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1951-11-09 第12回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月九日(金曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 内藤 友明君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       大上  司君    佐久間 徹君       島村 一郎君    清水 逸平君       高間 松吉君    苫米地英俊君       三宅 則義君    宮幡  靖君       荒木萬壽夫君    宮腰 喜助君     早稻田柳右エ門君    上林與市郎君       松尾トシ子君    高田 富之君       深澤 義守君  出席政府委員         外国為替管理         委員会委員  大久保太三郎君         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         大蔵事務官         (理財局見返資         金課長)    大島 寛一君         大蔵事務官   上東野正二君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (臨時通商業務         局経理第一課         長)      羽柴 忠雄君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十一月九日  農業共済保険特別会計における家畜再保険金  の支払財源に充てるための一般会計からする繰  入金に関する法律案内閣提出第二五号)  国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二四号)(予) の審査を本委員会に付託された。 同月八日  在外公館等借入金返還に関する陳情書  (第五四二号)  在外公館等借入金返済に関する現地通貨換算率  に関する陳情書  (第五四三号)  同  (第五四四号)  同  (第五四五号)  在外公館等借入金緊急措置に関する陳情書  (第五四六号)  在外公館等借入金換算率及び支払限度に関する  陳情書  (第五四七号)  引揚者の外地よりの送金払渡促進に関する陳情  書  (第五四八号)  未復員者給与法適用患者に対する療養期間延  長に関する陳情書外四件  (第五四九号)  同  (第五五〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  一般会計歳出財源に充てるための資金運用  部特別会計からする繰入金に関する法律案(内  閣提出第一三号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一六号)  米国日援助物資等処理特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第一七号)  関税法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二一号)     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  去る七日本委員会に付託されました関税法等の一部を改正する法律案議題として、まず政府当局より提案趣旨説明を求めます。西川政府委員
  3. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました関税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、関税法関税定率法及び噸税法等の一部を改正しようとするものでありますが、その改正の主要な点は次の三点でございます。  第一点は、平和条約発効に伴いまして、条約第二条の規定によつて明確に外国となる地域につきましては、関税法関税定率法及び噸税法上も外国として取扱うことを明らかにいたしました反面、条約第三条に規定する北緯二十九度以南南西諸島及び小笠原群島等につきましては、本邦の領域であることを明らかにするとともに、引続き当分の間これらの地域外国とみなして、これらの地域との間に出入する船舶及び貨物につきましては、すべて関税法規を適用しようとするものであります。  第二点は、従来北緯三十度以南南西諸島で生産された物品につきましては、輸入税を免除することとしておりましたが、平和条約発効後は、ただいま申し述べました北緯二十九度以南南西諸島及び小笠原群島等地域で生産された物品について、輸入税を免除することにするとともに、その免税に関し必要な事項は、政令で定めようとするものであります。  第三点は、最近、新聞用紙国内における需要の増加に対し、生産がこれに伴わないため、緊急輸入を必要といたしておりますのに加えまして、海外より輸入される新聞用紙価格国内産のものを上まわり、これに対し関税を課することは、これが用途から見て適当でないと考えられますので、暫定措置として明年三月三十一日までの輸入について、現行一割の輸入税を免除しようとするものであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に一般会計歳出財源に充てるための資金運用部特別会計からする繰入金に関する法律案外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案、及び米国日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題として、質疑を続行いたします。深澤君。
  5. 深澤義守

    深澤委員 米国日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして御質問申し上げますが、これは軍の払下げ物資の収入を、今度は見返資金特別会計に入れることを規定する法律案のようでありますが、この軍の払下げ物資というのは、具体的にはどういうものでありますか。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  6. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 まず軍払下げ物資は、主として具体的には二つあるのでございます。一つSIM物資といつて、サープラス・インセンテイヴ・マテイリアルの略語でございます。普通余剰報奨物資と訳しておりますが、この物資米軍余剰軍事物資でありまして、衣料品とかそれから医薬品キャンデーそのほかの消費者用雑品類があるわけでありまして、主として日本国内重要産業労務者報奨用として配給する目的のために、昭和二十二年以降米軍供給計画に基いて、米本国並びに太平洋諸島から本邦に入港した物資をさすのであります。この物資国内における配分は、この物資の性質上、安本の配分計画に基きまして、通産省農村とかそれから鉄鋼、化学、電力、繊維、交通、通信関係等重要産業労務者に対して行つて参つたのであります。この物資日本への供給計画は、昭和二十四年の六月をもつて打切られまして、この計画に基く最後の物資は、昨年の八月に入港した次第でございます。これがSIM物資の概略でございますが、次に軍払下げ物資種類といたしましては、QM物資というのがございます。QM物資とは、グッズ・リリーズド・フロム・コーターマスター、要するに軍払下げ物資というふうに訳しておるのでございます。この物資は前の米八軍でありますが、日本管理軍から日本政府へ払い下げましたところの衣料、それから食品、スクラップ類をさすものでございまして、これは昭和二十一年の三月から現在まで続けて行われて参つたわけでございます。この物資配分は、通産省が主として行つて参つたわけであります。この二つをわれわれは軍払下げ物資というふうに称しておるわけでございますが、この第一と第二のSIMQMとの最も大きな差は、SIM物資米国その他の太平洋諸島からこちらの方へ入つて来まして、輸入の形をとつて来るわけでありますが、QM物資の方は、日本における軍が直接日本において放出するというところに、その差があるわけでありまして、この二つ種類につきましては、ほぼ一致しておるというふうに考えられるわけでございます。
  7. 深澤義守

    深澤委員 ただいまの援助物資と称するものは、大体軍の不要になつた物が中心のように聞いておるのであります。従つてあらかじめ計画された日本援助のもとに入つて来るのでなくて、軍が使おうと思つたが、いわゆる必要がなくなつたということで放出する。それが援助物資という形で国内に放出されておるというぐあいに聞いておるのですが、そういう点はどうでありましようか。
  8. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 この点に関しましては、日本国といたしましては、米軍が放出いたしますものをいろいろ折衝いたしまして、例をもつて申しますならば、たとえばこのスクラップ類は直接われわれの方に必要がないからというわけで、向うと交渉するのでありまして、しかもその前には一応、どういつた物を放出するかというような打合せも具体的にいたすわけでありまして、私たちが今まで見ております関係では、向うがいらなくなつたから放出するというのではなくて、やはり日本として必要なる物を受入れるという態勢で、現在までやつて来たものと理解しております。
  9. 深澤義守

    深澤委員 先ほど、この援助物資農村等へも相当配分が行われておるということを聞いたのですが、われわれも農村出身者農村事情はある程度知つております。しかしそういう援助物資によつて日本農村が、非常に喜ぶような物が来ておるということは聞いていないのですが、どういうような物が援助物資として農村配分されているか、その点承りたい。
  10. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 これはいろいろ種類があるわけでございます。たとえて申しますと、さきに申しましたように、衣料品医薬品キャンデーそういつたものを中心にしておるのでありますが、たとえばキャンデーごときものは、これは町などでも売つておりますけれども、やはり農村の方へもいろいろ行つておるわけでございます。それからまた一番大きいものとしましては衣料品、これは向うの放出しますところの衣服でありますが、こういうものが農村関係へも流れておるのであります。主として払下げ方式二つあるわけでございまして、ビッドによる場合と随契による場合とございますが、ビッドで受けたものをさらにあつちこつちにわけるという場合もございます。それからあとは随契で、いろいろ配分計画をつくりまして、そういうものを日本全国に流すという場合もあるのでございますが、特に私たち考えますのは、重要産業労務者というものに対しまして、たとえば制服の非常に古くなつたものを向うから払い下げますのですが、これをたとえば農村作業衣に使うというようなぐあいにやつておるのでありまして、決して都市だけに集中して払い下げるというような方針は、今まではとつておりませんし、またこういつたようなものを払下げを受けました場合には、できるだけ日本全体に、すみずみまでわたるように、いろいろ計画して参つたような次第でございます。
  11. 深澤義守

    深澤委員 われわれは農村におりまして、寡聞にしてそういう作業衣等配分されて、農村が非常に援助されたということを、いまだかつて聞いていないのであります。そこでなおお伺いいたしたいのは、大体援助物資というものの価格でありますが、国内市場価格よりも非常に安くて、援助物資として非常にありがたいというような価格配分されておるかどうか。その価格基準は一体どこにきめられておるのか。その点はどうですか。
  12. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 これは、援助物資と申しましてもいろいろ種類がございますので、ただいまの法案に上程をいたしましたのは、軍の払下げ物資について上程いたしたのでありますが、軍の払下げ物資のことをさしておられるのか、援助物資全般のことでありますか、さらにお伺いしたいと思います。
  13. 深澤義守

    深澤委員 この際ひとつ援助物資全般についてお伺いしたいと思います。
  14. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 援助物資全般につきましては、これは、ここではつきり観念をしておいていただきたいと思うのでありますが、援助物資は、純粋に申しますと、アメリカンエイドでありまして、軍払下げ物資というものは含んでおらないのであります。それをなぜ軍払下げ物資援助物資に含めて考えるかと申しますと、大体性格的に援助物資とほとんど同じである。従つてこれをわれわれは準援助物資というふうに観念してもよいと思うのでありまするが、軍払下げ物資及びプロパー援助物資を包括いたしまして、広い意味援助物資というふうに考えておりまして、狭い意味では援助物資プロパー援助物資というのが、概念でございます。そこでまず広い意味においてお話いたしますが、そのうちまずプロパー援助物資関係について御説明いたしますと、これは向うから輸入して参ります場合に、一定ドル価格というものが一応あるわけであります。それをたとえばわれわれが売却いたします場合におきましては、マル公のあるものについてはそのマル公により、それからまた、これはビッドを主として採用しておりまするが、そのビツド価格というものは、これに一定フロアプライスを設けまして、そのフロアプライス以上に達した場合におきまして、それを売るというような仕組みになつておるのでありまして、決してアメリカドル価格そのままを適用して、こちらへ払い下げるというような形はいたしておらないのであります。そこでやはり日本国内におきますところの援助物資以外のもの、そういうものの時価、これを勘案いたしまして、いろいろな一定予定価格をつくりまして、それでもつて払い下げるというふうにいたしておるのであります。  それから随意契約をいたしておりますものにつきましては、これは軍払下げ物資だから特に安いというわけではありませんで、これもやはり一定基準を設けまして、それによつて払下げをいたしておるわけであります。そこで問題になりますのは、しからば援助物資をこちらが受けました場合におきまして、これは見返資金特別会計に繰入れるのでありまするから、その繰入額は、ドル価格円換算によるわけであります。従つて三百六十円の換算で繰入れるのでありまするから、これが高く売れた場合と安く売れた場合とに、当然差益あるいは差損が生じて来るわけであります。その差益差損は、これは私が先ほど申しましたように、必ずしもドル価格によつて払い下げるのじやない、日本の圏内の相場で払い下げるのだということを基準にしてお考え願えれば、差益差損が生ずるということはおわかりになると思います。しかし今まで統計をとつたところによりますと、差損は全然出ておりません。全部差益が出ております。日本政府といたしましては全然これによつて赤字は出ておらないのであります。  それからその次に軍払下げ物資に移るわけでありますが、軍払下げ物資のうちSIM物資、これは全部援助物資に準じましたところの価格払下げをいたしましたので、説明を省略いたしますが、QM物資につきましては、これは現地日本払下げ放出を受けるわけでありますので、これは適正なる時価をもつて算定するようにという司令部からの指示もありまして、その時価をもつてQM物資につきましては払下げをいたしておる、こういつたような現状でございます。特に援助であるからといつて、安いとか高いとかいうことはない。あくまで日本国内におきますところのほかの物資、同種類物資と同じような価格基準をもちまして、これが配分されておるわけでございます。
  15. 深澤義守

    深澤委員 よくわかつたわけですが、そうすると一般的に常識的に考え援助ということは、日本敗戦後非常に経済的に困難をしておる。したがつて日本一般物価よりも相当安い価格一般国民配分されて、そのために非常に国民生活の上に大きな利益をもたらしたというのが、援助性格であるとわれわれは考えるのでありますが、今御説明がありましたようにそうではなくて、あくまで時価で行くのだということで、特別援助としての性格が、日本国内配分される場合においては、そういう性格を持たなかつたというぐあいに、われわれは理解できるのであります。その一つの例としては一般援助物資差損は出なかつた、むしろ差益が出ておるということは、つまりドル価格よりも、日本国内で円に換算して売つて、かえつて利益上つたということになつておりますから、むしろこれは向うから入つた価格よりも高く売つて、そこに差益が出たという結論になるのですが、そうなりますとどうも援助という一般的な常識から考えまして、これは援助じやない、普通の商売だつたというぐあいにわれわれ考えることができるのですが、その点はどういうぐあいに考えられるのですか。
  16. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 まず援助というものに対しますところの所見を述べさしていただきます。援助は必ずしも価格が安いか高いか、安いものを日本輸入することすなわち援助であるというふうの観念は、私は誤つておるのではないかと思うのであります。根本的な米国日援助理念と申しますものは、終戦後の混乱、この混乱をとにかく収拾するというのが、まず第一の目的であつたと私は思うのであります。そのときにかりにもし米であるとか主食であるとか衣料というようなものが、援助物資として入つて来なかつたら、日本経済はいかになつてつたのでありましようか。これがすなわち私は援助基本理念であると思うのであります。従つてこの日本経済混乱敗戦後におけるところの経済的混乱というものを、一応今日ある姿にもたらしたところの最も有力なる一つの物質的な原因と申しますものは、私はこの米国日援助物資が、一応あずかつて力があつたというふうに考えるのであります。その意味におきます援助でありまして、これは決して安く払い下げるからして援助になる、高いから援助にならないということは言えないと、私は理解しておるのであります。それから安い高いの問題につきましては、これは総体といたしまして一応差益が出ておるのでありますが、物によりましては、安いというふうに思われるものもあるのでありましよう。また物によつて相当高く払い下げられても、なおまだわれわれの考えか申しますと、安いというふうに見えるものもある。その原因はどこにあるかと申しますと、これは米国物価日本物価、ここの差に根本的の原因が見出し得るのではないかと思います。すなわち米国物価体系と申しますものと、日本物価体系と申しますものが、必ずしも一致していないのじやないかというふうに想像されますために、そういつた差益差損が生ずるのではないかというふうに思いますから、必ずしもこれは高く払い下げておつたということには、私は当らぬと思うのであります。そういうふうに私は援助を理解しておるのであります。
  17. 深澤義守

    深澤委員 終戦後の日本経済混乱を防ぐために、援助物資が大いに役立つた、その限りにおいて援助物資であるという御説明でありますが、この点は議論にわたりますから……。当時の混乱期に際して日本政府自身がもう少し善処するならば、援助を受けなくてもわれわれは十分に日本国内混乱を避け得た。それを私は一つの例をもつて申しますと、軍の保有物資等がまつたく切取り強盗されておる。ああいう状態が強力な政府によりもつと整然と整理されたならば、日本経済というものは、もつとわれわれは正常な姿に早く立ち返つたという見解を持つのでありますが、この問題の議論は別といたしまして、そうして得ました払下げ代金が、結局対日援助見返資金特別会計に全部入つて行くわけであります。そこで問題になりますのは、終戦以来日本が受けましたアメリカからの援助費が、約二十億ドル程度あるそうでありますが、今度の平和条約の結果債務として明確に規定されまして、結局それに対する返済の義務が負わされているということを聞いているのですが、その点はどういうぐあいに考えておりますか。
  18. 大島寛一

    大島説明員 ただいまの御質問でございまするが、終戦以来わが国に対しまして与えられました対日援助につきましては、一応債務考えられて、それをどういうふうに具体的に処押するかというような点につきましては、なお未定であるというように心得ております。
  19. 深澤義守

    深澤委員 またそこでなお私はその点をお伺いしたいのであります。その対日援助費債務ということになつて参りますと、今問題になつておりますこの処理特別会計から繰入れをするところの、対日援助見返資金特別会計というものの性格が、おのずからわかつて来ると思うのでありますが、それはどういうぐあいにかわつて行くのか。その点もあるいは大蔵大臣等説明がなければ、具体的にはおわかりにならないと思うのですが、大体あなたの方で今お考えになつておるところでは、一体どういう程度に考えられているのか。皆さんが非常に御苦労されて、そうして一般配分して代金を上げて来て、その代金が対日援助見返資金特別会計に入るのであります。その対日援助見返資金というものが、往々にして閣僚ですらも森農林大臣のごとき、これはもらつたものだということを、しばしばわれわれに農林委員会当時聞かされおつた。それがいよいよ債務であるということになつて参りますと、今度見返資金特別会計性格というものは、これは大分かわつて来ると思うのですが、どういうぐあいにかわつて行くのか。その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  20. 大島寛一

    大島説明員 ただいまの御質問でございまするが、アメリカとの関係におきまして、債務であるかどうかという点は、今まで日本に与えられました対日援助が、どういうものであるかということに関するわけであります。ところが見返り資金の方は対日援助がいわば原因にもなつて援助物資国内で払い下げた代金を集めたものではございませんで、これはドルではなく、円の資金でございます。両方関連はあるとは申しますものの、対日援助見返資金がすなわちアメリカに対する債務であるかどこかというふうに、直接には結びつかないわけでございまして、これは日本の円で積み立てられた金でございます。その点をはつきり区別してお考え願う必要があると思うのであります。  次に御質問趣旨は、多少私はつきりしない点があるように思うのでありまするが、見返り資金性格にどういう変化が起るかという点でございます。見返り資金は依然として見返り資金でございまして、今申し上げたような意味において、対日援助に見合つて積み立てられた円資金であるという点においては、かわりはないと思うわけであります。
  21. 深澤義守

    深澤委員 その点は今後の問題でありますから、深く御質問申し上げても明らかにならないと思います。  なお私今までの過程において質問を落した点があるのでありますが、この際ちよつと明確に教えていただきたいと思います。援助物資のほかに、援助役務というのが今年あなたの方から出された資料の中にあるわけですが、これはどういうものでありますか、具体的にひとつお聞きしたいのであります。
  22. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 援助役務に関しましては、実は今まで例がないわけでございますが、これについて少し具体的に御説明いたしますと、何らかの債権として考慮される一つ観念でございますが、この米国日援助物資等処理特別会計法第一条におきまして、「米国日援助物資の取得及び処分並びに米国日援助として提供された役務処理に関する政府経理を明確にするため、」というふうに規定しておるのであります。さらに第三条の第三項におきまして、「米国日援助見返資金特別会計への繰入金の額は、援助物資及び援助役務アメリカ合衆国通貨」云々というふうに規定してある。この二つ役務だと思いますが、これはいわゆる技術援助という技術によるところの援助、こういうものをわれわれは考慮しておつたのであります。ところがいずれにしましても、技術援助というものは今までに存在しておりません。従つてこの役務につきましては、現在までの見返り資金繰入れの問題は起つておりませんけれども、しかし一応これらの額を確定しておく必要があるのではないか、こういうふうに思われまして、援助役務という観念を想定したわけでございます。これは初めは技術援助というものを考えておつたわけでありますが、歴史的に申しましてそういつた例は起つて来なかつた、こういうことでございまして、これはほとんど意味のない観念になつております。
  23. 深澤義守

    深澤委員 対日援助の方はそれで一応の質問は終つたのでありますが、次に外為資金特別会計法の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。  最近新聞紙上等においてもわれわれは散見するのでありますが、現在は終戦以来ないドルの蓄積があるやに聞いております。しかしいろいろな要素を検討いたしますと、ドル不足の見通しがあるということで、相当問題になつておるようであります。その点に関する状況をお伺いしたいのであります。
  24. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 最近日本の外貨の取得につきまして、ドルの不足があるという新聞記事その他が散見するのでございますが、この外貨資金の状況につきまして、きわめて短期的に見ました場合と、それから非常に長期に見ました場合と、おのずから予想が違うだろうと思います。ごく短期に見ますれば、ドル資金につきましては普通の貿易、それから貿易外の経常的な収支、こうい、もので見ました場合に、日本ドルの貿易輸出額は輸入に比べまして非常に少いのでございます。従つて経営的な貿易収支の面から見ますと、確かにアンバランスの状態がございます。しかし当面の状況では、御承知の通り特需あるいは米軍の内地における費用を、一部ドルでもつて払われるということがございます。この特需等のドルの取得は相当の額に上るわけでございます。従いまして当面の状況といたしましては、ドルの下足ということはそう言えないのでございます。ところが経常的な貿易外におきますドルの取得、特需その他の取得は、日本といたしましてそう長期にいつまでも見込めるものではないのでございます。ごく長期に見ますならば、どうしてもドルの収支は、もつぱら経常的な貿易による収支でなければならぬ。そういう意味におきまして、日本の輸出市場と輸入市場との関係から、将来の問題としては、やはりドルの下足ということが想像できると考えております。
  25. 深澤義守

    深澤委員 現在相当多額のドルが保有されているそうでありますが、昨年の暮れにおきましては、その多額のドルを保有しつつも輸入を十分することができなかつた。ところが国際価格が非常に値上りして外貨の割当をやりまして、非常に高い品物を輸入したために、国内輸入業者あるいは一般の産業界が非常に大きな打撃を受け、その引取り資金のために非常に困難をしたという前例があるのであります。現在終戦以来おそらく最高のドルの保有をされているようでありますが、現在そのドルの保有をどういうぐあいに処理される考えがおありになるのか。そのことについての方針をお伺いしたいのであります。
  26. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 昨年末におきましての数字は、その節御発表申し上げたと思いますが、その後一—三月におきまして非常に大量の輸入が行われまして、ドルの決済が相当巨額に上つたわけでございます。従いましてドルのバランスは一時非常に減つたのでございますが、もつぱらドル資金の節約を講じまして、市場の転換その他もはかつたわけであります。そしてドル資金は順次に回復して参つておるわけであります。日本といたしましては、ドルをためてばかりいるということを考えているのでは決してございません。所要の資金につきましては、輸入のライセンスをいたしまして、そうしてドル地域からも輸入を講じて行くという措置をもつて、ただいま進んでおるわけでございます。
  27. 深澤義守

    深澤委員 その現在の外貨の手持ちによる輸入の見通しというものは、どういうぐあいに考えられておるか、その点をひとつお伺いしたい。
  28. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 何分輸入につきましては、輸入業者及びこれを使用いたしまするメーカー等の内地における、あるいは外地における商品市況の判断ということ、それから国内の事情としましては、輸入物資の引取りに要する資金の状況、これは業者の手持ち資金あるいは銀行その他からの融資を受ける場合に、市場の金融資金の問題ということがありまして、それらの条件が十分整いませんと、輸入の促進ということは、外貨の割当を相当いたしましても、できないことは自明のここと思います。目下国内資金の問題については、若干の困難がございますが、商品市況におきましては、海外の市況その他も、一時の低落もおちつきましたし、また日本といたしましては、ぜひとも必要な物資につきましては輸入しなければならない状況でございますので、最近における輸入の状況は一時の低調から脱しまして、相当輸入が多くなつて来ておるというふうに思われます。まず第一に、輸入が行われる最初の指標といたしましては、輸入信用状の開設でございますけれども、輸入信用状の開設の最近における状況を見ますと、十月のごときは、夏ごろに比べまして相当回復を示して来ておる、そういうふうに見ております。
  29. 深澤義守

    深澤委員 輸入不振のために、この外為の手持ちの円資金も非常に減少を続けているようございますが、最近の新聞紙上によりますと、日銀に対して、スワップと申しますか、それを三千万ドル程度行つたというようにわれわれは聞いているのでありますが、その点のいきさつはどういう事情になつておりますか、ひとつ伺いたい。
  30. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 外為会計の円資金は、いろいろな要素によつ動くわけでございまして、単に輸入の不振だけが外為資金の不足を招くのではございません。一方輸出その他による外為替が非常に大きいという面、それから例の御承知の、いわゆる日銀ユーザンスの甲種の部分が減少いたしますために、円資金の不足を生ずる。それから一方、ただいまお説の輸入決済によりまして円資金が入つて来るのが、一時減るという関係など、いろいろな要素がからみ合いまして、円資金の不足が生ずるわけであります。でこれを補給いたすことは、輸出を正常にやつて行くためには、ぜひとも必要なことでございますので、外為の手持ちの外貨を日本銀行に現売先買しまして、必要最小限度の資金を一時調達するという方法を、先般一回講じたわけでございます。
  31. 深澤義守

    深澤委員 そこで問題になりますのは、輸入の不振という問題、あるいは輸出の増進という問題があるのでありますが、政府も輸出立国とまで言われるほど、輸出については関心を持つておられます。ところが大体日本の輸出はスターリング地域だと思いますが、そのスターリング地域の輸出ですらが最近非常に困難に当面しておる。特にイギリスの新しい政権による新経済政策と申しますか、そういうものとのからみ合いによつて、スターリング地域における輸出の困難性というものが、相当考えられているのでありますが、そういう点はどういうぐあいにお考えですか。
  32. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 イギリスの新内閣の通商政策がどうなるかということは、私どもまだ承知できないのでございますが、現状におきまして、スターリング地域に対する日本の輸出が困難であるということは、まつたく事実ではないと思われるのでございまして、むしろスターリング地域に対しましては、日本の輸出は他の地域に比べまして非常に容易である。従いまして先ほども申しましたスターリングの獲得がむしろ多過ぎて、ドルが不足するということに相なるのではないかと思います。
  33. 深澤義守

    深澤委員 もちろんドル地域に対してよりも、スターリング地域への輸出の方が非常に容易であるということは言えるのでありますが、その容易であるスターリング地域への輸出が、困難に当面する見通しがあるかないかという問題について、多少お伺いしたのであります。その点は、日本経済政策、イギリスの新政府の新政府等をまだ十分御承知ないということで、まだ十分の調査が得られないものと思うのでありますが、問題になるのは、とにかく日本の輸出はスターリング地域が非常に容易である。これに多く依存しなければならない。それからもう一つは、輸入の面におきましても、ドル地域からの輸入ということははなはだ困難に当面しておる。従つて輸入の面においてもスターリング地域に依存する傾向が強くなるのではないかと私は思う。日本の貿易はドルに依存するよりも、ポンドに依存するという方向に動いて来る可能性があるじやないかというぐあいに考えられるのですが、その点どうなりますか。
  34. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 これはいろいろ見方のある問題と思いますが、日本といたしましてはやはりできるだけドル地域に対する輸出を奨励いたしまして、先刻申し上げました長期的に見たドルの不足懸念を、解消して行くという方向に行かなければならぬと思われます。同時に輸入の際等におきましても、これはものによつてはできないものもございまするが、なるべく取得する通貨と支払う通貨との平衡をはかるという意味におきまして、輸入市場をスターリング地域に、ものによつては振りかえて行くということが必要じやないかと思うのでありまして、この点はただいまいろいろ検討いたしまして、すでに具体的な施策に移つておるわけでございます。
  35. 深澤義守

    深澤委員 大体あなた方はドルに依存して行こうという意図が十分おありになるのでありますが、しかしながら日本の置かれているアジアにおける地位というものは、必然的にこのスターリング地域と輸出入ともに結びついて行かざるを得ないという必然性を持つているのでありまして、この経済的な自然的な条件と申しますか、そういうものに、意図いかんはどうでありましても、引きずられて行くという可能性を、われわれは考えているわけであります。しかし経済というものはやはり水の流れと同じように、自然の方向に沿つて動いて行くことは当然でありまして、逆に無理やりにドルに結びつけられて行くというところに、日本経済の困難性があるというふうにわれわれは考えているわけであります。そこでこれはこまかい点にわたりますが、最近インドネシアとの通商協定が行われまして、インドネシアから、結局貿易の決済の超過部分は、ポンドで決済するというような要求が出ておるように聞いておるのであります。そういう点についてわれわれはよく十分よくわからないのでありますが、インドネシアとの関係において、貿易関係がどういうぐあいに決済されておるのか、その点はおわかりになりますか。
  36. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 仰せのインドネシアとの支払い協定の改訂につきましては、先般先方から代表団が参りまして、日本関係各省と目下折衝中でございます。現在の決済協定は、御承知の通りドル建のオープン・アカウント、一定のスウィングをオーバーいたしましたものにつきましては、これをドルで決済するという建前になつております。この点につきましては、新聞等にも伝えられましたように、インドネシア側といたしまして若干の希望、要望あるいは条件を持ち出しておるように承知いたしておりますが、何分にもただいまなお両国間の折衝の過程にございまして、まだ結論を得ておりません。この点の詳細は、私も実は代表団に出ておりませんからよく存じませんので、その辺で御容赦を願いたいと思います。
  37. 深澤義守

    深澤委員 今度の法案の改正によりまして、外国為替銀行に対して、外国為替の資金の運営に関する事務の一部を取扱わせるということであります。この外国為替銀行というのは、外国為替を取扱う内地の銀行が主であろうと思いますが、日本に支店を持つているところの外国銀行もこの中に含まれるのかどうか、その点はどういうことになりますか。
  38. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 外国為替銀行は、外国為替管理法に基きまして認可を受けた銀行をさすのでございまして、いわゆる日本側の銀行のみならず、日本に支店を持つております外国の銀行をも含むわけでございます。
  39. 深澤義守

    深澤委員 その日本に支店を持つて指定を受けているところの外国銀行は、どういう銀行でありますか。その点をひとつ伺いたいと思います。
  40. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 内地に支店を持つております外国籍の銀行は、米系といたしましてはバンク・オブ・アメリカ、それからナシヨナル・シティ・バンク、チェス・ナシヨナル・バンク、英系といたしましては、香海上海バンク、チヤータード・バンク、それからマーカンタイル・バンク、印度銀行、以上七つでございます。そのほかになお南系の銀行として、オランダ商業銀行、オランダ銀行がございます。それから仏系としましては仏印銀行、それから中国銀行、それからなお韓国銀行があります。これだけでございます。
  41. 深澤義守

    深澤委員 そこで私が心配するのは、内地銀行ではなしに、こういう外国系の支店銀行が為替資金の運営に関する仕事をやるようになりますと、日本の貿易関係の仕事が、この外国銀行に非常に強力に抑えられて来る心配があるのではないかと思うわけです。たとえて申しますれば、すでに問題になつております東銀の状態なんかも、非常に危険な状態にあると思うのであります。しかし多かれ少かれ、日本における銀行があるという傾向になる要素を、伏在しておるというふうに考えておるのでありますが、こういうぐあいに内地銀行も外国銀行も差別なしに、外国為替資金の取扱いをさせるということになりますと、日本の貿易関係の大きな力が、この外国銀行に移つて行くという心配があるのではないかと思うのですが、その点の見通しはどういうぐあいに考えておりますか。
  42. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 今回の法律改正によりまして、外国為替銀行に外国為替資金の事務の一部を取扱わせるという、その事務の一部とは何かと申し上げますと、提案理由にも申し述べたと存じますが、きわめて特殊の一、二の商行為だけなのであります。と申しますのは、外国の銀行に委員会の勘定を設けておりますので、その勘定に輸出手形の手取金を、外為委員会の代理人として預け入れるという行為、それからこの委員会の勘定から支払つてもいい、自分の発行しました信用状に基きまして、外国で輸出手形、日本輸入手形が振り出されましたときに、その海外で買い取りました銀行が、委員会の預け入れてある勘定から支払つてもよろしいという、その支払いのさしず、これだけを委任しようとするのでございまして、それ以外に何ら私どもとしまして、事務の委任を考えていないわけであります。御質問は、むしろ外国銀行の支店を内地に開設させて、日本の銀行と同じ地位でもつて競争的に仕事をさせては、日本の銀行が競争に敗れはしないかという御質問だと存じますが、この点につきましては、すでに外国為替銀行ができましたのは昨年の一月からであります。おのずから外国銀行と、日本側の銀行との業務の分野というものが違いまして、外国側の銀行は、むしろ日本側銀行のコルレス先としまして、日本側銀行の輸入に例をとりますならば、信用状を確認するとか、そういう関連した別途の仕事をやつておるわけであります。そういう点で協調的でこそあれ、決して競争的な立場に立つてつている状況はうかがえないのであります。  それからなお外国銀行といたしましては、為替業務をやる以上、どうしても所要の円資金が必要なわけでございますが、当地において十分な円資金を調達するというには、預金を多く持たないという点から判断いたしましても、十分な円資金の手当はできないわけでありますから、自然手広くすべての貿易金融に手を出してやるということは、全然ないのであります。それからなお業務の沿革から申しましても、由来日本側の貿易商社、日本側の銀行と長年の取引もございますし、貿易以外におきましてもいろいろな取引がございます。外国銀行と取引いたします商社といたしましては、原則的には外国の商社の方が多いのであります。外国の商社は御承知の通り、そうたくさんあつて非常にフルに活動しておるという状態ではございません。以上申し上げましたような状況から、日本側の銀行が外銀の支店に圧倒されるというふうな懸念は、私どもまだ持つておらないわけであります。
  43. 深澤義守

    深澤委員 そこでちよつとお伺いいたしておきたいのでありますが、いわゆる東銀の不当優遇問題が、新聞でも相当喧伝されておりました。東銀のユーザンスの残高が非常に不当に多いというような問題で、東銀の内容が非常に困難な事情にあつたということを、われわれは聞いおりますが、その後これはどうなつておりますか。その点をひとつお伺いしておきたい。
  44. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 便宜私からお答え申し上げます。東京銀行については、いろいろうわさがあるようでありますが、調べまして実情を聴取いたしましたところ、決してそういうことはございません。
  45. 深澤義守

    深澤委員 その点はそのくらいにしてもう一点。国際通貨基金に今度加入いたしまして、約二百億かの出資をするのでありますが、これは一体どういうことになりますか。現在の日本の外貨資金を、国際通貨基金へ持つて行くということになるのでありますか。これはどう処理しておるか、その点をひとつ伺いたい。
  46. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 これはむしろ外為の扱つております仕事以外の御質問のように伺いますが、便宜申し上げますと、もし日本が国際通貨基金に加入いたしまして、払込み資金を醵出いたします際には、あるいは外為の持つておりますドル資金政府に売却いたしまして、それをもつて醵出額に充てるということになろうと思います。言いかえれば、外為の会計といたしましてはドルを売つて円を取得する、そういう取引になると思います。
  47. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは三宅則義君。
  48. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は今議題になつております米国日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案、並びにこれに関連をいたしまして質疑をいたしたいと存じます。実は今朝選挙区から来客がありまして、おそくなりまして、同僚議員の質問とダブる点があるかもしれませんが、ダブつた点がありましたならば、なるべく簡略に御答弁を願います。これに関連をいたしまして、見返り資金ということをちよつと最初にお伺いいたしますが、二十六年度で打切りになつて来年度からはない、こういうふうに考えておるわけです。この対日援助見返資金等によりまして、日本の公共事業、たとえば道路とか河川とか、あるいは電源開発とか、あるいは土地改良というような、大いに地方行政面にも役立つてつたのでありますが、今日になりまして、まだ残つておる部分もありまするが、それにつきまして今後どういうふうにお使いになる見通しでありますか。政府当局からこの際承りたいと存じます。
  49. 大島寛一

    大島説明員 お答えいたします。先ほど御質問の方のお話がありましたように、米国の対日援助は打切られると了承しておりますが、見返り資金といたしましては、今後なお若干の過去の援助に見合つた収入を期待できるわけでございます。同時にまた現在におきましても相当の余裕金がございますので、本年度におきましては、今後収入の方も相当額ございまするし、また電源開発でありまするとか、その他支出の方も相当ございます。目下の見込みでございますが、来年三月末、すなわち本年度末におきまして、約三百億程度の余裕金を持つて翌年度に入ることになろうかと思うわけでございます。このように来年度におきましても、若干の余裕金を繰越しておりまするし、また過去におきましていろいろな投資をいたしておりますこれの元利回収等も、目下の見積りによりますと、百億以上期待できる状況でございますので、これらを合せましていかように運用いたしまするか、最も日本経済の安定と再建に役に立ちまするように運用いたしたいと考えております。しかしながら具体的にどういう方向にどういう金額を今後使つて参るかという点につきましては、来年度の予算等その他いろいろな関係もございますので、目下検討中でございます。なおこれに関連いたしまして、本年度におきまして各種の投資を引続き行つておりますが、なお今後におきましても電力、海運、中小企業等の部面に投資を続けて行く予定でございます。ただ御質問の中にありました公共事業という点でございますが、この点につきましては、御承知のように昭和二十五年度におきまして、百十億の公共事業費を見返り資金からも支出いたしまして、道路、河川等の改修、改善その他いろいろな方面に使つて参りましたが、本年度におきましては、見返り資金からは公共事業費は使わないということになつております。なおまた土地改良のお話もございましたが、昨年度までにおきましては、小規模の土地改良等に見返り資金を若干投資して参りましたが、本年度におきましては、新たに農林漁業関係資金融通の特別会計が設立されましたので、一般会計並びに見返り資金からこの方面に資金を繰入れまして、そちらの特別会計の方で、それぞれ所要の資金の融通も行われているわけであります。
  50. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今詳細な御説明がありましたが、私はこういうことを思うので、ひとつ政府もお考えを願いたいと思います。見返り資金については、日本も大分恩恵をこうむつたわけでありまして、現下の急務といたしましては電源開発がありますが、相当これには資力もいるわけでありまして、この電力不足等が産業の発展に非常な阻害になつておる、こういう点を考えるのでありますが、何しろ日本の方も講和が成就しなかつた関係もありましたし、また経済の基礎が確立しないという意味合いにおきまして、外資導入といことはなかなか行われなかつたと私は思うのであります。そこで政府の係官にお伺いすることは少し問題が大きくて、大臣から御答弁願わなければならないかもしれませんが、事務的に一応御質問いたします。日本といたしましては、電源開発を中心考えらるべきものと思いますが、これらについて事務当局では何らか具体的に研究をし、もしくはその方策等を大臣に進言されておるかどうか。そういう問題につきましては、半年や一年くらいではできませんで、数年かからなければそういうことは完了しないと思いますが、これらにつきまして、米国日援助見返資金並びに日本資金等を勘案いたしまして、あるいは外資導入等も考慮に入れまして、どういう見通しをもつて今後の産業発達に貢献しようとしておりますか。この際わかりましたならば説明を願いたいと存じます。
  51. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お話の通りでありまして、現在の日本経済を維持し、安定し、さらに発展させて参りますために、電源の開発、電力の充実ということが最も必要であろうと存じます。この点につきましては、かねがね政府部内におきまして、各関係省との間に具体的な問題として打合せをいたしておりますが、やはり何と申しましても一番重要な問題は、資金の問題のように考えられます。この資金の面につきましては、ただいま御指摘もありましたように、本年度から来年度にかけましても見返り資金を運用して、やはり電源開発に最も重点が置かれることになつております。それから政府資金といたしましては、今後資金運用部を通じて金融債を持つことになりますが、これらの金融債を通して市中銀行に放出されます資金は、これもやはり電源開発に重点を置いて行かれることになると思います。なお開発銀行等におきましても、今後資金の充実と相まちまして、電源開発その他に対しても相当なウエートをもつて資金の融資をいたして参りたい、かように考えております。また資金運用部で引受けております起債の面からいたしましても、県営等公共団体でやつております公営の電源開発、これらの資金も起債のうちでは相当重点を置いて考えて参りたいと思います。その他一般の市中銀行におきます融資につきましても、先般私の名前で、設備資金の融資について、相当重点的にやつて行くようにということを、通達いたしておいたのでありますが、これらの趣旨からいいましても、市中銀行等にいたしましても、電源開発その他造船でありますとか、そういう緊急な産業の設備資金に、重点的に資金を使う方向に指導して参りたい、かように考えている次第であります。具体的な来年度の電源開発に対する資金計画は、目下検討中でありまして、まだ具体的な数字を申し上げる段階に至つておりませんが、できるだけあらゆる方途を講じて、電源開発の資金の確保に努めたい、かように考えております。
  52. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今銀行局長が、政府を代表せられて御答弁になられましたが、私どももそういう線に沿うように努力いたしたいと思います。  これは局長にお伺いするのは畑違いかもしれませんが、電源開発に関連いたしまして火力発電、これは通産省関係でございますが、これも必要欠くべからざる一つの要素であると思いますが、これらに対しましても、相当研究あるいは関係官庁と連絡をとりつつあるかどうか。もちろんあるここと存じますが、もしわかりましたならばこの際承りたいと存じます。
  53. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 ただいま申し上げました電源開発と申しますのは、ただ水力だけでなくて、やはり火力の方面も一環として考えております。たが金額的あるいは希望的には、おのずから水力の方にウエートがかかりますが、火力についても別にこれを軽視いたしておるわけではございません。一緒に一環として考えております。
  54. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 これはちよつと余談になるかもしれませんが、この会計と関連があるかと思いますので伺います。いわゆる進駐軍が使つておりました自動車その他が相当あるわけです。講和が成就いたしますならば、ある程度まで向うの使いました中古品と申しますか、払下げ物資相当あると存じますが、これらに対しまする構想もしくは今後の成行き等につきまして、政府はどう考えておるか承りたいと存じます。
  55. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 この車両関係の中古品につきましては、従来はまず軍払下げ物資の中に含めまして放出いたしておつたわけでございます。たとえて申しますとトラックであるとか、あるいはブルトーザー、そういつたようないろいろ雑多な車両がございますが、これは大体今度のQM物資、いわゆる八軍からの払下げ物資の中にほとんど含まれておるのでございまして、八軍といたしまして、一応まだ使用には耐えますけれども、相当古くなつた場合におきましては、QM物資として放出いたしておつたのであります。それから従来は、乗用車につきましてはあまり放出はなかつたのでありまして、原則として乗用車以外の車を放出いたしたにすぎません。乗用車につきましてはごく最近のことでございます。これが従来の向うの放出の状況でございましたが、今後におきましては進駐軍の撤退その他に伴いまして、相当自動車が余つて来るのじやないかと思います。これを一々向うが船に積んで持つて行くというとは、おそらくございませんで、今までのトラックその他の車両類の放出に加えまして、さらにこの乗用車の放出というものも相当出て来るのじやないかと思うのであります。それはぽつぽつ市中にも見えて来ておるのでありますが、将来の形態といたしましては、日本政府といたしましても、極力これの払下げというものについて努力いたしまするとともに、またその払下げ価格につきましても十分考慮いたしまして、さらに日本の車両の量並びに質の改善といつたことに努力しなければならないのであります。大体以上のような状況になつておりまするが、将来もこの車両の問題につきましては、日本政府といたしましては鋭意努力しておるということを、ひとつ御了解願いたいと思います。
  56. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 時間の関係上もう一点だけにいたしますが、政府はこの対日援助見返資金その他の物資等につきましても、相当考慮を払つておることでございまするが、今後の成行き等を考慮に入れまして、私どもは日本の産業の開発には、やはりいわゆる外資導入と申しますか、資金なり物資なりの融通等が、重点的に考えらるべきものと思つております。この際これはちよつとまた見当違いかもしれませんが、重要産業につきまして、機械等もこの前特別に償却するというわけで、大蔵委員会が通しておりまするが、今後もこういうようなものは、外国から日本相当輸入される見通しでありましようか。通産委員会でなければわからぬかもしれませんが、もしも今後の開発等を考慮に入れまして、電源開発はもちろんのこと、中小企業の面でももちろん必要でありまするが、ともに重点的に、機械の精功なもの等につきましては、外国のよいものを入れまして、日本の産業の開発に処しなければならぬと思いまするが、これらの見通しについて、最近の情報をもう一度承りたいと存じます。
  57. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 機械の輸入につきましては、毎期の予算編成にあたりまして、今御質疑がありましたような趣旨で、できるだけ多く組んでおります。ドル地域、スターリング地域あるいはオープン・アカウントの地域からの輸入について、実際問題としてそう不自由はない程度に、予算の編成はいたしております。従つて国内の機械で間に合うというようなものにつきましては別でありますが、今お話がありましたような種類の機械については、輸入について困難は全然ないのじやないかというように考えております。ただ実際問題といたしまして、機械は製造にかなり時間もかかりまするので、許可をいたしましても、実際現物が入るまでにかなり日数もかかりますし、また海外からは前金等もかなり要求をしますので、実際こちらで買う方も、普通の物資を買うようなぐあいに、ちよつと金融的に参らぬというような点で、金が少し間広にいるというような関係があつて、そういう面の支障は若干ございますが、予算の上それから許可のぐあいから申しますと、ほとんど何ら困難がないというようにお考えつてさしつかえなかろうと思います。
  58. 高田富之

    ○高田(富)委員 ただいまの御質問に関連しまして、この見返り資金関係で一点だけお伺いしたいと思うのですが、対日援助が先ほどの御説明にもありました通り、明年度から打切られる状況にある。それに対しまして、今まで援助物資の見返りとして積み立てられた余裕金、及び今後の元利の回収されて来るもの、こういうものは見返り資金として今後引続いて残るわけであります。講和条約発効も間近いという政府の見通しに立つて、一方新たな援助もなくなり、また独立国として、講和条約発効経済施策等についても、大幅に権限が委譲されるということを言つておるのでありますが、そうしますと、債務の方は平和条約によつて債務として承認された形になつておりますけれども、これは積み立てられた円資金関係がないというさつきの御説明でありまして、従つて積み立てられた円資金につきましては、今後これの使用とか貸付条件その他につきましても、従来のような一々詳細にわたる計画、それから実施面のさしず等は、総司令部というものもなくなるのですから、これが全部なくなりまして、すべての運営上の権限は、日本側に完全に委譲されるものというふうに考えてよろしゆうございますか。
  59. 大島寛一

    大島説明員 ただいまの御質問に概略お答えいたします。見返り資金は、御承知の通り現在におきましては、総司令部の覚書に基きまして設置運営されております。その覚書の中におきまして、見返り資金の運用につきましては、司令部の承認を要するということになつております。その実情は、最初見返り資金ができました当時に比べますと、最近におきましてはかなり承認を要する事項も大まかになりつつあります。将来の点についてのお尋ねでございますが、これはなお今後におきまして処理される問題であろうと存じますが、目下のところ、いかように相なるかにつきまして、はつきりしたお答えをする状況に立ち至つておりません。なお御参考までに一言申し上げますと、イギリス、フランス等のヨーロッパの諸国におきましても、マーシャル援助に見合う見返り資金という制度がございます。これらの国においても、見返り資金につきましては、アメリカの承認を得て使うという建前になつております。
  60. 高田富之

    ○高田(富)委員 これは贈与の場合、完全にもらつたものであれば、もらうときの条件で、ただくれるのでなく、使い方をこういうようにするのならくれてやるというふうなことで、ある程度の話合いのもとに、くれる方の意向と、もらう方の意向との合致点において、使途もおのずから制限されることもあると思います。しかしこれは借りたのだということが明確になりますと、今後の問題は、これをどう返済するか、返済計画をどういうふうに立てて行くか、あるいは幾らかまけてもらうとか、いろいろそういう点での折衝問題は残ると思いますけれども、その見返りとして積み立てられた金の方の問題は、全然これは切り離されて来るということが、今度明確になつたのじやないかと思うのであります。その点について、もうああいう条約ができてしまつたのですから、今後の折衝というのはちよつとおかしいのじやないか。ああいうことを日本政府がとりきめた以上は、やはり見返り資金につきましても、今度ははつきりと、この方の使用方法はこうだということについても、了解が当然あつてしかるべきだと思うのですが、ただいまのお答えによりまして、まだそれがないということになりますと、何か積み立てた金が担保に入つているような——切り離されているという御説明と矛盾して、外貨による借金というものと切り離されておらぬということが、明らかになつたと思うのです。それは、そういう点を明らかにする程度にとどめますが、さらにこれと関連しまして、ただいま問題になつておる軍の払下げの問題ですが、これも今後駐留軍ということになり、駐留軍が日本にとどまるということになつて、この駐留軍の数なども行政協定できまるのでしようが、おそらく相当増強されるのではないかというふうに予想されております。そうしますと、こういうふうな払下げ関係のものも、従来よりも場合によりますと相当多量に、いろいろなものが駐留軍関係で払い下げられる見通しがあるのではないかと思います。これについてはどういうふうに処理するか。これをちよつとお伺いしておきたいのであります。
  61. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 軍払下げ物資につきましては、さきに申し上げましたように、あくまで援助物資と同じような性格を持つておるのでありまして、SIM物資につきましては昭和二十五年八月末に打切られ、QM物資につきましても、払下げ援助物資が六月末に打切られておりますので、これと呼応いたしまして、一応この放出というものは打切られておるわけでございます。従つて将来は直接どういう形で払下げがあるか知りませんけれども、援助物資に準ずるところの軍払い下げ物資としての放出という考えは今後はない、こういうふうに考えております。
  62. 高田富之

    ○高田(富)委員 それから外国為替に関連する質問一ついたしたいと思うのですが、食糧の輸入関係で、昭和二十六年度は輸入計画としては、たしか三百二十万トンの輸入計画があつたと思うのでありますが、これに対する外貨の割当はどういうふうになつておりますか。
  63. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 まだ年間の三百二十万トン輸入計画のうちの途中でありますから、はつきりしたことは申し上げにくいのでありますが、現在までのところは、予算の編成におきましても、輸入の状況におきましても、順調に推移して参つております。従いまして今の三百二十万トンという目標は、われわれとしましては、確実に外貨面からは実施できるというふうに考えております。場合によれば、何がしか増加することも可能ではないかというふうに考えて、今研究いたしております。今言われました三百二十万トン目標につきましては、何ら外貨予算上からは実施に支障はないというふうに見通しております。
  64. 高田富之

    ○高田(富)委員 昭和二十七年度の見通しとしてはどうですか。特に食糧輸入と外貨の関係は……。
  65. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 昭和二十七年度の方はまだはつきりしておりませんので、あるいは安本あたりから御説明つた方がいいのかもしれません。われわれ通産省としてタッチしておりますところから言いますと、まだ二十七年度としてははつきりしておらぬのじやないかというふうに考えております。
  66. 深澤義守

    深澤委員 ちよつと関連して——今度の米の統制撤廃にからんで、輸入食糧について政府がいろいろな意向を発表しておるようであります。それによりますと、昭和二十六年度の三百二十万トンを増して、四百万トン程度の輸入をするのだというような宣伝も、新聞等においてわれわれは見たのでありますが、これに対する外貨というものが、先ほどもちよつと申し上げましたように、今後ドル不足という問題が予想される要素が非常にたくさんありますので、結局今年度より百万トンも多く輸入する外貨の割当は、非常に困難に逢着するのではないかというふうにわれわれは考えおります。そういう点はおそらく政府部内でも、ああいうぐあいに新聞にも出るのでありますから、論議が重ねられているとわれわれは考えるのですが、そういう点について、通産省当局方面で何かそういう見通し、あるいは検討をされた結論があるかどうか。あるいはまた御意見がありましたら拝聴したい。もう一つは、外為委員会の方でもそういう問題について見通しがございましたら、ひとつお伺いしたいと思います。
  67. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 今のお尋ねに対しますお答えは、安本なりあるいは農林省の方から答えられる方が、筋かと思うのでありますが、われわれ輸入を実施するという面にタッチしている側から申し上げますと、先ほど大久保政府委員からもお話がありましたが、少くともさしあたりの外貨事情は必ずしも問題はないわけであります。これはほかの商品との関係もありまして、あまり食糧をふやすと、ほかの商品に響くというような問題も起りますが、今統制撤廃に関連していろいろい議論をされおられました数字程度は、事務当局としては、予算上輸入が可能であるというような数字も出ておるくらいであります。来年度のはつきりした見通しは、われわれの方はよくわかりませんが、かなり増加することは可能であるというふうに考えております。
  68. 深澤義守

    深澤委員 外為委員会の方にお伺いしたいのでありますが、外貨の割当ということについては、優先順位というものが大体おありになるのじやないかと思うのでありますが、その優先順位はどういうものが優先するのか。その点順位がありましたら、ひとつお伺いしたいのであります。
  69. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 輸入におきまして外貨をどういうふうに割当てるかという方式は、ただいま三つございます。一つは自動承認制というのでございまして、これはある百数種の品目を限定いたしまして、その品目の輸入については、為替銀行に輸入許可申請を出しますれば、こちらの予算とにらみ合せて、半自動的に許可をおろして行くという、かなり自由な方法、それからもう一つの方式は、外貨資金の割当でございまして、これはたとえば輸入物資のメーカーが非常に限定されており、割当が技術的にもそういう関係で可能なもの、こういうものについては、通産省に割当の申請をいたしまして、そうして通産省の方で予算とにらみ合せてこれの割当を行います。一方割当てられますものが、外貨の実際のポジシヨンと照し合せてどうかというので、割当を行います前には、通産省の方から外為に御相談をいただいておるのですが、そういう方式がございます。それからもう一つは、先着順方式というものがございまして、これはきわめて少数の、あまり重要でないものなのでございますが、一定の外貨のわくをきめまして、輸入公表と同時に、それを輸入したい人は輸入申請を出す。そうしていわば早い者勝ちでもつて、この物資に対して外貨の許可をおろして行く、そういう方式があるわけであります。大体そういう三つの方式を組み合せまして、おのずからそこに輸入物資の優先順位というものが生じておるわけであります。
  70. 深澤義守

    深澤委員 今のは、手続方面からの分類のようにわれわれは聞いているのでありますが、そうでなしに、日本経済にとつて必要なものは一体何であるか。あるいは稀少物資であるとか、あるいは重要産業の基礎物資であるとかいうようなものが、当然輸入の場合には先行すると思うのですが、そういうような物の面から、優先順位というものを考えられて行くのが、当然ではないかと思うのですが、そういうことはないのですか。
  71. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 これはおのずから日本輸入する物資について、緊要性というものをもちろん考慮いたします。そうして外貨予算というものを編成するわけであります。外貨予算にその緊要性というものが現われて参つておるわけであります。
  72. 宮幡靖

    宮幡委員 大蔵委員会の出席があまりよくないので、これは委員長からおとりはからいになりまして、出席を促していただくようにお願いいたします。もし御出席ができないような委員は、この際変更していただいてもけつこうでございます。これに関連しまして一つお願いしたいのは、これは決して共産党の方に苦情を申し上げるのではありませんが、三宅委員の質問に対する関連質問であります。関連質問が次から次へとわたつて参りました場合には、おそらく委員会の議事の進行というものは困難になると思います。これはなごやかな大蔵委員会だからよろしいのでありますが、予算委員会などにおきましては問題になると思います。御自由に御質疑なさつてよろしいのですが、正常な手続に従つてつていただきたい。とにかく慣例を重んじて、関連質問なら関連質問の範囲においてやつていただきたい。関連質問が次から次へと移つて参るということは、やはり統制がとれないと思いますから、その点も特に御注意願いたい。特に前段申し上げましたように、委員の御出席を促されまして、議事準行にさしつかえないようにして、そうしてこの大蔵委員会の運営がスムースに行くように御配慮を賜わりたいと思います。
  73. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 了承いたしました。次は宮幡靖君。
  74. 宮幡靖

    宮幡委員 もう時間の関係もありますので、殺人的な質問をする必要もないと思います。やはり飯を食うときは、飯を食うようにいたしましてやるのが正当だと思いますので、本日の質問は、もし午後ありましたら継続させていただきます。従いまして午前中の部としての質問は、この際御遠慮申し上げたいと思います。さようおとりはからいを願います。
  75. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの宮幡君の御意見でありますが、委員長としても宮幡君の通告順になつておりましたが、たまたま高田君から関連事項ということで御質問がありましたので、この際に野党の方々に何か花を持たせる——というのもどうかと思いますけれども、委員長としては十分に好意をもつて認めたということになつておりますので、今後ともどうぞ野党の方々は御協力願いたいと思います。  それでは休憩いたします。午後は一時半から会議を開きます。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  76. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  午前中に引続き、一般会計歳出財源に充てるための資金運用部特別会計からする繰入金に関する法律案外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案、及び米国日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案の三案に対する質疑を続行いたします。有田君。
  77. 有田二郎

    ○有田(二)委員 大久保外為委員もお見えになつておりますから、一言お聞きしたい点は、前の大蔵次官の当時、大蔵省と外為委員会との間がうまく行つていなくて、特に大蔵省としては、予算の面で主計局が外為委員会を締めるというようなことがあつて、新聞にも外為委員会と大蔵省のトラブルが報道されたことは、御存じの通りであります。最近はそういうことがないかどうか。外為委員の大久保さんにお聞きしたいと思います。
  78. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 外為委員会が創設されましてから、外為委員会の仕事はもつぱら外貨資金の操作、運用という面でございまして、外貨の運営自体は国内の財政金融問題と非常に密接に関連いたしますので、現に外為特別会計の円資金につきましても、予算措置が必要であるという一つの面もございます。そういつた関係がございまして、その運営自体につきまして、委員会と他の官庁の方々との意見の食い違いあるいは考え方の相違、そういう点が若干ございましたことは真実でございます。これは私どもといたしまして、新しい為替管理機構がまつたく従来の戦前における外国為替管理の機構、それから運営の仕方というものと異なつております点、それから何分早々にこの仕組みをつくつたために、関係者が管理自体についてふなれであるという点もあつたと思います。私どもといたしましてはそういう点がありましたのを非常に遺憾に存じまして、十分の反省をいたした点がございます。ところで本年の春になりまして、従来総司令部が管理していた日本の外貨資金を、講和の発効前に日本政府のしかるべき機関に委譲して、その政府の責任においてこれを運営させるという意向が伝えられまして、同時にそれではどういう機関にこの外貨資金の委譲をやるかと、政府の意向を照会されたことがございました。これは為替管理の機関及び手続につきまして、今後はできるだけ永続感を与えるのが海外に対する信用保持上も必要だ、ついてはあらためてどういう機関に担当させるのがいいということを、照会されたものと推測いたすのでございます。その機会に政府の部内におきまして検討されまして、結論として従前通り外国為替管理委員会に、この際としては管理運営させるということが決定されまして、総司令部に通告がございました。それに従いまして外貨の移管が委員会に対して行われたわけでございます。その機会に外国為替管理委員会の所掌の仕事につきまして、大蔵当局と十分連絡し、協議すべきものにつきましては、大蔵大臣、大蔵次官、日銀総裁、それから私どもの委員長を交えました定期的な会合を新たに設けまして、そこで十分御相談の上、外為の運営をはかつて行くということになりまして、それに付随して事務局との連絡も定期的にやつておりまして、ただいままでその点につきましてはしごく円滑に参つておるものと信じております。大体以上のような事情にございます。
  79. 有田二郎

    ○有田(二)委員 了承したのですが、銀行局長にお尋ねしたい点は、外為委員会の存置ということは結局国会において決定される問題であつて、外為委員会が存置する限りにおいて、やはりそれに対して大蔵省としても十分協力し、進展さすべきものであると私は考えておりますが、前大蔵次官当時でありましたか、また前銀行局長当時でありましたか、遺憾ながら一つのトラブルがあつた。しかし今大久保外為委員からの説明を聞きますと、非常に最近はうまく行つておるというお話でありますし、また新銀行局長としては、おそらくさような方針でおやりになつておられるだろうと私は思つておりますが、その点についての銀行局長の御所見を承りたいと思います。
  80. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 ただいま大久保政府委員からお話がございました通り、現在におきましては、運用面につきましていろいろ定期的な会合を設けて、円滑に事務を処理いたしております。ただ仕事の上ですから、いろいろ見解の相違はもちろんございますけれども、これはやはりおのおのの立場から処理すべき問題でありまして、感情的にいたずらに対立するような問題は現在ございません。今後もそういうような方針でもつて運営して参りたい、かように考えております。
  81. 有田二郎

    ○有田(二)委員 さらに銀行局長にお尋ねいたしたいのでありますが、現状のわが日本アメリカと異なりまして、資本主義政党と社会主義政党が、国会並びに国の中において血みどろな闘いをやつておる。戦後第二回目の選挙には社会主義政党である社会党が第一党を占めて、片山内閣ができましたことは御存じの通りであります。アメリカの場合には民主党、共和党ともに資本主義政党でありまして、日本の以前の政友会、民政党の時代とかわらないのでありますが、今日の日本の国会のあり方というものは、資本主義と社会主義の血みどろな闘いであると申しても過言でないと思うのであります。従つて今日日銀政策委員会というものは、過去において関係方面の示唆もあつてできたものでありますが、アメリカにおいてはかような制度は非常にいい制度であると考えられるのでありますが、日本のような状態にあるところでは、こういうあいまい模糊な日銀政策委員会というものに、金融の責任を持たせることは妥当でない。あくまでも資本主義と社会主義の闘いの中にあるところの日本にあつては、政府が責任を持つというのであらねばならぬと私は考えるのでありまして、この日銀政策委員会というものはすみやかに廃止をしまして、これにかわるべき対策を講じて、政府みずからが金融の責任をとるべきものである。かような見解を持つものでありますが、銀行局長の御所見を承りたいと思います。
  82. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 金融行政に対する最終の責任は、今お話のように、国会に対して責任をとつておる大蔵大臣にあるものと私は考えております。御指摘の日銀政策委員会を廃止してはどうかという御意見は、ごもつともな点も多々あると思います。ただこの問題はいろいろな点から慎重に検討を要すると思いますので、金融行政全体のあり方の問題として、現在できております政策委員会というものの意義、あるいはその実績等も十分検討した上、慎重に判断をしなければならぬ問題であると考えております。目下その問題につきましてもいいろな点で検討を加えておりますが、ただいまはつきりした結論を申し上げる段階にございません。御了承いただきたいと思います。
  83. 有田二郎

    ○有田(二)委員 でき得る限りすみやかに日銀政策委員会を廃止して、他の方向に向かわれることを私は希望いたしてこの点の質問を終ります。  さらに日本銀行の問題でありますが、私先般本委員会の小山、奥村両委員とともに北海道に国政調査に参りました。そのときの感想としましては、北海道には現在札幌、小樽、函館の三支店がありまして、さらに来年の四月からは釧路に支店が設けられることとなり、ただいま建築中であります。こういうような状態を見て、一例をあげますと、函館の場合のごときは実に預金が二十二億、貸出しが二十七億という非常にちつぽけなものであります。ここに私は支店の存在は必要がない、かような感じを受けたのであります。また小樽にいたしましても、札幌と近々一時間以内で行けるところでありますし、札幌に支店があれば、小樽の支店は必要ない。また釧路も将来大いに必要なところでありますけれども、釧路、小樽、函館は出張所であつても十分その仕事ができるのじやないか。北海道は札幌一店、他の釧路、函館、小樽は出張所でもいい、かような結論を持つてつたのであります。同時に全国的にもかようなところがあるのではないか。特に私の仄聞するところでは、戦前日本銀行は約二千五、六百人の職員であつたのが、今日は実に九千三百余人という多数の行員を持つておる。従つて機構の点においても相当整理の必要がある。今日中央においても地方においても行政整理が断行され、過去において数回の機構改革と行政整理が断行されたことは御存じの通りであり、また今日においても行政整理が今俎上に上り、本国会において審議されているところであることは御存じの通りであります。従つて日本銀行の機構並びに日本銀行の人員の整理についても、大蔵省としては十分お考えになつておられますし、特に銀行局長は日銀監理官を兼務しておられますので、この点に対する御所見を承りたいと思います。
  84. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お尋ねの点は、日本銀行の支店あるいは事務所等の整理の問題と、人員の整理の問題についてのお話であろうと思います。  第一点の支店の問題につきましては、現在御承知の通り日本銀行は二十九の支店と二十二の事務所を持つております。こういうふうに非常に厖大な数に上る地方機構を持つておりますのは、実は沿革的な理由が大部分であります。戦争中いろいろ地方分権と申しますか、地方に中心を置いて、地方限りで片づけるような仕組みをとらねばならなかつたという事情、また戦時中から敗戦後にかけまして、金融調整のいわば国家の仕事を、相当日本銀行をして取扱わしめて参りました関係上、これらの手足を各地に相当数置く必要があつたのであります。しかしながら最近に至りまして、事情はこれらの点につきまして相当な変化を来しております。かたがた日本銀行自体としての機構を簡素にし、また合理化して行く必要のありますことは、今御指摘の通り私どももまつたく同感に考えておる次第であります。日本銀行当局におきましても、この点については従来から真剣に検討を加えて参つておりますが、近く数箇所の事務所の廃止を実行いたす予定でございまして、これは第一次としてとりあえず行つて参るわけであります。その他支店の廃止あるいは支店の事務所への格下げ、それらの点につきましても、今後一層真剣に検討が加えられて参る予定であります。御指摘の具体的な問題として北海道のお話があつたのでありますが、北海道はお話のように今三支店で、近く釧路に支店ができることになつております。この釧路の問題は、少し話がそれますけれども、地理的な関係でどうしてもあの地域に設ける必要が、実は起つたわけであります。しかしながらこの釧路の問題を抜きにいたしましても、あの札幌、小樽、函館の三つの支店は必要でないじやないかという御意見であります。ごもつともな点が非常に多いと思います。具体的に今申し上げました全国的な日本銀行の店舗の整理の一環として、この問題を至急検討させて参りたいと考えております。ただいま具体的にどことどこの支店を整理するということまで、申し上げる段階には至つておりませんが、御趣旨の点はごもつともな点が非常に多いと思いますので、十分御趣旨に沿つて検討を加えて参りたい、かように考えております。  次に人員の問題であります。人員の問題も、今お話のように戦争前と申しますか、平常のときにおきましては、大体三千人前後であつたかと思うのでありますが、現存ではお話のように九千人を越えております。こういうふうに厖大な人員を要するようになりましたのは、先ほど申し上げましたように、日本銀行の店が非常にふえましたことと相関連いたしまして、その大きな原因一つは、やはり国家事務を相当大量に日本銀行をして取扱わしめて参つたことによるのであります。この点は今後においても国家事務は相当残りますけれども、たとえば金融調整の事務、具体的な資金調整等につきましては事情がかわつて参りまして、これらの方の仕事は相当つてつております。また日本銀行自体が特別銀行として、また納付金という制度を通じて国家の財政に直和いたしておると申しますか、国家財政と非常に緊密に結びついているという観点からいたしますならば、今お話のように、財政上の見地に影響するところが非常に大きいのであります。この点からも、普通の市中の金融機関に対しても、私どもは極力経費の節減をはかつて、サービスの向上に充てるようにということを申しておるのであります。この点におきましては、日本銀行についてさらに一段とその必要性が強いというふうに私も考えます。人員の簡素合理化、機構の簡素合理化等につきましては、お示しのような線で今後も具体的に検討を進めて参りたい、かように考えております。
  85. 有田二郎

    ○有田(二)委員 昨年の八月に奥村委員と、社会党の田中織之進委員と私とが大阪に参りまして、当時国税局に話しまして、日銀大阪支店の課長以上の源泉課税の報告を受けたのであります。そのうち大阪支店の一課長の給与が、昨年の八月に月額五万五、六千円、年間ボーナスが十一万円というようなものであつたのであります。その後日銀総裁の一万田氏と会いましたところが、それは公務員の給料が安過ぎるのであつて、日銀の給料はあたりまえであるという一万田総裁の話であつたけれども、われわれ国会議員並びに公務員の給与は関係方面の許可を要するのであるが、日銀の給与については国家並びに大蔵省の監督のもとに置かれておる。しかし当時一年有半日銀監理官が空席のままに置かれておつた一昨年の八月に、突如として倍額の給与の増額をしたというようなことに対する当時の銀行局の監督不行届きの点もあり、また日銀監理官が一年有半も空席のままに置かれておつたために、こういうような非常な給与になりまして、公務員と比較してお話にならぬ。当時大蔵大臣の池田氏の話でありましたが、同じ兄弟を日銀とそれから大蔵省に入れておつた。兄さんは四年前に大蔵省に入れて、そうして最近弟を日銀に入れた。ところが、最近入つた弟の方が兄さんの給料の倍に近いものである。非常に困つたものだということを、池田大蔵大臣みずからが私に漏らしておつたのでありまするが、私は一万田氏の、さような公務員の給与が安過ぎるというような不都合千万な答弁に、まことに憤慨をしたのでありまして、十分自粛するようにということを申し上げました。さらに昨年のボーナスは五千万円の増額がそのまま削られたり、あるいは資金局並びに銀行協会を通じてあそこに二十億計上しており、本年度の予算の中に五億という頭を出して来ておつたのも、これも大蔵省から削られて、昨年は日本銀行から三十五億という国庫納付金の予定が、五十一億三千万円にふえたのは、大蔵当局の努力の結果でありまするが、とにかく日銀それ自体も非常に自粛をさるべきであるということは、大蔵大臣も私たちもともに同じ感じであります。また一万田氏もわれわれの話に耳を貸しまして、その後支店長会議にもこの自粛の方針を厳命しまして、今日では日銀全体としては漸次自粛の方向に向つておりましたが、その後私が調べましたところでは、家賃が坪当り四円、六円、八円、公務員の家賃が一坪六十五円であるにもかかわらず、日本銀行の家賃が四円、六円、八円、給与は公務員の三倍も四倍も五倍もとつておりながら、家賃は公務員の十分の一、かような不都合な点もある。また日本銀行の中には一つの親睦の会がある。それらの金の使途についても非常に問題があるのであります。当時できました日本銀行の監理官——銀行局長の前任監理官の努力、並びに現在の銀行局長の努力によつて、現在は漸次是正されつつあることは事実でありますが、とにかくさらにこの経費の点において御検討願いたい。特に日銀の一人当りの物件費が二万円前後であります。さらに興業銀行、勧業銀行は物件費一人当り一万七、八千円、それに対して市中銀行の一番最高は富士銀行で、一人当り物件費が年額一万円、大阪における銀行では、大阪銀行は最高で七千五百円であります。地方銀行はいずれも五千円以下という状態でありまして、これら日銀、勧銀、興銀の一人当りの物件費については、それぞれもちろん事情はありまするけれども、私はもつとこれに対して自粛していただく必要があるのじやないか。そうしてこういう物件費の節約によつて一般利子の引上げ、あるいは貸出し利子の引下げとか、いろいろな面が考えられて来ると思うのでありますが、銀行局長の御所見を承りたいと思います。
  86. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お尋ねの第一点は、日本銀行についてさらに経費の節減をはかるべき余地が多々あるから、この点についてさらにしつかりやれというお話でございます。一般論としてまことにごもつともでありまして、まだ十分なところまで参つておりませんが、日本銀行としての特殊性から、さらに経費の節減を進めて参ることにつきましては、今後さらに微力を尽して参りたいと考えております。お話のございました納付金の点につきましても、本年の予算は五十一億でありましたが、現在のところではおそらく八十三、四億程度の納付金になるかと思つております。これらの点から申しましてもできるだけ自粛をして、国家財政にわずかながらも寄与し得るように進めて参りたい、かように考えておる次第であります。  次に、勧銀、興銀、日銀等が、一般の銀行に比べて物件費が非常に高いから、これについてさらに節約をする必要がある、こういうお話であります。非常にお詳しい数字で、私ども実はそこまで調べたことはないのでありますが、物件費と申しましても、まあどういうふうなとり方をいたしますかによつて非常に違つて参ります。広い意味の物件費ということになりますと、たとえば日本銀行では銀行券を印刷いたしております。これらの費用まで物件費といたしますと、相当多額の金額に相なつて参るわけであります。また勧業銀行、興業銀行におきましては金融債を発行いたしております。ほかの銀行でやつておりません金融債を発行いたしますために、これに対するいわゆる物件費的な経費というものが、相当多額に上つて参るといつたような特殊の事情があるかと思います。これらの特殊の事情を捨象いたしました場合に、どういう関係になるかという点につきましては、はなはだ申訳ないのでありますけれども、まだそこまで数字的な検討を実は加えておりませんので、何ともお答えができないわけでありますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、一般の金融機関、特に日本銀行とか興業銀行、勧業銀行等につきましては、経費をできるだけ節約し合理化して、預金者なりあるいは取引者に対するサービスの向上に向けて行くという方向へ、私ども極力指導をいたしておるわけであります。今後におきましても御指摘の点は十分調査いたしまして、濫に流れているような点がございましたら、そういうことのないようにできるだけ注意をいたして参りたい、かように考えております。
  87. 有田二郎

    ○有田(二)委員 銀行局長が日銀の紙幣の発行についてお話でありましたが、実はそういうものを入れますと、一人当りの物件費が二万四千数百円になるのであります。そういう経費を引きまして二万円前後、大体日銀の一人当りの物件費がそういう特殊な事情を除いて二万円前後、それから勧銀、興銀の一万七、八千円と申しました中には、金融債の費用も入つておるのでありまするが、これらはやはり政府一つの機関であつたものが、一般市中銀行にかわつてつたので、これらにはなお整理の余地がある。しかしながら、もちろん興銀あたりは支店の数が非常に少いのでありまして、大学出が非常に多い関係上、物件費が高いという説明を川北総裁からも聞いたのであります。そういう点は幾分あろうかと思うのでありまするが、全体に比較的高いということは、私は言い得られると思うのでありまして、この点十分御検討を賜わりたいと思うのであります。  またただいま日銀の人員の整理あるいは機構の改革の問題で、局長からもお話がありましたが、一般普通銀行の人員整理あるいは普通銀行の機構の改革等についても、銀行側において自主的に十分お考えつて、いよいよ講話条約が批准になつて独立国家になりました日本のこれからの金融界のあり方、日本の産業のあり方を考えてみまするときに、どうしてもそういう点に十分検討を加えて自粛する必要があるのではないか、かような見解を持つているのでありまして、この点に対する銀行局長の御所見を承りたいと思います。
  88. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 御説ごもつともであります。先ほど来申し上げておりますように、単に日本銀行あるいは旧特殊銀行でありました興銀、勧銀だけでなくして、一般金融機関のあり方といたしましても、十分経費の節減をはかつてサービスの向上に充てるということに、今後も努力をして参りたいと思います。私就任いたしましてからすぐ、大蔵大臣の命によりまして各銀行へ通達をいたしましたうちにも、この場合には幾つかの問題を指摘いたしたのでありますが、そのうちの一つの大きな項目として、今お話のような経費の節減を極力はかつて、サービスの向上に向けるということをうたつてあるわけで、この趣旨によつて今後も指導して参りたい、かように考えております。
  89. 有田二郎

    ○有田(二)委員 最後に一点。検査部の検査の御方針並びに銀行局としての御指導の方鉱に対して、私の意見を一言申し上げて、私の質疑を終りたいと思います。  実は先般私の選挙区の大阪でありますが、こういうことがあつたのであります。裸一貫で引揚げて参りまして、そうしてある銀行の支店の銀行員になつた。それがわずか二年ほどの間にすつかり金をこしらえて、りつぱな家をこしらえて、最近では高利貸しをしている。その附近の選挙民から私は非常な非難を受けたのでありますが、こういつた事態については、小さい問題でありますが、各銀行の頭取におかれても、十分かような監督をなされなければならぬと考えます。私の今まで調査しました中で、銀行の脱税問題をいろいろ調べましたが、本店の脱税というものはほとんどないのでありまして、支店において脱税をされる。支店でいろいろな悪いことが行われておりますが、どういう悪いことが行われておりますかと申しますと、本店の命令でやつているものが一点、支店長が自分みずからの私腹をこやすためにやつているのが一点、さらに支店の厚生費あるいは職員の待遇その他の問題にいるところの金をもうけるためにやつているのが一点、この三点をあげることができるのであります。その第一点の本店から命令されてやる分については、問題が起りましたときにその支店長を首にして、その支店長と検察庁の問題だけにしておいて、銀行は知らないという逃げ方をして行くのであります。そうしてその問題が解決して、一定の年限がたつたところで、その人間をその銀行と特殊の関係にある会社の重役に入れるというようなこと行われているやに、私どもは聞いているのであります。銀行の検査あるいは銀行の指導、この二点におきまして私は十分御検討を願いたいのであります。いろいろな今日浮貸しがあり、いろいろな問題が各銀行ともに枚挙にいとまなく起つて平ている。その根本をひとつ正していただいて——支店長だけの責任で銀行の本店には何らの責任がないかのごとく、法律的には一応逃げられますけれども、その実際はちやんと本店から連絡が行つてつて、そうして支店長にいろいろな浮貸しをやらせ、いろいろなことをやらして、そうして上つた利益を本店のいろいろな重役の交際費とか、費用に使われているという事実も、私ども仄聞いたしているのであります。従いまして銀行の指導検査、これについて十分ひとつ将来とも御検討願いたい。先般の通産省、公団の早船問題のごときも、その早船、川村、井上というのは今日裁判になつて、懲役十年というような判決を一応受けておりますが、その片棒をかついだ東京銀行の銀座支店、富士銀行の室町支店、富士銀行の築地支店、第一信託銀行、この四行の当時の片棒をかついだ連中は今どういうことをしているか。ある支店ではその支店から仙台の支店長に栄転して行つたり、あるいはそれぞれ栄進の道をたどつている。こういうふうな早船、川村、井上だけであれだけの大きな仕事はできないのであります。この一面に銀行が片棒をかついでいるというような問題も、十分ひとつ御検討願いまして、銀行それ自体の自粛と自戒を私は要望するのであります。銀行局としても十分御監督と御指導を賜わりたいと思うのでありまするが、銀行局長の御所見を承りたいと思うのであります。
  90. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お話の点は、はなはだ遺憾な問題でありまして、不正事件がいろいろな点で続出いたしますことを、私どもは国民各位に対しても、非常に申訳なく存じておるのであります。私どもはかねがねいろいろな銀行当局者の会合等におきましては、これらの不正事件の絶滅を期するようにということを、実は口をすつぱくして申しております。また検査にいたしましても、これらの点も十分注意をいたして検査しておりますし、またお話のような支店において、いろいろ問題があるという点もありまして、従来は本店を中心にして検査をいたしておつたのでありますが、現在では支店についても、相当多数の支店を検査いたしておるようなわけであります。個々の具体的問題につきましては、たとえば今御指摘の早船事件について、どういう関係にあるか等の問題につきましては、これはいろいろ具体的に調査をいたして参らなければならぬと思いますけれども、一般的な問題といたしましては、やはり有田さんの御指摘の通りである。今後もますますこの点につきましては十分注意をいたしまして、検査等にあたりましても、そういう遺憾の点のないように指導をして参りたい、かように考えております。
  91. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この提案繰入金ですが、この積立金はどういうふうにしてできたか。この内容の御説明がありましたか。私ちよつと委員会を欠席しておりましたので何ですが、その内容を御説明願います。
  92. 上東野正二

    ○上東野説明員 昭和二十四年におきまして、二十五年度の予算を編成する場合におきましては、まだ運用につきましていろいろ制限がございましたので、十分二十五年度の状況がわからなかつたのでございます。その後におきまして、昭和二十五年度に入りまして、漸次運用方面も制限を解かれましたので、主としてこの剰余が出て参りましたのは、公団の貸付とかあるいは金融機関に対する預金というような関係で、当初予想されなかつた剰余が出て参りました。それが昭和二十五年度の預金部の剰余といたしまして、八億八千三百九十万円余というものが出て参つたのでございます。それから今度四月一日から資金運用部の法律改正されましたので、預金部時代の剰余は資金運用部の積立金とみなされるという規定がございますので、この八億八千三百九十万円余は、資金運用部の積立金と今度なつて来たわけでございます。ところが従前におきまして、預金部時代におきましては、預金部の収支の状態は必ずしもよくございませんでしたので、一般会計から七十五億円余の繰入れをされておりますので、資金運用資金特別会計法におきましては、その剰余の二分の一を一般会計に繰入れるという規定になつておりますが、その附則におきまして当分の間全額を一般会計に繰入れるということになつております。ところがこの二十五年度の積立金につきましては、これを繰入れる規定がございませんので、今度こういう法律をつくりまして、その積立金を一般会計に繰入れるということに相なつたわけでございます。
  93. 奧村又十郎

    ○奧村委員 なおこの資金運用部に関連してお尋ねいたしますが、地方公共団体に対する起債に関連して、これらの団体に対する起債の未回収金と申しますか、滞りというものがあるか。またこれに対してそういう未回収の不安のある場合には、どういう方法をとつておられるか、お尋ねいたします。
  94. 上東野正二

    ○上東野説明員 現在におきましては、地方公共団体に対しまする貸付金に対しましては滞りはありません。年年回収されております。また回収されない場合におきましては、回収が遅れた場合におきましては、延滞金を徴収するということに相なつております。そのほかには特に不安は現在ございません。
  95. 奧村又十郎

    ○奧村委員 なおもう一つお尋ねしますが、先ほどの御答弁にありました余裕金の積立て、これはそれでは現存今年度の余裕金については、どういうふうになさるおつもりか。
  96. 上東野正二

    ○上東野説明員 今年度の剰余金につきましては、特別会計法によりまして全額一般会計に繰入れることになつております。
  97. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、この法案に規定された八億円の積立金というのは、今回特別にそういうことになさるわけであるが、今回新たに資金運用部が今年度から設定されたについて、その以前の積立金を全部一般会計へ繰入れる、こういうふうな趣旨のもとになさるのかどうか。
  98. 上東野正二

    ○上東野説明員 以前までの積立金を全部一般会計に繰入れるわけであります。
  99. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 この法案とは別なんですが、巷間伝うるところによると、銀行局では今般新種預金を制定するという構想があるやに聞いておりますが、銀行局長からさしつかえのない範囲でひとつ構想を御発表いただきたい。
  100. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 新種預金と申しますと、どういう意味でありますかよく存じませんが、いわゆる無記名預金的な意味の新種預金のことではないかと思いますが、そういうことですか。——この問題はいろいろな観点から現在検討の最中でありまして、まだ固まつた構想にまで至つておりません。もう少し固まりました上でお話申し上げたい。この席ではごかんべん願いたいと思います。
  101. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時三十九分散会