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1951-10-30 第12回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月三十日(火曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 佐々木秀世君 理事 島田 末信君    理事 塚原 俊郎君 理事 内藤  隆君    理事 小松 勇次君 理事 山口 武秀君       大泉 寛三君    岡延右エ門君       岡西 明貞君    鍛冶 良作君       志田 義信君    田渕 光一君       野村專太郎君    福田 喜東君       藤田 義光君    久保田鶴松君       加藤  充君  委員外出席者         証     人         (建設省監察         官)      石破 二朗君         証     人         (会計検査院検         査第四局長)  小峰 保栄君         証     人         (建設事務次         官)      中田 政美君     ————————————— 本日の会議に付した事件  証人出頭要求に関する件  委員会報告書に関する件  公共事業費をめぐる不正事件     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 会議を開きます。  この際お諮りいたします。日本專売公社関係事件については、事務局におきまして基礎調査中でありましたが、基礎調査も完了いたし、理事会におきまして協議の結果、本委員会において証人を喚問して調査を行うことに意見の一致を見ましたので、委員会において本調査に着手いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 篠田弘作

  4. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なきものと認めます。それでは証人として決定いたします。     —————————————
  5. 篠田弘作

    篠田委員長 次にお諮りいたします。本委員会設置の決議によりまして、少くとも月一回意見を付した調査報告書議長に提出いたさなければなりませんが、公共事業費をめぐる不正事件につきましては、いまだ調査継続中でありますので、今回は従来の例に従い、委員長において簡單なる調査経過報告書を作成の上、議長に提出いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議がなければさよう決定いたしました。     —————————————
  7. 篠田弘作

    篠田委員長 それではこれより前会に引続き、公共事業費をめぐる不正事件について調査を進めます。  ただちに石破証人より証言を求めることにいたします。石破二朗君ですね。
  8. 石破二朗

    石破証人 さようでございます。
  9. 篠田弘作

    篠田委員長 なお文書をもつて了承願つておきました通り証人として証言を求めることになりましたので、さよう御承知ください。ただいまより公共事業費をめぐる不正事件について証言を求めることになりましたが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときはその旨お申し出願いたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書を朗読してください。     〔証人石破二朗君朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ何事もか  くさず、何事もつけ加えないことを  誓います。
  10. 篠田弘作

    篠田委員長 では宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  11. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人は、いつから現職に就任されましたか。
  12. 石破二朗

    石破証人 昭和二十五年八月だと思います。
  13. 篠田弘作

    篠田委員長 証人は、天狗橋事件のごとき災害復旧に便乗して国の補助金を不正に獲得しようとしたような事実を知つておられますか。
  14. 石破二朗

    石破証人 私、去年の八月外部から赴任したものでありまして、それまでの間まつたく、公共事業費その他につきましてはあまり関心を持つておりませんのでございましたし、なお監察官に任命された後におきましても、去る九月ごろまでの間は、府県事業につきましてはあまりタツチしておりませんので特別の関心を拂つておりませんでございましたが、天狗橋事件につきましては、新聞記事によりその他うわさ話程度は聞いておりますが……。
  15. 篠田弘作

    篠田委員長 天狗橋の問題があつたときに建設省からその調査にたれか行つたんではないですか。
  16. 石破二朗

    石破証人 先ほど申し上げましたような事情でございますので、よくその間の事情承知いたしておりません。河川局の方で必要なる取調べはいたしたことと考えております。
  17. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、建設省監察官というものはどういう仕事をしておるのですか。
  18. 石破二朗

    石破証人 監察官は、職務上は次官、技官に直属いたしております。やります範囲は、ことしの九月以後とその以前とで若干違いますが、従前は建設省所管行政監査いたしまして、そうして建設省の業務が能率的に運営できるようにいろいろ検討いたし、また不正事件があつたりいたしますれば、これをよく調査いたしまして上司に報告する。なお賞、ほめるに値するようなものがありましたら同時にこれを上司に報告する、こういうようなことであつたのでありますが、ことしの九月以降府県の方の補助建設省所管補助事業一般につきましてもこれを検査する、監査でなしに検査するというような職務が加わりまして、現在は、簡單に申し上げますと、直轄工事監督補助事業検査、これだけの仕事をいたしまして、建設省所管行政の能率的適正なる運用に資する、こういう職責を持つております。
  19. 篠田弘作

    篠田委員長 災害復旧事業補助申請には水増し要求が多いということがいわれておるのですが、この水増し要求ということは、もちろん原形復旧ということのほかに、ある程度の改良を加えるということが問題だと思うのだが、実際問題として九月以降といえば幾らもないから、あなたは検査もたくさんされておらぬと思うが、災害復旧事業改良されているという点を認めますか。
  20. 石破二朗

    石破証人 私、不敏にいたしましていまださような事実を自分では承知いたしておりません。
  21. 篠田弘作

    篠田委員長 ということは、検査はしたけれども改良されたあとを見ないというのですか。検査を事実上していないのですか。
  22. 石破二朗

    石破証人 府県工事に関しましては——府県ではありません、地方自治団体が実施しておられます工事検査いたしましたのは、最近たつた一回静岡だけいたしたのでありますが、その結果、災害に便乗して不正に国庫補助をとろうというような形跡を発見いたさなかつたのでございます。
  23. 篠田弘作

    篠田委員長 不正は発見しなくても、あなたの調べたやつが單なる復旧であつたか、それとも多少改良されたものだつたか、どつちでしたか。
  24. 石破二朗

    石破証人 災害復旧に関しましては、御承知のごとく、原形復旧が原則でありまして、原形復旧の著しく困難なもの、あるいはこれが不可能なもの、こういうものに関しましては、それにかわる施設の復旧を認めておるわけであります。なおそれと同時に行います改良工事をつけ加えます際には、それも認めておるわけでありますが、ただその国庫補助率に関しましては、そういう改良分につきましては、復旧工事としては認めず、普通の改良工事というふうに扱いまして、補助率も違つておるわけであります。つまり改良分に関しましては、普通の砂防工事、河川工事等普通の工事と同じ比率で国庫補助を出しております。お尋ねの改良工事が同時にありはせぬかというお話でありますが、正当の意味改良工事は、おそらく行われておる例はたくさんあると思います。改良工事なるにかかわらず、これを復旧工事としてやつておるという例を見なかつたのであります。
  25. 篠田弘作

    篠田委員長 予算成立前に借入金でもつて工事を施行して、予算成立後にから点検で支拂つたというのが、今度の最上川などの例にあるのですが、あなたはそういう例は知りませんか。
  26. 石破二朗

    石破証人 直轄工事に関しましては、従来あつたことは承知いたしております。但し現在はやらしておらないわけであります。
  27. 篠田弘作

    篠田委員長 工事の施行を切投げ工事で施行しておるということが、今度の最上川などもそうでありますが、大分あるようですが、建設省はこれに対してどういう方針をもつて臨んでいますか。
  28. 石破二朗

    石破証人 切投げ工事ということが、私先日の当委員会を拝聽いたしておりまして若干出たのでありますが、普通切投げ工事と申しますのは、部分請負をさして、自分どもは切投げ工事と言つておるのであります。最上川その他におきまして、切投げ工事が行われておつたという事実は、実は狭い意味の切投げではございませんで、大部分予算が来ないうちに、つまり正当の予算がつかぬうちに請負工事に出しておつた、こういうのであります。予算がありせば、切投げというようなことはせずに済んだ問題であります。普通狭い意味で申しますと、切投げと申しますのは、予算があつて自分が直轄しながらでも、非常にこまかい仕事とか何かを一部分請負に出すことであります。
  29. 篠田弘作

    篠田委員長 予算は来ない、しかし工事は急ぐ、そこで切投げではなしに、請負に出して、請負業者に金を立てかえさしてやらしておつたということが実情ですか。
  30. 石破二朗

    石破証人 そういう場合もあつたと思います。
  31. 篠田弘作

    篠田委員長 予算の執行が非常に遅れるために工事の遂行に障害を来しておるということが、いろいろな不正事実の起る一つ原因である。また悪意を持つておらなくとも、事業を早く遂行したいという考え方から、いろいろな便法を講ずる。それが法律に触れるという場合が非常に多いわけですが、そういう例、あるいはそういう点について何か考えていることがあつたら述べてください。
  32. 石破二朗

    石破証人 終戦後、会計制度も以前とずいぶんかわりまして、非常にむずかしくなりましたし、また予算成立、配付、こういうのが時間的にも非常に遅れて参りましたが、その間工事は放つておけないというような事情からいたしまして、ある程度予算を無視して工事をやらなければならなかつたというような事実が多数あつたことは事実であります。ただその間接待費でありますとか、その他給與等にこれを流用したということとは別問題だと考えておりますが、ただ予算が非常にむずかしくなりまして、そのために裏の帳簿をつくらなければならなかつたということからして、従つてそれが特に悪い意味不正事件を誘発する一つの大きな原因にもなつた、こういうように考えております。
  33. 篠田弘作

    篠田委員長 裏の帳簿というのは、どういう帳簿ですか。
  34. 石破二朗

    石破証人 たとえて申しますと、予算が参ります前に請負工事に出しておつて請負契約書のようなものもおそらくとりかわしておるだろうと思います。しかしそれを正式の証拠になります帳簿とは、まだ予算が来ておりませんから、いたしかねます。従つてそのような契約書のようなものが、つまり裏の帳簿というわけであります。
  35. 篠田弘作

    篠田委員長 それで、から人夫であるとか、あるいは架空資材の購入、そういうような面で資金を浮かして、接待費とかやみ給與に支出しておる、これはだれが見てもよくないことだ、事情はいろいろあるだろうけれども、しかし法律上も道徳上もこれはよくないことであるということはみな認めておるのだが、これに対して建設省はどういう監督方針をとつてつたか、また今後どういう方針をとろうとするか。
  36. 石破二朗

    石破証人 私の就任前のことはよく存じておりませんけれども、特に私が参りましてからのことを申し上げますれば、要するにいろいろの不正が起ることは、法律通りせぬからいかぬ、とにかくむずかしかろうと何だろうと、法律に書いてあればその通りやれ、それが法治国の役人要求されておることであつて、まずわれわれは法律に違反せぬということを第一に考えてやれ、それを一生懸命やつておれば、国民もそれ以上は役人要求することはなかろう。神様ならば別だけれども、現在の公務員としては、まず法律通り仕事をやれ、いかにむずかしくても、ということを一生懸命に言つております。なおその他に中央から地方に出張する者につきましては、よけいな接待などを受けてはいかぬ、お前らが行つても飲み食いするような金はやつてないのだから、ごちそうになつてはいかぬときつく申しております。私自身その他も、及ばずながら自分からまず率先して範を示しておるような次第でございます。それからまた具体的に申しますと、そのほかに監察官制度というものを、従来一名でありましたが、現在八名にいたしております。その他、非常勤の專門委員を五名委嘱いたしております。そういう陣容でやつおります。それからもともと接待費などに工事費がまわり得るというのは、予算が甘いからじやないかというようなことからいたしまして、予算の分掛りでございますとか、單価というものをしつかりやるということ、それからあるいは中には途中で設計通り工事をやつておらぬのではないかというようなことからいたしまして、従来もやつておりましたけれども、進行検査というものを特に嚴重にやれ、さらにそれをもう少し嚴重にやらすために、各地方建設局におきましては、従来は工務部というのがありまして、工事指導監督の一切をやつていたのでありますけれども、これはひとつ工務部工事指導だけをやれ、進行検査企画部というものがやれ、しかも従来ひよつとすると旅費等関係もありまして、事務所長限りで進行検査というものをやらしておつたのでございますけれども、今後は本局の企画部の者が必ず行つて進行検査をやれ、こういうことを励行いたさせております。
  37. 篠田弘作

    篠田委員長 その予算が甘いという言葉だが、予算が甘いのではなくして、むしろあとであなたが述べた、切り詰めた予算の中から接待費とかそういうものを出すために、工事そのものが粗漏になつている面が多いのじやないか。それだから次の台風でまた災害を来す。そういうような面があるのじやないかと思うが、その点はどうですか。予算が甘いと言うが、甘い予算を今なかなか政府も大蔵省も出しませんが、そういう点はどうですか。
  38. 石破二朗

    石破証人 予算が甘いと申しましたのは、先ほど私の言葉がちよつと過ぎました。要するに過去の例を見てみますと、予算が特別に甘かつたというわけではございませんけれども、やはり大きな予算でございますから、それを特に勉強してやれば何か浮くわけでございますし、ほとんどこういう例はないと思いますけれども、中には工事が若干残つてつたというようなものもあつたと記憶しております。
  39. 篠田弘作

    篠田委員長 それから法律通りやるということは、これは役人としては、與えられた法律によつてやることはあたりまえだが、たとえば超過勤務などというものは、法律通りあるいは予算通りにやつて行くと、一人一箇月五、六時間きりしかないそうですね。ところが実際において工事を完全に早くやろうと思うためには、監督官であるところのあなの部下たちは、一日に二時間も三時間も居残りしなければならない。ことに夏の工事最盛期などには、人夫が働いている限りはついていなければならぬというような実情にあるように思うのだが、そういう場合に超過勤務手当というものが、昔はこういうものはなかつたのだが、今はあるものだから、くれなければ働かないという考え方役人がなつてしまつた。そういうような問題は、きめられた通りにやれば、請負師人夫は働いておるけれども、役人監督官は一人もおらぬということになつて超過勤務をもらうことができない。もらうとすれば幽霊でもらう、そういうような実際上の障害というものが私はあると思う。そういうものについて、何か建設省として一つ方策というものを立てる、あるいはまた政府に対する要求、そういうようなことを考えていますか。
  40. 石破二朗

    石破証人 公共事業を円滑に、的確にやつて行きます上には、先ほど申しました通り建設省自体としても十分反省して行かなければならぬ点がたくさんあると思いますけれども、これを持つておりながら、なお外部にいろいろ要求するということは、まことに申訳ない次第でございますけれども、私といたしましては、各省その他にいろいろ措置していただきたい事項は、実はたくさん持つておる次第でございます。
  41. 篠田弘作

    篠田委員長 あなた個人としてでなく、建設省として、そういう問題は毎日当面している問題です。それに対して省議とかあるいはその他において、新しい方策でも立てるというようなことは、今までないですか。
  42. 石破二朗

    石破証人 特に今年の三月ころからいろいろ特別に研究しておるわけでございますが、申し上げてみますと、まず第一に、不正事件を直すためにやつていただきたいと思いますことは、どうしても予算を早く、四月一日から即座に予算が使えるようにしていただきたいということであります。これは私の方のいろいろの予算要求の資料の提出が遅いというようなことにも原因はありましようけれども、そういうふうにやつていただきたいと思います。具体的に申しますと、現在公共事業費経済安定本部所管に一応組まれまして、各省事業承認安定本部でいたしました後に、建設省に移しかえになつておるわけでございますが、その間やつぱり手続にいろいろ——安本に申請しましてからでも相当日数がかかつておりますが、申請書を出すというのに非常な厖大な書類をつくらねばなりませんので、そういうことをやめていただきますれば、当初から建設省予算が組んでございますならば、そういうことなしに、非常に事務所、局、本省、いずれも事務が簡素化するだろうと思います。
  43. 篠田弘作

    篠田委員長 要するに、一ぺん建設省でまとまつたものを安本へ申請して、そして安本がそれを査定するのですか。
  44. 石破二朗

    石破証人 査定すると申しましようか……。
  45. 篠田弘作

    篠田委員長 それとも予算の割振りについて指示をするのですか。
  46. 石破二朗

    石破証人 各事業内容を検討して、その上で予算額安定本部で決定しておるものと思います。
  47. 篠田弘作

    篠田委員長 それは予算をきめる前じやないか。予算をきめる前に、たとえばどの公共事業費幾ら、どの橋は幾ら、どの港は幾らという予算要求したときに、すでに安定本部はこれは妥当であるとか、幾ら認めるということをやつているのでしよう。
  48. 石破二朗

    石破証人 政府予算国会要求する前に、安本公共事業費というものをとりまとめて査定いたしまして、要求しておる。これはその通りでございますが、さらに国会予算承認になり、公共事業費が確定いたしますれば、それを配るにつきましても、経済安定本部事業を個々に調査いたしております。
  49. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、安定本部通つてあなた方の方に予算が配付されるわけですね。
  50. 石破二朗

    石破証人 そうでございます。
  51. 篠田弘作

    篠田委員長 その二度通すということは、よけいなことだというよりも、ない方がいいわけですね。
  52. 石破二朗

    石破証人 私といたしましては、それは安定本部予算要求する際に、全体の予算をあんばいして要求するということはいいかと思いますけれども、予算が確定いたしましたならば、その内容もおきめ願つておるわけでございますから、もうあと主務大臣にまかしていただいて、その責任でやつた方が早いと思います。
  53. 篠田弘作

    篠田委員長 そうするとどのくらい縮まりますか。今一番おそいのは、予算はどのくらい遅れて来ますか。
  54. 石破二朗

    石破証人 毎年この予算の着くのが非常におそいということから、人夫を雇うにも、人夫にはすぐ拂わなければなりません。そこでことしは、たしか労務費だけを四月の十何日かに、予算建設省の方に移しかえになつております。それからその他の材料費とか、いわゆる本予算の着きましたのは、五月の十何日かと思います。ほんとうからいうと、六月でないと工事はできないという結果になつております。
  55. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると実際問題として、東北あるいは北海道のように夏季の工事期の短かいところでは、予算をもらうと、もう秋になるという結果になつているのですね。そのために仕事ができないということが非常に多いのだが、これは法律を改めなければならないから、もちろん役人だけの責任ではないのですけれども、役所として、そういうふうに條件の悪いところには、特に先に予算をくつつけることにするとか何とかいうようなことはやつていますか。
  56. 石破二朗

    石破証人 それはできる範囲には、こちらでできるだけは気持としてはやつておりますけれども、過去の実績を振り返りて見ますと、必ずしも十分でなかつた点があつたと思います。なお災害復旧費などになりますと、これは予備費として持つておりますものの振合いが遅れ、また補正予算なんということになりますと、どうしても遅れておりますから、必ずしも当初予算を上手に配つただけで解決するかどうか別でございます。将来この点を十分考えて行かなければならぬと思います。
  57. 篠田弘作

    篠田委員長 それから先ほど、工事進行検査というものを非常に嚴重にするという方針を今度きめたが、従来は工事監督不行届のためにずいぶん粗雑な工事もあつたように聞いております。設計書従つて工事が施行せられておるかどうかというようなことをはつきりするためには、何か監督規程といつたようなものが建設省にありますか。それともただ技術者として設計書を目で見て、設計書通りできておるというふうにやるのですか、どつちですか。
  58. 石破二朗

    石破証人 従来ともそういうものはあつたのでございますが、今年になりまして、この秋になつてからでございますが、特に直轄工事進行検査実施要領というものを指示いたしまして、現在はそれによつてやらしております。
  59. 篠田弘作

    篠田委員長 委員諸君のうちに御質問はありませんか。
  60. 小松勇次

    小松委員 建設省監査官というお役は、ただいま承りますると、今までは行政監察が主であつたが、本年の九月以降いろいろ府県補助工事等についての検査をする、こういうように承つたのですが、そうですが。
  61. 石破二朗

    石破証人 さようでございます。
  62. 小松勇次

    小松委員 それについてお尋ねいたしまするが、府県補助工事検査ということは、あなた方は書類上だけの検査であるか、工事そのもの検査なさることがあるのかどうか、この点を承ります。
  63. 石破二朗

    石破証人 原則はできれば工事そのものもすべて当りたい、かようには考えておりますけれども、さように行かぬ場合には書類だけで検査を終つておるというような例があると思います。なおここでちよつとつけ加えさせていただきたいと思いますが、検査と申しましても、監察官がすべて府県補助工事検査しておるのではございませんで、各河川局、道路局、各現局の方で検査するというのが建前でございます。その現局の検査とダブらぬ範囲に、それぞれ区分をつけまして、現局の足らぬところを監察官室の方で検査しよう、こういうことになつております。
  64. 小松勇次

    小松委員 その現局で足らぬところを検査なさるというのは、それは具体的にいうとどんなことですか。
  65. 石破二朗

    石破証人 現局の方で実地検査をすべてやればよろしいのでありますけれども、なかなかそこまでは手がまわりません。そこで監察宮室の方でもその現局の検査の手の及ばぬところを検査するというわけでございます。
  66. 小松勇次

    小松委員 それは、同じやうな仕事をやるが、手の足らぬところをあなたの方で補つて検査するという意味ですか。
  67. 石破二朗

    石破証人 はい。
  68. 小松勇次

    小松委員 あなた方は建設省関係工事について、いろいろ会計検査院からこういう点が不都合であるというような御注意を受けたことはありませんか。ありましたならば、それはどういう工事であつて、どういう事件であつたかということを承りたい。
  69. 石破二朗

    石破証人 私書面で検査院から——府県なりその他公共事業を実施しておる主体が、会計検査の結果いろいろ注意を受けておるということは、府県その他の自治団体からの報告によりまして承知いたしておりますが、その内容につきましては、ここでどの県にどういうのがあつたというところまで覚えておりません。     〔委員長退席、島田委員長代理着席〕
  70. 小松勇次

    小松委員 それではその問題はまあその程度にしておきます。先ほどからいろいろ証言を承つておりますると、経済安定本部の方とのいろいろ事務上の関係で、非常に複雑しておるというお話を承りましたが、こういう点はすみやかに改めて事務の簡素化をすべきだとわれわれも思つておるのでありますが、さらに私があなたに質問いたしたいことは、この工事に対しては認証制度というものがあるのだそうですね。その認証制度というものは、府県工事をする上において、非常に工事を遅延させるもとになりはしないかと私は思うのでありますが、そういう点についてあなたはどういうようなお考えを持つておりますか。
  71. 石破二朗

    石破証人 それは先ほど申し上げました経済安定本部の方で、個々の工事内容をよく検討いたされまして、その結果公共事業費建設省につくわけであります。府県の何々川の災害改修工事というその具体的のものが経済安定本部の方で認証になりませんと、その補助費が建設省に移しかえにならぬわけであります。従いまして経済安定本部でおやりになつておることがむだなことだ、そういうことを申し上げるわけではございませんけれども、いずれにしましても府県工事がそれだけは時間的に遅れるというのは事実であります。
  72. 志田義信

    ○志田委員 証人にお尋ね申し上げますが、あなたの方で直轄工事監査をやるということを先ほどお伺いいたしましたが、その監査をやる場合に、つまり内部監査であろうと思うのでありますが、内部監査の基準というものはあるのかどうか、それをまずお聞かせ願いたいと思います。
  73. 石破二朗

    石破証人 基準と申しますか、監察規程はつくつてあります。中身を申し上げますと、監察は実地についてやれ、監査をわけて定時監査、特別監査、もう一つ何とかにわけてやれ、それから職務知つたことはどうか、悪いことがあつたらどうせい、いろいろそういう規定はあります。御質問のお答えになりますかどうかわかりませんが、そういうものはあります。
  74. 志田義信

    ○志田委員 会計的な内部監査をしておるようでありますが、もちろん会計行為の基礎になるものは、その前提である事業自体の監査であろうと思います。そういう場合に、公共事業自体の監査について、懲罰規定や実施規定があつて、なお基準規定がないということを承りましたが、その通りでありますか。
  75. 石破二朗

    石破証人 基準規定……。ちよつと私不敏でありまして御質問の趣旨をよく了解しかねるのでありますが……。
  76. 志田義信

    ○志田委員 それではさらに敷衍して申し上げますが、もしその公共事業なり何なりあなたの監査の対象になるものが、合理的によくやられておるか、あるいは能率的に執行されておるかどうかということを監査するときには、何を基準にして監査しておるのでありますか。
  77. 石破二朗

    石破証人 まず予算の実施設計の組んであるのが適当かどうかという点でありますが、それにつきましては、單価でございますと時価があるわけでございますし、分掛りにいたしましても一応標準となるものは持つておるつもりでございます。実施設計で見るにつきましては、一応基準のようなものは持つておるつもりでございます。工事の出来、不出来、こういうものにつきましても、実施設計通りできておるかどうかということに注意の目を向けておる次第でありまして、一応実施設計は、われわれの考えておる標準に合うということがきまりますれば、あとは実施設計通り工事をやつておるかどうか、こういう観点から見ております。
  78. 志田義信

    ○志田委員 その実施設計というのは予算をとるときの設計と相違があるのですか、違うのですかどうか、その点をひとつ……。
  79. 石破二朗

    石破証人 いろいろ段階がございましてまず一番先に国会に対する予算要求の資料というような意味の設計らしいものは、ごく大ざつぱなものが一応あります。さらに予算が決定いたしまして、各地方建設局ごとに、川ごとに、もう少しこまかく切つておるかと思いますが、実施計画というものを一応本省がとりまして、それを大体よろしい、そこでそれに基きまして事業認証をいたし、そうして地方建設局の方に予算を令達いたします。そうしますと各事務所長がそれではいよいよ実際に工事はこの通りにやつて行きたいというので、実施計画を組みまして、本局の承認を受けて工事に移すわけであります。
  80. 志田義信

    ○志田委員 先ほど来証人のお話を聞いておりますと、災害復旧事業補助申請等につきまして、水増し要求があるかどうかという委員長質問に対しましては、自分の知つている限りにおいてはそういう水増し要求などはなかつた、こういうことを言つておる。しかし今のあなたの御説明にあります予算のときに添付して来る設計と、さらに予算をとつてから後の実施設計というものがあるということになりますと、その間にわれわれの聞こうとするその予算は、水増しの要素が入つておるのではないかということを危惧するのでありますが、その点についてはいかがですか。
  81. 石破二朗

    石破証人 予算要求します際に水増しがないと確かに申し上げました。これはその通りでございます。ただ予算要求、つまり明年度工事をやりたいという箇所は、これは事務所長なり建設局長、府県知事にしましても、非常にたくさんあるわけです。多量の工事を計画いたしまして、従いまして予算要求としては厖大な予算要求が出ておるわけです。しかしそれは良心的に工事をやりたいと思つておるのでございまして、水増しをして出しておるというようなことはないと思います。
  82. 志田義信

    ○志田委員 私たちの考え方からすれば、それがすなわち結果的に水増しになつておるのだというふうに思うのであります。しかしその点はあなたたちのお考えと、われわれの考えと相違があるようでありますから、その点についてはそれまでにしておきますが、あなたの方の業務監査というものは、会計検査院の会計監査とは違つておりまして、外部の機関からの監査ではない、内部的な監査である、そういう場合にこの監査というものは、それぞれの官庁の自主的な判断にまかされておるのが現状であろうかと思います。そういう場合に建設省なら建設省の最高幹部の、国に奉仕する精神の濃い薄いということで監査が左右されることが往々にあろうかと思いますが、その点はいかがでありましよう。
  83. 石破二朗

    石破証人 いずれも省内限りでいかようにでもはかれることでありまして、御指摘のようなことがあるいはあるかもしれませんけれども、自分が経験した範囲におきましては、いずれの上司もそういう監査などはいいかげんでもいいというようなことは、これまでは承つておりません。まずどなたも一生懸命でおやりになつておることと思います。
  84. 志田義信

    ○志田委員 私は現在の官庁機構におきまして——われわれが私企業において会社をやるような場合におきましては、その担当重役というものは、その結果に対しては株主に対する直接の責任を持つておるのが通例となつております。そういう直接の利益というものが伴わない官庁機構の中において、ややもすれば私企業に比べて、その監査の熱心さ、あるいは努力ということに対して欠けるのではないか。こういうことが、往々にして従来この委員会において問題になつておるかような不正事実を生む原因ではないか。従来も皆さんが熱心に内部監査をやつたというけれども、それはこの委員会に来てだけの熱心さであつたのではならないのでありまして、もしその熱心さがほんとうのものであるならば、今日までにそういう不正事実は未然に防げたかもしれない、そういうことに対してあなたは監査に対する精神的な面で、非常に遺憾な点があつたというふうにお思いになるかどうか、それをひとつお尋ねいたしたい。
  85. 石破二朗

    石破証人 私は昨年初めて赴任いたしまして、まことに不敏ではございますけれども、まず自分では一生懸命にやつておると思います。なお私どもは言うまでもなく、各地方建設局長なども全部が非常に恐縮いたしておりまして、今年、つまり少くとも二十六年度からはそういう不正経理は絶対に起さぬという覚悟をいたしております。自分も各局長あたりとも申し合せておるのでございますが、今後新しい——いや古いのももちろん追究はいたしますけれども、今後こういう不始末をやつた者は絶対に承知せぬからということを私も申しております。各地方建設局の方もよく了解いたしてくれますから、今後こういう不始末をやるという考えております。
  86. 志田義信

    ○志田委員 ただいまの御発言を聞きまして私は非常にけつこうなことだと思うのであります。ただ病気というものは、病気して病気のなおつたときには、健康であつた方がよい、今後は絶対ああいう病気はすまいと思うけれども、どうしてもまたそういう病気になりがちであります。一度病気になると次にそういう習慣がつくということは十分あろうかと思います。そこで各官庁の業務監査は、この機会にその仕事の過程であるとかあるいは方法をよく検討していただいて、予防的な処置を必要とする監査である。かようにお考えになつて随時予防的な見地から監察して行く、そういうお考えがあるかどうか、あるとすれば、それを将来どういう方針でやろうとするか、あるいはその方式をどうしてやるか、それを当委員会で明らかにしていただきたい。
  87. 石破二朗

    石破証人 当委員会で現にお取上げいただいております建設局の不始末と申しますのは、実は他の個人的の犯罪その他とは若干性質を異にしておるのでありまして、一般にいろいろ官紀がゆるんでおるというのはもちろんでございますけれども、その他制度的にもいろいろ改めていただきたい点があると思います。こういう点を直していただき、さらに自分の方でも事務能率を上げるように心がけ、その上に官紀を嚴粛にしますならば、かようなことは二度と起りはすまい、かように考えております。  なお先ほどお願いいたしたいということで、経済安定本部の認証制度のことを申し上げましたが、その他にも例をあげて申しますならば、超過勤務制度、この制度も趣旨はたいへんけつこうだと思いますけれどももなかなか勤務時間を正確に記帳するには多数の人手もいります、またこれは役人が記帳するわけですから、何ぼかでもよけいとつて生活費の足しにしたいというふうに悪いことを考える者がおらぬとも限りません。こういう制度ももう一ぺん検討していただけば幸いと思いますし、なおそのほかにもいろいろございますが、そういう点を改めて行けば、他の個人的犯罪とは違いまして、建設省の不始末を直すのは心持を改めればそうむずかしいことじやなかろうと思います。
  88. 志田義信

    ○志田委員 個人的な犯罪と異なるというお話もありまして、その点もわれわれはよくわかつております。それから仕事をやる方法としての機構等についていろいろ考えなければならぬ点があるということにつきましては、われわれもよくわかります。証人は今年の春全国地方建設局長が連名で、今日のような形式をもつてすれば、われわれが建設省に職を奉ずるということは刑務所につながれるゆえんである。こういうようなことを書いて、これが改善の方策を要望しておることを知つておりますか。あるいは公共事業の隘路打開に関する陳情をいたしておることを証人は知つておるかどうか、それをお尋ね申し上げます。
  89. 石破二朗

    石破証人 よく承知いたしております。
  90. 志田義信

    ○志田委員 その場合に建設省において証人監察官としてこれを政府並びに国会その他に対して、どういう御行動をなさいましたか、それを伺いたいと思います。
  91. 石破二朗

    石破証人 あの中に多数の項目が上つておりましてあるいはよく記憶してない点があるかと思いますが、覚えておる点だけを申し上げます。まず第一に、公共事業法というようなものをつくつてくれという話がありました。中身を聞いてみますと、どうもよく私の納得行かぬ点が実はあつたのであります。と申しますのは、そのねらいは、事業を簡素化してやる、いろいろ会計法その他に束縛されずに、何か簡單な方法で公共事業を執行したいというのがねらいだつたんじやなかつたかと思います。たとえて申しますと、負担行為計画であるとか、支拂い計画であるとか、負担行為の認証制度であるとか、そういう点もやめてもらいたいというようなことが、中の意図じやなかつたかと思います。これはなかなかむずかしい問題で、今すぐというわけにも行くまい、いろいろ研究せにやなるまいということで、研究はいたしておるのでございますが、まだ具体的な行動をとるまでにはなつておらぬわけであります。それから継続制度を復活してくれ、こういう要望がありました。これは自分どもも非常にその必要を感じておりますので、大蔵省その他関係方面と事務的に折衝いたしております。建設省自体といたしましては、いつ継続制度になりましても困らぬだけの準備は今いたしております。それから食糧費のごときを——接待費と申しておりまするが、そういうものをふやしてくれという要求がありました。それもわからぬではありませんけれども、食糧費をこの際ふやしてくれという要求は、どうも恥しくてわれわれはようやらぬというようなことを言つたことを覚えております。それから安本の認証制度をやめてくれという問題もありましたが、これもそれぞれ関係方面では折衝いたしておることと思います。そのほか暦年制を採用してくれということがありました。これも長年の懸案でございまするし、ひとり公共事業だけを暦年というわけにも行かぬでございましようし、これについては、そう具体的の行動をいたしておらぬような次第であります。その他定員を増加してくれという問題がありまして、これも地方建設局のいろいろ困つておる原因一つでございます。定員の足らぬのは事実でありまして、これも予算要求その他の際にはやつておりますけれども、時勢もあり、なかなかそうわれわれの要求通り行かぬということになつております。それから旅費の増ということもありました。旅費の不足しておることは事実でございますけれども、この際旅費をふやせというようなことは言わずに、配られた予算でとにかく上手に使つてみようじやないかということで、一応おちつけておるかと思います。大体以上だと思います。
  92. 志田義信

    ○志田委員 どうもそういう話を聞くと、ただあなたは全国の地方建設局長が連名で出した陳情書を読んで、赤い線を引いて、これもだめだ、あれもだめだといつてつてつたにすぎない。これに対して何らの善後処置が行われておらない。しかもそれらの現場の建設局長は、相次いで事件の連累者あるいは責任者として糾彈せられておる。この陳情については、あなたは重大な発言をしておるのでありますが、一体公共事業法を早く出してくれという要望に対して、あなた自身及び建設省の最高当局者としては、どんなことを今日まで考えて来られたのであるか、また今後どうするつもりなのであるか、これは非常に大きい問題だと思いますので、重ねてお尋ねを申し上げたいと思います。
  93. 石破二朗

    石破証人 ただいま申しました公共事業費に関しましては、私の職責の範囲のことしか申し上げなかつた次第でありますが、上司におきましては、あるいは御研究になつておるかと思います。なお公共事業法ということになりますと、その所管はあるいは経済安定本部かと思いますが、その方ではあるいは御研究になつているのではないかと存じております。
  94. 加藤充

    ○加藤(充)委員 補助申請について地方から書類が参りますが、地方から中央に参ります補助申請には大体どういう役目の者がどういう順序で幾つくらい判が押されておるのでしようか。
  95. 石破二朗

    石破証人 私、実はうつかりしておりまして、そういう業務についてはよく承知いたしておりません。
  96. 加藤充

    ○加藤(充)委員 大体でけつこうです。     〔島田委員長代理退席、内藤(隆)   委員長代理着席〕
  97. 石破二朗

    石破証人 建設省に参つてからどういう関係者が判こをついておるか、こういう御質問かと存じますが、各主任者が起案をいたしまして、それぞれ課長、局長、ものによりましては官房、次官、大臣、かように判こを押し、それがさらに経済安定本部の認証を要する事項でありましたら、そちらの方に書類がまわるようになつておるのではないかと思います。
  98. 加藤充

    ○加藤(充)委員 今まで当委員会が調べました数々の問題について、しかも全国で起きておるとうとうたる公共事業関係をめぐる不正事件については、その一班にタツチしただけにすぎないのでありますが、その過程で明らかになりましたことは、少くとも土木部長とか工務部長というあたりまでは、その起案並びに決済について判を押しておる以上は、これが盲判として責任のないものだということになれば、判が無意味になると思うのでありますが、監督の立場にある中央のあなた方としては、それを査定したりする関係上、そういうものの判の責任はどの程度に認めておられるのか、ひとつ承つておきたいと思います。
  99. 石破二朗

    石破証人 私の方に来ます申請書は、知事の公印がすわつておるのでありまして、私の方はその知事の公印がすわるまでの過程にいかようなことがどのような方法で行われておりましようとも、形式的に申しますと関知しがたいところであります。私の方は知事を相手にいたしております。ただその間各府県の土木部長なり課長の方々は、いわゆる盲判を押すということのないようにしていただきたい、かような気持は持つております。
  100. 加藤充

    ○加藤(充)委員 どの程度から判が事実上の、刑事上の責任の限界になるかといういわゆる盲判問答の限界はむずかしいのかもしれませんが、少くとも常識的に見て、これは血税がいかに使われるかという問題でもありますし、同時にまた工事のやり方によりましては、地方民の物的あるいは生命的な利害関係に及ぼすところはなはだしいものがあるわけであります。しかるに常識上だれが見ても、天狗橋の切落し事件というような悪質で残忍きわまるああいうふうな問題が起きましたときに、しかも中央では、知事の決裁の判を目当にそれをやつたということなのでありますが、もちろんこれは予算の運営自体について不正が起きたというのじやございませんけれども、あの知事が、少くとも一般的に言つて行政的な責任——少くともあの場合に土木部長が責任を問われずに、行政的に政治的な責任を問われずに、べんべんだらりとしてまことに失笑を買う、憤りを買うような言動を当委員会に来ても吐き続けておつたのであります。こういうような点から見て、私は知事にまであの責任を問えというのは、監督の目安が、知事の決裁の判に置かれたといたしましても、それは今の制度上やや無理なような気が私もいたしますが、これと政治的な問題とは別でありまするから、ましてやあの土木部長のごときものが、何ら刑事上の、並びに行政上の責任も負うことなしにおるということについては、あなた方は判をどういう意味で押させておるのか、またその判というものにあなたの方はどういう価値を置いて査定を実際上おやりになるのか、その判が盲判であり、ああいうだらだらしたことが許されておるとするならば、判をいくら押してもあなた方いくら監察制度を嚴重にいたしますと言つたところで、しよせんそれは口頭禪になり終るものだと思います。  その点で、それに関連してお尋ねいたしますが、中央に補助申請が来てからの査定手続に、今おつしやつたような、主任から始まつて課長、局長等々の判が押されて来る。これがその予算の組み方、あるいはその実行にあたつて工事のやり方、あるいは予算の運営について、その流用問題などが起きましたときに、この幾つもの判の中で、だれが今言つたようなとこぎりの責任を、いわゆる狭い意味法律上、あるいは政治上お負いになるのか、ならなければならないという嚴重なあなた方の責任の確認があるのか、その点がなければ、いくら監察をやりましたといつたところで、これはしよせんぬかにくぎなのであります。責任を負わない印を押すことが、それが監察制度であるということになりますならば、地元に監察に行きまして、飲んだりあるいは食つたりした方が得であつて、飲まず食わずにおるやつはばかで、あとでそのことがどういうことになつても、自分責任を負わないのだということになれば、こんな監察というものは何にもならないのであります。こういう点と関連して、あなた方は責任の確認と、またこういうような不都合な血税の流用、あるいはこれを首唱するというようなことについての、いま少し突き進んだ責任のほどを承つておかなければならないと思うのであります。
  101. 石破二朗

    石破証人 幸いにして申してはなんでございますが、天狗橋の件につきましては、検察当局の司法権の発動もあり、かたがた私の方からの補助金は渡さずに済んでいるのでございますが、一般的に申しまして、従前でございますと、府県の職員というものは、いずれも国の官吏でございまして、国の方でその任免ということができたのでございますが、現在は地方自治体の職員でありまして、国家としては、身分上とやこういうことは、正式には何ら言い得ない立場にあるわけでございます。ただ最近——最近ではありませんが、要するにいろいろ不祥事件を起して参つているので、各府県の土木の関係者あるいは建設省関係関係者というようなものが、自発的に、こういう不祥事件を今後は絶対に起さぬように、ひとつ申合せでもしようじやないかというような、自発的な動きをするけはいも見えておるようでございます。私の方では府県知事の公印のすわつた書類申請が参りますと、関係者はそれぞれ分に応じた判こをつくわけであります。事案によりまして、判こをついた以上は、盲判というようなことは通らぬ仕掛になつております。今後もそういう仕掛にはせぬつもりでございます。
  102. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 証人に一、二手続上のことでお尋ねいたしたいと思います。先ほど志田委員の質問に対して、実施計画ということを言われましたが、それは個々の事業、たとえばAならAという河川改修工事直轄工事とします。それに対して、予算を請求したときのものに対して、実際予算が実行されるときにおいて行われるのが実施計画なのですか、それとも包括的な実施計画なんですか、どちらですか。
  103. 石破二朗

    石破証人 実施計画というものは相当包括的なものになつております。中身はずさんというわけではありませんけれども、相当包括的になつている、それを実施設計となりますと、これはもう非常にこまかくなる、一例をあげますと、関東地建において実施設計の数はおそらく二千件ぐらいあるのではないかと思います。
  104. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そうすると、実施設計というものは、予算をもらうときに出した設計とは大部違うのでございますか。
  105. 石破二朗

    石破証人 形式のこまかく書いてあるか大ざつぱに書いてあるかは違いますけれども、どちらが正確でどちらが粗雑だというような性質のものではないと思つております。但し実施計画を出しましたあとで、河状の変更でございますとか、さらに精密調査した結果、実施計画との間に違つて来るということは事実あるわけであります。
  106. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 実際にその場合におきまして、往年の実行予算みたように、予算をとる場合の設計計画と、その実施のときとは、現実に少し違つているのではないか、つまり予算に幾分余裕が出て来るのではないか。
  107. 石破二朗

    石破証人 事実違つておる例が少からずあるかと思います。それは比率は大した比率ではありませんが、あると思います。
  108. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 第二点は、認証制度について、こういう問題のがんだということを証人もよく主張しておられますし、今までの証人からよくそれを伺いますが、この認証制度というものは、監察官の立場から、どういうふうに改めたらいいかということについて、御意見を伺いたい。今まで認証制度はいかんいかんということだけで、どうしたらいいかということはあまりここで証言はなかつたようであります。
  109. 石破二朗

    石破証人 認証制度と申しますのは、つまり公共事業費を、各省の分を経済安定本部に一応全部組んでおるわけでございますが、それを各省につけかえてもらう、その前提をなす個々の工事の確認と申しましようか、承認と申しましようか、その行為を認証と普通呼んでおるのであります。従いまして私のかつてな希望だけ申し上げますと、公共事業費を将来ほんとうに所管すべきであろう建設省なり農林省というものに、できますならば初めから組んでいただければ非常な手数が省ける、前後を通じますと、ことしの例から言つても、あるいは一箇月ぐらい早く予算が使い得るのではないかと思つております。
  110. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 認証制度を結局やめろということですか。認証制度というのは、建設省の設置法から来ているのですか、安本の設置法から来ているのですか。
  111. 石破二朗

    石破証人 各省別に予算を組んでいただきますれば、経済安定本部の認証ということはなくなるわけでございます。やめていただくべき趣旨でございます。予算総則か何かにたしか書いてあるのじやないかと思います。
  112. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 建設省方針では、別に切投げ工業というもの、つまり下請負というものは禁止しておるわけではないでしようか。
  113. 石破二朗

    石破証人 予算のつく前に非公式に請負契約に出すことはやめろ、それをやめるためには、安本の認証制度なんかやめてしまつて早く予算をいただきたい、こう申し上げたわけです。もう一つのほんとうの意味の下請の切投げ工事、これにつきましては、ひとつ私自身もお願いがあるのでございますが、戰争前でございますと、下請工事というものは使つてもさしつかえなかつた。戰後労働基準法、職業安定法というものができまして、この下請工事というものは事実上ほとんど不可能のようなしかけになりまして、実行不可能になつたわけでございます。ところが古くからやつておる人のいろいろの意見を伺つてみますと、やはり切投げ工事ということをすれば相当に工事の経費が浮く、うまくやれば、ものによつては一割あるいはそれ以上も国費が節約になる。しかもその切投げに出しましても相手も一かどのおとなであるから、ボスがそう搾取するようなこともあるまいということを言つております。従つて職業安定法なり同法施行規則を、できますならば改善していただきまして、必要な場合には直轄工事、直営工事にも下請を堂々と使いたい、かように希望するわけであります。
  114. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そうすると結局こいうことですか。職安法とか、そのほかいわゆる下請禁止の関係はそこから来るのであつて建設省としては切投げ工事それ自身は、つまり本局なり、出張所なりの申請があれば、制度として法規上禁止しておるわけではない、こういうわけですか。
  115. 石破二朗

    石破証人 気持としては私自身も、この際でございますから、弊害さえなければ、それで能率を上げて国費を節約したいと思います。遺憾ながら法律ではどうかと思いますが、施行規則の第四條というものを読んで見ますと、どうもやりにくいことになつておりますので、やむを得ず絶対にやつてはいかぬ、こういうことをやつた嚴重に処罰するというようなことで、やむを得ずやつておりますが……。
  116. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 職業安定法の……。
  117. 石破二朗

    石破証人 そうでございます。
  118. 田渕光一

    ○田渕委員 私は後刻出る建設事務次官にひとつ質問を集中したいと思うのであります。大体監察官事業の直轄の、要するに事務次官に直属して所管事項監査するということで、これ以上伺つてもどうかと思います。それで後刻出る証人に集中したいと思います。実際において現在の安本を廃止しろというような意見の、そのよつて来たる原因が大体わかつて来たが、なお当委員会でそのよつて来たるところがどこにあるかというところまで行くのには、私は事務次官に聞くのがいいじやないかと思います。
  119. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 他に御発言がなければ、これにて石破証人に対する尋問は終了いたしました。証人には御苦労様でした。     —————————————
  120. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 引続き小峰保栄証人より証言を求めることにいたします。小峰保栄さんですね。
  121. 小峰保栄

    ○小峰証人 そうです。
  122. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 あらかじめ文書をもつて了承願つておきました通り証人として証言を求めることに決定いたしましたので、さよう御了承願います。  ただいまより公共事業費をめぐる不正事件について、証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を担むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人公務員として知り得た事実が、職務上の秘密に関するものであるときは、その旨を申出を願いたいのであります。では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人小峰保栄君朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  123. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  124. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  小峰さんは会計検査院第四局長ですね。
  125. 小峰保栄

    ○小峰証人 第四局長であります。
  126. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 現職に就任されたのはいつごろですか。
  127. 小峰保栄

    ○小峰証人 二十三年の十一月二十七日でございます。
  128. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 災害復旧費について、二十二年度から現在まで、会計検査院の検査の結果、天狗橋のようないわゆる災害に便乗したという例を御承知なら、述べていただきたいと思います。
  129. 小峰保栄

    ○小峰証人 二十二年度以降ですか。
  130. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 以降です。現在までの……。
  131. 小峰保栄

    ○小峰証人 結局府県に対する建設省所管災害補助でございますが、これの検査というものは、実はあまり行届いてはいなかつたのでございます。昨年あたりから大分手がまわるようになりまして、本年度は、御承知のように昨年度二十五年度が全額国庫負担という関係もございまして、特に力を入れたわけであります。本年度は天狗橋に類すると申しますか、災害がないのに災害があつたかのように作為をして補助をとるとか、あるいは本来災害工事として扱うべきものではない、改良工事として取扱わなければいけないようなものを、災害として高率の国庫負担をかける、こういうような案件がぽつぽつと検査上わかつて来ておるのであります。たとえば検査の結果、まだ国庫負担金を出していないうちに見つけて、出さないうちに修正させたのも含めて申し上げますと、新潟、石川、長野、島根にも一件ございます。それから山口、こういうところに、そう大きいのはございませんで、一件二百万円見当のが一番大きかつたと思いますが、そういうのが検査上わかつております。それからこれはあるいは御質問範囲に入りますかどうですか、金額国庫負担ということで、本来全額国庫負担にすべからざるものを全額の範囲に入れているというものが、二十五年度には実は非常に多いのであります。御承知のように、二十五年度全額国庫負担いたします災害は、原形のあつたものというのが原則になつております。原形のなかつた改良的なものは三分の二を国庫が負担をする、三分の一は県が負担をする、こういうことになつておるのであります。本来三分の一を県が負担しなければいけないものを、全額国庫負担の中に入れている。こういう案件は実は非常に多いのであります。私どもも、二十五年度はこれを発見するのに検査上実は全力をあげたことになつているのでありますが、それを発見するために、検査上の公平を期する意味から、簡單ながら全国四十六都道府県全部を実は検査したわけであります。御承知のように災害の現場は非常に数が多く、四万数千箇所も全国にございます。これを見ることはとてもできませんが、一応各都道府県を少しでも検査をしよう、こういう考えで四十六都道府県全部検査をいたしまして、今の四万箇所以上のうち三千三百ほど、正確に申し上げますると三千三百八十でございますが、これの現地を検査したのであります。行つて見ますと、原形のないのに原形があるかのように書類ができておりまして、結局国庫負担が多い結果を来す、こういうようなものが相当にあつたのであります。金の面から申し上げますと、全額国庫負担の年でもございましたが、災害に対する国庫負担というのは二十五年度は二百九十一億ほどになつております。そのうち私どもが検査をいたしましたのが、二十七億ほど検査を済ましております。これは会計検査院といたしましても、実は前代未聞のことでございまして、検査はその程度でも比較的よくできたのでありまして今までこんなに検査したことはございません。これが三千三百八十箇所になるのでありますが、そのうち約六億というものが、国で負担すべからざるものを国の負担になるようにできていた、こういうことになるわけでありまして、その三分の一、二億余りというものを、国からはずして県に負担願う、こういう結果を現在来しているわけでありましてこれは二億あるいは六億と申しますと非常に大きいようではありますが、今申し上げましたように二百九十一億という国費負担のうちの六億、二億でございますので、全体から見ますと特に大きいとは決して言えないのでございますが、件数にしましても相当多いものが、こういうふうに検査の結果わかつたのでございます。
  132. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 二十五年度全額国庫の負担ということで、さような結果に相なつておるのでございましようか。
  133. 小峰保栄

    ○小峰証人 さようでございます。今までは御承知かと思いますが、災害復旧原形復旧ということを本旨としてはおりますが、相当に改良的なものを加えても全体を国庫補助の対象にするということが、慣習上行われていたわけであります。たとえば高さ五メーターの堤防をつくる場合、それをつくつたのではまた流されてしまうというので、高さ七メーターにする、こういうようなことが全額国庫負担の対象になつていたわけであります。ところが二十五年度はこれが非常にやかましいと申しますか、限界をはつきりさせることになりまして、原形だけは全額を国庫が負担する。今の例で申し上げますと、五メーターの堤防をかりに復旧するとしたならば幾らかかる、その分は全額国庫が負担する。しかし上に乗る二メーターの分は、これは国が三分の二しか負担しない、三分の一は県が負担をする。こういうふうに法律ができたわけであります。その結果今のような問題が新しく発生したわけであります。
  134. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そうすると、二十五年度災害四万数千箇所ある中を、会計検査院としては三千三百八十箇所程度を実地に見て来た、こういうわけですか。
  135. 小峰保栄

    ○小峰証人 はあ。
  136. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 この石川県の天狗橋の補修補助費の百五十万円に対するいわゆる国庫補助金、これに関して会計検査院の検査の結果をひとつお述べを願いたい。
  137. 小峰保栄

    ○小峰証人 百五十万円は、たしかあの橋の落ちる前に補修をするというので国の承認を得た補修費だと存じておりますが、これはただ材料を——百五十万円の一部になりますが、材料を請負人が集めた程度で、補修はしでいなかつたように承知しております。それでこの材料は建設省承認して、ほかにたしか転用したはずでございます。従いまして天狗橋の補修費としての百五十万円は、国は何ら一文も——初め半分の補助を約束したわけでございますが、これは工事をやつていないわけでございますから、一文も負担する限りではないのであります。
  138. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 災害復旧費水増しということが問題になるのですね。これは、原形復旧の原則に改良も認められておる、この限界の問題でこれは問題になるのだと思うのですが、会計検査院としては改良の程度をどの程度に認めておるか、実際について……。
  139. 小峰保栄

    ○小峰証人 今の御質問は、逆に申しますと、原形復旧は一体どの辺まで認めるかということだろうと思います。改良となりますと、実はちよつと申し上げにくいことになるわけでございます。逆に原形の方から申さしていただくのがいいかと思います。二十五年の新しい法律の運用上、どの範囲まで原形を認めるかというのは、実は運用上非常にむずかしい問題でございます。会計検査院として、検査院側から一つの基準を示すことは実はできないのでございます。またそれをすべきではないのでございます。これは建設省側から一応の基準ができております。私どももそれに従いまして——これは従うというとおかしいのですが、法律の運用の上において検査院側が特に異を立てる性質のものでもございません。これは、建設省でこれが妥当だというふうに標準をお立てになりましたその標準に従いまして検査も執行しているわけであります。それで原形超過を検査の結果認めますと、これは現場へ行つた所だけしかできないのでございますが、行つて、原形はないじやないかというようなことで立会者といろいろ話合いをしまして、そうしてなるほど原形はないのにこれは余分なものがついておるということを府県の立会者にも認めていただきまして、それで先ほどの六億円というようなものも積り積つて出たわけでございますが、原形をどの範囲まで認めるかというのは、相当個々の問題にぶつかつて見ませんとわからないのですが、たとえば建設省の標準の原形として認めるべからざるものというのにはこんなのがございます。木橋を永久橋にするとか、あるいは堤防の高さを、さつき私が例に引きました従来の五メートルだつたものを七メートルに上げる、こういうものは原形としては認めない。原形として認めるべきものはどういうものかといいますと、川の水床部、水当りの強いところでありますが、この水床部の石垣に石積みをしますが、その石積みをセメントを使わないから積みにすると、それではまた災害を受けるおそれがあるというので練り石積みとする、そういうものは原形として認めよう。これも文字通り解しますと決して原形ではないが、こういうのは原形として認めよう。それから石垣の石積みの裏込めの厚さ——裏込めは小さい石を詰めるのでありますが、これを従来より厚くしよう、こういうものは文字通り考えれば原形超過ではあるが、これも原形として認めよう。こういうこまかい基準が実は幾つかあるのであります。こういうものは建設省がいろいろ御相談になつて、これは原形として認めるもの、これは原形として認めないものというように、お立てになりました標準というものに従つて、実は検査をことしはして来たわけであります。
  140. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 大体において会計検査院の検査というものは事後にやられるわけですね。そうすると原形というものは行かれた時分にはないのだから、それを一体どうして確認されるのですか。
  141. 小峰保栄

    ○小峰証人 まことに、ごもつともなことでございます。御承知かと思いますが、府県には土木工作物の台帳というものがございます。それで本来ならば全部がそれに載つていなければいかぬ筋合いでございます。道路とか橋とか、あるいは砂防堰堤、こういうようなものは大体載つておるのであります。ところがいつも堤防が一番問題になるのであります。河川の堤防になりますと、ほとんど載つていないのが現状であります。道路とか河川、砂防、堰堤、こういうような台帳に載つておりますようなものは、台帳を見まして、台帳の大きさと今度つくつたものを比較しますと、すぐに原形と原形超過が、堤防のようなものになりますと実はわからないのであります。これは現地について、たとえば長い堤防の途中が流されたというような場合に、残つている堤防を見て原形を判断する、こういうような方法をとる以外に実は手がないのであります。あるいは堤防の根のところに多年性の植物が生えているとか——私どもが参りますときは前の堤防は流されてありません。たいてい新しい堤防ができておるのが普通でありますが、これを見るのは周囲の状況とか旧堤の工作物の残存しておる現状とか、こういうようなもので判断して行くよりほかないのであります。それで原形を幾らに見るべきかということについて、特に堤防について問題が多いのであります。
  142. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 たとえば従来橋の使用材料が杉であつた場合に、杉ではどうも弱いというのでこれをひのきにするとか、もう一つあなたのおつしやつた一間の幅員であつたものを二間にするというのは、これは改良ですが、その程度はどこまで認めておられますか。
  143. 小峰保栄

    ○小峰証人 今の材種をかえるというような点は、これは文字通りから行きますと原形ではないのでありますが、しかし実際問題としてはこれは原形とした扱つていると思います。それから道路の幅員を拡げる、これはまさに原形超過であります。堤防の場合と同じでありますから、その拡げた分だけは三分の一は地元が負担する、こういうことになります。
  144. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そうするとたとえば一例ですが、橋の材料の程度は原形として認めておられるのですね。それから架室工事あるいは架室の資材購入とか幽霊人夫やみ給與をやるとか、あるいは接待費等に支出しておるものがあるが、会計検査院の検査の結果、二十二年度以降現在までどの程度発覚しておりまするか、またこれに対する会計検査院の検査報告はどうなつておりまするか、この事情を少し述べてください。
  145. 小峰保栄

    ○小峰証人 今の御質問府県についてでございますか。
  146. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そうです。
  147. 小峰保栄

    ○小峰証人 府県につきましては、先ほども申し上げましたように、実はあまり今まで補助については検査が行き届いていなかつたのであります。二十五年度になりまして初めてそういう案件が幾つか出ております。これは北海道の帯広の辺で一つ出ております。それから和歌山県の新宮のそばに北山川という川がありますが、これもちようど地方建設局直轄工事の場合にだんだんと予算を落してしまつて、手当り次第に使うというやり方と同じようなことをやつております。これは完全に検査の結果わかつたわけでありますが、そういうものをやつております。それから石川県でも——たしかこれは検察庁の問題になつておると思いますが、昨年二十五年の五月ごろかと思いますが、あそこの土木関係の職員が大勢検察庁につかまりました事件がございます。これは御承知かと思います。検査の結果今の帯広あるいは和歌山県の北山川、こういうものはことしになつてわかつております。
  148. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 直轄工事についてはどうですか。
  149. 小峰保栄

    ○小峰証人 直轄工事は実は相当大きく行われているのであります。人夫なり、材料なり、そういうもので支出を立てまして、手当り次第に使つて行く。もちろん不当な支出ばかりではございませんが、手当り次第にこれを使つて行くということが戰後行われておるのであります。大体全国の地建を合計いたしますと、二十五年度の検査でわかりました今のような支出というものは、四億四千七百万円くらいになつております。これが二十五年度の検査でわかつた額であります。前年度の検査では三千四百万円くらいが検査報告に上つております。四億四千七百万円余りのうち、東北が実は非常に多いのでありまして、三億五千八百万円くらいが東北の地方建設局の管内で行われていたのであります。何に使つたかということは、もし何でしたら資料について申し上げてもよろしゆうございます。
  150. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それは出していただけますか。
  151. 小峰保栄

    ○小峰証人 持つております。先ほど接待費というのが例として出ましたが、実は今の四億四千七百万円という不当の財源のうち、使いましたのは四億一千百万円くらいになつております。この四億一千百万円のうち、接待費とか食糧費のようなものに使いましたのは実は非常に少いのでありまして、三百十余万円であります。これがとかく代表的なものにいわれるのでありますが、食糧費のようなものに使いましたのは三百十六万円であります。大部分の金は工事の労力費なり、請負代なり、材料の購入費なり、こういうものに使つておるわけであります。今申しました食糧費、これは予算の十九万円余りに対しまして、三百十六万円を使つているのがわかつたのであります。三百万円ばかりというのをこの人夫賃とかそういうものからまわした、こういうことになるのでございます。それからほかの給料諸手当、これも本来こういうものから出しては相ならぬものでありますが、これが千二百七十九万円であります。それから超過勤務手当、これが四百八十四万円、それから職員の厚生費、これも予算は比較的少いのでありますが、二百五十万円くらい予算から受入れまして、今の人夫賃なんかで落した資金のプールの中にそれを入れまして、手当り次第にもどした、このもとして厚生費として使いましたのは八百五十四万円、こういうことになつております。百万円以上の大きいものはほかにもございます。たとえば本局送金と、本局の地建には名義者という奇妙な職員がおるのでありますが、この職員の給料に見ましたものと合せまして、百三十一万円ほどになつております。こういうようなものが、比較的大きいのでありまして、それ以外は本来の国の用途に使つている、こうお考え願つていいのではないかと思います。
  152. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 北上川の下流、それから最上川の上流、下流、各工事事務所を二十二年度以降会計検査したことがありますれば、その結果の大要について伺いたいと思います。
  153. 小峰保栄

    ○小峰証人 御指摘の工事事務所は、二十二年、二十三年ごろ、たしか一回非常に簡單な一日か二日、ちよつと見るというような検査をしたきりでありまして、今年まで実は詳しい検査をしておりません。そのうちにここは検察庁の手が入りまして、今のつけがけというのがわかつたのであります。
  154. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 公共事業予算が、單年度のために施行上無理をしておるというようなことを、検察庁はお認めになりませんか。
  155. 小峰保栄

    ○小峰証人 建設省直轄工事で、單年度のために工事に無理ができやしないか、こういう御質問でありますが、工事は御承知のように長期計画を立てまして、堤防ですと川全体の改修計画ないし災害復旧計画を立てまして、これを順ぐりにやつて行くわけであります。従いまして特に工事施行の面において、單年度のために無理を生ずるということはそうはないと私は思います。ただこの整理が問題であります。本来昔ですと、継続費として何年かの計画を一挙に契約を結ぶことができたのであります。それを一年分ずつ区切つて契約に出す。設計書も、合法的に申しますと、せつかく全体について設計書ができているのに、それを一年分ずつこま切れにして設計書をつくりかえる、こういうふうに非常に手数をかけているように思うのであります。それで実質的には二年なり三年なりかかります工事を一年でやりますと、請負の場合などは、二年目から非常に高くなるということは、これはあり得るのであります。一年目には請負人が安く入札して落しますが、二年目は事実上独占的な随意契約をせざるを得ないのであります。半分工事をやりました請負人を追い出してしまつて、新らしい請負人を持つて来るということはかえつて高くなりますから、どうしも一年目に工事を一部やつた請負人と契約せざるを得ない。そこへつけ込まれて高い随意契約になることはあり得ると思います。直轄の場合は、特に單年度のために、整理は先ほど申し上げましたように、非常に複雑になりますが、工事の面にいろいろな支障を来すということは、あまりないのではないか、こう考えております。
  156. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それから公共事業の隘路となつていると思われるような点がありましたら伺いたいと思います。
  157. 小峰保栄

    ○小峰証人 公共事業の隘路というものにつきましては、もうすでにいろいろな方面で盛んに論じられている問題であります。大体認証制度、それから今の單年度の問題、あるいは予算繰越しの問題、継続費の問題、それに監査の重複の問題、こういうようなのがあると思うのであります。これに対しまして、簡單に私の考えをちよつと申し上げてみたいと思います。  まず認証制度でありますが、認証制度はやめてほしいというような声も、実は相当強いのであります。結局今のように公共事業費を大ざつぱな予算といたしまして国会の議決を経る、こういうことになりますと、どうしてもこれは認証を——認証というのは、結局は予算の振りわけであります、予算工事ごとに振りわけるのが認証でありますが、これをやらざるを得ない。従つて認証制度を廃止するということになりますと、昔にもどつて、あるいは継続費なりなんなりを置きまして、そうして利根川改修費、あるいは東海道線の改良費こういうようなそれぞれの予算の振りわけを大蔵省の査定のときにしなければいけないわけであります。現在は大蔵省の査定のときには大きくわけておきまして、それぞれの工事への振りわけは国会の議決を経てからやる。こういう建前をとつているので、認証制度が必要であり、そのために予算の配付が遅れる、こういうようなことにもなるわけであります。これは結局どちらかに、認証制度を置くか、あるいは予算を初めから個々に分割してしまつて、認証制度を廃止するか、こういう問題になると思うのであります。認証制度を置くとなりますると、現在程度の手数はしかたがないのじやなかろうか。と申しますのは、従来は一番やかましいときは年四回にわけて認証した時代がございます。さらに二回になり、ことしからは年一回の認証をしているのであります。それでも予算が若干今申しましたような事情で遅れまするが、公共事業を現在のような大まかな予算国会が議決をされる、こういうことになつておりますと、今の程度の認証はやむを得ないのじやないか、従つて予算の配付が若干遅れるということに必然的になつて来るわけであります。その辺は認証制度をやめるといたしますると、予算を初めから分割して、今申し上げました利根川改修費とか、淀川災害復旧とかいうようなことで分割して議決されるほかはないのであります。  認証はそのくらいにいたしますが、次に予算が單年度という点であります。これは先ほども申し上げましたように、やはり長期にわたる工事がどうしても相当出るのでありまして、直轄たると請負たるを問わず、やはり継続費的なものを設けてやるのが実際に合うのではないか。その方がいろいろなむりをしないで済むのではないかと考えております。  それから予算の繰越しの問題でありますが、どうも繰越し制度というものは、日本では非常に昔からやかましいのであります。最近は大分非難もございまするし、会計検査院でも毎年のようにもつと簡單にしたらというような検査報告を載せて、国会に報告しておられる。そのせいかどうか大蔵省でも非常に取扱いが簡單になつております。現在では契約書さえつければよろしいというような、繰越し承認をするというくらい簡單になつております。ところが困つたことには直轄工事であります。建設省の相轄工事のようなものになりますと、契約がないわけであります。支出負担行為のあるものに限つて予算の繰越しを認めるというのが現在財政法の規定にございます。従つて直轄工事などでは支出負担行為というものはございません。契約はないのであります。そういうものについては過年度はあり得ない。しかも繰越しはあり得ない、こういうことになるのでありまして、予算ではつきりと繰越しをお認め願ういわゆる予算明許の繰越しという制度がございます。この制度によつていただくほかは繰越しができないということになるのであります。この辺には大きな公共事業費としての隘路があるように私は思うのであります。  それから監査検査、こういうものの監督の重複の問題、これが隘路の一つとしてあげられているわけであります。これも私は同感であります。現在公共事業費に対する検査は会計検査院もやつております。それから大蔵省の財務部もやる。いろいろなものが監査検査ということで関係しているわけであります。これはどうも何とか簡單にしていただくのが仕事をやつて行くのにも非常に楽になるのじやないか。現在工事事務所長というのは、私どもが地方を歩いてみますと、少し工事の実態から浮き過ぎているような感じを持つのであります。下の者まかせにして自分は浮いてしまつている。そのために経費のつけがけをされたり何かしているように思うのであります。それが浮いてしまう一つ原因外部の人との応接ということが大きな原因になつているようにも思うのであります。もちろんこれが全部とは決して考えておりませんが、相当大きなウエートを示しているように思うのであります。入りかわり立ちかわりずいぶんいろいろな人が行くようであります。検査にはわれわれも参ります。それからほかの監査も参りますし、ずいぶんいろいろな人が行くようであります。これの応接が所長あたりの非常に大きな仕事になるのではないか、それも考えられますので、何とか一元化することが必要ではないかと思つております。
  158. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 小峰証人に対する御質問はありませんか。
  159. 志田義信

    ○志田委員 証人簡單にお尋ね申し上げます。今公共事業の隘路になつている諸点をるるお話いただきましたが、その中に監査の重複という点がありました。この監査の重複につきまして、証人が現実に会計検査院の一員として会計監査をやつておる事前事後におけるいろいろなお考えやら、あるいは事実において実証されるものがあろうかと思いますが、それをひとつ……。
  160. 小峰保栄

    ○小峰証人 監査の重復の問題についてお答えいたします。先ほど申し上げましたように、地方建設局工事事務所は、私ども相当丁寧に二十五年から検査をしているわけであります。同時に一方大蔵省の財務部が、会計法四十六條の規定によりまして監査をやつております。これが重複の一番大きなものだと思います。御承知のように、私どもは検査の上において実施検査もいたしますが、書面検査もしております。それでいろいろ証拠書類、計算書のようなものをおつくり願つて、出していただいているわけであります。検査院ほどではございませんが、大蔵省も同じように書面まで実はとつております。定期的に毎月々々公共事業費については、書面をお出し願つているわけであります。大蔵省に言わせますと、非常に簡單なものだとおつしやいますが、つくる方の身になると、そう簡單ではない。いやしくも監査を受けるために監督官庁に出す書類でありますから、そう簡單なものではないと私は思うのです。ともかくそういうものもお出ししている。それから財務部の人が実地監査という名前で相当数建設局、工事事務所に来られます。これに対して何とかしてくれないかという声も、工事事務所側から実は私どもひんぴんと耳にしているのであります。それで特に大蔵省の監査ということを申し上げた次第であります。そのほかにもいろいろこまかい点がございますが、その程度で……。
  161. 志田義信

    ○志田委員 会計法四十六條による大蔵省の監査というのは、もちろん大蔵省としては、予算編成権を持つている建前からいつて、これは監査をしなければならぬと思つております。しかし、会計検査院は二十四年度あるいは二十五年度以降の事件は非常によくわかるけれども、その前の事件については、会計検査報告にも、不正として報告するようなものをあまり見ることができなかつたという理由はどこにございますか。
  162. 小峰保栄

    ○小峰証人 決して不当事項として検査報告に上るものがなかつたわけではないのであります。検査報告をごらん願いますとわかりますが、相当数見つけてはおるのであります。ところが大体は予算目的外、たとえば工事費で庁舎を建てたり、目的以外に使つた案件が比較的多かつたのであります。昨年は少し検査の目先をかえようというので、ずいぶんつつ込んだ検査をしたのであります。そういたしますと、現在問題になつておりますつけがえというものが出て来たのであります。つけがえは終戰後間もなく行われ出したものでありまして、昭和二十二年から行われた形跡がございます。これはいろいろな原因がありますが、結局はやみが行われる、それから労働攻勢が強い、こういうことが大きな原因に実はなつているのであります。人夫を雇うにも、とてもマル公の賃金では雇えない、こういうところから来ているのでありますが、昨年検査を相当こまかくやつて参りましたら、三千四百万円ものから人夫、から材料、こういつたものが上つて来たわけであります。そういたしますと、私どもとしては、たとえば工事のできがいいとか悪いとか、あるいは設計が過大だとか相当高等なところを去年あたりはつつ込んだのでありますが、やみで、からで予算を落して、それを手当り次第に使つておるというような悪いことがあるのに、やれ工事がいいとか悪いとか、設計がどうとかこうとかいうむずかしいことをいうのはおかしいではないか、足元の経理の不当、から工事とか、から人夫とか、こういうものをまず一掃した後にそういうことをやるべきであるというので、実は今年は全力をあげてから人夫などを探して、そういうことを一帰する方向に行つておるのであります。そのために四億何千万円というものが上つたわけであります。これは地建の幹部の方もこれではいけないということで、検査院の態度に同調されております。それで現在ではもうこういうものは一切やるまいという方向に地建の上層部はなつておられます。これが下部に浸透して来たときには、今のつけがえは一掃されるものと私は信じております。
  163. 志田義信

    ○志田委員 監査が重複しておるという点については、私どももできるだけ一元的にしなければならぬと思うのですが、会計検査院の監査だけで施業監査なり会計監査なりが万全を期せられるというふうには、私たちは今の御説明ではとれない。というのは会計検査院の監査は、事後の監査になつております。従つて部内の監査ということが十分に行かなければならない。その証拠にはあなたは昭和二十二年以来のつけがえを認めておられるのでありまするから、ひとり会計検査院の決算年度における会計検査だけでもつて万全を期する方法はないと思いまするが、それとも監査の重複さえ避ければ、会計検査院だけでこれらの国の費用の節約になるような方法があるとお考えであるかどうか、それをひとつお尋ねいたします。
  164. 小峰保栄

    ○小峰証人 内部監査というお話でございますが、私もその点同感であります。検査院があとから見ただけで、未然に防止するということは、本質的にできないのであります。それで内部監査を充実するという点は絶対に必要であります。内部監査によつて悪いことの起るのを未然に防止する。会計検査院が事後に検査するということは、いわばあとの祭りでありまして、これは翌年に同じことが起るのを防ぐというのが主たるねらいであると思います。ただ内部監査が必要でありますが、これはあくまでも予算執行の責任者がやるべきであります。建設省予算ならば建設省でやるべきであります。これを他の省がやるとなりますと、外部監査ということになるのであります。これは内部監査とは言えないのでありまして、会計検査院の検査とあまり違わないものになつてしまわざるを得ない、また現になつておるのであります。会計検査院と同じようなことをやつておる向きが多いのであります。未然に防ぐという意味で内部監査外部の会計検査と並行して強化してやつて行くべきものであると考えております。
  165. 志田義信

    ○志田委員 証人のお話はちよつとすり違えたような感じを私は受けるのであります。たとえば大蔵省が予算の編成権を持つた責任を持つてやる。それが安本予算が来て、公共事業ならば財政法第三條によつて移しかえをする。そうして建設省がそれに対して部内監査をする、これは当然のことであります。しかし大蔵省自身がそうした予算編成をなして、この予算が事実において使われているかどうかを監査するあるいは調査をするということは、部内監査と考えられないかどうか、会計検査院と同じものであると考えるかどうか、それをひとつ……。
  166. 小峰保栄

    ○小峰証人 今の御質問でありますが、予算編成上必要な資料を集める、こういう意味でやることは、これは必要があると思います。しかしながら問題はその方法であります。それからそういう名前のもとに行うことが、現状がはたしてその目的に沿つているかどうかという点が問題だと思います。私も大蔵省が当然に予算編成上必要な資料收収集するということはいいと思いますが、非違事項があるかないかを自分で調べる必要はない。そういう事項は会計検査院に聞くなり、内部監査の結果にまつなりして、ただそれによつて予算の編成の上にどう響かせるかということが問題なのであります。これを大蔵省がやつていただきたい、こういうふうに考えておるのであります。
  167. 志田義信

    ○志田委員 大蔵省は、そういう意味での予算の編成方法、あるいは配分について、原省から出て来たのを間違いなく行つておるかどうかということを監査する、こういうふうにやつておるように思いますが、それとは違いますか。現実は被疑者扱いにして、そうして監査をやつておりますか。     〔内藤(隆)委員長代理退席、委員   長着席〕
  168. 小峰保栄

    ○小峰証人 今の点でありますが、現在では私が見るところでは——被疑者扱いということを申されましたが、これは決して被疑者扱いにはどこでもいたしておらぬのであります、会計検査院でも決してしておりませんし、大蔵省ももちろんそういうふうにはしておりませんが、現在では予算執行の監査ということに重点が注がれておるようであります。それは検査院なんかと結局同じようになつてしまうのでありまして、それを予算編成の上に生かすという方向に進んでいただけばいいのであります。それをやるには、むしろ検査院なり内部検査なりから出た資料でこれをやろうと思えばできるのでありまして、別に資料をお集めになる必要は私はないと思いますが、これは大蔵省側ではあるということでやつておるわけであります。
  169. 志田義信

    ○志田委員 その点についてまあいろいろお話もあるだろうと思いまするが、会計検査院自身にもひとつこの機会にお尋ね申し上げておきたいと思うのですが、純然たる国家の機関として、行政官庁に対しても十分独立性を持つた——今でもある程度の独立性を持つておると思いまするが、それを強化する必要が今後あるかないか。これを強化すれば、将来にわたつてそういう不祥事件を未然に防ぐ方法があるというようなお考えがあるかどうか、それをお尋ね申し上げます。
  170. 小峰保栄

    ○小峰証人 会計検査院の独立性を強めるという点のように伺いましたが、独立性を強めると申しますか、要するに悪い事項が起きるのを防ぐために、現在世の中に行われている悪いことを早くつかまえる、これが目的であります。これは独立性の問題とは違うのじやないだろうか、むしろ検査院の内容を、量的にも質的にも充実させて行くという問題になると思うのでありますが、その点は私どもも、急に膨脹いたしまして、数年を経過いたしまして、検査能力も相当高まつてはおりますが、まだまだこんなことでは十分とは決して思つておりません。
  171. 志田義信

    ○志田委員 これは会計検査院の技術的な面にわたるかと思いますが、日本では民法上の債権債務につきまして、相殺の制度というものがございます。ところが国の支拂いの場合に、これはあまり使われておらない。むしろ国が請負業者なんかに対しまして、私も土建会社一つつておりますが、過拂金の回收請求権を有しておるというような場合に、その業者に対しまして、別に請負金の全額を拂つたようなことがあつたり、または請負業者に材料の売渡しをやつてつて、しかもそれの回收ができなかつたり、こういうようなことが非常にあろうかと思うのでありまするが、それに対して会計検査院としてはどういうお考えを持つているか、また今までにそういうものに対して御処置があつたかどうか、それをひとつ承りたいと思います。
  172. 小峰保栄

    ○小峰証人 今の政府の持つ債権債務の相殺問題でありますが、これは原則として日本でも行つております。ところが取扱い者が過失などでこれを行わないという例が御指摘のように実は相当にあるのであります。これはわざとという場合もございましようが、うつかりして行わなかつた、あるいは歳入にとる方の部局と金を拂う方の部局が別で連絡が悪かつた、こういうような結果でございまして、これはわかれば相殺することになつております。また現にそうやつておりますが、それをやらなくて非常に政府が損をしたというような例が、毎年相当大きいのが実は数件ずつあります。これは常に検査報告に載つております。
  173. 志田義信

    ○志田委員 そういう場合は、それをあなたの方で検査報告に載せるだけですか、それを報告書によつて各省にそれの処置を促しておりますか、それとも告発するのですか。
  174. 小峰保栄

    ○小峰証人 今のは、見つけますと、すぐに当局者に注意をいたしましてあとの拂いからは相殺させる、あるいはもうこちらから拂うべきものがないときは、債務者から取立てるとか、こういう方法をとつております。中には債務者がうつかり長い間ほうつておいたために支拂い不能になつてしまつた、こういうのがごくまれにあるのでありますが、見つけますとすぐに政府の債権を確保するというような処置を会計検査院としてはなしております。
  175. 田渕光一

    ○田渕委員 第四局長は技官ですか、事務官ですか。
  176. 小峰保栄

    ○小峰証人 事務官であります。
  177. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、事務官が技術的な素養もないのに、実地的には技術的に見る、書類的には経理面から観察するというのだが、どういうぐあいにあなたは技術面の援助を受けておるのでありますか。
  178. 小峰保栄

    ○小峰証人 私は実は自分で現場の検査に行くということはございません。建設省検査で申しますと、建設検査課というのがございまして、そればかり年中検査しておる事務官が相当におります。これはちよつとした技官なんかと比べものにならぬくらい技術的な素養が高いものであります。これは経験によつてそうなるのであります。それからまた、非常に技術的な問題がとかく問題になりますが、これは專門家の鑑定を必ず経ることになつております。土建の專門家もおりますから、こういう人に必ず事態を見せまして、そうしてその人の大丈夫だという保証を得た上で問題にしているのであります。
  179. 篠田弘作

    篠田委員長 他に御発言がなければ、小峰証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人にはごくろうさまでした。     —————————————
  180. 篠田弘作

    篠田委員長 引続き中田政美証人に対してその証言を求めることにいたします。  中田政美さんですね。
  181. 中田政美

    ○中田証人 そうです。
  182. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいまより公共事業費をめぐる不正事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者が恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことは出来ないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関する事項であるときは、その旨申出願いたいと思います。  では法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人中田政美君朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず又何事もつけ加えないことを誓います。
  183. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  184. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人はいつから現職に就任されておりますか。
  185. 中田政美

    ○中田証人 私は昭和二十五年三月一日に現職に就任いたしました。
  186. 篠田弘作

    篠田委員長 災害復旧費補助費の査定あるいはその他の職務のために、建設省の官吏が地方へ出張するたびごとに、地方庁から莫大な接待費の支出を必要とするその額は大体この間の佐賀県の土木関係証言では、一災害について三百万円くらいの接待費が必要である、そのために幽霊人夫であるとか、から点検からその費用を捻出しなければならない。こういう証言があるのですが、これに対して、あなたは建設次官として、最高ではないかとにかく大臣の補佐役として、大所高所からいろいろな建設行政をやつておられるのだが、どういうふうに考え、またどういうふうな方針で今後臨もうとしておられるか。また今まで起つたものについては、どういう処置をとつておられるかということを証言してもらいたい。
  187. 中田政美

    ○中田証人 さようなお取調べをいただいておることについては、まことに遺憾に存ずるわけでございます。災害復旧費の査定に中央から参ります係官等の接待のことにつきましては、おそらく私の方の防災課長も証言をいたしたと存じますが、災害復旧の査定は、短時日に非常にたくさんの箇所及び書類を審査決定するわけでございまして、非常に繁忙をきわめまして、場合によつては徹夜作業をやるというようなことも、私は承知いたしております。さほどの大きな接待費がいるということについては、防災課長から証言を申したであろうと同じような意見を持つておりまして、これらについては、今後さらに十分自粛するようにいたさせたいと思います。  それから災害復旧のみならず建設省公共事業予算を執行いたしますので、いろいろと調査及び監督等に地方に参りますが、これらの接待を受けるとか、あるいは接待を辞退するとか、そういうようなことにつきましては、ひつきようするに中央と地方とがお互いに自粛自戒をする以外に手はないと思いまして、昨年度におきましても、知事会議においては大臣より直接、また土木部長会議におきましては大臣及び私よりるるこれらについて自粛方を指示いたしました。またさらに念のために私の名義をもつて地方へ自粛方を通牒いたしておるようなわけでございます。  それからまた部内に対しましては、局長、課長には口頭を用い、またその他の係官につきましては、局長、課長をして十分出張先においての行動その他について被疑を受けないように自粛さしておりますが、今後ともこれらについては、一段と十分その点に自粛するようにいたして参りたいと考えております。
  188. 篠田弘作

    篠田委員長 公共事業に対する監督監査その他の機関として、安本、大蔵省、会計検査院、そういつたようなたくさんの役所があつて、その関係者がまた頻繁に関係地帶に出張する、あるいはまたその書類の提出といつたような面で非常に煩雑である。そのために事業の進捗を妨げる、あるいはまたいろいろ弊害をそれによつて及ぼしているということはわれわれも耳にしております。こういう問題についてのあなたのお考えを率直に述べてもらいたい。
  189. 中田政美

    ○中田証人 まことにごもつともなお尋ねでございまして、事業を執行する役所といたしましては、まさにこの点は非常な私は事業執行上の隘路ではないかと信ずるものでございます。これはかねてからこの問題についてこの打開の道を考えなければならぬというので、具体の事例をもちまして、たしか前々大臣ですから益谷建設大臣ですか、その当時におきましても大臣に閣議でこれをごひろう願つて、どうしても各方面の行政監査をなるべく手数を省くように、できれば同一時期に一緒に現場に行つてもらつて、数回繰返さないようにしていただくというふうな御発言を願つたと記憶しております。また私も次官会議でこれらの実行について次官各位の了解を求め、よく発言いたしたこともありますが、いろいろとそれぞれの立場で御監査をなさる必要があると見えまして、なかなか一ぺんに一緒に行つて、なるべく現場のじやまをせない、また手間をかけないようにということについて、なかなか話合いがまとまりません。これは率直なところ、これにつきましては会計検査院は憲法上会計検査一つの独立機関でございますから、これをしも一緒にせいということは不可能かと存じますが、その他の爾余の行政監査につきましては、多少の角度は違つても、現場の事務の煩瑣の点を考えればできるだけ行政監査を同時にひとつやつていただきたい。またできれば現在行われておる行政監査をもう少し減らしてもらいたいということを、われわれ事業官庁の者としては非常に熱願しております。しかしながらこれを今日の制度上、大蔵省は財務の見地から、地方の財務部をお使いになつてつております。また安定本部におきましては、公共事業の総轄として、ときどきおいでになることまたこれやむを得ないかもしれません。その他人事については、人事院がときたま行かれる。それからまた労働監督に関しては、基準局の方からお見えになる。私の方からももとより中間検査その他に参ります。そこらをもう少し、これを一本の線あるいはせめて二本の線くらいまでにひとつ統合してもらう。会計検査院以外は、できれば同時にひとつ行政の御視察を願うということにできないかということを、常に念願しかつこの希望は今なお続けておるわけでございまして、率直な意見を申せというお話でございますので、以上のことを申し上げます。
  190. 篠田弘作

    篠田委員長 それを益谷建設大臣のときには、一ぺん閣議で言いましたね。何か効果がありましたか。
  191. 中田政美

    ○中田証人 そういうことを、閣議にもお話になつたということを承つております。
  192. 篠田弘作

    篠田委員長 もう一ぺん今度この事柄を、閣議で大臣に発言してもらう考えはありますか。
  193. 中田政美

    ○中田証人 行政監査につきましては、さらに現建設大臣にも御相談いたしまして、そういうことをお願いしたいと思います。
  194. 篠田弘作

    篠田委員長 それから行政監査の出張ばかりではなく、一応予算が通つたものは、いろいろ安本とかそういうものの査定、認証というものが必要だが、通つたものについて、これは、法律をあらためなければできぬかもしれないけれども、また安本あたりが介在して、そのために仕事が非常に遅れる。困るのは結局下の者が困る。現場の役人はなるべく早く仕事をして、直接地方とのつながりがあるので、たとえば川の堤防の一件でも早く直そうということになるのが、職務に忠実な者ならあたりまえだと思いますし、地方民もまたそれを望んでいると思います。そういうような事務的な問題についても、これを機会にもう少しあなた方が建設省の首脳部会議を開くなり、あるいはまた次官会議でこれを問題にして、事務的にもつと簡素化をはかるということを、あなたはやる意思があるかないか。
  195. 中田政美

    ○中田証人 ごもつともな点でございまして、政府において、行政の事務の簡素化は、非常な意気込みで今研究をし、やらんとしておりまして、その一環として、われわれは事業官庁としての現場の事務の複雑に伴う隘路については、会計その他人事、給與予算等、あらゆる面につきまして、簡素な手続きにしていただくように、具体的事例をあげて、行政管理庁に提出しておるようなわけでございまして、これらにつきましては、この際一段と簡素にして推進して行きたいと念願しております。
  196. 篠田弘作

    篠田委員長 それから予算の配付が遅れる。はなはだしい場合には、二箇月もあるいはそれ以上も遅れることがある。これはこの間から証人がたびたび述べておるように、事業の進捗に非常に障害を與えておる。また地方によつては、そのためにその年度内の工事ができないというような場合もある。こういう問題についての対策はどういうふうに考えておられますか。
  197. 中田政美

    ○中田証人 成立する予算が年度開始前かなりの以前に成立いたしますれば、これが一番いいことであることは申すまでもないことでございますが、おおむね三月、場合によつては、過去においては年度が始まつてから予算成立するというような場合におきましては、この予算の執行にあたりまして、なかなか現場へおりるまでの手続がたくさんかかるわけでございまして、それがために実際の仕事は一日も休まれぬという現場の実情からすれば、まことに困つたもので、規則に忠実なれば実際の事業は中止せねばならぬというような困つた事情があることは、ただいま委員長のお話の通りでございまして、この障害を除去するにつきましては、いろいろ考えられますが、これは継続費の繰越しの問題ですが、継続費の問題とか、それから事前にほぼ予算通りそうだというような状況になればスイツチを押すことによつて、各現場が事前に概算設計等ですぐ予算の準備をやるというようなことも、われわれは今日行わんといたしております。その他年度初めの問題につきましては、確かに事業の端境期といいますか、予算的には非常に困つた問題がありますので、これらにつきましては、継続費の問題とか、それから繰越しの手続とかいうことも、また簡素にしてもらえば、現場の方が助かるではないか、こう考えます。
  198. 篠田弘作

    篠田委員長 事業の継続、あるいは繰越しということが、今は予算が單年度予算であるという関係から、許されておらないように思います。これは一体事業の性質上、提防にしても、河川の改修にしても、そういうことは当然許されるべきものだと思うのですが、これができなくなつたということは、結局アメリカ的な会計制度を採用したということによるのですか、それとも何か別に理由がありますか。
  199. 中田政美

    ○中田証人 アメリカ制度を採用したためであるかということについては、私断言はいたしかねますが、現在の会計制度では、継続制度というものは、確かに認め得るようになつておりますが、しかし終戰後継続費というものがまだ認められてございません。しかしこれは制度上できないわけではございません。財政法上から継続費の設定はできるように仕組んであります。
  200. 篠田弘作

    篠田委員長 法律上はできるけれども実際上は禁じておりますか。
  201. 中田政美

    ○中田証人 実際は継続費というものはございません。それでこれをできれば、ひとつ復元してもらいたいとわれわれは熱願をいたしております。
  202. 篠田弘作

    篠田委員長 それは予算が單年度予算になつておるために、実際問題としては、継続あるいは繰越しができない、こういうことですか。
  203. 中田政美

    ○中田証人 單年度でございますと、御承知通り、会計法では翌年に若干の金あるいは仕事が余つたときに、これを繰越すことについては、大蔵大臣の承認がいるわけでございまして、この大蔵大臣の承認には、現実に契約に出しておるとか、契約書の写しとか、いわゆる負担行為の現実に発生したものについては、消極的な意味で繰越を許す、あとは原則として許さぬというのが、單年度主義の原則になつておりまして、これがもし継続費になりますれば、当然これは余つたものは次の年に繰越すということになつて、安心して仕事ができるというわけでございます。従つて單年度主義ではいろいろ不便がありまして、みな設計をこま切れに切らなければならぬ。これがもし継続費になりますと、何年間の設計を一本で組んで、そうして逐次やつて行くという便宜もございます。いずれにしましても、繰越しに関するいろいろ煩雑な手続等が省略される一事をもつてしても、継続費というものは非常に便宜が得られるのではないかと考えられます。
  204. 篠田弘作

    篠田委員長 それから超過勤務手当、これは先ほど石破監察官からも聞きましたが、実際の予算は一人一箇月五、六時間きりないのに、実際工事をしている場合には、場合によつては一日に何時間もやらなければならぬ、こういう矛盾があるわけです。この超過勤務制度というものの改善というか、対策というか、それはどういうふうに考えておりますか。
  205. 中田政美

    ○中田証人 今の超過勤務手当というものは、何時間と超過勤務を予定しまして、たとえば月に五時間とか予定して、そういう予算をそれぞれ配付しておりますが、これは現場の、いわゆる事業をほんとうにやる現場からいいますと、そう簡單に、非現業の机の上の仕事のようなわけには参りませんので、雨の降る日が仕事ができないが、天気のいい日には一生懸命やらなければならぬというような、非常にヴアライエテイの多いものでありまして、従つて非現業における超過勤務のような制度を同列に、現業の現場に適用することは、非常に困難でございます。で私らもいろいろとこれは研究いたしましたが、結局は年に三回とかあるいは四回にわけて、そしてボーナス制度といいますか、賞與制度等でやつた方が、もう少しいいではないかと考えます。但しその現場には二通りありまして、監督するような公務員、職員と、それからほんとうに労務に従事する人夫とがございます。臨時人夫と申しますか……。そういう臨時人夫には、監督員が、きようはうんと働いてくれたから歩増しをするという便宜がございますが、定員による公務員の方には、その操作ができませんので、私らはできれば年三、四回の賞與制度の方がいいではないか、こういうふうに考えます。
  206. 篠田弘作

    篠田委員長 工事の設計変更などをやる場合に、安本の認証、あるいは大蔵省の認証をとらなければならぬ。そういう問題に対する建設省の何といいますか、改善意見というか、あつたら述べてください。
  207. 中田政美

    ○中田証人 よく言われる認証制度と申しますのは、実は法規的なものではないのであります。ただ大蔵省の負担行為計画というのと、それから支拂い計画というのは、これはたしか財政法かに裏づけのある制度でございまして、今この三本の制約を受けて予算を現実に執行するわけでございます。そこで初めの安本の認証というのは、制度上の義務ではございませんが、予算上の一つの関所がある。御承知通り公共事業安本一本に公共事業として予算が計上されてあるわけでございまして、これを各省にいただくのには、予算の移しかえをするのには、どうしても安本に認証を持つて行きまして、オーケーというところで、各省予算の写し書をいただいて、それから今度負担行為の計画を立てて、大蔵省へ差出す。それから現実に金はいつ幾らいるという支拂い計画をもう一ぺん大蔵省に出す。こういうりくつになるわけでございまして、われわれ事業官庁の方の事業の進捗状況その他から言いますれば、第一の安本の認証制度というものは、認証制度そのものをやめろと言わんよりは、各省予算に初めから計上していただくわけには行かないか、これがわれわれの念願であります。それから大蔵省の二つのいろいろな手続、すなわち負担行為の計画、それから支拂い計画、これにつきましては、できるだけ四半期とかいうことをなるべく一回とかいうことに省略していただくように願いしたい。これがわれわれの希望であります。
  208. 篠田弘作

    篠田委員長 今でも四半期になつておりますか。
  209. 中田政美

    ○中田証人 ただいまでも、たしか支拂い計画につきましては、四半期ごとにやつておると思います。
  210. 篠田弘作

    篠田委員長 金を使うのは四半期でなくてもいいのでしよう、そうじやないですか。
  211. 中田政美

    ○中田証人 金を使うのは、おそらく国庫の現金の状況の関係もあるだろうと思いますが、やはりいつごろどれくらいの金が現実にいるということを見合つて金を出さなければならぬという国庫の関係から、計画をおとりになると思いますけれども、これもひとつ二回ぐらいにお願いし、それから負担行為計画の方は一回ぐらいにお願いしたい。
  212. 篠田弘作

    篠田委員長 それではあなた方がいくら一生懸命取締つてみても、年に四回にわけてしか金を出せないということであれば、たとえば東北なら東北、北海道なら北海道といつたような寒いところで、夏場だけにうんと工事をやつてしまうというようなところでは、結局幽霊人夫を使う以外に今後もしかたがないということになりますか。その点はどうでしようか。
  213. 中田政美

    ○中田証人 ごもつともな点ですが、これは北海道及び北海道に類似するような東北型の寒冷地、積雪の地域につきましては、できるだけ夏場に予算をよけい配付する。そのかわり南の方で一年中延べに仕事のできるところは、なだらかにして行く。極端にいいますれば、冬場、正月という第四・四半期の方を多くする。それから北の方はなるべく第一、第二にしわ寄せして配付する。そういう操作はわれわれのところで、また大蔵省にこの事情を話せば多少はできると思います。
  214. 篠田弘作

    篠田委員長 それだつたら幽霊人夫というようなものはやらなくてもできるわけですね。
  215. 中田政美

    ○中田証人 幽霊人夫は申訳ございませんが、年度の端境になりますと、四月一日から仕事を続けてやるという場合の操作に、そういう事情があつたということは、私は現場にもやむを得ぬ事情があつたのではないか、別にひいきするわけではございませんが……。
  216. 志田義信

    ○志田委員 証人にお尋ねしますが、今の超過勤務手当というものの中に、超過勤務手当という名前では出しておるけれども、実際においてはそういう勤務の手当ではなくて、全然異なつたものに出しておるという実例はございませんか。
  217. 中田政美

    ○中田証人 お尋ねの点は、超過勤務しない者にも出しておつたというのでございましようか。
  218. 志田義信

    ○志田委員 ええ。
  219. 中田政美

    ○中田証人 この点につきましては、現場の責任者がどれだけ超勤をしたということを確認して出すことになつておりますので、超勤をしない者にやつたということは、私としては認めておりません。
  220. 志田義信

    ○志田委員 認める認めないでなく、それはもちろん超過勤務手当という項目で出して来るのでしようから、あなたの方では超過勤務だと思つて出しておる。しかし部内監査が十分でないために、これが食糧費になつてつたり、あるいは職員が職員組合を通じて借りた借金の利息に支拂われたり、中にはどろぼうに六十四万八千円盗まれたというのも超過勤務になつておる。こういう実例は何か御存じありませんか。
  221. 中田政美

    ○中田証人 私の承知いたしておる範囲におきましては、超勤は予算が非常に少いのでございますから、ほかにまわす余地がないと思います。たしか一箇月五時間ぐらいでとても少いので、超過勤務手当をもつと増加せよという要求があるくらいであります。
  222. 志田義信

    ○志田委員 先ほど会計検査院の第四局長がいろいろとこの超過勤務手当の問題についても話しておるのでありますが、その第四局長が公共事業費の不当支出という題で執筆しておるものがあるのであります。会計検査監査という全国会計協会で出しておる十月号の雑誌によりますと「現に富士川、長崎国道、川内川(鹿兒島県)の各工事事務所でそれぞれ三百六十万円、三百五十四万余円、三百二万余円、合計一千十六万余円という多額の工事費人夫賃の名義などで架室の支拂いを立て、年末手当や予算外の超過勤務手当などに出したほか、視察者や職員の食糧費、さては職員が職員組合を通じて借りていた借金の利息などを支拂い、二十五年九月、会計実地検査当時、なお富士川十五万余円、長崎十七万余円、川内川百六万余円の現金を保有し、しかも富士川では泥棒に六十四万八千余円が盗まれた」こういう事実は国の経理、会計法その他の法令で嚴重に縛られていて、担当者の意思でかつてなことはできない、公明正大なものであるということを言つておるにかかわらず、こういうことがこの会計検査監査という雑誌に第四局長の執筆で出ておるのでありますが、これは検査報告にも載つて皆さんのところへは行きませんでしたでしようか。
  223. 中田政美

    ○中田証人 志田さんの御質問を私ちよつと誤解しておりましたが、私は超過勤務予算をほかに使つておりはせんかという御質問のように承知いたしましたので、超過勤務予算は非常に少いものですから、ほかに流用する余地はないということをお答えしたわけでございますが、ただいまのお話の、つまり超勤の予算が少いので、ほかの方からくめんをして超勤として拂つておるじやないかということにつきましては、そういう事例があることを私も報告を受けて承知しております。
  224. 志田義信

    ○志田委員 ここに書いてあることが事実であるかどうかわかりませんが、もし事実でないとすると、こういうことを書くのは大分問題であると思うのでありますが、別居手当などもその中から出しておる。疎開家族のもとに月二回くらい通えるだけの汽車賃なども出しておると言つておりますが、こういう事実はございませんか。
  225. 中田政美

    ○中田証人 給與は人事院の給與規定によりまして、それ以外に出してはならぬということになつておるわけでございますが、私が監察官から報告を受けた中にも、そういう種類の金、いわゆる人夫賃を捻出したものの中から若干出しておるということは、報告を受けておりまして承知いたしております。もちろんそれはいけないことであります。しかしながら根本は、超過勤務予算が実際よりは少いものだけれども、がまんすればいいではないかと言えばそれまででございますが、超過勤務予算が非常に不足しておるということから生じた結果ではないかと思います。
  226. 志田義信

    ○志田委員 先ほど証人は河川改修や災害復旧等のことは緊急を要するから、従つて監査に行つた場合においても一日か二日、せいぜい二日間くらいで帰る。夜を徹しても仕事をやつて帰るのだということを言つておりましたが、あなたの先の証人の小峰君が書いておる「会計検査監査」という雑誌の中に、論文か何か知りませんが、その中に、ある河川改修の工事務所に、関係官庁から視察に行つた者が一年間に二百五十人おるということを書いておりますが、そういうふうにたくさんの人が行くものでございましようか。
  227. 中田政美

    ○中田証人 二百五十人ということは、今しつかりそうだということを申し上げる確実なデータを持つておりません。しかしながら相当数の方がいろいろの方面から御視察に行かれることは、どうも事実のようでございまして、先刻私が希望意見として申し上げましたように、視察その他にお出でになる者はなるべく一緒に来ていただきたいという意味でございます。
  228. 志田義信

    ○志田委員 私は先ほど石破監察官証言に対しましてもお尋ね申し上げましたのですが、石破監察官からは十分なお答えを得ることができませんでした。一体あなたの方では、この業務監察のうちの内部監査をほんとうにやつておるのかどうかということをお尋ね申し上げます。もしやつておるならば、監査の基準をどこに置いやつておるか、あるいは監査の基準をて、能率を上げる、合理的にやるのだということを中心にしてやつておるのか、あるいはそのほかに何か監査の基準があつてつておるのか、それをお尋ね申し上げたいと思います。
  229. 中田政美

    ○中田証人 内部監査のことでありますので、事業の執行をいかにすれば円滑にし得るか、また現在非常な問題のあるようなことについては、その問題をなるべく拡大しないように、防止するようにして行きたい、こういう意味でございまして、根本を貫く思想は、なるべく適正妥当な、能率を増進するようにしたらどうかという意味の、いわば指導的と申しますか、そういう意味で部内監査をいたしております。従つて非違を剔抉するのが職能というような考えでは毛頭ございません。
  230. 志田義信

    ○志田委員 どうも内部監査につきましては、私は十分でないと思います。十分であつたならば、会計検査院が二年もあとになつてからこれを発見して、会計検査報告に記載して、皆さんの方に御注意を申し上げるまでもなく十分わからなければならぬ点が非常にあると思う。従つて今までの内部監査はあつてなきがごときものであつた。しかるにこのごろ建設省は新大臣になりまして建設顧問というものを置かれたようでありますが、あれもやはり何かこういうことの監査を充実しようということの一つに置かれたのですか、それともほかに何か使い道があるのですか。
  231. 中田政美

    ○中田証人 最近專門委員という制度が建設省にございまして、專門委員は御承知通りいろいろな專門の方にお知恵を拝借するというのでございますが、最近專門委員の中のごく少数の方については、監査をやるのにお手伝いを願うというような方を二、三人採用しておることは事実であります。しかしながらこれは部内の監査の一補助者といいますか、お手伝いを願うというのでございまして、それ以外に全然他意はございません。
  232. 志田義信

    ○志田委員 これも石破監察官から十分なお答えが得られませんでしたので、建設省の首脳部のあなたにお尋ねを申し上げるのがいいと思いますが、従来全国の地建の局長から公共事業の隘路打開に関する要望書が出ております。私は最上川の上流下流の事件につきましては、すでに証人承知通りに、災害復旧特別委員会並びに経済安定委員会におきまして御質問申し上げ、その都度善処するということをお約束をなさつた。善処するというお約束をなさつても、なおかつこういう事件が後から後から司直の手によつて摘発されるということは、われわれが国会において御注告申し上げても、あなた方はその場限りでそれを聞いて、それに適切な方途を何ら講じなかつた。隘路打開の建議があつても、それを先ほど聞いておりますれば、閣議の席上で大臣がおつしやつたというだけにとどまつておる。そういうことで、今あなたが今後はやらせないということをほんとうに確信をもつてここで言い切れますかどうか、それをひとつお伺いいたします。
  233. 中田政美

    ○中田証人 公共事業の隘路打開に関して意見具申が各地建の局長の会議によつて出ておることは志田さんのおつしやる通りでございます。この中には非常に具体的なものもございますし、今後そういう制度をつくつてもらいたいという意味のこともございまして、この中の現実にすぐ実現できるものについては実現するように努力をいたしますが、また予算関係等を伴うものにつきましては、建設省だけではなかなか解決が困難なものもありまして、財政当局に御相談をしてできるだけその実現をはかりたいというものもございます。そういうわけでありまして、それを全然等閑に付しておる、その場限りに付しておるというわけではございません。制度上の問題、また予算上の問題等については、できるだけの努力をして逐次改善をして現場の要望をかなえるようにして行きたいと考えております。
  234. 志田義信

    ○志田委員 最後にお尋ねしますが、建設次官はこういうことが検察当局に調べられるようになりましてから、そうした現地においでになつて事実をお調べになつたことがあるかどうか。将来こういう事件が起ることを心配するあまり、将来は現地に行つてそういうことのないように自分も内部監査をやつてみようという考えがあるかどうか、それをひとつお尋ねいたします。
  235. 中田政美

    ○中田証人 こまかい意味の行政監査に私は出かけたことはございません。しかしながらそのために官房に專任の監察官——事務官及び技術官を配して非常に少数ではございますけれども、しかしこれも最近まではそういう制度はなかつたのでございますが、やはりやり繰りましてそういう制度で各局の御援助を得てやらしておるような次第であります。私もできるだけそういう実地を見て、現地の実情を把握して現場の希望を十分に会得したい、こう心がけて行きたいと思います。
  236. 田渕光一

    ○田渕委員 大体わかつて参りましたが、この制度機構の改革につきましては、次官も建議しておるし、次官会議などでも言つたが、なかなか了解ができなかつた。そこで行政機構の簡素化あるいは行政改革なども現われて来るのでありますが、それまでの間縦の線では本省とそれから本省の中に建設局、それからずつと来て局長、課長、それから今度は地方局長、それとその下に部長、課長、現場所長、こうなつておりますが、この縦の線で、こういう段階を経ながらも一番責任を負わされるのが地方の建設局長だと思います。それはなぜかというと、それには財政法、会計法その他でもつて支拂い計画と支出負担行為の責任を負わされておる。現段階においては、実際において予算を執行する建設省としては、これからの問題はそこで食いとめる以外にはない。同時にあなたのおつしやる自粛自戒、良心的にやる以外にない。まず責任を負わしてとどめをさす。心臓はここで押える。横の線ではただいま建設、安本、大蔵、これはほんとうの意味の起案者である。それから安本の建設局の公共事業課が参画して予算の振りわけをやつておる。大蔵省の方としては、財務局あるいはその他に相談する横の線がある。さらに加えて人事院、労働省の基準局、さらに横の線で日本銀行というものがある。こういう縦の線と七つの横の線でもつて、現在憲法で規定されている会計検査というものを第四局長に聞いてみれば、技術官でないのに技術官であるようなことを言つておるが、それは顧問がついておるでしようが、むしろ先ほどの証言などによつて地方建設局長あるいは現場所長よりは会計検査院にはしつかりしたものがおるということを言つているくらいに、実際技術的の顧問を置かれて知識を持つておるという自信を持つて言われたことと思うが、現段階において調べた結果、地方建設局長で押えるより以外にないと思うが、それ以外に方法があるかどうか伺いたいのと、ここで一切食いとめて、こういうことのないように、当委員会で調べた結果は委員会でも勧告書を出すでありましようし、また案も立つでありましようが、次官会議でもまとまらないこと、あるいは閣議でまとまらないことを今度の行政改革においてやつて行くかどうか、こういう点もあるのでありますけれども、私は今ずつとこの当委員会で調べて来て、結局種々のこれらの工事に対する負担と責任役人の背任、横領の刑事上の責任を負わせる、こういうようなことは地方建設局長にしかないのか、それともそれ以上にあるのか、こういうような二点をお伺いいたしたい。
  237. 中田政美

    ○中田証人 現行制度におきましては支出官というものの責任は御説の通りきわめて重大でございます。縦の問題については確かに支出官である地建の局長というものがしつかりしていなければならぬということはその通りでございます。ただ御承知通り地建の局長は数県にまたがる工事、ずいぶんの箇所の工事を統轄いたしておりますので、御承知通りその下に工事事務所がありまして、これがまた個々の工事の現場を統轄しております。その下にほんとうに現場の出張所というものがあるというような三段構えになつておりますので、その地建の局長がもとより嚴重にこれを把握し、しつかりするということも必要でございますが、仕事の現実の動きはもう一段下の工事事務所長責任というものも非常に重大であると私は考えておりますので、まず現行制度のもとにおいて遺憾なきを期するというのには、地建の局長及び工事事務所長、こういうものをしつかり把握して行くということが必要であろうかと存じます。  それから横の方の問題につきましては、どうもこれを私の方で左右するわけに行かないので、なるべくお願いするということ以外にはございません。
  238. 田渕光一

    ○田渕委員 どうです、建設、安本、大蔵、せめて日銀あたりまでも書類は並行してずつと流れて行くようにすれば、もう少し予算が早く具体化して現地に行くじやないか、こう思うのです。というのは建設省なら建設省だけで資料をこしらえている、安本安本自分でやつている、これがちぐはぐでちつとも横の連絡がとれていない。私はアメリカの制度はどうか知らぬが、あすこらの制度は、たとえばタイプライターで六部なり十部打つて横の線に流して並行するようにしてやる。安本安本でかつてにやつて、大蔵省は大蔵省でぐずぐずしておる。建設は建設でこつちでぐらぐらしておるという線では、これはいわゆる繁文縟礼というか複雑になつて遅れているじやないか、これに対する御意見はどんなものでございましよう。
  239. 中田政美

    ○中田証人 確かにその点が隘路なのでございますが、それくらい理由があつて、おれの方にもちやんとあいさつしろ、おれの方の承認を受けろということになつておる。私は一案として、妥協案としては、何かそういうものを一つのものにしてコツピーでとつて、そこで同時にコツピーを出してしまえばそれでオーケーをそれぞれ出すというような、それくらいのことでもできぬものかと実は念願しておるのですが、正直なところ今日までそれだけのこともなかなかできにくい。しかしこれは決して捨ててはおりません、行政簡素化の一翼としてぜひそれだけでもやつてもらうようにお願いいたしたいと考えている。
  240. 小松勇次

    小松委員 ただいまの田淵君の質問に関連して私も伺いたいと思います。先ほど証人のお話によりますると、認証精度についてのいろいろご不便の点も承つたのであります。この認証制度というのは、工事の総額を認めることが認証制度であるのか、それとも工事を施行するその工事の分量によつて費用を支拂いますることを認証する制度であるか、いずれであるか。あるいはこの二つが認証制度の中に含まれておるのかどうかということをまず承つておきたい。
  241. 中田政美

    ○中田証人 安本に対して予算移しかえの請求をするときに手続いたしますのが、つまり認証と申しております。この認証というのは、大体の河川なら河川改修費の何億なら何億というものを、次のような箇所にどういう工事をやるという概要を書いたものを箇所づけ表みたいなものをつくりまして、そうして安本に提出するわけであります、それを認証とみなしておる、従つて金の支拂いの方は大蔵省に支拂い行為の計画というものを、また別に出しております。
  242. 小松勇次

    小松委員 この認証の手続等が非常に煩雑であるために、工事も自然に遅延するということが地方の声であります。また私どももこの委員会においてよくその事情知つたのでありまするが、なお私はこの認証制度が遅れるがために工事が遅延するだけでなくて、認証は得たけれども、さらにまた所管の官庁が地方に対するところの予算の配付といいますか、伝達といいますか、そういうような手続をまた澁つてつて、そういうために工事を遅らすというようなことがありはしないかということを私は憂えるのでありますが、そういうことはないかね。災害復旧のごときはもちろんこれはすみやかに復旧してもらうことがだれしもの希望であります。けれどもいろいろ財政等の関係からなかなかそうはできないでしよう。その事情はわれわれもわかりますけれども、この災害工事等が何年もかかるというようなことでありますと、さらにまたその災害の被害をさらに大ならしめるということが往々ある。こういうような災害工事等に対しては、われわれ迅速にしなければならぬと思いますが、こういうことに関して今までのお取扱いはどういうお取扱いであつたのですか。
  243. 中田政美

    ○中田証人 災害復旧をなるべく早くやつて、損害をなるべく少くするということは、最も必要なことなんであります。予算が許すならば、早くこいつをやりたいということは、だれしも異論のないところでございますけれども、財政の都合で、所要の金額よりは不足がちな予算が計上されるわけでございまして、従つて地方におきましては、自分の方でなけなしの金とか、あるいは一時借入金をしてでも先に工事を進めたいというくらい要望が強いわけであります。しかしこれは公共事業災害復旧費予算の制約を受けますので、これ以上のことはいたし方がないわけであります。ただ予算に許されたものにつきましては、なるべく早く予算地方へ流すように、これは現実に努力しております。
  244. 小松勇次

    小松委員 なお先ほど超過勤務の手当の問題についていろいろお話があつたのでありますが、超過勤務手当を支出するために幽霊人夫をつくつて費用を捻出したという話に対して、これをお認めになつたのでありますが、申し上げるまでもなく、これは不当な支出というか、不正行為だと私は思うのであります。そういうような人に対してどういうような御処分をなすつたのか。それをちよつと伺いたい。
  245. 中田政美

    ○中田証人 いろいろな事情なり、またその程度等を参酌しまして、あるいは懲戒処分にかけるとか、停職処分にかけるとか、あるいは論旨免官をするとか、また起訴中の者は休職しなければならぬとかいう、いろいろ種類はございますが、事実を究明しまして、その情状によつて、それぞれ馘首、減俸、停職等をなしております。
  246. 小松勇次

    小松委員 その処分された人は支出官を処分しておるのですか。あるいは支出官とともに、それを監督する立場にある上司をも、そういうような処分に付されているのですか。     〔委員長退席、内藤(隆)委員長   代理着席〕
  247. 中田政美

    ○中田証人 支出官は地建の局長でございますが、実際のそういう行いは、先刻も申し上げた通り、その下の工事事務所というものがぜん立てをいたしますので、工事事務所長においてさような不当な取扱いがあつたものにつきましては、その当該責任者を処断をいたしております。それからまたその監督上不十分だというものについては、その監督者、すなわち地建の局長に訓戒を加えるというような手段も考えております。
  248. 小松勇次

    小松委員 私は最後にこの問題に関連してお尋ねしたいのであります。公務員の方々は、関係管内におけるところの選挙運動は禁止されておることは御承知通りのことだと思うのであります。しかるに公務員諸君が現在の自分の地位、権力を利用いたしまして、自分の部下にあるいは関係の土建業者等に対して特定の人を応援するように依頼して、その選挙運動をさせたようなことはなかつたか、それからいま一つは現在公務員の地位にある人が、やがて次に自分が立候補しようというその準備のために、自己の地位を利用していいろいろ土建業等との関係を結んで、その工事請負等についても——工事を有利に導くようなことはなかつたでしようけれども、いろいろのそういう関係から悪縁が結ばれて、公務員としての公正なる立場を逸したというようなことはなかつたか、もしもあるとすれば、私はこういうことは非常に官紀粛正の上に憂うべきことであると思うからここで伺うのであります。
  249. 中田政美

    ○中田証人 過去においてさようなことがあつたということについては私はまだ聞いておりません。しかしお説の通り、さようなことは断じて許すべからざることでございますし、綱紀粛正はどうしてもやらなければならぬと思いますので、これは十分今後戒めるように注意したいと思つております。
  250. 加藤充

    ○加藤(充)委員 不正歳出を根絶するためのあなたなりの方針を一応承つたのですから、それに関連してお尋ねしたいことは山ほどありますが、一、二点だけお尋ねいたします。  まず超勤手当の支拂い実情ですが、一箇月に五時間ぐらいしか拂えないという予算措置しかできてない。実働の超勤の幾割ぐらいのパーセンテージにこの支拂高は当つておるのか、まずそれをお尋ねいたします。
  251. 中田政美

    ○中田証人 これは超勤をつけるのは、超勤をつけるために必要な記録はとつてございますが、今のお話のように実際は何ぼ働かしたかということについて、それが予算の何パーセントになつているかということについては、ただいま私は資料を用意して参つておりません。
  252. 加藤充

    ○加藤(充)委員 こまかい数字ではないので、あなたは先ほど予算措置について給與方面についてもいろいろ問題があるし、これも一つの隘路であつて、この隘路を切り開くについても希望を持つているというお話が対策の一部に述べられたのですが、大体よけいならよけいほどいいというのでは、これはやはり予算の流用のむし返しのことになりますので、それをどのくらいほしいかということの対策があるならば、大体の目安はあなたの腹に納まつていなければ、あなたのさつき言つた対策の一部というものは根拠がないということになりますが、それでいいのですか。
  253. 中田政美

    ○中田証人 超勤制度の改善案につきまして、先刻申し上げました私の意見は、超勤の時間制でなくて、年に三回か四回に賞與制度でこれをカバーしたらどうかというのが私の意見でございます。時間をつけることになりますと、これはもちろん良心的につけなければならぬわけでございますが、なかなかそれじや何時間働いたとかいうことになりますと、これは結局現場の記録を信用する以外にないということになりますのでこれらにつきましてはできるだけ超勤が多いことはもちろん必要でございますが、私は超勤制度の時間制につきましては、むしろ数回に割つた賞與制度の方がいいのではないか、こういう考えを現在持つておるわけでございます。
  254. 加藤充

    ○加藤(充)委員 一月五時間程度だということで、大体の見当はつきますから、その点をお認めになれば、私の方では次の質問に移つて行きたいと思います。これは田淵君だつたかの質問の中にもあつたようであるが、行政簡素化、首切りの問題に関連するといわれたから私も思いあたつてお伺いするのですが、大体現在国家公務員といわれておる者は、常勤職員約九十万、それから非常勤職員約四十八万、この数字を見ますと、常勤職員の五割以上の者が非常勤職員で補足されているのでありますが、あなたの関係のところを見ますと、役所の性質上さもあらんと思う節もあるのでありますが、常勤職員が一万六千幾ら、それから非常勤が、実にその三倍以上の三万七千に近いものになつております。これは私は公務員の定員の組み方の質的な問題に重要な意味合いを持つものだと思うのですが、あなたのところの非常勤職員、臨時職員約三万七千というものは、みな土方でございましようか。
  255. 中田政美

    ○中田証人 これは仕事のやり方によつてそこの構成が違つて来ると思います。たとえば原則として請負いにお出しになるお役所といいますか、その現場……。
  256. 加藤充

    ○加藤(充)委員 途中ですが、そういうことはわかりますが、私がお尋ねしたのは、三万七千という臨時職員があるが、これはみな土方かと聞いておるのです。土方だつたら土方と答えてもらえば、私の方は質問を打切るなり、あるいは質問を続けるなりいたしますから、時間もおそいのですから簡單に答えてください。
  257. 中田政美

    ○中田証人 非常勤職員三万については、私はつきりした数字を持ちませんが、たしか建設省は、公務員の定員は一万人ちよつとだと記憶しておりますが、それ以外にあるものにつきましては、人夫賃で、いわゆる労務者として、非常勤といいますか、日々雇い入れる形で人夫賃を拂つておるのでございまして、それがお尋ねの三万という数じやないかと思います。これは事業の量によつて日々違つて参りますので、はつきり何万ということはきまつておるわけではございません。
  258. 加藤充

    ○加藤(充)委員 人事院が出した資料によると、多少異動はしますが、そうたくさん月々によつて異動があるとは考えられないのであります。この非常勤職員の問題についても、二十六年の一月は五万五千ほどありますが、二十六年の七月一日現在では三万六千であります。大体土方みたいなものを含めまするから、一万や五千の差はここで重大にするわけじやありませんが、大体において四万近いものがずつとあるのであります。ですからこれがいわゆる土方、人夫であり、しかもそれがいわゆる臨時職員として日雇い人夫的なものであるのか、継続的にあなたの方でいわゆる公共事業をやつて行く上については、大体にこれだけの人夫あるいは人夫を含めての非常勤職員が必要であるという大よその目安は私どもにわかるのであります。仕事の量によつて、それが非常に違いがあるというような形には私ども受取れないのであります。しかしこれは私どものような見方に立ちますと、こんなにたくさんの非常勤職員が常勤的に必要になつて来ているということになりますと、この給與の支拂いについては、三万も四万も五万ものものに対して、全部でなくても常勤的な非常勤職員に対する給與の問題は、これらの予算の流用、から人夫のつけがけというような問題と関連して、重要な犯罪防止、不正再発根絶の対策の一部にならなければならないと思うのであります。それでお伺いするのですが、あなた方は犯罪の再発について対策を立てられたけれども、こういうような厖大な非常勤職員といにものがあつて、給與の面では予算的処置の裏づけが少い、あるいはその給與たるや俸給、手当、あるいは健康保険、出済組合の加入権、それから来る保障制度というようなものに対して裏づけのないこんなにたくさんの人をあなたの職場では雇つて使つて行かなければ、働いてもらわなければ、仕事ができないということになつて参ります。こういう予算措置は当然とられなければならぬ。しかも予算措置がないから雇わないで仕事が済むものではありません。それだけの仕事はどうしてもやつて行かなければならぬ。やつて行くのにはそれだけの労務の提供者がいる。働く人がいる。これを何とかまかないつけるということになりますれば、お前らかつてにまかないつけろということになれば、やはりから人夫それから予算の流用は当然起るのでありまして、これは單に給與の問題といつてとんがらかつている問題ではなくて、事業の業務の執行の上からも、犯罪の不正の防止の上からも、重大な性質を持つ問題だと私は思うのであります。大体労働基準法あたりを見ても、多分その二十一條だつたかと思うのでありますが、あれには臨時工に関する規定があつたと思うのです。国家みずからが実質において、公務員、あるいは公務員に類似するようなものは労働基準法が適用されないというのをたまたま奇貨として、労働基準法に保障されている臨時工の保護規定までもむちやくちやに踏みにじつて、身分的保障もなければあるいは給與の累進についても、非常な不利益をあえてしてまで働かせようとしていたところで、仕事はできませんし、能率は上りませんし、またそれの予算措置も国家が裏づけなければこれはどうしたつて犯罪の堂々めぐりになると思うのでありますが、その点についてあなたの御意見と対策の一部を聞きたいと思います。
  259. 中田政美

    ○中田証人 地建でやつておりまする河川、道路あるいは砂防等の土木工事には、あなたのおつしやる土方といいますか、人夫、労務者を非常にたくさん使つておりますが、これはしかしながらそのときの事情によりましてきようは休む、あるいはあすは出る、いろいろ事情がありまして、いわゆる常雇い的な者、準職員的な者と言わんよりは、まあどちらかといえば、月々雇い入れる性質を持つた者でありまして、これを全部本定員的な取扱いをするということにつきましては、いささかその道理にはならぬのじやないか、それは必ずしも私は適当じやないのじやないかと考えるのでありますが、本定員以外に、職員に準ずるような下級の労務者で、ほぼ何も言わなければ続けてずつと出ているという者につきましては、準職員の制度というものがございまして、二箇月ごとに更新はいたしますけれども、ほとんど常勤の者と同じように共済組合等の恩典に浴するような制度も若干現在できておりますので、そういうものについてはお説のようなことがちようどあてはまるかと思いますが、労務者全部を恒常的なものにするということには研究の余地があるのではないかと思います。
  260. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 ちよつと加藤君に申し上げますが、時間も迫つておりますから、ひとつ簡潔に願います。
  261. 加藤充

    ○加藤(充)委員 十月十一日からなるほど準職員取扱い要領というものが出て、今お話のような部分について一部分是正があつて、この範囲においては定員のわくが多少緩和されているということも私は聞いておりますが、現場の人々では、これではいわゆる準職員取扱いの範囲がまだまだ狭過ぎる。すなわちあなたが御証言になつたようなものでは、まだたくさんの準職員、常勤的非常勤の者が非常な冷遇と無権利の中に泣いておるということを言つておりますが、なおこういう問題も私は不正防止対策の重要な一環だと思うのであります。それからもう一つ、最後の一点になりますが、自粛自戒ということを言われたのですが、これは必要な精神的な面だと私は思います。それをばかにするつもり、あるいは価値を低く評価するつもりは毛頭ございませんが、先般当委員会で取上げましたあの桜木町の電車事故のあと、自粛自戒の声が各職場から起つた。けつこうなことだと思つておりましたが、私どもその実情調査いたしますと、その現場の下級職員に心がけ箇條というようなものを強制的に覚えさせて、そうして暗記させる。いわゆる昔軍人に賜わりたる五箇條というようなものを便所に行つてもふろに行つても覚えざるを得なかつたというああいう状態が現場に来ておつて、それを覚えそこなつたらいわゆる採点に関係があるというようなことで、逆に本末転倒になつてしまつて、その形式的な文句を発音する、暗記ということに自粛自戒が集中されておるということを聞いておるのであります。これはちようど戰陣訓を読ませて、そうして読ませながら不正を重ねておつた軍閥と同じようなやり方なのでありまして、こういうやり方が自粛自戒ということになると、先ほどのように、盲判を押したところの高級官僚は、末端の責任において判の責任をのがれて行くというようなやり方では、私はこの不正の再発防止は断じてならないと思うのでありますが、監督責任上判を押した者については、あなたは下級職員と同じように連帯して、毅然として率先して責任を持つだけの気持があるかどうか。そういうことを誓約できるかどうか。この点を最後に確かめておきたいと思います。
  262. 中田政美

    ○中田証人 上下一体で役所は働いておりますから、下の者も上の者も心を合せて今後十分注意してみたいと思います。
  263. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 他に御発言がなければ、中田証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には御苦労さまでした。  次会は十一月六日、来週の火曜日に委員会身開き、專売公社関係事件について調査を進めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時九分散会