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1951-10-30 第12回国会 衆議院 水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月三十日(火曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長代理 理事松田 鐵藏君    理事 二階堂 進君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    田渕 光一君       永田  節君    福田 喜東君       小松 勇次君    水野彦治郎君       木村  榮君  出席政府委員         水産庁長官   藤田  巖君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整第一課         長)      高橋 泰彦君         専  門  員 徳久 三種君 十月二十九日  委員上林與市郎君辞任につき、その補欠として  田中織三進君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十月二十七日  漁業資材対策に関する陳情書  (第二五一号)  漁業手形制度法制化に関する陳情書  (第三〇八号)  地方水産試験傷振興に対する国庫助成陳情書  (第三二〇号) 同月二十九日  漁区制限の廃止に関する陳情書  (第三二三号)  漁船保険制度改革に関する陳情書外三件  (第三三九号)  他府県よりの機船底びき網の入漁禁止に関する  陳情書(第三四二  号)  合成繊維漁網綱普及促進に関する陳情書  (第三七四号)  同(第三七五  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  漁業法の一部を改正する法律案内閣提出第四  号)漁業取締に関する件     ―――――――――――――
  2. 松田鐵藏

    ○松田委員長代理 これより水産委員会を開きます。  漁業法の一部を改正する法律案を議題といたします。小型機船底び網漁業減船整理実施要綱について水産当局より御説明を願います。高橋課長
  3. 高橋泰彦

    高橋説明員 小型機船底びぎ網減船方法については、先日来お手元まで資料を差上げてあるのでありますが、その後十五トンの制限をある程度経過期間を設けたらどうかというような御意見もあり、従つて処理要綱、それから減船整理実施要綱等についても一部の修正が必要となりましたので、本日お手元に差上げました資料につきまして説明いたします。  まず小型機船底び網漁業処理要綱でございます。   小型機船底び網漁業処理要綱   以東底びき総合的基本対策要綱の  実施に伴う小型機船底び網漁業の  整備調整については、本要綱により  処理するものとする。  一 一般事項  一、この要綱において小型機船底び   き網漁業(以下「小型底びき」とい   う。)とは、原則として船舶の総ト   ン数(以下「トン数」という。)十五   トン未満のスクリューを備える船   舶により底びき網を使用して行う   漁業をいう。  二、小型底びきを左の通り分類す   る。   1 網口開口装置を有しない網具    を使用して行う手繰漁業(手繰    第一種漁業)   2 ビームを有する網具使用し    て行う手繰漁業(手繰第二種漁    業)   3 けたを有する網具使用して    行う手繰漁業(手繰第三種漁業)   4 前二号に掲げる三種網具を    併用して行う手繰漁業(手繰第    四種漁業)   5 網口開口装置を有しない網具    を使用して行う打瀬漁業打瀬    第一種漁業)   6 ビームを有する網具使用し    て行う打瀬漁業打瀬第二種漁    業)   7 けたを有する網具使用して    行う打瀬漁業打瀬第三種漁業)   8 前三号に掲げる二種以上の網    具を併用して行う打瀬漁業(打    瀬第四種漁業)  三、小型底びきは、都道府県知事  (以下「知事」という。)の許可漁業   とする。  四、農林大臣は、漁業調整のため必   要があると認めるときは、都道府   県別前項許可をすることがで   きる船舶隻数合計総トン数、   もしくは合計馬力数最高限度   を定め、または、海域を指定し、   その海域につき前号の許可をする   ことができる船舶総トン数また   は馬力数最高限度を定めるもの   とする。  五、小型底びきの増トンまたは増馬   力については、当該都道府県の前   号の総わく内において補充する以   外は認めない。  六、小型底びきの禁止区域及び禁止   期間については、知事都道府県   取締規則に定めるものとする。  七、藻場における小型底びきの操業   は禁止する。  八、小型底びきは、特に知事承認   を受けた場合を除くほか、夜間操   業を禁止する。  九、小型底びきは、二そうにより網   具をえい航するいわゆる二そうび   きは、禁止する。  十、小型底びきは、操業にあたり同   時に使用する同種の網具の数につ   いては適当の制限をなすものとす   る。  十一、滑走装置を備えたけたを使用   して行う小型底びきについては、   資源維持繁殖保護地種漁業との   摩擦を考慮し、これの操業は、禁   止する。  十二、小型底びきにして網口開口方   法としてオツターボードを使用す   る。漁業は、禁止する。  十三、手繰第一種漁業については、   瀬戸内海その他農林大臣の定める   海域においては、制限または禁止   する。  十四、二種類以上の網具使用して   行う手繰第四種漁業または打瀬第   四種漁業については特に制限し、   漸減あるいは併用禁止の方向に推   進する。  十五、小型底びきについては、特に   知事承認を受けた場合を除くの   ほか、もじ網の使用禁止する。  十六、小型底びきの操業区域は、原   則として許可を受けた都道府県沖   合に限定する。  十七、瀬戸内海その他の海域におい   て操業区域が二都道府県以上にわ   たるものの他都道府県入会許可   のわくについては、調整の上これ   を定める。  十八、知事は、小型底びきにつき許   可したときは、左の事項につき農   林大臣報告するものとする。   1 許可を受けた者の住所、氏名または名称及び許可年月日   2 許可番号船名トン数馬力数漁業根拠地   3 漁業種類   4 操業区域及び操業期間   5 許可期間   6 使用漁具数   7 條件制限  十九、知事許可内容変更をしたときは、当該変更内容について農林大臣報告するものとする。  二十、小型底びきの許可証以東底びき船との区別標識その他報告書様式等については、別に定める。  二十一、違反に対する罰則は、法律、省令及び県規則規定する。  二十二、知事小型底びきについての許可報告及び許可変更その他必要事項報告をしようとするときは、瀬戸内海関係府県にあつて瀬戸内海漁業調整事務局を、その他の都道府県にあつて管轄区域を所管する。水産駐在所を経由するものとする。  二 瀬戸内海にその他農林大臣の定める海域における小型底びきの特別措置  一、(イ) 瀬戸内海における小型底びきの馬力は、十馬力以下に限定する。但し、当分の間、十五馬力までのものの現状を認める。    (ロ) 紀伊水道においては、特殊事情を勘案し、二十馬力以下に限定する。但し、当分の間三十馬力までのものの現状を認める。  二、伊勢湾知多湾及び渥美湾においては、十馬力以下に限定することを目標とし、当分の間、二十五馬力までのものの現状を認める。  三、北海道区域に沿う海域においては、手繰第三種漁業以外の小型底びきは禁止する。但し、噴火湾はこの限りでない。  四、噴火湾においては、当分の間トン数トン未満馬力二十馬力以下に限定し、爾後隻数トン数馬力数、漁法、期間制限する。  五、その他農林大臣の定める海域については、実情を勘案の上、漁業種類トン数馬力その他について、別途制限しまたは禁止する。  六、農林大臣が必要と認めたときは、前項一般事項)第一号の規定にかかわらず、特定地区小型底びきについてその漁業種類限つて、当分の間十五トン以上のものの現状を認めることがある。  三、経過措置   (イ) 本省許可船   一、トン数が十五トン未満本省許可船については、原則として機船底びき網漁業取締規則改正にあたり一箇年の許可効力を存続せしめ、その期間内にトン数補充をなすことを條件として十五トン以上の以東底びきの適正船舶に改変せしめる措置を講ずるが、地方的特殊事情によりとのことが困難な船舶については、知事許可に移行せしめ、小型底びきとしてこれを認める。  二、前号により措置するものについては、第一項(一般事項)第十七号の措置は特別に考慮する。   (ロ) 地方庁許可船     一、地方庁許可船については、漁業法一部改正に伴い、施行後一箇年(その期間経過前に当該許可有効期間が満了するものにあつては、その満了の日まで。)許可効力を存続せしめる。  四、無許可小型底びき船に対する措置   一、無許可小型底びき船については、他種漁業への転換を指導するとともに、正規底びき船及び正規小型底びき船の代船として活用せしめるよう指導援助する。  五、本要綱実施に伴う措置   一、本要綱実施のために、関係法令を整備する。   二、本要綱実施のため、可及的小型底びきに関する単独規則の制定を勧奨する、  次は小型機船底び網漁業減船整理実施要綱でございます。  (目的)   将来にわたつて沿岸漁業における秩序にの維持及び資源恢復をはかるため、小型機船底び網漁業(以下「小型底びき」という。)を整理し、あわせて廃業者地種漁業及び地産業への転換を促進することを目的とする。   整理事項  (整理年度及び整理期間)  一、小型底びきの整理年度昭和三十七年一月一日から昭和二十七年三月三十一日までを初年度とし、昭和二十七年四月一日から翌年三月三十一日までを第二年度とし、以下これに準ずる。  二、小型底びきの整理期間昭和三十一年三月三十一日までとする。  (小型底びきのわくづけ及臨時操業許可)  三、農林大臣は各都道府県知事に対して、五箇年後の最終残存目標隻数及び毎年度小型底びきの残存隻数並びにその合計総トン数合計馬力数最高限度わくを与えるものとする。  四、都道府県知事は前号の農林大臣の定めたわく範囲内において、残存船舶に対し臨時操業承認を与えるものとする。  五、前号の場合においては、原則としてたとえば根拠地(部落または協同組合)ごとの協同組織体の結成を励奨し、臨時操業承認はこれらの協同体に附与するよう推進することとする。(基本計画の作成)  六、都道府県知事はあらかじめ連合海漁業調整委員会に諮問するとともに、農林大臣承認を得た上で減船整理に関する基本計画を決定し、公示するものとする。  七、前号の基本計画について委員会が、意見を述べようとするときは公聽会を開くものとする。(整理計画)  八、漁業協同組合若しくは同連合会またはこれらにかわるべき適当な団体として都道府県知事が認めたものは、前号の基本計画従つて整理計画において被整理者及び被整理船舶並びに整理期日を定め連合海漁業調整委員会承認を受けるものとする。  九、都道府県知事は、前号の規定により漁業協同組合等整理計画を定めないときは、みずから整理計画を定めるものとする。    その他  十、昭和二十五年十一月一日現在における小型底びき漁船案態調査基礎としてわくづけを行うこととする。  十一、小型底びき漁船に対する知事新規建造許可原則として整理の完了する迄禁止させることとする。  十二、船価算定基礎となる船令低減率漁船保險関係において定めた率によることとする。  十三、船舶総トン数または馬力数検認の結果に基く漁船登録票記載総トン数または馬力数により施策実施するものとする。  十四、築磯として沈船された漁船の代船建造は基本的には認めない。(小型底びき転換推進協議会の設置)  十五、都道府県知事は必要があると認めたときは、小型底びきの他種漁業及び他産業への転換を強力に促進するために、小型底びき業者代表者協同組合代表者、海区漁業調整委員会代表者、労働、厚生その他転換関係官公吏その他関係者をもつて組織する転換促進協議会を設けるものとする。(共助態勢)  十六、被整理者転換者に対する共助については、残存小型底びき業者よりの共助金の拠出は出来る限り促進するものとするが、各関係協同組合においても組合員全体の支持のものとに可能な限りの共助運動を展開するものとする。(漁民による相互監視方法)  十七、小型底びき業者のみをもつて構成する団体では、相互監視の実を充分あげ得ないので海区漁業調整委員会協同組合を中核とする新漁業制度全体の機構を動員して今後の無許可または許可違反船の発生を厳重に監視抑制することとする。  十八、本要綱実施のため関係法令を整備する。  次は小型機船底び網漁業整理転換補助金交付要綱でございます。  一、目的    小型機船底び網漁業整理減船施策実効を期しもつて沿岸漁場における秩序維持及び資源恢復をはかることを目的とする。  二、交付方針    農林大臣小型磯船底びき網漁業整理減船に伴う廃業者の他種漁業及び他産業えの転換を奨励するため毎年度予算範囲内において都道府県知事に対し、他漁業及び運搬船への転換については五割以内、築磯施設用または地方公共団体その他の団体等取締船救難船等として譲渡するものについては機関を除く船体に対して七割以内の補助金交付する。  三、交付対象    都道府県知事は、小型機船底び網漁業廃業者にして地種漁業及び他産業えの転換者に対し補助金交付する。  四、補助金内容  (1)小型機船底び網漁業廃業者が左に掲げる業務を営むために必要な漁船改造費漁具附属品等購入費その他の起業費に対して交付する補助金   (イ)きんちや網漁業定置網漁業、地びき網漁業刺網漁業流網漁業その他の網漁業   (ロ)その他知事が適当と認める漁業   (ハ)漁獲物運搬船  (2)小型機船底び網漁業廃業者がその所有にかかる船舶を築磯施設を行うとする漁業協同組合に讓渡した場合に機関を除く船体に対して交付する補助金  (3)小型船底びき網漁業廃業者がその所有にかかる船舶地方公共団体その他の団体等取締船救難船等として譲渡した場合に機関を除く船体に対して交付する補助金  五、補助金交付    都道府県知事農林大臣交付する補助金都道府県補助金を附加して交付するものとする。  六、補助條件    補助金交付を受けた者は、原則としてその交付を受けた日から二箇月以内に他種漁業及び他産業えの転換を完了しなければならない。  七、補助金還付    補助金交付を受けた都道府県か左の各号の一に該当する場合には、農林大臣は、既に交付した補助金の全部若しくは一部の還付を命ずることができることとする。   (イ)補助金交付條件違反したとき   (ロ)事業施行方法が不適当と認めたとき   (ハ)支出額予算額に比して減少したとき  八、農林大臣指示    農林大臣補助金交付した都道府県に対上当該事務または補助金使用に関上必要な指示をすることができることとする。  九、流用の禁止    都道府県知事は、その交付を受けた補助金相互にまたは他の経費に流用してはならない。但し農林大臣承認を得た場合はこの限りでない。  十、計画変更届出義務都道府県知事は、補助金交付を受けた事業計画につき重要な変更を加えようとする場合には、あらかじめ農林大臣承認を受けなければならない。  十一、事業成績等提出義務     補助金交付を受けた都道府県知事は別に定めるところにより当該事務または事業に関す事業成績書収支決算書その他の必要な書類を翌年度六月三十日までに農林大臣に提出しなければならない。  十二、其の他   (1)農林大臣は、地方財政法昭和二十三年法律第百九号)第十六條の規定こ基き小型磯船底びき網漁業整理転換補助金交付規程を定めるものとする。   (2)都道府県知事は、小型機船底び網漁業整理転換補助金交付手続等について別に定めるものとする。以上でございます。
  4. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ずいぶんだくさん質問せなければならない点があるのでありますが、小型機船底び網漁業処理要綱のうち第二項に各瀬戸内海伊勢湾並び噴火湾等トン数馬力等のことが書いてございます。その前後において、暫定的に馬力を定める、それは「当分の間」という文字があるのであります。この「当分の間」ということはおよそどういう期間なのかまずお尋ねします。
  5. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 処理要網にございまする特別処置といたしまして「当分の間」と書いてございますのは、建前は前に書いてありますような十馬力とか、あるいは二十馬力とか、二十五馬力とか、北海道については禁止するとかいうようなことで、一応小型底びき船の整理目標にして進んで参りたい。しかしながら現実の状況から勘案いたしまして、予算計上その他の関係でなかなか一ぺんにはさような目標に到達しにくいというような事情がございますので、「当分の間」と書いてあるのでございまするが、でき得る限り予算計上に努力をいたしまして、この「当分の間」という期間を短くして参りたい、かように考えておるのでございます。
  6. 石原圓吉

    石原(圓)委員 そういう内容を聞くのではないのであつて、「当分の間」というのはおよそ何箇月とか何年とか目標がありそうなもので、それをお尋ねするわけであります。
  7. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 ただいま申し上げましたように、減船処置等に関連いたしまして、転換するものに対しまするいろいろの助成を組まなければ、転換実効を期し得ないというような具体的な問題がございますので、来年度どの程度の予算が確保されるか、あるいはそれがまたさらにさ来年度にわたるかどうかといつたような事項に関連いたしますので、はなはだ遺憾ではございまするが、何年ということが表現し得ずに「当分の間」ということで表現してあるのでございます。
  8. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ますます不徹底であつて「当分の間」という文字をここへ現わす以上は、およそどのくらいの期間という目標水産庁においてなければならぬ。目標を示さずして、「当分の間」というような無責任表現をして、当業者はそれでは満足できないはずであります。その点を突き詰めてもう一ぺんお尋ねします。
  9. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 問題は五箇年間の整理期間でございますので、五年間を目標にするわけでございまするが、水産庁の現在の目標といたしましては、二年間ぐらいを目標にして考えておるのでございます。
  10. 石原圓吉

    石原(圓)委員 二年間にこれが一つも整理ができなかつたら、その結果はどうなるんですか。
  11. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 二年間に整理ができますように、予算的の処置について努力して行きたい。かように考えております。
  12. 石原圓吉

    石原(圓)委員 二年ということがおよその目標になつておるかもしれないのでありますが、もしかりにその二年間に何もできなかつたならば、政府信用は全然ゼロになると思うが、その点はどう考えておられますか。
  13. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 御承知通り、本年度におきましては二億四百万円ほどの補正予算計上することになつておるのでございまして、本国会におきまして、それが承認されますならば、現在水産庁といたしましては、いろいろと全国にわたる問題があるわけでありまするが、大体瀬戸内に重点的にその予算施行して参る。その他の海域につきましても考えて行こうということでございまするが、そういつた予算の裏打ちをつけつつやるわけでございまして、来年度におきましてもぜひともその目標に近づくように予算計上に努力したい、かように考えております。
  14. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この法律なるもので、従来の船の大きさ、数、馬力ではみなが共倒れになる、非常な窮境に陥るというところから、減船またトン数を減す、馬力を減す、ということになつたことは、これは時勢がやむを得ずそういうことにしたのであつて、それを励行して目標のところへ達せしめるのがいわゆる行政官庁の絶対責任でなければならぬのである。その責任を持つ当局が当分の間と言いその当分の間がわからぬと言いそれでは当業者が信頼してやれそうなことがないじやないか、そういう信念のもとにこれをやつておるから、いつまでたつてもものの解決がつかない。現に数日前の委員会においてこの問題を論議せられたのであつてたとえば瀬戸内海伊勢湾は十馬力また紀伊水道はどう、噴火湾はどうということは、さきの書面に明示してあつたもので、その明示したことを実行に移すということの時期がわからぬのに、当分の間ということを言つてつては、一体水産庁は何をしておるかわからぬという結論になると思う。当分の間という文字を現わすものならば、これをさらに、たとえば昭和二十八年なら八年、七年なら七年一ばいというような表現でなければ、何人も少しも信用ができないと思うのですが、この点はどう考えますか。
  15. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 石原委員のお話の通りだと思うのでございまして、水産庁といたしましては、とにかくこの当分の期間というのをなるべく早く圧縮して明確にするように、予算の見通しをつけて参りたいと考えておる次第であります。
  16. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この問題はもし暫定期間を置くならば、何年何月までということに改めることを強く要求をします。  大分時間を要しまするが、質問者も多くあるようでありますから、私の方の関係の要点だけを申します。伊勢湾は十馬力ということは水産庁当局がきめて内示したものであります。それにかかわらず二十馬力というような表現があつたから、先日の委員会はとりやめになつたことは御承知通りであります。しかるにここに現われて再検討したものはまた意外な條件であります。三重県におきましては、この点は非常に重大な問題であります。本日関係県会議員西島好夫君、樋口善一小野英一君等が三重県知事青木理三重会議長浜田正平君の両人の陳情書を携えて、ここに菊地水産課長も参つておるのであります。要領を申しますると、伊勢湾における小型機船底び網漁業使用船最高馬力は、最初水産庁より示されたる小型機船底び網漁業処理要綱案に基く十馬力以下とせられたい、これは水産庁より示されたる案通りにされたいというのであります。理由は省きまするが、最後において伊勢湾海区の特殊性にかんがみ恒久的に資源維持できるよう、当初に示された小型機船底び網漁業処理要綱案に基く最高馬力以下とせられるよう強く要望いたす次第であります。昭和二十六年十月三十日三重県知事書木理三重会議長浜田正平、こういう陳情が出ておるのであります。これによつて三重県は十馬力以内でなければならぬということは、当業者も県の当局も、また県会議員もすべて一致した意見であります。でありまするから私どもといたしましては、この点は一歩も譲り得ないのであります。今後刻々にこの問題を取上げて、論議して、決してこの点を動かさない固き決意を持つておりますことを申し述べておきます。
  17. 川村善八郎

    川村委員 この三案につきましては、ただいま石原委員が御指摘なつた問題が大体中心となるところだと考えております。あとはほとんど手続の問題でありますので、おそらく大した議論もないだろうと思います。従つて質問手続のいろいろな関係において疑義のある点に集中されるものと思います。特に石原委員の御指摘なつた点については、地方特殊事情が相当重大でありますので、各委員からの質問も相当な数を加えるものと存ずるのであります。  先ほど石原委員の申されたことをうしろで聞いておりますと、当分の間という字句でありますが、私もその疑義を持つております。しかしながらわれわれは本問題については整理すべしという結論を出して進んでおつたのでありまするし、もちろん水産庁におきましても、かつての五ポイントの線に沿つて、これはむしろまだ前に出さなければならない、かように私は考えております。それで当分の間という字句において、部長は非常に苦しい答弁をしておると私は思います。要は整理をするということが確定的でありますので、予算をとらなければなりません。予算をとらなければ整理ができないことは、はつきり示されております。そこでわれわれも議員として、過去に整理すべしという結論を出している以上は、予算獲得のためには十分なる責任を持つてやらなければならぬのでありまするし、予算獲得の上は水産庁もわれわれ議員も、ごく近い間に当分の間という結論を出すことこそ、資源の枯渇を防止し、漁民の生活の安定もされると考えます。もちろん整理するのでありますから、他種漁業転換する者もありましようし、他産業転換する者もありましよう。また場合によつては失業する者もあるでありましよう。これらに対する政策については、政府もまたわれわれも十分講じてやらなければならぬばかりでなく、県当局もまた残存船の方々も隣保共助の精神をもつてこれにあたらなければならぬといえております。  そこで水産庁に伺いたいのは、いずれも当分の間という字句を使つておりますが、ほんとうの腹は予算がとれたなら、二年ないし三年の間に、本文にうたつておるところの十馬力以下に限定するとか、あるいは二十馬力以下に限定するとかいうようなことを解決つける意思だろうと私は考えておりますが、この点ほんとうの腹は一体どういう腹か、この際御答弁願いたいのであります。ただいたずらに時間を費してのれんに腕押しではいかぬので、やはりあなた方の責任もあれば、われわれも責任がある、国としても責任があるというような責任感からあなた方の決意を伺いたいのであります。
  18. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 川村委員のおつしやられる通りに考えているわけでございまして、水産庁といたしましては、五ポイント計画の線に沿つて減船整理をする以上、理想的な整理態勢と申しますか、なるべく早い機会につくるように予算の確保に努力いたしたい、かように考えている次第であります。
  19. 永田節

    ○永田委員 小型機船底び網漁業処理要綱についてでありますが、特に私がこのたびの水産庁処置要綱の出し方で非常に奇怪に思うのは、このことに関しましてたびたび昨年来要綱が出ている、そのたびごとにこの数字が違つて来ているということは、要するに行政的にまつたく自信がないということを裏づけるものである。まことに遺憾に思うのであります。将来かような処置要綱等の重要な問題は、一ぺん出したならば再びひつ込めない、確固不動のもとに自信のある、権威のある処置要綱を出されんことを希望するのである。  次に瀬戸内海におけるところの小型底びきの馬力は、当初より十馬力ということをわれわれが主張して参つたのでありますが、このたびはこれが十馬力になつておりますが、当分の間十五馬力というふうに條件がついているのであります。かつて伊勢湾においては——伊勢湾瀬戸内海と申しますと、漁場から行きましても、その海面から行きましても、ほとんど差がない。しかるに伊勢湾は同じく十馬力を限度といたしまして当分の間二十五馬力ということになつている。瀬戸内海は当分の間十五馬力伊勢湾知多湾渥美湾のみ二十五馬力ということはどういうわけですか。どうもわれわれは納得が行かない。この点をひとつ答えてもらいたい。  それから先ほどから当分の間ということが議論になつているのでありますが、当分の間というふうなことは、たまたま座談においては適当であろうと思うが、かような重要な問題を議論するにあたりまして処置要綱を扱うにあたりまして、当分の間ということはまさに本委員会を侮辱するもはなはだしいと私は思う。大体目安というものをつけまして——予算関係なら予算関係の目安をつけまして、二箇年で完了するならば二箇年、三箇年ならば三箇年というように期限を付してやらなければ当然責任ある水産行政は保てないと思う。それにしても噴火湾におけるところの十トン未満馬力二十馬力以下に限定し、その次の爾後隻数トン数馬力数、漁法期間を嚴に制限する、かような状態で前の三項目を結論づけたならばまことに好ましいことであると思うのであります。今川村委員は、これは私が書いたと言われるのですが、さように官僚とわれわれ委員会との間においては頭の程度が違うということを如実に物語つておる。およそ抽象的な議論というものはお互いに今日省略しなければならない。将来といえども水産庁責任のある行政処置を講じてもらいたいと思う。以上私の質問にお答え願いたい。
  20. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 お話のような数字だとは思うのでございます。しかしながら現在の補正予算で要求しておりまする隻数が大体八百五十八隻というような減船整理補助金になつておるのでございます。従いまして瀬戸内を中心にしてこの隻数をあんばいし、さらに伊勢湾その他に及ぼすというようなことになりますと、いかがいたしましても現状と比較いたしまして、お話のような線にまできれいにするというわけに参かりねたのでございます。従いまして、そういうふうな実情でございますので、要綱といたしまして不体裁ではありましたが、当分の間その地域地域の隻数現状にかんがみまして、整理すべき隻数等の関係におきまして十五馬力のものを瀬戸内海にある程度残し、紀伊水道の場合におきましては三十馬力程度のものを残し、それから伊勢湾知多湾渥美湾等におきましては二十五馬力程度のものを残すということになつておるのでございます。
  21. 松田鐵藏

    ○松田委員長代理 当要綱は後刻懇談会をもつてやりますから、この程度で御了承願います。     —————————————
  22. 松田鐵藏

    ○松田委員長代理 次に漁業取締りに関する件を議題といたします。本件に関して質疑を許します。永田委員
  23. 永田節

    ○永田委員 最近漁業違反の数が各地に頻繁に起つているということはまことに遺憾にたえません。この事実にかんがみまして、さらにまた水産当局が緩急の処置を誤まつているという点がたまたま見受けられているということも遺憾にたえないのであります。たとえば大分県における姫島の沖合いに山口県の小型の集団密漁が出た場合は、きびしい司直の手によつて公判に処せられ、少年といえども少年審判所に送られている。この事実にかんがみまして、瀬戸内海の漁民は違反の恐るべきことを自覚して、その後は密漁船の姿をほとんど見ないという謹慎の状態に置かれている。かような処置漁業秩序を保持するに役立つものである。ところが一方北海道におけるさんまの漁業違反、自由出漁の問題でありますが、北海道の漁民といえばほとんど日本の代表的漁民であり、法規の解釈におきましても割合精通されておられると承知いたしております。その優秀なる代表的漁民が、白晝堂々と法を犯して、あらかじめ計画的にこの自由出漁に出た。しかもその漁獲物はそれぞれの漁期の日まで冷凍保存いたしまして、それぞれの漁業者に渡した、しかもその行政処分においては、責任者のわずかに四名かそこらの保有船の許可を取消した、非常に微温的な処置をもつて終つたということを承つておりまするが、われわれが考えますと、大きく日本の水産の秩序を確保する意味におきまして、はたして水産庁自身がこの程度の処置によつて事足れりや、また将来漁業秩序が確保されるか、日本の法律が威信のあるものとして漁民に尊重されるのであるか、この点について十分なる確信ある水産庁の態度を承り、さらにこのさんまの取締りについて、将来このことをもつて足れりとするのであるか、今後どのような処置に出られるのであるか、御意見を承りたい。
  24. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 漁業取締違反の処罰の問題に関しましては、永田委員からお話の通り漁業秩序を確立します上におきまして、それぞれの漁業の実態に即応して、一つ処罰いたしますれば、すべての漁業者がそれにかんがみまして法令遵守の気持を起すというところに大きな効果があると思うわけであります。水産庁といたしましても、それぞれの漁業々々の実態に即しまして、処罰すべきものは処罰して参つて行きたいと考えております。     〔松田委員長代理退席、二階堂委員長代理着席〕
  25. 永田節

    ○永田委員 処罰するものは処罰して参つて行きますということはまことにけつこうなんですが、現在処罰すべきものをどの程度に処罰しておるか。その点につきまして、北海道のさんまの自由出漁に対しては、この程度で事足れりやいなやということを伺つておきます。
  26. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 さんまの違反の問題につきましては、当時の状況におきまして、水産庁の方針をその当時発表しました通り、自由出漁に対する首謀者並びに責任者を処罰するというような方針のもとに、北海道庁の許可漁業になつておりました関係上、あの程度の処罰をやつたならば、処罰の効果が上るというような方針でやつたのでございます。
  27. 永田節

    ○永田委員 次に伺いたいことは、先般マ・ラインを突破いたしまして、船団を組んで、煙突のマークを隠し、船印にむしろをおおつた密漁の大船団が、司令部の飛行機によりまして写真撮影されて、その漁業違反が日本の政府に通告されて参つた。その写真の引伸ばしの結果船籍が大洋漁業のものであることが判明した。その結果大洋漁業は、それぞれの船が五十日間停船命令を食つておるというふうに承つておりますが、事案でありますか。
  28. 藤田巖

    ○藤田政府委員 その通りであります。
  29. 永田節

    ○永田委員 そこでお尋ねいたしますが、今日の日本の水産行政というものは、過去の水産行政と比較いたしますと、過去においては魚をとれという行政施策であつた。それが戦後には魚をとるなというように大転換をした。これは私は常に本委員会で述べておることなんですが、この魚をとるなということは、しばらくの間、資源の枯渇を防ぐ意味においてとることを制約しようということにほかならないのであります。御承知のように、ただいま日本は講和條約の直後において、今まさに日本、アメリカ、カナダ、これらの漁業協定の準備の時期にあるのであります。ところがその直前において、かような大資本からなる大船団が密漁をする。のみならずマ・ラインを突破して、たまたま科学の進歩の力によつてアメリカの飛行機に発見されて、科学的捜査によつてこの船籍が判明したのでありますが、不幸にしてアメリカの飛行機に発見されない海区においては、どれだけの密漁をやつておるか、実に驚くべき数字に上つておると私は思うのであります。現在冷蔵母船を利用いたしまして、日本の沿岸のほとんどの魚はこの大洋漁業によつて濫獲されておる事実は、おそらくその専門の水産庁としてもいなめない事案であろうと私は思う。これらの悪質業者に対して、水産庁はどういうようなお考えを持つておるのか、伺いたいということが一点。  次に、四、五日前の新聞に、日本とアメリカ、カナダ、これらとの漁業協定の締結にあたりまして、日本の政府の顧問として、われわれ業者の憎むべき的になつている大洋漁業の社長が任命されているとかどうとか、大洋漁業がうわさに上つて大きくクローズ・アップされて来たという事実であります。少くとも水産に関係するところの漁業協定を結ぶにあたりましては、政府のほかに顧問というものは業者からも国会からも出ましようが、業者も国会もあげて水産外交の尖兵でなければならないと思う。しかるにかような悪質業者が水産行政の尖兵として任ずるということは、われわれ日本の水産業界のためにまことに遺憾とするのでありまするが、政府ははたして大洋漁業の社長を政府の顧問に任命する意思ありやいなや、この二点をお伺いします。
  30. 藤田巖

    ○藤田政府委員 この前も松田委員長から、大洋漁業についていろいろ御意見が出たのであります。マツカーサー・ラインの違反の問題につきましては、これはいろいろの観点があると思います。それだけではちよつと誤解を招くと思うのでありますが、もちろんこのマツカーサー・ラインというものは嚴重に守るべきものであるわけであります。しかしながら現状におきまして、非常に漁船の数も多く、漁場は狭隘を告げておりますので、勢い出がちになることもこれは事実であります。これは大洋漁業のみならず、そのほかのものにつきましても、よくありがちのことであります。私どもといたしましては、この点は常にもう少しのしんぼうだから、ひとつ国際信義を守る意味で、嚴重に慎んでもらいたいと言つておるのであります。従いまして、その違反事実がはつきりしているものについては、これは大洋漁業といわず、どういうところでも嚴重に処分をして行くという方針で貫いております。  そのほか、大洋漁業沿岸漁業との摩擦を招いておるという点もよく承知をいたしております。さような点は、これは私どもといたしまして、十分大洋漁業自身に対して、その経営のやり方について、またいろいろ意見も言うというふうなことをやつておるわけであります。しかしながら大洋漁業自身を、何から何まで惡いというふうには、私どもそう言い切る必要もないと思つております。ことに今回の漁業協定に対します顧問でございますか、それに大洋漁業の社長を入れる、入れないというような問題でありますが、これは実は私今日帰つて参りましたので事情も詳細は聞いておりません。どういうふうになつておりますかも、実はよく承知をいたさないままで委員会に来たのでありますが、これもしかし、私の気持といたしましては、やはり人物本位に考えて処置して行くべき問題ではないか、かように思つております。
  31. 永田節

    ○永田委員 ただいまの長官のお答えによりますと、マラインを突破することもやむを得ないというふうに解釈されておるように承つたのでありますが、水産行政の直接の長ともあろう人が、かりそめにも規約を犯して行く者に対して微温的な態度をもつて臨むということでは、われわれは水産庁長官を信頼して、今後重要な法案を審議して行く相手ではないと私は思うのであります。一旦法律がきまつて、その法律を犯した以上は、たとい肉親であつても断固としてこれを断つべきものであると私は考えるのであります。どうぞ水産庁長官は、あなたが小心にして長官の任にたえないというならば、潔くその職を辞してもらいたい。またあなたがこの職を辞することが不可能であるならば、場合によつては、われわれは長官の出席を拒否することもあることをここに声明いたしておきます。
  32. 藤田巖

    ○藤田政府委員 実はそう誤解されてはまずいと思つて、もつとはつきりと私の気持を言つたわけであります。マッカーサー・ラインを侵すことがやむを得ないというふうにお聞き取りであつてはまずいと思いましたから、決してそうではございませんので重ねて申しておきますが、かりにも法律がある以上は、あくまでもこれを守るべきものである、しかしながら現在の事情はこういうふうな事情である、こういうふうに申し上げましたので、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
  33. 松田鐵藏

    ○松田委員 まず先ほどの永田委員に対しての、マツカーサー・ラインが今日の場合やむを得ないではないかという長官の発言は取消していただきたいと思います。さもなければ、われわれはここに重大なる決意をしてかからなければならないものと考えるのであります。  次に、大洋漁業というものは、日本の水産の面からいつたならば最も重要なる、代表すべき漁業会社である。この会社は、もし日本にして大洋漁業がなかつたならば、日本の水産というものは、どのような立場になるかということをわれわれが考えてみるとき、最も重要であり、有力な会社であると考えております。ゆえにこの会社はあらゆる点から言つて——新しき漁業法がわれわれ自由党の手によつて成立をし、新しき制度ができ上つて、あらゆる面に対して民主化された漁業を営まなければならぬ、また一日も早く漁業協定を結ばなければならない立場になつておる日本として、いま少しく大洋漁業というものは自粛自戒をして、沿岸漁民との摩擦をなくし、しかして沿岸漁民のでき得ない漁業を大洋漁業が行い、日本の漁業の進展を考えて行つていただかなければならないという観点から、今までわれわれは大洋漁業の非をついておるのであります。これを反省させようと考えておるものであります。この点に対して水産当局として、あなた方の手が及ばないのであつたならば、潔く永田委員の言われるように、総退陣をしていただきたいと思うのであります。  次に、先ほど永田委員から申された北海道のさんまの問題でありますが、これは私の選挙区でありまして、最も緊密なる状況にあり、よくこの事情承知しておるのであります。また私が八月において川村委員、田渕委員とここに調査に行つたときにも、さんまの問題こそは北海道漁民として真に自粛自戒をして行かなければならないものである。内地とのいろいろな関係もあり、今までの水産委員会において幾たびか論議された問題であり、真に北海道の漁民として自粛自戒をして行かなければならないということを力説し、指導をして参つたものであります。ところが先ほど永田委員から発言のあつたように、わずかに四そうの船の摘発により権利を返還したことによつて、これが解決を見たという現在の段階になつておるのであります。ところが九月でありましたか、農林大臣を私が御案内を申し上げて根室、釧路地区に入つたときにおいて、坂本北海道会議員がお出迎えになつたのであります。時たまたま根室の坂本与平審議という名刺を出した。それから漁民が二十人ほど農林大臣を迎えたのであります。このときにあたつて開口一番、根室の漁民は何のためにぼくを迎えに来たか、今や日本の国は漁業協定を結ばんとするときである、君らは国の法律を破つてさんまの自由出漁などをしたということはもつてのほかのことである、かような漁民は日本の水産業を冒涜するものであり、日本の信頼を裏切るものである、こうした強い意味において、そこで罵倒されたのであります。ところで坂本道議が、私どもはさようなよのでない、りつぱに法を守つて出漁しておるものである、一部の者がこうした煽動をしたものであつて、それらは漁業協同組合長であり、理事であり、専務である、かようなものと、ここへ来ておるわれわれ漁民とを一緒にされては困る、われわれはどこまでも自粛自戒しておる、国の法律を守つて出漁しようとして準備をしておつたものである、かように答えられたのであります。すべてそうした漁業協同組合長や理事などに対しては、嚴重なる措置をとらなければいけないじやないか、君らは漁民の手によつてこれを葬り去つてしまわなければいけないじやないかということを、その当時農林大臣から私の面前できつく指摘されたのであります。ところが坂本道議が日本の漁業を守るためにあらゆる勧告をしたということを聞かされております。しかし組合長である川端氏は、七月二十五日に試験船と称して出漁させて七千五百貫の漁獲をした。それを夜間別な船に積み込んで冷蔵庫へ保管して販売したということです。それを漁民が騒いだので、その火を消すために、高橋課長が行つたときにおいて、漁民を煽動して遂に十二日か十三日に出漁をあえてしたということを聞かされておるのであります。しかも坂本道議は、根室の漁民全体のために彼らを告発しておるのであります。りつぱな漁民としてこの首謀者に対して告発をしておるのであります。これは農林大臣から先ほど申したように、非常なる激昂をされてしかられて、新しい日本の漁民として立つて行く立場において坂本道議はこれを告発しておる、かような段階にまで進んでおるのであります。それこそは水産庁のその措置があまりにも微弱なるために、何らその内容を調査しないために、かつてにごまかされてしまつたという段階になつておるのであります。しかもその一人の中村一という者は、今回坂本から告発されたさんま密漁問題は、告発状にあるごとく漁業法違反となるかどうかはすべて取締りの結果にまつとして、この問題について次のように説明したと新聞に出しておるのであります。「立山丸を出漁させたことは道の依嘱を受けたさんま協会がやつたことで、川端氏の関係したことではない、」などということを言つております。「私はさんま協会会長として川端氏に試験船として立山丸の提供を受けただけだ、周知の通り、試験船は国家の試験船でありながら費用は全部地元が負担することになつておる、従つて漁があればよし、ないときは大欠損となるわけだ、二十五日から出漁したのは水産庁、道水産部、さんま協会の会議で二十五日と決定しながら出漁させたので、その後一日からと変更になつても通知が遅れたため二十九日まで出漁したので、しいてその責任を追究するなら、さんま協会が負わねばなるまい、試験船として船を提供した川端氏を攻撃したり告発するなどは筋違いの話だ、さんまの自由出漁の問題を内浦丸初め四隻の自粛休業の形で解決したのは」ここが重要であります。「水産庁、道庁と話合いの上きめたことで、あれほど騒いだ内地業者も了解したほどだ、坂本氏はトロールに転換したのは当局をあざむいていると言つてるそうだが、自粛休業すると称してさんまに出漁したなら当局をあざむく行為と言われてもやむを得ないが、他に転換したのは忠実に責任をとつたからだ。」かように彼は言つておるのであります。ところでいつの日に水産庁道水産部、さんま協会が二十五日からの出漁を協議したとか調査をさせようとか、かようなことは私は一向にないことだと思つておる。しかも私どもが尾中事務官を一緒に同道したときにおいて、二十五日からの解禁であるから十五日ごろから道と水産庁に連絡をとつて沖合いの調査を北海道の水産試験場でやることはいいとしても、君らが漁業を対象としてやるようなことは絶対しては困るということを言うて来たのであります。水産庁は、道水産部とさんま協会とこういう問題を協議したことはないだろう。私は聞いていない。またこの問題が出てからも漁政部長、高橋課長とも話し合つてみたが、さようなことは一向にないと言う。世の中は目明き千人、盲千人、ばか八千人といいますが、これがほんとうのものと思うのであります。小さな新聞でもこれがほんとうのことだと思うのであります。ところがあにはからんや、一方においては農林大臣から叱責されるし、水産庁はかようなことはしたことはないと言うし、また四隻の船は川端氏に関係のある船ばかりだ。漁業協同組合長であり理事であり専務である、かような者が漁民を煽動して、あのいまわしき戰争以前に侵略漁業の日魯漁業がカムチャツカに自由出漁したと同様な行動をとつたのである。これに対して松任谷部長はまんまと、ごまかされてしかもその船がさんまを切りかえたときは底びきに出ておる。幸か不幸か二隻はソ連に拿捕された。これもマツカーサー・ラインを通り越したことでないと私は信じておるが、その付近においてこれがマッカーサー・ラインを通り越して拿捕されたとしたならば、先ほど言われた太洋漁業と同じことになると私は考える。そのほかにもかにの密漁をやり、これを常習手段としておる。こうした悪徳漁業者に水産庁はどのような考え方を持つてかような微温的な行動に出たか。話を聞けば、先日の委員会ではつきりと、瀬戸内海の零細漁民が海区を侵して出漁したというので、十八才の少年までも牢獄につながれておると報告されたのである。北海道は自分の選挙区である。肉親とは言わないが、自分の会社の者がやつたとしても、漁業違反をやつた者に対してはあえて断をもつて進まなければならないと私は信じておるのであります。しかるに一方においては十八才の少年も牢獄につながれ、一方においては漁業協同組合長なるがゆえに、また理事なるがゆえに、専務なるがゆえに、しかも公安委員をしておるがゆえに、かような者がこのいまわしい自由出漁をあえてした首謀者としたならば、どういうような方法に進まなければならないかということぐらいは、よく水産当局としてもおわかりのことと思う。しかしこれによつて処罰をして来たのだから、鑑札を取上げたのだからそれでよいなどということであつたならば、まじめに日本の水産を樹立しなければならぬと考えておる坂本という北海道会議員の面目は丸つぶれになり、日本の漁業法というものは根底からくつがえされることになると私は考えておる。しかも現在北海道の道会においてもこの問題が論議されて、大きな見出しでもつて北海道新聞にも出ておるのであります。われわれは新しい漁業法を守るために、あえて当水産委員会においてこの問題を取上げておる。しこうして水産庁の誤まれる処罰方法に対しては断固たる態度をもつて臨まなければならないと考えておるものであります。これは告発状も出ておるのでありますが、この実態を調査して、あなた方水産当局においてこれをどのように処罰する御意見があるか、この点に対して承りたいと考えるものであります。
  34. 川村善八郎

    川村委員 ただいま北海道のさんま漁業の問題について、水産庁の軟弱取締り処罰ということについて指摘されましたが、このさんまの違反の問題が伝わつたとき私は発言を求めて、これは原則的には嚴重なる処罰をすべきであるという前提のもとに、しかしながら全漁民はおそらく惡質な考えで密出漁をしたのではなかろう、ゆえにこれは必ずボスが存在して煽動したものであるということを申し上げて、その煽動した者もしくは指導の立場にあるところの漁業協同組合の役員とか、またさんまの漁業に関連するところの重要な地位を占めておる役員等は、断固として処罰すべきであるという警告を発したのであります。その際の水産庁の御答弁は、私の発言を了承して、断固としてこれを処罰するというお答えであつたので、多分かような処置をとられたことと存じておりましたところが、ただいま松田委員の発言を聞いておりますと、ただ鑑札を取上げたということである。それは何日鑑札を交付しなかつたか、あるいは終了まで鑑札を付しないで出漁を禁止したかということはもちろんお答え願わなければならぬのでありますが、ただそれだけで来年の漁業等についてはまた鑑札を交付して出漁させる意思であるかどうかといつたようなことも、この際十分承つておかなければならないのでありますし、それから漁業法の建前から言うと、漁業の法令を侵し、さらに漁業の民主化を阻害するものであるということを海区漁業調整委員会が三分の二以上で決議した場合には、漁民の資格を失うというふうないわゆる適格性の嚴重な規定があるのであります。私はかような問題こそ水産庁でも断固たる態度をとると同時に、海区漁業調整委員会に対してもかような警告を発して、その処置をとらすべきであるということを考えておりますが、水産庁はどのようなお考えを持つておるか、松田委員に対する答弁と並行して御答弁を願いたいのであります。
  35. 藤田巖

    ○藤田政府委員 私の先ほどお答えしましたことを、マツカーサー・ラインを侵すものがあつてもやむを得ないというふうにおとりになつておるようでありますが、それは私の真意でございません。その点は誤解を招くようなことがあつてはいけないと思つてよく説明したのでありますが、決してマッカーサー・ラインを侵してよいとは考えておりません。あくまでもラインがある以上国法でありますから、これは苦しくてもやはり断固として守るべきものである。だからこれに違反しておるということがはつきりしておるものについては、嚴重な処分をいたして参りたい、こうような方針でありますので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  それからさんまの問題ですが、今年の北海道のさんまの解禁日の決定には、いろいろのいきさつがあつたことは御承知通りであります。そういうようないきさつがあつて間ぎわまでごたごたしておつたのであります。そういうふうなことからいたしまして、惡質でないまでも、一時の感情でいわゆる出漁が行われたので、私どもはよく調べまして、ほんとうに惡質なものは取締る方針でやつたのであります。しかし率直に申しまして、違反事実がどういうことで行われたかといろいろ調べましたが、それを完全につかむデータがなかなか現地で得られなかつたことは事実であります。司法処分は検察当局でやることでありますが、われわれといたしましては、漁業取締りの上から行政処分をやらなければならぬと考えておつたのでありますが、協同組合の指導者の方が四名みずから自粛して、今年の許可は返納する、今後は操業いたしませんというふうなこととがはつきりわかつて参つたので、従つてわれわれといたしましては、それ以上行政処分までは行かないので、嚴重に通牒を出しまして今後の反省を求めてこれを処置したわけであります。  なお来年これをどうするかについては、私どもとしてはまだ決定しておりません。しかしながら私どもが調べました調べ以上に新しくいろいろの事実が判明し、しかもそれが惡質のものであるというような問題については、私どもといたしましても、もちろん十分今後の問題として考えて行かなければならぬと思つております。
  36. 松田鐵藏

    ○松田委員 もはや道議会の水産委員会においてさえ調査が始まつたと新聞で報道されているのであります。しかも先ほど申したように、坂本道議は日本の漁民の民主化を叫んで、新しい漁業法の建前から、どうしてもかような不良の者らをやり玉にあげなければ、農林大臣の警告に対しても忠実でなかろうし、また根室の漁民全体の立場からいつてもこれをほつておくわけにいかぬというので、告発状まで出して今日争つているような状態になつているのであります。この問題がやがては明るみに出ることだと思うのでありますが、このときにあたつてもしそういう事実があつたならば——明年も必ずさんま問題において論議されることであろう、こういう重大な問題を水産庁は軽くそのときにおいて処理されることに対して、私は不満を持つている。もしこうして行つたならば、小型底びきの整備といえども、当分の間という字句によつてどのような実体が起るかということが憂慮されるのであります。まじめな漁民はまじめな方法でやる。終戰後において、まじめな者はばかを見るということわざが流行したが、こうしたことによつて漁業法が根底からくずされることを、私は非常に懸念するのであります。北海道知事に対して、かような実体にある者に対しては、漁業協同組合長を辞職させるような警告を水産庁から出す意思がないか。事実であつたならば、北海道知事に対して警告を出すべきであると私は考える。漁民は、組合長がやつたのだから、おれらもいいだろうということでやつたのであり、またそれを煽動したことが今日明白にわかつてしまつておる。かような点に対して、水産当局はどのような意見を持つておるか、聞かせてもらいたい。
  37. 藤田巖

    ○藤田政府委員 理事の解任というものは、行政庁の方でやり得るようには法律はなつておりません。しかしながらよくその事情を道庁に知らせまして、私どもといたしまして、その事実を究明いたしました上で適当に善処いたしたいと思つております。     〔二階堂委員長代理退席、松田委員長代理着席〕
  38. 小高熹郎

    ○小高委員 漁業取締りに関連する問題について伺います。先般の委員会において、かつお漁に旋網を禁止したらどうかという意見があつたそうでありますが、これに対して、私は強く反対の意思を表示するものであります。その理由とするところは、太平洋へ参りますと、一本づりにおいては、かつおがたくさん泳いでおつても、一向にえさにつかない場合がある。その際に旋網でとることは当然でありまして、ほんとうにかつお漁の合理化をはかろうとするならば、こういう環境においては、つりと旋網を併用した船を持てば、たいへん好都合であろうということが考えられるのでありまして、一昨年来私は、かような一本ずりと旋網とを併用した船は、どういう構造であつたらよいかということについて熱心に研究した者の一人であります。さようなことから考えますとき、この旋網のかつお漁を禁止するということは、ただいまの段階においては当を得ざるものと思います。また現在現実の問題として考えられることは、最近は大いに魚群探知磯を用いるのでありますが、色とか、はねとか、そういうものを見て漁撈長が網を張るのが常であつて、たまたまいわしだと思つて張つたものに、もしかつおが入つていたらどうなるか、さばが入つていたらどうなるか、この取締りをどうするかということになると、禁止制度を設けても取締り切れないということになりまして、張つて、揚げてみて初めて、いわしとか、あじとか、そういつたものの中にかつおがある場合もあるし、また現在見違いというものもあつて、これらの判定に非常に苦しみ悩されるのです。さようなことはすべきではないと信ずるものでありまして、旋網からかつお漁を除外するという意見に対しては、絶対反対の意見を表示するものであります。当局は、これに対してきわめて慎重な態度でなければならぬということを強調するものであります。これに対して水産庁当局は、いかがお考えになつておるか、一応承りたいと思います。
  39. 藤田巖

    ○藤田政府委員 十分研究いたしまして、水産庁として態度をきめたいと思います。
  40. 小高熹郎

    ○小高委員 一応その問題については、反対の意を表示して、この場合は質問を打切つておきます。
  41. 松田鐵藏

    ○松田委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明後十一月一出午前十時より開会いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十五分散会