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川村委員 ただいま
石原委員から、今度の
漁業協定の問題について御指摘がありましたが、けさほどの新聞を見ますると、ヘリングトン以下が三十日に飛行機でこちらに向うと記者団に談話を発表しております。その談話をかいつまんで申し上げますと、講和条約が締結されれば、いわゆるマツカーサー・ラインというものは撤廃されるのだ、公海は自由だ、しかしながら
漁業にあた
つては、魚族を保護しつつ安心して
漁業をやれるような方法をとらなければならないということも、はつきりうたわれております。さらに日本から輸出する——アメリカにすれば輸入するまぐろの税金のことにも触れて、上院は通過したけれ
ども、下院はこれを一応審議未了として、次の議会にまわした、しかしながら業者から
相当強い陳情があるので、今度の議会の動きが注目さなるといつたようなことや、また
委員の問題についても談話を発表しております。ところが片一方は、日本が要請して来てもら
つたのに、まだ
委員もきま
つておらない。その交渉の
方針もきま
つておらない。あるいは内密にはきま
つておるのかもしれませんけれ
ども、広くわれわれ
漁民には知らしめておらないばかりでなく、本
委員会にもまだはつきり示しておらないということは、結局どろぼうが来てからなわをな
つて使うというようなことになりはしないか。
石原委員が沿岸
漁民の問題について言
つておりましたが、まさにその通りでありまして、せんだ
つての水産大会におきましても、議長になりました某氏は、今度の
漁業協定というものは、ほとんど海洋
漁業者がやるのだといつたようなことを発言しております。私はまことに遺憾だと
思つておりましたが、時が時、場所が場所でありますだけに、私は申し上げなかつたけれ
ども、結局海洋
漁業がふさがると沿岸
漁業に来る。現に先般の
委員会でも私が指摘した通り、結局大資本が沿岸
漁業を荒しておるということは、いわゆる公海自由の形式において
漁業をやれぬから、沿岸に食い込むのだ、沿岸に食い込むと、沿岸
漁民が困る、荒されるばかりでなく、生活権も奪われる、こういうふうになるのであるから、日本側といたしましても、沿岸
漁業も大いに
考慮に入れ、今度の公海自由の
漁業というものに対しては、どういうふうに進出しなければならぬかということは、海洋
漁業者のみにゆだねておくべきでなく、沿岸
漁業の代表も、しかも国会からも代表が出て、
関係官庁からも
委員が出て、この際強く
漁業協定を押して行かなければならないと私は
考えるのであります。その点を十分
考慮に入れて、
水産庁では、特に
農林大臣を通じ、
農林大臣から
政府当局に強くその旨を伝えて、
委員を出すようにした方がよかろう、かように
考えるのであります。
次に私の
考えを申し上げますと、
漁業協定ができますとどうなるかは知りませんけれ
ども、協定前に諸外国に日本の
漁業が誘致されているのであります。たとえばインドだとか、あるいは今度台湾でも来てもらいたいとか、ビルマでも来てもらいたいとか、いろいろなことがあります。朝鮮もしかりであります。今個々に行つた場合には、個々の利益と言うよりほかには見られません。これを国家的に取上げて、たとい外国のどこの国へでも、一そうでも五そうでも行く場合には、これを国家の権利として持
つて行くべきであ
つて、大会社とか、あるいはこの
漁業をや
つているのはだれそれであるからというふうな個人的権利として持
つて行くべきではない、私はそういう見解を持
つているのであります。やはり広く日本
漁民の権利であり、日本国家の権利であるという大きな角度から行くべきであると私は
考えているのであります。
従つてこれを持
つて行きますのには、
一つの協議会といいましようか、あるいは審議会といいましようか、国家的なそうした機関をつく
つて、それぞれの人を配して、外国に行く
漁船をきめて行くべきである、また
漁業者もきめて行くべきである、こういうふうに
考えるのであります。この点について、何か
水産庁でそれに対する案でも持
つておるかどうか。つまり私の申し上げますのは、
水産庁が案を持
つてお
つても、個々にや
つたのでは個々の問題にな
つて、広く日本の
漁民の権利としてこれをとることができないから、こうしたような権益としてとるには、やはり国家的な何か機関をつくることが必要ではないか、自主的につくらせることもけつこうでありましようけれ
ども、自主的につくるということは、一利あ
つて百害になるのではなかろうかというおそれもあるので、私は国家的につく
つて、これを国家的に権益として広く日本の
漁民に与えるべきであると
考えますので、この点について意見がありましたならば、意見を伺いたい、かように
考えるのであります。