、日本の産業全体から見てみますと、何でも戦前と戦後とではずいぶん開きがあると思います。それが戦前標準までは認めてやるというのは少し甘きに失しているのではないか。たとえば電力事業にいたしましても、その他の事業にいたしましても、戦前まで認めてやるというような甘い標準は今までとつておらなかつたと思うのに、なぜこのガス事業に関してのみは戦前標準までは一応認めてやるという考え方をとられたか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  35. 小池輝一

    小池説明員 お答えいたします。全国各社の例を見ておりますと、戦前の昭和七—九年の修繕費の総平均をきめます率よりもかなり上まわつたところが実は出ております。これはどう考えましてもおかしゆうございますので、ただいま申しました地方で採算が非常に苦しい会社についてすら戦前標準——これは大体三%が妥当と私は思つておりますが、三%を下まわるように努力したつもりでありまして、例を東京ガスにとりますと、戦前の昭和七—九年の平均はたしか三・六%になつておつたと思います。今回の査定では二・八%でございまして、もしかりに戦前修繕費を一応妥当のものとして考えた場合にはかなり下つておる。従つてそういつた点を加味いたしましてもほぼ妥当な数字ではなかろうか、会の二・八%というのは戦前の三・六%よりかなり下つておるという意味合いから妥当な数字ではなかろうか。三%ジャストで押えたのは地方の小さな会社であります。
  36. 福田一

    ○福田(一)委員 次に石炭の入手の問題と炭価の問題並びに燃料全般に対する政策の問題でありますが、今日はその関係者は出ておられませんか。
  37. 小金義照

    小金委員長 炭政局長が来ております。
  38. 福田一

    ○福田(一)委員 それではひとつその点について承ります。これは石炭の増産にも関係があることであり、また石炭の将来に大きな関係があるのでありますが、薪炭とそれからガス並びに電気というようないわゆる燃料政策全般から見て、今後の日本の石炭ガス電気の使い方、按分の方法をどういう点に目途を置いておられるか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  39. 小金義照

    小金委員長 ちよつとお諮りいたしますが、経済安定本部の燃料課長から説明したいということですが、説明員からの説明でよろしゆうございますか。
  40. 福田一

    ○福田(一)委員 けつこうです。
  41. 小金義照

    小金委員長 それでは近藤燃料課長。
  42. 近藤勝

    ○近藤説明員 ただいまのガス用炭の需給関係がどうなつているかということにつきまして若干御説明いたします。御承知のように石炭全体の見通しから申しますと、ガス用炭の確保ということにつきましては相当逼迫いたしております。私の方で若干需給関係の見通しを立てたときにおきまして、ガスの下期における数量の確保の不足がほぼ四十万トン程度考えられるというふうに思つてつたのでありますが、最近電力事情の悪化ということから考えまして、石炭需給関係にも相当の変更が加えられるように考えられます。従つて電力の制限による生産活動の若干の伸びの停滞ということを考えますと、その産業石炭需要量が減退するということを思い合せますと、この下期におけるガス用炭の確保はその面からいえばほぼつき得るのではないかというふうに考えております。大体私の方で測定いたしましたことから行きますと、下期に約百四十五万トン程度ガス用炭の供給はつくものだと一応見ております。  このガスと薪炭または電熱その他煖房の関係から申しますと、御承知のように家庭の燃料といたしましては、やはり都会では石炭、亜炭というようなものは不向きでありますから、どうしても木炭とガス、電熱というものが競合して需要されるわけであります。そのうち電熱につきましては非常な窮迫が考えられますから、どうしても都会においては木炭とガスのこの二つしか、今のところは一般には考えられないわけでありますが、そのうちの木炭の需給関係につきましては、来年度以降森林法その他の関係で、できるだけ資源的にこれを節約しなければならないというふうに考えられているわけでありますから、何としても燃料としてはガスを伸ばして行かなければならないというふうに考えております。従つて今回百四十五万トン程度ガス用炭をガス事業に食わせるという考え方も、こういう需要増を一応考慮に入れて考えているわけであります。
  43. 福田一

    ○福田(一)委員 私の聞きたかつたのは、実はガス需要がどんどんふえればどれだけでもどんどんガスをつけさすようにして、その原料である石炭をどんどんこれに供給する方針であるかどうか、この点を明らかにしていただきたかつたのであります。
  44. 近藤勝

    ○近藤説明員 今のところガス需要というものを一応公益事業委員会の方と連絡いたしまして、その需要に見合つたガス用炭の需給はほぼ見通しがついているということを御説明申し上げたわけでございます。
  45. 福田一

    ○福田(一)委員 それはことしの計画を言つておられると思うのですが、私の言うのは将来にわたつてこれからどんどんガスをつけたいという人があれば、幾らでもそれを伸ばさせるかということを承りたい。——お答えがないようですから、この問題はしかるべき政府委員から将来答弁があつてもそれでけつこうでありますが、要するに私が今まで質問したことによつて明らかになつたと考えます点は、今回の料金値上げの中で、いわゆる経費というものをどういうふうに見ておつたか。この点に対するはつきりした答えがまだ出ていないように考える。もう一点は先ほどから申し上げましたように、ガス需要がどんどんふえて来た場合において、これによる利益というものがれ当増されているにかかわらず、その面のことが今回のこのガス料金値上げに含まれておらなかつたじやないかという点が明らかにされたと思うのであります。この二点はこの問題を取上げる場合において非常に重要な問題だと考えるのでありまして、企業合理化という面では、漏洩を一一%から八%に下げた、しかも将来六%くらいにするのが当然だと思うというような面でありまして、漏洩に関しても万全の企業合理化をしたとは考えられない、こういうような面が一番大きなことではないかと私は考えるのであります。  またコークスの販売会社のマージンを少くすることによつて、実際にコークス需要者にはあまり値を上げないようにするのだという御説明もありました。コークスを使う産業立場から、日東化学の方が御説明になつたのでありますが、私はもちろんこの面も軽視することはできないと考えてはおりますけれども、しかし何といつてガス料金値上げという建前からいえば、これは一般家庭用というのがかなり中心になる問題でありまして、たとえば硫安を製造するという場合に、硫安会社に対するもろもろの施策の一つとしてガスの問題も、あるいはコークスの問題も取上げることは当然ではありますけれども、これを重点としてこの問題を論議するということは、これは関連するところが非常に多いのでむずかしいのであります。従つてそういうものを総合的に研究するときの一つ材料としてこの問題は別途の機会に考えていいのじやないかと私は考える。  これを要するに需要増によるところの利益率の増大というものを、何とかしてガス料金値上げを少くする方面にまわすことはできないものかどうか、もう少し経費を少くして需要家の利便を考えられないか、この二点を明らかにされることを特に要望いたしまして私の質問を終ります。
  46. 中川哲郎

    ○中川説明員 ただいま福田委員からお話のありました点、先ほどガス課長よりお答えしたわけでありますが、一、二点誤解いたされている点がありますのでここで補足いたして御答弁したいと存じます。  最初にお話のございました需要の増加と、それによる利益を織り込んでいないではないかというお尋ねでございましたが、これにつきましてはガス課長から御説明申し上げましたように、東京ガスの場合におきましては、年間一八%の需要の増加率を見込んでおるわけであります。見込んでおると申しますのは、それだけ需要がふえるということを前提にいたしまして原価計算をいたしておるわけでございますので、その増加を見込まなければ、料金原価はもう少し上るところを見込みましたために、現在の査定率に納まつておるわけでございます。従つて需要増による利益をすでに織り込んで原価計算をし、また委員会の方で査定をいたしたわけでございます。  なお経費の査定についていろいろお尋ねがございましたけれども、経費の査定は会社申請案を各項目にわたりまして委員会が昨年度の実績、考課状もございますし、会社から申請いたされました実績というものもございますが、そういうものを各費目にわたりまして検討いたしまして、各項目ごとに査定を加えたわけでございます。その査定にあたりましては、あるいは修繕費のごとく、一定の過去におきまする標準的な率を求めまして、査定の基礎にいたしたものもございますし、またそれぞれほかの会社との比較その他からいたしまして、検討を加えて査定をいたしたわけであります。すなわち東京ガスの場合におきましては、申請額に対しまして約四%近い査定減を加え、金額にいたしまして十億以上の原価減をいたしたわけでございまして、われわれの見るところでは各項目にわたりまして、それぞれ企業合理化の線を打出しまして、原価の査定をいたしたつもりでおりますので、先ほどガス課長説明の足りません点を補足させていただきたいと存じます。
  47. 福田一

    ○福田(一)委員 それならば、そういう数字を明らかにしてもらいたい。その点がはつきりしておらない。たとえば一社にしても、東京ガスなら東京ガスを例にとつて、こういうふうに査定をしておる、こういう内容になつておる、そういう点が明らかになつておらないで、ただ架空の問題を議論してもしかたがないということを私は言つておるのであります。  もう一つは、あなたが言われたけれども、一八%ずつふえるものと想定して原価を安く見積つたということですが、その原価を安く見積る場合に、一八%もふえておるならば、少くとも五%、六%は当然利益率を減らして、もう少し安くできるのじやないか、こう私は考えておる。原価を割出す場合にそれをどういうふうに算定の中に入れたか、その数字、パーセンテージをどういうふうに見て行くかという合理的な数字が出て来なければ、私が聞いておる答弁にならないと思う。そういうことも考慮に入れましたというだけではだめでありまして、どういうふうに考慮に入れて、どういう数字が出ておるかということを明らかにしていただきたい。
  48. 中川哲郎

    ○中川説明員 各社申請査定の内容の数字のこまかい資料は現在ここに持つて来ておりません。具体的な額といいますか、費目の内容につきましては資料をそろえて即刻お届けいたしたいと思います。四十数社にわたりましたために、一々の申請のこまかい査定の内容についての資料を用意いたしませんことをここにおわび申し上げておきたいのであります。
  49. 福田一

    ○福田(一)委員 私は三十何社のものを全部見るほどのことはないにしても、少くとも一社ぐらいの代表的なものの数字はやはりこういう委員会に出してもらわなければ、これでは検討にならない、こう申し上げるのであります。こういうような一般論ももちろん重要でありますが、しかし個々の面にわたりまして、しつかりした数字を把握するということでなければ、私はいけないと思う。あなたは、資料を持つて来ませんからわかりませんという御答弁であるが、一八%も増大する需要増をどれくらいの利益率がふえるものと見るかということぐらいは、宙でそらんじておいでにならないで、このガス料金値上げをするということは少し常識はずれではないか。それくらいなことはちやんとわかつておいでにならなければおかしいのじやないかと考えるのであります。いずれにしてもあなたが数字がないとおつしやられれば、これは何とも今ここで検討することはできないから、その数字を明らかにしていただきたいと思います。
  50. 小池輝一

    小池説明員 ただいま申し上げましたように、具体的な数字をきようここへ持つて参りませんでたいへん申訳ございませんが、考え方といたしまして、生産がふえましたときには当然コストがふえる部分がございます。たとえば人間をたくさん使わなくちや、倍になつたらやつて行けぬということも当然ございますので、各費目について固定費と比例費を全部出しまして——それは生産がふえても、それに必要な経費はすえ置きでもよいというものと、ふえれば当然ある程度考えなければならぬという点を一々出すわけでありまして、それは昨年物価庁がやつておられました比例費と固定費との一定のユニホームがありまして、全部それを適用します。操業度がふえただけ全部経費がふえないということにかりになりますれば仰せになりましたように逆に利潤がそれだけふえるということになりますが、固定費の分につきましては、操業度が増になりましても少しもふやしておりません。会社によつて違いますがこまかいことを申し上げますと、たとえば交際費についてはすえ置くとか、旅費は人間がふえた割だけ見ないとか、個々の査定は全部いたしておりますので、その数字はあらためて速急にお持ちいたしましてお目にかけたいと思います。
  51. 福田一

    ○福田(一)委員 まずその数字を見ましてからお話するのでなければ、私は検討にならないと思いますから、一応その数字を見た上でまた御質問することにいたします。これで質問を終ります。
  52. 小金義照

    小金委員長 次は風早八十二君。
  53. 風早八十二

    ○風早委員 同僚福田委員からいろいろ御質問がありまして、大体問題が明らかになりつつあるのでありますが、特に公益委員会が昨年の考課状をそのまま採用して、それを基礎にして値上げの案を立てたという点が重大な問題であると思うのであります。しかしその内容について、われわれはまだその資料を実際に検討する機会がないのでありまして、ここに具体的にこれについていろいろと質疑をすることはできません。しかしだれが考えても一見してわかる矛盾があるわけです。というのは、少くも東京ガス会社をとつて考えれば、今期はすでに一五%の配当をやつている。しかるに今回の公益委員会の案によりますれば、その中に一五%の利益率を算入している。現在値上げをしない前に一五%の利益があり、そうして値上げをしたその案の利益率というのが一五%、こういたしますと、われわれ簡単に考えて、そこに何か計算の間違いがありはしないか。つまり一五%の利益率で値上げをやつて、それでちやんと収まつている原価、しかるに現在すでに一五%の利益がある、これは非常におかしな話であろうと思うのであります。そういう点については一体どう考えておられるか、それをまず公益委員にお伺いしたい。
  54. 宮原清

    宮原説明員 お答えいたします。一五%の配当をすでにしているのだから、それをあらためて入れたものが原価算定なつているのは矛盾じやないかというお話のように承つたのでありますが、これは要するに、利潤の標準をどの辺に置くか、それからまたガス会社資金を得ることについての困難さが、他の公益事業との比較において特別であるということを、先刻当事者である高田社長がお述べになつたのでありますが、そういう程度については、今の事業に対する利潤の標準についての多少の変化を認めるべきだと言われた。少くとも私自身の考えから申しますれば、特別になぜそれだけの配当をしてはいけないかという議論になるだろうと思うのです。ことに現在における日本の燃料事情からすれば、私は家庭を明朗化する一つの手だてになつているのがガスの供給潤沢ということだと思うのです。従つて十分なるサービスのできる会社にすることについての標準から申しましても、ガス事業はいわゆるコークスとの見合いになつておりますから、コークスと見合いになつているという点について、他のものほど明確に収支についてのあなたのおつしやるような差引にならないということもお考えくだされば、今期の配当と申しますか、すでに配当しておるものが、次の配当の予想において一五%認めておるということは、特にだから値上げがひどいのだという説明にはならないと思うのであります。
  55. 風早八十二

    ○風早委員 公益事業委員宮原さんは、ちつとも私の質問を聞いておらなかつた。今値上げの問題を私はとやかく言つておる段階ではないのです。また公益事業委員会が、公益事業に対して一体どれだけ利潤率というものを考えておられるのか、そういうことについても別に聞いておらない。問題は、すでに現在利潤率が一五%ある。これは値上げの前であります。しかるに値上げしてもやはり一五%、そうしますと、原価計算というものは一体どうなるかということを言つておるのです。もうすでに値上げしなくても一五%の利益率があるわけであります。しかるに値上げしたあともまた一五%の利益率——これは利益率が高いとか安いとか言つておるのではないのでありまして、同じ利益率とすれば、これは他の原価の諸計算に大分何か間違いがありはしないか、これは別に皮肉でも何でもないのでありまして、きわめて素朴にそういう疑問が出るわけであります。そういう点はいかに考えておられるかということです。
  56. 宮原清

    宮原説明員 御質問が私には実はよくのみ込めないのです。ということは、一五%の配当をしておるものが、何ゆえさらに一五%の数字を織り込むか、何でもなかつたときにそうである以上、なぜそれを織り込むか、こういう御質問でございましようか。つまり一五%というものは一定の金額であつて値上げしなくても一五%は配当してもよいと思う。値上げをして、三〇%配当にしたいといつたら、そこに議論があると思うのです。従つて私ちよつとあなたの御質問の意味がわかりませんので、さようにお答えしたのであります。
  57. 風早八十二

    ○風早委員 宮原委員はおわかりにならぬようでありますから、それではガス課長にひとつお願いします。値上げの前に一五%の利益率がある。これは見込んだ見込まないじやない、事実ある。値上げをしても原価計算で一五%の利益率を見込んでおるという場合に、他の条件がどういうふうに違つたのかということを、ガス課長から御説明願いたいと思います。
  58. 中川哲郎

    ○中川説明員 現在の料金でも一割五分の配当ができるものを、一割五分の配当を将来もするならば、料金を上げぬでもいいのじやないか、こういう御質問のように伺いますが、現在の配当は、非常に決算上の無理をして配当しておるという事実がございます。これは償却を十分してないこと、並びに先ほどお話も出ましたように、資産勘定である工事負担金を食つて配当しておる。これは結局資金の獲得のためにやむを得ずそういう不合理なことをやつて資金を集めておつた、こういうことに帰着すると存じます。
  59. 風早八十二

    ○風早委員 不合理なことをやつても何をしても、とにかく一五%の配当をやつておるということは事実なんです。その不合理を改めるために、今度は値上げをすると言われるわけですが、そういう点が先ほどから少しも明白になつておらないわけです。この値上げをするについて、やはり一五%の利益率を見込んでおる。これが高い、低いということを今言つておるわけではない。それはよく誤解のないように願います。これについてはあとでまた御質問をしたいと思います。われわれはこの計算がよくわからないということを言つておるわけです。そういう意味でも、この考課状というものを一体どれほど吟味せられてやられたのか。昨年の考課状というものに、すべてこれらの配当が出て来る、はじき出されるその基礎があるはずでありまして、しかも今度もまた実はこの場合において一五%しか配当率というものを見込んでないわけです。しかるに値上げをしなければならない。この計算がまるつきり食い違つて来るように思うのでありますが、そういう点はどうかということを聞いておるわけです。——どうもこれは難問らしくてお答えがないようでありますが、時間が許しませんから、次に進みたいと思います。要するに非常なインチキがあると思う。現在すでに一五%の配当をしておつて、しかも今度のこの算定でもつて一五%の配当をして、これがやはり値上げなつているわけです。そういう算定基準そのものについて、相当われわれは疑問を持たざるを得ないのであります。こういう点は、われわれの納得の行くように、今後ひとつ十分この委員会において明らかにしてもらいたいと思います。  次にお尋ねしたいことは、もうすでに宮原委員から言われております通り、このガスであるとか、電力であるとか、こういつた大衆生活に最も密接な関係のある公益事業に対して、公益事業委員会としては、一体どの程度の利益を妥当と考えておられるか、これはやはり私会社でありますから、全然利益がないのでは困りましようから、だれでも一定の利益は認めると思う、しかし一体どの程度の利益を妥当と考えておられるのか。たとえば今度のこのガス料金値上げの問題にしましても、公益事業委員会では、一五%の利益率を算定の基礎にせられるが、物価庁では一〇%の利益率が妥当であるということが新聞に出ているわけでありまして、そういうふうにはなはだしく食い違つている。五%も利益率が違うといううとになれば、これが料金の上に、全体の原価の上に、非常に大きな影響を持つわけであります。そういう点は、一体いかなる根拠で、どういうところに基準を置こうとせられるのか、これらについて、一応宮原委員から責任のある御返事をもらいたいのであります。
  60. 宮原清

    宮原説明員 そのお答えを申し上げます前に、先刻の難問に対して、私、ちよつと気がつきましたから申し上げます。風早さんのお話は、ただいますでに一五%配当しておるのではないか、それにもかかわらずまた次に一五%の配当を見込んだ算定をしたことが値上げの唯一の原因であるか、こういう御質問のように帰着するかと思います。これは電気の場合でも同じようでありますけれども、要するに企業は、フェア・リターンということが原則でありまして、この原則は、公益事業委員会は、ガス事業に対しても、そういうことを認めなければならないという建前で出発しておりますから、そういう意味にお答えしたらば御返事になるのではないかと思います。  それからただいまのお話は、利潤の適度という問題についてでありますが、時勢の変化とともに金利などについての標準はかわつて参るものだと思います。従つて今の場合における各方面の金利態勢からすれば、フェア・リターンということであれば、金利が上つて行くのはあたりまえで、一割でよいという断定も起るし、一割五分でなければいけないということも議論がありましよう。しかしながらそういうところの適度を、ガスにおいては一割五分認めてしかるべしというのが公益事業委員会の見解であります。
  61. 風早八十二

    ○風早委員 同じ政府部内においても、すでに妥当な利益率というものの見方がはなはだしく違つておる。こういう点でどういうふうにどちらが違つておるかといえば、物価庁の方が、企業合理化を通じてなら、それはいかなる方法をもつてするにしてもとにかくそれだけ値上げというものに比較的消極的である、ところが公益委員会の方がかえつて非常に積極的だという結論になるわけであります。その点は明らかな事実であるから別にこれ以上申し上げる必要もなかろうと思います。問題は実際のガスの消費者の大部分というものが家庭の消費者でありまして、このいただいた表には五六%となつておりますが、実際七月の統計を見れば、少くも東京におきましては六二・四%、実に過半というものは家庭の消費になつております。従つてこの値上げというものがどこに影響するかといえば、何といつて家庭の方面に最も深刻な影響を与えることは明らかであります。この点について他の事業とはまた特別違つた重要性があるわけでありまして、この値上げに対してはやはり特別に慎重な審査と検討が必要でなければならぬと思う。しかるに今回こうやつて値上げをされるというのでありまして、その影響がこの表に上つておるのを見ますと、非常に微々たるもののようになつておりますが、実際一軒一軒に当つてみると、今日も主婦連合会の部長の方からいろいろ具体的な数字が出ておりますが、先般も——これは十月十五日おそらく宮原委員も出席されたと思いますが、東京地区の聴聞会において、やはり同じく婦人の団体である婦人民主クラブの櫛田ふき氏から出ておる資料によりましても、大体四人半くらいな家族で一箇月少くも一千円以上の負担の増になる、ガス料金だけでそういうようなことも出ておるわけであります。そういうことを考えてみても、実額からいえばこれは実に深刻な問題だ、今日の家庭負担は、——ガス料金だけではなく同時に、いや電力である、いや水道である、また交通費である、その他電信、電話料金等、いわゆる公益事業関係の一切の値上りというものが最近一齊に起つておる、この際にまたガス会社値上げをするということになることは、明らかに今日の国民生活に対する重大な脅威であることは間違いないわけであります。しかるにその理由とするところが、先ほどからいろいろと檢討せられておるように、きわめて薄弱である。石炭々々と言われるけれども石炭値上りというものは、コークスの実に莫大もない値上りによつて十分に相殺せられて余りある。ガス会社原価計算においてこういうことがどの程度に見積られておるかということについて、われわれは少しも納得の行く御答弁を得ておらない。こういつたようなことを考えてみて、今回の値上げがまつたくの便乗値上げであつて、その必要はわれわれとしてはどうも認めがたいという結論になると思うのでありますが、こういう点で、もう一度公益委員として宮原委員は、今度の値上げが正当である、公平であるというその理由を簡単に言つていただきたいと思います。それで納得が行けばわれわれとしてもまた国民に知らせる義務があります。しかし納得が行かなければどこまでもこの委員会を通じて公益委員会に十分な検討を要求しなければならぬ。それなくして十一月から値上げをするということをきめておられる、こういうことははなはだ早計の至りではないかと考えるのであります。
  62. 宮原清

    宮原説明員 お尋ねの意味は要するに上げてはいけないという御主張に対してなぜ上げるかということになると思います。先刻お話のあつたいわゆる配当をどうするからということが引上げの理由ではないことはすでにおわかりだと思いますが、ことに石炭が一方で値上りはしたけれどもコークスが非常に値上りをしたためにほとんど何にもそれによつてふえることはないのだというお話は、数字からいつても間違いだと思います。その点を御訂正いただかないと、つまり上げる理由が原料の値上りにもあるということを否定していらつしやるようになつて、議論の前提がかわつて来るのではないかと思うのであります。従つて全体から申せば、やはりガス事業自体が健全経営をしておるということになつておるかどうかということだと思います。われわれの知つております範囲においては、ガス事業が現在において熱源としての相当な分野を引受けておる。ことに電気が昨今のように不自由になれば、このかわりをしなければならないものは一応一番安いガスだということになるだろうと思います。でありますからこういう時期においてこそ——もし利用価値において他のものよりも非常に高いということに対して御議論があれば別でありますけれどもガスの値段は、他の電気はもちろん電気以外の燃料と比較してみて、非常に安いのであります。そういう事案をお認めになるということであれば、今の簡単な熱量として、ねじればすぐに要領よく自分の目的を達し得る熱源を、むしろある程度は必要に応じての値上げを認めていただくということの方が、政治を御議論になるとすれば、かえつていいのではないかというような気がするのであります。従つて今納得が行かないというお話でありますが、これを上げてはいけないのだという前提を、理由のいかんにかかわらずはつきりおきめになつておるのでなければ、原料の上における今の御指摘は数字的にも間違いだと思います。さらに御一考をいただけば仕合せであります。
  63. 風早八十二

    ○風早委員 今の御答弁の中で、電気よりも安いから上げてもいいじやないか、こういうようなことはやめていただきたい。ほかの燃料よりも安いから上げる。これは少しも上げる理由にはならない。公益委員会料金算定をせられる基礎としてもはつきり二つの原則はあると思う。原価主義一つ公益事業としての多数の需要者の利益が一つ、この二つを調和するところにその基礎があることははつきりしておるはずだと思う。その立場からあくまでやつていただきたい。その第一として原価主義からいつて、先ほどから同僚福田委員がるる質問せられたのに対して、さつぱり納得の行くお答えがないわけであります。そうして利益率を一五%に認めなければならないということ、これも政府部内ですでに意見が対立しておる。しかし少くもわれわれ一般国民の代表として率直な感じを言えば、一五%の利益率を確保できておるということは、これは別に多過ぎるということをあえて言うわけではありませんが、決して少な過ぎるわけではないわけで、経営が困難しておるとは言えない。今日の中小企業の状態その他の平和産業の状態を見ても、ガス会社が堂々と十五%の配当ができるというのに、そこにどこに困難があるのか、これは電力とはまた違つた意味でありますが、何らそこに値上げの根拠というものを見出すことはできないのであります。それはもうけを欲張れば幾らでももうけることはできるでしよう。もうけるためならば値上げはできるでしよう。しかしそういう性質のものではないと思う。でありますからこの原価主義の中の利益率の見方というものは、公益委員会としても十分に再検討される必要がある。現在の配当率が十五%であるからそれをそのまま認めるということもはなはだ公益委員会として見識のない話であるが、もう少し根本的に、公益委員会として一体どの程度の利益率を承認すればそれでやつて行けるか、これを考える場合には、当然それがどこへはね返るかということを考慮されているはずだと思うのであります。これが国民にはね返る、そうでなくても困つているところの家庭生活にはね返る、そこのところをどの程度に勘案されるかということは疑問たらざるを得ない。そういう意味で、これは時期尚早というよりは先ほどの同僚福田委員の言葉ではないが、まつたくそれはでたらめといわざるを得ない、まだ問題を論議する段階に至つていないといわざるを得ない。公益委員会国民生活立場から真剣に考えられて再検討して出直して来てもらいたいと考える次第であります。私の質問はこれで終ります。
  64. 小金義照

    小金委員長 ほかに御発言はございませんか——ほかに御発言がないようでありますからこれにて質疑は打切ります。  それでは参考人方々に申し上げます。参考人方々におかれましては、長時間にわたつて御出席くだされ、かつ種々貴重な御意見を御開陳くださいましてまことにありがとうございました。この席から委員長として厚く御礼を申し上げます。  それでは本日はこの程度にて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時四分散会