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松田委員 私は
石原次長に対しては非常に敬意を表しており、やがては主計局長になられる立場の方という建前から
お話を申し上げたいと存ずるのであります。
まず今回の
台風に対して、日本
政府はどのような考え方を持
つているかということでありまして、これが大きな問題であると思うのであります。こうした
台風が年々繰返されていることは、日本の国として
まつたく迷惑な話であり、これに対する恒久策を講じなければならないのであります。その恒久策を講ずるというときにおいて、今回
漁船が二県で六千そう消滅してし
まつた。これはただ個人の財産がその辺のしけのためにこわされたということとは大きな隔たりがあるというように考えるのであります。要するに
台風によ
つてこう大量の船、また陸のあらゆる
施設が破壊されたときにおいては、国はいかなる
方法をも
つてもこれを救済しなければならない。個人の財産ではあるけれ
ども救済しなければならないと考えるのであります。先ほどどなたかの御
意見にもあつたように、今まではこの
保険制度があればこそ、
漁業者はわずかのものをたよりにして
保険をかけておつた。しかもその
保険をたよりにしてお
つて漁業が
経営できた。これは社会
制度の
保険で、
組合でも
つて保険をや
つておつたが、今日これが非常に窮迫した
状態にな
つている。こうした
組合に
保険加入してお
つた漁業者が、一県において四千そうも三千そうも破壊されるということであつたならば、
保険事業というものはほとんど壊滅に瀕する。いかなる
方法を講じても、
保険制度というものを
組合の力でや
つて行つたならば、壊滅にひとしいものになる、かようにわれわれは考えるのであります。またとうていその
事業の遂行はできない。こうした災害に対しては、国がどうしても救済しなければならない。私は先ほどの
総務会においても、この問題に対しては急遽災害を救済すべしということで、
総務会も了承して特別な
方法を講ずることにな
つたのでありますが、但し
漁船に対しては輸入ということはでき得ないのであります。
漁船に対しての輸入ということは、今後の協議にまたなければならないのであります。現在食糧も何もかもない、
漁業権証券を使
つても食糧を確保しなければならないというのが鹿児島県の
実態であります。そうしてようやく災害から復興ということにな
つて困るのは、食糧ではなくして、今度は
漁業をやる船である。そのときにおいて船は一隻もない、こういうことにな
つて船の建造に対してあらゆる罹災者はお困りのことだろうと思うのであります。それに対して
政府はどのような方向に進むか、これは
水産庁のお考えを承りたいのでありまするが、はたして今日
水産庁にそれができ得るやいなやということであります。個人個人の所有である船がこうして大量にこわれたとしても、満足すべき船を建造しようとい
つてもできるものではないのであります。これは大きな社会問題であります。もう
漁船保険の問題は議論すべき問題じやない、強制
加入してしかるべしだ。また
政府があらゆる
援助をも
つて、こうした
制度ができておつたならば、こういう災害のときにこそ、
漁民はまずも
つて保険に入
つているから、船の点は心配ない。次にはある
程度の雨露をしのげる家を建てなければならない。そうして早く
漁業に出る
方法を立てなければならない。かようにして、その復興と生産意欲を増して行くことだろうと思うのであります。わずか二億や三億でも
つてこの
制度の確立ができるということであつたならば—
明年度の
予算というものは講和後における苦難の年である。この点に対しては、われわれは国政をあずか
つているがゆえに、十分その困難な事柄はわか
つているのであります。ただむやみにわれわれの
要望を入れろとか、またわれわれの政策を入れろとかいうのじやない。むしろ大蔵
当局は、
明年度の
予算の編成に対して、奇蹟的な
努力をも
つてしなかつたならばでき得ない年であろうとまで、われわれは考えているのである。そうしたことをよく把握しているが、年々来る災害に対して、
漁民はその方途に迷う。ここにおいてこれは大きな社会問題であります。今
水産庁、農林
当局として立てている二億や三億の金でこの
制度の確立ができ得るとしたならば、もはや議論の余地のないものだと私は考えております。
予算の上からきゆうくつであることは私は知
つております。しかし年々来る災害に対して
漁民の行くべき道というものを考えたならば、これは大きな社会保障
制度である。イギリスの現内閣は、自己の政策によ
つて六名の多い議員を出して政権を担当しているが、その政策が今日のイギリスの軍拡をしなければならない
実態からい
つて、いかんともなしがたいことに直面したるがゆえに、自己の政党の不利益なるをも知
つて、議会を解散して、国民の世論を問うている。あの民主主義の行き方からいつたならば、日本
政府としても、こうした社会保障
制度をもつともつと真剣に考えて行かなければ、将来日本の民主主義は徹底でき得ないものだと私は考えるものである。
現実の問題として肺結核の問題もありましよう、いろいろな問題もあるだろうけれ
ども、毎年来ることにきま
つておるこの災害、
台風というものに対しての考え方というものも、よく考えて行かなかつたならば、わずかなる
組合制度をも
つて行つたとか、国でも
つてある
程度の助成だとかいうようななまやさしい考え方では、将来の日本の
漁業というものは、とうてい私は
漁民は安心してその業に進むことができ得ないと思うのでありまして、もはや議論の余地はないと思います。かように私は考えておるものでありまするが、大蔵
当局としても、われわれの尊敬する
石原次長は、どうか事務
当局の考え方を脱却して、日本の
現実の姿をよくお考えくださ
つて、この問題に対してもつともつと強い修正をしていただくことはけつこうであります。先ほど
石原委員の言われた強制
加入もけつこうであります。そうした行動によ
つて指導して、この点の
予算に対しては万全を期していただくことを
要望するものでありますが、次長の御
意見を承りたいと思います。