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1951-11-13 第12回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十三日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 西村 直己君 理事 内藤 友明君       有田 二郎君    大上  司君       川野 芳滿君    佐久間 徹君       島村 一郎君    清水 逸平君       高間 松吉君    塚田十一郎君       苫米地英俊君    三宅 則義君       宮幡  靖君    荒木萬壽夫君       宮腰 喜助君    松尾トシ子君       高田 富之君    深澤 義守君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員   大久保太三郎君         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一朗君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         農林事務官         (農政局長)  東畑 四郎君  委員外出席者         海外同胞引揚に         関する特別委員         長       若林 義孝君         大蔵事務官         (理財局経済課         長)      亀岡 康夫君         大蔵事務官         (理財局外債課         長)      上田 克郎君         厚生事務官         (引揚援護庁復         員局復員業務部         業務課長)   井上 義弘君         農林事務官         (農政農業保険         課長)     鵜川 益男君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十一月十三日  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  三二号)  日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第三三号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三五号)  保險業法の一部を改正する法律案内閣提出第  三七号)(予)  損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第三八号)(予) 同月十二日  旧陸軍共済組合員年金交付に関する請願外二  件(有田二郎紹介)(第一〇三九号)  同(千葉三郎紹介)(第一〇四〇号)  公務員の新退職給與制度確立に関する請願(松  野頼三君外二名紹介)(第一〇四一号)  林業税制改正に関する請願足立篤郎紹介)  (第一〇五〇号)  ガス器具に対する物品税撤廃請願天野公義  君紹介)(第一〇六三号)  一般用工業塩払下げ価格引下げに関する請願(  宮幡靖紹介)(第一〇六四号)  果実エッセンスに対する物品税撤廃請願(大  石ヨシエ紹介)(第一〇六五号)  寒冷地手当及び石炭手当に対する所得税免除の  請願(稻村順三君外一名紹介)(第一〇六六  号)  旧日章飛行場跡保留地開放に関する請願長野  長廣紹介)(第一〇六七号)  終戰後外地における被接収船舶国内補償に関  する請願倉石忠雄紹介)(第一一〇九号)  揮発油税軽減に関する請願小淵光平紹介)  (第一一一二号)  同(長野長廣紹介)(第一一一三号)  同(内藤隆紹介)(第一一一四号)  未復員者給與法適用患者に対する療養期間延  長に関する請願苅田アサノ紹介)(第一一  一五号) の審査を本委員会に付託された。  同日  在外公館等借入金換算率及び支払限度に関する  陳情書外一件  (第六三六  号)  水あめ等物品税撤廃に関する陳情書外三件  (第六三七号)  揮発油税を自的税として道路改良財源に充当  することに関する陳情書  (第六三八号)  公務員退職給與金に対する課税免除陳情書  (第六三九号)  南九州財務局管内財務部廃止反対陳情書  (第六四〇号)  たばこ小売販売利益率引上げに関する陳情書  (第六四一号)  支出官事務規程改正に関する陳情書外一件  (第六四二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案(  内閣提出第七号)(参議院送付)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一六号)  農業共済保険特別会計における家畜保險金  の支払財源に充てるための一般会計からする繰  入金に関する法律案内閣提出第二五号)  食糧管理特別会計歳入不足を補てんするため  の一般会計からする繰入金に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第三〇号)  未復員者給與法等の一部を改正する法律案(参  議院提出参法第二号)     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  昨十二日本委員会に付託に相なりました食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨説明を求めます。     —————————————
  3. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、今回の補正予算に関連いたしまして、一般会計から食糧管理特別会計べの繰入金限度額を百一億八千七百余万円だけ拡張しようとするものであります。その内訳を申し上げますと、第一は、昭和二十五年度において農業災害補償法に基く農作物共済にかかる麦類共済掛金標準率改訂に伴いまして、共済掛金消費者負担分の増加に相当する金額一億八千七百余万円を、食糧管理特別会計負担することとなりましたのでこれに相当する金額一般会計から同特別会計に繰入れることとするものであります。  第二は、食糧消費者及び生産者価格改訂措置等に伴つて生じます食糧管理特別会計支払い資金の一時的不足額を補填するため、百億円を一般会計から食糧管理特別会計に繰入れることにいたそうとするものであります。  なお支払い資金の一時的不足額を補填するための百億円につきましては、後日食糧管理特別会計から、予算の定めるところによつて一般会計に繰りもどすこととなつております。  以上がこの法律案提出理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案農業共済保険特別会計における家畜保険金支払財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、及びただいま提案趣旨説明を聽取いたしました食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案の四法律案を、一括議題として質疑に入ります。
  5. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいま議題に供されました各法案のうち、会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案は、質疑も盡されたことと存じますので、この際質疑を打切り、討論省略の上採決に入られんことを望みます。
  6. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 奥村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないようでありまするからさよう決定いたします。  会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案につきまして、賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  8. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立総員。よつて法律案は可決されました。  ただいま議決いたしました議案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議なければさようとりはからいます。     —————————————
  10. 大上司

    大上委員 議事進行について……。本大蔵委員会法案の性質上連日委員会を開催し、委員は万難を排して愼重審議に当つておるのでありますが、ただいま「第十二国会提出予定大蔵省関係法律案で今後提出を予定している法律案件名調」という資料をちようだいして実はびつくりしたのであります。そこでまず政府当局にお尋ねしたいと思います点を一、二質問いたしたいと思います。  まず一つ法案について、その法案の種類または内容等によつていろいろ違うと思うのですけれども、これを内閣提出とする場合に、いろいろの現象から見、あるいは法的な手続を見て、当委員会に上げるまで何日の日数がかかつておるのか。たとえばさいぜん上つた会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案と仮定いたします。こういうような場合に、これを本委員会に持つて来るまでにどのような法的な手続を経て、そうして何日の日数を要してここに持つて来るか。いわゆる法案を当委員会に持つて来るまでに要する日数を伺いたいのであります。
  11. 西川甚五郎

    西川政府委員 たいへんおしかりと申しますか、夜を日についで御審議を願つておるのでございますが、今度の法案は実際のところは講和会議関係する法律案を主体として、出したいと思つておつたのでありますがこれに関して予算関係補正予算がありまして、これにまた関係する法律案が多数ございましたために、この法案内容一々におきましては日数が相当違つております。まず法案をつくる前にはやはり相当司令部折衝をして、それから閣議にかけまして今度は司令部のオーケーをとるというようになつておりますから、法案によつて相当日数が違つておると思います。
  12. 大上司

    大上委員 わかつたようなわからぬような御回答ですが、それからもう一つ要望いたしたいと思います。まず第一にさいぜん申し上げましたところの法案にいたしましても、政府当局はたとえば電話一本でいろいろ資料が寄ると思います。政務次官が必要とあれば理財局長なり、理財局長がさらに経済課長を通して各部下なり、あるいは政府公務員を動員して資料がとれ、これが是なり非なりという判定がつくのです。ところがわれわれ国会議員の場合には、いろいろな他の仕事もあるし、他の委員会の掛持ちもある。ここにぽつと法案を出されて来ても、ある程度の日数の余裕をちようだいしなかつたならば、どのようにわれわれが感覚を働かしても、どのようにからだを動かしても資料がなかなか寄らないのでございます。そこで審議の万全を期するためには、もう少しこの提出法案を計画的に早く出してもらいたいということを、特にお願いしたいのでございます。それについて政府当局のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  13. 西川甚五郎

    西川政府委員 これは結局司令部がある関係で、これに帰着すると思いますから、いずれ講和が終りましたらこれは必ず促進できると思いますが、現段階におきましてはこれよりしかたがありませんが、できるだけ努力させていただきたいと存じます。
  14. 内藤友明

    内藤(友)委員 資料をひとつ要求したいと思うのでありますが、食糧管理特別会計に関する法律につきまして、昭和二十六米穀年度食糧需給関係、それから輸入食糧の状態並びにそのための資金などの資料を、ひとつ農林省から出していただくようにお願いいたします。
  15. 深澤義守

    深澤委員 食糧管理特別会計法案関係しまして、今内藤委員からも資料の請求がありましたが、それにつけ加えまして最近における中間経費の具体的な資料を御提出願いたいと思います。     —————————————
  16. 奧村又十郎

    奧村委員 農林省農政局長農業保険課長がお見えでありますから、昨日配付された資料に基いて二、三お尋ねいたしたいと思います。  昨日配付された農業災害補償制度に関する件についての資料でありますが、全国各府県の農業共済組合連合会不足金が、総額で約二十億に近い赤字を出しておるということでありますが、この赤字は今どうなつておるか。おもにこれは農林中央金庫から借り入れておると聞いておるのでありますが、どういう金額になつておるか。それと、これは相当利子を食うものであると思うのですが、こういう利子負担はどういうふうになつておるか。あるいは政府からでも補給するのか。この点をお伺いしたい。なおまたこの二十億に近い赤字を今後いかに整理解決するのか。その点の政府の御方針を承つておきたいと思います。
  17. 東畑四郎

    東畑政府委員 農業共済組合連合会に十九億余の赤字がありましたことは現実であります。これは過去におけるいろいろな原因によるのでありますが、赤字が出ました根本というものは、連合会というものは結局通常標準被害率までの責任を持つておるわけです。従いまして異常の年が連続いたしますと、標準被害率までの保険責任は持つておるわけであります。連合会に入ります収入というものは、通常共済掛金標準一つの基礎として出しました収入より入らない。そこで長期にこれを考えますと、均衡するという見積りをしておるわけですが、短期に見て参りますと、そこに異常の年が続きました場合は、その県の連合会にやむなくそういう不足分が出るわけであります。それにつきましては借入金で処理をしておる、こういうものが通じまして十九億の赤字が出たのであります。その赤字につきましては、今おつしやいましたように中央金庫あるいは勧業銀行、その他二、三の県では信連からも借りまして、一時つないでおりまして、それを保険共済掛金収入で一時償還をいたしておりました。ただいまのところ一応見積りは約二億円余まで償還が可能である。もちろんこれは本年度また保険金支払いがいるものでありますから、またこれから借金がふえて参りまして、やはり十九億何千万円というこの赤字そのものが、なかなか被害が多いものでありますから、消すわけに行かないというのが現実であります。それにつきまして、本年度補正予算で一億八千万円程度の利子補給について、予算要求をいたしております。連合会の十九億の借入金利子だけは国庫負担する、こう予算で計上いたしております。十九億そのもの赤字をどうして消すかということになりますと、これは長期見方というものもあるのでありますが、われわれとしましては、これを一応何らかの形で国庫で持つて行きたいという気持でいるわけであります。将来にわたりますことは、来年の料率改訂等考えまして、いろいろそういう赤字が累積しないように実は考えておるのであります。何しろ将来の事故というものは予想がつきませんので、若干の安全割増し考えましても、短期に見ますと、こういう不足金が出ることは、現在の制度上やむを得ないことになつておる次第であります。
  18. 奧村又十郎

    奧村委員 先日同僚西村委員から御質問がありましたが、静岡県その他で、うんかその他の非常な異常災害が発生した。これに対しては農政局長の御答弁によると、政府共済基金二十五億があるから、異常災害に対しては、何時でも即座に金を払うことができる、こういう御答弁のように承知したのであります。そこで異常災害の分に対しては、全部政府負担することに規定されておるのか。またこの共済基金の二十五億は、政府負担すべき異常災害の分だけに一時融資ができるので、連合会負担の分に対しては、この二十五億の基金は、利用されないのか。もしそうであるとすると、静岡県の今回の災害などに対しての大体心構えがはつきりして来る、こういうふうに考えますので、お尋ねしておきたいと思います。
  19. 東畑四郎

    東畑政府委員 掛金につきましては、異常分の一部は農家負担しておるのでありますが、責任につきましては、異常事故責任は全部特別会計責任になつております。従いまして、かりに静岡県がうんか等その他の災害のために、今年非常に被害が多くて異常事故でありました場合は、異常事故分につきましては、これは全部政府特別会計責任でありまして、その責任分につきましては、幸い本年は二十五億円の基金がございますので、この基金運用によりまして、金の支払いそのものには困らないという答弁を申し上げたのでありますが、連合会そのものとしては、異常事故である場合におきましては、先ほどお答え申し上げましたように、連合会収入分連合会標準被害率まで持つ責任に幅がありまして、その幅に当る分だけは、連合会としては赤字になるわけであります。これはやはり借入金等でまかなわなければならぬという問題が起るのであります。国の責任分連合会責任分のうちで、国の責任につきましては、二十五億の基金がありますから、解決ができます。連合会につきましては、その解決は今のところ制度がないのであります。そこでわれわれの方といたしましては、国と同じ意味において、連合会等におきましても、そういう異常の年の一時的な融資をうまくやるために、何らかの基金制度をつくりたいというので、国の予算等にそういうものを織り込みまして、目下大蔵事務当局折衝中であります。
  20. 奧村又十郎

    奧村委員 昨日家畜の場合の異常災害意味を承つて驚いたのであります。農業災害にも異常災害というものがずいぶんあるように、今の御説明によると承るのでありますが、この農業の場合の異常災害というのは、いかなる意味に規定されておるのか。この條文に基いて異常災害の定義をひとつお知らせ願いたい。
  21. 東畑四郎

    東畑政府委員 大分専門的な御質問でありますが、通常標準被害率という一つ概念がございます。通常標準被害率を越えまする分を異常と申します。異常な冷害等が非常に起つた場合には、超異常という言葉があります。標準被害率以上のものを異常被害率と言います。そういう概念であります。標準被害率はどうして算定したかというと、これは各県によつて、あるグループによつて違うわけであります。標準被害率算定方式といいますと、保険数字がたいへんめんどうなことになります。標準被害率何パーセントというものを越した分はこれを異常災害と言う、こういう概念でございます。
  22. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは、一応国の負担すべき保険料、それから特に異常災害に対する国の負担分、これはすべて国からもうすでに支払われているはずであります。そこで連合会の十九億余りのこの赤字は当然連合会負担すべき、と申しますか、国に依存せずに整理すべき金である。先ほどの局長の御答弁によると、この十九億の赤字のできた原因は、過去五年間の災害の率によつてやつたので、つまり時間的にもずれがあるからこれだけの赤字ができたということです。そうすればこの赤字建前とすれば当然保険料率引上げるとかなんとかして、これを整理しなければならぬと思うのでありますが、これを全部国に依存して整理をしてもらいたいというのはどういう事情があるのですか。その点をお尋ねいたします。
  23. 東畑四郎

    東畑政府委員 被害率統計は、実は過去二十年の被害率をもちまして一つ算定をしておるのであります。もちろん今後は、最近の被害が多いものでありますから、最近の年次にウエートをかけるということになると思のであります。一応過去二十年の統計をもつてつておるのであります。終戦後非常に被害がふえまして、われわれがいわゆる標準被害率考えましたものが、いろいろな関係でいつも異常になりまして、ここに連合会赤字が出たのでございます。そこで御質問になりましたように、本来ならばこれは長期均衡建前でやつておりますので、十九億の赤字も、これを長い目で考えました場合は、収支均衡がとれることになるはずであります。もちろん過去の統計一つの手がかりにしまして将来を予想するのでありますから、将来の掛金率というものが合理的であるかどうかといいますと。これは自然事故でありますので、なかなかむずかしいのであります。りくつといたしましては収支が合うはずであります。しかし短期に見ますと、そこに連合会そのもの借金がふえまして重圧になります。それを織り込みまして料率改訂をいたしますと、また農家負担がふえるというような問題等がありまして、この十九億の赤字の問題はどうするかということについては奥村さんのおつしやいましたようなりくつもあります。この赤字を早く消して建て直すという、一つの政策的な見方も立ち得るのではないかと思いまして、そこらがまだ政府といては決定していない点なのであります。
  24. 奧村又十郎

    奧村委員 この農業共済保険赤字はここ二、三年前にたしか一度国の方で埋めたはずだと、私は記憶しておるのであります。それからまたこれだけできた。これまた国にしりぬぐいをしてもらわなければならぬというようなお考えのようであります。それならさらに一歩進めて、この赤字のままで行つてこの農業共済保険が活発に運営できるのか。ただいまの御答弁によると、赤字保険料率と実際の災害とのずれによつて出たのであるから、将来長い目で見てみれば料率引上げによつて埋めることはできる、こういうことなら、今解決せずに赤字赤字のままにしておいて、今後活発にこの農業共済保険が運営して行けるのかどうか。これ以上農林中金が金を貸せるのか、そういう点御答弁を願います。
  25. 東畑四郎

    東畑政府委員 赤字には特別会計赤字連合会赤字があります。特別会計赤字につきまして、農業保険におきましては、異常事故が起りました場合は国が必ず責任を持つ義務があるわけでありますから、事故が起つた場合にはどうしても国が支払う義務があります。従いまして、それにつきましてはたびたび一般会計からの繰入れをお願いしているわけでありますが、われわれといたしましては、たびたびの一般会計からの繰入れということに問題がありますので、料率そのものに、異常、超異常に安全割増しというものをつけまして、平素から安全割増分というものを繰入れまして、一時的な大きな繰入れを、年々の繰入れに直して行つたらどうかという考え方が一つあるわけであります。連合会赤字分につきましては、これは先ほど申し上げましたように国の責任でありませんので、りくつから申しますと一時借入金で行かなければなりません。そこで、こういうものがいつも問題になりましては、現実に金の支払いが遅れるという農家の問題がありますので、そこでやむなくこの矛盾を基金制度で切り開いて行つたらどうかということで、国につきましては二十五億の基金制度が昨年来できました。それは、一時の赤字をこの基金で補填して行き、次の年が異常な年でない場合には利益として出て参りますので返すという、そういう超均衡理論から基金制度が設けられたのであります。そこでこの基金の額をどうするかという問題が今後の問題になつて参りますが、ただいまのところは二十五億の基金を持つております。それと同じような意味におきまして、連合会そのものが一時的な赤字が出る場合の支払い遅延を来さないようにという意味において、連合会にもやはりそういう基金制度を設けた方が、運営がより楽になるのではないかというので、折衝いたしておるのであります。こういう形ができますと、ここで保險制度が、長期均衡と一時の赤字というものが運用上うまくつながるのではないか、こういうふうに考えております。十九億というものは実は過去の赤字でありましてそういう制度がないときの統計被害率から出たもので、連合会責任でありますので、この問題の解決利子補給ということで国家負担しておりますが、元本の根本の問題につきましてどう処理するかということは、政府としてまだきまつていない現状であります。
  26. 奧村又十郎

    奧村委員 この連合会の十九億の赤字保険勘定だけの赤字であつて、そのほかに事務費赤字が相当あるというお話が昨日あつたが、事務費赤字全国連合会総計してまだ幾らあるのかを伺います。
  27. 鵜川益男

    鵜川説明員 事務費関係の分はちよつと今手元に資料がございませんが、こういうように大きな金額ではございません。これは大体が附加金等でまかなつておりますので、ほとんど億というような大きな金額にはなつておりません。
  28. 奧村又十郎

    奧村委員 農業災害保険特別会計の昨年度、今年度予算書を調べてみたのでありますが、この特別会計の財産目録と申しますか、資産、負債、そういう勘定が全然予算書には添付されておらぬのであるが、この農業災害保険の特別会計には、そういう資本金というか財産というか、そういうものはないのか、一年々々で区切つて行くのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  29. 鵜川益男

    鵜川説明員 毎年度ごとに区切つております。勘定といたしましては、特別会計法で詳しく出ておりますから、それによつて経理をいたしております。剰余が出て参りますと、それは積立て等の方法によりまして処理いたしております。それから年度をまたがりましての問題の分につきましては、家畜とか麥のように、三月末で保険の責任は次の年度へ持つて行かえければいかぬ、かようなものにつきましては、その責任分を次年度へ未経過保険料のような形で、繰越して参るというような措置をいたしておりまして、毎年ごとに農業勘定、家畜勘定というように切つております。これは農業共済保険特別会計法、昭和十九年法律第十一号で規定いたしております。それから勘定といたしましては、第二條に再保険金支払基金勘定、これは先ほど局長説明しました二十五億の本年度から出ました分でございます。そのほかには農業勘定、家畜勘定及び業務勘定、業務勘定と申しますのは、保險の仕事をやる上に必要な経費を見ておるのであります。あとは農業家畜という二つの掛金保険料支払いという大きな操作をやる勘定であります。こういうように四つにわけております。
  30. 奧村又十郎

    奧村委員 最後に保險料率についてお伺いいたします。特に水稻の保険料率を最近に政府は変更されるということでありますが、その際においてどういう方針で行かれるのであるか。昨日も同僚小山委員から質疑が出たのでありますが、地域的な考慮はなさらずに、全国一率になさるのであるかどうか。昨日の小山委員の御質疑にあつては、宮崎県のような年々歳々災害の多い地区と比較的少い地区を同じ率で行くのか、こういう質疑であつたが、私はまた別に二毛作の地帶と寒冷單作地帶、これを同じような考え方で行くのか。同じ災害でも、寒冷單作地帶では一回災害が起ればその年はもう取返しがつかぬ。しかし二毛作ならば、たとえば米で災害を受けても、裏作でまた補いがつく。つまりその保険料金を負担する農家負担力においては、寒冷單作地帶と二毛作地帯における負担の能力に相当相違がある。単なる保険の事業であるならばそういうことは考えられぬが、少くとも国家補償の建前であります以上、また相当社会保障的な性質を持つております以上は、農家負担能力に応じた考慮が払われなければならぬ。この点を今回のこの保険料率改訂されるについて御考慮なさるかどうか。また御考慮なさるとすれば、どういうふうに考えておられるか。その点をひとつお伺いいたしておきます。
  31. 東畑四郎

    東畑政府委員 水稻の掛金標準率は五年ごとに更改いたすというわけでございますが、保険制度は水稻と陸稻、麦とやつておるのでありまして、各品種別にきめて行く。来年度はちようど陸稻が五年目に当りますので、掛金料率改訂する時期が参つております。われわれといたしましては、今までの考え方からいつて掛金率そのものについて、そう大きないわゆる政治的考慮は加えない。過去二十年の被害統計で、最近の方にウエートを置きまして、これによつて一つ被害率というものを出す。全国平均で申し上げますと、掛金標準率というものは六・八二〇%、従来は五・〇五八%というように実は考えております。これが要するに全体としての掛金標準率でございまして、この掛金標準率に対しまして、国と農家とがどう負担するかという負担区分の問題は、若干政治的問題になるのでありまして、今のところ稲害率その他が少いのは鳥取県——従来は富山県でありましたのが、今度は鳥取県になりました。鳥取県の例で申しますと、この掛金標準率は非常に小さくなつております。その一番小さい鳥取県の通常共済掛金標準率を、全部の農家に持つていただくという考え方を持つておるのでありまして、そのうちでちよつと技術的になりますが、通常共済掛金標準率に安全割増分というのがあります。従来はこの安全割増分を含めたものを全国農家が持つたのでありますが、来年は通常安全割増分というものをこしらえて、全国最低の掛金標準率を全国農家に持つていただく。それ以上越えました異常分を含めたものを、政府農家が半分ずつ持とう、超異常分は全部政府が持とうという考え方をしております。もちろんこまかく見ますと、異常分にも安全割増分をつけ足しますから、超異常分にも安全割増分というものがございますので、こういうものは国が持つて行くという考え方を持つております。そういたしますと、掛金を出したものが全国のためにプールされるので、被害の非常に少い県等において、掛金が高くて若干の不平があつたという問題等につきましても緩和し得るし、またそれは県内のいろいろな階級区分がありまして、そういうところの考慮をいたしますと、掛金が高くて出せないという、こういう強制加入に対する不平等も、若干緩和し得るのではないかという実は政治的考慮も加えました。今共済掛金標準率算定、その農家負担、こういうものを考えておるのでありますが、まだ最後の決定まではしておらないのでありまして、次の通常国会等で御審議を願いたい、こう実は思つておるのであります。掛金標準率そのものは、あくまで政治的考慮をなくしました純粋な保險数字と申しますか、そういう範囲内で料金率改訂考えてみたい。それの農民対国の負担というものは、諸般の事情等で考えてみたらどうか、こういうことであります。従いまして、単作地帯とその他の地帯とにつきまして、料率そのものについては実は何らの区別をしないで、冷やかな被害統計そのものから割出しているのであります。負担区分等につきまして、被害の少い県と多い県とにつきまして、若干の区別はもちろんつくのでありますが、單作地帶とその他の地帯というような区分は、水稻というものだけを見ておる料金改訂でありますので、実は区別をいたしていないわけであります。
  32. 奧村又十郎

    奧村委員 水稻の料率に対しては、單作地帶と二毛作地帯との区分率はつかぬ、それはわかりましたが、今の御答弁によりますと、災害の多い地方に対しては、やはり農家負担がその災害の多い割合に応じて多くなる、こういうことになろうと思います。つまり鳥取県のような最低の危険率は全国的に農家負担して、災害の多い場合、その越える部分に対しては国と農家が二等分して受ける。そうすると、災害が多ければ、その多い分の半分は国が受けるが、半分は農家が受けるということになる。その点をもう少し考慮ができないか。これは昨日の小山委員質疑にもあつたのですが、その点にはもう少し考慮の余地はないのかどうか。
  33. 東畑四郎

    東畑政府委員 私が先ほど申し上げました六・八二〇というのは全国標準でありまして、各県によつてこれは違うわけであります。災害の非常に多い県でありますと、大体これが超異常という形になるわけであります。超異常分は、被害率というのは全部政府責任となりますので、非常に災害の多い県になりますと、その県の農民は何ら負担しないで、全部政府責任として支払われる。そこで全国平均の負担区分でいいますと、かりに四割五分を国が持つて、五割五分を農家が持つといたしましても、実績におきましては七割対三割というのが結果として出まして、その超過分がいわゆる赤字となりまして、いつも御迷惑をかける次第なのであります。そこで災害の多い県は国庫負担分が多くなり、災害が少い県は国庫負担分が少くて、農家負担が多いのではないかという非難がむしろ出て来るのであります。そこが保険制度そのもの料率改訂なり、負担区分のなかなかむずかしい点になるわけであります。
  34. 深澤義守

    深澤委員 地勢的に非常に災害の多い立場にあるわが国といたしましては、農業に対する災害補償制度というものを完備することが望ましいのでありますが、そこで問題になりますのは、日本の農業が零細経営の上に立ちまして、非常に経済的に薄弱であるというところに、この農業共済保険の運営がはなはだ困難であるということを、われわれは想像するわけであります。昨日からも御議論があつたのでありますが、この農業共済保険というものが、一般保險のごとく被保険者の掛金によつて一切をまかなうことは、はなはだ困難でありまして、従つて国家補償というものが当然増大して行くことも、また必然であろうとわれわれは考えております。そこにおそらくこの農業共済保険の悩みがあると私は思うのです。基礎を農民の掛金に置くのか、それとも国家補償に置くのかという、ここに大きな問題があると思う。現在は両方に置くという形でありますから、その負担区分等の問題について、特に異常災害のあつた場合には国家補償が多くなる。ところが一般の保險論から申しますと、これは農民の掛金負担すべきではないかというところに、議論のわかれ道かあると思うのであります。そこで私は、一体この農業災害補償制度というものは、農民の掛金に依存するという方向へウエートを持つて行くべきなのか。それとも国家補償という方面にウエートを持つて行くべきなのか。この点が一番基本的な問題であると思うのです。これはただちに解決される問題ではないのでありますが、農林当局はどういう方向べ、この農業保険制度を持つて行かれようとする意図をお持ちになつておるのか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
  35. 東畑四郎

    東畑政府委員 われわれといたしましては、やはりこれは共済制度である。従いまして、災害が起つた場合は全部国が負担して、農家負担をかけないというだけであつては、事故防止その他につきましても、なかなかむずかしい問題がありますので、あくまでやはり農民が事故を防止するという一つの自治的な、協同的な精神の上にこの制度を盛り立てて行つた方が、より農民とも結びつきますし、国家全体から見てもいいのじやないかというので、やはり農業共済制度というものは守つて参りたい。ただ非常に災害が起りますと、被害率がずいぶん高くなり、農家負担も増しますので、その負担区分等につきましては、やはり農家全体の所得なり、負担の度合いというものを考えた政治的考慮もいるのじやないかというので、結局両方の制度といいますか、そういう形で伸ばして参りたい。そこでさらにこれをつつ込みますと、農家災害補償というものを、なるたけ完全に近いようにして参りたいという方向を、昨日も申し上げましたように、何らかの形で農家別保險という形に切りかえて行けば、農民の負担もそうふやさず、また国家の財政負担もそうかからないで、しかも農民のある程度の損失のカバーができるのではないかというように実は考えておるのでありますが、これも運用の問題でありますから、よく研究をしまして、どちらかの決定をいたしたいというので、いろいろ案を練つておる次第であります。
  36. 深澤義守

    深澤委員 そこで私がお伺いしたいのは、共済制度の思想というものは、孤立して経済を維持しておる農民の間に徹底することは、非常に困難であると思うわけであります。従つてこの農業共済制度というものがありまして、なるほど町村等の共済組合等は大いにこれを運営しているのでありますが、農民自体が真剣にこれと取組んで、共済制度を維持し発展させようとする努力には非常に欠けていると思う。従つて私は農民の共済保険料掛金というものは、これを集めるのに非常に困難をしているというのが、末端の実態であるのであります。そこで大体政府が現在持つておられる統計から申しまして、農民の掛金がどの程度毎年々々かけられて行つているのか。あるいはかけられていない部分が相当多くあるのではないかというぐあいに、われわれは思うのでありますが、その点はどういうぐあいになつておりますか、お伺いしたいと思います。
  37. 東畑四郎

    東畑政府委員 現在の制度へ水稲で申し上げますと、農家負担が大体三十九億七千万円、約四十億弱が水稻の農家負担でございます。このほか麦その他ございますが、統計を持つておりませんけれども、これはそう大きな負担になつておりません。
  38. 深澤義守

    深澤委員 その四十億の掛金が百パーセントかけられているかどうかということです。
  39. 鵜川益男

    鵜川説明員 ことしの水稻、これは植付が終りましてから引受けておるわけでございまして、一筆ごとに引受けて参りますので、耕地の細目書というものをつくり、はつきりいたしまして、掛金の徴収にかかるわけでございます。ここのところ米価にスライドいたしまして、パリテイーの上昇に伴いまして共済金額も上る、従いまして掛金も上つて参るということで、ことしの水稻の掛金徴収につきましては、実は融資の関連もございまして、非常に努力させたわけでございますが、まだ全部終つていない県も相当数に上つておるような現状でございます。大体めんどうな県を除きまして、もう災害の出て参つておる県もあるような次第でありまして、収穫も終りまぎわでございますので、おそくとも十一月には大体完納の域に大部分の県が達する、かようなことで、償還状況の関係もありますので、督促いたしております。例年特に末端のものが吸い上つて参ります関係もありますが、おそくも十月末、十一月ごろには完納をずつと見て来ておるような次第でございます。
  40. 深澤義守

    深澤委員 統計的に見まして、毎年毎年あらかじめ予定されたものは完納されて来ているのですか。それとも幾分は掛金がかけられないという面が、出ているのではなかというように考えるのですが、全部完納しているわけですか。
  41. 鵜川益男

    鵜川説明員 納まつていないようなごく異常な例も聞いておりますが、大体趣旨の徹底に努めて、完納に行つておるように聞いております。こく例外は村の中の事情等もありまして、代表者の方が納めておられるとか、農協の方で何とか融通してやつておられるというような具体的例も聞いておりますが、組合としては徴収を終つておるような報告を受けております。
  42. 深澤義守

    深澤委員 その数字が完納されているということで、この制度がずつと農民に徹底されているというぐあいにお考えなつたら、これは大間違いでありまして、実情は農民がかけていないという町村が非常にたくさんあるから、災害があつた場合に上から下つて来る災害補償金と掛金と相殺して、その差額を町村の各共済組合が持つて帰るというのが非常に多いのであります。従つて町村の共済組合では、この問題を一つの仕事としてやつております。農民自体の中に共済制度として入つていないというところに問題がある。これが全国の各町村べ参りましても非常に多いわけです。それが善意に行われておるのでありますならば、非常にけつこうでありますが、それが悪意に行われておる場合におきましては、共済組合というものは、農民の怨嗟の的になり、幾多の不正事件が起つて来るという可能性があるのであります。そういう点について農林当局はどういうふうにお考えになりますか。
  43. 東畑四郎

    東畑政府委員 掛金徴収が遅れたために、ある災害が起つた場合に、災害に支払うべき共済金を、掛金から徴収してしまうという例が全部じやないかというお話でありますが、そういう例が一部あることは私どもも聞いております。これ自身は決して農民のためにならないのでありまして、もとはやはり農民が災害の起る事前に、やはり保険共済制度をよく理解して掛金を払つて災害が起つた場合に完全にこれを填補するというのが建前であります。金の支払いが遅れますと、やむなく支払うべき共済金を差引いて渡す、こういう事例があることははなはだ遺憾であります。こういうものにつきましては各県等をよく督励いたしまして、またわれわれも人を派遣しまして、末端のそういう事例等につきましても、絶えず実は注意を喚起しておるような次第であります。根本はこの制度がやはり農民のものになつて、農民自身によく理解していただくということが根本でございます。災害補償法ができましてまだ五年でございまして、従つてこの点の普及徹底がまだ欠けている点がありますが、この点は十分われわれも今後大いに普及をいたしたいというつもりであります。
  44. 深澤義守

    深澤委員 それで政府負担分に対する国庫基金というものは、大体二十五億というものが準備されておるのでありますが、この連合会収支を調整するためのプール基金というものですか、これはあらかじめ政府は案を考えられておるようでありますが、これはいつ具体化するのか、あるいはどこからこの基金を持つて来てこの制度を確立するのか、そういう点についての御方針が御決定でありましたならば、ひとつお聞きしたいのであります。
  45. 東畑四郎

    東畑政府委員 連合会基金制度につきましては、十九億二千万円の赤字解決する問題がありましたときに、閣議といたしまして何かここに連合会基金制度を設けたいという閣議決定を、実はいたしておるのであります。その線に沿いまして、農林省といたしましては一応の案をもつて、大蔵当局と折衝いたしておりますけれども、政府としてこれをまだお話申し上げる段階に至つていない次第であります。
  46. 深澤義守

    深澤委員 もう一点、非常にこまかい問題でありますが、被害の標準を決定する場合におけるやり方ですが、この被害の問題は、これは供出問題等にからみまして幾多議論のあるところであります。そこで現在政府被害の標準として供出の場合に一番採用するのは、作報の被害調査が基本になつているようであります。ところがこの作報の被害調査というものが、やはり農民が納得できない被害調査査が行われていることは、これはもう過去の供出関係に携わつた者は、すべて承知しているわけであります。従つて県の被害調査と、作報の被害調査と、食糧事務所の被害調査というものは、いつも食い違うということがある。ところがこの農業共済保険の方の災害は、どこに基準を置いて被害というものを算定せられるのかということが、問題になつて来ると思う。そこで従来一体どこに基準を置いて、この災害の実情をつかんで来られたか。今後は一体どの機関が調査したものを、被害の実態として保險の対象として行くのか、そういう点についてのお考えをお聞きしたい。
  47. 鵜川益男

    鵜川説明員 損害の評価につきましては、損害評価委員というものを、組合の段階、連合会の段階に置いております。これは組合といたしまして、大体村におきましては二十人から二十五、六人という方々でございまして、いわゆる部落代表的な方々と、経験者と申しまするか、村で目ききの確かな人、技術的な作報の報告員、あるいは食糧事務所の検査員、かような方々と組合のその方の技術員、かようなものでもつて構成いたしております。これに損害評価要綱というものを国から示しておりまして、これによりまして、もとになりまする何石という基準収量の立て方をきめております。それに対しまして何石というとれ高の収穫直前の、刈取り前の検見を中心といたしまして、評価委員が大体少くとも三人ないし数人が一班を組織しまして、あらかじめ検見案を統一いたしまして、収穫直前の何石取りということをいたします。これが末端では三割からの被害を各筆ごとに見て参る規則になつておりますので、何割評価というものを避けさせるように指導いたしております。一筆ごとの野帳によりまして、これを集計いたまして、これを全部組合でまとめ、連合会でまとめて、われわれ最終の数字を受けております。これが正しく出て参るように講習会もいたし、また訓練もいたしておる実況でございまして、これが正しいものでありますれば、場合によりますれば本省まで野帳を送らせまして、そうしてその指導通りやつておるかということを見まして、その通り受取れれば、われわれはその通りお払いするという方針によりまして、正しい評価が自主的に出て参るということを奨励し、現にそうやつておるところについては、これは政府責任分というような関係からいたしまして、自主的な評価を尊重するということにいたしております。ただ参考資料といたしましては、時期が遅れて参りますので、作報の資料もございますし、食糧事務所、県庁、こういつたものも不審の場合は参考に照合いたします。また気象台の風の流れとか、あるいは雨量とか品種に対するいろいろの時期の問題、かような点を実は責任をはつきりさせるために、資料としてはとることがございますが、あくまでも民主的な評価を尊重して、しかもこれが正しく行われるように指導して参りたい、かように考えております。
  48. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は農業共済保険につきまして、最初に農政局長、次に畜産局長に伺いたいと思います。  第一に申し上げたいことは、農業共済保険金が従来早く支払われない。たとえば十箇月ぐらい過ぎないと払われない、こういうことを聞いておるのでありまして、災害が確定したならば、三箇月ぐらいのうちに払うように、当局が努力したらよろしいと思うのでありまするが、その点については、どういうような形式で長く時間がかかるのかということを聞きたいのが第一点。  また私は愛知県の選出でありまするが、愛知県におきましては、海岸には近年まれなる高潮、また稻熱病というようなことで大凶作になつております。今までは災害が少かつたのでありまするが、こういうように災害が起つたときには、保険金支払いの方も割に増してもらいたい、こういうような陳情もありまするが、こういう点はどう考えておりますかということが第二点。  第三点は、あまり災害がなかつたときには、その災害のなかつた地方に多少歩をもとしてやる、こういう制度考えたならばどうかと思うのですが、農政局長はどういうようにお考えになつておりますか。この三点について第一に質問いたします。
  49. 東畑四郎

    東畑政府委員 災害の起りました場合に、保険金支払いが非常に遅れるという非難はたびたび承つておりまして、私自身も非常に苦慮いたしておるのであります。その原因等は、結局異常事故が起きますと、国の保險責任に一部参るわけでありますが、その県全体の集計といいますか、ある郡が非常に被害が起り、ある郡が被害かないという場合に、全体として県で異常であるかどうかということをここで見きわめるわけであります。そうしまして異常が起りました場合は中央に行くし、異常事故でない場合は、その連合会の段階で保険金を支払うということになつておりますので、ある村が異常事故が起りましても、県自体として異常でない場合におきましては連合会でプールしていただく。その集計等が損害評価その他技術的な問題がありますために事務能力が欠ける。従つてなかなか全体としてまとまりが遅い。保険でございますので収穫を見てやる。収穫を見て非常に被害が起きた、支払うときはこれを集計して中央に行くものは中央に、県段階でやるものは県段階にというように、一つのまとめの事務がなかなか思うように参らないために、支払いが遅れるということでございます。そこでやはり事務能力はもう少し上げて行くということ以外に、なかなか解決のむずかしい問題じやないかと思いますので、督促等を考えておる次第であります。もちろん非常な異常事故が起りまして、九割以上の収穫皆無地につきましては、概算払いという制度がございまして、これは即刻政府被害でありますとか冷害とか、そういうものにつきましては非常に収穫か減りまして、われわれとしましても、それがはたして異常なるかどうかということについて、いろいろ今研究をいたしておりまして、今後の集計によりまして、もし異常であります場合におきましては、収穫皆無地等におきましては概算払いができますし、概算払いができない場合におきましても、支払い等につきましては適正な方法で参りたい。ただ病害虫等の駆除につきましては、別途これは農薬その他に対する補助金等を交付いたしたいというので、大蔵当局と予算折衝中でございます。
  50. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それは今の御説明によりまして大体了承いたしましたが、災害の少かつた年、たとえていうと愛知県のごときは、今までは災害が少かつたわけでありますから、そういうときは保険金の一部分を返してやる、こういう制度を設けたらどうかと思いますが、農政局長はどういうふうに考えておりますか、承りたいと思います。
  51. 東畑四郎

    東畑政府委員 現在実は市町村共済組合の段階におきましては、無事もどし制度という制度がございまして、積立金というものをつくりまして、無事もどしということはできるのでございますけれども、何分にも災害が多うございまして、制度として無事もどし制度を置くといたしましても、現実に無事もどしができないというのが実情でございます。将来の農家保険制度等に切りかえました場合におきまして、何らかの形でそういう制度ができればいいというふうに考えておりますが、全体として赤字が多うございますので、制度はありましても、なかなか運用できないというような欠陥になつておる次第でございます。
  52. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 畜産局長にお伺いいたします。昨日課長にお伺いしたわけですが、牛、馬あるいは乳牛等はもちろん保険の対象になるわけでございまするが、次に豚とかやぎとかあるいは鶏とか、そういうような家畜についても、全般的に保険制度を設けた方がよろしかろう、かように私どもは思つておるわけですが、そういう点について畜産局長は構想を持つでおられるかおられないか。将来の農業立国といたしまして米麦は基本でありまするが、畜産というものはそれに次ぎまして重要食糧一つであると考えております。そういうものに対しましてはやはり米麦同様に、災害のあつた場合におきましてはこれを免除してやるとか、あるいは救済してやるという制度を設けてこそ、初めて発展すると考えておりまするが、畜産局長は今どういうように構想を持つておられますか、この際承りたいと思います。
  53. 長谷川清

    ○長谷川説明員 家畜共済の対象といたしましては、單に牛馬だけでなしに現在でもやぎ、めん羊、豚等主要家畜につきましてもその対象にいたしております。
  54. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それではそういうことにいたしまして私はちよつと失礼な話でありますが、鶏は愛知県のごときは非常にたくさんとれるのでありまして、こういうものにもやはり病気があるのでございますが、そういうような簡單な家畜と申しますか、そういうものも含まれておりましようかどうでしようか。この際承りたいと存じます。
  55. 長谷川清

    ○長谷川説明員 鶏につきましては御承知のように飼養形態が非常にまちまちでございまして、その頭数等も非常に多うございますので、これを技術的にとりまとめまして保険対象にいたしますことは、非常に困難な事情にありますので、現在のところ対象になつておらないのでございますが、将来はひとつ研究してみたいと考えます。
  56. 清水逸平

    ○清水委員 昨日私が質問いたしましたが、係が違うせいか十分な御答弁を得られなかつたのであります。この牛馬の病災について異常の災害であつたという申出でありますが、これについて防疫上どういう処置を講じられたか。また今後どういう御方針で防疫に当られるか。これを承りたいと思うのであります。私どもはこうした災害による二億何千万円の補償をするよりも、これが出ないことが一番国家として望むことであり、また農民がこの金をもらうよりも、この病気にかからない方が一番効果があるのでございますから、この防疫対策こそ一番重要なる問題であろうと存ずるのであります。これに対する防疫対策並びに今後の防疫上の御方針について、お伺いいたしたいと思います。
  57. 長谷川清

    ○長谷川説明員 まことにごもつともな御意見でございます。実は御承知のように終戰直後の経済界あるいは社会事情の混乱等のために、終戰直後相当の家畜の疾病を生じましたことはまことに遺憾と考えておる次第であります。つきましては、実は今春の通常国会におきまして、家畜伝染病予防法を改正いたしまして、御承知のように法定伝染病の範囲を拡充いたしまするほかに、特に早期診療あるいは証明書等の発行等によりまして、なるべく疾病の出ないように、あらかじめ予防的な措置を講ずると同時に、また一度疫病が発生いたしましたならば、これをできるだけ小範囲に防止する。さらにまた病気にかかりました家畜は、これを早く淘汰いたしまして、これが蔓延を防止するというような各般の点にわたりまして、家畜防疫の態勢を強化いたしたのであります。今度の追加予算にも、これに伴いますところの予算といたしまして、一億数千万円の予防費を計上いたしておるような次第であります。今後はできるだけの努力をいたしまして、防疫の万全を期したいというふうに考えておる次第であります。
  58. 清水逸平

    ○清水委員 その後におけるこういう病災の発生状態について、十分なる御資料がないでしようけれども、その状況をお伺いしたいと思います。
  59. 長谷川清

    ○長谷川説明員 ただいま問題になつております繰入れの、一つの大きな原因でありました牛の流行性感冒の例について申し上げますると、病気は一昨年から急に増加いたしまして、昨年のごときは病気にかかりました牛の頭数が、約五十万頭近くあるというような状況であつたのでありまするが、本年度は幸いにこれに対しまする予防注射液が発見いたされましたので、これを全国に実施することによりまして、相当防遏の効果を上げたと考えるのであります。現在まで私のところに入つております数字によりますと、本年度はわずかに四万数千頭というような頭数でありました。これにつきましては相当の成果を攻めたものと考えておるのであります。  なお馬の流行性感冒などにつきましても、試験研究機関を督励いたしまして、この予防対策をさらに研究いたしてもらいますと同時に、先ほど申し上げました家畜伝染病予防法の改正に伴いまして、殺手当の金額が相当増加せられましたので、病気にかかりました馬はできるだけ早くこれを処分することによりまして、その蔓延を防止しようということをやつておるのでありまして、これも具体的の数字は今持ち合しておりませんけれども、かなりの成績を上げておると信じておるのであります。
  60. 清水逸平

    ○清水委員 この家畜方面についてはいろいろの障害もあるが、私が一番憂えているところは、家畜、牧畜に対する金融方面が非常に困難いたしておりはしないか。その関係上施設等においては不備な点があつて、病気が多くなりはしないかということも憂えておるのでございますけれども、農政局長は特にこの牧畜方面の金融についてお骨折り願う御意思があるか。普通の金融機関をもつてすれば、なかなかこういう事業に対して金を貸すものがありません。これは特別に政府資金をもつてこういうものの金融をはかり、育成をして行くのがよろしいのじやないかと思つておりますが、これに対する農政局長の御意見を伺いたい。
  61. 東畑四郎

    東畑政府委員 家畜共済制度そのものが、家畜事故が起りました場合にそれを保険するという制度でありまして、それだけ家畜の担保力がつくのでありまして、この制度自身が、また家畜の金融がつく一つの裏打ちになる制度であると私は考えております。一般の家畜の金融等につきましては、実はこれは官房長の所管でありまして、私の所管でありませんが、家畜導入その他につきましては、農林省としても真剣に考慮をいたしておる模様であります。
  62. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 両局長どちらでもけつこうでありますが、一応お伺いしたいことがありましてお待ちしておつたわけであります。  実は東北の単作地帯は一年一毛作で、所得の関係が少いために非常に苦しい生活をしているのです。われわれも県と協力いたしまして、多角的農業経営をやらせようということで、家畜の奨励や養蚕の仕事をやらすべく努力して参りました。私は秋田県の山本郡の粕毛村、それから藤琴村あたりは一生懸命努力しまして、めん羊を七百頭ばかりやらせたのであります。ところがいよいよ毛を刈りまして貯え、これを売却しようとすると、これに対する対策が一つもできていません。そこでわれわれは農民にうそをついた、こういうことで、農民から恨みを買うような事態が生じています。刈つた毛を鐘紡なりああいう大きいところへ持つて行つても対象にしてくれません。なぜかというと外国の方が安くて日本の毛の方が高いのです。そういう関係で会社も積極的でない。そこでわれわれは鐘紡やそういうような大会社へ行つて、国策的な見地から、高くてもぜひ買つてほしいのだということを申し入れますと、実はそういう考えもないではない。ところがこれは買付会社がありまして、買付会社へ行つてくれと言う。買付会社へ行つてみると、一年に一ぺんか二へんくらい参りまして、相当たまつて金に困つたところを、非常に安く買いたたいて帰つて行きす。そこで農民は、われわれが東北の寒冷地帯に対して、多角農業経営をやれと言つても、どうも政治家はうそばかり言つておる。あれだけ宣伝したのにわれわれはこんなに苦しい生活をしているのだということで、非常に恨みを買つている次第であります。こういう意味で、各府県單位にこの毛の買入れ協同組合をつくりまして、一気にまとめて大会社に供給するような積極的な対策を持つていただかなければ、農村の多角農業経営というものは無意味になつて参りますので、この点について政府は何らかお考えがあるだろうと思います。われわれは地方に行つて、どうも政府の政策に積極性がなさ過ぎる、こういうことで恨みを買つている次第でありますが、こういう問題について政府のお考えを伺つておきたいと思います。
  63. 長谷川清

    ○長谷川説明員 まことにごもつともな御質問でありまして、私たちといたしましても、せつかく増殖せられましためん羊の毛が有利に販売せられることが、結局畜産の振興の基本である。従つてそれらのことにつきましても、  いろいろ施策をやつておるのでありますが、実は羊毛の値段は主として濠州等の価格に影響せられることが非常に大きく、先ほど来お話になりましたようなことがときに起ることを、非常に遺憾としておるのでありまして、できれば各府県単位に、農民の共同組織によつて毛の集荷組織をつくり上げ、それに集まりました毛を全国的な、大規模な生産工場によつて処理するというような施策をとりたいと考えまして、目下関係の方面といろいろ折衝しておるような状況でございます。私どもといたしましては、できるだけすみやかにそういう組織をつくりたいと考えておる次第であります。
  64. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ところが濠州から入つて来る羊毛と日本産の羊毛との開きが、一貫について五百円なり千円近くの相違をするときもあるがために、営利会社としてはとうてい買うことができない。なるべくならばそういうものを買わないで、輸入した方が得だ、こういうことを言つておられる会社が大部分です。私も農村に非常にやれやれといつてやらした結果、そういうことが発生した関係上、政治家というものは非常にうそをつくものだ。これだけわれわれが寝食を忘れて七百頭も飼つてやつたところが、かえつて赤字になつてしまつた。そういうわれわれが鐘紡でもどこでもたずねて参りますと、私のところは買付会社から買うから買付会社へ行つてくれ、しかし私のところは外国の輸入の羊毛を買うより安く買うならいいけれども、高くは買えないということであります。しかし現在の紡績会社あたりは、今年度はとんとんぐらいでしようが、昨年度は一社について五億なり六億なりの黒字を出しております。従つて国策上、犠牲を払つてでもいいから、これは買つてくれなければ、浮来あなた方のためによくない。もしも国際的な事変が起きて、そういうものが輸入できないということになれば、これは自給自足から考えても大きな問題だから、ぜひ多少の犠牲を払つてでも協力してほしいと言いますと、これは農林省の畜産局なり農政局あたりがやることであつて、農政局あたりに協力してもらわなければとうていできない、こういうように責任を転嫁しているのは、営業上の立場からこれは当然だと思うのです。これは全国的な問題で、早急に片づけなければ、農民はめん羊を飼うようなことはやらなくなつて来るのではないか。その点を特に御注意いただきまして、積極的な対策を講ずるとか、あるいはまた府県に対し、いろいろ積極的な指導を與えてもらわなければ、私は多角的農業経営をやらなければならないこの東北の零細な農民は、破産状態になるのではないかと思う。われわれもそういう点で、いなかに帰るたびに、政治家というものは、うそばかりついているということをたびたび言われるもので、立場上困つて、私は全国的にそういう会社に体当りしておるのです。ところが輸入価格の方が安いものですから、それを買う。現在に至つても、倉庫に一ぱい積んで、いつその金が入るか悩んでいる状態です。この点をもう少し積極的にやらなければ、私は畜産関係というものはゼロになつて行くのではないかと思う。どうぞその点十分御研究の上御指導願いたい。
  65. 川野芳滿

    ○川野委員 私の質問はすでに同僚委員から質問があつたかとも考えるのでありますが、農民にとりまして重要な問題でございますので、もし質問があつた問題でございましても、重ねて御答弁を願いたいと思います。  来年は共済保険の料率の改正がある、こういうことでいろいろ御検討に相なつておるということを承るわけでありますが、連合会側は政府負担を七割にしてもらいたい、こういうような強い要望をいたしておるのでございますが、この保険料率の改正問題について、政府はどういうふうにお考えになつておりますか、御答弁願いたいと存じます。
  66. 東畑四郎

    東畑政府委員 共済組合連合会長の案というものが、ただいまおつしやいましたように七割一分国庫負担、要するに料率そのものは六・八二〇%ということになつておりますが、その七割一分、四・八三一%を国庫負担すべきではないかという連合会長の案というものを、われわれは了承いたしております。私どもが事務的にいろいろ考えました点は、先ほど申し上げましたように六割二分程度を国庫負担する、三割八分程度を農民に負担していただくという案で、今事務的な折衝をいたしておりますが、最後の結論まで達しません。その根拠はどこに相違がありますかと申し上げますと、先ほど申し上げたと思うのでありますが、全国通常一番掛金の低い県、今回の料率改正では鳥取県でございますが、その安全割増しを除きました分だけは、これを全国農家に全部負担していただくという点であります。連合会長の案で行きますと、それをやはり国が半分持つてくれということであります。われわれといたしましては、全国の最低共済掛金率だけは、ひとつ全国の農民に負担していただきたい。それをはみ出した分は、農民が半分、国が半分にする。もちろんこまかく申しますと安全割増しという分がありますが、安全割増分というものは全部国で負担するということによつて、七割一分の案が六割二分という国庫負担の割合になつております。今一応それで参りますと、大体におきまして今の農家負担絶対額と、料率改訂後の農家負担絶対額とはそう変化しない。先ほど申し上げた約四十億程度にかわりがない。もちろん米価等がパリティーで上りますので、今五千三百円ということになつておりますが、今回の料率改訂では五千七百円程度の平均の担当の掛金、共済金を考えております。それにもかかわらず絶対の負担額が上らないということが、事務当局としての一番いい一つの案ではないかというので、いろいろ折衝いたしておるのでありますが、これは事国家財政と関係がありますので、最後の決定に至らない次第であります。
  67. 川野芳滿

    ○川野委員 実は農民がつくります米等におきましては、御承知のように非常に低物価政策のために押えられておるような現状でございますので、どうかひとつ農民の要望いたしまする国費負担七割、こういうことにさらに御努力願いたいと思います。  次に先ほど三宅代議士から御質問がございました共済金の早期支払いの問題でありますが、この問題につきましては、局長におかされては、実は各県の調査がひまどるために支払いが遅れておる、こういう御答弁であつたかのように承つております。私が調査いたすところによりますと、大体水稻等におきましては、各県におきましては、十一月末には大体数字が出ておるようであります。十一月末日数字が出ているにかかわりませず、保険金支払いは五月ないし六月になつている。これはどういうわけかとだんだん調べてみますと、結局政府支払いが遅れる、こういうことに因があるようでございます。さきの答弁は、各県の連合体の調査が遅れるために支払いが遅れる、こういうような御答弁でございますが、私の調査によりますと、そうではなくて、政府の送金が遅れるから遅れる、こういうふうに相なつていると存ずるのでございますが、この点についてさらに御答弁を願いたいと思います。
  68. 東畑四郎

    東畑政府委員 各県の調査で損害が決定いたしました場合におきましては、基金等がございますので、なるたけすみやかに支払われるようにやりたいと思います。具体的な事務は私はこまかくは存じておりませんので、今後もし国の支払いが遅れることが、保険金支払いが遅れる原因でありますれば、特別会計の事務当局を督励いたしまして、そういうことがないように努めたいと思います。
  69. 川野芳滿

    ○川野委員 共済保險金をもらいます県というものは、大体毎年きまつているようであります。災害県というものはほとんど毎年きまつております。従つて災害県の農民というものは、非常に貧乏農家ということに相なつておりますので、どうかひとつ早目に保険金支払いをいただくように、御努力を願いたいと思います。  さらに今年の災害にはいろいろ原因もございまするが、病虫害に対する薬品がなかつた、こういうことが一つの大きな原因に相なつているようでございます。そこで私はどうして薬品が今年は少なかつたかということをだんだん調査しますと、割合に昨年は病虫害がなかつた。従つて昨年の薬品というものは全然余つている。そこで今年は薬品の製造を手控えた。そのために本年の災害に際しまして薬品が少なかつた、こういうことに因があるように、私の調査ではなつたわけであります。そこでどうしてもこれは一年分くらいは政府災害に対する薬品、病虫害に対する薬品の確保を願わなければ、今後また薬品不足のために非常に病虫害などの被害を受ける、こういう結果を来すと私は考えますが、この点についで、ひとつ御構想を承つてみたいと思います。
  70. 東畑四郎

    東畑政府委員 農薬のうちの一番需要の多いものはBHCと硫酸銅だと考えます。この二つの品目のうち硫酸銅等は若干確保がむずかしかつたと思います。BHCにつきましては、本年はうんかが激甚をきわめまして、従来の需要以上に急激な需要が起つたために、若干入手が困難であつたかと考えます。先ほどの御質問にありましたように、ある程度の備蓄的なものを持つてはどうかというお話でございました。われわれといたしましても、今日植物防疫法というものが通過いたしましたので、植物防疫法に基きまして、うんか、いもち等につきまして約五万町歩分ずつの農薬等につきまして、備蓄をいたすという制度を実は確立いたしたわけであります。今回の補正予算でそれに関します利子、保管料、欠損、事務取扱費等の予算の請求をいたしておるのであります。これは来年度災害を見込みまして、一応五万町歩相当分の硫酸銅、BHC等の備蓄をいたすという考えでおるのであります。政府が備蓄するんじやございませんので、民間にやらせまして、それの利子なり損粍に対して国が補填をするという考え方をもちまして、現在来ておるような次第であります。来年度等からは、本年度のように災害が起りましても、もつと急速に農薬の入手が農民にできるんじやないかという考え方で、立案をいたしておる次第であります。
  71. 川野芳滿

    ○川野委員 最後に共済団体の事務費の問題をお尋ねしておきたいと存ずるわけであります。  これは大体輪郭はこういうことに相なつておりまするが、実際問題としては三分の一程度を持つていただいておる、こういう現状のようであります。そこで実は災害保険をもらう県が、先ほども申しましたようにほとんど毎年同一県であるかと存じます。これは災害のためにもらう県が多いのでございまするが、災害県というのは毎年々々繰返しておる、こういうことで、私の選挙区でございまする宮崎県のごときは、もう御承知のように五、六回台風がございました。従つてその調査等におきましては、相当人手もいるというようなことで、非常に事務の煩雑、さらに経費がいりまして赤字に悩んでおる、こういう実情でございまするが、こういう特別県に対しましては、さらに特別の事務の負担を願うのが至当じやないかと私は考えるのでございまするが、これに対してひとつ御当局の考えを伺つておきたいと思います。
  72. 東畑四郎

    東畑政府委員 保険につきましては、事務費はその一部なり、人件費等につきましても国庫負担をいたしております。昨年末端等につきまして所期の通り増加をいたしました。われわれとしましては連合会、市町村等を通じまして、損害評価は相当事務費がかさみますので、これの国庫負担の増額等について実は検討中でございますが、各県等の実情等に則しまして、現在の既定予算のわく内においても、合理的に運用するかどうかという問題等につきましては、御質問の趣旨等をしんしやくして検討してみたいと考えます。
  73. 川野芳滿

    ○川野委員 物価の値上り、さらに給與ベースの引上げ、こういう点もございますので、ぜひひとつ地方団体の事務費の増額という点につきましては、さらに一段の御努力を御希望申し上げる次第でございます。
  74. 小山長規

    ○小山委員 農業共済保険特別会計における家畜保険金支払財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、これにつきましては質疑も終つたようでございますから、この際質疑を打切り、討論は午後まわされんことを要望いたします。
  75. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 小山君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  休憩いたします。午後は一時半から会議を開きます。     午後零時三十四分休憩      —————・—————     午後四時十三分開議
  77. 西村直己

    西村(直)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  まず外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑の通告がありますからこれを許します。小山長規君。
  78. 小山長規

    ○小山委員 この提案理由が非常に読みにくかつたので、なかなか理解しにくかつたのでありますが、だんだん読んで行くうちにわかつて来たので、疑同の点はあまりないのでありますが、ただ一点だけ伺つておきたいのは、提案理由の後半の方に、「外国資金の管理権が日本政府に委譲されてからは、実際の取扱いにおきましては、日本銀行から外国為替銀行に再委任しているのでありますが」、こう書いてありまして、現在日本銀行から外国為替銀行に再委任をいたしているというのであります。しかるに今度の提案理由によりまして、現行の外国為替資金特別会計法におきましては、外国為替管理委員会の業務の委任は、日本銀行に対してなし得る規定があるにとどまりますので、この際日本銀行が、その委任された事務の一部を外国為替銀行に再委任し得る旨を規定いたしたい、こういうのであります。しからば、現在やつておるのはどういう根拠でこれをやつておられるのか。そして現在それが合法的に行われておるならば、なぜこの法律改正の必要があるのか。その一点だけ聞いておけばよろしいのであります。
  79. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 お答え申し上げます。御指摘の点はまことにごもつともな点でございまして、現在もうすでに外貨資金の移管を受けまして、委員会資金の運営の事務を日本銀行に一任し、日本銀行は委員会の指示に基きまして、外国為替銀行にその委任された事務の一部だけを、再委任いたしておるわけでございます。この点につきましては、外国為替資金特別会計法に、單に日本銀行に対して事務の一部を取扱わせることができると規定があるにかかわらず、為替銀行に対して再委任の規定がございませんので、はたして再委任ができるのかどうかという疑問は、私どもといたしましても当初から持つたわけでございます。ところで、私自身法律にあまり得意ではございませんので、この点につきまして法律の専門家の意見等をとりまして、その解釈に従つたわけでございますが、その解釈と申しますのは、委員会が会計法第六條の規定に基きまして、日本銀行に取引上の行為を委任する。ところでその取引上の行為というものは、つまり為替銀行の買いとつた外貨手形を委員会勘定に預け入れる、あるいはこちらで日本向けの輸出ビルが振り出されまして、外国の銀行で払われます際に、委員会勘定から支払うという取引上の行為でございますが、これは一般の商行為上の取引と全然性質が違わないわけで、私法上の行為であるから、委員会と日本銀行との関係は民法上の代理の関係であり、民法の規定に従つて規制さるべきものである。民法の規定によりますと、日本銀行は復代理人を選任することができますし、その復代理人の選任、あるいは監督の責めに任ずるわけでございますが、こういうふうに、日本銀行に対する委任行為自体は、すべて民法の規定の適用があると解されるので、民法百五條の規定を適用さるべきものだというふうに考えられておるわけでございます。それで委員会が復代理人の選任につきまして日本銀行に指示をし、あるいは日本銀行が選任いたします場合に許諾を與える。その復代理人の選任に対して許諾するとか、あるいは指示するということについてはたして妥当であるかという点について、委員会としてはあるいは行政上の責任があるかもしれない。しかしながら復代理人の選任という事柄自体は民法上有効でありまして、その効力には何ら影響がないのだ、そういうふうな法律家の意見であつたのであります。一、二そういう意見を確かめまして、つまりこういう取引上の行為というものは私法上の行為であるから、民法の規定に従つてできるのである、合法的にできるという意見も確かめました。なおかつ総司令部から外貨の移管を受けましたのは、ドルの資金につきましては八月の十六日、ポンドの資金につきましては十月の二日からでございますが、従来は為替銀行を総司令部の復代理人といたしまして、円滑に為替取引を行わせておつたわけであります。そういう点から見まして、円滑にこれを行うためには、どうしてもそういう法律関係をつくつておきませんと困りますので、実行いたしたわけであります。ところで特別会計法との関連におきまして、それをやはり再委任ができるということを、明示しておくことが必要であるという意向をもちまして、為替銀行の委員会に対する地位を明確にする。そういうことがどうしても資金の円滑な運用をはかるのに必要である、そういうふうに考えましたので、今回の法案提出いたしまして国会の御承認を仰ぎたい、そう考えた次第であります。
  80. 小山長規

    ○小山委員 ただいまの説明でわかりましたが、そういたしますと、日本銀行に再委任ができるという法律ができますと、日本銀行は日本銀行の考えで外国為替銀行を選定できる、こういうふうになるのでありますか。それともやはり委任者でありますところの外国為替管理委員会の意を受けなければ、再委任はできないのでありますか。そこのところをひとつ……。
  81. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 これは再委任を日本銀行がいたしますのに、日本銀行限りではできないのでございまして、ある為替銀行に再委任しようと思えば、それは委員会の指示によつて再委任する。あるいは日銀がこれこれの銀行に事務の一部を委任したいが承認してくれということで、委員会が許諾を與えるということが必要だと考えておる次第でございます。
  82. 小山長規

    ○小山委員 お考えを伺いましたが、法律上はどうなつておりますか。
  83. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 法律上は委員会のたしか「指示するところに従い、」というようになつておりますが、これは委員会が指示する場合、あるいは日銀から再委任について委員会の許諾を求めるという場合、両方含めて規定したつもりであります。
  84. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま質疑中の外国為替資金特別会計法の問題でありますが、これは大体質疑が終えておることだろうと思う。私は他の委員会との関連で、一応お尋ねをする機会がなかつたのでありますが、最後に総括的な意味で、あるいは今までの質疑の中で出なかつたのではなかろうかと思われることを、お尋ねいたしたいのであります。それに先だつてたしか有田委員だと思いましたが、外為の機構改革の問題について、関係当局間の意見の相違の問題について何か尋ねておられたようでありました。私もそのとき聞いておりまして、途中退席したわけでありますが、そのとき伺いましたところでは無事に済んだというお話を聞いたわけで、また予算委員会において大蔵大臣との質疑の間におきましても、その点ははつきりいたしまして、外為の機構は存続する。しかしながらどこか機構の改革をしなければならないような場合は、これと同様の機関はどこかに残すつもりであるということを、大蔵大臣も言われておるわけであります。ただいま渡英中の木内委員長と当時の大蔵省舟山事務次官との間の話題が流れたことから、いろいろな誤解がまだ残つておるのであります。そこでなるべくむだでない部分だけを一、二伺つてみたいのでありますが、木内委員長のお説によりますと、為替管理と貿易管理が大蔵省と通産省に分離されるような事態になりますと、これは立体的な運用ができない。やはりまん中の中間的なボードがあつてこそ、その運用ができるのだ。こういうことを主眼として説明しておられました。この点においては私ども大きな異議を持つておらないものであります。将来は別といたしまして、当面としてはそうであろうと考えておりますが、その次に、言葉を率直に申さしていただくことができるとしましたならば、まことに奇怪千万という言葉が当るであろうと想像されまする言葉がある。これは早いうちにひとつ聞いておきたいと思つたのでありますが、あまり多岐にわたることで好ましくない事態でありますので、差控えておりました。外為のような機構を大蔵大臣のもとに置くことは、一応政治的な責任ははつきりするのであります。重要な一国の為替政策が政党政治に左右されるおそれがある。従つてこれは国際信用にも関することになるから、現在の外為の機構を存続すべきであるという議論を強調しておられた、一体現在の内閣も政党内閣であり、政党政治によつて現在運営されておる。それが政党政治に左右されるからどうもおもしろくないから、外為という中間ボードを置くべきだ。こういう木内委員長のお説には残念ながら私ども賛成できない。無事に話合いが済んで、外為が存続するということになりました中にも、まだ現在お留守でありますから、大久保さんにお伺いすることはまことにお気の毒千万でありますが、委員会の中にかような空気が残つておるといたしましたならば、私どもは将来にわたりまして十分外為を国会の立場において、失礼ではありますが監視する意味に、見方をかえて行くというような方向に行かなければならない。政党政治に左右されるおそれがあるから、これは大蔵省にやればいいのだということは、今もそういうふうにお考えになつておるか。決してむずかしく御答弁をいただかなくてもけつこうでありまして、簡単に現在の外為委員会の空気をお知らせいただけばそれでけつこうであります。あるいは無理なお尋ねかもしれませんが、一応、この際はつきりしておきたい、かように思います。
  85. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 外国為替管理委員会は、御承知の通り現在の日本の貿易為替機構の中で、おもに外貨資金の運営という事務担当をいたしております。外貨資金の運営自体は、事柄は非常に簡単のようでございますが、非常に複雑多岐にわたつております。御承知の通り会計自体が一つの銀行的な仕事をやつておるわけでございます。きわめて技術的と申しますか、あるいは金融の専門的と申しますか、そういう仕事をやつておりますので、委員会といたしましては、みずから為替政策を決定して、その政策を実行して行くという立場には立つていないと思うのでございます。為替政策につきましては、これは各省の大臣の方々、大蔵大臣初めその他の方々が当然おきめになることでございまして、そのおきめになつた大きな一つの政策に沿いまして、委員会としては外貨資金の運営についてきわめて技術的ではございますが、一つの仕事を果して行きたい、そういうふうに考えておるのであります。御指摘のように、委員会は政党政派の意向に超然たるべしというような考えは持つておりません。ただ非常に技術的であつて、いわば無色のような働きをするところでございますので、あるいはそういうふうに世間に映つたかもしれませんが、御指摘のような意図は持つておりません。御了承願いたいと思います。
  86. 宮幡靖

    宮幡委員 外貨資金の機械的な運営をするボードであるから、さような考えを持つておらないという御答弁で、これは了承せざるを得ないと思うのでありますが、木内さんがお帰りになつてからまた聞く機会があろうと思います。ただ大久保委員の言われますように、中立性を持つておるのでありますから、こういう言葉はひとつ今後お出しを願わないということだけは、この際お願いいたしておきます。従つてこういう言葉を木内委員長が言われたことから、舟山次官もこれに反駁しまして、当時の文章でいいますと、身分保障の確保されている外為委員が、中立的な為替運営をはかるといつても、したいほうだいのことをされては困るではないかと言つておる。こうなつて来るとまつたくどろ試合で、国際信用にもまさに影響する。外為委員会が政治的に動かされては困ると心配する以上に、こういうことのある方が国際信用を傷つける、かように考えますので、これは大蔵省にも、ただいま理財局長は帰つてしまつたようでありますが、ひとつ聞いておきたい。同時に外為委員会もぜひこれを争つていただきたい。あくまでも御答弁のありましたような、外為委員会の本来の運営ということについて、専念していただきたいということが、われわれの念願であります。従いまして本問題は、これ以上にこれを伺いますと、少しいやらしい感じもいたしますので、もう質問も終る時期でありますので、ひとつ希望的な意見を申し上げまして、お願いするわけであります。  次に簡単なことを一つお伺いいたしますが、外銀ユーザンスをどうしてもやらなければならない日本の為替事情になつております。この点につきましてのお見通しは、すでに委員会において述べられておるここと思いますが、日銀ユーザンスも貿手に切りかえられる、こういうわけでありますので、日銀の信用膨脹等もにらみ合せますると、外銀ユーザンスの見通しということは、為替政策上大きな問題であります。この外銀ユーザンスの問題につきまして、外為委員会としてのお立場はどんなになつておりますか、お伺いいたします。
  87. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 外銀ユーザンスにつきまして、一つの最近の問題といたしましては、米綿の輸入につきまして、輸出入銀行から相当長期のクレジットを得まして、輸入の促進をはかるという構想で、先方と折衝いたしております。これはまだ折衝の段階で、この席でははつきりは申し上げにくいのでございますが、私どもの見通しといたしましては、おそらくこれが成立するのは可能ではないかと思います。大体新聞等にも伝えられましたごとく、全額は四千万ドル見当、利息もアメリカの市中金利よりも下まわるかなり低利のものであります。期間も綿花の加工から輸出までにわたる、相当長期の期間ということになつております。なお外為委員会といたしましては、できるならばその他の物資の輸入につきまして、ドルのいわゆらユーザンスの制度を導入いたしまして、輸入貿易の金融面をできるだけ正常化いたしまして、同時に輸入の促進にも資するという考えで、施策をやつてつておるのでございます。ただこれをいたしますについては、ただいまのいわゆる日本のユーザンスと違いまして、外為特別会計の円資金収入が時期的に相当ずれ関係上、円不足を若干助長する懸念があるわけであります。計算上そういうふうになつて参ります。それでこれにつきましては、なお円資金の手当等もにらみ合せませんことには、ただこの制度が輸入の促進上、あるいは為替金融の正常化だけで、望ましいからやるということにはなりませんので、ただいま関係方面とも話し合つておるわけでございます。先の見通しにつきましては、まだ何とも申し上げかねる事情にあるわけでございます。
  88. 宮幡靖

    宮幡委員 綿花の問題で四千万ドルのクレジットの供與の問題は、ただいま御説明を聞いて、一般的情報とおおむね同一でありますので、まあけつこうな方向であると思うのであります。ただいま円資金の不足というお話もありましたが、現在ドル貨が比較的多く、六億ドルを越えておるようでありますが、そういうふうな手持ちがありますことは、輸出が振つたという結果から来たものでなく、輸入の不振ということの方が大きな原因であります。将来やはりドル不足ということが当然現われて参るわけであります。そのドル不足補充のためには、これは外為だけにお尋ねすることは当つていませんから、ごく簡単に申しますが、ひとつ手を打たなければならない。このことはそれぞれ関係の行政庁とも御連絡の上、やつていただくことだと思いますが、さしあたつて、ドル・ユーザンスの問題は、最も積極的にやつていただかなかつたら、日本のドル地域に対しまする輸出振興対策とにらみ合せまして、たとえば従来やつて参りました毛織物の輸出と申しますと、これはほとんどポンド地域に限定されまして、ドル地域に流れておりません。こういうようなものは、たとえば輸出信用保険法を改正いたしまして、こういう相場の変動のはげしい商品については、価格の変動等に対する問題も信用保険のリスクに加えまして、そうして為替政策の問題を検討していただく、われわれはこういうことを期待しております。それにしても、何としてもドルのユーザンスが実施されなければ、外貨及び国内円資金の金繰りの問題におきましても好都合にならぬ、こう思いますので、この点におきましては、適当にひとつ、外為も単に機械的な外貨の運用ということではなくて、やはり一つの政策的な見方に立たれまして、今後の御努力を切望してやまないのであります。  次は、この間ちよつと情報を聞いたのでありますが、外為特別会計借入金の限度はたしか五百億円だつたと思いますが、それももうすでに使い盡してしまつた。手持ち外貨が多いから、これに見合う円資金が必要だということになるのは当然であります。その結果どうしても円資金の三十億円に底をついてしまつた、何とかしなければならないというので、外為で日銀に三千万ドルかたしかスワップをしたという情報を聞いたのですが、実際おやりになつたかどうか。やつたといたしまして、この先取り買いもどしということをやりますことは、これは悪口で申しますと一つの変形借入金だと思います。借入金の限度は国会の承認を得ましてやることになつておる。日銀ユーザンスの形で外貨を日銀に売つたということはあるわけでありますけれども、それ以外において円資金の枯渇から三千万ドルを日資にスワップしたということは、少しりくつをこねるようになりますが、あるいは国会の承認を得ないでやりまする変形な借入金である、こういうような感じが私はするのであります。この点についての率直な御意見を承りたい。実際三千万ドルをスワップしたのかどうか。スワップしたのは、借入金の限度を越えた上において足りなくなつたから、ドルを売つて日銀から借り入れた、これは変形借入金だ、こういう感じを私は受けるのであります。この点についていかがでありますか。
  89. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 お尋ねの日銀にドルを三千万ドル売りまして円資金を調達いたしたのは、先だつて実行いたしたところでございます。外為特別会計といたしましては非常な受身な立場にございまして、輸出が増進し特需がふえれば、それだけの円資金はどうしてもいるのでございます。貿易をとめるわけに参りませんので円資金をどうしても要する。御指摘のように、本年度の借入れ限度といたしましては五百億を定められましたが、すでに五百億を借り切つている。その場合に委員会といたしましては残された円資金の調達方法といたしまして、日銀に外貨を売る、必要がなくなれば外貨を買いもどすという取引はやむを得ないことだと思う。日本銀行のユーザンス制度におきましても、外貨を売つて円調達をいたしておるのであります。幾らか性質は違いますが、やたり日銀の資金をもつて借入れのほかに、円資金を調達して行くという方法は従来もとつているのでございます。先だつて必要な最小限度におきまして調達いたしたわけであります。
  90. 宮幡靖

    宮幡委員 まあそれでおやりになつ、ても私は変形な借入金のような気持がする。しかしやむを得ない、受身だからやらなければならぬ、これもわかる。ところがもしそういうことが起るとしますれば、外為特別会計法を改正する必要があるのじやないか。もしそういうことをするのでなければ、円資金との見合いは外為が独立しているためにうまく行かないということを吹聴されて参りますと、結局外為の機構というものは、大蔵省の国内金融と一元的な管理運営をすべきだという意見が有力になつて参り、そこで外為特別会計は、スワップすることが当然法律の上においてでき得るということを、お考えになる方がよいじやないかと私は思う。今度のスワップにいたしましても、いわば補正予算成立までという條件付らしい。補正予算が成立しますとインヴエントリーによりまして資金の調達をする、こういうことになるのであります。補正予算が成立しなかろうというようなことは考えませんが、インヴエトリーになる資金を他の資金運用して参る場合には、これは日銀の信用の膨脹と当然にらみ合せになり、決してただ一機構のボードである外為委員会だけの関係ではないので、国内の資金繰りというものに重大なる影響がある。ただ外為が円資金が不足だから、やむを得ないからこれをスワップするのだというように、どうも簡単に考えることが私は間違いじやないかと思う。またこれは将来にわたりましてぜひとも外為特別会計を存続する限り、改正の必要があるものだと考える。これは議員提出等でわれわれの方で御注文すべきものではない。外為自身がお考えになつて改正すべきものと考えます。どうかこの点は研究せられましてひとつ善処していただきたい。ただ外為だけでスワップして円資金を調達するということになると、これがたび重なつて参りますと、国内円資金から見ましてインフレーシヨンの要因になるとも言えるわけであります。そこでやはり為替政策と金融政策というものが、一元的に運用されなければならない。従つて外為などというものはない方がいいという議論にまで発展してしまう。これはまことに老婆心的言い方であるいは失礼かもしれませんが、切実にひとつお考えを願いたい、かように考えます。  その他最近問題になつでおりまする日米航海通商條約の場合の外貨保護の問題等につきまして、実は時間の余裕がありますれば少し御研究のほども伺いまして、これらのことを将来にわたる問題として検討して参りたいのでありますが、何分にもこういう時間でありますし、直接この法案関係がありませんので、これは次の機会まで差控えておきます。  そこでただ一つ最後に事務的のお伺いをいたしますが、今まで司令部にありました外貨管理権が日本に移されたことは、すでに皆さんも御承知の通りでありますが、まだオープン・アカウントの地域において、外貨の移管されていない部分があると思うのです。現在オープン・アカウントの地域におきまして、移管されたものとされないものとのお調べがお手元にありましたならば、この際お知らせを願いたい。もしお手元にないようでございましたならば、この法案通過後でけつこうでありますから、外為委員会として委員全部に資料として御配付を願いたい。きようはこの程度で私の総括的な最後の質問を終ることにいたします。
  91. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 ただいまのお尋ねのオープン・アカウントの引継ぎでございますが、一部終了したものもございます。まだ済んでいないものもございますが、私ただいま記憶いたしておりません。こちらに資料も持つてつておりませんので、仰せに従いまして後刻調べまして資料をお手元に差上げたい、かように御了承願います。
  92. 宮幡靖

    宮幡委員 ひとつその資料をいただくについてはお願いしておきますが、オープン・アカウントの現状、これは外貨を管理しているのですが、その相手国との間のスウイング・アカウントの関係がもし外為でわかりましたら、参考までに付記していただきたい。スウイング・アカウントはどうなつているか。
  93. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 スウイングの限度ですか。
  94. 宮幡靖

    宮幡委員 限度はわかつている。現状はどうなつているか。スウイングの振子が振れているか。その決済関係をひとつ聞いておきたい。わからなければ別に私調べますけれども、外為でわかりましたらついでにひとつやつていただきたい。
  95. 西村直己

    西村(直)委員長代理 本案について他に御質疑はありませんか。——他に御質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。次会において討論採決に入るここといたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 西村直己

    西村(直)委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたします。     —————————————
  97. 西村直己

    西村(直)委員長代理 なおこの際お諮りいたします。未復員者給與法等の一部を改正する法律案に対し、海外同胞引揚特別委員長若林義孝君より発言を求められております。この際これを許すことに御異議ありませんか。     〔一異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 西村直己

    西村(直)委員長代理 御異議がなければ発言を許します。若林義孝君。
  99. 若林義孝

    ○若林海外同胞引揚に関する特別委員長 ただいま本委員会におきまして御審議中の、未復員者給與法等の一部を改正する法律案に関しましては、海外同胞引揚に関する特別委員会といたしましても、過般来参議院の在外同胞引揚問題に関する特別委員会と、同じく引揚者に対する切実な問題として、その改正につき愼重に調査検討を行つて参つたのでありまして、その調査の過程におきましては、特にこの法案内容であります復員患者に対する療養期間の延長並びに障害一時金の増額、診療録その他の帳簿の検査等につきまして、多数の意見も出ましたほか、この法案にありません点、すなわち遺骨引取りに要する経費、及び未復員者の俸給についても増額すべきであじとの改正意見が出まして、ともどもに検討を行つた次第であります。今日この法律案が本委員会において審議されるに際し、この海外同胞引揚に関する特別委員会における調査検討の際の意見と、その概要とを申し述べますことは、本委員会の審査の上におきまして、多少なりとも御参考に供する点があるやと存ずるのであります。  本法案につきましては、参議院の提案者より趣旨の説明がありましたものと存じますが、未復員者給與法という法律は、元陸海軍に属しておりました軍人軍属で、未復員の者に対しての各種の給與を規定した法律であります。この法律に規定されております給與の種類は、未復員者の俸給、扶養家族に対する手当、帰郷旅費、遺骨引取り経費、遺骨埋葬費、復員患者に対する療養期間の延長及び障害一時金でありまして、本法案はこのうち復員患者に対する療養期間の延長と、障害一時金の増額及び療養の際の診療録その他の帳簿を検査させ、療養を適正ならしめるべく改正しようとするのであります。  本法案内容であります障害一時金につきましては、第十国会以来種々問題となり、愼重に調査検討を加え、改正立案をする運びにまでなつたのでありますが、諸般の実情により現在まで延び、また療養期間の延長については第十一国会当初より問題となり、数回にわたり関係当局ときわめて真摯なる質疑応答を重ね、検討した結果、三年間あるいは必要期間延長すべきであるという結論のもとに、海外同胞引揚に関する特別委員会においては改正立案に着手し、閉会中も引続き審議を継続し、努力して参つたのであります。当初はこちらの特別委員会より改正案を提出するように予定しておりましたが、参議院との折衝の結果、あちらより提出するようになつたのでありまして、その趣旨も大体同様でありますので、ここにあらためて申し上げることをいたしませんが、この法案における療養期間の延長につきましては、経済的に恵まれない復員患者に対し、重大なる問題でありまして、現在この療養を受けている復員患者はなお六千六百三十名に上り、しかもこのうちの約九〇%が、本年の十二月二十八日をもつて法に規定されている療養期間の三年が終るのであります。この患者の大部分は主として結核性疾患の患者。外傷者、精神病患者であり、今後なお相当の期間療養を必要とする者ばかりであります。この法律による療養を打切られますと、患者は一時金をもらいましても相当期間の療養もできず、どうしても生活保護法の適用を受けて行くほかはないのでありまして、国としてもこれに対する処置に二重の手間をかけ、かつ財政上二重の負担となるばかりでなく、患者としてもこの法による療養に変更が加えられることは苦痛でありますので、これらの患者よりこの面の苦衷を訴える声はまさに悲痛なものがございます。こういう点を考えますと、結局三年たつてもなおらない者に対しては、療養期間を必要とする限り延長することが一番妥当と考えるのであります。  本改正案によりますれば、療養期間につき現行の療養期間満了後も、引続き療養の必要があると認める者に対して、国はさらに三年間療養を継続することになるのでありますが、三年間と限定せず、必要な期間延長するという意見もありまして、大体従来の計算によりますと、毎年二五%ずつ減つて行きますところより見ますれば、大差はないのでありますが、結核性の長期の患者になりますと、かえつて限定しない方がよいのではないかと考えられる点もあります。  次に障害一時金につきましては、厚生年金保険法中の障害手当の倍額の増額と並行して、現行の障害一時金最低八百円から最高一万九千円を、二倍に増額して支給しようとするのでありまして、たとえば一眼が失明した者については七千五百円、最高の両眼が失明した者でも一万九千円であり、はなはだ少額に過ぎると思うのであります。また診療録その他の帳簿の検閲についても、療養を適正にする趣旨においては、海外同胞引揚に関する特別委員会での意見と同様であります。  なおこのほかに海外同胞引揚に関する特別委員会で検討しております未復員者給與法についての改正を要すべき点を申し上げますと、第一は未復員者の俸給の増額についてでありますが、現行は月額千円を支給することになつておりまして、現在の経済事情よりいたしまして、あまりに少額でありますので、この増額につき当局とも折衝を続けて、でき得るならばこの際改正をいたしたいと思つておりますが、遺族に対する援護との関係もありまして、この点については結論がいまだ出ていないのであり、結論を得次第改正して行きたいと思つております。  第二は未復員者が死亡した場合における遺骨引取りに要する経費であり、現行は死亡者一人当り二千二百円でありまして、これは公務員の旅費規程に準じて、二人につき五十キロを算定の基礎としております。その二千二百円の内訳は宿泊料が千二百八十円、日当六百四十円、鉄道運賃二百八十円でありますが、今回の鉄道運賃の賃上げにより鉄道運賃は三百六十円になつたのでありますから、この値上りによります増額は切り上げつつ百円として、二千二百円は当然二千三百円に増額することが妥当と思われるのであります。これにつきましては当局との了解もありますので、この際これについての改正も同時に行われればという意見もあるのであります。  以上大体において本案に関し、海外同胞引揚に関する特別委員会においての調査との関連せる点について申し述べましたが、この法案が本委員会審議の上このように改正せられますことならば、現在療養中の患者並びにその関係者の喜びはいかばかりかと思われますと同時に、さらに遺骨引取り経費等についても考慮せられて、検討くださればと存ずる次第であります。何とぞこの法案につきましては海外同胞引揚に関する特別委員会の意のほどをおくみとりを願い、愼重審議せられんことを希望してやまないのであります。
  100. 西村直己

    西村(直)委員長代理 本日は海外同胞引揚に関する特別委員長よりの意見を聴取いたしますにとどめまして、本案に対する質疑は次会において行うことといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 西村直己

    西村(直)委員長代理 御異議なければ本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時より商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について、通商産業委員会と連合審査を開催いたし、午後一時より本委員会を開会いたしますから、さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会