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1951-11-20 第12回国会 衆議院 水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    田渕 光一君       小松 勇次君    水野彦治郎君  委員外出席者         農林事務官         (農業改良局統         計調査部長)  安田善一郎君         農林事務官         (農業改良局統         計調査部管理課         長)      庄野五一郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農 林 技 官         (農業改良局統         計調査部水産統         計課長)    北原 恒造君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十一月十九日  委員木村榮君辞任につき、その補欠として横田  甚太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  小型機船底びき網漁業整理特別措置法案内閣  提出第五〇号)  水産統計に関する件  小委員長より中間報告聴取     —————————————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 これより水産委員会を開きます。  冨永委員長にさしつかえがございますので、暫時私が委員長の職務を代理いたします。  水産統計に関する件を議題といたします。水産統計整備拡充について川端委員より発言を求められておりますので、これを許します。
  3. 川端佳夫

    川端委員 ただいま議題となりました水産統計整備の問題について、いささか当局の所見を伺いたいと思うのであります。  御承知のごと農林水産統計は、日本の国において一面において弱点を持ち、かつ最も重要な立場を持つておる統計であります。今度の行政整理に関連いたしまして、この面に相当の縮減を予想されるかに聞いておるのでありますが、戦後特に生産の増強とにらみ合せまして、この基本的準拠となるべき統計が重んぜられなければならないという必然性に逆行しての整理は、いささかわれわれは考えなければならないと思つております。私は行政整理というのは、必要なものを切るということじやなくて、不必要なものを整理することにあるのでありまして、必要なものとしての統計事務関係は慎重に扱うべきだと思つておるのでありますが、特に最初に水産統計関係整理見通しについてまず伺つて、それから次の質問に移りたいと思います。
  4. 安田善一郎

    安田説明員 私は農林省統計調査部長でありますが、統計調査部におきます水産統計人員、業務に関連して、川端委員行政整理に関します経緯、見通しを述べよという御意見について申し上げます。  水産統計につきましては、必ずしも全部農林省統計調査部において行つておるという現状ではありませんで、またそれが必ずしも適当とも思いません。従つて資源調査とか企業体調査とかいうものに関します調査統計のことにつきましては、水産庁において水産行政を行つてくださいますと同時にあわせて行いますれば、よりよく統計が完全にできる、あるいは許可事務等関係しまして、水産庁の運用よろしきを得ますればうまくできるというものを除きましては、統計調査部において最も基本的な水産業に関する統計事務の分担をいたしておるのであります。従つてどもに関する部分を簡単に申し上げますと、終戦前までは官房の統計課において標識調査を、都道府県を使い、市町村を使つてつて参りました。標識調査と申しますのは、大体どういう種類の魚が何県でどのくらいとれているかということを客観的に把握する統計でございますが、毎年年次統計表をつくりまして、これを四半期ごとに区分してやつて参つたのでありますが、終戦後総司令部ができまする関係もありましたり、国内食糧資源特に蛋白資源重要性がより一層認識されましたり、漁区が制限をされましたり、資材、船舶その他の関係等からいたしまして、水産業におきまする食糧の問題が特に重要になり、従つてこれの実態を把握しまする統計重要視をせられて参りまして、これは終戦後特に新たに感知せられたことではございませんが、その面からも重要性を増して参つたのであります。そして総司令部を通じ、統計を通じ、国際的な関係も新たないろいろの関係を生ずるに至りましたので、二十二年以降において農林漁業基本統計につきましては、新しい組織と新しい調査方法等、主として信頼性を増し、国際的に通用し得るものを目的にして、新たに統計調査部を設置して発足をいたしました。しかし水産統計につきましては、依然として統計課の一部としてあまり重要視されませんでしたので、昨年の八月から特に水産統計課を独立いたしまして、水産庁と緊密なる連繋のもとに、どういう調査をしてどういう整備をして行くかは、両方水産統計整備委員会協議会をつくりまして、そこできめますが、こういう統計は一に水産庁がいるのであります。私どもは、統計調査方法専門的分野からいたしまして、他の統計調査方法とも合うように、国際的な統計方法とも合うように、こういうことを意図しまして、主として人員増加もいたし、予算増加もお願いいたしまして、新たな整備発足をいたしたのであります。その結果二十六年度におきましては、本省において二十七名、統計調査事務所水産関係統計課におきまして二百三十四名の本定員を持つておるのであります。この二百三十四名という地方職員につきましては、海に面しておりまする沿海事務所が四十一ございまするので、その四十一事務所に百二十三名を配置いたしまして、残りの百十一名を、海に面します出張所——現場職員駐在所でありますが、そこに配置をいたしております。この関係職員は二十五年度から設置をされまして、二十六年度にそのまま引続いたのであります。このほかに、何しろ沿海出張所と申しましても四百五十くらいでございますのに、百十一名しかございませんので、そこには非常勤職員を千六名配置いたしました。この非常勤職員は必ずも普通のごく簡単な人夫とか、いわゆるぼつぼつと出て来るような非常勤職員ではございませんで、かなり一月のうち引続いて執務をしてもらうような非常勤職員でございますが、これを沿海出張所に二名以上ずつ配置しておるのであります。その経費は総額一億八百万円でございます。特に基本統計として、水産庁と緊密な連絡のもとに、水産庁資源調査と特に相寄り相助けて、そうして水産業振興資源の保護あるいはその他の漁家の所得の確保安定というようなものに資しまするために行つておりまするおもなねらいの調査は、海面漁業漁獲量調査が第一でございまして、それは月別に、都道府県別に、北海道支庁別に、魚種において五十八種、漁業において三十三種、従つて両方組み合せますと魚種別漁業別統計が出るわけであります。また従来日本には漁場別統計がございませんでしたので、新たに漁場別統計を、非常にむずかしいのでございますが、とることにいたしました。そうして魚体の大きさ等を水産研究所で調べまして、これを合せてみますと、日本あるいは公海における各漁場魚種漁業におきます資源調査等の有力な水産業政策基礎になる次第でありまするので、四半期ごとにこの漁場別統計をとることにいたしております。しかしその対象は、何しろ経費が少く、人員も少うございますので、以東底びき、遠洋かつおつり、遠洋まぐろつり、はえなわ、さんま棒受以西底びき、突棒に目下のところは限定いたして、十トン以上の船について行つております。  そのほかにつきましては、内水面漁業を従来の標識調査によりまするものと、二十六年度からは魚価経済調査を、約三種か、四種であつたと思いますが、行いまするのと、ときどきにおきまして、五年目に一回ずつ全漁業につきまして魚価でありますとか、各種生産手段をどういうふうに持つて行つて漁業を行つておるかとか、漁獲高は年間どうであつたかというような漁業センサスの一齊調査を行うことにいたしておりまして、その間に年々中間調査を補完と申しますか、五年ごと基本調査の間に中間的なこれを補う調査をいたしておりまして、昨年は春にしんの漁業の一齊調査を行い、本年度は目下やつておりますが、五ポイント政策その他に関係いたしまして瀬戸内海沿岸漁業の本業と兼業の調査をいたしております。これらのものはいずれも二十五年度にまず試験的調査を行いまして、二十五年の十二月くらいから海面漁業調査がぼつぼつとよい数字を出し始めまして、水産庁でお使いになり、また地方庁でお使いくださるのには、やや使用にたえ得る程度になりましたけれども、だんだんと研究を積んで参りましたのは、この四月以降くらいであります。魚価経済調査に至りましては、今年の七月から数字が出て参つている次第であります。それ以前につきましては、従来通りの古い農林省統計と同じであります。  そこで一方行政整理の問題が起きまして、特に事務簡素化を先にいたして、講和後の行政体制整備する、その間において事務整理を前提にする限り、極力人員整理するという政府基本方針がございましたので、私どもは、水産統計に関しましては、日本各種統計の中では最もむずかしく、最も不備であり、そうして最も重要であることは、川端委員の御意見があつた通りであると存じております。従つて各種の統制が解除されております今日、また今後解除されるとき、統計は、行政の羅針盤ともなり、政治の燈台ともなるようなものであるから、ぜひ重要視をしていただいて、整理どころか整備をさらにいたしてくださいますように願いたいと思います。また最近には水産の五ポイント政策であるとか、国際漁業協定等関係であるとか、あるいは国会でも御審議をお願いくださつたようでありますが、FAO参加をするとかいうようなことがあります。FAOでも水産は非常に重要視しているわけでありますが、これらの国際協力をしたり、また国内産業報告をいたしましたりする場合には、統計が最も基礎となるのであります。また吉田全権は、講和條約の調印の前におきまして宣言をなさいました。その宣言最後には、一九二八年のジユネーヴにおきます経済統計に関します国際議定書及び国際協定にできるだけすみやかに参加する意思を有することを表明する。こういうことを申されまして、できるだけすみやかにその條約に参加意思を表明しておるのであります。その中には水産に関しましても、おおよその水産資源、毎年の漁獲量につきまして、国際的に通用するできるだけ正確な統計締約国間で交換する義務を有するというような條約になつております。同時にまた漁獲量のみならず、先ほど申し上げた水産業の  一齊調査というようなものも行つて報告する義務を有する協定になつておるようであります、そういう国際関係における統計重要性をも、国内関係重要性をあわせまして、事務当局としては、農林大臣に、その行政整理がないか、どうしてもやむを得なければこれは最小限度にお願いしたい。そしてまた実体に即しては、むしろ未整備分野であるから、一層整備拡充を要することをお願いいたしました。農林大臣も閣議その他においていろいろお話をいたしましたが、一般的な行政整理が今の政府基本方針であつて財政事情等からいろいろ検討になられましたが、種々なる経過の結果衆議院では政府案可決されておりますが、私ども水産統計関係といたしましては、本省において二割、地方事務所関係においての職員でひとしく二割、総人員二百六十一名の現在人員の中で、五十二名を減員することとなつております。従つて整理後の人員は二百九名になります。非常勤職員につきましては、本定員でございませんので、予算面上のことでございまして、また来年度の予算はむしろ増加要求をいたしておりますが、事務的折衝すら大蔵省とする段階にはなつておらないのであります、これも矛盾するようでございますが、農林省の省議では早くこれを決定いたしまして、大蔵省主計局折衝中のことがございますが、それは先ほど私の説明でお気づきのことと思いますが、沿海事務所現場調査員は四百五十とありますのに、百十一名しか配置いたしておりません。非常勤は朝早くとか夜遅くでも、魚の水揚げ、陸揚げに応じて、すぐ調査に行く態勢をとつておりますので、これではどうしてもだめだから、せめて財政事情が余裕があれば、行政整理時代でも、重要漁港九十二箇所、それから重要な沿海出張所二百三十九箇所計三百三十一箇所には、どうしても現場調査専門職員を置きたい、こういう意味で今現場に百十一名おりますから、二百二十二名の増員要求をしておつたところであります。そういう次第で増員要求を出しており、また国会においても、各方面でも、未整備、不合理であるから、十分に統計にとつて水産振興基礎にせよという御意見も多々伺いますが、目下のところ衆議院を通過して、参議院でも審議願つております行政整理案水産統計関係としましては、二割、五十二名の減員であります。参議院においては、私から御説明するのはおかしいかと思いますが、内閣委員会その他農林委員会水産委員会からも応援をお願いいたしておるのでありますが、これは大量整理すべきにあらずという修正、復活の御意見が多いように、事務局として承つておる次第であります。
  5. 川端佳夫

    川端委員 統計事務職員取扱いについての事情をるる拝聴したわけでありますが、今安田部長から説明のあつたように、衆議院では定員法の問題は一応可決を見ておるわけであります。私は再度にわたる定員取扱いの問題を見まして、行政各部態度といいますか、取扱い方に非常に納得行きにくい面がある。というのは、たとえば同じ水産庁におきましても、議員提出でやつた漁港法が通過いたしましても、これに伴う人員をつくらない。そしてどの部、どの課とはいいませんけれども、私は必ずしもどの部どの課でも人員が不足しているのだとは考えない。部内のやりくり、配置転換というようなことが、行政整理伴つて事前に考えられなければならなかつたと思うのでありまするが、こういう点についての配慮が行われていない。従つて統計部門あたりは当然整備すべきだとわれわれは思つておる。ところがこういうところにしわ寄せが起つて来るような、非常な奇現象になつておると思うのでありますが、一応衆議院ではこういうふうな事情になつておるのです。これをあえて掘り返して詮索するのもどうかと思いますから、今後の対策について伺いたいと思うのでありますが、こうして二百六十一名の中から五十二名の整理という政府案の方向が示されておる。こうなつて行きますと、先ほどからお話の中にもあるように、非常勤の連中が千名もあり、かつ出張所関係が百十一名では足りないので、もつと二百五十名からの増員をしなければならないという必然性があつて、この間の調節をいかにしてはかつて行くか。私は統計調査方面では、もう少し積極的に公海調査もしなければならない。今までの漁場調査実績本位であつて、もう少し開発すべき新しい漁場が幾つもあると思う。ところがこの方面に向つては今まで全然手が染められておらない。従つてこの制限を受けると、ただちに漁場の払底を伝えて、手をこまねいて待たざるを得ないということにもなつて来たのでありますが、私はもつと積極的に、漁場開発という面からいつても、未開発の地点の調査もやらなければならぬという感じを持つておる。こういう幾多の懸案があるし、特に安田部長あたりは、農林省あたりでも企画の面からいつて優秀な、嘱目されておる人でありますから、こういう将来計画とにらみ合せて、この整理された人員をどういうふうに操作して行くか、こういう点を一応承り、どうしてもこれでは行けないのかどうか、所信を承つておきたいと思います。
  6. 安田善一郎

    安田説明員 私は農林省の中でも一統計調査部長でありまして、川端委員から今御質問のあつたようなことにつきまして、確固たる考えを申し述べる資格ありやいなや、いささか疑問かと思いますが、二つにわけて申し上げますと、事務当局意見としても適当かと私は判断いたしますが、第一には、衆議院が一応御可決になりました行政整理案につきましても、事務当局として必要に応じて参議院に出席させていただきまして、御審議願つております様子から見て、それほどの整理がこのまま最終決定されるとは存じあげませんので、もう一度川端委員その他水産委員会でもよく御検討くださいます機会があるように期待をいたしております。それから水産統計農林省部内仕事として、どういうふうにやつて行くかということを申し述べさせていただいた方が適当かと存ずるのであります。     〔鈴木委員長代理退席冨永委員長着席〕  観点をかえまして、仮定の上に立つて、かりに整理がある程度あるということで申し上げますと、お話通りでありまして、総司令部がいろいろ私ども仕事を指導、監督いたしました時代においても、水産統計はもつとしつかりやらなければいかぬということを言われました。この意味国内的にはもちろんよく存じておりますが、日本水産業——あるいは水産資源食糧資源を、産業として、また従業する方方の生活問題として、国の外から見た意見かと、私はいつも存じておるのであります。この内外両方からする面として、どうしても実態をはつきりさせて、その上にむだのない、合理的なしつかりした行政施策が行われることが第一でありますから、この面は、たとえば農業統計関係などは、実は今でも労力過重で困つております。これは定員には関係ないことでありますが、それでも若干の繁閑の度合いの差がございます。そこでこれらの点を考えまして、幸いに統計方法としては共通性を持つておりますから、統計調査事務所で、各種調査をいろいろ専門にわけながら行つておりますが、その間を融通し合いまして、人の不足を補い、また能率を増進し、他方もう一面は調査内容を、——今長々と御説明いたしました海面漁業漁獲量調査は、日本で初めて着手いたしました標本調査理論——標本を上手にとりまして、実際にはかつてみるということを加えた標本調査実測理論を加えた調査でありますけれども、魚では非常にむずかしいものですから、魚市場、漁業協同組合等のお助けを借りて、その仕切り伝票基礎にして、これを標本実測で審査修正し、できるだけ正確な統計を作成しておる次第でありますが、少しこの間の簡単化をはかりますというか、簡素で合理的な調査の方へやつて行くよりしようがないのじやないか、これは御趣旨に沿いませんが、人が削られ、予算が十分にとれませんならば、調査の方を簡単にするよりしようがないと思つておる次第であります。
  7. 川端佳夫

    川端委員 私はこれで発言をやめますけれども最後委員長にお願いいたしたいのであります。先ほどから質疑応答でお聞き及びの通り統計事務整備拡充については、われわれも至大の関心を持つておる問題であるし、委員長もよく御了察の通りでありますから、事は前後いたすような結果になりましたが、委員会としても何分の態度決定願つて、善処あらんことを要望いたしまして私の発言を終ります。
  8. 松田鐵藏

    松田委員 現在三国協定審議中である。この三国協定資料に対して、水産庁長官からいろいろと昨日もその内容伺つておるのでありますが、その中で一番欠けておる点は、日本漁業の今まであり来つた実績ということであります。また新たに伸展して行かなければならない日本漁業に対するこの協定の面においての不備は、一に水産統計不備にはつきりと表明されておるのであります。これが現在は三つの国で行う協定であるが、東亜各国とも協定を行わなければならない時期が近い将来に到来するのであります。このときにあたつて、それならば日本水産統計ははたしてどのようにまで進んでおるかということが第一の対外的の問題であります。  また国内的においては、せつかく八海区の研究所が国営として現在存続しておるのであるが、この研究所に対しても、どこの研究所調査しても、ほとんど旅費すら満足にないという現在の姿であります。ましてその基本たる調査の面において、いつでもわれわれが調査の結果痛感するのがその研究費であつて、もかような面が常に論議されて来ておつたのであります。また地方漁民としたならば、今まではただ沖を見ては、今日は天候がよいだろう、またはどこのところへ行つたところが魚がとれた、あそこへ時期を見て行こう、これを長い間の体験から今までの沿岸漁民は行つて来たのであります。かようなことであつたならば、科学的な操作と統計がないために、ただ我流によつて漁業を営んでおるにすぎない。沿岸漁民が今日どういうような窮地に立つておるか。今研究所が大きな魚田開発という面から行つておるが、それに対する資料さえ満足にない。これを裏づけするのが統計事務である。その統計事務がどのように進んでおるかといつたならば、これまた、ただいま説明を聞くような現実の姿である。こんなことではたして日本沿岸漁民が立つて行くかどうか。よく統計を見て、それの報告を受けて、自己の古い体験と相マツチすることによつて、堅実な漁業が行われるものと思うのであります。  第三の点は、沿岸漁民は、ただいま申し上げるように、自己の古い観点のみに走つておるがために、ややもすれば函館におけるいかの許可漁業における問題とか、北海道の入会の問題とか、能登半島の旋網の問題とか、新潟県の底びきの問題とか、瀬戸内海の問題とか、それから伊勢湾の問題とか、かように枚挙にいとまないほど現在政治問題化して、漁民が相争つておるところが見受けられるのであります。かような点は、統計を完全にして行つたならば、われわれも議論を完全にし、その解決点は見出され、また漁民も納得するものである。しかし、残念ながら今日の状態は、わずかに昭和二十六年度において初めてこの事務が軌道に乗つたというにすぎないのであります。これから漁民が科学的なまじめな企業を行わんとするところへ、もしこの制度が縮小されるようなことがあつたならば、おそらく漁民の恨みは当水産委員会に集中するであろうと私は考える。われわれもまた水産行政の面からいつて、政治的に、こうした問題をもつともつと拡充整備することが、漁民に対するわれわれの務めでなければならないと考えるのであります。ところが、先ほど説明を受けると、千何百人の人間が臨時雇いで、事務を補つておるということである。その人々は満足仕事なんかするものじやない。そんなものは雇わぬでもいい。片手間の仕事をするようなことで、この貴重な統計事務などでき得るものでないと私は考えておる。委員長においては、よくこの委員会の意向を参酌されて、政府に対して、この統計事務拡充強化をはかるように進言されんことを希望して、私の意見とするものであります。
  9. 冨永格五郎

    冨永委員長 水産統計機構の充実に関して政府当局に要望いたします。統計は国政のバロメーターであつて、立法、行政の根底をなすものであることは今さら言をまたないのであります。従来わが国の統計は、その正確さにおいて欧米先進国に比して遜色あるものと評価されておるのでありますが、終戦以来統計機関整備やや緒につき、ようやく面目を改めんとするの観があつたのでありますが、各省定員法の改正に伴いまして農林水産業統計機関の縮小を実施せんとしつつあるのは、まことに遺憾であります。特に漁獲統計ごときは、その集計の困難なること農林業の比にあらず、しかも漁業海洋において操業さるるをもつて漁獲統計はしばしば国際交渉の重要なる資料として利用されるのみならず、海洋資源維持施策遂行上、正確にして迅速なる統計を必要とするのであります。よつて政府は、さしあたり改正定員法のわく内においてこの要望に沿われんことを、強く要望するものであります。     —————————————
  10. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際漁船損害補償制度に関する小委員会設置の件についてお諮りいたします。漁船損害補償制度に関する調査専門的に進め、現行本制度の不備を是正し、これに関しその対策並びに本制度改革に関する法律案の立案等の任に当るため、漁船損害補償制度に関する小委員会を設置いたしたいと思いますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、同小委員会を設置するに決しました。  重ねて、同小委員会の小委員の数、小委員及び小委員長の選任方法につきましてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めます。それでは、小委員の数は十五名とし、小委員には       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       鈴木 善幸君    田口長治郎君       田渕 光一君    冨永格五郎君       永田  節君    二階堂 進君       松田 鐵藏君    小松 勇次君       林  好次君    横田甚太郎君       田中織之進君  小委員長には松田鐵藏君を御指名申し上げます。     —————————————
  13. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合発言を求められております。これを許します。石原圓吉君。
  14. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 水産資源法案に関する前国会の小委員のその後の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案の緊要たることは今さら申すまでもないのでありまして、第十国会において小委員会並びに本委員会において成案を得ましたことは御承知の通りであります。さつそくオーケーを求めましたが、遂に第十国会の終るまでオーケーを得ることができなかつたのでありまして、まことに遺憾にたえないので、本案に対するオーケーの点を、冨永委員長及び小委員長の私が連名をもつて経済科学局長マーカツト氏のもとへ照会をし、オーケーの出ない理由をただしたのであります。それに対しマーカツト氏より、昭和二十六年六月七日付をもつて私ら両人に回答書が参つたのであります。その要旨は、水産資源保護法の要旨はまことにけつこうであり、賛意を表するものである、第十回国会に上程できるようとりはからいできなかつたのは、予算の面において私の部下に多少の疑義があつたからである、しかし相なるべく早く私の部下は貴君らと懇談することを希望するものであるとの回答でありまして、今回臨時国会の開設以来、この点について数回にわたつて懇談並びに要望を重ね、去る十七日経済科学局のエター課長より三点の修正を勧告され、よつてただちに修正手続をとつたのであります。  その要点は、第二十四條、第三十二條は予算の範囲内でやること、第三十四條の水産資源保護部会の運営は昭和二十七年四月一日より開始する、この三点を修正することを要望されて、その通り手続をいたし、オーケーを得ることになつたのでありまして、多分本日午前中にその手続は完了すると思うのであります。  以上の通りでありまして、御承知のように本案はただいま三国漁業協定が開始せられておる問題における重要点であります。アメリカ代表においても魚族の保存ということを強く主張しておるのでありまして、その首唱者であるヘリングトン氏はかつて進駐軍の水産部長であり、その当時われわれに五ポイントの勧告があつたところの一つの重要な問題であります。この法案を今回法制化することは、国際的にも非常な好印象を与えて、三国協定に役立つのみならず、国内的にも非常な革新的な好結果を得る段階に行つたのでありまして、委員長におかれても、本日にもオーケーが参り次第本委員会にお諮りになつて、すみやかに議会に提出されるように特段のおとりはからいあらんことを希望するものであります。
  15. 冨永格五郎

    冨永委員長 了承いたしました。     —————————————
  16. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に小型機船底びき網漁業整理特別措置法案議題とし質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。小松委員
  17. 小松勇次

    ○小松委員 小型底びき網漁業整理を目的とするこの措置法案につきまして先ごろ要綱を示されたのでありますが、その御説明の中に、現在操業している三万五千隻を、昭和九年ごろに操業されていたと思われる二万隻程度に圧縮するということを承つたのであります。しかしてなお昭和九年ごろの操業総数と資源量が一応均衡を保持していると考えられるということでありますが、この点につきましてお尋ねしたいのでありますが、この操業総数と資源量が一応均衡がとれていたと思われるということについては、いろいろ科学的な御調査もされたことと思います。ただいまいろいろ漁業統計についてのお話を承りましたが、この科学的調査基礎をなしたものは漁業統計であるかどうか。かつまたこの当時は漁業の経営が安定していたものとお認めになつておるかどうか、まずこの点を伺いたい。
  18. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 ただいま小松委員からお尋ねの点の、三万五千という調査隻数はいかなる調査の根拠によつたのかということと、二万隻程度の圧縮ということが昭和九年当時の状況とすれば、昭和九年当時の経営状況は安定していたのかどうかという点につきましては、三万五千の調査隻数は、これはいわゆる小型底びきの範囲が、調査統計という基本的な統計には分類して載つておらないのでありまして、これは水産庁におきまして、特別に府県を通じまして、昭和二十五年の十一月一日現在の日時をもちまして、一齊調査した報告をとりまとめた数字でございます。  それから第二点の、昭和九年当時の二万隻、これはその当時約一万八千隻と推定しておつたのでございます。その当時の経営状態はどうであつたかというようなお尋ねでございまするが、これも程度の問題でございまして、現在の経営の状況から見ますると、その当時の経営の方がよりよかつたというようなことが常識的に言われるのでございます。その当時の調査資料がどの程度であつたかというようなことにつきましては、厳密に実は調査をいたしたわけではございませんで、この二万隻というのは、昭和九年当時の程度に一応返してみる。それと並行して、先ほど種々御意見がございましたような水産資源と小型底びきとの関係を現在調査研究中でございますので、その結論が間もなく出て参るであろう。それをまた見合つて、現実に減船整理といつたような方向に行くべきであるかどうかというようなことをさらに検討して参る、かようなことを考えておるわけでございます。
  19. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、水産庁が一齊調査をされましたその資料のもとにおいて、この減船をなさるということは大体わかつたのでありますが、やはり中央漁業調整委員会もその資料に基いてこれを審議するということになると思うのでありますが、そのほかに何かこれに対する資料があるのでありますか、あるいは地元の業界の人々の意見を相当聞いたのであるかどうか、こういう点をひとつ伺いたい。
  20. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 ただいま説明いたしました通り水産庁が県を通じまして一齊調査をしたわけでございまするが、昨年の十一月一日現在の数字として報告された数字でございます。その後、いろいろと県の側におきましてもさらに細密な調査を十分に行い、また組合その他の方面からも県に対して訂正の申出があつたり、あるいは調査漏れの報告があつたわけでございまして、この三万五千というのは、一応数字的に現在検討をいたしましてさらにこれを訂正中でございます。従いまして現在のところ、三万五千というものがその訂正によりましてやや減つて来るというような状態になつているのでございますが、この水産庁調査した三万五千を基準にして県におろし、調整委員会なりあるいは組合に諮るのかという御質問に対しましては、現在のところ、訂正しました数字によりましておろして参りたい、かように考えているわけであります。
  21. 小松勇次

    ○小松委員 三万五千の総数がどうしたということよりも、私の伺いたいことは、圧縮するその二万そうの数というものは、水産庁の計画と相違がないのかどうか。調査の対象は三万五千そうがふえても、減船する総数には何らの影響がないのか、二万そうを基準として整理をするのかどうか、この点をはつきり伺いたい。
  22. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 現在のところ、先ほど申し上げましたように、昭和九年当時の隻数に一応帰したいというような目標をもちまして進んでおりますので、二万そうという目標につきましては、変更をしないように考えて行きたいと考えております。
  23. 小松勇次

    ○小松委員 生活の基礎をなしておりますかような職業を整理するということは、一面また基本的人権に関する大きな問題であります。よほど慎重にこれを取扱わなければならないことは申すまでもありません。慎重に取扱つてこそ、初めて漁業制度の改革が円滑にできると思うのであります。この整理の法案を見ますると、整理に対していろいろの勘案事項等も数項にわたつておりますが、そのうちに、みずから進んで営業を廃止しようとするような申出のものが相当あるのですか。
  24. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 全体的に申しますると、長年の間漁業を続けて来た生業を転換することはなかなか容易でないわけでございまして、さような漁業者の方々の気持は、なるべくならばこの漁業——ほかの事業にもし転換ができれば転換したいけれども、ほかに転換するものがなければ、この漁業でやつて行きたいという気持が大部分でございます。ただ終戦直後におきまして漁村の人口がふえ、これらの新しく漁村に入られた方々が漁業を一時的にやられたというような部面もあるようでございまして、そういうふうな方々は、補助金その他の転換施設のいかんによりましては、転換をして行きたいというような申出をされているものもあるわけでございます。
  25. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、この整理のまず第一の対象として取上ぐべきものは、いろいろ規定された船のトン数等の條件もありますが、そのほかに許可船と無許可船とがあるようであります。まず無許可船をまつ先に整理するのかどうか。
  26. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話通り小型機船底びきの関係は無許可船と許可船があるわけでございまするが、許可船といえども、大部分が違反をしているような状態でやつておる向きも多いのでございます。従いましてそういう場合におきましては、ほんとうに機船底びきの規則でもつて許されておりますように、たとえば往復動力を使つて、操業は動力を用いないで底びきをやるというような許可を受けて、その通りつている部面でございますとか、あるいは単に自家用の、餌料をとるために小型の底びきを許可されて、その通りつているというような向きもあるわけでございます。さような正規に許可されて正規にやつている部面と、正規には許可されているけれども違反しているというような部面と、それから純然たる無許可操業というような各種の段階があるわけでございまして、減船整理の問題につきましては各漁村のさような実態をよく考慮いたしまして、減船の順序は、やはり無許可船を先にすることを考えて行くのが常識に合つているのではなかろうかと思うわけでございまするが、必ずしもその原則一点張りで行けないような部面も相当あるようでございますので、それらの事情も、よく協同組合なりあるいは海区委員会意見を徴しまして、慎重にやつて参りたい、かように考えるわけでございます。
  27. 小松勇次

    ○小松委員 なお念のために伺いますが、許可船も無許可船も整理する場合においては、補助は同率にやはり交付することになるわけですか。
  28. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話通りでございまして、問題は小型底びき漁船の減船整理ということでございますので、無許可といわず、許可といわずやつて行きたい。その整理の暫定的な処置として、一応臨時操業的な許可を一年ごとに与えて参ることによりまして、秩序を立てつつ減船をして参りたい、かように考えております。
  29. 小松勇次

    ○小松委員 なおお伺いしたいのでありますが、今回の整理の目的とするところは、資源を保護し、濫獲を防止することに重点が置かれていると思うのであります。従つて濫獲を防止するためには、船のトン数だけを制限するのではなくして、かえつて濫獲はその機械力に比例するものではないかと思うのでありますが、この機械力に対しての制限が本法には何ら規定してなく、ただ要綱だけにこれが示されておる。この要綱にあるところの馬力数というものは、動かせない馬力数の標準であるかどうか、これを念のために伺つておきたい。
  30. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お尋ねの点につきましては、全体の整理の順序でございますが、まず五年後の目標の隻数なり、トン数なり、それから馬力数を一応きめるわけでございます。それに従つて毎年減船すべき隻数と馬力数とトン数というものを考えて、各府県にわくを与えることになるわけでございます。このわくの範囲内で具体的に、協同組合なり、海区調整委員会なりが各漁船の経営者といろいろ協議いたしまして、希望すべきものは載せ、その他のものはいろいろの勘案事項を考慮いたしまして、具体的にきめて参るのでございますが、馬力数の大きい部面を制限すべきかどうか、その場合においての馬力の制限の問題については、一応各特殊海域と申しますか、瀬戸内海、伊勢湾、有明海あるいは豊後湾という地帯においては特別に馬力を制限する。一隻ごとの馬力の最高限度を押えるという告示をして、その範囲内においてさらにまた減船の処置をはかつて参りたいということを考えておるのでございまして、お尋ねの点がもし特殊海域に該当する場合においては、告示をもつて馬力の制限があるわけでございます。さような処置で馬力の制限なり、機械力の増大ということを押えて参りたいと考えている次第でございます。
  31. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、特殊海域についての馬力の制限の告示は、個々についての馬力の制限をするわけですね。総馬力数を限定するのではなくて、個々の船に対しての馬力数をきめることになるわけですか。その他の地域については、馬力数は総馬力数だけを限定して、その範囲において地方で自由に馬力数をきめればよろしいのでありますか。
  32. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 農林大臣の告示が一応特殊海域について定められますると、それに従つて個々の船が押えられて参ることになるわけでございます。それからその他の区域につきましては、県別に隻数なりトン数、馬力数のわくを与えるのでございまするが、その場合におきまして、極力大きな馬力のものは押えられて行くであろうということは、その整理計画の中で具体的に決定していただくのでございまして、二隻合せて大きな馬力にするようなことは、現在のところ考えてないのでございます。
  33. 小松勇次

    ○小松委員 なお特別措置法の五條と六條について伺いたい。この五條におきましては、「小型機船底びき網漁業に使用する船舶の隻数、合計総トン数及び合計馬力数が前條に規定する最高限度以内となるように、昭和二十七年度から昭和三十年度までの年度ごとに、都道府県知事及び中央漁業調整審議会の意見をきいて、その年度において整理すべき小型機船底びき網漁業に使用する船舶の都道府県別の隻数、合計総トン数及び合計馬力数を定め、これを公示するとともに都道府県知事に指示しなければならない。」かようになつております。この整理する問題については、都道府県知事が農林大臣の諮問に答えるのには、もちろん関係漁業協同組合あるいは漁業協同組合連合会等の意見を聞いて、これを具申することと思うのであります。ところが六條の三項におきましては、「都道府県知事は、前條第三項の規定により、整理すべき船舶の隻数を減少する旨の指示を受けたとき、その他必要があるときは、前項に規定する連合海区漁業調整委員会及び関係漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の意見をきいて、第一項の規定により整理すべきものとして指定した船舶について、その指定を取り消すことができる。この場合には、第一項の規定を準用する。」これは知事が地方関係漁業協同組合その他の団体の意見を聞いて、農林大臣の諮問に答えて整理すべきものと定めたものに対して、またさらに指定を受けたときに、知事はその指定を取消すことができるというので、この取消すということは、要するに減船をしないで船をふやすという意味になつて、減船という趣旨とふやすという趣旨と正反対になると思うのでありますが、この点はどういうふうに解したらいいか、私は第五條と六條との関連に非常な疑問を持つておるのであります。
  34. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お尋ねの点は第五條の三項と第六條の三項との関係だろうと思います。第五條の三項は、一応その年において農林大臣がわくをつくり、知事がそれに基いて具体的な船を指定することになるのでございますが、農林大臣が府県別のわくを定めて知事に指示した後におきまして、いろいろと漁業調整のために問題が起つて、そのわくを多少増減しなければいかぬ事態が出て来る場合を予想したものでございます。従いましてもし知事に指示したわくそのものの増減ができた場合におきましては、農林大臣は知事と委員会を聞いてこれをきめるわけでございますが、さらにそれを公示してその知事に指示することに相なるのでございます。従いましてこの場合にわくが多少増加するということになりますと、知事がすでに指定してしまつたような船もそのわくの増加の範囲内において取消す処置を講じなければいかぬというような事態が起りますので、第六條三項におきましては、五條の三項の規定によつて整理すべき船の隻数が減少した反対に、わくが増加したというような指示を受けた場合においては、今度はどの指定を取消してわくの増加にこたえるかというような手続として、連合海区調整委員会たり関係漁業協同組合あるいは連合会の意見を聞いて具体的にその船をきめ、指定を取消すということを書いてあるのでございます。
  35. 川村善八郎

    ○川村委員 小型機船底びき網漁業は、御承知の通り資源関係と他種漁業に非常な妨害があるので、何としてもこれは整理しなければならぬのであります。もちろん業者お互いも、このままに放置しておくならば営業が成り立たないというようなことで、今水産庁ではこれを立案して本委員会提出されておるようなわけであります。だがただいま小松委員からの質問に対して二、三私は疑義が生じましたので、その点をお伺い申し上げたいと思います。  第一に、小型機船底びき網の漁船には無許可船と許可船があるが、減船整理にあたつてはもちろん無許可船を先にする、そればかりではない、現在許可を持つてつても許可通りつておらない、すなわち違反をしておるものもやはり整理をして行かなければならないと言われた。それはもちろんでありますけれども、私が考えますに、許可船がもし違反をしておつたとするならば、これを是正せしめて軌道に乗せて行くことがほんとうではなかろうか、無許可船はまずもつて許可船より先に順次整理をして行くということでなければならない、私はかように思うのであります。許可のあるものがわずかの違反をしたからといつて取消すとか整理をする、そうなるとこれまで見のがしてやつたものを許可船同一とみなして、それもある場合には残るのだというような感じが部長の発言に対してするのです。というのは、先ほどから許可船と無許可船があるのだ、建前としては許可船は残したいが、しかしながら許可船といえども正しくやらない船がある、だから許可船を整理しないということはできないというふうなことを言つているが、そうでなく、まず許可船を正しい操業の仕方に持つて行く、あるいは船舶のトン数がふえておるとするならば、これは正しい方向に向けてやるような指導をする。それから軌道に乗つた正しい船であろうと、現在水産庁が考えておる小型機船底びき網漁業の要綱等に合致するものであつても、まずもつて無許可船は第一に整理の対象にすべきものだと思う。そうでない限り今後の違反は防止できません。すなわち許可船が十隻あつた、そこに二十隻の無許可船が出た、極端に言えば、何百、何千、何万という無許可船が出たとするならば、許可船も無許可船も同じ対象になつて整理されるという矛盾が出て来るだろうと思います。だから許可船は正しい船にして残すという建前で、まず無許可船から順次整理をして、昭和三十一年までには水産庁の考えている隻数に減船をしてしまう。そうでなくて、無許可船も許可船も一律に対等ということはおかしい。私どもは対等ではないと思う。片方はどろぼう、片方はちよつと間違つてつているのだ。こういうことを同じにしては、今後の漁業の秩序は立ちません。従つて部長の考え方を直していただきたいが、その意思があるかどうかということが第一点。  第二の問題は、総トン数、総馬力のわくをやる、だからこれは都道府県知事その他調整委員会あるいは漁業協同組合で按配してやるだろうというお話であります。しかし私はそうではないと思う。按配することは事実でありますけれども、一応要綱とか政令、省令で小型底びき網とは何トン、何馬力以下ということが明らかに提示されております。従つていかなる場合においても、総トン数のわく外であつても、その一隻のトン数と馬力は制限されるものと私は考えているが、この点はどうか。  第三点は、ここに異議の申立てができるようになつております。この第七條に「前條一項の規定による通知を受けた者は、当該通知に係る指定に不服があるときは、都道府県知事に対して異議を申し立てることができる。但し、同項の規定により公示した日から二十日を経過したときは、この限りでない。」こうなつております。無許可船、極端に言うならばどろぼうしておるものが異議申立てをすることになつたならば、これも将来漁業秩序は保たれない。であるから許可船が整理される場合には異議の申立てができるかもしれない、これは常識であると思いますが、無許可船すなわちどろぼうが異議の申立てをして、こういう漁業をやらせるということになりましたならば、それこそもう何でもかんでもむちやをやつて違反を起して、あるいは密漁をやつて、異議を言わせなければならないというふうな習慣をつけるのではないか。これがやはり将来漁業経営の上に無秩序操業をさせる原因となると私は考えるのであるが、この三つの点を一体部長はどう考えておるか、その点をここで明らかにしていただきたいのであります。
  36. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 第一点の、減船整理の場合におきまして、無許可船と許可船とは厳に区別して、無許可船を主体に整理をすべきであるという御質問でございますが、先ほど説明いたしました点にさらに補足して申し上げますると、水産庁の現在の方針といたしましては、昭和二十五年十一月一日現在をもちまして、一斉調査をやつた名簿ができておるのでございます。それ以後に発生した無許可の底びきは認めない。その調査に載つておる隻数なり経営者を対象にして減船整理の処置を講ずるということを考えておるのでございまして、それ以後にできたものは厳重に取締りまして、これを処罰するかあるいは廃止させるということを考えておるのでございます。従いまして二十五年十一月一日現在におきましてやつてつたものの範囲から、今度は年次別をもちまして減船整理するのであります。お話通り無許可船が大部分あるわけでありまして、三万五千と言われる中で、約一万四千程度が許可船と考えられておるのでございまして、その他は無許可の状態にある。しかしこれも立法の趣旨から申しまして、一時的にこれを廃止させるということになりますると、漁業全体の経営の面にも問題が出て参りまするし、また各漁村々々の実情から申しまして、非常に混乱が出て参るということで、これを秩序に乗せつつ減船整理して参ろうということを考えておつたのでございまして、まずこの十一月一日現在に操業をしていたものの中から、十五トン以上のものにつきましては、これは小型機船底びきの範囲ではない、資源的にも非常に影響のある船であるからということで、まずこれをわく外にして整理してしまう。それからその次にわく内の船につきましては、一応臨時操業許可といつたような短期の許可を与えることによりまして、軌道に乗せつつ減船整理を毎年はかつて参ろうということを考えておるのでございます。従いまして従来の無許可なり許可というものが短期許可に一応切りかえられまして、それを具体的に減船整理する場合に、従来許可されておつた船と無許可でやつてつた船と区別して整理の勘案をするのは当然でございますが、その場合におきまして、漁村々々あるいは海区と資源の総合調整といつたような面から、あるいは地方によりましては、許可船まで整理をしなければいかぬ段階にある所も出て参りまするし、地方によりましては従来無許可であつた船が多少残るところも出て来るかもしれないというようなことを予想したわけでございますので、先ほどさような意味でお答え申し上げたのでございまして、われわれといたしましては、新たに無許可船が起つて参るということにつきましては厳重に取締りまして、その部面については許可の対象にもいたしませんし、減船整理の対象にもしないで、絶滅を期して参りたい、かように考えておるのでございます。  それから第二点に川村委員のお尋ねになりました、特殊海域以外の海域についての小型底びき船の押え方でございまするが、この場合におきましては、ただいま申しました通り、現在以上にとにかくトン数をふやしましたり、あるいは馬力をふやしましたりすることを認めないわけでございますので、その調査の名簿に載つたままの形において認めるか減船するかという処置を講ずるのでございます。その場合に、その県に指示いたしましたわくの範囲内で、当該調整委員会なりあるいは組合なりが具体的に減船整理の船を協議してきめて参りますので、大きい現有馬力を持つておる船は、勘案事項その他において全体の漁場利用の総合配慮の問題から申しましても、なるべく大きいものから整理して行くというふうなことになるのではないかと考えておるのでございます。  それから第三点の異議の申立てでございますが、この点につきましても、一応臨時繰業許可といつたような一年の短期の許可を与えまして、漸次減船整理して参るというような建前にもなつておりますので、これは法務庁その他といろいろと相談したのでございますが、現在の法規関係から申しまして、異議の申立て程度は認めないといかぬのだろうというようなことになりまして、規定しておるのでございます。
  37. 川村善八郎

    ○川村委員 大体答弁でわかりましたが、第一点は、もちろん一万五千隻程度を整理するのであるから、地方によつては許可船を整理しなければならぬという場合もあることは、私は調査の結果承知しております。ただこれを間違つてあなた方が次から次といわゆる放送をすると、今度は許可を持つておるものが整理されるということになつて、その県によつてはまたぞろ猛烈な反対運動が起きるのではないかという心配もありますから、今部長のお答えになつたようなことを、新聞紙上等でよく漁民に周知せしめなければならないのではないかと思うので、その処置をとられんことを要望いたします。  それから第二点は、もちろん現有トン数馬力等はそれ以上にふやさないということであるのだから、これは私は承知しておる。ただこれも法律だけ見たのでは必ず疑義が起きる。それで私は、現有勢力のトン数馬力を持つておる船といえども、できるだけ早く、今度の小型機船底びき網のトン数馬力に該当しない船は整理するのだということも、もう少し末端まで浸透するように、何かの形で発表するようにした方がよいのじやないか。  第三点の問題は、法務府が無許可船であり違反船であるということがはつきりしておるものに異議の申立てをさせるということになれば、今後との違反が起きた場合にも全部異議の申立てが成り立つというようなことになりはしないかということを私は心配するのであります。今後幾多の整理をしなければなりません。もちろん許可船は異議の申立てもある場合においては当然かもしれないけれども、無許可船に限つて異議の申立てをさせるということについては、私は絶対に承服すべきではないと思う。どこまでも無許可船とか極端な違反船というものは、整理すると同時に異議の申立てなどは聞かないような法律にしないと、いつまでたつてもこの違反船あるいは無許可操業というものがやまない、従つて漁業秩序というものを将来維持することができないと考えますので、この点を一考して今度何とか法務府と相談をしてもらいたいということを要望申し上げます。  それから許可について伺つておきたいのは、個々の許可にするつもりか団体の許可にするつもりか、この点であります。私の整理体験からいたしますと、御承知の通り北海道小型機船底びき網は千五百隻も整理しました。いつも言う通り政府の力は一つも借りません。借りたのはただから念仏にすぎない要綱であつたのであります。これは時間があればもう少し聞きたいのですが、こういうことは部長はおわかりだと存じますのでこの程度にしておきます。今国家が補助金を出してまでも整理しなければならぬということになつておるときに、またぞろ違反船すなわち無許可船にも個人に許可をやるのか、私の聞きたいのはこういうことなんです。私らが整理した体験からいうと、個人々々に与えて行くということでは、こうしたような将来何としても整理しなければならない漁業というものは非常に混乱をする。であるから許可というものは漁業協同組合もしくはそれに準ずるところの漁業団体をつくつて、その団体に許可を与えるべきである、もちろんこれは法規の上において相当研究しなければならないのであるが、その方が整理しやすい。と申すのは、かりにある団体に五十隻も臨時に許可をやつた。その場合に、一人の組合長に対して何隻整理しろと告示あるいは指示するならば、その内規においてひとりでに整理をして行ける。個々だというと一人々々に、今度はこういうように整理をしなければならないから、お前の船はやめてくれというようなことで非常に手数がかかる、時間もかかる、そうして整理に非常に困難があるのであります。従つて許可の場合には、私は漁業協同組合かその他それに準ずる団体に許可すべきであるという考えでありますが、水産庁としては、どうも先ほどのいろいろなお話から承ると、個人にやるような気配があるのでありますが、どういうふうに許可をやるか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  38. 林好次

    ○林(好)委員 先ほどの小松委員質問に対して漁政部長のお答えは、今の許可船と無許可船について、多少勘案事項として考えておられるようでありますが、今度の整理による補償というものは、無許可のものも許可のあるものも同様に扱うというような御意見であるように考えますが、先ほど川村先生からお話がありましたように、北海道は全国に先がけて、北海道の機船底びきの要綱によつて一応整理をいたしたわけであります。しかしながら北海道整理に対しましても、転業資金であるとか資材のあつせんをするとかいうような條件がついておりましたけれども、その約束はさつぱり履行されておらない。北海道はみな自己資金によつて転業をいたしたのであります。さらに北海道整理のときには、無許可の船と許可のあるものとは、大型の許可を与えるときに相当のハンデイがついておつたはずであります。これは地方費で出したわけで、国としては何らその裏づけがなかつたわけであります。現在未整理の分は、この法律が制定いたされた場合には、これは内地と同様に、補償されることと思いますが、現在あの要綱に基いて整理をいたしまして、そうして内地の分は許可のあるものも許可のないものも同様な條件において整理をするような水産庁の考え方のように私は先ほどつたのでありますが、そういたしますと、水産庁として今後こういう問題についてどういうぐあいに処理をされるか、この点もひとつ承りたいと考えるのであります。
  39. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 川村委員からのお尋ねの第一点の異議の申立ての問題につきましては、これは御質問にございました無許可船及び許可船との区別でございまするが、漁業法の一部改正なり、本案が実施に移されますると、農林大臣のわくの範囲内で府県知事が具体的にきめました漁船について短期許可を行うというような関係になるわけでございます。この短期許可は一年以内のごく短かい許可にいたしまして、その許可が来年になるとさらに減つて参るというふうに漸次整理をやつて行く段取りになつておるのでございます。従いましてさような短期許可をして操業を許された船につきましては、第七條のような異議の申立ての道も開いておく必要もあろうという意味でございます。  それから第二番にお尋ねになられました許可のやり方の問題でございまするが、これは川村委員の御意見通りでございまして、われわれといたしましても団体許可ということを指導して県にやらして参りたい、かように考えるのでございます。そうすることが整理を促進する意味合いにおきましても必要であろうと考えておるのでございます。なおその関係を法律に規定するかいなかというような問題も、いろいろと研究したのでございまするが、法律的な関係はただ短期許可を与えるという根拠でございまして、その許可の内規と申しまするか、やり方と申しまするか、形の問題でございますので、これは極力法律に規定せずに、指導でやつて行くというふうに考えておる次第でございます。  それから林委員のお尋ねになられました、北海道における小手繰り整理の問題と、小型底びきの整理との関係において、補助金交付その他において不公平はないか、特に許可船、無許可船という問題について不公平はないかという問題でございますが、北海道の小手繰りの場合におきましては、小手繰り船の転換ということは、全部ひつくるめて転換する。ただそれが中型なり、大型の底びき船に関連させて転換整理をするというような方法でございましたので、大型なり、中型の無許可船がありました場合においても、一応北海道の海域をきれいにするという意味合いからいたしまして、正規に許可を与えます場合に、何そうについて何隻というふうなことで大型の分についても考えたのでございまして、小手繰り内部におきましては許可、無許可という区別なしに全部一齊に転換を指導して行くという関係になつておるのでございます。
  40. 川村善八郎

    ○川村委員 松任谷部長は、小型機船底びき網は短期許可に準ずる方法をとりたいので、その後において異議の申立てを認めるのだ、こういうふうな意味で答弁されておるのであります。そういたしますと、第一次、すなわち昭和二十六年度の整理では、異議の申立てを認めないということになるのかどうか、この一点であります。さらにこれを許可する場合に、これは法的にはどうかわかりませんけれども、今後継続的に五箇年にわたつて整理をするという計画でありますので、その許可を受ける方から誓約書でもとつておいたらどうか、今後水産庁小型機船底びき網漁業整理方針に基いて整理する場合には異議を言わないこと、こういうふうな誓約書をとつておくことが、法的には有効か無効かわかりませんけれども、いわゆる道義の上においてはりつぱな法律に準ずべきものである。かように考えておりますが、これをとる意思があるかどうか。現に北海道小型機船底びき網漁業が廃業をして許可をもらう時分には、全部誓約書を出してあります。これは部長はよく御承知だと思つております。そういうふうに北海道の場合は、誓約書まで出して転換をしたのであるから、今回のこの小型機船底びき網の整理にあたりましても、許可を与える場合には小型機船底びき網漁業整理特別措置法ですか、要綱ですか、これらに準じて整理をするときは異議を言わないという誓約書をとつて置くと、この第七條は修正をしないでも、異議の申立てができないという道義的責任を持たせることができるから、こうしたような措置をとる意思があるかどうか。私はとるべきであると考えておりますが、部長はどう考えておるか、この点をお伺いしたいと思います。
  41. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 川村委員からのお尋ねの第一点につきましては、本年度は十五トン以上のわく外船の整理に該当いたしますので、この規定の発動はないと考えておるのでございます。  それから第二点のわく内の関係で許可を与えます場合に、誓約書等をとつて異議の申立てを認めないようにしたらどうかというような御意見につきましては、整理が円滑に参りますようにいろいろと指導をいたして参りたいと思いまして、その場合に、もしさような処置が必要であれば、その場合々々に即応いたしまして指導して参りたいと考えております。
  42. 川村善八郎

    ○川村委員 部長はどうも逃げようとしておるが、北海道の場合には、みずから整理するという場合でも誓約書を出すといつておる。今度国が補償して整理するという場合に、誓約書をとりたがらないという考え方が、一体いいのか悪いのか、まことに不公平でなかろうか。北海道はみずからやるといつて誓約書をとつた。今度は国が国民の血税を出して補償するという場合に、誓約書をとれないというようなやり方は不公平だと考えるので、もう少し実のある答弁をしてもらいたい。そうでなければ私はこの法案を通しません。
  43. 川端佳夫

    川端委員 先ほどから川村委員から非常に適切なる御質疑がございました。聞いておつてえりを正すような感じがいたしたのでありますが、私もこの点を繰返してもう一ぺん念を押したい。最初に整理順位の問題でありますが、先ほどから繰返して川村委員からお話がありましたから、重復しないで答弁だけはつきりと伺いたいのであります。無許可船を許可船と同じ立場において整理することは非常な矛盾である。しかも私たちは瀬戸内海を控えておりまして、この問題の中心点であります。私も地元から出ておりまして、この問題をはつきりしないと、帰つて都合が悪い。従つて整備順位をはつきり伺いたい。私は川村委員と同じ感じを持つておるのでありまして、許可船は今まで多少違反があつたにしましても、監督官庁が無能なために、秩序を保つような監督をいたしておらなかつたために、無許可船が横暴をきわめておつた、秩序を乱した。従つて許可船がやむを得ず違反を起した事例も幾多あります。この整理にあたつては、まつ先に無許可船を整理をいたすということをはつきりしていただきたい。先ほど整理にあたつての補償の問題がありましたが、私は補償にはもう少し等差をつけるべきだと思つておるのでありますが、この点は一歩譲るとしても、この整理の順位についてははつきりしてもらいたい。それから異議申請の問題について、先ほど誓約書のお話もありましたが、これも同じ趣旨においてもう少し考慮されなければ、私もこの法案に対しては賛成ができない。この点を申し上げて御意見を伺います。
  44. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 川村委員及び川端委員から御意見がございましたが、第七條の異議申立て放棄の誓約書の問題でございますが、それを正面から画一的に指導するということになりますと、法律を設ける以上は画一的にそれを放棄させるというようなことで、第七條の規定を発動させないような処置のお約束を、ただちにするということが多少疑問に思われる点がございますので、先ほどの御趣旨に沿いまして、県県の実情を考慮の上、県を指導するという程度にお答え申し上げたのであります。
  45. 松田鐵藏

    松田委員 この法律案に対しては、もう論議が尽きたのでありますが、まず小型機船底びきの整理に関して、相当のトン数がここに残ると思う。現在行われておる三国漁業協定においても、われわれは常に沿岸漁民への圧迫をおそれておるのであります。隻数においての四割は相当なトン数になると思います。そこで水産庁政府が補償をいたすために、この漁船のトン数を取消すのであるという考え方を持つてつたようでありますが、これは水産庁において保有すべきである。そして各県にこのトン数を与えておつて、将来の遠洋漁業を許してこのトン数を与えて行くような方向をとらなければ、沿岸漁民が立ち行くことができないであろうという考え方を持つておる。むろんそうすべきだと私は考えるのでありますが、これに対する意見はどうか、これが一点。  第二点は、特殊海域以外のところは十五トンを限度としての小型機船底びき網漁業が、制限された数によつて許可されることになるのであるが、この法案の趣旨は、水産資源の枯渇を防止するということが第一番の眼目であるがゆえに、第二次的に、四隻を合せれば六十トンの船になる。こうしたことによつて以東底びきを許す考え方はないか。そうすることによつて整理された船が七千そう、八千そうになることではあろうが、それが希望者によつてたとえば半分あつたならば、あとの四千そうが小型底びきになるということになつて、沿岸の資源の枯渇を防止するために非常に役立つことにもなるのである、かような考え方を第二次的に持つておられるかどうか、この点をお尋ねします。
  46. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 松田委員からお尋ねになりました第一点につきましては、将来国際漁場あるいは沖合漁場に、漁業が発展しなければならぬという場合に、この減船整理したトン数を保有しておいて、それに充てたらどうだというような御意見であるわけでございます。しごくごもつともな御意見でありますが、ただ漁船法との関係におきまして、必要な漁業種類につきましては、全体のわくを増加して参る、それから小型底びきのように減船すべきものは減らして参るというふうな、個々の関係において処理するということに相なろうかと思つておるわけでございますが、気持ちの上ではさような意味でやつて参りたいと考えておるわけであります。  それから第二点の特殊海域以外の所で、たとえば四隻合せて大型の底びき一隻とするような考え方はどうだろうというような御意見でございますが、この点もできることならば、さような転換の方策を講じて参りたいとは思うのでございます。しかしながら現在の減船整理の対象と目せられておるところが、御承知の通り瀬戸内が一番大きな整理の対象区域でございます。さようなところにおきまして、これを大型化して沖合いに進出させるということが、なかなか困難であるというふうな実情にございますので、現在のところ北海道の小手繰りの転換でとりましたような処置は考えておらないのであります。
  47. 松田鐵藏

    松田委員 私の考え方は、現在の漁船のトン数を増すことができないという現実の姿になつておるがゆえに、整理されるトン数を水産庁において保有しておいて、その県、県の希望によつて、遠洋漁業を欲するものにはわくを与えてやろうという考え方を持たなかつたならば、沿岸漁民は困るであろう。現にそういう希望も相当各地方においてあるがゆえに、ぜひともそれをやらなければならないという考え方を持つておるのであるが、かりにいろいろ事情はあるとしても、マツカーサー・ラインも早晩はずされることでもあるし、かような政策を行つて行くことが一番至当であろうと考えるがゆえに申し上げておるのであります。  第二の問題は、瀬戸内海は特殊海域であつて、このことを申し上げておるのではありません。特殊海域でない、たとえば新潟であるとか、その他の県においても、今日相当論議されておる問題である。かようなところの小型底びき四そうを一そうにしたら、六十トンというどうにか以東底びきと同じようなトン数になり得るのであるから、かような希望のある地方に対しては、そういう考え方を第二次的に持たれたらどうか。今はそれをああだこうだ言うのではなくして、そういう考え方を持たれる方が、資源の枯渇を防止するために、最も役立つものであろうという考え方を持つておるがゆえに申し上げておるのであります。
  48. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 私の説明が足らなかつたのでございますが、最後のお尋ねの新潟等につきまして、小型を四隻合せて一隻くらいの大型に転換させるという処置を第二次的に将来考えたらどうかという御意見でございます。これにつきましては、御承知の通り中型機船底びき自体につきましても、二十八年度あたりから減船整理をやつて行かなければならぬような情勢でもございますし、その減船整理の実施とも関連いたしまして考慮して参りたいと考えております。
  49. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 この法案を通過させれば、あとに整理要綱というものが出るはずであります。その整理要綱に対する水産庁当局の今日までの態度は実にあやふやでありまして、運動する方面に残す。ちようど風のまにまに底びきの船があつちに行つたりこつちに行つたり。こういうことではこの法律ができても要綱において骨抜きになつてしまうおそれがある。そのために、要綱はこの委員会の承認を得て始めて実施するということはすでに当局も承認しておるはずであります。この委員会にかける場合に、委員会において利害関係のある委員がいないときに、火事どろ的なきめ方をするおそれもあるのであります。そういうことになつたらたいへんでありますから、この要綱をきめるときには、必ず関係委員全部のそろうて出席しておるときでなければならぬ、欠席者のあるときにきめたことは無効であるということをここにはつきりとしておきたいのであります。それに対してどうお考えになりますか。
  50. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 水産庁といたしましては、極力案を固めまして、しつかりした案に持つて行くように努力しておるのでございます。関係委員の方々の御要望等も十分承つて、円滑に処置して参りたいと考えておりますので、要綱をかけます場合にも、よく委員長と御相談申し上げてお願い申し上げたいと思います。
  51. 冨永格五郎

    冨永委員長 ほかに御質疑の通告もありませんので、本案に対する質疑はこれをもつて終了いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。本案に対する採決は次会に行いたいと思います。     —————————————
  53. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 昨日日米カ漁業協定委員会を開きましたので、その結果を中間報告をいたしておきます。  昨日ほとんど全員の小委員諸君が出席されまして、藤田水産庁長官の出席を求めて、今日までの経過について詳細の報告を受けたのであります。その後におきまして小委員諸君の意向をまとめました結果、日本としてはあくまで公海の自由を主張する、漁業の平等を主張する、協約前の現地調査を主張する、批准の交換は調印の後にすべし、沿岸漁業が圧迫を受けないようにすべしという五つの点が委員全員の総意でありまして、このことを中間報告として申し上げておきます。
  54. 小松勇次

    ○小松委員 先ほど委員長から政府への定員法改正に対しての要望事項を承りまして、大いに不満を持つものであります。この定員法の改正法案は御承知のごとく、衆議院は与党多数の力をもつて通過いたしたのでありまするけれども参議院においては目下審議中でありまして、いまだ決定に至つておりません。委員長の御要望は、院議を尊重しつつ御要望されたとは存ずるのでありますけれども参議院の空気から察しまして、決して衆議院の決定通りに最終決定をするかいなやについて、私どもは多くの疑念を持つのであります。この定員法の改正につきましては、すでにわが党としては修正案を提出いたしたごとく、今回の定員法の改正は、その基礎でありますところの主食の統制撤廃という問題が予定されて、立案されておるのでありますけれども、すでに統制撤廃はとりやめになつて、その根底がくずれておるのであります。従いまして、今日の改正定員法案については、今申し上げました通り、根底がくずれておるばかりでなく、さらに検討を要する部分があるのであります。私はわが党から提出いたしました改正法案の内容をここで繰返すことは避けますけれども、要はこの行政整理に伴うところの定員法の改正の要諦は、一に過剰な人員はこれを削り、必要なる部分に対してはこれをふやすということであり、また定員法の根本をなすものだと私は思うのであります。こういう意味よりいたしまして、まず水産の問題を考えてみましたときに、御承知のごとく、われわれはすでに敗戦によつて領土は四割五分を取上げられまして、しかもそのうちで耕地面積は一割六分にすぎないような日本においては、大規模の畜産経営ということが困難であり、従つて国民の蛋白給源というものは水産にまたなければならない現状であります。水産の持つ大きな力に対し、私どもは今後ますます水産業を発展させて行くことが、日本の自立経済の確立にもなるし、かつまた水産業の発展によつて大いに完全雇用の道も開かれて参ると思うのであります。こういうことを考えてみましたときに、水産の重大であることはつくづく感ぜられるのであります。その重要産業である水産を発展させるには、何と申しましてもその基礎水産行政の拡充にまたなければならぬのであります。ゆえに私どもは昨年以来水産省の設置も唱えて来たのでありまするが、それは別といたしましても、今回の行政整理にあたりまして、定員法改正によつてこの重要なる水産行政に対して一律に人員を減ずるということは、きわめて不合理であると思います。ことに水産行政の中でも、水産の発展の基礎をなす資源の保護あるいは開発に対してその基礎をなす水産統計、また水産業発展のための重要なる施設としての漁港関係ごとき、こういう部面に対して一律に人員を減ずるということは、どうしても改めてもらいたい。私ども水産行政に対する必要な人員こそ、この際に減すどころか、かえつて増員しなければならぬと考えておるのであります。こういう意味よりいたしまして、先ほど委員長の要望には、「政府はさしあたり改正定員法のわく内においてこの要望に沿われんことを強く要望する」というお話があつたのでありまするが、私はこの「改正定員法のわく内において」ということを、「定員法改正の最終決定に至るまでにおいて、可能な限り最大限」というぐあいにこの機会に改められんことをここに希望いたします。しかして皆さんの御賛同を得たいのであります。
  55. 冨永格五郎

    冨永委員長 小松委員の御趣旨はよく了承いたしました。今政府当局もおりませんので、よくその点を検討いたしまして、御趣旨は尊重するようとりはからいたいと思います。  但し申し上げておきますが、あなたのおつしやる改正定員法が、万一参議院で修正になり、あるいは国会でこれを議決する最終の場合の改正定員法であるということは、私の意味にも考えられると思うのですが、なおあなたのお話の点についても検討を加えて、修正すべきものは修正するようにいたしたいと思います。  本日は水産資源法案をでき得れば上程いたしたいと考えておりましたが、まだその運びになつておりませんので、この程度で暫時休憩いたします。     午前零時五十七分休憩      ————◇—————  休憩後は開会するに至らなかつた