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1951-11-30 第12回国会 衆議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月三十日(金曜日)     午後二時二十三分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君 理事 金子與重郎君       高橋  等君    寺島隆太郎君       武藤 嘉一君    松井 豊吉君       清藤 唯七君    福田 昌子君       苅田アサノ君    松谷天光光君  出席政府委員         厚生政務次官  平澤 長吉君  委員外出席者         議     員 池見 茂隆君         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君         厚生事務官         (保険局長)  安田  巖君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 本日の会議に付した案件  社会保険に関する件   請願  連合軍事故による被害者損害賠償に関する  請願池見茂隆紹介)(第三三号)     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  社会保険に関する件につきまして、最近新聞紙上等を通じて、各界がきわめて複雑怪奇なる様相を呈しておるようでありますが、その後の経過につきまして、安田保険局長より一応御説明を承りたいと存じます。
  3. 安田巖

    安田説明員 ただいまのお話は、社会保険医療報酬の単価の問題だと私存じますが、御承知のように、単価問題は、約三箇月にわたりまして、社会保険医療協議会の方で審議審議を重ねて参つたのであります。昨日総会がございまして、一応大臣に対する答申ができ上つた次第であります。これは、結論を申しますと、保険者側、あるいは医療担当者側、あるいは中立側というような委員方々意見がまちまちでありまして、まとまらないままに、おのおののまちまちな意見厚生大臣に答申するというようなかつこうで、現在けりがついたわけであります。  内容を少し詳しく申し上げますと、大体この二十日過ぎに大詰めに参りまして、いろいろ医師会歯科医師会、あるいは健康保険連合会国民保険中央会、あるいは厚生省幹事案というような案が出ましたけれども、いずれも相当開きがございます。そこでこの方面数字の問題で明るい今井委員をお願いいたしまして、今井委員に案をつくつていただく、今井委員の案は、各団体なり、あるいは幹事出しておりますところの案を、今井先生が直して来まして、そうして大体どこの案はどこが間違いだ、どこの案はどこが多過ぎるというようなことで手直しをいたしましたものを、四つばかり出して来たのでございます。しかしそれでもなかなか話がまとまりませんので、最後今井案なるものをひとつつくつていただく、こういうことで出ましたのが十一円七十七銭という案でございます。現行は十円、十一円でございまして、これの平均は、比重をかけますと大体十円三十三銭でございます。その十円三十三銭が今度は十一円七十七銭が適当であるというような案が出たわけであります。これにつきまして、一昨日あたりから、相当夜おそくまでいろいろ議論いたしたのでありますけれども、なかなかまとまりがつきません。昨日は最後に、それでは十一円七十七銭を地域別にわけてみたらどういうふうな結論が出るだろうかということを中立委員方々だけに御相談を願つて一つの案を出してもらつたらどうだ、こういうことになつたわけでございます。そこできのうの会議の最中に休憩をいたしまして、中立方々が御協議をなさつた結果、十一円七十七銭をわけて、十円五十銭、十一円五十銭、十二円五十銭の三段階にわける。つまり三つの地域差をつける。その地域差をつくりましても、いろいろな重さをかけて参りますから、大体十一円七十七銭になつて来る、こういうような案をお出しなつたわけでございます。これにつきまして、いろいろ意見を闘わせ、お互いに懇談をいたしたのでありますけれども、結局、医師会といたしまして最後に出されました案は、十四円十八銭という案と、それから十七円十八銭という案で、これは一歩も引けない、こういう話であります。歯科医師会は、従来十八円とか、二十二円とか、あるいはそれより少し安い案をお出しなつておつたようでございますけれども、結局、今井案の構想で数字を圧縮してみると、十三円八十四銭まではとる、それ以上は引けない、こういうことでございます。他の保険者側の、健康保険あるいは国民保険の側は、結局十円、十一円、十二円、つまり現在より一円上げる、それならば何とかなる。しかし一円上げるにしても、国家が給付について補助することを條件とする、こういうような案でございます。そこでいずれも讓らないということでございましたので、これ以上便々と会議を続けて行きましてもどうにもなりませんので、このままのものをひとつ答申しようというのが一つの結末でございます。  それからどういうふうになるかということでございますが、せつかく社会保険医療協議会に諮問をいたしましたけれども、そういう結論が出たということになりますならば、これは厚生大臣責任を持つてきめなければならぬことになつて参ります。厚生大臣責任を持つてきめまして、告示をいたしますれば、それがきまつて来る、こういうような情勢でございます。ただいま全国の各医師方々が、保険医たるを辞退するというような運動が広がつておるようでございますので、これらの関係をどうにらみ合せて厚生大臣がきめるかという点につきましては、いろいろまだこれから紆余曲節があるかと思います。われわれはできるだけそういつた方々と円満に事を運びたいという努力を、今なお尽しておるような状態でございますが、しかしそれにいたしましても、また前のようにいろいろ懇談懇談を重ねて、荏苒日を送るというわけにも参りませんから、できるだけ早い機会に何らかの数字出しまして、それを告示してお願いして行く、こういうことになるかと思うのであります。  なお医師会の辞退の問題でございますけれども全国にまだ全部というわけでもございませんし、一、二の府県でそういうことが出ておりますが、しかしこれは健康保険法規定によりますと、一箇月前に、猶予期間を置いて辞表を出すことになつております。かりに十二月一日付で出すとしますと、十二月中はまだ保険医たるの義務があるわけでありますから、この一箇月間にどういう形が出ますか、その告示の反響なりあるいはそれを収める努力というようなものがたされて行かなければならぬのではないか、私どもはこういうような見通しを持つておる次第でございます。
  4. 松永佛骨

    松永委員長 本件に関し御発言はありませんか。     —————————————
  5. 松永佛骨

    松永委員長 それでは次に、連合軍事故による被害者損害賠償に関する請願を議題といたします。  まず、本請願について紹介者池見議員より発言を求められておりますので、これを許可します。池見茂隆君。
  6. 池見茂隆

    池見茂隆君 本日の委員会に、連合軍事故による被害者損害賠償に関する請願を取上げていただきましたことは、まことにありがたく思う次第であります。  本請願内容につきましては、この事件は本年の五月十日に、福岡市下臼井、いわゆる板付飛行場に直結しましたところの一部落の上に、離陸しましたジエツト機が墜落いたしまして、その地域に火災及び十一名の死者出しましたことに対する国としての、見舞金支出はもとよりのことでありますが、しかし見舞金の現在の規定では、こういつた特殊な性格を持つこの事件に対する支出の額としてきわめて僅少であり、またその損害程度も千百数十万円、ないしは人命において十一名の死者出した。かかる問題につきましては、事件発生と同時に、県当局より、大蔵省におきましては大臣主計局次長厚生省におきましては社会局長あるいは大臣宮崎次官平澤政務次官等にもその内容説明して、特別のはからいでもつて見舞金追加支出と申しますか、そういう形においてぜひこの際救済していただきたいということを申し上げておるのであります。当県の方並びにわれわれといたしましては、社会局長お話をしましたところ、現在これは占領軍事故に対する見舞金規定以外の支出は非常に困難である。さらにこの支出については、大蔵省関係もあるがゆえに、大蔵省の方にもこの折価をしてもらうことが必要であるといつた話を聞いたのでありますから、大蔵省主計局次長にも、その内容を話しましたところ、主計局次長等は、この問題につきましては、非常に同情を持つて、結局厚生省の方とよく打合せて、適当に善処したいという話を聞いておるのであります。しかるに、その後厚生省社会局の方におきましても、いまだ明確なる論的な話に接しないのでありますがゆえに、ここに私としましては、この請願を提出した次第であります。  そこで社会局長にお聞きいたしますが、社会局長は、この事件を聞かれてから後に、こういつた問題に対する調査あるいは研究をどの程度進められたかということをお聞きしたい。
  7. 木村忠二郎

    木村説明員 進駐軍による事故のために被害を受けた者に対しまする見舞金につきましては、従来の見舞金金額がきわめて低額でありまするために、諸種の問題を生じておりますので、われわれといたしましては、これに対しまして引上げの案をつくりまして、しかもこれを進駐の当初にさかのぼつて実施するようにしたい。もちろん、時期によりまして金額に差を設けるのでありますけれども、そういうようにいたしたいという案をつくりまして、話につきましては、それが一向進行しないという状態で、先般まで参りました。たまたま先般立川付近におきまして、また同様な事故が起りまして、各方面被害を及ぼしましたに際しまして、これに対しまする措置といたしまして、従来の措置では不十分であるという議が起つて参りまして、これにつきましては、その事故に対しまする賠償をするか、あるいは見舞で行くかという話になりまして、賠償としますれば、厚生省としましては全然所管外のことでありますけれども見舞といたしますれば、われわれとしても、従来のわれわれの案でもつてこれに当りたいというふうに考えておつたのであります。先般、上の方で話合いになりましたところでは、どこでどういうような方法でやつたらいいかということにつきまして、お語合いがあつたようであります。われわれとしましては、それによりまして現在その作業を進めておるわけであります。従いまして、その際の話合いの結果、どういうふうになるかということにつきましては、現在まだはつきりとしたことはわからないのでありますけれども、一応今話合いはつきりついておりますところは、ごく最近に起りました事件につきましては、従来の見舞金を変更する必要があるということで、本年の九月八日以後の事故につきまして適用するということでもつて、その金額引上げの話がされておるという状況であります。
  8. 池見茂隆

    池見茂隆君 今お話を聞きますと、結局十一月十八日に発生した横田飛行機B二九の墜落事件によつて、従来のいわゆる見舞金ではどうもぐあいが悪い、これを補償でもつて出すか、あるいは何らかの形において出すか、そのケースは現在の状態ではまだ未定のようであります。そこで質問したいことは、そういつた話がなかつたならば、横田事件も現在の規定によつて処理されると考えていいわけですか。
  9. 木村忠二郎

    木村説明員 何らかの決定がなければ、現在の規定といたしましては、横田事件につきましても、従前通り基準でもつてやらなければならないことに相なるかと思います。ただ、ただいま申し上げました通りに、最近の事件につきましては、引上げるという話が上の方でついておるのでありますから、どこがこれを所管いたすということは別といたしまして何らかの引上げが行われるのではないかということに相なろうかと思つております。
  10. 池見茂隆

    池見茂隆君 その間九月八日という線はどういつた理由のもとに引かれたものですか。
  11. 木村忠二郎

    木村説明員 私、詳しいことはよくわからないのでありますけれども講和條約の締結以後ということで、九月八日以後というふうに一応考えられておるということであります。
  12. 池見茂隆

    池見茂隆君 いささか政治的なあれもありますが、九月八日に講和條約の調印が行われた、したならば、講和條約とこの見舞金との法的関係はどういう点にあるかということの御説明を願いたい。
  13. 木村忠二郎

    木村説明員 これにつきましては、別に法律上の根拠は何もないのであります。従来の考え方からいたしますれば、国でもつて賠償をするということは、一応しないという建前をとつておるのであります。ただ一つ災害としてこれを見るという考えのもとにへ災害に対しまする国としての見舞ということでもつて、従来から、これははからわれておるわけであります。ただ講和條約ができましたあとにおいては、この問題について、もう少し考えなければならぬじやないかということを、考えられたのじやないかというふうに、私は想像するのであります。いつからやつたらいいかという点については、今後やりまするやり方等につきましても、相当問題があるのじやないかというふうに考えております。われわれといたしましては、その日を切つたということにつきまして、どういう法律上の根拠があるかと申しますと、法律上は何ら根拠がないというふうに言わざるを得ないのじやないかと思つています。
  14. 池見茂隆

    池見茂隆君 法律上に根拠がないとしたならば、これは横田墜落事故と、それから板付飛行場墜落事故というものを比較してみても、横田の方では死者一名もなし、全焼は四戸、建坪にして二百坪、負傷者十名、大破、中破、小破の人家がある。しかし飛行場においては、十一名の死者出しておる、その中の四名はいわゆる生計の中心者である。さらに全焼が三戸、延坪にして三百九十七坪、ほとんど横田とかわらない。半焼が五戸、こういつた事件内容から見ても、そういつた一つ講和條調印というふうなものに対する法的根拠がなかつたならば、私としては当然同じ性質内容事件であるということから考えて、九月八日というものについて、特別意味というものがないということになれば、私は既往にさかのぼつて国家としては当然見舞金以外の形において横田飛行場がなされるならば、板付飛行場事件に対してもなすべきであるということを考える。さらに今回——十一月二十五日の朝日新聞の記事に、吉田総理より、今回の事故に対しては、前例にかかわらず、でき得るだけの処理を講ずることが必要である、行政協定の折衝も開始せられる前のことであるがゆえにという、この談話が発表されたが、本年の五月と九月と、四箇月間ぐらいの時日を経過しておるが、その内容においてかわらざるところであつたならば、そのときも講和條約の調印されるということが、ほとんど確定の事実であつたのだから、それが調印されたから、されない前であつたからというようなことで区別をつけることは、少くとも私は国民心理において、あまりおもしろからざる現象を生ずるものであるということを考える。それであるがゆえに、ぜひこの事件に対しても特別の処置を、横田事件と同様なる取扱いをしていただきたいということを私は希望するものである。さらに考え方によれば、内容においては同等の事件であるけれども、九州の福岡のいなかの一地方において起つた事件と、東京の近郊に起つた事件と、地域的にも何らかの区別がつけられるんじやないかというような、いわゆるへんぱ的な気持もなきにしもあらずということをつけ加えて申し上げておきます。いずれにしてもこういつた事件が発生したことについて、すでにその当時、この付近におけるところの一部政党、最も危険なるところの政党宣伝の具になる。あるいはそれらの人々に家族が取巻かれて、この場合において国家より相当の補償をとるべきである、また福岡市の市葬にして、もつてその個人に贈るべきであるといつたよう政党宣伝の具にも供せられたというような事実もある。それらの危険文書が市中にも堂堂と張りめぐらされて、ある政党宣伝の具に供せられたということから考えましても、まことにこういつた問題を処置する上においては、政府としては時局にかんがみて、最も慎重にやるべきであるということを、この際つけ加えて申し上げておきますが、ここに平澤政務次官がお見えなつておりますから、平澤政務次官にもこの事件に対する御所見を一応承つておきたい。
  15. 平澤長吉

    平澤政府委員 池見議員から、先ほどお話があつたように、この事件については、私ども地元関係者の陳情を受けまして、よく存じておつたのであります。従つて、最近における立川附近事件があるなしにかかわらず、かような程度では、はなはだ遺憾であるということを私ども考えまして、終戦以来、二十年の年からの各種の事故等、並びにその間における処理仕方等も研究いたしまして、何とかこれをかえねばならないということで、考えておつたのでございました。たまたま今お話がありましたように、立川附近に起きました問題等がありまして、一層その改善について、政府部内において検討を続けているという次第で、なお、社会局長が申されましたように、結論づけられてはおりませんけれども池見議員の御趣旨のあるところ、私どももごもつともだと存じますので、なるべく御希望に沿うような線に固めたいと、かように存じておる次第であります。
  16. 池見茂隆

    池見茂隆君 政務次官お話は、まことにありがたく承つておきますが、実は本日のこの委員会宮崎事務次官も来ていただけば、非常に仕合せでありましたけれども、お見えにならないようでありますので、今私がここで申し上げたこと、あるいは質問いたしましたことは、社会局長より、また宮崎次官に詳細にお伝えを願つて、本問題について善処してもらいたいということを、私は強くここに要望いたしまして、本請願説明なり、あるいは質疑を打切りたいと思います。
  17. 松永佛骨

    松永委員長 他に本請願についての御発言はありませんか。
  18. 福田昌子

    福田(昌)委員 九月八日を境にいたしまして、こういつた進駐軍による事故被害というものに対する対策差別的に考えられるというお話でございましたが、これはまつたくおかしな話だと思うのでございます。なるほど、講和條約の調印は済みましたけれども講和條約そのものの効力というものは、何も九月の上旬を契機にいたしまして発効いたしておるわけでもございませんのに、進駐軍による被害だけがそういう基準において差別をつけられるということは、これは被害をこうむつた人の立場に立ちますると、まつたく了承できない点であろうと思うのであります。従いまして、横田飛行場のあの事件にいたしましても、政府がおとりになるであろうその処置と同じ処置を、私は板付飛行場のこの損害に対してもおとりになるのが当然であろうと思うのであります。そういたしませんことには、先ほど池見議員からのお話もありましたように、いたずらに思想的な政争の具に供せられるということになりますと、これは民生安定の上からいたしましても、非常な弊害があると思うのであります。どうかその点重々厚生当局におかれましても、御反省を願いたいと思います。大体東京地方中心地で起りますことは、暴風雨にいたしましても、いろいろな台風の災害にいたしましても、非、常に宣伝されまして、対策も割とよい対策がとられがちなのでございますが、地方に参りまして、東京から遠距離になりまするに従いまして、こういつた被害対策というものは、全般的に軽視されておるということが、今日の日本の政治のやり方では言えるのではないかと考えられるのであります。民主主義の時代に、そういうような差別があつてはならないのでございますが、しかし現実においてそういうような弊害がなきにしもあらずというようなことが考えられます。この板付飛行場事件も、まつたく同じような観点におきまして、地理的に東京福岡が非常に離れているがために、東京横田という近距離の事件よりも軽視されているのではないかということが考えられます。この点もあわせて厚生当局がどうか英断をもちまして、横田飛行場と同じだけの対策を、福岡板付進駐軍によるところの事故のためにも御配慮願うよう、重ね重ねお願い申上げたいのであります。
  19. 池見茂隆

    池見茂隆君 今社会党の左派の福田さんからお話がありましたが、横田事件と同じようにということは、これはすべての問題でなくて、横田事件取扱い方において同様なる方法をもつてつていただきたいということをつけ加えて申し上げておきます。
  20. 高橋等

    高橋(等)委員 先ほどから、社会局長さんのお話を聞いておりますと、どうもこういうようにやつておられるらしいとかなんとかいうお話が非常に多い。これは立場上無理からぬことと思いますが、厚生政務次官お話を聞いて、私もそういう筋に、こういう問題は解決をしてもらいたいと思うのです。ただただいまは福岡の問題が問題になつておりますが、この種の進駐軍による事故というものは、全国的に相当広範囲にわたつてつておるのではないかと思うのであります。そういう意味で、これは全般をにらんだ解決をお願いせねばならぬことは当然であります。ことに九月の八日という日にちを区切りに、あと先にその見舞あるいは補償程度をかえるということは、これはもうさつぱりりくつに合つていない。こんなことはだれも納得することではないと思います。いろいろな財政上の問題もありますが、これもごくわずかなことで済むことでありますし、特にこうした進駐軍事故被害を受けた人は、ほんとうに気の毒な人々であります。どうぞそういう意味合いから、急速にこの問題の取扱いを御決定を願いたいと思います。またこれを見ますと、厚生、大蔵両事務次官通牒見舞金に関する件を決定されている——法的に考えまして御質問申し上げますが、これはいかなる点に準拠して、こうした重要な問題を事務次官通牒にまかされておるか、この点は社会局長の御説明を承りたいと思います。
  21. 木村忠二郎

    木村説明員 進駐軍によります事故見舞金につきましては、昭和二十二年の一月八日にこれが閣議決定になりまして、その閣議決定によりまして、見舞金を出すという処置がきめられたのでございます。従いまして、その処置によりまして話合いのつきましたものを、事務的に地方に流します場合に、事務次官通牒で出すという形をとつでいるのであります。従いまして、根拠といたしましては二十二年の一月四日の閣議決定、その後金額につきましては二十二年の一月八日以降のものと二十四年の二月一日からまた変更になつておりますし、二十五年の一月一日からまた増額するというように、逐次増額いたして来ております。従いまして、従来からのやり方で申しますと、きまりました後に大体ふえているということになつているのであります。しかし、今回私たちの考えております気持といたしましては、初めにさかのぼりまして、考え方をかえる方がよいじやないだろうかという気持を持つているのであります。これにつきまして、いつを区切りにするかということになりますと、どこを区切りましても、りくつはつかないのであります。従いまして、もし区切るとすれば、何かりくつのつきそうなところで区切るより手がないというような考え方を持つているのでります。われわれとしましては、それに考え方一つきまれば、初めにさかのぼつてやるべきであろうという気持を持つております。
  22. 高橋等

    高橋(等)委員 こうした事故に対しまする損害は、大体国家補償というような想念でやることが必要であろうと私は考える。見舞金という表現を使われることは、非常にうるわしいといいますか、それもけつこうですが、考え方はあくまでも補償であるというふうに願いたいと思います。ことに今後安全保障條約に従いまして、アメリカ軍軍事基地を提供いたすことになつて、いろいろ行政協定内容もありましようが、こうしたことで、われわれとしまして、日本国民アメリカ駐留軍に対しまして、よからぬ感じを持つ原因をつくつてはたいへんである。またそうした人々が、どうせ演習とかいろいろやるでしようが、それを非常に危険視するようなことが起つても困ります。この点で、吉田総理が今後の問題について十分なる見舞をしろということを言われたのは、そういう考慮が入つておることと考えるのであります。そういう点を十分に頭へ入れて、急速にこの問題を、先ほど池見議員が主張されたような線に沿うて、全国的に解決をしていただきたいということを、特に私からも希望を申し述べておきます。
  23. 松永佛骨

    松永委員長 他に本請願についての御発言はございませんか。——なければこれより本請願の採決に入ります。本請願はその趣旨を適切、妥当なるものと認め、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 松永佛骨

    松永委員長 御異議がなければそのように決します。  なお本請願に関する報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、そのように決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 松永佛骨

    松永委員長 御異議がなければそのように決します。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時五十八分散会