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1951-10-27 第12回国会 衆議院 水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十七日(土曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長代理理事 松田 鐵藏君    理事 二階堂 進君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    田渕 光一君       永田  節君    小松 勇次君       水野彦治郎君    木村  榮君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         経済課長)   奥田  孝君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十月二十五日  天売漁港修築拡張工事施行請願佐々木秀世  君紹介)(第二三八号)  漁船保険制度改革に関する請願外一件(二階堂  進君超介)(第三〇八号)  同(池見茂隆紹介)(第三〇九号)  焼尻漁港築設促進の請願佐々木秀世紹介)  (第三一〇号)  沓形漁港修築工事施行請願佐々木秀世君紹  介)(第三一一号) 同月二十六日  漁船保険制度改革に関する請願内藤友明君紹  介)(第四四六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業災害復旧資金融通に関する件     —————————————
  2. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これより水産委員会を開きます。  漁業災害復旧資金融通に関する件を議題といたします。水産庁当局より御説明を願います。山本次長
  3. 山本豐

    山本(豐)政府委員 前委員会で、この漁業災害復旧資金融通に関する臨時措置法案要綱について大体御説明申し上げたのでありますが、その後党本部でもいろいろ御研究を願いまして、かたがた今回のルース台風被害——まだ最終的にはわかりませんが、大体の推定もつきましたので、それらをいろいろ考慮いたしまして、若干内容をさしかえまして、一応考え方をまとめてみたのでありまして、その結論の大要をここに御報告いたします。  御承知のようにルース台風は、十月二十四日付の資料によりますと、八十四億八千万円に達しておるのであります。これを対象にいたしまして、一つは前委員会でもお話が出ましたように、現在手をつけかかつております小型底びきの減船の問題に関連をいたしまして、この隻数をできるだけ早急に被害隻数相当するものに転換さすということをきめますと同時に、もう一つは、これらの漁船その他漁具あるいは養殖施設、こういうものの融資をする、こういうふうなねらいであります。  そこでお手元に配付してあります資料によりまして御説明申し上げますが、ルース台風による漁業災害復旧資金関係資料としてありますが、これをごらんいただきますと、ルース台風による被害が三十六億円ばかりになるわけであります。そのうち漁船が二十五億、漁具が九億、養殖施設が二億、締めて三十六億に相なるわけであります。ところが被害漁船のうちで現に保険に入つておりまして、保険金がもらえるというもの、これも推定でございますが、わずかに五千万円しかないのであります。第三番目に小型底びき減船促進補助金でありますが、これはあとで御説明申し上げますが、大体八億六千四百万円になるわけでありまして、このものを差引まして、要するに要融資額は二十五億七千六百万円に相なるのであります。内訳漁船におきまして十五億八千六百万円、漁具に八億一千万円、養殖施設におきましては一億八千万円、合計二十五億七千六百万円、こう相なるわけであります。  融資の形態でありまするが、償還期限関係は、一応漁船につきましてはすえ置き期間を二年、償還期限を五年こう規定してみたのであります。漁具におきましては、すえ置き期間を設けずして、償還期限を二年、養殖施設におきましてはすえ置き期間を一年、償還期限を四年、こういうふうにして計算を立ててみますると、政府損失補償限度は七億七千二百八十万円ばかりになるわけであります。これは要融資額の三割といたしたのであります。前回要綱では一割五分にしておつたのでありまするが、それでははなはだ困難であろうと考えまして、三割というふうにいたしますると七億七千二百八十万円ばかりになるわけであります。  ところがこの補償融資をした途端にいるわけではありませんので、後年度へずれて参ります。そういう意味漁船におきましては第八年目に四億七千五百万円ばかり、漁具におきましては第三年目に二億四千三百万円ばかり、養殖施設におきましては第六年目に五千四百万円ばかりで、七億七千二百万円ばかりに相なるわけであります。  そのほかに例の政府利子補給考えておるわけであります。これは前回の案と同様でありまして、要融資額の四分の利子補給したい。そういたしますると、二十七年度分の予算といたしまして一億三百万円ばかりに相なるわけであります。こういう構想のもとにぜひこれの実行をはかりたいというふうに考えるわけであります。  説明が前後いたしましたが、先ほど申しました小型底びき漁船減船促進に要する経費の内訳を申し上げます。これも半ぺらの説明資料が出ておりまするが、それをごらんいただきますとわかるように、ルース台風による被害漁船数がざつと一万三千隻になるのであります。おそらくこれは動力船と無動力船が半々くらいでなかろうかと想定されますので、おのおの六千五百隻程度に相なるのであります。このうち、大破または沈没のためにとうてい修理不可能であるというものを、六千五百隻のうち、まず四千隻くらいでよろしかろうというふうに考えてみたのであります。現在、小型底びきの減船促進は、今後五箇年の計画をもつて一応立てておるのでありまして、総数が一万五千隻でありまするが、そのうち、いわゆる買上げといいますか、買いつけるということで考えておりまするものが七千隻くらいあるわけであります。従つてこれは五箇年間のものでありまするけれども、七千隻のうち、四千隻を至急に必要な方に転換をしたらどうか、こういうふうに考えてみたわけであります。この四千隻を、在来補正予算の際に大蔵省といろいろ折衝いたしました予算一つのベースを基礎にして計算を立ててみますると、八億六千四百万円ばかりに相なるわけであります。それを融資の場合に考慮して要融資額決定したらどうかというふうに持つて行つたわけであります。簡単でございまするが、以上資料の御説明をいたしました。
  4. 松田鐵藏

  5. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの山本次長の御説明で大体内容はわかつたのでありますけれども、このうちルース台風による漁業災害復旧資金関係資料の六のところに、政府損失補償限度が七億七千二百八十万円とあり、これが政府損失補償になるのであります。そうするとこの融資額の三割というものは国家で損失補償をする。つまりそれが損になるのだという見通しのもとに立てた計算であるかどうか。私どもは、最惡の場合に三〇%の損失補償をしなければならぬのであつて、借りた金はどこまでも全額を払わせなければならないと思つております。最悪の場合には、災害を受けた漁民だから支払えない部面もある、だからこの数字では不足になるというようなことも考えられるのであるが、結局ここに現われた数字の七億七千二百八十万円というものは、水産庁ではとれないのだ、そういう考えを持つておるものか、それとも最悪の場合はこうなるのだというお考えでこの表を出したのか、この点についてお伺いいたします。
  6. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいま川村委員からお尋ねがございましたが、大体私たちといたしましても、これは融資機関が安心して融資できるというころ合いを見はからつてきめた補償限度でありまして、ただいまお説にもございましたが、これが最悪の場合の最高限度であると考えておるのであります。初めから三割見当は当然御迷惑をかけるのだという考え方はよくないと思います。どこまでも借りたものは極力返すという方針で監督いたしますから、おそらくこれより内輪になるのではなかろうかと思うのでありますが、要は、融資の際に金融機関が安心して出せるということを目安といたしまして、従来の特別融資なんかの例でも三割というふうな事例もなくはないのでありまして、そういうような前例等考慮の上で、一応最高限度を三割として、最悪の場合にはここまでやつてもらうという気持でありまして、できるだけこの範囲内より低い数字にとどまるように努力しなければならぬと思つております。
  7. 川村善八郎

    川村委員 もう一点は、この法案要綱内容を見ますと、「昭和二十六年度中における風水害農林大臣の指定するものに因つて受けた損害の復旧に要する融資を円滑ならしめて漁業経営の安定を図り、」となつておりますが、二十六年度中というと、本年の四月一日から二十七年の三月三十一日までが本年度中と私は解釈するのであります。従つてこの法律が通りますと、この法律通過前の漁業災害にも、こうした法律適用して融資をするかどうか、またこれからの災害もないではないのでありますから、この法律面から見ますと、ひとりルース台風によつて被害を受けたものばかりではないと解釈いたすのでありますが、この点については、どういうようなお考えですか。
  8. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましてはお説の通りでありまして、いわゆる事業年度と申しますか、要するに二十六年の四月から二十七年の三月まで、こういうぐあいに解していいと思うのであります。実際問題としまして、この法律がかりに通るといたしますと、それが遡及と申しまするか、現在より後、来年の三月までに起り得るものにつきましても適用があると思うのであります。ただ風水害一切についての適用考えておるのでないのでありまして、特に農林大臣の指定するもの、こういうことになつておりますので、たとえば今回のルース台風のような激烈なるものを指定して、その指定があつた台風による被害についてはこれを適用する。きわめて軽微な被害については除外されるかと思うのであります。
  9. 川村善八郎

    川村委員 山本次長の答弁でそのねらいははつきりしたのであります。私は大体そう考えておるわけであります。しかしながらこれからさらに大きな被害がないとも限らないのであるから、その点はただルース台風のみにとどまるということでないが、今回の法律の趣旨の内容というものはルース台風対象にしたものだ、しかし今後起きる災害も、農林大臣が指定した場合には、こういう措置をとるというお考えも、水産庁では十分ここにお持ちいただかなければならぬのではないかということをまず申し上げておきます。さらに今度の災害地漁船補給については、今後瀬戸内海等小型機船底びき網漁業整理に伴う漁船を転換せしめて、この災害の窮状を救つてやるということで、自由党では先日政務調査会を開いて大体決定したのでありますが、その後われわれが考えますると、どうしても金融措置が伴わなければならない。そこで金融措置の問題も出ておりますが、小型機船底びき網整理の問題については、補正予算には二億数百万しか織り込んでおらない。それをあと六億ぐらい足してもらわなければできないということになるのですが、その点において大蔵省水産庁との折衝はどうなつておるか。私どもはこれから折衝することになつておりますが、その点において水産庁が折衝したかどうか。あるいは大蔵省は今ここに案として出されたようなことを了承上て、でき得るだけの善処をしてルース台風被害を救助してやるということを、どの程度にお考えになつておるかお伺いいたします。
  10. 山本豐

    山本(豐)政府委員 実はこの案は先般自由党政調会でいろいろお骨折りを願いまして、その結果として急遽昨日あたりつくられたものでありまして、今朝来石原次長にこういうことがあるということだけは電話で連絡したのでありますが、まだこまかく御説明申し上げるという段階には達していないのでございます。従つて急遽大蔵省にもお話をいたしまして、極力事務的にも何とか実現ができるように努力をいたしたいと思つてつたのでありますが、やはりこういう問題は預金部資金を大わくに出すことに関連がありますので、当委員会の方でも、政治的に相当強く御協力をいただきたいと考えております。
  11. 石原周夫

    石原政府委員 ただいま水産庁の方からお話がございましたように、実は本日水産委員会からお呼出しを受けましたが、どういうようなお話であるかということで、ここへ伺います前に電話水産庁に伺いましたところ、こういうようなお話であるということでありまして、今初めて数字を拝見したようなことでありますので、これから検討いたす段階にあります。
  12. 川村善八郎

    川村委員 もちろんこの問題を取上げたのは一昨日からでありまして、大蔵当局の耳にはまだ十分入つていないと思つております。昨日自由党政調会長お話では、大蔵大臣には簡単に話しておる、それでできるだけこのふしは急ごうじやないかというお約束もされたようでありますから、本委員会としても、これを早く通過させてその措置を講じてやらなければ、あのルース台風によつて漁船を失い、漁具を失い、あるいは家も失つて、今後の生活の見通しさえもまつたくつかないというような、最も急を要する場合でありますので、本委員会ももちろん法律内容には何ら不賛成の人はないと思いますから、委員長は本日でもこの法案を通すような方向に持つてつてもらいたいということと、大蔵省でも水産省と御相談されまして、この予算措置あるいは金融措置について、十分善処せられるようにお願いする次第であります。  なおわれわれといたしましても、実際悲惨のきわをきわめておる漁民を救うためには、これから各政党とも打合せをして、大蔵省当局並びにその他の関係官庁とも折衝いたしたいと考えておりますので、大蔵省におかれましては、特にこの問題について善処あらんことを希望いたしまして私の質問を終ります。
  13. 石原圓吉

    石原(圓)委員 減船の小さな表でありますが、この中の動力船六千五百隻のうち、修理不可能のものは四千隻であるということははつきりしておるようでありますが、無動力船の方はどういうことになりますか。
  14. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 先ほど御説明申し上げました被害船数は、県の方から調査報告の集計によりまして、一応現在における被害隻数を出したわけでございまして、その内訳でございます動力船、無動力船割合につきましては、漁船統計の実態から推定いたしまして、おそらく五〇%くらいずつあるであろうという数字になつておるわけでございます。従いまして、ただいま御質問のございました修理不可能と推定される四千隻につきましても同様推定でございまして、実は確実な数字をつかんでおるわけではございません。これは間もなく県のいろいろの報告が出ましてから分折いたしますと、はつきりした数字がつかめると思うのでございますが、大体この程度推定でおそらく合つているのではなかろうかと考えておるわけであります。  なおお話のございました無動力船の問題につきましては、これは小型機船底びき、減船整理に関する問題でございますので、主として動力船を主体として考えておる数字でございます。
  15. 石原圓吉

    石原(圓)委員 私は重力船のみならず無動力船相当被害があるので、無動力船でもまわし得るものはまわさなければいかぬと考えるのであります。ことに整理減船ということの目標は、間に合う船も間に合わない船も——主として間に合わない船から配置して行くような方針をとらなければならぬわけでありますけれども、今回のこのルース台風被害を補つて行くという建前から行きますと、動力船であろうが、無動力船であろうが、間に合う船はその方に持つて行くという建前で案を立てて行かなければならぬ。この機会に全部を減船してそのところでつきいそにしてしまうものまでも、この際政府支出を受けるということに対しては、相当研究、御考慮を要すると思うのでありますが、その辺に対しては水産庁はどういうお考えを持つておられますか。
  16. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 御質問の点は二点あると思うのでございます。  まず第一点の無動力船に対する復旧関係をどう考えられるかという御質問でございますが、それは先ほど御説明申しました点が多少抜けておつたのでございまするが、無動力船復旧につきましては、別の方の融資関係、これをごらんになりますると、漁船融資の十五億八千六百万円という数字の中に、無動力船復旧融資が含まれておるというふうに解釈願いたいと思うわけでございます。  それから第二点のつきいそにする分に対して補助金を出すのはどうだろうかというようなことでございまするが、これは大体の構想といたしまして、たとえて申しますると、山口県で損害大破した動力漁船につきまして復旧するという場合におきましては、片つ方の減船整理の方の県に対しまして、船体価格だけ補助金トン当り三万円出すということになるわけでございますので、この三万円によりまして、つきいそになつて小型底びきの漁業から手を引くというものに対して補助金が出されるのと、そのほかにエンジンでありますとか、あるいは漁具でありますとかをつけまして、被害県鹿兒島なら鹿兒島の方に売るということになりますと、船体価格だけを差引いてこれが売れる。従つて鹿児島県の被害者の方から申しますると、漁具でありますとか、エンジンでありますとかの金だけ融資してもらえば、それだけで、一通りの生産手段がそろうというような関係考慮しておるのでございます。
  17. 石原圓吉

    石原(圓)委員 今回のこの応急処置というものは、瀬戸内海を初め減船が迫つておる、減船をしなければ漁業者全体が困つて来るという建前から出ておるのであります。それが本年度はわずか八百幾隻、二億円ばかりしか政府の金が出ない。あとは即急には行かない。これでは漁船全体が困窮に陥るというそのやさきに向けて、九州、中国、瀬戸内海等ルース台風があつて、一万隻内外船舶を失うた。この一万隻内外船舶を失うたということは、つまりその関係県漁業者は、全部失業になつた。その上に漁業者そのものの家屋を初め、家財も漁具もみな流してしまつたというときであるから、資材の点からも、資金の点からも、また時間的にも、非常な危急に瀕しておる。この場合に、従来の減船の余儀なくなつておる問題とこれとをにらみ合せて解決をするということが、一挙両得、三億にもなつて、いずれもが協調を保てるというところに根拠があるのでありますから、この問題を解決して行くことは遅れてはいかぬのでありまして、急速にやらなければ、何らの効果がないということになります。ですからこれは、大蔵省におかれてもこの問題を十分に認識されてそうして水産庁と協力して、この問題を解決するように願いたいと思います。大蔵省考え方も、あるいはまだ話が始まつたばかりで、深い御認識にはなつておられないかもしれませんが、その要点についてはどうかぜひ御納得を願いたいと思うのでありまして、一応お考えのあるところを承つておきたい。
  18. 石原周夫

    石原政府委員 先ほどお答えを申し上げましたように、何分にもこれはただいま拜見いたすことでございますので、大蔵省はどう思うかというお尋ねでございますけれども、それに対しまするお答えをいたしかねる。ただ本年度補正予算に計上いたしております部分が、相当多額に上つておりまする減船整理関係金額に比べると非常に小さい、その分を何とかしないかというお話であろうかと思うのでありますが、御承知のように補正予算はすでに提出をいたしましたので、今後どうなりますか、これは政府最高政策の問題でありまして、私どもお答えを申し上げる筋合いではございませんが、私ども承知しておりますところでは、さらに補正予算を出すというようなことは考えておりませんので、現在のわくの中でどういうことをするのが一番よろしいかということをとりあえず考えなければならぬ段階かと思います。
  19. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この問題は五日ばかり前に自由党総務会で、自由党としてはその方針決定いたしまして、政務調査会において調査をして、政府にそのことを申し入れたのであります。今後の方針といたしましては、多分党、政府大蔵省等最高機関の御相談に乗ることと思うのであります。われわれは一刻も早くこれが実現せられて、そして漁村が救済されるように、ルース台風のために非常な惨禍をこうむつたところの漁船が救われるという事実が、早く示されることを希望する次第でありまして、特にこの点を希望を申し上げておきます。
  20. 二階堂進

    二階堂委員 ちよつと主計局次長お尋ねいたしたいのでありますが、今回のルース台風に対する最終的なつなぎ資金であるとか、あるいは災害予備費等支出であるとかいうものは、まだ明らかにされていないようでありますが、まだ本年度において支出になつていない災害害関係予備費が一体幾ら残つておるものか。あるいはまたつなぎ資金等で早急に出してもらわなければならぬものが相当額いると考えるのであります。これらの金額は、早急にひとつ御決定つて出していただかなければならぬかと考えるのでありますが、この金額等についてどういうふうにお考えになつておるか、あるいはいつごろ御決定になる予定か、そういうことがおわかりでございましたら、ひとつ御報告願いたいと思うのであります。
  21. 石原周夫

    石原政府委員 御承知のように、公共事業費の二十六年度金額の中には、本年度災害に備えます金が八十億あつたわけであります。その後におきまして最近まで認証の済んだ額は三十億であつたかと思います。残額は五十億あつたのでございますが、これは御承知のようにその後また災害もありまして、部内におきましてはある程度金額を大体固めまして、その五十億円のうちの相当大きな割合を出そうかという運びになりかかつておつたのであります。そこへルース台風がございましたので、その間の処置をどういたすかということにつきまして、どの程度の手当をどういうふうに出すか、そういうふうな事情とにらみ合せまして、決定をいたすはずであります。その意味におきまして、目下安定本部あるいは建設省、あるいは農林省というようなところでとりまとめをやつておられまして、私どもの方もその数字がきまり次第に、それに応じました措置をいたすつもりでございます。  このルース台風のためにはたしてどれだけの金額が捻出可能か。先ほど申し上げましたように、残つております金額のうちで相当部分を出そうかというところになつておりましたので、そこら辺をどういうふうに調整をいたすかという問題がございますから、今どの程度金額を出せるかということを申し上げるのには、少し時期が早いかと思います。第二の、預金部の将来出まする補助金の引当てといたしました前貸しと申しまするか、つなぎ貸し“これにつきましては大体の金額決定いたしまして、すでに実施に移る段階にありはせぬかと思つております。ただその方は銀行局の方でありますので、正確な金額を忘れておりまするから、ちよつと申し上げかねますが、これは大体の金額をきめて実施いたすように手順をつけております。災害救助法の方は、とりあえず府県の方で支出をせられておると思われまするので、この災害救助の金が、後承知のように、災害救助法である割合に達しますと、国の方でこれに対する負担の問題がございまするから、この方は災害救助法に伴いまする支出金額がきまりました上で、一般会計の方から支出をいたす、あるいは予備費支出になるかもしれません。それはとりあえず県の方で出しておりますので、その数字がきまるまでにはちよつと時間がかかるかと思います。
  22. 二階堂進

    二階堂委員 ただいま伺いますと、まだ災害予備費が五十億程度支出せられずに残つておるというようなお話であります。この五十億の支出については各庁といろいろ技術的に話合いをしておるというような段階であるように伺つたのでありますが、この予備費はもちろん災害のために使用されるべき金額であることは申し上げるまでもないのであります。そこでこの五十億というもののうち、いくらかはすでに支出しなければならないというように内定はしているというものの、ルース台風のような被害にこそ適用されるべき金であると私は考えるのであります。従いましてこの五十億そこそこの金がもしありまするならば、私はこういう金はもつと緊急に支出を要するルース台風のごとき災害に充当せらるべきが当然ではないか、こういうふうに考えるのでありますが、さらにこの点につきまして一応の御見解を承りたいのであります。同時にまたけさの新聞であつたと思いまするが、つなぎ資金が約十億二千万円とか、私の見違いかもわかりませんが、記憶いたしておるのであります。私はこの金額を見まして非常にびつくりしたのであります。と申しまするのは、あまりにも僅少にすぎる。とうていこのくらいの金を、つなぎ資金であつても、融資していただきましても、さらに本格的にこの災害に対する補助等を予算に計上いたしまする間に、相当期間があると私は思うのであります。全国の被害を見ましても、今までにない莫大な被害を受けております。鹿児島県だけでも三百億以上の被害総額になつておるわけであります。この被害を受けた各県が、その被害を復興させようと血みどろなる努力をいたしておるときであります。私はこのつなぎ資金の僅少な額を見て、政府の態度はあまりに従来と同じように緩漫ではないかというふうに考えて、最も被害をこうむりました鹿児島県を代表いたしまして、まことに遺憾の意を表せざるを得ないのであります。  私はそういう気持をもちまして漁業災害復旧資金融通に関する臨時措置法案内容を見てみますると、当然このような法律は早急に通過せしめて、今回未曽有の災害をこうむりました被害地に一日も早くこの法律適用せらるべきものと考えておるのであります。水産庁大蔵省との間においては、予算の問題について今ようやく話合いが始つたばかりであるので、私はつつ込んでいろいろな予算的な問題について大蔵省当局に御意見を伺おうとは思いませんけれども大蔵省当局とされましても、私はこの法律案の趣旨には賛成せらるべきものと考えております。ただ数字の点等につきましていろいろ問題があることは申し上げるまでもありません。ルース台風のごとき被害を受けましたところの漁民は、漁船を失い、漁区を失い、家まで失つて、食うに困つておるのであります。鹿児島県の漁村の復興につきましても、私どもは日夜頭を悩ましておるようなわけであります。もし政府が大きな補助を、復興に対する力を差伸べてくれなければ、鹿児島県、また鹿児島県のみならず、被害を受けました多くの県の漁村等の立ち上りはとうていでき得ないのではないか。これは今度の災害があまりにも大きいということに基因をいたしておるのであります。そういう切実なる事情を十分お考えくださいまして、予算等の措置については、大蔵省当局とされましても十分の御協力を切にお願いを申し上げる次第であります。
  23. 松田鐵藏

    松田委員長代理 この問題についてはこの程度にして、後刻委員会が終つたら懇談会にしたいと思いますから、さよう御承知を願います。  石原委員より発言を求められております。これを許します。
  24. 石原圓吉

    石原(圓)委員 遠からずアメリカ、カナダ等より、日、米、カ、三国の漁業協定のために、多数の関係者が来るようであります。私は条約特別委員会の席上におきまして発言を求めて、今回の漁業協定というものは日本の漁民全体にとつて重大な問題である。従来のいわゆる世界の漁場なるものは、一部を除いては日本の漁民のうちの最も勇敢な人たちが開拓した漁場であつてこの漁場が今回の協定によつて日本がどういう立場になるかということは重大な問題である。よつて関係者と協定を開始することはよろしい。開始することはよろしいけれども、協定は全部関係諸国同時にその契約を締結すべきである。またこの協定にあたつては、その関係国が現地に臨んで実地調査すべきである。それから協定に対する日本側の委員には外務省、水産庁のみならずその他関係の最も深い方面から委員を出すべし、衆議院よりも参議院よりもぜひとも委員を出すべしということを要求したのであります。それに対して政府は、必ず要求通りにするという答弁があつたわけでありまして、遠からずその委員等のとりきめがあると思うのであります。聞くところによりますると、委員なるものは政府の官僚でなければいけない、だから議会人は委員にできないから顧問とするという説があるのであります。どうも法理上その点についてはわれわれもはつきりわからぬのですが、議会人は委員になることはできないということが原則ならばやむを得ないのであるが、ぜひとも、委員に加えられたい。万々一加えられない場合は顧問でもしかたがない。その場合における数の問題でありますが、数は委員であろうが、顧問であろうが、参議院は参議院の水産常任委員の数、衆議院は衆議院の水産常任委員の数、それを基準として参議院で一人を選定する場合にはその三倍の三人、二人を選定する場合には、衆議院では六人という比率において選ぶことが妥当と思うのでありまして、これに対して今出席の水産当局より何か意見が述べられるならば、参考に聞いておきたいと思います。
  25. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいま石原委員からお尋ねのございました、近くアメリカあるいはカナダ方面から参るであろう漁業協定の関係者の受入れ態勢と申しますか、それらの人選についていいろ御意見があつたのであります。われわれといたしましても、ただいまお述べになりました御意見につきましては、いろいろ傾聴しなければならぬ点があると思います。ただ今回のものはどこまでも予備交渉でありまして、予備交渉に関係する人と、正式に大体草案ができまして、今度アメリカに件きますかどうかわかりませんが、調印する場合と、二段階になると思うのであります。いずれにいたしましても、ただいまお述べになりましたように予備交渉で原案が出て来るのでありまして、非常に大切な交渉に相なるのであります。そこで各界の代表者というような者、あるいは衆参両院の方々にも当然これは参加していただかなければならぬと私ども考えるのであります。ただ、委員にするか顧問にするかという点につきましては、向うの方の出方と申しますか、それらの関係考慮してきまるものであろうと思いますので、ただいまそれについての明確なるお答えはいたしかねるのでありますが、御意見のありました点は、十分長官等にもお話いたしまして、近くきまることであろうと思いまするが、下詮議につきましては、十分御意見のところをしんしやくいたしまして、円満に善処いたしたいと思います。
  26. 石原圓吉

    石原(圓)委員 どうも水産庁方針は弱いように思うのであります。外務省の方に抑圧せられているような感じがわれわれはするのであります。今回の漁業協定がうまく行かないならば、ただちに沿岸漁業に圧迫が来るのであつて現実にも、いわゆる大資本会社はすでに沿岸の漁業に蚕食して来ていることはお認めであろうと思うのであります。もし海洋の漁業がうまく行かぬ場合には、沿岸漁業はますます資本力の圧迫を受けて、いかなる悲惨な状態になるかわからぬ、こういうような重大なときに直面していると思うのであります。ですから水産庁はあくまでも自主的な考え方をもつて、この漁業協定に限つては外務省がいかなる態度に出ようとも、敢然とした態度でやつてもらわねば困ると思うのであります。そういう覚悟があるかどうか。一部ではすでに漁業協定を締結したならば、水産庁の官吏の一部を割愛して、大きな会社の従業員として海外に派遣するような内容があるといううわさもあるのであります。これは水産庁がここに大なる決意のいる点でありまして、それらの点に対して、ここに明快な御方針があるならば、この際承つておきたいのであります。
  27. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいま石原委員からいろいろとお話がありましたが、この漁業協定の内容につきましては、どこまでも公海の自由の原則、またかりに資源の保護という見地から、お互いに制約を受けるような場合がありましても、これはどこまでも公正妥当な線で行かなければならぬと思うのであります。それらにつきましては、水産庁といたしましては、業界その他とも先般来連絡をとりながらいろいろ研究しておるつもりであります。従いましてそれらの考えにつきましては、外務省は外務省でお考えがあろうと思うのでありますが、水産庁といたしましては、強く水産庁独自の考えを外務省を通じて、よく反映するようにいたしたいと考えておるわけであります。  それからもう一つ後段お話になりましたような点につきましては、われわれとしてはそういうことはないと確信するものでありますが、なおよく注意をいたしまして、そういう非難の声の起らないように十分警戒をいたしたいと考えます。
  28. 石原圓吉

    石原(圓)委員 沿岸漁業者の世帯主は約三百万人でございますが、これが抱擁するところの老若男女を合せれば、一家六人と見ても一千八百万人であります。これはまさに日本の人口の五分の一に相当するものであつて、これらの者の生殺与奪の権を持つておるのは水産庁であります。その場合に、今度の台風による融資のごときももう少し力強くやらなければならない。たとえば一昨日か昨日か出帆したところの捕鯨船の日新丸、あの一そうを新造するために十五億円内外融資を国がしておるということですが、十五億円あつたならば、沿岸漁民はどれだけ救われるかということも深く考えなければならぬと思うのであります。これに対するいろいろな問題がありますけれども、本日はこの程度にとどめます。
  29. 川村善八郎

    川村委員 ただいま石原委員から、今度の漁業協定の問題について御指摘がありましたが、けさほどの新聞を見ますると、ヘリングトン以下が三十日に飛行機でこちらに向うと記者団に談話を発表しております。その談話をかいつまんで申し上げますと、講和条約が締結されれば、いわゆるマツカーサー・ラインというものは撤廃されるのだ、公海は自由だ、しかしながら漁業にあたつては、魚族を保護しつつ安心して漁業をやれるような方法をとらなければならないということも、はつきりうたわれております。さらに日本から輸出する——アメリカにすれば輸入するまぐろの税金のことにも触れて、上院は通過したけれども、下院はこれを一応審議未了として、次の議会にまわした、しかしながら業者から相当強い陳情があるので、今度の議会の動きが注目さなるといつたようなことや、また委員の問題についても談話を発表しております。ところが片一方は、日本が要請して来てもらつたのに、まだ委員もきまつておらない。その交渉の方針もきまつておらない。あるいは内密にはきまつておるのかもしれませんけれども、広くわれわれ漁民には知らしめておらないばかりでなく、本委員会にもまだはつきり示しておらないということは、結局どろぼうが来てからなわをなつて使うというようなことになりはしないか。石原委員が沿岸漁民の問題について言つておりましたが、まさにその通りでありまして、せんだつての水産大会におきましても、議長になりました某氏は、今度の漁業協定というものは、ほとんど海洋漁業者がやるのだといつたようなことを発言しております。私はまことに遺憾だと思つておりましたが、時が時、場所が場所でありますだけに、私は申し上げなかつたけれども、結局海洋漁業がふさがると沿岸漁業に来る。現に先般の委員会でも私が指摘した通り、結局大資本が沿岸漁業を荒しておるということは、いわゆる公海自由の形式において漁業をやれぬから、沿岸に食い込むのだ、沿岸に食い込むと、沿岸漁民が困る、荒されるばかりでなく、生活権も奪われる、こういうふうになるのであるから、日本側といたしましても、沿岸漁業も大いに考慮に入れ、今度の公海自由の漁業というものに対しては、どういうふうに進出しなければならぬかということは、海洋漁業者のみにゆだねておくべきでなく、沿岸漁業の代表も、しかも国会からも代表が出て、関係官庁からも委員が出て、この際強く漁業協定を押して行かなければならないと私は考えるのであります。その点を十分考慮に入れて、水産庁では、特に農林大臣を通じ、農林大臣から政府当局に強くその旨を伝えて、委員を出すようにした方がよかろう、かように考えるのであります。  次に私の考えを申し上げますと、漁業協定ができますとどうなるかは知りませんけれども、協定前に諸外国に日本の漁業が誘致されているのであります。たとえばインドだとか、あるいは今度台湾でも来てもらいたいとか、ビルマでも来てもらいたいとか、いろいろなことがあります。朝鮮もしかりであります。今個々に行つた場合には、個々の利益と言うよりほかには見られません。これを国家的に取上げて、たとい外国のどこの国へでも、一そうでも五そうでも行く場合には、これを国家の権利として持つて行くべきであつて、大会社とか、あるいはこの漁業をやつているのはだれそれであるからというふうな個人的権利として持つて行くべきではない、私はそういう見解を持つているのであります。やはり広く日本漁民の権利であり、日本国家の権利であるという大きな角度から行くべきであると私は考えているのであります。従つてこれを持つて行きますのには、一つの協議会といいましようか、あるいは審議会といいましようか、国家的なそうした機関をつくつて、それぞれの人を配して、外国に行く漁船をきめて行くべきである、また漁業者もきめて行くべきである、こういうふうに考えるのであります。この点について、何か水産庁でそれに対する案でも持つておるかどうか。つまり私の申し上げますのは、水産庁が案を持つてつても、個々にやつたのでは個々の問題になつて、広く日本の漁民の権利としてこれをとることができないから、こうしたような権益としてとるには、やはり国家的な何か機関をつくることが必要ではないか、自主的につくらせることもけつこうでありましようけれども、自主的につくるということは、一利あつて百害になるのではなかろうかというおそれもあるので、私は国家的につくつて、これを国家的に権益として広く日本の漁民に与えるべきであると考えますので、この点について意見がありましたならば、意見を伺いたい、かように考えるのであります。
  30. 山本豐

    山本(豐)政府委員 それは意見として承つておきましよう。
  31. 松田鐵藏

    松田委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来る三十日火曜日の午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    正午散会