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1951-11-01 第12回国会 衆議院 水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月一日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長代理理事 松田 鐵藏君    理事 二階堂 進君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       久野 忠治君    田口長治郎君       川村善八郎君    田渕 光一君       永田  節君    平井 義一君       小松 勇次君    水野彦治郎君       佐竹 新市君    木村  榮君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整第一課         長)      高橋 泰彦君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十月三十日  漁港修築費増額等に関する請願白井佐吉君紹  介)(第五七四号)  遠別町に漁港築設の請願小川原政信君外一名  紹介)(第五七五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業法の一部を改正する法律案内閣提出第四  号)     —————————————
  2. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これより水産委員会を開きます。  漁業法の一部を改正する法律案議題として審議を進めます。  この際御報告いたします。川村善八郎君より本案に対する修正案提出されております。これは諸君のお手元に配付いたした通りであります。  ただいまより本修正案について提出者趣旨弁明を願います。川村委員
  3. 川村善八郎

    川村委員 修正案内容を御説明する前に、漁業法の一部を改正する法律案に対して、一応部長より御答弁願つて、さらに修正意見を述べたいと考えます。  まずこの漁業法の一部改正の案は、申すまでもなく去る二月十四日に総司令部より勧告があり、またかりに勧告がなくとも、日本でどうしてもこの一部修正によつて整備しなければならぬ漁業がありますので、当然漁業法の一部を改正しなければならぬのでありますけれども、その改正する法律案内容については非常に複雑多岐にわたつておる問題があるのであります。またこの法律案通りますと、それぞれ要綱を制定いたしまして、省令または政令をもつて実施に移さなければならぬのでありますが、とかくこれまで法律案通つた後の政令省令は、水産庁独自の立場でいわゆる官僚独善に陥りやすいというようなことがないでもなかつたのであります。従つて本案改正案を発表いたす前に、まず一応部長から御答弁を願いたいのは、この法律案通りました後には、いわゆる小型機船底びき網漁業処理要綱小型機船底びき網漁業減船整理実施要綱中型旋網漁業調整要綱瀬戸内海機船船びき網漁業処理要綱等を制定いたしまして、実施に移さなければならぬのでありますが、その内容にまだ検討を要する点があると思いますが、この法律案通りました後において、この省令または政令案を制定する場合においては、本委員会承認を得て発令をするかどうかということについてまずお伺いしておきたいと思います。
  4. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 川村委員のお尋ねの点は、漁業法の一部改正に伴いまして小型機船底びき並びに中型旋網また瀬戸内海の船びきという漁業に対しまする減船整理その他の処置には、必ず省令あるいは政令をもつて実施に入るので、水産庁が現在一つの案をつくつてその要綱として出してございます。ただいま申されました問題につきまして、それを決定し実施に移す場合におきまして本委員会に御相談申し上げるかどうかというお話でございましたが、私どもの考え方といたしましては、その通りにいたして実施の円滑を期したいと考えております。
  5. 川村善八郎

    川村委員 私は相談をするのではなくて承認を受けてから発令をして実施に移した方がいいのではないかという質問であります。承認を得るかどうかという問題をはつきり答弁願いたい。
  6. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 処理要綱実施について事前に委員会承認を得るということにつきましては異存ございません。
  7. 川村善八郎

    川村委員 それでは漁業法の一部を改正する法律案に対する修正案提出しておきます。   漁業法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第六十六條の二第四項中「中央漁業調整審議会」を「関係都道府県知事及び中央漁業調整審議会」に改める。  理由を御説明いたします。この法律案内容を見ますときに、農林大臣はその船舶隻数わく等を決定する場合には、ただ單に中央漁業調整審議会意見を聞いて農林大臣が定める、かようになつておるのであります。もちろん中央漁業調整審議会は民主的なものには相違ありませんけれども、最も民主的な幅を持つとするならば、関係都道府県知事意見を求め、また関係都道府県知事は、関係地区漁業調整委員合意見を求めるようにいたしましたならば、なお一層の民主化された漁業法改正になる、かように考えまして、かような修正案提出したようなわけであります。  次に附則について申し上げます。  附則第三項を第四項とし以下順次一項ずつ繰り下げ、第二項の次に次の一項を加える。 3 主務大臣が定める海域において、総トン数十五トン以上で主務大臣の定めるトン数に達しないスクリユーを備える船舶により、底びき網を使用し、主務大臣の定める漁法によつて行う漁業は、昭和二十九年三月三十一日まで小型機船底びき網漁業とみなす。  理由を御説明申し上げます。瀬戸内海並びに全国にわたるところの小型機船底びき網は三万数千隻あるのであります。このうち、約半分になんなんとする数を整理いたしまするには、相当思い切つて整理をしなければ、その整理の促進をはかられませんし、また資源維持並びに漁民の福利をもたらす将来性を持つことができないことは申すまでもありません。しかしながら実際的にこれを整理するという場合においては、第一に十五トン以上を整理するということになるのでありますが、かようにいたしますると、一箇町村にその整理されるトン数に該当する船が九〇%以上あるという所が私の調査によつて判明したのであります。かようなところを一律一体に整理をするということになりますれば、まず漁民失業者をたくさん出し、そうして漁民生活を奪うと同時に、その村なりあるいは町なり、部落なりの経済をまつたく破壊してしまうというようなおそれもないでもないのであります。従つて地方特殊事情ということを十分勘案し、やはり定められた限度内、すなわち年限内において完全に整理をするという方法をとりまするならば、漁民生活の不安もありませんし、また漁村経済を破壊するという不変もなくされますので、かように三項を加えて、逐次整理をして行くというふうにいたしたいと思いまして、右二点の修正案提出した次第であります。  以上御説明申し上げました。
  8. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次に政府原案並びに修正案一括議題として討論に付します。討論の通告がありますから、これを許します。小松委員
  9. 小松勇次

    小松委員 ただいま議題と相なつておりまする漁業法の一部を改正する法律案並び修正案に対しまして、賛成するものであります。  本法律案は、前国会以来の懸案でありました中型旋網漁業小型機船底びき網漁業瀬戸内海機船船びき網漁業整備と相まつて水産資源維持培養をはかり、もつて漁業秩序の再建を期せんとするものであることは、多くの言を見せないところでおります。もちろんこの意図するところは、何人も異論のないことと存じます。この漁業整備を円滑に実施するためには、かかつて今後の行政措置にまつものが多いのであります。従つて今回提出せられました本法律案に伴う減船整理実施要綱及び処理要綱については、さらに本委員会承認を得て決定いたすというただいまの御答弁に私は満足するものであります。従つてその要綱に基いて、それぞれ整備調整されるものではありますが、この整理減船対象となる漁船の総数、決定の標準を船舶総トン数馬力数によるだけでなく、各地域資源量見合つて整理計画を定めることが、最も合理的で適正を期するゆえんと思うのであります。しかるに整理基礎的要素である資源量科学的調査が将来に託されていることは、いささか本末転倒の感を深くするものであります。従つて資源量調査及び漁獲量の統計等不十分のため、行政措置に行き過ぎや怠慢を来し、漁民生活に悪影響を及ぼすようなことがあつては、資源維持培養とともに、沿岸漁民の直面する経済危機の打開に対し、立法の精神に反するだけでなく、あたかも角を丸めて牛を殺すのたぐいに陥りやすいことを憂えるのであります。ゆえに資源量調査については、整理計画と並行して遺憾なきを期せられるとともに、この際特に次の施策を講ぜられんことを要望するものであります。  まず整備計画を委託する都道府県知事水産庁は、一層連絡を保ちつつ指導監督によろしきを得て、漁民の納得する整備計画を決定すべきであります。漁業制度改革以来二箇年を経過したる今日、漁業権の再分配に対する紛糾がいまなお絶えざる現況にかんがみ、再びその轍を踏まざるよう特に配慮を煩わすものであります。また整理漁船に対しては、整理要綱により、救済意味を含む補助金が交付されるのでありますが、これに伴つて看過できない問題は、減船整理によつて失業する船の乗子の失業問題であります。彼らの多くは、先祖代々の漁師であり、漁師から足を絶対に洗えない者が多数であります。従つて漁船整理とともに明日からの生活に窮することは、火を見るよりも明らかであります。しかるにこの重大な社会問題に対し、何らの対策が考慮されておらないことは、はなはだ遺憾とするところであります。政府は、これらの失業救済策を真劍に考慮されて、失業補償金を交付するか、または他の漁業転換するための指導資金のあつせん等、思いやりのある施策を講ずべきであります。  次に整理漁船に交付する補助金に対する課税の問題であります。これらの漁業は、いずれも資本家漁業でなくして、零細漁業家の域を脱せざるものであります。しかるに補助金に対し、所得税、その他地方税課税される場合は、手取金は、その半額程度に減じまして、実質的には転換資金の要をも弁ぜず、かえつて漁民生活を一層不安に導く結果になるのであります。ゆえに補助金の性格によりして、整備漁船等に対する補助金は、課税対象にならぬよう租税の特別措置を講ずることが最も妥当な措置と信ずるのであります。  以上の要望附帯條件といたし、本案賛成し、水産資源保護漁民経済生活の安定に寄與せられんことをこいねがうものであります。
  10. 木村榮

    木村(榮)委員 この改正法律案賛成いたしますにあたつて、若干の希望意見を申し述べておきます。  大体こういうような改正をやつて転換漁業の問題を解決しなければならないような事情なつたのは、終戰後歴代内閣漁民対策をまつたく放棄し、その結果漁村の荒廃がその極に達して参つた結果だと思うのであります。今回の整理にあたつては、対象となる漁民の中には、なるほど一部には相当大きなものもおると考えますが、一般的にいつてあまり大したものはいなくて、零細漁民に近いようなものがたくさん包含されておると考えます。そこで單なる補償といつたふうなことでなく、相当思い切つた更生資金といつたものを與えて、将来漁村不安状態が起らないような拔本的な対策を立てられんことを要望しておきます。これが一番おもな点であります。  そのほか特に要望いたしたいことは、一般の漁民従業員補償という点があまり明確になつていませんので、こうした点を明確にしていただいて、十分の補償のできますような措置をやつていただきたいということ、それから水産庁が出しておりますいろいろな転換内容を見ると、中には運搬船方向転換するといつたことが書いてございますが、運搬船なんかに改造いたしましても、結果的にはそううまく行かないということは、私は過去の経験上わかつておりますから、こうした形式的なことにとらわれないで、ほんとう転換できるような方法をこしらえなければならぬ。ただ文章の上だけではりつぱになつておつても、実際問題としては縮小できないということを考えますので、こうした点も特に御注意願いたい。  それからさつき川村委員からも申し述べられましたが、将来——水産庁要綱をたくさんこしらえられますが、そんなことを言つては、はなはだ失礼ですが、巷間伝えるところによれば、現在の水産庁は、大洋漁業その他大資本政府内の出先機関にすぎないといつたことが、私たちの耳にも相当入つております。そういつた状態の中で要綱ができますと、本日までの御説明では、相当納得の行くようなことが申し述べられておりますが、実際の実施にあたつては、相当お約束が守られないという危險性もあると考えますので、こういつた点は、この委員会でお約束になつた通りに、必ず実施してもらいたい。そうしませんと、漁村に大混乱が起る。現在でさえも漁村ははなはだ困窮しておる。この上三万そうにも及ぶような船が整理対象となることは、さつきお話があつたように、特定の村ではそのために全村が生産手段を奪われるといつた場合には、まつたく困難な状態が起ると考えますので、こういつた点も特に御留意願いたい。  それからもう一つの重大な点は、私たちの主張でもございますが、こういつた沿岸底びき三万そうといつたものが終戰後発生いたしまして、沿革の小さな漁場をめぐつてお互い同胞同士が血を流すようなけんかをして、漁場を相争うというような事態は、敗戰の結果日本が多くの漁場失つたといつたことに相当大きな原因があると思う。こういつた原因を根本的に解決いたしませんと、ただ單に消極的に整理をやつて、それで解決するのだというふうなことだけでは、将来性がないと私は考える。そういつた意味で、最近はアメリカ、カナダ方面との漁業協定も云々されておりますが、と同時に、われわれといたしましては、どうしても北洋並びに東支那海方面における漁業について、中共、ソビエト同盟漁業協定を結んで、この方面に平和的に、合法的にどんどん出漁するという状態へ、急速にこの水産委員会あたりが御活躍を願いたい。これをぜひこの際お願い申し上げたいと考えます。  いろいろ申し上げたいことがございますが、大体わかつた問題でございますから、以上申し述べて賛成いたしますが、最近私の方の県などの情報を聞きましても、まつたく漁村窮乏状態は驚くべきものである。徳川時代文献を見ますと、災害の年には漁民はおおむね餓死した、農民は草を食つて辛うじて生きたという文献もございます。まつたく今度の台風地帯を見ますと、かつて徳川時代のような状況に追い込まれるような危險性さえある。別個に災害法案が出ますが、そういつたことも御勘案の上、漁村は現在日本においては最も窮乏した事態であるということを頭に置いて、ただ單なる補償ということでなくて、ほんとう漁村をこの機会に復興さして、かつての、戰前のような漁業の方内に急速に返して行くというくらいの覚悟でやつていただきたいということを、特に希望いたしまして賛成いたします。
  11. 石原圓吉

    石原(圓)委員 根本において賛成するものでありますが、この法案なるものがほんとに理想的に実行できぬ限りは、日本沿岸漁業は壞滅に帰すると思うのであります。この議論は長く続いておるのであつて水産庁当局は、いかなる整理案ができても、水産常任委員会は、合理的である限りには、最小限度の最も窮屈なる整理案でも賛成するということは、確かに認識しているはずであります。しかるにもかかわらず、毎度その案がなまぬるく、不徹底で、情実に満たされた案か出て来るのでありまして、このことは職を水産庁に奉じている当事者として省みなければならぬと私は思うのであります。今回の台風で四国、九州、山口等では、あの被害のために船を失つた。その失つた船を補充する上からも、この問題は重大なる関連があつて当局は特別な考慮を払わなければならぬ。その時代にありながら、依然として優柔不断な、運動によつて左右されるような案を立てるということは、ほんとうにその職に安んじておられるかどうかということを、私は深く考えさせられるものであります。こういう状態にありまして、私は、この案が不徹底であるけれども、先刻提案者川村委員よりの質問に対して、松任谷部長答弁を信じ、そして施行の細則等については必ずこの委員会承認を得るということをかたく信じて、もしそれを実行しない場合には、これは一切無効であります。無効ということを確かに承認の上で私はこの案に賛成するのでありますが、元来どうして当局はさように優柔不断なのであるか、少くも三重県の沿岸においては五馬力でも承認するのであります。また瀬戸内海の十馬力その他、それぞれほんとうにこれをやらなければならぬという根拠のある立論から出て来たものである。それをあなた方がぐずぐずとようものをきめないということは、一体その職責を御存じなのかどうか、私は遺憾にたえないものであります。こういう状態のもとに、日本漁村で今一番困つておる、一番重大な底びきの減船ができないということになれば、われわれは、水産のことに携わつておることがわれわれ自身にはずかしくなるのである、責任を大いに感ずるのであります。それであるから、当分というようなことは絶対に私は排するのであつて、いかに長くとも二箇年以内に完全にこれを施行すべきである。それをしなかつたらただはおかないという決意があることを御承認の上でなされんことを望むものであります。  以上の要望條件を付して本修正案賛成いたします。
  12. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。まず修正案について採決いたします。本修正案通り決するに賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  13. 松田鐵藏

    松田委員長代理 起立総員。よつて修正案は決定いたしました。  次に修正部分を除く原案について採決をいたします。ただいま決定いたしました修正部分を除く原案賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  14. 松田鐵藏

    松田委員長代理 起立総員。よつて本案修正議決せられました。  なお本案に対する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 松田鐵藏

    松田委員長代理 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  16. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次に旋網漁業調整要綱について水産庁当局より説明を求めます。
  17. 木村榮

    木村(榮)委員 その前にちよつと一言質問したいことがあります。このたびのルース台風による損害ではございませんが、漁村に対する災害援助といつたものが相当問題になつておるようでございます。その方の経過を、もし自由党の方で何か政府の方の様子がおわかりになつたら、県から相当陳情が参つておりまして、返事をやる関係もございますので、もし判明しておりましたならば、あとでもよろしいですからお話をしていただきたい。
  18. 松田鐵藏

    松田委員長代理 わかりました。それは今この要綱を御説明願つていろいろと審議されたあとから御説明申し上げます。
  19. 高橋泰彦

    高橋説明員 旋網漁業につきましては法律案にその大要が書いてあるのでありますが、通過後におきます水産庁考え方としては、お手もとに配りました旋網漁業調整要綱という案を中心に考えておりますので、一応説明させていただきたいと思います。  第一 目 的    旋網漁業の現勢力圧縮整備し、漁業経常多角化協同化への転機に対処しつつ漁獲資源を見合う適正操業力の探究と、他種漁業との調整を考慮して、斯業の経営の安定と、健全な発全を期し、併せて沿岸沖合漁場全般にわたる漁業総合秩序確立に資せんとする。  第二 方 針   一 旋網漁業の定義を明確にして、勢力増加を抑制するため、各都道府県毎の許可し得る枠付指揮を行い、一部直接大臣許可漁業として、海区制を実施する。   二 旋網漁業の将来の在り方を明確にするため、漁獲資源漁業経営に関する調査研究実施する。   三 漁業取締の完全を期するため、実行可能な方途を講ずる。  第三 定 義    この要綱において旋網漁業とは、船舶により旋網を使用して営む漁業をいい、次の四種類に分類する。   一 小型旋網漁業とは、船舶総トン数五トン未満船舶綱船をいう。以下同じ。)により営む旋網漁業をいう。   二 中型旋網漁業とは、船舶総トン数五トン以上六十トン未満船舶により営む旋網漁業をいう。   三 指定中型旋網漁業とは、農林大臣の指定する海区(以下「指定海区」という。)において船舶総トン数十五トン以上の船舶により営む中型旋網漁業をいう。   四 大型旋網漁業とは、船舶総トン数六十トン以上の船舶により営む旋網漁業通称米国式巾着網漁業を含む。以下同じ。)をいう。  第四 要 領   一 小型旋網漁業に対する措置    小型旋網漁業については都道府県知事(以下「知事」という。)の許可制とし、知事の権限内で処理せしめるも、本要綱趣旨に準じ、圧縮整備方向指導する。   二 中型旋網漁業に対する措置     (枠付)    1 中型旋網漁業については知事許可制とするが、知事許可し得る総枠(統数及び合計総トン数、但し、網船が無動力のもにのついては統数のみ。以下同じ。)を枠付けする。     (枠付方針)    2 神付方針は、別途定めるも、一応現有許可数基準として、極力圧縮整備する。     (船舶総トン数最高限度)    3 農林大臣は、共通の事情をもつ海区毎に必要に応じ網船船舶総トン数について最高限度を定めることがある。     (禁止区域及び禁止期間調整)    4 農林大臣は、漁業調整上必要があると認める場合は、知事が定めた禁止区域及び禁止期間について更に調整する。     (漁具漁法制限禁止)    5 資源繁殖保護漁業取締、その他漁業調整上必要がある場合は、漁具漁法について制限又は禁止することがある。     (入会操業調整)    6 中型旋網漁業における複雑な入会関係については、特に必要な場合に限り、農林大臣がこれを調整する。     (報告書提出)    7 農林大臣は、知事又は許可受有者に対し必要な報告書提出を命ずることがある。   三 指定中型旋網漁業に対する措置     (漁業許可及び適用海区)    1 指定中型旋網漁業については、農林大臣許可制とし、これを実施する指定海区として、自然的條件及び現在の操業実態基礎にして次の通り区分し、海区制を実施する。     イ 北部太平洋海区      青森県沖合から千葉県沖合にわたる太平洋     ロ 中部日本海海区      石川県沖合から兵庫県沖合にわたる日本海     ハ 西日本海海区      鳥取県沖合から長崎県対馬沖合にわたる日本海     (許可定数)    2 指定海区ごとに、夫々許可する統数定数)を定める。これが定め方については、別途許可方針によるが概ね現状を基準として圧縮整備する。     (新規許可)    3 統数増加を伴う新規許可は、原則として認めない。但し、新たに許可を受けようとする者が、関係の深い沿岸漁業者の真の協同化による転換の場合に限り、当該地域特殊事情勘案の上、これを認める。     (船舶総トン数最高限度)    4 農林大臣は、漁業調整上必要な場合に指定海区毎に船舶総トン数最高限度を定めることがある。     (船舶規模大型化に対する制限)    5 許可を受けた者が、代船又は船舶の改造により船舶総トン数増加しようとする場合は、他の許可船によつて補充する以外は認めない。     (操業区域制限)    6 指定海区内に係る指定中型旋網漁業許可を受けた者の操業区域は、原則としてその海区全体であるが、現勢操業力が既に過剰である海区については、関係府県の実情を勘案して操業区域制限する。なお、この過剰の分については、他海区への入金操業について考慮する。     (禁止区域禁止期間)    7 禁止区域及び禁止期間については、既に関係府県において定めたものを基準として更に統一的に調整して定める。     (漁具漁法制限禁止)    8 資源繁殖保護漁業取締、その他漁業調整上必要がある場合は、漁具漁法について制限又は禁止する。     (各海区における特殊事項)    9 指定海区において関係府県の実情を勘案して、特に左の事項について考慮する。     イ 北部太平洋海区においては火光利用による操業を禁止する。     ロ 中部日本海海区における主たる漁獲物をあじ、さばに限定し、且つ、火光利用による操業を禁止する。     ハ 西部日本海海区における主たる漁獲物をあじ、さばに限定し、漁期、漁場により火光利用による操業を禁止することがある。   四 大型旋網漁業に対する措置     (漁業許可)    1 大型旋網漁業については、農林大臣許可制とする。     (許可定数)    2 大型旋網漁業については、一応現勢統数をもつてその定数として、新規許可は認めない。     (操業区域及び禁止区域)    3 操業区域は原則として全国一本とするが、他種漁業、就中、他の旋網漁業との調整上、大巾な禁止区域を設ける。   五 資源等の調査研究に関する措置     (漁場等の緊急調査)    1 急速に態勢を整備せんとする本施策の裏付として、漁場、漁況、海況等につき緊急調査実施し、諸施策の適正を期する。     (資源量の計画的調査)    2 資源量に対する適正操業力の究明に資するため、海区毎、又は主要資源毎に、計画的な科学的資源調査実施する。     (経営調査)    3 本漁業経営の安定に資するため、経営に関する具体的な事項について調査研究する。   六 漁業取締に関する措置     (取締力の強化)    1 水産庁自体の取締能力の強化を促進すると共に、海上保安庁等他取締官庁とも連絡を密にし、漁業取締力の強化を図る。     (自粛態勢の強化)    2 漁業取締の完全を期するため、関係府県、並びに関係業者と随時協議会を開催し、その自粛態勢を強化する。  第五 措 置   一 本要綱実施に必要な関係法令を改正し、省令を制定する。   二 旋網漁業に関する諸問題の民主的解決を図り沖合漁業調整方式を確立するため調整機構の設置を図る。 以上であります。
  20. 木村榮

    木村(榮)委員 ちよつとお尋ねします。たとえばこういう場合はどうなるのですか。大きな会社が小さい会社を買收した場合は、その小さい会社が持つておりました統数は、そのまま大会社に引継がれますか。そういう点はどうなるのですか。
  21. 高橋泰彦

    高橋説明員 御質問の点は、具体的な事例で解釈は少し違つて来ると思いまするが、それぞれの具体的な場合についてまだはつきりきまつておりませんで、その要綱説明につれて御意見を聞きながら、きめて参りたいと存じます。
  22. 木村榮

    木村(榮)委員 ではたとえば山陰方画の実例を一応申上げますと、大洋漁業が最近やつて来まして、山陰水産のようなものを買收するわけなんです。買收いたしますと、今までのような貧弱と貰いましようか、ボロ船ではなくて、優秀な船を持つて来てやつつけますから、漁獲も多くなれば、大体その成績も上る。そういたしますと、その付近の漁業協同組合の連中がやつておりましたものは、相当大きく圧迫を受けまして、まつたく困つておる現状になつております。そこであの方面の傾向を見ますと、小さいような会社、または特定の個人の大きいものは、この際大洋漁業の方に買收された方がかえつて得だ、こういつたような傾向が出でおりますので、大きなものがどんどんやつて来て買收しますと、小さい者が持つておりました許可区域や綱の統数がそのまま向うへ行きますから、海区や統数は同じようでも、操業いたしますと、実際は成績は違つて来ます。そういう点をどういうふうに御調整になるかということをお聞きしているわけであります。
  23. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 ただいま課長からお話申し上げました通り旋網漁業許可方針につきましては目下検討中でございまするが、大体の方向といたしましては漁業法の、たとえば免許の場合におきましても、適格船優先順位といつた場合において集中的な経営関係を排除して、なるべく多くの漁業者が操業の機会を持つというような処置の方向で進んでおりますので、そういつた許可制度の場合におきましても漁業法趣旨を生かしまして、その方向で進んで参りたい、かように考えておる次第であります。
  24. 木村榮

    木村(榮)委員 実際問題に当面した場合に、適当な処置をやるということでございまするが、きようはこの程度にいたしまして、今後具体的な事例を持つて来てやりたいと思います。  もう一つこれと関連いたしまして、小さい会社が地域的に合併して操業をやるというようなことも起つて来ると思うのですが、そういう場合、この要綱ではどんなふうに御処置なさるのか伺いたい。
  25. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 お尋ねの点につきましては、具体的のケース自体がいかなる場合か、幾種類もあるように考えられますが、たとえば一つ旋網の企業を数個の小さな会社が協同経営していたのを合併して、相当の規模の会社に直して経営をするというような場合でございますとか、二つくらいの小さな会社がおのおの旋網をやつておりましたのを合併しまして、二箇統をその相当の会社で経営する場合、それから数箇統の旋網をそれぞれ小さな会社がやつていたのを、合併した会社が今度は大きな規模の旋網事業でやるような場合、いろいろあると考えられますが、最後の場合を除きまして、大体現在の他の許可の問題におきましてもそれは認めて参つておるのでございます。
  26. 木村榮

    木村(榮)委員 たびたび大洋漁業を引合いに出すようで気の毒ですが、大体調査してみますと、最近では大洋漁業などの日本海方面におけるやり方は、小さいのを買收するのはめんどうくさいから、もう少しまとまつて来いというような傾向が出ておるらしいのです。その関係で、業者が買收される目的をもつて相当まとまつて、條件をつけて買收されて行くといつたふうな傾向も将来起つて来るのじやないか、そういう点をこうした要綱でよほど明確にされませんと、結果的には沿岸漁業協同組合なんかに結集していますような業者を助けようということの裏をかいて、大漁業が巧みに自分の漁場を独占する傾向になると思うのですが、そういう点を、きようだけで終るわけではないと思いますから、この要綱審議いたします過程において、よくわかるようにいろいろな資料をそろえておいていただきたいと思います。
  27. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この内容をお尋ねするに先だちまして、米国式きんちやく網はトン数を最大限何トンまで見ているということの方針がありますか、それと、今回十七、八隻が試験中であるが、この試験の成績及び今後のそれに対する方針はどういうことになつておりますか、これを伺いたい。
  28. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 米式きんちやく網につきましては、お話通り現在試験操業を許して、操業しておりますのが十八隻と聞いております。大体かつお、まぐろを半年ずつやるようなことで試験を継続しておるのでございますが、通年操業をするというような意味合いにおきまして、多少沿岸沖合いとの関係調整を必要とする点も見えておるようでございます。一つ一つの米式きんちやく網漁業船の実績につきましては、資料を持ち合せておりませんので、資料をつくりましてあとで御説明申し上げたいと思つておりますが、大体以上のような点が問題になりますので、この旋網要綱にもございますように、大型旋綱漁業につきましては新規な増加を一切禁止しようという方向で、しかも沿岸沖合との漁業調整を考えまして、禁止期間なり、あるいは禁止区域設定のことで慎重に考えて参りたい、かように存じております。
  29. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この大型米式きんちやく網については、水産研究所が奬励した形跡があると認めるのでありますが、水産研究所なるものは、水産庁直属のものではないけれども、国の水産拡充振興のためにできた一つの機関であつて、そのものが奬励した。その結果がうまく行かない。現実に、沿岸漁業者が奬励されて始めたものはみな失敗に帰しておる。これに対しては政府は相当責任があると思うのでありますが、これに対してどう考えておるか。それからまた十七も十八も許した経路については、資本漁業へ知らぬ間に試験とか研究とかいう名目のもとに許したようであります。そのものは大方失敗に終つたので、沿岸漁業者が失敗したのよりはよかつたかもしれない。けれどももう足かけ三年になつておるが、いまだ方針が立たないということは、他の利害関係漁業者に非常な不安を與えるものであります。であるから、水産研究所が奬励勧誘して沿岸漁業者が企画した大型米式きんちやく網の失敗に対して、何らかそれに対する対策を考えてやらなければならぬと思います。それからまた資本漁業関係に許したものは、失敗を知りつつも辛うじてやつておる。やつておることは他の漁業を妨げる。たとえば一応網に魚をのつけるけれどもそれが逃げ出す。逃げ出すときには血を吐いて逃げ出す。そうなつたらもう餌にもつかない。それが今度は魚群の来襲というか、密集に大きな関係を持つ。こういうことは非常に重大な問題であつて政府はその関係調査しておるかどうか。また調査をしておらないということは怠慢だと思うのでありますが、それらのことの経過はどうなつておるか。
  30. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 米式きんちやく網の問題につきましては、終戰直後において、当時アメリカにおける能率的な漁法の導入という点が問題になりまして、米式きんちやく綱の紹介があつたわけであります。それに対しまして、全国の漁業者の中で非常に米式きんちやく網を希望しておられた方々が多かつたのでありまして、これを何とかわが国でもやつてみたいというようなことであつたわけであります。御承知の通り五、六十人も要するような操業を、機械化された漁業で十五人くらいの程度でやるというような、はなはだ能率的と申しますか、合理的な近代化されたような漁業でございますので、当時のいろいろな情勢からいたしまして、わが国の水産業者の中で米式きんちやく網を操業してみたいというような希望者の方があつたのであります。そこで水産庁の立場といたしましては、沿岸沖合漁業との調整の問題、さらに外洋漁業との関係というものを考えまして、将来これを無軌道に許しますと問題を起すであろうというような見地から、どうしてもこの米式きんちやく綱を導入する上について、一、二年試験操業でもやらしてその結果を見て規制しようじやないかということを考えた次第でございまして、試験操業という名目で現在十八隻操業を見ているのでございます。しかももう二、三年の成績が出ておりますので、制度的にこれを規制する時期でもあると思われますので、ここにございますように旋網漁業調整要綱の中に、大型旋網漁業といつたようなものに含めて規制するというようなことを考えているのでございます。  なおお話のございました水産研究会がこの問題を取上げて研究をしているというようなことでございますが、その通りでございます。水産研究会におきましてもこの米式のきんちやく網漁業というものがわが国の漁業経営上どういうような地位を占めているか。それから事業能率の向上等について、アメリカと違つたようないろいろのくふうを要するのではないかというような点につきまして、いろいろ研究をやつているのでございます。
  31. 石原圓吉

    石原(圓)委員 米式きんちやく綱というものが、初めから米式そのままならば日本沿岸海洋ではいけないということはわかつておつた。なぜならば、アメリカのきんちやく網を操業する水面はおおよそ無風状態であります。無風状態沖合いで、従つて無風状態であるから波が立たない。波も風もないから操業がやりやすいというところを根拠にしてできた漁法であります。それを日本の近海のような、かつおでもまぐろでも少しさざなみが立つていて、海面が荒れて来なければ漁ができない、魚が集まつて来ないという漁場において、アメリカの漁法をそのままにやつても、波も高いし風も強いわけであるから、そのままでいけないということはわかつておつたはずである。それをやらしたということは大きに政府の無責任だ。そういうやり方で二、三年やつて、そのままそれを改善を加えることもなく、またその方針をどうとるということもなく荏苒とやつているということは、これはすこぶる緩慢なことであつて、これはやめてしまうとか、やめないのならば、政府が大きな犠牲を払つて、荒波でも強い風でも耐えられるような漁法を與えてやらなければならぬわけである。かりにそれでうまく行つても、そうなると今度は数千隻のかつお、まぐろをつる漁業者との摩擦相剋はどうなるか。このことについてどう考えておるか、ぼくは水産庁においてはさような考えを持つてつておつたことは絶対にないと思う。今太平洋の大きな問題になつておる漁業協定も、かつお、まぐろの一本つり、延べなわこれが困難になつておる。それに脅威を與えるような米式きんちやく綱を政府が奬励する、しかも米国のそのままのものを持つて来て日本でやれというようなことなら、何事をやつてもだめだと思う。この問題についてはさらに真劍な檢討を加え、どつちかの処置を急速にすべきであると考えるのでありますが、その点に対しでどういうお考えを持つておるか。  なおまた太平洋の千葉県以西のものに対しては、全然知事許可権をまかせておるようでありますが、この場合において大型の許可制度は農林大臣が與える、そして千葉県以西の各県は知事が中型小型は許可を與える、この間に摩擦相剋が起らないか、それに対してはどういう考え方を持つておるか、お尋ねしてみたい。
  32. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 問題の第一点の米式きんちやく網漁業の検討を要するという問題につきましては、石原委員お話通りでございまして、水産庁といたしましても十分検討の上、誤りなきを期して参りたい、かように考えておる次第でございます。第二点の中型旋網の処置と大型旋網の処置といろいろ混乱しはしないかというお話でございますが、この要綱にもございますように、中型旋網のうちで指定された海区については農林大臣、または知事農林大臣のわく内で許可を與えて行くということでございますし、大型旋網漁業につきましては農林大臣が直接やることによりまして、双方の調整操業区域の問題、あるいは禁止区域禁止期間といつたようなところではつきりと線を引いて参りたいと考えておるのであります。
  33. 石原圓吉

    石原(圓)委員 これで一応質問を打切りますが、同じ中型、小型、の許可を、千葉県を境として中央に許可権を持つ、地方長官に與えるというようなことについては、これは統一した方法でないと私は思うのであります。何か現実の困難のために、水産庁は安易な扱いやすい処置をここに編み出して来たのではないかという感がするのでありますが、その点は他日意見を述べます。これでやめます。
  34. 川村善八郎

    川村委員 私は第三の定義についてお伺いいたします。大体定義は四種にわけています。小型旋網漁業中型旋網漁業指定中型旋網漁業大型旋網漁業の四つにわけておりますが、小型の五トン未満のこうした旋網については、漁具の長さがどのくらいあつて、幅がどのくらいあるか。トン数はわかりますけれども、あとの方に漁具制限という字を使つておりますので、まず網、漁具の幅は何間、長さは何間、あるいは何ひろといつたようなことについて、今まで使つている漁具の長さは、常識的にどういうふうに考えておられるか。  それから中型とはトン数五トン以上六十トン未満ということで、これもトン数だけ出ておりますがこれは五トンと六トンとではしろうとが見ただけではとても区別がつきません。極端なことを言えば、五トン一分から中型に入るということになりますが、その五トンと十五トンの間における網、漁具の幅が——そういう十五トン未満の指定に入らない中型の網、漁具の幅及び長さはどういうものを使つておるか。  それから第三の問題は、指定中型漁業とは、農林大臣が指定する海区だ、この海区の点はわかりますが、その指定という場合において、大臣がかつてに都合によつて指定をする場合があるのではないかということもこの要綱を見ると考えられるわけでありますが、指定する場合に、一体どういう機関にはかつて指定をするか。もし地元が指定をされた場合、たとえば北海道が指定をされて、北海道が反対した場合には、一体どういうふうな処置をされるのであるか。大型については、今石原先生が言われたように非常にわれわれも考えなければならぬ。というのは、いわゆる大型が他の漁業に非常に大きな影響を及ぼし、また旋網漁業にも大きな影響がある。たとえて言えば、さきに私が聞いたところによりますと、北海道において中型とかあるいは小型が巻いておる所を大型がまた全部巻いて行つてしまうという例もあるし、またその大型の巻かれたあとに行くと小型、中型というものはまつたく漁業をすることができないというようなことも聞いておりますが、その辺の調整等につきまして、どういうお考えを持つておられるか承りたいのであります。
  35. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 第一点の網、漁具の大きさ、幅等の問題につきましては、ただいま資料を手元に用意して参りませんでしたので、あらためて資料をつくりまして御説明申し上げたいと思います。  それから海区の問題の設定手続をどういうふうにやるかというお話でございますが、ただいま川村委員から申されたようなことで、実際の手続は省令によるわけでございまして、省令をきめます場合には、中央の漁業調整審議会並びに関係都道府県意見を聞いて、この指定海区の設定が行われる。このように省令の形でもつて行われるということを予想して準備しておるのでざいます。手続きはそういうふうに考えております。  なお中型、大型の旋網と小型の旋網との調整の問題についてどう考えるかという御質問に関しましては、操業区域等に関しまして、禁止区域の設定その他の処置によりまして、さような競合が起らぬように調整して参りたい、かように考えております。
  36. 川村善八郎

    川村委員 網、漁具のことについては資料がないからと、こう言うておりますが、ここが一番根本の問題になる。あるいは釈迦に説法かもしれませんけれども、旋網というものは主として海の深さに相当支配される、あるいはその魚族によつて網の長さ、幅等を持たなければならないというようなこともあるので、県において設定するにあたつては、どういう網、漁具を使うのか、一体小型の五トン未満とか、あるいは中型にしても、どういう綱、漁具を使つてしるということをはつきりここに明示願わなければ、ただトン数だけできめるということは、地方的にいろいろな事情があるので、容易でないのじやないか、かように考えますので、ごく近い委員会において、どういう網、漁具を使つているか、詳細な資料をお出し願いたい。  次にわく付の問題であります。中型旋網知事許可制とするが、知事許可し得る総わくをきめ、一部農林大臣がきめるということがここにあるようでありますが、この網、漁具の問題がきまらなければ、ただ單に船数でもつてきめることははなはだ危險性がある。先ほど御答弁をいただいた問題についても、早く資料を出してもらわなければこれはきめられない、かように考えておりますので、それも関連して、いわゆるわく付の問題等も、ただトン数と隻数でわく付をするか、漁具その他を勘案してわく付をするかということの資料をお出し願いたい。
  37. 永田節

    ○永田委員 先ほど私中座いたしましたので、あるいは石原委員質問と重複するかもしれませんが、その辺は委員長におまかせいたします。通称米国式巾着網漁業のことでありますが、これらの漁法は主として資本家の企業になるものであります。この大型の米国式かつおのきんちやくを禁止する御意向は水産庁にございませんか、お伺いいたします。  それから、魚族の枯渇いたしております今日、沿岸漁民生活保護し、漁業の民主化をはかる上から行きまして、漁業協同組合の育成ということが叫ばれているのでありますが、たまたま先ほど共産党の木村委員から御発言がありましたごとく、大洋漁業の今日の行き方は、沿岸漁民を圧迫するというふうにわれわれは考えられるのであります。漁獲においてはただちに沿岸漁民に影響のあることでありますし、さらにまたきわめて合理的な企業によりまして、一方においては魚価をつり上げまして、そのために将来日本水産業界において大洋漁業独占というふうな傾向が現われておりまするが、この会社の方針が、沿岸漁業に及ぼす影響ということについて、水産庁はいかようにお考えになつておられるか、御意見を承りたい。  その次は、この旋網漁業調整要綱の中に中部日本海海区というのがあります。これは石川県沖合いから兵庫県沖合いにわたる日本海、かようになつておりまするが、文章の上から行きますと、石川県沖合いから兵庫県沖合いというと非常に広いような感じがいたしまするけれども、地図によりますときわめてこの海区は狭いのじやないか、かように考えますが、一応これでよいのか、水産庁にお伺いいたします。  それから最後に、旋網漁業に関する諾問題の民主的解決をはかり、沖合漁業調整方式を確立する意味におきまして、調整機構の設置ということがうたつてございますが、この内容もあわせて御説明を願いたいと思います。
  38. 松田鐵藏

    松田委員長代理 この際皆さんにお諮りいたします。石原委員、永田委員から発言されておるかつお、まぐろの旋網の点については、相当議論があるようでありますから、これは旋網業者の団体の方々または一本ブリの業者の方々の意見を、近い機会において懇談をしてよく聞いてみて、それから結論を出したいと思いますから、その点でひとつ御了承を願いたいと思います。
  39. 永田節

    ○永田委員 水産庁の方からその点について何とか答えてください。
  40. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 かつお、まぐろの旋網については、ただいま委員長からのお話もございましたように、水産庁といたしましても、研究しました上で善処することにいたしたいと思います。  それから第二の御質問でございます資本漁業会社が、沿岸漁業に相当圧迫を與えるというような問題につきましては、先ほどお答え申し上げました通り沿岸沖合いの漁業というものも、なるべく多くの漁業者に操業の機会を與えるというようなことで、漁業法そのものにおきましても不当なる集中を排除するというような関係にもなつておりますので、さような趣旨に反するようなものにつきましては、それは認めて行かないようにいたしたい、かように考えておる次第であります。  それから第三番目の中部日本海海区の問題でございますが、永田委員の御質問は、狭過ぎるではないかということでございますが、この旋網調整要綱は、要するに現在の旋網状態を一応オール・ストツプする、その上で必要な規制を加えるというような能勢になつておりますので、現状調査に基きましてこの程度の海区を一応指定することが、将来の調整関係の上において必要ではなかろうかということで制定したのでございまして、この点も先ほど川村委員にお答え申し上げましたように、中央漁業調整審議会なりあるいは関係府県の意見を聞いて検討をいたすことになつておるのでございます。水産庁といたしましては、一応この範囲が妥当であろうということで原案がつくられておるのでございます。  なお第四番目に永田委員の御質問になられました旋網漁業に関する調整機構の問題でございますが、これは御承知の通り、現在の海区漁業調整委員会なりあるいは連合海区調整委員会といつたような制度では、旋網のように数府県入会うような問題、しかも沖合い操業の形で海区漁業調整委員会との関係が明瞭に規定できないような問題もございますので、これは何らか適当な、民主的な調整機構をつくる必要があろう。たとえて申しますれば、関係府県の業者が集まつた協議会といつたようなものでもつて、この調整を民主的にはかつて参るようにしたらどうだろうと考えておるのでございます。
  41. 松田鐵藏

    松田委員長代理 水産庁もさつぱり資料が整わないようで、委員各位の質問に対してまちまちのようでありますから、次の委員会までにしつかり資料を整えて答弁させることにいたします。  本日はこの程度で散会いたします。     午前十一時五十七分散会