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1951-11-13 第12回国会 衆議院 水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十三日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 二階堂 進君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川村善八郎君    久野 忠治君       田口長治郎君    田渕 光一君       永田  節君    小松 勇次君       木村  榮君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      森  誓夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   佐竹  浩君         大蔵事務官   桜井 四郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官   久宗  高君         農 林 技 官         (水産庁生産部         水産課長)   曽根  徹君         経済安定事務官         (産業局燃料課         長)      近藤  勝君         経済安定事務官 加藤 房夫君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 十一月十日  小型機船底びき網漁業取締に関する請願石原  圓吉紹介)(第九五六号)  宿田曽漁港を第四種に指定請願石原圓吉君  紹介)(第九五七号)  漁業資金融資に関する請願石原登紹介)(  第九五八号)  高家漁港修築工事施行請願鈴木善幸君紹  介)(第一〇一一号) 同月十二日  漁港調査規則制定に関する請願小高熹郎君紹  介)(第一〇五一号)  間瀬漁港拡張工事施行請願渡邊良夫君紹  介)(第一〇五二号)  瀬戸内海漁業者転業資金国庫補助に関する請  願(高橋等君外一名紹介)(第一一三三号)  塩谷港を漁港指定等請願宇野秀次郎君外  一名紹介)(第一一三四号)  忍路港を漁港指定等請願宇野秀次郎君外  一名紹介)(第一一三五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  漁業災害補償制度確立に関する陳情書  (第六九一号)  漁船保険制度改革に関する陳情書  (第六九二号)  水産資源保護育成に関する陳情書  (第六九三号)  水産物の輸出振興対策に関する陳情書  (第六九四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  漁業用燃料に関する件  漁業権証券の課税に関する件  真珠養殖事業に関する件     ―――――――――――――
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  漁業用燃料に関する件を議題といたします。本件に関し関係当局より御説明を願います。本日は水産庁次長山本豐君水産庁水産課長曽根徹君、物価庁第三部長森誓夫君が出席せられております。森物価庁第三部長
  3. 森誓夫

    森政府委員 石油価格の問題につきましては、先般来各方面で御討議をいただきまして、その結果マル公撤廃を急速に実現するという方針で、関係方面と折衝いたしたのであります。物価庁関係としては、大臣マーカツト会談にこの問題を持ち出して、熱烈に懇請をいたしたのでございましたが、最近石炭不足を緩和するために、相当量重油輸入につきまして、外貨特別割当を別途懇請しておるというような事情がありまして、国内における重油需給関係は楽観を許さないという前提で、先方は話をしておるのでございまして、そのためにもし公定価格をはずせば、輸入価格よりももつと高い価格国内で実現するだろうというふうな線で、先方は終始発言をいたしまして、当方の懇請はいれられなかつたのであります。二時間にわたつて大臣が熱烈に交渉されたのでありますが、遂にいれられなかつたのでありまして、われわれとしましては、この線がだめになるならば、何とか現行のものをできるだけ合理的に改訂して行くよりしかたがないと考えて、ただいま作業を進めておるわけでございます。  現在物価庁で持つております案の要点を申し上げますると、改訂範囲重油軽油の二種類にとどめます。これは揮発油については現在輸入がありません。今度の価格改訂は、従来国が安く輸入しておつたのが、民貿にかわつたために、その輸入価格が高騰したのを調整しようというところにありますので、重油軽油範囲改訂をやつて行きたいというふうに考えております。  次に改訂の結果価格がどういうふうになるかと申しますと、下期の重油供給見込みは、その半分以上が輸入に依存するということになつて参ります。これは電力不足石炭不足に対処するために、重油特別輸入を行うということからして、そういう事情になつておるのでありますが、これらの輸入を円滑に進めて行くということが、特に輸入外貨特別割当を受けたというふうな関係からいたしましても必要でございます。その意味で、何とかして輸入できる程度最低のものをとるという方針を捨てるわけには参りません。それで大体最近のCIF価格最低のものをまずとつてみたのであります。その最高と最低との間には相当の開きがありますが、その最低のものをとつてつてみましても、現在に比べまして、たとえば当委員会で最も関係のあるB重油について申しますと、七%以上の値上りということになるのであります。われわれとしては、できるだけ消費者負担を軽減するという考慮を働かせまして、そのCIF価格最低価格をさらに二%ほど切りまして、その程度で新しい価格を設定いたしたらどうかというふうに、ただいま考えております。その結果としまして、現行のものに比べまして五・六%ぐらいの値上りになるのであります。このCIF最低のものから二%を切りますと、輸入関係では相当苦しいことになつて来るのでありますが、われわれとしては、FOBの価格をたたくなり、あるいはフレートをたたくなり、またその後の段階におきまして、企業努力をするなりいたしまして、この程度のものは何とか償い得るものであるというふうに考えております。従つてこの案を実行するためには、相当輸入関係の官庁が積極的に指導するなり、あるいは関係業界が相当協力してやつていただくことをいたさないと、輸入が相当困難になるというふうに考えております。  それから前々から販売業者の強い要請があつたのでありますが、販売価格につきまして、従来地域差というものが設けられております。これはそれぞれの地域に対する運賃の差がありますので、それを織り込んで地域差ができておりまして、京浜地区が一番安く、北海道等が一番高いことになつておるのでありますが、最近におきましてはこの地域差がひど過ぎるために、遠隔の地の者で、いろいろ輸送機関を動員し得る者は、京浜地区等に行きまして、買つてつて行くというふうなことが行われておりまして、地方の販売業者の仕事が非常に円滑に行つていないということがございます。また消費者の面から見ても、そういう輸送機関を動員し得る人々は割合に安く買えるが、そうでない小口の人々は、それらの人々よりも高い値段で買わなければいかぬという実情になつておりまするので、それらを調整するために、従来の地域差の幅を少し狭める、つまり北海道とか九州における販売価格を引下げます。そうして半面低いところの価格を上げるという操作を同時にいたしたいと考えております。なおその地域の分類につきましても、たとえば千葉県の一部を京浜地区に入れるというような若干の地域範囲の修正も行いたいと考えております。  大体以上が今日物価庁考えておりまする案の内容でございます。
  4. 松田鐵藏

    松田委員 水産用として一年間に重油は約六十万トンでございますか。
  5. 森誓夫

    森政府委員 これは安定本部で所管しておられることでありますが、私が今日もらつておる安定本部資料によりますと、一九五〇年度の割当実績は全体が百三十九万キロリツターでありまして、そのうち水産用が四十四万四千キロリツター、それから一九五一年の方は、これは四月から十二月までの三四半期間の割当が出ておりまするが、第一・四半期が総量で四十五万キロリツター、そのうち水産用が十三万八千キロリツターでありまして、七—九月の全体で五十三万キロリツター、そのうち水産用が十六万六千キロリツター、十—十二月は大体六十一万キロリツター、そのうち水産用が十八万九千キロリツターということで、大ざつぱに申し上げまして三割程度のものが水産用に向けられておると見ております。
  6. 松田鐵藏

    松田委員 揮発油は二五%と見ればいいわけですか。
  7. 森誓夫

    森政府委員 原油からの得率は二八%ということになつております。
  8. 松田鐵藏

    松田委員 石油価格改訂につきましてただいままで御説明を受けたのですが、揮発油に対してはどのように価格改訂をされて行く御予定でありますか。
  9. 森誓夫

    森政府委員 揮発油につきましては、現在輸入が従来とも許されていないのであります。それで今回価格改訂をいたしますのは、輸入価格の高騰に対してこれを調整しようというので、今回は揮発油については手を触れておりません。
  10. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまの御説明、また前にわれわれに御説明されたことは、委員としまた日本国民全体の輿論として非常な大きな問題になつておるのでありますが、その重要なことは、揮発油において価格改訂を見ない。産業の一番重点である燃料に対して価格改訂をしなければならない現在の状態であるというところに、われわれは非常に関心を持たなければならないのであります。われわれの意見としては、現実の問題として自由販売にした方がいいという考え方をもつて今まで進んで来ており、また自由党の政調会においても、総務会においても、米の統制撤廃まで論議されておるとき、重油燃料に対する統制を続けて行く何の必要があるかということが論議されておるのであります。ただいまの説明では、向うさんが、どうしても日本現実の姿として重油を使う率が多い、石炭代替としてもこれを考えなければならないので、品物が不足して高騰するであろうという観点から、この統制撤廃する意向を持つていないというので、やむを得ないということであります。しからば日本の国として、一番重油を使う面と一般自動車及びその他の企業によつて使われている揮発油の面と、どちらが日本経済状態に対して重要であるかということは、論をまたないことであろうと思うのであります。しかるに揮発油に対しての価格改訂をしない。やむを得ざる事情によつて重油に対してのみ価格改訂をして、單価を高くして行かなければならないという物価を調整する物価庁考え方に、私どもは疑問を持つのであります。経済の基本はその原料によるのであつて、今東京都内を流して歩く自動車においても、木炭を使つて歩いているものは、ざいから来ているトラツク以外にない。ほとんど揮発油を使つている無統制状態になつている。また私ども揮発油を県で買つておりますけれども、とうていそれでは足らないのであります。入手は簡單にできるような状態になつている。これは物価庁でもよくおわかりのことであろうと思います。これらに対して物価改訂をせずして、重油のみ価格改訂をするというその意味が私どもとしては受取れない。ここにわれわれの非常な疑問があるのであります。その疑問を解く資料物価庁におありであつたならば、御説明を願いたいのであります。
  11. 森誓夫

    森政府委員 ただいまのお話はまことにごもつともな点があると考えます。しかし石油類が全部国内で精製され、供給されるという場合には、ただいまお話のようないろいろな政策的な考慮を加味して、それぞれの油の価格を適当にきめて行くということがなさるべきであると考えるのであります。しかしながら現在重油につきましては、従来とも四割程度輸入に依存し、また今後とも、ことに下半期におきましては五割以上も輸入に依存しなければならない状態であります。この際にもし、たとえば揮発油を上げて、重油等を下げるということにいたしますと、その重油価格輸入品価格を著しく下まわつて参りまして、その輸入が今後円滑に行われなくなるということが心配されるのであります。この輸入を円滑に行わなければならないということが、われわれとして現在重油価格改訂する際に、一番関心を持つべきところであると考えておりまして、そういう意味でただいまのお話のごとく、純粋にその使用者負担力あるいは社会的効用性等考えて油の価格をきめることができないという苦しい事情にあるのでございます。
  12. 松田鐵藏

    松田委員 しからば冬期に向つて、明年の雪解けの融水時までの間に、もつとこの重油価格改訂をされる意思であるかどうか、その点を伺います。
  13. 森誓夫

    森政府委員 われわれとしましては、公定価格制度見通しとして、すでに日本政府としては自由に処理できるようになれば公定価格制度撤廃するという方針をきめております。国際政治情勢の推移によつてこれはきめられますが、このマル公制度はそう長い期間継続されるものではないと考えております。その以前において改訂する意思があるかどうかという点につきましては、現在のところ、もし非常事態世界に生じまして船賃等が著しく高騰するというようなことがない限りは、現状のままで行きたいと考えております。大体例年十二月、一月、二月ごろは船賃が相当高くなるのでありますが、そういうことはわれわれとしてはある程度考慮の上で、現在のわれわれの案で輸入が可能であろうというふうに見ております。
  14. 松田鐵藏

    松田委員 世界の逼迫したる情勢によつて価格改訂に対しては、これは国民だれしも納得することだろうと思います。しかし融水期というのはこれから三箇月か四箇月の間だろうと思うのであります。重油石炭代替に使わなければならないというのは、渇水期において火力発電に使うための重油であり、この期間は三箇月か四箇月にすぎない。これは平和な今日の状態としてすべてを考えて行かなければならないのです。世界動乱のような場合においてはまた別で、おのずから国民も納得することができ、われわれも納得できるのであります。しかるに重油価格改訂して高くしなければならないということは、単に一・四半期ないし二・四半期の問題であると私は考えるのであります。そこで先ほど申し上げたように、今までであつたならば、揮発油というものは二倍も三倍ものやみ価格一般者ども買つてつた。今日はそのやみ価格がなくなつて公定価格と同じ価格で市場に氾濫しておる揮発油であります。しかし国民産業に一番重要である重油について、トン当り千二百円か六百五十円、三百円というようなわずかなことであつても、われわれはこうして日本経済を安定するための燃料に対して論議しなければならないのであります。三箇月か四箇月で電力融水期によつて相当緩和される、石油を使わなくても発電ができ得るという見通しがついておる。これも天候であるからどのようなことにならないとも限らないけれども、年々の統計からいつて必ず雪は解ける。電力は豊富になる時代が来る。ゆえに火力発電の法案も出そうとしておる。かようなときに何のために重油値上げをしなければならないか。遊んで歩く者が使つたり、今まで倍の価格買つていた揮発油は今日では飽和状態にある。これの価格を上げても、一番重要である重油価格を上げないのが、日本経済を安定させる重要な意味があるのではないか。しかるに揮発油に対しては一銭も価格改訂はしないで、重油についてのみ価格改訂をするという理由が私にはどうも納得できない。輸入価格を下まわつて重油が買い得ないということがかりにあるとしても、それは三箇月か四箇月のことである。その間の操作というものは、日本経済を担当しておる役所としていくらでもできるのではないか。国民大衆利益のために、産業を発展させるために、そうした方策がとり得るだろうと思う。部長さんにそういうことを言うのはまことに筋違いの点があるか存じませんが、大臣であつたならばこの点を僕はつきたい。ここに物価庁のご意見とわれわれの考えの差がある。ただいままでの御説明ではわれわれは納得できない。もし納得の行くようなお考えがありましたならば伺いたい。
  15. 森誓夫

    森政府委員 ただいまの御提言に対しましては、これは物価庁としてはもはやその力の限界を越えたことであると考えるのでありますが、消費者の立場から見まするとまことにごもつともな考え方であります。ただ物価庁として申し上げなければならないことは、重油価格CIF価格より著しく下まわつたものできめたのでは重油が入つて来ない。特に渇水期等燃料問題がやかましい時代に、重油輸入にわれわれがへんな価格をきめて混乱を大きくしては相済まないと考えておるのであります。もしただいま御提言なされたような思想も実現するといたしますと、たとえば揮発油等を上げて、上がつた分国庫へ納めさせて、重油輸入に対して補助金でも出す。そして輸入業者は高い値段輸入しましても売るときには安く売れるというような機構でもつくつてつて行ければ、御希望のようになるかと思いますが、これは物価庁としてはもはや権限外のことでありまして、ただ私の思いついたことだけをお答えいたしました。
  16. 松田鐵藏

    松田委員 ただいままでの御説明では、私どもとしてはもはや物価庁部長さんに質問する資材がなくなつたのであります。これは大臣に対してこれからの折衝に当らなければならないと私は考えるのであります。私の質問はこれで打切ります。
  17. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合お知らせを申し上げます。経済安定本部から燃料課長近藤勝氏、燃料課加藤房夫両氏がお見えになつております。
  18. 田口長治郎

    田口委員 ただいままで松田委員森部長との応答によりまして、大体油の統制は近いうちに撤廃になるだろう、そう長く継続すべきものではないというような御意向もあつたのでありますが、さような前提のもとに今回の値上げの問題を考えてみますると、いかに考えましても、このCIF価格が少し高いからといつて国内消費をしている大部分のものが原油国内製油によつて生産がされている。こういう観点から申しまして、日本製油業者は、どこでも現在におきましても非常にもうかつております。森部長なんか御調査になるとわかりますけれども、これは三割、四割の配当をしている。こういうような状態におきまして、現在の価格でさえも製油業者が非常にもうけ過ぎている。さらにこれを値上げして製品輸入されたものと同じ値段国内で製油された重油を販売するというようなことになりますと、製油会社というものはもうかつてもうかつてしようがないというような状態になります。同時に今水産界の各漁業について考えてみますと、いかにかせぎましても赤字赤字で、どこの会社もどこの個人も赤字の経営を続けている。製油業者の方は非常にもうかつて一方は赤字である。こういうような状態でございます。私はこの点から考えましても、製油業者がこれ以上にもうかるような価格改訂ということは承知ができないのであります。のみならず、ただいま松田委員から申されましたように、石炭関係でこの油の統制がひつかかつているということでございますが、これもおそらく石炭不足のための油の需要がそのうちになくなると思うのでございますが、この短期間におきまして何とか価格改訂しないで現状のままで行くというようなことができないかどうか。もう一歩進んで物価庁その他に研究をしてもらいたいのであります。といいますのは、主として今度の改訂タンカー値上り、あるいは原油値上り、こういうようなことに基礎を置いておられるようでございますけれども、大体原油価格というものも安定をしている。それからタンカーも実はフレートの六〇%をとつておられるようでございますけれども今はちようど冬に向う時期でございまして、一年中で一番高い時期である。十月のタンカー価格を見てみますと大体四五%程度で治まつている。原油価格が安定しておりますし、タンカー価格が大体一年中で一番高い時期のものをとつておられる。またタンカーというものは、一応ずつと長く早くから契約をしているのでありまして、この契約したタンカー価格考えてみますと、大体四五%程度契約をしている。こういうような観点から考えまして、実際には高くなつたから油が国内に入つて来ないというようなお考えでありますけれども、私は現状価格におきましても当然入つて来る。決して入つて来ないような実情ではないというふうに考えるのでございます。  第二にどうしても改訂をしなければならないというようなお考えであれば、もう一度この卸売及び小売マージンを研究してもらいたい。一トンの油を扱いますのに、卸のところで三千円マージンをとり、あるいは小売のところで五百五十円マージンをとる。こういうような点にここしばらくでございますからメスを少し入れていただく。こういうことになりますと、現状価格で私は三箇月四箇月押しましても、決して国内重油が量において非常に困る、そういうような現象は起らないと考えるのでございます。もしそういうところにもメスを入れることがいやだというようなお考えであれば、国内製油能力が私らの調べたところによりますと、大体九万バーレルくらいにはできる、こういうようなことでございますから製品輸入原油輸入、こういうことに少し切りかえてもらいまして、そして国内精油能力にややマッチした程度原油輸入していただきますと、製品輸入というものがごくわずかになつてもいいという観点もあるのでありますから、ここしばらくの間でございますから、何とかひとつ現状のまま価格をすえ置いてもらう、こういうくふうをもう一度やつていただきたいのでございます。  私、最初申し上げました石油業者利益が非常に大きい、この問題についてはどうお考えになるか。またタンカーフレートを六〇としておられるが、これは四五程度でいいのではないか。また一トンを扱つたために三千円の手数料小売行つて五百五十円の手数料、これにもある程度メスを入れていいのじやないか。それと国内製油能力にマッチした原油輸入をする、この四つの問題につきまして御意見をお伺いする次第でございますが、御答弁によりましてまた質問を継続したいと思います。
  19. 森誓夫

    森政府委員 第一の精製業者がもうけ過ぎておるのではないかという点について申し上げます。今度の価格改訂要点は、輸入製品のその輸入を円滑ならしめるというところに実はございまして、輸入が円滑にできるような価格価格をきめないと、供給量の半分を占めております輸入量が入つて来なくなるというところに問題があるのでございます。従つて国内精製のものについて、その価格を適正にきめて行くということよりも、むしろこの価格ではたして輸入が円滑にできるかどうかというところに問題の要点がございます。精製業者が、今度そういう輸入が円滑にできるような価格にした場合にもうけ過ぎはしないかという点についてでありますが、過去におきましていろいろな精製業者自己宣伝で、非常にもうかつておるようなことを言つておるのがございます。また現に私たちも四割配当をしておるという会社も知つておりますが、しかし私たちもそう会社の収益を一々内側に入つてみたわけではございませんが、四割配当しておるというのも二社程度で、全体八社ある中でわずかなものでございます。過去において多少もうけておつたということがあつたかもしれませんが、それは現在日本不足しております精製能力を増加させるという意味では、ある程度意味があつたのではないかというふうに考えます。今度の価格でやつて行きますと、その後のいろいろな諸物価値上り等があります反面、また機械油桐油等の値下りが相当程度あります。そういうわけでそう精製業者がもうけるという数字にはなつていないのでございます。  それから第二の点は、フレートの問題でありますが、これは今回は六〇%アツプというものをとりましたが、現在はそれ以上のものになつております。これも原油輸入フレート製品輸入フレートと二つにわけて考えなければなりませんが、原油輸入フレートは非常に継続的にそのルートが安定いたしておりますので、割合に安いものがあります。そういう意味で四五%という事例もありましよう。しかしながらその部分におきましても、われわれの知つている範囲ではある非常に有力な会社は、一年間の契約を六五%アップでやつております。特に製品フレートにつきましては、これはもう五月以来ずつとわれわれは統計をとつておりますが、中には五〇%の場合もあります。しかしおおむね六〇%以上でございます。われわれが六〇%と言つておりますのは、特に冬の非常に高くなるものをとつておるのではございませんで、むしろ平均的に考えておるのでございます。  なおフレート値上りのほかに、最近FOBの買付価格値上りが相当現われております。そうしてその結果として、CIF値段が九千円を越えているのが原則でございます。特に最近のものなどは一万円以上になつておりますが、そういうわけで、今度われわれが押えようとしておりますB重油についてのCIFの大体八千八百円という価格は、従来の実績をとつてみまして最低のものであります。おそらく従来そんなに安いものがなかつたわけでございます。そういう意味CIF価格として八千八百円が適当なものであるかどうか、今後の輸入を円滑にさせるものであるかどうかということについては、われわれは若干の危惧の念を抱いておるのでありますが、とにかく消費者のことも考えまして、できるだけ関係業界に努力してもらつて、これでやつてみようという決心をいたしたのでございます。  それから卸、小売マージンの問題でございますが、たとえば卸について申しますれば、三千円と言つておりますが、そのうち二千円何がしは運賃でございます。残りのもので給料、交通費、通信費、修繕費、保険料、消耗品費等、いろいろのものをまかなうわけでありまして、大体この金額は昨年の十二月にきめたものそのままであります。その後の値上りということもある程度あるわけでありますが、それなんかも考えないで実はやつているようなわけでありまして、これはそうたたきましても出て来る余地がないものと考えております。ただ若干、二%CAFを切つた価格をきめようといたしておりますが、それはまあ最悪の場合には、マージンの中からでもたたき出してもらおうというつもりでございます。  それから国内製油の量をふやして、安い石油製品国内に供給せよという御意見につきましては、非常にごもつともでありまして、私たちもできるだけそういう方向でこの問題を円満に解決しようといたしまして、石油行政関係の官庁にいろいろ強い交渉をいたしたのでございまするが、石油製品輸入を全部やめて、国内精製で全部をまかなうという方針をとることにつきましては、現在政府部内としてもまだそういうことがきまつていないのでありまして、われわれとしては、一足飛びにそこまで物価庁としてはできなかつたのでございます。ただその場合にも、かりにそういう方針をとるといたしましても、現在所要の重油国内精製で全部まかなうためには、原油輸入量を現在の二倍にしなければならないのであります。そうしますと関連の副産物がやはり二倍に出て参りまして、これは国内で全部消費することはできないわけであります。揮発油なんかも現在の二倍くらいになるわけでありますので、どうしても他国へ輸出しなければならぬという問題になつて参りまして、そういう点からも非常に問題があると思います。ただわれわれとしては、できるだけ国内精製の量をふやしていただくようにしたい、そうすることが物価政策の上からも非常に有効であるという点については同感でございます。
  20. 冨永格五郎

    冨永委員長 あとで御出席になつた方にお知らせ申し上げます。安定本部から近藤燃料課長と加藤事務官が出席せられております。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  21. 冨永格五郎

    冨永委員長 速記を始めて……。
  22. 田口長治郎

    田口委員 製油会社のもうけは大したことはない、わずかに二社ぐらいが四割程度配当をしているということでございますけれども、この点は物価庁でもう一度御調査くださいまして——製油業者というものはどこの製油業者も相当もうかつて、おそらく心の中では、もうこれ以上もうかる必要はないというような気持でいると思います。そういう関係でありますから、輸入を可能ならしめるために価格改訂するということでございますけれども、結果におきましては、製油業者をこの上にももうけさせるということになるのでありますから、私ども考えといたしましては、全面的に重油価格改訂ということを考えられる前に、二重価格の設定という問題も一応お考えくださいまして、製品輸入したものについてはこの価格、あるいは国内精製から出て来たところの重油はこの価格、しかもこれは精油業者と輸入業者が同一でありませんから、そこに非常にむずかしい問題がありますけれども製品輸入する者が国内で四商社程度しかないのでありますから、このわずかの輸入業者と椿油業者とを何かうまく結びつけられて、そうして二重価格制をとる、こういうようなことも一応新たに価格改訂される前に十分御研究になつてしかるべきものではないかと考えるのでございますが、価格の調整機関がない現在におきまして、新しいマル公をさらに設定するということは技術的に非常に無理なので、おそらく不可能なことを無理に役所で今やろうとしておられるから、広い目で見た場合にそこここに非常に矛盾がありまして、世人が納得できないような事柄ばかりと思うのでございます。そういう点から私らは一日も早く統制撤廃しなければならぬということを考える次第でございますけれども、しかし一方において非常にもうかり過ぎておる、また使う方はどこもここも赤字で経営しておるというような状態におきましては、二重価格制をぜひもう一度研究してもらいたい、こういう要請をいたしたいのであります。  第二に、製油業者にいたしましてもあるいは販売業者にいたしましても、この前の原価計算によるマル公の設定の時代と今比べますと、取扱い数量が非常にふえております。同じ精製費を計算するにいたしましても、取扱う数量が非常にふえておる場合におきましては、商法の原則によりまして当然安くならなければならぬという点から考えまして、卸あるいは小売マージンにいたしましてもある程度下げてしかるべきだ、あるいは現在のマル公の基礎になつておりますところの精製費を、あの時代と比べますとこれも相当数量がよけいになつておりますから、それだけ原価計算上安くならなければならない、こういう点も考えてみますると、いずれにいたしましてもここしばらくの間でございますから、現行マル公ですえ置きにするというような方法ができないことはないということを私は考えるのでございます。もう一度ひとつ物価庁も水産庁あるいは安本と一緒になつて研究されていただいて、雪解けまでの間の問題と思いますから、いろいろな方面から値上りだけの経費を出していただく、そうしてもうしばらくの間現状のままで置く、こういうことを前提にした研究をぜひやつていただきたいのでございます。統制撤廃問題につきましては、これは森部長以上の問題でございますから、ほかにいろいろ折衝いたしまするとして、ほんとうに適正妥当なる価格の構成というものができないのでありますから、事務局としてはどうかその点をお考えになつて、すえ置きということを前提にして、もう一度御研究くださるように強く要請する次第でございます。
  23. 川村善八郎

    ○川村委員 石油価格の問題については、田口委員からるる申し述べられましたが私も同感であります。今松田君のお話を聞くと、もう政治折衝よりほかないということですが、私はまだそれ以前に事務的折衝も十分あるのではないかということで二、三お伺いしたいと思います。  まず第一に、価格の高いということははつきりしておるが、統制撤廃いたしますと、たいていのものは一時は価格は上るようなきらいもありますけれども、最後には安くなるのが今日まで常識となつております。そこでもちろん統制撤廃をいたしまするには、政府の腹をきめなければならぬことは申すまでもありませんけれども、事務的に統制撤廃をするだけの段階に至つてないかどうか、また近い将来に統制撤廃する意思があるかどうかというこの一点。  それから次に、先ほどの部長の答弁からいたしますと、四割も配当をしておる製油会社があるということでありますが、一体今日の商業界あるいは製造加工業者で、四割も配当しておる会社は一つもないと断言してもいいのであります。従つてそういう会社は相当利益を上げておることは事実でありますが、一体製油業者がどのくらいの利益を上げるのがほんとうか、小売業者に一体どのくらいの利益を得させるのが妥当か、このマージンの問題でありますが、これは相当価格に影響がありますので、一体どのくらいもうけさせたらば、ほんとうのいわゆる商業常識の利益であるか、この点のお考えを一つ。  それから第三は、現在苦しんでおるのは消費者であります。一体物価庁消費者がかわいいのか、製油業者がかわいいのか、物価庁ばかりではなく他の官庁でもよろしいのであります。消費者つての生産業者である。油にしますれば、輸入業者でありあるいは製油業者である、かように考えております。米の統制撤廃にいたしましても、いずれが一体大きく批判の声をあげたかといえば、いわゆる消費者がその声をあげたという事実から見まして、今日では消費者つて製油業者なり輸入業者であるというような考えを持つて商工業を行わなければならぬ。かように考えておるのでありますが、この点は一体物価庁並びに他の関係官庁はどういうふうに考えておるか。まずこの三点をお伺いいたします。
  24. 森誓夫

    森政府委員 田口先生の御質問からお答えいたします。元来輸入品国内製品との価格に開きがある場合に、一本の価格をきめるということは非常に無理であることはわれわれも同感でござまして、本格的な統制をやるのであれば、やはりそれに相応した機関がなければならないのでありまして、昔ありました価格調整公団、そういうふうな機関がありまして、これらをプールしてその価格差をなくするということが必要であると考えるのでありますが、それなくして適正な価格統制をやることは非常に無理であつて、生産者または消費者のいずれかから強い反撃を受けることは当然だと考えております。その意味でわれわれは価格統制を廃止しようというので、実は大臣を煩わして、先般マーカツト会談にそれを出していただき、交渉してもらつたのであります。ところがそれもいかぬということで、実は物価庁としては進退きわまつた状態にあるのであります。しかしながら現状のままでおきますると、とにかく今のマル公輸入品価格より非常に低いものだから物が入らないおそれがあるので、何らかの措置をとらなければならぬということで、今われわれが作業しておるわけであります。二重価格の制度も私としては十分考えてみたいのであります。できればそれをやりたいと思つて研究したのであります。二重価格は物によつてはできないこともないのでありますが、それは供給者の数が非常に少く、また消費者の数が非常に限定されており、その中間のルートも非常に單純である、こういう場合には割合監視の目が行き届くのでありまして、実施が可能であります。しかしながら石油の場合について見ますると、いわゆる特約店——元売業者の下の段階でありますが、この特約店のうちでも、特定の元売業者に専属的な関係を持つておりまするのは一部でございまして、大体二、三割のものは特定の元売業者と専属的な関係を結んでいないのであります。従つてあるときは輸入品を取扱い、あるときは国内製品を取扱うということになつて参ります。またその下の段階の販売店が約三千軒ばかりありますが、これは輸入品国内品を一緒に取扱つておりまして、どの販売店がどの精製業者とか、あるいは元売業者の製品を専属的に扱つておるということは言えないのであります。のみならず、元売業者と精製業者との間で一つのジヨイントと申しまして、品物のやりとりをしております。この数量がまた相当なものであります。これはやはり配給設備、すなわちタンクなんかを持つておる地域では、そのタンクを持つておる人が売り渡す。しかし品物がないという場合には輸入業者精製業者からも買つて来るというわけで、どうも配給機構が明確になつていないのであります。そういうわけで、そういう一緒くたになつておられるものに対して二番価格をつくるということは、われわれとしてはちよつとできかねる状態で、これは断念せざるを得なかつたというわけでございます。  それから取扱量の増加の問題も、われわれとしては当然考えるべきものだと思います。現在のマル公をきめる際の取扱量と、その後の増加というものを考えてみますると、ある程度いわゆる固定費は削減されるわけであります。その程度にそのものは見込んでおりますが、しかしその後人件費、資材費等の値上りによつて、その取扱い量の増加はそのままに経費の削減ということにはなつて現われて来ないのであります。われわれとしては、非常に思い切つて押しつければ二百円くらいのものは何とかマージンの中から出るのじやないか、こういうわけでCIF最低のものからさらに二百円くらいを切つた価格改訂価格にしようとしておるのであります。しかしこの取扱量の増加というようなものは、実は全体の油の量の増加がそうなつておるので、輸入業者だけについて見ますると、はたしてそれだけ取扱量がふえているかどうか、これはふえていないと思います。どうしても国内産のものを輸入業者にも扱わして販売させる、こういうことにしないとだめでございますが、現在の段階では、実はそれがそこまで行つていないのでありまして、国全体の供給量の増加をそのまま輸入業者に適用して固定費の削減を考えるということは、正直に言えば相当無理ではないかと考えております。しかしながら消費者の立場も考えまして、このくらいのことは何とかして関係官庁にも大いに指導してもらつて輸入業者の取扱量をふやしてもらう、また精製業者も大いに協力して輸入業者になるべく扱わせる、こういうことにして輸入業者の経費の削減をはかるようにやつていただきたいと、実は関係官庁、業界にもお願いしておるような次第でございます。  それから次の問題でございますが、統制撤廃意思があるかないか。これにつきましてはすでにお答えいたしましたが、われわれとしては、われわれの考えで物事が処理できるような事態になりましたら、即刻これを撤廃する意思であるということを明確に申し上げておきます。  それから利潤の問題でありますが、これはわれわれとしては、現在のマージンをきめる場合に、利潤をどの程度織り込んだかと申しますと、計数的に明確なものは申し上げられないのでありますが、結局一定量の取扱いに要する経費の額を現在の全部の業者について調べまして、その経費の少いものからだんだん拾い出して行き、全体の業者の七割に達するまで拾い上げ、残りの三割のものは経費が非常に高いのでこれは考慮に入れないことにしまして、その七割のものにつきまして一つの平均的なコストを算出して来たわけであります。従つて実は現在のマージンに利潤がどれだけ見込まれておるということは、明確には申し上げられませんが、しかし一般の常識といたしましては、取扱いの商品の価格の二、三パーセント程度が適正なものであるというふうに言われております。  それから消費者利益考えないかという点でありますが、物価庁としては、実は消費者のことを一番考えるべきであると思つておるのであります。その意味で、実はたとえば生産とか輸入等を主管する事業あるいは主管官庁は、CIF価格を一銭たりとも割つちやいかぬとがんばつておるのでありますが、しかしわれわれとしては、消費者が実は高い輸入価格にさや寄せをして価格をきめられることは非常にお気の毒なのでありまして、この点は生産、輸入業者に少しは犠牲を拂つてもらうという考えで、実は物価庁としてはそれをさらに二%だけ切つてしまつた、値引きさせたということになつております。この点ではわれわれとして、消費者利益はできる範囲考えたと思つております。ただこれ以上切つて入らないかということになりますと、またこれは非常に問題があると思います。
  25. 川村善八郎

    ○川村委員 事務的にはもう統制撤廃したいという意思がはつきりしたのであります。そこまで来ますと、松田委員の言われた通り、もう政治折衝よりほかないという言葉の中に大体現われておりますので、われわれは十分政治折衝をしなければならぬ、かように考えております。問題は、現在の価格で行きますと、利益の問題でありますが、二%や三%の利益でないということは、われわれはいろいろな角度から見まして、当然そういうふうに考えるのでありまして、これらのものをもう少し統制を続けるとしたならば、物価庁で大いに研究をしてもらいたいという要望が一つと、それについては、大体その調べた七、八の会社の生産コストというものが一体どのくらいになつているかということを、ある時期にどうか書類をもつて御提出を願いたいことが第二点であります。それから第三点は、御承知の通り漁業に使用する油は相当に多いのであります。ところがこの値上りによつて、現在の漁業が成り立たないために倒産をしなければならぬというような漁業が相当に出て来たことは事実であります。そこで現在の油の価格漁業の生産コストとは合わないので、もちろん漁業用の油のみを二重価格にするということは容易でないだろうけれども、——現在統制撤廃されておりますので水産物の価格を出すことは容易でないと思いますが、物価庁においては水産物の現在の価格、すなわち昭和二十六年度の価格と現在の油の対照、さらにそれ以前統制時代価格——大体昭和二十三年まで統制されておつたはずでありますから、その当時の価格と油の価格をお出しになつて、それを対照してみると、漁業がはたして現在の油の価格で引合うかということがはつきり出ます。これらの対照した価格物価庁で出されるはずでありますから、どうかこの二点を出して、そうして現在の油の価格漁業というもののコストがどういうふうになるかということを対照してお考えを願うと同時に、本委員会に出してもらいたい。  さらにもう一点は、もう少し物価庁が政府に強く要求しなければならぬと思いますことは、事務的にはすでに統制撤廃すべきであるという決意ができておる。そこで一体何ゆえに統制撤廃されないかということは、われわれもはつきり頭にはありますけれども、これはあなた方の方からも、統制撤廃すべき段階になつておることを、もう少し数字的に折衝する必要があるのではないかということとあわせて、われわれもただいま要求いたしました書類をお出しくだされば、その書類によつて、今度は数字的に政府に要求しますから、国会とあなた方事務官庁と、双方が統制撤廃すべしという要望をしたならば、統制撤廃が早く進むのではないかと思いますので、その点、どうか物価庁としてもその道をとられんことを切望して、私の質問は終ります。
  26. 小高熹郎

    小高委員 重油値上げにつきまして、事務的なあり方についてお尋ねいたしたいと思うのであります。物価庁考えておられるところのB重油輸入価格は、一トン当り何ドル何十セントになつておるか。私ども考えておることと、ちよつと差があるようでありますので、その基礎数字にわたつてお尋ねしたいと思うのであります。まず第一点にそれをお尋ねしたい。
  27. 森誓夫

    森政府委員 B重油について申し上げますと、まずFOBでありますが、バーレル当り二・一五から二・二ドルであります。これは向うの買付の価格であります。これをキロ・リツターで円に直しますと四千八百六十八円から、四千九百八十二円ということになつて参ります。その最低をとり、これがいわゆる買付の価格で、それにタンカーフレート六〇%アップのものを加えます。それから保険料が一キロ・リツター当り二十一円ということで、CIF価格がキロ・リツター当り大体八千九百四円ということになります。それに関税とか、輸入諸掛を加えますと、九千九十二円ということになります。これを大体九千円程度に査定して、さらにこれから二百円引いて八千八百円というのをわれわれの査定価格としたわけであります。
  28. 小高熹郎

    小高委員 ただいま森部長さんから輸入B重油価格のお答えがありましたが、私がここ一箇月ばかり調査して来ております資料と、ちよつと食い違いがあるようです。でありますから、これはそのうち私の方からこうなるのではないかという数字的なことを申してみたいと思いますが、一応この数字は了承しかねますので、その点を申し上げておきたい。それからタンカー運賃なども物価庁が見ておる方が少し先を見て山がかかつておりはしないか、実質はまだそうは行つておらないと思うのであります。これは私の調査しておる数字と食い違う点が、私の方の調査漏れであつては失礼と思いますので、この点は近く私の方でその基礎資料を提出したいと思つております。そういうすべての数字が納得づくでなければ、われわれ国民代表として出て参つて、簡單に了承するわけには行かないという点をお含み願いたいのであります。  さらに一点お尋ねいたしたいことは、ただいまわが国の石油会社と取引あるいは提携なき外囲石油会社が、わが国の漁業協同組合等に向つて、あるいは協同組合を中心とする事業団体に向つて、相当売込みをしようとして動いておるやに仄聞いたしておるのでありますが、そういう事態があるということは、すでに世界の市場において相当石油類がだぶついておることを立証するものでありまして、あえてこれを阻止する手はあるまい。わが国の円満なる経済の開発ということを考えますと、これは現在の製造、メーカーも立てなければいけない。いけないけれども小の虫を助けて大の虫を殺すようなきらいがあつてはならない。いやしくも現在の統制がある期間においては、これならば消費者もよし、生産者もこの程度はかんべんのしどころであろうという安全パルプはだれがつけるのだ、だれがつくつてやるのだというと、それは一に物価庁、安本当局がこの安全パルプである姿でならなければならない。こういう姿において、どうも重油精製業者の資本力が強いために、政治力が強くて、その方ヘウエートがかかり過ぎて、先ほど川村委員からも御説がございましたが、いささか消費者に向う目が軽くはないか。消費者がこれでよろしいのだろうかという見方が少いのではなかろうかという点は、まことに同感でございまして、諸般の事情から考察いたしまして、われわれは統制撤廃を主張しておるものでありますが、とりあえず先ほど申し上げましたわが国の業者と取引なき新しい外国の石油販売業者が、わが国に向つて相当動きつつあるという事実があるかないか、これをお尋ねいたしたいのであります。
  29. 森誓夫

    森政府委員 重油輸入価格についての数字につきまして、御見解が異なつておるようなお話がございましたが、これはいろいろの場合において非常に違つて来ます。FOB価格もただいま申し上げましたよりも違つております。それで私の特にお願いいたしたいのは、結局最後のCIFの総計でございます。FOB価格に運賃を加えましたこちらの着値段の合計が幾らであるか。この点を御検討をお願いいたしたいと思うのであります。われわれのところには五月以来日本に入つた船について全部そういう資料ができております。そこで大体すべてが九千円以上になつております。従いまして、たとえばフレートが同じであればもう少し低くてもよいのじやないかという御説もありますが、結論におきましては開きがありませんで、今後きめようとする価格よりもむしろみな高い価格で入つておるということが申し上げられると思います。この統計はまたあとでごらん願いたいと思います。  外国商社の動きについては私寡聞にしてそういう話をまで具体的に承つておりません。
  30. 冨永格五郎

    冨永委員長 漁業用燃料に関する件の議題はこれをもつて一応打切ります。     —————————————
  31. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に漁業権証券の課税に関する件を議題といたします。本件に対し水産当局より説明を願います。
  32. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 漁業権証券の問題につきましては、御承知の通り漁業制度改革の裏打ち資金に有効適切に活用するというような方向をもちまして、水産庁といたしましては、当初御説明申し上げた通り、本年度漁業生産協同化の問題でございますとか、あるいは共同施設の問題でございますとか、その他の事項にわたり緊急必要な生産施設の維持、設置といつたようなところに重点を置いて八十五億の計画をいたしたのでございます。これに対し証券の買上げなりあるいは担保金融といつたような計画につきましては、本委員会のいろいろの御支援によりまして、買上げ償還の額が五十五億という程度にきまつたのでございます。その他の八十五億との差額の問題は、いわゆる担保金融なり特別融資の関係でめんどうを見て参るというふうな方向になつたのでございまして、この線に沿い各府県並びに協同組合とも事務的に内容を固めるように努力しておつたのでございます。この買上げ償還の五十五億の問題に関連いたしまして、税金の問題さらに旧債の問題、それから証券をいろいろその他の機関へ分散をされるといつたような問題等、いろいろの問題が起きたのでございますが、特に税の問題については、御承知の通り租税の臨時措置法の改正によつて再評価税を課するというようなことになつてつたのでございますが、この点はさらに再評価税を課する場合においても、個人に渡る証券と団体に渡る証券とをわけて考えまして、団体に渡る分については、漁村の基本財産の観念からさらに免税の処置を講じてもらいたいというような民間からの御要望が出て参つたのでございます。その民間の要望に対して、参議院の大蔵委員会でいろいろと御研究をされまして、団体に対する課税については免税の処置ができるかどうかというようなことで鋭意考慮されたのでございますが、この点は税の建前から申して困難であるというような結論に到達されたようでございますので、買上げ償還の五十五億のうちから税の部分をさらに考慮するかどうか、あるいはこの五十五億のわく外で考えて行くかどうかというような問題について、現在御検討中であるようでございます。水産庁といたしましては、この資金の買上げ償還のわくが今年度五十五億の線が堅持され、五十五億以上が買上げ償還になることを希望しておるのでございますが、いずれの場合においても具体的な制度改革に関連する施設を裏打ちするための十分なる資金を用意することができるように今後も努力して参りたい、かように考えております。
  33. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいま松任谷部長から漁業権証券に関する課税の問題について御説明がありましたが、われわれは当初できるだけ団体にかけないようにしようということと、税をできるだけ安くしようということで進んだのでありましたが、遺憾ながら前者は破れ、後者が採用されたということで、参議院の研究も長い間苦労したとは思いますが、今日漁民に與えた不利というものは私は多大だと思います。漁業権証券は、御承知の通り、漁業権を八月で打切るもの、十二月で打切るもの等に対して与えるということであつたにかかわらず、八月に打切られたものが十一月になつてもまだ証券が交付にならないということで、相当漁業地は混乱している。なかんずくわれわれが当初から一番恐れておつたの漁業権証券の分散の問題であります。各漁業地には、証券をもらつて担保にするとか、あるいはこれを売りつけて借金を拂うというようなことがありましたので、これを防止するためにできるだけ早く証券を交付してそれを資金化し、さらに漁業権証券等を担保にして漁業制度改革の万全を期してやろうということで資金化に努力したのでありますが、その努力は八十五億という線で結ばれましたので幸いだということでありますけれども、今日証券も渡らず資金化もできないということは、一にかかつて参議院があまりにできもしないことを思いやりをした、言いかえれば、何か政治的含みがあつてつたようにもわれわれには考えられるのであります。そこでいよいよ今度は団体等に対して六%を課税することに決定した以上は、一時も早く証券を交付し、また一時も早くこれを資金化しなければならないし、その資金化によつて漁業制度改革を軌道に乗せて行かなければ、漁村の今日は救われないと同時に、将来非常に混乱をすることも予想しなければならぬのであります。そこで一体証券をいつごろ交付するかという問題が一つと、それから資金化はいつごろできて、この資金化できたあかつきにおいては、水産庁の計画している通りにほんとうに漁業制度改革を軌道に乗せて行く自信があるかどうか。自信があつたとしても、一体今年中に実施ができるかどうか。二の点について水産庁の御意見を承りたいのであります。
  34. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話にございました通り、証券の交付を一日も早くやつて、一日も早く資金化して参りたいということにつきましては、水産庁としても考えているのでございますが、問題は漁業権の補償計画が承認になりまして、それが各般の手続を終えて、現実に証券の交付申請をして参るというような手続が必要であるわけでございまして、現在まで交付申請が出ておりますのは、わずか一件だと記憶しているのでございます。この点はいろいろと補償の額を決定します事務が、各地方によりまして問題がございましたので、その交付申請の手続に至らないような所が多い次第でございます。従いまして水産庁といたしましては、この補償額の決定を現に急がせまして、それによりまして交付申請の一日も早く出て参りますように指導をいたしている次第でございます。なおこの交付申請が出ました場合におきましては、すみやかに証券の交付を行う次第でございまして、申請の出ましたものにつきましては、いまただちにその手続を進めて参つている次第でございます。それから証券が渡りまして、たとえばこれを買上げ償還するというような時期につきましては、現在のところ現地の具体的な計画を検討中でございますので、それができ次第、たとえば特融等との関係等もにらみ合せまして、本年中には買上げ償還の手続をいたして参りたい。かように大蔵省当局とも話合いを進めているような次第でございます。
  35. 川村善八郎

    ○川村委員 水産庁の親心をくめないで、地方でまだ漁業権証券の交付申請ができないというようなことですが、聞くところによりますと、大体そんなところであるということであります。一体どこに一番の難点があつたかという問題が一つ。  それからさらに今年度中にこれを資金化するということで、証券の買上げと、さらに担保金融また特融の金融等でにらみ合せてやる計画で、今進めているということですが、そこで一番現地の方の声を聞いてみますと、年度内でなく、この十二月までに交付をしてこれを資金化させてもらいたいという意見が相当強いのであります。なぜとなれば、大体現地には相当に借金があることと、それから税金の滞納があることと、さらに来年度になりますと、——来年度と申しましても、年がかわりますと、新たな漁業計画を立てなければならないということとの結びつきにおいて、相当に混乱を来すのであります。そこで証券を交付し、これを資金化するには、一体どういうものから資金化するかをはつきりしなければならないということが一点。それから借金と税金の滞納とをどういうふうにするか。いわゆる今度の資金化のうちからこれを拂わせないようにするにはこれをどうするとか、あるいは拂わせるとするならば何%を認めるとかいうようなことや、資金化したものをどういう事業に優先的にさせるかということを、もう少し末端まで徹底させなければならない。かように私は考えるのであります。一例を北海道にとりますと、先般北海道の蛯子水産部長が来まして今度の特融資金とこの漁業権証券の資金化等によつて漁業制度改革をしよう。極端に言うならば、冷蔵庫を設置しようというときに、漁業権証券の資金化を一銭もやらないとか、あるいは北海全道の漁村には二十億以上の借財があるとか、あるいは十億の税金の滞納があるとかいうことを申しておるのであります。そうしますと、その借金の片づけ方、滞納税金の片づけ方をはつきり末端まで示さないと、あるいは税務署当局とか、これは大蔵省になりましようが、大蔵省との話合いとか、あるいは債権者との話合い、これは銀行あるいは個人その他いろいろありましよう。こうしたような話合いを進めるようにして、そうしてこれはこういうふうにするのだというような案を末端まで示さないと、十二月のせちがらいとき、あるいは会計年度の一番金の動くときにおきまして、せつかくの資金化したものがほんとうに漁業者の手にわたらずして、税金の滞納の処分になり、あるいは負債の返済納付金に充てたりして、ほんとうに水産庁の親心というものは一つも末端まで行き届かない。かようなことになると、漁業制度を改革したことは無意味になるということも考えられますので、これらに対してどういう手を打つつもりか、それはいつごろまでにはつきり末端まで浸透させる方法をとるかということについて、お伺いしたいのであります。
  36. 久宗高

    ○久宗説明員 ただいま川村委員からのお尋ねでございますが、これはちようど目下大蔵当局と折衝中の問題でございますので、折衝の経過その他もございますから、担当いたしております私から御説明いたします。  まず最初に漁業権証券の差押え問題でございますが、これは同時に旧債の処理の問題その他とも関連いたすわけであります。そこで先般来水産庁といたしましては、漁業権証券の滞納処分による差押えの問題と、一般の旧債の処理の問題、それから同時に最近いろいろ証券業者の方の買いあさりの問題なども出まして、一部に動揺がございますので、そういつた問題はすべて統一的に処理される必要があるということで、大蔵当局に水産庁の考え方を述べまして、目下交渉中でございます。その第一点でございますが、漁業権証券の差押えの問題は、北海道の留萌地区から問題が発生したわけでございますが、水産庁といたしましては、もちろん漁業者の滞納につきましては国民の義務でございますから、当然税は納めなければならぬわけでございますが、ただたまたま漁業制度改革というような画期的な生産の切りかえをするチヤンスに恵まれておりますので、その機会において今後上向して行く立場にございますので、むしろその再生産を、この機会に漁業権証券の資金化によつて経営の合理化をして行くということによつて、長期の担税力を養つて行くような考慮をぜひしていただきたいという考えで、もちろんどう計画を立てても処置のしようのないものについては別でございますが、再建計画と同時に、完納計画も大体立てられるという見通しがあるということであれば、なるべくこの機会に生産を打切つてしまうような処置をとらないようにしてもらいたいという趣旨を申し述べまして、この点については国税庁関係の担当官とも詳細に打合せまして、最近そのような趣旨で、漁業者の方においては再建計画と同時に、完納計画を立てる、それをよく見た上で漁業制度改革の完遂というものと税関係の調整をはかつて行こうという意味の趣旨を、相当末端まで徹底させていただくようにしておるのであります。ただその場合に、これは国税、地方税ともに関連いたしますので、国税も地方税も同一の趣旨によつて処理するようにということで、これも大蔵省の関係の方が地方税関係の方ともお打合せをしてくださいまして、同時に同じような通牒を末端に流そうということになつております。そういうような考え方の基本的な要綱を大蔵、農林当局においてつくりまして、その要綱に基いて通牒を出すという段取りになつているわけでございます。この点は同時に旧債の問題とも関連するわけでございまして、前前から問題があり、系統機関においては、漁業制度改革の趣旨から旧債に引当てないということを言明しているわけであります。ただその他の金融機関あるいは他の債権者関係の旧債をどう処理するかということが、実は非常に大きな問題でありまして、これがどんどん取立てられるということになれば、国税、地方税にも波及しますし、また国税、地方税がどんどん取立てられるということになれば旧債の方にもというふうに、そういう相互関係がございますので、これも統一的な考え方操作する必要がある。そこで現在大蔵省と交渉中の問題でございますが、大体議論の一致している点は、旧債については今年度五十五億にも及ぶ財政資金を投下して、制度改革の裏づけをしようという考え方でありますから、そういう制度改革でねらつた目的からそれて、旧債の償還に充てられてしまうということであればまずい。ただ実際問題として、旧債のために買い上げてはいけないということはもちろん言えないわけでございますが、原則としては、買上げ償還の場合に、旧債に引当てられるようなものは買い上げないという線をはつきりしようということになつております。すなわち五十五億のわくを割振ります場合に、ある計画を立てたものがこういう仕事をするといつて買い上げてもらつても、それがこの仕事に行かないで、旧債に引当てられてしまうということでは、国として財政資金を投下してまで裏づけをする理由がなくなりますので、今年度の買上げ償還の場合については、原則として旧債に引当てられるようなものについては買い上げないという線をはつきり出そうということになつております。もちろんその場合に、経営の合理化という点から、全然引当ててはいけないというのはまた問題がございますので、その辺の調節をどうとるかという問題がまだ残つておりますけれども、原則としては今申しましたように、旧債引当の分は今年度は買上げの対象としないという方針で進もうということでございまして、これを要綱中に盛り込もうということになつております。  それから最後のお尋ねの使途の規制の問題でございますが、この点については、前々からこちらでお話しておるように、制度改革による経済的な効果という点を考慮いたしまして、この使途はもちろんしぼつて行かざるを得ないわけでございます。ただその場合に、私どもとしては、現在各方面から出ておりますプランによつて、一応のわくはこれでもつて見ておりますけれども、ただ個々の計画が非常に分散された協同組合の現状をそのままにいたしまして、それぞれのプランとして出ておりまして、まだそこに相当検討の余地があると考えております。そこで今度の資金化をいたしました際に、現在各県で最終的な事業を進めておりますが、それと協同組合を合理的な規模に再編成して行くという問題を同時に取上げて行こうという考え方をとつております。特に共同施設関係につきましては、個々ばらばらに無計画に立てても、その効果は非常に疑問がございますので、その点は証券の持寄りとかいろんな問題も含めまして、協同組合のもつと合理的な経済規模を、この資金化計画と一緒に織り込んで行こうと考えております。ただそれをいたしますのには相当時間がかかりますので、現在最終的にまとめております各県の計画につきましては、先般開きました主務課長会議におきまして、今度出して参ります全体の計画をAとBにわけまして、もう確定的で手の入れようのないもので、非常に急ぐものはAといたしますが、まだ相当そこに指導を入れた方が、今の再編成問題とも関連して効果があるというものにつきましては、わくを私の方でしつかり確保してあげる、そういう形でB案というものを出す。これは多少時間のかかる問題でもあるかと考えますが、せつかくいただいた財政のわくでございますので、そういうような形でこの効果を確保したい。また、このような愼重な使い方によつてこそ、初めて来年度の資金化計画につきましても、十分な財政的な裏づけが得られるのではないかという考え方で、私は相当時間をかけて進めたい。従つて今お尋ねの、早く出せという問題と、計画の内容を愼重に検討するという問題を、そういう形で二つにわけて進行させたいと考えております。
  37. 川村善八郎

    ○川村委員 漁業権証券の交付と、さらに資金化について急げという要求に対して、いろいろ内部的に事情があるので、あまり急いでは効果がかえつてないのじやないかといつたようなことのお話はもつともであります。しかし幸いにわれわれの今日まで希望して参りましたことと、水産庁が考えて来たこと、すなわち税金の滞納に対する問題、旧債に対する問題、さらに資金化による制度改革事業の問題、これらについては、大体本委員会と水産庁の考えとは一致しているようであります。さらにまたもう一つ残る証券の問題についてであります。第一回のはおそらく五十五億の買上げと、三十億の担保金融だと思つております。しかしながら税金を引かれましても、まだまだ百七十億ぐらいの資金化をしなければならぬということに相なつておりますので、いわゆる今年資金化されないところの証券の分散もまた防止しなければならない。これらの対策をとつてもらわなければならないが、これに対してどういう考えを持つているかという問題と、さらにもう一つ、水産庁に私が常に申し上げていることは、ただいま久宗君が申されたようなりつぱな案がありましたら、これは委員会も水産庁も一致している考えでありますので、これらを末端まで浸透させるべく努力しなければならないのじやないか、私はかように考えるのであります。かりにあなた方が主務課長会議で十分にこれを通達したからいいんだという考えでありましても、たとえば北海道に例をとりますと、北海道庁の課長が、あるいは水産部長が来まして、あなた方の文書をさらに文書化して支庁に通達し、支庁がさらにこれを各町村あるは各協同組合に通達するまでには、おそらく一箇月もかかるのではなかろうか。ところが日にちの一箇月ぐらいはあえて恐れませんけれども、その間にずいぶんあなた方の通達したこと、あなた方の趣旨とは違つた考え方があるということを、私は過去において発見したことがあるのであります。これは時間がありませんので、簡單に申し上げますと、漁業権証券の課税の問題は、漁業協同組合以下六%になつておる。それをさらに漁業協同組合から今後加入しないで抜けて行く者に対しては、そのほかの所得税並びにそのほかの税金もかかる。こういうふうにあなた方が主務課長会議で知らせてあるにもかかわらず、北海道の某課長が、個人のものでも漁業協同組合にこれを出さなければ、いわゆる証券を全部提供しなければ、全部が平均の三八%かかるなどとおどかしたという事実もあるのであります。大きな食い違いがあつたということも事実であります。でありまするから、あなた方が今立案中のもの、それから大蔵省と折衝中のもの、その大体見通しがついたならば、水産の専門の新聞は申すに及ばず、全国の地方新聞にまでこれを書き立てて、全部一人一人が新聞紙上で見るようにすれば、かえつて道庁なり、あるいは支庁なり、あるいは他の府県なりに通達するよりも、むしろ下の方から、この証券について関心を持つておるのだから、よく頭に入るのではないか。その上文書でわからない点を道庁なり、あるいは水産庁に聞かれた場合に回答したことが、実際に末端まですみやかに徹底して、よく内容がわかるのではないか。それをどうも水産庁は、自分の考えたことが大体進んでおるにもかかわらず、ふところ刀で末端まで浸透させることが下手だ。それがために証券業者とかあるいは銀行とか、その他の債権者が、甘言を弄して証券を集めることを考えて、地方を混乱させるというようなことがあるので、いよいよ久宗君が折衝の結果、大体そこまで行つたとすれば、一日も早く全国の地方新聞にまで書き立てることが必要でなかろうかと思いますので、この点を一日も早く末端まで徹底してもらいたいということが、私の要望であります。  ほかに税金の問題もいよいよ参議院の修正しようとした案が通らないということがはつきりいたしましたので、これらも本委員会で今取上げていますので、末端まで周知せしめるような方法とあわせて一緒に発表した方がいいのではないか、かように考えるものであります。もう一度繰返して申し上げるならば、今久宗君が答弁されたこと、それからいよいよもつて税金は団体でも個人でも同じに最低の六%はとられることになつたんだ、そのほかに漁業協同組合に加入しないものは、大体これこれとられることになつたんだ、確定したのだということぐらい書いて、細部まで行きわたるようにした方がいいのではないか、そうすれば、一方には税金をとられることによつて、困つたな、債券の方はこうなつたんだ、資金の方はこうなつたんだ。それで調査してみたところが、非常に今度の資金化がよかつたんだというようなこともはつきりしますので、そうして漁民に喜ばれますので、この点を徹底するように、一日も早く何らかの方法で報道するように要望する次第であります。
  38. 久宗高

    ○久宗説明員 ただいまの御質問でございますが、現在大蔵省と折衝しておりますポイントにつきましては、ほとんど意見が一致しておるわけでございますが、ただそれぞれの表現に非常にこだわるわけでございます。こういう問題でございますので、それを間違いのないように、両方の納得の行く要綱にいたしまして、これを何と申しますか、憲法のようなものにしまして、それを発表して、これで資金化全体がこういうふうに動くということにはつきりしようじやないかということになつておりますので、その発表につきましては、大蔵省とはつきり打合せて、文書にしまして発表したいということになつておりますので、ひとつ御了承願いたいと思います。  来年度の問題が出たわけでありますが、それが実は非常に大きな問題でございまして、今年度は五十五億という制約がありましたが、さらに特融なり、融資を加えまして相当大きな計画を含んでおるわけであります。それとの関連で、実は今年の買上げ償還以外のわくをどうまかなうかという問題をつつ込んで申し上げますと、来年度の買上げ償還がどのくらいの額で、どういうかつこうで出るかということが関連するわけでありますが、これがはつきりいたしますと、非常に線が明確に打立てられることになり、また現在同時に系統金融機関にまとまりましてそうしてここで組織的な資金化を待つている金が見通しさえつけば、動揺することなく、計画に盛り込むという問題もございますので、この点はさらに大蔵省と来年度の問題として、また同時に今年から来年へのつなぎの問題として交渉中でございます。この点がはつきりいたしますと、証券関係の方の買上げの問題なんかが、漁民の方から見て非常に動揺する要素になつているようでございますけれども、そういう問題はある程度解消できるのではないかというように考えますので、むしろ私どもとしては、本年度の計画だけにとどまらず、来年度と結びつけた具体的な計画を現在大蔵省とも折衝中でございます。
  39. 川村善八郎

    ○川村委員 大蔵省はいわゆる他官庁でありますので、折衝もはかばかしくないと思いますけれども、大体そこまで至りましたならば、先ほどのように早く発表する段階までに至るように要望いたします。  なお委員長に要望いたしますが、今日取上げております証券に関連するいろいろな答弁がありましたし、それからさらにいよいよ六%の課税ということも確定したようなものでありますから、委員長談話でもいいから、大体これをかいつまんで、本委員会がかように取上げた結果、かようになつたということを発表することが、漁民に対する思いやりかと思いますので、委員長にこの発表についての希望を申し上げておきます。
  40. 冨永格五郎

    冨永委員長 川村委員に申し上げます。ただいまの御注意に基いて十分考慮いたしたいと思います。なお委員会終了後川村委員とも懇談申し上げて善処いたしたいと思います。石原委員
  41. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ちよつとただいまのことに関連しますが、漁業権証券課税の問題は、参議院との関係が非常にデリケートであると思うのであります。その点委員長においては十分御考慮の上で発表せられんことを切に希望いたしておきます。  それから真珠事業法に関してでありますが、幸い佐竹主計官もいられますので、この際お尋ねしておきたいと思うのであります。真珠事業法なるものができる根本の理由は、日本においては生糸を凌駕せんとする輸出力があるものでありまして、外貨獲得の上からば、御承知の通り昭和三十年には百億円の輸出をしようという計画があるのであります。しかるにその根源をなすところの母貝の生産が少い。この母貝は水田における苗代の種苗と同じものでありまして、これをふやさなければ玉を多くつくろうにもできない。であるからして、国家のためにも百億の外貨を獲得しようとする大きな計画のもとに、真珠事業法ができるということになつたことは御承知の通りであると思うのであります。それが水産庁並びに大蔵省の両方で意見が一致したので、予算は補正予算として成立したわけであります。しかるにそれがまだ向うさんとの折衝がきまりがつかぬために、その事業法も議会に提出することができない、こういうことになつておることは、これは大蔵省と水産庁においてその筋の了解を得ることが遅れておるということに見なければならぬのであります。その結果、この臨時国会にこれができないということは、ちようど事業が一年遅れることになります。昭和二十九年に百億円の外貨獲得ができるものが、三十年でなければできぬということになるわけでありまするが、その点はどういうことに見通しをつけてよいのか。またこの臨時国会に、オーケーを得て提出するということに目標を置いて手配をしておられるのか、その点を伺つておきたいのであります。
  42. 冨永格五郎

    冨永委員長 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  43. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは速記を始めて……。
  44. 石原圓吉

    石原(圓)委員 なおもしこの法案がこの臨時国会に成立しない場合には——この主要な点は母貝の増産にあるのでありまして、母貝の増産なるものは、秋から冬にかけてもつとも増産に適するところの漁場の整理、築いそ、投石等をやつておかなければならぬのであります。そうしてそれが明年の春の産卵期に役立つということにしておかなければ、増産ができないのであります。その関係で、今やつておかなければ一年遅れるということになるのでありまするが、すでに予算は通過したのでありますから、その中からこの母貝を増産する計画に対する予算は、事業法のでき得る、得ないにかかわらず、その計画は実行に移すことが必要であると考えるのでありまして、ぜひそれを実行することを政府に要望する次第であります。これに対する見解をひとつ承りたい。
  45. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 この問題につきましては、大蔵当局とも十分御協議申し上げたいと思つております。
  46. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この程度で本日はとどめます。なお次の早い機会にそれに対する質問をいたしたいと思いますから、どうぞ御研究おきを願います。     —————————————
  47. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際お諮りいたします。今会期中に当委員会に付託または送付されました請願及び陳情書の審査を進めるため、請願及び陳情書審査小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め同小委員会を設置するに決しました。  引続きお諮りいたします。ただいま設置するに決しました小委員会の小委員の数、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員会において指名することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、小委員の数は十一名とし、ただちに小委員及び小委員長を御指名申し上げます。小委員には       小高 熹郎君    川端 佳夫君       川村善八郎君    田渕 光一君       永田  節君    平井 義一君       福田 喜東君    林  好次君       水野彦治郎費    佐竹 新市君       木村  榮君小委員長には川村善八郎君を御指名いたします。  本日はこの程度にして散会いたします。     午後零時四十二分散会