運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-15 第12回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 西村 直己君 理事 内藤 友明君       淺香 忠雄君    大上  司君       佐久間 徹君    清水 逸平君       高間 松吉君    塚田十一郎君       苫米地英俊君    三宅 則義君       宮幡  靖君    宮腰 喜助君       上林與市郎君    松尾トシ子君       深澤 義守君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      岸本  晋君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局調査部         調査第一課長) 丸山 泰男君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      清井  正君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十一月十四日  委員宮腰喜助君及び高田富之辞任につき、そ  の補欠として河野金昇君及び中西伊之助君が議  長の指名委員に選任された。 同月十五日  委員河野金昇辞任につき、その補欠として宮  腰喜助君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月十五日  旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一  部の有敷化等に関する法律案内閣提出第四七号) の審査を本委員会に付託された。 十月二十九日  松山港開港指定に関する陳情書  (第三六九号) を本委員会に送附された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  関税法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二一号)  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二四号)(参議院送付)  食糧管理特別会計歳入不足を補てんするため  の一般会計からする繰入金に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第三〇号)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  三二号)  日本專売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第三三号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三五号)  保險業法の一部を改正する法律案内閣提出第  三七号)(予)  損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第三八号)(予)  糸価安定特別会計法案内閣提出四三号)  学校及び保育所給食の用に供するミルク等の  讓與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案  (内閣提出第四四号)     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  昨十四日本委員会に付託に相なりました糸価安定特別会計法案、及び学校及び保育所給食の用に供するミルク等讓與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案の両法律案一括議題といたしましてまず政府当局より提案趣旨説明を求めます。西川政府委員
  3. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました糸価安定特別会計法案外法律案につきまして、御説明申し上げます。  今回政府生糸輸出増進及び蚕糸業の経営の安定をはかるため、繭及び生糸価格の異常な変動を防止することを目的といたしまして、別途今国会繭糸価格安定法案提出いたし、御審議を願つておるのでございますが、この繭糸価格安定法を実施いたすことになります場合には、生糸売渡しまたは買入れ等、これに関する経理を一般会計と区分して、その状況を明確にいたすことが適当と考えられます。このために、新たに糸価安定特別会計を設けることといたし、この法律案提出いたした次第でございます。  次にこの法律案内容の概略を申し上げますと、糸価安定特別会計は、一般会計からの繰入金三十億円をもつてその資本とし、生糸売渡し代金一般会計からの繰入金及び付属雑收入をもつて歳入とし、生糸の買入れ貯蔵及び加工に関する経費事務取扱費その他の経費をもつて歳出とすることといたしますとともに、その他特別会計に必要な規定を設けようとするものであります。  次に学校及び保育所給食の用に供するミルク等讓與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  これまで学校及び保育所における給食の用に供するミルク及び小麦等につきましては、アメリカ政府の寄贈または米国対日援助見返資金の支出によつてまかなわれておりましたが、今後政府財源を負担して、本年度内給食を継続することといたし、これに要する経費補正予算に計上しているのでありますが、これに伴い学校給食等に関する法的措置を講ずる必要がありますので、この法律案提出いたした次第でございます。  次にこの法律案内容でございますが、まず給食用ミルク及び小麦等は、食糧管理特別会計において買い入れ、これを都道府県を経て給食を受ける児童に譲與することができることといたし、その買入れ讓與することのできるミルク及び小麦等の価額は、二十億九千六百余万円の範囲内としているのであります。  次に給食用ミルク及び小麦等の買入れのために要する財源は、一般会計から食糧管理特別会計に繰り入れることといたしておりますが、輸送、保管、加工等に要した経費については、これまでと同様給食を受ける児童に負担さ  せることができることといたしております。  なおミルクにつきましては、買入れ契約をしたミルクが本年度内に輸入されないために、その買入れ財源一般会計から食糧管理特別会計べの繰入れを年度内に終らないこととなる場合も予想されますので、その支払いに支障を及ぼすことのないよう、その繰入れのできなかつた金額は、来年度に繰越して使用することができることといたしているのであります。  以上がこの二法律案提案の理由でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に関税法等の一部を改正する法律案国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案、及び食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、及び国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の四法律案を、一括議題として質疑を行います。
  5. 内藤友明

    内藤(友)委員 関税法でありますが、第百四條に書いてあります。「本邦領域政令ノ定ムル地域ハ当分ノ間之外国ト看做ス」この政令の定むるというものの内容は、どういうことになつておるのか。それをはつきりしたいと思います。
  6. 北島武雄

    北島説明員 お答えいたします。私どもがただいま政令規定いたそうと思つております地域は、平和條約第三條に規定されておりまする地域でございましてすなわち北緯二十九度以南南西諸島、それから嬬婦岩の南の南方諸島、それから南鳥島及び仲ノ鳥島でございます。
  7. 内藤友明

    内藤(友)委員 そうしますと、問題になつております北海道のすぐわきにあります歯舞でありますとか色丹、あれはどういうことになるのでありますか。それをひとつお示し願いたいと思います。
  8. 北島武雄

    北島説明員 非常にデリケートな問題でありますが、私どもといたしましては、あれらの地域本邦領土であると思つておりまして、ただいまこれを外国とみなして関税上の法規適用するかどうかということについては、消極的に考えております。と申しますのは、現在まだ行政権が遺憾ながら及んではおりませんけれども、実際問題としてあの地域本邦のいわゆる内地と往復する貿易船等がございませんので、今のところ支障ないのではないか、こう思つております。
  9. 内藤友明

    内藤(友)委員 そうしますと、この定められる政令というものは、何と申しますか非常に幅が広いものでありまして、実際にはそぐわぬけれども、ただ関税の問題から必要な部分だけをここに書き上げるということの御精神なんでありますか。
  10. 北島武雄

    北島説明員 御質問通りでございます。
  11. 内藤友明

    内藤(友)委員 それから第三條の四項に書いてあります「政令で定めるところにより、当分の間免除する。」という政令内容でありますが、これもひとうはつきりお示し願いたいと思います。
  12. 北島武雄

    北島説明員 ただいまこの政令規定しようと思う事項は、大体これらの地域で生産されました物品輸入税を免除する場合におきましては、原産地証明書を必要とするということが第一点でございます。それからまた原産地証明の発行はだれが行うとか、あるいはその記載事項、有敷期間などを規定いたしたいと思つております。但し平和條約第三條の地域の中で、小笠原諸島等につきましては、当分の間原産地証明はなくてもよろしいというふうに規定いたしたいと思つております。と申しますのは、小笠原諸島におきましては、目下まだ行政の官庁がすつかり決定しておりませんので、原産地証明書の発給ができないかもしれませんので、当分の間小笠原諸島には適用しない、こういうことであります。
  13. 内藤友明

    内藤(友)委員 それから第八條でありますが、これは非常に重大なことのような気がいたすのであります。と申しますのは、第八條に「政令ノ定ムル地域ハ当分ノ間之外国ト看做ス」こう書いてありますので、先ほどのお答えからいたしますと、色丹でありますとか歯舞は、日本が何だか外国とみなすような法律をつくつたような感じになるのでありますが、それは私の感が誤つておりますれば、ひとつ正していただきたいと思うのであります。
  14. 北島武雄

    北島説明員 外国とみなすというのは、外国ではないけれども関税法規適用については外国とみなしまして、これらの地域を経過して内地に入つて参りまするところの船舶、あるいはまたこれらの地域から直接参ります船舶は、いわゆる外国貿易船といたしまして関税法規適用を受けさせる。それに伴いまして、これらの地域との間を往来する貨物については、あるいは輸出入としてその手続を経させる、こういう趣旨でございまして、外国だというのではないのでございます。関税法規適用については、これを外国と一応みなしまして関税法規適用する、こういう考え方でございます。
  15. 宮腰喜助

    宮腰委員 この法に関連する問題としてお伺いいたしておきたいと思うのでありますが、昨年の十月ごろ中共戦略物資になる可能性のものについては、輸出してはいかぬという総司令部からの命令で、リスト範囲を拡大されて参りました。ごく最近もそういう問題が起つておるのでありまして、最近に国内産業が非常に順調に発達して参りまして、国内の需要をオーバーしまして海外に出さなければならないような状態になつて参りました。どこの工場に聞いても、輸出が順調でないから非常に困つておるというような状態であります。そこで昨年度の総司令部から出されたリスト範囲の縮小という問題も考えられますが、とりあえずそういう問題よりも、そのリストに載らなくても、解釈上これは中共齢略物資にならないようなものであつても、これは出しちやいかぬ、あるいは司令部から許可をとつて来なければいかぬ、こういうことがたびたび起つております。たとえば医者の使うところのレントゲンのポータブルのような問題についても、こういうものは出してはいかぬという問題がありますが、こういうようなリストに載つていなくて解釈上も決して戰略物資にならないようなものは、税関ではどんどん取入れて海外へ送つていただく、たとえば香港へ送つていただくというようなことは、ぜひとも税関の方で特別に考慮していただかなければ、われわれ日本経済の進展というものはできないのではないか。これはどの業者も最近非常に論議されておりますし、また今日のままで行くならば、日本貿易業者はほとんど倒れてしまうのではないか。従つてリストに載らなくても、解釈戰略物資でないといふものについては、税関で自由な解釈でどんどん輸出するものがありましたら輸出さしてもらいたい、こういうお願いですが、そういう問題については、税関の方では今後どういうふうに考えて行かれるか、その点を伺つておきたい。
  16. 北島武雄

    北島説明員 税関におきましては御承知のごとく関税法関税定率法等の、いわゆる関税法親執行機関でございますが、同時にまた貿易管理という面につきましての最下部の機関として働いております。貿易管理の面におきましては、税関通商産業大臣指揮監督のもとに活動いたしております。御承知通りただいまお話のありました輸出貿易管理令の別表第一に掲げる物品につきましては、通商産業大臣許可がなければ輸出できないことになつております。税関といたしましては、はたして通商産業大臣許可があつたかいなかということと、並びにその許可された品目が、その通り出ておるかどうかということを確認いたすだけでございまして、自由載量の余地がきわめて少いのでございます。以上お答え申し上げます。
  17. 宮腰喜助

    宮腰委員 それからもう一点は、この夏の議会で関税定率法が通過いたしました。あの内容を見ますと輸入関係は非常に重税になつておる面がたくさんあります。講和條約の締結がまだ完了していない。そこでとの海外との通商條約ができておらない関係上、最惠国待遇を受け得る可能性があるものが、関税定率法がああいうように高くなれば、あるいはまた外国業者は、外国関税定率を高めるというようなことになりまして、お互い関税の障壁を設けるような競争状態になつて行くのではないか。ことにごく最近の話ですが、まぐろのアメリカへ輸入する関税については、アメリカ関税では一躍四五%も税をとつておるということであります。このように報復手段としてお互い関税定率法が高いと、双方にそういうような競争が起る。そうして資材や資源の輸出入機会均等を失うようなおそれがあるのでありますが、その点の問題で、税関部では御研究なされたことがあるかどうか、伺いたい。
  18. 北島武雄

    北島説明員 御指摘の通り現在の関税定率法は、先般の国会におきまして全面的に改正せられまして、五月から施行されておりますが、その関税の高さと申しますと、実は戰前のよりも相当低いのでございまして、これはいろいろな表のとり方によつて多少違うと思うのでありますが、私どもの勘では、大体戰前関税率の六割程度と考えております。この関税率は、現在の世界各国におきましても決して高いものではなくて、むしろ低関税国に属するのではなかろうかというふうに考えております。世界で現在低い関税国と申しますと、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグの三国、それとスカンジナビア諸国が割合に低いのであります。日本関税率は、現在のところ大体スカンジナビア程度ではなかろうかと考えております。それで、日本関税が高いために外国の非難を仰ぐというようなことは、ないのではなかろうかと考えております。
  19. 深澤義守

    深澤委員 平和條約第三條によつて外国と見なされるこれらの地域との間に出入する船舶及び貨物について、当分の間関税法規適用しようというわけでありますが、この当分の間ということは、どういう期間をさしているか、伺いたいのであります。
  20. 北島武雄

    北島説明員 この政令規定いたそうと思つております地域は、先ほど御説明いたしましたように、平和條約第三條に規定せられておる地域であります。平和條約第三條をよく読んでみますと、これらの地域は一応信託統治地域と予定はせられておるようでございますが、アメリカ合衆国信託統治提案国際連合にいたしまして、それが可決せられるまでの間は、アメリカ合衆国がこれらの地域立法権行政、権、司法権の全部または一部を行使する権利を持つ、こうなつておりまして、信託統治に付せられる場合におきましても、場合によりまして行政権等日本に委譲せられることも、その條文の上からは予定せられるのでございます。そういたしますと、現在のところいまだ行政権は及んでおりませんが、かりに行政権わが国に委譲せられまして、わが国税関がそこで仕事をするようになりますれば、外国とみなす必要はないわけであります。そこでそれまでの間、わが国行政権が帰属するまでというつもりであります。それから実際に信託統治になりますれば、信託統治が終了してわが国行政権が返るまで、こういうつもりであります。
  21. 深澤義守

    深澤委員 そうすると当分の間という意味は、国連において信託統治が可決されるときまでというぐあいに規定せられている、こういう意味ですか。
  22. 北島武雄

    北島説明員 信託統治に付せられる前におきましても、行政権わが国に委譲せられることも、條文の上から予想せられます。現在は行政権が及んでおりませんが、行政権わが国にまかされることになりますと、外国とみなす必要はない。日本税関が出かけて行けばいいわけで、それまでの間というわけであります。
  23. 深澤義守

    深澤委員 信託統治の性格から言つて行政権信託統治国以外に、つまりその土地領土として持つてつた国に許されたという例は、いまだかつてないと聞いておりますが、その点を十分研究されて、今度信託統治になつて行政権わが国に返つて来るというお見込みがあるのか、そういう見通しの上でこういう規定をされたのですか。
  24. 北島武雄

    北島説明員 私が申しているのは、この平和條約第三條によりますと、「日本国は、北緯二十九度以南南西諸島、孀婦岩の南の南方諸島並びに沖の鳥島及び南鳥島合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島領域及び住民に対して、行政立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」要は信託統治に付せられる前の段階でございまして信託統治に付される場合におきましても、場合によつて行政権の一部がわが国にまかされるかもしれない。そうなりすまと、その間は日本税関が行けばいいのでありますから、外国とみなすわけに行かないのであります。信託統治になりますれば、またいろいろな問題がありますが、今までの委任統治の形式あるいはB式C式ということになりますが、これは全然わが国行政権など及ぶはずがないのであります。信託統治に行く前の話であります。それからまたかりに信託統治になりましたら、その信託統治が終了して、完全にわが国にこれらの権利が返つて来て後の話であります。
  25. 深澤義守

    深澤委員 今の御答弁ではつきりいたしましがた、結局もう返つて来そうもないという見通しで、信託統治国連で可決されるまでの期間を、当分の間というぐあいに解釈しているということで、わかりました。  それからもう一つは、この外国とみなされる地域において生産される、炭化水素油あるいは印刷用紙というようなものが、輸入税免除の扱いを受けるわけですが、との外国とみなされる地域で生産されるというこの要件は、その土地原料があり、そこで生産されて、そうして輸入された場合のことを生産と称するのか、あるいは原料その他はどこから入つて来て、そこで加工されたりあるいはそこで保管されたりしておつてつて来た場合も、その外国とみなされる地域で生産されたものとしてみなすのかという問題ですが、その点はどうですか。
  26. 北島武雄

    北島説明員 ただいまの御質問は、たいへんポイントに触れておる問題でございまして、非常にむずかしい点があるのであります。われわれの考えをいたしましては、いわゆる土産品でございまして、原則としてその土地原料もあり、そこで生産されたもののつもりでございます。他から原料を持つて来まして、簡單加工した程度のものを免税いたしますと、弊害が生ずるおそれもございます。簡單加工程度のものはこの中に入らぬ、こういうつもりでございます。
  27. 深澤義守

    深澤委員 簡單加工でなくて相当手数をかけた加工をした場合には、結局その土地で生産されたものとみなされるわけですか。
  28. 北島武雄

    北島説明員 ただいまの段階におきましては、そういう品物は琉球諸島等から入つて参りませんので、具体的に問題が起りましてから十分研究をいたしたいと思います。
  29. 深澤義守

    深澤委員 私は今後そういうものが大いに入つて来る可能性があると思うのでありまして、その場合において、そういう弊害が相当起る可能性があると思うのであります。従つてそういう点を今から厳重に準備されておらないと、日本経済を非常に圧迫するような事態が出て来る可能性が、特にあると思うのであります。そういう点を希望いたしましてこの関税問題に関する私の質問を終ります。
  30. 宮幡靖

    宮幡委員 関税の一部改正の問題で、きのう質問いたそうと思つたのですが、どうも答弁がぴつたり来ないものですから、時間と見合つてやめたのですが、今各委員からのお話で、いろいろな問題が解決して来た。それで一つ重要な問題と考えますことを、これは見通しでけつこうでありますが、ガツト協定加入見通しです。先ほど最恵国待隅の問題も出ましたが、現に英国などは日本との通商條約においては最恵国待遇を與えずと、これは労働党内閣でありましたが、声明いたしております。さような事態におきまして、国際経済憲章の柱ともなつておりますガツト協定加入の問題について、見通しを承りたい。
  31. 北島武雄

    北島説明員 見通しはえてはずれるものでありますが、今私の方で考えております点だけをお答え申し上げたいと思います。今までのガツト加入手続を見ますると、新規ガツト加入いたす場合におきましては、アヌシーの会議におきましても、またトーキー会議におきましても、今までの全締約国新規加入しようと思う国が集まりまして、そこで多角的関税交渉を行いまして、関税引下げあるいはすえ置きなどの協定をし、そこできまつたところで、既締約国の三分の二以上の多数決によりまして、加盟の資格を得るということになつております。ところがことしの一月でございましたか、トーキー会議の真最中にアメリカアチソン国務長官が、現在やつているようなトーキー会議のような大規模関税引下交渉会議は、ここ三年間開く意図はないということを、国会答弁いたしております。それによりますと、もし今までのように大勢集まつて関税引下げ交渉会議をやるような機会でなければ、ガツト加盟ができないかという問題が起りまして実は私どもあと三年もすえ置かれてはかなわぬ、こう思つております。ところが九月の十七日から十月の二十六、七日、ごろまで、ジユネーヴにおいて開かれておりました第六回の締約国団会議におきまして、アメリカ側から簡易加入手続提案があつたようでございます。ただいま申しましたような大規模な全部集まつて締約国団関税引下げ交渉会議をまたなければ、加入できないということになりますと不便だというので、簡単に加入する手続提案されたようであります。私どもその提案内容は一応拝見したのでありますが、その後締約国団幹事会におきましてさらに若干の案を修正して、その案までは拝見しておるのですが、はたしてそれが通るだろうかどうかという点が、実はまだはつきりいたさないのであります。多分おそらくは何らかの形でもつて、大規模関税交渉会議を開かないで、加盟できる方式ができたであろうと私は考えております。大蔵省におりました伊原財務官が、現在ロンドンの在外事務所の次長をしておりまして、先般のジユネーヴの第六回締約国団会議におきまして、オブザーヴアーの一人として出席されておりましたが、伊原さんの私に対するおたよりによりますと、どうも簡單方式が可決されたようでございます。但しこれによりまして、ガツト加入は、手続としては簡単にできるようになつたようでありますけれども、何と言つても問題は、やはり英連邦ブロツクの反対が一番問題である。結局強引に押し切つて数でもつて入ると、あとやはり問題も起るから、何とか英名のランカシア方面の意向を十分に探る必要があるのではないかというような、伊原さんのおたよりでありました。私どももいろいろ利害得失もありますが、今後十分に研究いたさなければならないと思つております。大体そういうふうになつております。加入手続としましては、強引に押し切つて入るのがいいか、あるいは英国によく納得してもらつて納得づくの上で入つた方がいいかという機会の問題であります。
  32. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの御答弁は、まことにポイントに触れました明快な御答弁で、私ども納得するわけであります。先ほど宮腰委員からも質問がありましたように、日本は大正十五年の関税定率法を一擲いたしまして、第十国会改正いたしました趣旨は、高関税主義から低関税主義に移向したわけでありまして、こちらはいつでも最恵国待遇の受入れができるという状況に置かれるのにかかわらず、他の国からは、自国の特惠関税というような障壁を設けようという趨勢があります以上、なかなか日本の国際経済の中の活動も容易でありませんので、ただいまのお見通し、方針によりまして、無理することはもちろんいけないと思いますが、摩擦を最小限度にとどめまして、すみやかにガツト加入できるよう、今後とも政府当局の御努力を要望してやまないわけであります。  次いでまた関連いたして、先ほど中共貿易の問題の質問があつて貿易管理令という国内法規範囲においての御答弁があつたのでありますが、日本は対日援助資金をもちまして、復興及び産業経済の再建をやつて参つた、そういう過程から参りますと、世界的な法制の上から行くと、いわゆるケム法というものの範囲に入るのであります。日本に対してケム法の除外の決議をアメリカでやつておるのでありますが、関税を直接御担当なさいまする大蔵省関税部といたしましては、これらの精神を取入れまして、それぞれの関税事務の上においてのチエツクをなさつておるのか。これはやつておらなければやつておちないでよろしいのですが、方針だけはつきりしておればいいと思います。
  33. 北島武雄

    北島説明員 私は今案は中耳炎をやつておりまして、耳をふさいでおりましたので、御趣旨のわからない点がありますので、もう一ぺん……。
  34. 宮幡靖

    宮幡委員 ケム法といつてアメリカの援助物資、援助資金を受けております国は、ソ連圏の国と取引をいたしますと、援助資金を打切るということになります。これはケム法の精神で、その品目は昔の貿易管理令に近いようなものによつて、制限されておるわけでありますが、日本に対しては、たとえば繊維品のごとくケム法の適用を除外しておるものがある。従つて香港経由とか厦門経由の貿易ならば、ソ連圏に繊維品をやつても、必ずしも惡いというわけではない。しかし大きなわくはケム法によつてかぶつておる。国内繊維品としては貿易管理令によつてチエツクしておるのでありますが、そのケム法の精神等を実際の運用において取入れてやつているかどうか。やつておらなければやつておらないでよろしいのでありますが、どういうふうなお考えでやつておるか、こういう意味であります。
  35. 北島武雄

    北島説明員 ただいま申し上げましたように、税関の末端の仕事はもつぱら通商産業大臣指揮監督のもとに、法令に従つてつておるのでございまして、自由なる裁量の余地は実は残されておるのでありますが、また下手に自由裁量い、たしますと、非常に不公平なものも起りますので、法規に従い忠実に履行するということになつております。ただいまの政策等の面につきましては、通商産業大臣の方でお聞き願いたいと思います。
  36. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 給與課長の岸本君がお見えになつておりますから御質疑を願います。国家公務員等旅費の問題、公務員等に対する退職手当の問題。深澤君。
  37. 深澤義守

    深澤委員 国家公務員の旅費の問題でありますが、このたびの改正が特に講和会議に出席いたしました全権委員等のように、特殊な使命を帶びて旅行する者に対する旅費を増額するということでありますが、われわれはその内容をよく存じませんので、現在の規定の日当、宿泊料、食卓料及び支度料はどれくらいになつているのか、それをどれくらいにかえようとするのか、その点を伺います。
  38. 岸本晋

    ○岸本政府委員 お答えいたします。現在の旅費法によりまする日当、宿泊料の額は族行日数の多少によりまして若干の差はございますが、総理大臣クラスの一番。同級の官職にある方の行かれる場合におきましては、日当、宿泊料の定額は一日につき二十五ドル、支度料は約十万円でございます。旋行日数によつて若干の相違がございますが、大体そういうことでございます。先般のサンフランシスコ会議の場合におきまして、この金額ではとうていやつて行けない。と申しますのは、現在の定額自体が、日本の置かれておりまするいろいろな国際情勢のもとできめられておる金額でございまして、必ずしもこうした重要な会議日本を代表する全権を送るような場合の定額としては、適当ではないのであります。これを今回の全権団の使命を達成するに必要な程度まで、金額を改訂するということが目的でございます。これをどう改訂いたしたかと申しますと、日当、宿泊料が最高、全権委員の場合でありますと五十ドル、全権委員代理の場合は三十ドル、首席随員の場合には十八ドル、そういう定額に改めることにいたしました。また支度料につきましては全権委員は二十万円、全権委員代理十五万円、首席随員十二万円という金額に改訂いたすことにしたわけでございます。もちろんこれは先般のサンフランシスコ会議のときの暫定措置として、政令措置をいたしたもので、ございまして、ただそうした、特別の政令を措置した場合には、その後においてこれを法律に改めなければならないという規定が現行法にありますので、一応今度法律の形式に置きかえるという意味提案したものでございます。
  39. 深澤義守

    深澤委員 日当、宿泊料合せて五十ドルにしようというのですか。それとも日当、宿泊料というのは別なんですか。食卓料と支度料というものは一緒になつておるのですか。
  40. 岸本晋

    ○岸本政府委員 実は日当、宿泊料は旅費の種目としては別建でございまするが、その日一日の生活費をまかなうという意味におきまして、日当、宿泊料一本建で幾らというふうに外国旅費の場合には考えております。もちろん旅費の勘定科目としては別個でございます。従いまして先ほど五十ドルと申し上げましたのは、日当、宿泊料をまぜて五十ドルという意味でございます。食卓料はこれは大体日当と同じ額で従来からきまつております。支度料は全然これは別個のものでございます。
  41. 深澤義守

    深澤委員 食卓料というのはどのくらいなんですか。
  42. 岸本晋

    ○岸本政府委員 食卓料は今回全権委員の場合には十ドル、それに全権委員代理の場合は八・七五ドルでございます。
  43. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいま議題となつておりまする四法律案のうち、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、すでに質疑も盡されたと思われますので、この際右案につきましては質疑を打切り、討論を省略し、ただちに採決に入られんことを望みます。
  44. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの奥村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないようでありますから、右案についての質疑は以上をもつて打切り、討論を省略して、これより採決に入ります。  それでは国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案議題として採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  46. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成及び提出手続につきましては、委員長に御一任を願います。  休憩いたします。午後は一時より会議を開きます。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後二時十二分開議
  47. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案日本專売公社法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案、保険業法の一部を改正する法律案、及び損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案の五法律案を、一括議題として質疑に入ります。佐久間君。
  48. 佐久間徹

    ○佐久間委員 ただいま議題となつております保険業法の一部を改正する法律案につきまして、若干質問をいたしたいと思います。  損害保険は多分に国際性を持つております。特に海上保険につきましては、この点まことに顯著でありますので、これが規制についても国際慣行に歩調を合すべきものであると思います。で、今回海上保険に関する共同行為を独禁法、団体法よりその適用を除外した理由もここにありと思うのでございますが、その点御所見を承りたいと思います。なお船舶料率につきましては、業法上協定を認めなかつた理由もあわせて承りたいと思います。
  49. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。前段の御質問は御説の通りであります。第二点の船舶保険料率につきましては、保険業法による共同行為として、これを独禁法あるいは事業者団体法の適用から排除することはいたしませんで、別に御提案申し上げております料率算出団体法に基きまする協定料率として、団体において算定されたものを、大蔵大臣が認可するという形で行くのが適当であろう。これは佐久間さんよく御承知のように、積荷保險のように非常に複雑な、かつ迅速を要参するようなこともございませんので、算定団体によつて科学的に算定して、これを協定して行くことが適当であろう、かように考えております。
  50. 佐久間徹

    ○佐久間委員 続いてお尋ねしますが、船舶保険の料率につきましては、料率算定団体によつて行われておる実情にかんがみまして、除外されておるようでありまするが、国際的慣行から見て、船舶保険の正常化が進み、船種別の船籍による国際的競争が行われるようになれば、現在の貨物保險と何ら区別する理由はないと考えるが、その点はいかようにお考えでございますか。
  51. 河野通一

    河野(通)政府委員 御説のように、だんだん保険が正常化いたして参りますに応じまして、積荷と船舶の保險はだんだん似通つたことになつて参るかと思うのであります。現在のところでは、やはり積荷が非常に複雑で、ことに非常に個々に違つたことになつておりますので、これらにつきましては、やはり料率団体の算出という形でなしに、個々別々の共同行為として、協定をいたして参らなければならぬという実情になつておるのであります。船舶につきましては、若干事情が異なつておりまして、これは程度の差異ではありますけれども、やはり船の構造でありますとか、あるいは速力、トン数、それらの点からいいまして、割合一律にはじき出せる程度が積荷の場合とは違つておりますので、その程度の差異をくみとりまして、現在のところでは、料率団体法によつてつて行くのでさしつかえない、かように考えて御提案申し上げた次第であります。
  52. 佐久間徹

    ○佐久間委員 銀行局長は非常に勉強しておられるようで、私の質問に対してまことに当を得た答弁をせられるのでありがたく思うのですが、一々質問を條項によつてして参るということは、反面におきまして複雑な法律を、できるだけその解釈をはつきりして行く方が、将来これを運営する上において便利であろう、こう私は思うものですから、一々質問申し上げているわけでございますが、きわめて簡單でけつこうでございますから、所見を承わればよろしいと思います。  次に海上保険事業以外の損害保險事業におきましては、危険の分散という本質的見地から、各種の共同行為が必要とされておることは当然でありまして今回これが独禁法、団体法より除外されることになるのでありますけれども、といつてあらゆる協定が認められるわけではないのでありまして、その中にはいろいろ適用除外されない分も出て来るわけであります。従いまして本法をつくらました趣旨を明らかにしていただくことができると、たいへんけつこうだと思います。
  53. 河野通一

    河野(通)政府委員 この法律案を御提案申し上げました趣旨につきましては、海上保険その他の損害保険事業の特殊性から見まして、共同行為あるいは共同再保險、共同保險というようなことを、独禁法なりあるいは事業者団体法の例外として取扱うことが、必要になつて参つたのでありまして、これはアメリカにおいても、イザリスにおいても、やはり日本の独禁法と同じような規定があるわけでありますけれども、これらからやはり除外されておるわけであります。この点は佐久間さんのよく御承知のことと思うのであります。お尋ねの点は、海上保險と、その他の保險等につきまして、独禁法の適用を除外いたしました範囲が、若干違つている点があるわけでありますが、この点はどういう意味かというお尋ねのように伺つたのであります。海上保險につきましては、あらゆる共同行為をすべて独禁法の適用から除外いたしております。これは海上保險というものが、損害保險一般のうちでも特に国際競争に非常に関係が深いという点と、もう一つは保險の相手方になりまする契約者その他が、あるいは船主でありますとか、あるいは貿易業者等でありまして、きわめて経済に通じている方々が多いわけであります。これらを相手方といたしまする取引でもありますので、相当広範囲にわたつて共同行為を認めて行つても、公益を保持するという観点から特別支障はないものと考えた次第であります。これに反しましてその他の火災保險等の損害保險におきましては、相手方が一般の公衆という場合が非常に多いのでありまして、これらの公衆は経済あるいは保險の事情に、必ずしも明るくないという方々が多いわけでありますので、公益保護の立場から、これらの保險事業に対しまして、共同行為をいたします範囲はできるだけこれを制限して行く、必要最小限度にとどめることにいたしたのであります。従いまして共同保險、共同再保険に関連するものに限つた次第であります。  具体的にどういう点が違つて参るかと申しますと、海上保險につきましては、船舶を除いてその他の積荷等の保險につきましては、保険料率の協定はこの法律でやつて行けるわけであります。なお共同保險あるいは共同再保險と関係がない共同行為につきまして例を申し上げてみますと、たとえば保險約款等の保險條件の協定、代理店手数料の協定、あるいは代理店の設置に関する協定、損害査定に関する協定、その他万般の共同行為が海上保險については認められるのであります。その他の火災保險等におきましては、ことまで広げて認めて行く必要はないということで、今申し上げました理由によりまして、一号と二号を書きわけて規定を設けた次第であります。
  54. 佐久間徹

    ○佐久間委員 ただいまの御説明で了解いたした次第でありますが、続いて海上保險料率について料率算出団体との関係について御説明を承りたいと思います。すなわち海上保險は自動性のある方法で條件、料率の協定を行う魅要があると思うのであります。すなわち貨物保険契約は品物の種類、航路、條件、料率等千差万別であり、荷主との交渉によりすみやかに料率を決定する必要があるのであります。船舶保險にいたしましても、船主のマネージメントの良否など複雑な要素を考慮に入れて、條件、料率を決定しなければならないのであります。ひいては被保險者全般の利益を擁護することこそ、必要であると思うのでありますが、この点はいかがでございますか。
  55. 河野通一

    河野(通)政府委員 船舶の保險料率につきまして、お話のように国際的な慣行もありますし、できる溶け自動性を持たせて行くという点については、まつたく御意見の通りだと思います。ただ先ほど来申し上げましたように、積荷と船舶につきましては、保險料率の決定につきましても若干程度の差異はあるように思いますので、先ほど御説明したようなことで、法律上取扱いを異にした次第であります。なお御提案申し上げております法律案の中にも、ある程度範囲料率というようなことも考えておりまして、これらの点におきまして、できるだけその範囲内においての自動性を確保して、適正な競争を行つて行く、国際慣行にもできるだけアダプトして行けるような配慮を、加えている次第であります。
  56. 佐久間徹

    ○佐久間委員 次に第十二條三の但書についてお尋ねいたします。これは共同行為を認めない場合であるが、すなわち不公正な競争、次に相互に事業活動を不当に拘束することにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること、もう一つは一定の取引分野における競争を実質的に制限することによつて、保険契約者もしくは被保險者の利益を不当に害すること、この三点であります。具体的にこれについて御説明を承りたいと思うのと、不公正、不当等に対する立証責任がどこにあるか。これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  57. 河野通一

    河野(通)政府委員 御調のように独禁法の規定とこの法律の但書に書いてあります規定との関係は非常に重要な問題であると思います。独禁法に書いてありますよりも、その條件は非常にきつくなつているわけであります。たとえば不当に害するとか不当に拘束するとかいう言葉が、普通独禁法等に使つてあります言葉よりも、さらに嚴密にこれを規定いたしているわけであります。従いまして独禁法の規定趣旨と、この法律の但書の趣旨とは、おのずからその範囲は違つて参る。幸い公正取引委員会の方から担当の方が見えておりますから、詳しい点はそちらからお聞き願つたらいいかと存じます。
  58. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいま質疑中でありますが、関税法等の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を続行いたします。
  59. 西村直己

    ○西村(直)委員 関税法等の一部を改正する法律案につきましては、大体質疑も盡きていると思います。この機会に質疑を打切りまして、討論省略の上、採決を求められんことの動議を提出いたします。
  60. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 西村君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議なしと認め、本案につきましては質疑を打切り、討論を省略し、ただちに採決いたします。  本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  62. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。  なお本案に関する報告書の件につきましては、委員長に御一任を願います。     —————————————
  63. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは前の質疑を続行いたします。佐久間君。
  64. 佐久間徹

    ○佐久間委員 ただいま私が質問したことにつきまして、公取の方が出席しておられるそうですから、公取の方の御意見を拜聽したいと思います。
  65. 丸山泰男

    ○丸山説明員 ただいま御質問保險業法十二條三の但書につきましてお答えいたします。独占禁止法では第四條におきまして、事業者間の制限的な共同行為はすべてこれを違法として禁止いたしているのであります。しかしながら特殊な必要のあるものにつきましては、これの例外的な措置といたしまして、今まで若干の適用除外というような法律ができております。保險業の問題につきましても、すでに保險業の特殊性にかんがみまして、損害保險料率算出団体法におきまして、すでに独禁法の適用除外をしておるのでありますが、このたびこの算出団体法による適用除外以外に、さらに、たとえば再保險に関する保險事業者間の共同行為、あるいは算出団体によつては、なじまないところの海上保險に関する料率協定、こういうものについて、さらに重ねて適用除外の必要が生じて参つたわけであります。しかしながら保險事業の特殊性を考えると同時に、他方これらの共同行為が、あるいはアウトサイダーといいますか、協定に加わらない保險事業者の利益あるいは被保險者の利益を、不当に害するおそれもなきにしもあらずというところで、但書の必要が生じたわけだろうと、私どもは理解いたしております。もちろん大蔵省におきまして、公益的な見地から十分に監督をされる建前になつておるわけでありますが、従来これらの共同行為について適用除外した他の例に大体ならいまして、こういう但書がつけ加えられたわけであります。  なおこの但書の内容は、今御指摘のように三つにわかれておりまして、第一には、不公正な競争方法が用いられる場合でありまして、従来独禁法の適用除外を設けられた例も多々ありますけれども、不公正競争方法について適用除外をしたという例はないのであります。要するにダンピングあるいはボイコット等、むしろ競争が激し過ぎて、健全な競争でなくて、不健全な状態になることを押えるのでありまして、この点については大して問題はないと考えております。もちろん何が不公正になるかと、いう点につきましてはこれは運用について愼重を期さなければならない点であろうと、私どもは考えております。従つてこの運用には、もちろん保險業界の方々の御意見を十分伺い、誤りなきを期して行きたいと考えておる次第であります。  次に、第二の「相互二事業活動ヲ不当二拘束スルコトニヨリ一定ノ取引分野二於ケル競争ヲ実質的二制限スルコトトナルトキ」というのでありますが、との表現は、独禁法第三條の「不当な取引制限」というのに照応するわけであります。ただ不当な取引制限の定義につきましては、独占禁止法の上では、事業者が他の事業者と共同して、相互にその事業活動を拘束し、または遂行することにより、公益に反して一定の取引分野における競争を実質的に制限すること、というふうに定義してありまして、その拘束の仕方が正当であろうと不当であろうと、それを問わずに、すべて拘束した場合にはいけないんだというふうになつておるのであります。しかしここでの表現は、その点は十分注意をいたしまして、再保險の協定等については、拘束性というのが出て来るのはやむを得ないという実情にかんがみまして、不当に拘束するという場合のみ問題にするというふうになつております。  それから第三点につきましては、これは要するに独占によつて被保險者の利益が不当に害せられる場合に、適用除外にしないというだけのことであります。これもこの運用には十分慎重を期するつもりでありますが、趣旨としては、被保険者の利益が不当に害せられたときに、それを適用除外にしないということでありまして、これもそれほど協定に対する重大な障害にはならないと、私どもは解しております。
  66. 佐久間徹

    ○佐久間委員 この前の国会におきましても、独占禁止法、事業者団体法が非常に冷嚴に行われる場合は、こういつた事業は円満に発展して行かないのだということを、るる私申し上げて公正取引委員の方々と質疑を重ね、かくならなければいけないということを、われわれはその当時すでにつぶさに申し上げて参つたのであります。幸いに公取の方々も思いをここにいたされまして、丸山君のごときはわざわざ外地へ参つて研究し、国際慣例による保險取引に対する認識を一段と深めて帰えられて、今答弁に立たれたのでありまするが、私といたしましては、こういう緩和の條項が挿入せられるに至つたということにつきましては、確かに国際性の強い業種だけに一大進歩であろうと思うし、これによりまして日本のこの業者は、国際取引上大いに貢献するということを思う場合に、その努力に深い敬意を表したいと思うのであります。なおただいま質問いたしました中に御説明が、ございませんでしたが、不公正とかあるいは不当とかいうことに対する立証の責任はどこにあるのか。このことについて一言御答弁をいただきたいと思います。
  67. 丸山泰男

    ○丸山説明員 不公正、不当にという言葉百の解釈でございますが、こういう表現は独占禁止法の随所にございまして、要するに生きた経済を取扱つて行くだけに、これを機械的にあるいは形式的にはつきりさせることは非常に困難でありまして、漠然としておりますけれども、どうしても不公正、不当にという表現をとらざるを得ないのであります。ただこの運用につきましては、十分愼重を期して行く考えでおります。立証責任の問題という点も、大体は保險業法の大蔵大臣による聽聞会その他の規定によつて運用されて行くわけでありまして、ただそれをうしろから、バツクするといいますか、どうしてもそれが解決されないとか、そういつた場合に被保険者その他の人々からのいろいろな異議などを伺つて、その内容をきめて行きたい、こういうふうに考えております。
  68. 佐久間徹

    ○佐久間委員 さらに十二條の三の但書は、独占禁止法第三條の「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」に掲げるところの不当な取引制限または私的独占の要件よりは、相当緩和した要件であると解釈するが、その点はどうか。すなわち独占禁止法第二條第三項及び第四項の、私的独占及び不当な取引制限の定義的要件だけでは、この但書の適用を受けない。不当に拘束することによつて、その結果競争の実質的制限となる効果を伴つた場合、または競争制限によつて、保險契約者または被保險者の利益を不当に害する結果を伴つた場合に、初めてこの但書規定適用があると考えるがどうか。この点を御説明願います。
  69. 丸山泰男

    ○丸山説明員 ただいまの御説の通りでございます。
  70. 佐久間徹

    ○佐久間委員 次に損害保險会社の行う共同行為が独禁法から禁止されておつたことは、相当の理由があつてのことであるが、それ以上の理由によりまして、今回除外されるにあたりまして、一面被保險者及び保險契約者の利益が害されてはならないことは当然であります。これに対するどういう配慮を政府はなされるのか。その点ひとつ説明願います。
  71. 河野通一

    河野(通)政府委員 御説の通り、独占禁止法の規定適用を保險事業が行います共同行為について除外いたします場合には、あくまで公正取引の維持確保ということのわくをこわさない範囲で行わなければならない。これがために、こういう共同行為に対しては、利害関係人その他がこれに異議を申し立てて参りました場合には、大蔵大臣は聽聞会を開いて、その意見の当否を検討した上で、場合によりましては、その共同行為についてある程度の修正を行つたり、取消したりする権限を留保しております。大蔵大臣はさらにこの共同行為によつて行われたものにつきまして、公益を保護するという立場から適当なる処置をとつて参る。なお今お話のありました第十二條の但書、及び第十二條の七でありますか、公正取引委員会の権限を留保されておる規定等は、公益の立場から十分これらの点について遺憾のないように指導もし、覊束も加えて参りたいという趣旨であります。
  72. 佐久間徹

    ○佐久間委員 主務大臣に届出を要する共同行為は相当多数に上るものと思いますので、これらを全部届け出るということは実際上不可能だと思うのでありますが、大蔵省は省令によつてその範囲規定する意思があるかどうか、この点を伺います。
  73. 河野通一

    河野(通)政府委員 共同行為の内容は届出を求めるようになつております。その法案の趣旨は、公益の保護という観点から、いろいろ調べて参らなければならぬという必要に基いておるのであります。しかしながらどんな瑣末な共同行為についても一々届出を求めるということは、保険事業の性質、ことに海上保險に、いては非常に困難であります。あるいは金額が大きいとか、あるいは共同行為に参加するものが非常に広範囲にわたつておるとか、そういうふうな影響の大きいものについて、省令で適当な制限を加えて、その範囲のものについてお届けを願いたい、かように考えております。
  74. 佐久間徹

    ○佐久間委員 次に独禁法、事業者団体法除外の共同行為については、将来どういう内容協定を予想しておるのか。この点参考に伺つておきたいと思います。
  75. 河野通一

    河野(通)政府委員 先ほど御説明をちよつと申し上げたかと思うのでありますが、海上保險と海上保險以外の火災保險等につきましては、将来行われる協定は相当違つて参ると思います。海上保險につきましては、先ほど申し上げましたように、国際的な関係もありますので、相当広範囲に共同行為が行われて参ると思います。單に共同保險、共同再保險だけでなく、あるいは通常保險につきましては、これらの保險料率の協定について共同行為等も入つて来る。また大体手数料の協定とか、損害の査定の協定等についても今後行われて参る。火災保險等につきましては、これに反して、おそらくここに規定されております範囲のものにつきましては、大体今後は協定が行われて参るのではないか。これによりまして、保險事業の円滑なる遂行をはかつて参りますと同時に、経費の節約あるいは事務処理の迅速化に資するところが非常に多いと思いますので、共同保險、共同再保險につきましては今後協定が行われて参ることを期待しております。
  76. 佐久間徹

    ○佐久間委員 保險業法の一部を改正する法律についてはこれで終りたいと思います。次に、料率団体の方に移りまして、この方を伺つてみたいと思うのであります。料率団体は独禁法の適用から除外されておつたのでありますが、その決定に基く料率につきましては拘束力がないのであります。これはまつたく片手落ちであつたと思うのでありますが、今回の料率団体の算出した料率は、会員を拘束することになつたのであります。従まして、そのいきさつについて、ひとつ説明をいただきたいと思います。
  77. 河野通一

    河野(通)政府委員 この点は、あるいは公正取引委員会の方から御説明願つた方が適当であるかと思いますが、当初この料率団体法ができましたときのいきさつでは、独禁法あるいは事業者団体法との関係かち、一応この料率団体で算定いたします協定料率というものにつきましては、独禁法あるいは事業者団体法の適用は排除するけれども、これが拘束力を持つということになると、独禁法の性質上どうも少し法律の精神に抵触するのではないかという意見が、当時非常に強かつたのであります。しかるところただいまお話もありましたように、その後保險事業といふものの特質、国際性等がだんだん各方面から認識されて参りまして、この料率団体の算出いたします料率がうまく動いて参りますために、しかも各会員がとれによつてこの料率団体に期待するところ非常に大きいわけでありますので、これらに参加して参ります熱意を促進いたしますためにも、どうしても拘束力を持たした形によつてこれを進めて参らないことには、現在まで運用して参りました実績にかんがみまして、どうも足りないところがある、不十分であるということがわかつて参りましたために、今般この料率団体で算定いたしました保険險率に、拘束力を持たせることにいたしたのであります。今後はこれによりまして、料率団体の活動はさらに一層促進されて、保險事業の円滑なる遂行に資するところが非常に大きいということを、私どもは期待いたしているわけであります。
  78. 佐久間徹

    ○佐久間委員 次に、料率団体の算出した料率が会員を拘束することが強化されたのでありますが、その反面におきましては、利害関係人の利益を害することがあつてはならないという配慮がなされているわけであります。料率算出団体法第二條の「百分の十以内の引上げ及び引下げを認める範囲料率」を追加したこの理由に基くものであろうと思うのですが、この点をひとつ説明いただきたい。
  79. 河野通一

    河野(通)政府委員 今お話規定は、まさに御調の通りの目的をもつて入れたのであります。独禁法の規定適用を除外いたしましたけれども、適正なる範囲競争ということは、これはぜひとも残して参らなければならない。それがためには、各保險事業におきまする個々の会社の内容によりまして、適正なる競争を確保するために、單に画一的な保險料率でなくして、ある一定の範囲内においては、これが上下をすることを認めまして、適正なる競争を確保し、あわせて公衆その他一般の保險関係者の利益の保護に当りたい、かような趣旨でできておるわけであります。
  80. 佐久間徹

    ○佐久間委員 料率算出団体法第十條の四の規定よりいたしますれば、大蔵大臣は、料率算出団体から料率の認可申請受理後、最小限二週間はその料率を認可してはならないことになつているが、これは取引の実情に即さないで、支障を生ずることが予想されるのであります。これを救う規定を欠いておることは、事業の円滑な運営を阻害し、公共の利益に反することになりはしないか。すなわち行政面において事務の澁滯等の弊害が予想されないかどうか。この点御説明をいただきたいと思います。
  81. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。お話のように、二週間の猶予期間と申しますか、待期の期間を置いておるわけであります。これは利害関係人の利益を保護するためにできておる規定でありまして、との程度の待期期間と申しますか猶予期間は、この法律趣旨からいつて、公益を保護いたしまする目的を達成いたしまするために、程度の差異はありますけれども、どうしても必要であろうということに基くものであります。アメリカ等におきましても、御承知のように十五日間の待期期間というものを設けてやつておるわけであります。できるだけ公益の保護に欠くるところのないような万全の措置をとつておるわけなのであります。なお今後行政事務の澁滯等がこれによつて起ることのないように、極力敏速な処理を進めて参りたいと思いますが、ある程度の猶予期間と申しますか期待期間ということは、公益保護上どうしても置かなければならない、かように考えております。
  82. 佐久間徹

    ○佐久間委員 次に料率認可前に、会員以外の利害関係人の審査請求があつたとき、大蔵大臣は第十條の三の第三項但書の場合を除き、公開の聽聞を行い審査しなければ、その申請料率を認可してはならないことになつておりますが、これでは料率団体の会員たる保險会社は、一部の利害関係人の局部的利害や部分的主張のために、当該料率の実施をいたずらに遷延させられ、または妨害させられる弊害が生ずるであろうと思います。会員以外の利害関係人の利益ないし主張は、第十條十一の認可料率に対する再審査請求によつて十分保護を與えられていると思うから、料率の認可申請に対する会員以外の利害関係人の審査請求に対する規定は、削除する方がよいと思いますが、この点はどうですか。もし会員以外の利害関係人の、認可前における申請料率に対する審査請求の機会を與えることが、善良な利害関係人の利益保護のためにどうしても必要であるというのであるならば、この規定の運用は十分愼重を期する必要があると思う。いかなる態度をもつて、懸念される弊害を防止しようとなさるのか。この点をひとつ簡明にしていただきたいと思います。
  83. 河野通一

    河野(通)政府委員 この規定を設けました理由は、今お話のように、利害関係への利益を事前において保護するために設けたのであります。但し御説のように、一部の利害関係へが局部的な利益のために、相当弊害のある処置を行うことの心配はあるわけであります。これらの運用につきましては特に愼重を期して遺憾のないようにして参りたいと考えております。
  84. 佐久間徹

    ○佐久間委員 続いて第十條の八に規定する特別保険料率とは、わが国においていかなる場合を予想しておるのか。この点をひとつお伺いします。
  85. 河野通一

    河野(通)政府委員 特別保險料率につきましては、同じ保險の種類につきまして、その計算の基礎を同じくするような場合に、たとえば各会社によつて事業比率が違うとか、あるいは保險の対象になつております物件の選択の程度が違うとかいうような点で、損害率等につきましても、各保險会社によつて相当な差異がある。これらの差異のあるものにつきましては、その特殊性にかんがみまして適当なる特別料率を認めて参りたい。これによつて各保險会社の力なり、あるいは選択の方法なりに応じた適当な競争を認めて参ることが、公正取引の確保のために必要であろうという趣旨で、この規定を設けた次第であります。ただ長い間にわたつてこれを認めて参ることも、適当ではないと考えますので、試験的な意味で、一年に限つて、特別保險料率は認めて参りたい、かように考えておるわけであります。
  86. 佐久間徹

    ○佐久間委員 料率算出団体は、定款に定むるところによつて、第九條に定める料率の算定の基礎となるべき一定種類の資料を、会員に提出すべき義務を課し、また第十條の七に基く会員の保險料率を守る義務を検査するために、契約書類の提出を命ずる権限を持つことを規定し、義務津反に対する一定の罰則を定めることは、文法律にその規定を入れなくとも、事業者団体法の規定に接触しないと解してさしつかえないものかどうか。
  87. 河野通一

    河野(通)政府委員 御調の通りに考えております。なお公正取引委員会の方からも御説明願つた方がよいかと思います。
  88. 丸山泰男

    ○丸山説明員 一応遵守義務が法律にうたわれておりますので、これについて団体の中で罰則を設けること自体については、それ自体としては団体法上違反にならないと考えておりますが、しかしやはりそこに程度がありまして、あまりに不当に拘束するというふうな状態なつた場合には、これはあるいは問題になるかと考えております。
  89. 佐久間徹

    ○佐久間委員 法案が山積しておるときに、あまり趣條審議を続けて行くということは、まことに申訳ないのであります。私といたしましては、まだいろいろ承りたいところもあるのですが、一応結論を申し上げて、またあとに譲りたいと思います。  損害保險事業の特殊性にかんがみまして、その技術的必要の範囲において、米国における反トラスト法の保險事業に対する適用の法制を参考としつつ、わが国の独占禁止法及び事業者団体法の損害保險事業に対する適用を調整しようとするのが、この法律改正の根本的構想だと了解されます。しかし米国の立法令に比較すると、いろいろの面においてなお多くの制限が付されておるように思うのであります。わが国の実情から見まして、公共の利益を保護するため、十二分の法律規定が設けられていることは一応了解できますが、このことは保険監督行政面において、実質的に公正取引を確保する能率的運営が期せられなければならないと思うのであります。同時に損害保險事業は、国際的な再保険取引を必要とする点におきまして、あるいは国際的競争が激甚である点において、国際的性格の強い事業である。海上保險事業においては特にその性格が著しいと思うのであります。わが国の貿易、海運の発展のために、わが国に強固な海上保險事業の存在が必要不可決であるばかりではなく、海上保險事業は、それ自体きわめて重要な輸出産業であつてわが国の必要とする貿易外収入の源泉として、事業者の経験と知能を生かし、その堅実な発展を期待しなければならない事業であると思うのであります。従つてその監督なり、法的規制におきましては、單に形式と手続のために国際的競争能率を阻害することのないように、希望いたしたいと思うのであります。きようはこの程度で一応私の質問を終りたいと思います。同僚諸君が非常に声援してくださるので、図に乗つてやり出すと、またたいへんおしかりを受けるような結果になつても困りますから、一応との辺でやめまして、またの質疑は次の機会に譲りたいと存じます。
  90. 深澤義守

    深澤委員 食管特別会計の繰入れの問題について、食糧庁長官においでを願つて、今大きな問題になつております供出問題と関連してお伺いしたいのでありますが、何か用があるようでございますので、事務的な問題をひとつ伺いたいと思います。本年度買入れの米の予定額は、石数にしてどのくらいを予定されておりますか。この点を聞きたいと思います。
  91. 清井正

    ○清井説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問の、内地米の買入れ数量をどの程度予算に計上しているかということでございますが、本年度の当初食管特別会計を編成いたしましたときは、過去の例に徹しまして一応三千万石買い入れるという予定にいたしまして、予算を編成いたしたのでございますが、今回の補正予算におきましては、これを二千五百六十万石買い入れることにいたしまして予算を編成いたしておる次第でございます。
  92. 深澤義守

    深澤委員 その買入れに際しまして政府はさきに米価の決定をパリテイー二五〇と見て、七千三十円ということを発表せられておるやにわれわれ聞いておりますが、しかし最後的にはいまだその米価が決定されていないということでありますが、一体決定されているのか、あるいは決定していないのか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  93. 清井正

    ○清井説明員 お答えいたします。今年度の米価の問題でございますが、当初三千万石を予定いたしましたときには、ただいまのお話通りパリテイー指数二五〇ということを前提といたしましてそれに五%加算をするということで計算をいたしたのでございます。ところが正式の米価の問題でございますが、二五〇と予定いたしました九月末のパリテイーが、ただいま大体二四八・〇四程度になつておると思います。それで所定の計算をいしますと、若干当初予定いたしました七千三十円よりは下まわる計算になるのでございます。しかしながら予算に計上いたしました関係もあり、その他いろいろの関係からいたしまして、政府といたしましてはぜひとも当初の予定通り七千三十円ということでもつて、本年産の米価を決定いたしたいと思つて、ただいませつかく努力中でありますが、まだこの点につきましては最後決定になつていない次第でございます。
  94. 深澤義守

    深澤委員 そこで予算を見ますると、本二十六年産の内地米の買入れは四百五十万トンというトン数で出ておりますが、大体これは三千万石に相当することになります。とれが二千五百五十万石に減少いたしたといたしますれば、当然この特別会計の修正をしなければならないことになるわけでありますが、この修正は、すでに衆議院は予算が通過しておりまして、参議院で目下これを審議中であります。政府はこの修正案を出す準備があるのかどうか、この点をひとつお伺いしたい。
  95. 清井正

    ○清井説明員 ただいまのお話でございますが、補正予算におきましては、当初の三千万石を二千五百六十万石に訂正いたしまして予算を編成いたしたのでございます。あるいは予算書その他において訂正いたしたかもしれませんが、事務的には当初三千万石であつたのを、二千五百六十万石に買入れ数量を変更いたしまして補正予算を編成いたした次第でございます。
  96. 深澤義守

    深澤委員 予算書にはその点が国内食糧買入費として一括しておりますので、具体的にわかつていないので質問いたしたのであります。それでは二千五百五十万石を買い入れるということになりますが、消費者への内地米のみの売渡しの大体予定量でありますが、これはもちろん繰越しも含めて売渡しをすると思うのであります。しか二千五百五十万石は、これは買い入れたものを売わ渡すことは明らかでありますが、昨年度からの繰越し等がありますので、本年度消費者に売り渡す量というものは、もつと多くなると思うのでありますが、これはどの程度のものを予定して予算には組んでおりますか。
  97. 清井正

    ○清井説明員 米の配給量につきましては、従前よりの計画を持続いたしまして配給いたすよう予算を編成いたしておるのでございますが、そのうも内地米につきましては、本年の四月一日に繰越して参りましたものが、約二百十七万四、五千トンございまして、その後供給量として考えられますのが約三百八十万トンございます。なほ需要として一般消費者に配給いたします内地米の数量は、年間四百二十八万七千トン程度に計算いたしておる次第であります。
  98. 深澤義守

    深澤委員 そこで外国食糧でありますが、外国食糧の輸入につきましては、補正予算で百八十六億二千百何十万円かを増額しておるわけであります。この増額した結果輸入食糧はトン数にしてどのようになりますか。その内訳はどういうものを輸入することになるのか。その点をちよつとお伺いしたいと思います。
  99. 清井正

    ○清井説明員 本年度当初予定いたした外国食糧の輸入数量は三百二十万トンでございまして、この内訳は、米につきまして九十万トン、小麦につきまして百七十万トン、大麦につきましては六十万トン、計三百二十万トンということにして予算を計上いたし、所要の補給金を計上いたしたのでございますが、その後諸般の事情にかんがみまして、予算上三百八十五万四千トン輸入するというような計画をいたしておるのであります。しこうしてその内訳といたしましては、米につきましては九十万トンを百五万トン、小麦につきましては百七十万トンを百九十万一千トン、大麦につきましては六十万トンを九十万三千トンとそれぞれ輸入予定を引上げまして、三百八十五万四千トンを輸入に見込むという計算をいたしておるわけであります。
  100. 深澤義守

    深澤委員 従来大体三百万トン程度の輸入が、日本の需給推算の上から必要であるということでやつて来たと思います。ところが本年度の計画は、それが三百八十五万四千トンということになりまして、おそらく終戦以来最大の輸入量になると思うのでありますが、一体どういう根拠からこのような大量輸入をしなければならないことになつたか。その点をお伺いしたいと思います。
  101. 清井正

    ○清井説明員 当初三百二十万トンという輸入を予定いたしまして、いろいろ所要の措置を講じて参つておりまして、ただいまのところ大体円滑に輸入が進んで参つておるのでございますが、その後御承知通り本年の作況が非常に不作でございまして、昨年に比較いたしまして相当数量の減を見たのであります。それに伴い、供出割当数量も二千五百五十万石を割当てるという結果に相なりまして、昨年に比較いたしまして約二百万石以上の割当減というような結果になりますために、国内食糧の供給が、前年度に比較いたしまして、少くともその程度は減少を見るわけでございます。そういつたような事情もございまして、われわれ事務当局といたしましては、この既定計画の三百二十万トンに加えまして、ある程度の数量をぜひとも増加輸入いたしたいという、実は気持を持つているわけでございますけれども、まだこの点につきましてはいろいろ考慮中でございますし、いろいろ関係がありまして、いまだ決定をいたしておりません。しかしながら予算といたしまして、たといそれが決定いたした場合におきましても、買入れ財源がないということになりますれば困りますがゆえに、予算のわくといたしましてはこの程度の計画にいたしたいということで、この三百八十万トンの輸入を計上いたしたわけであります。
  102. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、輸入食糧の増加に伴いまして、当然輸入補給金が増額されなければならないと思うのでありますが、今度の補正予算では補正が行われていないのであります。その点はどうなつておりますか。
  103. 清井正

    ○清井説明員 当初の補給金は二百二十五億計上してございますが、今度の補正予算で五十五億増額いたしまして、二百八十億に補給金がふえることになつておるわけでありまして、この補正予算では、それに伴つて五十五億増を見込んでいるわけであります。
  104. 深澤義守

    深澤委員 そこでお伺いしたいのは輸入食糧の価格の問題であります。米はどこから入つて一トンどのくらいの価格で予定されているか。小麦、大差はどういうぐあいに予定されているか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  105. 清井正

    ○清井説明員 これから数字を申し上げますが、これはすべて平均的な価格でございますから、あらかじめ御承知おきを願いたいと思います。  米の輸入先といたしましては、御承知通り南方のタイ、ビルマ等が主として補給源になつているわけでありますが、その他を含めまして百万トン程度でございます。当初の予算といたしましては、タイ米につきましてはトン当り大体百三十二ドル程度を予定いたしたのでありますが、今度の補正におきましては百四十二ドル、約十ドル前後高く見積つているわけであります。ビルマ米につきましては百三十ドルで、当初編成いたしましたものより二十四ドル高く見まして、百五十四ドルの平均価格ということにいたしております。その他各地若干ございますが、平均的には百三十九ドルの当初の見積りを、百五十七ドルと十八ドル高く計算いたしておるわけであります。小麦につきましては、主としてアメリカ、オーストラリア、カナダ等でありますが、アメリカにつきましては大体回顧の九十六ドル、オーストラリアにつきましては、当初の八十六ドルの単価を七ドル引上げまして、九十三ドルという計算をいたしておりまして、総平均当初の予算が九十ドルでございましたのを、三ドル引上げまして九十五ドルという計算をしておるような次第であります。
  106. 西村直己

    ○西村(直)委員 議事準行で……。ただいま議題となつております五法律案のうち、保險業法の一部を改正する法律案、損害保險料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案、この両法律案につきましては、質疑もすでに盡されておりますので、この際質疑打切りを動議として提出いたします。
  107. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 西村君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 異議なしと認め、右両案につきましては質疑を打切ることにいたします。深澤君。
  109. 深澤義守

    深澤委員 米の輸入は東南アジアに求められているようでありまして、この輸入を政府は非常に楽観しているやに承つておりますが、一面東南アジア関係の米の輸入は、非常に困難な情動に逢着している要素も相当あるので、これらに対する見通しを承りたいと思います。
  110. 清井正

    ○清井説明員 ただいまお話通り、主として南方諸地域に米を依存しておるのでございますが、現地の事情等にかんがみますと、われわれの事務的な観察といたしましては、いまだ極限に達しているとは思われないのでありまして、なおある程度の輸入の見込みが、その方の地域より立て得るというふうに考えております。しかしながら、これを無制限に非常に多くということにはむろん参りませんので、その辺の数字につきましては、私責任を持つてお答えできませんが、なおまだ若干の数量は南方の米に依存し得るということが、結論的には言い得ると思います。
  111. 深澤義守

    深澤委員 それから外米の問題でありますが、現在配給されている状態、それを実際に食べてみての問題でありますが、大体日本の中では外米は喜ばれていない。あるいは配給辞退等が相当あるということわれわれは聞いているのでありますが、これに対して政府当局は、日本人の食事として非常に栄養を與え喜ばれるような品質の外米を今後輸入だきるのかどうか。従来と同じようなものを輸入しなければならないのかどうか。従来と同じようなものであるならば、非常に困難な時期に無理をして輸入いたしましても、日本国内ではあまり喜ばれないというような関係がありますが、この点はどういうぐあいに考えておりますか。
  112. 清井正

    ○清井説明員 外米の点についてのいろいろなお話でございますが、なる砥どお話の点も確かにあるのでございまして、内地米に比べまして品質が悪いために、ある程度消費者よりいろいろの非難があることは事実でございます。品質につきましても相当良質な米を輸入いたしたいと思つて、せつかく努力をいたしておりまするけれども、現在の段階におきましては、満足したことになり得ないような状態であることは遺憾でございます。今後輸入いたしまする外米につきましても、われわれといたしましては、できるだけ良質のものを買いたいと思うのでございますが、結局良質のものを買おうとなりますると、値段も高くなるというような関係もございまして、値段と質と勘案いたしまして、できるだけいいものを安く買い入れるような方向に向つて努力をして行きたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  113. 深澤義守

    深澤委員 これは食管の方にはあまり関係する問題ではないと思います。農政局等の関係だろうと思いますが、喜ばれない米を非常に困難して、相当国費を費して輸入する。その国費自体を日本内地に振り向けて、増産のための努力をするならば、参もつと安易に食糧問題の解決の道が見出されるということを、われわれは考えているのであります。どうしても東南アジア関係の米に依存しなければならないということは、例の後進国開発計画と結びつく一つの制約があるのではないかというぐあいに、われわれは考えておるわけです。つまり輸入しなければならないことを、義務づけられているような條件があるのではないか。そういう問題についてはどういうぐあいに考えておられますか。
  114. 清井正

    ○清井説明員 私の存じておる限りにおきましては、さようなことはございません。必要な数量を適当なところから輸入すべく努力しておる次第であります。
  115. 深澤義守

    深澤委員 それから小麦の方でありますが、小麦の方は平均九十五ドルなのでありますが、国際小麦協定による数量はどのくらいなのか。それからこの国際小麦協定によつて入る価格は幾らでありますか。その点をひとつ…。
  116. 清井正

    ○清井説明員 国際小麦協定によりまして保障されました数量は、本年の八月から一年間、すなわち来年の七月末までに約五十万トンを約束されておるのでございまして、本年度におきましては、そのうち四十万トンを輸入する計画で、目下折衝いたしておるわけでございます。その価格につきましては、大体内地に到着する価格といたしまして、アメリカから入つて参りました最近の実績といたしましては八十一ドル、カナダから入りました実績としては、八十二ドル五十セント程度でございますが、大体今後におきましても、その程度価格によつて買い入れることができるというふうに考えておる次第であります。
  117. 深澤義守

    深澤委員 国際小麦協定で入る価格日本の小麦価格とは、ほぼ同じような計算になる。これは詳しく計算してみればわかりますが、日本の小麦価格と国際小麦協定によつて入る価格とは、大体同じ程度だとわれわれは考えるのですが、その点はどうでありますか。
  118. 清井正

    ○清井説明員 ただいまはつきりした数字は持つておりませんが、大体同じ程度に——若干は向うが高いかもしれませんけれども、大体同じ程度になると思つております。
  119. 深澤義守

    深澤委員 それからどうも今の米と小麦の数量を総合し、価格の値上りというものを総合いたしますると、二百二十五億の輸入補給金に、今度五十億プラスをいたしましても、輸入補給金が不足して来るという計算が出て来るように考えるのでありますが、その点はどういうぐあいに考えておられますか。
  120. 清井正

    ○清井説明員 お話ではございまするが、私どもの計算をいたしましたところによりますると、大体内地価格外国の輸入食糧の価格とを差引きいたしまして、その差額を補給金として繰入れるというふうに計算をいたしますと、大体先ほど申しました五十五億の繰入れによつて、まかない得るという計算が出ておるわけでございます。先ほど申し上げましたのは、平均価格を申し上げましたのであるいはちよつと御理解が行かなかつたのではないかと思いますけれども、数量と価格との加重平均をいたしておりますので、あるいはそういうようなことが起つたかもしれないのでありますが私どもの計算といたしましては、五十五億の繰入金で足りるというふうに考えておるわけであります。
  121. 深澤義守

    深澤委員 米の中に加州米が入つて来るといふ計画はないですか。
  122. 清井正

    ○清井説明員 ただいま加州米の問題について折衝いたしておりまして、入り得る見込はございます。
  123. 深澤義守

    深澤委員 その加州米の数量と価格は大体どのくらいを予定されていますか。
  124. 清井正

    ○清井説明員 しかとした御返事は申し上げかねますが、予算上は今後三月までに加州米を約八万トンばかり入れたい。これは予算上の数字でありますが、価格は百八十五ドルというように計算いたしております。
  125. 深澤義守

    深澤委員 それからこの際ひとつお伺いしたいのでありますが、最近加州米を米として入れるよりも、酒としてこしらえて入れる方が非常に有利だということで、加州米が酒になつて入つ乗るというような話を、われわれは聞いたのでありますが、そういう事実はありませんか。
  126. 清井正

    ○清井説明員 私まだそういう事実を存じておりません。
  127. 深澤義守

    深澤委員 これは食管に聞くのは無理かもしれませんが、外国米が酒として内地でつくられるものかどうかという問題ですが、その点は何かそういう御研究なり、あるいは話を聞かれたかどうか、その点をひとつ……。
  128. 清井正

    ○清井説明員 ちよつと私からお答えするのもいかがかと思いますが、今までは大体外国米は、できぬことはないかと思いますけれども、好んで使用はされないような状態でございます。
  129. 深澤義守

    深澤委員 今まで外国米を日本の酒造米に使うた事実があるかどうか。今後酒造米としてこれを使う計画がおありになるかどうか。その点をひとつ……。
  130. 清井正

    ○清井説明員 ちよつとはつきりとはお答えいたしかねますが、主として酒造用としては内地米を出しておりますので、外国米を酒造用に充てたことはないのじやないかと、私は記憶いたしております。
  131. 深澤義守

    深澤委員 それから価格差の追加払いの問題でありますが、どうも末端では追加払いの金が、たとえば本年度の麦の金がまだ来てないという事実があるわけであります。それからもう一つの問題は最近農協が、一般の農民の承諾を得ずに、これを農協の出資金にまわしているという事実もあるのであります。こういうような問題で、追加払いの金が非常に末端におきましては問題を起しているのでありますが、こういう事実を食管の方ではお聞きになつたことがあるかどうか。そうしてこれに対してどういう対策を講じられたか。その点をひとつお伺いしたい。
  132. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの点でございますが、本年度において行いました昨年産の価格差に対する追加払いの問題につきまして、若干一部よりそういう声を聞いたことは事実でございます。私どもといたしましては、いわゆるパリテイの差額によります、バツク・ペイの問題は、決定次第ただちに支払いをいたしておるのでありまするけれども、末端へ行く途中におきまして、あるいは農協あるいは信用組合等においてそれがとどまりまして、直接生産者に行かない場合があつたのじやないかというふうに存じておるわけであります。この点につきまして、具体的に一一は存じませんが、当時そういう声を聞きましたときに、すみやかにこれが生産者に行き渡るようにという通牒その他適当な措置を、農林省といたしましてはとつた次第でございます。
  133. 深澤義守

    深澤委員 この点については、末端の問題として、事務の御監督を願いたいと思います。  きようは時間がないようでありますから、また明日でも継続いたしますが、砂糖の五十億という問題です。これは結局は消費者の負担になつているわけですが、これは最近の砂糖の値上げによつて生れた利益でありますか。
  134. 清井正

    ○清井説明員 砂糖の問題につきましては、いろいろただいまお話のありました收入の増をはかるというような見地も含めまして、かたがた統制方式の将来の遂行というような観点からもいたしまして、家庭用に配給いたすものにつきましては、従前通り継続いたしておるのでございますが、業務用に参りますものにつきましては、公定価格による配給制度をやめまして、入札制による売却をいたしたのであります。その制度実施によつて、五十億程度の増収をはかるという計画をいたしておるのでございまして、砂糖の業務用の入札制度は、目下実施をいたしておる最中でございます。
  135. 深澤義守

    深澤委員 私もどうも十分知つていないのですが、砂糖は今自由販売になつているのですか。
  136. 清井正

    ○清井説明員 家庭用につきましては配給制度を実行いたしておるわけでございますけれども、業務用につきましては、ただいま言うように入札制を実施いたしておりますので、その面については制限が解かれております。
  137. 深澤義守

    深澤委員 そうしますと、最近東京都内等に、自由販売で、たしか百匁七十五円程度で売つておるのですが、それはその入札したやつで、自由販売してもさしつかえないということになつておるのですか。
  138. 清井正

    ○清井説明員 家庭用のものにつきましては、配給制でございますけれども、ただいま御指摘のような問題は、おそらく入札によりまして販売した業務用のものを、販売いたしておるのではないかというふうに考えられます。
  139. 深澤義守

    深澤委員 業務用に払下げをした場合においては、何らか業務に振り向けるということで、一般の市場に現われて来るときには、加工品になつて現われて来るのが普通だと思うのですが、砂糖自体が販売されるということは、いいのですか。
  140. 清井正

    ○清井説明員 建前といたしましては、業務用でございますから、それを買いました者は、すぐに原材料に加工いたす、それで使用いたすということでありますけれども、落札者につきましての制限が、一応軽い制限でございまして、大体ある程度資格を持つている経験者は、みな落札できるということになつておりますので、いわゆる中間業者がそれを落したような場合には、さような現象が起るのではないか、こういうふうに想像いたしております。
  141. 深澤義守

    深澤委員 砂糖の払上げにつきまして、何か入札者に対して資格をつけているということを、われわれは聞いているのであります、それはある一定の数量、一万トンあるいは二万トンをまとめて買い得る資力、あるいは業績を持つ者でなければ、入札させないということで、結局大資本家がもつぱら落札者になつて行くという傾向があるということで、割合中小商人は、この払下げるを受けることができないという不平を聞いたのでありますが、そういう事実はあるのですか。
  142. 清井正

    ○清井説明員 お答え申し上げます。ただいまの問題でございますが、砂糖の入札制度は、今まで配給制度を実施いたしましたものを、一部切りかえました問題でございます。食糖庁といたしましても、相当これを愼重に取扱う必要があるというふうに考えまして、一定の資格を設けまして、過去の経験を有するものでなければならぬといつたようなことで、いたしたわけでございます。しかしその数量等につきましては、あまり一人のものが大量にこれを独占するようなかつこうでは、いかがかと思いまして、その入札する限度の数量につきましては、たしか制限を設けたはずでございます。しかしながら一方信用力があるということを前提としなければならぬのでありまして、そういう意味の制限も、たしか付していると思います。そうして第一回、第二回と、ただいまは第二回を実施いたしておりますが、第一回目のときには、何分にも私どもといたしましても、入札者といたしましても、様子がわかりませんでしたので、いろいろ問題が起つたようでございまするけれども、第二回からは、相当中小の業者の方も落札されたというふうに、聞いておる次第でございます。
  143. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時三十七分散会