○田口
委員 演習地におき
まする
漁業者に対する
補償の問題は、きわめて重要でござい
ますが、先ほどから
川村委員から、根本的の
考え方について
お話があ
つたのでござい
ますが、私大村湾の実態から申しまして、さような方向へ進まなければいけないということを、再び要請したいと思うのであり
ます。大村湾は御
承知の
通り、ひようたんのような形をしておりまして、第一の口が佐世保港の口でござい
ます。第二にくれておるところが伊ノ浦瀬戸でござい
ますが、御
承知の
通りあそこは今
一つの基地にな
つており
ます関係からいたしまして、第一の口であり
ますところの佐世保湾港に対しまして、ある種の施設をや
つており
ます。この施設のためにほとんど魚の出入ができない。こういうような実態にな
つておりまして、ああいう湾内の
漁業というものは、春に外海から入
つて来、また秋にな
つて外海に出る、こういうような状態で、魚がふえておるのでござい
ますが、この施設のために全然春入
つて来る魚がいない。こういうような問題が起りまして、そのことによりまして湾内の
漁業というものが、著しく
被害をこうむ
つており
ます。第二に、
一つの基地であり
ますがために、いろいろな
漁業の
制限を受けておりまして、夜間の操業はいけないとか、あるいはこの区域は操業してはいけないとか、こういうような問題が第二に重な
つておるのであり
ます。第三に、飛行機の爆撃
演習地がありまして、
しかも土曜と日曜を除いたほかの五日間というものは、ほとんど午前中から午後にかけて連続的に
演習地に使われておる。こういうような実態から申しまして、大村湾及び佐世保湾の多数の
漁業者というものは、事実上仕事の期間が非常に
制限されるのと同時に、魚がいないというような状態で、金
漁業者が生活するのにほとんど困
つておりまして、どうしたらいいかということが長崎県で最も重大なる、さしあたりの問題とな
つている実態から考えまして、これを年々
補償いたす、
しかも正式の
補償でなしに、見舞金
程度あるいは心づけというような
意味におきまして毎年これを繰返しておりましても、なかなか結論が出ないのでありまして、
川村委員から申されましたように、ほんとうに
補償法を制定いたしまして、当然受取るべき
損害補償というような建前にするか、あるいは先ほど
河野局長が
ちよつと申されましたように、転業あるいは更生という
意味におきまして、思い切つた転業策を講ずる。こういう根本方針を立てるかどつちかでなければ、今のような状態をずつと繰返して行く。それに対して見舞金
程度で解決するというようなことでは、いつまでしても徹底しないことと存ずるのであり
ます。こういう
意味から申しまして、私は
川村委員から申されましたように、
補償法を制定して当然に
補償するか、あるいはもう一歩積極的に、こういう実態のもとにおいては根本的に業者の職場をかえてしまうというような
方法に転向しなければならないと思うのでござい
ますが、この点について
水産当局、
大蔵省の御
意見をお伺いしたいと思うのであり
ます。それから一昨日からの当
委員会の
議論、結局二十五年度の
補償金が非常に小さい。それが問題のようでござい
ますが、この小さい原因が魚の単価を
失業保険法にのつと
つてやつたがために、二十五年度は百七十円かにな
つているものを、わざわざ二十四年度の単価をとりまして、七十三円の計算をしている。
補償すべき、実際に
漁業者を救済すべき問題は、二十五年の状態で
補償をしなければならないのに、わざわざ便宜のために、
失業保険法を準用されたために、二十四年度の魚価で計算をしなければならない。そこにいわゆる一昨日からの問題の主眼点があるように考えるのであり
ます。私
どもは、
漁業者の現在の状態をよく調査いたしましても、
漁業者の生活には一厘の余裕もありません。ほんとうにその日その日を暮している状態で、
被害をこうむ
つているものに対して、役所の都合で
失業保険法でも準用しなければ根拠法がないというようなことで、二十五年度の
損害に対して二十五年度の単価をとらないで、二十四年の単価をと
つて、そうして
金額が非常に小さくな
つている。こういう実態を考えてみ
ますと、何か役所の方にほんとうに親切心があるならば、二十五年度の
損害補償であるから、実際に
損害をこうむつた二十五年度の単価をも
つて計算するというような
考え方が出そうなものだと考えるのでござい
ますが、この点についてさらにもう一度御説明を承りたいと思い
ます。