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1951-11-08 第12回国会 衆議院 水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月八日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 二階堂 進君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君 理事 田中織之進君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    永田  節君       小松 勇次君    水野彦治郎君       佐竹 新市君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁財         務部長)    川田 三郎君         大蔵事務官         (主計局庁)  河野 一之君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         大蔵事務官         (主計官)   佐竹  浩君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         経理課長)   増田 正一君         農 林 技 官         (水産庁生産部         水産課長)   曽根  徹君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十一月八日  理事上林與市郎君の補欠として田中織之進君が  理事に当選した。     ————————————— 十一月七日  宇和海海区のいわし漁網災害応急対策確立に関  する請願藥師神岩太郎君外二名紹介)(第七  一四号)  奥戸漁港に船だまり工事施行請願山崎岩男  君紹介)(第七一五号)  三石漁港拡張工事継続請願篠田弘作君紹  介)(第七四四号)  鳧舞部落に船入ま築設の請願篠田弘作君紹  介)(第七四五号)  白糠漁港修築工事施行請願山崎岩男君紹  介)(第七四六号)  盗難漁船第二伏見丸返還に関する請願高木吉  之助君紹介)(第七四七号)  厚岸漁港整備北海道総合開発第一次計画に編  入の請願松田鐵藏紹介)(第八〇〇号)  厚岸漁港を第三種に指定の請願松田鐵藏君紹  介)(第八〇一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員会設置に関する件  漁業損害補償に関する件  水産金融に関する件     —————————————
  2. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これより水産委員会を開きます。  冨永委員長が帰国されたので、委員長と交代することを皆さんにお諮りいたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     〔松田委員長代理退席委員長着席
  3. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま松田理事によつて委員会を開かれ、私交代に相なりましたが、議事を進めます前にごあいさつを申し上げたいと思います  私及び鈴木委員の両名は、米国政府の招聘によりましてガリオア資金による米国水産業視察のため、去る八月十三日羽田空港を出立いたしましたが、以来約三箇月間、二十一州、二十二箇所を歴訪して、米国官民と親しく面接して、使命の目的を果すことができ得ましたので、十一月の八日陸軍航空機にて羽田に無事到着、帰国いたした次第であります。  留守中は何かと委員各位には御迷惑をおかけしたことと存じますが、おわびを申し上げ、かつ各位の御好意に対しまして厚くお礼を申し上げます。なお松田理事におかれましては、特に委員長代理として御尽力を煩わしまして、衷心より厚くお礼を申し上げます。  さらに私ども両名の視察報告等につきましては、適当の機会を得まして申し上げたいと思つておりますので、お含みを願いたいと存じます。  理事補欠選任の件についてお諮りいたします。去る十月二十九日理事上林與市郎君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になつております。この際その補欠選任を行いたいと思いますが、選挙の手続を省略し、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、田中織之進君を理事に指名いたします。  ただいま政府から大蔵省主計局長河野一之君、同じく主計官谷川宏君、同じく主計官佐竹浩君、特別調達庁財務部長川田三郎君が出席されております。  松田委員より発言を求められておりますのでこれを許します
  5. 松田鐵藏

    松田委員 緊急動議があるのであります。ただいまアメリカカナダから水産協定代表が来ておられますが、これは日本水産に対して重要な問題でありまして、国会側意見が、委員長出席しておるだけであつて、この内容やその他の点について十分反映しない感があるのであります。この点に対して国会側としても小委員会もつつて十分国会意思を反映するようにしたらどうかと考えておるのでありまして、この点委員長からお諮りをお願いいたしたいと思います
  6. 冨永格五郎

    冨永委員長 お諮り申し上げます皆さん承知通り、去る五日から日・米・加三国漁業代表が東京において漁業会談をいたしておるのでございますが、委員長顧問として出席をし、委員長事故があるときは、委員長指名委員に出てもらう、私帰つてから石原委員がそうなつていると承りましたが、しかしそれにしてもやはり二名と相なります。今松田委員から小委員会を当委員会において設置して、それぞれ問題の内容等について検討すべきであると御発言になりましたが、私としてもきわめて時宜に適したごもつともな御意見と存じます。ただ皆さんにお諮りいたします前に御参考に申し上げますが、私はまだ一回しか出ておりませんから、補足して石原委員からもお述べ願えればけつこうですが、毎日新聞に発表される内容は、一々これこれと限定されておりますから、それ以外の問題を当委員会にその通り報告することがあるいは困難かもしれません。しかし必ずしも向うでやつていることを写して来て、ここで検討しなければならないという限られた小委員会でもないと思いますから、そういう幅のある意味で、今松田委員の御発言になりました小委員会を設置することについてお諮り申し上げたいと思います
  7. 石原圓吉

    石原(圓)委員 松田委員緊急動議はまことに時宜に適したことであると思いますので、私はこれに賛成するものであります。いわゆる今度の漁業協定に関する委員会顧問衆参両院より一人ずつ選ばれた。このことは、要するに委員長はこの常任委員会の総意を代表するという意味であるのか、あるいは委員長個人立場によるものかということに疑義があるのであります。また参議院の方もそうだと私は察するのであります。今回のこの漁業協定は非常に重大なる問題と考えておりますので、すでに御承知のごとく衆参水産議員連盟にあつては、吉田全権アメリカへ出発する前に、漁業に対するあり方は書面をもつて提出してあるわけであります。その後また私は条約特別委員会でも意思を表明してあるわけでありますし、また今日私は委員長代理として二、三回出席をいたしましたが、非常に重大な責任の残ることを痛感するものであります従つてただいま松田委員の御説はごもつともであります。また顧問はその委員会へ臨んで、提案された問題に対して、重要な事柄を衆議院の委員会において討議をして、その結果を反映せしめるという機関でなければならぬと考える次第であります。そういう意味合いで私は賛成をいたすものであります
  8. 川村善八郎

    川村委員 ただいま松田委員からの御提案に対しては全幅の敬意を払うと同時に、賛成をするものであります。一言これに付帯して申し上げたいことは、要は委員長のオブザーヴアーとしての立場出席することは、おそらく国会代表してと私は考えております。そこで今日の委員なりあるいは顧問なりの立場を検討してみますると、海洋漁業の業者が多いようであります。もちろん日本海洋漁業に進展しなければならぬことは当然でありますけれども、いざこの協定が不利な条件と相なりますれば、海洋漁業者はおのずから沿岸漁業を荒しまわることは確実であります。かつて委員会におきまして、松田委員より大洋漁業云々といつた論戦も、実は大洋漁業等海洋に十分進出することができないために、沿岸漁業を荒しまわる、そうして衝突を生じているということははつきりしているのであります委員長におかれましては、もちろん国民の立場において、沿岸漁業のいろいろな問題を具申するでありましようけれども、今度の顧問には少くも沿岸漁業者代表も入れるべきである、かように思うのであります従つて委員長におかれましては、農林大臣その他の重要なポストを握つており、今度の条約調印に臨んでいる人の意見を十分求めて、また沿岸漁業代表顧問として選ぶべきであるということも十分進言して、顧問に入れることを要望して、松田君の意見賛成するものであります
  9. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま松田委員石原委員川村委員から、それぞれきわめて適切な御意見の開陳があつたのでありますが、この場合、もし松田委員が、小委員会性格等構想もすでにとりまとめに相なつておればそれを承ることにいたしますし、それとも今皆様が申し述べられました意見を取入れた構想をとりまとめて、次の機会に小委員会性格をはつきりして決定に相なりますか、その点を松田委員にお諮り申し上げます
  10. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま石原委員川村委員から述べられた意見通りでありますしか事態はもはや一刻も争うような事態になつておりますので、当委員会が済んでから懇談をして、その後にまた委員会を開いてきめていただきたい、かように考えます
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは小委員会を設置するということを今皆さんにお諮りしておきめ願つて、その性格委員氏名等懇談の上決定する、かようにとりはからいたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 冨永格五郎

    冨永委員長 ではさよう決定いたします。     —————————————
  13. 永田節

    永田委員 このたびの漁業協定は、もちろん日本水産のみならず、日本の経済に対してまことに画期的のものであつて、再びここに失敗することになれば、爾後の条約は必ずしも芳ばしくないということが想像されるのであります。承りますれば、委員長はこの会議顧問として御出席に相なるそうでありますが、御出席に相なる以上は、少くともこの水産外交に、冨永個人としても、委員長としても、一つ抱負がなければならないと思うのであります。その抱負をひとつ承りたい。
  14. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま永田委員から顧問抱負ということでございますが、私も六日の夜帰つて、きのう一応その構想を承りに出たので、今永田委員をして満足せしめることの抱負を申し述べることは困難と思いますしかしながら今度取行われる漁業条約の骨子といたしますものは、御承知通り資源保護がきわめて重大な問題であり、また公海操業地域等重点が置かれているものとして、従来吉田ダレス書簡に現われた線に沿うてきめることができ得ればと、かように考えております。ただきのう承つておりました内容を公開することは不可能でありますけれども、大体そういう線で進むもののように観測して参りました。しかしまだその表現、字句の用法等については、われわれとしても納得いたしかねる点があるので、そういう点は十分考慮して行かなければならぬ、かように考えております
  15. 川村善八郎

    川村委員 委員長顧問になられて、十分われわれの意も体し、日本漁民の意も体して、今度の漁業協定に強く当られると思いますが、特に北海道としてのマ・ライン問題——ヘリングトン氏が到着早々新聞意見を発表したところによると、今度の協定マ・ラインに何ら関係ないと言つております。ところがきようの新聞を見ますと、歯舞諸島はまさに日本の領土だと断定して、日本の現在の立場には非常に同情するという結びであります。これは単に北海道の問題ばかりでなく、日本全体の漁業を大きく見ます場合に、今度の公海自由の原則で漁業をやりますにも、漁業者というものは限られます。要するに大会社とかあるいは今日まで海洋漁業に体験のあるもののみがほとんど出漁するようになるのではないかと考えております。ところで歯舞諸島のごとき北方漁業は、沿岸漁業とも非常に大きな関係になります。現にさけ、ます流し網等あるいはかに漁業その他いろいろな北方漁業については、ひとり北海道ばかりでなく、九州からも行けば東北方面からも行き、やはり日本海沿岸の方も全部マ・ラインにごく接近して漁業をやつておる。であるから、われわれといたしますれば、もちろん歯舞諸島返還は強く要望しなければなりませんけれども、ある程度までマ・ラインも相当にこちらまで考えて要望すべきではなかろうか、かように考えます。今度の協定は、おそらくアメリカといたしましては、資源保護ということに重点を置いて、ある程度まで自分の沿岸に接近することをいなむのではなかろうかということも想像できるのであります。もちろんカナダにおきましても同様だと思つております。またソ連はどう出ますかわかりませんけれども、とにかく北方漁業のラインの拡大、それからさらにさけ、ます漁獲制限等の問題は、今度の会議の大きなかぎを握るのではなかろうか、かように考えますので、顧問として御出席になる委員長においては、北方マ・ラインの問題についても一応お触れになつて、そうして強調すべきではなかろうか、かように考えまして、私は顧問立場におきます委員長に進言いたしておきます
  16. 松田鐵藏

    松田委員 せつかく主計局長を初め佐竹主計官も十時にきつぱり出ておられるのでありますが、大体水産庁がこういう重大問題に対して十一時五分に出席しておる。それからまた質問する委員も、ふまじめもはなはだしい。政府大官がこうして忙しい時間に出ておられるのに、だれも来ておらぬというようなことであつては、大蔵省に対しても、また特別調達庁大官に対しても、当委員会はまことに申訳ないのであつて、これはもうこれで打切ることにして、政府大官にお帰りを要請する次第であります
  17. 冨永格五郎

    冨永委員長 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止
  18. 冨永格五郎

    冨永委員長 では速記を始めて……。  それでは漁業損害補償に関する件を議題といたします。質疑を許します小高委員
  19. 小高熹郎

    小高委員 漁業災害は、演習によるもの及びこれに類する諸種の損害のために非常に漁民が嘆いておるのでございまして、この根本的な問題についてはもとより漁民もよく了承しておるところでありまするが、相なるべくは障害を少くして結果を現わしてもらいたいということについては、かねがね漁民大衆が陳情もしくは請願しておるのでありますしかいろいろ軍施策の見地から、これをただちにとりやめることができないということを聞きました際に、ちようど農民演習のために田畑を踏み荒される、あるいは田園を蹂躙されるということに対して適切なる救済措置が講ぜられると同様に、漁民にとつては海はすなわち魚田でございまして、昔から魚田という言葉がある通り、丘の田園と同様な取扱いを受けることが妥当であるという考え方のもとに、この種の損害補償については相当な苦しみを訴えるとともに、また希望しておるのであります。これに対しまして先般来伺いますと、その数字等もまだはつきりしておらないようでありますし、それが私どもの希望するところと相当かけ離れておるようでございますが、補正予算において政府が考えておることと、二十七年度において演習による災害及びそれに類するところの災害補償をどの程度にお考えになつておるか。補正予算に計上されておる数字と、それに引続きまして昭和二十七年度予算をもつてしなければならない部面と、双方の見解をお尋ねいたしたいのであります
  20. 山本豐

    山本(豐)政府委員 演習によります補償の問題は昨年度から手をつけた次第でございます。昨年度におきまして昭和二十一年度から二十四年度に及ぶ期間の被害額算定いたしまして、それから一定の所式によりましていわゆる補償額算定して、関係方面に要求いたしたのであります。その結果は約一億二千万円程度予算がとれたのでありますが、さらに今年度になりまして、二十五年度の災害につきまして各地方から資料をとりますと同時に、これをまた在来の方式によつて算定いたしまして、大体水産庁といたしましては、演習だけの被害に関する予算を大体三億程度要求しているのであります。先般の委員会にもお話が出ましたように、総額におきまして十三億何がしかの一応のわく決定になつたのでありますが、この十三億何がしかわくというものは、ひとり漁業災害のみならず、いろいろな補償を要すべき項目が約四、五項目あるのでありまして、この一つとしてこの漁業補償も入つているわけであります。これに対しまして実はわれわれといたしましては、終連と内訳の問題をいろいろと相談しておるのでありますが、先般の委員会におきまして大蔵省谷川事務官からのお話では、大蔵省としては漁業関係で大体一億四百万円程度が妥当であると思うというようなお話があつたわけであります。われわれといたしましては算定方式その他についていろいろ議論があるわけでありますが、水産庁の考えておる考え方大蔵省考え方と若干食い違いがありまして、まだ結論は出ていないのでありますが、極力われわれの意見をひとつ入れていただいて、とても一億円程度ではむずかしいということをいろいろと申し述べておる次第でございます
  21. 河野一之

    河野(一)政府委員 漁場補償というのは非常にむずかしい問題であります。というのは漁業制限を受けた態様が実はいろいろあるのであります。片貝のごとく九十九里のごとく、演習でそういうふうになつておるというものもありますし、それから大村湾のごとく御承知のような事情になつておるものもございます。それから事実上そこへ立ち入つてはいけないというような口頭の問題として、たとえば唐津のごとき例もあるのであります唐津の例で申しますと、観光ホテルがあつてその前五百メートルは入つてはいけないという事実もございます。そういうようなことでいわゆる補償として終戦処理費から考えられる系統のものもあり、そうでなしに実際上お気の毒だというようなものもあり、いろいろな態様があるのであります。そういう関係で私ども非常に処理に困つておる。どの程度で考えられるかという問題もございます。それからさらに船なんかで漁具をやられたというような例もあります。また船が沈んだという例も実はあるのであります。いろいろありますので、この間のバランスをとることに実は非常に苦労しておるのであります。  それから補償金額の問題でありますが、現在のところは終戦処理費ということになつておりますが、これも補償という観念で行くのか、あるいは違う立場で考えるかという問題もございます。つまりそういうことによつて生業を奪われた失業という考え方で行くという点もあるのであります占領治下における補償の問題は非常に広汎なものでありまして、この辺のバランスを考えませんと、なかなか具体的な妥当性が得られないと思うのでありまして、ただいま私どもが考えておりますのは十九漁場程度でありますが、その後相当追加されたものもあるようであります。また金額算定については、われわれが今度の補正予算に一応見込みましたのは、二十五年度分といたしまして魚価を一応推定いたしましてそれに対してある程度返還があるであろうということを推定し、一応の金額的なものを出しておるわけであります。この点につきましていろいろ何もあろうかと思いますが、私どもの根本的な考え方としては、そういうことでなしに、別に漁民が立上り得るような施策が必要ではなかろうかという気もいたします。ただ漫然と金を渡すということはいかがかと思うのでありまして、むしろその金で転換もしていただきたいというふうに考えてもおるわけであります。  それから二十七年度はどういうふうになるかということでありますが、もちろん二十六年度の分については明年度予算において具体的に問題にもなりますが、これ以降につきましては、あるいは行政とりきめでどういうことになりますか。駐屯軍の方で負担してもらうのか、あるいは日本政府の方で考えることになるのか、この辺のことについてはまだ具体的なとりきめその他進行段階に至つておらないように拝承しておりますので、今後の問題として十分善処いたしたいと考えておる次第であります
  22. 小高熹郎

    小高委員 ただいまの御答弁を承りますと、水産庁当局要求額と、大蔵省当局が査定して補正予算に計上されておる一億四百万円というものの差がはなはだ大きいのでありまして、ほんとうにかせぎ場所を失つた漁民がこれではかわいそうだ。農業方面に対して、水産方面が、常に漁民の犠牲において大衆水産蛋白の給源に満足しているということであるとすれば、漁民があまりにかわいそうじやないか、私どもはこれを涙なしに見ていられないので、かようにお願いしておるのであります。そういうところから、この一億四百万円の数字をもう少し増額はできないか。何とかここに余裕金等があつて含みのあるような予算内における措置があるとするならば、この一億四百万円をいま少し増額できないか。そして一時的にも気分をやわらげたいと思うのでございますが、その点を一点お尋ねしたいのであります
  23. 河野一之

    河野(一)政府委員 前回お答えいたしましたときには、二十一年からの分でありましたので、金額が相当大きくなつておるのであります。今回は二十五年一年分についてだけなので、ある程度金額が減るということは御了承を願わなければならぬかと思います。ただこれは御存じのことでありますが、この補償金額算定方法についてはいろいろ御議論もございます失業保険との権衡というような点もございますし、単に財産権補償という考え方もありますほかに、その他各種の補償との関連において考えねばならぬことでありますので、そのきめ方については非常に苦慮しておるわけであります水産庁の方の御希望もいろいろございますので、具体的な各漁場における額については、十分御相談をして善処いたしたいと考えておる次第でございます
  24. 小高熹郎

    小高委員 ただいま主計局長から、十分勘案して善処したいという言葉がありますので、いずれまた面会の機会をつくつて御相談したいと思つております。なお先ほど主計局長からの答弁の中に、この補償金を出したからといつて漁民はそれで満足しておるのではない、転業する資金をやはり考慮しなければならぬというお言葉がありましたが、それはこの事情を知る者として、私まことに欣快に思つておるのであります。ところで昨年来約三十億程度特別融資というような方法をわれわれは立案せんとして努力しておつたのでございますが、それらのことについて、大蔵省当局からいまだ色よいお答えをもらつていないのでございます。これは言葉だけでなしに、三十億程度特別融資措置を講ずるのが、まことに妥当と思うのでありますが、これに対してどういう考え方をお持ちであるか伺いたい。
  25. 河野一之

    河野(一)政府委員 今までの漁場補償として出した金額について、単に出して生活をしていていただくという意味合いではなかつたので、これで転換措置をとつていただきたい。また事実おとりになつたようでありまして、その点非常にありがたく思う次第でありますが、この漁場補償の問題について、今後どういうふうになりますか。私どもとしては、こういうような漁民に非常に迷惑をかけておる事態につきまして、相当考えていただきたいと思つておるのでありまして、今後この補償の問題は、演習その他の問題が永久的に続くものなのかどうなのか、建物その他の接収の問題についてもいろいろな申出をいたしまして、関係方面の善処を願つておるような次第もあるのであります。これが今後平和条約発効後においてどういうふうな姿になつて行きますか、その際においては相当根本的に考えなければならない問題があるのではないだろうか、常に補償というような形で行くのがいいのか、あるいはここ当分そういつたような事態の解決が望まれないとすれば、違つた方法で、根本的にというか、少くとも当面解決しなければならぬ問題があるのじやないかというふうに考えておるわけであります。そういつた点についても、われわれといたしましては、金の有効なる使用というような意味において、十分考えてみたいというふうに思つておるわけであります。この点については、どういうふうにやつたらいいのか、私としても成案を持つてないわけでありますが、これは十分御相談をして、真に漁民が立つて行くような方向に考えねばならぬというふうに考えておるわけであります
  26. 小高熹郎

    小高委員 ただいまの主計局長答弁をよく咀嚼してみますと、私のいつておる質問の要旨をうまく避けておられて、はなはだ迷惑をいたすのであります。私ども真剣に漁民のためにとりかかつておりますので、私が先ほどお尋ねしましたのは、年々災害が続くであろうという見通しのもとに、補償金の昨年度における一億二千四百万円であるとか、本年度における一億四百万円であるとか、先ほどの答弁によりますと、やや満足しておるではないかというような御意見でありますが、これのみをもつてとうてい満足をしておりません。泣きの涙で、もらわないよりいいというような感覚でもらつておるという事情がわれわれにもよくわかるのであります。ゆえに昨年来われわれが懸案としておる三十億程度の特別災害補償と相まつて、当然企業転換をすべき数字をすみやかにとりまとめてもらいたいということを強く要望いたしておるのでございます。  なおこれに関連しまして、九十九里の実弾射撃演習場ほか全国十八、九箇所の災害補償に対しては、一億四百万円という数字をもう少し増せないかというので、先ほど来意見を開陳しておるのでありますが、これはこれといたしまして、このほかに千葉県の富津海底の施設であるとかあるいは千葉県の君津郡金谷村における定置網が外国船の突入によつて災害を受けたとか、あるいは大村湾の海底施設、そういうものがいろいろたくさんあることは当局もよく御承知通りであります。これに対する補償金はこの一億四百万円の数字とは別に補正予算に計上されておると聞いておるのでありますが、この数字がどの程度に相なつておるか、その数字をお尋ねしたいのであります
  27. 河野一之

    河野(一)政府委員 おつしやいましたような点は、私ども補償というような考え方で行くか、見舞金というような考え方で行くか、非常に苦慮いたしておるわけでありますが、今の漁場補償のほかにおきまして一応四千万円程度のものを予定いたしておりますしかしこの基準につきましていろいろ御意見もありますので、一応の数字といたしまして、よく検討いたしてみたいと思います。ただ網の場合と漁船自体がやられました場合と実は相当違いますので、ことに漁船の場合においては保険に入つておるものと入つていないものとの権衡もございます。網の場合には保険制度がありませんから違つた事態を考えねばならぬ。その場合に不公平がないように、また実情に沿うようにということで、ただいま特別調達庁といろいろ協議をいたしております
  28. 川村善八郎

    川村委員 去る六日の本委員会におきまして、谷川主計官佐竹主計官、並びに特別調達庁川田務部長出席されて、いろいろこの補償の問題について論議がかわされたのであります。その中に谷川主計官であつたと思いますが、こういう答弁をしております日本は占領下であるからアメリカ演習をされていることはやむを得ない。そこでその損害に対しては根拠法がないので、現在失業保険法もしくは補償法と言いましようか、そうしたようなものを適用したかつこうで災害補償をしておる、失業の救助もしておる。しかしながら失業保険法は、ある一定の年限を限られておるけれども、それじや漁民がかわいそうだから、その期間だけを適用せずに継続して、これを補償するようにしておるというような答弁があつたように承つております。もちろん非常に同情的な言葉でありましたけれども、おそらくこのことは長く続くという予想をわれわれはしなければなりません。平和条約が成立いたしましても、アメリカが安全保障をするということになつておりますから、おそらくこの演習は長く続くと考えております。またかりに、その時期がいつになるかわかりませんが、米軍が引揚げて、自衛のために日本が再軍備をした場合には、むしろ猛烈に演習をしなければならぬじやなかろうかということも予想できます。また現在の警察予備隊も、自衛のためにある程度まで演習をしなければならないかとも想像ができるのであります従つてこうしたようなわれわれの見通しから行きまして、根拠法がないから、同情的に失業保険法を適用しているとか、あるいは見舞金を出しているとか、さも漁民がかわいそうだという気持でやつておることはわかりますけれども、当然これを主張して損害補償してもらうという権利が漁民にはないように私は考えるのであります。幸い、きようは大蔵省河野主計局長が来ておられて、私の聞かんといたしましたことについてあいまいな御答弁をしておるのであります。すなわち今度これが長く続きますと、どうも根拠法がないからというので、いつまでも救済というようなことでやるわけには行かないから、何かこれについて考えなければならぬ、皆さんと相談をしなければならぬといつたようなことも言つておられます。今日あなた方がお考えになつておることは、同情的でまことにけつこうでありますけれども漁民の権利として主張することは何も考えておらぬ。今日の漁民というものは、ひとり災害地ばかりでなく、全体に苦痛を感じておるのであります。今回アメリカカナダ漁業特使が参りまして、協定をするということですが、おそらく日本意見を全部取上げてはくれないと私らも考えております。幸いにわれわれの最も信頼し得る冨永委員長がその背後にあつて、十分日本意思あるいはわれわれの意思を通じて、条約には万全を尽してくれるとわれわれは思いまするけれどもしかし私らはなかなかこれとても容易でないと考えておりますので、窮境に立つておるところの漁民を、法律も制定する意思なくして、ただ見舞金だ、しかたがないから失業保険法を適用して救つておるのだといつたようなあいまいなことでは、われわれは承服できないのであります河野局長も相当に長く続くという予想のもとに、何らかこのことを別な角度において考えなければならぬということは、私の考えと同じ考えで御発言しておることと存ずるのでありますから、河野主計局長に、進んで漁民を救うために法律をつくるべく政府に大いに迫つてもらつて、われわれとともにこの演習により非常な災害を受けて失業をするというような漁民の救済に、まつこうから立つていただきたいということを要望するのであります。  それからさらに最近に至りましてから演習地が拡大されたことは事実であります。われわれは北海道のごときは演習がないものと考えておつたところが、日高の門別で上陸演習をやられて、漁民は沖へ出ることもできないでまことに困つておるという事情も承つております。それから噴火湾の入口の砂崎のあのまつ先に上陸演習をやるんだからといつて、道庁に通知が来たということも聞いております。あの噴火湾の入口のごときは、あの内部に十数箇町村がほとんど漁業をもつてつておるところであります。もしあそこの入口でどんどんやられて、あそこへ魚が入つて行かないということになると、日本全国の今までの災害よりむしろ大きな災害をこうむり、十数箇町村の漁民の危機になるばかりでなく、漁村の経済の破壊になるのだということにわれわれは非常な恐れをなしておるようなわけでありまして、そうしたようなことが長く続くといたしますれば、どうしても根拠法を制定いたしまして、全面的に漁民を救済し、漁村の経済を破壊しないようにして行かなければならぬと思うのであります。この点について、先ほど小高さんに対しては、答弁の一端として、何らか考えなければならぬということだけは言われておりますが、何らかでなく、根拠法を制定して、演習被害というものは全面的に補償してやらなければならぬという考えか。あるいは今まで通り当らずさわらずに、失業保険法とか、あるいは見舞金等で、またぞろこれに準ずるようなことをする御意思か、はつきり伺いたいのであります
  29. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは私は問題が二つあると思う。一つは、占領中における占領軍の行為による各種の経済的な損害をどういうふうに扱うかという問題であります。つまり単に漁場の問題ばかりでなしに、接収在宅の問題もございますし、ホテルの接収、デパートの接収あるいはモータープールの接収、そういつたふうな占領中における占領軍のいわゆる治外法権と申しますか、そういつた問題についてどういうふうにバランスを持つて扱うかということが一つ。もう一つは、おつしやいましたように、これが永続的なものであるかということに関連するのでありますが、もし普通の漁業の状態において、たまたま演習によつて漁業ができなかつたというような事態につきましては、これは平和条約発効後においては、おそらく補償の問題だろうと思うのであります。今までもかつて日本に軍がありました時代において、各種の演習をやりまして、農作物が被害を受けたなどという場合には、補償の問題として取扱つた。そうでなしに、これが永続的に演習地であるというふうにきめられる問題でありますならば、過去において日本の陸海軍が演習地を持つたと同じように取扱つて、これを根本的に解決して行く、農地あたりは買収という問題も起りましようし、あるいは権利を補償するといつた問題になると思うのであります。両方の場合があり得ると思うのであります。現在の占領中における段階においては、その関係は必ずしもはつきりいたさないのであります。今後において、先ほど申しました行政とりきめの問題になるかもしれませんが、そういつた時代においては根本的に解決をはからなければならぬ。決して従来通りの考えということではなしに、真剣に考えて行かなければならぬ問題だと私は考えておるわけであります
  30. 川村善八郎

    川村委員 もちろん河野局長の言われるようなことは、私も同感であります。ただアメリカの軍隊が占領しておつたからとか、あるいは今後安全保障のために駐屯しているというばかりでなく、日本の国内的の、いわゆる自衛のためにも再軍備されるということの予想できる場合においても、そういうことがあり得るのだ。私はかつてやはり軍隊におりました関係上、演習をやつたこともあります。実弾射撃もやつたことがあります。それから機動演習等で農作物を荒らして、私も調査員となつて調査したこともあります。いずれの場合にも、国を守るという場合には必ずあるものである。ないのではない。それであるから、こうしたような場合においては、いわゆる国家がこれこれの補償をしなければならないという法律をつくるべきであるという前提のもとに、私は今申し上げているのであります。そこで局長の、何らか措置を講じなければならぬという御説はまつたく私の考えていることと同感で、ただ具体的にそれを示されないというだけであります。私のあなたに申し上げているのは、具体的に一日も早く取上げて、かようかくかくの場合にはかようかくかくにするということをおきめになつて補償すべきである。こういうふうに断定して言つているのであります。そうでなければ漁民なり、農民なりが、災害を受けた場合にいつでも頭を下げて、そうしてつまみ九一——これは漁師の言葉でありますが、いわゆる一億災害を受けた場合に見舞金を三千万円もらつたとか、あるいは五千万円もらつたとかというようなことでは不安が続くから、根拠法をつくつて当然補償すべきである、また当然の権利として主張すべきである、かように私は申し上げておるのであります。あなたの構想も、将来は何らかの方法で考えなければならぬというのでありますから、あなたの御構想をすみやかに実現するように御努力あらんことを切に要望いたしまして、私の質問を打切ります
  31. 二階堂進

    ○二階堂委員 一、二の点を主計局長及び水産庁にお尋ねいたしたいと思います。いろいろ損害補償の問題について質疑がかわされたのでありますが、私は一昨日の委員会におきまして谷川主計官にいろいろお尋ねしたのでありまするが、水産庁損害補償額と大蔵省が査定されました損害補償の額というものが、相当食い違つていることは先ほど小高委員からも御指摘のあつた通りであります。そこで大蔵当局の査定によりますと、一貫目当りの魚価の単価——二十四年度の安本の調査による価格を基礎に置いて、損害補償を大体見積つておられる。そうしてそれに対する補償といいますか、それを、失業保険法の第十七条の二項に基いて最高限度の百分の六十という補償を見積つておられる。こういう見積りによりますと、大体一億五千万程度金額がそこに出るわけであります。ところが一昨日の谷川主計官お話によりますと、大蔵省では一億四百万円程度のものを見積つているというようなお話であります。私は一体どういう法的な根拠に基いて五千万円程度の減額を大蔵省当局がなされたのか、この点をもつと明確にひとつ御説明願いたいと思うのであります。この点が一点であります。  さらに、この大蔵省当局が見積つておられます一億四百万程度金額というものは、水産庁当局と御相談し、了解の上に大体おきめになつたのか、あるいは最後的におきめになるつもりか、この点が第二点であります昭和二十五年七月二十一日の閣議決定の第三項に、補償実施の細目については農林大臣と大蔵大臣が協議してこれを定めるという要綱があります。これに従いますと、当然最後的な決定をなされる場合には大蔵大臣と農林大臣、あるいは水産庁当局大蔵省当局とがお互いに話合つて、了解の上で最後的金額をきめていただくことになつております。一昨日谷川主計官よりいろいろ御説明を承つたのでありますが、私どもをして言わしむれば、こういうような補償等の問題につきましては、どうも大蔵省当局は一方的にいろいろな査定をして、金額をきめておるように考えられるのであります谷川主計官からも非常に同情的ないろいろな御説明がありましたけれども、そういつたような説明はほんとうの数字の上に出て来ない。いつも水産関係は、どうもまま子扱いにされておるような気持がいたすのであります。そういうふうな同情的なお気持がありますならば、実際の予算金額の上にそうした心持を示していただきたいというのが私たち漁民の気持であります。この点を大蔵省主計局長並びに水産庁の当局にお尋ねいたしたいのであります
  32. 河野一之

    河野(一)政府委員 各種の補償の問題をどういうふうに扱うか、これは非常にむずかしい問題でございます。ことにこれは、占領を終了した後におきましては問題は新たになることだと存ずるのでありますが、敗戦及びその後の占領期間中における各種の補償問題が、実は山積いたしております。おのおのそれは必ずしも理由がないとは存じないのでありますが、これをいわゆる補償の問題として全面的に取上げるということにつきましては、いろいろ公平の問題その他から相当考慮を必要とする点があるのでございますしかし、といつて不当な犠牲を忍んでいただくということもいかがかと思われる。そういつた全般の考慮から、一応失業保険関係のところにバランスを求めて、こういうような補償を現在いたしているというのが実は実情なのでございます失業保険におきましては、失業当時の全収を見まして、それに対しまして六箇月間という期間を保険金の支給の考え方といたしているのであります。そういつたような例もございますので、そこに権衡をとつてやつた結果がこういうふうな数字になつて一応現われているわけでありますしかしこの見方につきましてはいろいろ御議論のあることも承知いたしておりますし、またこの金額は一応の算定でありまして、その後における漁区の追加の問題もございますし、また転換程度の見方その他についても、いろいろ御議論のある点も十分了承いたしているつもりであります。具体的な補償にあたりましては、水産庁当局とも十分御協議申し上げまして不公平のないように、また実情に沿うようにできるだけいたしたい、こう考えているわけであります
  33. 二階堂進

    ○二階堂委員 ただいま主計局長お話で、よく相談して最後的な決定をいたしたいというような御答弁を承つたので、われわれはやや——非常に悲観的な気持でおりましたけれども、この一億五千万円程度あるいはそれ以上の金額を最後的にきめていただくのではないか、かような希望的な気持を持つわけでありまするが、ただ水産庁当局の方では、一億四百万円というのは最後的な金額ではないけれども、こういうような金額を大蔵当局がお定めになつておられることについて、何らか了解を与えられておるか、あるいは話合いがあつたかという点を、一点水産庁当局に重ねてお尋ねいたしまするが、同時にまだ最後的には農林省当局とよく打合せをして、最後的な金額をきめるという主計局長の御答弁でありましたが、これは農林大臣と大蔵大臣とが、話合つて最後的な金額をきめることであると了承してようございますか、その点をもう一ぺんお尋ねしておきたいと思います
  34. 山本豐

    山本(豐)政府委員 この一億四百万円について正式に水産庁に話があつたかというお尋ねのようでありますが、実はこの前予算の運び方につきまして、大体私たちの承知しておる限りでは、終連水産庁によく相談いたしまして、と申しますのは、前の委員会でも終連当局の方から御説明がありましたように、漁業補償以外にあるいは土地、家屋の賠償とか、いろいろそういう項目もあるわけであります。そこでそれらすべてを一応の総わくとして十三億七千万円ばかりが閣議で決定になつております。そういうわけで、もちろん大蔵省にもいろいろ説明は申し上げておるわけでありまするが、まず運び方といたしましては、終連当局とよく御相談して、その上で終連なり、またわれわれの方から大蔵省の方に御説明いたす、こういうような段取りと考えておるわけであります。そこで一億四百万円の数字でありますが、これはわれわれとしましては、大蔵省の係のところで、係の人と考え出してはつきり出せばこういう数字になる。これで農林当局と大蔵省とが最終的にきめた、こういうものではないように私は考えておるわけであります。先ほど河野局長も、なおよくいろいろ事情は聞いた上でというお言葉がございましたから、なお今後の問題といたしまして、終連当局と、農林省、大蔵省の三者でよく相談して、最後的にきまるものであろう、またぜひそういうふうにお願いいたしたいと考えておるわけであります
  35. 二階堂進

    ○二階堂委員 主計局の方からその点について……。
  36. 河野一之

    河野(一)政府委員 水産庁当局とも十分相談をしてきめたいと思います
  37. 田口長治郎

    ○田口委員 演習地におきます漁業者に対する補償の問題は、きわめて重要でございますが、先ほどから川村委員から、根本的の考え方についてお話があつたのでございますが、私大村湾の実態から申しまして、さような方向へ進まなければいけないということを、再び要請したいと思うのであります。大村湾は御承知通り、ひようたんのような形をしておりまして、第一の口が佐世保港の口でございます。第二にくれておるところが伊ノ浦瀬戸でございますが、御承知通りあそこは今一つの基地になつております関係からいたしまして、第一の口でありますところの佐世保湾港に対しまして、ある種の施設をやつております。この施設のためにほとんど魚の出入ができない。こういうような実態になつておりまして、ああいう湾内の漁業というものは、春に外海から入つて来、また秋になつて外海に出る、こういうような状態で、魚がふえておるのでございますが、この施設のために全然春入つて来る魚がいない。こういうような問題が起りまして、そのことによりまして湾内の漁業というものが、著しく被害をこうむつております。第二に、一つの基地でありますがために、いろいろな漁業制限を受けておりまして、夜間の操業はいけないとか、あるいはこの区域は操業してはいけないとか、こういうような問題が第二に重なつておるのであります。第三に、飛行機の爆撃演習地がありまして、しかも土曜と日曜を除いたほかの五日間というものは、ほとんど午前中から午後にかけて連続的に演習地に使われておる。こういうような実態から申しまして、大村湾及び佐世保湾の多数の漁業者というものは、事実上仕事の期間が非常に制限されるのと同時に、魚がいないというような状態で、金漁業者が生活するのにほとんど困つておりまして、どうしたらいいかということが長崎県で最も重大なる、さしあたりの問題となつている実態から考えまして、これを年々補償いたす、しかも正式の補償でなしに、見舞金程度あるいは心づけというような意味におきまして毎年これを繰返しておりましても、なかなか結論が出ないのでありまして、川村委員から申されましたように、ほんとうに補償法を制定いたしまして、当然受取るべき損害補償というような建前にするか、あるいは先ほど河野局長がちよつと申されましたように、転業あるいは更生という意味におきまして、思い切つた転業策を講ずる。こういう根本方針を立てるかどつちかでなければ、今のような状態をずつと繰返して行く。それに対して見舞金程度で解決するというようなことでは、いつまでしても徹底しないことと存ずるのであります。こういう意味から申しまして、私は川村委員から申されましたように、補償法を制定して当然に補償するか、あるいはもう一歩積極的に、こういう実態のもとにおいては根本的に業者の職場をかえてしまうというような方法に転向しなければならないと思うのでございますが、この点について水産当局、大蔵省の御意見をお伺いしたいと思うのであります。それから一昨日からの当委員会議論、結局二十五年度の補償金が非常に小さい。それが問題のようでございますが、この小さい原因が魚の単価を失業保険法にのつとつてやつたがために、二十五年度は百七十円かになつているものを、わざわざ二十四年度の単価をとりまして、七十三円の計算をしている。補償すべき、実際に漁業者を救済すべき問題は、二十五年の状態で補償をしなければならないのに、わざわざ便宜のために、失業保険法を準用されたために、二十四年度の魚価で計算をしなければならない。そこにいわゆる一昨日からの問題の主眼点があるように考えるのであります。私どもは、漁業者の現在の状態をよく調査いたしましても、漁業者の生活には一厘の余裕もありません。ほんとうにその日その日を暮している状態で、被害をこうむつているものに対して、役所の都合で失業保険法でも準用しなければ根拠法がないというようなことで、二十五年度の損害に対して二十五年度の単価をとらないで、二十四年の単価をとつて、そうして金額が非常に小さくなつている。こういう実態を考えてみますと、何か役所の方にほんとうに親切心があるならば、二十五年度の損害補償であるから、実際に損害をこうむつた二十五年度の単価をもつて計算するというような考え方が出そうなものだと考えるのでございますが、この点についてさらにもう一度御説明を承りたいと思います
  38. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいま田口委員がお述べになりました、根本的解決策として補償に関する法律でもつくるか、あるいは転換策を講ずるか、いずれか二つのうち一つではないかというお話であります。先ほど河野局長からもいろいろ御意見を御発表になりましたが、われわれも大体同様な考えを持つものであります。ただこの問題は、かりに補償法をつくりまして、たとえば補償金の算出の基礎等を明瞭にするということは非常にけつこうでありますが、そういたしましても、結局国の財源にいろいろ制約があるわけでありまするから、国民がほしいと思うだけの補償はなかなか困難であろうと思うのであります。そこでかりに法律を考究するといたしましても、その裏づけとしまして転換策等をある程度織込んで考慮して行くのがほんとうじやないかと考えるのであります。ただ現在の狭隘なる日本におきまして、転換策と申しましても、これはなかなか困難な事情が少くないと思うのでありますしかしながらこれは場所とかあるいは地域によつては、この方法を同時に講ずるような余地もないことはないと考えるのであります。  それからもう一点のお尋ねの、いわゆる二十四年度の魚価を基準にするか、二十五年度の魚価を基準にするか、これは水産庁考え方大蔵省考え方のわかれておる点でありますが、われわれの聞いておるところによりますと、二十一年から二十四年までの損害算定いたしましたときは、たしかその年の魚価をおとりになつたということでありますしかしそのときには、その一年前になろうが後になろうが、魚価の変動は割合に少かつたのであります。ところが二十四年と二十五年とでは、統制撤廃もありました関係で、先ほど田口委員からもちよつと数字があげられましたように、片方は七十三円くらいになりますし、片方は百七十円くらいになるのでありまして、そこに大蔵省としてもそつくりそのまま受け取れぬという事情もあつたのではないかと思われるのであります。ですから算定は一応去年あたりとりましたと同様な筋道を立てた算定をしていただいて、その上で財源の関係ともにらみ合せて、まずこの八割でがまんしてくれとかあるいは六割でがまんしてくれというふうに持つてつていただくことが、われわれとしては非常に望ましいという気持を持つておるのであります
  39. 河野一之

    河野(一)政府委員 大村湾の問題につきましては、お話になりました事情はよく了承いたしております。できるだけ善処いたしたいと考えております。ただ魚が入つて来ないということと魚がとれないというのとけじめが非常にむずかしいものでありますから、今研究しているような段階であります。この補償の問題は算定の基準もいろいろありますが、ほかの方のバランスの問題がございまして、営業権の補償というようなお考えもごもつともかと思うのでありますが、そういうことに考えますると非常に他の面でアンバランスの点が起きるわけであります。例をあげて恐縮でありますけれども、接収されたホテルの営業補償の問題が非常にあるのであります。それだけでも四、五十億の要求も出ておる、それをそのままやることは当然考えられないと同じように、この問題についてもいろいろお気の毒の点もありまするが、多少がまんしていただきたいということを申し上げておる次第であります水産庁の話も十分了承いたしまして、この金額決定につきましては十分御相談申し上げてやりたいと考えております
  40. 川村善八郎

    川村委員 これまでは演習による災害補償についての議論でありましたが、このほかに漁業には風波あるいは高潮による損害等が非常に大きいのであります。ことに今度のルース台風におきましては、九州は申すに及ばず四国、瀬戸内海等の災害は、一千二百億になんなんとしておるというようなことが調査の結果はつきり現われておるのであります。そのうち水産関係損害を見ますと、大体八百八十億になつております。この問題を本委員会も取上げ、自由党としても取上げまして、一日も早く救済をしてやらなければならぬ。もちろん救済の取扱いについては金融の措置の問題、あるいは漁船を一万三千隻も失つておるので、漁船をすみやかに与えなければならぬということで、瀬戸内海その他の地区の小型機船底びき網の整理に伴う船を、船を失つた方にまわしてやらなければならぬといつたようなことや、根本問題として漁船保険法が確立しておれば、今度のような災害があつても、ただちに漁民は金融その他保険による取扱いによつて船の建造もできるといつたような議論が中心となつて、そこでわれわれの方でも、党の方でも取上げたのでありますが、いかんせん救済は金のいることであります。そこで大蔵省に伺いたいことは、今度のルース台風はおそらく日本開闢以来の漁業に対する大災害だと思つておりますが、この救済について大体二十五億の金融をやつてくれろというようなことや、瀬戸内海並びにその他の地区における小型機船底びき網漁業の整理をする、——今年補正予算に組みまして約二億で八百五十八隻を整理するということになつておりますが、これだけではとうていその災害を受けた地方に船をやるわけに行かないから、すみやかにその船をつくり出すために約七、八億の予算を追加予算の追加をお願いしたいということも考えております。  それからさらに漁船保険法の確立のために、政府が基金を出して漁船保険法をつくりたい、われわれは今かような考えを進めておるのでありますが、これに対して、先ほど雑談中に聞いておりますと、容易でないということを河野局長が言われておるのであります。困つておる漁民、特に災害を受けた地方の漁民は、家を失い、漁船を失い、漁具を失つて、今や失業どころかあすの生活すらも容易でないと考えておりますので、いわゆる金融の措置を講ずる意思があるかどうか。さらに瀬戸内海並びにその他の地区の小型機船底びき網を整理して、その船を九州並びに災害地にまわしたいという考えをわれわれは持つておるのであるが、この予算措置を講ずる意思があるかどうか、さらに年間わずか二億五千万円くらい出しますと、漁船保険法も確立して漁民の負担も少く、漁民も喜んで加入し、できれば強制加入にまで持つて行く方法まで考えられるのでありますが、この三つの点を取上げて、大蔵省資金の操作なりあるいは予算措置なりを講ずる意思があるかどうかということを、主計局長にお尋ねしたいのであります
  41. 河野一之

    河野(一)政府委員 今回のルース台風につきまして漁業関係が相当の被害を受けたことも了承いたしております。この問題につきましては、水産業のみならず、その他公共事業あるいは農業方面にも問題がございますので、ルース台風の善後措置につきましてどういうふうにとりはからうか、目下検討中でございます。このために補正予算を出すか出さぬか、こういつた問題については、まだ内閣の意見が正式にきまつておらない次第でありまして、私の口からどうするというようなことは申し上げかねる次第でございます。  それから漁船保険の問題でございますが、これもいろいろ考えようもあると思うのであります。従来財政の措置といたしましては、個人の資産に対して政府がこれを補填するという考え方は実はなかつたのであります。(「家畜はどうだ」と呼ぶ者あり)ただ松田さんのおつしやいますように、家畜についてそういうふうな例があるのであります。これは御承知のように、ある程度において強制的なものでもございまするし、かつまたこれは競馬の益金、つまり納付金を財源としてやる、競馬の益金をこちらの方に還元いたすという趣旨で始まつたという沿革もよく御存じのことであろうと思います。そういうような権衡の点も考えまして、予算の範囲内において十分研究してみたいと考えております
  42. 川村善八郎

    川村委員 どうも河野局長は逃げばかり張つて、私はまことに遺憾であります。そこで政府が取上げ云々ということを言つておりますが、現に政府を鞭撻する機関として自由党の政調会があつて、政調会がはつきり取上げております。それからさらに農林大臣もやりましようということで、われわれと口約もしております。さらに自由党の総務会におきましても、また自由党の幹事長であります増田先生も、みな賛成をして取上げなければならないということを言つております。今は御承知通り自由党内閣であります。自由党の内部においてそれを認めておるにもかかわらず、何ゆえに進まないかということは、大蔵大臣に何かはつきりしない線があるということを……。(「大蔵大臣もそれをけさ認めたよ」と呼ぶ者あり)けさ認めたとすればよい。大蔵大臣がけさお認めになつたということでありますが、立案者たる河野局長はまだぐらぐらしておる。あなた方は、漁民のあの苦境を見ないからそういうことを言つているのだ。あなたは東京におつて、そうしてあの殿堂にいるからわからないのであつて、一度九州なり、四国なり、災害地に行つてほんとうの姿を見てください。そうすればよくわかる。一度災害地に足を踏み入れると、同情してただちにやらなければならないという意見がはつきり生れて来るのであります。そういう意味におきまして、主計局長に強く要望することは、大臣が承認をした以上は一日も早く立案して、政府の態度をはつきりさせることがあなたの責任ではなかろうか、かように考えますので、先ほど申し上げましたように、まず救済資金の貸付の方法、それから今度の小型機船底びき網の整理に要する予算、それから漁船保険法を確立するための予算、この措置を早く講ずることを要望いたします。  なおつけ加えておきますことは、今度の災害でも、漁船保険法が確立しておつて、少くも七割なり、八割なりの漁船の所有者が保険に入つておりますれば、政府にかような手数を煩わさなくてもよかつたし、また予算措置あるいは資金措置等も講じてもらわなくてもよかつた。この保険法というものは、御承知通り行政費に至るまで、あるいははなはだしきに至つては、紙、鉛筆のはてまでも漁民が負担をした保険料でまかなつておるというようなことで加入をこばんでおつたということから、こうしたような措置も講じなければならぬのである。わずか一億や三億の金を出して漁民が救われ、さらに国の負担が軽くなるとするならば、喜んで漁船保険法の確立のために一億や三億出すべきである、私はかように考えるのであります。そこでこの問題につきましては、時間がありますれば、まだうんとつつ込んでお伺い申し上げたいけれども、他にまだ質問者が残つているようでありますから、これでやめますが、大蔵大臣が承認した以上は、事務当局といたしましては一日も早く立案してもらいたい。その立案にあたつてわれわれの意見も必要だとするならば、喜んで御相談を受けますから、どうかこの臨時国会の会期中にひとつ成案を出して、少くとも今度の通常国会の劈頭に取上げるよう強く要求しておきます
  43. 田口長治郎

    ○田口委員 先ほどの補償金算定問題につきまして、谷川主計官に一点だけお伺いしたいと思うのでございます。きようは昭和二十六年の十一月八日でございます。二十五年の単価は早くよりはつきりしているわけでございますが、予算編成の時期もありましようけれども、少くとも二十五年の単価がはつきりしているときに、わざわざ二十四年の単価をとられたということについては、どういうお考えでおとりになりましたか、その点を一点お伺いしておきたいと思います
  44. 谷川宏

    谷川説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。先ほども主計局長からるる説明がありました通り、この補償問題の算定の基礎の数字につきまして、価格の点につきましても、また数量につきましても、全国の損害額を集める場合におきまして相当の日数もかかりますし、また実際の損害額を判断する場合に、なかなかむずしい問題が伴うのでございます。と申しますのは、この補償をなす場合におきましては、平年度でありましたならば、どのくらいの漁獲があり、また収入があつたかということを個々の魚価について検討いたしまして、さらにその上で当該年度の損害がどのくらいあるかということを判断して損害額をきめるわけでございます。従いまして相当の困難が伴うわけでございますが、その魚の価格の点につきましては、失業保険法の建前をその基礎に置きまして、その法律のやり方をある程度準用いたしております関係上、失業保険法から行きますと、失業者が離職した場合に、離職前の半年の収入を元にしておりますので、今回の漁業補償の場合につきましても、前年度の魚価を一応その基礎に置いたような次第であります
  45. 田口長治郎

    ○田口委員 二十五年度の単価がわからないときは、それもやむを得ないと思うのでございますけれども、二十五年度の補償問題の算定基礎になるものでございますから、二十五年の単価がわかつておれば、その単価をとつていただかなければ筋が通らないと思うのでございます。そもそも私らが考えますのには、実際に失業保険法に該当せざるものを、便宜上役所がこれを準用したところにはなはだ無理があると思うのであります。その無理をずつと引伸ばしてみますと、まつたく実態と離れたことが結論として出て来る次第でございますから、その点をお考えくださいまして、また二十四年の単価と二十五年の単価があまりにもかけ離れておりますから、その点もぜひひとつ御考慮くださいまして、もう一度算定を願いたいと考えるのでございます。二十四年と二十五年と単価がそう違つておらなければ大した問題ではないと思いますけれども、あまりにかけ離れておりますし、かけ離れておるがために実態とまるで合わないような結論としての数字が出ておるということになつておりますから、どうぞその点をひとつ重ねて御判断を願いたいと思います
  46. 二階堂進

    ○二階堂委員 水産庁当局にお尋ねいたしたいのでありますが、先ほど川付委員からもルース台風の問題につきまして質問があつたのでありますが、今回のルース台風の被害を受けた中で、漁民の受けた被害は一番悲惨なものであつた、かように私どもは考えておるのであります。そこで船も漁具も、なお自分のすみかさえも失つた漁民をいかにして救済するかということにつきましては、政府といたされましても非常な考慮を払つていただいておることと思いまするが、これが救済の恒久的対策といたしましては、先ほど川村委員から御意見がありました通り資金の融通の面を援助してやる臨時措置法案、並びに強制加入をもつてする漁船保険制度の確立、こういう政策が強力に推進されなければならないことは申し上げるまでもないのであります。ただ応急的な措置としては、かような法的な設定を待つ余裕がない。漁船を失い、漁具を失い、住む家を失い、明日食う米に困つておる漁民が相当たくさんあるのであります。鹿児島県だけにいたしましても、一万戸以上の漁民がかような悲惨な状況のもとに置かれておる。そこで私どもといたしましては、この困つておる漁民を応急に何か救済しなければならぬ。その応急処置として、鹿児島県だけでもとりあえず一億の資金のめんどうを見てもらいたい。こういう非常なる請願が参つておるのであります。なお宮崎県あるいは山口県、広島県、大分県等も同様であります。けさも大蔵大臣のところに参ると、大蔵大臣自身も漁民被害を非常に憂慮されておる言葉を承つたのでありまするが、この応急的な処置について農林省、水産庁の方では、どういう具体的な計画を進めて、応急的な金融の措置を考えておられるか。この点に関しまして、水産庁当局の御計画、御意見を承りたい。
  47. 山本豐

    山本(豐)政府委員 漁民の台風によるさんたんたる被害につきましては、ただいまお述べになりましたように、恒久策と応急策と両方あり得るわけであります。恒久策としましては、先ほど来議論になつておりますような点を考えておるのであります。いずれにいたしましても、それまでのつなぎ融資預金部資金等にたよらざるを得ないと思うのでありますが、その問題にかかつて来ると思うのであります。ただいま安定本部を中心に、その数字をいろいろと検討しまして、これでとにかく応急的につなぎ融資をしていただいて、その間にこの法律、あるいは漁船保険制度、その他の恒久的な裏づけをして、将来の災害の場合には、もつと有利にいわゆる融資その他を運び得るように考えて参りたいというふうに考えております
  48. 二階堂進

    ○二階堂委員 どうも私どもは、今日、明日に困つておる漁民をどうして救済するかということで、非常に心痛をいたしております。事務的にいろいろ折衝いたしましても、現在のいろいろな法規に従いますと、なかなか金の出しようがない。そこで例をとると、地方的な問題でありますが、鹿児島県といたしましては、とりあえず一億の金融の道を講じてもらいたいというわけで、農林大臣、あるいは政党の政務調査会の方に、いろいろお願いしておるわけでありますが、どうも事務当局の方で一向にそのように事を運んでいただけない。なるほど事務的な法規を離れて無理なお願いをいたしても、なかなか金の出ようがないということは、私ども十分承知はいたしております。がしかし明日どうして食うて行こうかという、死に瀕しておるところの漁民を救済するのには、そうしたことにこだわつてつたのではとうてい救済することはできない。私どもはそうした漁民の苦しい立場を政治的に解決し、これを救つてやるということが、政治の本道でなければならぬと考えておりますしかるにかような漁民代表し、悲痛な訴えをしておるのに、事務当局では遅々としてこういうような措置を講じてもらえないといつたことが多々あるのであります。今回の災害では、申し上げるまでもなく、前古未曽有の甚大なる被害を各地にこうむつておるのであります。ことに先ほど来申し上げまするごとく、漁民被害というものは実にさんたんたるものがある。被害をこうむつた五、六県の中からも、鹿児島県のごとく応急の金融をしてもらいたいという切実な要望があると思うのでありますが、この金は四億、五億でとりあえずの金融は済むと私は思つております。私は昨日も塩見官房長のところに参りまして、この訴えをいたしておる。塩見官房長の方からも、農林中金の次長、あるいは水産庁の次長のところにも連絡があつたかと思うのでありますが、何らかの方法をもつて早く金を融通してもらいたい。融通の道は幾つもあると思つております。むずかしい法規にこだわらずに、応急の金融の道はあると考えております従つて私はここで水産庁当局に対しまして、早急に数字をまとめられまして、一日も早く金融の道を考えていただきたいと思う。そうすることが、ほんとうに困つておるところの漁民を救済する事務当局としての責任ではなかろうか、私はかように考えますので、この際特にこの数字を早くとりまとめられまして、鹿児島には一億の融資を何とかしてもらいたい。あるいは山口県、宮崎県においても同様なお願いがあると思うのであります。どうかわれわれの悲痛な訴えを、ほんとうに真剣に考えていただきまして、一日も早く事務的に金が出るような方法を講じていただきたいということを、特に重ねて私は要望いたしておきます
  49. 松田鐵藏

    松田委員 さつきの田口委員の質問に対する答弁を要求いたします
  50. 谷川宏

    谷川説明員 その問題につきましては、先ほどちよつと御答弁申し上げましたように、数量と価格の問題でありますので、損害額を算定いたします場合に、過去三箇年の平均の漁獲高を一応出しまして、その年においてもその数量だけは当然漁獲があるであろうという前提のもとに算定しておるのでありますしかしながらその年においては、その数量は必ずしも過去三年の平均程度まで行かないかもしれないし、それ以上あるかもしれない。数量につきましては、そういう不確定な要素があります。その数量と価格の相乗積を損害算定の基礎といたしますので、一応その数量は不確定であるという前提のもとに、価格につきましては失業保険法の規定を準用いたしまして、過去一箇年の平均魚価をとつておる次第でございます。さらに申しますならば、失業保険の場合には、過去において保険料を払つておるのでございますが、この漁業者の場合には保険料を払わないにもかかわらず、その必要性にかんがみまして相当程度補償金が出ておるような事情もございます点をお考えいただきまして、一応その点の基礎の数字といたしましては、過去一箇年の魚価をとることが適当かと思います。その場合にいろいろ方法があるのでありまして、魚価につきましては過去一年にするか、あるいは漁獲数量と同様に過去三箇年の平均の数字をとるか、いろいろありますが、一応過去一箇年の魚価をとつたような次第でございます
  51. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまの御答弁には不満足でありますしかしこれはわれわれが後刻大蔵当局と理論的に議論をする機会を与えていただきたいと思います
  52. 冨永格五郎

    冨永委員長 漁業損害補償に関する件につきましてはこの程度にいたします。     —————————————
  53. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に水産金融に関する件について質疑を許します松田委員
  54. 松田鐵藏

    松田委員 私は水産金融の問題に対して山本次長、曽根水産課長に対して質問をいたします。  大体水産庁ではきようの公報をよくお読みになつておられたかどうか、十一時になつてから委員会出席するなどということはどういうことであるか、委員部のどなたからきようのこの委員会に対してどういうような話があつたか、その責任をまず明らかにしていただきたい。
  55. 山本豐

    山本(豐)政府委員 私直接電話に出たわけでないので、委員部のどなたであつたかわからないのでありますが、ただきのう実はあしたあるのだろうというつもりでおつたのであります。ところが夕方私の方の秘書の寺田氏の所へあしたはないというふうな話があつた。けさほどまた確かめたのでありますが、委員同士の懇談をするのだ、だからわれわれの方は出なくてもいいのだ、こういうふうにわれわれに連絡があつたわけです。それで実はそういうことならというので、課長あたりもいろいろほかの会合がありましたし、私も午後の条約委員会の質問要旨なども出ておりましたので、そういうような連絡に走りまわつておつた次第であります。そういう事情でございまして、まことに申訳ございません。
  56. 松田鐵藏

    松田委員 この責任は委員長においてはつきり処理していただくように要望いたします。  そこで私は二つの質問があるのでありますけれども、十一時になつて来られたために時間がないので、簡単にいたします。まず水産庁漁業協同組合に対してどういう見解を持つておるか、漁業協同組合育成強化を叫んでおる今日の内閣の政策をどのようにお考えになつておるかということであります。たとえて言うたならば、一例ではありますが、気仙沼の漁業協同組合が特別融資によつて製氷冷蔵施設の出願をしておる。それに対して同じ箇所において、宮城県の漁連でもまた出願しておる。こういう問題があつて、いまだにそのどちらに金融をしたらいいかということを悩んでおるということを聞くのであります。まず漁業協同組合という単協の内容が充実して行つてこそ初めて連合会の内容もよくなるのであつて、連合会が何のために単協の地域にまで入つて事業をしなければならないか。そういうことをどう考えておるか。単協が力がなくていかんともなしがたい問題であつて、連合会に頼むということであつたならば、これはやむを得ない事情もあるだろう。しかるに漁業協同組合の育成強化は、単協の内容が充実しなかつたならば、いかに連合会がどうあつても、これは主客転倒する問題である。われわれは単協の育成強化をはかり、しかして連合会の育成強化をはかろうと考えておるものであります。これに対して水産庁は何のために躊躇するか、なぜ単協に対してあらゆる援助を与えてやらぬかということを、協同組合課長であつた曽根課長に対して、もし誤れる点があつたならばあなたの御見解をまず承りたい。
  57. 曽根徹

    ○曽根説明員 私ただいま水産課長をしておりますので、協同組合につきまして意見を申し上げるのはいかがかと思いますが、従来協同組合課長を承つておりましたので申し上げます。特融のことにつきましては、七月二十一日の通牒をもつて協同組合に融資されますので、その融資方針を明示したのであります。特に製氷冷蔵施設については、貸付を受けるものは水産業協同組合に限られているが、組合としては特に次の諸点を勘案するものとすというふうにいたしまして数項並べてございますが、そのうち特に連合会と単協とが同じ地区において事業の競合をなすような計画でないことというふうに注意をしておいたのであります。なおこの注意は、三箇年計画をもつて県が冷蔵施設の建設計画を提出していただくにつきましての注意書であつたのであります。このように連合会と単協とが同じ地区において競合をなさないように、その土地その場所における単協と連合会との事情をよく研究の上、最も組織的に妥当であるような計画を出すようにということを全体として通牒いたしておるわけでありますが、原則としましては、ただいま御意見がありましたように、単協がまず強化され、単協の力の及ばざるものを連合会という組織方法によつて協同組合の目的を達すべきものでなければならないというように、私は過去組合課長でありましたときに考えておつた次第であります
  58. 松田鐵藏

    松田委員 私どもが考えておる意見と同一でありまして、その答弁に対しては満足をするものでありますしからば、一例でありますけれども、気仙沼の今日の状態に対して、何ゆえにその内容決定の機運にまで持つてつていないかという、理由があつたならば御説明を願いたいと思います
  59. 山本豐

    山本(豐)政府委員 実は気仙沼につきましては、ただいま単協の出願が一つと、連合会からの出願が一つと、二つあるわけでございます。実はこういう点については、われわれの希望としては、県でよくそこの実情を調査しまして、調整をはかつて、ひとつ意見を出してもらいたい、こういうように思つてつたのでございますが、県の動きは実はあまりなかつたようでありまして、漫然と出て来ているのであります。この気仙沼の単協は、単協は単協でありますけれども、いわゆる組合員が仲買い的な人であるとか、あるいは副業者というような人がかなり多数入つておるのであります。そこで片方の連合会で出願している内容を見ますと、これは今問題の単協以外の組合が——数ははつきり覚えでおりませんが、数箇の組合が、われわれもぜひやりたいというのでいろいろ計画いたしましたが、一つひとつの組合では、今松田さんのお話のように、実は弱いということで、連合会の名でひとつやろう、こういうような動きであるわけであります従つて連合会を表に出して、ぜひお願いしたいといつて来ている。この組合員の部面は、現在問題になつております気仙沼の単協とは、感情上あるいは実際上必ずしもしつくり合つていない。現に気仙沼の単協は連合会に入つていないのであります。そういういろいろな地元の事情がございます。われわれとしては、むろん一挙に両方を二つ立てるというわけにも参らないので、何らか前後の関係を考えるとか、あるいはまた両者の間によく話合いをつけていただいて、その上で考えてみたらどうだろうか、こういうふうにただいま考えておるのであります。県当局にもそういう意向を伝えまして、今中に入つてもらつて、話のまとまるようにいろいろお願いしているわけであります
  60. 松田鐵藏

    松田委員 次長のお話と実態とは大分異なつているようであります。あやまちのないように善処されんことを要望いたします。  次に特融の問題、特融はようやく今度の補正予算で十億を決定する運びになつたが、いまだその予算は、委員会は通つたが本会議は通つていない。だが北海道は御承知通りもはや雪であります。これが一月になると温度も零下二十度、十五度に下る。基礎工事においても、十二月までにかかれば、薬品を入れてどうにかできるというような運びになるのである。こういう点は水産庁は十分わかつているはずであります。こうした地方の実情をよく理解されたならば、大体において決定の時期また内示の時期というものはあると考える。それにもかかわらず、今日事務的には進捗しておつても、漁業協定があるために長官がいないとか、次長がどつかへ行くためにいないとかいうことで、こういうことがスムーズに行かないということを聞いている。かようなことではせつかく自由党の政策資金として出しているこの特融も、遂には明年度にまわらなければならないようか状態に立ち至ると思うのであります。また事務的にいろいろな支障はあるだろうが、査定はしつかりできておるはずであり、水産庁において、どの地方が水産庁に対する重要な所であるかという意見もまとまつている今日において、その内示だけでも早くしなければならないのじやないか、これが明年の魚価維持対策のために最も適切なる方法であると考えるのであります。それを今日漫然としていることは——いかに漁業協定で忙しくても、夜寝る時間もあるだろうし、飯を食う時間もあるのでありますから、この点に対して、どうかもう少し親切にやつていただかなければならないと思うのでありますが、早急に内示でもするようにしていただきたい、かように思うものであります
  61. 川村善八郎

    川村委員 ただいま農林漁業の特融の問題で松田君から質問がありましたが、特融の問題と、漁業権証券の資金化の問題とは、まことに密接不可分の関係があると思うのであります。そこで特融のわくをめぐつて漁業協同組合または連合会から、相当に高度利用ないし冷蔵庫建設の要求がありましたが、手続上非常に遅れておる所もあり、また進んでおる所もあります。私の考えますに、特融のわくも無制限でないので、われわれの予想よりもずつと下まわつておる。従つて各単協、各連合会の要求通りはできないが、しかしこの特融の資金と、さらに漁業権証券の資金化による資金とを合せて、冷蔵庫の建設、その他高度利用の施設をしたならば、相当に大幅に建設ができるのじやなかろうか、かように考えるのであります。過般水産庁の首脳部に相談いたしましたところ、私の意見賛成しておるような向きもありますが、私といたしましては、かりに特融のわくが十億ある、それから要求が二十億ある、かようになりましたときに、漁業権証券の資金を千億それに支出いたすことにいたしますと、二十億の要求を全部満たして、高度利用、冷蔵庫等の建設ができる。それが漁業制度改革の一環として取上げた問題の完遂にもなり、また魚価維持対策の問題にもなり、さらにこの施設をめぐつて生産地の生産の増強になり、漁民の福祉になり、また漁業協同組合の育成強化にもなると思うのであります。この農林漁業特別融資の問題と、漁業権証券の資金化の問題について、今後の高度利用に対してどういう見解を持つて臨まれるか、御意見を承りたいと思う。
  62. 山本豐

    山本(豐)政府委員 大体において川村委員のお説のようにわれわれも考えております。実はそういう意味で各府県から要望を集めましたところ、大体二十六億くらいになつております。それに対してわくが十億ありますので、われわれとしましては、今のお話のように、特融と、証券の買上げその他で自己資金をある程度調達する面と、両方からみ合わすことによりまして、件数あるいは金額も、厳重に十億とまで行かなくとも、十五億あるいはそれ以上のものを金庫に取次いで、むろんその中には証券買上げの自己資金調達分幾ら、金庫の融資は幾ら——何割になりますか、その事例によつて、六割くらい自己資金が出て来るものもあり、いろいろあるわけでありますが、できるだけそういうことにして多く解決して行きたい。そういう線で先般来いろいろと吟味いたしたのであります。そのあらましのことは、松田委員からもいろいろ御催促があつたのでありますが、大体下話しは金庫でやつておる最中であります
  63. 川村善八郎

    川村委員 次に御意見を承りたいことは、漁業権証券の資金化による資金重点的に漁業制度改革による、すなわち冷蔵庫等の建設につぎ込む、そうしてあわせて特融の資金等をもつて建設するというような構想のもとに進まれるところの協同組合を優先的に取上げるべきである、私はこういう一点を考えております。さらに漁業協同組合法の制定によつて、いわゆる二十名以上であれば協同組合をつくるにいいということから、ずいぶんばらばらになつている姿も見受けられるのであります。こうしたようなことから非常に混乱をし、さらに経済的な行き詰まりをしておりまするが、特融の資金を出すという場合においては、やはり漁業協同組合育成強化のために、合併したところを優先的に取上げて行くという考えを私は持つておるのでありますが、この点について水産庁はどういう意見を持つておりますか、これをお伺いいたします
  64. 山本豐

    山本(豐)政府委員 大体御説のように考えております。特に先般これに対する、先ほど課長からもちよつと触れました通牒の中にも、合併の点までは触れておりませんが、要するにいろいろな組み合せで融資する場合には、特別会計の増額が決定次第、これらのものについて優先的に取扱う方針であるということもうたつてあります。ただ合併の点については触れていませんが、大体御説のような考えで指導して参りたいと考えております
  65. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいまやつております漁業協定の問題でありますが、御承知のように、アメリカ代表者は長い間日本におつたヘリントン氏であります。またカナダからは水産大臣が来ております。そうしてその交渉を開始する準備として、かつてマグナソン氏等が日本にやつて来て予備調査をして帰つた。それからアメリカ及びカナダは、長い間本国において研究調査、準備を遂げ、またカナダアメリカとが十分に打合せてこつちへやつて来たことは御承知通りでありますしかしながらこの条約を締結するに対しては、日本アメリカカナダを招請した形になつております日本が招請してアメリカカナダ代表者にこつちへ来てもらつたという形式になつておりますしかるに日本においては、それの準備がはなはだ薄弱と私は思うのであります。先刻山本次長のお話のうちにも、今日午後の会議の質問の要旨を調べておつたというようなお言葉があるのでありまするが、これは日本の側で非常に準備の点に足らぬところがあるのではないかということを私は深く心配するものであります。その関係がどういう結果を生み出すか、日本全体の漁業、漁村等にいかなる影響を及ぼすかということをひそかに考えると、心配にたえないものがあります。私はカナダ及びアメリカの提案があつたならば、それに対して日本としては相当の研究期間を要請して、十分に衆知を集めて研究をし、しかる上で質問をするとか応答をするとかいう形式をとらなければならぬと思うのであります。その意味におきまして、実際臨んでみますると、カナダは御承知のように水産大臣初め権威者が大勢来ております。またアメリカはヘリントン氏初め大勢権威者がそろつております。合計すれば三十名内外の人があそこに来て、専門にそのことのみをやつておるのであります。ところが日本側は藤田長官がまず首脳であつて、その他十川氏が及び外務省の一、二の人の発言しかないというような実情であります。これでうまく行くかということを非常に心配するのであります。私はその意味におきまして、委員長は明日にも農林大臣、藤田長官と数名の方の出席を求めて、われわれとの間に公開でもよろしいし、秘密会でもよろしいし、十分今後の対処の方策について意見の交換をする機会をつくるように、切にこの点を要望する次第であります
  66. 冨永格五郎

    冨永委員長 承知いたしました。  それでは本日はこの程度で散会いたします。明後日は公報をもつて時間を通知申し上げます。     午後零時五十八分散会