○丸山
説明員 ただいま御
質問の
保險業法十二條三の但書につきましてお答えいたします。独占禁止法では第四條におきまして、事
業者間の制限的な共同行為はすべてこれを違法として禁止いたしているのであります。しかしながら特殊な必要のあるものにつきましては、これの例外的な措置といたしまして、今まで若干の
適用除外というような
法律ができております。保險業の問題につきましても、すでに保險業の特殊性にかんがみまして、損害保險料率算出団体法におきまして、すでに独禁法の
適用除外をしておるのでありますが、このたびこの算出団体法による
適用除外以外に、さらに、たとえば再保險に関する保險事
業者間の共同行為、あるいは算出団体によ
つては、なじまないところの海上保險に関する料率
協定、こういうものについて、さらに重ねて
適用除外の必要が生じて参つたわけであります。しかしながら保險事業の特殊性を考えると同時に、他方これらの共同行為が、あるいはアウトサイダーといいますか、
協定に加わらない保險事
業者の利益あるいは被保險者の利益を、不当に害するおそれもなきにしもあらずというところで、但書の必要が生じたわけだろうと、私
どもは理解いたしております。もちろん大蔵省におきまして、公益的な見地から十分に監督をされる建前にな
つておるわけでありますが、従来これらの共同行為について
適用除外した他の例に大体ならいまして、こういう但書がつけ加えられたわけであります。
なおこの但書の
内容は、今御指摘のように三つにわかれておりまして、第一には、不公正な
競争方法が用いられる場合でありまして、従来独禁法の
適用除外を設けられた例も多々ありますけれ
ども、不公正
競争方法について
適用除外をしたという例はないのであります。要するにダンピングあるいはボイコット等、むしろ
競争が激し過ぎて、健全な
競争でなくて、不健全な
状態になることを押えるのでありまして、この点については大して問題はないと考えております。もちろん何が不公正になるかと、いう点につきましてはこれは運用について愼重を期さなければならない点であろうと、私
どもは考えております。
従つてこの運用には、もちろん保險業界の方々の御意見を十分伺い、誤りなきを期して行きたいと考えておる次第であります。
次に、第二の「相互二事業活動ヲ不当二拘束スルコトニヨリ一定ノ取引分野二於ケル
競争ヲ実質的二制限スルコトトナルトキ」というのでありますが、との表現は、独禁法第三條の「不当な取引制限」というのに照応するわけであります。ただ不当な取引制限の定義につきましては、独占禁止法の上では、事
業者が他の事
業者と共同して、相互にその事業活動を拘束し、または遂行することにより、公益に反して一定の取引分野における
競争を実質的に制限すること、というふうに定義してありまして、その拘束の仕方が正当であろうと不当であろうと、それを問わずに、すべて拘束した場合にはいけないんだというふうにな
つておるのであります。しかしここでの表現は、その点は十分注意をいたしまして、再保險の
協定等については、拘束性というのが出て来るのはやむを得ないという実情にかんがみまして、不当に拘束するという場合のみ問題にするというふうにな
つております。
それから第三点につきましては、これは要するに独占によ
つて被保險者の利益が不当に害せられる場合に、
適用除外にしないというだけのことであります。これもこの運用には十分慎重を期するつもりでありますが、
趣旨としては、被保険者の利益が不当に害せられたときに、それを
適用除外にしないということでありまして、これもそれほど
協定に対する重大な障害にはならないと、私
どもは解しております。