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1951-10-25 第12回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 佐々木秀世君 理事 島田 末信君    理事 塚原 俊郎君 理事 内藤  隆君    理事 小松 勇次君 理事 猪俣 浩三君    理事 山口 武秀君       大泉 寛三君    岡延右エ門君       岡西 明貞君    鍛冶 良作君       川本 末治君    志田 義信君       田渕 光一君    野村專太郎君       福田 喜東君    椎熊 三郎君       藤田 義光君    久保田鶴松君       加藤  充君  委員外出席者         証     人         (東北地方建設         局最上川下流工         事事務所長)  伊藤美代治君         証     人         (東北地方建設         局最上川上流工         事事務所長)  佐藤 清見君         証     人         (東北地方建設         局工務部長)  深井 浩三君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公共事業費をめぐる不正事件     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を開きます。  公共事業費をめぐる不正事件について調査を進めます。ただちに証人より証言を求むることにいたします。伊藤美代治君ですね。
  3. 伊藤美代治

    伊藤証人 そうです。
  4. 篠田弘作

    篠田委員長 あらかじめ文書をもつて御了承を願つておきました通り証人として証言を求むることになりましたので、さよう御承知ください。ただいまより公共事業費をめぐる不正事件につきまして証言を求むることになりますが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人伊藤美代治朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えない  ことを誓います。
  5. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人はいつから現職に就任されましたか。
  7. 伊藤美代治

    伊藤証人 昭和二十年十一月からでございます。
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 最上川下流工事事務所昭和二十二年度以来一億二千五百余万円のから点検と申しますか幽霊人夫をつくつて、これを資金として認証外工事材料の購入あるいはやみ給与外来者接待費等に使用したといわれておりますけれども、その事実について述べてください。
  9. 伊藤美代治

    伊藤証人 最上川昭和十九年から年々災害が起きまして、ことにアイオン、カザリン両台風以後は最もひどい状態になつておるのでございます。その災害量は概略申し上げますと、護岸水制におきましては三十八キロでございます。それから堤防は約十キロでございまして、改修区間三十二キロ、これくらいの災害を受けておつたのであります。従いましてこの大災害を処理するに、非常に資材入手困難あるいは労働能率の低下という条件が加わりまして、非常に私としましては日夜これを克服すべく努力したのでございます。不幸にして予算不当流用をいたしましたことは、皆様に対しましてまことに申訳ない次第でございます。これが概要でございます。
  10. 篠田弘作

    篠田委員長 予算不当流用をしたというのでありますが、その額は大体どのくらいですか。
  11. 伊藤美代治

    伊藤証人 二十二年以来昭和二十五年までの間で約一億八千万円くらいでございます。
  12. 篠田弘作

    篠田委員長 それを浮かす方法はどういう方法で浮かしましたか。昭和二十二年から二十五年までに一億八千万円予算流用するについては、その予算を一応あなたの手元で現金化して浮かしたわけですね。
  13. 伊藤美代治

    伊藤証人 はあ。
  14. 篠田弘作

    篠田委員長 その浮かした方法はどういう方法です。
  15. 伊藤美代治

    伊藤証人 それは各人夫点検によりまして浮かした次第でございます。
  16. 篠田弘作

    篠田委員長 浮かした金を何に使いましたか。
  17. 伊藤美代治

    伊藤証人 主として工事に使いました。
  18. 篠田弘作

    篠田委員長 どういう……。
  19. 伊藤美代治

    伊藤証人 切投げ工事あるいは直営工事でございます。
  20. 篠田弘作

    篠田委員長 切投げ工事とは一体どういう工事ですか。
  21. 伊藤美代治

    伊藤証人 切投げ工事と申しますのは下請工事でありまして、どうしても許された箇所だけでは最上川災害は治まりませんので、それに引続きまして下流の方の業者工事を切投げして完成させたのであります。
  22. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると直轄工事下請業者に出すという意味ですね。あるいはまた直轄工事でありながら、実際に業者下請をさせていないにもかかわらず、下請をしたという形で金を払つたというのですか。
  23. 伊藤美代治

    伊藤証人 下請して金を払つたわけです。
  24. 篠田弘作

    篠田委員長 実際仕事をさせておりますか。
  25. 伊藤美代治

    伊藤証人 実際させております。
  26. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの場合は約三年間に一億八千万円くらいの金をそういうふうにしたのだが、そのうち自分たち使つた金はどのくらいありますか。たとえば飲んだり食つたり……。
  27. 伊藤美代治

    伊藤証人 超過勤務とか、寒冷地手当とか、そういう手当、それから補助員給料あるいは接待費雑費、これらを加えますと約八百万円前後だと思います。
  28. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、結局本来ならばその一億八千万円という金は全部工事に使われなければならないのだけれども、そのうちから給料とか雑費とか接待費、そういうものに八百万円を流用しておるわけですね。
  29. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  30. 篠田弘作

    篠田委員長 それでどういうわけでそういうことをしなければならなかつたか。そこにはあなた個人は金をとつておりませんね。
  31. 伊藤美代治

    伊藤証人 とつておりません。
  32. 篠田弘作

    篠田委員長 あなた自身金はとつていないのだが、そういうふうにあなたが所長としてしなければならなかつたという理由は一体どういう理由ですか。
  33. 伊藤美代治

    伊藤証人 工事量が二十二年から二十五年まで八億七千万の工事量でございまして、それに対しまして職員の数は百人前後でございまして、これに無理な量、執務時間をしいて、そうして工事を円滑に遂行したためでございます。
  34. 篠田弘作

    篠田委員長 八億七千万円の工事量を百人でやるのは無理だ、それを円滑にやらせるためには金をやつてやらせるというのですか。
  35. 伊藤美代治

    伊藤証人 それで執務時間が長くなりまして超勤が多くなつたり、寒冷地手当が……。
  36. 篠田弘作

    篠田委員長 接待費はどうですか。
  37. 伊藤美代治

    伊藤証人 接待費は八十八万前後だと思います。
  38. 篠田弘作

    篠田委員長 それはおもにどういう方に使つておりますか。
  39. 伊藤美代治

    伊藤証人 おもに監査官あるいは関係官庁方々のお見えなつた場合の夕食、ちよつとしたくらいの程度の金です。
  40. 篠田弘作

    篠田委員長 それは中央の役人の食事代、そういう意味ですか。
  41. 伊藤美代治

    伊藤証人 中央のお方がお見えなつたときに……。
  42. 篠田弘作

    篠田委員長 中央というのは県も含めてですか。
  43. 伊藤美代治

    伊藤証人 県ではございません。
  44. 篠田弘作

    篠田委員長 それは東京ですか。
  45. 伊藤美代治

    伊藤証人 東京及び仙台山形です。
  46. 篠田弘作

    篠田委員長 それは延人員にしてどのくらいになつておりますか。
  47. 伊藤美代治

    伊藤証人 延人員にして約八百人くらいだと思いますが……。
  48. 篠田弘作

    篠田委員長 八百人で八十八万というと、一人約千円ですね。
  49. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  50. 篠田弘作

    篠田委員長 切投げ工事というのは、本来本庁で、本庁でといいますか、あなたの直轄工事でやつているものを下請させた。あなたの方に手がないから下請させたわけですか。
  51. 伊藤美代治

    伊藤証人 そうでございます。手がないと同時に、仕事をやる面におきまして、最上川は御承知通り、冬季と秋は仕事ができないのです。それから春も仕事ができないのです。これは雪しろ水工事と申しまして、平水から二メートルないし三メートルの増水がございますから、護岸としてはなかなか特殊な工事ができないのでございまして、勢い夏の台風時期の渇水期をねらつてやるがために、工事をやる期間は百日しかないのであります。それに対応して早くでかす都合で切投げ工事をやつた次第です。
  52. 篠田弘作

    篠田委員長 それはしかし直轄ではできないから切投げ工事をやつたと言うのだが、切投げ工事をやつたということは別に法律違反でも何でもないでしよう。どうですか、それは違反になるのですか。
  53. 伊藤美代治

    伊藤証人 違反になると思います。
  54. 篠田弘作

    篠田委員長 直轄でやるということに建前なつておりますか。
  55. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  56. 篠田弘作

    篠田委員長 直轄でやらなければ——直轄でできないということを理由にして……。
  57. 伊藤美代治

    伊藤証人 直轄請負もできますけれども、好機を逸する憂いがありまして……。
  58. 篠田弘作

    篠田委員長 その理由はわかつておる。それほどあなたの方では雪解けもできない、台風の時期もできない、冬も雪があつてできないそれは山形一つ特殊事情に基くもので、そういうような事情があるから一年中、たとえば八億七千万円なら八億七千万円の工事費をもらつても、一年中できるわけではないのだ。それで工事を急速に進めるために下請をさせたというのであれば工事をやる上においてだれが見ても下請をさせるということについては別に不正がない、こういうふうに考えられるわけです。常識的に……。けれどもそれをあくまでも直轄工事でやるという建前を持つておるから下請をするということが不正になるのか。
  59. 伊藤美代治

    伊藤証人 正式の契約ができないのです。
  60. 篠田弘作

    篠田委員長 なぜできないのか。
  61. 伊藤美代治

    伊藤証人 予算的措置が遅れて来ますから、好機を逸してしまいますから、そういう関係から……。
  62. 篠田弘作

    篠田委員長 下請をさせたことが悪いのではなく、問題は、予算がないのにあなた方がかつて下請をさせて、そうして金を不正な手段でつくつて、その金を払つたということが悪いのでしよう。そういうことになるのでしよう。
  63. 伊藤美代治

    伊藤証人 さようでございます。
  64. 篠田弘作

    篠田委員長 予算がまだできていないにもかかわらず、あなた方がそれを切投げ工事下請さして、下請に金を払うという、その金はどこからつくつたのですか。
  65. 伊藤美代治

    伊藤証人 それはやはり架空人夫から出しました。
  66. 篠田弘作

    篠田委員長 架空人夫で金を現金化して、その現金から払つたのですか。
  67. 伊藤美代治

    伊藤証人 最初は金融機関から借りておきまして、あと整理架空人夫払つたわけです。
  68. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると架空人夫という意味は、たとえば一年のうち予算が平均して使われるかつこうになつておる。それを冬の時分仕事ができないから、冬の時分人夫を前もつて払つたことにして、その金でもつて仕事をした。こういうことになるのですか。
  69. 伊藤美代治

    伊藤証人 そうです。予算は大体等分の配分なつておりまして、仕事のできないときに予算がたくさん来まして、それを処理するのにどうしようもないので、切投げ工事でやつたわけです。
  70. 篠田弘作

    篠田委員長 予算は年四回にわかれて来る。しかし実際問題としては山形の場合は夏の百日しか工事ができない。そういう場合には何かあなたのような立場で、個人的にやらないで、あるいは上司なり、本庁なりの許可を受けて、そういう制度をやめるとか、あるいは許可を受けて合法的にやるということはできなかつたのですか。
  71. 伊藤美代治

    伊藤証人 先ほど申し上げました通り、非常に予算が遅れて来まして、合法的にはできなかつたのであります。
  72. 篠田弘作

    篠田委員長 予算は来ることにはなつておつたのですか。
  73. 伊藤美代治

    伊藤証人 来ることにはなつております。ただ配付予算が二箇月くらい遅れて来ますから、その期間に手を打たないと好機を逸して、災害が起る可能性が多くなります。
  74. 篠田弘作

    篠田委員長 そうするとおもに幽霊人夫予算流用しておつたわけですね。その借入れたのはどのくらい借入れましたか。
  75. 伊藤美代治

    伊藤証人 大体一年四百万円程度じやなかつたかと思います。
  76. 篠田弘作

    篠田委員長 どこから借りましたか。
  77. 伊藤美代治

    伊藤証人 両羽銀行です。
  78. 篠田弘作

    篠田委員長 両羽銀行から金を借りたその利息はどこで払つたのですか。
  79. 伊藤美代治

    伊藤証人 やはり仮人夫から出しました。
  80. 篠田弘作

  81. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  82. 篠田弘作

    篠田委員長 一切仮人夫によつてまかなつたわけだな。
  83. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。なおつけ加えますが、利息の方は立てかえ手数料というのがありますから、それに相殺されましてほとんど工事面のマイナスはなくなります。
  84. 篠田弘作

    篠田委員長 立てかえ手数料ですね。
  85. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  86. 篠田弘作

    篠田委員長 だれが立てかえた。
  87. 伊藤美代治

    伊藤証人 円について二銭の割合で手数料は……。
  88. 篠田弘作

    篠田委員長 だれから……。
  89. 伊藤美代治

    伊藤証人 立てかえ人から……。
  90. 篠田弘作

    篠田委員長 立てかえ人とはだれ。
  91. 伊藤美代治

    伊藤証人 まあ工事を一時立てかえる制度なつていまし……。
  92. 篠田弘作

    篠田委員長 だれが立てかえる。
  93. 伊藤美代治

    伊藤証人 業者が……。
  94. 篠田弘作

    篠田委員長 請負……。
  95. 伊藤美代治

  96. 篠田弘作

    篠田委員長 そうするとあなたが立てかえをすることになる……。借金の返済はどうしましたか。
  97. 伊藤美代治

    伊藤証人 借金は……。
  98. 篠田弘作

    篠田委員長 予算が来たとき払つた
  99. 伊藤美代治

    伊藤証人 予算が来たとき架空人夫で埋めて行きました。
  100. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたは検事局でこの問題を調べられたのですね。
  101. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい、調べられました。
  102. 篠田弘作

    篠田委員長 今どうなつておりますか。起訴なつておりますか、不起訴なつておりますか。
  103. 伊藤美代治

    伊藤証人 決定になつておりません。
  104. 篠田弘作

    篠田委員長 まだ起訴とも不起訴とも決定していないわけですね。
  105. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  106. 篠田弘作

    篠田委員長 もう一つ聞きますが、あなたは何か東北建設局から頼まれて何十万円かの金を建設局に送つたことがありますか。
  107. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  108. 篠田弘作

    篠田委員長 何ぼくらい。
  109. 伊藤美代治

    伊藤証人 八十万ばかりでないかと思いますが……。
  110. 篠田弘作

    篠田委員長 これも幽霊人夫ですか。
  111. 伊藤美代治

    伊藤証人 そうです。
  112. 篠田弘作

    篠田委員長 八十万円、大体これは最上川改修に来ている予算でしよう。
  113. 伊藤美代治

    伊藤証人 そうでございます。
  114. 篠田弘作

    篠田委員長 その最上川改修に使うべき金を最上川改修に使わないで建設局現金で送つたわけですね。
  115. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  116. 篠田弘作

    篠田委員長 それはどういう理由ですね。
  117. 伊藤美代治

    伊藤証人 それは建設局が忙しくて補助員というものがいたわけです。それの給料に送つたわけです。
  118. 篠田弘作

  119. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  120. 篠田弘作

    篠田委員長 補助員は何人くらいおるの。
  121. 伊藤美代治

    伊藤証人 そうでございますね、かれこれ百人近くおるのじやないかと思いますが……。
  122. 篠田弘作

    篠田委員長 建設局補助員給料をこういうふうに工事費からごまかさなければならないようになつているのですか。
  123. 伊藤美代治

    伊藤証人 そんなふうになつていないと思います。
  124. 篠田弘作

    篠田委員長 なつていないのに送るというのはおかしいじやないか。
  125. 伊藤美代治

    伊藤証人 やはり割当てられて来ますから送りました。
  126. 篠田弘作

    篠田委員長 割当はたれの名前で来ましたか。
  127. 伊藤美代治

    伊藤証人 たれのというのは……。
  128. 篠田弘作

    篠田委員長 あなた、所長に対して東北建設局に八十万円送れという通知が来たでしよう。
  129. 伊藤美代治

    伊藤証人 一回で八十万円でございませんから……。
  130. 篠田弘作

    篠田委員長 何回。
  131. 伊藤美代治

    伊藤証人 やはり四、五回あると思います。
  132. 篠田弘作

    篠田委員長 四、五回にしても一回に二十万円くらいの金を送つているわけですね。
  133. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  134. 篠田弘作

    篠田委員長 そういう名前はたれからあなたあてに来るか。
  135. 伊藤美代治

    伊藤証人 事務所長あてに来ております。
  136. 篠田弘作

    篠田委員長 つまり君あてに来たのでしよう。
  137. 伊藤美代治

    伊藤証人 はあ。
  138. 篠田弘作

    篠田委員長 差出人はたれですか。
  139. 伊藤美代治

  140. 篠田弘作

    篠田委員長 連名で来るのだな……。文書で来るのですか。
  141. 伊藤美代治

    伊藤証人 はあ。
  142. 篠田弘作

    篠田委員長 えらいことだな。
  143. 伊藤美代治

    伊藤証人 なお職員寒冷地手当もあるのです。
  144. 篠田弘作

    篠田委員長 工務部長企画部長庶務部長連名公文書で金をごまかしてよこせということが来るわけですか。
  145. 伊藤美代治

    伊藤証人 ごまかしてとは来ぬが……。
  146. 篠田弘作

    篠田委員長 実際ごまかさなければやれないじやないですか。そういうことをあとで直すのに困るじやないか。やつている本人はそういうことは違法だとか、悪いことだとか考えなかつたですか。
  147. 伊藤美代治

    伊藤証人 まにとに申訳ないです。
  148. 篠田弘作

    篠田委員長 申訳ないとかどうとか聞いているのじやない、あなたの心境を聞いている。犯罪だと思わぬか、やつていることが悪いことと思つているか。
  149. 伊藤美代治

    伊藤証人 悪いことと思つてやりました。
  150. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの方でいついつか幾ら送りましたという公文書で出しておるか。
  151. 伊藤美代治

    伊藤証人 それは出しておりませんので……。
  152. 篠田弘作

    篠田委員長 工務部長企画部長庶務部長から来た公文書はあなたの事務所に保存しているわけですね。
  153. 伊藤美代治

    伊藤証人 それはないかと思います。
  154. 篠田弘作

    篠田委員長 保存しない……。それはどういうわけで保存してないか。公文書なら保存してあるだろう。
  155. 伊藤美代治

    伊藤証人 まことに申訳ありません。
  156. 篠田弘作

    篠田委員長 それであなたが切投げ工事をやつたということには、これは山形特殊事情に基くものであると解釈できますね。しかし切投げ工事というものをあなたが独断でやつたのですか。それとも何か本庁関係の命令でやつたのですか。
  157. 伊藤美代治

    伊藤証人 大体は暗黙のうちに黙認していただいて、非常手段としていたわけです。
  158. 篠田弘作

    篠田委員長 黙認してもらつてあなたの独断でやつた、こういうことですね。
  159. 伊藤美代治

    伊藤証人 はあ。
  160. 篠田弘作

    篠田委員長 山形のような場合は特にそうだと思いますが……。山形でも東北六県でも同じだと思いますが、北海道のような場合でも冬は仕事ができないそういうことはあるのだが、それは予算の来るのが遅れて来る。そこにもいろいろ不都合があることと思うが、それは何かさつき言つたように、本庁との関係であなたが個人的にそういう犯罪みたようなことをしないでもできるような方法はないのですか。
  161. 伊藤美代治

    伊藤証人 ございません。
  162. 篠田弘作

    篠田委員長 ない。それについて何か予算の分割の方法が実情に適さないというような問題をあなたの方なり本庁なりで論議されたことはあるのですか。
  163. 伊藤美代治

    伊藤証人 それはたびたびあります。
  164. 篠田弘作

    篠田委員長 それはどこでそういう問題を論議した。
  165. 伊藤美代治

    伊藤証人 本局で大いにしました。
  166. 篠田弘作

    篠田委員長 本局というのは……。
  167. 伊藤美代治

    伊藤証人 仙台です。
  168. 篠田弘作

    篠田委員長 仙台本局ですね。それは本庁の方には来ているわけですね。本庁というか、建設省の方にはそういう意見は来ておるわけですね。
  169. 伊藤美代治

    伊藤証人 十分来ておるだろうと思います。
  170. 篠田弘作

    篠田委員長 それからあなたの今話されたことは、大体予算に盛られた仕事ですね。予算にきまつた仕事を前もつて幽霊人夫で金を動かしてやつた……。
  171. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  172. 篠田弘作

    篠田委員長 そのほかに予算にきまつておらないで、認められるか認められぬかわからぬような仕事をあなたの独断でやつたことはありませんか。
  173. 伊藤美代治

    伊藤証人 それはありません。
  174. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの場合は、初めから悪い悪いと自分から認めてしまつているのだけれども……。このほかにたれか御質問ありますか。
  175. 内藤隆

    内藤(隆)委員 証人陳述を聞いておりますると、切投げ工事をしなければならないことは予算配分が遅れて来る、その関係上やむを得ずこれはやつたので、こういう実例は全国に幾つかの建設局がありますが、そこで通例やつておるというのですか。
  176. 伊藤美代治

    伊藤証人 その点に関しましては私はわかりません。
  177. 内藤隆

    内藤(隆)委員 しかもあなたの今の証言を聞いておると、予算が来るまでの間、いわゆる最上川なら最上川関係においてその期間特殊な事情があるから、こういう場合には不都合が生ずるということは、本省の方には十分意見として申達してあるわけですね。
  178. 伊藤美代治

    伊藤証人 十分論議を尽しております。
  179. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうするとこういう切投げをやつて幽霊のこういうことをやつておることを本省は知りながら黙認しておるのですか。
  180. 伊藤美代治

    伊藤証人 そういう結果になつて来ると思います。
  181. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それからもう一つ東北地方建設局からあなたの方へ公文書をもつて、八十万円の割当が何回か来たが、この八十万円は一体どういうところへ使つておられるのですか。
  182. 伊藤美代治

    伊藤証人 それは先ほど申し上げた通り本局職員給与であります。あるいは職員寒冷地手当という方面に使つております。
  183. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうするとこれは工事の直接の関係のものではなく、給与等に支出しているのですね。
  184. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  185. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それからもう一つ、たとえば幽霊人夫その他の方法によつて、一億八千万からの費用を捻出して、そのうちの八百万円を流用したということを証言されましたが、この八百万円の流用はおもに何に使つたのですか。
  186. 伊藤美代治

    伊藤証人 おもに超過勤務手当寒冷地手当職員給与そうい方面であります。それから接待費交際費もあります。
  187. 内藤隆

    内藤(隆)委員 その接待費接待を受けた者はどういうような人ですか。
  188. 伊藤美代治

    伊藤証人 おもに視察に参られた方々です。それから先輩あるいは権威者方々から見ていただいて、それに……。
  189. 内藤隆

    内藤(隆)委員 その接待を受けた人の中で、先輩というのはどういう人なのですか。
  190. 伊藤美代治

    伊藤証人 それは前の技師長であつた方々とか、あるいは土木出張所長、そういう方々に、改修に対する今後の処置について、参考までに意見を聞いたわけなのであります。そのときの接待費であります。
  191. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そういう技術方面なり、その他の建設局あるいは本省関係において、やめた先輩がおる、そういう人の意見を聞くため使つたというのですね。
  192. 伊藤美代治

    伊藤証人 そうです。間違つてはたいへんだと思いまして……。
  193. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そういう先輩意見を聞かなければ工事に対する自信は生れないのですか。
  194. 伊藤美代治

    伊藤証人 参考に聞いたわけであります。
  195. 内藤隆

    内藤(隆)委員 参考に聞くためにそういう先輩ごちそうをした、こういうことなのですか。
  196. 伊藤美代治

    伊藤証人 ごちそうまで行きません。夕飯食つたくらいです。
  197. 内藤隆

    内藤(隆)委員 しかし夕飯といつたつてこのごろは相当かかるでしよう。一人どれくらいのごちそうですか。
  198. 伊藤美代治

    伊藤証人 千円足らずであります。
  199. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それには国会関係の人が入つておりますか。
  200. 伊藤美代治

    伊藤証人 ございません。
  201. 山口武秀

    山口(武)委員 その工事予算があるわけですが、予算をもらう前に、この工事はどれくらいの見積りになるか、どのくらいの人がいるか、そういうことをやつて原案をつくつてあなた方の方で申請とかあるいは意見を出すというようなことはやつているのではないですか。
  202. 伊藤美代治

    伊藤証人 それはやつております。
  203. 山口武秀

    山口(武)委員 あなたもやつておりますね。
  204. 伊藤美代治

    伊藤証人 やつています。
  205. 山口武秀

    山口(武)委員 あなたは先ほどから、山形県の気象条件のために工事が一年のうちに百日しかできないということを何回も繰返しておりましたが、このようなことは初めからわかつていたことですね。
  206. 伊藤美代治

    伊藤証人 それは一般的で、東北は……。
  207. 山口武秀

    山口(武)委員 ちよつとお待ちください。山形県というのは気候の関係から一年のうちに百日しか仕事ができないということはわかつていたことでしよう。予算をもらつてからこれでは仕事がやれないというようなことになりはしないだろう。初めから百日しかやれないから、そのつもりで予算を組んで、もらうような方法をとつたらどうだつたか。そうやるのが当然ではないか。なぜそれをやらないか、こう言つているのです。
  208. 篠田弘作

    篠田委員長 それはさつきの四分割の話だ。
  209. 伊藤美代治

    伊藤証人 この点につきましては大体の月の標準がございまして、一箇所の川だけ特別に諸掛をよくするとか、そういうことはできないのであります。それで一般並に設計書を組んで提出しなければならないのであります。
  210. 山口武秀

    山口(武)委員 特別な組み方ができないといいましても、実情がそうであるというならば、あるいはそれに対する了解事項とか、あるいは何だとかということで、こういうような組み方をされては事業ができないから、総合してもらわなければならないという、特別の措置を具申しているということがないのですか。     〔発言する者あり〕
  211. 篠田弘作

    篠田委員長 静粛に願います。
  212. 伊藤美代治

    伊藤証人 その点につきましては、予算が等分に出されているのでございまして、しかも遅れて来るのでございますから、私らとしては、よく上司と相談してやつてつたわけなのでありますが、打開することはできませんでした。
  213. 山口武秀

    山口(武)委員 そのような実情なので上司と相談してやつたということを言われましたが、そうなりますと、やはりこういうような措置をとつたのは、あなたは上司と相談してやつたわけですか。
  214. 伊藤美代治

    伊藤証人 黙認していただいたわけです。
  215. 山口武秀

    山口(武)委員 あなたは先ほど黙認ということを言つた。ところが今相談して、向うで返事をしないのにやつたと言う。黙認という意味の内容はどういうことです。
  216. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたはさつき委員長の質問に対して、黙認してもらつた、あなたが独断工事をやつているのを知らぬ顔をして上の者が通した、こういうふうに言つた。ところが今あなたはここで、相談をしてやつたと言つておる。そこでその黙認ということは、相談したのを向うでは返事をしないで横を向いて黙認したというのか、相談をしないで、向うが黙認しておつたのか、どつちなんだということを山口委・員が聞いておるわけですが……。
  217. 伊藤美代治

    伊藤証人 その点につきましては、一応相談して、黙認していただいたわけなんです。
  218. 山口武秀

    山口(武)委員 相談をして黙認したということになりますと、これは黙認というより、お互いの了解の上でやつたということになると思うのですが、いかがですか。
  219. 伊藤美代治

    伊藤証人 その通りです。
  220. 山口武秀

    山口(武)委員 それから先ほど証人東北地方建設局から経費の割当文書で頼まれて送つたということを言われておりますが、あなた自身として初めにこの割当が来たときに、これはどういう性質のものだろうか、普通から申しますれば、この経費というものは工事の方へ来ておる、建設局の方へ送るべき性質のものではないのだということは、当然事務所長としてそのくらいの判断力はなければならないはずですが、それにもかかわらず、割当が来たから金を送りましたということについては、少々私は受取りがたいものがある。どのような状況で、これはおかしな割当だなと思つたにもかかわらず金を送られたのか、あるいはそういうような割当があるから、そのときは送りなさい、そういうような流用をしなさいというようなことが、あらかじめあつたのか、ただ文書だけであなたはそういう措置をなさつたのか、その点はいかがですか。
  221. 伊藤美代治

    伊藤証人 本局におきまして、補助員給料や何かを——当事務所にもおりますが、補動員の給料や何か支払いもできないでいる状態で、悪いと思いましたが、これを架空人夫から支払つたわけでございます。
  222. 山口武秀

    山口(武)委員 たとい東北建設局の方で事情がどうであろうとも、事務所長とすれば、これはこの工事のためのものだから、そちらへは送られません。それともあらかじめあなたが先ほど言われたように、こういうことをやるについて東北地方建設局と了解のもとに、あるいはさらに進んでは共謀のもとに、こういうようなことを組んだとするならば、割当が来たから送つたというのも、これはすなおにとれる、こう思つたのです。それでお聞きしておるのであります。
  223. 篠田弘作

    篠田委員長 これは山口委員の先ほどの質問に対しては、本人は通知が来たから悪いと思つたけれども送つたというふうに言つていますから、それでいいのじやないですか。
  224. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これはこの委員会の事務局で調べた資料によりますと、とにかく詐欺みたいなことをして手に入れた金の中で、残つたものがあるからお返ししたという金があるようになつていますが、そういう金はあるのですか。
  225. 伊藤美代治

    伊藤証人 それにつきまして、残つた金が百三十万ばかりありますが、それはまだ仙台の地建で許可なつていませんから、還付になつていません。
  226. 加藤充

    ○加藤(充)委員 額は幾らですか。
  227. 伊藤美代治

    伊藤証人 百三十万円見当だと思います。
  228. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これはだれがどこにどういう形で持つていた金なんですか。
  229. 伊藤美代治

    伊藤証人 これにつきましては、架空人夫をずつと出しまして、その残金を全部支払うようになつておりましたが、途中におきまして、工事を能率よくやつた残金でございます。
  230. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そうすると、かからないものを余分に引出しておくという形になるのですか。あなたはさつき立てかえをした立てかえの計算で、その不足分を取出すとかなんとかいう話でしたが、あらかじめかからないものをひつぱり出すわけですか。
  231. 篠田弘作

    篠田委員長 これは要するにかからない金を全部で一億八千万円ばかり引出してしまつておる。あなたは遅く来られたからわからないかもしれませんが、一億八千万円ばかりの金を工事にかからない前にかかつたことにして引出してしまつた、そういうのがこの事件の本質です。そのうち百五十万円が残つておる、こういうことになつておる。
  232. 加藤充

    ○加藤(充)委員 百三十万円はどこにどういう形で残つてつたのですか。だれが持つてつたのですか。
  233. 伊藤美代治

    伊藤証人 それは銀行に入つていまして、銀行の預金になつています。
  234. 加藤充

    ○加藤(充)委員 だれの名儀で預金になつておるのですか。
  235. 伊藤美代治

    伊藤証人 事務所長の名義になつております。
  236. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 証人にお伺いいたしますけれども、この工事は二十二年から何年間の計画で、総工事価格は幾らなんですか。
  237. 伊藤美代治

    伊藤証人 二十二年から二十五年まで、八億七千五百万円です。
  238. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 総括的に一つお伺いしますが、これは初年度にから点検をやつて一億二千五百万円という金を借りておつたわけですか。いつごろからですか、二年度からですか、初年度のすぐ初めからですか。
  239. 伊藤美代治

    伊藤証人 それはずつと後でございます。
  240. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 いつごろからですか。
  241. 伊藤美代治

    伊藤証人 昭和二十二年の十一月ごろに起つたのです。
  242. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 昭和二十二年の十一月ごろからと申しますと、一体その直轄工事につきましては、部分的な直轄工事をそのまま下請するというのは許されないでしようけれども、部分的な工事下請ということは本省なり、つまり建設省なり地建なりの許可があればできるのですか、できないのですか。
  243. 伊藤美代治

    伊藤証人 許可があればできます。
  244. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 部分的なことはやれるのでございますね。
  245. 伊藤美代治

    伊藤証人 ええ。
  246. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そうしますと、この調査によりますと、予算の令達が遅れる、しかも工事は急がなければならぬから、こういうことをやるということになると、あなた方は工事の責任者として工事を急ぐ責任もございましようから、制度それ自身について、あなた方の立場から非常な欠陥があるということをお認めになりますか、なりませんか。その点をひとつ聞かしていただきたい。
  247. 伊藤美代治

    伊藤証人 制度に欠陥があると思います。
  248. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 どういう欠陥ですか
  249. 伊藤美代治

    伊藤証人 短年度の認証制度は非常に欠陥があると思います。
  250. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 短年度ですか。
  251. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  252. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それでは別の観点から聞きますが、継続工事でない、一年限りの工事については、こういうことを普通やつておりますか。やらなくても済むんじやないですか。
  253. 伊藤美代治

    伊藤証人 一年限りの工事におきましてはどうしても工事期間の少いものにおいては、起きるわけなんです。
  254. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 一年限りのものにおいては、それでは工事期間とか、つまり一年に百日しかできないとか、あるいは春だけとか、あるいは秋だけというようなものもあるかもしれませんけれども、予算の令達というものがなされたときにやれば、こういうことはする必要はないじやないのですか。
  255. 伊藤美代治

    伊藤証人 予算の令達が、四月二日から労力費なり材料費なり、すぐ使える金があれば、こういうことは起きないと思います。
  256. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 配付が遅れたときはどうです。配付のときに始めるというのですか。
  257. 伊藤美代治

    伊藤証人 それが二箇月遅れますと、いわゆる工事時期が過ぎまして、年度内に完成はむずかしいのであります。
  258. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そういうふうに令達配付というものが工事期間が過ぎるように遅れるような場合が非常にありますか。あるとすれば、それはあなた方の意見具申によつて改むべきものではないのですか。というのは、これは国全体の問題でないかと思うのですが、どうですか。
  259. 伊藤美代治

    伊藤証人 毎年と申しましても、大部分の年は令達が遅れて来ています。
  260. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 一億二千五百万円余の仮点検というのは一体から人夫で総数どのくらいになりますか。
  261. 伊藤美代治

    伊藤証人 約百万人だと思います。
  262. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 これはその年においてこういうふうな借り方をして非常に問題を起さなかつたのですか。疑問と思われなかつたのですか。つまりその問題が銀行なり、金融機関なり、またあなた方なり、あるいは地建なり、建設省なりによつて非常に疑問とされるようなことはなかつたのですか。
  263. 伊藤美代治

    伊藤証人 その点に関しましては、ある程度問題があつたかもしれないと思います。
  264. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 一点がけお尋ねいたします。私は遅くなりましてあるいは重複し質問になるかも存じませんが、この最上川下流工事に関する金が正当に使われておるかどうか。何かそこにやり方に間違つて支出されておるようなことがあるかないかということの第一次的の監督というか、査察の責任はたれなんですか。
  265. 伊藤美代治

    伊藤証人 その点に関しましては局長でございます。
  266. 篠田弘作

    篠田委員長 何局長ですか。
  267. 伊藤美代治

    伊藤証人 東北地建局長です。
  268. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 東北地方建設局長、これが第一の責任者ですか。
  269. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  270. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 あなたはどういう責任があるのですか。
  271. 伊藤美代治

    伊藤証人 私は全面的工事、現場的な工事を全責任を持つてつています。
  272. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 あなたは工事に対する監督あるいは査察の責任者である。しかし金銭がどういうふうに支出され、どういうふうに運転されておるかということに対してはあなたは何の権限もないのですか。
  273. 伊藤美代治

    伊藤証人 ……。
  274. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの上の責任者は東北地方建設局長だけれども、工事の第一の責任者は、あるいはそこで工事費をどういうふうに使つておるかということの責任者はあなたでしよう。
  275. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  276. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの判がなければ銀行からもどこからも金は出やしない。だから、あなたが第一の責任者だ。あなたの上の責任者は地方建設局長、こういうことになるのでしよう。
  277. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  278. 篠田弘作

    篠田委員長 委員の質問はそこを聞いている。
  279. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 どういうわけですぐ私の問いに対して答えができないのです。あなたは工事事務所長であるから、第一次的な責任者は何人かということを私は問うた。そうすると、建設局長の名前をあなたは出した。そこで私があなたの責任じやないのかと質問したのに対して、あなたは答弁しなかつた委員長の問いに対して承服的な答弁だつたと思うが、この工事に関する金銭上の問題についての監督、指導あるいは査察の第一次の責任者は何人でありますか。
  280. 伊藤美代治

    伊藤証人 それに関しては自分でございます。
  281. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、建設事務所長にあるわけですね。
  282. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  283. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、あなたのすぐ上の監督の任にある者は、先ほどあなたが申された建設局長ですか。
  284. 伊藤美代治

    伊藤証人 そうでございます。
  285. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、第一次の責任者があなたであり、あなたは現場におつて監督しておるわけであるが、そのあなたに対する監督者は局長だということであるが、局長はあなたのやつておる工事の金銭的の問題について、いかなる方法でもつてあなたを監督し査察しておるのですか。
  286. 伊藤美代治

    伊藤証人 建設局はその下に工務部それから庶務部というものがありまして、各部長がよく監督していただいているわけなんでございます。
  287. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それからその監督の方法はどうですか。あるいは帳簿を点検するとか、あるいは質問するとか、あるいは工事を見てまわるとか、そういうことを事実上やつているか。あるいはその法律上の責任は局長にあるというだけで、実際上は何らの行為もしていないのかどうか。その具体的な監督の方法であります。
  288. 伊藤美代治

    伊藤証人 工事に関しましては、事実工務部長が現場に巡視されて監督、査察されていられます。それから金銭上に関しましては、庶部部長も随時——最近は少いですけれども、監督、査察して帰られています。
  289. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、局長の責任であるが、実際現場へ来て査察するのは東北地方建設局庶務部長ですか、金銭上の問題については、そういうことになりますか。
  290. 伊藤美代治

    伊藤証人 その通りであります。
  291. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、近ごろあまりやらぬがというような話であるが、一体年間にそういう査察を何回くらいやつておりますか。
  292. 伊藤美代治

    伊藤証人 年間に四、五回来ます。
  293. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、最も近い査察はいつやりましたか。
  294. 伊藤美代治

    伊藤証人 九月の末ころでございます。
  295. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 九月の末ころ査察をして、今当委員会で問題になつているようなことが明らかになりましたかどうですか。
  296. 伊藤美代治

    伊藤証人 明らかになりつつあります。
  297. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、本件のような問題が明らかになりつつあるというのだが、最初明らかになつたのはいつころからなんですか。
  298. 伊藤美代治

    伊藤証人 それは去年の十月ころからでございます。
  299. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それは何人の査察からそれが発覚して来たんですか。何人がそれを発見したのです。
  300. 伊藤美代治

    伊藤証人 それは警察でございます。
  301. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 警察がやるまでの間は、そういう庶務部長というようなものがおいでになつても、全然わからなかつたのですか。そういうことになりますね。
  302. 伊藤美代治

    伊藤証人 そうです。
  303. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、庶務部長が金銭の出入りについて調査に来るということは、どんなことを調査して行くのですか。あなた方は庶務部長が来ますと大いに歓迎なさるのですか。
  304. 伊藤美代治

    伊藤証人 夕食を共にするくらいの程度です、別に大したことはありません。
  305. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 庶務部長が来ても、夕飯を食うくらいだというのですか。
  306. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  307. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そして庶務部長は、警察がわかるようなことをどうしてわからなかつたのですか。
  308. 伊藤美代治

    伊藤証人 赴任早々でわからなかつたのです。
  309. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、あなた方も事の真相は報告してなかつたわけですか。
  310. 伊藤美代治

    伊藤証人 報告はしていました。
  311. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 その庶務部長なるものに、報告してあつたのですか。
  312. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  313. 篠田弘作

    篠田委員長 猪俣君、途中からお出でになつたのでわからないかもしれませんが、証人はさきに上司との間にはこの問題については了解があつてつておるということを述べておるのです。
  314. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それでは話にならぬです。それでは質問は打切ります。
  315. 篠田弘作

    篠田委員長 他に御発言がありますか。
  316. 田渕光一

    ○田渕委員 私もあとから来てわかりませんが、証人は二十年十一月から就任されて、本年、二十六年三月この問題が起きた。それで私は尋問事項のこの資料を見ると、まだ最上川下流工事事務所長という肩書きですが、現在でもそうでありますか。
  317. 伊藤美代治

    伊藤証人 現在でもその通りです。
  318. 田渕光一

    ○田渕委員 このようにまことに三歳の童子といえども悪いは悪い、いいことはいいとわかつておる。まつたくあなたの良心さえしつかりしていたら、拒絶できるものをしないでずつとやつて来て国民の血税に迷惑をかけて、なお検事局の問題になつておるにもかかわらず、現在その所長の職にとどまつておられるというのですか、辞表でも上司に出しましたか、それを伺いたい。
  319. 伊藤美代治

    伊藤証人 辞表は出しません。始末書を出しています。
  320. 田渕光一

    ○田渕委員 大体こんなことは始末書で済むと思つていますか。少くとも一億何千万円というような金をいただいて、現場の事務所長たる者が、赴任早々の庶務部長あたりを酒で殺して——これはあなたはここで言わんけれども、おそらくこれは山形なら山形検事局が調べて、当時の遊興費なり調べ上げたに違いないと私は思うのです。あなたは現場でもつて監督するどころか、まず下請負人に飲まされている。中央から来る者には飲ましているからこういうことになる。そして始末書一本で済むなんて……。あなたはなるほど酒田の有望家のうちかしらぬけれども、正直にも程度がある。あなたの正直はばか正直というものだ。けしからぬ話だ。大体魂が入つておらぬ。そういうことを粛正しようというのが当委員会の使命だと思います。あなた方を罪で何年ぶち込むとかへちまということは、これは司法裁判所にまかしておけばいい。どこに欠陥があるのかということは、制度に欠陥があるということはわかつておる。そんなことは連絡会議やあるいは打合せ会議が毎月あるのだから、そのときに、二十年から今日まで、六年の間に、一回でもあなたが上司に、これではいかぬ、予算が遅れて来て必ず不正が出て来る。また建設局割当もけしからぬ。こういうことでは、ほんとうに完全なる国民を代表するところの公僕として勤まりませんということを、一回でも会議で述べたことがありますか。
  321. 伊藤美代治

    伊藤証人 その点はまことに申訳ありませんが、たびたび申し上げた次第であります。
  322. 田渕光一

    ○田渕委員 たびたびだれに申し上げました。そういうことはいかぬということを……。
  323. 伊藤美代治

    伊藤証人 事務所会議のとき、局長に向つて申し上げました。
  324. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると上司は何と言つたのですか。黙つてつておれ、かまわぬ、中央は甘い、会計検査院もあるいは国会の決算委員会も文句は言うまい。おれさえ判を押しておけばいいというような意味で、黙つておれと言つたのですか。
  325. 伊藤美代治

    伊藤証人 そういうことは言われませんでした。その点まことに私としても男らしく申訳ないと思つております。
  326. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど同僚委員の質問に対して、接待をしたものに国会議員は来なかつたという話がありましたが、往々にしてその国会議員が災害調査に行くと、宴会を設けておるようなことがある。われわれはそれを拒絶いたしておりますが、たまたま国会議員でも視察に行くと、それにたかつて来るのは県会議員、あるいは地方の土木事務所長、あるいはその関係者などが来るのであります。この接待でも、たとえば庶務部長が来ても、夕食を食うくらいなことだと言うが、大体東北山形県のような寒いところで、酒の強いことは知つている。人種的に非常に強い。一升や二升飲んでも酔うような人間はいない。そんなような夕食をしたくらいでは、ごまかせはしないが、大体接待をしたのは、幾たりくらい関係しておるか、それを聞きたい。
  327. 伊藤美代治

    伊藤証人 大体八百人と先ほど申しました。
  328. 田渕光一

    ○田渕委員 私はあとで来たのですが、延人員八百人というのですね。
  329. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  330. 田渕光一

    ○田渕委員 それからこの百万人からの幽霊人夫を使うて、警察からあがつて来るまでわからなかつた。警察があげたという動機は、諸君があまりに遊興に、いわゆる料亭に出入りがはなはだしいからあがつて来たのか、それとも工事が不正だという地元民の声が出て来たのか、これを聞きたい。
  331. 伊藤美代治

    伊藤証人 不正というようなことは全然ありません。
  332. 田渕光一

    ○田渕委員 はつきりしません。もう一度……。
  333. 篠田弘作

    篠田委員長 工事の不正は全然ないということですか。
  334. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  335. 篠田弘作

    篠田委員長 証人、もつとお答えをわかるようにはつきりお答えなさい。不正ということは全然ないとあなたは言うが、それは工事に対する不正はないというのですか。
  336. 伊藤美代治

    伊藤証人 はい。
  337. 篠田弘作

    篠田委員長 それであつたら田渕委員から二つの質問があるのです。遊興がはなはだしいからあがつたのか、工事の不正のためにあがつたのかということを質問をしておる。不正がないということは言われたのですが、遊興がないということもあなたは肯定するのですか。もつとわかりやすく言いなさい。
  338. 伊藤美代治

    伊藤証人 遊興の方も、これも問題になつていません。ただいつか職員が砂利の金を千円ばかりごまかしたというようなことがあつたので、それからあがつたわけであります。
  339. 田渕光一

    ○田渕委員 たとい千円にしろ、それは九牛の一毛だろうと思う。その砂利の不正からあがつたとするならば、たとい護岸工事にいたしましても、あるいは橋梁のピヤーにいたしましても、一、三、六で割当てておるものに対しては、おそらく私は一、三、六というものを使つていなかろうと思う。われわれの想像では……。結局国のこの大きな予算を使いながら、不正な工事をする、不正な工事をするからまた災害でやられる、またやり直す。結局根本というものは、現場所長のあなた方の精神がくさつておるからろくなものはできない。工事の不正はないといえども、おそらくコンクリートをぶち割つて見て、科学的に分析すれば、一、三、六のセメントを使つていなかろうと思う。こういうような工事の不正がないという点について、はつきり断言できますか。はつきり一、三、六でできておるということを、現場監督をして見ておつたということを、あなたは断言できますか。     〔委員長退席、内藤(隆)委員長代   理着席〕
  340. 伊藤美代治

    伊藤証人 その点は断言できます。
  341. 田渕光一

    ○田渕委員 この工事下請は一体何組です。
  342. 伊藤美代治

    伊藤証人 大きいところは大林組、それから戸田組、それからあとは地元の業者でございます。
  343. 田渕光一

    ○田渕委員 私は決して証人を追究し、証人を困らすために言うのじやない。日本の全土木出張所長証人のようなまるつきり魂の抜けた、不正であろうと、不善であろうと、中央の言うことは何でも聞くというようなロボツトみたいな人間のおることを少くするために、われわれはほんとうに国民の代表として言わなければならぬ。少くとも……。そこで、私は申し上げるのでありますが、あなたは辞表も出しておらずに、始末書一本でこれを片づけようという、おそらく刑の量定は司法裁判所でやるでありましよう。われわれは法の不備に対しては、当委員会は会計検査あるいは決算委員会、あるいは大蔵省、建設省に勧告すべきことがあれば勧告いたしましよう。この結論の結果。しかしあなたは今日こういうような不正事件を起し、北海道から九州までの全国の土木出張所長のこういうような不正なことをやめさせんがために、代表してでも辞職するというような心境は今日ありませんか。どうです。
  344. 伊藤美代治

    伊藤証人 その点につきましては非常に恐縮していまして、これからいかような処罰がありましても、甘んじて受けるつもりでおります。
  345. 田渕光一

    ○田渕委員 処罰を受けるだけでは相済まぬのです。私に言わせれば……。ほんとうに範を示す上において、われわれもまたここで声を大きくして言うのは、全国にこの声は響くという——報道機関をもつて、あるいはその他をもつて、不正をしたところは天の神も仏も見ておるぞ、検察庁もにらんでおるぞ、警察もにらんでおるぞ、国家警察も自治警察もにらんでおるぞ、大衆も目をもつて見ておるぞ、さらに国会というものが見ておるのだということを、よく徹底さしたいのであります。すべて終戦後における吏道の、要するに何といいましようか、綱紀の頽廃といいましようか。まるつきり上の言うことさえ聞いて、よけいなことをしないで、盲判さえ押しておれば、自然とところてん式に昇給して行く、あるいはそれがために自己の家庭が維持できる、生活のために子どもが大勢おる、今首を切られたらいかぬ。上司にさからつて首を切られたのでは生活がたたぬ。そういうような場合に、ほんとうに中央から曲つたことが来れば、敢然とこれをけるような硬骨漢の公僕の出ることをわれわれは望んでいるのです。これを私はあなたに言いたい。始末書一本だけではいかぬ。ほんとうになるほど罪を負う、責任を負うと言うが、今日まであなたはこの問題が起つて半年もたつておるのにまだ便々として始末書一本出して……そういう精神だから土木工事は一億どころではない、百万円の工事さえ君らに監督する資格はない。私は非常に憤激にたえない。その態度からあらゆるこういう不正が起る。  そこで私が先ほどちよつと聞いたことでありまするが、大体東北地方の工事は、すべて気象、天象、自然の不可抗力になすりつける気味がある。最上川は百箇日ぐらいしか仕事ができないというが、私は山形県の東村山郡や置賜郡に行つて見て来たが、春三月、彼岸二十日というものが過ぎれば、大体通行ができる。四月は仕事ができないにしても五、六、七、八、九、十月はできる。十一月の下旬から雪が降つて仕事ができないということがあるけれども、少くとも六箇月、百八十日の工事期間があるのに、制度の欠陥上予算が来るのが一月や二月遅れたからというのでこういうことをしたということは解せないのですが、実際百箇日しか仕事する期間がないということの資料がありますか。
  346. 伊藤美代治

    伊藤証人 しからば資料を持つて来ておりますから、ごらんになつて……。
  347. 田渕光一

    ○田渕委員 私は見なくてもよろしい。稼働日数というものがあるわけでありますから、それをひとつ委員会に取止げていただき、それによつて実際において百日間の稼働しかできないか、あるいは百五十日間できるか。その日が晴であつたか曇天であつたか、晴雨のあれが出ていなければならぬ。こういうような資料は当委員会に御提出願いたい。その上において検討いたします。
  348. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 伊藤証人、それは当委員会に提出する……。
  349. 伊藤美代治

    伊藤証人 はあ。
  350. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 いいですか、田渕君。——他に御発言がなければ、これにて伊藤証人に対する尋問は終了いたしました。証人は長い間御苦労さまでした。  暫時休憩いたします。午後は一時半から再開いたしまして、佐藤証人より証言を求めることにいたしたいと思います。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時五十二分開議
  351. 篠田弘作

    篠田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  公共事業費をめぐる不正事件について調査を進めます。佐藤証人証言を求むることになりますが、ただいまお見えなつていらつしやる方は佐藤清見君ですか。
  352. 佐藤清見

    ○佐藤証人 さようでございます。
  353. 篠田弘作

    篠田委員長 あらかじめ文書をもつて御了承願つておきました通り証人として証言を求むることになりましたので、さよう御承知ください。  ただいまより公共事業費をめぐる不正事件について証言を求むることになりますが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人佐藤清見君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  354. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは宣誓書署名捺印願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  355. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。証人は現職にいつ就任されましたか。
  356. 佐藤清見

    ○佐藤証人 昭和二十五年七月です。
  357. 篠田弘作

    篠田委員長 それ以前は。
  358. 佐藤清見

    ○佐藤証人 その以前は、昭和二十四年四月に阿武隈川上流工事事務所長になり、そして当所の兼務を命ぜられました。
  359. 篠田弘作

    篠田委員長 最上川上流工事不正事件というものをあなたは知つていますか。
  360. 佐藤清見

    ○佐藤証人 私直接あとの整理に当つた者でございますのでわかつております。
  361. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたが整理されたんだね。あなたのとき起つたんじやない、前任者のとき起つたんだね。
  362. 佐藤清見

    ○佐藤証人 さようでございます。
  363. 篠田弘作

    篠田委員長 それはどういう実情でしたか。
  364. 佐藤清見

    ○佐藤証人 概括的に御説明申し上げますと、最上川上流工事事務所におきましては、二十二年の十一月から二十五年の六月までにおきまして総額三千四百万ばかりの工事費を捻出いたしたわけであります。その捻出いたした方法と申しますのは、一部出て来ます直営工事人夫賃の中にからの人間を加算いたしましたり、また一部入らなかつた材料を入つたことにいたしまして、これを捻出いたしたわけであります。その捻出いたしました約三千四百万という工事費のうち、二千百万円をまた工事に還元して使つております。あとの残りました額の約六百万円を直接の工事費以外の間接費に使つておりまして、現在貯金通帳として預かつておりますのは六百八十万円ございます。その間接費の大体の内訳を申し上げますと、工事費支弁の職員給料並びにこれの超過勤務手当として払いましたのが約三百五十万円ばかり、それから接待費といたしまして約七十九万円ばかり支出しております。そのほか予算不足、正当支出するのに非常に困難だと思われます非常にこまごましたもの、そういうものが積り積つて百十万円ばかりになつておりますが、そのほかにあとは厚生費として十何万円、あと交通費、そういうものに残金を支出しております。予算面から御説明いたしますと、大体最上川上流の今度の事件というものは以上のようであります。
  365. 篠田弘作

    篠田委員長 三千四百万円の工事費のうち、から超過勤務料とか接待費給料、そういつたような直接工事関係のないものに金を浮かしたわけですね。それは約六百万円浮かしたのですね。
  366. 佐藤清見

    ○佐藤証人 約六百万円です。
  367. 篠田弘作

    篠田委員長 現在六百八十万円の預金があるのですね。その中からまたそういう間接費が持つて行かれるのではないのですか。
  368. 佐藤清見

    ○佐藤証人 これは事件が起きましてから完全に検察庁から保管を命ぜられたのでありまして、そのまま保管いたす義務額が二百万円ばかりございます。これを支払いました残額は国庫に返納することになつております。
  369. 篠田弘作

    篠田委員長 三千四百万円の工事費のうちからすでに六百万円あれしておりますれば、二千八百万円の工事ができ上ることになつて、非常に悪い工事ができるわけですね。それとも前もつてそれだけのことを予想に入れて予算を組んでおつたのですか。
  370. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そういうわけではございません。三千四百万円出しましたうちから二千百万円を工事費に使いまして、残金が約六百万ございます。その六百万の工事分の工事量が残工事として残つております。これは今推算いたしますと約四百万円ばかりになりますが、これは今工事が実際に残つております。結局その工事をやりますためにいろいろな諸条件で押えました金が、工事をしない前にこの事件になりまして、施工不能になつたわけです。
  371. 篠田弘作

    篠田委員長 その金は残つているけれども、工事はできないというわけですな。
  372. 佐藤清見

    ○佐藤証人 金も残つておりますし、工事も一部残つておる、こういう状況であります。
  373. 篠田弘作

    篠田委員長 やろうと思えば現在金はあるのだから工事はできるのだけれども、その金は検察庁から押えられてしまつたために、工事ができないわけですな。
  374. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そういうわけです。
  375. 篠田弘作

    篠田委員長 それからやつた工事も、浮かしただけは不完全な工事なつておるということですな。
  376. 佐藤清見

    ○佐藤証人 大体やりました工事を見ますと、設計に匹敵する程度工事はやつております。私計算したのですが……。
  377. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると初めから六百万円を抜かしても設計通り工事ができるということになれば、六百万円よけいに申請してあるということになるわけですな。
  378. 佐藤清見

    ○佐藤証人 正当にやつて行きますならば約三百万と六百万——六百万ですね、約六百万円くらいは残金として残るはずであつたわけであります。
  379. 篠田弘作

    篠田委員長 初めからそれだけの予算をとつてつたわけですな。
  380. 佐藤清見

    ○佐藤証人 二十二年から二十三年までの工事費というのは、物価その他の関係で二十二年度の予算は割合に余分を見込んだような設計になつておりました。そのくらいは工事を多くやるかあるいは残金になつて残るべきはずであつたのです。
  381. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると工事事務所長の提出した材料によつて予算が組まれるわけですね。
  382. 佐藤清見

    ○佐藤証人 ええ。工事事務所長といたしましては、箇所ごとに、大体各四半期ごとにどのくらいの予算をくれということを、本局を通じて建設省の方に要求いたすわけです。
  383. 篠田弘作

    篠田委員長 そうするとどこの工事事務所長でも、予算というものは上まわつて見ておるわけですか。あなたもほかでやつておられたようですが……。
  384. 佐藤清見

    ○佐藤証人 場合によつては、箇所ごとに見ますと、一箇所の方には多少足らぬ部分も出て来るわけです。推算違いで多少は……。ところが全体的に見ますと、多少の余裕が出て来るというのが今までの例です。
  385. 篠田弘作

    篠田委員長 予算の配付が非常に遅れるために実情に即しない。そこで金が来るまで待つておると工事ができないので、幽霊人夫やその他で金を浮かす。こういうふうにさつきの証人もいつておりましたが、実情はやはりそうですか。
  386. 佐藤清見

    ○佐藤証人 ええ。先ほども申しましたように、予算の要求は各四半期別、大体事務所の要求通りなんですが、実際の配付は今までの例から言いますと、一箇月半くらいずれて来ます。額は同じですが、時期的にずれがございます。
  387. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると予算が四半期にわけて配付される。しかるに工事東北のような地理的条件のあるところでは、百日くらいきり、ことに山形あたりではできない。そういうさつきの証人証言でありましたが、あなたは上と下とは違うけれども、結局百日くらいきり山形県では工事ができないですか。
  388. 佐藤清見

    ○佐藤証人 資料も持つて来ておりますが、雪が降りますのは十一月の中から三月一ぱい雪が積つておりまして、特に下流よりも上流、山形地区の方が降雪量は多いのであります。それで大体十二月から三月までは土工なんかは全然できない。大体平均五尺積りますので、全然仕事ができないのに、予算は大体一箇月半も遅れて来るというので、非常に施工が困難になつて来るわけです。繰越しができればよいのですが、直営工事は繰越しも認められぬというような隘路がありまして、こういう事件の一端をなしたと考えられます。
  389. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの方からは、幽霊人夫あるいは材料というようなものによつて現金にかえて、その現金の中から給料とか超過勤務とか接待費使つたということだけですか、それともまた東北建設局から頼まれて金を送つたというような事実はありますか。
  390. 佐藤清見

    ○佐藤証人 二十四年だつたと記憶しておりますが、ごくわずかの金ですが、各事務所にもございますが、本局にもほんとうの職員でない工事費から支出しなくてはいかぬ補助の職員があるわけであります。これは本局としては工事費を持つていない関係から、その給料というものは大体出し得ないわけであります。それの給料を一部そこに送れというような書類が来たように記憶しております。
  391. 篠田弘作

    篠田委員長 それはあなたがどこにいたときですか。記憶しておるというのは……。
  392. 佐藤清見

    ○佐藤証人 最上川において。
  393. 篠田弘作

    篠田委員長 最上川上流工事でね。
  394. 佐藤清見

    ○佐藤証人 ええ。
  395. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたはその上流工事所長になる前にどこにおりましたか。
  396. 佐藤清見

    ○佐藤証人 福島におりました。
  397. 篠田弘作

    篠田委員長 福島なんかでもそういうことがありますか。
  398. 佐藤清見

    ○佐藤証人 はつきり記憶いたしませんが、そういう依頼状が来たように覚えております。
  399. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、この補助職員というものは工事費から当然支出するという建前で雇つておるのですかね。
  400. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そうです。工事費から支出をして雇うが、現場におれば工事費から正当に支出できるわけですが、局におるものは、工事費を持つていない関係上できないわけです。
  401. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、その補助職員というのはその工事のために臨時に雇い入れておるという意味ですか。
  402. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そうです。各現場にはそれがいるわけなんですが、局におきましても、本局員だけでは間に合わないというのでいるわけなのです。
  403. 篠田弘作

    篠田委員長 それはわかるが、最上川なら最上川の、上流なり下流工事をやるために補助がいる。であるからその補助の給料というものは工事費から支出する、こういう建前なつておるのですね。
  404. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そうです。
  405. 篠田弘作

    篠田委員長 それならば、その設計をするときに、どうしてそういうものの給料工事費の中に見込まないのですか。
  406. 佐藤清見

    ○佐藤証人 工事費の中に見込んであります。
  407. 篠田弘作

    篠田委員長 それは現場のは見込んでおるけれども……。
  408. 佐藤清見

    ○佐藤証人 局のは見込む方法がないわけです。
  409. 篠田弘作

    篠田委員長 それならば、工事費の中からごまかして送らないで、むしろそれを現場の人員にしておいて、局へ出張にしてつけるなり何なりさした方がいいのじやないか。
  410. 佐藤清見

    ○佐藤証人 いろいろなふうに考えまして、二十五年度からはたしかそうしております。
  411. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうように直つた……。
  412. 佐藤清見

    ○佐藤証人 各事務所に何人かずつを配付いたしまして、各現場から給料を支出してもらつてあるのです。
  413. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうふうにしないと、ぐあいが悪いですね。
  414. 佐藤清見

    ○佐藤証人 ええ。
  415. 篠田弘作

    篠田委員長 それから終戦後における資料の入手難というようなことで、なるべく早く手当をしたいというような関係から、材料は買つたことにして、現金を浮かして、その現金でもつて物を買つたというようなことはあるのですか。
  416. 佐藤清見

    ○佐藤証人 私が調べて見ましたところによると、そういう事例がございます。
  417. 篠田弘作

    篠田委員長 それから、もう一つやみ給与の問題ですが、やみ給与を二百八十万円ばかり支出しておるですね。これはどういうわけですか。
  418. 佐藤清見

    ○佐藤証人 やみ給与だけでは——私の記憶ではそうなつていないと思います。
  419. 篠田弘作

    篠田委員長 何ぼくらいになつていますか。
  420. 佐藤清見

    ○佐藤証人 私の記憶では、三百五十万円を諸給与に当てております。その中に、当然工事費から支弁する工事費支弁の職員の俸給まで、そのやみ給与の中に含めてあるわけです。これなんかは当然正当支出をすべきものを、人手が足りなかつたとがいろいろな関係上、いわゆるからで出したものから払つておる。そのために非常にやみ給与の額は多くなつておるわけです。
  421. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると帳簿の整理が悪かつたというわけですね。
  422. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そういうのです。要するに人の不なれというのが大部分であつたのです。人が少かつた関係上、あるいは事務整理がまずかつたために、そういうような処置をしてしまつた……。
  423. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると帳簿の方ではやみの給与なつておるけれども、実際はやみの給与ではないというわけですか。それともやみ給与の部分から払つてしまつたために、ほんとうの予算は余つておるということですか。
  424. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そういうわけです。当然工事費から支弁すべきやつで、正当支出できるわけです。それを現金を押えておつたために、それから簡便に出してしまつた。こういうような事務整理か……。
  425. 篠田弘作

    篠田委員長 その給料だけは余つておるわけですね。
  426. 佐藤清見

    ○佐藤証人 工事費の方に残つたわけです。
  427. 篠田弘作

    篠田委員長 その金はどうしました。
  428. 佐藤清見

    ○佐藤証人 先ほど申しましたように、残金の、現在保管している六百万円の中に入つているわけです。
  429. 篠田弘作

    篠田委員長 その中に残つておる……。そうするとこれは帳簿上の誤りということですか。
  430. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そうです。事務整理が悪かつたということになります。ほんとうの三百五十万円のやみ給与の中にそういうものも入つておりますので、ほんとうのやみ給与、いわゆる職員超過勤務とか何とかも一部出しておりますが、そういう予算がなければ当然出せぬものは、三百五十万円よりずつと少い額になつております。
  431. 篠田弘作

    篠田委員長 それはあなたが赴任して来てわかつたのですか。
  432. 佐藤清見

    ○佐藤証人 私が克明に調べてみまして、大体そういうことがわかつたのです。
  433. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたが前任者の整理をするために調べてわかつたわけですね。
  434. 佐藤清見

    ○佐藤証人 はい。
  435. 篠田弘作

    篠田委員長 それから接待費が百八十万円ばかり出ておりますが、これはおもにどういうものに使いましたか。
  436. 佐藤清見

    ○佐藤証人 二十二年度から二十五年度の六月までの事件関係で私が調べましたのには七十九万円に大体なつております。これははつきり記憶しておりますが、百七十万円とはなつていないはずです。
  437. 篠田弘作

    篠田委員長 二十二年から二十五年までに七十九万円ですか。
  438. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そうです。
  439. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは一年当り幾らでもないな。
  440. 佐藤清見

    ○佐藤証人 二十万ぐらいです。
  441. 篠田弘作

    篠田委員長 東北地方建設局へ三十八万円送金しましたね。
  442. 佐藤清見

    ○佐藤証人 それは……。
  443. 篠田弘作

    篠田委員長 前の証人も私ここで尋問してあれしているのですけれども、やはり文書か何かで命令して来るわけですか。
  444. 佐藤清見

    ○佐藤証人 命令ではなかつたようですが、都合のつく事務所からは出してもらえないかというような、軽い意味文書つたと記憶しております。
  445. 篠田弘作

    篠田委員長 額は向うから三十八万円送れと言つて来るのですか。
  446. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そうじやないのです。このくらいの額になるから、できるだけこのくらい出してもらえないかという、軽い意味文書です。
  447. 篠田弘作

    篠田委員長 文書ですね。
  448. 佐藤清見

    ○佐藤証人 ええやはり書面です。
  449. 篠田弘作

    篠田委員長 向うの差出人の名前はだれですか、名前はわからなくてもいい、大体役柄でいいです。
  450. 佐藤清見

    ○佐藤証人 部長名だつたと思います。
  451. 篠田弘作

    篠田委員長 何部長ですか。
  452. 佐藤清見

    ○佐藤証人 予算関係庶務部長ですから、庶務部長工務部長連名ではなかつたかと思います。
  453. 篠田弘作

    篠田委員長 それから工事は切投げ工事をやつておりますか。
  454. 佐藤清見

    ○佐藤証人 私の調べましたところによると、二十二年度から約百万円切投げ工事をやつております。
  455. 篠田弘作

    篠田委員長 二十二年度から二十五年度までの間に……。
  456. 佐藤清見

    ○佐藤証人 ええそうです。
  457. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの方の工事は、下流から見ると非常に小さいわけですね。
  458. 佐藤清見

    ○佐藤証人 予算は非常に小さいわけです。
  459. 篠田弘作

    篠田委員長 予算の総額はさつき言われた三千四百万円ですか。
  460. 佐藤清見

    ○佐藤証人 二十二年度から二十五年度までの総計で二億九千万円です。
  461. 篠田弘作

    篠田委員長 二億九千万円のうち三千四百万円浮かしたわけですか。
  462. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そういうわけです。
  463. 篠田弘作

    篠田委員長 浮かした額が三千四百万円ですね。
  464. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そうです。それを工事費に還元しました。
  465. 篠田弘作

    篠田委員長 工事費に還元したのはそのうち二千百万円ですね。
  466. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そうです。
  467. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると千三百万円というものを別途のものに使おうと考えたわけですか。
  468. 佐藤清見

    ○佐藤証人 それも工事費などにまだ、さつき申し上げましたように、四百万円ばかり残つておりますから、その工事を当然仕上げるべきだつたのです。それを仕上げないでこの事件なつた、こういうわけです。
  469. 篠田弘作

    篠田委員長 それは千三百万円のうちから四百万円残つておる、こういうわけですね。
  470. 佐藤清見

    ○佐藤証人 ええそうです。
  471. 篠田弘作

    篠田委員長 予算はまだ成立しておらない、しかし実際の工事は急いでしなければぐあいが悪いといつた場合には、どういう方法をとつておりますか。
  472. 佐藤清見

    ○佐藤証人 二十五年度からわれわれとしてはいくら急いでやらなくてはいけないといつてもやらないわけですが、その事件当時は一部金がないのですから、人夫賃も払えない、資材の購入もできないわけです。それを人夫賃も払える、資材の購入もできる、いわゆる切投げ工事というものをやつたわけです。そうして一時立てかえさせておくわけです。
  473. 篠田弘作

    篠田委員長 業者に……。
  474. 佐藤清見

    ○佐藤証人 はあそういう手をとつておりました。
  475. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、業者は何百万円かの資材を立てかえて工事をするくらいだから、よほど資産のある業者か、さもなければよほど利益のある工事でなければできないと思いますが、その関係はどうですか。
  476. 佐藤清見

    ○佐藤証人 四箇所か五箇所やつたと思います。それで総額一千万円ですから、一箇所はそう大きいものではありません。
  477. 篠田弘作

    篠田委員長 四箇所で一千万円ですか。
  478. 佐藤清見

    ○佐藤証人 そうです。
  479. 篠田弘作

    篠田委員長 それでもそれを立てかえるということになれば相当の利潤か……。
  480. 佐藤清見

    ○佐藤証人 全部終らないうちに予算が来るわけですから、一箇月半くらいが大体正式に立てかえになるわけです、それが全額でございます。それも一人の業者ではありません、一箇所二百万円くらいが一箇月半の工事を——一箇月半ですから、せいぜい五、六十万くらいの立てかえになつております。
  481. 篠田弘作

    篠田委員長 立てかえた分については特に利益を見てやるとかあるいは謝礼をするとか、利子を払つてやるとか、そういう方法はやつておりますか。
  482. 佐藤清見

    ○佐藤証人 やりますときには、私見ましたですが、この工事を一立方米どのくらいでやるという契約書をとりかわしております。それはその陰の整理になります。そういうような契約書をとりかわしてやりました。
  483. 篠田弘作

    篠田委員長 どなたか御質問がありませんか——加藤君。
  484. 加藤充

    ○加藤(充)委員 やみ給与に支払つたということについてお尋ねしたいのですが、それも現場関係でなしに、本局関係まであなたの方は持たされた。大体やみ給与の支払い先はどういう方々ですか。
  485. 佐藤清見

    ○佐藤証人 やみ給与の内容をお尋ねになつたようでございますが、大体超過勤務手当、それから旅費の不足額、正式予算の来なかつたものは職員についてはこういうものでございます。それから工事費支弁の職員の分は給料ともあの額の中に入つておるわけです。     〔委員長退席、佐々木(秀)委員長   代理着席〕
  486. 加藤充

    ○加藤(充)委員 最近になつて事務職員取扱い要綱というようなものが出ておるようですが、あなたのところの関係なんかでは、前に首を切つて、定員法第三条による定員というもので職員の数をきめたけれども、それだけではとうていやつて行けない。それだけの仕事をやるのには結局定員法の定員というものが無理なんだ。こういうふうなところに臨時的な非常勤務の者を使つて行かなければどうも仕事がさばけない、こういうようなところからやみ給与というような問題が起きて来る原因があるかのように私は思われるのですが、その点はいかがでしようか。
  487. 佐藤清見

    ○佐藤証人 今御質問の通りでありまして、職員だけでは整理できませんものを、工事の量が急激にふえた場合に、工事費支弁の者をそのまわりから採用して使う、その工事が終りますればそれはやめさせる、こういう方法をとつておるわけであります。
  488. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それは結局工事が終つたらやめさせるという形で、なるほど非常勤的な雇用形態をとるようですが、それが実際は常動的になつて来て、定員外の定員もいわゆる定員の中の数に加えなければ始末がつかないような実情に立至つているのではないですか。
  489. 佐藤清見

    ○佐藤証人 御質問の通りでありまして、工事の補助者といたしまして採用したものの優秀なもののうち、一部分は建設局方面からも認めていただきまして、共済組合等にも加入さしているようなものもございます。
  490. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これは手当などをやつたりなにかするときにいろいろ問題になることですが、政府あたりでも非常勤勤務職員の中に常勤的非常勤というようなものを設けたり、非常勤的非常勤職員というようなものを設けたりして、非常にロジツク的なことで苦労しているようですが、結局あなたが言われたように優秀なものを残すということになるでしようけれども、非常勤的非常勤というのではなくして、常勤的な非常勤というような方々が多いのではないですか、実際上仕事をおやりになつている方には。
  491. 佐藤清見

    ○佐藤証人 ごく一部分は、先にも申しましたように二箇月を限つて採用している共済組合加入者がいるわけなんですが、それ以外のものにつきましては、常勤的ないわゆる非常勤とおつしやられるものは、大体機械の運転士とかあるいはその機械についております補助者とか、こういうものは工事が続いている間あるわけなんです。そうして、今は機械化のためにそういう方面がふえております、いわゆる事務の補助者としてはそう極端な数にはなつていないと思います。
  492. 加藤充

    ○加藤(充)委員 かりに二箇月で首を切るというような人たちにはそれはいいかもしれぬですけれども、常勤的非常勤になつてしまつている人たち、あなたの方のお仕事でも、年のうち百日くらいしか働けないということになるなれば、これは三月でしようが、三月というのは、あなたの計算から——一年の実働の日数を調べてみたところで三月になりますし、実際上は、予算というものはいろいろ問題がありましようが、少くとも一年単位に認証を受けるというような形になつて来れば、大体においてその工事が終るまでということになつても、一年は、二箇月に比べれば五回もやり直しをしなければならない。五回か六回、こういうことであつては、やはり非常勤の人でも雇つて使つて行かなければ仕事ができないではないですか。それはやはり首を切るということになつて、非常勤者の首を切つたりすることになれば、一年たつてから首を切るにしても、現場関係や直接お仕事をしている連中で気の毒だから、結局その間の給与その他手当の問題も何とかかつこうをつけてやらなければならぬというようなこともでき、結局やみ給与というのもあなたのおつしやつた中に含まれますか。
  493. 佐藤清見

    ○佐藤証人 実際問題といたしまして、机を並べているものですから、二箇月と限つてつたものでありましても、そういうものには、われわれ情といたしまして出したくなるのであります。
  494. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これはほかにいろいろ原因もあり問題もありましようが、給与の点から申しますと、今申し思いになりますか。
  495. 佐藤清見

    ○佐藤証人 今御指摘の通りでありまして、現在の制度といたしましては、切投げ工事というものは非常な弊害を伴うものであると思つております。二十五年度以降からは、局の方針といたしましても、これは絶対やめなければならぬというような方針になつております。この切投げ工事をやりますと、一部向うに施されているというような関係から、十分な監督もできない。あるいはその金を支払うにはどうしても公文書偽造をやらなければならぬというようないろいろな点がありますので、現在の制度といたしましては——切投げ制度はまことに都合のよい制度ではありますが、現在の状態におきましては、やむを得ざることであると思つております。
  496. 田渕光一

    ○田渕委員 この工事の、最上川上流なら最上川上流の起案というものは、現地の出張所長あるいは技官が組むのでありますか、それともこれは山形県土木部の、たとえば河川課なら河川課と共同して組むのでありますかお伺いしたい。
  497. 佐藤清見

    ○佐藤証人 設計書は一応現場の出張所長が単位を入れまして、原稿として事務所に出して来るわけであります。事務所で十分に検討いたしまして、浄書をいたしまして本局に出すわけであります。そうして本局から局長名で施工の承認が来るわけであります。その間単価、その構成そういう方面は十分検討されるような機構になつております。
  498. 田渕光一

    ○田渕委員 これの起案が現地の出張所長でされて、それを仙台の土木建設局へやる。そこで、たとえば局会議で決済をしまして、本省の係りの局でまたこういうような意味で一応工事設計書の決済を受けまして、今度はいよいよそれを裏づけるところの予算である。この予算のときにはやはり安本と建設省との会議において予算が仕組まれるのでありますか、裏づけされるのでありますか、どうでありますか。
  499. 佐藤清見

    ○佐藤証人 公共事業が全体的に成立します場合に安本に行くわけなんですが、一応建設省のわくがきまりますれば、一応内示を得まして、安本の認証を受けるわけであります。
  500. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで私が伺いたいのは、この制度の欠陥というものを早く直さなければならぬということに気づいて来たのでありまするが、たとえばそういうような場合には、安本、大蔵あるいは建設本省との間において予算の裏づけがされる。それが実施面に行きますると、結局建設省へもどつて、建設省から仙台東北建設局へ行く、それから現地事務所へ行く、こういうぐあいにやはりこれを裏づけて行くものが、現金の輸送であるとか、あるいは日銀の振替小切手であるとかいうことになるのでありますが、その書類と併行して、日銀の本店から仙台の支店、もしくは山形の支店に書類が行くのでありますか、それとも全然別でありますか、それを伺いたい。
  501. 佐藤清見

    ○佐藤証人 現在は安本の年一回の認証なんでございまして、安本から認証を得ますれば、負担行為ができるわけなんですが、それとは今度は別個に支出負担行為の示達というものが、支払い計画の示達というものが来なければ、全然着工できないということになつておるわけなんでありまして、実際工事をやつても金も支払えないというようなずれは、相当実際問題としては起るわけであります。
  502. 田渕光一

    ○田渕委員 こういうような点は制度の改革としてわれわれも大いに考えて直して行かなければならぬのでありますが、少くともこの支出担当官が不正な支出をしないために支出負担行為というものが制定されて、そうしてこれが孫子の代までも責任を追究してとるということになつておりますが、この支出負担行為というものが、土木出張所長にも課せられておりますかどうですか。
  503. 佐藤清見

    ○佐藤証人 現在は支出負担行為は、地建の局長だけとなつております。
  504. 田渕光一

    ○田渕委員 局長とすると、たとえば仙台東北建設局長でありますか。
  505. 佐藤清見

    ○佐藤証人 仙台の地方建設局長であります。
  506. 田渕光一

    ○田渕委員 かような支出負担行為の制度まで設けておるのに、なおかつこういうような不正が行われるということは、どこに原因があるかというようなことも、われわれは究明しなくちやならぬのでありますが、現地の出張所長のたとえばあなた——あなたは後任者でありますが、あなたが就任された二十五年の七月から、この問題が起りました——警察から発覚されてわかつて来たという本年の三月まで、約八箇月の間において、あなたの取扱つた書類の中にこの事件がありますかどうですか。
  507. 佐藤清見

    ○佐藤証人 事件が刑事事件になりましたのが、二十五年の六月でありまして、私が参りましたのが、二十五年の七月でありまして、この事件の整理のために私が行つたようなかつこうになつております。
  508. 田渕光一

    ○田渕委員 午前中の証人で非常に何したのでありますが、要はこの現地出張所長の精神問題だと思う。しつかりした人をつけなければ、相手が土木請負業者でありまして、必ず何とか虚につけ入ろうというのが彼らの狙いであり、私は今日そういう人はなかろうと思いますが、今日まではそうである。土方の請負師というものはさまつている。土方八町四面はおれのものだというくらいなものでありますから、私考えますのに、どうしても現地に硬骨漢でしつかりした所長を置かないと、なかなかうまく行くものではない。しつかりした人を置いても、予算的措置が悪い、あるいは書類の繁文褥礼と申しましようか、手続の遅れるために、こういうようなために求めて墓穴を掘つて行く。それを幸いとして不正工事をやつて、もうそれで逃げられて行くものだから、全国を通じて粗悪工事が行われたということに私は思うのであります。かような意味で、証人は今日現地の最上川上流の所長として、いかなることがあつて中央の命令あるいは東北建設局のたとい上司の命令であろうとも、自分の良心に反することは、ほんとうに公共の福祉を代表する公僕として、はつきり拒絶して行くだけの信念がおありかどうか、伺いたい。
  509. 佐藤清見

    ○佐藤証人 私赴任いたしまして、事後整理の関係もありますし、まわりで相当関心を持つておりますので、二十五年度の残余の消化、あるいは二十六年度、本年度といたしましての整理というものは、今御質問の通りほんとうに誠心誠意やつておりまして、ここの席上をおかりいたしまして断言いたしてもはばからぬと考えております。
  510. 田渕光一

    ○田渕委員 証人は、そういうような意味事件が起きまして一月後に就任されたというお話でありますが、証人が現地に赴任いたしましてから、そういう問題に関連しているものを左遷するとか、あるいは職場の変更をするというようなことをなさいましたか。
  511. 佐藤清見

    ○佐藤証人 私赴任いたしまして、ただちに感じましたことは、最上川工事事務所というものは昭和八年から着工いたしましたのですが、八、九、十、十一と大体それくらいの四箇年間は、現在の工事量によりますれば二億から二億五千万円くらいの厖大な工事を消化しております。そうして非常に進捗を見せましたが、十二年以降二十年、二十一年、二十二年と約十年間というものは、ほとんど目ぼしい工事をやつていなかつた従つて職員は相当長く勤務いたしまして、六級や七級職と、相当高級者になつておつたにもかかわらず、戦後のいろいろなむずかしい俸給、ことに新しい科目制度あるいは法律百七十一号の原価計算、こういうようなむずかしいことを処理するだけの弾力がなかつた、あるいは上に立つ人がこれを訓練しておらなかつたというところに、この問題の欠陥があつたと私は思つておるわけであります。それで適当な人の入れかえをしなければならぬと思いまして、行きまして、首脳部を全員一応ただちに本局に転勤を命じまして、重要ポストには全部本局から、一部分私の勤務しておりました阿武隈からことに優秀な者を連れて来まして陣容の立直しをやつたのであります。その後、二十五年の九月三十日でありますか、行政処分もありまして、前所長は依願免になつております。それから二人の出張所長は減俸処分にあいまして、転勤を命ぜられております。それから事務主任は、出張所長の代理をしておりましたのが、戒告処分ということになつております。そのあと残りました者につきましても、部内においてポストの入れかえや何かやりまして、一応軌道に乗せて今日施行しておるような状況でございます。
  512. 田渕光一

    ○田渕委員 非常に現地を粛正されたということについて意を強うしたのであります。そういうふうにやつて行かなければならぬのでありますが、ただ本局からとつたということについて、私はいささかまだ腑に落ちない点がある、というのは、本局庶務部長、あるいは工務部長ともあろうものが、公金——ほんとうの国民の血税で、実際工事に使わなければならぬものを割当てて出さす。かつて参議院に出た某議員がこういうことをやつておる、岩澤何がしというのが、歌をつくらしてまでやつておるということを聞いておつた。そういうことでありまして、本局からとつただけでは、実際において私は完全な機構、組織の入れかえとは思えないのであります。かような意味で、むしろこの本局でなく、あるいは他の局、たとえばそういう因縁、いわれ、縁故のない大阪からこれをとるとか、名古屋からとるとか、東京からとるとかいうように、本省の方にあなたとして申し出る必要を感じられませんでしたか、どうですか、お伺いしたい。
  513. 佐藤清見

    ○佐藤証人 立て直しの陣容につきましては、本局にもぜひ新しい陣容をほしいということを何回も申し出ましたのですが、何しろ元からおりました者はすぐ転任させなければならぬし、あとはすぐ補充しなければならぬ。こういうような関係でありましたので、一応ほかの事務所あるいは本局で——最も現場として必要を感じておりましたのが、材料購入関係でなれたのがおらぬ。ことにまた経理関係におきまして欠陥があつた。こういうふうなことを感づきましたので、本局におきまして最もそつちの方面の鍛錬した者をまず二名入れさせたのであります。なお第一線を把握する意味におきまして出張所長というものをほかの事務所から入れ、ことしになりましてからは、関東地建からも最も優秀な出張所長を一人もらつております。そういうぐあいで、陣容の立て直しとしては、一応ほかの事務所本局から入れかえる以外に手がなかつたように、自分としては考えております。
  514. 田渕光一

    ○田渕委員 本年春の地方選挙のころ、全国的にこの土木建築あるいは工事請負業者の談合事件というものが検挙されておるのであります。こういうような際に、山形県の最上川の上流工事関係した土木請負業者で、当時全国同じように行われたところの談合事件に関与して、検挙された者がありますかどうですか、お伺いしたい。
  515. 佐藤清見

    ○佐藤証人 私記憶しております範囲内においては、山形にはないと記憶しております。
  516. 田渕光一

    ○田渕委員 初めてそこであなたの粛正された効果が現われたと、意を強ういたしました。なお要望いたしまするところは、その精神でしつかりひとつおやり願いたいということを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  517. 岡西明貞

    ○岡西委員 昭和二十二年から二十五年の予算のうち、二億九千万円というものが出でいますが、このうち、浮かした金が三千四百五十万と先ほどあなたがおつしやいましたが、この四年間のうちにかように莫大な浮かし金額ができたということにつきましては、これはあとの不時の支出に対して予備金としてとるためにこういうことをわざわざされたのか、それとも意識的にやられたのか、お聞きしたい。
  518. 佐藤清見

    ○佐藤証人 これは私が調査いたしましたり、なお関係者から聴取いたしましたことを総合いたしてみますと、この四年間にやりました設計書が九十六工事箇所あるわけであります。その九十六箇所を細密に検討して行きますと、十六箇所というものは、予算の配付が遅れておるというような関係上、あるいは突然雪が降つたというような関係上、当然繰越すべき工事でありますが、直営工事は繰越せないというような関係で、やむを得ず現場といたしまして保留金をとりまして、翌年暖かくなつてからやろうというような意図に出たと見られますのが、十六箇所ございます。それから工事を施行いたしまして、人夫賃が入つて参りますまでに相当な期間がありますので、二十二、三年ごろは立てかえ制度を用いておつたわけでありますが、予算もふえて来ましたので、工事金の立てかえ金というものがなかつた。農業協同組合なんかを見ましても、みな二十四年ごろになると赤字を出して悲鳴をあげてしまつた。こういうぐあいで、現地におきましては立てかえてくれるものがない。さればといつて人夫賃が入つて来るのは相当のひまがある。人夫にはどうしても二日間以内には支払わなければならぬ。こういうような関係でありまして、どうしても二回分の人夫賃ぐらいは持たなくてはならぬというふうに現場で考えたわけであります。それで二回分の人夫賃といいますと、大体五百万円くらいになるわけなんですが、そのくらいを何とか持ちたいというような点から、また材料費を一部立てかえなければいけなかつたというふうな関係で、工事費を一部押えたものが七十三箇所というふうに見られます。それからどうしても緊急やむを得ず、来年度出る工事であつてどうしてもことし中は延ばしておかなければならない工事をやつたのが四箇所、こういうふうに大体私が調査いたしまして分類できるようであります。九十六箇所のうちの七十三箇所が、一部分浮かし金をやらなければならなかつたというために、やつたのでございます。
  519. 岡西明貞

    ○岡西委員 そうすると、計画した工事に対しまして、予算をとることが間に合わなかつた。それで計画した工事に対する予算を、また翌年度の予算としてとるために、予算を組んでおく、九十六箇所の中で十六箇所予算が足りなかつたというふうな話でありましたが、こういうふうな予算の組み方とかいうものにつきましては、慣例したびたびやつているのですか。
  520. 佐藤清見

    ○佐藤証人 こちらの要求通り来ますれば、大体消化できるわけなんですが、各四半期ともずれが来ます。あるいはまた予期した以上に降雪が早く来まして、施行ができない。それで直営工事でも繰越しを認めしていただけば、この十六件のような問題が出ないで済むであろうと考えたわけであります。
  521. 岡西明貞

    ○岡西委員 しかしこれはすでに浮かした三千四百五十万円というものは、会計法上、予算処理上はつきり結末がついておるわけであります。その後浮かした金額の中からまた二千百万円という莫大な金を、後の工事予算にこれを流用するということにつきまして、監督される立場からいつて、これは予算処理上、会計法がらいつて違反とお考えになりませんか。
  522. 佐藤清見

    ○佐藤証人 もちろんこういうことは当然やるべきものではありませんので、われわれは今後こういうことは絶対にないようにして行きたいと考えております。
  523. 岡西明貞

    ○岡西委員 しからばかような予算処理につきまして、これは監督上の不行き届きか、あるいはまた現場の人がこれを意識的にやればこういうことは可能だとあなたはお認めになりますか。
  524. 佐藤清見

    ○佐藤証人 現在の予算の配付状況から見ますと、どうしてもこの十六件のような事件がそこにできます。二十五年度末からは、どうしても直営工事は万やむを得ないものは繰越さしてもらわなければならぬということを、建設省、地建の方に申し上げまして、最悪の場合は予算を没収されてもしようがないじやないかということで、去年は何箇所かは直営工事の繰越しを強行したようなぐあいでございます。それで二十六年度からはこういうことが大体ないように考えております。それから予算を一部押えて行つてやる、こういうふうな法の不備でもあり、また会計法の違反でもあるという事態は、二十五年度からはわれわれは絶対にこういうことをしないような方針でやつておるのであります。そして最悪の場合は、繰越してさえいただければ、万が一予算の伝達がなければ、一応それまでは着工しないでもやむを得ないじやないか。現地からは非常にごうごうたる非難が出るのでありますが、一応そういう点のなくなるまでは、現地といたしましては、歯を食いしばつても、それは着工すべきでないというような方針を立てまして、今年からは、正式に負担行為も来、また支払計画の示達もあり、また設計の承認も、きちんと局長の証認があつてから着工するというようなことを堅持しておるような次第であります。
  525. 岡西明貞

    ○岡西委員 証人のお話で、大体この予算処理について、会計法上達法であるということをお認めになつたようでありますが、かようなことはすでに四箇年にわたつて、かような金額を毎年度毎年度違法を重ねておる。今後あなたがこれを所管されまして、この問題については、いる予算は必ずそれをあたりまえに提出されまして、今後そのようなことをやらぬということにつきましては、あなた自身もさようにお考えになつておるだろうし、また監督されている上司の方や、かつまた今後会計を受け持つておられる方が、意識的にかようなことをやらぬということにつきましては、今度の不正事件を契機といたしまして、十分皆さんが御認識になつておられますか。
  526. 佐藤清見

    ○佐藤証人 今御指摘になりましたように、こういう不祥事件が二十五年度からは絶対ないようにしようじやないかというので、局からは二十五年度の初めから厳重にしておるわけなんでありまして、われわれは二十五年度からは、絶対にそういうことのないようにということでやつておりましたのですが、最上川その他のところで、一部こういう事件がありましたということを、局初めわれわれとしてもほんとうに残念だと思つております。われわれは今後担当いたします工事につきましては、こういうことが絶対ないようにやつて行けるように心がけ、それと一緒に局並びに中央にお願いいたしまして、できるだけ仕事が円滑に行きますように、予算の配付あるいは認証という点も、完備していただくようにお願いしているような次第であります。
  527. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それではひとつ私から伺つておきますが、先ほど田渕並びに岡西委員から、この認証制度によるところの欠陥を指摘されたのですが、あなた御自身もその認証制度というものについては、非常な不便があるということの御証言であります。そのことにつきまして、今日まで本省の方に、再三この認証制度についての折衝なり、あるいは陳情なりをなさつただろうと思うのですが、本省の方がこれに対してどういう返事をしておりますか。
  528. 佐藤清見

    ○佐藤証人 二十四年度までだと記憶しておりますが、四半期ごとの認証でありまして、これはまつたく閉口いたしました。それでこれではどうしても施工できにくいから、ぜひこれを二回なり、あるいは一年に一回にしてくれというのでお願いいたしまして、本局とも一体となつて折衝いたしました結果、現在年一回の認証になりましたが、なおかつ現場の工事をやつてみますと、河状の変化、あるいは多少調査の粗漏という点もありますが、設計というものは絶えずかえなければならない。それをやらなければ現場に即応した処理ができないというので、現在は現場がかわつて来たら設計もすぐかえる、また認証もかえる、こういうようなことでやつておるわけです。設計もかえ、また認証もかえるということをしよつちゆう繰返さなくちやいかぬ関係上一年に一回の認証にしていただきましても、なおかつ相当の手数を認めるわけでございまして、でき得る限りそのへんを完璧にしていただくように、局並びに建設省といたしましては努力しているようでございます。
  529. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 要するに二十四年にできた、四半期に区切つた認証制度、これはてんで問題でない。それで一年にしてもらつたが、それでも設計の変更やら、気候の状況で工事が十分にできない。そういう実情にある場合は、使いこなせなかつたところの予算でも、繰延ばして使わせることになれば、こういう事件も防げるであろうという結論になるのじやないか。要するにあなた方が覚悟をして、一生懸命不正をやらないようにやりますと言つても、制度が悪かつたならば、要するにその制度にひつかかることがあるでしよう。結局あなた方の気持としては、そういうひつかからないような制度に改正してもらいたいということじやないのですか。
  530. 佐藤清見

    ○佐藤証人 御指摘の通り、できるだけ現場がしやすくやつていただくように、できるだけ建設省だけで処理できるようにというふうにお願いしてありますが、公共事業は他省にわたつておりますので、なかなかその辺はむずかしいと思いますが、現場としては、やりにくい点は細大漏らさず、建設省並びに局に上申いたしまして、こういう点を完備してもらいたいということを、会議のたびに申し上げておるような次第であります。
  531. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それでは他に御発言がなければ、佐藤証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長い間御苦労さんでございました。     —————————————
  532. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 引続き深井証人より証言を求めることにいたします。  深井浩三さんですね。
  533. 深井浩三

    ○深井証人 はい。
  534. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 あらかじめ文書をもつて御了承願つておきました通り証人として証言を求めることになりました。一応御了承願います。ただいまより公共事業費をめぐる不正事件につき証言を求めることになりますが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族、または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理人、公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて、黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人深井浩三朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えない  ことを誓います。
  535. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それでは署名捺印願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  536. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人は、東北地方建設局工務部長をしておられますが、現職に就任したのは、いつでありますか。
  537. 深井浩三

    ○深井証人 昭和二十二年十月十日以降現在に至つております。
  538. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それから地方建設局工事事務所に対するあなたの監督関係を述べてください。
  539. 深井浩三

    ○深井証人 私は工務部長といたしまして、局長の命を受けて自己の所属の課員を指揮監督いたしております。対事務所に対しましては、事務所長は局長の命を受けて事務所務属の職員を指揮監督いたしております。従いまして工務部長は、局長の補佐役といたしまして、本局におりましてやつております。対事務所に対しましては、ただいま申し上げましたのは地方支部局の組織規程でございますが、それによりますれば、ただいま申し上げたようなことになつておるのでございます。対事務所に対しましては、事務所工事の指導、工事の設計並びに監督に関する事務を局長の補佐役としてやつておることになつております。
  540. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 ただいま、あなたは局長の補佐役という言葉をお使いになつたのですが、単なる補佐役というような形のものじやないのではないですか。工務部長というものは、やはり官職の直属した一つの部長という立場の責任があるのじやないですか。
  541. 深井浩三

    ○深井証人 実質的には私はそういうふうに考えております。
  542. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 実質的には、そうでしよう。要するに、あなたのおつしやつたのは職務規程ではそうだというのですか。
  543. 深井浩三

    ○深井証人 そうです。職務規程がそうなつているというだけで、実質的には……。
  544. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そうでしよう。直接の責任者でしよう。
  545. 深井浩三

    ○深井証人 そうです。工事の実施の直接の監督に当つておるわけです。
  546. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 今後もいろいろお尋ねしますが、なるべくわけのわからぬような遠まわしでなく、直截に述べていただきたい。  それで今問題になつております北上川下流並びに最上川上流、下流工事事務所不正事件についていろいろお尋ねするのですが、北上川下流最上川上流及び下流事務所幽霊人夫ですか、から点検で特別の資金をつくつて予算外の資材購入あるいはやみ給与及び接待費等に支出していたというのですが、そういうことをあなたが知つておりますか。また知つておられたら、いつごろ知りましたか、お述べを願いたい。
  547. 深井浩三

    ○深井証人 事件の全貌につきましては、事件後全体がわかつたわけでありますが、そういう予算配付の遅延とか、いろいろの困難な状態の中で、ことに立てかえ総代というようなものがなくなつてからは、現場の方でも非常に困つておるということはよく存じておりましたので、あるいは他から金を借りたりするようなことが一部あるのではないかということをひそかに考えておりました。
  548. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 私の聞くのは、そういう理由は後ほど聞きますが、今の不正事件のあつたのを、いつごろ知つたかということです。
  549. 深井浩三

    ○深井証人 最上の上流については、それは一部はそういうことをやつているということを存じておりました。
  550. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 存じていたと言いますが、いつごろその不正事件を知つたのですか。わかりませんか。記憶ありませんか。それとも事件が起きて表ざたになつてから、あなたは知つたのですか。
  551. 深井浩三

    ○深井証人 最上川の上流、それから下流につきましては、事件が起きてから知つたのであります。材料とから点検ということでございますね。それは一部そういうことをやつているということは、前からこういうことがあるだろうということは存じておりました。
  552. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そうでしよう。そうでなければ話が合わないのです。あなたは監督の立場にあるでしよう。工事の監督の立場にある人が、事件後そういうことを知つたというのは……。各工事の進行程度、そういうものはあなたが監督しなくちやならぬでしよう。直接は出張所長がやつても、一応報告なり何なりで監督しなければならない。工事をやつていれば、資材の購入もやらなくちやならぬし、それから人夫の代金も払わなくちやならぬといえば、当然知つていなければならないことでしよう。そうでしよう。それをもう一ぺんはつきり証言してください。私からまるで誘導して証言をさせたようでは困りますから…。先ほど私がお尋ねしたのは、いつごろ知つて、こうこうこうであつた。資材の購入やいわゆるから点検等は、前から知つていたということをはつきり証言していただかないと進みませんから、ひとつお願いしたいと思います。
  553. 深井浩三

    ○深井証人 私が着任してから間もなく、終戦後の関係の非常な困難から、そういうことが一部あるということは存じておりました。
  554. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 終戦後からそういうことが各工事所において行われた。
  555. 深井浩三

    ○深井証人 私が着任してから……。
  556. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 着任したのは……。
  557. 深井浩三

    ○深井証人 二十二年十月十日でございます。
  558. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 まだあとから委員からも質問があると思いますが、十月十日からわかつてつた。それから北上川下流工事でから点検によつて予算の一五%以上が予算外に使われているようです。今まで調べたところによると、国庫への返納額の八百四十三万円というものも予算外に使われておりますが、そういうように河川工事予算にはゆとりがあるものなんですか。
  559. 深井浩三

    ○深井証人 当時非常に物価が急激に上昇しつつあつた関係上、設計を組むときには、幾分値上りがするであろうということを考えて設計をつくつた事務所もあります。設計の方はその通りでありますが、実際に仕事をやる場合になりまして、値上りがそれほどなかつたというような場合には、幾分余裕が出るようなところがありました。それから北上川下流について特に考えられることは、現場の人が非常に一生懸命に仕事をやつて、一銭でも安くということで、現場の出張所長が非常に努力したということが、それにまた輪をかけたというふうに考えております。
  560. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 要点だけを答えてください。とにかく物価が上る予想というようなことを今言われたのですが、たとえばこの北上川下流工事費が大体一億二百万円でしよう。そうするとそこで千五百万円ばかりから点検をやつておるわけです。さつき言つた一五%というものがあれですが、設計するときにすでに先のことを考えてそれだけの予算をよけいとるのですか。
  561. 深井浩三

    ○深井証人 方針としては、そのときの時価でやるというふうにやつておるのでございますが、現場の方の末端でその趣旨が徹底しない場合、そういう場合が起るわけでございます。
  562. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 現場の末端で徹底しない場合と言いますが、あなたたちは、監督の任に当つて現場の実情もわかるでしようし、設計その他のことも十分御承知でありましよう。それから物価の値上り等も勘案して予算を組むということになれば、こういうことは今までなれ合いでやつてつたと言われてもしかたがないですね。その点はどうでしようか。
  563. 深井浩三

    ○深井証人 特になれ合いというようなことは考えておりません。
  564. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 でもあなた方はわかつているんでしよう。設計を見て、あなたたちは本職だから、これは物価の値上りを予想しておるのだというようなことがわかるんでしよう。
  565. 深井浩三

    ○深井証人 わかります。
  566. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そうすると、暗黙のうちになれ合いということになつてもしかたがないじやないですか。実際設計した費用よりも、将来を予想してよけい予算をとるでしよう。
  567. 深井浩三

    ○深井証人 そうじやありません。
  568. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それじやどういうのですか、われわれしろうとですからよくわからぬのですが、わかるようにはつきり説明してもらいたい。
  569. 深井浩三

    ○深井証人 最初予想したよりも案外安く仕事ができたというようなことがままあるのでございます。
  570. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そういうときはどうしますか。
  571. 深井浩三

    ○深井証人 そういうときは設計変更をして、認証変更をしてやることになつております。
  572. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そうすれば事件は起きないでしよう。
  573. 深井浩三

    ○深井証人 さようでございます。
  574. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それが起きるというのは、何かそこにいろいろなことをやるのでしよう。その起きる原因をあなたはいろいろ知つているだろうと思いますから、それを聞かしてもらいたい。設計変更をし計画変更をしてやれば起きないのです。それをやらないでいろいろなふうに流用するから起きるのです。
  575. 深井浩三

    ○深井証人 それはなれ合いでやつたということはないのでございますが、まま工事が予定よりも安くできたという場合……。
  576. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そうなると私の方で突つ込むのですが、要するにまま工事が安くなつた場合に、あなた方はその工事について設計変更をやり、認証を新たにとれば問題は起きない。それが間々工事予算より安く上つた。金が余る。そうすると余つたのを、再設計をやらない、再認証をやらないでやるから他に流用するということが出て来るのでしよう。それは昭和二十二年から今までわかつていたのだから、それは直接手をかけなくても黙認していたか、あるいはなれ合いだと言われてもしかたがないのではないですか。
  577. 深井浩三

    ○深井証人 そう言われてもしかたがありません。
  578. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それから最上川下流工事事務所予算成立の前に、借入金で工事を施行し、予算成立後、から点検で返済しておる。財政法、会計法を犯してまで緊急施工をしなければならなかつたような事情が何かあつたのですか。これは会計法上のいわゆる法律を犯しておるわけです。それでもやらなくてはならなかつたというような緊急やむを得ないような事情があつたかどうか証言してください。
  579. 深井浩三

    ○深井証人 最上川下流は大災害を受けて、全川非常に災害を受けましたので、地元の人たちの要望も非常に強くありましたし、その当時一刻も早く災害を復旧しなければならないということは私も考えておりましたし、ほんとうにそのときは——まあ災害の復旧ということであります。
  580. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 あなたの証言ははつきりしないので非常に困るのですが、緊急やむを得ない、そんな法律まで犯して、しかも予算の成立前に借り入れて工事をやる。そうしたら憲法無視みたいなものです。これはもう地元の要望さえあれば、国会の予算が成立しようとしまいと、要望があつたから、請負師からでも金を借りて工事をやつた。そういういろいろな場合に、人命に関するというような事情があつたのか、それとも単なる地元の要望だけであなた方が緊急だと思つたからやつたのか、どの程度の緊急でやつたのかということを私は聞きたいのです。
  581. 深井浩三

    ○深井証人 当時としては、破堤箇所が七箇所もあつて、庄内平野の三万町歩が水につかるかどうかという状態で、破堤しているところもありましたし、破堤寸前のところもあつて、ほんとうに水がぶつつかつて放置を一時も許さないというような状態にありました。
  582. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それは事情がそうであれば一応うなずかれる点もあるのですが、それならばなぜそうしたようなあなた方が正義観でやつたものを、あとで建設本省の方へちやんと実情を報告しないで、から点検などというやみ幽霊人夫を使つてその前借金を返済したということは、ちよつとうなずかれないんじやないか、それではなれ合いで工事を頼まれてやつたととられてもしかたがないと思うのですが、どうしてから点検などをやつて借入金を返済したのですか。
  583. 深井浩三

    ○深井証人 予算要求は、当時局としても実情を述べまして中央に要求をいたしたのであります。大体予算要求をして、それの予算は来ることにはなつておるのだが、その来方がおそい、決定してからやるまでに大分日数がある、そういう関係で一部借りて仕事をやつて予算が来たら今度は返す、そして一部は弁償する、こういうことになつて一部はずれてしまつたわけであります。
  584. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それはずれたと言いましたけれども、から点検というのは使わない人夫使つたことにすることをいうのでしよう。そうすると予算のずれじやないでしよう。そうですね。——から点検ということは単なる予算のずれじやなくて、そういう方法で常にやつて請負師や何かといろいろな話合いで今までやつていた悪習慣なんでしよう。
  585. 深井浩三

    ○深井証人 そうでございます。一部は私申し上げたような……。
  586. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それはあります。金が来ないときのいろいろな場合はわれわれもわかりますか。わかりますが、それを人夫のいわゆるから点検というようなもので埋め合せていたということになるのでしようね。
  587. 深井浩三

    ○深井証人 はい、そうです。
  588. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 何だか私の方からいろいろ言わなくてはならぬようなので、非常に証言を求めるのに困るのですが、裁判所ではないので、罪人をここであげることばかりが目的じやなく、結局どういうところに欠陥があつて、今後国会としてそういう欠陥だとか、そういうものを検討するというあれなんですから、その点ゆつたりした気持でひとつ答えてもらいたいと思います。あと委員からいろいろ質問があると思いますから、しいて私からこまかく突き込みません。  それでは次に移ります。東北地方建設局では切投げ工事というものをやつておりますが、それをあなたは御存じだつたですか。御存じとすればそれを黙視していたのでございますか、それを承りたい。
  589. 深井浩三

    ○深井証人 特殊の場合はそういうものがあるということを知つておりました。だから従つて黙認していたということになります。
  590. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 この切投げ工事はいいものじやないと思いますが、切投げ工事に伴う弊害の取締りが今後できますか。
  591. 深井浩三

    ○深井証人 できると思います。
  592. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 できるとすれば、大体どうしたらできるということを簡単にお述べ願いたい。
  593. 深井浩三

    ○深井証人 実際の出来高をその都度見て払つて行けば……。
  594. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 弊害は取締れるというのですか。
  595. 深井浩三

    ○深井証人 それを厳重にやつて行けば、そこから出る弊害は防げると思うのであります。
  596. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 あなたは弊害を取締ることができると言うが、弊害は取締つたとしても、これは違法であることはあなたは御存じでしよう。要するに労働基準法、その他の問題にからんで来ることは当然ですが、今後とも切投げ工事というようなものを——あなたの方で監督される工事が今後ともたくさんあるのですが、そういうものにやるお気持ですか、それともやめなきやならぬとお考えですか、どちらですか。
  597. 深井浩三

    ○深井証人 やめるつもりです。
  598. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そうですが、それならもう聞かんでいいのです。  それじやその次に移ります。東北地方における工事実施上の特殊事情というものがありますか。
  599. 深井浩三

    ○深井証人 気象的の特徴がございます。それは冬雪が降つて寒いために仕事が非常にやりにくい。仕事がほんとうにやれるのは春から夏にかけてである。それに制約されているという東北の特殊性がございます。もう一つは、東北工事は、農村の地元の方々に働いてもらうのが多いわけであります。従つて農繁期、農閑期という区別が非常にはつきりそこに出て来まして、農繁期にはほとんど人夫の人がいなくなるというような実情にあります。その三は、そのほかには、これはごく最近の特殊事情ですが、アイオン、キヤスリン台風後非常に災害が多いということであります。
  600. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 要するに、工事する時期が非常に短いのに、その工事する時期に最も必要な人夫が、農繁期や何かで逆にいなくなる。必要なときにいなくなるという特殊事情ですね。
  601. 深井浩三

    ○深井証人 そうであります。
  602. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そのほかにはありませんね。
  603. 深井浩三

    ○深井証人 はあ。
  604. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 各工事事務所とも予算の配付が現場の実情に即していないと訴えているのですが、それはどういう点ですか。
  605. 深井浩三

    ○深井証人 予算の令達が、局に予算が来るのが、今までは非常に遅れておりました。特に二十四年度には六十日ほど遅れて来ているように記憶しております。その他の年度におきましては、四月一日から三十日程度遅れて本局の方に予算が入つております。従つて事務所の方に行くのはさらにそれからまた遅れることになります。二十五年度、六年度については、労力費というものが一部参りました。二十六年度は労力費といつておりましたが、しかし労力費だけで、全体的にはまだ工事をフルに完全に動かすことはできませんでした。それは年間予算ですが、それが当時は年に四回にわかれて使つてつたので、現場では工事を実際にやる人が非常に困つておりました。
  606. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それから、河川土木の大規模な工事は、直営よりむしろ請負の方が能率的であるといわれることもあるのですが、工事の責任者としての証人の経験ではどうお考えになりますか。
  607. 深井浩三

    ○深井証人 それは仕事によつて違うと思います。河川工事などについては、その場所について特に経験を要するものですから、請負では非常に困難だと思います。特殊の請負の最も経験のある仕事については、場合によつて請負のいいときもあると思いますが、われわれの担当いたしおります河川工事等については、どうしても直営の方がいいと思つております。
  608. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 これは意見ですから次に移ります。地方建設局として、工事施行上についてどういう点を改善しなければならないと考えておられるか。たとえばいろいろの制度上のこともあるでしようし、またその他に、こういう点を改善すべきであるというようなことがありましたらひとつ述べていただきたいと思います。一例をあげれば、認証制度というようなものもありますが、そういう点はやめなければならぬとか、その他いろいろありましようが、そういう点についてひとつあなたの考えていることを述べてください。
  609. 深井浩三

    ○深井証人 現場の皆が一番要望しているのは、継続事業であつてほしいということであります。そうして、四月一日からただちに仕事ができるようになつてほしいということであります。それでまず仕事の方は、先ほど言つたように、どうしても集中的に工事ができやすく経済であるときにやらなければならない関係上、東北では、四月——これは農閑期でありますから、そのときに仕事をうんと進めないと困るので、前年度から必要な所要資材を用意しておけるようにし、あわせて、翌年度にまたがる——二箇年にまたがる工事も継続できるようにできれば、特殊のものについては非常に効率的にやつて行けると思います。橋梁とかあるいは建築とかいうもので一年でできないものはありまするが、今の単年度施行方針でありますと、その年度の契約しかできない現状にありますので、そういう二箇年にまたがる契約でもしてもいいというふうになることを皆念願しております。  それから認証制度の点は、非常に簡素になつて、年一回ということには事業認証の方はなりましたけれども、資金認証並びに支払い計画というのが、年四回に現在でもわかれておりますので、こういう点もできればもつと簡素化して、年間一本にするとか、あるいはできれば建設大臣一本の実施計画の承認というもので代行し得るようにおとりはからい願えれば、仕事は非常に経済的に行くのではないかと思つております。さらに希望を率直に申し上げますれば、ほんとうは歴年度になれば仕事をやるのには一番経済的に行くと思います。すなわち冬の間に仕事はどうせできませんから、その間に計画を立てて材料の準備をして、雪が溶ける四月から、気候のいいときにうんと馬力を上げて、農村の労力を吸収してやる。それが四月、五月で、六月になるともう田植えになりますから人が出ないし、七月、八月、九月というのがまた出水期になりまして——ところによつては、最上川なんかは出水期に仕事をやつておりますが、そういうふうで、また十一月ごろになると寒くなりますので、そういうふうになれば一番いいと思つています。そのほか事務簡素化の徹底をお願いし、また監査なども一元的に進み得れば非常にいいというふうに皆考えております。根本的に言えば、自然の気象相手の仕事であります関係上、画一的にすべてのことを中央できめるのでなしに、現地の機関の方である程度実態に即した運営ができるようになれば、もう少し実態に沿うのではないかと存じております。
  610. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 前の証人が、東北地方では工事期間が百日ぐらいだと言われたのですが、それはほんとうかどうか、それをお聞きすると同時に、今のあなたの言われた改善すべき方法、いろいろありましたが、四月一日から仕事のできるようにしてもらいたいというのであれば、こういうことを考えませんか。四月一日なんて言わないで、東北地方でも三月から工事ができるところがあるだろうと思いますので、いつそのこと構想を新たにして、国の予算は十二月一ぱいでしてもらいたいというような新しい考えはありませんか。
  611. 深井浩三

    ○深井証人 それを一番希望しております。
  612. 内藤隆

    内藤(隆)委員 証人東北地方建設局工務部長として、相当責任ある地位だと私は思う。その証人がただいまの証言中に、切投げ工事は弊害が伴うから、将来やらないと明言された。しかるにその前のあなたの証言では、弊害を是正し得ると証言しておる。是正し得るものをことさらにこれからやらないという声明をされるということは、相当に大きな問題として地方の各建設局なり、あるいは業者に響くと思うのですが、この点いかがです。
  613. 深井浩三

    ○深井証人 切投げ工事は今の法規では禁ぜられております。これはどうしてもなくする方向へこれから努力しなければならぬと思つておりますが、私の場合には、実質的に切投げ工事は、仕事が非常に経済的にやり得る面もありますので、できれば何とかそれを合法的にやつて行けるようにできないものかということなんであります。
  614. 内藤隆

    内藤(隆)委員 切投げ工事は非合法だ、だから合法的にというと、やはり法律を改正してやつてもらいたい、切投げ工事というものの工事施工上における効果は、相当認められておるわけですね。
  615. 深井浩三

    ○深井証人 そうでございます。
  616. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それから証言のうちにその弊害をどうして取締るかという委員長の質問に対して、出来高払いでやるというような御説明があつたと思うのですが、その点いかがですか。
  617. 深井浩三

    ○深井証人 弊害というのにもいろいろあると思うのでありますが、捻出したりしてほかへまわすというようなことは、これは施工者が十分注意をすれば防げるという意味において弊害が防げる、こういうように委員長様に申し上げたのですが、それ以外の弊害については、たとえばそこに親方がおつて、中間搾取をするというような弊害については、これは個々の場合によつて非常に違うと思いますが、この方はわれわれの力としてはちよつとできかねることでありますので、この点は先ほど委員長さんに申し上げたできるというのは、限られた私たちのできる面しかできないということに御訂正申し上げたいと思います。そういうふうなわれわれの手の及ばない親方の中間搾取という弊害については、これはわれわれとしてはどうしてもそういう中間搾取をするような人たち、親方というものを選ぶことは避けることにして、そういう方面の弊害を少くするように努力しなければならないと考えております。
  618. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そこで問題は、要するにこうだと思うのです。委員長の最前の質問にあつた河川、土木の大規模な工事について、直轄、直営の工事にすることと、請負にすることとどちらがいいか、どちらが能率的か、この問題に私は帰して来るのではないかと思うのです。これは私建設委員として建設省の中田事務次官等にもいろいろ私の意見を申し述べたことがあるのですが、これはあとにいたしましよう。あなたの考えでは、実際の経験から請負にもあるいはまた直営にも両方いいところがあるというような何かあいまいなお答えで、きつぱりしたことをここで言われないのですね——そこであなたは、たとえば北上川の下流工事で、から点検をやつて予算の一五%以上が予算外に使われておつた。そしてまたさらに国庫への返納金が八百四十三万円からの金額が出たということについては、過大な見積りをしたり、あるいはまた物価の値上り等を見越して無理な設計をしたのではないかという委員長の質問に対しまして、そういうことは間々あるんだというお話だつた。一工事について八百四十万円以上のものを国庫へ返すというようなことが、間間あつたらたいへんなことなんですが、一体その間々というのはどういうことなんですか。あなたの経験では何回ほどこんなことがありましたか。
  619. 深井浩三

    ○深井証人 間々と申し上げましたのは申訳ないんですが、北上川の下流工事のようなことは特殊な場合でありまして、今までにそういうことはほとんどなかつたわけでございます。それでそういう設計をつくつたということについては、工務部長としても非常に責任を感じております。
  620. 内藤隆

    内藤(隆)委員 その点が聞きたかつたのです。それからたとえば八百四十万円ですが、これは間々というのは取消されたからいいが、物価の値上りその他過大な見積りをした関係か、設計を変更した関係ですか。
  621. 深井浩三

    ○深井証人 設計変更をすればよかつたことを、設計変更しなかつたために金が余つたわけです。
  622. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうなければ話が合わぬ、そこでたとえば物価等の値上りがあるということを見越して、そういう設計を立てるわけです。こういう場合には単価更正というようなこともよく行われているのだから、やはり実際にその設計を組まれる当時の物価によつて行くということが至当な道じやないですか、そこに一つの不正が生れて来るのじやないかと思われる、どうでしようか。
  623. 深井浩三

    ○深井証人 ただいまは、こういう事件の結果にかんがみて、そういうふうに時価によつてやることにしております。今までのやつは、物価の変動も非常にあつたには違いないけれども、やり方が悪かつた、こういうふうに感じてお詫び申し上げます。
  624. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それは工務部長として単価更正という道が十分開かれておるのだがら、本省に対して十分これを具申して行けば、本省はこれに耳を傾けるに違いない。
  625. 深井浩三

    ○深井証人 将来はそういうことはなくして行きたい。
  626. 内藤隆

    内藤(隆)委員 将来はそういうことはなくして行きますか。
  627. 深井浩三

    ○深井証人 はい。     〔佐々木(秀)委員長代理退席、内藤   (隆)委員長代理着席〕
  628. 岡西明貞

    ○岡西委員 北上川下流並びに最上川士流下流工事事務所不正事件につきまして、証人は現職に就任後、この全貌の一端を知つたと先ほどおつしやいましたけれども、これは第三者——あなたの下僚なりほかの人のうわさによつてこの一端を知られたのでしようけれども、そのときあなたはこのうわさを聞かれまして、工務部長として何らかの措置をおとりになりましたか。
  629. 深井浩三

    ○深井証人 当時としては非常に悪いことだと思つておりましたけれども、一方においては災害の復旧ということはどうしてもしなければならぬし、また材料その他の入手難ということも非常にありましたので、何ともそこは……。今になればもう少し思い切つて、現在言つているように、仕事をやめると強く言えればよかつたと思いますが、何しろ目の前に堤防の根が洗われて、最上の下流が今にも切れるという寸前にありましたので、その当時は工務部長としても、自分自身何としてもこれは復旧しなければならぬというふうに考えておりました関係上、悪いこととは知りつつも、どうもそこまで強く、積極的に言えなかつたような点は、非常に申訳ないと思つております。その点工事実施の監督に当つた工務部長として非常に責任を感じ、申訳ないと存じております。
  630. 岡西明貞

    ○岡西委員 この事件につきまして就任後あなたがただちにこのことを知られまして、とにかく将来に起る材料の値上り、入手難とか、あるいは復旧等の拡大を見越して、こういう事件が起ることをすでに知つておりながら、あなたは工務部長として部下を取調べるとか、その他の証拠を固めるとかいうことにつきまして、全然処置されなかつたということにつきましては、ただいまあなたから悪かつたというお言葉があつたのでその間のことは了承いたしますけれども、あなたがかようなことを初め聞かれまして放置されたために、四年間にあとからあとから非常に厖大な不正事件が起つたというとにつきまして、あなたが当初善処されなかつたことが非常に大きな原因になつておるのではないかと私は考えるわけですが、その点につきましてあなたは責任を十分感じておられるわけですね。
  631. 深井浩三

    ○深井証人 その点は非常に責任を感じております。
  632. 岡西明貞

    ○岡西委員 しかしこの問題につきましてあなたが責任を感じられて、上司として監督不行届であつた。しかしこの事件について、かようなことを黙認しておれば、将来事件がますます拡大するというような予測はそのとき起らなかつたですか。
  633. 深井浩三

    ○深井証人 そういう点は懸念もあつたのでありますが、二十五年度あたりから何とかして早く軌道に乗せたい、こういうふうに考えておりました。
  634. 岡西明貞

    ○岡西委員 しかしその後あなたは長い間工務部長として現職におられたわけでありますが、部下と一緒に、あるいは接待の席上とかあるいは宴会の席上とか、そういうところにおいでになりましてたまたまそういうところの費用が業者接待でなくして、建設局自体の建設費用から出ているということにつきまして、あなたがそういう場所に行かれまして、役所の金を使つておる、そういうことが起りつつあることについてあなた自身自分でいろいろお考えになりませんでしたか。
  635. 深井浩三

    ○深井証人 この点はまことに申訳ないと思います。地元の工事促進期成同盟会とか、この点は何とも申しわけないと思つております。
  636. 岡西明貞

    ○岡西委員 証人自分の過去におきまする行動につきまして非常に責任を感じていらつしやるので、私はこれ以上追究はいたしませんけれども、特に先ほど内藤委員からも御質問になりましたように、とにかく復旧工事その他の災害工事に当つて非常な水増し予算というものが組まれておる。特に資材その他につきましても将来の値上りを予想して予算を組んでおる、予算というものは必ず時価によつてすべてを計算して出すべきものでありまして、特にまた給与面につきましても、やみ給与ということについても十分将来の値上り等を予想して、たとえば十人分でできるのを二十人分も三十人分も組んでいるというふうに必ず大きくなつておると思いますが、いやしくもあなたの局から本省あたりに出される予算——こういう水増し予算ということにつきまして、厳重に今後あなた方は過去のかような事例がないように善処されるお考えでございますか。
  637. 深井浩三

    ○深井証人 そのつもりで現在やつております。
  638. 岡西明貞

    ○岡西委員 特に二十四年度に地方の工事事務所から六十日間も予算提出が遅れたというのは、何か特殊な事情でもございますか。
  639. 深井浩三

    ○深井証人 それは提出が遅れたというのではなくて、災害要求のときにはすぐ出すのですが、正式に認められて建設局の方に予算が流れて来て支払いができるまで、その間に六十日かかつた。四月から六十日遅れて来た。すなわち六月の初めになつてようやく予算が来た。さつき申し上げましたのは、そういう意味の六十日でございます。
  640. 岡西明貞

    ○岡西委員 特に東北地方におきまする切投げ工事につきまして、あなたの証言によりますと、気候的事情とか農繁期におきまして人が足らぬので、どうしても初めの計画による工事を遂行することができないという、しからばこれは慣例的に毎年あることでありまして、とにかく実際の工事をやる期間というものは、春から夏にかけてのみ行われる、そういうことについてあなたは建設局工務部長として、また将来につきましても、東北地方の特殊事情におきます工事実情ということについて具体的の事例があるわけでありますから、それにつきまして将来どういうふうな構想のもとに、特に政府の事業をやつて行くかということについてちよつとお伺いしたいと思います。
  641. 深井浩三

    ○深井証人 そういう隘路については、中央に対しまして具体的な実例をあげて意見具申をしております。また一方局といたしましても、今までの悪かつたことで、そういう点を自粛して行かなければならぬということで、そちらの方で今一生懸命やつておるわけであります。
  642. 岡西明貞

    ○岡西委員 しからば、この期間中におきまして、特にあなた方が建設局として、よその地域における工事事情が違うのでありますから、下僚と現場の人たちを督励しまして、より以上の能率を上げ得るように何らか措置されておりますか。たとえば九州、四国あたりと比べまして期間がないわけですから、結局その期間中に特に昼夜兼行で割増金でもたくさんやりまして、工事を督励してやるような方法を講ぜられておりますか。
  643. 深井浩三

    ○深井証人 その期間中にうんと仕事をするようにわれわれも言つておりますし、事務所の方でもまたその期間中にうんと能率を上げようというふうに努力はしております。それから予算の配付についても、東北特殊事情を考えてくれるようにということは、本省に対してもたびたび申し上げ、このごろは気候のいいときによけい配付してくれるようにはなつておりますが、できれば四半期にわけることなく、年間の予算を配付してもらえれば、ずつと四月、五月に集約して行けると思うのですが、それは現在の私たちとしましては、意見具申するだけでできないことでございますので、そういうふうなことをいろいろ本省に申し出ております。
  644. 岡西明貞

    ○岡西委員 私あなたの御答弁がはつきりわからないのですが、督励するということは、結局予算はあなた方の方でその工事を復旧するなり、あるいは回復するために必要なものを専門家として組んで本省に出しておいでになるわけであります。結局その工事をする期間が春から夏にかけての短かい期間であるために、その工事を投げなければならぬ。その間継続事業として途中で打切つてしまうために、前にせつかく予算をつぎ込んで、二億円でも三億円でも入れた工事を続行してやると、全然価値がなくなるという点から、たとえばその期間百日間において、東北地方には人的資源もないという今のお話で、九州とか中国とか四国方面からでも特に労務者を交渉してお雇いになつて、昼夜兼行でもおやりになつて、規定された期日の中に、また初期の予算の中でその工事を完成するような方法を講ぜられておるかどうかということを聞きたいのです。
  645. 深井浩三

    ○深井証人 ほかの地区から人夫を持つて来るというようなことはいたしませんが、地元として集められるだけのものを集めて、その期間中にうんと仕事のできるようにということで話をしており、事務所でもやつておるはずであります。
  646. 岡西明貞

    ○岡西委員 そうしますと、切上げ工事ということにつきまして、東北地方としまして、その復旧ないし建設工事において非常に支障がある。また国といたしましても、こういう工事に莫大な費用を投下しまして、所期の目的をあげることができないということが多多あると思うわけなんですが、あなたが特に東北地方建設局に職を奉ぜられて、かような事例が過去におきましてもどのくらい、たとえば百工事のうちにそういうような切上げ工事をするような運命に逢着したのがどのくらいあるかということを、もしあなたが御記憶になつておるならば御参考までに教えていただきたいと思います。
  647. 深井浩三

    ○深井証人 記憶にございません。最上川下流あたりでは一割ちよつとだと思つておりますが、その他の事務所関係のやつは、まだ具体的に調査してみないと数字はわかりません。
  648. 岡西明貞

    ○岡西委員 そうしますと、あなたが知つた範囲におきましては、ほとんど一割程度しか工事の完成はできぬので、あとはほとんど工事を途中で投げてしまつて、来年度に持ち越すということになるわけですね。その点いかがです。
  649. 深井浩三

    ○深井証人 持ち越すことになるというのは、どういうふうなことですか。
  650. 岡西明貞

    ○岡西委員 あなたが御存じなければいたし方ないと思いますけれども、この問題は非常に重要な問題だと思うのです。東北地方におきまする、特殊的な気候状態におきまして、今後も復旧工事として莫大な建設費用を要する工事が行われるわけですが、そういうことに対しまして、とにかく東北地方建設局の上層部にあられるあなた方幹部級の人たちが、こういうふうな工事について途中で工事を投げなければならぬということについて対策も何も持つておらぬ。また過去においてどの程度国費を投じて、そのうち投げなければならぬ工事がどのくらいあつたかということぐらいの、あなた方の経験なりあるいは資料もお持ちにならずに、今後建設省なりあるいは安本なり、いろいろ工事の説明その他に当られるのは非常に私は無責任だと思うのです。この点につきまして、私は別に申し上げる点もありませんけれども、十分研究していただきたいと思います。
  651. 深井浩三

    ○深井証人 十分研究いたします。
  652. 加藤充

    ○加藤(充)委員 先ほど最上川下流工事事務所長の伊藤美代治さんの証言の中には、三、四回にわたつて、局長の補佐としてやつたのかどうかしりませんが、庶務部長やそれから工務部長のあなたの名前で、半ば公の文書で、八十万円ほどの献金というのですか、金を出せ、納めろという通知を受けて、それに応じてやむなく出したということがあるのですが、これは最上川下流工事事務所だけにそういうことを命じたのですか。
  653. 深井浩三

    ○深井証人 同様なことをほかの事務所にもお願いいたしました。
  654. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それは何箇所の事務にそれを命じたのか、そして集まつた金額はどのくらいになつて、またその金額を割当てるについてはどういうふうな計算でその割付をやつたのですか。
  655. 深井浩三

    ○深井証人 割付については予算その他を考えてやつたと思いますが、また補助員などのある場合には、特定の事務所にお願いをするというようなこともあつたと記憶しております。それらの数字的な内容については今ここで記憶しておりませんので、もし御指示がありますれば後日調査の上出したい、かように存じます。
  656. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それはどうですか、加藤さん……。
  657. 加藤充

    ○加藤(充)委員 大体大よその目分量でいいのです。何千円という端数もいらぬのです。額はとにかく大きいのですから、何十万というのでいいのです。
  658. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 八十万からの数ですから、こまかいことではなく、大ざつぱでもいいから記憶のあるだけを聞きたい。
  659. 深井浩三

    ○深井証人 私工務部長として責任はあるのでございまするが、実は総務部長が主としてそういうことをやつておりました関係上、数字等については記憶がおぼろでありますので、今申し上げたようにさらに調査をいたしまして後日申し上げたいと申し上げたのでありまして、私の記憶にありますところでは、本局補助員というのがございますので、その補助員というのは本来から言えば、本局の事務費で支払うべきものではあるのでありまするが、事務費が非常に不足なために、勢い事業費からその補助員給料その他の諸手当を出さなければならないというような実情になつております。本局の方には事業費というものがないために、これを各事務所の事業費の方から送つてもらわなければならないような状態になつて来たわけなのでございまして、こういう点は現在は改めて、各事務所の方の予算本局においてとめおきまして、そういうことをやつてやるようになりましたが、その当時としては各事務所からその補助員本局に駐在しているのだという建前事務所にお願いしておつたような状態になつております。
  660. 加藤充

    ○加藤(充)委員 二つほどお伺いしたいのですが、そういうふうな通達か何かを出して催促をすれば、各事務所長からは文句なしに仰せつけられた割付額だけは納まるものだという見込みでやつたのか、そういう了解があつたのですか。
  661. 深井浩三

    ○深井証人 それはあらかじめ了解を得ておりましたので、来ると思つております。
  662. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そうするとあなたは大体問題が起きない前からもう計画に参画しておやりになつたのであつて、黙認したとかなんとかいうことじやなしに、初めからもうこれは、刑事的な言葉を使つて恐れ入りますが、共謀、共犯でおやりになつたということに相