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1951-11-27 第12回国会 衆議院 水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十七日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    田渕 光一君       永田  節君    福田 喜東君       小松 勇次君    水野彦治郎君       木村  榮君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特殊         金融課長)   有吉  正君         大蔵事務官         (主計官)   佐竹  浩君         農林事務官         (水産庁漁政部         経済課長)   奧田  孝君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 濱田  正君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 十一月二十六日  真珠養殖事業法案石原圓吉君外十四名提出、  衆法第八号) の審査を本委員会付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  真珠養殖事業法案石原圓吉君外十四名提出、  衆法第八号)  水産金融に関する件  浅海増殖に関する件     ―――――――――――――   請 願  一 北方公海における漁場再開許可に関する請    願(辻寛一紹介)(第五五号)  二 片貝町に漁港築設の請願田中豊君外一名    紹介)(第七五号)  三 九十九里沿岸漁民の救済に関する請願(田    中豊紹介)(第一八三号)  四 漁船保險制度改革に関する請願野原正勝    君紹介)(第一八四号)  五 同(岩本信行紹介)(第一八五号)  六 魚礁敷設費国庫補助に関する請願岩川與    助君紹介)(第一八六号)  七 天売漁港修築拡張工事施行請願佐々木    秀世紹介)(第二三八号)  八 漁船保險制度改革に関する請願外一件(二    階堂進紹介)(第三〇八号)  九 同(池見茂隆紹介)(第三〇九号) 一〇 焼尻漁港築設促進の請願佐々木秀世君紹    介)(第三一〇号) 一一 沓形漁港修築工事施行請願佐々木秀世    君紹介)(第三一一号) 一二 漁船保險制度改革に関する請願内藤友明    君紹介)(第四四六号) 一三 漁港修築費増額等に関する請願白井佐吉    君紹介)(第五七四号) 一四 遠別町に漁港築設の請願小川原政信君外    一名紹介)(第五七五号) 一五 赤岡町に船だまり新設の請願長野長廣君    紹介)(第六〇五号) 一六 安田町に漁港築設の請願長野長廣君紹    介)(第六四五号) 一七 頓別漁港を第四種に指定請願佐々木秀    世君紹介)(第六四六号) 一八 長渡漁港修築工事促進請願内海安吉君    紹介)(第六四七号) 一九 壽都漁港拡張工事施行請願小川原政信    君紹介)(第六九一号) 二〇 宿田曽漁港を第四種に指定請願中村清    君紹介)(第六九三号) 二一 宇和海海区のいわし漁網災害応急対策確立    に関する請願藥師神岩太郎君外二名紹    介)(第七一四号) 二二 奧戸漁港に船だまり工事施行請願山崎    岩男紹介)(第七一五号) 二三 三石漁港拡張工事継続請願篠田弘作君    紹介)(第七四四号) 二四 鳧舞部落船入ま築設の請願篠田弘作君    紹介)(第七四五号) 二五 白糠漁港修築工事施行請願山崎岩男君    紹介)(第七四六号) 二六 盗難漁船第二伏見丸返還に関する請願(高    木吉之助紹介)(第七四七号) 二七 厚岸漁港整備北海道総合開発第一次計画    に編入の請願松田鐵藏紹介)(第八〇    〇号) 二八 厚岸漁港を第一種に指定請願松田鐵藏    君紹介)(第八〇一号) 二九 漁場最上開発促進請願圖司安正君外    三名紹介)(第八五五号) 三〇 さけ人工ふ化場国営化に関する請願(圖司    安正君外三名紹介)(第八五六号) 三一 漁業用資材に対する補給金制度復活請願    (圖司安正君外五名紹介)(第八五七号) 三二 旋網漁業調整実施促進に関する請願小高    熹郎君紹介)(第九〇二号) 三三 富田村に漁港築設の請願渕通義紹介)    (第九〇三号) 三四 内水面漁業対策確立に関する請願松本一    郎君紹介)(第九〇四号) 三五 水産資源保護法制定に関する請願石原圓    吉君紹介)(第九〇五号) 三六 漁船損害補償制度実施促進関する請願(田    口長治郎紹介)(第九〇六号) 三七 児童のいか釣禁止問題に関する請願冨永    格五郎紹介)(第九一三号) 三八 小型機船底びき網漁業取締に関する請願(    石原圓吉紹介)(第九五六号) 三九 宿田曽漁港を第四種に指定請願石原圓    吉君紹介)(第九五七号) 四〇 漁業資金融資に関する請願石原登君紹    介)(第九五八号) 四一 高家漁港修築工事施行請願鈴木善幸君    紹介)(第一〇一一号) 四二 漁港調査規則制定に関する請願小高熹郎    君紹介)(第一〇五一号) 四三 間瀬漁港拡張工事施行請願渡邊良夫君    紹介)(第一〇五二号) 四四 瀬戸内海漁業者転業資金国庫補助に関す    る請願高橋等君外一名紹介)(第一一三    三号) 四五 塩谷港を漁港指定等請願宇野秀次郎    君外一名紹介)(第一二四号) 四六 忍路港を漁港指定等請願宇野秀次郎    君外一名紹介)(第一一三五号) 四七 台風ルースによる漁港災害復旧費全額国庫    補助請願床次徳二紹介)(第一一七    四号) 四八 漁業資金融資に関する請願    (上林山榮吉君外九名紹介)(第一二一    五号) 四九 新潟市に国立水産研究所移設置に関する    請願渡邊良夫紹介)(第一三〇七号) 五〇 苫前船入拡張に関する請願佐々木秀世    君紹介)(第一三〇八号) 五一 漁業資金融費等に関する請願大内一郎君    紹介)(第一四〇八号) 五二 機船底びき網漁業北海道海区入会繰業に    関する請願大内一郎紹介)(第一四〇    九号) 五三 白糠漁港修築工事施行請願伊藤郷一君    紹介)(第一五〇〇号) 五四 大船渡漁港修築費国庫補助請願鈴木善    幸君紹介)(第一五〇一号) 五五 鮪立漁港修築工事施行請願角田幸吉君    紹介)(第一五九九号) 五六 小泊漁港修築拡張工事施行請願山崎岩    男君紹介)(第一六二二号)   陳情書  一 いわし船ひき網漁業整備に伴う転換資金    交付に関する陳情書    (第一四    号)  二 北方公海漁場再開に関する陳情書    (第五五号)  三 竹島漁区操業制限解除に関する陳情書    (第六五号)  四 海区漁業調整委員会経費増額に関する陳情    書    (第一一    六号)  五 漁業協同組合連合会規模制限撤廃陳情    書    (第一三四号)  六 魚礁敷設に関する陳情書    (第一八一号)  七 支那東海における日本漁船不法だ捕防止に    関する陳情書    (第二四八号)  八 漁業資材対策に関する陳情書    (第二五一号)  九 漁業手形制度法制化に関する陳情書    (第三〇八    号) 一〇 地方水産試験場振興に対する国庫助成の陳    情書    (第三二〇号) 一一 漁区制限の廃止に関する陳情書    (第三二三    号) 一二 漁船保険制度改革に関する陳情書外三件    (第三三九号) 一三 他府県よりの機船底びき網の入漁禁止に関    する陳情書(    第三四二号) 一四 合成繊維漁網綱普及促進に関する陳情書    (第三七四号) 一五 同(第三七    五号) 一六 漁船保險制度改革に関する陳情書    (第三九    七号) 一七 合成繊維による漁具改良に関する陳情書    (第四一九号) 一八 北方公海漁場再開に関する陳情書    (第四三二号) 一九 小型機船底びき網漁業整備に伴う補償に関    する陳情書(    第五九四号) 二〇 小型機船底びき網漁業整備に伴う転換資金    交付に関する陳情書    (第五九五    号) 二一 漁船保險制度改革に関する陳情書    (第五九六号) 二二 極東海軍演習場設定に関する陳情書外六件    (第五九七    号) 二三 漁港修築予算増額に関する陳情書    (第五九八号) 二四 漁船操業区域拡張並びに不法だ捕に対す    る保護に関する陳情書    (第五九九号) 二五 共同漁業権設定に関する陳情書    (第六〇〇号) 二六 漁業権に対する許可料免除に関する陳情書    (第六〇一    号) 二七 マツカーサー・ライン早期撤廃に関する    陳情書    (第    六〇二号) 二八 漁業災害補償制度確立に関する陳情書    (第六九一号) 二九 漁船保險制度改革に関する陳情書    (第六九二号) 三〇 水産資源保護育成に関する陳情書    (第六九三号) 三一 水産物の輸出振興対策に関する陳情書    (第六九四号) 三二 北方公海漁場再開に関する陳情書    (第八一九号) 三三 神津島港建設促進に関する陳情書    (第八二一号) 三四 大津漁港建設に関する陳情書    (第八二二号) 三五 大海区制等実施反対に関する陳情書    (第八二三号) 三六 漁業災害補償制度確立に関する陳情書    (第八二四号) 三七 漁業協同組合規模制限撤廃陳情書    (第八二五号) 三八 漁港修築費予算増額に関する陳情書    (第八二六号) 三九 マツカーサー・ライン早期撤廃並びに海上    治安維持に関する陳情書    (第八二七号)     ―――――――――――――
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。昨日付託となりました真珠養殖事業法案議題として審議に入ります。まず提案者より提案理由の御説明を願います。石原圓吉君。     —————————————
  3. 石原圓吉

    石原(圓)委員 真珠養殖事業法案に対する提案理由説明いたします。  わが国におきましては、古来より英国のダイヤモンドとともに、宝石界の双璧として世界独自の優秀なる養殖真珠が産出されるのでありますから、この事業を国策的に保護育成して、母貝生産者並び養殖業者経営の安定をはかるとともに、輸出振興により国民経済発展寄與せんとする次第であります。  今この真珠輸出高について見ますと、昭和二十三年には一億円程度であつたものが、次の二十四年には七億円になり、昨年度においてはその倍以上である十五億というぐあいに、終戰後においても急速に上昇はして参つておりますが、これは数量において、戰前の四分の一程度であつて、この程度ではとうてい欧米の需要に応じ切れないのが現状であります。そこで今後数箇年後には、百億輸出を期しておる次第であります。しかもこの真珠養殖事業は、自然力及び人工に最も多く依存する産業であつて輸入資材その他はまことに僅少であり、輸出額の九〇%以上が取得外貨の純度で、わが国にはまことに適切なる産業であると存ずる次第であります。  次に本案の主なる内容について御説明いたします。第一は、母買生産事業並びに養殖業経営を安定するため、農林大臣は毎年真珠貝施術目標数量を公表し、養殖事業者に対しては、その年の事業計画提出せしめ、これが指導をし、もつて合理的な真珠生産を期するとともに、品質の向上により、優良なる真珠増産をはかり、またこれがため必要な者に対し、資金のあつせんもしようとすることであります。  第二は、真珠貝増産に関することであります。現在真珠養殖事業の最大の隘路は、その根本である母貝生産の問題であります。すなわち、漁業協同組合生産する真珠貝の不足であり、かつ真珠価格の不安定に基き、母貝生産事業が十分に事業化しないことでありますから、真珠母貝増産をはかり、組合事業として確立させるため、漁業協同組合の行う採苗事業投石事業並びに母貝産地及び養殖場底質改良事業に対し助成を行い、積極的な増産を行わしめ、かつ優良品種母貝の供給を指導せんとするものであります。  第三は、真珠檢査真珠研究所設置であります。宝石として日本真珠品質を保持するため、国立真珠検査所において檢査をするようにし、また関係法令を改正し、本事業発展を期するため、国立真珠研究所を設けて真珠貝及び真珠に関し科学的に調査研究をするとともに、これが実効を期する点等であります。  以上が本法案提出する理由及びその概要でございます。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いする次第であります。
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 質疑次会よりいたします。     —————————————
  5. 冨永格五郎

  6. 松田鐵藏

    松田委員 北海道斜里町長外数名の者が上京して参りまして、事人命に関する重大な問題があるので、当委員会陳情したいという申入れがあるのでありますが、委員長においては、その陳情を御聽取あらんことを希望するものであります。
  7. 冨永格五郎

    冨永委員長 了承いたしました。  暫時休憩いたします。     午前十時五十五分休憩      ————◇—————     午前十一時開議
  8. 冨永格五郎

    冨永委員長 休憩前に引続き開会いたします。  請願及び陳情書審査に入ります。本日の請願及び陳情書日程全部を一括議題といたします。まず請願及び陳情書審査小委員長報告を願います。川村委員
  9. 川村善八郎

    川村委員 ただいま議題となりました請願並びに陳情書につきまして、請願及び陳情書審査小委員会審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  本会期中に当委員会付託になりました請願は全部で五十六件でありまして、その内訳は漁港、船だまり関係が三十件、漁船保險制度に関するものが六件、漁業に対する補償融賢に関するものが九件、北方公海漁場再開及び漁場開発に関するものが二件、その他九件となつております。  本小委員会におきましては、昨二十六日、小委員会を開き、これら各請願につきまして愼重に検討を重ねた結果、本日の請願日程中第二ないし第一六、第一八、第一九、第二一、第二四ないし第二七、第二九、第三三、第三四、第三六ないし第三八、第四〇ないし第四八、第五〇、第五一、第五三ないし第五六の各請願は、いずれもその趣旨は適切妥当なものと認め、採択の上内閣に送付すべきものと決し、第二三、第二八、第三〇、第三二、第三五の各請願は、すでにその目的が達成されたるものでありますので、これらの各請願は議決を要しないものと決しました。  なお他の各請願につきましては、なお愼重審査する必要がありますので、その取扱いの決定につきましては留保するに決した次第であります。  次に陳情書でありますが、本委員会に送付となりました陳情書は全部で三十九件であります。これらの各陳情書につきましても、愼重審査を重ねた結果、これらはすべて本委員会において了承すべきものと決した次第であります。  なお個々の詳細なる内容につきましては、文書において御審議願うこととし、簡單でありますが、本小委員会審査経過並びに結果の御報告を申し上げる次第であります。
  10. 冨永格五郎

    冨永委員長 これにて小委員長報告は終りました。  お諮りいたします。請願及び陳情書の可否及びその取扱いにつきましては、ただいま小委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めます。よつて小委員長報告の通り決しました。  重ねてお諮りいたします。ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、委員長一任と決します。     —————————————
  13. 冨永格五郎

  14. 川村善八郎

    川村委員 ただいま陳情請願等の問題につきまして御報告申し上げたのでありますが、この中で漁港、船だまり請願が三十件にもなつておりまして、過半数であります。これを見ましても、いかに漁村漁港が必要であるかということははつきりしておるのであります。なお三十件のほかに起工になりましたものが六、七件あつたのであります。四十件近い漁港、船だまり請願があるということ、さらに毎国会こうした陳情あるいは請願があるということにかんがみまして、漁村漁港がないために、いかに漁村が苦しんでおるか、また漁港重要性を考えておるかということは明らかであります。先ほども斜里町長から、漁港がないために十数名の犠牲者を出したという陳情を受けておりますが、これはひとり斜里町ばかりでないと私は考えております。ことに今度のルース台風漁港等相当に破壊されております。こうしたようなことを放任しておきますならば、今後ますます漁民犠牲者が出るのではなかろうかと考えるのでありまして、斜里町の陳情につきましては同情にたえないものであります。今年松田委員と私は斜里河港調査行つたのでありますが、在来の築設したものは、その形を認めるだけのものは残つておるが、実際に河港があの通り破壊されておるために、漁港としての性能を現わすことができないみじめな姿になつておる。このことが今日十数名の犠牲者を出したということに相なつたと私は考えております。斜里町の犠牲が大きかつたことはまことに同情いたしますけれども、これらを顧みないで、あの破壊された河港築堤をそのまま放任いたしておつたということは国の責任であると私は考えるのであります。なぜかなれば、いずれの所でも災害を受けております所は災害復旧で大体元の姿に直すのが建前であります。私が調査行つたところが、海に出ております築堤はほとんど倒されて、かえつて船が入るにじやまになるといつたような姿になつておるのであります。私と松田代議士が、これをかまわないでほつておくわけに行かぬ。一日も早く災害復旧をしなければならぬという感想は持つて帰つたのでありますけれども、今日陳情を受けて、私らもその責任の一端を負わなければならないと考えるのであります。  本日漁港課長がおいでになつておりますれば、漁港課長に、あの漁港が破壊されたのを一体どうして復旧しないのか十分ただすつもりでおりましたけれども、聞くところによりますと、昭和二十四、五年に相当災害復旧費がついておるにもかかわらず、現実に着工していないということだそうであります。こうしたことを繰返しておりましたならば、斜里町においては再びそういう犠牲者が出るばかりでなく、他方面にも相当犠牲者を出すようなことがあり得ると思いますので、委員長におかれましては、斜里河港災害復旧を一日もすみやかに着工せられんことを、当局に迫られるようお願いをいたす次第であります。
  15. 田渕光一

    田渕委員 ただいま川村委員から斜里港の施設に関する詳細な説明があつたのであります。これはぜひとも緊急に実現すべく、もう川村委員から十分に盡されておりますので、私は多くを申しませんが、緊急にかかつて実行することを強く要望いたしまして、関連事項として多少意見を申し上げておきます。
  16. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま斜里町長陳情を承つたのでありますが、川村委員のお話にあつたごとく、本年漁業の実態を国政調査のため川村委員と同行して、斜里町の河港に上陸したものであります。そのときも、いろいろな実地調査いたしましてその重要性を見て参つたのでありますが、漁民の数は約三百の漁業協同組合構成分子となつておるようであります。ところがただいまの陳情にもありましたように、二十五年に一人の犠牲者があつた。二十六年十月に二箇所において同一の日に十一人の犠牲者ができたというまことに同情にたえない状態であります。私は第五区の選出でありまして、斜里町は私の選挙区内であります。この選挙区内において、こうした犠牲者を出すまで、河港修築に二年も三年もかかつて、いまだに何らの手も打つことができ得なかつたということは、実に私の責任であると思うのであります。私どもは自分選挙区であるがゆえにこうしなければならないという考え方を持つておるのではありません。要は日本の国全体の漁港がどれほどまでに荒廃しておるかということは、先ほど川村代議士から言われるように、陳情の大部分が漁港設置であり、それが年々国会陳情されておることによつてもわかるのであります。しかも二十里の間にたつた一つの河口漁港がある、それが破壊されているのを、国会議員として、地方水産の最も重要である漁港を過去三年間何ら手をつけることを知らなかつたという責任は、私はただいま涙をもつてこの責任を痛感するものであります。大体災害復旧費が二箇年間ついているのに、大蔵当局はどのような意味でこれを削つているのか、この点私は自分責任を感痛すると同時に、大蔵当局責任を追究するものであります。要するに国会予算を計上して、しかしてあらゆる地方からの実情を調査して初めて災害復旧予算は決定するものであろうと思う。これをどういう理由でもつて二箇年間削つたかということに対して、まつたくその内容がどういうものであるのか私にはわけがわからぬ。もしこれが政治的な手によつてはばまれたものであるか、または道庁の考え方によつてついた予算が削られたのであるか、この点を大蔵当局は次の委員会までに明らかにして、これの説明を願いたい。こうした事柄から、この犠牲者を出し、しかして漁民が不安の念をもつて、まじめな産業に対する経営を脅かされることになつたならば、われわれの最も心外とするところであります。しかしその点に対してはいろいろな事情もあることでありましようし、私の選挙区であるがゆえに言うのではありませんが、こういう点における責任はどこにあるかということをよくただしてもらつて、この苦しい状態、この失敗を再び繰返さないように、災いを変じて福となすように、水産庁においても考えてもらいたいのであります。しかして明年においては、どうか愼重な態度によつてこの災害を復旧してもらいたいと同時に水産当局においても、ここの河口漁港については、われわれが調査の結果を報告してあるのでありますから、この点に対しても十分留意されて一日も早くこういう災害を繰返さないような手段を講じてもらいたい。  きようは長官次長が出て来ていないのはどういうわけであるか、かような民意を尊重しないような水産庁長官次長であつたならば、厳重な警告を出して、また農林大臣を呼ぶなりして、この問題に対し善処あらんことを私は要望するものであります。
  17. 冨永格五郎

    冨永委員長 川村委員田淵委員松田委員斜里漁災害復旧に関する質疑はきわめて必要なものと考えますので、次回においてこれが解明をする手続を取運ぶことにいたします。なお水産庁長官は、御承知の通り今三国漁業会議に出席いたしておりますので来られません次長は目下司令部に参つておるという事情でございますので、御了承願います。     —————————————
  18. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に水産金融に関する件を議題として質疑を許します。水産庁かい経済課長奥田孝君、協同組合課長濱田正君、水産課和田正三郎君、大蔵省から有吉正君がそれぞれ説明員として出席されております。松田委員
  19. 松田鐵藏

    松田委員 昨年以来漁業の安定をはかるために、魚価維持対策の最も必要なることを当委員会において論議され、昨年は見返り資金の放出を受けまして、魚価維持対策の第一環になるべき冷蔵庫、製氷工場設置水産庁においても考えられて、これに善処されたのであります。ところがいろいろな経過からいたしまして、遂に北海道における見返り資金の放出も半分になるとか、または内地各地における冷蔵庫その他の問題に対しても、なかなか見返り資金の放出が円滑にならなかつた。かような結果からして、本年度においては、最も魚価の安定を期さなければならないという観点から、補正予算において十億の農林漁業特別融資の方法が講ぜられて、今や水産庁においてこれを審議中であり、中金においてもいろいろと審議しておるという事実をわれわれは知つておるのでありまして、まことに時宜に適した方法であると考えておるのであります。この特融に対しては、法律の定めるところによつて漁業協同組合の共同の施設ということになつておるがために、漁業協同組合育成強化を目指しておることは、われわれの考え方とはまことに一致したことであり、そのように法の方針を定めて、今審議されておることであります。ところがここに私どもが最も警戒を要しなければならない問題があるのであります。その問題は、私どもが常に自分のことでありまするがゆえに遠慮をし、またこれの是正を日夜考慮して、あらゆる努力をしておる北海道の連合会であります。この例は水産庁においてもよく御存じのはずだろうと思つております。ああした連合会が、今までの考え方を持つて、まだこのままに連合会の行き方をかえないようなことがあつたならば、日本漁民というものは、また單協というものはどのようになるかということで、われわれは常に心配をしておるものであります。こうした各県における連合会が特融の金をもつて魚価維持対策の面である冷蔵、製氷を考えておることに対しては、私どもはその趣旨に対していいところと悪いところと二つの点を見出すのであります。たとえば單協が力なくして、單協全部の総意によつて、連合会がこの施設を行わんとする場合においては、これは連合会として最もいい方法だ、かように考えておるのであります。しかし單協の育成強化なくして連合会の発展というものは期されないものであります。だが今までの戰時中の考え方がややもすれば抜け切らずに、いまだに社会主義的な考え方また全体主義的な考え方をそのままに踏襲して、この連合会が漁業の経済まで、單協を圧迫してまで、また地方産業を圧迫してまで、この施設を行わんとする点が二、三われわれの知つておるところにもあるのであります。ここにおいて組合課長としてどのようにお考えになつておるかということを私はただしたいのであります。まずたとえてみるならば、單協が自己の経営を欲する所に、連合会がしやにむに自分でやらなければならないということは、あり得べきことでないと私は信じている。この前当委員会で山本次長に私が質問したのに対して、適当な方法を後刻お答えいたしますという話でありましたが、その後一向にその答えも聞いていないのであります。気仙沼のごときは、気仙沼の漁業協同組合が特融の方針によつて申請しておるのに、宮城県の漁業協同組合連合会が同じ箇所において出願しておる。水産庁はこれをどつちにやつていいのかわけがわからぬというような考え方を持つておることによつて、私はまず單協を育成強化する意思がないということがはつきり立証されると思う。ただ單協が仲買をやつておるとか、または別な商売をやつておるとか、連合会に入つていない單協であるがゆえにというような理由であつたならば、理由は立たぬのだと私は思う。私が組合長をやつておりまする紋別の機船底びき協同組合は、北海道の連合会には加入しておりません。また小樽の機船底びき協同組合も北海道の連合会には加入しておりません。何で加入していないかといつたならば、先ほど述べたように、われわれは別な観点からこれを救済して整備しなければならないという考え方を持つているが、現在連合会の行つているやり方は、あまりにも放漫主義であり、われわれの考え方、政府の考え方に対して何ら協力する意思がないと考えるがゆえに、また紋別であろうと、小樽であろうと、留萌であろうと、こうした考え方を持つておるがために、連合会に加入していないのであります。宮城県においても多分そのようなことであろうと私は考えておるのであります。單協が、地方漁民のために、またその地方発展のために、あらゆる努力をして、この魚価維持対策に邁進せんとする政府の意向をくんで、出願しておるのに、何のために宮城県の連合会を対象として論議しなければならないか、私は水産庁の組合課の、経済課の、また水産課の精神を疑うものであります。     〔委員長退席、小高委員長代理着席〕 また例を申すならば、鹿児島県における問題はどうであるか。鹿児島県の連合会が出願しておるが、あすこには二つの製氷会社があり、その製氷会社の実績は、年々まじめに生産しても、多いときにおいて八八%、少いときには五五%の販売よりないということを、りつぱに水産庁に対しても陳情しておるはずであります。われわれは漁業協同組合の育成強化をはかるものであります。しかし斯業を圧迫してまでも單協ないしは連合会にどこまでも政府の金を貸し與えんとするものでないということは、三崎の例をもつてもわかるはずであります。ただ連合会は親組合であるから、一般の業者を圧迫してもやむを得ないというお考えをもつてかような方針に出ておるのか。私はもつと例をあげたいのでありますが、こういう点について組合課長はどのようにお考えになつておるか、まずそれを承つてから再び質問に立ちたいと思います。
  20. 濱田正

    濱田説明員 ただいま松田委員から御質問になりました單協と連合会との関係の問題でありますが、もちろん連合会も單協があつての上の連合会であつて、單協がだんだんと固まつて、しかる後におのずから連合会も固まつて来るというのが当然の筋合いでありますから、連合会の形にのみというふうなことを考えておるわけではありません。それでただいま松田委員が実例をお引きになりましたので、実例について申し上げますと、今の気仙沼の問題であります。これは私の了解しておる限りにおきましては、單に單協と連合会だけの争いというのではなくて、聞くところによりますと、最初の発生は、あの周辺に七つか八つか單協がありました。あれがいわゆる気仙沼の単協に反対をして、われわれがそれぞれやる、こういうふうなお話でありまして、そういうふうに各人がてんでんばらばらに、小さいものをこしらえあげたのでは、能率がさつぱり悪いので、むしろ連合会がそれだけの力を集めてやる方がよいのではないかということが一つと、もう一つは、気仙沼は御承知のように、非常に有数な水揚げ港でありまして、その水揚げ高の六五、六%というのが外来船、他県船によつて水揚げされておる。こういう状況にありますので、遠くは三重なり、神奈川なり、静岡なり、あるいは千葉なり、あの辺の、つまり漁師を代表して、それぞれ三重漁連とか神奈川漁連とか、そういう人たちが、われわれもあそこに水揚げするのだ、こういう関係で宮城漁連にやらしてもらいたいということで出て来た問題でありまして、單協と宮城漁連、こういうふうな形での関係ではなくて、気仙沼の單協と気仙沼を取巻くあの周辺の單協と、あそこに水揚げする他県の漁連との関係、こういうことに具体的になつておりますので、今の原則をただちに三段論法的に適用しかねるのではないか、かように考えております。
  21. 松田鐵藏

    松田委員 私は組合課長のただいまの答弁に対しては最も強い不満を持つのであります。あなたはどのようなお考えを持つておられるかは存じませんが、大体自治体というものはどういうものであるか、自治体の経営というものは、その村、町の人々がその村を発展させその村の維持をはかるため日夜苦心をするところにある。また、たとえば消防の問題であろうと、道路の問題であろうと、自治体を経営するための苦心というものが、あなたは東京におられるからおわかりにならぬだろうけれども、地方においてはそれが一番重大な問題であります。その土地の恵み、産業というものがその地方の自治体を守つて行かなければならないものである。たとえば気仙沼は良港であり漁獲に一番便なるところであるがゆえに、他の漁船がそこへ来て水揚げをするのであります。これは気仙沼なら気仙沼の、自治体を経営している人人の収得しなければならない権利だと思う。それが自治体を育成するものだと私は考えているのであります。直接的な影響よりも、間接的な負担をあそこの漁民相当負わされているものと私は考えている。ゆえにその地方の單協が行わんとする考え方を、ただ漁民漁業協同組合の観点のみにとらわれて行つたひには、問題の結論は出ないのでないかと考えるのであります。これを十分に考えて行かなかつたならば——單協の育成強化と單協の犠牲というものをよくお考えになつてすべてのものを処理しなかつたならば、ただいまのような問題が起きて来る。私は現に宮城県の漁民大会の席上に呼ばれた際に、一時間二十分にわたつて日本漁業水産において最も問題となる悪徳業者は大洋漁業である、しかして県として度しがたきものは宮城県の漁民である、かようにして違反をやるような県の漁民に対しては、漁港も、港湾も、特融の金もわれわれは何とかして阻止しなければならないであろう、しかしてまじめな漁民のあり方をもつて立てて行かなかつたならば、日本水産は壊滅するであろうということを申し上げて来たのであります。しかし真に民主化された漁民となつて魚価維持対策のために邁進せんとする單協であつたならば、また力のある單協であつたならば、これに対して育成強化をはかることが最もふさわしいことでなかろうかと私は考えているのであります。組合課長の、やれ地方漁村との連絡があるとか、向うの漁民との連絡があるとかいう、かような線に向つて水産行政を行つていいものであるかということに対して、私は非常な疑義を持つものでありまするが、この点はどうお考えになつておりますか。
  22. 濱田正

    濱田説明員 先ほど申し上げましたあの気仙沼周辺の單協なり、あるいはそこに水揚げする外来船を代表して、それの関係の各漁連が、宮城県漁連にやつてもらいたいというその理由に問題があるのだろうと思います。と申しますのは、先ほども松田委員がおつしやいましたように——私は気仙沼單協が悪いというのではありません。気仙沼單協が自己の組合員の荷物を共同販売するところには少しも問題がないのでありますが、あの周辺並びに他県船が反対しておる理由は、あの單協の内部構成において、問屋といいますか仲買い的色彩が非常に濃厚で、あそこで水揚げして買われた魚の魚価の維持という問題の場合に、そういう仲買い的の人が買つた魚の魚価の維持か、漁師みずからがとつたものを自分で売る魚価の維持かというところに問題があると思う。そこに反対しておるのではないか、こういうふうに考えております。
  23. 松田鐵藏

    松田委員 その点がもつとも重要な点であります。まず宮城県の漁連の会長は、現に築地魚市場において連合会の名によつて市場を経営しているものであります。今われわれが常に論議しておる北海道の連合会においても、あまりにも広範囲な事業経営して、あの七億なり八億なりの赤字を出したのである。それが單協に対してどれだけの迷惑をかけたか。私どもはそれを警戒するのである。組合精神というものは、戰前と今日とはかわつておるのである。これをもし組合課長が、戰前のごとき考え方をもつて組合の指導に当るということであつたならば、大きな問題である。一つの町でも、おんぼう焼きも必要であろう。またごみとりも肥くみも必要であるのであります。このすべてを協同組合がやつて行つたならば、現に行われておる農業協同組合の——北海道において一つの例がある。最もうるわしい例であつた。バスに乗つたところが、おばあさんが二人乗つた。そうして女の子がそのバスへ来て、これこれの物をどこどこへ届けてくれと言つた。忘れて行つたのだから届けてくれというてサージのきれを出した。そのサージのきれは、それは買わなかつたのだ、いや買つたのですと言つて伝票を渡した。非常にうるわしい光景であつた。しかし農民は今日は一銭も金のないときだ。金のないときだが、買いやすいのは伝票で買うことだ。その伝票で買つたのが最も買いやすいことであつて、農民を非常にめんどうを見ておることであるが、金というものはそう簡單に人のふところには入つて来ないものである。買いやすいがためにむだなものをも買わなければならない。農民というものは質朴なものである。そこで農家が、ほんとうに自己が農産物を供出してとつた金であるならば、大事な金であるがゆえに、計画を立ててつつましく暮らして行こうというのが農民の仕方であるが、買いやすいためにサージでも何もかにも仮票で買うようになつたのが、今日の農業協同組合の疲弊した原因であります。また呉服屋というものは、そこの家の状態をよく調べておつて、たとえばこれを貸してくださいと言つても、なかなかそう簡單には貸しません。とれるかとれないかということをよく見きわめてからでなければ貸さぬ。それがために農民は非常に苦労をするが、農民のふところはゆたかになるものであります。この点を為政者は考えずに、どんどん法律でも経済を行うことができ得るようになつておりまするが、どのようにわれわれが努力しても、あなた方が努力しても、このままで行つたら農業協同組合、漁業協同組合というものは絶対に立ち行くものではありません。それを、どこへ行つたところで連合会は大きな事務所を持つて、何千人という職員を擁しておる。一体この職員の給料また事務の経費というものはだれが負担しておるか。全部が單協の負担ではないか。これを改めて行くことによつて初めて單協が育成強化されて、初めて連合会もよくなつて行くのだ。指導と経済の面をよく見て行くことが連合会の使命なのだ。それを連合会がみずから経営しなければならない、そうして自己の利益をはからんがために行つている連合会があるとしたならば、最も警戒すべきことではないか。現に私も市場会社の社長をやつたが、立ち行くものじやない。築地魚市場に中水が再びあの店舗を開いてやつておるということは、理想としてはいいことだ。しかし絶対に立ち行くものではない。これをあえてしておるのが宮城県の漁連の会長だ。それがまた全国の漁連に手を伸ばして、せつかく單協が行わんとする事業を圧迫して、これを水産庁自分が出願しているのに、何でこれを右往左往して考える必要があるか。組合課長の先ほどのお考え方は、あなたはアメリカまで行つて世の中をよく見て来られた方である。しかしいまだに、見学はされたが全体主義的な考え方を捨てていないように私は見るのであるが、連合会に対する考え方をいま少しお考えになつたらどうであろうか。  それから、私ども自由党は資本主義の政党であります。しかし何でもかんでも資本家を擁護しなければならないということは毛頭考えていないのであります。漁業協同組合育成強化を叫んでおる。しかし現にある企業が、製氷工場が二つあつて、それが多く出たときにおいて八五%。よそから持つて来る必要がないのに、もし鹿児島において連合会がまたこの製氷を四十トンなり三十トンなり十五トンなり行わんとすれば、この企業が壊滅に帰する憂いがあるといつて陳情しておるのにもかかわらず、こうした企業をも圧迫して何のための連合会であるか。ボス連を擁護しなければならないという理由はどこにあるか。われわれは三崎の問題においてりつぱな例がある。たとい日冷であつても、日冷が横暴であつたならばこれを撃破しなければならないと言つて、二回にわたつてわれわれは調査行つた。その調査行つた結果、まだ三十トンや五十トンの問題であつたならば、優に移入される製氷とのバランスが十分にとれるのであるから、日冷が立つて行くように、また漁業協同組合の立つて行くようにという案をもつてあの問題を解決したはずである。われわれは資本主義の政党ではあるが、絶対に資本家のみを擁護せんとするものではありません。最も單協において協同組合においてりつぱになつて行つたならば、それこそ国民全体の利益になると考えて行つておるものであります。こういう点をどうか誤りのない方法をもつてつていただきたいと思うのであります。あなたの方にもリストが行つておるだろうが、私にもりつぱに、こういつた企業が成り立たぬと言つてこれだけの資料を提供されて来ておるのであります。こういう点に対しても十分お考え願いたいと思うのであります。また七尾の問題もそうである。七尾の問題なんかというものは簡単な問題である。これらも何のために躊躇しておるか、四百万円や五百万円の金を修繕費に使えば連合会の今までの参設のものがそのままりつぱにできる、それを何で單協がやるものに対してこれに反対をする理由があるか、これは單協も連合会の現在の施設でこれよりふやす意思がない、ほかの單協全部が連合会不信任であるというゆえに、個々の協同組合にひとつやつてくれと言つて、ほとんど同意書を全部つけてわれわれにも持つて来ておる。單協に何のために躊躇するのか、この意味がわからない。こういう点何かあなた方に政治的な圧迫があるのであつたならば、圧迫があるとおつしやつていただけば、私はある程度まで了承するものであります。そういうものがないのであつたならば、どうかまじめな意味で水産行政を行つていただきたい。
  24. 小高熹郎

    小高委員長代理 ただいま大蔵省主計官佐竹浩君が出席されました。     —————————————
  25. 小高熹郎

    小高委員長代理 次に浅海増殖に関する件を議題とし、質疑を許します。永田委員
  26. 永田節

    ○永田委員 私は佐竹主計官にお伺いするのであります。水産行政の面から総括的に申し上げますと、ふしぎに日本の国の地形は非常に最近変化をいたしました。たとえば四国のごときは土地が広範囲にわたつて沈下している。ないしは渥美湾の方面におきましては逆に隆起している。かつての古い漁港がお城のように高い位置にある。特にまた豊前海においては、知らないうちに沖合い三里も四里も干潟がにわかにふえた。かような実情が方々に認めらるのでございます。従いまして、水産も業者の実態もそれに伴いまして漸次移行しなければならない実情にあるのであります。ところが地元におきましては、この地形の変化ということについて、たまたまずさんにしてさらにこつけいな案を立てておるということが、これまた実情のように了承しておるものでございますが、かような理由に基いてわれわれ水産委員会といたしましても、特に戦後底びきの横行によりまして被害の顕著なる地区においては、しかるべく国庫の力を利用いたしまして保護をしなければならない、かような理由から浅海増殖開発補助金というものをもくろんでおるような次第でございます。来年度の予算といたしまして、水産庁の案としては、東京湾、三河湾、豊前湾、有明海、この四箇所を通じまして一億ばかりの補助を計上いたしておるような次第でございますが、この一億の補助というものは総わくに対する約三分の一に該当するものでありまして、残りの三分の二はまた困難な特別融資の方法であるとか、ないしは漁業権証券の資金化というふうなことでなかなか簡単には参らないと予想されるのでありますが、それにいたしましても基本となるものは、大蔵省がこの三分の一を認めるか認めないか、この額をのむかのまないかということに問題があるのでございます。今日御出席を煩わしました理由もここにあるのでございますが、すでに農林省方町からしばしば御実証もあり、つぶさに御了承のこととは存じますが、一応この浅海干潟に対する大蔵省の御見解を御説明願いたいと思うのでございます。
  27. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 浅海資源の維持並びに増殖という問題につきましては、水産資源の増殖の一環として、その重要性はつとに認められておるところでございます。大蔵省といたしましても、浅海資源の維持につきましては従来とも相当な関心を払つておりまして、御承知のごとく昭和二十六年の本予算におきましても、浅海資源の維持に対する補助金といたしまして七百二十万円の金額を計上いたしておるのであります。この浅海資源の問題につきましては、これの増殖について二つの問題があると思います。一つは貝類等の種苗の供給、なかんずく優良な種苗の供給を確保する問題、もう一つの問題は、いわゆる内湾であるとか外海におきましての貝類の増殖の基地になります海底の土砂を改良して参るという問題の二つにわかれると考えるのであります。ただいま申しました二十六年度の七百二十万円と申しますのは、これは種苗の供給確保という点に集中しておるわけでございます。ただいま永田先生から明年度の水産庁予算の要求約一億という仰せがございましたが、これは主として内湾におきます貝類の繁殖基地であるところの海底の土砂を耕しまして、そこに貝類の繁殖を助けるということでございます。さらに海藻類であるとか、えび類であるとかいうものの増殖を進めるための要求もあるわけでございまして、これらを合せまして、一億八千六百万円というものが、水産庁の要求でございます。そこで私どもといたしましては、これに対してどういう方針で臨むかと申す点でございますが、御承知のように、ただいま二十七年度予算は編成の最中でございまして、まだいずれとも最終的な決定は見ておらないわけでございます。従いまして、いかなる補助金をいかなる額において計上いたすかということにつきましては、ただいまの段階では何ともお答えのいたしようがないわけでございますが、いずれにいたしましてもこの種苗の供給という問題と土壌の改良という問題、この二つの大きな問題に取組みまして、種苗供給の確保は少くとも来年度においては相当に伸びて行くべきではなかろうか。水産庁の要求もほぼ前年度予算の倍額程度の要求が出ております。これはすなわち種苗供給の苗圃の設置のための経費でございますが、これの箇所数を前年度に対して相当に伸ばして参るということが水産庁の要求の眼目でございます。私どもとしても、できるだけその箇所をふやして、種苗の供給を確保して参りたい、かように考えるわけでありますが、片や土壌改良の問題になりますと 何分にも相当な金額に上ります。またいろいろトラクターその他の施設を整える必要もございます。これの効果につきましては、かつて戰時中に千葉県の九十九里の沿岸におきまして実際にこういうことをやりまして、事実非常な増産の効果が上つた実績もございますし、最近におきましても九十九里の沿岸で、やはり相当の成果を収めておる漁業協同組合があると伺つております。その意味におきまして効果というものが相当に大きいことは事実であります。ただ問題は相当巨額な投資がいる。その投資に対する効果の程度はいかなるものでありますか。すなわちこの収益の率というものは相当に高いのでありまして、収益率が相当に高くなりますと、これはある程度の長期低利の金融をもつて臨みますならば、相当成果があげ得るのじやないか、しかも地元の漁業協同組合にそれほどの負担をかけずして所期の目的を達し得るのではないかというような点が実は問題でございまして、その点につきまして投資の効果その他の問題をいま少し研究をさせていただきませんと、ただちにこれを予算化し得るかどうかという点は、ただいま明言し得ないのでございますが、永田先生の御趣旨ごもつともと存じますので、私どもとしても今後この投資効果の問題につきまして、さらに十分研究を積ましていただきたい、かように存じます。
  28. 松田鐵藏

    松田委員 最も理解ある佐竹主計官の御答弁でありますが、私は昨年九州に行つたとき、漁民のほんとうの言葉を聞いて参つたのであります。そのときに、どうして君らに浅海に対してもつと大きな考え方ができないのか、はまぐり、あさり、赤貝を養殖することを考えたらどうかということを言つた北海道、近畿地方漁民に比べて、その生活程度があまりに低いのに、九州豊前海あたりの漁民は一体どうして生活しているのかと私は驚いた。何里という浅海を持ちながら、これを利用することを知らない。小さな漁船で打瀬網をやつて、もう魚は枯渇してしまつた。その上にまた瀬戸内海からやつて来てどんどんとられるので、漁場としては最もいいところであるが、魚はもう壊滅の状態である。ところがあの零細な漁民は、養殖をするにもその投資力がないというみじめな状況であります。ただいま佐竹主計官お話のように、浅海養殖は、率は非常に高いものである。こういうところを水産庁においてもつと研究して、大蔵省にその内容をよく話さなければならないと思う。私ども実は補助なんというものはやらぬでもいいという考えを持つておるが、五ポイントの線からいつても、また零細漁民を育成する点からいつても、今しばらくの間補助をして行かなかつたならば、零細漁民は立つて行かないと思うのであります。理解ある佐竹主計官は、何か機会があつたならば、一度現地を調査することが、百聞一見にしかずであつて、一番いいことではないかと思いますが、政府はよほど力を入れてやつて行かなければ、漁民はああいう生活から抜け切らないと思います。その上残念なことには、今年はルース台風ですつかりこわれてしまつた、こういう気の毒な状態であることをよく御理解あらんことを希望するのであります。
  29. 永田節

    ○永田委員 ただいま松田委員からまことに熱意をもつて私の説に御賛同をいただきましたことを感謝する次第であります。幸いに水産常任委員会もしばしば現地を御調査に相なつた結果がかく御発言をされましたゆえんであろうと思われるのでございます。ついては私は、佐竹主計官にお願いいたしたい。ただいま来年度の予算を御検討中のことと思いまするが、この浅海事業の意義というものは、橋が落ちたから橋をつくる、道路がこわれたから道路をつくり直すというようなこととは若干趣を異にいたしております。その趣を異にいたしておりますところの理由を二つ私はあげることができるのでございます。その一つは、かねてから御了承でございましようが、日本漁業制度の改革に伴う転換の方法として、これを考えなければならない。他の一つは、この一事によりましてたいへんな収益が上る、いわば投機事業であるというふうな理由がございます。佐竹さんの御指摘に相なりましたことは、要するに、種苗の確保ということでございまして、私の申し上げておる浅海事業開発というものは、おそらく水産庁においても画期的の事業であろうと私は考えておるのでございます。従いまして、今年度のこの予算を巨額というふうにお考えくださることは、すこぶる危險ではなかろうかと思うのでございます。こうも巨額にわたるようなことはございません。わずかに九千八百万ばかりの補助でございまするが、これは三箇所に配分いたしますと、一箇所に二千八百万ないし多い所で三千万程度のものでございます。その他はあげて特融の資金にまつことになるのでございます。日本水産予算から行きましても、かような実情にあるところの水産業の転換に際しまして、一億や二億のものは思い切つてひとつ出していただくように、本省にお帰りになりましたならば、まげて御盡力をお願いいたす次第でございます。
  30. 川村善八郎

    川村委員 ただいま永田委員松田委員浅海増殖の必須であることを力説しておられましたが、まさにその通りであります。御承知でもございましようが、今日の日本の沿岸漁業の行き詰まりの打開策といたしましては、浅海増殖よりほかにないのであります。もちろん世界の公海をあされば、まだまだ発展の道はあるでありましようけれども、資金難の今日、さらに御承知の通り、敗戦国のうき目から公海が制限を受けており、また今後漁業協定において公海の制限が一部打開されたといたしましても、これはなかなか私らの考えているようなことには参らない、かように観測をしておるのであります。現に米、加、日の三国協定が今日まで難航を続けておることを見ましても、私はたとい今後世界各国と漁業協定を結ぶにいたしましても、相当制約を受けることになるのであります。一方漁撈方法も改善され、さらに漁民が多数ふえますので、この漁民のはけ口を考えなければならぬ。しかしながらはけ口といつても、現在はどこにもやることができないというような現実であります。従つて農民が土地改良をやつたように、でき得るだけこのわれわれの沿岸の土地改良をやらなければならぬ、土地改良すなわち浅海増殖であります。従つて浅海増殖をいたしまして、零細漁民はみずからの手で耕して、みずからの手で生産して生きて行くよりありません。そうなりますと、結局、先立つものは資金であり、また予算化でなければならないのであります。本委員会におきましても、先般の委員会で、いわゆる濫獲になりつつある魚族に対しては、漁撈の制限とか、船の制限とか、綱目の制限とか、あるいは漁具の制限とかをしよう、さらに浅海増殖その他の増殖を拡大しようというので、水産資源保護法というのが本委員会を通過し、さらに衆議院の本会議を通過して、参議院の水産委員会にまわつて審議されたのであります。参議院の水産委員会も、過日われわれが説明に参りまして、委員会は通過したのでありますが、何か横やりが入つたとかで、本会議にかけることができないで、難航しておるのでありますが、私は必ず通るという確信を持つておるのであります。その内容を十分検討してくだされば、いかに浅海増殖を重要視しておるかということがはつきりするのであります。そうしたような意味で、今後零細漁民の救済は浅海増殖よりほかない。従つてこれの予算化は今日最も急務であるのでありますから、現在提出されておる予算は一銭も削減しないように、佐竹主計官において努力してくださることをお願いいたします。私は水産庁次長なり漁政部長が来ておれば、水産庁に抗議を申し込むのでありますが、水産庁予算内容を見ますと、まことに細微であります。先ほど永田委員から、七千万幾らよりないのだということで、一体七千万や八千万を日本全国の浅海増殖にまいてみたところで、天井から目薬であつて、何に使われるか。真剣にこれを取上げてやるならば、やはり一年に五億なり七億の予算を計上しなければならぬ。そうすれば三年目には必ずその三倍なり五倍なりの生産があげられて来るのであります。特にこんぶのごときは二年たちますと、投石事業の三倍もの額になつて現われるということは試験済みであります。おそらく貝類もさようだと思いますので、浅海増殖に対して特段の予算措置を講ぜられんことを、特にこの際要望する次第であります。
  31. 小高熹郎

    小高委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十九分散会