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1951-10-18 第12回国会 衆議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十八日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 松田 鐵藏君    理事 二階堂 進君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       五島 秀次君    田口長治郎君       田渕 光一君    永田  節君       小松 勇次君    水野彦治郎君       木村  榮君  委員外出席者         検     事         (検務局長)  岡原 昌男君         検     事         (検務局経済課         長)      高橋 勝好君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豊君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整第一課         長)      高橋 泰彦君         農 林 技 官         (水産庁生産部         水産課長)   曽根  徹君         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁港課長)   林  真治君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         日本国有鉄道輸         送局配車課長  今村 義夫君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣承認申請に関する件  漁業取締に関する件  水産物の運賃に関する説明聴取     —————————————
  2. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これより水産委員会を開きます。  漁業取締りに関する件を議題といたします。二階堂委員から発言を求められ、永田委員からも発言を求められております。二階堂委員
  3. 二階堂進

    二階堂委員 御承知のごとく、今回の台風各地に非常なる被害を及ぼしておるのであります。ことに九州地方におきましては、鹿児島県を初めといたしまして、熊本福岡大分各地に非常な惨害を及ぼしておるのであります。中でも水産のこうむつておりまする被害は、鹿児島県だけを見ましても空前の被害をこうむつておるようであります。今までの台風被害程度をもつてしては、とうてい計算のできないような被害をこうむつております。十六日三時現在の鹿児島からの一部の情報でありますが、これをちよつとここで御報告いたしたいと思います。非常なる暴風ちようど満潮のときに参りましたために、非常な波が漁村一帯を襲いまして、薩摩半島の枕崎、野間池間、吊木野、東市来、島平、羽島、この地方は特にひどく、なおまた甑島及び種子島の方面も同様でありまするが、海岸地帯、住宅、漁具漁船などはほとんど全滅をいたしておるという情報であります。漁船沈没流失は、一部の報告でありまするが、これが七百四十五隻、大破八百十六隻、小破五百八十九隻、計二千百五十隻に及んでおります。なお死傷者、これは漁村のみでありまするが一千二十六人に及んでおるようであります。うち死者が四十一七名、行方不明が五十七名、その他漁具の損失は莫大なものであります。なお大型漁船五隻が慶良間群島に坐礁いたしておる由であります。その他重油の流失一千キロ以上という報告が参つております。この報告は、まだ通信機械が杜絶いたしておりまして、県の水産部の方からも正確なる情報は参つておりませんが、一部の報告でありますので、今後これらの被害相当増大する見込みであります。そこで私は本日水産庁当局から、なおその他九州各県及び被害各県の暴風によつて水産がこうむりました被害報告が来ておりまするならば、その報告もこの際ここでお聞かせいただきまして、早急にこの災害対策を立てられんことを切に希望いたすのであります。特に今回の災害は、先ほどから申し上げまするように、前古未曽有被害でありまして、各県ともこの復旧につきましては非常なる心痛と努力をいたしておることと思うのでありますが、政府におかれましてもこの台風の非常に悲惨なることを十分に御認識されまして、即時調査団派遣をされて、つぶさに実情調査され、なまなましい実情の認識の上に立つて、早急なる復旧復興対策を立てられるべきであると私は信ずるのであります。なお特に漁港はほとんど全滅いたしておりますし、漁村漁船はほとんどが流失沈没いたしておるような状態でありますので、今後漁村において漁船を失い、漁具失つた漁民ばどうして食つて行くか、どうして今後の生計を立てて行くかということを考えますときに、私どもは、一日も早くこれらに対して万全の措置をとられるべきが至当と考えるのであります。先ほど申し上げまするごとく、情報が来ておりまするならばその情報の御報告をしていただきまして、これらの問題に対していかようなる対策考えておられるか、緊急対策並びに今後の復興対策に対してどういうような計画をお持ちであるかということを、お聞かせ願いたいのであります。
  4. 山本豊

    山本説明員 今回のルース台風はまことに今年といたしましては非常なる台風でありまして、われわれの方におきましても急遽いろいろ照会中であります。現在わかつておりまするところを申しますると、大体総額におきまして十六億円になつておるのであります。これはもちろん調査の途中でございますので、今後まだ相当にふくらむであろうと思うのでありますが、特に被害の多かつた地方を申しますると、ただいま二階堂委員から申されました鹿児島が二億円となつております。熊本が二億三千万円、佐賀が一億五千万円、山口が四億六千万円、広島が一億二千万円、島根が一億五千万円、以下いろいろあるのでありますが、総十六億円という状況に相なつております。これは昨年のデラ台風以上ではないかというふうにわれわれは察知しております。これは毎年繰返すことでありますが、この災害対策につきましては、まず第一に漁港復旧の問題があるわけであります。本年は、今回のルース台風以前においては、例年まれに見る台風のない年でありましたために、先般来公共事業に関する補正予算等につきましても、関係方面といろいろ折衝をいたしまして、大体過年度災害から今年度の一部の災害等の予定を見積りまして、現在本年度におきまして災害に充当する予備費が約八十億円あるわけであります。そのうち約五十億円を本年度新規発生災害に充当する。約十八億円を法律改正に伴う調整額に充てる。なお十億円ばかり残りますが、これらは保留分といたしましてその後の災害に保留する、こういう状況に一応なつておつたのでありますが、今回のルース台風はとうてい五億や、十億の予備費でまかなうにはあまりに大き過ぎるのであります。そこで政府におきましても、おそらく相当額予算の計上は必ず見ると思うのでありまして、それらに乗り遅れないように、水産庁といたしましても、急遽資料の整備を急ぎまして、全体の一環として強くその対策を講じたいと考えておるわけであります。なお漁船あるいは漁網の被害はおそらく相当に上ると思うのであります。鹿児島県の漁船被害は非常に大きいのでありまして、ただいまこちらでわかつておりますだけでも二千七百隻くらいに相なつております。これらは要するに融資の問題になるかと思うのであります。従来の普通の金融ではなかなかこういう融資であろうと思うのでありまして、それらにつきましても今回の漁船保険改正等が、やはり根本的にますます必要になつて来るのではなかろうかというので、恒久的対策といたしましては、漁船保険制度改正の一歩前進を、ただいま関係方面といろいろ折衝をいたしておるのであります。応急的には、これらの融資わくを何とかしていただきまして、その中にこれをぶち込んで円満なる解決をはかりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  5. 林真治

    林説明員 ただいま次長から御説明がありましたごとく、全体の報告といたしましては、ちよつと私から申し上げかねるのであります。実は私の方の漁港関係報告は比較的早く参つておりますが、ただいま説明になりました十六億円というのは、大体漁港中心といたしました被害報告を集計いたしましたものであります。その他につきましてはまだ具体的な報告が実は来ていないのであります。ただいまお手元に差上げたと思います漁港関係被害状況報告をごらんいただけば大体わかると思います。最も被害の甚大でありましたものは九州、四国及び中国、なお台風の進路に当りましたので相当広範囲にわたつてはおりますが、ただいま申しました三地方が最も被害が大きかつたと考えております。ここに載せましたものはもちろん中間的な報告で、ただいままでに判明いたしたものでありますので、あるいはこの数字はまだ相当増して来るのではないかと思います。たとえば鹿児島県の例で申し上げてみましても、先ほど二階堂委員からお話のありました薩摩半島中心といたしました被害、大隅半島につきましては、まだ通信不能の由で被害報告がございません。従いましてここにあげました一億という数字相当増して来るものと考えております。それから大分につきましてもまだ数字的な概算の報告もございませんので、この表には載つておりませんが、これも被害相当甚大な見込みであります。これらにつきましてはできるだけ早急に復旧をはからなければならぬと思います。具体的な予算措置につきましては、ただいま次長から説明のございました通り、本年度予備費をどういうふうに再編成するようにかわりますか、ないしは別途に補正予算を組んでいただけることになりますか、あるいはまた前例にならいまして、応急融資わくを設定してもらうことになりますか、いずれかの方法をもつて緊急にこれを処理して、これに遅れないように資料を集めまして善処して行きたい、こういうふうに考えております。
  6. 二階堂進

    二階堂委員 被害県の大体の報告を聞かしていただいたのでありますが、先ほど次長の話にもありました、この前のデラ台風よりもやや大きいのではなかろうかといつたような言葉がありましたが、とうていデラ台風程度ではないのであります。この点は十分ひとつ御認識くださいまして、応急予算獲得先ほど申されました八十億の予備金支出—これも伺いますと実際には十四、五億程度しか残つておらないというようなことでありますが、この十億、二十億といつたような金でもつてしてはこの復旧はとうてい困難であります。ことに船を失い、漁具失つた漁民の生活を考えますときに、これは容易ならざる事態が今後発生するのではないかということを憂えるのであります。どうかこういう資料を早急にとりまとめられまして、漁港復旧、並びにこの漁船建造の問題については、重大な決意を当局もされなければいけないと考えております。これらの資料をとりまとめられまして、政府当局に対して融資のあつせんの問題、あるいは漁船建造の補助の問題、こういつたような面につきましても、十分の御努力を切にお願い申し上げるのであります。同時に近くまた建設大臣を主として災害地視察実情調査に、各省からも次官あるいは事務官吏方々一緒調査に出かけられるらしいのでありますが、水産庁におかれましても、私はできれば長官あるいは次長、なおまた漁港関係あるいは保険関係、あるいは経済関係の主任の方々に、ぜひともひとつ一緒に行つてもらつて、そうして一切の実情を十分ひとつ調査されまして、この調査の実態に基いてひとつ緊急なる対策を早慰に立てていただきたい、こういうふうに切にお願いを申し上げるのであります。同時にまた私は、本水産委員会からもなるだけ早く各県の漁港、あるいは漁村被害状況視察に何者かの委員派遣されんことを委員長にお願いいたす次第であります。
  7. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 漁船関係被害状況でございますが、これは海上保安庁で一応全部現在までに判明した被害状況をとりまとめてあるわけでございまして、水産庁といたしましては、それとは別途に漁船関係のみの調査を進めておるわけでございますが、総括的にまだまとまつておりませんので、海上保安庁だけの調査によりまして御説明申し上げます。大体十月十六日現在の調査状況で、漁船沈没ルース被害によりまして八十五隻、それから乗り上げが四十二隻、行方不明が二十三、漂流三十八、その他の海難が四百、合計五百八十八隻ということになつておるわけでございます。漁船以外の船を総合計いたしましての数字は九百九十八隻、そのうち漁船は五百八十八隻ということになつておるのであります。  地区別漁船の内訳がありませんので、船舶全体について申し上げますと、瀬戸内海関係が三百四十二隻、九州関係が二百二十五、近畿の関係が百七十八隻、山陰関係が二百十五隻、東海の関係が三十一隻、関東六隻、東北二隻、それから北陸日本海沿岸その他の地区で二隻ずつという程度報告が一応まとまつておるわけでございまして、そのうちおもなる漁船で漕難しておるという船名は十数等あげて報告なつておるわけでございます。なお水産庁の所属の、たとえば監視船等につきましても、瀬戸内海で一隻沈没しましたし、それから一隻は坐礁しております。それからなお以西の関係で小破損をしておるといつたような状況なつておるわけでございまして、現在報告のありましただけの関係ですとそういうことでございまするが、それとは別途に水産庁で県から報告をとりつつある数字は、先ほどお話がございましたように、鹿児島が二千七百七十四隻、熊本が百五十二隻、香川が十八隻、その他の県はおいくおい報告が集まりつつあるという状況なつておるわけでございます。
  8. 二階堂進

    二階堂委員 調査団の件ですが、水産庁の方ではどういう御計画をお立てになつておりますか。
  9. 山本豊

    山本説明員 国会中でございますので、長官あるいは主脳部はちよつと出にくいかと思うのでありますが、少くとも漁港漁船保険の係と、二、三名の者を急遽出したいと考えております。
  10. 松田鐵藏

    松田委員長代理 委員各位にお諮りいたしますが、委員会といたしましても急遽調査のために委員派遣したいと思いますが、御賛成を願いたいと思います。     〔「思議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 松田鐵藏

    松田委員長代理 それではその委員の人選は委員長におまかせ願いたいと思います。  本日説明員として法務岡原検務局長高橋経済課長、運輸省は石井国者鉄道部長、国鉄は今村配車課長が出ておられます。
  12. 永田節

    永田委員 先ほど二階堂委員発言に尽きておりますが、台風大分県にまた襲来いたしまして、県の最南端日田の方から鹿児島熊本大分、かような県境を襲いまして、国東半島を中心に、右は別府、左は中津という市を襲いまして、その被害はすこぶる甚大なものがあります。電話その他の連絡が不十分なために、昨日までは判明いたしませんでしたが、きようようやくその事情の一端がわかりまして、正午に県当局から陳情を受けることにたつておりますが、昨日国警本部の連絡によつてようやく知り得たことは、雨量においては四百七十一ミリ、風速においては平均四十五メーター、かように判明いたしているのでございます。そこで被害も実に七十有余年以来のものである。ラジオの放送によつては、あの大きな別府市の真中に漁船が二、三ばい打揚げられたということで、相当なものであることが予想されるのであります。この実情というものは、おいおい正確な数字が権威ある方法で現われ参りますが、われわれがここにおいて危惧にたえないのは、年々あります災害を抜本的に考えなければならないものでありますが、当面の問題としては、この災害によつてただちに困るのは地方の自治であります。そこで災害にかかつてから復旧工事にかかるまでのつなぎ資金というものをすみやかに、出すことを考えなければならないと思うのであります。幸いに昨日は建設並びに農林大臣出席を求めて、政調会において協議をいたしました結果、災害対策費の使い残しが約十五億円ばかりあるが、それのみではとうてい足りませんので、調査の結果、その額面を再補正予算として臨時国会に出す、こういうことにきまつたのであります。さらにまたその再補正の通過するまで、とりあえず預金部から長期の融資をするということに関係当局と話が進んだのでございます。そこで水産庁においては、この機会にすみやかに各県の被害実情を精密に御調査くださいまして、つなぎ資金を出されるのにあたつて乗り遅れないように御注意を申し上げる次第でございます。  私は次の四つの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。まず最初お尋ねいたしたいのは、石川県における旋網漁業についての問題、次は北海道の例のさんま漁業違反取締りについての問題、その次は有明海における漁業調整に関する問題、最後瀬戸内海においての小型機船底び多き漁業違反についての問題であります。  最初の問題は、石川県における旋網漁業沿岸漁業調整の問題であります。現に大型旋網漁業は三十統許可されておりまして、これらの漁場宇出津沖と能登半島の突端東方沖でありまして、沿岸漁民の一本づり及びはえなわの漁場もやはり同一漁場であるのであります。現在の旋網漁業禁止区域は、長手崎から真東三千間の点を経まして、生地鼻を結んだ線の内側でありましてこの禁止線により漁場は折半されているようなわけでございます。問題となつている点は五つありまして、一つは取締り徹底二つ旋網漁業の定数、三つは禁止区域の再検討であります。両者の意見を聞いてみますと、沿岸漁民特に定置漁業者は、最近の不漁である原因は旋網漁業がふえたことと、八十ひろの旋網が底魚まで濫獲すること、及び禁止線を侵して操業するためであると言つておるのであります。それゆえに、現在の禁止線緑剛崎から真東六千間及び長手崎から真東六千間の二つの点と生地鼻とを結んだ線まで拡大することと、旋網漁業の大幅な減船及び取締り徹底を主張している次第であります。一方旋網漁業意見は、現在の禁止線三千岡は沿岸漁民要求線であつたので、無益な紛争を避けるために、われわれの主張線三千メートルを三千間に譲歩承認したもので、最後の線であることは沿岸漁民承知のことであり、六千間に線を引けば漁場は全部失われ、旋網漁業禁止と同様の措置なつて来る、そこで三千間は譲れない、かように主張しているのであります。現益は旋網漁業許可知事の権限になつておりまするので、県当局の意向を承つてみますと、県といたしましては、取締船を一隻建造して取締りを強化し、三十隻の旋網を二十隻に減船することと、禁止区域の再検討により調啓するとの方針であると承つたのであります。私の調査による結論とほとんど同様であるので、強く早急にその方針を進められ、解決せられるように、知事に勧告して参つた次第であります。水産庁にお伺いいたしたいのは、県の許可漁業であるからと捨ておいたならば、各県でこの種の問題が今後とも起きて来ると予想できるのであります。近海漁業であり、新しく発達した漁業であつて県単位調整すべき漁業ではなく、全国的調整を行うべきだと思われまするが、何か案がありましたならば、前に述べました旋網漁業者沿岸漁業者紛争の結果とともに、御説明を伺いたいと思います。第二の問題といたしましては、去る八月十八日の水産委員会において、さんま漁業取締りについて水産当局から掲示されました。すなわち第一項は、解禁日以前に出漁したものについては残らず調書を調整すること、第二項は、解禁日以前における内地への搬出については、厳に取締るべきこと。第三項は、悪質な違反者に対しては、さんま漁業許可をしないこと。第四項は、解禁日以後においてなるべくすみやかな時期に関係取締り機関関係現地において会議を開き、第一項の処理について協議すること。以上の四項目についてこれを了承し、なお漁業協同組合役員等指導的立場にある者がもし禁を犯して出漁したり、あるいは煽動したりしたような事実があるならば、これこそ厳重なる処置をとるよう特に強く要望いたし、水産庁からも、この線にてすみやかに処置を講ずる考えであるとの答弁があつたのでありますが、これに関し、水産庁より当委員会に対しいまだに何の報告もないのでありますが、どのような違反事実があり、またそれに対しいかなる処置をとつたか、御説明を願いたいのであります。第三の問題は、有明海の件でありまして、さきの国会において漁業法改正して有明海特別海区を設定して、有明海漁業調整事務局を設置し、複雑なる有明海区の漁業調整をすることになつているわけでありますが、現在どの程度に進んでいるのか、その経過をお知らせ願いたいと存じます。なおまた福岡県と佐賀県の県境漁業調整について調査中とのことでありましたが、今どのようになつておられまするか、詳細に説明を願いたいと存じます。  最後の問題は、最近の問題でありまして、今解決に至つていないと存じますが、この事件のそもそもの起りは山口県の徳山市、衿島及び櫛ケ浜の両漁業協同組合小型機船底びきが約五十隻ばかり大挙して出漁し、九月上旬でありますが、大分姫島付近海面違反操業行つたのがきつかけでありまして、姫島自警団によつて逮捕せられた漁船は十五隻に上り、国警に引渡されたという最近のゆゆしき事件であります。この操業違反については大分山口両県の責任者及び瀬戸内海漁業調整事務局の今後の対策及びとりきめの決定により、暫定的措置として姫島周辺八千メートル以内にて操業しないこととして、それが徹底化を期するため、破締船一隻を配備するとのことにて解決がついたようでありますが、この解決につきましては、まことにけつこうなことであると私も喜んでいるものであります。がしかし衿島漁業協同組合の五隻、櫛ヶ浜組合の十隻、これが逮捕され、現在検察庁に送られている違反漁船でありますが、私はこの違反漁船の処分及びその取扱い方について、明確に答弁を願いたいのであります。講和批准を前にいたしまして、日本漁業が特にとやかくの批判を受けているときにおきまして、このような違反は簡単に片づけてしまうべき問題ではないと考えるものであります。もしこのような違反を軽く取扱うとか、軟弱な処置によりまして、きわめて緩慢な解決にて終るというふうなことになりまするならば、次々に違反が続出して参りまして、漁業秩席は乱れ、濫獲に陥り、漁業調整取締りも、何ら役に立たなくなり、無政府状態、無秩序の状態を現出することは明らかであろうと思われるのであります。正直な漁民、正しい漁業保護育成のため、違反の根絶のために、これらの違反者には厳罰を承つて臨むべきだと思いますが、水産庁当局の御意見と、幸い法務府の岡原検務局長も御出席なつておられますので、そのお考えを承りたいと思います。
  13. 山本豊

    山本説明員 御質問いろいろあつたのでありますが、台風予算につきましては、ただいま御注意がございましたように、要するに融資の問題と漁港復旧予算の問題と両方あるのであります。ただいまのお話によると党として応急融資方針がきまつたようであります。そこでわれわれといたしましては、これに乗り遅れないように早く資料を固めまして持出して極力十分なるものをとれるように努力いたしたいと考えております。  それから次にお尋ねの四でありますが、詳細は担当課長から御報告をいたしますが、有明海関係につきましては、私先般現地に参りました関係上、ごく概略だけを私からお答えいたしたいと思います。  この問題は実は相当長い経過を経ておるのであります。大体有明海のようなところは、関係県がどういうふうにあの海を区分するかということは、非常にむずかしい問題であります。そこで当初から水産庁といたしましては、関係県でよく相談をして具体的の漁場計画を立てるようにというふうに指示はしておつたのであります。ところが去る三月になるのでありますが、各県の下打合せがあつた際福岡佐賀等に尋ねてみましたところが、具体的計画を持つていないのであります。それでは困るというので、水産庁といたしましても、至急に具体的計画を立てるように両県に注意を喚起いたしたのであります。その後それを根拠といたしまして五月四日以後でありますが、両県におきまして四回ばかり会合を開きましていろいろととりまとめにかかつたわけであります。ところが御承知のように県境をまずきめなければならぬどいうようなところに至りまして、雲仙の線にするか、あるいは竹崎の線にするかというようなことが論議の対象になりました。しかしそれをやつていてもらちが明きませんので、結局両県で一応線はそのままとして、両方のいわゆる漁場計画を立てようじやないかということで、ある程度まで話が行つたようであります。ところがこれはやはり調整委員の一、二の反対にあいまして、結局妥結を見ずしてお流れになつてしまつたのであります。その後四県の連合海区委員会がこの問題を取上げまして数回会合を開いて参つたのでありますが、最終的には連合海区調整委員会の案も採択にならない。こういうことになりまして、その後福岡県といたしましては非常にあわてまして、水産庁方面に何とか解決してくれというような運動がありました。また佐賀県におきましては、今しばらく待つてくれ、とにかく何とか話をつけるからというような申出もあつたのであります。そういう事情でございますが、一方漁業権の取扱いの時期はだんだんと迫つて参りますので、先般国会でもお話が出た直後でありましたが、八月の三十日から九月にかけまして、一応係官を現地派遣いたしまして、いろいろ事情を聴取いたしたのであります。それに基きまして、九月の二十八日から十月の五日にかけまして私と係官二名が現地に参りまして、一両日海面を視察をいたしました。また最後には鳥原におきまして、両県の調整委員の代表を集めましていろいろ、と懇談をいたしたのであります。その懇談の経緯を大体ここに御報告いたしたいと思うのでありますが、大体あの海区は、現在いわゆる境界線が一つありまして、その両側適当な距離を置きましての線がございまして、この両方の線は無償で入会つているわけであります。その無償の入会いの外は、やはり入会つておるのでありますが、これは有料になつております。そういう事情で、実際問題といたしましては、線を中心に両方が入会つておるのであります。ただ問題は、漁場の価値を申しますると、どちらかと言いますと、佐賀県側の方が漁場としてはいいのであります。そこで問題がいろいろあるのでありますが、われわれの調停といいまするか、話合いをいたしました大体の考え方は、とにかく県境に両方の県が非常に神経をとがらしていましてなかなか両方を集めるということすら困難のような事情でありますので、県の境の問題はお預けいたしましてとにかく困るのは漁民であります。従つて漁業法の精神を織り込んだ意味の漁場計画が具体的に立ちさえすれば、漁民といたしましては、その権利の認定さえもらえれば、佐賀県の知事が認可しようが、あるいはまた福岡県の知事がやりましようが、あるいはまた両県で話がつかなくて、農禁大臣がこれを認可いたしましようが、要するに漁民は自分の思うような働き場所さえ得られればいいわけであります。そういう意味で話を元に返すというような意味合いでいろいろ相談をいたしたのであります。そこで大体その話合いをした漁業計画を立てる一つの方針といいまするか、そういうものを数箇条こしらえまして両方の委員をかわるがわる呼んでは意見を聞いて調停に努めたのであります。その一つは、共同漁業権は対等に相互入漁する、こういうことが一つであります。ですからこれは現在の無償入漁の区域のいかんを問わず、広く両方で入会いを認めて行く、こういう考えであります。その次には区画漁業権でありますが、この内容はいろいろ複雑でありまするけれども、一応高度の増殖行為を行うものだけに限りまして、たとえばあさりの稚貝を一回ぐらいまいたとか、あるいは単にちよつとした手入れをしたとかいうようなものは、区画漁業としては認めない。これはどこまでも共同漁業として広く開放する。こういうことが一点であります。それから区画漁業は、従来実際に漁場を使用していたものが、不当に締め出されておる点があると思います。これは新漁業法の精神に反するものでありますので、そういうことのないように、ある程度権利者として—その実情によつてはいろいろありましよう。共同に共有する場合もありましようし、入会う場合もありましようし、あるいはどつちかにウエイトが重い場合には、片方が権利者になるということもあると思いますが、要するに締出しを食わせないような方針を立てていただきたいということをお願いしたのであります。それから漁場計画及び免許にあたりましては、いろいろと両県に紛争が多いのでありますので、両県にまかしただけでなかなか扱いにくいと考えまして、事前に必ず農林大臣の承認を受けること、こういうことを一つ注文をつけたのであります。もう一つは、今回は漁業権を切りかえて設定いたしまするが、その次には原則として今後五年間新規免許は行わない。と申しますのは、従来途中におきまして、佐賀県あたりですぐ貝が出るような所は、かきを張つて門戸を杜絶するというようなことも多かつたのであります。そういう問題がないように、五年間は絶対に新規免許を行わない間にいろいろの事情がありますれば次の切りかえのときによく考慮する、こういうような大体五箇条を、一つの漁場計画を立てる方針として両方いろいろと話合いをいたしまして、そうしてまとめてみたのであります。なおこれは今後若干問題が残つておるのであります。たとえば向うで貝ばかりを売るいわゆる青田売りといとふうな慣習がありまして、これは福岡県の連中に佐賀県の権利者が貝を売つているというのでありますが、これはやはり新漁業法から言いますと、内容によると思うのでありまするが、賃貸の一形態と見まして、賃借人を権利に参加させる事情があるのでないかとわれわれは考えておるのであります。しかしそれは賃貸の形態がいろいろあるのでありまして、一概にそうも言えないかと思うのでありまするが、そういうふうな問題はなお水産庁としまして、双方の意見も聞きまして、ある程度解決方法を指示したい、こういうふうに考えておるのであります。そういうふうな事情で、これらの方法によつて両県が具体的の漁場計画をすみやかに立ててくれ—大体十一月一ぱいぐらいにこの漁場計画を両方から立てさせまして、それを水産庁で十分検封して、その上で線をもし考えるなら考える、こういうふうな方向に持つて参りたい。現在両県は非常に神経過敏になつておりまして、とかく先ほど申しましたように、こういう調定をいろいろやる場合にも、二日二晩徹夜してやつたのでありまして、ちよつとした言葉じりでもいろいろの問題が出て参りまして、非常に困つたのでありますが、とにかくそういう点に触れさせないようにいたしまして、漁場計画をまじめに立てる、そこで本然の姿のところへ両方の気持を引返すということに極力努力をいたして参つたつもりであります。これで両県も一応この線に沿うてとにかくやつてみよう、調整委員の連中も責任がありますので、何とかこれを解決したいという気持は十分持つておるようであります。それでわれわれが後見的にいろいろ指導いたしまして、今後この問題をなるべく円満に解決いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。きわめて簡単でございますが、先般参りました関係上、その事情だけ御説明申し上げておきます。
  14. 永田節

    永田委員 ただいま山本次長の御説明を承りまして、はるばるお忙しい中を現地におもむかれまして、熱心に、しかも懇切に御指導をいただいたということは感謝にたえませんが、遺憾ながらわれわれは今日本次長の御答弁を承つておりますと、いかにも水産庁が無能ではないかというふうに考えられるのでございます。漁期もすでに切迫いたしました今日、すでにこの問題は一年くらいかかつておると私は記憶いたしておりまするが、この間今日に至つてもいまだに解決点に到達していないということは、行政官庁といたしましては、深く反省しなければならないのではなかろうかと私は思うのであります。一にこの有明海のみに限らず、漁業制度に伴いまして、かような事態が将来各所に起りて来ることが予想されるのでありますが、海面には私は行政区というものはないと承知をいたしております。これからこれまでが何々県だ、これから左が何々県だというふうに、行政区面がはたして設けられるものでございましようか。それをまず承りたい。承りますと、四県連合海区調整委員会でも話がまとまらないということは、さようにむずかしいものならば—しかもまた共同漁場は両県知事許可をしてくだされば漁民はそれでよろしい。ということは、とりもなおさず漁民としてはただちに出漁ができればそれをもつて可とする、私はかように考えます。ただこの間に若干漁業的勢力を持つておる人の権利を擁護する、そのボス的な考え方からかような問題が起つておるのじやないかと私は思うのであります。従いまして、多く今日の段階において議論をする必要もない。あの有明海というものは、御承知のように四県が錯綜いたしておりますが、その中でもかつての専用漁業権、今日の共同漁業権としても、まず福岡県が最も厖大な海区を占めておると私は了承いたします。従いまして何々県に幾つ、何々県に幾つというようなわずらわしい問題を避けるために、幸いに連合海区漁業調整委員会で早急に結論が出ればともかく、出なければこの際当局としては、この有明海のみは一海区に改めるというふうな大方針を立てられてはどうだろうか、これは、結局漁民が、両県知事許可しでくださつてただちに漁業ができさえすれば文句はないと言うこととたまたま致するもの至る。また水産行政の面からいたしまして、いろいろと複雑な問題を将来惹起するおそれがない、これがまた真に民主的な行き方ではないかと思うのでありますが、有明海を一海区にするという案について、当局はいかようにお考えなつておりますか。ちよつと承りたいと思います。
  15. 山本豊

    山本説明員 県境があるかないかというお尋ねでありますが、現在引かれております線は、これはどこまでも旧専用漁業権の線であると思います。そうでないと水産庁としてもいじれないわけであります。従つてそれが今度共同漁業権の線になるわけであります。これはどういう意味を持つておるかと申しますと、先ほども申しましたように、両方が実際入り会つてつておるわけでありますから、漁民が従来やつておる通りに実際仕事ができれば漁民は文句はないのであります。ただこういう線がどういう意味を持つておるかということは、たとえば漁業権の免許をする手続におきまして、どちらの知事がこれの免許権を持つかという問題が一つと、今後もいわゆる入り会つておるのでありますから、実際問題としてそう議論はないと思うのでありますが、厳格に申しますと、取締り関係でこれが一つの線になりはしないかというように思うのであります。ただいまの永田委員お話のように一刀両断にひとつ線が引けないかということは、私もいろいろ考えておるのでありますが、時期といたしましては今は差控えた方がよいのではないかというような見解を持つておるのであります。しかしなおいろいろとこの点はよく考究をして行きたいと思つております。  それから一海区にしたらどうかということですが、これは拝聴すべき御意見だと思つております。ただいろいろ従来の慣習もございますので、関係県がその気持になつてくれれば非常にけつこうでありますが、研究問題として傾聴すべき御意見だという意味で、なおわれわれの方でも係の方で研究してみたいと思つております。
  16. 永田節

    永田委員 私は一海区にするということは、むしろ水産庁の行政を円滑に効果あらしめるように案を立てたのでありますが、せつかくかような名案を出したにもかかわらず、山本次長さんは一応承つておくということですが、これはまことに失敬なごあいさつではなかろうかと私は思うのであります。そもそもこの海区のトラブルは一般漁民には何らトラブルはない。要するに一つの権利を持つておる人がその権利を擁護する意味において、とやかく自己の権力を活用して今日問題を起しておるというのがこのトラブルの全貌なんです。まことに失礼な言い分でありますが、山本さんのような人が百人束になつておいでになつても、抜本的に解決することはとうていできないと思います。もしできるとおつしやるならば、何月何日までに永田先生必ず解決いたしますから、ということを、ここではつきりおつしやつていただきたい。私はできないと思う。この一海区制はもつぱら解決に必要欠くべからざる名案であると私は考える。ぜひともこの案を御採用になりまして、たとい地元が何とおつしやつても、この案を出して法律を改正したならば、おちつくべきところに必ずおちつくということを私はたいこ判を押しまして、私の生命を賭して私のこの案を保証いたします。りつぱな案です。これはめつたにない案です。どうぞひとつ御遠慮なく最も勇敢に御採用あらんことを切望いたします。
  17. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 永田委員の御質問の第一点でございます石川県における旋網漁業の問題につきまして御説明申上げたいと思います。永由委員からお話のございました通り、問題は石川県内のさば漁場のきんちやく網漁業禁止区域の設定をめぐるところの、きんちやく網漁業者対沿岸漁業者の対立の問題で、連合海区漁業調弊委員会と、沿岸漁業者との間の意見がまとまらないために紛争を続けて来たのでございます。元来この漁場につきましては、従来一本づり漁業が主体でございまして、きんちやく網はほとんど操業しておらなかつたのでございますが、二十五年ごろからきんちやく網漁業としての操業が認められまして、県当局がきんちやく網漁業の振興策を立てた結果、それを積極的に奨励したというようなことで、他県からの入会も相当集中して、きんちやく網漁場としては相当にぎやかな漁場なつて来たのでございます。そこで二十五年に連合海区漁業調整委員会がそういつた漁場関係検討いたしました結果、沿岸との関係におきまして、長手崎の東三千間から富山県生地町を見通した線を禁」区域として設定する必要があるというので設定したわけであります。昭和二十六年の当初から、当時の県内外船を調べますと、三十数ヶ統でございまして、それが内浦北部海区に蝟集操業しまして、禁止区域の侵犯とか、その他漁業規則を無視するような操業が起つて参つたという状態なつたわけでございます。従いましてその状態に対しまして、二十六年度の二月ごろから沿岸漁業者、これはもつぱら一本づり漁業者がおもでございますが、非常に憤慨いたしまして、禁止区域を改訂するという問題と、漁業取締り徹底的にやるということを県当局に陳情いたしましていろいろとその間県連合海区漁業調整委員会と、地区沿岸漁業者との間に数回の折衝もあり、その間五月ごろ衆議院の水産常任委員会にも陳情があつたような状況でございます。そこでこの問題につきましては、永田委員からのお話がございますように、問題はとにかく隻数の問題と、それから操業区域の問題の二点をめぐりまして沿岸漁業対沖合漁業というような、問題を起しているのでございますが、なおしさいに検討いたしますと、きんちやく網漁業それ自体の内部におきましても、いろいろと問題があるということでございますので、ただいまお話がございました通り、これはどうしても県だけの許可制度で放任しておくべきではなかろうという結論に水産庁も達しているのでございます。従いましてこの点は根本的な解決策としまして、漁業法改正国会に提案する予定でございまして、これによつて旋網漁業知事許可制と農林大臣許可制とに、規模によりまして区別いたしまして、石川県に関係する部分につきましては、いわゆる中型旋網漁業というような意味合いにおきまして、農林大臣が指定した海域というようなことで農林大臣許可制に移しましてきんちやく網漁業旋網漁業というものをすべて現状ストツプという措置とか、できることならば隻数を多少減らして参るというような処置とか、それから禁止区域の再調整ということで対処して参りたいということを考えておるのでございます。  なお、本問題につきましては、御質問をせられました永田委員が、現地にすでに十月九日におもむかれてよく実情を御承知なされまして、問題のあり方ないしこれを解決する方法等について御意見を立てられ、水産庁にもいろいろとお話があるわけでございまして、水産庁といたしましては、今申しましたような漁業法改正の趣旨並びに知事にその進むべき方向を与えまして、知事をして適当な処置をとらせるというところに進んでおるのでございます。  それからさんまの問題でございまするが、永田委員からお話のございましたように、解禁日以前に出漁するといつたような問題につきましては、講和を前に控えまして、漁業秩序が守られないという国内問題が、ひいて国際問題にも影響するであろうというようなことにつきまして、水産庁も慎重に、国内問題ではありまするが、こういつた問題は十分厳重に考えて参る必要を認めておるわけでございまして、従いましてお話のございましたお約束の出漁期日につきましては、全部調書をとるということ、それから場合によりましては許可を取消すという処置をとること、あるいは解禁日以前の出荷を取締るということ、それから取締り対策といたしまして、現地関係会議を開いて処置するというようなことで進んで参つたのでございまして、その結果、八月二十五日の解禁日以前の操業船は、大体調書によりますると三十九隻、根室の漁業組合関係のものが三十五隻、歯舞の漁業組合関係のものが四隻ということでございまして、その内容についても、一々当つて調書をとつておるのでございます。その調書をとりました結果、お話にございましたように、どうしても法令遵守というような意味合いから処分をしなければいかぬということになつて参つたので、ございまして、処分の方法といたしましては、とにかく悪質な違反者並びにそれを煽動し、または事をはかつて漁業者にやらせたような首謀者というような者につきまして、許可の取消しといつた措置に出ることが一番妥当であるという意味合いからいたしまして、それに該当する四名の者に対しまして、道庁に厳重に命令して許可証の許可取消しを命令したのでございます。その結果道庁におきましては、許可証の返納並びに承認書の返納ということになりまして、それぞれ処置をとつたのでございます。なお出漁しました関係者全員に対しましては、現地におもむきました際、その代表者に対して厳重に戒告を行つたのでございます。それと同時にあとで長官名をもちまして戒告の書状も出したのでございます。  それから三番目の解禁日前の出荷の取締りにつきましても、これは内地漁業者を非常に刺激するというような意味合いから申しましても、厳重に取締る必要があろうということで、ただちに東京に入つて来ました解禁日前のさんまにつきましては、これを押えまして、解禁日以後までその処分を保留させた次第でございます。  それから四番目の現地会議につきましては、関係取締り官庁と東京で数回打合せをやりまして、現地会議をする必要がなくなりましたので、現地会議はやめまして、東京で打合せました方針に従つて現地に通達することになつているわけでございます。なお検察庁関係におかれましても、現地に出向かれましてよくこの実情を調べられ、処分も考えてやられたのでございます。従いましてこのさんまの処分の問題につきましては、以上のような処置をとつたのでございますが、漁業関係全体に及ぼす影響を考えまして、このとつた処置につきましても、関係業者の方々にも、実は内地の解禁日の際にこの事情を説明いたしまして、自由出漁に対する法令違反の処分として、水産庁としてこういう処置をとらざるを得なかつたという事情を申し上げたのでございます。そのような処置によつて、相互に今後法令遵守をやろうという気分を沸かしたようでありまして、その後内地の解禁日決定につきましても、お互いに戒め合つて、以後かかる軽挙妄動がほとんどなかつたというようなことになりましたことは、水産庁といたしまして喜んでいる次第でございます。  それから次に御質問がございました姫島の問題でございますが、この問題は、経過その他につきましては、永田委員からお話の通りでありまして、水産庁といたしましても、法令違反といつたような問題につきましては、厳重に処分をする方針でおるのでございます。この処分が全漁業者に及ぼす影響というようなこともよく考えまして、全漁業者が法令を遵守するという気分が沸いて来ますように私どもは常に心がけておるわけでございまして、この問題につきましては、検察当局におかれましても、実情をよく御調査になり、相当処置をなされるようになつておるようでございますが、それらの点につきましてもよく連絡いたしまして、水産行政の面の指導につきましても誤りなきを期したい、かように考えている次第でございます。
  18. 松田鐵藏

    松田委員長代理 さんまの問題に対して私から補足的に質問いたします。ただいま松任谷部長から四名の悪質達反者に対してとつた処置についての御報告がありましたが、この四名の者は、当時さんまが不漁になつたので、自分の船は機船底びき漁業を行つてつたのであります。そうしてみずからがいわゆる佐倉宗五郎を気取つて、新聞に、漁民のために自分ら四谷は犠牲となつて、さんまの認可証も返還するであろう、そして漁業協同組合長としての立場及び専務、役員という立場において漁民を守ることであるということを新聞に麗々しく出しておるのであります。ところが実体はさにあらずして、さんま漁業がもはや終了期に達したのであつて、底びきに転換しよう、こうして底びきに順次着業しておつたのであります。それが松任谷部長は甘くなめられてまんまとその口車に乗つたのであります。しかも川端、中村という両者の船がマッカーサー・ラインを侵したというので、ただちにソ連に逮捕されております。かような現実の姿であります。こうしたことで一体日本の漁業取締りができるかどうかということに対して私はまことに危惧の念を持つておるものであります。しかも川端某という者は根室漁業協同組合の組合長であります。中村一という者は役員であります。また専務、それからもう一人の役員、これら四そうとも機船底びきを行つた者でありす。あれほど日本の漁業に封ずる大きなセンセーシヨンを巻き起したこのさんま問題を、かようなことで水産庁はまんまとごまかされて今日の状態つたのであります。ゆえに宮城県においては、事実かどうか知りませんが、二千そうというさんま漁船が待機して自由出漁するのだという、とんでもないことまでが持ち上つたように新聞に報道されておるのであります。今後漁業取締り徹底を期するために、水産庁当局は一つの課を設けてこの徹底した一本となつた態勢を持つた機関を設ける意思があるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  19. 山本豊

    山本説明員 ただいまさんま漁業取締りの点についていろいろと御注意があつたわけでありますが、元来水産庁取締りは、率直に申しまして十分とは申されないのであります。それは船の問題、あるいは人の問題あるいは予算の問題とも関連があるのでありますが、これらにかんがみまして早く五ポイントの関係におきましても巡羅部というようなものを設けろという勧告には接しておるのでありますがこの問題は前回の委員会でもいろいろございましたように、一つには海上保安庁との関係もあるわけであります。しかしいずれにしましても、現在の機構では十分でないということは私も痛感いたしておるのであります。今回行政機情の整備というような問題、もあるのでありますが、いずれ庁内全体として配置転換は早晩必ずやらなければならぬのでありましてそういう機会にせめて部でなくても、課くらいをひとつ統一いたしましてこの重大なる取締りの問題を円滑にするようにできれば非常に幸いだという気持を持つておるのであります。ただその時期等につきましては、ただいま行政機構の問題もいろいろ提案なつておりますので、それらとにらみ合せて統合して行きたい、かように思つております。
  20. 岡原昌男

    岡原説明員 ただいま永田委員から御質疑の第四点、国東半島、姫島沖における集団密漁事件につきまして、現地大分地方検察庁からの報告によりますると、去る九月四日の夜と五日夜にわたりまして—主として五日の夜でございますが、徳山市の漁民が約五十そうの船に乗りまして、取締りの手薄であります姫島の沖に現われたのであります。そして漁業協同組合の専用漁業権を持つておる漁場内に侵入いたしまして、盛んに密漁をやつておるのを、島の人たちが包囲いたし、結局十五そうをつかまえまして取調べをいたしました結果、事件は九月八日に検察庁送りとなりました。検察庁におきましては、受理と同時に逮捕状を請求し、身柄を勾留いたしました。九月十四日に大分地方裁判所の杵築支部に全員起訴してございます。そのかわり身柄は即日釈放いたしました。ただ一名だけ十七歳の少年がおりましたので、これは大分家庭裁判所に刑事処分相当意見を付して送致いたしております。最近瀬戸内海を初めといたしまして、全国各地の沿岸におきましては、この種の禁止区域内において操業をあえてする、あるいはダイナマイトを用い、あるいは禁止漁具を使うというような、相当大規模な、悪質の、かつ集団的な犯罪が横行いたしましてこれは一面沿岸の漁業施設を破壊するとともに、魚族を根底から荒しまして、沿岸漁民の生活をも苦しめるということからして、大分沿岸漁民との問の紛争等も報告せられて来ております。そこで法務府並びに検察庁におきましてはこれらに対する対策といたしまして、本年の五月三十日、広島を中心といたしまして、瀬戸内海沿岸各地の検察庁の係官並びに海上保安庁、あるいは国警の係官の合同会議を開きましてこの取締りに対する対策の根本方針を練りまして、その後六月十五日付をもちまして、法務府並びに最高検察庁から全国の検事長並びに検事正に対しまして、この種事犯の厳重なる取締り並びに処罰についての通牒を出しております。本件もさような状況の下に発生いたした事件でありまして、かような沿岸漁民の生活を極度に危殆に陥れ、あるいはときに取締りの船に対して逆襲してこれを沈没させるという重大なる結果を来すような案件も発生しておるのであります。私ども法務府側としても、この種事犯は単に水産資源の保護確保の面からのみならず、地方の治安を維持するという面におきましても重大なる問題だと考えまして、これらの事件の取扱いにつきましては慎重をきわめておる次第でございます。本件につきましても、さような意味におきまして目下公判において審理中でございます。横察庁の立場といたしましては、漁船並びに漁具の没収その他の厳罰をもつて臨みたい、かように考えております。
  21. 永田節

    永田委員 私の質問に対しまして逐条懇切なる御答弁をいただきまして感謝いたします。岡原検務局長お話を承りまして、さらにその適切なる御処置に対して満腔の敬意を惜しまざるものであります。御承知かしれませんが、この姫島村は数度にわたりまして数字ははつきりいたしておりませんが、相当額漁具、漁網の損害がありまして遂にその一村では生活ができなくなつて、やむを得ず長崎県の五島方面に移住が計画されておるというふうなことであります。これはすなわち機船底びきによるところの濫獲の影響が、かような犠牲を払わなければならないということになつて来ておる事実を、特に御記憶願いたいと思うのであります。この違反行為はかりに小型機船底びきとはいえ、七十隻からなるところの集団的のものでありますことは、明らかにこれは取締り法令を無視したところの、百鬼夜行の行為である、かように私は考えます。さらに姫島村には一隻の小型の機船底びき船も、今日までありません。同村においては、もつぱらたい延べなわ、たい一本づり、たこつぼ、たこ一本づりというものがその漁業の主体でありまして、やむを得ない方法といたしまして自警団が特に警察官の便乗を願い、協力を求めて、決して自警団は暴行をしないというふうな、きわめて穏当な行為によつて、幸いに自由出漁を取押えることに成功いたしたものでありますので、この際検察庁においては、将来の日本の水産業のために、快刀乱麻を断つあざやかな判決を下し、適切な方法を講じていただきたいと思うのであります。これにかんがみまして、どうも北海道のさんまの取締りに対する水産庁解決の結論というものが、いかにも手ぬるい。手ぬるいというよりも、ほとんど策がなかつたというように、この二つ事件を比較対照してみると思われるのであります。まず隻数においても、さんまの場合は三者合計いたしまして約七十隻に上つております。そのうち四角の者の区画漁業権を取消したとしても、それはすでにあらかじめ転換を予想されておつたということを、委員長代理松田委員からお話があつた。そうするとかえつて取消しはあらかじめ覚悟の上でこの違反、自由出漁をやつたとも見える。かりに転換が予想されていなかつたとしても、この区画漁業権の取消しは、むしろこれら四名の者は歓迎するところではないかと思う。取消されることによつて税金の負担もなくなるし、漁は依然として鑑札のあるなしにかかわらず出漁する。何がゆえに取締り官庁としては、かようなことをあらかじめ予備知識に持つてこの重大な悪質なる違庁の解決に当らなかつたのか。また他の漁業者に対しては一応戒告を発したと言われるが、戒告なるものは効果がたい。さらにまた漁獲いたしましたさんまのトン数も相当な額だと承つております。今日記憶いたしておりませんが、その漁獲いたしましたさんまも期日が来るまで保管して、期日が来たならばその業者にお返しする、実に御湘切な御態度であると私は思う。姫島の場合は漁具、漁網もそのまま預かる、漁獲物はその地方でおのおの処分をしておる。北海道のさんまの—しかも漁業については、北海道の漁民は金田の漁民よりも、法律は割合によくわきまえておる。むしろわれわれよりもくろうとが多い。さような地帯における事件解決策といたしましてわずかに四名の者の許可を取消したというふうなことで解決ができまして、全国にたいへんよい影響を及ぼしましたというふうなことでは、われわれとしては、将来の漁業の改革がはたしてできるかどうか、水産庁を信頼することができなくなつて来るのであります。かような自由出漁、法令違反については、昭和二十五年三月十四日に農林省の省令が改正されまして、瀬戸内海漁業取締規則というものがあるのでありますが、その第十五条には「第二条乃至第六条、第七条第一項又ハ第十条ノ規定二違反シタル者ハ二年以下ノ懲役若ハ五万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス第九条第二項ノ承認ヲ受ケズシテ共ノ機船二依リ漁業ヲ営ミタル者亦同ジ」、かように法律があるにもかかわらず、しかも最も全国的に模範を示さなければならない北海道のさんまの取締りにあたりまして、かような緩慢な処置ではたして今後の水産行政の改革ができる御自信がありますかどうか承りたいのたあります。  さらにまた、先ほど山本次長に御質問するのを忘れましたので、この際補足してお伺いいたしますが、有明海漁業海区調整の問題であります。すでに佐賀県には海区に関して一方的に水産庁から告示を出したと承つておるのでありますが、はたしてそれは事実であるかどうか、お答えを願いたいと思います。
  22. 山本豊

    山本説明員 漁業の法律の違反取締りにつきまして、いろいろ先ほど松田委員、並びにただいまは永田委員から適切なる御注意があつたのであります。われわれといたしましても、そういう趣旨に基きましてやつてはおるつもりでありますが、実際問題といたしまして、なかなか思うようには参らないのであります。これも一つにはこの取締り、ことに処分の問題は果敢を要するのでありますが、そういうことにつきましては、やはり行政庁といたしましても不なれな点も若干ございます。また人員その他におきましても不十分な点がございますが、しかしながら今後の問題といたしまして、底びきの整理等と関連いたしまして、この問題はますます重要を加えて来ると思うのであります。先ほども検察庁の方からいろいろお話を承つたのでありますが、これらの専門の方々と十分連絡をとりまして、また御指揮も仰ぎまして、今後努力を払いたいと考えております。  それから有明海の問題でありますが、佐賀県に対して告示ということはやつていないと思います。これは佐賀県の方であるいはダブつて佐賀が先で、福岡はあとでありますが、出したのであります。ところがそれでは処置が前後になつて困りますので、出したものを一応保留する、こういう趣旨で漁民の利便のために、処置をとつただけであります。
  23. 永田節

    永田委員 佐賀県の海区調整に関しましては、佐賀県の有力なる代議士で、大臣をしておられる人から、藤田長官にぜひこれをやれというふうな御命令があつたので、藤田先生は一意専心それをごもつともなりとして、その実現を期しておるように承つておるのでありますが、少くとも天下の行政に対して、かような有力なる人の勧告に基いて私心をはさむということは、十分に警戒してもらいたいということを、特にこの委員会において注意をいたしておきます。
  24. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次に、最近水産物運賃の値上りがあるように聞きますが、これが実情について関係当局より説明を願います。また田口委員から発言を求められておりまするから、これを許します。
  25. 石井昭正

    石井説明員 国鉄の運賃につきまして最近値上げをしなければならないような余儀ない事情になりまして、ただいまこの運賃法の改正法案について当国会に御審議を願う手続をいたしておるのであります。この国鉄運賃値上げをいたさなければならない事由につきましては、よく御承知のように、本年度予算が昨年の八月に組まれております。従いまして朝鮮動乱に基く物価の趨勢が非常に不安定、不明確なときに、そのまま昨年の六月程度の物価水準で組まれたわけでございます。ところが朝鮮動乱が予期に反して相当長引きました。しかも国鉄の使用いたしております主要資材—石炭あるいは鋼材あるいは木材、セメント、繊維、あらゆるものにつきまして非常な値上りをいたしました。かつまたこれらの諸物価の高騰に伴いまして、消費物資も相当値上つておるわけであります。国鉄の従業員の組合から賃金ベースの改訂に対する要求もございました。これが調停委員会の調停にかかりまして、一万八百円ベースという調停案も出て参つたわけでございます。かような事情に基きまして、本年度におきまして、運賃値上げをお願いいたさなければ、とうていつじつまが合わない、非常に大きな欠損を生ずる見込みとなつたのであります。八月末に国鉄当局から運輸省に対して旅客、貨物とも三割五分値上げをいたしたいという趣旨の申請があつたのであります。そこで運輸省といたしましては、法律の定めるところに従いまして、運輸審議会に諮問をいたしました。運輸審議会といたしましては、九月十二日より四日間にわたつて、四十数名に及ぶ公述人を招きまして、公聴会を開催いたして、広く各方面意見を聞いたわけでございます。その公聴会の結果とその他各種の資料検討いたしました結果、運輸審議会といたしましては、国鉄の経費の見込み、その他についてある程度の査定を加えまして、かつまた増収見込みも、国鉄の申請当時よりも今日の運輸状況を勘案いたしまして、まだ増収見込みも立ち得るというような点、あるいは経営の合理化と申しますか、そういうような点でなお努力すべき点も参酌いたしまして、旅客につきましては平均二割五分となるような案でございます。貨物につきましては一律に三割の値上げということで答申案が出て参つたのであります。この答申案に基きまして、運輸省といたしましては、関係官庁たる大蔵省あるいは物価庁とも折衝いたし、かつまたGHQの関係方面とも折衝いたしました結果、その了解を得まして、閣議を経て、その案でもつて国会の御審議を願う運びになつたわけでございます。  水産物の運賃につきましては、かねがね当委員会からいろいろ御注意を拝聴いたしております。また私どもといたしましても、できるだけ御希望に沿うように努力いたしたいつもりでございますが、いかんせん、今般は一般的な財政の収支状況の改善のために、一律の値上げをいたすことに相なつておりまするので、貨物運賃につきましては、大体三割の値上げを一応一律に行わせていただきたい。ただ最低運賃につきましては、いろいろな事情もございまするので、三割ほどに行かない程度に治めたいという案になつておるのでございます。  そういうことでございまして、特に水産物運賃のみを対象としての値上げというようなことは何ら考えておらない次第でございます。一般的な運賃値上げ問題といたしましてどうぞ今日の現状を御了承の上、御了解をお願いいたしたいと考えておる次第でございます。
  26. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま石井さんのお話によりまして、鉄道の方の独立採算酬の赤字を補填する関係から、旅客及び貨物運賃値上げ約二割五分ないし三割を実行する、こういうような提案を怖くするというふうに承つておるわけであります。鉄道の独立採算制、それからまた現在約二百億程度の赤字が出ている。こういう観点から考えまして、ある程度の貨物及び旅客運賃の改訂はやむを得ないと考えるのでございますが、しかしこの料金の改訂につきましては、何と言いましても、貨物の負化能力ということをぜひお考え願いたい。いま一つは、その貨物が大衆生出にいかなる関係があるか。こういう二つの問題を十分お考えなつてこの両方面に対して開きのない改訂ということで料金をきめていただかなければ、国民としても困るし、業者としても非常に迷惑する、こういうことになるだろうと思うのでございます。御承知の通り、ただいま漁業は、あらゆる漁業が国際物価の品物と内地漁業の加格に非常な差ができまして水産業者にいたしますと、とつて来て販売する魚は国民の購買力その他からさつぱり値上りをしていない。しかるに魚をとるための資材はみな国際物価によつてどんどん考ておる、こういう考な関係から申しまして、どの漁業一つをとらえて考えてみましても、経営が非常に困難な状態にあるのでございます。それではとつて来たものは、都会において経営費が高くなつた割に高く売れるかということになりますと、どこの市場に持つて行きましても全然高く売れるという見込みがない。結局それだけ漁業者は赤字を出さなければならぬ、こういうような事情にあるのでありまして、かかるときにさらにほかの貨物と一律に水産物の運賃を引上げるということは、荷物の負担力という点から申しまして私は非常に無理ではないかと考える次第でございますが、ただいまのお話によりまして、この最低料金については、平均は三割だけれども、なお十分研究してみる、こういうお話のようでございますから、最も深く研究していただく一つの項目は、現在経営上非常に困つている漁獲物の料金問題がその一つではないかと考えまして特にこの問題については御注意を願いたいと思うのであります。なおわれわれといたしましては、鮮魚は少くとも米麦に準ずるような等級にしてもらわなければならぬということを従来から主張しておるのでございますが、米麦の場合におきましては現在九級で扱つておられる。しかるに水産物の場合におきましては、鮮魚あるいは冷凍魚が五級ないし七級になつておる。この七級の品物を見ますと、えいだとか、あるいはかながしらだとか、ほとんど食料にならないような、言いかえますと非常に安価な魚、いわゆる運賃の負担力のない魚でございますが、かくのごときものまでも七級にして、そしてこれは米麦の九級に比べますと、はるかに高級の等級になつておる。こういう観点からいたしまして私らは魚も国民の必需品であるという観点から、米麦あるいは少くともそばだとかあわだとかいうものに匹敵する品物だ、こういうふうに確信をするのでございます。何らかの機会に、少くともこの鮮魚は米麦に準ずる等級に訂正をさるべきものでないか、かかる点から考えましても、先ほど私が申しましたいわゆる最低等級のものに対しましては、ぜひこの魚というものを慎重に御研究願いたいと思うのであります。  さらに私らが現在最も困つております問題は、貨寧があらゆる地方で非常に不足をしておる。ほかの貨物でございますと、倉庫に入れておいて三日でも四日でも貨車がとれるまで待つことができるのでございますけれども、魚の場合におきましてはそれでは非常に困る。せつかく沖に行つて、そして非常な苦労をして、高い油あるいは高い資材を使つて、とつて来た魚が、岸壁につないであつて、貨車がとれないた、めに三日、四日そういうふうに放置されるというようなことになりますと、鮮度がぐんぐん落ちて参りまして、そうして販売をするときにおきましてはほとんど、商品価値がない、かような状態になることが非常に多いのでございいまして、これはわれわれ各漁港に行きましてたびたび見受ける現実の真実でございますが、何とかこの料金の問題のほかに、いわゆる鉄道輸送の使命を完全に果していただく意味におきまして、貨車あるいは冷凍貨車を円滑に必要があればいつでも待つておるというような状態に置いていただく、そういうことをぜひお願いしなければ、各漁港での実際の魚の輸送状態から見まして、ほんとうに貴重な食料を捨ててしまう、あるいは肥料にしなければならぬという状態なつておるのでございます。いろいろ鉄道といたしましても、貨車のやりくりにつきましては非常に御苦心をしておられると思うのでございますが、しかし品物が品物でありますから、ほかの貨物と同等にごらんにならないで、一日置けば一日価値が少くなる、あるいは貴重な食料が食料にならない、こういう特別の荷物でございますから、各漁港に対する貨車の配車につきましては、何とか今日よりももう一段いいような方法をお考え願えないものでございましようか。あるいは現在の冷凍貨車の数から申しまして現状におきましてはいかに鉄道の方で理想的の廃車をされましても、とうてい間に合わないような状態にあるのでございましようか。あるいは朝鮮事変その他で非常にたくさんの貨車を使つておるから、現在におきましてはどうしても理想的の配車はできない、こういう実情であるのでございますか。そこらの点を一応御説明願いまして、御説明によりましてあわせて再質問をしたいと思うのであります。
  27. 石井昭正

    石井説明員 鮮魚の運賃について、その負担力の点から見て検討をいたせという御趣旨のお話と思います。まことにごもつともなお話でございまして鉄道の運賃はすべて貨物の負担力を中心考えておるのでございますが、ただ運賃の平均のレベルと申しますか、その点は国鉄の財政をできるだけ切り詰めて、値上げの率を少くするようにくふういたさせますが、しかし全体のレベルとしてはこの際上げさせてだだくことをお許し願うという点については、たいへん御理解のあるお言葉をちようだいしておるわけでございますが、この等級あるいは特別の鮮魚について負担力の点を考究するようにという御注意でございました。この点は、貨物運賃の設定にあたりましては、毎日と言つてもよろしいほど研究をいたしておるのでございます。貨物運賃自体につきまして相当厖大な資料と陣客とを抱えて研究いたしておりますのもできるだけそうした御趣旨に沿いたいと考えておる次第なのでございます。それで鮮魚の運賃問題につきましては、先般の二十五年一月の運賃改訂の際にずいぶんいろいろ御議論があり、御意見もございましたので、その際に大衆魚、中級魚、あるいは高級魚という三種類にわけて、等級の差等をつけているのでございますが、この大衆魚に属するものは、これはいろいろ品名をあげてのお話もございましたが、ほとんど七割は大衆魚に属しているのでございまして、昨年度の輸送トソ数の統計を見ましても、一番安い費率を適用されているものが七〇%でございます。従いまして先ほどいろいろお話もございましたが、鉄道の等級としても、必ずしも十分御期待に沿い得るとまでは行つていないかもしれませんが、幾分とも御趣旨を生かすように努力しているものと考えている次第でございます。なおしかしながら、今日いろいろ漁獲の状況あるいは消費の状況等について検討すべき要素もあるかと思いまして、その点なお検討いたせというお話のように伺いましたので、国鉄当局の方と連絡をとつて十分検討させて、特定の品目あるいは特定の場合等について御無理があるようでございますれば、これを是正させることは当然のこととは考えているのでございますが、大体の建前としては、現行の振りわけというものも、もちろん百点はいただけないかもしれませんが、ある程度の整備はできているのではないかと考えている次第でございます。この等級が米麦に比較してというお話もございましたが、等級の査定にあたつては、そのほかに、単に用途ばかりではなく、あるいは容積の関係、あるいは平均輸送距離の関係等いろいろ考慮すべきたくさんの要素がありまして、これを十分横にも縦にも振合いを見ていただいてきめたのでございまして、二十五年一月改正の際には等級審議会を設置して、関係官庁あるいは関係業者の方々の御参加を願つてきめているのでございまして、はなはだしく無理があるとは考えておらないのでございますが、なお十分機会に応じて検討いたすべきことはお示しの通りと存じている次第でございます。しかしながら鮮魚の問題については、料金のことも、運賃のこともさることながら、輸送の問題がより重大であるというお話は、まことにごもつともだと思うのでございます。特に最近の豊漁期になりますと、一度に各港に水揚げが殺到いたしますので、十分な配車ができないために、鮮度の低下を来して、御迷惑をかけていることはいなめない事実だと思うのでございます。これについては、そういう豊漁期に対処するためにできるだけ貨車を集中して配車しているのでございますが、その具体的な数字は国鉄当局から配車課長が参つでおりますから、配車課長から御説明を申し上げることにして、全般的に申しますと、鉄道も相当努力をいたしまして、及ばずながら最大の努力を払つているのでございますが、しかしながら遺憾なことには、各関係方面がそれと合せて全部一緒なつてやつていただきたいと思うことがなかなか進まないのを残念に思つていることもございます。一例を申し上げますと、東京都などでは、中央卸売市場の休日の問題でございますが、毎月二の日を休みにしているのでございまして、休日にぶつつかりますと、全然荷下しをしてもらえない、その結果として貨車が非常に停滞する。御承知のように、冷蔵車は非常に少いのでございますから、できるだけこれはピストン的に、着いて下してすぐ返すという行程をとつていただければ、少いながらも相当な効果をあげ得るのでございますが、一日でも荷下しを休まれるど非常に番狂わせを生じます。しかも生産者の方では、荷受けができないと鮮度が落ちる関係で、またほかの地方へ着駅の変更をする、その結果貨車は余分な輸送をいたしまして、結局非常に運用効率を落しまして、乏しい貨車をますます少くするわけでございます。こういう際には、せめて豊漁期だけでも何とか休みの点を解決するようにということを、再々鉄道当局から、話をしているのでございますが、いまだに御協力をいただけないような事情もあるのでございます。こういう点につきましては、どうぞ皆様方におかれましても、何かとその辺がうまく行くように御協力願いたいのであります。鉄道の仕事は毎日々々が型に入つて参りますと非常に能率が上る、一日でもそれが乱れると大きなロスを生ずる、これを防止するようにお願いいたしたいと思います。  冷蔵車の絶対数の不足につきましては、これは冷蔵車といわず、貨車全体が不足でございまして、まことに残念に思つているのでございます。本年度におきましても、補正予算において、なお一千両以上二千両に近い要求をいたしたのでございまするが、残念ながら刻下の財政資金の都合上思うような予算の配付をいただけなくて、まことに残念に思つております。しかしながらなおそのうちでもやりくりをいたしまして、たとい五十両が百両でも冷蔵車の増備をはかるようにいたしたいと考えている次第であります。
  28. 田口長治郎

    ○田口委員 最近特に冷蔵貨車が著しく足りないような感じがするのでございますが、戦争前の冷蔵貨車数と、現在鉄道の方でお持ちになつております冷蔵貨車数はどういうことになつているのでございますか。
  29. 石井昭正

    石井説明員 実は戦前の数字を今持つてつておりませんが、私の記憶しているところでは、現在の方が戦前よりはるかにふえているものと思つております。現に戦争後におきまして、二十一年度二百十三両、二十二年度三百二十両、二十三年度二百五十両、二十四年度三百両、二十五年度百七十三両、すでに千二百五十六両、新造は毎年いたしているわけでございます。うち、連合軍に一応専用されている数もありますが、しかしその数ははるかに下まわつておりまして、この新造数の半分以上は国内用に使われている、かよう御承知つてさしつかえないと思います。それにいたしましても、豊漁期等におきましては絶対量が足りないということはよく承知しておりますので、できるだけ増備いたしたいと考えております
  30. 田口長治郎

    ○田口委員 冷蔵貨車の不足のために漁業者が非常に困つている、これを何とかしなければならないという観点からいたしまして、業者のうちには、自分らの資金で冷蔵貨車をつくつて、これの運用をある条件で運輸省の方にお貸ししてもいい、こういうようなことまで考えるくらいに困つているのでございますが、もし業者の資金で冷蔵貨車をつくり、そのつくつたものはその地方に常に配車してもらうということがお願いできますかどうか、一応お考えなつたことがありますか、お伺いいたしたい。
  31. 石井昭正

    石井説明員 実は貨車新造等の資金の不足に対応いたしまして、専属の貨車をつくりたいという御要望はほかの業界からも相当あるのでございます。実は鉄道といたしましても、そういう専属の貨車をつくつてまでしていただかなくても、何とか自分の資金でつくるのが当然だと思います。ただ今鉄道に対して民間から資金を募集することを許されておりませんので、何ともいたし方ない実情でございまするが、ただ欲を申しますれば、鉄道で貨車をつくりますと、これは共通運用になりまするので、非常に能率が上るのでございまするが、ある特定の荷主の方の質草ということになりますると、非常に運用が落ちますので、せつかく持つておる貨車の自由な働きができない。しかしながら資金をお出しになつた方は、良分の思うときに使えないようでは、これは意味をなさぬというジレンマがあるわけでございます。そこで一般の普通に運用する貨車につきましては、そういう専属貨車というものについてはあまり好ましくないので、もしできますれば、そういう資金がございましたら鉄道に貸していただきまして、そうして鉄道の手でつくるというふうにいたした方がいいのではないかと思つておりまするので、今のところ公債発行の許可がありませんので、そういうわけに行かぬと思うのであります。冷蔵市のような特殊なものにつきましては、ただいまお話のようなことも必ずしも考えられないことはないと思いますので、具体的な御計画が、ございましたならば、十分御相談に応ずる余地があるだろうと考えておる次第であります。
  32. 田口長治郎

    ○田口委員 魚の輸送の場合、冷凍貨車がないということは、もう致命的な、業者としては最も困る問題でございまして、鉄道の方にだけおまかせをしておいては、国の財政資金その他の関係で、どうしても増車することができない。そういうような事情で業者が非常に困つておる。この二つのことを考えてみますと、何か民間資本で冷凍貨車をつくつて、そうしてこれの運用方法を御研究願いますれば、あるいは鉄道の方の立場とされましてもお困りにならないような、あるいは業者の立場かちいたしますと、ほんとうに困つている問題がただちに解消する、こういうようなことになると思うのでございますが、ただ鉄道の資金でなければできない、この鉄道の資金が財政その他によつて解決がつかない、こういうことで業者がいつまでも致命的の苦しみをしておるということは見ておられないような状態にあるのでございますから、この問題がある程度具体化しますれば、具体的の問題について御相談にお伺いいたしたいと思いますから、その節は適当にひとつ御指導願いたいと思うのであります。  それから小さな問題でございますけれども、今日水産物を送ります場合におきましては、列車を指定しなければ、非常に日にちが長くかかる。列車で普通料金を払つてやりますと、少くとも指定した貨車に比べますと、同じ長崎からあるいは東京という場合におきまして、二倍以上日にちがか九つておる。こういうような事実がございまして、品物が品物でありますから、高いけれどもやむを得ず指定列車をとつてつておるというようなことで、運賃が高い上に、なおそれに倍加をして払わなければならぬ、こういうふうな実情なつておるものでございまするが、何とか普通料金で、この指定列車と同じ日にち程度に送つていただく、こういうようなことがどうてもできないものでございましようか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  33. 石井昭正

    石井説明員 ただいま列車指定に閲してのお話が、ございましたが、早い列車に、鮮魚のようないわゆる腐敗しやすい食糧品を優先的に、別に特に割増しをいただかなくとも送るということは、これは建前として私は当然であろうと思うのでございます。またその通りやつておるものと思うのでございまするが、しかし列車指定という制度がございまして、他の貨物が列車の指定を割増金を払いまして請求いたしました場合は、これに応じなければならない建前になつておりますので、従つてもし普通料金でお送りになりますると、はたしてその早い列車で普くかどうかという点が確信が持てないという点で、結局割増金をお払いになつておるのが実情ではなかろうかと思うのであります。これは根本的には早い列車の輸送力をもつと増強しなければならないかとも思うのでありまするが、しかし現状では一応そういうかつこうになつておりまするので、いつも普通料金の場合は遅いということではなくして、あるいは場合によつては着かないこともあり得るかもしれぬという御心配の点が多いのではないかと思うのであります。特に九州や山陽方面と比較いたしまして、東北方面の列車は非常に輸送力も少い上に、鮮魚が港から一貫輸送されずに、たいてい本線までローカル列車で来まして、そこで本線の列車に連結するわけでございまして、こういう輸送形態をおとりになつておる所では、なおさらその心配が多い。その結果割増料金を払わざるを得ないというような状態にあるのではないかと思つております。これにつきましては、まことに事情お気の毒だとは思うのでありますが、列車の指定制度の料金をいただいた以上、その列車につけなければならぬという建前をとつ、ておりますので、他の品目との競合の場合を考えますと、やはりこれをつけていただく方が安全ではなかろうかと思うのであります。しかし特に輸送力に余裕がありますときには、さようなことをしていただかなくても、できるだけ鮮魚を早い列車で送るという建前は十分守つておると思うのでございます。なお昨年の運賃改正にあたりましては、そういう点もございましたので、従来五割増しでございました指定料金も割増率を下げて、なるべくそういう点の御負担も軽くするようにいたしている次第でございます。
  34. 田口長治郎

    ○田口委員 指定列車の問題につきましては、これはああいう品物でありますし、鉄道の方にははかの典物と比較すると、署しく御迷惑をかけているのでございますが、料金問題を考えます場合におきましては、どうも普通料金が一般貨物との対象になりまして、その上に事実上の必要からいたしまして、また指定列施料金を払わなければならぬということになつているのでございますから、この点もひとつ御考慮くださいまして、一般料金の問題につきましては、水産物ほどその特殊性質からして指定列車をとらざるを得ないような貨物はほかにないと思うのでございます。従来普通料金だけの比較で高いとか、安いとか言つていますけれども、その上に水産物の場合には、多くの場合にこれを払つておる。それを前提にして料金問題をぜひお考え願いたいと思うのであります。  次に遠距離輸送の場合の特別運賃の割引の問題でございますが、これは別に鉄道の方で料金政策から現在の七百五十一キロ以上にこの数字をお考えなつていないと思いますが、われわれが安易に考えますと、もう一歩距離を短縮してもらいますと、この恩恵にあずかる貨物が非常に多いのに、少しのところで思慮にあずからないたくさんの貨物がある、こういうふうに考えられるのであります。具体的に申しますと、かりに九州の長崎から大阪に品物を送るとしますと、あの姫路の近傍まででございますと、何とかこの恩恵にあずかる距離になつておるのでございますが、ごくわずかのために—そうして荷物はどうしても大阪に送らなければならぬ。こういうような実情で、一歩手前のところでぱつと切つてある、こういうようなふうに決定をしてあるようでございますが、この制度を置かれたもともとの御精神は一差かく遠距離輸送のものに対しては、特別の運賃の割引をしよう、こういうようなお気持で制度を設定されておるのでございますから、そういうような、もう一歩で恩恵にあずかるというような距離を考えますと、少くとももう一歩のところの距離を短縮していただ奇まして、せつかくの制度設定の意味を、ますます発揮させる、こういうような意味におきまして、私は現在の七百五十一キロ以上というものを五百一キロ以上に改訂願えないかどうか。これはぜひ改訂を業者のためにお願いして実現をしたい、こういうことを考えておるのでございますが、この点については、いろいろな収入の問題その他もありましようが、ぜひそういうようなもう一歩というような距離にあるのでございますから、ひとつつつ込んで将来十分研究をしていただきまして、何か業者あるいは私らが希望をしておることが実現するように御配慮を願いたいと思うのであります。  それともう一つ、御承知の通り、今ちようど東北海区ではさんまがたくさんとれておるのでございますが、あのさんまが、いろいろ漁業政策といたしましては将来考えなければならぬ問題がたくさんあるのでありますが、現実におきまして、今日ただいまどんどんとれている。そのさんまが、従来はたくさんとれました場合におきましては、冷蔵庫にしばらく保管をいたしまして、漁獲が薄くなつた日にそれをぽつぽつ出す、こういうようなことで調節をしておつたのでございますが、本年はあいにく電力が今のような状態でありまして、冷蔵庫の活用が全然できない。言いかえますと、あのさんまの消費地への輸送は、一に貨車によらざるを得ない、こういうような実情にあるのでございますが、ただ現在あの地方に対する配車状態が非常に悪いために、魚をとりましてもそれがほとんど消費地に送られない。地元で腐つておる。やむを得ず肥料にもしておる。肥料にするあるいはそれにも間に合わない、こういうような状態におきまして、漁獲物の価値が全然ないようになり、そのために漁業経営が非常に困つて来ておる、こういうような実情にあるのでございますが、この東北方面に対する現在の配車の状態はどういうふうになつておるのでございますか、その点を重ねてお伺いいたします。
  35. 石井昭正

    石井説明員 遠距離割引の問題でございまするが、これは大体北海道と東京との関係考えて七百五十キロというふうに切つたのではないかと思うのでありますが、その他の消費地と生産地との関係のキロ程も、あわせて考慮いたさねばならないことは御指摘の通りでございますので、各主要生産地と主要消費地問のキロ程等につきましていろいろ研究さしていただきたいと思います。  それから東北方面の問題でございまするが、電力不足によつてつておりますのは鉄道も同様でございまして、東北方面におきましては、特に鉄道の信号燈の消燈その他で列車の運行が相当乱れて、輸送上の障害になつておるような状態であります。なおそのほかに石炭の入手につきましても、電力用炭が優先いたしますために、鉄道用炭、運転用炭がだんだんかれて参つておりまして、思うように列車が出せなくなるような心配もしておるわけであります。この点まことにお互いに弱つたものだと考えておる次第でございます。しかしながらそれはそれといたしまして、お話のような東北方面の鮮魚に対する配車は、苦心をいたしておるのでございますが、具体的実情につきましては配車課長から御説明させていただきたいと思います。
  36. 今村義夫

    今村説明員 ただいまお話のように、東北地方の鮮魚の漁港は非常に多くて、大体一日平均の要求が百五、六十両になつております。この百五、六十両に対しまして、今配車しておりますのが大体一旦平均八十両から九十両ぐらい、大体五〇%を少し上まわる程度でございます。ただこういうように数字的には五、六十パーセント程度にしかなつておりませんが、実はこの車を集めるのにも非常な苦労をしておるわけでありまして、大阪からわざわざ非常な無理な継送作業をとりまして、空車を引上げてこれを仙台につつ込んでおる、こういうような無理な作業までやつておるわけであります。御承知のように、全体といたしまして輸送力が足りないことはお話の通りでありますが、われわれといたしましては、冷蔵庫を全国からの要求に応じてできるだけ公平にわけるように努力をしておるわけであります。従つて去年のさんまの時期におきましては、冷蔵車の使用が一日平均三十両ぐらいであつたのじありますが、最近はそれが八十両かり九十両というところまで上つておるのであります。去年との比較においては、漁獲もずいぶん上つておりますから、そのまま比較にはなりませんが、われわれの努力しておることだけはお認め願いたい、かように考えるのであります。今後におきましてもできるだけ努力をいたしまして、今お話のありましたような、魚を腐らせるというようなことがないようにだけは、十分努力して行きたいと思います。
  37. 田口長治郎

    ○田口委員 いろいろお伺いいたしたのでございますが、結局この料金の問題につきましては、われわれもほんとうに水産物が負担の能力ができた、こういう事態になりますならば、ほかの貨物の運賃も水産物で緩和をする、そういうような気持でおるのでございますけれども、ここしばらくの間はほんとうに負担力のない状態なつておるのでございますから、その点をひとつ御考慮を願いたい問題が一つと、それからさつきの遠距離輸送に対する特別超賃割引、この問題に対しましては、石井さんからのお話で将来研究をする、こういうような御答弁でございますから、御研究を待つとします。それから貨車の増設の問題、これはもうあらゆる産業の基盤になるのでございますから、どうか鉄道の方でも万難を排して今日以上に何とか増設の方法を講していただいて、各業界がはなはだしく困らないところまでひとつ御努力を願いたいと思うのであります。その三点をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  38. 松田鐵藏

    松田委員長代理 北海道の根室、釧路方面にとれるこまいという魚があるのですが、それはたらの一種なんですが、これがたらということにならないために、その他の魚族でもつて運賃が高い。これはこまいというのですが、一番小さなたらのようなものでありまして、たらと同様の等級にしていただきたい、かように要望するのであります。
  39. 石井昭正

    石井説明員 さつそく研究いたします。
  40. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 今回の災害は、二階党委員等よりお述べになつたと思いまするが、意外な大きな被害であります。それは風力が比較的弱くて水との闘いであつた。そのために、漁村方面は幾らかゆだんをしておつた点もあるようでありまするが、多数の漁船を流したという事実があるのでありまして、ことに鹿児島県、宮崎県が最もひどい。それから山口県と瀬戸内海、なお高知、和歌山、三重県等、私の三重県でも今日までの調べが十五億七千万円でありますが、人畜、漁船、家屋根等の流失はただいま調査中であります。そういうような、声よりは意外に事実が大きい被害でありまして、この問題は自由党の総務会でも非常に大きく論議をされまして、最近総務二人がとりあえず現地を見ることになつたのでありまするが、所管大臣が出かけることになる様子であります。そうして急速な応急支出をするという大体の方針でありますが、そこでこの水産関係にありましては、どうも従来建設省や安本に依存をするような傾向がありまして、その方の調査の結果案を立てるという、非日常に緩慢なために不利益をするのであります。地方災害応急対策の金が参りましても、河川やその他の方面に多くまわつてつて、割当が非常に損をしているという厳然たる事実があります。今日漁港法案等ができて、それらの問題も具体的な方策をもつて水産庁みずから現地調査をする。そしてすみやかに対策を立てて、それを政府に要求するという建前にしなければならぬと私は考えるのであります。それに対してただいまのところどういうお考えを持つているのか、一応承つておきたいのであります。なおまた水産委員会よりも調査団をすみやかに派遣されるように、委員長において特段の御配慮を仰ぎたいのであります。  それから問題になつている漁船保険の問題でありますが、この制度を一時も早く実現しなければ、もうすでに関西では相当漁船は失われた、現実に失われたという事実がここに起つて来たのでありますから、これも委員長より自由党の政務調査会及び総務会その他各方面へ対しても、なおまた各派の議員諸君も御協力を願つて、すみやかにこれが実現をはかるように特に希望を申し上げる次第であります。
  41. 松田鐵藏

    松田委員長代理 皆さんにお諮りいたしますが、先刻委員諸君にお諮りいたしまして御賛成を得ましたルース台風による漁業被害状況調査のため、委員派遣の件につきまして重ねてお諮りをいたします。派遣地、派遣委員の数、及びその人選、派遣の期間等は委員長に御一任を願いたいとともに、これを決定の上議長に提出する委員派遣承認申請書の提出方につきましても、委員長に御一任を願いたいと思いますが、このようにとりはからうに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 松田鐵藏

    松田委員長代理 異議なしと認めまして、さように決定いたします。  石原委員にお答えいたしますが、水産庁では先ほど方針がきまりまして、実地に調査に行くことになつております。それから委員会といたしましてもただいま決定いたした通りにいたしたいと思います。  それからこの際御報告を申し上げますが、重油の値上げ問題に対しまして、昨日自由党の政調会に田口委員と私が出席いたしまして、いろいろ論議をいたしました。統制を撤廃することによつて初めて公正な価格になり、むしろ現在の価格より安くなるという見通しをわれわれが持つていることを力説いたしまして、統制を即時撤廃するように進言し、政調会はこれを承認したものであります。本日また石原委員が総務会においてこれを力説して、自由党の総務会においてもこのように決定されたのでありまして、この点御報告申し上げておきます。  次回の委員会は二十日に開きます。  この程度で今日は散会いたします。     午後一時七分散会