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1951-11-10 第12回国会 衆議院 水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十日(土曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    永田  節君       小松 勇次君    水野彦治郎君       佐竹 新市君    木村  榮君  出席国務大臣         農 林 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農 林 技 官         (水産庁生産部海         洋課長)    尾崎順三郎君         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁港課長)   林  真治君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 十一月九日  漁場最上開発促進請願圖司安正君外五名  紹介)(第八五五号)  さけ人工ふ化場国営化に関する請願圖司安正  君外三名紹介)(第八五六号)  漁業用資材に対する補給金制度復活請願(圖  司安正君外五名紹介)(第八五七号)  旋網漁業調整実施促進に関する請願小高熹郎  君紹介)(第九〇二号)  富田村に漁港築設の請願渕通義紹介)(第  九〇三号)  内水面漁業対策確立に関する請願松本一郎君  紹介)(第九〇四号)  水産資源保護法制定に関する請願石原圓吉君  紹介)(第九〇五号)  漁船損害補償制度実施促進に関する請願田口  長治郎紹介)(第九〇六号)  児童のいか釣禁止問題に関する請願冨水格五  郎君紹介)(第九一三号) の審査を本委員会に付託された。 同月八日  小型機船底ひき網漁業整備に伴う補償に関する  陳情書(第五九四  号)  小型機船底ひき網漁業整備に伴う転換資金交付  に関する陳情書  (第五九五号)  漁船保険制度改革に関する陳情書  (第五九  六号)  極東海軍演習場設定に関する陳情書外六件  (第五九七号)  漁港修築予算の増額に関する陳情書  (第五九八号)  漁船操業区域の拡張並びに不法だ捕に対する保  護に関する陳情書  (  第五九九号)  共同漁業権設定に関する陳情書  (第六〇〇号)  漁業権に対する許可料免除に関する陳情書  (第六〇一号)  マッカーサー・ラインの早期撤廃に関する陳情  書  (第六〇二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及小委員長選任  漁業協定に関する件  漁業取締に関する件  漁港法の一部改正に関する件     ―――――――――――――
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  前回の委員会におきまして設置するに決しました漁業協定に関する小委員会の小委員の数及び小委員人選等につきましては、一昨日の懇談会におきましてあらかじめ各位の御了承を得たのでありますが、この際正規にその決定を願いたいと思います。  お諮りいたします。小委員の数は十名とし、小委員及び小委員長選任につきましては、先例により委員長において指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、小委員の数は十名とし、ただちに小委員及び小委員長を御指名申し上げます。       石原 圓吉君    川村善八郎君       田口長治郎君    永田  節君       二階堂 進君    松田 鐵藏君       鈴木 善幸君    小松 勇次君       林  好次君    冨永格五郎君 小委員長には石原圓吉君を御指名いたします。     —————————————
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に漁業協定に関する件について発言を許します。発言の通告があります。石原圓吉君。次に小松勇次君をお許しいたします。  なお本日は農林大臣草葉外務政務次官土屋外務省調査局長藤田水産庁長官等の御出席を要求いたし、御了承を得ていたのでありますが、漁業会議その他の事情によりまして、急に出席が不可能な事情に相なつておりますので、御了承願いたいと思います。  なお農林大臣は、ただいま外務委員会出席されておりますが、外務委員会質疑が終り次第本委員会出席予定であります。  それでは石原圓吉君。
  5. 石原圓吉

    石原(圓)委員 日、米、加の漁業協定の義は、だんだんと日を重ねて、大体アメリカ等意向はつきりして参つたようであります。それにつきましては、衆議院の水産常任委員は非常に重大なる責任の立場にあると考えるのであります。本日小委員会ができましたにつきまして、この漁業協定会議委員として列席しておるのは、御承知のように水産庁長官が主でありまして、そのために長官等がこの常任委員会もしくは小委員会出席できないことは非常に不徹底、不便であると思うのであります。ゆえに藤田長官出席せられる日に小委員会を開いて、徹底した意見交換をはかるべきだと思うのであります。委員長はなるべく来る月曜日の午前中には藤田長官がこちらの小委員会出席をするようにおとりはからいを願いたいと思うのであります。
  6. 冨永格五郎

    冨永委員長 私に関する件についてお答えを申し上げます。今石原さんからお述べになりました点は、きわめてごもつともだと存ずる次第であります。ただ私が今知つております範囲で判断いたしますと、若干困難な事情があるようであります。なお明日石原さんと一緒に長官に会う予定でおりますから、そのときまた話合いをいたしたいと思います。御承知通り、月曜日の午前九時半から外務大臣室で残りの質疑を続行することになつております。しかも質疑代表者藤田水産庁長官予定せられておる関係がございますから、一応この点は私の知つている範囲内を申し上げておく次第であります。
  7. 石原圓吉

    石原(圓)委員 本日の新聞によれば、ヘリングトン氏が、協定は進めても契約に調印することは批准交換後になるということを、工業クラブ新聞記者団に発表しておるのであります。それはわれわれが主張し、要望しておつた点にやや一致したように考えるのであります。われわれ常任委員会は、あくまでこの批准を与えるという点に権限を持つておるわけでありまして従つて最初より十分慎重を期しておかなければならぬという点から、特に藤田長官の御出席を求めることを要望する次第であります。
  8. 冨永格五郎

    冨永委員長 了承いたしました。重ねてお答えを申し上げます。今お述べになりました御趣旨に基きまして、先ほど申し上げました通りに、きようあすは一応休憩をするということになつたこの機会を利用して、きようはぜひとも長官あるいは外務政務次官農林大臣外務省調査局長、そういう現在その衝に当つていられる方々の御出席を得て、特にこれを専門に取上げて御質疑をしてもらう委員会を開く予定だつたのですが、突然きのう突発的な事情がありまして、その予定がとりやめになつて水産庁としては、きようあすは今まで中でも特に忙しいという状態になりました関係上、委員長としてはその事情やむを得ざるを認めて、出席することができなかつた事情に相なつておりますから、御了承を願います。
  9. 小松勇次

    小松委員 去る五日から東京において開かれておりまする日、米、加三国漁業会議は、戦後初めて日本が主催する国際会議でありまして、この会議によつて講和後の公海漁業のあり方が定められるのでありまするから、日本漁業界はもちろん、日本国民全体が多大の関心を寄せておるのであります。たまたま昨夜夕刊によつて米国試案なるものが発表されて、その全貌をわれわれは知り得たのでありますが、はたしてこの新聞に掲載されておりますところの条約案文が正確なものであるかいなやはまだ存じませんけれども、大体この条約案を見まして、私どもが感じますることは、どうも米国側意向といたしましては、米国カナダ両国の漁獲に対する歴史的事業を認めて、米加両国漁業者に対しては現在の操業を維持する限り制限をしないことが明示されておるようであります。これに反して日本漁業者の進出できる限界については何ら触れておらないように思うのであります。公海の自由を放棄せしめることに重点があるのではないかというような解釈も下されるのであります。従つて条約運用いかんによりましては、北東太平洋漁場から日本漁業者が締め出される結果になるではないかということも恐れるのであります。これらの点につきまして、政府はいかなる見解をお持ちになつておるか。そうして今後の交渉に対しましてどういうような基本態度をもつて臨まれるのであるか、まずこの点をお伺いいたします。
  10. 山本豐

    山本(豐)政府委員 昨日の夕刊に御説のようにヘリングトン氏の提案が出ておるのでありますが、水産庁長官が毎日その方にかかりつけになりまして、実を申しますと十分その会議内容についての連絡もついておらないのであります。従つてまた先ほど石原委員の申されましたように、適当な機会長官みずからここへ出ていただきまして、いろいろいきさつ等説明をしていただきたいというふうに私昨日も長官に希望しておいたのでありますが、ただ今回の会議に臨むにあたりましては、水産庁といたしましても、条約の方式その他の問題につきましては、もちろん外務省の所管の問題でありましようが、実質につきましては前にダレス、吉田書簡関係もありまして、大体日本が、言つて来そうなことをいろいろと臆測をいたしまして、そのもとにいろいろ原則論的なことは相当日数も費し、また時々外務省とも連絡をとりながらいろいろやつてつておると考えております。おそらくヘリングトン氏の提案はこれを原則として、この会議予備交渉とは申しましても、この会議を一方的に押し切られるというなことがありますと重大な問題でありますので、水産庁並びにわが方といたしましても、これに対する一つ提案というような形で今までいろいろ練つて来ておりまする原則論を、あれと同じような形に相なるべくはいたしまして、日本側提案もいたすというようなことで、それをめぐつて日本側主張をいたす。アメリカの方も、これはヘリングトン氏の仮案でありまして、向うでもその点は了としておるのでありますが、ただ仮案を出してアメリカ意見ヘリングトン氏もいろいろ述べておるのであります。従つてこれに対する質問を現在いろいろ長官その他からやつておるわけであります。新聞に伝えられておる案はほんとうであろうと思うのでありますが、翻訳でありますので、字句その他についてもいろいろ質疑中であります。従つてそれに対する正確なお答えちよつと今いたしかねるのであります。いずれまた機会を見まして水産庁長官からお話があると思うのでありますが、わが方の立場といたしましては、どこまでも公海は自由でなければならぬ。しかし場合によつていわゆる資源的観点から見まして、どうしても制約しなければならない場合もあり得るわけでありますので、その場合には一方的なことではなく、どこまでもお互いに対等な立場でそういう制約はやられるべきである。なおまた制約をする場合には、われわれといたしましては、単なる取引というふうなかつこうではなくして、それはどこまでも科学的調査とかそういう基礎に基いてやるべきである、こういうふうな気持でおるわけであります。と申しますのは、実際問題といたしまして、今アメリカが非常に気にしておりますあの近海の問題につきましては、日本がすぐ行くということはそうあり得ないと思います。しかしこの協定やり方いかんがあるいは東支那海でありますとか、あるいはフイリピン、濠州でありますとかにただちに影響を持つわけでありまして、それらの点を十分考えて、どこへ出しても今後起るべき事態に支障を来さないような仕組みでやつてもらいたいという強い希望を持つておるわけであります。水産庁としても、その線で従来も考えて来ておりますし、おそらくここ二、三日中に何らかの提案をするような段階になるのではないかというふうに私は思つておるのであります。もちろんそこに多少向うとは意見の対立する問題も出て来るであろうと思うのでありますが、しかしながらこの問題は非常に重要な問題でありまして、ひとり水産庁のみならず、国会あるいは国民の輿論というふうなものも背景にいたしまして、悔いを残さないような万全の方向に行きたい、われわれといたしましてはこういうふうに考えておるわけであります。
  11. 小松勇次

    小松委員 そうすると近くわが方の試案とも言うべきものが作成されるのでありますか。
  12. 山本豐

    山本(豐)政府委員 けさほど長官と、はつきりだめを押してないのでおりますが、大体そのように思つております。
  13. 冨永格五郎

    冨永委員長 今次長答弁に、私顧問として出席しております関係から、ちよつと敷衍して申し上げて御参考に供したいと思います。それは今次長からもお話がありましたが、米国側から提案をした、あるいはカナダ提案をした、日本提案をしたというふうになりますと、やはり優先順位その他の、お互いにおける印象の感覚の上に甲乙がつくような感じが下されると思われるのであります。そこでこれはあくまでも提案ではない。しかしさりとて話をする何か基準になるものがなければ話ができない。だからヘリングトン試案でもいいから、あなたの方である物を出してくれ、——これが一条二条といいう形式になつていますから協約のように考えるが、必ずしもそう考えてもらわないで話合おうじやないかというような意味で出したのです。従つて次長から答弁がありました日本側もというのは、大体月曜の朝の予定にいたしておりますが、もしカナダが出すということになりますれば、一日、二日遅れてもその意味において優先を争わなくてもよいのじやないか、こういうふうに日本側では考えております。従つて御説のように日本側も出すのだ、出すことになつておる、そうして今度はどれを条約案として審議の基準にするかということは、今後またあらためて折衝した結果きまるものと今のところ考えております。ちよつと次長答弁に敷衍して申し上げておきます。
  14. 小松勇次

    小松委員 この米国試案を見ますと、具体的のとりきめは条約付属書に譲つてあるように思うのであります。この条約文だけでは制限内容というようなものがさつぱりわからぬのであります。明確を欠いておるように思うのでありますが、この付属書というものをわれわれ委員に配布していただくことはできませんか。われわれもそれをもつて大いに研究いたしたいと思うのであります。
  15. 山本豐

    山本(豐)政府委員 御説のように、大体この付属書が問題になると思うのであります。特に付属書に、これは一、二、三と各国同等の文句であるのでありますが、その一つを例にとつてみますと、「アメリカ合衆国は、その管轄下にあるすべての者及び船舶が次の漁業資源から魚類をとり、又はとろうとすることを禁止されることに同意する。」こうあるので、この「次の漁業資源から」という点が問題になると思うのであります。実はこれはまだ委員会にも提案になつておらないのでありますが、しかし当然この論議をやつて行く上に問題になると思いますので、おそらく書類で出ますか、あるいは口頭で返事をするか説明か何かあると思います。ありますればこちらからも顧問として出ておられますから、その方を通じてこちらにお知らせできると思います。
  16. 小松勇次

    小松委員 なお私は、公海自由の原則を堅持するというお話に関連してお尋ねしたいのですが、この領海範囲というものがこれまたきわめて不明瞭だと思うのであります。国際法上は三海里ということに決定されておるようでもありますけれども、いろいろの書物を見ますと、各国によつて非常にまちまちであります。六海里を主張するものもあれば十二海里を主張するものもあるというような状況にあるのであります。従つて今回の漁業条約には、領海というものの範囲をどういう程度において決定する方針であるか、これがまず根本をなす問題ではないかと思うのでありますが、政府の御方針を伺いたいと思います。
  17. 山本豐

    山本(豐)政府委員 この点は実は外務省基本方針というような点について折衝をいたす際にも、われわれいろいろ聞いてみたのであります。ところが国際法上は、これは少し戦前のことになるかもしれないが、今仰せのように三海里説が大体普通の説であります。しかしお話のように、やはり五海里とか六海里とか十二海里というようなのもあるわけでありまして、これらの点を明瞭にしてもらうように外務省にも聞いてみたのでありますが、外務省も実はその点まだ十分に研究ができていないようでありまして、外務省においても、そういう点をいろいろ資料によつて検討してもらいたいということを申し入れておるのであります。これは国際法上の問題でありますが、今度の協定にその点まで明瞭に規定するという段階にはなつておりません。しかしいずれにしましても、そういう点の話合いのときにきつとひつかかつて出て来ると思いますが、そういうような意味でわれわれといたしましては、大体従来の常識の三海里説というものをとりたいと思つておるのでありますが、これに対してアメリカ側がどういうような意向を持つておりますか、そういう点はまだはつきりしないのであります。あるいは条約協定の文面にはでないかと思いますが、いろいろと話合いの上でそういうような問題にも触れて来るだろうというふうに思うのでありまして、その場合にわれわれといたしましては、できるだけ距離の短かい方が都合がよいわけでありますから、国際法の通念によりましてわれわれとしては意見を申し述べておるようなわけであります。
  18. 小松勇次

    小松委員 なおお尋ねしたいのでありますが、この条約文の二条の二項を見ますと、「北太平洋及びこれに隣接する海のすべての水域」ということがこの適用範囲になつておるのでありますが、この範囲がどの程度に及ぶのであるか、たとえばこれは東太平洋の部分にも及ぶのであるか、べーリング海全体に及ぶのであるか、この点はどういうぐあいに解釈されるのでありますか。
  19. 山本豐

    山本(豐)政府委員 お尋ねの点でありますが、実は今それらの点について、長官を通じていろいろ質問しておるわけであります。従いましてその結果は私どもは実は聞いておりませんので、お答えいたしかねるのでありますが、これらの点は非常に重大な関係のあるところでありますので、あるいは別の機会に直接長官に質問してお答えをいただく方がよいと存じます。
  20. 小松勇次

    小松委員 次にお尋ねしたいのは吉田書簡であります。二十六年二月七日に東京で発せられた書簡でありますが、これによりますと、日本船は一九四〇年に操業していなかつた漁場では、自発的措置として日本居住民及び船舶漁業操業を禁止します。但しこれは日本政府の有する国際的権利を放棄する意味のものではありません。このような漁場の中には東部太平洋とべーリング海水域さけ、ハリバツト、にしん、いわし、及びまぐろ漁場が含まれましようとあるのですが、伺いたいことは、この東太平洋というのは、東太平洋全部の海域を指して言つておるのでしようか。なおべーリング海も同様に全海域を指して言つておるのであるか。その内容を伺いたいと思うのです。
  21. 山本豐

    山本(豐)政府委員 このぺーリング海というのはやはりべーリング海全部を含むと思うのであります。それから東部太平洋というのは解釈の問題ですが、そういつても赤道からずつと南の太平洋まで入るとは、私は思わないのであります。従つてこれは常識判断をするよりしようがないのではないかと思いますが、まさか南氷洋とか南方の諸地域までは含まないであろう。こういうふうに思います。これははつきりと、たとえば経度、緯度というようなはつきりした定説はないわけでありまして、そこは常識的に判断するより方法はないと思いますが、べーリング海の方ははつきり書いてありますから、やはりべーリング海全部を指すのではないかと思います。
  22. 小松勇次

    小松委員 私はそこが今回の漁業協定に対して重大な問題をなすと思うのです。ただの常識的な解釈では、これは済まぬと思うのです。日本みずからがこういう権利を放棄してあるのですから、ここをはつきりしなければならぬ。この東部太平洋とあるのは東太平洋地域を言うのであるか、これをはつきりしないと、この漁業条約に際して重大な疑義を生ずると思いますから、この点はひとつ十分御研究くださつてはつきりしておいていただきたい。このことを一つお願いしておきます。  それからこまかいことをいろいろ伺いたいと思いまするけれども、これは小委員会もできたそうでありますから、それに譲ることにいたします。
  23. 川村善八郎

    川村委員 目下米加日三国漁業協定の問題を取上げまして、本委員会もまたこれに中心を置いて論議を進めておることは御承知通りであります。十一月八日付の北海道新聞記事を見ますと、北海道出身玉置代議士からの通信として、ヘリングトン氏と会見した記事と、さらに冨永委員長帰国談として発表しておられることを報道しております。片方玉置代議士はなかなか容易でないということを意味されることを書いてありますし、冨永委員長の談話はあまり困難でなく、すらすら行くだろうという意味のことを書いてあります。一体これはどちらもアメリカへ行つて来たので、片方は帰つて来ておる。片方はまだ渡米中であつて、非常に迷わされる点がありますので、参考までにその記事を読み上げまして、委員長、並びに山本次長意見を聞いてみたいと思います。題は「北洋出漁ソ連次第、公海十二海里説は承認せず」で、「へ氏の見解玉置代議士から来信。五日から外務省で行われている日米加漁業会議アメリカ側団長として出席している国務次官補特別補佐官ヘリングトン氏と現在滞米中の玉置信一代議士ヘリングトン氏が日本に出発の前日国務省で同氏と会見、主として北洋問題についてヘリングトン氏の見解が次のように明らかになつた旨、玉置氏から七日本社に通信が寄せられた。  三国漁業協定は「各国の利害を調整するのが眼目で、日本漁船カナダ及びアメリカの西海岸に無軌道に進出するのを抑制するのがねらいで、協定成立の見通しは十分ある。マ・ラインは講和批准後撤廃されるが、北洋への進出はソ連関係で、日ソ協定に属することだ。またアメリカソ連公海十二海里説は承認しない」。こうなつておる。それから冨永委員長帰国談には、「資材豊富に感心」という題で、「国会を代表して米水産事情を視察中だつた富永衆院水産委員長は、六日深更羽田着帰国、七日から日米加漁業会議顧問として加わつたが、米水産界事情を次のように語つた。米国専業漁業者は十七万五千人で日本より少く、このほかスポーツ漁業者といわれるものが千五百万人ぐらいいる。機械設備資源保護研究資材の豊富さなどには感心した。マグロの関税は現行四割五分を引下げてもらうよう太平洋沿岸の市長、商工会議所会頭会議で懇請したが、安く魚を入れることに対する漁業者の反対はかなり強く、これはカン詰類一般にいえることだ」。次に書いてあることが漁業条約でありますが、「漁業条約は大した困難にぶつからずに進むと思うが、公海漁業の自由、海域制限をどこまでやれるかが中心で、太平洋沿岸ではこの条約に相当大きな関心を示していた。」こういうふうな記事が載つておる。また皆さん御承知の朝日新聞の昨日の夕刊には、「公海での操業統制日力提案調整」という題で、相当長く書かれております。私は昨夜これをずつと見たのでありますが、これはなかなか簡単には行かないのではないか。極端に言えば日本主張が通らないのではなかろうかという危惧を私は持つております。そこで委員長は大したことはなく通る見込みだと言われるのだが、委員長のようにおとなしかつたら通るかもしれないが、われわれのように日本沿岸漁民遠洋漁民を思い、日本漁業の将来を思うて叫ぶならば、これは相当に困難なるものがあると私は思うのであります。そこでこのような新聞記事を載せたことについての委員長見解、その他の顧問としてのほんとうの見通しはどうかということを承りたいと存ずるのであります。次にまた質問いたします。
  24. 冨永格五郎

    冨永委員長 川村君のお尋ねに対してお答えいたします。私はその新聞記事はまだ拝見いたしませんが、帰つてから新聞記者がいろいろおいでになつて、懇談をしたことは事実であります。しかし必ずしもすらすら通るというようなことを言つた覚えはありませんので、その点はこの場合はつきり訂正申し上げておきます。
  25. 川村善八郎

    川村委員 委員長はとかく楽観屋で、ものを非常に善意に解釈して、性格が温厚であるから、アメリカの言うことだけを聞いておれば通る。こういうふうに考えるだろうけれども、われわれは当初からこの条約には相当に困難があるのだ、日本主張は客易に通すことができないのだということを察知したのは、以前飯山太平君と二階堂代議士が行かれた時分に、しかもこの席でアメリカの輿論はかようかくかくになつておるということを聞かされたからであります。すなわち日本が今後公海自由の漁業に進出することができるならば、必ずアメリカの沿岸を荒すのだからということで、業者が日本公海自由を阻止しようとしておる空気があるということをわれわれは聞かされたのであります。そこで今度の条約は、もちろん日本が招聘したということでありますけれども、招聘した人たちの考えはどうか知りませんが、おそらく漁業者の中には、その招聘した方方と御相談した方もありましよう。この相談した方々また今日業者代表として顧問になつておる人たちは、自己の利益のために、極端に言うならば、アメリカの、あるいはカナダの言うことを聞いておればわれわれだけ立ち行くことができるのだということだけ考えて、言いかえるならば自己の会社、自己の漁業の利益のみを考えて出席しておる人が多いのでなかろうか、かように想像できるのであります。さらに招聘した日本政府側としても沿岸漁民代表者を出していないということ、それから国会から強い人を出さないということ、これらを考えますと、そこに何らかわれわれ委員会が考えさせられる問題があるだろうと思うのであります。先日来私が主張しております通り、もしこの漁業協定に破れますと、資本漁業者がどこに食いつくか、必ず沿岸漁業に食いつくことははつきりしおります。現に先般の北海道新聞を見ますと大洋漁業は今度は函館出張所を昇格させて市支社とし、森とか稚内とか本別とか根室とか各地に出張所を設置して事業の拡大強化をはかるということが新聞に現われております。われわれはかれらにしてこの海洋漁業に乗り出すためには、この協定にこそ真剣に沿岸漁民のことも考え、またあわせて日本漁業の将来も考え、もちろん自分のことも最後に考えて臨むべきではなかろうか、かように思つておりますけれども、私らは遺憾ながらその会議出席することができないし、発言もすることができない立場にある。これについてここでは強く主張できますけれども、遺憾ながらそれを米加二国の代表に通ずることができないのであるから、この際いかんともいたし方ないが、少くも委員長出席しておるのであるから、会議において発言権がないといえども、非公式にこの委員会の空気なり、あるいは日本漁民の今日の輿論なりを十分に訴えて、日本の漁民が考えておりまする、またわれわれが考えておりますることを十分注入して、沿岸漁民においてもまた海洋漁業者においても、将来日本漁業が大いに発展をするように、今度の漁業条約を結ぶべく努力をしていただきたいのであります。先ほどから山本次長の話を聞いてみると、どうもつかむところがない。もちろん山本次長はその席に出席しておらないとは思いますけれども、少くも長官次長とは夫婦の間柄と同じであります。寝物語りでも話をすることはできる。しかも一体次長長官とが離れておつたならばどうしてりつぱな水産行政ができましよう。こういう意味からいたしましても、長官次長に内緒にでも話をしておくべきであり、また次長としても、長官からきようはどうであつたという詳細のことをみずから進んで聞くべきである、かように私は思うのであります。どうもわれわれはこうしたような漁業条約のやみ取引、かすみの中に人つての取引はわからぬけれども、今度の漁業条約においては日本主張は非常に軟弱なように考えられるのであるが、どうか冨永委員長におかれましても、先ほど申し上げたように強く主張してもらいたい。どうか性格を一変して鬼になつて日本の漁民のために、あるいは日本漁業のために御主張願うとともに、山本次長には特に水産庁長官にその内容をつぶさに聞いて、公開できなければ非公式にでも、水陸委員の方々またわれわれのような実際に日本の将来の漁業を考えて心配しておる委員に相談をしてもいいんじやなかろうかと思いますが、山本次長の御答弁を御参考までに伺います。
  26. 冨永格五郎

    冨永委員長 私に関連した点についてお答えいたします。ただいまいろいろ御忠告を承りましたが、了承いたしました。今後とも皆様から御忠告いただきまして熱心に主張いたしたいと思います。  なお沿岸漁民からの顧問の点につきましては、私の知つているところでは一人横田さんが出られておるようであります。しかし当委員会といたしましても農林大臣並びに水産庁長官に対して、御趣旨に沿うような意味合いでいま一人顧問を推薦するようにという話も出しておりますので、各位の要望にはそれぞれ沿うように行けるだろうと思います。なお先ほどお見えになつておりませんでしたが、小委員会もでき小委員長も決定せられておりますので、それぞれ資料を取集めまして、活発に善処いたしたいと考えております。
  27. 山本豐

    山本(豐)政府委員 川村委員から長官との連絡不十分という御忠告を承つたのでありますが、この問題はわれわれとしても非常に大切な問題でありますし、また先ほど言われましたように、なかなか難航するだろうと実は思つております。それで今後の問題につきましては、長官との連絡も十分とりたいと思つております。ただ御承知のように、この間からちようど一週間ばかりになりますが、ほとんど朝十時から夜は六、七時ごろまで連日やつておられますので、内容のこまかいこと等は承る機会がないのでありますが、しかし大体きようはどういうことがあつたかということは、毎朝長官室に伺いまして、運んだ手順だけは聞いております。しかし今後は内容の問題にも入りますので、内容の点につきましてもできる限り聞き取つてみたいというように思つておるわけであります。明日も十時から各部長以上集まりましていろいろ相談をしたいということになつておるのであります。今後十分そういう点につきましても注意して、できるだけ努力したいと思つております。
  28. 冨永格五郎

    冨永委員長 木村君。
  29. 木村榮

    ○木村(榮)委員 山本次長がこの間参議院の安保条約委員会で御説明なさつたのを見ますと、相当日本の自主性が尊重されて、戦争前の漁業契約の問題もございますので、そういつたことから相当大幅な漁場範囲がきめられる可能性というものを強調されていたと思う。ところがその後になつてまつたくそれとは逆な情勢が起つておりますが、あなたがこの間八日の参議院の委員会で御答弁なさつたときの情勢が、その後短期間のうちにかわらなければならないような何か特殊ないきさつでもあつたのですか。
  30. 山本豐

    山本(豐)政府委員 特別のいきさつというものは全然ないのでありますが、これは私のみの考えではありませんで、今度の会議に臨む態度といたしまして、水産庁あるいは外務省、また業界の方々といろいろ相談した大体の感じをこの間述べたのであります。ヘリングトン氏の提案を見ますと、いろいろ問題はあると思うのであります。これは詳細にはまだ私は検討していないのでありますが、要するにアメリカアメリカの近辺の、これは業種は出てないのでありますが、たとえば鮭鱒その他の漁業について、日本にすぐ来られては困る、こういうような気持が根にあると思うのです。それをどういうふうな表現にするかという点が、ヘリングトン氏の——一応新聞に出ましたところによると、いかようにも解釈できる。たとえば、先ほど小松委員からもお話がありましたように、領海はどういう区域かわかりません。さらに領海に隣接する公海というふうな表現になりますと、これは常識で判断するのかわかりませんけれども、いろいろとれると思うのであります。これらのとり方いかんによつて広くもなり、狭くもなる問題でありますので、これらの点はこちら側でも十分検討をして、慎重な能度で臨まなければならぬ点ではないかと思うわけであります。ただこれに対する考え方としましては、この間参議院で申し上げましたような気持で、強く主張すべきはしなければならぬ、こういうふうに思つているわけであります。
  31. 木村榮

    ○木村(榮)委員 大体今度の会議は、日本側の方がむしろ主人公のようなかつこうで開催されたといつたふうに巷間伝えられておりますが、そうなつて来ますと、アメリカ試案とかカナダの案とかが出る前に、日本から案を出して、そういうものをまず基礎として検討して、これではあまり日本の言い分が強過ぎるとか何とかいうことがだんだん出て来て、その過程においてアメリカの案が出て来るということなら話がわかるのです。ただこういうことをお願いしますという形でなく、そういう試案はないのか。試案がないのに、あだかもこちらが首唱者であるかのごとくに言われるのは、何か原因があると思うのですが、その点の妙味のあるところをひとつ伺いたい。
  32. 山本豐

    山本(豐)政府委員 格別妙味も何もないのであります。日本側が招聘いたしましたいきさつは、私もまた聞きなんですけれども、それまでに主として外務省筋にアメリカから、内容についてのことではありませんが、早くやれというような意味でいろいろ交渉があつたようであります。それで結局日本側がその趣旨をくんで、招聘の形をとつたのだと思うのであります。日本側が招聘したのですから、こつちが主人格のようなかつこうにならなければうそでありますけれども、しかし日本側に来てもらつたことは、かえつてよかつたのじやないかと思います。こちらが代表を送つてアメリカの、ことに太平洋岸あたりでやられるよりは、条件としては私はいいんじやないかと思つております。ただ時期的にいろいろ御意見があると思うのです。あるいは何もそう急いでやらぬでもいいじやないかという気持は、われわれも持つておりまするけれども、但し、これは向うの方からのお話もたびたびあつたわけでありまして、それらを受けて、招聘の形をとつたということであろうと思うのであります。
  33. 木村榮

    ○木村(榮)委員 私が言わなくても御承知のように、日本は水産国としては世界的に相当いいところなのです。従つて漁業を基礎にしてやる場合においては、公海における自由とか、漁区の設定とかいうものが根本的にきまらないと、まつたくこれは宝の持ちぐされであつて、いくら資材や技術を持つてつてもやつていけないと思う。ところが、今度のアメリカ試案なるものを見ますと、翻訳が下手なのかどうか存じませんが、なかなか簡単にわからないようなことがたくさん書いてあるのですけれども、大体一貫して流れますものは、私たちしろうとが見ましても、たとえば一九四七年三月にマニラで署名されましたアメリカ合衆国とフイリピン共和国との漁業復興拡充計画並びに訓練に関する協定といつたものがある。御承知のようにフイリピンなんかは漁業の面ではまつたく原始的なものであつて、今のところでは日本とはとても競争できない貧弱なものであると思う。その協定内容を見ると、いろいろ書いてあるが、今度のアメリカ試案なるものを見ると、日本漁業を大体フイリピン程度のものと認定して、その範囲のものをやらすんだというふうなことしか認められないわけである。いろいろ制限がある。ここに行つてはいけない、あそこに行つてはいけないという制限がたくさんあると、結果的にはそうなる。そう見られたんでは、漁業協定という名前だけはりつぱなものができたとしても、まつたく日本漁業は行き場がないわけである。そういう点は、今まで戦争前のいろんな例もあることなんですが、具体的に科学的に主張をされても、通らないのですか。今やつておる会議に通らないとすれば、まつたく会議は無意味じやないですか。一方的なことを押しつけられて、はいと聞くならば、会議じやない。わざわざやらなくてもいいと思う。そういう根拠をもつてあなた方の方で十分納得さすような自信がおありですか、ないですか。
  34. 山本豐

    山本(豐)政府委員 自信があるかないかということですが、実はこれはいろいろとりようがあると思います。今後のいろいろ折衝にもかかつておるのでありまして、先ほど冨永顧問からもお話がありましたように、アメリカが最初提案したのでありますが、これに対しまして、日本側提案せんとしておるわけでありまして、何かこれはABC順ですか、そういうようなことで、アメリカがまずやり、その次にカナダ日本という順序になつておるのであります。そこで日本側としましても、今の御意見のような節も十分ありますので、何らかの形でやはり提案は堂々として、その上で提案一つの手掛りとして、いろいろ主張すべき点は主張するというふうな仕組みで行こう。こういう話合いになつておるのであります。ただそれがはたしてどの程度通るか通らないかということは、今後にかかつておるわけであります。われわれの気持としては、これも聞いて見なければわからぬ点もいろいろとあるのでありますが、今御指摘のように、日本だけ片務的に非常に狭められるというふうなことは、アメリカ日本関係ならまだしもでありますが、特に西とか北とか、今後の問題に対する影響も大きいのであります。そういう意味で、できるだけ主張はしなければならぬ、かように思つております。
  35. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そこでそういうものに関連して、たとえばカナダアメリカのオットセイ協定なんかを見ましても、べーリング海なんかにおける問題を相当解決しておるわけです。なぜ日本の場合にそういうものができないかということは、私は問題だと思う。そこでアメリカ試案なるものを見ると、この中で私たちが一番はつきりしない点は、もしこういつたものでやる場合においては、日本の特定の大きな漁業者が、アメリカならアメリカの大きな漁業者からチャーターをされたといつた場合に、これはやれると思うが、そういう点はどうですか。
  36. 山本豐

    山本(豐)政府委員 今後の漁業のやり方につきましては、今のお話のように、たとえばアメリカの資本家が日本の労務、技術のすぐれた人間を雇つてやるという事態もあり得ると思います。しかし、それはそういうような問題でなくて、要するに、公海をどういうふうに定義づけるかという問題でありますので、それはそれとして十分慎重に検討しなければならぬと思つております。
  37. 木村榮

    ○木村(榮)委員 たとえば国際的なまぐろ協定というものがある。今度のような会議には、それが一つの国際的なものなんですから基礎になつて、まぐろならまぐろに関してはこういうふうな協定ができるというふうな見通しはないのですか。
  38. 山本豐

    山本(豐)政府委員 そのまぐろの協定は現在一つあるわけでありますが、それに参加の形をとつて行くか、あるいは今回の、ここで先ほどいろいろお尋ねがあつたのでありますが、このいわゆる資源という中にまぐろまで含めてのことであるかどうか。これは向うの出方を見なければわからぬのであります。しかしおそらく鮭鱒は間違いなく入つておると私は思うのでありますが、あるいはにしん、いわし、まぐろくらいまで含むのかどうか。それらの出方によりまして、これはまた議論になると思うのであります。われわれとしましては、特に南方方面のまぐろにつきましては、資源的にもそう枯渇しておるというふうには、簡単に言えるものではないと思うのであります。従つてわれわれとしましては、公海自由の原則でやるべきが至当じやないかと思つておりますけれども、向うの出方によりまして、その点は明瞭になつて来ると思うのであります。
  39. 木村榮

    ○木村(榮)委員 あなたと討論しても一向何にもならないからもうやめますが、世界では、常識的に考えても、まつたくちつぽけな国でも、ちやんとまぐろ協定なんかを結んで保護されておる。世界で優秀な漁業をやつておる日本がそれからさえもオミットされて、一方的なものをはいはいと言つて聞くならば、これはまつたく協定でもなければ、やれ講和が成つたと言つたつて、私どもはまつたく不可解だ。結果的には、こうなつてみますと、今度は東支那海北洋方面におけるマツカーサー・ラインの問題、そこで拿捕の問題だとか、やれ何だとかいうことがまた盛んに起つて来て、非常に日本にとつてよくないと思うのですが、そういう点を解決するためにも、今の公海漁業の問題なんかもまず先鞭をつけてやつてもらう。またわれわれとしても、いろいろ仕事をやる上にいいわけだと思うのです。ところがそういう点を不明確なままで置いておきますと、全般的な、日本の今までの相当大きな漁場であつた東支那海北洋における問題の解決にも影響して来ると思うのです。そういう点を御考慮になつて、何か今のところ、水産庁の方で計画を立てておりますか。
  40. 山本豐

    山本(豐)政府委員 今のお話のような点がありますから、水産庁としましては、それらに悪影響を来さないように、今回の協定の方式等について極力考えなければならぬというふうに思つておるわけであります。そういう意味でいろいろ今後努力いたしたいと考えておるわけであります。
  41. 永田節

    永田委員 議事進行について。この漁業協定に関する審議は、それぞれ政府の責任の各位が、あらためて出席なさつた機会に御継続あらんことを切望する次第であります。従いまして一応この程度で打切りまして、次に移つたらいかがでしようか。
  42. 冨永格五郎

    冨永委員長 今永田委員から動議がありまして、皆さんにお諮り申し上げます。きようも公報をもつて漁業協定に関する点のみ取上げて委員会を開いた次第でございますが、遺憾ながら冒頭において事情を申し上げて御了解を得ましたような事情でございまして、皆さんからせつかく御熱心な御質問がございましても、これに答弁することは容易でないという事情でございますので、協定に関する質問はこの程度で打切りたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  43. 冨永格五郎

    冨永委員長 それではそのようにいたします。  なお、今のところ外務委員会出席しておる農林大臣は出られる予定がございますから、もし出られましたら、農林大臣答弁し得る範囲質疑をすることになるかもしれませんので、一応その点は御了解を願つておきます。     —————————————
  44. 永田節

    永田委員 私はこの機会水産庁に伺いたいのであります。この補正予算におきまして、真珠養殖事業に対して一億の予算が決定を見たのでございますが、この審議にあたりまして、私は諸般の水産行政の面から行きまして、緩急しかるべき処置を講ずる意味から、今日の機会において、真珠養殖事業に一億数千万の巨額の予算を編成するということは妥当を欠くという意味の強い反対を申し述べたのであります。この私の反対意見には委員会も同調した空気であつたのでありますが、その委員会の審議もやつたのやらやらないのやらわからないうちに、いつの間にか水産庁の方では、委員長が承諾したから編成いたしましたというお話でございましたが、委員長はどういう資格で水産庁にどの程度委員会の意思として承諾を与えたのか、その間のいきさつをひとつ承りたいのであります。  次にこの真珠養殖事業に対する一億数千万の予算は、すでに私がしばしば委員会で述べましたごとく、業者から約一億の寄付を政府が仰いで、それがために業者に対して一億数千万の国庫補助、国営的なものを企画するものであるというふうな内容承知しておりますが、いまだにその内容もわれわれはつまびらかにしておりません。なおまた、かりにこれを政府の方が強引に予算をおとりになつたとしても、委員会がこれを認めたわけでないと私は断言いたします。さらにもう一つ奇怪なことは、予算はとつたが、さてこれをどういうふうに水産庁はお使いになるおつもりでありましようか、ふしぎでならないのであります。少くともこれには、それにふさわしい法律が伴うものと了承いたしておりまするが、法律はいまだに出ない。成立しない。それに先だつて予算が成立した。まことに今日の日本の政治、財政の面から行きまして奇怪な現象である、かように考えるのでありまするが、法律が成立しなくても、水産庁はそのインチキ予算、ごまかし予算をお使いになるという勇気があるのでありますか。またそれがはたして今日の日本の行政の面から行きまして、天下に恥じざる正しい行為であるとおぼしめしに相なつておるのでありますか、責任のある御答弁を承りたいと思います。
  45. 冨永格五郎

    冨永委員長 私に関する点についてのみ、お答えを申し上げます。委員長はどういう資格をもつて水産庁に予算編成の承認を与えたか、こういうことだと思いますが、この点は私、別段承認を与えたり、また編成をしてくれと要求した事実はございません。たといそれがあつたとしても、委員長委員会を代表して言い得る段階にまだ至つておりませんから、この点はあなたの御説の通りであります。ただあなたと見解を異にいたします点は、私個人としては、小委員会に付託をして、小委員会ではぜひこれを成立せしめたいという意向のもとに、関係官庁並びに司令部の方面にもそれぞれ了解を求める努力をいたした事実はございます。これはお互い委員としての見解に基いて動作いたしたものと御了解願いたいのであります。山本(豊)政府委員 この予算編成についての委員長との連絡の点は、今冨永委員長からお話がありましたが、予算が計上になりまして法律が出ないというお話でありますが、実はこの点はここにお見えになります石原委員長等を通じまして、議員提出で法案を今司令部と折衝中であります。もちろん法律が通らない場合でも予算は使うという意思は持つていないつもりであります。法律を通した上で使いたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  46. 永田節

    永田委員 委員長に私はお伺いいたしますが、ただいまの委員長の御説明で、小委員会の決定を見たのでそれぞれその筋の了解を得た、かような御確信のほどを承つたのでありますが、私はしろうとでさつぱりわかりませんが、委員会の構成というものはどういうふうになつておるのでございますか、少くとも小委員会で御決定になつたものは、あらためて本委員会の承認を必要とするというふうに承つておるのでありますが、それぞれ事務上の法規があるならばここに御提示を願いたい。
  47. 冨永格五郎

    冨永委員長 お答え申し上げます。永田委員の御見解通り委員会の決定がなければ委員会において決定する趣旨の主張を対外的にすることのでき得ないことは御説の通りであります。但しさつき私の申しましたのは、関係官庁並びに司令部方面にその事情説明に出て了解を求めるために努力した、これは要するにそういう了解を得ることによつて委員会に正式に諮つて御決議をいただく段階の動作でありまして、これはあえて真珠事業に限らず、すべての法案をここで御決定願う場合には、それぞれ必要な努力をいたすわけであります。
  48. 永田節

    永田委員 ただいまの委員長お話を承りますと、正に委員会の運営は不肖永田節の申す通りであるということをお認めになつておる。しからば冨永委員長は、一個の個人冨永格五郎としてその権力を利用し、でたらめなできもしないことをあたかもできるかのごとくにそれぞれに報告をして、業者に対しては冨永格五郎個人がすこぶる忠実に、しかも最大の御好意を寄せておられるように受取れるのでありますが、今日の日本の全般的な財政から行きまして、お互いの血税によるところの予算というものは、一銭といえどもおろそかに使うべきではない、これはもうほとんど国民常識なんです。たとえば年々災害をこうむりまして、いたずらなる台風をうらみつつ復興に邁進しておる災害罹災民各位の惨状に一たび思いをめぐらすときに、これらの罹災者に対してその被害の半分も国家がめんどうを見ることができないというような窮迫した財政下におきまして、一方真珠業者というものは、これは全部が全部とは申しませんが、大半は今日世にうたわれておるところの大企業による業者です。この最もわれわれのにくむべき悪質などろぼうにひとしいような業者に対して、特にあなたがかくのごとく御好意をお寄せになつたという理由はどういうことでございますか、もちろん私的の関係かもしれませんが、この機会に承りたいのであります。
  49. 冨永格五郎

    冨永委員長 お答え申し上げます。どろぼうのような業者に対して何のために好意を寄せるのかということですが、そういうような事実は絶対にございません。おそらく業者に面会した回数は、永田委員が面会した回数と同じ程度だと思います。ただこの間アメリカへ参りましてもそういう点に触れた話もありましたが、やはり外貨獲得の一翼として、従来のままにしておくことは真珠事業のために好ましくない、こういう見解から、委員会で小委員会に付託し、小委員会ではそれぞれその意見従つて事業法をつくり各方面の了解を求めた、こういう段階でございます。委員会でも決定しておりませんし、必ずしも各方面もまだ了解の限界に達しておりません。帰つて来てからもいろいろ事情を聞きましたが、決して了解に達したという事情に相なつておらないということも承つております。
  50. 永田節

    永田委員 私は委員長の責任を追究する意味で今日発言したのではない。ところがあなたのお話を承りますと、その中に委員会の決定は見ておらないのだが、かく相なつたのだということが明瞭になつているのであります。私の申し上げることはそこなんです。かように乏しい予算のうちにおいて、何ゆえに委員会の審査も終らないものを官僚と結託相なりまして、かように厖大な予算をお組みになつたかということを言つている。もちろんそれはそれでよろしい、あなたの御答弁を求めません。  引続いて私は水産庁に伺いたいのでありますが、水産庁の最近の行政は、正直に申し上げましてまつたく乱脈である。おのおのその係々が思いついたままをやつていて、さつぱり統制がとれていないように思われるのであります。さきに私は本委員会において旭冷蔵の幽霊会社に対する不正融資、この問題のごときも単に家坂のごとき者が辞職してそれで済むと思つているのですか。家坂という者は天下国家の大きな見地から言つたら小使に足らない人間だ。これだけの人間が一人辞職したからといつて政府の責任が解消したのではないかと私は思う。事実この会社の創立は、閣議決定の前に初めて総会が開かれて、それまではまつたく姿もなかつたことは水産庁の言明によつて、私の質問によつて、速記録をあらためて検討したならば明瞭なんだ。しかるにその後も無理をして内閣から書類を出させて再確認して、いよいよ八千八百万という金が八月十日に出ている。かようなまつたくの根拠のない架空な会社に——これは共産党諸君がやらなければならないのだが、野党諸君の熱心が足らない。私はその当時吉田内閣を罵倒した。五井産業といい、小滝炭鉱の不正融資といい、今また旭冷蔵の不正融資といい、吉田内閣の黒星だ。私はかような内閣を信任しない、国民の名において信任しない。私も自由党だが、自由党を愛するがゆえにかような側近政治を好まない。その意味において私は申し上げているのでありまして、今またこの真珠の問題にしても、まつたく係々が思いついたままに、ほとんど株の投機事業みたいなことでやつておられる。一体かようなことであなた方が将来この多難な日本の水産行政のために責任を負つてやられるのかどうか、私は今日水産庁は権威を失つて来たと思う。水産庁が、水産行政の各方面にわたつて行き届いた御親切な御処置をされるというならば、私は何ら攻撃しない。残与の問題に至つては過去十数年間の問題で未解決のままであり、また緊急処置を要する問題も延び延びになつている。そのさ中において、ひとり真珠業者にのみにかくのごとく誠忠を誓うということは、何かそこにやましい理由があるのではないかと私は疑わざるを得ない。一体水産庁日本人としての良心に基いてこの、処置がいいのか悪いのか御答弁を承りたい。
  51. 松田鐵藏

    松田委員 関連して……。永田委員の今話されておる点に一つ落ちておる点があるのであります。石原委員の、漁民を育成するために、議員提出としてあの法案をつくろうという趣旨に対しては、永田委員もまた各委員も反対はないのであります。しかしあの法案の陰に隠れておる者が真珠業者であります。その業者の行わんとしておる意図に対して永田委員がついておるのであります。これが国会を軽視しておる点であり、石原委員の非常な苦心をしておる点であります。われわれはあの法案の趣旨に対しては、何ら反対する理由はないと考えておるものであります。だがその背後に非常にまずい点がある。十何人の委員が築地マンシヨンに招待され、しかもそのとき侮辱された。どうして零細な漁民がああいう多額な金をかけて、われわれを招待しなければならないのか。零細漁民は、決してそんな考え方を持つていない。漁民はまじめに、ただ陳情すればそれでいいのであつて、われわれもあの法案の趣旨に対しては満腔の敬意を表しておる。何とかして早く通してやりたいという考え方を今でも持つておるのであります。だがわれわれをあんな侮辱した会に呼んで、多額の金をかけてやつて行く、その内容の醜悪さに永田委員も反対されていることと考えるのであります。悪い者は悪い者のように切り、よく漁民は助けるような方向に持つて行くべきことが、当委員会の責任でありまた水産庁の責任であり、農林大臣の責任であると、私は考えるのであります。これは永田委員意見に対して私は補足して申し上げるのであります。
  52. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは皆さんにお諮りを申し上げます。先ほど漁業協定に関する質疑を一応打切つたのでありますが、今農林大臣がお見えになりましたから、今日はやはり打切つたままで、次の議題に入ることにいたしますが、それとも農林大臣の御出席機会を利用して、農林大臣答弁できる範囲内において質疑をいたすことにいたしましようか、お諮り申し上げます。(「漁業協定は一応打切つておけよ」と呼ぶ者あり)それでは漁業協定質疑は、さようにいたします。農林大臣に対する漁業協定以外の御質疑がございましたらお許しをいたします。
  53. 松田鐵藏

    松田委員 農林大臣が当委員会にはなかなか出席できない理由はよくわかつております。今まで委員会として農林大臣意見を聞くことができ得なかつたのでありますが、もはや問題は解決した点でありますけれども水産庁農林大臣の御意見に食い違いがあるので、この点を農林大臣によく聞いておきたいと思うのであります。それは北海道のさんまの問題であります。先日の委員会でこの問題が論議されたのでありまするが、かつて農林大臣が北海道へ調査におまわりになつたとき、私もお供をしたのでありますが、弟子屈において坂本道議が農林大臣の歓迎及び陳情のために面会をしたのであります。そのとき、農林大臣は、今日本の国が三国漁業協定をしなければならぬ重大な時期にあたつて、法の定めておる漁期をも踏みにじつて自由出漁したなどというような根室の漁民は、まことに遺憾千万である、かような漁民は民主化された漁民としてわれわれは待遇するわけに行かぬ、こう言うて非常に叱責されたのであります。そこで坂本道議が、実はそれは一部の業者のやつたことであつて、善良な業者はさような考え方は持つていないのである。農林大臣の当地区への視察に対して、われわれはまじめな業者で、何の曇りもないからここにお迎えをし、陳情を申し上げようとして出て来ておるのである、かように申されたのであります。その当時農林大臣は、そうであつたか、君らがまじめな業者としてならば、自分はあらゆる点に対して援助を惜しむものではない、また君らの陳情も、地方の実情もよく承るであろう、こう言われて非常に喜ばれた。またそのときいろいろな陳情があつたのでありますが、それに対して一々明快な回答をされて、地方の問題の解決をはかる努力をされたので、業者も非常に喜んだのであります。また坂本道議は自由党出身の道会議員でありますが、私は根室の業者の不正な者に対しては、農林大臣意向もわかつたから、あらゆる面において民主化するために、ボス的な存在を排除するために、ここに闘うであろうということを申されたのであります。農林大臣は、道会議員であつたならば指導者の立場におるのであるから、そうした者に対しては徹底的に調査を進め、また悪いところはどんどん摘発して、まじめになるように指導してくれ、どうかまじめな漁民を育てて行つてくれということをそこで申されたのでありまして、坂本道議はわれわれ委員会の努力、またあの当時の大臣の言明を非常に喜んで、再三再四にわたつて当時の違反業者に対して厳重な警告をし、また将来を改める方針を確立するために努力されたのでありまするが、この問題に対して根室の業者は一つとして言うことを聞かなかつた。遂に坂本道議は自分のとるべき最後の手段として、彼らを告発したということになつたのであります。水産庁はあの問題が起きたときに、北海道へ実地調査に行つた。ところが調査に行つたときにおいて、首謀者の四名ほど出漁の鑑札を取上げればいいということで、処罰を完了することにして、川端、中村その他二名のさんま漁業権を今年だけ取上げる処分をして来た、こういうことに今日なつておるのであります。農林大臣は、日本の漁民を民主化して、善良な法治国の国民として善導して行こうという意思を強く表明された。それに対して水産庁当局は、ただそのとき一時押えればいいというような形で、四名だけ鑑札を取上げてしまつた。ところがもはや転換しており、四そうともに底びきに出漁して、二そうはマツカーサー・ラインを越えたか越えないかはわからぬけれどもソ連に拿捕されてしまつた。それが現実の姿であります。われわれはマツカーサー・ラインを越えたとは言えないし、越えたか越えないかという程度より日本国民とし、いな水産常任委員としてこの席上では言えないのであります。もしそれが真に越えて拿捕されたものであつたと仮定した場合において、彼らは先導してさんまの自由出漁を行つた。水産庁の微温的な処罰によつて、底びき漁船となつて底びきに出漁して、また違反をやつて押えられたということであつたならば、どういう問題が起きるか。私は水産庁は、あまりにも微温的な解決であつたがために、ごまかされて来たと考えるのであります。ところが水産庁は農林省であり、農林大臣の配下にあつて、そこに処罰の方法はおのずから一貫していなければならない。農林大臣は漁民の民主化のために、りつぱな漁民をつくるために、場合によつてはある程度までこれを処罰してもやむを得ない、君らの考え方によつて断固として是正するようにしろと、私の面前で言われたのであります。水産庁では、微温的に四そうをただちに鑑札を取上げればよいということに庁議がきまつている。ここに農林大臣の考え方と水産庁の考え方とが異つておるがために、再びマッカーサー・ラインを越えるような行為をしたのかしないのかはわからないけれども、現実の問題として二そうがソ連に拿捕されておるという現実の姿であります。この点農林大臣の意思が水産庁へ徹底しているのかいないのかわからないけれども、将来の漁業取締りに対して非常な悪影響が残ることとわれわれは心配するものであります。ここにおいて日本の漁民を指導する立場にいる農林大臣の考え方を、われわれ委員会に対して述べていただきたい、かように考えるものであります。
  54. 根本龍太郎

    根本国務大臣 法律を遵守し、法の範囲内においてその営業をやることは当然のことであります。特に漁業のごとき国際的な問題を起すような部面あるいはまた同じ漁業者でありながら、実は漁業権の設定あるいはまた操業区域においていろいろ紛争を起しやすいものについては、その点が必要であろうと私は感じております。従いまして法を無視し、あるいは暴力をもつて他の漁業者を脅かし、もしくは資源を濫獲するということは厳に戒めなければならぬと考えておる次第でございます。その方針をもつて私は取締りをいたさなければならぬと考えております。ただいま申されましたところの具体的な事実については、さらに実情調査の上適当な処置を命じたいと考えております。
  55. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまの農林大臣の御意思はわれわれも体しておつた。ただいま再確認していただいたので、われわれとしても非常に意を強うするものであります。ところが水産庁の今までの微温的なやり方で悔いを百年に残しておるのであります。すなわち先ほど申し上げるように、ああいう処置をしたがために、マツカーサー・ラインを突破したかしないかわからぬけれども、拿捕されておるというような現実の姿になつております。これに対して農林大臣の、法律を遵守して、日本の漁民の民主化をはかり、処罰を厳重にして、違反の撲滅をはかるという意思が、水産庁にあるのかないのか。山本次長からお伺いしたいのであります。
  56. 山本豐

    山本(豐)政府委員 御説の通り、われわれもぜひやつてもらいたい、またそのつもりでいるわけであります。ただその後にいろいろ起りまする具体的の問題の処置につきましては、その場合場合によつて御期待に沿わない点もあると思うのでありまするが、全体的運ぴ方といたしましては、大臣の申されました通り、やつておるつもりであります。
  57. 石原圓吉

    石原(圓)委員 水産庁長官漁業協定の方へ没頭しておるのであります。それで国会では補正予算は衆議院を通過しましたが、九州、中国四国等の災害のために水産関係の災害は莫大で、この問題のみに水産庁は没頭してもなお手の足らぬ時期、第二補正予算までもつくつて応急対策をやらなければならぬという時期に、長官は全然国会に顔を出さない。そのうちに二十七年度の通常予算の問題も差迫つておるようであります。一面また漁業協定の方では、日本側として専門的な発言をするのは長官一人だそうであります。アメリカカナダも十数人の人々が、さきにマグナソン氏等が来て日本で十分に研究をして行きましたが、アメリカへ帰つてアメリカカナダはまたそれぞれ十分検討を加えて、そうして両国が十分に妥協して日本へやつて来たわけであります。従つて資料も整え、十分の用意を遂げてやつて来ている。それにかかわらず日本の方は、向うさんの説明を聞いてさらにその対策を立てて行かねばならぬ、一昨日かヘリングトン氏の説明に対して、その質問の要点を検討せなければならぬことになつているという山本次長説明から申しましても、日本には十分の用意がないということがわれわれは看取できるのであります。一面には国会側が水産庁としての予算その他の問題にも手不足であり、また漁業協定の方も用意が不十分であつてそうして不徹底な情勢にある。このことは二重にも三重にも水産関係の悩みといわなければならぬのであります。従つて形の上ではアメリカカナダ漁業協定のために日本が招請したことにはなつているけれども、それは表面上であつて内容においでは日本は用意が十分整つていない。このときに、向うさんたちはおよそ三十人ばかりの人が日夜日本に滞在してそれのみに没頭する。日本の方は片手間にやる、農林大臣も名誉議長になつておられますけれども、およそ開会の日以外には御出席になつておられないかと思うのでありますが、これは最近のいろいろな重要な問題で、そういう支障のあつたことはやむを得ぬと思いますけれども、もう少し内容を充実し、またこの協定も先方の要求のままに進めるということは避けて、しばらくの間休会をせしめて、そうしてこちらは十分の用意を遂げるということが、私は最も大事の時期であると思うのであります。それであるから、協定の問題がいかに先方は泊りがけで来ておつても、こちらは十分の用意がつくまでは中間の休会をせしめて、そうして万遺憾のないように進めて行くことが最も必要である。その点を十分に要望をすると同時に、そのお考えを承つておきたいのであります。なおまた衆議院におきましては、漁業協定に関する小委員会ができましたので、その小委員会等へはぜひとも水産庁長官、ときによつては大臣も御出席を願つて、十分慎重な検討を遂げたいと思いますので、それらの点をあわせて要望し、またそれに対するお考えを承つておきたいと思います。
  58. 根本龍太郎

    根本国務大臣 漁業協定の問題につきましては、いろいろ御心配の御趣旨もあるようでありますが、国会と相重なりましたために多忙をきわめていることは事実でありますけれども、そのためににわかに水産庁長官を二人置くこともできませんし、それは長官次長がおのおのその分を尽して万全を期したいと存じます。  なお漁業協定に関しまして十分の検討ができるまで休会してはどうかということでありますが、これは漁業協定自身がはつきりとその目標を立てているようでありますから、おのずからそういうふうな勧告をすることは適当でないと存じます。なお本日と明日は交渉委員の方において委員会を何か休憩しているようでありまして、その間いろいろ検討していると存じます。相当期間がありますので、ある場合においては休憩し、ある場合においては検討いたしているようなことと存じます。万全の措置を講ずるよう主管大臣としても要請いたしております。なお小委員会等の関係でありますが、これも御趣旨に沿いまして、できるだけ密接な連絡のもとに万遺憾なきを期したいと思います。
  59. 川村善八郎

    川村委員 根本農林大臣はたびたび出られませんけれども水産庁なり根本農林大臣に御相談申し上げたいと存じます。  それは農林大臣としても関係があり、個人根本龍太郎としても関係のある問題、例の秋田県と青森県の境にある久六島、潮が立てば見えなくなるし、潮が引くと島になる。ここで青森県と秋田県で、おれの領分だ、こちらの領分だといつて専用漁業権、すなわち今度の共同漁業権をめぐつて紛争をかもしております。あの問題は非常に大臣としても立場が苦しいだろうと思うのでありますから、水産庁並びに本委員会から調査を命じて、早く解決した方が両県のためにも、大臣としての立場からいつても、個人根本龍太郎としての立場からいつても非常にいいと思いますので、この際今度の臨時国会が終つてからでも、急速に調査してあの問題を解決づけた方が非常にいいのではなかろうかと思いますので御相談申し上げます。
  60. 冨永格五郎

    冨永委員長 お諮り申し上げます。大体今日議題になりました点はこの程度でもつて打切りたいと思います。     —————————————
  61. 冨永格五郎

    冨永委員長 漁港法のオーケーが近く来ることになつておりますので、これの一部を改正する法律案の案文について、水産庁当局から御説明を願いたいと思います。それでは説明を願うことにいたします。
  62. 林真治

    ○林説明員 それでは私から便宜内容につきましての御説明を逐条的に簡単に申し上げたいと思います。  最初の問題はこれは漁港法に各施設が明記してございますが、その後の検討によりましてここにありました防潮堤、堤防、突堤、胸壁、こういうものを加える必要が生じたわけであります。これは港湾法でもこういう改正をいたしました。その後話合いました結果、各種施設の範囲をこういうふうにした方がお互いにいいだろうということで、同一歩調をとりまして追加をいたしたい、こういうことでございます。  それからその次の二十条第二項と申しますのは補助率の関係、負担率の関係でありますが、これは第四種漁港につきまして、現在の法律では、国の負担します分が分百の七十五、または六十ということになつておるわけであります。その六十にいたしますか七十五にいたしますかは、いろいろな観点から判定をいたしてきめておるわけでありますが、これは今度改正をいたしたいと思いますが、施設によりまして、たとえば防波堤等の外郭施設、あるいは航路を新設するというような水域施設、これは公共性の非常に強いものでありますので、こういうものについては百分の七十五、それから岸壁等のいわゆる繋留施設については百分の六十というふうに、施設によつて区別することに改めました。各四種に指定されました港のうちで、港ごとに七十五あるいは六十という率をきめて参るということを廃止して参りたい、こういうふうに考えるのであります。  それからその次の問題は、たとえば、漁港と河川の区域というものが重なる場合にも出て来る問題でありますが、一つの施設が両方の効用を兼ねる場合が相当あるわけであります。これらの効用を兼ねるものにつきましての修築をいたします場合の費用の負担、これを両方の管理者が協議をいたしましてきめる。これはあまり強い規定ではありませんが、そういう規定を設けたい、こういうわけであります。  それからその次の修築事業費の精算、あるいはその次の剰余金の処分、負担金または補助金の還付、こういう問題は、これは純事務的な問題でございますが、ただいままでの法律には、実はこれが載つておりませんで、事務を実施いたしまするについて、法律改正をいたしました方が、非常に円滑に参りますので、こういう改正をして参りたい、こういうふうに考えるわけであります。  それから次の第二十五条第四項と申しますのは、これは漁港管理者の指定を農林大臣がするわけであります。これにつきまして、現在は全部の場合に公聴会を開催するような規定になつておりますが、この管理者の指定につきましては、都道府県知事等の意見を徴した上でやるわけでありますから、管理者の指定について全部公聴会を開催する必要もないように考えるのであります。これを変更いたしますとか、あるいは取消しをしますとか、こういう場合にはもちろん公聴会を開催するわけでありますが、公聴会の経費の点等もありまして、最初の管理者を指定いたしまする場合の公聴会は廃止いたしたい、こういうことでございます。  それからその次は二十六条に漁港管理者の職責が述べられておるのであります。これは大体維持管理が中心となつておりますが、調査あるいは統計資料の作成というような問題は、実は広義の意味では維持管理のうちに入るわけども考えられますが、明確を欠く点がありますので、統計資料の作成、こういう問題を取り入れて一つの職責といたしたい、これによりまして統計法上の問題も解決せられ、ひいては平衡交付金の算定問題の解決をはかりたい、かように考えるのであります。  それからその次の二十八条四項は、これは管理会の委員の構成のうち、漁業代表の選任の方法を改めたい、こういうことであります。現在のところは漁業者から互選するような選挙の形をとつておりますが、それにつきましては、いわゆる経費の点等もありますし、また管理会の性格といたしまして、要するに漁業会の意思が通るということが目的でありますので、必ずしも選挙によらなければならないということも考えられませんので、ここに載せましたように、漁港の所在地の市町村長が、関係水産業協同組合の意見を徴して推薦したものについて、漁港管理者が任命する、こういう制度に改める。構成の人数、その他の構成につきましては、全然変更は加えてはおりません。  それからその次の条文等は、それに関連しました点で、前はリコールの問題等もありましたが、これを削りました。選挙をやめますについての附則の改正でございます。  それから最後に載せました問題は、北海道の漁港修築事業に対しまして、国以外のものが施行いたします場合の、いわゆる率の引上げの問題であります。これは前国会中にも一応問題といたして取上げられたのであります。御承知のように、港湾法におきまして改正が行われました。その他の道路河川等については従前から国費をもつてつておられるわけでありますが、私どもの方の所管しております漁港の問題についてのみ、従前の手続通りでやつて来たわけであります。ここで改正いたしたいと考えますのは、やはり公共性の点から考えまして、外郭施設、あるいは水域施設、これについては全額、それから繋留施設については百分の七十五の補助率にいたしたい。但し第四種におきましては、これに繋留施設が現在八割という率がございますので、その率はそのままといたしまして、ここに括弧をして書いてございますが、そういう改正をいたしたいと思うのでございます。それに伴いましていろいろな条文の改正について、次に読みかえの規定が載つているわけであります。  大体これが改正の内客でございますが、先ほど申し上げました内地における第四種の補助率の一部変更及び北海道の補助あるいは負担率の変更、こういうものは昭和二十七年の四月一日から施行することといたしまして、その他の問題につきましては、特に管理者の問題、あるいは管理会の問題等は急ぎますので、法律公布の日からといたしたいと考えております。  便宜私からかわりまして、御説明申し上げました。
  63. 冨永格五郎

    冨永委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来る十三日火曜日の午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十七分散会