運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-17 第12回国会 衆議院 水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十七日(土曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川村善八郎君    田口長治郎君       田渕 光一君    福田 喜東君       小松 勇次君    水野彦治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁船保險課長) 伊藤  茂君         專  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 十一月十六日  委員星島二郎君辞任につき、その補欠として二  階堂進君が議長の指名で委員に選任された。 同月十七日  二階堂進君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 十一月十六日  小型機船底びき網漁業整理特別措置法案内閣  提出第五〇号) 同月十五日  新潟市に国立水産研究所移転設置に関する請願  (渡邊良夫紹介)(第一三〇七号)  苫前船入ま拡張に関する請願佐々木秀世君紹  介)(第一三〇八号)  漁業資金融資等に関する請願大内一郎君紹  介)(第一四〇八号)  機船底びき網漁業北海道海区入会操業に関す  る請願大内一郎紹介)(第一四〇九号) の審査を本委員会に付託された。 同日  北方公海漁場の再開に関する陳情書  (第八一九号)  神津島港建設促進に関する陳情書  (第八二一号)  大津漁港建設に関する陳情書  (第八二二号)  大海区制等実施反対に関する陳情書  (第八二三号)  漁業災害補償制度確立に関する陳情書  (第八二四号)  漁業協同組合規模制限撤廃陳情書  (第八二五号)  漁港修築費予算の増額に関する陳情書  (第八二六号)  マツカーサーライン早期撤廃並びに海上治安維  持に関する陳情書  (第八  二七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小型機船底びき網漁業整理特別措置法案内閣  提出第五〇号)  漁船損害補償に関する件     ―――――――――――――
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  漁船損害補償に関する件を議題といたします。本件に関し水産庁当局より説明を願います。
  3. 山本豐

    山本(豐)政府委員 漁船保險の根本的の改正をいたしたいとかねて存じまして、水産庁としてはいろいろと研究を重ねて参つておつたのでありますが、たまたま今回ルース台風等の問題もありまして、この意図しておりまする改正をぜひこの機会に断行いたしたいと存じまして、要綱等整備もいろいろと進めておるのでありますが、最も問題になるのは予算方面で、大蔵省がどの程度これを負担するかという点にかかつておるのであります。そこでこの新しい要綱研究を進めつつ、並行いたしまして、先般来二十七年度の予算関連をもちまして、主計当局の方ともいろいろと御相談いたしておるのであります。国会方面からも松田委員初めいろいろとお骨折りいただきましたが、そういうこともあずかつて力があつたわけでありまして、大蔵省としては、現状のままでは行くまいということで、政調会あるいは総務会等意向もいろいろしんしやくいたしまして、ある程度予算新規増加を考慮するような態勢になつて参つたわけであります。そこでその概略をこの機会に御報告いたしまして、今後一層これを固めて参りたいと考えておるわけであります。  先般ルース台風付属資料として、漁船損害補償制度要綱というものを御配付してあると思うのでありますが、その結論として大体保險料国庫負担額が一億四千万円程度事務費国庫負担額が八千百万円程度、それから漁船保險特別会計の損失の補填金が三千万円程度、再保險金支拂い基金として二億円程度合計四億五千万円程度を一応の限度として、大蔵省に交渉いたしたのであります。その交渉の結果、まだ途中にあるわけでありますが、大蔵省の一応の意向といたしまして、こういうふうに言つて参つたわけであります。  その第一は、保險料国庫負担の問題であります。普通保險についてでありますが、この保險料国庫負担は、大体半額程度国庫負担する考え大蔵省も持つてくれたわけであります。これは社会保險というふうな思想にも相なるわけでございますが、特に小さい船の保險が非常に成績が悪いということは、そういう零細漁民一つの救済というふうな意味からいつて社会保險的性格相当あるわけであります。それらの点ついていろいろと議論をしたのでありますが、とにかく半額を国が持つ。しかし一切の船について半額持つといいますと、国庫負担としては相当な額に相なりますので、その負担対象になる船をある程度限定する、こういう考えを持つておるわけであります。そこでお手元に配付してある資料にあります通り、まず第一に加入計画を二十五年度の実績の大体三倍程度にする。具体的に申しますと昭和二十五年度は約三万隻でございますので、この三倍になりますと約九万隻を一応対象にする。次に危險率でありますが、従来は危險率を見ましてとんとんになるわけでありまするが、これを二〇%の安全率を見て、従つてそれだけの保險料率改正して上げる。そのかわりにこれに裏はらになりまして、大蔵省相当国庫支出をすることになるわけであります。もう一つは無動力漁船及び一トン未満動力漁船につきまして、最低加入額船価の二五%以上でないといけないということにしたのであります。同時に一トン以上二十トン未満動力漁船につきましては、最低加入額船価の五〇%以上ということにわくづけをしまして、それらによつて出て参ります保險料については、半額国庫負担するということに相なつております。  第二に、漁船保險組合事務費の問題でありますが、これにつきましては、二十トン未満漁船に対しまして、現在付加保險料の三割になつておるのでありますが、その中の一割、約三分の一を国が持つということに、大蔵省では大体了解しておるのであります。次に付加保險料をやめて、政府事務費は全部国が負担する。  それから最後にまだ大蔵省と最終的の話合いができなかつた点を掲げてあるのでありますが、その一つ漁業協同組合手数料であります。その二は漁船保險特別会計赤字補填、その三が再保險金支拂い基金、この三つは現在大蔵省も納得しかねておるわけでありまして、今後の折衝にまつわけであります。特殊保險につきましては、保險料率の計算の基礎を、未帰還船と、一箇月以上を経過して帰還したものを損害に含めることにするということが一つと、もう一つ契約期間三箇月を六箇月に改める。今までなら三箇月ごとに更新するわけでありますので、政府がとる保險料は少くなるわけであります。六箇月にいたしますと、これだけ多くなるわけであります。  第三が現在までに確定しました損害による赤字は、二十七年度予算で要求する。このことを大蔵省としては了解しかかつておるのでありますが、しかし、第一と第二の問題につきましては、業界におきましてはいろいろ反対があるのであります。なぜかと申しますと、このあとの未定の件の中に、特殊保險については一〇〇%再保險に改めるという点があるのであります。現在九〇%でありますが、それをさらに国が一〇%よけい負担して、まるまる国が持つということを要求しております。それは大蔵省に非常に難色があります。それらと関連して一、二の問題もあるのでありまして、業界はこの点は現状のままの方がかえつていいというふうな意向を示しておるわけであります。それらの点もなお今後の折衝にまつわけでありますが、未定の件の單独契約に改める、この点はいろいろ曲折がありましたが、大蔵省も大体了解しております。大体そういうような経過であります。そこで先ほど原案による金額を申し上げましたが、それに即応してざつとこの予算金額をはじいてみますと、大蔵省が大体予定しております予算は、保險料国庫負担が九千万円程度になるわけであります。それから第二の漁船保險組合事務費国庫負担が約三千万円になります。第三の付加保險料廃止整備事務費全額国庫負担が二千四百万円程度になります。これらの点は大体大蔵省は全部了解しましたが、未定の件の額を申しますと、漁業協同組合に対する手数料が千七百万円くらい予定しておるわけであります。漁船保險特別会計赤字補填が三千万円、再保險金支拂基金が一億五千万円、これらがまだ懸案になつておるわけであります。大体そういうふうな経緯であります。なお今後まだ若干折衝余地が残つておりますけれども、考え方と申しますか、大筋の点については大蔵省了解していただきまして、おそらく通常国会にはこれらの予算と即応した、かねて研究しております法案提出し得るように相なると思うのであります。法案については現在まだ要綱程度でございますが、なお今後速急に検討いたして、通常国会等においてぜひこれの通過をはかりたいと考えておるわけであります。簡單でありますが、以上をもつて御報告を終ります。
  4. 松田鐵藏

    松田委員 事務費の問題について水産当局にお伺いしたいのですが、水産庁漁船保險課は何人おいでになるのですか。
  5. 伊藤茂

    伊藤説明員 ただいま一般会計負担の人が八人、特別会計負担が二十三人おります。
  6. 松田鐵藏

    松田委員 そうしますとこのプリントにある八千百一万三千円というのは、この人数を全部一般会計にした場合にこれだけかかるという意味合いでございますか。
  7. 伊藤茂

    伊藤説明員 八千百一万三千円というのは、今次長が御報告いたした通り内容がかわりまして、もつと圧縮されるはずでございます。
  8. 松田鐵藏

    松田委員 どの程度ですか。
  9. 伊藤茂

    伊藤説明員 これは内容三つありまして、政府の再保險等に要する事務費が二千四百万円程度になります。漁船保險組合事務費補助金が三千万円になります。ここまでは大体今大蔵省折衝なつたわけでありますが、その次に当然加入あつせんをする漁業協同組合に交付する手数料が一千七百万円ばかりあります。この三つ合計したものがここに出してあるわけであります。政府單独のは(1)だけでありまして、二千四百万円程度であります。人件費は今三万隻をやつておりますのを今度一躍九万隻に伸びるわけでありますので、特別会計も今の二十三人を多少ふやしていただくつもりであります。
  10. 松田鐵藏

    松田委員 今政府人員整理しなければならないというとき、この仕事をするためにもつとふやして行かなければならないという御意向でありますが、漁船に関する損害補償でもあり、漁船という建前から、漁船課相当人員がおるので、これは漁船課の中に漁船保險をも含んで漁船行政をして行つたらどうか、という考え方をわれわれは持つておるのでありますが、そうすればふやすどころか相当人員を減らしてもいいのじやないかと思います。この点に対する構想水産庁は持つておるかどうか。
  11. 山本豐

    山本(豐)政府委員 漁船課漁船保險課事務の按配でありますが、予算関係もありまして現在は一応漁船課漁船課でやつておるわけであります。今松田委員お話では、漁船課で余裕があるのではないかということでありますが、実は漁船行政の方においても、先般漁船法通過を見まして、ある程度事務は地方庁に委譲する面も生じて参つておりますが、登録、依頼検査あるいは認証という事務も新しい法律実施によつて相当あるわけであります。従つて新法に即応する若干の増員はこの法律通過しましたときにも予算の上で要求したのでありますが、情勢上許されなかつたのであります。現在漁船保險仕事について申しますと、これで決して十分とは言えないと思うのであります。従つてたちとしましては、現在臨時が二十三人おわけでありますが、それを二十七年度の予算で九人の増員を要求しておるのであります。しかし現在行政整理等関係もありまして、二十七年度の新規増員は一応今のところたな上げになつております。しかしどうしても増員が認められないときには、ただいま仰せになりましたように、漁船課漁船保險課事務調整は十分とつて、重点的に能率的に仕事がうまく参るようにとりはからいたいと考えておりますが、実情から申しますと若干は増員を要するのではないかと考えております。
  12. 松田鐵藏

    松田委員 私は漁船課人員が余つておるのではないかという議論をしたのではないのであります。漁船行政を一本化して漁民の幸福を願うためには、むしろ漁船課を部にして部長を置き課長を置くということもけつこうであるが、行政整理政府意向を体してすべてをやつて行かなかつたならば、政策というものは行われない。予算をとるために人員をふやすということであつたならば、三年たつたらまたこの三割も人員がふえるような今までの行政機構である。かような点に対して、われわれは政治的にこの問題を考えておるのであります。何も漁船課人員を減そうとか、または保險課人員を減らそうとかいう考え方を持つているのではなくして、——現在水産庁の職員の中にもピンポンをやつて遊んでいる者もあるし、また職場へほとんど出て来ない者もある。かようなことでは国の経済というものは持つて行けないのであるから、漁船行政というものを一本化して、漁船課なり漁船部なりにして、政府政策に合致させるようにして予算をよけいとつたらどうか。何も九人というものを増す必要はない。この点を私は前から国会議員としての立場からつこうと思つていた。こういう点は水産庁としても十分考えて行かなければならぬ。大義名分が立たぬことには予算というものはとり得ないものであり、漁民の幸福というものもない。大臣が幸い来られたので、大臣に質問をいたしますが、政府行政整理を行うという政策を掲げているのだから、人員を増すようなことがあつては、せつかく政府漁民に対する手段も、政府政策と相反するようなことになるのではないか。私はたとえば漁船部というものをつくつても決して悪いものではないと思う。漁民の幸福のために漁船行政を一本化するのはよいことである。しかるに保險を国営にして補助することによつて人員を増すという考え方水産庁において持たれるようなことがあつたら、政府の意図せられるところと反対の結果を生むことになる。であるから、漁船課保險課とを一本にする必要があるのではないかと思うが、この点に対する大臣構想また水産庁構想を承りたいと思います。
  13. 山本豐

    山本(豐)政府委員 私の申し上げようが少し足らなかつたために御心配をかけたところがあつたかと思いますが、私も現下の情勢においては人員はなるべく少くして、能率本位考えなければならぬと思います。おそらく現状では増員はほとんどもう見込みがないと考えられるのでありますが、先ほど申しましたのは、一応の予定といいますか、二十七年度は單に保險のみならず、その他の点についても最小限度増員を実は要求しておりますが、行政整理との関係をもつて全部はむずかしかろうと思います。そこで事務のあんばいの点でありますが、ただいま御説のように漁船課漁船保險課とよく調整をとつて、できれば一つにしてというお話でありますけれども、ただ行政整理等の見通しがある程度治まりましてから、いわゆる課あるいは部の配置統合ということも考え余地があろうと思いますが、ひとつお断りしなければならない点は、この漁船保險課というものは保險の方をやつておりまして、金融の面とも関連があるわけであります。従つて現在漁政部に属しております。しかるに漁船課純然たる漁船行政ということで、生産部に属しているわけであります。このこと自体、これを一つにするのが合理的であるかどうか検討を要する問題であると思います。しかしいずれにいたしましても両方の人を最もよくあんばいして、最も能率的にするということにつきましては、私たちは十分考えてやつて行くつもりでおります。
  14. 松田鐵藏

    松田委員 この問題についてはわれわれも十分に考えますが、水産庁においてもよくお考えくださいまして、緊密なる連絡をとり、私のただいま申し上げているような意味をも十分参酌していただきたいと思います。
  15. 冨永格五郎

    冨永委員長 委員各位にお諮りいたします。ただいま議題と相なつております漁船損害補償に関する件につきましての質疑は一時中止いたしまして、小型機船底びき網漁業整理特別措置法案議題として審査を進めたいと思いますが、御異議ありませんか     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  17. 冨永格五郎

    冨永委員長 小型機船底びき網漁業整理特別措置法案議題として審査を進めます。まず政府より提案理由説明を願います。     —————————————
  18. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 小型機船底びき網漁業整理特別措置法案につきまして、その提案理由の大体を御説明申し上げます。  この法律案は、さきに本国会におきまして御審議を願いました漁業法の一部を改正する法律に密接な関連を持つているものでございます。すなわちこの一部改正法律におきまして、新しく小型機船底びき網漁業の範囲を明らかにいたし、都道府県知事許可漁業といたしたのでありますが、本案はこの小型機船底びき網漁業について整理減船をするための整理手続基準等を定める内容を持つものであります。この小型底びきの整理は、本年二月二十七日の閣議におきましても了解事項として決定を見ております。日本沿岸漁民の直面している経済的危機とその解決策としての五ポイント計画に関する施策の一環として実施いたすものであります。周知のごとく、この小型底びきの整理減船実施重要性につきましては、現在調査の結果判明いたしております操業底びき船の総数約三万五千、そのうち正規の許可を受けておりますのが約一万四千にすぎないということ、さらに許可底びき船につきましても違反操業が常態化し、沿岸漁業資源に與えている影響の大きいことによつて明瞭にうかがわれると思うのであります。従いまして、現在沿岸漁業秩序を回復し、さらに進んで秩序維持の方向づけを與えるために実施の過程にあります漁業制度改革を円滑に進行させ、これを有終の美をもつて飾るためにも、この漁業に対し緊急な特別措置を講ずる必要があると考える次第でございまして、これがこの法律案の趣旨とするところであります。以下この法律案内容説明いたします。  まず、この法律による特別措置としての整理減船は、昭和三十一年三月三十一日までに完了いたす計画でございまして、この整理が完了するまでの小型底びきの許可は、整理減船を円滑ならしめる意味から、第三條におきまして臨時的に短期一年以内の許可という特別措置をとり、現在操業しております三万五千の底びき船を、昭和九年ごろに操業されていたと考えられます二万隻程度に圧縮して参りたいと考えております。これは、昭和九年ごろの操業隻数の二万隻程度が底魚の資源量と一応均衡を保持していたものと考えられることに基くものでありまして、この最終目標を第四條により明示いたすことになるのであります。  次に整理方法手続でございますが、これが第五條から第七條までに規定してございます。その概要を説明いたしますと、まず農林大臣年度開始前に都道府県知事及び中央漁業調整審議会意見を聞き、当該年度整理すべき船舶隻数合計総トン数及び合計馬力数都道府県別に定め、関係都道府県知事に指示するのが第五條規定でございます。次にこの指示に従いまして都道府県知事が、具体的にいずれの船舶整理するかを指定する手続規定が第六條の規定でございます。この第六條の内容を御説明いたしますと、都道府県知事整理船舶指定するに際しましては、全県的な連合海漁業調整委員会関係漁業協同組合または同連合会意見を聞いて、整理すべき船舶指定することになつております。この整理船舶指定する場合には、当然考慮すべき種々の條件があるわけでありまして、その主要なものにつきましては、第六條第一項各号に定めております。ここで協同組合及び同連合会意見を参酌いたしておりますのは、この小型機船底びき網漁業は、まつたく沿岸的な漁業でありまして、沿岸漁場管理機構一環をになつております協同組合の問題としてこの整理を取上げることにより、今後整理されます漁民の他種漁業への転業をより円滑にし、一方将来の漁場秩序維持組合中心に推し進めることを考えたためであります。これは、漁場特殊性から單に公的機関のみによる理想的な秩序維持漁業取締りは、言うべくして行いがたい現実があるのでありまして、現在すでにこの指導を行つているのでございますが、これを機会にさらに漁場漁民自身がその秩序維持漁場取締りの上に果す役割が大きいことを啓発して参りたいという考えに基いているのであります。  以上が具体的な整理手続規定でございますが、このようにして整理すべき船舶指定した場合、この指定に不服のある者の異議申立を認め、不公平な指定がないように保証するのが第七條規定でございます。  なお、この整理船舶指定に伴いまして、当然この小型機船底びき網漁業から離脱して参る漁民が出ることになるわけでございますが、これについては、その転換を奨励し、かつ、円滑ならしめる意味から政府は、補助金を交付いたすことを第九條で明らかにしたのでございます。  以上がこの法案の主要な内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上すみやかに御協賛あらんことを切望する次第であります。
  19. 冨永格五郎

    冨永委員長 本案に対する質疑次会より行いたいと思います。  なお本案審査に必要な資料の御要求があれば、お申出を願います。     —————————————
  20. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは先ほど中止いたしました漁船損害補償制度について質疑を許しますが、その前に一応この要綱について課長から説明を求めることにしてはいかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは漁船損害補償制度要綱について説明を求めます。伊藤漁船保險課長
  22. 伊藤茂

    伊藤説明員 この要綱は、今次長から大体お話申し上げました通り保險料その他事務費等国庫負担によりまして、漁船保險加入する船を非常にふやし、これによりまして年々繰返されますところの漁船の事故の損害復旧を容易ならしめ、かつこれを金融対象として活用できるようにしようというのが目的でございます。制度内容骨子といたしましては現行漁船保險制度を廃止いたしまして、この新しい漁船損害補償制度に改める。それから保險加入増加をはかるために、事務費並びに保險料国庫負担をする。それでここで大きくかわるべきことは、今まで純然たる任意加入でございましたけれども、今度は漁業協同組合單位決議強制と申しますか、総会の決議に基きまして、二十トン未満小型漁船は当然加入をするという制度を設けました。なお保險事業合理化をはかるため、漁船保險中央会というものを設ける、支拂いを円滑にするために基金制度を設けるというようなことが、この漁船損害補償制度骨子でございます。考え方といたしまして、漁船保險組合二つにわけまして、保險組合構成員漁船所有者——今問題になつておりますのは、加入検認をどうするかということがいろいろ法律審議するときに法律案で問題になつている。一応所有者資格二つにわけまして、組合性格をきめる。つまり都道府県單位とするところの地域組合は、原則として漁業協同組合組合員たるべき資格を有する者をもつてその組合員とする。北海道その他特別の事由あるものを除いては、これは都府県を單位として一つずつ設ける。そのほか業態組合といたしましては、漁業種類の一種まはた数種を限つて主要漁港別業態組合を全国に数個設ける。これは資本漁業の船を中心とするというふうに考えております。大体保險の事業というものは、現在の保險組合がやつておるのと同じであります。  次に強制加入、当然加入に対してはどうやるかといいますと、漁業協同組合が、その定款の定めによりまして、組合員の所有する総トン数二十トン未満漁船の全部について普通保險に入るということを決議した場合、その所有者漁船保險組合保險につけなければならない。なおこういたしますと、非常な数に上りますので、一応逃げ道を明けてあるわけであります。当然加入から除外することができるものは、まず無動力船、その他特別の事由がある漁船、たとえば非稼働船のごときものは二十トン未満でも除外する、それから当然加入を頭から除外して行こうとするものとして、総トン数二十トン以上の大型漁船、原則として船齢十二年を越える老朽船は落して行こうという考え方であります。  それからもう一つ今度の新しい考え方といたしましては、当然加入をする漁船は、最低加入額船価の百分の二十五といたしまして、必ずそれ以上加入する、今までのおしるしの加入はいけないというふうにきめようというのであります。  それから保險料の徴収につきましては、当然加入のあつせんをしてくれますところの漁業協同組合が一応保險料を取立てて保險組合に拂い込むわけであります。  それから当然加入漁船の認定は、都道府県ごとに公的性格を有するところの審査会を設けまして、これは当然加入に該当するということを認定していただこうと思つております。漁業協同組合があつせんしてくれた場合には、当該組合に純保險料の百分の十を漁船保險組合から交付することにし、当然加入のものあるいは任意加入のものいずれもあつせん料を差上げることにしたのであります。  それから政府の再保險事業につきましては、おおむね現行と同じでありまして九〇%の再保險をやりますが、特殊保險につきましてはこの要綱では一〇〇%再保でありまして、組合で受付けたものを一〇〇%政府で再保するという考え方を持つておりますが、この点につきましては先ほど次長から御説明がありました通り業界はこういう主張は捨ててもよろしいから保險料の増額はやめてくれという気分が今浮き上つておるようでございます。  それから満期保險は、この際見送ることにいたしました。それは大蔵省としてあまりいろいろのことを一時に解決しようとするのはやめたらよかろうという御意見がありましたので、満期保險はこの際はやらないことにいたしました。  そのほか再保險の経理でありますが、特別会計の経理を四箇條にわけて行うことにいたします。  それから中央会はどういう仕事をするかという点ですが、これはもちろん漁船保險組合が全国的に組織するところの中央会でありまして、あたかも現在の損害保險の料率算定会のごとき性格を有する団体をつくろうというのであります。今やつておりますのはすべて政府から天くだりで保險料その他のことをやつておりますが、今度は保險組合の団体でその基礎調査その他保險を運営するに有益な事業を広くやつて行こうとする考え方でございます。  国庫負担につきましては先ほど次長からこまかく申された通りでございます。  その他といたしまして、法人格その他は現在とほとんど違いありません。漁船保險審査会も設けます。また経過措置といたしましては、現在の組合をそのまま横すべりいたしまして、新法に基いて設立された漁船保險組合とみなす、従つて現に存する漁船保險組合は権利義務をそのまま継承するという簡略な形で持つて行きたい、こう考えております。大体以上であります。
  23. 川村善八郎

    ○川村委員 このたび国が相当国庫負担をいたしまして、漁船の補償をする漁船保險の拡大強化をはかるということになりましたことは、まことに喜びにたえないわけであります。  ただいま次長並びに課長から、法律案の趣旨あるいはその内容等につきまして説明がありましたが、そのうち二、三承りたいことがあります。第二の三項の(1)、(2)、(3)でありますが、その内容を見ますと総トン数二十トン未満漁船の全部について漁船保險がつくことになつておりますが、どうして二十トン以上がだめなのか。(2)、(3)に除外文があるようでありますが、その除外文を見ると二十トン以上のものはほとんど除外してあります。ところがさきの説明から見ますと、漁船協同組合で二十トン未満漁船について普通保險に入ることを決議をした場合においては、その船舶は定款に定めるところによつて当然加入ができるというふうに指定してありますが、底びき漁業協同組合のごときはほとんど三十トン以上であります。三十トン以上の船舶を所有している協同組合がいかに定款を定めましても除外されることになりますと、日本で現在最も多いところの機船底びき網漁業が実際問題として除外されることになりますと、危險の多い漁船はほとんど補償を受けられないことになります。そこでどういう理由のもとに二十トン以上を除外したかその点をお伺いいたします。
  24. 伊藤茂

    伊藤説明員 二十トン以上を包含することは確かに私どもといたしましても望ましいのでありますけれども、御承知のごとく二十トン以上になりますと一応海上保險会社も引受けの対象としているわけであります。もしこれに国庫補助等が参るような制度を開いたといたしますと、私どもの見通しとしましては、大蔵省の銀行局が保險を統べております関係上非常な反対が起りはしないかという点を憂えているわけであります。
  25. 川村善八郎

    ○川村委員 そうしますと、一番漁獲の多い旋網にいたしましても二十トン以上が多いのであります。もし社会保障的なものであるとするならば、もちろん零細漁民の所有している二十トン未満ということは当然かもしれないが、日本の漁業の実態からいたしまして、沿岸漁業に対する漁船は全部補償すべきだという見地から申し上げたのでありまして、めんどうだから通らないだろうというような見通しが強いからということでなくて、沿岸漁業に使用する漁船全部を含むということにいたしますと、大体七十トン未満くらいのものは全部入ることになるのであります。そういたしますと予算相当増加することは明らかでありますけれども、しかし日本の現在の漁業は、沿岸漁業に重点を置いているときに、沿岸漁業で使用する底びき漁業、あるいは旋網漁業漁船に他の保險会社の保險をつけるかというよりも、やはり国家補償のもとに保險をつけさせるべきであるということでありますから、大蔵省はそれをはつきり認めなかつたかどうか、危險だから交渉しないというのか、どつちかだと思いますから、わかつておりましたら、これを明らかにしてもらいたい。
  26. 伊藤茂

    伊藤説明員 今までの議論から行きまして、それを持ち出したら、必ず反撃が来ると思いましたから、初めから削つて行つたわけであります。
  27. 川村善八郎

    ○川村委員 初めから削つたとするとまことに不可解であります。交渉した結果認められなかつたというのであれば話がわかるけれども、それでは、日本の重要な沿岸漁業水産庁は見殺しにするのかということを糾彈しなければならぬのであります。であるからもう一度案を立て直して、交渉すべきものは交渉して、難点があるならば、本委員会でも政府にこれを十分折衝する。いよいよできないという場合は二十トン未満でもいたし方ないとしても、この際私は案を立て直して、沿岸漁業として最も重要な地歩を占めておる旋網並びに機船底びき網の漁船は入れるべきであるという考えを持つておりますから、その点を十分御考慮の上、本委員会でもこの法案審議をいたされんことを希望して質問を終らしていただきます。
  28. 松田鐵藏

    松田委員 私は先ほど漁船課漁船保險課という問題を後の機会にということで、人員の問題でお話ししましたが、ここにはしなくもこの法案審議するのに、この問題が出て参つておるのであります。今日本においての動力船は十二万そうだと漁船課からわれわれに報告があるのであります。そのうち約二万そうというものは登録船であり、十万そうというものは二十トン未満の船である。先ほどの説明から行きますと、現在保險に入つておるものは三万そうである。三倍にして九万そうということになる。第三の三項の、総トン数二十トン以上の漁船、それから原則として船齢十二年を越える漁船が除外されるということになれば、先ほどの説明から行つたならば、二十トン未満漁船は全部包含されることだろうと思う。そうするとわれわれに與えたこのプリントには偽りがある。全部包含されておるといつて、その予算大蔵省が指摘して、減額したというならば、水産庁は何のためにでたらめな数字をわれわれに提出したか。ただいま川村委員が言われたように、二十トン未満ではあるが、それに準ずることによつて以東底びきや旋網や二十トン以上の船でもこれに加入できるのだという御説明を前に受けたと私は考えておる。たとえばただいまの十万そうという船の一割は十二年を越えておる。それならば何のために一割か二割の一万五千そうないし二万そうに対して保險加入を許さないのか。これはまことに奇怪な水産庁意向であるとわれわれ考えるのであります。われわれに対して社会保險制度法案として出そうというのに、全国の漁民がこの恩典に浴するようにという考え方をもつて行くのが水産庁行政でなければならないのにかかわらず、あとの二万そう足らずの船を除外してみて一体何になるのか。そんな役人はやめてもらつた方がいい。今日二万そうくらいの船を除外しなければ、この法案が通らないのだという小さな腹でやるから満足な予算がとれないことになるのだ。なぜ全部の漁船を包含しないのか。こんなことではこの法案審議する何ものもない。質問の必要もないと思います。     〔速記中止〕
  29. 冨永格五郎

    冨永委員長 本案はきわめて重大でございますので、次会にさらに質疑を認めることにして、本日はこの程度にとどめておきたいと思います。
  30. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  去る十五日理事二階堂進君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となつております。この際その補欠選任を行いたいと思いますが、昨十六日同君が再び委員に選任されましたので、委員長において二階堂進君を理事に指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めさよう決します。
  32. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 この散会直後に、日・米・加漁業協定の問題につきまして小委員会を開きたいと思います。その小委員会を開くにつきましては私は特に一つの要望があるのであります。これは非常に重大でありまして、この小委員会審議を記録に残しておきたいと思うのであります。従つて次の小委員会より速記をとることのおとりはからいあらんことを要望いたします。
  33. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま石原小委員長からの御希望に沿うようとりはからうことにいたします。  本日はこの程度で散会いたします。     午前十一時四十一分散会