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1951-11-06 第12回国会 衆議院 水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月六日(火曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長代理理事 松田 鐵藏君    理事 二階堂 進君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    田渕 光一君       永田  節君    平井 義一君       小松 勇次君    水野彦治郎君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁財         務部長)    川田 三郎君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         検     事 高瀬 礼二君         主  計  官 谷川  宏君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         経理課長)   増田 正一君         農 林 技 官         (水産庁生産部         魚港課長)   林  真治君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 十一月二日  赤岡町に船だまり築設の請願長野長廣君紹  介)(第六〇五号)  安田町に漁港築設の請願長野長廣紹介)(  第六四五号)  頓別漁港を第四種に指定請願佐々木秀世君  紹介)(第六四六号)  長渡漁港修築工事促進請願内海安吉君紹  介)(第六四七号)  壽都漁港拡張工事施行請願小川原政信君紹  介)(第六九一号)  宿田曽漁港を第四種に指定請願中村清君紹  介)(第六九三号) の審査を本委員会に付託された。 同月一日  漁船保険制度改革に関する陳情書  (第三九七号)  合成繊維による漁具改良に関する陳情書  (第四一九号)  北方公海漁場の再開に関する陳情書  (第四三二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  漁業損害補償に関する件  漁業取締に関する件     ―――――――――――――
  2. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これより水産委員会を開きます。  漁港法の一部を改訂する件について水産庁当局より発言を求められておりますので、これを許します。
  3. 林真治

    林説明員 漁港法は第七国会におきまして、特に水産委員会の方々の御盡力によつて成立を見たわけでありますが、それに従いまして、その後われわれは実施をして参つたのであります。この実施中のことにかんがみまして、多少の変更を加えて置く方が将来非常に運用がうまく行くのではないか、こういう点が実は考えられて来たわけであります。そこでなるべく早い機会におきまして、この改正を取上げて行きたい。その方法といたしましては、この法律成立経過にかんがみまして、私どもとしてはこの改正の問題は委員会提案と申しますか、そういう形でお願いしたいということで、かねがねお願いしておつたわけであります。そこでただいま私どもの考えております改正要点を簡単に申し上げますと、この点につきましていろいろ御審議をお願いいたしまして、できますことならば、この臨時国会におきまして改正案を御提出いただきたい、こういうふうに考えるのであります。その要点と申しまするのは、事務的なきまりきつたような問題を除きまして三点実はあるわけです。  第一点は、ただいまお配りいたしました刷りものによつて申しますと、最初の方は定義にいろいろの施設がありますから、これを追加しようという問題であります。これは別に問題はないと考えるのでありますが、第二十條第二項中「百分の七十五又は百分の六十」とありますのを「外かく施設及び水域施設については百分の七十五、けい留施設については百分の六十」に改める、こういうのがありますが、これは御承知のように第四種漁港につきましては補助率が総括的に百分の七十五または百分の六十というふうになつておるわけであります。この第四種のうちのどの漁港を、たとえば七十五にするか六十にするかという問題につきまして、相当困難な判定の事情がありますので、これを改正いたしまして、第四種の漁港の中におきましても、防波堤いわゆる外郭施設、それから港内のしゆんせつをいたしまする水域施設については百分の七十五という率に定めました。また岸壁等けい留施設につきましては百分の六十という率に改めたい、こういうわけであります。これは港湾法建前とも一致するわけであります。地方といたしましては、今までわれわれがすべて平等に扱うという趣旨で進んで参りました点にかんがみましても、意義の深い点であろうと考えるのであります。  次にその下にございます数箇の点は、單に事務的な問題でございますから省略いたします。  次の問題といたしましては、漁港指定が終りますと漁港管理者が定まるわけであります。その漁港管理者農林大臣関係都道府県知事意見を聞きまして定めるわけでありますが、指定をいたしまする場合に、全部公聽会を聞くようになつておるわけであります。また管理者変更取消しの場合ももちろん公聽会を開くわけでありますが、公聽会を開くについては、いろいろ経費点等もありますし、地方の実情、意見は聽するわけでありますから、しいて全部にわたつて公聽会を開かなければならないということもないのではないかというふうに、実際の事務の面から考えられるわけであります。公聽会経費等につきましても、実はいまだ定まつた経費認められておりませんし、実際の運用の面からいたしましても、それほどまでにしなくても地方意思に反するようなことはないであろうと考えられまするので、公聽会につきましては、取消しの場合あるいは変更をいたします場合にはこれを残して置きますが、管理者指定につきましては公聽会を廃止して参りたい、こういうことでございます。  次は管理者ができますると、その下に委員会組織によりまする管理会というものができるわけであります。その管理会につきましては、その委員の構成の大部分は漁民代表者なつておるわけであります。この代表者の選任の方法につきましては選挙によることになつております。この選挙につきましては、理想的だとは考えるのでありますが、経費の点あるいは実際の作業の点等につきましていろいろめんどうな問題もございますし、また漁民意思管理会に反映するということが必要なことでありまして別に形にとらわれる公式の選挙によらなければならないというほどのものもないのではないかというふうにも考えられるのであります。これは理想ではないかもしれませんが、実際の運用にあたりましては、はなはだ簡単に相なりまして、しかも目的が達せられるのではないか、こういうふうに考えられますので、ここにもございますように、その漁港の所在しておりまする市町村長、これが関係水産業協同組合意見を徴しまして推薦する、その推薦したものについて漁港管理者を任命する。こういう制度なつております。その他管理会組織につきましては、別に改めるわけではございませんので、ただいま申し上げました三点が実は改正要点なつております。これが私どもただいま漁港指定を終りまして、管理者を定めなければならない段階に入つておるわけであります。それにつきまして、この現在の方法をもつてしますならば、なかなかすぐに管理者決定を見にくい事情にございますので、こういうふうに改めましても、われわれといたしましては、別に改悪だとは考えておりませんから、こういう方法で進みたいと考えております。  それからこの改正案の私ども考えました最後に、北海道の問題が取上げてございますが、これはなおいま少し愼重に考えたいと考えておりますので、この際は削除をお願いしたいと思います。  以上大体私どもの考えておりまする点につきまして御説明を申し上げたわけでありますが、どうかひとつ愼重に御審議をお願いいたしまして、私どもとしては別に改悪だとは考えておりませんから、建前上、この前の成立のときに委員会にお願いした関係もございますので、私どもがこれを改正するということはちよつとおもしろくない点もあるかもしれませんから、委員会としてお取上げの上御審議願いたいと考えております。
  4. 松田鐵藏

    松田委員長代理 それでは委員会でこれを取上げて愼重審議することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松田鐵藏

    松田委員長代理 御異議なしと認めます。     —————————————
  6. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次にかつお漁業あり方については委員会においても種種論議がありますので、これら漁業漁撈方法について再検討いたすべきであると存じますので、近日中に一本づり業者及びきんちや網業者代表者を招いて協議をする機関を持つてはどうかと考えますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松田鐵藏

    松田委員長代理 ではさようにいたします。ついてはその日時、呼出人及び人員その他については委員長におまかせを願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松田鐵藏

    松田委員長代理 それでは私からこういう電文で、この人々を指名しようと思いますが、一応読み上げます。  来る九日十時より衆議院第三議員会館においてかつお漁業者漁業あり方について協議したいから、貴県漁業者代表出席を願う。衆議院水産委員会。  これは一本づりでありまして、発信先宮城福島茨城千葉静岡三重鹿児島東京高知。  それから「来る九日十時より衆議院第三議院会館において、かつお漁業あり方について協議したいから、貴県漁業者代表出席を請う。」衆議院水産委員会。これは旋網の方であります。発信先宮城福島茨城千葉静岡三重鹿児島高知東京。かような電報を打ちますから、御了承を願いたいと思います。     —————————————
  9. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次にさんま漁業取締りの件につき永田委員より発言を求められております。永田委員。それから今日出席されておる方は法務府の検務局検事高瀬礼二君であります。
  10. 永田節

    永田委員 北海道におけるさんま漁業違反操業のことにつきまして、先般来より数回本委員会で質問申し上げておりますが、未だに確答がございませんので、本日はせつかく検察庁高瀬検事の御出席もありますので、責任のある御答弁を水産庁並び検察庁から承りたいと思います。  さんま密漁告発問題が起つておりますが、その不法出漁問題は全国的な注目をあび、根室の出来事だけというわけには行きません。一地方の単なる告発だということには行かないものがあると私は考えるのであります。ここに「東北海道新聞」なるものの記事を参照いたしますと、道議会水産常任委員長松平氏の話によりますと、すでに調査を開始した。松平氏の語るところによれば試験船として出漁を委託する道水試道水産試験場のことだと思いますが、一般出漁期日について協議した。七月四日(札幌市)、同十七日(水産庁)、同二十四日釧路市の各協議会とも二十五日試験出漁してよいと決定したことはない。ただ一般出漁期を八月十五日と見込んでいた。六月末ごろ二十五日試験出漁案も考慮したが、その後の事情変更に伴い、試験出漁も当然かわつた。この間の事情誤解を生ずるような難点はない。こういうふうに発表しております。しかるに根室新聞というものがありましてこれには中村一という人が川端氏の立場を弁護いたしまして、十五日から出漁したのは水産庁道水産部さんま協会会議で二十五日と決定しながら、出漁をさせたのであると、あたかも官庁の方が試験日の八月一日から八月十日以前にさかのぼつて、実は七月二十五日から出漁しておるということは、水産庁の手落ちのごとく報道されておるのでありまするが、はたしてこの間の事情に対して水産庁はどういうような御処置をなさつておることでありまするか、まずそれからお伺いすることにいたします。
  11. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 ただいま御質問ございましたさんま解禁日調査船の問題につきましての経過でございまするが、お話がございましたように、当初解禁日関係が八月十五日ごろを予定しておつたのでございまして、調査開始期日というものをそこで大体七月二十五日ごろにしようというような話合い水産庁北海道水産研究所打合せしておつたのであります。ところがその後試験船関係解禁日関係が八月二十五日といつたように予定されましたので、試験開始期日を八月一日というようなことにいたしまして、試験船を大体五隻ぐらい予定しようというような話合いを進めておつたのであります。そこでいろいろとその間の打合せ手続その他の関係試験操業許可手続関係が遅れておるというようなことにつきましても、打合せその他の関係が多少齟齬しておるという事情も考えられるのでございまするが、結果といたしまして、八月九日付で北海道知事から五隻の試験船のうち四隻の試験操業許可申請が出たわけでありまして八月の十七日で試験操業許可したというような関係なつておるのであります。なお試験許可期間というものは一応八月一日から九月三十日に改めるということで指令して通達をしたような次第になつておるのであります。
  12. 永田節

    永田委員 ただいま松任谷部長の御説明によりますと、あらかじめ地元とは数度の会議によつて、事前に八月一日から十日までという話合いがついていたものと了解されるのであります。しかるに通告申請の遅れたために八月十七日に北海道に着いている、かような見込のようだという御説明でございまするが、八月一日以前に試験船という美名に隠れまして七月二十五日に操業を早めてやつたという事実について水産庁はどういうふうな御見解を持つておられますか。
  13. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 ただいまの問題につきましては、書類手続関係がいろいろと遅れまして、と申しまするのは、試験操業許可申請を出したといつたような地元側お話があつたのに対しまして、文書がまだ出てないからというような行き違いがあつて書類を再提出にさせたというようなことで、遅延した結果であろうと考えておるわけでございます。
  14. 永田節

    永田委員 いずれにいたしましても、この試験期日操業違反というものは、もちろん業者にその責任はありますが、水産庁においても書類手続上若干怠慢な事実をお認めなつたことと了承いたします。  次に、八月十五日にさんま漁業取締規則改正に伴う現地漁業者の御意見を聞く会とかいうふうなものが北海道側釧路方面、それから内地側水産庁からも出ておられるのですが、この会議は一体どういうふうなことを御決定に相なつたものか、その模様を御説明願いたい。
  15. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 さんま取締規則に基きまして北海道側代表者内地側代表者、それから試験研究機関並びに水産庁をもつて構成する協議会を主催いたしまして、その協議会さんま解禁日決定について意見を聞くというような会議が持たれたのであります。御承知の通りこの解禁日決定につきましては、あらかじめ試験研究機関調査に基きまして、海況あるいは漁況水温等状況調査いたし、具体的な資料に基きましていつを解禁日にした方が適当であるかというようなことを相談する会議でございまして、各業者のいろいろな意見を聞き、試験研究機関資料も検討して、農林省において解禁日決定して参るというような会合なつておるのでございます。当時の会議出席した者の意見を承つてみますと、当時の漁況海況水温等関係からいたしまして、必ずしも早期に解禁日決定する必要はなかろうというような科学的調査資料に基いた結論を出して参つておるのでございます。その結果北海道における解禁日を八月二十五日に決定したような状況になつたのであります。
  16. 永田節

    永田委員 八月十一日の会議の結果は、要するに諸般の情勢を御研究に相なりまして解禁目決定し、それをそれぞれ関係方面に御通告つたものと了承してさしつかえありませんか。
  17. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 さようであります。
  18. 永田節

    永田委員 違反調査が終り、八月末日ごろ監督官が帰京に相なりまして長官、部長と御相談に相なつたことと思いますが、この三十九隻の出漁違反に関する処分に対しては、どういうふうな趣旨で御決定を見たのでありますか、その間の事情を御説明願いたいと思います。
  19. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 処分関係につきましては、当時水産庁におきまして、違反した場合においては厳重に首謀者等を主体にして処罰する、場合によつたならば許可取消しをやるというようなことを言明しておるのであります。首謀者並びに責任者といわれる四人の人に対しまして、とにかく許可証返納なり承認書返納を命ずるどいうような処置をとろうということで決定したのであります。
  20. 永田節

    永田委員 北海道さんま不法出漁に対しまして、水産庁態度はすこぶる微温的である。これがために内地さんま業者も一挙に不法出漁を計画したという事実があるのでありますが、それを水産庁は御了承なつておりますか。またその原因が一にかかつて水産庁のあいまいな態度によるものであるという責任をお感じになつておられますか。
  21. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 内地におけるさんま解禁関係につきましては、さんま関係業者の大会の席上におきまして、いろいろと北海道の問題また内地関係解禁日に対する要望というお話が実はあつたのであります。それに対しまして水産庁といたしましては、解禁日の問題はやはりさんま取締規則の上から申しまして調査結論に基き、しかも現地において関係者意見を聞いた上で決定するという手続なつておることをよく説明いたしまして、その会合の席上で解禁日の発表をするように約束してございましてその場合に、言葉の上ではありますが、もし漁業経営の問題からいたしまして、解禁日をあまり遅らせるということになると、勢い自由出漁というような不祥事態も起るかもしれないから、その点も十分考慮して愼重決定してもらいたいということが述べられておるのでございます。しかしながら不法出漁を決議するというようなことは聞いたことはありません。
  22. 永田節

    永田委員 水産庁にお伺いしたいことは、試験期日前の三十九隻の違反者水揚高の総額はおわかりになつておりますか。
  23. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 正確に水産庁調査した数字を申し上げますと、三十九隻分で九千九百三十三貫五百匁になつております。
  24. 永田節

    永田委員 その中で川端という人の水揚高はどのくらいになつておりますか。
  25. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 川端氏の試験船による操業実績でございますが、水産庁としては試験操業といつたような名目を許しておりますので、その試験操業漁獲高が五千七百三十三貫ということになつております。
  26. 永田節

    永田委員 川端氏は、承るところによると、根室漁業協同組合組合長である。しかも試験船は国家の船でありながら、費用は協同組合個人の負担である。ここにそもそもこの問題が起つて来る原因がある、かように思うのであります。しかもこの漁獲高の約一万貫に対して、その六割に相当する六千貫というものが川端個人の水揚げである。この事実を考えてみますときに、明らかにこのさんま不法漁業は、故意によるところの重大なる違反であると私は考えるのであります。しかるに水産庁は何ゆえかこの処分に関して、たとえば大分県の姫島におけるところの山口県漁民漁業違反と比較いたしますときに、まさに天地霄壌の差がある。実に微温である。かようなことではたして将来水産行政責任を負い得るや、またわれわれといたしましても、今日の水産庁取締りということについては絶対に将来信頼することができない、かような感を一層深くするものであります。あたかもきようは日本、アメリカ、カナダの漁業協定最初の交渉の日にあたりまして、かような問題を取上げて行くということもまことに皮肉に感じられるのでありますが、日本の過去における水産の行き方というものは、国土の狭いことと、四面海に囲まれていることと、世界のいずれの人種に比較しても、日本人は魚による蛋白資源の供給が多い。これらの事実から、やむを得ず過去においては勇敢な出漁方法をとつたのをむしろ私は同情するのであります。しかし一方資源の保護にあたつては、水産庁、歴代の内閣も、これにほとんど無関心無為無策であつたことをまことに遺憾とするものであります。かような際におきまして、最近漁業制度確立漁業秩序確立ということが叫ばれて参りまして漁業民主化が着々と実行に移されているのでありますが、その際において、かような違反事実をはたしてこのままの程度において——部権力者の私腹を肥やすのに試験船を利用させるというようなこと、並びに一部の人の煽動によつて、まつた法律を無視した故意に基くところの違反を見のがすということは、はたして今日議論されている国際漁業協定の前提として、大きく考えて歓迎すべきことであろうか、私は水産庁に猛烈な反省を促すのであります。承るところによるとそれぞれこの問題については地元からも告発が出ていると聞いております。検察当局にお伺いいたしますが、先ほどから私が水産庁に対して質問いたしましたことによりまして、おそらくその全貌は御想像できることと思うのでありますが、これに対しまして、検察庁はいかなる態度をもつて臨まれるか、御意見を承りたいと思うのであります。
  27. 高瀬礼二

    高瀬説明員 北海道におけるさんま出漁の問題につきましては、検察庁といたしましても、現地釧路地方検察庁を中心にいたしまして、深い関心を持つて検討いたして参つた次第であります。ただいまお話のございました八月一日以前の自由出漁に関する事件といたしまして、先月釧路地方検察庁において、試験船であると称してさんま密漁をなしたという事件につきまして、告発を受理いたしました。現在愼重に取調中であります。この程の事件につきましては、検察庁といたしましても、従来特に愼重態度をもちまして取調べに当つて参つた次第であります。本件につきましては、告発後の取調べ状況につきましては、当方から現地に照会中でございます。その詳細を申し上げることができませんのをおわび申し上げます。
  28. 永田節

    永田委員 申し上げるまでもなく、今日、日本水産世界から侵略水産であるかのごとく誤解を受けております。これは国内の食糧事情にもよりますが、また取締り指導の任に当つておるところの政府責任もあるのであります。しかしてかようなさんま不法自由出漁のごとき重大な問題は、今日委員会の速記が、また地方日刊新聞が、それぞれ司令部の検閲を受けておることと想像されるのでありますが、はたしてしかりとしたならば、この事実はすでに世界に知られておる。その結果はどうなるか、やがて各国と協定を結ばねばならないところの漁業協定に大いに影響するところがある。その結果はさらにまた不幸なる結果になろうと想像されるのであります。従いましてかような事件が起つたならば、最も監督指導の任にあるべき役所が、率先してこの事件究明解決に乘出し、後事の憂いを除くように努力しなければならない。しかるに当局においてはそのことをそもそも怠つておる。幸いにしてこの委員会として取上げて参つたのでありますが、われわれの希望するところは、かような違反があつても、日本法律かくのごとく嚴存し、威信のあるものであるということを諸外国に知らせたいと思うのであります。従いまして、諸外国の監視の中において、法律法律として、一たびこれを犯すものは仮借なき態度をもつて臨まれんことを希望してやまないものであります。かくすることによりまして、やがて漁民も目ざめることになり、漁業秩序もおのずと確立される結果に相なつて参るのじやなかろうかと思うのであります。賢明なる法務検務局高瀬検事においては、本委員会の空気を率直にお認めになりまして、すみやかにこの事件を処断、最も重大な刑罰をもつて臨まれることを希望してやみません。
  29. 高瀬礼二

    高瀬説明員 ただいまのお話、私どもといたしましても非常に衷心から同感でございまして、実は検察庁といたしましても、漁業関係事件につきましては、従来特に愼重態度で処理をいたして参つた次第であります。御承知の漁船の操業区域の制限に関する政令違反に関する事件、あるいは最近におきましてはダイナマイトその他の火薬類を使用いたしております兇悪な犯罪等に、特に重点を指向いたしまして、これが取締りをいたして参つた次第であります。さんま自由出漁の問題につきましても、お話の通り最も重要な事件の一つであると考える次第であります。お話趣旨をよく現地検察庁にも連絡をいたしまして、できる限りすみやかに処理をいたしたい、かように思う次第であります。
  30. 川村善八郎

    ○川村委員 先ほど部長から御答弁になつたことで、恐縮してか恐怖してか、部長の声が非常に低いので聞き取れなかつたのですが、試験船の指令といいましようか、指示といいましようか、これが十七日かに行つて二十五日ごろから試験船が出たように私承知しておりました。しかし私の同地方に参りまして情報をとつたところによりますと、相談があるとただちに出ておつた、ですから北海道から手続書類が来る前に出ておつたというようなことを聞いておりますが、この点ははつきりしてもらわぬと、あるいはあなたの御答弁と事実と食違うと、またこの委員会で問題にしなければならぬので、出漁した日にちがいつごろ、さらに相談が来たのはいつごろで、こちらから指令をやつたのはいつごろだというふうに、はつきりした方がいいのではなかろうかと思つております。それから川端君が試験船と称して水揚げをした。その水揚げをしたものを他の船に積みかえをして、しかも市場に出さずして冷蔵庫に入れたといつたようなことも私は耳にしておるのでありますが、この点はどうか。かりに川端氏が試験船として出たとして、大ぴらに試験ができるといういわゆる指令があるものだとしたならば、沖合いで他の般に移して、そうしてその船が積んで来たものを、今度は冷蔵庫に入れるというようなことはやらないでもいいのではなかろうか。そこに初めから自分が悪意を持つてつたというようなことも解釈されるのですが、この点をもう少し率直に部長から御答弁を願いたいのであります。
  31. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 この経過につきまして日を追つて説明申し上げたいと思います。七月四日に北海道庁と北海道区の水産研究所とそれから北海道水産試験場と北海道さんま漁業者代表調査の打合会をやつたのでありまして、省令の解禁日の当時の予想が八月十五日と決定されることが確実であろうというために、調査開始期日を七月二十五日ごろとするように話合いがあつた模様であります。これには水産庁は出ていないのであります。次に七月十七日に解禁日決定するための調査を早くやらなければいかぬという意味合いで、水産庁北海道の区の水産研究所調査打合せ実施しまして、省令の解禁日期日がまた今度は八月二十五日になるというために、試験開始の糊目を八月一日からやる、試験船北海道の区域については五隻が適当であろうといつたような打合せをしたのであります。  それから次に七月の二十四日になりまして、北海道庁と北海道の区の水産研究所北海道立の水産試験場と北海道さんま漁業者代表等で、打合会をそれに基いて実施して申合せをやつた。その申合せは、試験開始期日は八月一日にしよう。それから七月三十日釧路港に試験船の集結をして、試験担当官が乗船して試験器具の積載、調査方法の細部打合せをやろう。それから調査船は六隻でやろうというような申合せをしたようであります。但し、従来からのそういつたいろいろの経過があつて調査開始期日を早期にすべきことが論議されて、七月二十五日ごろが適当である意向がそのときの会の席上あつたようでありますが、今申しましたような打合せによりまして開始時期を八月一日にするよう試験開始直前の七月二十四日に申合せを決定しましたために、調査船では、間に合わずに、七月二十五日が試験操業開始期日であると思い込んでいた者もあつたようであるということであります。  問題になつておりまする立山丸につきましても、お話の通り根室港から釧路調査のために集結するというときに、二十五日、それから二十六日の夜二回試験船として責任を持つてこれに当て得るかどうかというようなことを、一応漁場で実験したというような報告になつておるのであります。  これから試験操業許可手続関係につきましては、試験操業期日が切迫していましたために、試験操業許可手続が正式の書類でやつておりますと間に合いませんので、水産庁から北海道庁に、電話で試験操業の件はさしつかえないからといつた旨の連絡をやつておるのでございます。そこでそのあとで、八月九日付で北海道の知事から試験操業許可申請書が提出になり、八月の十三日の水産庁に到着して、八月の十七日に試験操業許可したというような実態になつておるのでございます。  なお問題になつた船につきましては、先ほど申し上げましたように、この書類と一緒に出したというように地元では言つておるのでございますが、水産庁には届かないので、再三交渉をして再提出をさせたというようなことで遅延したようであります。そこで期間は八月一日から九月二十日ということで試験の許可をやつておるのであります。     〔松田委員長代理退席、川端委員長代理着席〕
  32. 川村善八郎

    ○川村委員 今部長から、書類によつて説明を聞いたのでありますが、これはその間に何かからくりがあつたということははつきりするのであります。解禁日がいつになろうと、試験船はわずか五隻であつて趣旨が徹底していない凄いうことはあり得ないはずであります。七月二十五日に試験操業が許されるのだと間違えておつた者もあるということは、わずか五名の中で、そんなことはあり得ないと私は想像します。これは私の観測ですから、他の人であるいはそうでないと言う人もあるかもしれません。しかもこれが各地から出るのであれば別でありますけれども、いわゆる根釧地帯から、わずかの区域から出るのであるから、二十五日に試験操業ができるのだという解釈を持つなどというようなことは、私はあり得ないということが断定できるのであります。  それからさらに私が本質的にあなたにお伺いしたいのは、試験操業の日にちをかりに間違つたのなら間違つたでもよろしい、人間だから間違いがあるのはいいけれども、その間漁獲した魚を他の船に移して、そうしてそれを冷蔵庫に入れて隠したという事実ははつきりしております。こうしたような不良出漁のやり方であつたとすれば、七月二十五日から試験操業ができるということに、つまり悪意の解釈を持つて、その間隠れて仕事をしたのだ、こう私は考えるのであります。従いまして道庁から来た書類は、非常にかばうような書類なつておりますが、私はその書類は信じ得ません。でありますから、本問題については、もう少し水産庁みずからが乗り出して究明すべきでないか、かように考えるのであります。  それからもう一つは、試験操業が、書類手続をしておると間に合わないので、電話連絡で話し合つたということ、これは過去にあり得ることでありますから、あえてどうとは申しません。ただ八月の十三日にこちらへ書類が来たものを十七日に出して、それがさかのぼつて八月の一日から操業を許したという、そこがまた水産庁の手落ちでなかろうか、かように考えるのであります。八月の十三日に出たものであるならば、八月の十三日以降に許可するというのであれば、まだ道庁の面子も立つことであり、またそうしなければならぬ場合もあるだろうけれども、十三日に着いて十七日に指令した。それから後であつても、まだ漁期には数日ありますので、八月の二十五日が解禁日ということに指示してあるので、電報で返事してやつても、試験操業には何ら支障がなかつたというように考えておるのであります。何も一箇月も二箇月も試験しなければさんま解禁がわからないようなことは、いまさら絶対にあり得ません。流し網の状況を聞いても、さんまがいるということを聞いておるのであるから、さんまの来ておることは事実であります。これは北海道庁も水産庁の高橋課長も十分知つているはずであります。それをわざわざ七月の半ばごろから操業を許すとか、あるいは七月の二十五日、あるいは八月の一日といつたようなことでなくても、五日間くらいあの付近を試験操業すれば十分わかると思う。この書類の取扱いについても、水産庁は相当の責任を持たなければならぬのではないかと考えております。この点は、今後もこういうことがあつてはまことに遺憾だと存じますので、書類の上の処理というものについて、一体どういう考えを持つておるかということをまずお伺いして、その次にもう一回お尋ねしたいと思います。
  33. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 手続の点につきまして、はなはだ例外的な処置をやつたような次第でございまして、この点は、仰せられるようないろいろな問題がありますので、今後は嚴重に注意いたしまして、かような例外処置的な手続をしないように注意して参りたい、かように考えている次第であります。
  34. 川村善八郎

    ○川村委員 松任谷部長は、説明しないであやまるだけでどうも張合いがないのであります。そこでお伺いしたいことは、これもあるいは部長は先手を打つてあやまるかもしれないけれども、一昨年の九月に私に出した書類をお忘れになつたかどうかということであります。こういつただけでは、ちよつとわからないだろうけれども北海道の底びき漁業の海区の問題について、あなたに答弁書を求めたところ、数項にわたつて私に答弁しておるのであります。その当時の私に対する答弁書があるにもかかわらず、さらにあなたのお話を承つたときに、あなたは、やりますと言つてはつきりお答えしたにもかかわらず、二年後の今日まだそれが実現していないのであります。しかも北海道庁がどうだとか、あるいはあちらがどうだとかこうだとか、言を左右にして今日までその実現を見ないのであるが、一方では、今年始まつたいわゆるさんま漁業法律に基いての出漁の問題も、こうして大きな刑事問題が起きており、それをかばうがごとき書類水産庁でつくつた、こういうことの責任は、絶対免るべきものでないと私は解釈しております。そうしたような意味からいたしまして、一昨年の九月七日付でありましたか、十三日付でありましたか、ちよつと日にちは忘れましたが、私に出した書類責任はいかにとるか、これは今ここで内容をあえて答弁しなくてもよいが、あとの委員会においてはつきりした書類の上の答弁を求めたい、かように考えております。これは委員会に公開して、水産庁の怠慢を追究するという所存でありますので、しつかりした文書をつくつて御提出あらんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  35. 松田鐵藏

    松田委員 この前の委員会でも私は申し上げたのでありますが、先ほど永田委員からお話のあつたように、今日本水産は、どういう岐路に立つておるかというと、三国漁業協定会議をきのうから行つているような実態に直面しておるのであります。農林大臣が、北海道に視察に行かれたとき、私の目の前で、坂本道議その他漁民二十数名を前にして根室漁民は、かかる重要な時期にあるにもかかわらず、密漁をする、自由出漁などという明治時代のことを考えてやつた漁民である、君らの陳情はあえて受けないということを言明された。坂本道議は、根室漁民の中でもかような違反者のあつたことはまことに残念に思うがりつぱな漁民もおるのである。どうかわれわれまじめな漁民のほんとうの陳情を受けてもらいたいということで、私もあつせんして陳情を受けたのであります。ところがこのとき坂本道議に対して、農林大臣は、かような不良なる漁民に対しては、君ら地元においても嚴正なる手段をもつて、いかなる方法でもこれを懲らすようにしなかつたならば、漁民民主化ができ得ないということをはつきり指示されたのであります。坂本道議は、これまで今問題になつておる人々に対してはあらゆる勧告をしたものである。農林大臣の言われるように、日本水産世界の三国に対しての漁業協定を行わなければならない重大なる時期において、根室漁民の誤れる点を、みずからの手によつて是正させなければならぬ、覚醒せしめなければならないという、地方のわずかな感情やいきさつでなくして、日本水産を正常化しようとする心構えから、あらゆる方法を盡してこれと闘つておる。しかも先ほど聞くところによれば、釧路地方検察庁に対して告発状までも出して闘つておるということであります。これは日本水産を是正して、りつぱな漁民につくり上げんとする坂本道議の熱意がここに来たものであります。しかるに今まで水産庁当局お話を聞いておると、私は委員長席を離れてここに立たざるを得なくなつた。なぜならば、何のためにかような漁民に対してかばうのであるか。どういう理由があるか。永田委員も、あらゆる点からいつて日本全体の漁民を是正せんがために、みずからの県の漁民に対して、あれほどまでのことを言うておる。しかるに取締りをしなければならない水産庁が、何で根室漁業組合長なるがためにこれをかばうのか。私はここにまつたく奇快な思いを起すのであります。大体において漁業協同組合長である川端氏は、先ほど川村委員の言われるように、試験船であつたならば堂々と陸揚げすべきである。夜陰に乗じて他の船にこれを移して、しかも七千五百貫の数量を自己の冷蔵庫に運んで隠匿した事実までもはつきりわかつておる。また九千何百貫を三十何そうの船でとつたというが、その大半は川端がとつておる。しかも自分の身に火がついたので、八月十三日に漁民を煽動して出漁させたではないか。かようなことをしておる者に対して何のためにかばうのであるか。私はその意味がわからない。しかも出漁した日にさかのぼつて許可するなどということは、水産行政にあるべきことであるかどうか。もしかようなことがあるとするならば、これからの漁民はまず密漁すべし、不法出漁すべし。そうしてあとはさかのぼつて許可してもらえばよいわけである。かようなことで日本水産秩序が成るか。われわれはここにあらゆる法案を審議しなければならないが、はたしてこうした事実があつたならば、また繰返されるならば、どうして法案の審議ができ得るか。しかも重要な問題になつている漁業協定を今日本の国が結ばなければならぬときにおいて、最も強く叫ばれておる根室のこの問題に対して、水産庁のとつておる態度をまことに遺憾とするものであります。これは水産庁頼むに足らず。むしろこの事実については、検察当局において日本の国の水産の面を十分に御考慮されたい。行政の面においては水産庁もはや頼むに足らず。ただわれわれがたよるところとして日本水産を是正するのには、あとは検察当局に頼む以外に、すがる以外にない。法を守る当局にお願いをして、しかして日本漁民民主化をはかるよりしかたがないじやないかとわれわれには考えられる。農林大臣の気持と水産当局意見とはまつたく食い違つておる。検察当局はこうした食い違いに対して、法を守つて、しかしてこの問題を解決せられんことを私は望むものであります。高瀬検事に対して、日本の国の法律を守り、漁民民主化することを私は懇願し、しかしてわれわれの水産行政に対する態度を、ひとつ検察当局においてはつきりと御支持あらんことをお願い申し上げるものであります。
  36. 山本豐

    ○山本(豐)政府委員 ただいまさんまの問題につきまして水産庁の確固たる方針がないという御指摘があつたのであります。われわれといたしましても十分であつたと決して思つておらないのでありまして、万全を期したいとは思つておるのでありますが、何しろ距離的にも離れておりますし、いろいろ事情がありまして、先ほどの部長からの答弁でいろいろと御指摘があつた点もあるのでありますが、要するに確証といいますか、そういうものがまだはつきりつかめないというところに問題があるのであります。この点はもう時期も過ぎて、実際問題として手遅れでありますけれども、幸いにしまして検察庁の方にもかかつておりますので、そういう点も十分われわれは参考にいたしまして、今後嚴に取締つて参りたいと考えておるわけであります。  それからもう一つ許可の期限の問題でありますが、これは御指摘の通りによくないことであると思うのであります。ただ御承知のように手続的に書類の送達とかいろいろな関係でそういうことになつたと思うのでありますが、今後はこういうことのないように、嚴に私といたしましては注意をいたしたいと考えておるわけであります。
  37. 川村善八郎

    ○川村委員 私はこの問題について高瀬検事に特に申し上げておく次第であります。われわれは常に、口を開けば漁業民主化漁業秩序確立漁業協同組合の育成強化を叫んでおり、またその実現に努力しておるのであります。そこで、今度の根室地方におきますさんま密漁問題がどう処理されるか、関心をもつて見ておるのであります。従つてこの問題の処理のいかんによつては、われわれもある程度まで決意をして今後に臨まなければならぬと考えておるのであります。そこで、これは前例を申し上げて恐縮でありますが、こと私に関する問題でありますので、一言いわゆる民主化とかあるいは漁業秩序確立とか漁業協同組合の育成強化とかいうことについて、私がまことに申訳のないことをして刑に処せられた事実を申し上げておきます。私は昭和二十年から二十四年まで北海道漁業連合会並びにその後改組された団体の役員をしておりまして、特に事業部長として北海道漁業並びに水産製品の処理を一身に引受けて、札幌に常住してその事業に邁進したのであります。ただその当時の北海道漁業連合会の規約からいつて漁業会の役員もしくは組合長でなければ北海道漁業連合会の役員になれないという規定がありましたので、森漁業会の会長をしておつて、実際にはほとんど北海道漁業連合会の事業部長として札幌に常住しておつたのであります。たまたま昭和二十年から終戦後におきますあの食糧事情の非常な混乱、また魚も実際にとる漁夫がいなかつたという点から魚も不足し、経費と漁獲物あるいは水産製品の価格が伴わないというので、ひとり森漁業会ばかりでなく、全国の漁業会並びにその他の水産団体もしくは個人はやみを平気でやつてつた時代であります。山口判事がちようどこのやみ事件を取扱つてこれは私には処理ができないといつて餓死したというあのときであります。そこで森漁業会は一億のやみ事件として取上げられて、会長たる私が責任をとられることになり告訴されたのであります。事実はやみの問題は私が取上げたのでなくて、役員が相談の上やつたことであるから、私は責任が当然あるとは思いますけれども、刑事上の責任は何らないのであります。しかしながら検察当局は、刑事上の責任はないかもしらぬけれども、その会長たる立場において刑事上の責任を負うべきであるということで四年間裁判をしたのであります。第一審は無罪であります。ところが検事が控訴して、第二審で、私が有罪の判決を受け、三十万円の罰金を拂えるという判決を受けたのであります。そこまでに至りますにはいろいろ内容があつたのでありまして、役員は全部実刑を科されたのであります。そこで私は裁判所において、私を処罰するならば役員を一体何のために処罰するか、責任者を処罰するのであつたら役員を無罪にすべきであるという主張をして参つたのであります。そのことが承認されたか知りませんけれども、幸いにして私が三十万円の罰金を拂つて役員はほんの形式だけの罰金でその事件を済ましたという前例があるのであります。かような事柄からいたしますと、漁業会長なり現在の漁業協同組合長なりは、その指導の立場にいる以上は協同組合のなしたこと、あるいは漁民の指導者の立場にいる人たちならば、漁民のなしたこと、しかも煽動して自由出漁をさしたというような今度の事件に対しては、嚴罰に処すべきであると私は考えるのであります。従いまして私は過去において漁業会会長という立場から、その責任なしとして第一審が認めたものを、検事控訴によつて三十万円の罰金を科せられ、一犯の判を押された。こういう体験を申し上げまして、今度のさんま事件については、漁業協同組合長である川端氏に対しては厳重な処断をしなければならぬ、かように考えておるのでありますから、私の体験と実際の結果を申し上げまして御参考に供したいと思つております。
  38. 川端佳夫

    川端委員長代理 ほかに御発議はございませんか——それでは次に移ります。     —————————————
  39. 川端佳夫

    川端委員長代理 それでは漁業損害補償に関する件を議題といたします。本件に関し二階堂委員より発言を求められております。これを許します。二階堂委員。     〔川端委員長代理退席、松田委員長代理着席〕
  40. 二階堂進

    ○二階堂委員 私は連合軍射撃演習による損害補償の問題につきまして水産庁、大蔵省及び特別調達庁当局に対して二、三の点について質問をいたしたいと思うのであります。その前に私は、昨日本委員会に大蔵省の主計局の方をここに呼んでおるのでありますが、いまだに大蔵省当局が見えておられないということは一体どういう理由であるか、委員会を無視するものであると私は考えるのであるが、委員長は私の申入れに従つて、きのう大蔵省当局の方を呼ぶような措置をとられたかどうか、まずこの点を委員長にお尋ねいたします。
  41. 松田鐵藏

    松田委員長代理 主計局長の出席を求めておりましたが、けさ主計局長及び次長は司令部に行かれまして、いかんとも時間の繰合せがないということで、今佐竹主計官が大蔵省を立つておるのでありますが、まだお見えにならないのであります。おつつけ来るととだろうと思つております。それから特別調達庁財務部長川田三郎君がおいでになつております。
  42. 二階堂進

    ○二階堂委員 主計局長は司令部に行つて来られないということは一応了承いたしますけれども、私は大蔵省当局に対して嚴重な警告を発していただきたいと思う。(「主計局長は予算委員室におるよ」と呼ぶ者あり)漁民代表し、漁民の損害に対して私は真劍な気持で本委員会において質問をいたしたいと考えておるときに、今主計局長は予算委員会に来ているということであるが、大蔵省当局は本委員会を無視されて出席せられてないのか。あるいは主計局長がここに来られなければ、ほかの主計官でもおるはずであります。はなはだもつて大蔵省当局水産問題に対して冷淡である。冷淡であるがゆえにこういう事態になるのではないか、かようなことを私は痛感いたしますので、委員長から大蔵省当局に対して嚴重な警告を発していただきたいということを、私は特にお願いを申し上げておくのであります。
  43. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次は書面をもつて大蔵大臣以下主計局長を召喚しますから、御了承願います。
  44. 二階堂進

    ○二階堂委員 大蔵省の方からお見えになると思いますので、あとから質問いたしたいと思いまするが、連合軍の射撃演習によつて沿岸漁民が非常なる損害を受けておることは、二十日の委員会におきましても、同僚委員の方から当局に対していろいろ質問があつた内容にかんがみても申し上げるまでもないことであります。昭和二十一年度から二十四年度において、沿岸漁民が射撃演習等によりまして受けた損害に対しましても、相当な損害補償の要求をいたしたことは事実でありまするが、なおまた昭和二十五年度におきましても、私はこの損害の額は以前よりも増大しておるのではないかと考えるのであります。特にまた最近に至りましては、沿岸漁民にとつて最も重要なるこの海区にさらに幾多の演習区域が設定されることになりまして、これらの演習区域の問題につきましては、われわれ委員会におきましても、外務省を通し、できるならば演習区域の海区の変更をしていただきたいというようなお願いまでもいたしておるのであります。なおまた各水産県にわたりまして、当局からいろいろなる実態の調査もしていただくようにお願いをいたしたのであります。かように演習によりまする損害は、沿岸漁民にとりましては、非常に大きな問題になつておるのであります。私は水産庁当局に対しまして、昭和二十一年度から二十四年度における沿岸漁民のこうむりました損害の大体要求されておる額ほどのくらいであつたか、それに対して実際上、予算の措置を伴つて交渉された額はいかほどであつたか、まずこの点についてお尋ねをいたしたいのであります。
  45. 増田正一

    ○増田説明員 昨年の補正予算におきまして、二十一年度から二十四年度までの要求をいたしました額は、二億三千八百四十七万円でございます。これに対しまして、一億二千四百一万九千円、こういう補償額になつたのであります。
  46. 二階堂進

    ○二階堂委員 二十一年度から二十四年度の大体の補償要求額は二億三千万余りであつて、実際に補償された金額というものが一億二千何百万円であるというような御説明であります。これを見てみましても、実際に漁民のこうむりました被害というものは、その要求額は半分にも満たないといつたような状態であります。さらに昭和二十五年度における損害補償を要求しております額というものは、おそらく莫大な数字に上るのではないかと考えておりますが、現在までに、大体水産庁関係各県から集められた要求額が二十六年度の補正予算に要求されていると思うのでありますが、二十五年度における損害補償額を、二十六年度の補正予算にどのくらい水産庁は要求しておられるか、お伺いいたします。
  47. 増田正一

    ○増田説明員 お答えいたします。二十五年度の損害額に対しまして二十六年度補正予算といたしましては、三億二千九百九十二万七千円でございます。
  48. 二階堂進

    ○二階堂委員 水産庁の二十六年度補正予算の一覧表によりますと、四億四千七百万円余りの数字に上つておりますが、今課長説明の数字とはやや食い違いがあるようでありますが、いずれが正しいのか、もう一ぺんその点をお聞きいたしたいと思います。
  49. 増田正一

    ○増田説明員 お答えいたします。三億四千百六十三万八千円でございます。
  50. 二階堂進

    ○二階堂委員 そうしますと、あなたの方でおつくりになつております四億四千七百万円という特別調達庁の方に要求されております損害補償額というのは、これは間違いでありますか。
  51. 増田正一

    ○増田説明員 ちよつとお答えいたします。ただいま説明がはなはだ不備でございましたが、当初水産庁といたしまして四億三千万の要求を出したわけであります。これにつきまして特庁と打合せ中にいろいろ査定を受けおります。その分を控除いたしまして、三億二千九百万円という数字を特庁から大蔵省に要求したのであります。
  52. 二階堂進

    ○二階堂委員 そうしますと、最初水産庁が要求された額は四億四千何百万、——数字がどうもはつきりいたしませんが、特別調達庁の方で三億二千何百万円かに削つたというわけですか。
  53. 増田正一

    ○増田説明員 特別調達庁で削減されたのであります。
  54. 二階堂進

    ○二階堂委員 特別調達庁にちよつとお尋ねいたします。この削減された理由でありますが、どういう査定のもとに一億何千万円という額を削減されたか、その根拠をお伺いしたい。
  55. 川田三郎

    ○川田政府委員 おそらく水産庁の御要求の四億四千万円という数字は、二十六年度予算の当初の概計額をきめます際に申出られた数字であつて、いわゆる正式の予算要求の段階にあつたものではないと存じます。そこで三億二千九百万円という数字を先ほど御説明になりましたが、三億四千百六十三万八千円という数字が正式の予算要求額になつておりまして、私の方はその査定はしておりません。
  56. 二階堂進

    ○二階堂委員 この水産庁最初の四億四千万というものは大体の概算であつて、三億四千万円というのが水産庁から要求された額である、こういうふうにただいま伺つたのでありますが、今特別調達庁の方から報告がありましたこの三億四千万円という数字は、水産庁了解の上での金額ですか、その点を水産庁にお伺いいたします。
  57. 増田正一

    ○増田説明員 了解しております。
  58. 二階堂進

    ○二階堂委員 二十五年度の三億四千万円というこの被害の算定方式と申しますか、査定の根拠を水産庁当局から御説明願いたいと思います。
  59. 増田正一

    ○増田説明員 算定方式といたしましては、平均の漁獲数量に魚価を乘じまして、それの百分の四十二、百分の四十二と申しますのは全水揚げ数量に対しまする所得率でございます。それにさらに百分の六十をかけております。この百分の六十と申しますのは、この算定方式が失業保険法の十七條の規定を準用いたしましてつくりましたので、百分の六十と申すのは、演習の結果漁民の方々が失業状態に置かれる、こういう構想のもとに百分の六十として国の最高の給付額をきめたのであります。これは昨年補正予算のときに大蔵省、特別調達庁と協議の上決定された算式でございます。
  60. 松田鐵藏

    松田委員長代理 大蔵省主計官谷川君も来ておられます。
  61. 二階堂進

    ○二階堂委員 そういたしますと、水産庁が補償の額を査定される場合に、一体その魚価の一貫目当りの單価を、二十五年度の安本調査に基く一貫目当りの魚価を基礎に置いて算定したのであるか、あるいは二十四年度の一貫目当りの魚価を基礎に置いて査定をされたか、その点をお伺いいたします。
  62. 増田正一

    ○増田説明員 水産庁といたしましては、二十五年度の一貫目当りの單価を出しております。
  63. 二階堂進

    ○二階堂委員 大蔵省の谷川さんにお伺いいたします。今、二十五年度の連合軍の射撃演習による損失補償の査定の件についてお伺いしておりますが、大蔵省は、この損害補償の査定をなさる場合に、魚価の単価を二十四年度の魚価を基礎として算定をされておられるか、あるいは二十五年度の魚価の一貫目当りの單価を基礎として算出しておるか、その点をお伺いします。
  64. 谷川宏

    ○谷川説明員 大蔵省といたしましては、二十五年度の損失に対する補償の算定に当りましては、二十四年度の魚価を算出の基礎に置きました。その理由を簡単に御説明申し上げますと、本来、この漁業補償の算定に当りまして、その基礎にとりました考え方は、失業補償の建前をその基礎に置いておる関係上、算出につきましても、同様失業補償に準じて考えておるわけであります。失業補償の場合においては、その補償金の算出に当りましては、過去半年の賃金を元にしておりますので、今回の漁業補償の場合においても、二十五年度の損失に対しましては、二十四年度の魚価を基準にいたしたわけでございます。
  65. 二階堂進

    ○二階堂委員 そういたしますと、大蔵省の方で、二十五年度の損害補償額を、大体どの程度にお見積りになつておるか、その点をちよつとお伺いいたします。
  66. 谷川宏

    ○谷川説明員 二十五年度の損失に対する補償額といたしましては、当初予算においては五千万円、その五千万円を出したときには、朝鮮事変も間もなく終るのでなかろうかというような一般の情勢を背景といたしまして算出したのでありますが、その後、演習もなかなか終らないというような状況のもとにおいて、二十六年度の予算編成のとき以降に起りました新しい事情に基きまして、今回補正予算におきまして、さらに五千四百万円の追加を組んだわけであります。以上合計一億四百万円が二十五年度の補償の額になるわけであります。
  67. 二階堂進

    ○二階堂委員 ただいまお伺いいたしますと、大体水産庁は二十五年度の一貫目当りの魚価を単位として二十五年度の損害補償額を要求しておる。大蔵省は二十四年度の、たしか安本の価格であろうと思いますが、それを基礎に置いて算定をしておられる。そういたしますとその間に非常な差があることは申し上げるまでもないのであります。私の調査によりますと二十四年度の一貫目当りの魚価は七十三円と相なつておるようであります。大蔵省はこの七十三円という単価を基礎に置いて被害の額を査定されておる。水産庁は二十五年度の一貫目当りの單価を基礎に置いて査定されておる。二十五年度においては百七十円が一貫目当りの單価になつております。従つて実際漁民が受けた被害の査定は、大蔵省と水産庁とでは、そこに相当開きがあるということは明白なることであります。私ども漁民の立場からいたしますならば、二十五年度において実際に被害をこうむつた被害額というものは、二十五年度の魚価の単価を基礎に置いてこれを算定していただくのが当然ではないか、価格的な実際の損害に即応した被害額を見積つていただくのが当然のことではないか、私はかように考えるのであります。しかも三億四千万円以上のこの水産庁の被害補償の要求に対し、まだ確定的ではないと思いまするけれども、一億五、六千万円程度の査定を大蔵省としてしておられる。私どもは、はなはだもつてこの査定には不満の意を表せざるを得ないのであります。私は詳しい数字をここで説明するだけの資料は持つておりませんけれども、失業保険法による最高の補償を百分の六十として算定をいたしましても、一億数千万円以上の金額は出る。にもかかわらず、今承りますと一億四、五百万円程度の金額が大蔵省に査定されておる。一体大蔵省は法的根拠をどこに置いてこの差というもの、五千万円程度の減額というものを見積つておるのか、この点についてもう一ぺん御説明いただきたいと思います。
  68. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいまの御質問にお答え申します。本来演習による漁業の被害につきまして、その額をどの程度補償すべきかという問題につきましてはいろいろな考え方があると思いますが、現在の占領下におけるそのほかのいろいろな損害、たとえば進駐軍の飛行機が墜落しまして家屋が倒壊する、あるいは死者が出るというような問題もございますし、また農地の場合におきましても、アメリカ軍の演習に使うという場合に立ちのきを命ぜられる、あるいは立ちのかないまでも、晝間におきまして演習をやるという場合に、思う存分耕作がでないというようないろいろな問題があろうかと思いますが、これらをいかにして補償するかという点につきまして、現在のところお尋ねの法的根拠はございません。ただこれを何も補償しないということも不適当かと存じまするので、漁業の問題につきましては、昨年度閣議決定の次第もございましたので、その趣旨によりまして補償を続けて参つたわけでございます。その場合におきまして私どもは、その原因は対外的に與えられたのでございますが、一応漁民が漁に出られないという状態でございますので、これを失業の状態であると見まして、失業の場合における失業保険金給付に関しましては失業保険法がございますのでその失業保険法の趣旨をくみまして、その算定にあたつては、失業保険法にきめられておる基準を一応その基礎に考えたわけでございます。それによりますと、ただいま御指摘になりましたようにいろいろ基準が出ておるわけでありますが、御質問の点で少し詳しく御説明しなければいけない点が二、三あるのであります。第一に失業保険法によりますと、失業保険金の給付を受けられる期間は、失業してから六箇月を限度としております。今回の漁業補償の場合におきましては、昨二十五年度の予算におきまして、昭和二十一年から昭和二十四年までの演習による漁場の被害の補償といたしまして一億二千四百万円の支出を行つているわけであります。従いまして失業保険法をその通りやるといたしますと、昨年度におきまして昭和二十四年度分の保険金を拂つておるのでございますから、失業保険法によりますと離職してから半年は保険金をもらえますが、それ以後はもらえないということに相なるわけでございます。それでは漁民の方々にたいへん申訳ないというような考えからいたしまして、本年度も引続き継続して、失業保険法に準ずる以上の期間にわたりまして補償金を出しているような次第でございます。
  69. 二階堂進

    ○二階堂委員 私の質問をよく解しておられないのではないかと考えます。もちろん失業保険法によつて最高の額、百分の六十でありますか、これを認めていただく。これは法的な一つの基本であります。この点はよくわかるわけでありますが、その上に、その額からさらに何がしかの金を大蔵省は減額しておる。私の計算によりますと、大蔵省の査定額が大体一億五千万円程度になると考えております。ところが先ほどのあなたの説明では一億四百万円程度だ。この四千何百万円かの差額の点でありますが、これを一体どういうような法的根拠において削減せられておるのか。あなたの先ほどの説明によりますと、いろいろな考え方がある。このいろいろな考え方は何も法的な根拠によるものではない。私はここが問題だと思う。われわれをして言わしむれば、実際に損害を受けた漁民の立場を考えまするならば、たとえば二十五年度に受けた損害に対しましては、二十五年度の魚価の單価を基礎に置いて算定をしていただきたい。実際の実質的な被害に即応した、だれが聞いても納得の行くような算定の基礎をもとにしてこういう査定をしていただきたい。これがわれわれ漁民のお願いしたい点であります。にもかかわらず大蔵省はいろいろな考え方、それも法的根拠に基かないような考え方をもつて、さらに四千何百万円かの数字を削つてしまつておる。どういう理由でかような四千何百万円かの金をさらに大蔵省当局が減額しておられるのか、この点についてわれわれの納得の行くような御説明を願いたいのであります。
  70. 谷川宏

    ○谷川説明員 法的根拠は、ございませんが、一応失業保険法を土台に算出いたしておりまするので、その失業保険法をもしその通り適用いたしますならば、どうなつたかということを考えてみたいと思うのでございます。その場合に、先ほど申し上げましたように、保険金の給付を受ける期間は離職してから六箇月間ということに相なつております。さらにそれの保除金の給付の基礎になる金額は、いつの賃金麦もとにしておるかということにつきましては、失業保険法に十七條の二というのがございまして、それによりますと、賃金日額は被保険者の離職した月前において第十四條の被保険者期間として計算された——これが一年でありますが、この最後の六箇月に支拂われた賃金の総額を百八十、要するに六箇月で除して得た額とするとありまして要するに離職前六箇月に支拂いを受けた賃金が基礎になつておるわけであります。従いましてこの漁業補償の場合に、失業保険法をそのまま適用いたしますならば、たとえば二十五年度の損害の補償の基礎になります漁獲の単価と申しますのは、二十五年度の始まる以前の二十四年度の魚価がもとになるというふうに解してさしつかえないわけだと考えるのでございます。今のは單価の説明でございますが、さらにどうして三、四千万円も減らしたかという点につきましては、失業保険法の建前は、離職してから六箇月は国で保険給付を行いますが、六箇月を過ぎますと、国は何ら保険給付を行わないで、どこかで職業をさがして就業をするという建前なつておるのでありますが、漁業者の場合につきまして、これと同じように適用いたしますならば、二十四年度分について補償しておりますので、二十五年度新しく射撃によつて損害が起るという区域については別でありますが、二十四年度以降引続き演習が継続しております場所につきましては、この法律をそのまま適用するならば補償はできなくなるわけでございます。しかしそれでは非常に酷であると考えられますので、失業保険法の失業して以降六箇月という期間にとらわれることなく、さらに継続して損失の額を相当程度補償する建前にしたわけでございます。根本問題といたしましては、委員各位と御同様、私も一刻も早く、演習をやめてもらう、漁業関係のないほかの所でやつてもらうということを、関係方面に十分納得していただきまして、根本的に解決をするのが一番だと考えるのでございますが、現在のところほかのいろいろな損害に対する補償等ともにらみ合せまして、ただいまのような考えで算定いたした次第であります。
  71. 二階堂進

    ○二階堂委員 ただいまの説明で、ある程度私も了承いたす点もありますが、問題は私どもの考えております査定の方法等と、大蔵省当局のただいまの御説明せられる方法とに相当の食い違いがあるということを、一言強く申し上げておくのであります。なおこの査定等につきましても、先ほどから申し上げておりますように、実際の被害に即応した査定に基いて補償の額も決定していただきたいということを、強く私はお願い申し上げておく次第であります。  なお特別調達庁の方にお尋ねいたしたい点は、二十六年度の補正の中に、終戦処理費業務補償費という項目に、十三億七千五百万円程度の予算が計上されております。この内訳についてちよつと御説明願いたいと思います。
  72. 川田三郎

    ○川田政府委員 二十六年度の終戦処理業務費の補正増の要求の金額は、十三億七千五百六十万円五千円になつておりますが、この内訳につきましては、現在要求されておりまする損害額の資料を収集中で、ございまして、大蔵省——国庫当局との折衝がまだ済んでおりませんので、かくかくの金額に割振られるというお答えは今日の段階においてはいたしかねる次第でございます。どういう項目で業務費の補償予算が支出される見込みであるかと申し上げますと、接収されております土地、家屋等のいわゆる接収財産に対しまして補償いたしますのが第一。  第二は、その接収状況の永久性があると考えられますもの、返還する見込みが大体においてないと思われるものに対しまして買上げをしてしまう。これは一つの買取りでありまして補償とは違いますが、受けられる側から見れば、やはり補償を受けたという形になるのが若干生ずる次第でございます。第三は見舞金であります。進駐軍の交通事故とか、また漁業に関しましては、現在行われております漁業補償とは形のかわつた、例をあげますならば、のりの採取場をこわされたというようなものを見舞金で拂つております。そういう見舞金がございます。  第四はいわゆる漁業補償でありまして、軍の演習に基く損害に対しまして、その出漁制限を、金額をもつて補償する。この四つの項目について予算配賦もいたすべく現在準備中でございます。
  73. 二階堂進

    ○二階堂委員 ただいま調達庁の方からの御説明によりましても、まだ最後的予算配分の数字が決定してないということでありますので、私はこの数字がもう少し明らかになつた上でいろいろお尋ねしたい点もございますから、次の委員会に質問を譲りたいと思いますが、水産庁当局に対して一、二お尋ねいたしたい点がございますので、それを一つお答え願いたいと思います。二十五年度の損害補償額でありますが、これは一体どういう方法をもつて、いつ被害各県からの数字をお集めになつたか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  74. 山本豐

    ○山本(豐)政府委員 これは昨年度もやつたのであります。従つて水産庁といたしましては、大体関係する府県というものは一応わかつておるわけでございます。もつともごく最近に、新しい演習地の候補地でありますけれども、それの指定があつたのでありますが、一応既往のものにつきましては大体の区域がわかつておりますので、二十六年二月十二日付で、大体在来の関係は約十一県になりますが、それに対しまして、四月三十日までに調査書類を提出するようにという案内文を出したわけでございます。しかしその後、こちらの方でも大体わかつておるのでありますが、それ以外の県で新しい事項もまた発生しておるかもしれぬという懸念もありますので、手を盡す必要を感じました。それで五月十日に町村長会館におきまして、全国の水産課長会議があつたのでありますが、その会議の席上におきまして従来の経過説明いたしましたり、同時にまた今年の分につきまして、つまり二十五年度の新しく要求せんとする分につきまして、もし先ほど申しました十一県以外に該当者があれば、水産庁の経理課の方に連絡してくれということを、口頭でありましたけれども担当官から申し伝えたのであります。その二つの伝達により、大体六月の二十六日にその報告を全部集計しまして、本省の官房の会計課に提出したのであります。その後特別調達庁を経由して大蔵省に提出しまして、大蔵省に説明をいたしましたのが七月の十八日になつております。大体以上の経過であります。
  75. 二階堂進

    ○二階堂委員 大体その経過了承いたしましたが、なお各地からの報告が五月三十日までに間に合わなくて、その後来ておる県が四五県あると思つております。これは第一回にもちろん水産庁の方からの通知に接して部分的な損害の要求を水産庁に提出し、さらに追加の分があつて、期限後において水産庁の方にこれを申し入れた県も含んでおるのでありますが、千葉県、茨城県、鹿児島県、長崎県、福岡県、こういう県が後日来ておると思うのであります。これには第一回の期限内に一部分を通知してさらに後日調査漏れの分を報告した県もあるし、中には期限内において何らの報告を水産庁にもいたさず、最近になつて通知をいたしたような県もあるのであります。これらの被害も相当な額に上るものと考えるのであります。二十五年度中において実際に被害をこうむつた総額は、最初水産庁が集計をいたして特別調達庁の方に申入れをした額よりも、相当上まわるものと私どもは考えるのであります。従つて最初水産庁の要求に対し、大蔵当局の査定が非常な減額になつている。私どもはこの減額に対しましても先ほど不満の意を表明しておきましたが、なお追加漏れの分が相当ここに集まつておるのであります。水産庁当局といたされましては、この追加になつて来ておる、いわゆる第一回の締切り後において水産庁当局に被害を申し込んで来た県のこれらの額に対しまして、一体どのような措置をおとりになるつもりか、全然これを見ないというようなことになりますと、これははなはだ重大な問題になると考えますが、この点を御説明願いたい。
  76. 山本豐

    ○山本(豐)政府委員 ただいま御指摘のように、締切り以後に参りました分も若干あろうと思うのでありますが、詳しいことはあとで増田課長から申し上げますけれども、それらの扱いの問題といたしましては、これは法律に基いて締切り期限を切つたわけでもありませんし、また内容を調査しました結果他の事例と同様なものであるということになりますれば、これは当然見てやるべきであろうと思うのであります。ただ事務的な扱いといたしまして、先ほど局長の方から申出がありましたように、現在補正予算の総額も十三億何がしにきまつておるのであります。従つてこの予算の配付につきましては、予算をとるために出した関係県が直接の関係者になりまして、これも予算の額いかんにもよるわけでありますが、現在の予定しております以上に予算がとれますればもちろん、これは考える余地はあると思うのでありますが、それがなかなか事務的には困難ではなかろうか。ただいま大蔵省からのお話がありましたように、大蔵省では一億円ぐらいでこれを打切る——これは表向きであるかもしれませんが、そういうお考えもあるようであります。先ほど二階堂委員の申されましたように、失業保険法の基準というものは、これはどこまでも私は便宜のための一つのりくつであると思うのであります。結論的に申しますれば、やはりこれは水かけ論になるわけでありますが、必ずしもビンからキリまでそれに準拠してやらなければならぬというほどのものでもありませんがゆえに、ただいま便法的に六箇月に打切るべきを打切らずにやつておられますので、私はそれは程度問題であると思つております。従つて水産庁といたしましては、特調では三億何千万円というお話もありましたように、この問題はまだ最終的な決定を見ていない。従つてでき得べくんば当初の方針通り大蔵省等も御考慮ある御処断を願いたいという気持でおるのでありますが、それは集めました資料に基いての予算の問題でありますが、ただいま二階堂委員の申されたようなものも、筋から見ますれば何とか見なければならぬ問題もあると思います。それが二十六年度において無理であるとすれば、二十七年度には当然見るべきものであると思いますが、また同時に鹿児島県あたりでは、最近ルース台風の非常な被害をこうむつておりまして、できるならば早く認めてあげたいと思いますが、予算のわくの問題、事務的なそういう問題に相当困難があるということは御了解願いたいと思います。
  77. 松田鐵藏

    松田委員長代理 谷川主計官に申し上げますが、あなたの方の出席がおそいために、この問題が一番重要であるにもかかわらず、あとまわしになつたのです。十時に出席を通達してあるのに十二時になつてからおいでになるということは、委員各位は委員会をなめているのではないかといつてつているのですが、次は議長の書面をもつて出席を求めます。  そこできようは時間の関係審議を進めるわけに参らぬので、本日はこの程度でとどめて、次会は明八日午前十時より開会いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時三十七分散会