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1951-11-26 第12回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年十一月二十六日(月曜日) 午前十一時八分
開議
出席委員
委員長
夏堀源三郎
君
理事
奧村又十郎
君
理事
小山
長規
君
理事
西村
直己
君
理事
内藤 友明君 淺香 忠雄君 大上 司君 佐久間 徹君
清水
逸平
君
高間
松吉
君
三宅
則義
君
宮幡
靖君
宮腰
喜助
君 八百板 正君 深澤 義守君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
出席政府委員
大蔵政務次官
西川甚五郎
君
大蔵事務官
(
主計局法規課
長)
佐藤
一郎君
大蔵事務官
(
主税局税制課
長) 泉
美之松
君
国税庁長官
高橋 衛君
委員外
の
出席者
大蔵事務官
(
国税庁関税部
消費税課長
) 永見 周蔵君
大蔵事務官
(
国税庁徴収部
長心得) 田所 正幸君 専 門 員 椎木 文也君 専 門 員 黒田 久太君 ――
―――――――――――
十一月二十六日
委員松尾トシ子
君辞任につき、その補欠として
松澤兼人
君が議長の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
十一月二十四日
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の一部を
改正
する等の
法律案
(
内閣提出
第五三号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同月二十二日
勤労所得税等
の
軽減
に関する
陳情書
(第八九二号) 未
復員者給與法
の
適用患者
に対する
療養期間延長
に関する
陳情書外
十四件(第八九三号)
近畿財務局大津財務部存続
に関する
陳情書
(第八九四号)
南九州財務局管内財務部廃止反対
の
陳情書
(第八九五号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
連合審査会開会要求
に関する件
物品税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第三五号)
租税特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第五一号)
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の一部を
改正
する等の
法律案
(
内閣提出
第五三号)
税制
及び
金融政策
に関する件 請 願 一
調整金附送金小切手
の
処理
に関する
請願
(
田中不破
三君
紹介
)(第九六号) 二
補助貨幣
に蜜ば
ちの図案採用
に関する
請願
(
水野彦治郎
君
紹介
)(第二八九号) 三
台湾
における
外地資産補償
に関する
請願
(
坂口主税
君外一名
紹介
)(第三四六号) 四 豊平町地内旧
陸軍用地
を
無償払下げ
の
請願
(
河口陽一
君
紹介
)(第三四七号) 五
終戦
後
外地
における被
接収船舶
の
国内補償
に関する
請願
(
岡田五郎
君
紹介
)(第四一八号) 六
在外資産
の
補償
に関する
請願
(
大森玉水
君
紹介
)(第五〇五号) 七
熊本国税局存続
の
請願
(
川野芳滿
君
紹介
)(第五六三号) 八
北陸財務局廃止反対
の
請願外
一件(
南好雄
君
紹介
)(第六二八号) 九
在外資産
の
補償等
に関する
請願
(
三木武夫
君
紹介
)(第六七九号) 一〇
医療法人
の
医療施設
に対する
所得税免除
の
請願外
一件(
川野芳滿
君
紹介
)(第七三七号) 一一
ふん尿輸送用ガソリン税免除
に関する
請願
(山村新治郎君外一名
紹介
)(第七三八号) 一二 旧
日章飛行場跡保留地開放
に関する
請願
(
長野長廣
君
紹介
)(第一〇六七号) 一三
終戦
後
外地
における被
接収船舶
の
国内補償
に関する
請願
(
倉石思姫君紹介
)(第二〇九号) 一四
煙火類
に対する
物品税撤廃
の
請願
(高聞
松吉
君
紹介
)(第一二八八号) 一五
在外資産
の
補償
に関する
請願
(
坂本泰良
君
紹介
)(第一四四一号) 一六
揮発油税軽減
に関する
請願
(
保利茂
君
紹介
)(第一四六二号) 一七 同(
村瀬宣親
君
紹介
)(第一四六三号) 一八 同(
中村又一
君
紹介
)(第一四六四号) 一九 同(
北村徳太郎
君
紹介
)(第一四六五号) 二〇 同(
清水逸平
君
紹介
)(第一四八四号) 二一 同(
小峯柳
多君
紹介
)(第一四八五号) 二二 同(
西村久之
君外一名
紹介
)(第一四八六号) 二三 同(
中村幸
八君
紹介
)(第一四八七号) 二四 同(
高田弥市
君
紹介
)(第一四八八号) 二五 同(守島
伍郎
君
紹介
)(第一四八九号) 二六 同外二件(
川野芳滿
君
紹介
)(第一四九〇号) 二七 同(
畠山鶴吉
君
紹介
)(第一五二三号) 二八 同(
長野長廣
君
紹介
)(第一五二二号) 二九 同(
畠山鶴吉
君
紹介
)(第一五二三号) 三〇 同外一件(
大野伴睦
君
紹介
)(第一五二四号) 三一 同(
中野四郎
君
紹介
)(第二六一号) 三二 同外一件(
河原伊三郎
君
紹介
)(第一五六二号) 三三 同(
神田博
君
紹介
)(第一五三号) 三四 同(
吉川久衛
君
紹介
)(第一五六四号) 三五 同(
藤枝泉介
君
紹介
)(第一二六六号) 三六 同(
岡村利右衞門
君
紹介
)(第一五六七号) 三七 同(
河原伊三郎
君
紹介
)(第一五六八号) 三八 同(
藤枝泉介
君
紹介
)(第一五六九号) 三九 同(
西村直己
君
紹介
)(第一二七〇号) 四〇 同(
角田幸吉
君
紹介
)(第一五七一号) 四一 同(
橋本龍伍
君
紹介
)(第一五七二号) 四二 同(
田中不破
三君
紹介
)(第一六二号) 四三 同(
通達寛
君
紹介
)(第一六一二号) 四四 同(
小淵光平
君
紹介
)(第一六一三号) 四五 同(
岩本信行
君
紹介
)(第二一四号) 四六 旧
陸軍共済組合員
に
年金交付
に関する
請願
(
千葉三郎
君
紹介
)(第一四六七号) 四七 同(
江崎真澄
君
紹介
)(第一五七五号) 四八
奄美大島特産品
の
関税免除
に関する
請願
(
石原登
君外二名
紹介
)(第一四八三号) 四九
台湾
における
外地資産補償
に関する
請願足鹿覺
君
紹介
)(第一五一七号) 五〇 同(
奧村又十郎
君
紹介
)(第一五一八号) 五一 同(
北川定務
君
紹介
)(第一五四〇号) 五二 同(
宮腰喜助
君
紹介
)(第一五四一号) 五三 同(
江花靜
君
紹介
)(第一五四二号) 五四 水あめ、ぶどう糖に対する
物品税撤廃
の
請願
(
足鹿覺
君
紹介
)(第一五二〇号) 五五
関税定率法
の一部
改正
に関する
請願
(小
金義照
君
紹介
)(第一五二五号) 五六
徴税適正化
に関する
請願
(
高田富之
君
紹介
)(第一五七三号) 五七
塩収納価格引上げ
に関する
請願
(
三宅則義
君
紹介
)(第一五七四号) 五八
光学機械類
に対する
物品税撤廃
の
請願
(淵上戻太郎君
紹介
)(第一五七六号) 五九
ふん尿輸送用ガソリン税免除
に関する
請願
(
高間松吉
君
紹介
)(第一六一五号)
陳情書
一
勤労所得税等
の
軽減
に関する
陳情書
(第八九二号) 二 未
復員者給與法
の
適用患者
に対する
療養期間延長
に関する
陳情書外
十四件(第八九三号) 三
近畿財務局大津財務部存続
に関する
陳情書
(第八九四号) 四
南九州財務局管内財務部廃止反対
の
陳情書
(第八九五号) ――
―――――――――――
夏堀源三郎
1
○
夏堀委員長
これより
会議
を開きます。 一昨二十四
日本委員会
に付託に相なりました
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の一部を
改正
する等の
法律案
を
議題
といたしまして、まず
政府当局
より
提案趣旨
の
説明
を聴取いたします。
西川政府委員
。 —————————————
西川甚五郎
2
○
西川政府委員
ただいま
議題
となりました
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の一部を
改正
する等の
法律案
について、
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、国の
行政事務
の
簡素化
の一環として
財政会計制度
の
簡素化
を
はか心
ため、
支出負担行為
その他の
会計
上の
制度
及び
手続
を簡素にするとともに、
会計職員
及び
繰越
しに関する
制度
を整備し、あわせて
継続事業
の円滑な
遂行
に資するため、新たに
継続費
の
制度
を設けることを
目的
といたしております。 以下、簡単にその
内容
を御
説明
いたします。 まず、
支出負担行為
に関する
制度
の
簡素化
について
説明
申し上げます。
現行法
では、
各省
各庁の長は、
配賦
を受けた
予算
に基き、
支出負担行為
の
計画
を定めて、
大蔵大臣
の
承認
を経なけれげならないここと
なつ
ており、また、各
支出負担行為
当官は、
支出負担行為認証官
の
認証
を受けなければ、
支出負担行為
を行うことができないここと
なつ
ているのでありますが、
改正案
におきましては、
支出負担行為
の
計画
につきましては、
公共事業費
その他
大蔵大臣
の指定する
経費
にかかる
予算
についてのみ、
支出負担行為
の
実施計画
について
大蔵大臣
の
承認
を要するこことし、また
認証
につきましては、特に
各省
各庁に
認証官
を置かず、現在の
支出官
にその
支出負担行為
が示達された
予算
を超過しないか、どうかという
確認
を行わせるここといたしたのであります。なお
各省
各庁におきまして、
予算
の適正な
執行
をはかるため、
認証官
を置いて
認証
を行わしめることが望ましい場合には、
支出官
の
確認
にかえて
認証官
による
認証
を行うことができるものとした次第であります。 第二に、
会計職員
に関する
制度
の
改正
について
説明
申し上げます
会計職員
に関しましては、その
任命変更
についての
手続
を簡素にし、また必要に応じて他の
各省
各庁の
職員
を、
会計職員
にすることができることを明らかにする等、
会計事務遂行
の便宜をはかるここといたしたのであります。 第三に、
契約手続
に関する
改正
であります。
現行法
におきましては、
随意契約
または
指名競争契約
をなす場合には、すべて
大蔵大臣
に
協議
を要するここと
なつ
ておるのでありますが、
契約
の
性質
または
契約
の
金額
の小額のものにつきましては、あえて
協議
を経る必要もありませんので、この
協議
を省略し得るようにするここといたしておるのであります。第四に、
繰越制度
の
改正
について
説明
申し上げます。
現行法
による
繰越制度
といたしましては、
経費
の
性質
上
年度内
に
支出
を終る
見込み
のない
経費
につき、
国会
の
承認
を経て翌
年度
へ
繰越
すいわゆる
明許
繰越
しと、
支出負担行為
をした後、避けがたい事故のため
年度内
に
支出
を終らなかつた
経費
の
金額
を翌
年度
べ
繰越
す、いわゆる事故
繰越
しの二本建でございますが、
改正案
におきましては、このほかに、
予算成立
後の
理由
に基く
繰越
しを新たに認め、
現行
の
明許繰越しことも
に、
繰越
し
明許費
として
国会
の議決を経べきものとし、
経費
の効率的な使用に資しようといたしておるのであります。 第五に、
継続制度
の創設について
説明
申し上げます。国の
工事
、製造その他の
事業
で、その
完成
に数
年度
を要する
継続事業
につきましては、その
経費
は、毎
年度歳出予算
を組みまして
支出
をするのが、
現行法
の
建前
でもありますが、
継続事業
の性格からい
つて
、
長期
の
事業計画
の樹立こともに、これに対する
長期
の
財政
の裏づけが望ましいのでありまして、今回
継続費
を設けまして、国の重要な
継続事業
につき数
年度
にわたる
支出権限
を確保し、その
途行
に遺憾のないようにいたしたのであります。なお、ただいま御
説明
申し上げました事項のほかに、
歳出予算
の部、款の区分は、
予算
の編成、
執行
及び
決算事務
を複雑化せしめる点が多いので、
昭和
二十七
年度
の
予算
からこれを
廃止
するこことし、現在翌
年度
八月三十一日まで繰延べている
歳入歳出
の完結の時期を、最近の
出納事務整理
の
進捗状況
にかんがみ、原則に復帰して翌
年度
の七月三十一日までとすることもに、
昭和
二十四年九月十五日限り停止いたしておりました4切手4
認証制度
につきまして、
制度自体
としても
廃止
することといたしました。以上
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の一部を
改正
する等の
法律案
の
提案理由
について御
説明
申し上げました。何とぞ御
審議
の上、すみやかに御賛成あらんことを御願いいたします。
夏堀源三郎
3
○
夏堀委員長
次に
本案
につきまして
政府当局
よりさらに詳細なる
説明
を聽取いたしたいと存じます。
佐藤政府委員
。
佐藤一郎
4
○
佐藤
(一)
政府委員
ただいま
提案理由
の
説明
を申し上げたのでございますが、事柄の
性質
上あるいはもう少しく敷衍して御
説明
をいたす必要があるかと思いますので、私から御
説明
を申し上げます。 今回
提案
をいたしております要点は第一番は
支出負担行為制度
の
改正
という点でございます。これは御
承知
のように
予算
が成立いたしまして、
各省
の
大臣
がそれに基いて
支出
をするという場合には、まず
契約
をいたしまして、それから
支払い
をする、こういう二
段階
に
なつ
ておるわけでございます。
契約
をいたします際に、大体
四半期
に
なつ
ておりますが、
予算
全体の
契約計画
というものをつくわまして、それを
年間四つ
くらいにわけて出しておるわけです。その毎
四半期
に認められるところの
契約計画
を越えて
契約
することができない。これが
支出負担行為制度
の根本でございます。その
計画
のもとにおきまして、各
契約
を担当する——われわれは
支出負担行為
の
担当官
と呼んでおりますが、
契約
を担当しておる係がその
計画
の
範囲
内において
契約
する。
契約
ができましていよいよ
支払い
の
段階
になりますと、今度は
四半期別
の
支払い計画
にわけまして、また
支払い計画
の
範囲
内であるかどうかということを確かめて
小切手
を振り出す、こういうふうに
なつ
ておるわけでありまして、いわば
わが国
の
支出
は
コントロール
がニ重し
なつ
ておるのであります。戦前ずつと
わが国
の
会計制度
として
とつ
ておりましたのは、
支払い計画
の
制度
でございまして、
契約
の
段階
、すなわち
支出負担行為
の
段階
におきましては
計画
を
四半期
にわけるという
制度
は
とつ
ておらなかつたのでございます。
終戦
後におきまして一時
支払い遅延
の問題が、非常にやかましく
なつ
たことがございます。すなわち
支払い
のあてが
はつきり
ないのに、むやみに
契約
ばかり先にしてしまう。主としてこれは
終戦処理費
に
緊気事態
が多く起りましたために、その
目的
を達するためにそういう
事態
が起りがちでございました。しかも
契約
ばかり先走
つて
おりましたために、あとさ
支払い計画
によ
つて支払い
を確保することが困難であるというような
事態
から、
支払遅延
が多く起りました。それで
政府
としましては、
契約自身
について
計画
を設けまして、それを防ぎたいという気持から、
契約計画
という
制度
を設けて、いわば二重の
コントロール
をしたのでございます。ところがその後
支払い計画
の約束がないようなものについて、
契約
するというような
事態
がだんだんなく
なつ
て参りました。一方におきまして、
支払い
と
契約
というものは二重に
なつ
ておりますけれ
ども
、その
内容
においては大体重複しておりますたとえば俸給の
支払い
にしましても、ちよつとばかりの各
事務用品
の買入れにいたしましても、
契約
即
支払い
という場合が大部分でございます。そういうような
事態
のもとにおきまして、わざわざ二重の協定をやるということは、いたずらに
手続
を煩瑣にいたしまして、ただでさえ
経理人員
が乏しい今日におきまして、非常に
事務
の
負担過重
になるということがかねがね叫ばれておりました。今回
政令諮問委員会
が
政府
に設けられまして、
政府
の人事並びに
会計
の
手続
に不必要に煩瑣な面があるからもう少し実際に即するように
改正
したらどうか、こういう
要求
がございまして、われわれもそれに基いて研究を進めて参りまして、その結果特別に
契約
について
コントロール
をするような
経費
以外は、すなわち
支払い
と
契約
が同時になされ、あるいはまた別々の統制をする必要のないようなものにつきましては、
支払い計画
の
制度
だけに残しまして、
契約
の
段階
にれける
支出負担行為
をやめることにいたしたのであります。しかし今申しましたように、
公共事業費
でございますとか、
予備隊
の
経費
でございますとか、
予算
を編成いたします際に、
内容
を
コントロール
するのに不十分な点のあるようなものにつきましては、さらに詳細にわた
つて
審査
をなし、その
コントロール
を十分にするという
意味
合いからしまして、特定の
経費
として
大蔵大臣
が指定いたしまして、その
契約計画
をやはり
大蔵大臣
の
承認
にまかせることにいたしたのでございます。 それから第二に、
会計職員
に関する
制度
でございますが、たとえば
各省
の
会計課長
は、ただいま
会計法
上の
支出官
というポジシヨンを持
つて
おるわけでありますが、
支出官
でありますときには、たとえば、
会計課長
の
異動
がございますごとに、
大蔵大臣
に一々
協議
を求めて来ておるわけであります。ところが大蔵省といたしましても、
個々
の
人間
についての
協議
は実は不必要なのでございまして、
会計課長
あるいは
文書課長
、その職名に応じて、
支出官
は
会計課長
がいいか
文吉課長
かいいかということを、あずかり知る必要があるわけでございます。それで
個々
の
人間
の
異動
というものが、一々
協議
にかかるということは不便でございますから、最初に
各省
の
大臣
が
会計課長
を
支出官
にするというふうにすれば、それだけで事足りるというふうにしたい、こういうわけでございます。 それから次に
契約
の点でございますが、御
承知
のように
政府
は、
一般入札制度
というものを
政府
の売買の
建前
にいたしております。そして特に法令で認めた特別の場合においてのみ、いわゆる相対ずくの
随意契約
というものを認めておるわりでございますが、その
随意契約
をいたします際には、
大蔵大臣
に一々
協議
を要することに
なつ
ております。しかしこの中には、必ずしも一々
大蔵大臣
の
協議
を必要としないようなささいなものもございます。それで従来
会計法
の二十九條におきまして
大蔵大臣
に
協議
をすべしということに
なつ
ておりましたのを、
政令
によりまして、場合によ
つて
は
大蔵大臣
に
協議
をしなくてもいいという
規定
を設ける余地をつくわたいというふうに、
改正
をいたしました。
金額
の少ないものでございますとか、労務の
契約
のようなものにつきましては、一々
大蔵大臣
の
協議
を要しないということにしたい、こういう心づもりでおります。 それから
繰越
し
制度
でございますが従来
繰越
しの
制度
には二
種類
ございまして、
明許
繰越
しというものと事故
繰越
しというものがございました。
明許
繰越
しと申しますのは、
国会
で当初
予算
を御
審議
を願います際にあわせて、この
経費
は
工事
の
性質
その他から見てとても
年度内
には
完成
の
見込み
がない。従
つて
繰越
しをするかもしれないが、あらかじめどうかお認め願いたいという
意味
の、いわゆる
繰越
しの
明許
というものを、
予算
の中につけて出してあるわけでございます。ところがそれに対しまして、
年度
当初全然
予想
はいたさなかつたのでございますが たとえば天候のかげん、雪国において雪が早く降つたとか、あるいは
工事
において
土地
の
買収
が
予想外
に手間取つたために、本来の
工事
に落手するまでに至らなかつたとか、何かの
理由
に基きまして
工事
の着手が遅れた結果として、
年度内
に
完成
の
見込み
がなく、どうしても
繰越
しの必要があるというような
事態
があるのであります。これを私
ども
事故
繰越
しと呼んでおります。しかしながらその
工事
を
完成
させないわけには行きませんので、
大蔵大臣
に
承認
を求めまして、
各省
におきましてはその
繰越
しをしておるわけでございます。しかるに
繰越
しの
制度
と申しますのは、ともかくも
契約
を結びまして
工事
に着手するということが要件でありますが、中には、たとえば今申し上げましたように、
土地
の
買収等
でまだ
工事
に着手する
段階
にまでも至らないというような、特殊な場合があります。こういう場合におきましては、
予算そのもの
を
繰越
すことになるのでございますので、私
ども
としては、従来は、慎重に考えた結果、これを認めておらなかつたのでありますが、今回これを、
国会
の
承認
を経て認めることには、さしつかえなかろうということに考え先のであります。すなわち
繰越
しの
明許
というものを、従来当初
予算
についてだけ認められておつたのでございますが、このたびは
追加補正
の際、たとえば二十六
年度
の分について申しますと、来るべき
通常国会
におきまして、とても
年度
末には、どうしても
繰越
しをしなければ
工事
の
完成
の
見込み
がないというような
種類
のものにつきましては、あらかじめ
国会
の
承認
を得まして
明許
を得たい、こういう
制度
を開いて、少しでも
繰越
を円滑にや
つて
行きたいという考えでございます。これはなぜ私
ども
がこういうことを考えるかと申しますと、
会計検査院
の
検査報告
において、しばしば注意を受けておるのであります。それは
各省
といたしましては、もしも
繰越
しするのを厳重に取締りますと、どうしても
工事
を完了したような様子をするというような傾向が出て来るのであります。そのために
工事
が完了いたしませんでも、
工事
が完了したかのごとくに
支払い
を完了してしまうとか、
各種
の弊害が出て参ります。
検査報告
をごらんになりますとわかるのでありますが、そういつた
会計検査院
の
報告批難
にこたえる
意味
においても、この
制度
を必要とする、こういうふうに考えておるのであります。 次に
継続費
の
制度
について申し上げますと、御
承知
のように旧
憲法
におきましては、
継続費
という
制度
があつたのでございます。新
憲法
におきましては
規定
の上ではなく
なつ
ておりますがしかしながらこれは
継続費制度そのもの
を、新
憲法
が否定しておる
意味
ではないというように、
政府
は考えておるわけであります。しかも一面におきまして、大きな
工事
、たとえば関門のトンネルでございますとか、
各種
の大
港湾工事
でございますとか、いわゆる
継続費
の
制度
を必要とする
公共事業
は相当あるのでございます。もしも
継続費
を認めないというようなやり方をいたしますと、どうしても毎
年度
の
工事計画
に不安定が参ります。毎年々々人夫を募集してはまたこれを解散する。その他いろいろな面におきまして、無用の出費をかえ
つて
もたらしておるという実情でございます。その点を考えまして、われわれは
公共事業
が円滑に施行されるという
目的
のために、今回
継続費
の
制度
を認めたわけでございます。 なおそのほか、従来
決算
の
予定締切り
の期日を八月三十一日にいたしておりましたが、これは暫定的な
措置
でございましたので、これを一月繰上げて本来の姿である七月の末までに
決算
を締め切るということにいたしまして、少しでも
決算
の
締切り
を早くして、
検査院
べの
提出
が湿れることのないようにしたいという点と、それから
小切手
の
認証制度
につきましては、すでに
法律
において根本的に
廃止
に
なつ
ておりましたのを、さらに今回
確認
をしたということでございます。ごく簡単でございますが大体の御
説明
を申し上げました。 —————————————
夏堀源三郎
5
○
夏堀委員長
次に
物品税法
の一部を
改正
する
法律案
、及び
租税特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
の両案を
一括議題
とし、
質疑
を行います。
奧村又十郎
6
○
奧村委員
ただいま
議題
と
なつ
ております二
法律案
のうち、
物品税法
の一部を
改正
する
法律案
につきましては、すでに
質疑
も盡されたと思われますので、この際
本案
について
質疑
を打切り
討論
を省略して、ただちに
採決
に入られんことを望みます。
夏堀源三郎
7
○
夏堀委員長
奧村君の動議のごとく決定するに御
異議
ありませんか 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
夏堀源三郎
8
○
夏堀委員長
御
異議
ないようでありますから、
本案
につきましては
質疑
を打切り、
討論
を省略して、これよりただちに
採決
に入ります。
本案
を
原案
の通り可決するに賛成の諸君の
起立
を願います。 〔
総員起立
〕
夏堀源三郎
9
○
夏堀委員長
起立総員
。よ
つて本案
は
原案
の通り可決いたしました なお
報告書
の作成及び
提出手続等
につ営ましては、
委員長
に御一任を願いたいと存じます。
奧村又十郎
10
○
奧村委員
これは
泉政府委員
にお尋ねしたいのでありますが、けさの
日本経済
の記事を見ると、泉さんの御
説明
に、今度の
配当所得
に対する
源泉課税
これに関連して、
申告所得税
の
申告
の中に
配当所得
の
申告
が非常に少い。つまり
法人
の
内容
を調べると、
配当金額
が総計で百六十五億円あるうち、
申告所得税
で
申告
されているものは三十数億円だ、こういう御
説明
が出ておるわけです。これは
国税庁
において正確にお調べに
なつ
た
数字
であるかどうか。その点お尋きたします。
泉美之松
11
○
泉政府委員
お答えいたします。
法人税
の統計によりますと二十五
年度
中の
配当所得
の
金額
は百八十四億というふうな
数字
に
なつ
ておるのでございます。ところが実際
申告書
で
提出
されました
納税者
の方についてのみ集計されました
所得税
の方の
数字
によりますと
配当所得
の
申告額
は
本人分
が三十億、
同居親族
といいますか、合算課税されるものを合せまして三十六億三百万円という
数字
に
なつ
ておるのでございます。それではなぜ両者の間にそのような
数字
の開きがあるのかと申しますともちろん一つには、
配当所得
は御
承知
のように個人のみならず、
法人
にも支払われるわけでありまして、
法人
の配所当得もかなりあろうということが考えられるわけでございますけれ
ども
、過言
数字
をいろいろ調べてみますと全株式のうち
法人
が持
つて
おる株式は比較的いい株が多くて、配当をしておる会社の株が多いかと思いますが、全株式のうちで大体二〇%ないし二五%程度のものでありまして、三〇%程度にはまだ至
つて
おらないくらいのものなのであります。従いまして、それを引きまして、さらに
所得税
の納税の義務のない方々、控除の結果、納税義務のなくなる方々について支払われる分もあろうかと存じますが、それを考えましても、なおかつ個人の
申告
された
配当所得
の三十六億三百万円という
数字
は、やはりどうも
配当所得
の
申告
のものとしましては、不十分なのではないかというふうに考えられるわけでございます。
奧村又十郎
12
○
奧村委員
私のお尋ねしましたのは個人の
申告
は三十六、七億円にとどま
つて
おるが、それは
国税庁
において調べられた
数字
に基いておるのかどうかということです。その点を伺います。
泉美之松
13
○
泉政府委員
お答えいたします。その
数字
は、二十五年の確定
申告
につきまして、
国税庁
において集計しました結果でございまして、まだ一般には公にいたしておりませんが、朗報の状態で
国税庁
に集ま
つて
おる
数字
でございます。来年の三月になります、毎年の税務統計書としまして、発表されることになろうかと思いますが、現在の
段階
ではまだ年悪書として発表はされておりません。朗報の
数字
で各税務署、国税局から集まつた
数字
でございます。
奧村又十郎
14
○
奧村委員
それでは、
法人
の受取るところの
配当所得
が、約三〇%余りということを言われておるのであるが、それはどういう資料に基いて言うておられるのか。
泉美之松
15
○
泉政府委員
これは株式の分布状況の推計、あるいは税務署の方を通じまして、源泉徴収がありました当時の
数字
からいたしますと、個人が受取る
配当所得
と
法人
が受取る
配当所得
を調べてみますと、
法人
の持
つて
おるものが大体三〇%程度であつたのであります。ところが御
承知
のように
終戦
後は証券民主化というここと、それから財閥の解体というようなことで、
法人
の持
つて
おる分が減りましで、一時一五%程度にまで下つたのでございます。しかしその後独占禁止法などの若干の緩和等に伴いまして、
法人
の所有している分が最近若干上りつつありまして二〇%をちよつ越える程度ではないかというふうに、推定されるわけでございます。これは一々統計を全部集めたわけではございません。源泉徴収の税額その他からの推計でございます。
奧村又十郎
16
○
奧村委員
法人
の受取る
配当所得
についてのこの三〇%というのは、
泉政府委員
のほんの腹づもりで言われたように思れる。証券取引所で調べた
数字
によると、約四五%を
法人
が受取
つて
おる、こういうことを言うておるのであります。これがもつと
はつきり
いたしませんと、今回の
配当所得
の
源泉課税
ついて、われわれは
審議
するのに相当困難するのじやないかと思うのです。しかし腹づもりでありますから、今これをこれ以上つつ込んでお尋ねしてもしかたがなかろうか思う。 そこで
国税庁
の方の資料でありますが、これは特に個人の
申告
について、
配当所得
のみについてそういうふうな調査をなされたのか。各所得別にそういうふうな調査をなさつた一環としてそういう
数字
が現われたのかどうか。その点を
国税庁
の方へお尋ねいたします。
泉美之松
17
○
泉政府委員
前段のお話の、証券会社などで調べた
数字
によりますと、
法人
の所有分が四五%というようなお調べがあるということでございますが、これは上場株式についてだけ調べてみますと、あるいはそういう結果が出るかもしれないのでありますけれ
ども
、そのほかの配当しておる株も上場株式以外にございますので、それを合せて集計いたしますと、先ほど申し上げましたように二〇%ないし三〇%の間にあるということにかるのでございます。 それからあとの御質問でございますが、
配当所得
についてだけ特に調べたというわけではございません。
種類
別階級別表と申しまして、確定
申告
に基きまして、各所得階級別、または所得
種類
別に調べました結果の
数字
として、出て来ておるわけでございます。
奧村又十郎
18
○
奧村委員
それではついでに関連して一つお尋ねしますが、昨年のその調査の際に、株式の譲渡所得、この個人の
申告
はどれだけ出ておるか。これは一番正確な資料だと思いますので、この際お尋ねしておきます。
泉美之松
19
○
泉政府委員
後刻調べて御報告いたします。
奧村又十郎
20
○
奧村委員
会計法
、
財政法
の
改正案
ですね。大体これはどうしてこんな
国会
会期末に
なつ
たのか。われわれは非常にこれは困惑しておる。こういう問題を
審議
しようと思うと、少くとも十日以上かかるのだが、どうしてこう
なつ
たのか、
政府
の釈明を聞かなければ
審議
できぬ。
夏堀源三郎
21
○
夏堀委員長
午後一時半より
会議
を開きます。 それでは休憩いたします。 午前十一時四十三分休憩 ————◇————— 午後二時四十一分
開議
小山長規
22
○小山
委員長
代理 休憩前に引続き
会議
を開きます。
大蔵大臣
が見えましたから、
大臣
に対する
税制
及び
金融政策
に関する質問を許します。
夏堀源三郎
23
○夏堀
委員
毎度のことでありますが、大蔵
委員会
では法案が山積しまして、次の
通常国会
に相当重要法案が
提出
になるだろうと存じます。特に銀行法の
改正
法案、貯蓄債雰、こういう問題は、金融機関とは何か懇談会等の形で、
大蔵大臣
の御意見を御発表に
なつ
たように聞いておりますが、まだ当
委員会
では、正式に
大蔵大臣
より、どのような御構想であるかという責任あるお話を承
つて
おりません。
通常国会
に入
つて
から、このような重要な法案を、いつものようにあまり急いで通すということもどうかと思いますので、この機会に
大蔵大臣
の、これら重要法案に対する御構想を承りたいと存じます。
池田勇人
24
○池田国務
大臣
銀行法の
改正
につきましては、今の銀行のやり方等を見まして、意に満たないところがございますのて、そういう点につきましてある程度
改正
を加えたいと思います。
改正
の
内容
につきましては、今検討を加えておりまするが、おもなる点を申し上げますれば、第一は資本金の問題でございます。資本金につきましては、大都市は一億円、その他の都市では五千万円程度の資本金にしたらどうか。
改正
の第二の点は、一銀行が一会社あるいは個人に対しまして、資本金並びに積立金の一定割合しか貸し出し得ないようにすること。御
承知
のように現状では、かなり大口貸付があるのであります。自己資本以上の貸付をいたしておる場合がございます。こういうことにつきましては、資金運用の適正化と申しますか、そういう点から、自己資本の何割という
数字
、一業者に対する貸付の制限を設けようと思
つて
おります。これは貸付あるいは社債の引受等いろいろな形態をあわせましてやりたい。これを一度にやりますると、急にかわ
つて
参りまして、銀行並びに借りている人に非常な影響を及ぼしますので、ある一定年間は猶予期間を置く、こういうふうな考えで今検討を進めております。第三の点は、資金融通に対しましてどの程度の監督権を
大蔵大臣
が持つか、こういう問題。これは一番やつかいな問題でございまするが、何とい
つて
も金利あるいは貸付條件その他につきまして、何ら監督権がないということもどうかという気がいたしますので、その点今もし指導権、監督権を持つとすれば、どの程度に
規定
するかというふうなことを、今最も重要な研究題目にいたしておるのであります。おもなる
改正
点は以上のようなところであります。私は案をつくります前に、金融業者はもちろん、産業団体の人の意見も聞いて万全を期す、こうういう考えであります。 次の貯蓄債券につきましては、私は
長期
資金、ことに電力に対しましては十分その資金を獲得いたしたいので、貯蓄債券を
政府
が発行いたして、これを特定の産業、ことに電力に向けて開発資金として吸収しよう。これもまだきまつた案はございませんが、まあ三年間くらいで、金利の点につきましても発行の際の利回りは八、九分程度にしよう。なおこの頬面は一万円、五千円、情勢によりましては千円、二千円ということも考えられないこともないのでありますが、大体五千円、一万円というふうにいたしまして、割引の方法で発行いたしまして、割増金をつけて行くというふうな考えをも
つて
検討を加えております。
夏堀源三郎
25
○夏堀
委員
きようは質問ということでなく、一応承
つて
おいて、休会中に十分私
ども
もその
内容
を検討してみたいというような
意味
で、今お伺いした次第であります。この銀行法の
改正
、これは今後金融界に、あるいは
事業
界に及ぼす影響が相当大きいだろうと存じます。これは
大蔵大臣
の御構想に基いてこの法案をいろいろお考えに
なつ
たことであるか。またはドツジ氏からの何か御指示があ
つて
、これをどうしてもやらなければならぬというようなことに
なつ
ておりまするか。もしおさしつかえがなかつなら、その点を承りたいと思います。
池田勇人
26
○池田国務
大臣
関係方面からの指示があつたのではございません。とちらから自発的にこういう案で進みたいということで、非公式に今
事務
当局として出しております。私の、
大蔵大臣
の案としてはまだ出しでおりませんが、向うから慫慂があつたわけではございません。
夏堀源三郎
27
○夏堀
委員
講和條約に調印したとはいいながら、まだ発効に
なつ
ておりませんので、関係筋からの御意向であれば、そのように私
ども
も考えなければなりませんし、またそうじやなく、
大蔵大臣
のお考でというこ売であれば、この問題はほんとうに腹を割
つて
、いろいろ今後
委員会
としても御懇談の機会を求めたい、そうして正式に
委員会
でこれを討議したい、こう考えておりますのでお伺いした次第であります。貯蓄債券問題では、大体郵便貯金の利子も値上げになるそうであります。そこで各郡部いわゆるいなかの方で郵便貯金にまわ
つて
来るその
金額
、これと都市の方での郵便貯金の貯金の率と、大体どんなくらいに
なつ
ておりましようか。
池田勇人
28
○池田国務
大臣
郵便貯金は日によ
つて
やはり動きまするが、大体今年は四百六十億円程度の増加を見込んでおります。都市の貯金と農村、いなかの貯金との割合は今
はつきり
いたしておりませんが、一応農村の方が相当多いここと考えております。
夏堀源三郎
29
○夏堀
委員
都市の方の郵便貯金も相当多いということでありますまあそうだろうと存じます。大体いなかの方で多少利回りのいい方法を考えたところで、銀行のないところでは、郵便局へ行
つて
知合いの局長ないしは奥さんに会
つて
、こんな余分な金が幾らかあるから、まあ郵便貯金をしておこうかこうか、こういう簡単な気分で貯金になる分が相当あるだろうと存じます。しかし都市の方に入りますると、これはいわゆる地方銀行に預金に
なつ
ている分が、この貯蓄債券にいわゆる移動すると申しますか、そうしたことによ
つて
、地方銀行が非常に脅威を感ずるというようなことになりはせぬかというようなことも、考えられるわけでありまするが、
大蔵大臣
はこの点に対してどのようにお考えに
なつ
ておりますか。
池田勇人
30
○池田国務
大臣
資金の蓄積が最も必要であるということは、前から申し上げておるところであります。従いまして今お話のように、
政府
が財蓄債券を発行したならば、郵便貯金、ことに地方銀行の預金が横流れをしないかという問題ですが、それは貯蓄債券の発行について一番留意しなければならぬと番います。従いまして、今の利子の関係等につきまして、相当考えなければならぬと思うのでありまするが、私は横流れのするような方法は避け、とにかく貯金された以外のもので、いわゆるたんす預金とか何とかいわれておりますが、そういうものをねらい、またその次にはできるだけ貯蓄を増強するのに都合のいいあの手この手で、貯蓄をしてもらうという考えのもとに進めたいと思うのであります。一時は横流れするような場合も考慮して、地方銀行にも売り出さして、そのうちの一定額を売り出した銀行に還元しようかという考え方をも
つて
、
協議
は進めておるのでありますが、銀行によりましては、そういうことをしたくないというところもありますので、最後の結論には至
つて
おりませんが、なるべく横流れを防止して別途に蓄積ができるような方法を講じたい、こういう考え方でございます。
夏堀源三郎
31
○夏堀
委員
この二つの重要法案についての御構想を承りました。これはまあきようは承
つて
おくという程度にいたしまして、十分に私
ども
も検討いたしたいと存じます。 なお最近の金詰まり状態はかなり深刻なものがあるようであります。東京の手形交換所で、いわゆるこの金詰まりにつきまして、不渡り手形の発生事件が八月ころで毎日三百件くらい、十月は四百件台、十一月に
なつ
て一躍八百件台、また銀行からの取引停止の処分を受けた商社あるいはメーカー、これが十月中に千百大十八件、手形の
金額
は一億三千万円、ちようど九月のそれに比較して二倍に
なつ
ておるということを承
つて
おります。このような金詰まり状態は、結局何かの対策を講じなければならぬだろうと考えております。この年末に際して、なお一層これに対して拍車をかけるであろうというこのような非常な危機な状態を来しております。何か年末金融等について、この対策を
大蔵大臣
はお考えに
なつ
ておるかどうか。この点をお伺いしたいのであります。
池田勇人
32
○池田国務
大臣
お話の通りに、かなりきつい金詰まりの声を聞くのでありまして、この原因はやはり生産の増と物価の騰貴、これが主たる原因をなしておるのでありまして、これが緩和のために日本銀行はかなりの貸出しをいたしております。日本銀行の貸出しが今二千四百億ばかりで、昨年の倍くらいに
なつ
ており、別にユーザンスの方で千三百億円ほどの信用供與をいたしております。片一方では預金よりも貸出しが多い。いわゆるオーバーもローンに
なつ
ている。そうかと思いますと、片一方では金詰まり、こういうことに
なつ
てお
つて
、年末にかけて金融対策を考えなければならぬという声が、強く
なつ
て来ておるのでありますが、私は特に今年に限
つて
こういう策を持
つて
おるという策はございません。ただ
予算
審議
を終えましたならば、国民金融公庫とか、あるいは農林漁業とか、いろいろな金が
政府
の投資として出て参りますので、これを年末に有敷に使
つて
行こう。それからまた日本銀行に対しましても、年末越年資金としての手配は、万潰漏のないように指示いたしておるのであります。従いまして、通貨も五千億円を越えることは当然であり、またいる金はどんどん出してさしつかえないが、片一方では通貨増発によりまして物価高、インフレに拍車をかけるということは、これは経済全体としては愼まなければならぬことでありますから、資金の効率を上げるような方法で融資をして行くように、指導いたして曲るのであります。数多い中には思惑をした一部の商社もあるようであります。これにつきましても、できるだけつぶさないようにして、や
つて
行けるものは銀行その他と協調して、犠牲者の少くなるような方法を、1
個々
の場合に考えさしておるのであります。輸入増加による金詰まり、あるいは策出の場合思惑をしたのが、値が上
つて
困
つて
おるという具体的な例も聞いておりまするが、そういう問題につきましては、
個々
にこれをとり上げて、市中銀行間で協力して、とにかく何とかこの年が越せるように努力したいと思います。
小山長規
33
○小山
委員長
代理 ちよつと申し上げます。ただいま
大蔵大臣
は本
会議
において、緊急質問に対する答弁を
要求
されておりまして、二十分ばかり中座されますので、御了承願います。 —————————————
小山長規
34
○小山
委員長
代理 この際ちよつとお諮りいたしておきます。それはただいま通産
委員会
において
審査
中の企業合理化促進法案につきましは、大蔵
委員会
の所管に重要な関連を持つ法案でありますので、通産
委員会
に連合
審査
会開会の申入れをいたしたいと存じますが、この点御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小山長規
35
○小山
委員長
代理 御
異議
ないようでありますから、さよう決定いたします。 なお連合
審査
会の開会の日時等につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じます。——それでは連合
審査
会は明日の午前十時開会のことにいたしたいと思います。皆さん全員の御出席をお願いいたします。 —————————————
小山長規
36
○小山
委員長
代理
財政法
、
会計法
に対する質問はありませんか。
深澤義守
37
○深澤
委員
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の一部を
改正
する
法律案
について質問をいたしますが、この
提案理由
の
説明
を聞きますると、国の
行政事務
の
簡素化
の一環として、この
制度
の
簡素化
をはかるためにということに
なつ
ているのでありますが、
行政事務
の
簡素化
ということは、結局人員整理という形で、このたびの行政整理に大きな関係があると思うのであります。この
財政法
、
会計法等
の
改正
による
行政事務
の
簡素化
によ
つて
、整理人員はどのくらいになりますか、その点をひとまずお伺いしておきます。
佐藤一郎
38
○
佐藤
(一)
政府委員
ちよつとお断り申し上げておきますが、実は今回の行政整理、すなわち行政の
簡素化
と当然結びついておるわけですが、これと今回の私
ども
の
改正
というものは、もちろん間接的に関係がないとは申しませんが、直接関連づけて
改正
をするということまでは、実は考えておらないのでございます。もともと行政
簡素化
の必要は前から叫ばれておりましたが、私
ども
の方としましても
昭和
二十四年に現在の
認証制度
というものができましたので、いわば試験的にこれをや
つて
みたのであります。ところが約二年間ばかりこれをや
つて
みましたが、功少くしてむしろ煩雑というか、害の方が相当にあるという結論が出ましたので、こういうことにいたしたのでありますももちろん
各省
大臣
の立場からしましては、どうも
手続
が非常にめんどうくさいから何とか
簡素化
してくれ、あるいはその逆に、とてもこんなふうに煩雑な
手続
であ
つて
は、今の人手では足りないというような
要求
が、しばしばあつたことは事実でございます。
各省
の
会計課長
の集まります
会議
にお冒しても、そういうことがしばしば話題に上つたのでございますが、しかしただいまのこの
会計法
、
財政法
を
改正
いたしました結果、何への整理を心がけておるというところまで、直接の関連をつけて考えてはおりません。従
つて
今の点は、私
ども
としても
はつきり
と
数字
をも
つて
お答えするということは、できかねるわけであります。
深澤義守
39
○深澤
委員
この行政
簡素化
では人員整理は含んでいないというこが、御答弁によ
つて
明確に
なつ
たわけであります。 第二にお伺いしたい点は
各省
、各庁の長官が
配賦
を受けた
予算
を使う場合において、
大蔵大臣
の
承認
を得なければならないということを、今度は緩和したようであります。ところが先ほ
ども
夏堀委員長
の銀行法
改正
の問題に関連しての
大蔵大臣
の答弁は、現在の銀行に対して監督権、指導権を強化する
意味
の銀行法の
改正
が行われるということも言
つて
おりまするし、昨
年度
におきましても預金部資金等を資金運用部に統括いたしまして、
大蔵大臣
の国家資金に対する権限の面を強めております。ところがこの
会計
、
財政法
によると、
大蔵大臣
の権限というものを縮小する
意味
も含めておるというぐあいに、われわれは理解するのでありますも最近の
政府
の政治の行き方が、
大蔵大臣
等に金融
財政
の権限を非常に強めて行くという傾向が顯著に現われておることは、吉田内閣の性格から考えて必然であると考えるのでありますが、この法案によると、かえ
つて
権限を弱めて行くというような、趣旨としてはこれは大蔵省独善の傾向を一応緩和するという
意味
において、まことにけつこうであるが、全体の行き方としては、どうも逆行する行き方はないかと私は思うのであります。それでこの法案を
提出
いたしました真意はどこにありますか。その点をひ
とつ
お伺いしたい。
佐藤一郎
40
○
佐藤
(一)
政府委員
ただいまのお話でございますが、一つには銀行検査の問題を今お話になりましたが、私たち扱
つて
おりますのは、直接には
政府
部内の関係、すなわち
大蔵大臣
と他の
大臣
との関係でございますので、お話のありました点と必ずしも軌を一にすのるということはないと思います。今回
改正案
を出しました根本の趣旨は、先ほどから申し上げましたように、この新しい
制度
というものは、われわれがや
つて
みた結果として、大して益がかくて、案外
手続
が煩瑣であるということを感じたからであります。大体
予算
というものを考えますときに、
国会
の議決を経まして、
政府
がこれを使
つて
よろしいというその趣旨を尊重するか、あるいはまた他の面、
予算
以外の面、たとえば資金統制という見地を尊重するかということは、そのときぞれの情勢に応じて考えるべきものと考えておりますももちろん
予算
は国の資金
計画
上の重要な一部分でございますので、資金統制という見地からも、これを没し去ることはできません。しかしながらそれにつきましては、午前中に御
説明
申し上げましたように、
支払い計画
制度
というものがなおございます。すなわち
契約
の
段階
における統制は、今回や争ゆるめられましたけれ
ども
、
支出
資金の面におきましては、従来と何らかわ
つて
はおりません。ある
経費
を出しますときに、
各省
大臣
に
四半期
ごとのわくをはめ込みまして、そうしてこれは第一も
四半期
に
契約
していいが、第二も
四半期
にしてはいかぬししいううな統制をすることが妥当かどうかいうことは、これは運用の面も大いにあるのでありますが、疑問があるわけであります。一番理想的なことを考えますると、
各省
大臣
が一年間の
予算
の
配賦
を内閣から受けましたならば、最もその使いよい時期において、
国会
が認めてくれた趣旨に応じて最高の能率を上げる時期において、これを
支出
し得るように
なつ
ておることが、一番理想的であるというふうに私
ども
は考えております。ただ先ほど申し上げましたように、
昭和
三十二年、二十三年等の経験によりまして、一時
契約
と
支払い
との間に非常に不必要な時間のずれが出まして、
支払い遅延
としう一つの大きな問題を起したことがありましたものですから、それらを考え合せて現在の
制度
をつくつたわけであります。しかしながらほんとうを言いますれば、今申し上げましたように、
各省
大臣
の責任において、一番能率の上る時期において、
予算
の
契約
を結ぶということが適当かと考えられるわけであります。 なお実際問題といたしましていろいろな
経費
を
契約
しようとしますと、その
計画
のわくがある。それをどうしてもわくを直すということになりますと、いろいろなこまかい
経費
についてまで、毎
四半期
の
計画
の訂正を一々
大蔵大臣
に持
つて
来ておるわけでありまして、これらの
手続
の煩瑣ということも、
事務
の上から見ますとなかなかばかにならない分量に上るわけであります。あれやこれやを考えまして、
支払い計画
の面における
コントロール
というものを嚴存さしておくならば、
契約
の面における統制こいうものは多少ゆるめた方が、
予算
の
執行
上もむしろ適当ではないか。こういう結論によ
つて
今回の
改正案
を
提案
したわけであります。
深澤義守
41
○深澤
委員
これは
大蔵大臣
もすでに言明されているごとく、
予算
の
支出
については行政面において幾多の不正行為があることは、これは天下周知の事実であります。国民自体もこのような不当な
支出
に対しては、納税ということに対しても非常な疑問を持つような結果に
なつ
ておることも、皆さんすでに御
承知
のことだろうと思うのであります。要するにこの
予算
支出
の問題は厳格の上にも厳格にして、国民の疑惑を招かないことが第一であると考えるわけですが、何かしらこのような形で
認証
関係の問題が緩和されて参りますと、現在の不当なる
予算
支出
の問題を解決するのでなしに、より以上の混乱に陥らせるような印象を、われわれは受けるのであります。その点についてはどういうぐあいに考えられておりますか。
佐藤一郎
42
○
佐藤
(一)
政府委員
ただいまの御心配は、私
ども
も実は同じような考え方でおるわけでございます。経理の面における不正事故というものは、
終戦
後の混乱で相当件数に上
つて
来ているわけでありまして、これを何とか防止したいというのが私
ども
の念願でございます。それにつきましていわゆる形の上と申しますか、法規的に非常にこまかいあれやこれやという統制の方法を考えまして、こまかくきめつけて行く方がいいか、それともある程度自分の責任というものを意識させて、そうして
手続
の上ではある程度の弾力性を與える方がいいか、これらが私
ども
の考えなければならぬ点だと思
つて
おるのであります。行者の実際。言い分その他を聞きまして、われわれ勘案いたしました結果によりますと、いたずらに
手続
が煩瑣である。
各省
の官吏は
会計法
規を理解することだけで精一ぱいである。いろいろな、たとえばチエツク・アンド・バランスというような組織がよく言われておるのでありますが、それだけに責任が不明確になるのであります。たとえばただいまの
制度
を一例に
とつ
てみますと、
支出負担行為
担当官
が
契約
を結ぶのでありますが、しかしながらその
契約
を
認証官
が
認証
するという場合に、
支出官
が今回は兼ねるような仕組みにしたわけであります。さらに
認証官
のほかにまた
支出官
がある、そういうふうに権力が分立しておりますると、責任がやや不明確になる。一体だれが最後の責任、最も多い責任を背負うのかというような点も、不明確になるわけであります。それからとかく他人に依存するというような傾向を生ずるということも、いなみがたいと存ずるのであります。結局責任の所在を明確にし、そうしてしかも万一不正事故が起りましたときには、ただちにこれを捕捉できるような組織、すなわち簡潔な組織ということも、われわれに
とつ
て考えなければならぬ問題ではないかと思うのであります。われわれは最近の経験に基きまして、ある程度
会計
手続
というものを、そういう見地から
簡素化
をする必要があるというふうに考えて参つたわけであります。 なお
会計職員
、
予算
執行
職員
の責任に関する
法律
というものが昨年でき上つたわけでありまして、これに基きまして
会計検査院
が比較的簡便な
手続
をも
つて
、その責任を追究し得るような組織を確立したわけでありますが、その
法律
を適用いたしますにも、むしろそれぞれの部門の
担当官
の責任を重くした方がいいのじやないか、というようなことも考えられます。 —————————————
小山長規
43
○小山
委員長
代理
大蔵大臣
がもど
つて
来られましたので、引続き
大臣
に対する質問を続行いたします。
夏堀源三郎
君。
夏堀源三郎
44
○夏堀
委員
ただいまの年末金融の問題についても
大蔵大臣
は補正
予算
の面で幾らか足しこなるでしようと言うけれ
ども
、この年末の金融には大した足しにはならぬと思いますも何か年末金融ということについて特に取上げた面があるのじやないのだろうか、こう存じまして伺いした次第でありますが、事新しくそれは別に考えておらぬというような御答弁で、国民も非常に期待はずれというように考えられた、思
つて
おります、この十一月十三日に引揚げた預託金の百四十九億、これによ
つて
一層金詰まりを激化した、こう私
ども
は考えております。この際に預託金を再預託するようなことをお考えに
なつ
ておりませんかどうかいうことをお伺いいたしたい。
池田勇人
45
○池田国務
大臣
これは昨年の二月だつたと思いまするが、百四十九億を普通の銀行に預託いたしたのであります。その後補正いたしまして、今の相互銀行、前の無盡会社の方へ二十億ばかり肩がわりした。また信用金庫の方にも七、八億出しました。それから商工中金、農林中金の方もふやしたのであります。今回引揚げましたのは、この六、七月ごろから
計画
いたしまして、普通銀行の分を引揚けることにいたしておるのであります。無盡会社、すなわち相互銀行あるいは信用金庫、商工中金、こういう方面の分は年末に引揚げずに、来年の三月まで延ばすことにいたしております。それから引揚げました銀行につきましても、災害地の銀行につきましては十五億ほど引揚げましたが、また別に出すことにいたしております。従いまして残りの百億ばかりのものは、ただいまのところ引揚げつばな上で、再度出すという
計画
は持
つて
おりません。私はやはり全体的に日本銀行あるいは市中銀行が適正な方法に上
つて
、
政府
の金ということでなしに、いるところには出すということで行
つて
いただくのが、定石ではないかと思います。今回の
法人税
法におきましても、普通ならば十二月の初めに三、四百億円の税金が入るのでありますが、これは御
承知
の通り三箇月、半額は三箇月以上ということにしておりますので、十二月の金融には相当役立つと思います。また商工中金につきましても、できるだけ融資をしたいというところで、今案を練
つて
おりまするが、国民金融公庫あるいは農林漁業金融の方からも出して行きますし、また農中の方には御
承知
の通り供米資金が相当余
つて
おります。これを何かの方法ででひ
とつ
使
つて
行きたい。年末金融はこういうことで、あらゆる方策をその時期に使
つて
行くのが適当ではないかと考えております。
夏堀源三郎
46
○夏堀
委員
中小金融に対しては、若干
大臣
は御考慮なさ
つて
おるようでありまするが、との年末金融の急場を救済するには、やはり全体に対して大きく——私
ども
の考えとすれば、関係筋の方でそれはまかりならぬということであれば、これはやむを得ないことでありまするけれ
ども
、
大蔵大臣
の裁量でできるものであつたならば、この際に百五十億や二百億の金は、再預託するようなことをお考えに
なつ
てほしい、こういうような
意味
でお伺いした次第であります。それはできないということでありまするが、できないということは一体どういうことか。それはあなたお一人のお考えで出したくないのであるか。またこういういわゆる急場を救済しなければ、国民経済は先ほど申し上げたように、不渡り手形、銀行取引停止等もう経済的破綻を来すという面まで追い込まれておるから、これを救済するのが政治じやないか、こう私は考えておりまするけれ
ども
、どうも出したくないということが、まだ占領管理下にありまするから、その関係筋の側に何らかあれば、これはやむを得ないことでありますけれ
ども
、この点をしいて今ここでどうこうということをお伺いすることは、
大臣
を苦しめることになるかもしれませんけれ
ども
、できる限りこの面に対しては、国民経済のあり方を十分に関係筋の方にひ
とつ
御
説明
かさ
つて
、そのような方法を
とつ
ていただくことが望ましいと考えております。どうもインフレとかなんとか言
つて
、大分御心配に
なつ
ておるようですけれ
ども
、むしろこうした金詰まりは国民経済を最後の破綻の線に追い詰め、従
つて
本年の電力関係、金詰まり等によ
つて
、生産は著しく減退しはせぬか、こうまでも私
ども
は考えておりますが、もしそういうことに
なつ
たならば、二十七
年度
の
予算
歳入において何か狂いが来はせぬか。これは杞憂であればいいのですが、もしそういう面があつたらこれはゆゆしき問題である、こう考えるものであります。そのようなことについて何か御心配ありませんか。その点をお伺いしたいと思います。
池田勇人
47
○池田国務
大臣
出したくないということではないのであります。この百五十億の分は、実は昨
年度
引揚げる約束をしておつたのでありまするが、あの当時引揚げるということはよくないので、関係方面と話合いをつけまして、とにかく
政府
の資金散布のとまに、
政府
からどんどん金を出すときにかわりに引揚げる。それはやはり八月頃から準備して、十一月ごろに返してもらうのが一番返してもらうときとしていいこういうので七、八月ごろから準備してや
つて
おるのであります。急激に引揚げたのではございません。しかもまた引揚げますにつきましても、ただいま申し上げましたように、年末、越年のために必要な分だけは残しておく。災害でいる場合においては特に再貸付をする、こういう手配は
とつ
ております。ただ
政府
が金を一般銀行に預託してやるということは、定石ではございません。従
つて
金融というものは一応定石を踏んで、そうしてずつとや
つて
行
つて
、どうしてもしわが寄
つて
来るというときには、何としてもこれはやらなければならぬ。私は一応定石を踏んで行
つて
、そうして日本銀行あるいは普通銀行、あるいはその他の特殊金融機関を督励して、定石でひ
とつ
越えて行こう。そこでむずかしく
なつ
た場合におきましては、これは一昨年もそうでございまするが、見返り資金で造船資金あるいは電力資金を年末に出すこういうようなことをや
つて
おりますが、その時々、情勢に応じていろいろな手を打つ、そう実はいたしております。
夏堀源三郎
48
○夏堀
委員
定石ではない。あるいはそうかもしれませんけれ
ども
、この前にお出しに
なつ
たときは、それは定石であるかないか知らないが、国民経済は非常に困つた、金融界は非常に困つたからお出しに
なつ
たので、今はその当時と比較してはたして定石論によ
つて
、これを出さなくてもいいということができるかどうか。私はその当時よりも、むしろ今の方が非常に危機に追
つて
おるというようにも考えております。このことで時間を
とつ
ても何でありますので、とにかくこの問顯は
大蔵大臣
の御盡力によ
つて
、国民は大きな期待を持
つて
おるのでありまするからひ
とつ
国民の期待を裏切らかいようにして、この年末金融を、そういう面において救済してもらいたいということを、私より申し上げておきたいと存じます。 それからもう一つは資本蓄積の問題です。独立国家と
なつ
ての、自立経済的資本蓄積の問題になりますが、現在資本蓄積は各会社の現状において、どういう状態に
なつ
ておりまするか。これは簡單でよろしゆうございますが、御答弁願いたい。そしてなお資金はいわゆる利益の何十パーセントが資本蓄積に向いておるかもこれをちよつとお伺いしたい。
池田勇人
49
○池田国務
大臣
年末金融について重ねてお答え申し上げますが、御
承知
の通り一昨年の暮れはかなり金詰まりがひどかつたので、当時の預金部資金百億円を十二月に預託いたしました。それからその後年が明けまして、中小企業の金融とかなんとかい
つて
騒がれたときに、今の
政府
のものを出したのであります。私は今こういう金を出す、ああいう金を出すという約束よりも、いつでも
大蔵大臣
は経済の円滑なる運営ということが第一の主眼でございますから、あの手この手といろいろの画策をいたしておりますから、どうぞ御安心を願
つて
しかるべきだと思います。いろいろの手がございますので、微力ではございまするが、万端の用意はしておりますから御安心をいただきたい。 それから資本の蓄積で、
法人
の資本の蓄積は私は非常にこの二十六
年度
はできたと思います。利益金の留保が大体二千三、四百億円、それに持
つて
行
つて
償却で利益から落した
金額
が千百債円、三千五百億円ばかり二十六
年度
の
法人
関係で資本の蓄積ができたと思います。その中の千百億円は償却の分でありますから、ほんとうの
意味
の資本蓄積ではございませんが、利益金から留保した分が両方合せて三千五百億円、二十五
年度
にはこの三千五百億円に比して千五百億円程度でございました。二十四
年度
は六百億円余り、こう
なつ
てみますと幾何級数的に
法人
関係の留保はふえているのであります。利益金を積み立てたものが二千三、四百億円でありますが、配当は八百億程度であります。税金が御
承知
の通り千五、六百億円、こう
なつ
て参りますので、大体全体が五千七も八百億円の利益で、税金の千五、六百億、配当の八百億、その残りが資本の蓄積となるのであります。会社によ
つて
違いますが全体の会社はそう
なつ
ておりますので非常な資本の蓄積をいたしておることに相
なつ
ております。
夏堀源三郎
50
○夏堀
委員
こういう資本の蓄積は、税率を引上げることに
なつ
て、民間資本の蓄積はこれに逆行するというように考えてよろしいだろうと思います。これは両方持
つて
行かなければならぬでしようが、大体今後のあり方は、
大蔵大臣
はどちらに重点を置いてお考えに
なつ
ておりますか。
池田勇人
51
○池田国務
大臣
税金を
とつ
てそれをためるということよりも、税金を少くして民間の人にためてもらうということが本筋だと考えます。税金を安くして民間にためさすようにしたらどうかということでありますが、そういうようにしております。ただインフレ防止のためにある程度税金で
とつ
て、国家資金として使う場合もありますが、これは原則ではありません。
夏堀源三郎
52
○夏堀
委員
それで私
ども
も
大蔵大臣
の御意見に賛成であります。まず民間の資本蓄積によ
つて
国民経済の基盤を強固にし、そしてそれがひいて国家
財政
の健全化をはかることができる、こういう順序で行くべきものであると存じておりまするので、そのような御方針でお考えになることは、私
ども
も賛成であります。なおこの資本蓄積の面で、資本の蓄積と税体系の確立という大きな問題がありますが、大分最近今社関係が成積を上げているというようなことで、一日に二億円程度の遊興費そうした濫費がある、こういうことを伺
つて
おりまするが、これは
国税庁
幕官もお見えに
なつ
ておりまするが、一日に二億円程度をいわゆる遊興費として——社用族と申しておりますが、こうしたようなことが実際あるかどうかお伺いしたい。
高橋衛
53
○高橋(衛)
政府委員
会社におけるところの交際費その他として、料亭等に使われる
経費
の額に関しましては、これはむしろ遊興飲食税を調査しておりまする地方自治庁でありますか、その方面において調査があるかと存じますが、私の方でこれだけを取上げて調査したものは、ただいまのところございません。これだけお答えしておきます。
夏堀源三郎
54
○夏堀
委員
それでこの問題は非常に大きな問題であ
つて
、二億円という濫費がもし事実であつたならば、これに対して
政府
及び国民全体が反貧して、これを有敷に使う線に持
つて
行つたならば、私少くともこの
支出
を八百債ないし一千億と見ておりまするので、特にこういうような大きな金がたとえば電源開発とか、こういう国策的に有効な方面に使うことができることになれば、それはたいへんいいことじやないか、こうちよつと思いついたので、お伺いいたしたわけであります。なお地方自治庁の
予算
の面では、二十六
年度
の遊興飲食税の予定額は大体百六十一億一千四百万円に
なつ
ているそうであります。そこで売上げの税率は三〇%であるから約五百億円程度になる。しかしこれとても六割くらいで、四割は実態把握不能であるだろう。これは大体
予想
びつくことであります。こうしたような金が大体社用族と申しておりますが、この会社関係の交際費その他の濫費に
なつ
ておるそうであります。個へなんというものはせいぞれ全体の五%にも当らぬだろうと思います。そうすると会社の経理の
内容
を、税体系の確立という面からい
つて
、これを何とか軌道に乗せるようなことをお考えに
なつ
てはどうか。どうしてもここに現われた
数字
からして、地方自治庁のこの
予算
面に現われるそれは、今私が申し上げたそれとほとんどかわりがない
数字
であ
つて
、むしろ二億二千万円くらいになることになりますので、この際にこれをどういう方法で資本蓄積の線に繰上げることができるか。たとえば私の考えとしては、会社経理の
内容
について、この考え方ですが、青色
申告
のような
申告
の
内容
に、この程度はまあ認めるとか認めないとか、そういうことは御研究の上で一つの線をすえて、そうして資本蓄積の線がかりに四〇%程度であれば、その四〇%程度以上の線にこの濫費を繰上げた際に、それを免税もしくは一〇%程度の減税にするという方法を、
法律
もしくは何か
国税庁
の操作の上において、これをおやりになることができるならば、結局その濫費の防止もできますし、資本蓄積もできます。そういうような方法で
政府
及び国民全体が反省して、ほんとうにいわゆる講和締結後の独立国家としての国及び議会、個へ全体が自己の責任において資本蓄積の実態を実施しなければならぬ、こう考えておりますので、この問題を取上げてお伺いした次第であります。これは今ここで、しからばこういう名案があるかちどうせい、こうせいと言つたところで、これはちよつと
事務
的に相当研究しなければならぬ問題であると存じますので、
大臣
及び
国税庁長官
はこの問題を十分に頭に入れて、今後
事務
的にこれをどう傑作して有敷に使えるかということを、御研究を願いたい。私
ども
も研究してみます。 繰返して申し上げますが、二億円という濫費の
支出
があるということが、すでに
予算
の面に現われて、そうしてその全部が把握することができないということ、料理屋が最近全国的に増築新築あらゆる方法で、りつぱな建築をしているということ、これはまさか金融機関が全面的に援助しこや
つて
いるとではないだろうと思います。そういうことはお客からとる金あるいは税の面における操作、こういうことで中小企業の——まあこれも中小企業であるかもしれませんが、一般の産業面に携わ
つて
いる中小企業の連中の
予想
も及ばないような、宏壯な建築をや
つて
いるのであ
つて
、そうした面から見てもこれを否定することはで品きないだろう、こう考えているのであります。きようはこれに対して具体的にこういうような方法でやろうじやないか、また何か名案がないかとかいうことは申しませんが、特にきようは私から取上げて
政府
に申入れをして、そうして今後資本蓄積の面において、国民全体の協力態勢をつく
つて
いただきたいということを申し上げておきます。これに対して御答弁を願います。
池田勇人
55
○池田国務
大臣
お話のように一日遊興飲食の金が二億円になるかならぬか正確な答弁はできませんが、私はそのくらいに上るのじやないかと思います。一軒の料理屋で年に六、七千万円の売上げの料理屋が、相当とは申しませんがちよいちよいあるこういうことから考えると、料理屋のみならず温泉族館等を入れますと、夏堀さんの御想像のような
金額
になるのではないかとも、私も考えるのであります。ただこれをどうするかという問題であります。戦時統制時代におきましても、商売上の交際費を切るということは、なかなかむずかしいのであります。ほかの機会でも申し上げましたが、あるしようゆ屋とか酒屋が、自由主義に
なつ
て参りますと、自分の販路を獲得するために温泉に小売屋を招待する。これは私は、しようゆ屋とか酒屋としては必要
経費
だと思うのであります。その必要
経費
としての硬い方が多いとか少いとかいうことは、なかなか問題でございまして、交際費のたくさんいるところとたくさんいらないところは、おのずから業種によ
つて
違いますが、業種別に、また企業の規模別にやるということは、なかなか困難な点があるので、昔からたびたび考えたのでありまして、同族会社につきましては今でもある程度や
つて
おりますが、一般の企業につきまして基準を設けてやるというこ様、なかなか享かしいの募ります。しかしせつかくのお話でございますし、またそういう声が今非常に強うございますから、われわれとしても課税上何かいい方法はないものかということを、今後も特に研究して行きたいと考えておるのであります。
夏堀源三郎
56
○夏堀
委員
今申し上げたような事情で、この点は早急に何かの対策を講じてもらいたいということを申しておきます。 なおもう一点お伺いしたいことは、国民経済が、でき得るならば
憲法
に示してある通り、平等で行ければたいへんよいのであるが、それはなかなかできないことであ
つて
、よ
つて
憲法
第十三條、第十四條でありましたか、政治経済、社会的に不平等な点は、政治のカによ
つて
云々ということが明記してあります。これは、この前
大蔵大臣
に私お伺いしたことがあつたわけでありますが、今こうした面を地方的にある程度是正するために、平衡交付金、起債、そうした
政府
資金によ
つて
何とか調整をとるということを、地方自治庁また
大蔵大臣
はお考えに
なつ
ておる一ろうと存じます。しかし、それは万人を期して、国民が期待する線には行
つて
おりません。私は青森縣でありますが、青森縣のような農業縣は、平衡大付金あるいは起債は実債によ
つて
算出されるので、もともと貧乏な縣は実績がないのであ
つて
、富める縣と比較して、そういう
政府
の考えた線にも、浮かび出ることがない実情に
なつ
ております。最近の新聞に、何か平衡交付会のあり方に対する再検討というようなことがちよと見えておりますが、これは私の今申し上げたような、貧乏縣等に対して調整するために増額するしいう
意味
の検討であるのか。また減額の
措置
をとるということの再検討であるのか。この点を
大蔵大臣
からお伺いしたいのであります。
池田勇人
57
○池田国務
大臣
平衡交付金のわけ方の問題でありますが、各都道府県におきましては、経済力がよほど違
つて
おりまして、たとえば東京とか大阪府のごときは、ほとんど平衡交付金は行
つて
おりますまい。また行かなくても畑当の増収然あるような状態でございます。またお話の青森県等の農業県におきましては、かなり苦しい立場におありのようでございます。従いまして私はできれば平衡交付金の算定並びに配分の方法につきまして、検討を要するのではないかという私見を持
つて
おります。直接の所管ではありませんが、私は今のような経済状態で、都市と農村との懸隔が非常に大きく
なつ
た場合には、ある程度考えなければならないのではないかと思います。 第二の御質問の平衡交付金についての再検討、これは増額の問題でありまして、私としては減らすという考え方は持たないで、衆議院並びに参議院のあの決議の趣旨を体しまして再検討し御趣旨に沿うように今努力しておる状態であるのであります。
夏堀源三郎
58
○夏堀
委員
ただいまの御答弁を承
つて
すつかり安心しました。どうも
大蔵大臣
は、大分
予算
の面でこの次には歳入はちよつと思うように行かんのじやないかということから、減ずることをお考えに
なつ
ていはしないかという心配が非常にあつたのでありますが、今やはり衆議院及び参議院の決議にあつたように、増額する線に進めることにおきめに
なつ
たということをお伺いして、私
ども
安心しました。国民もこれに対して、非常に好感をも
つて
迎えるだろうと考えております。まだ大分質問者もあるようでありますから、私はこの辺で打切りたいと思います。
淺香忠雄
59
○淺香
委員
大蔵大臣
があまり当
委員会
にお見えにならないものですから、いろいろお伺いいたしたいと思う点がずれまして、まちまちなことを質問するかもしれませんが、その点あらかじめ御了承願いたいと思います。 国家としては、最近行政改革、これに伴うところの
経費
の節減あるいはその他いろいろの方面を考慮して、相当努力を示しております。ところがそれと反対に地方自治体の方では、この点きわめて不十分であろうと思うのであります。というのは、公選知事や市町村長というものは、どうしても選挙あるいは任期というものが頭にあ
つて
、これがためにあまり喜んで緊縮政策をとりたがらない風があることは、御
承知
の通りであります。従
つて
今も
夏堀委員長
から質問がありましたが、年々膨脹するところの地方
支出
の財源をどこに求めるかといえば、これの財源は平衡交付金に依存する。これが獲得あるいは奪合いに血眼に
なつ
ておるのが、現在の地方
財政
だろうと思うのであります。地方自治の確立は、中央の財源と並行して、地方
財政
の緊縮と自立を強力に行わなければならぬことは、私が言うまでもないと思うのであります。そこで中央が国税の減税をやる、あるいは
財政
の緊縮を急ぐの余り、そのしわをことごとく地方
財政
に押しつけるような結果になるに及んで、せつかく
政府
が減税を誇示いたしましても、結局国民の負担の
軽減
にならないようなことに
なつ
て来るのでありますが、これを調整することについて、
大蔵大臣
としてはどういうようにお考えに
なつ
ておられるか。この点をお伺いいたしたいと思います。
池田勇人
60
○池田国務
大臣
原因はいろいろございましようが、ただいま国の
財政
はかなり緊縮して行
つて
おりますが、地方の
財政
は、御
承知
の通わ年々累増いたしております。
政府
は今回行政整理その他で
経費
の節減をはか
つて
おりまするが、地方の方におかれましても、機構の縮小、人員の整理をや
つて
いただくよう、
政府
は勧奨するような気持で案を練
つて
おるのであります。国民のふところから出るのは同じでありますから、国税を減らしても、地方税がふえれば何にもなりません。従
つて
われわれといたしましては、地方の方の
経費
を極力節約していただくように願
つて
おるわけでございます。何分にも今
大蔵大臣
といたしましては、地方
財政
につきまして昔のようにとやかくくちばしを入れるわけにも参りませんので、平衡交付金で議論するのが精一ぱいであります。議論いたしますと、いつも負けまして、どんどんふやして行かなければならぬようなことはまことに遺憾でございますが、これは結局国民自身が、国の
財政
に関心をお持になる、同時に、あるいはそれ以上に地方の
財政
につきましても関心を持
つて
いただく。国民自身が国並びに地方の
財政
を監視して、ぜひ節約するようにひ
とつ
仕向けて行
つて
いただきたいものだと、
大蔵大臣
として願
つて
いるわけでございます。
淺香忠雄
61
○淺香
委員
ドツジさんが再々こちらの方へ参られまして、今どき世界中に減税するような国はどこにあるのか、アメリカでさえ増税の方向に進んでいるではないか、日本
政府
が減税
計画
を立てるというようなことは、物の考え方があまりにも甘過ぎる、こう言つたということが非常に最近喧伝をされまして、国民としてこのドツジさんの言われた言葉が、やがては増税を
意味
するのであろうと、これが機運になりまして、国民一般としては来るべき増税に対する不安を相当持
つて
おると思うのでありますが、これにつきましてこの際ひ
とつ
大蔵大臣
の見解を、いま一度承
つて
おきたいと思うのであります。
池田勇人
62
○池田国務
大臣
ドツジ氏はそういう気持を持
つて
おられるようでありますが、 〔小山
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 私は日本の今の国情、国民生活の状況から申しまして、ぜひともただいま
国会
で御
審議
願
つて
おりますあの減税案は、来
年度
も続けて行かなければならぬと思います。いろいろな
経費
が来
年度
はかさみますが、いくらかさんでも、減税を前提として
経費
のやりくりをするのが至当だ、こういう強い希望を持
つて
努力を続けておる次第であります。
淺香忠雄
63
○淺香
委員
非常に明快な御答弁をいただきましたが、税の負担は一両年来
軽減
の方向に進んでおりますが、私は国民生活の現在の程度から見ましたらなお高率であろうと思う。従
つて
税の率というものは現在でもなお戰前の倍に近い率であります。この重税を国民感情からあらわしますならば、われわれは税金のために疲れき
つて
いるというのが、実感であろうと思うのでありますが、なおこの上ともただいまのお話のように、
税制
の合理化あるいは減税の方向に、なお一層進んでいただきたいことを希望いたしますと同時に、いま一つは、商工中金あるいは農林中金などの金融機関の監督行政は、御
承知
の通り主務
大臣
は通産、大蔵あるいは農林、大蔵の両
大臣
に
なつ
ておりますが、これがために、いわばこの両金庫などは宙ぶらりんに
なつ
ているので、大蔵省としては一向力が入らない。力が入らないということは、とわもなおさず中小商工業者あるいは農民に対して、資金が流れることが非常に阻止されている。言いかえれば熱が入らないために、資金が流れていないというように思われる節があるのであります。これにつきましては、金融機関一元的統制の
建前
からいたしましても、主管はやはわ大蔵省であり、また
大蔵大臣
が監督行政の責任者であることが、私は常道であると思うのでありますが、もし
大蔵大臣
が、私のただいま申しましたことがしかりだというようなお考えを持たれる場合には、今後この問題に対しまして、この解決にどうお考えになるか。この点を承りたいと思います。
池田勇人
64
○池田国務
大臣
お話の商工中金及び農林中金は、その発生の動機が特殊の団体の育成発展ということが、一つの旗じるしに
なつ
ておりますので、その機関は金融機関でありますが、そういう関係から共管に
なつ
ておるのであちます。従いまして、十分な監督その他ができないとか、あるいは力こぶの入れようが足りないとかいう批判はあるかもわかわませんが、それは発生の動機の関係上やむを得ないじやないかと思います。しかしこの商工中合に関しましては、御
承知
の通り私が
大臣
に就任いたしましたときは、貸出しが二十億余りだつたと思います。過去長い歴史を持
つて
お
つて
それだけだつたのでありますが、ここ二年半ばかりに百七、八十億円に膨脹して来たのであります。決して力こぶの入れようが足りないじやなくて、私は中小金融に対しまして、極力その金融の適正強化をはかるために一番努力して拠り、善通の銀行よりも商工中金の方に力を入れている状況であります。今後もこれを続けて行きたいと思います。商工中金の発展ぶりは実に目ざましい状況であります。今回商工中金の
改正
をして組合員のみを相手にせず、非組合員をも相手にし得るように、けれは貸付、預金の方につきましても、そういうふうな機構の拡充をはかりまして、中小商工業者の金融に一段と努力いたしたいと考えているのであります。農林中金におきましても、このごろの活動ぶりは目ざましいのでございまして、私は他の金融機関よりも、両者ともより活発に動いていると考えております。
淺香忠雄
65
○淺香
委員
他に質問者もあるようですし、あまり長時間をとりましても恐縮ですから、最後に一つだけお伺いいたしますが、過日
予算
委員会
の席上で庄司一郎氏の質問に端を発しました皇居の再建であります。
予算
委員会
においては皇居の拝観に先般行かれましたが、私もお供いたしました。ところが外観からあの皇居を見ますと、たとえば二重橋附近からながめますと、非常にりつぱであります。ところが、中へ入
つて
見ますと、非常に荒れ果てておりまして、私も意外な感じで帰
つて
参りましたが、幸いに講和條約の批准も終り、各国の批准も来春ごろに終るだろうと
予想
されます。その場合に外国からの使臣、使節など相当来られると思うのでありますが、それを考えます場合に、あまりあれではひど過ぎると思うのであります。つきましては、当
委員会
も関係の深い
委員会
でありますので、一度皆様方も拝観に行かれることを、私は
提案
したいと思
つて
おつたのでありますが、
大蔵大臣
はこの皇居の再建に対して、
予算
措置
などにつきまして何かお考えがあれば、ひ
とつ
承りたいということが一点。 いま一つは抽象的な問題でありますが、過日
大臣
は、金持は米を食い、貧乏人は麦を食え、こう言つたとかいう話で、野党の諸君は何やらの一つ覚えのようにこの
大蔵大臣
の言葉を攻撃宣伝の最たる武器として、
国会
の中は言うに及ばず、外においても非常な武器としておるのであります。
大蔵大臣
ぴ、金持は米を食い、貧乏人は麦を食えと言われたのは、決して単なるそれだけの
意味
合いでなく、ほかに異
なつ
た
意味
があるものであると私は解釈いたしておりましたが、この言葉の真意につきまして、ひ
とつ
この際
はつきり
大蔵大臣
から、お答えを願
つて
おきたいと思います。
池田勇人
66
○池田国務
大臣
第一の皇居の再建の問題でございまするが、先般庄司
委員
より宮内庁次長に対しましての御質問のときに、私はあえて発言をいたしたような状況でございますもそれは、先般拝謁を仰せつけられまして、
予算
の問題等を陛下に言上申し上げたあと、侍従長と会いまして、その話が出ました。そこで侍従長は、今の宮内庁の一部を改造して、外国使臣の接見あるいは招待に充てたいという御意見がございましたので、私は、これは一応お考え願わなければならない。單にあそこを使うと申しましても、実は食堂その他に充てた部屋でないのでございまして、改造するにいたしましても、ごく不十分ではないかという意見を申し上げて、御再考を願つたのであります。やはわ陛下の御心も侍従長はそんたくされましてそういうようなことに
なつ
ておるのかと思いますが。私は一国民として、また
大蔵大臣
上して、何かいい方法はないかとお考えを願つたような次第でありまして、宮内庁長官あるいは侍従長におかれましても、検討せられておると思います。おの通りわれわれのみならず、一般国民が皇居を拝見して、非常な感激と申しますか光栄と申しますか、何とかしなければならぬという気持は常にわれわれに響くところで、善処いたしたいと思
つて
おります。 次の、金持は米を、貧乏人は麦をというのは、これは間違いでございまして、私は参議院の方で、所得のある人、もうけた人はお米をお食べになり、損をされた人は、これは麦でがまんしてもらわなければなりますまいということを、申し上げたのであります。これは経済の原則であ
つて
、今の統制時代におきましても万人が米と麦を同じように食
つて
はいないと思います。遺憾ながらやみがありまして、もうけた人は米を食う場合が多いのであります。それから麦は安いのでありまするから、麦でがまんせられておる人も相当ある。これは経済の原則で、
大蔵大臣
としては、ます経済の原則を皆さんに申し上げて、そうしてそれをいかによくして行くかということが、政治の問題であります。だから政治的にものを解決するというので、すぐ結論的に人の耳に入りやすいようなととを、
大蔵大臣
が言
つて
お
つて
はだめなのでありまして、経済の原則を申し上げて、その原則にのつ
とつ
て、万人がいい生活をして行くように持
つて
行かなければならぬ。今日本ではそうでありまするが、世界全体からいつたら、一等国の人が麦を食べ、そして金持ちが必ずしも米を食べるというわけではございますまいが、日本の古来からの実情からいつたら、非常に米が高くて不足で、麦は安くて外国からも入りやすい、こういうことからして、経済の原則から言えば、私の申し上げた通り所得の高い者は米を食い、所得の少い人、損をなさつた方は一時的には麦でがまんしていただかなければならぬ。これは経済の原則を申したのであります。これは古今東西を通じて誤りないものだと私は確信いたしております。何と反対党の人が言われようとも、だんだんわか
つて
来るだろうと思います。これは私からとやかく弁解する必要はなく、国民が今に知
つて
くれるだろうと考えております。
深澤義守
67
○深澤
委員
最近の経済事情から申しまして、免ほど
夏堀委員長
からも御質問申し上げたようですが、不渡り手形の増大と、倒産整理の商社が百五十以上にも上りておるというような状態でありますが、おそらくこのような状態は、私は戦後未曽有の現象ではないかと考えております。これはいわゆるドツジ政策に基く金融引締め、インフレ抑制の結果として、こういうことが出て来たのではないか、従
つて
いわゆるドツジ政策の
改正
をしなければならない
段階
に来ておるのではないかというぐあいに、われわれは考えますが、この点についての
大蔵大臣
の所見をお伺いしたいと思います。
池田勇人
68
○池田国務
大臣
ディスインフレの政策は、甘い考えの人にはきつうございましよう。しかし敗戦国の日本の状態を考えましても、金詰まりのない楽なやり方をや
つて
おつたあの
昭和
二十一二十二、二十三年はインフレが起きまして、金詰まりの声を聞くときよりも、上ほど国民生活は悪かつたのであります。ドツジ政策とかなんとか言われますが、このディスインフレ政策、日本としてはこういう脆弱な経済基盤の上に立
つて
おりますので、やはり今までの政策を今後も続けて行きたい、こう考えております。経済界に波の打つことはやむを得ない。だからその波の高低をできるだけ少くして行くのが、政治の要諦だと考えております。
深澤義守
69
○深澤
委員
しかし現実は、こういう不渡り手形の増大と倒産整理という問題が起
つて
来ておるのでありますが、それが年末の金融とからみまして、相当大きな波紋を描くことが
予想
されるわけであります。そこで年末金融の問題でありますが、
大蔵大臣
も先ほどの御答弁によると、農林中金等に相当の余裕金があるから、それによ
つて
操作をするという御答弁をなさ
つて
おりますが、その農林中金の余裕金ということは、供出代金を支払うために準備した金なのか、あるいは供出代金を支払つたその預金が、農林中金にはね返
つて
来て、余裕金としてあるのか、どういう
性質
のものでありますか。その点をひ
とつ
伺いたい。
池田勇人
70
○池田国務
大臣
あとの方でございます。
深澤義守
71
○深澤
委員
あとの方であるということでありますが、十一月二十二日現在における供出の状況は九百四十万石であります。そうすると、二千五百五十万石に対する三七%にすぎないのであります。ところが
政府
の方の御
計画
といたしますれば、相当上まわつた供出の
予想
を持
つて
おられるのでありますが、一体二千五百五十万石に対して、年末に供出を完了する
見込み
は何パーセントぐらいを
予想
されておりますか。
池田勇人
72
○池田国務
大臣
詳しい
数字
は知りませんが、供出は大体二月の中ごろ過ぎまで続きますが、しかし十二月までた大体半分以上入
つて
来ると思
つて
おります。
深澤義守
73
○深澤
委員
そうすると五〇%以上を
予想
いたしまして、大体農林中金の二百八十億程度の余裕金が年末金融として操作できる、そういう根拠に
なつ
ておりますか。
池田勇人
74
○池田国務
大臣
大体そういう
数字
を考えております。
深澤義守
75
○深澤
委員
そこでなおお伺いしたいのでありますが、昨今の経済界の事情は、非常に資金需要が増大していると私は考えるわけであります。それは電力料金の値上げとかあるいは電力不足等によりまして、生産価格が上昇しております。もう一つは運賃の値上げというようなことで、生産コストが上昇しておる。あるいは通貨増発というようなこととからみ合せまして、物価の上昇ということは必然的であります。そういうことから申しまして、従来の資金量を押えて行くというところに非常に無理があるのではないか。そういうところに金融梗塞あるいはこの経済界の活動が、非常に不円滑に
なつ
て行くのではないかというぐあいに考えるわけです。現在の資金量は絶対量として不足しているのではないかというぐあいに考えるのですが、生産と資金量のバランスの関係について、
大蔵大臣
はどういう考え方でありますか。
池田勇人
76
○池田国務
大臣
考えようでありますが、私は全体的に見まして、そう不足しているとは思いません。いる金ならいつでも出します。年末の通貨の発行高も五千億を超えるという大体の見通しを持
つて
おります。
深澤義守
77
○深澤
委員
先ほどの
大蔵大臣
の御答弁によりますと、資本蓄積は戦後未曽有の状況に
なつ
ておるという
数字
的な
説明
をされたわけであります。あるいは全体の
数字
としては、そういう
数字
が出て来るかもしれません。ところが反対に、先ほど申しました経済界の事情は、不渡り手形や倒産整理という問題が起
つて
参りまして、結局一部の企業は資本の蓄積が増大すると同時に、一部の資本は破産しなければならないという、こういう敢行的な状態が来ているのではないか。いわゆる資本の集中集積が行われる反面、倒産と破産が今後陸続として起
つて
行くのではないかというぐあいに、われわれは考えるわけです、それを全体として
大蔵大臣
の資本の蓄積が非常に上昇し、
法人
の利益は増大しておるということは、一方的な見解ではないかというぐあいに考えられるわけですが、その点はどうですか。 〔
委員長
退席、小山
委員長
代理着席〕
池田勇人
78
○池田国務
大臣
私は全体の
数字
を申し上げておるのであります。数多い中でございますから、経済不如意の人があるかもわかりません。しかしあなたのおつしやるように倒産者、破産者が陸続として出て来る、こういうふうなことは私は考えていません。最近経営不如意の人を私も知
つて
おりますが、そういう人がなぜ不如意に
なつ
て来たかということを調べなければ、不渡り手形が出るから、不渡り手形を出す人に金融をつけるということは、これはまた経済の原則でないのであります。原因をよく調べて
個々
の場合に手を打つよりほかにないと思います。
深澤義守
79
○深澤
委員
その原因につきましては、
大蔵大臣
は参議院におきましても答弁をされております。思惑がその原因の重点であるやに
説明
をされております。しかし資本主義経済機構の中で思惑のないということはあり得ない。簡単に申しますれば、すべてが思惑でや
つて
おるわけであります。しかしその思惑の材料というものは、
政府
の国内的な経済政策、
金融政策
、あるいは国際的な関係によ
つて
左右される、そういう動きがどう
なつ
て行くかということが、思惑の原因であると考えます。しかして思惑が非常に当らなかつたということは、それは不健全の経営であるということに結論づてられているようでありますが、しかし私はやはりこういうような
事態
が起
つて
来たことの中には、單にこれは経済の原則としてほう
つて
おくべき問題ではなくして、
政府
の経済政策、
金融政策
に大きな原因がある。従
つて
政府
はこういうような状況に対して、特別の
金融政策
を講ずるということが、責任としてあるのじやないかと私は考えるわけです。しかし先ほどからの御答弁によりますと、特別の
措置
は講じないというような御答弁でありますが、これでは
政府
はその責任を感じないような立場におるのじやないか、こう私は考えるわけですが、その点はいかがですか。
池田勇人
80
○池田国務
大臣
御質問の点は、
政府
が
財政
経済政策をしくじつたから、破産者が出るということならば私は責任を持ちます。しかし
個々
の人が非常な思惑をして破産をした場合に、これも国民の一人だから責任を負え、こう言われても、これは負いにくいのであります。最近生糸の輸出業者でひどい思惑をやられていた人が、不如意に
なつ
ているということを聞いておりますが、これは貿易その他ではある程度の思惑をやります。ある程度の思惑ならあとの収拾がつくのであります。しかしその度を越えますと、これは収拾するとい
つて
もやはり経済原則に浩わなければなりません。私はできるだけの善後処置はとるように指示いたしておりますが、どうしてもとれぬものは、遺憾ながらこれはやむを得ない。それが他に影響を及ぼさないように、善後
措置
を十分つけるようにいたしてはおりますが、非常な思惑をや
つて
損をした人までも、国の責任において善後
措置
をとるということは、なかなかできにくいことと考えておるのであります。
深澤義守
81
○深澤
委員
個々
の顯著なる思惑という問題で、あえて
政府
が責任をとれというぐあいに、私は主張するわけではないのであります。その問題はある程度の手当をするということで了承いたします。それからもう一つの問題は、朝鮮の停戦が今日ある程度片がつくというぐあいに見られております。そうすると朝鮮事変を契機とする特需関係というものが、相当打切られる可能性があると思うのですが、しかしそのあとに朝鮮の復興ということが、日本の経済界において相当期待を持たれておるように聞いております。しかし最近のドツジ氏の意見が新聞に発表せられたところによりますと、朝鮮復興は各国が現物を持
つて
来るから、日本はあまり期待を持つべきでないという発言をされておるやに聞いておりますが、この朝鮮停職と、その後に来る朝鮮の復興の問題は、日本の経済界とどういう関連性があるか。その点の見通しをひ
とつ
お話願いたい。
池田勇人
82
○池田国務
大臣
日本の
大蔵大臣
としてそういうことは言わない方がいいと思います。私は朝鮮の復興その他に日本が貢献し得る、日本の品物が行くことを相当期待しておるのであります。
小山長規
83
○小山
委員長
代理 深澤君にちよつとお諮りしますが、
大蔵大臣
は、今参議院の
予算
委員会
に呼ばれておりますので、内藤さんから質問の通告がありますから、ひ
とつ
お讓り願
つて
……。
内藤友明
84
○内藤(友)
委員
私のはきわめて簡単です。
深澤義守
85
○深澤
委員
それでは内藤君に譲ります。
内藤友明
86
○内藤(友)
委員
私のは具体的にきわめて簡単なことでありますが、
政府
は今度郵便貯金の利上げをほんとうになさるつもりでありますか、どうでありますか。それを伺いたい。
池田勇人
87
○池田国務
大臣
利上げいたします。
内藤友明
88
○内藤(友)
委員
それでは次に二つのことについて
大蔵大臣
の御意見を伺
つて
みたいのでありますが、その一つは郵便貯金というのは、御
承知
の通り官営でありますので、普通の金融機関よりも信用度が非常に高いのであります。ことに非課税であります。秘密性が保持できるというあらゆる有利な点があるのであります。こういう有利な條件を有しております郵便貯金に、さらに金利上の有利なことを與えましてそうして民間の金融機関、特に貯金吸収の地盤を同じくしております農業協同組合としましては、非常に大きな影響があると思うのでありますが、それについて
大蔵大臣
どうお考えなす
つて
おられますか。農業協同組合の貯金に影響があ
つて
もいいとお考えかどうかということが一つ。 それからもう一つは、これはごく最近の
数字
はよく存じませんけれ
ども
、
昭和
二十五
年度
におきまして、郵便貯金が実は十五億くらいの赤字を出しておると思うのであります。そうしますと、今度の引上げによりましてさらにこの赤字が多くなるのではないか、こういう一般
財政
に及ぼす影響もあるのだが、それもあえてして金利の引上げをおやりなさる、こういうことに対してどういうお考えをなす
つて
おられるか。十五億の
財政
負担を、さらに大きく
なつ
てもいいんだというふうなお考えかどうか。この二点をお尋ねしておきます。
池田勇人
89
○池田国務
大臣
郵便貯金の利上げにつきましては、他の金融機関の金利のことも考えまして、御
承知
の通り一番代表になりまする銀行の方は、一年の定朝預金は六分でございます。しかも昨年あるいは今年二、三度にわた
つて
利上げをしておりまするが、郵便貯金はずつと前からすえ置きに
なつ
ておりまして、また農業協同組合の方との金利も考えてや
つて
おるのでございます。 次の郵便貯金の利上げをしたならば
政府
支払い
利子が多くなるから赤字が出るのではないか。お話の通りでございます。一時郵便貯金の方の分は二十二
年度
のごときは四十数億円の赤字だつた。だんだん減
つて
来ましてなく
なつ
て参りました。今度上げますと赤字が出るのでありまするが、その点を一般
会計
で負担するか、あるいは地方債等は御
承知
の通り昨年は六分五厘だつたと思いますも引下げておりまするがこれを元の程度にもどすかという問題がありますが、この点は今検討を加えております。
内藤友明
90
○内藤(友)
委員
いずれこの問題はあとでお伺いすることにいたします。 —————————————
小山長規
91
○小山
委員長
代理 次に本日の日程に掲げました
請願
及び
陳情書
を
一括議題
として、
審査
に入りたいと存じます。
佐久間徹
92
○佐久間
委員
ただいま
議題
となりました
請願
日程五十九件のうち、日程第一六ないし第四七、第五四及び第五五の各
請願
は、いずれも前回の
委員会
において、採択の上内閣に送付すべきもとの決定いたしました
請願
と同趣旨でありますので、同様に取扱うこととし日程第四八、第五七及び第五八の各
請願
は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決定せられんことを望みます。 なお
陳情書
についてはいずれも了承すべきものと決定されんことを望みます。
小山長規
93
○小山
委員長
代理 ただいまの佐久間君の動議のごとく決定するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小山長規
94
○小山
委員長
代理 御
異議
ないようでありますから、
請願
及び
陳情書
についてはただいまの動議のごとく決定することにいたします。 —————————————
夏堀源三郎
95
○
夏堀委員長
先ほど、明日企業合理化法案についての合同
審査
をやるように申しましたが、企業合理化法案の
審議
に入りますにつきましては、ただいま当
委員会
にかか
つて
おります
租税特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
、これが衆議院を通過しなければ、
審議
には入れないという法制局の意見でありますので、明日の合同
審査
は取消しまして、あらためて公報をも
つて
お伝えをいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十五分散会