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山本(豐)
政府委員 最初の
お尋ねの、いわゆる
演習等によりまして生業を奪われましたものに対する
転業資金を
考えておるかという
お話でありますが、この特に
九十九里浜等の
演習によりまする
損害の
補償は、ただいま
お話にありましたように、
全国を通じまして一億二千万円
程度のものにな
つております。しかしこれは、各
漁民にとりましてはきわめて
涙金程度のものにしかすぎないのでありまして、根本的には、そういう
漁民がどういうふうに
主業にありつくように今後指導するか、こういう問題が非常に大切なことになると思うのであります。これらに対する
一つの
転業資金という
お話でありまするが、一概に
転業資金と申しましても、これは
金融ルートという面から言いますると、なかなか乗りにくいと思うのであります。そこでやはり具体的に、たとえばそういう
漁民が何人か寄りまして、将来
マ・ライン等が
撤廃になりまして、かつお、まぐろにでも出るというためのひ
とつの
仕込み資金といいますか、船を仕立てる
資金でありますとか、あるいは網を購入する
資金でありますとか、具体化した場合における、いわゆるひ
とつの
生産面の
資金というふうな
計画を持
つて参りますれば、これは
金融ルートにも乗りまするし、また具体化いたしますれば、われわれといたしましても、できるだけそういうものは取上げて参りたいと
考えておるのでありますが、現存のところ漠然とした、ただ
転業資金というふうなものについては、実は具体的な案を持
つていないわけであります。しかし各
地方々々によりまして、ただいま申しましたように、所によりまして、たとえば
浅海増殖に転換するとかいうような
事例は
考え得ると思うのでありますが、そういう
具体的事例が出ました場合には、これをできるだけ
生産面に向きまするひ
とつの
資金というふうに取上げまして、
措置するような
方法は講じて参りたいと
考えておるわけであります。
それから第二点の
合成繊維の問題でありますが、これは御
承知のように先般
綿漁網の統制が
撤廃になりまして
——その
撤廃以前におきましても非常に
漁獲とのつり合いが均衡を失しまして、
漁民はますます
コスト高に追われまして、非常に生活が苦しくな
つているということは御
承知の
通りであります。何らか
資材面において積極的なひ
とつの
助成策を
考えなければならぬと
考えまして、昨年来
合成繊維の
普及宣伝でありますとか、あるいはまた、
会社を通じてでありますが、
試験であるとかいうようなことをある
程度や
つて参つておるわけであります。
水産研究会等におきましても、若干のそういう
試験をや
つて参つたのであります。その結果は、
アミラン等につきましては大体価格相当な
需給力もあり、またよい品であるということがわか
つて参つておるのであります。もつとも一口に
合成繊維と申しましても、
ビニロンであるとかあるいはその他の
繊維もあるのでありますが、これらについてはまだ
アミランほど
研究の
段階が進んでおらないのであります。しかしいずれにしましても、こういうふうな非常に堅牢な網を持つということは、これはひ
とつの
保険の
対象にも相なり得るのであります。現に
長崎地方では
アミランの網につきましては、
——この網はいかなる網でもいいそうであります。名前を忘れましたが、ある
民間の
保険会社がこれを
保険にと
つておるようであります。一種の
損害保険であります。千円につきまして七円くらいの
保険料で、
保険料としてはかなり高いのでありますが、そういう恩典といいますか、便宜も受け得るのでありますから、ぜひ
代用繊維というものの
普及徹底ということは
政府としても大いに
考えたい、かように
考えておるわけであります。一口にも申されませんけれ
ども、現在
編網の
原料になります
綿糸、これは海外に仰いでおるのでありますが、この外貨の計算が
幾らになりまするか、はつきりしたことは申されませんが、おそらく百億以上になるのではないかと思うのであります。これだけの金にかわるべき
アミラン等が国内にできるとなりますと、これらに対するいわゆる
助成とかあるいは
融資とかという問題は、国内的に見れば大した犠牲ではなくしてそれだけの効果は上り得るのではないか、そういう
意味から言いましても、何らかこれらの
対策を講ずることが私は非常に大切であると思うのであります。
そこで
お尋ねの
融資の件でありますが、二十六年度におきましては御
承知のように
特別融資の
関係の金も非常にきゆう
くつでございました。二十七年度
計画といたしましては、私たちはただいま、
漁港その他を全部含めてでありますが、大体
事業費において二百億、そのうち
補助金や
負担金がございますので、
融資額だけ
考えますと六十二億
程度を
特融の
わくから出してもらいたい、これはもちろん現在のところ
冷蔵庫等も含んでおるのでありますが、そういう
要求を現在
官房の方に取次いでおるのであります。その中にはいわゆる
アミラン等の
購入資金といいますか、これらもひ
とつの相当堅牢な
固定施設というふうに見まして、特にこれは個人の場合には困難でありますが
共同経営——組合が自営する場合に
限つて融資をする道を開いてもらいたいということで、一応十億
程度のものを見込んでおるわけであります。これは
官房としましても、
わくの
関係もありましてなかなか簡単には結論は出ないかもしれませんが、
水産庁としてはこういう問題も大きく取上げまして、大体二十七年度の
計画に十億こういう面の
融資をお願いいたしたいと申し入れると同時に、いろいろ
希望の
関係とか、
全国的にどのくらいの
生産量があるか、いわゆる
生産面と
需要者の面と両方の
関係をただいま
調査しておるわけであります。先般、今月に入
つてからではございましたが、各
府県知事あてにもこの
合成繊維の
転換資金の、
——これはまだ確約を得たわけではありませんが、一応そういう
仮定のもとに
融資をするとすれば、どれくらい必要であろうかというような
照会をいたしております。これらが集まりますと、大体はつきりした
計画が立とうと思うのであります。一応今漠然と十億
程度を見込んでおりますけれ
ども、それらの
照会の返事が参りましたならば、これらを集計いたしまして、さらに練り直してひ
とつつよく
要求をしたい、かように
考えております。