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1951-11-15 第12回国会 衆議院 水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    田渕 光一君       永田  節君    小松 勇次君       佐竹 新市君    木村  榮君  政府出席委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁港課長)   林  眞治君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十一月十五日  委員二階堂進君辞任につき、その補欠として星  島二郎君が議長の指名で委員に選任された。 十一月十三日  台風ルースによる漁港災害復旧費全額国庫補助  の請願床次徳二紹介)(第一一七四号)  漁業資金融資に関する請願(上林山榮吉君外九  名紹介)(第一二一五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁港法の一部改正に関する件  小型機船底びき網漁業整理に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  議事に入ります前に、アメリカにおける水産事情について御報告を申し上げます。  このたび私ども鈴木委員とともに渡米いたしましたにつきましては、当水産委員会委員各位より御鞭撻をいただきまして、御高配ををかたじけのういたしましたことについては、衷心より厚く御礼を申し上げます。  私ども水産議員団渡米目的は、アメリカにおける連邦並びに州議会水産立法実情を調査して、わが国水産関係立法参考に資することが第一の目的であり、あわせて水産行政運営状況並びに米国水産業実情視察いたしまして、今後のわが国水産業発展の上に資することがその第二の目的であります。なおまた平和條約の締結に伴い、日・米・加三国間の漁業協定もいよいよ日程に上つて参りましたので、この際わが国漁業の最近の状況、特にわが国国民経済上における漁業重要性と、水産関係者の要望している点について米国関係官民認識を深め、隔意ない懇談を遂げて、円満なる三国間の協力関係の確立に資したいというのが第三のおもなる目的であります。  渡米水産議員団は去る八月十三日羽田空港を出発いたしまして、翌八月十四日サンフランシスコに到着し、陸路米大陸を横断して首都ワシントンに参りまして、ここに約三週間滞在して、この間において内務省漁類及び野生動物局協議して、渡米中の視察日程について打合せをいたし、あるいは連邦国会を訪問いたしまして、水産立法の具体的取扱い方につき調査研究をなし、また水産関係を所管いたします通商並びに海運委員会ジヨンソン委員長及びかつて来日されましたマグナソン上院議員懇談する機会を得まして、引続き内務省、国務省、陸軍省関係各局を訪問いたしまして、水産行政、特に国際関係の取扱いについて調査いたした次第であります。  次に視察日程の概略を申し上げますと次の通りでありまして、大西洋、内水面漁業メキシコ湾太平洋との四つに大別して考えることができるのであります。すなわち大西洋岸におきましてはニユーヨーク、ボストン、メイン州の首都オーガスタ、ポートランド、ウツズホール、ブツズベー等漁業地をたずね、次にミシガン湖を初め五湖地方の内水面漁業視察するため、アノーバー、ランシング、シカゴ等に参りまして、州政府、試験場並びに研究所及びミシガン大学等視察し、ついでメキシコ湾沿岸漁業事情を調査するため、二ユーオリンズ、ペンサコーラー、ビロクサイ、ヒユーストン、ガルヴエストン等漁業地視察いたしました。太平洋岸におきましては、ロスアンゼルス、サンフランシスコ中心州議会州政府等関係者と、太平洋漁業問題並びにカン詰冷凍まぐろ等の問題について隔意ない懇談を遂げるとともに、調査研究施設等視察いたした次第であります。  米国における漁業は、これを商業的、職業的漁業と、スポーツとしての漁業とに大別することができると思いますが、商業的、職業的漁業は、アメリカ産業国民経済全体から見ますならばきわめて微々たる地位にあり、漁業者の数もわずかに十七万人にすぎません。その漁獲高は二百万トン、三億六千五百万ドルで、農業所得の四十分の一にすぎない状態であります。これに比しまして、スポーツとしての漁業はきわめて盛んであり、スポーツ・フイツシユの許可証交付を受けている者が一千五百万人ないし一千七百万人に及んでおり、連邦及び州政府水産行政の大半は、このスポーツ・フイツシヤーマンに対するサービスと、魚類保存に関する調査研究重点が置かれております。許可証交付の税額は一箇年一人平均三ドル程度でありますから、四千五百万ドルないし五千万ドルが魚類保存とその調査研究とに使われているわけであります。商業的、職業的漁業のおもなものは、大西洋岸においてはたら、にしんえび、ロブスター、かきその他の貝類等漁業で、メキシコ湾においてはえび漁業とかきの養殖が盛んで、たいつり漁業も相当の成績を収めております。太平洋岸におきましては、御承知通りまぐろ漁業を初め、いわし、にしん、さけ、ます、大鮃等漁業がそのおもなるものであります。これらアメリカ漁業は、漁船、漁具、漁法はもとより、漁撈技術につきましてもわが国漁業に比して格別進歩のあとは認められず、ある種の漁業については、むしろわが国漁業に一日の長ありとさえ認められたのであります。ただ漁獲物の処理、特に加工保存の面におきましては、機械設備発達アメリカ産業の特長である大量生産方式を採用して企業合理化をはかつておりますので、参考にすべき点が多々あると思うのであります。  アメリカ漁業の特色は、漁業者労働組合の力がきわめて強大で、操業時間、漁獲量決定はもとより、魚価についてまでこれを左右し得る力を持つており、その漁業者所得も一船労者働に比較して相当高く、年間一人の漁夫で六千ドルから多い者は一万二千ドル程度収入があり、彼らはこの比較的惠まれた生活水準を維持するために、労働組合組織と力を最高度に活用して、カン詰業者冷凍業者に対抗し、政治的にも活発な活動を展開いたしております。水産資源は、大西洋メキシコ湾におきましても、また太平洋岸におきましても比較的惠まれているようでありますが、資源保護に対する漁業者全般認識が高く、また彼らが魚価維持対策に敏感で、最小漁獲で最大の漁業収入を収めようと努力していることと相まつて魚類保存施策は相当効果を収めており、連邦及び州政府調査研究機関もこの魚類保存の問題に重点を置いていることは、漁業者の啓蒙とともに、わが国漁業者の大いに学ぶべき点であると痛感して参つた次第であります。  漁業立法につきましては、国際間の漁業問題あるいは二州以上にまたがる問題については連邦国会がこれを取扱い、その他はすべて州議会立法措置にまかされております。一例を申し上げますと、北大西洋漁業委員会メキシコ湾漁業委員会等が設けられて資源の探検、魚類保存に対する調査研究を行つておりますが、この委員会の設置についての法律連邦議会によつて制定され、しこうしてこの委員会調査研究の結果の成果は、勧告の形において関係各州議会及び州政府になされ、州議会がその勧告の趣旨を取入れて、必要なる立法を行つているのであります。従いまして資源保護に関する法律も、その取締り監督も、各州が自主的に行つております。資源保護規定は、以上述べましたような関係各州により差異はありますが、概して資源的に惠まれていることと、徹底した自由経済をモツトーとする建前から、制限的規定最小限度に設けられており、わが国のごとく漁船の定数を限定しあるいはこれを減船し、禁漁区を定める等のことはなく、わずかに漁体の大きさの制限をなし、一部においてのみ網目の制限を実施しているにすぎない状況であります。アメリカ水産関係者漁食の宣伝と販路拡張には常に努力を払つていますが、アメリカ婦人は台所に多くの時間を費すことをきらつております関係から、魚の需要はカン詰とフイーレーに限定されており、その上肉食の食習慣を打破することは容易でなく、水産物販路拡張は多くを期待できない状態であります。このことはわが国水産物輸出業者及び水産関係者の深く認識しておかなければならない点であつて、限られた市場において米国の同業者を刺激しないように、永続的に輸出をはからんとするためには、業界の自粛と国会政府の適切なる施策がなされなければならないと痛感いたして参つた次第であります。  米国における漁業協同組合発達は、その国情と企業の性格からいたしましてきわめて遅れており、漁業組合の数も全米で六十数組を数えるにすぎない状態であり、従つてこれら協同組合組織事業もきわめて営利的、企業的の色彩が濃く、株式会社、合資会社と本質的にあまり相違がないような運営がなされているように見受けられたのであります。日本漁業に対する米国水産関係者関心は比較的少く、ただ太平洋岸におけるまぐろ漁業者等利害関係を有する一部の漁業者のみが関心を払つておるような状態であります。今回の漁業條約の締結につきましても、大西洋岸メキシコ湾漁業者関心が薄く思われますが、しかしまぐろ漁業者中心とする太平洋岸漁業労働組合は強硬な態度で日本漁業の進出を押えようとしておるように見受けられます。しかして一般米国民日本に対しきわめて好意的で、東亜の安定勢力として日本との提携を今後一段と強化しなければならないと考えておるようでありますから、両国指導者が国家的、大局的立場に立つて両国漁業関係を調整して、日米漁業北太平洋における共存と円満なる協調を期する次第であります。  なおその他の点につきましては機会あるごとに御説明報告申し上げたいと思います。  はなはだ簡單でございますが、報告にかえる次第でございます。     —————————————
  3. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に漁港法の一部改正に関する件を議題といたします。質疑を許します。小高委員
  4. 小高熹郎

    小高委員 漁港法の一部を改正する法律案のうちで、第二十條の二に「漁港施設で他の工作物効用を兼ねるものの漁港修築事業の費用の負担については、漁港修築事業施行者当該工作物管理者とが、協議して定めるものとする。」こうあるのでありますが、この内容についてもう少しく詳しく説明を願いたいのであります。
  5. 林好次

    林説明員 効用を兼ねます工作物のことでございます。これはたとえて申し上げますならば、漁港指定をいたしまするに区域を定めるわけですが、これが河川と重なる場合がある。すなわち河口に漁港指定する、こういう場合がある。そういう場合には漁港としての効用をなします工作物河川としての工作物とが重なる場合が当然あるわけであります。これらにつきまして他の法律でもいろいろ規定がされておるわけでありますが、漁港関係におきましても、たとえば導流堤というものがございまして、これは漁港としても必要でありますが、河川関係からいつても必要でありまして、これをつくります場合に、かりに町村が施行するといたしますと、国の負担あるいは県の補助金を除いた残りについて協議して協定を結んで、お互いに両者で分担してやつて行く、こういうことが一応できるという建前を定めておきました方が、地方といたしましては非常に便利になる。これはあまり強制的にできないと思いますから協議して定めるものとする、この程度にとどめたと考えております。
  6. 小高熹郎

    小高委員 ただいまの説明は大体了承いたしましたが、その法案を審議するにあたりまして、私ども解しかねる点が一点あるのであります。それは本法案に基きますと、北海道漁港修築に関しては全額国庫負担でやることが非常に強く強調されておるのでありますが、私思いまするに、およそ漁港なるものは全国共通的に利用されるものが多い。何がゆえに北海道のみにかような施策を講ずるか。北海道において全額国庫負担の箇所をあげるならば、内地においても当然あげて行かなければいけないと思います。何ゆえにかような偏頗なる行政措置をとらんとするか、この点について政府当局意見をただしたいのであります。
  7. 林好次

    林説明員 ただいまの北海道におきまする率の引上げの問題でございます。私どもといたしましても、お話のように現下の漁村状況から考えまして、漁港全体といたしまして国の負担率あるいは補助率引上げ措置考えたいのでありますが、ここに北海道における問題のみを取上げたことについての御説明を申し上げますと、御承知のように北海道における、漁港以外の他の同様ないわゆる公共事業土木施設はすべて全額国費でもつて行われておるわけであります。漁港法及び港湾法が成立いたしました当時におきましては、港湾法においても全額でありません。私の方の所管の漁港におきましても御承知のように六割という率がきまつたわけでありますが、その後港湾法におきましても、北海道に関する特例法が設けられまして、全額措置をとられたわけであります。従つて事業実施の面あるいは地方負担の面から考えまして、同様な公共性のある漁港施設についてのみ率が低いということも実は行政的には困るわけであります。その点から申しますならば、われわれが常に唱えて参りました他の事業、たとえば一般港湾とのバランスという点から申して、こういう措置をとらざるを得ないと考えるわけであります。ただ予算等の問題につきまして、はたして全額国費になりましたために事業面に影響がないかという点につきましては、必ずしもそれに伴う予算が増額できるものという断言はまだできないと考えておりますが、予算獲得等についてはできるだけ努力して参りたいと思います。一面従来のままとして事業の進展をはかるということはむしろよいのじやないかということも考えられるわけでありますが、先ほども申したような関係からひとり取残されました漁港関係でありますので、同様な措置をとることが行政上妥当ではないと考えまして、一応こういう措置をとつておるわけであります。
  8. 小高熹郎

    小高委員 ただいまの漁港課長の答弁を伺いますと、やむを得ないというような言葉でありますが、私は同等の公共性を持つたものが本州北海道差別待遇があつてはいけない、むしろ国全体の一つ公共性を持つたものを差別なくかつぎ上げるという姿でなくてはならない、その一つの現われが北海道であつてよい、かように思うのでありますが、どうも施策重点北海道に行つてしまいまして、北海道同様に本州の各地の同じ公共性を持つた漁港もしたらどうかというような、北海道に右へならえしなくちやならぬというような感覚で議論をすることは、小生としてはなはだ好ましくない次第でございますが、しかしこの点についてさらにお伺いいたしたいのは、北海道のみをかように特別待遇をしないで、公共性が同等であるならば、少くとも北海道に基礎を置いてこれと対等に重要度を認めたものは、全額国庫負担でやるというようなお考えをお持ちになつておるかどうか、その点さらにお尋ねいたしたいのであります。
  9. 林好次

    林説明員 ただいまの御説明の仕方が少し妥当でなかつたかと思いますが、さしあたり北海道におきます全体の産業の問題もございますが、水産発展をはかるということのために、北海道におきます地方財政の問題から漁港に限らず総括的に特別な施策がとられておる関係もありまして、さしあたりこういうことになつておるのですが、先ほども申し上げましたように、北海道以外のいわゆる本州漁村実情というものから考えましても、当然国の負担あるいは補助率等について考えを改めなければならぬ点はあると考えます。この点につきましては、私どもとしてその必要を十分に認めておるわけでありますから、今後十分研究いたしまして各方面とも折衝いたしまして、これが実現を見ますように努力をいたしたいと考えております。  ただ現在の段階におきましては、各種の同様な事業との関連がございまして、一朝一夕には解決できないかと思いますが、今後努力をいたしたいと考えております。
  10. 小高熹郎

    小高委員 ただいま北海道本州との比較について意見を開陳したのでありますが、できる限り本州北海道差別のないようにしたいというように私は聞きとつたのでありますが、願わくは具体的にその措置が実現されることを強く要望しておく次第であります。  まだ二、三ただしたいこともありますが、今研究中のものもありますので、いずれ次の機会にさらに質問をいたしたいと思つております。
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 漁港法の一部改正に関する件に対する御質疑はございませんか——委員各位にお諮り申し上げます。この議題に関しての質疑はこれで一応打切りたいと思いますが、ただいま小松委員から質疑いたしたいという申入れがありましたので、出席の際にはこれを認めたいと思いますが、さしつかえございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 冨永格五郎

    冨永委員長 異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  13. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより小型機船底びき網漁業整理に関する件を議題といたします。政府においては水産資源の枯渇を防止するため、近く小型機船底びき網漁業整理特別措置法案の提出を準備されているやに聞きますが、本委員会におきましてもこれが審査の愼重を期するため、あらかじめその内容等につきまして政府当局より説明を聴取しておきたいと思います。それでは御説明願います。山本次長
  14. 山本豐

    山本(豐)政府委員 オーケーが今明日くらいには来ると思いますが、少し遅れておりますので一応仮説明というかつこうでお話を申し上げておきます。  この法律は前に漁業法の一部改正法律案を出しているのでありますが、それといろいろ関連のあるものであります。内容はきわめて簡單ではございますが、実は小型予算をとりますときに大蔵省方面におきましても、せつかくこういうふうに予算を出しても、また数年ののちに知らぬ間に船が続々できまして無意味になるようなことはないか、不許可船が将来発生しないように嚴にやつてもらわなければ困るというお話があつたわけであります。  それからもう一つは、国の予算もけつこうだが、相なるべくは地元の、たとえば整理するものと残るものと、一例を申しますと整理組合というようなものをつくつて、そこでお互い同士共助施設のようなものを並行してやつてみたらどうかという申出もあつたのであります。しかしこの点についてはいろいろ研究をいたしたのでありますが、事業者団体法等との関係もございますので、それを法律規定することは現状において非常にむずかしいのであります。しかし野放しでも困りますので、何とか補助金交付関連において、たとえば協同組合とか連合会とか、それらの点を考慮に入れて計画を立て得るように持つて行つた方がよくはないかというような点もいろいろ考えてみたのであります。そういう意味合いからこれらの関係を明瞭にいたすためにこの法律案考えてみたのであります。  そこでこの法律案内容でございますが、まず第一は小型底びき網漁船整理期間であります。これはたびたび御説明申し上げているように、大体今後五箇年間に終了するわけでありますので、昭和三十一年三月三十一日までに整理は全部完了する、こういうふうに発表させたのであります。従いましてその期間中は、これは予算を要しますので、予算がとれるに従いまして逐次年次計画を完遂して参るわけであります。従つてたとえば五年目に整理される予定のものにつきましては、その間はやはり漁業を継続するわけでありますので、そういう場合の船につきましては、毎年短期に臨時と申しますか、一年々々小きざみに許可をする。そうして少くとも五年後には整理する船は全部なくなる。こういうふうな考えで来ておるのであります。現在操業しております漁船がざつと三万五千あるわけであります。これを大体二万隻程度に圧縮して、一万五千隻を五箇年間に整理する、こういう目標を設けたのであります。この二万隻に圧縮するという、二万隻が妥当であるかどうかという点については、いろいろの議論が出ると思うのでありますが、これは大体昭和九年ごろに操業されておりましたときの、いろいろの事情から見まして、その当時としては資源とのつり合いがよくとれておつたのではなかろうかと考えられますので、一応それを基準にしまして、二万隻程度に圧縮することに押えたのであります。  次に整理方法手続規定いたしたのであります。この整理方法手続は、まず第一に中央で農林大臣が全体の整理すべきわくをきめまして、次に大臣は毎年ごとに各府県知事に、その県において整理いたしますわくを指示するわけであります。その指示に従いまして、今度は府県知事地方におきます個々の船を選定する。こういう手順をきめたのであります。府県知事はこの船の選定にあたりましては、いろいろな事情をよく勘案いたしまして、海区調整委員会等意見も十分徴して、しかる後きめるというふうにいたしたのであります。そういたしまして、これらの決定にあたりまして、異議を申し立て得る條文一つ設けております。  さらに最後には補助金を出し得る規定も設けておるのであります。補助金の税の問題も、当然問題になるのでありますが、これにつきましては、われわれといたしましては税のかからぬように措置いたしたいということで、大蔵事務当局と今いろいろ協議中であります。  大体以上申しましたように全体のわくと、整理最終期限と、整理する諸手続、これらの諸点を規定したのがこの法律案であります。簡單でございますが以上御説明申し上げた次第であります。     —————————————
  15. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは漁港法に関する小松委員質疑として発言を許します。小松委員
  16. 小松勇次

    小松委員 漁港法の一部改正の問題でありますが、ここに改正案が出ておるのですけれども漁港法に関して私どもが最も強く感じておりますことは、過般漁港の第一次指定を行つた際に、運輸大臣協議をするときに、協議がととのわなかつたものに対しては、二重の指定をしたというようなことを承つておるのでありますが、こういう問題について、今回改正されるこの漁港法においては、これを調整するような方法が何ら講ぜられておらない。こういう点について当局はどういうぐあいにお考えになつておられるか、私はまずこれをひとつ伺いたい。
  17. 林好次

    林説明員 ただいまの港湾法漁港法との関連で、つまり両方港湾としての指定——どもの方は指定でありますが、漁港と商港と重なる場合の問題であります。これは実は法律改正をするかしないかということにつきまして、運輸省といろいろ協議をしたのであります。ところがこの前に河川漁港区域が重なる場合があつたのであります。その問題につきましては建設省と農林省との間で、法律改正はいたしませんで、協定を結びましてやつて行つた例があるのであります。港湾漁港と重なる場合においても、漁港漁港建前として、漁港指定されました区域の中のことは律して行く。それから港湾法建前によるやり方もそのままある。ただこれは実質的には管理者はおおむね両方一致すると考えられるのであります。そこで運用にあたりましては両方管理者の間、あるいは農林大臣運輸大臣との間の協定によりまして、大体処理できるのではないかという結論に今達しておるわけであります。まだそれは確定いたしておりませんが、そういうことで法律改正ということでなしに、法文に織り込まなくても処理できる問題がほとんど全部でありまして、まだ研究中ではありますが、大体そういう見通しで処理して行く、これによつて実質的にあまり問題は起つて来ないというふうに相談し合つておるわけであります。そこでこの法律改正にはこの点は取上げておりません。もし今後の研究によりまして、万一法律改正を要するものがあるようなことならば、そのときには考えたいと思いますが、ただいまのところそういう協定事項によりまして問題は処理できる、こういうふうにお互いに話し合つておるわけでございます。そういう次第でございます。
  18. 小松勇次

    小松委員 そうしますと、過般二重の指定をしたというようなことに私どもつてつたのですが、それに対しては、商港は商港の区域漁港漁港区域というふうにはつきりとお互い協定ができておるのですか。
  19. 林好次

    林説明員 区域につきましては、漁港といたしましては漁港区域を定めて指定をするわけであります。それは指定をしたわけであります。たとえば一つの港につきまして、全体は港湾管理者の管理します港湾区域になりますが、そのうちの一定の地域に漁港区域を設定いたしまして漁港指定をするわけであります。そこを具体的に申しますならば、その漁港指定されました区域については漁港管理者が大体責任を持つて処理する。但しその場合に港湾管理者といろいろ協議をして定める、こういう協定内容になろうかと思います。そこで一応法律上から言いますと、はつきり区別されるわけであります。重なつて来る区域ができるというだけであつて処理については漁港漁港としてやつて行き、商港は商港としてやつて行く。ただおおむね漁港管理者の立場におきまして、港湾管理者といろいろなことを処理いたします場合に協議をして定めて行く、こういう行き方で行つたらどうかというふうにただいま話し合つております。
  20. 小松勇次

    小松委員 お話のように協議がととのつて行けば、それでけつこうだと思うのですけれども、すでに漁港として指定しようとするものと商港として指定しようとするものと、われわれから見れば官庁の場合、なわ張り争いのようなことに見える場合が現在すでにあるのですから、地方においてもいろいろな問題が惹起されるのではないか、そういう問題を再び惹起させないようにするだめには、法律改正すべきものは改正した方がいいのではないか、私はかように考えておりましたからお尋ねしたのでありますが、その点は十分御考慮願いたい。  それからこの漁港計画であります。それに伴いましてまず私が先に伺いたいことは、漁港の災害であります。漁港の災害は、過年度の災害が相当たくさんあると思う。一体二十五年度までの災害はいつまでに完成するつもりでおるか、これはいろいろ予算関係もありましようが、よく大蔵省と折衝して、その結果においてあなた方のお見込みを伺いたい。
  21. 林好次

    林説明員 災害復旧の問題につきましては、御承知のように災害復旧の予算編成の方針といたしましては、予算面から言いますと災害復旧費一本で組まれておるわけであります。これはただいまのところ安本が大蔵省と折衝いたしましてわくを定めるということになつております。その定まりました予算を各事業の復旧に割当をするわけであります。これは各事業の災害復旧の進捗度と申しますか、これを平等に扱つて行くという方針でただいまやつておられるわけであります。従つて漁港がどうだということでなしに、全体の災害復旧の年限ということになるわけですが、大体われわれの過去の実績から想像いたしますならば、普通四年かかつておるわけであります。従つて二十五年災害につきましては二十八年まではかかるであろう。これは従来の実績から見てそういうふうに想像するわけであります。われわれとしては一年でも早くこれを完成するように努力はいたしておるのでありますが、これは災害全体としての問題で処理されますので、漁港だけというわけには行きかねるわけで、一に予算の点にかかつておるのであります。大体の見通しとしては、先ほど申し上げましたように、過去の実績から見て四年くらいはかかるように考えております。     —————————————
  22. 冨永格五郎

    冨永委員長 小型機船底びき網漁業整理特別措置法の説明に対しまして、御質問があれば発言を許します。
  23. 小松勇次

    小松委員 小型機船底びきの整理の問題について、過般も私はこの法案の討論の際に申し上げたのでありますが、整理されて船主は補助金をいただけるけれども、乗組員に対しては何らの補償の手当がない。他の産業への転換方法もいろいろ考えられておるのでありましようけれども、船の乗組員はその多くがたいてい親代々その仕事に携わつてつて、なかなか他へ転換することは困難な人が多いと思う。従つて多くの失業者が生ずることを私どもは憂うるのであります。この失業問題に対して私はいま少し真剣にお考えを願いたいと思うのですが、今水産庁としては、これらの失業問題に対してどういうような対策を考えておるかを伺いたい。
  24. 山本豐

    山本(豐)政府委員 御質問の点、実は私どもといたしましても、具体的にどういう方向に持つて行けるかという名案がないのであります。そこでわれわれとしましては、予算要求の際にも船員の手当というものを計上していろいろと折衝したのでありますが、これは結局認めるところとならなかつたのであります。しかし二十七年度以降におきましても、これはやつてみなければわからぬのでありますが、やつてみて、おそらくそういう問題が必ず出て来ると思いますので、努力はしても出ないということになれば、またその問題は蒸し返して交渉したいと考えておるのでありますが、しかしいずれにしても転業なり、あるいは他にこれを処置するという問題は当然出て参るのであります。具体的の問題になるとなかなか困難でありますが、水産庁として、全体的にそういうふうな方々は協同組合中心整理をやつて参りたい。従つて若干の人は、たとえば協同組合へ残つて多少の漁業を継続し得るような方向もとれるのじやないか。     〔委員長退席、鈴木委員長代理着席〕  さらに大局的に申しますと、浅海増殖でありますとか、あるいはまた将来の問題でありますけれども、遠洋漁業等今後日本漁業が講和條約あるいは漁業協定によつて海外に発展し得る余地は当然出て参るわけでありますので、そういう方にあつせんいたすというようなことも、当然水産庁としても考えなければならぬと思つておりますが、具体的にどういう内容に持つて件くかはなかなか考えつかないのであります。全体の施策を進める方向としては、いわゆる浅海増殖であるとかあるいは遠洋の方面の将来の発展にそれを向けて行くというような方向はぜひとりたいと思つております。なお若干のものでも将来の予算の折衝については十分折衝いたしたいと考えておるわけであります。
  25. 小松勇次

    小松委員 この問題は、水産庁としてもひとつ真剣にお取扱いを願いたいと思います。これは社会問題としてわれわれは重大視せざるを得ないのであります。  次にお尋ねしたいことは、整理に伴つて補助金交付するのでありますが、その補助金は補償金の性格を有しておるものであるがゆえに、課税の対象になりはしないかということを私どもは懸念いたすのであります。そういう心配は全然ないかどうか伺いたい。
  26. 山本豐

    山本(豐)政府委員 その点実は心配しておるのであります。そこで法律にはつきりとその面を書くかどうかということもいろいろ内部で相談してみたのでありますが、大蔵省としては、解釈の上で補助金であるからこれを補償金と見るか見ないかという問題もありますけれども、何とか課税をしないようにとりはからえるであろうということで、実はその点はつきりはしないのでありますけれどもわれわれとしては強く要望しておるのであります。そこで解釈の点で、なおこちらは念を押しておかなければならぬと思うのでありますが、どうしてもかかるという場合には、あるいは免税規定か何かを設けることになるのでありますが、その点最終的には話がついていないのであります。現在いろいろと折衝いたしております。この点ははつきりさしたいと考えております。
  27. 小松勇次

    小松委員 その点はぜひともはつきりしないと、前の漁業権の補償金に対する課税と同じようなことを繰返すことになるのでありますから、水産庁だけのお話でなくて、われわれは水産庁が大蔵省と折衝した結果を御報告願いたい。これは單に所得税だけでなく、事業税、市民税などがみなからんで参るので、私の計算では多額な税金になるように思われるのであります。特にこの点を御努力願いたいと思います。以上お願いしておきます。
  28. 山本豐

    山本(豐)政府委員 今の税金の問題は、他種漁業に転換するものにはかからないと思います。つきいそにして全部買い上げる場合だけ議論の余地があるだろうと思います。それから他種の船に転換するものとか、他種漁業に転換するものとか三種類あるわけですが、そのうちで全部買い上げて沈める予定になつております分について議論が出ると思います。なお研究いたします。
  29. 小高熹郎

    小高委員 要綱の二にあります瀬戸内海その他農林大臣の定める海域における小型底びきの特別措置という項目で、(イ)として瀬戸内海、(ロ)として紀伊水道、また伊勢湾、噴火湾というような項目が現われておるのでありますが、このいずれの項目においても「当分の間」ということがうたつてありまして、この点については先般の委員会において、同僚の川村委員及び石原委員から、当分の間とは何ごとであるか、これを一年とか二年とかいう期間を限定しなければ、この要綱の価値をほとんど認めるわけに行かぬじやないかというような意見がかなり強くかわされたのであります。これに対して水産当局研究をするという意図であるやに私は推察しておるのでありますが、その後この当分の間というのをどういうように決定されたか、またお考えになつておるか、この点がこの要綱を審議いたす上における重大なポイントとなろうと思いますので、お尋ねをいたしたいのであります。
  30. 山本豐

    山本(豐)政府委員 いろいろ係の方で実は研究しておりまして、まだ庁内にはつきりした結論を出したわけではありませんが、大体の気持を申しますと、瀬戸内海とか紀伊水道とか、こういう方面は大体二十八年度末くらいまでを目標にしたい。伊勢湾について若干問題がありまして、これはまだはつきり結論が出ないのでありますが、先ほど申しましたように、大体二十八年度末くらいを目標にしてやりたい。これは政令程度になるわけでありますが、なおそれを制定するまでによく研究いたしまして、この前石原委員からもいろいろ出ておりましたし、もう少しはつきりさせた方がいいということであれば、あのときも部長からいろいろ御答弁しましたように、われわれとしましてもできるだけ早い機会にはつきりさせたいと思いますが、ただそれが予算関係がありますから、あまり早過ぎても困るという事情がありまして、こういう文句になつておりますが、これによる弊害も考えられますので、内海についてはそんな考えを持つておりますが、その他のものについてはよく検討いたし、割切れるようになりますればはつきり書いてもいいのじやないかというふうに思つております。まだ結論は出しておりません。
  31. 小高熹郎

    小高委員 ただいまの問題につきましては、先般の委員会で、これをきめなければこの要綱が無価値であるとさえ議論されたのでありますから、願わくは至急内部において協議をしていただきまして、これを決定するにあたり、あらかじめその期間等を明示しておくということがよかろうと思いますので、その点強く希望して質問を打切つておきます。
  32. 田口長治郎

    ○田口委員 小型機船底びき網の整理問題につきましては、これが零細漁業でありその日暮しの経営者である関係からして、整理のやり方によつては非常にたやすいことであり、またやり方によつては非常にむずかしいというように考えるのでございますが、大体私らの聞いております整理補償金の金額をもつていたしますと、私の言う非常に整理がむずかしい漁業であるというように考えるのでございますが、この整理された漁業者がいかなる方向に転向するか、的確に転向のできるものがあるやいなやということが、この整理規定でほんとうにうまく結末をつけさせることができるかどうかという分岐点になるだろうと思います。よくほかの漁業に転業すると非常に簡單な言葉で言われるようですが、実際各海区の現在の漁業の実況を考えてみると、それほど簡單にほかの漁業に転向することができないような感じがするのでございますが、この点がこの整理案に対する最も大きな不安になるのでありますから、当局では、できるならばこの海区でどの程度整理隻数を出す、従つて従業員はどの程度になるんだ、この海区の整理された漁業者は主として何漁業に転向するんだ、あるいはどういう他産業に転向するんだという、ある程度の具体的な見通しの資料がありましたら、この際提供を願います。  それから第二に、小型機船底びき網漁業整理特別措置法の第四條で、農林大臣法律の施行後三箇月以内に中央漁業調整審議会意見を聞いて、船舶の隻数、合計トン数及び合計馬力数の最高限度をきめるということになつておりますが、これは結局第五條の都道府県のものをきめて、それを集計してこういうようになると思いますが、各府県の総トン数及び総馬力数を決定されるおよその基準を、どういうことに考えておられるのであるか、この点をある程度明白にしていただきたいのでございます。
  33. 山本豐

    山本(豐)政府委員 漁船の従業員の転換策でありますが、これはお説のように、実際に船を買い上げて行く場合には、その員数等も明瞭にいたしまして、できるだけ関連する協同組合あるいは県等において、親切にめんどうを見るという方向はぜひとつて参りたいと考えております。ただ現在どのくらい従業員がおるかという明瞭な調べはただいまないのでありますが、いずれ全体の整理計画が立つまでには、それらの点も十分考慮して善後処置も愼重に考えて参りたいと考えております。先ほど小松委員にもちよつと申しましたように、大体遠洋漁業でありますれば、ある程度措置は講じ得るかと思いますが、もつぱら事業でやつておるようなものの転換策につきましては、北海道の魚田開発等もありますが、これも数に制限があつて、毎年百戸くらいしか出られないのでありますから限度がありますけれども、しかしそれらも微々たるものではありますがあつせんのことも考えたい。なおかつお、まぐろの漁業であるとか、あるいは外国向きの大型船等の乗組員という方向にも極力あつせんするようにいたしたい。これは近き将来には無理かもしれませんが、たとえば漁業協定ができまして、台湾とかインド洋方面漁業は、今のところ試験的な程度であつてはつきり見通しは立ちませんが、こういう方面に将来漁場ができるということになれば、これらの乗組員にあつせんするということも考えて行つたらどうかと思います。瀬戸内海も所によつてでありますが、できる所ならば浅海増殖なんかの問題もほんとうに考えて参りたい。これは水産増殖の方の予算を立てる場合においても、まだ漠然とした程度ではありましたが、これらのことも考慮に入れまして、浅海増殖の予算をいろいろとひねつてみた経緯もあるわけであります。これは今後明瞭になつて参りますが、今後の問題として愼重に研究して扱つて参りたいと考えております。  それから第四條の問題でありますが、第四條は、先ほど説明いたしましたように、大体隻数で申しますと二万隻ということになろうと思います。それに従うトン数あるいは合計馬力数をきめるわけであります。結局府県の基礎資料に基いて二万隻ができるはずでありますが、ただいま田口委員が申されましたのは、逆に申されたようでありますけれども、一応われわれの考えとしましては、全体の数をまず見る、それを小わけに年別に県別に隻数なりトン数を出して行く、こういうふうに考えておるわけであります。もちろん全体の数をきめる場合には、府県の今まで調べた資料を基礎にしてきめたいと考えておるわけであります。
  34. 田口長治郎

    ○田口委員 この漁業に従事する漁業者を全体的に見ると、比較的副業の従事者というものは少いのでありますが、零細漁業者であるならばそれが專業であるという実情になつておることからいたしまして、転換問題につきましては、ほんとうに周密な計画を立てて実行されなければ、その点からこの計画の実行がくずれるような心配が多分にあるのであります。補償金といたしましてかりに一トンについて三万円国から出すとすれば、五トンで十五万円である。こういうような場合において的確なる転業の道がなければ、十五万円程度のものは生活にただちに使つてしまつて、その後その人間は生活の道をなくしてしまう。こういうようなおそれが多分にある心配があるのでございますから、ただいま次長からお話になりましたように、いろいろな面をお考えになつておるようでございますが、その点はこの上にも周密なる海区別の計画を立てまして、そうしてせつかくの計画が円満に遂行ができるような方向に御努力を願いたいと思うのであります。  第二に、私はこれらの船舶あるいは漁業者を、ちようど賠償の問題がございますから、各国ともに船がどこもなくて非常に困つておる、こういうような実情におきまして、整理する船をある程度賠償に出す、それと同時に漁業者もつけてやる。そうして各国の非常に遅れておるところの漁業日本の特殊技術者が指導をする、こういうような方向にある程度力を入れてもらえるならば、いろいろのこれらの転向策という点におきましても一つの道が開けるし、あるいは後進国を指導する意味におきまして、また非常に適切なものと考えるのでございますが、この小型底びきが各国の岸沿漁業にも適しておるという信念を私らは持つておりますから、この点について政府ではいかようにお考えになりますか、はつきりしたお考えはないと思いますけれども、さような方向に進まれてはどうかということについて、御意見を承りたいと思います。
  35. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいまの御意見でありますが、そういうことも可能であるかと思うのであります。ただ賠償問題も、なかなかこれは早急にはきまり得る問題でもございませんから、すぐの間には合わぬかと思います。しかもまた日本の場合のように小さい沿岸の船につきましては、これをアメリカに持つて行くということにはなかなかならぬでありましようが、今お話になりましたように、たとえば朝鮮でありますとか、あるいは支那の沿岸であるとか、あるいは台湾であるとかいうような地方では、これはある程度——お話のように使い得ると思うのでありますが、はたしてこれが賠償に取上げられるかどうか問題でありまするがそういうような機会がございますれば、われわれとしましても、それも一つ方法としてぜひ考えて参りたいと思うのであります。
  36. 田口長治郎

    ○田口委員 自由党といたしましては、今回の台風の災害地に対しまして、整理をされる底びき漁船を、その方にまわす、こういう方針がきまつておるのでございますが、多分政府に対しても、この方針は通達してあると思いますが、すでにもう相当期間が過ぎておりますし、この問題について事務的に政府として、どの程度にお運びになつておりますか、できる限り詳細に御説明を願いたいと思います。
  37. 山本豐

    山本(豐)政府委員 これは大蔵省の主計官あたりへいろいろと折衝はいたしております。しかし主計官の感じから申しますると、非常に難色を示しておる。それともう一つは、事務的には、結局今補正予算が本国会に出ておりまするので、少くとも通常国会に第二次補正予算といいまするか、そういう機会にこれがもし認められるとすれば入るべきものであろう、こういう見解であります。これは当然そうであろうと思うのでありますが、まだ結論は出ておりませんが、大蔵省当局としましては、相当に難色を示しております。と。申しますのは、大体この前にも申し上げましたように、現在の補正予算で完全に買い上げられるものは四百隻でありますが、それが四十隻というような相当の数量でありまするので、それらの点で大蔵省の方ではまだいろいろ考慮しているようであります。しかし昨日またあらためて大蔵省の方から説明を聞きたいという、特に申出もございましたので、調整課長をやりまして説明をして参つたわけであります。そういう事情であります。
  38. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 先ほど田口委員から質疑がありました整理に伴う転換対策につきましては、本法案の審議に非常に重大な関係がございます。つきましては、政府におきましては各海区における整理船の転換計画を早急に立てられまして、当委員会に提出されるよう委員長から要望いたしておきます。川村委員
  39. 川村善八郎

    ○川村委員 漁業権証券の債権者の差押え、あるいは税務署その他税金の滞納に対する処分について、かつて留萌で国税庁が取上げた問題その他いろいろな問題がありましたので、水産庁として早く何らかの手を打たなければならぬということを、前国会から私が要望しておつたのであります。先般の当委員会におきまして久宗連絡員の答弁によりますと、一応は手を打つている。また大蔵省等とも連絡をして、その措置を講ずべく努力している。大体見通しは近くはつきりするというような御答弁があつて、一応われわれは了承したのでありますけれども、去る十一月十三日の北海道新聞を見ましたところ、今度は森町、しかも私の出身地から問題が起きたのであります。これを参考までにちよつと読み上げまして、そうして差押え等の停止の措置を急がれんことを要望しておきます。「漁業権差押え、町税滞納処理にあてる」、こういう見出しであります。そうして発信地は森、文面はかようになつております。「近く交付される漁業権補償証券については債権者はいずれも虎視タンタンこの確保にねらいをつけているが、森町では早いところこれに先手を打つて漁業権の差押えを強行、町税滞納処理に振当の手続をとり注目を引いている。町が今回差押え手続きを完了したものは全部で十六件、対象漁業権は約三十三件で、滞納総額約百四十五万円、このうちには漁業会など大口なところをはじめ定置関係が主となつている。差押えになつた漁業権は手続きとともに道庁に登録され、補償券交付の際道から供託局に差押額とこれを差引いてなお残りがあれば本人にかえる分とに区別して供託される仕組みになつており、とくに今度差押えられた漁業権は他の債権者から重複差押えができないといわれ、いまのところさすがの国税庁あたりも手がでない恰好。借金の多いものの中にはかえつて町のこの措置を歓迎するといつた奇現象さえみられている。」こういうふうなことに記事が現われておるのであります。地元であるだけにまことに奇怪千万と言わざるを得ないのであります。私は、ずつと以前に町長に会つたときに、そんな措置をとるべきでない。漁業権証券というのは、漁業制度改革のために交付するのであるから、町の財政がいかに苦しくても、森町は漁業で立つているところであるから、かような措置をとるべきでないという勧告をしておいたにもかかわらず、森町でこういう措置をとつた。末尾の方を見ると、漁業者が、他から押えられるよりも町に押えられる方を歓迎しておるというようなことを書いておりますが、これは明らかに税務署なり、すなわち国税庁なり他の債権者なり、町なりが競うてとろうとしておる。漁民はどうせとられるのであつたならば、町にやつた方がいいのだというふうに解釈される文面になつておるのであります。そこでこれはひとり町ばかりでなしに、この新聞の文面にもある通り、虎視たんたんとして債権者はとろうとしておる。この手を何らか早く打たなければ、せつかくの漁業制度改革の裏づけをする漁業権証券も、出したはいいがほとんど漁民の手にはなく、また漁業制度の改革もできないという憂いもありますので、私らはずいぶん水産庁に一日も早くその措置を講じろという要望をしております。もちろん手は打たないわけではなくやつておりますけれども、近くその成案も出るでありましようけれども、次長におかれましては、すみやかに部下を督励いたしまして、また大蔵省等に直接交渉に当つて、最善の方法をとらなければ、実際に漁業制度改革ができないということに相なりますので、きようからただちに大蔵省と交渉いたしまして、今週中に解決をつけて本委員会報告するまでに努力あらんことを要望する次第であります。もし御意見がありますならば、御意見を承つておきたいと思います。
  40. 山本豐

    山本(豐)政府委員 適切なるお話があつたのでありますが、われわれもさようなこともあろうと存じまして、いろいろ大蔵省方面とも折衝もし、やつて来ておるのでありますが、御承知のように、まつこうからとつてはいかぬというふうなことも言えないものでありますから、結局了解を得て、とにかく裏口街道から関係方面にできるだけ理解してもらうという方法を講ずるより手はないものでございますので、なかなかこの実行方法はむずかしいのでありますが、今お話のように、ひとつ部下を督励いたしまして、何らかの方法を講ずるようにいたしたいと思います。なお具体的問題につきましては、特に関係する財務局でありますとか、そういう方面に注意を喚起いたすように、これはひとつわれわれとしても大蔵省、国税庁と話をいたしたいと思つております。
  41. 川村善八郎

    ○川村委員 われわれは、当初立法措置によつてこういうことができないようにしなければならないと言つていろいろ考えたのでありますが、それではあまりに政府措置を信じないと考えられる向きがないでもないという考え方から、善意にものを処理して行きたいと考えまして、立法措置を講じなかつたのでありますが、こうなりますと、これは相当に研究して、議員推出で立法措置を講ずるか、あるいは政府に早くその手を打つてもらわなければならぬのでありますから、どうか次長は、先ほど申しましたように、きよう大蔵省と交渉して、あしたにでも私が参りますから、大蔵省の考え方を早くつかむようにお願いしますと同時に、委員長におかれましても、委員会の方から大蔵省に、こういう事実がたくさん現われたから処置を講ずることを促進するように要望あらんことをお願いいたします。
  42. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 漁業協定に関する小委員会は、先ほど石原委員長よりの申出がございまして、本日はとりやめにいたしまして、次回に譲りたいということでありますから、さようとりはからいたいと思います。  本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午前十一時四十七分散会