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1951-11-12 第12回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十二日(月曜日)     午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       宇田  恒君    小平 久雄君       瀬戸山三男君    高田 弥市君       内藤  隆君    西村 英一君       三池  信君    池田 峯雄君       寺崎  覺君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今泉 兼寛君  委員外出席者         建設事務官         (大臣官房人事         課長)     町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 十一月六日  委員村瀬宣親辞任につき、その補欠として苫  米地義三君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  苫米地義三辞任につき、その補欠として村瀬  宣親君が議長指名委員に選任された。 同日     ―――――――――――――  村瀬宣親君が理事補欠当選した。 十一月二日  台風ルースによる災害応急措置に関する請願(  前田榮之助君紹介)(第六一五号)  後東下、田下両地内五ケ瀬川護岸工事施行  等の請願渕通義紹介)(第六六三号)  下山、大堀両川河口改修請願長野長廣君紹  介)(第六六四号)  由良町の海岸沈下に対する救済対策確立請願  (塩田賀四郎紹介)(第六六五号)  頓別、宇曽丹両川治水工事施行請願佐々  木秀世紹介)(第六六六号)  仁尾町地内柿谷線道路開設促進請願福田繁  芳君紹介)(第六六七号)  三陸橋架設請願内海安吉君外一名紹介)(  第六六八号)  利別橋永久橋架替え等請願高倉定助君  紹介)(第六六九号)  小平村の護岸工事施行請願佐々木秀世君紹  介)(第六七〇号)  二子屋橋下流吉田川幅員拡張等に関する請願  (安部俊吾君外一名紹介)(第六七一号)  清水、日高間道路開設請願高倉定助君紹  介)(第六七二号) 同月七日  冨士川河口移設に関する請願内海安吉君紹  介)(第七二四号)  江部乙、雨龍両村間石狩川架橋請願篠田  弘作紹介)(第七三三号)  別山川改修工事施行請願田中角榮紹介)  (第七六四号)  町村道本富沢線三石川地区改修工事施行の請  願(篠田弘作紹介)(第七六五号)  三石川砂防工事等施行請願篠田弘作君紹  介)(第七六六号)  稻見、上野深間間道路開設請願篠田弘作君  紹介)(第七六七号)  鳧舞川改修工事促進請願篠田弘作紹介)  (第七六八号)  美河高見間道路開設請願篠田弘作君紹  介)(第七六九号)  指定府県道三原呉線国道編入請願宮原  幸三郎紹介)(第七七〇号)  指定府県道三原実線道路改修工事促進請願(  宮原幸三郎紹介)(第七七二号)  三陸国道予定線中女川、雄勝間改修工事施行の  請願内海安吉紹介)(第八一四号)  千鳥川改修工事施行請願川西清紹介)(  第八一五号)  余野川改工事施行請願淺香忠雄君外一名紹  介)(第八一七号)  加古川中流改修工事促進等請願川西清君紹  介)(第八一八号)  国道三号線中別府、中津間改修工事施行請願  (村上勇君外三名紹介)(第八一九号)  厚岸本、真龍両町間の厚岸港に架橋請願(松  田鐵蔵紹介)(第八二一号)  筑後川改修附帶工事として古川水門地区排水  施設整備請願寺崎覺紹介)(第八二二  号)  区画整理委員の任期及び選挙に関する請願(久  野忠治紹介)(第八二三号)  特別都市計画事業に対する国庫補助請願(久  野忠治紹介)(第八二四号) 同月九日  荒倉隧道開さく工事促進請願長野長廣君紹  介)(第八六二号)  県道越知宇和島線改修工事促進請願長野長  廣君紹介)(第八六三号)  奥田川防災工事施行請願長野長廣紹介)  (第八六四号)  県道安芸大栃線改修工事施行等請願長野長  廣君紹介)(第八六五号)  仁淀川改修工事促進に関する請願長野長廣君  紹介)(第八六六号)  中筋川改修工事促進請願長野長廣紹介)  (第八六七号)  新川川改修工事促進請願長野長廣紹介)  (第八六八号)  日向神ダム建設反対請願高橋權六君紹介)  (第九〇九号)  国道十八号線及び県道神戸豊岡線改修工事施行  の請願有田喜一紹介)(第九一六号)  矢名瀬、金浦間磯部改修工事施行請願(有  田喜一紹介)(第九一七号)  県道岡多線改修促進請願三宅則義紹介)  (第九一八号)  台風ルースによる災害応急措置に関する請願外  二件(岩川與助紹介)(第九一九号)  幌延、南沢間道路改修費国庫補助請願佐々  木秀世紹介)(第九二〇号)  上幌延、雄信内間道路改修費国庫補助請願(  佐々木秀世紹介)(第九二一号)  出合橋復旧工事施行請願稻田直道紹介)  (第九二二号)  県道椎葉細島港線を国道編入請願渕通義  君外二名紹介)(第九二三号)  天塩川治水工事促進請願佐々木秀世君紹  介)(第九二四号)  細見、岡元両地内五ケ瀬川堤防築設の請願  (佐藤重遠紹介)(第九二五号)1 同月十日  下呂、太田間飛騨川沿岸観光道路開設請願(  平野三郎紹介)(第九七二号)  吉野川改修工事施行等請願眞鍋勝君外二名  紹介)(第九七三号)  天草郡上、下島東海岸道路開設請願原田雪  松君紹介)(第九七四号)  土木災害復旧工事施行年限短縮請願石原登  君紹介)(第九七五号)  公共施設災害復旧費全額国庫負担請願石原  登君紹介)(第九七六号)  災害復旧費融資に関する請願石原登紹介)  (第九七七号)  災害復旧工事補助金交付促進に関する請願(山  本猛夫君紹介)(第九七九号)  上南方橋復旧工事施行請願渕通義紹介)  (第九八〇号)  府県道宇美青柳線改修工事促進請願池見茂  隆君外一名紹介)(第九八一号)  砂押川改修工事促進請願内海安吉紹介)  (第一〇二四号)  大江川改修工事促進請願江崎真澄紹介)  (第一〇二五号)  福住、万字間道路開設請願小平忠紹介)  (第一〇二六号)  県道籠線開設促進請願高橋權六君紹介)  (第一〇二七号)  筑後川改修工事促進請願高橋權六君紹介)  (第一〇二八号)  亘瀬川改修工事促進請願高橋權六君紹介)  (第一〇二九号)  県道新潟安塚線改修工事費国庫補助請願(田  中角榮紹介)(第一〇三〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  道路整備改善等に関する陳情書  (第四七一号)  住宅金融公庫法の改正に関する陳情書  (第四 九七号) 同月八日  大分県入田ダム建設計画中止に関する陳情書  (第五九三号)  東北、北海道地方に対する公共事業費国庫補  助金交付に関する陳情書  (第六一五号)  九州海岸干拓堤防改修に関する陳情書  (第六一六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  小委員及び小委員長選任に関する件  河川総合開発に関する件  ルース台風による災害対策に関する件     ―――――――――――――
  2. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前に、理事及び小委員補欠選任についてお諮りいたします。すなわち村瀬宣親君は去る十一月六日委員辞任せられ、本日再び本委員となられたのでありますが、同君は理事であり、道路に関する小委員及び河川に関する小委員でありましたので、理事及び各小委員補欠選任を行わねばなりません。理事及び各小委員補欠選任につきましては、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議ないようでありますから、それでは理事及び道路に関する小委員並びに河川に関する小委員には従前通り村瀬宣親君を御指名いたします。     —————————————
  4. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 それでは本日の日程河川総合開発に関する件につき、調査を進めます。なお建設省から堰堤堆砂の量につきまして、先般の委員会西村君から資料の要求があつたわけでありますが、ここへ出ておりますから、この点について簡明に河川局長から御説明を願います。
  5. 目黒清雄

    目黒説明員 この前中谷さんの雑誌に載つた話でも、非常に堰堤の堆砂が多いので、堰堤生命が短かいのではないか、あるいは将来堰堤をつくる場合に、こういうことでは堰堤効果を失うのではないかというお話がありましたが、われわれが調査いたしました資料はお手元に差上げました通りであります。もちろんその中には、相当たまつた、例の雑誌に載つたような問題のところもありますが、これを大小合せて平均をとりますと、一ぱい土砂がたまるまでに、七十年から八十年くらいかかるという結果に相なつております。この表にあります通りに、第一ページの相模川の與瀬でありますが、三年で三・三%というほどでありますから、結局一年に一・一%でありまして、大体九十年以上の生命を持つているということになります。もちろんダムをつくりました上流の砂防をやらなければいけませんので、これはやはり並行してやるべきであるということになります。相模川の與瀬ダムは公営、すなわち県営でやつておりますが、そのために山梨県の砂防工事を神奈川県の負担においてやつておりますので、こういう結果に相なつておりますから、どうしてもダムをつくりました場合には、公共施設砂防その他の施設を並行して行わなければならぬということは事実であります。ただ天龍川のように非常に荒れておりますと、泰阜ダムをつくりまして、数年の間に埋もつた例もないではありません。
  6. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 建設大臣はもう少ししたら見えることになつております。ちようど安本長官は参議院の方の会合に出ておりますので、かわりに小沢交通局長出席のはずでありましたが、出張をしましたので、交通局次長今泉さんが見えておりますから、これより質疑に入ります。
  7. 田中角榮

    田中(角)委員 大臣がお見えになりませんので、その間事務的な問題でちよつと伺いたいと思います。  河川総合開発電源開発との関連性についてまず伺います。河川総合開発をやつて参りますと、必然的に電源開発が起きて来るわけであります。現在の経済情勢から考えましても、電源をまず第一番目に取上げなければならないといわれておるようなわけでありますが、経済安定本部としては、電源開発を考える場合、河川総合開発と並行して調査審議を行つておられるかどうか。それから河川総合開発を行うことを原則として、必然的に起る電源開発を進める場合は、非常に合理的に行くと思うのでありますが、電源開発だけを主目的として行う場合には、いろいろな弊害も起きて来ると思うのであります。電源開発の場合には、農業水利やいろいろのことを全然考えないで、流域変更案を行う場合もあります。その他農業水利河水統制の面を全然考えないで、ダム式電源開発を行うということもあるのであります。私たちはこれが完全な一致ができ得れば最良であると思つておるのでありますが、現在経済安定本部調査をし、立案をしておられる重点は、そのいずれにあるか。調査の結果どのような資料ができておるのであろうかということを伺いたいのであります。
  8. 今泉兼寛

    今泉政府委員 すでに御承知であろうと思いますが、従来、経済安定本部河川総合開発協議会というものを二十二年度から持つておりまして、河川開発する際にこれを総合的に見なくちやならぬということで、全国のおも立つた川につきまして、関係各省及び民間関係の方もこれに参加していただきまして、この川を開発するにはどういう方式でやつたらいいか、たとえばこの川の開発方式としてダム地点をどこに選ぶか、そして道路のつけかえはどうするか、水利はどうするか、砂防関係はどうするかという多目的調節に資する案を進めて来たわけでございます。すでにそういつた協議会で取上げて結論を得ている川は相当多数の川に上つております。たとえば紀ノ川、最上川、北上川、只見川、全部が全部まだ済んではおりませんが、大部分済んでいる川は、琵琶湖、熊野川、九州の嘉瀬川、十和田湖、猪苗代湖、江ノ川、神戸川、物部川、利根川、矢部川、吉野川球磨川黒部犀川、こういつたものにつきましてもずつとここの協議会で検討を進めておりまして、それぞれの河川につきましては、こういつた開発方法がよろしいということを答申された、相当厖大な資料もすでにできております。本年度におきましても、従来まだ調査不十分であつた川を補正する意味において、信濃川、神戸川、九州球磨川吉野川、それからまだ不十分であつたものとして、さき申し上げました江ノ川、同じく黒部犀川、木曽川の七本を取上げまして、本年度においてもぜひこの協議会において結論を見出すために目下調査を進めておる次第でございます。先般行政制度の改革によりまして、なるべくこういつた審議会協議会というようなものは数を減らせという御趣旨もありまして、現在においては河川総合開発協議会は一応解消いたしましたが、国土総合開発審議会河川部会という中にこれを統合いたしまして、実質は従来とかわりなく進めております。従つて全国のおも立つた川については、従来とも調査がすでにできておるが、研究不十分なところについては調査を補正しているといつた段階でございまして、こういつたおも立つた川について発電関係を起すといつた場合は、農業関係ないしはその他の建設関係矛盾撞着をしないように、多目的総合性を発揮させるという意味において案を進めているわけでございます。中には地方利害関係等が必ずしも一致しないために、まだ最後的結論の出ないものもございまするが、あるいは只見川について流域変更案本流案があるという問題も、一応の調査は進みましたが、なかなか福島県、新潟県といつたところの利害調整ができないため、まだ最後的結論が出ないところもございます。しかし大部分につきましては、関係府県等の合意も成りまして、この川を開発するにはこう行つた方が一番理想的であるという案は、大部分の川については、もうすでに結論が出ている状況でございます。これについて今後例の電源開発調査を大々的に進めるという場合に、それではどういうふうな進み方で行くかという御質問であろうと思いまするが、現在御承知通り公共事業の対象として国が直轄で進めている工事と、それから県の事業として補助事業でこれを進めているところ、これは全国に相当ございます。それからまた今後の問題として国が直轄で進めてもらいたいという要望、それから補助事業としてこの川を取上げてくれという地方要望もございます。従つて明年度以降は、電源開発をやる際に現在国の直轄あるいは補助事業として取上げているほかに、新規として直轄ないし補助事業ということで取上げてもらいたいという希望のものが若干加わるはずでございまするが、この総合的な開発につきましては、国としてはできるだけそういつた一般関係で取上げるものと、公共事業との計画とを均衡させまして、公共事業だけが進んで一般が進まないとか、逆に一般が進んだけれども公共事業費が着かないとか、こういうようなことのないように、計画といたしましては、公共事業関係一般関係とは進度を合せて進めて行こうじやないか。まだ例の電源開発の細目もきまりませんし、また大方針も未決定の状況なので、こうきまつたということは今日まだ申し上げる段階にはございませんけれども、かりに五箇年計画なら五箇年計画電源開発がきまつた際に、これに対して公共事業関係をどういうふうにするという一応の考え方は持ちまして、明年度予算を編成する際に、それに合せて公共事業関係が遅れることのないように、予算の配分は一応今日考えている次第でございます。  それから開発方式にいたしましても、従来のごとくに單に電気だけ起せばいいんだという考え方ではなくて、やはりこれに対しては灌漑用水関係、あるいはその他の水利関係も十分考えまして、ダム地点選定あるいは開発後の管理の問題等も万遺憾なきを期するようにやりたいというわけで、一方電源開発調査の方と、私の方等も参画いたした上で寄り寄り案を進めているという状況であります。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一つだけ伺いたいのですが、建設省立場からは河水統制という方面を考えておられますし、農林省は独自な立場から農業利水方面だけを考えているようであります。電源開発関係は、これまた一部のマイナスがあつて電源開発を早急に行わなければならないという。農林省開拓部門は水や電源などには関係なく、開拓地点選定しておられるようであります。私はこううい各個ばらばらな行き方では非常に国費の濫費損耗を来すという意味から、従来からこれが調整機関の必要を説いているのであります。現在の官庁としては、経済安定本部がこの調整をとつていると考えているのでありますが、利水の面あるいは河水統制の面、電源開発というような問題に対して、経済安定本部は今までこれら関係諸官省との間に調整をとり、統制を行い、ある程度の結論を得ているかどうかということを伺いたいと思います。これはなぜかと申し上げますと、今問題になつております国土総合開発法によるところの特殊地域選定、これも私たち委員会発言をしてからまる一年四箇月過ぎているのでありますが、いまだに選定もせられない。しかもこれが選定に対しては、いわゆる河水統制を主目的に置くか、電源開発を主目的に置くかという問題は当然起きて来るのでありまして、近く決定せられると言いながら——私は決定せられる場合にはそれが相当の調整も行われて、地域選定をする場合にはすでに具体的実施案をあわせて発表できる段階であらねばならない、こう考えているのですが、これらの諸問題をいかに解決しておられるかということを伺いたいと思います。
  10. 今泉兼寛

    今泉政府委員 多目的ダムにつきましては、先ほど申し上げました河川総合開発協議会メンバー、あるいは建設省農林省通産省、あるいはその他運輸省、こういつたメンバーは全部加わつております。従つてこれを具体的に調査を進める際に、たとえば河川統制が、この川は主であるというような場合は、大体その川の調査主体建設省にやつてもらう、それにあわせて農林省なりあるいは電気関係通産省が加わつて調査していただいて、幹事役河水統制主体とする建設省主体なつ調査したところに、農林省あるいは運輸省なり通産省なりが加わつて、そうして十分現地会議も開き、その現地会議結論で得たことをまた中央に持つて来て、中央協議会でこれを討論した上できめる。こういう方針で従来やつておりまして、その間若干各省の意見の食い違いがありましたが、各省間の非常な対立のために結論を得られなかつたということはほとんどないので、むしろ地方的利害が錯綜しているところが最近までまだ結論を得られない。各省間の関係はそこの協議会でいろいろな問題はあつたけれども、結論は得られている、こういう状況でございます。従つて従来もそういう状況でございますし、今後国土総合開発河川部会でそのことを担当するわけでございますが、従来もそうであつたから将来についてもという推定はあるいは早計かと思いますけれども、従来の実情はそういうことでございますし、割合になごやかに、しかも満足すべき結論を従来得ておりますので、今後も河川総合開発協議会を中心として、そういつた調節は十分やつて行けるものと確信する次第であります。
  11. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの御発言通りであればいいのでありますが、実際は電源開発を行う場合、農業利水河水統制開拓というものが一致しておらないという場面が相当あるようであります。一部においては二十六年度において農業用排水路をつくつているのでありますが、こういうものが独自の立場においてダムをつくり、流域変更を行うために水が全然入らないという例が現に幾つかあります。でありますからそういう調節は何とかとりたいと考えているわけであります。その意味におきまして、目黒河川局長ちよつとただしておきたいのは、公益事業委員会電源調査会等がいろいろな河川別電源開発案を発表しておりますが、こういうことを発表する前に、あらかじめあなた方に資料提供及び十分なる調整が行われているかという問題を伺いたいと思います。
  12. 目黒清雄

    目黒説明員 御承知通り電源開発の問題は電力不足の最近の情勢から急に話が持ち上りましたが、普通の年でありますれば、はるかに以前からこういうものを調査し、あるいは協議する期間があつたのですが、今度に関する限りは、その期間の余裕がなかつた従つてただいまわれわれの方では、九電力会社から出て参りました、今度着手しようと思う開発地点調査しておる。そこで非常にこれは急ぐので、われわれも至急調査してその結論を出したいと考えておりまするが、そのうちで、大体過去におきまして水利権を與えて、ある程度準備の整つたというものもありますし、そのうちに新水利権を出願して参つたものもあります。それから水利権は一応過去において許可を與えてありまするが、その後の総合開発的な要素が考えられて、多少これに考慮を要するという問題もあります。水利権を新しく設定する、許可するというような問題と、そのほか多少の変更を要するというような問題が、今懸案になつております。しかし先ほどお話した通り、この問題は早く解決しなければならぬと考えております。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 そうすると、目黒さんまだお答えになつておらないようでありますが、公益事業委員会電源開発調査会が発表しておる現段階において、あなた方から資料提供を求めたかどうかということであります。水は建設省所管でありますので、水に対する最も大きな資料を持つておるのは建設省なんでありますから、建設省から一応の資料提供を受けて、その説明を求めた上で、いろいろな立案が行われるのが至当であると思つておるのですが、現在においては、ただ不足電力を早く供給したいという面から、水の大元締めである建設省の意向があまり取入れられておらないのではないかこういう危惧を持つておるわけです。もう一歩進んで申し上げますと、今流布されておるところの電源開発公社というものができて、五箇年計画をただちに遂行するという場合に、建設省河川局は、事務的に考えて、日本の河川の中で総合的にプラスになる河川を、順位をつけてすぐ発表できる態勢にあるかどうか。これがないということになれば、電源開発に関する諸機関が、建設省をある意味において無視して発表してもやむを得ないかということになるのでありますが、現在の状況において、それに応じ得る態勢にあるかどうかということを伺いたいと思います。
  14. 目黒清雄

    目黒説明員 われわれの総合開発といいますと、治水が大きな問題になつております。それと同時に、利水を組合せるということになりまするが、プライオリテイーをどこへ持つて行くかということで、議論はわかれると思うのであります。われわれの考え方は、こういうふうな災害が頻発して国土が荒廃しておる時期には、治水プライオリテイーの第一と考えてもらいたいというつもりであります。その治水プライオリテイーの第一として考えての計画は、われわれの方ではいつでもお示しできる案を持つております。片方、電源の現在の状態からいえば、その電源開発上から来るプライオリテイー、優先順位はおのずから違つた面で出て来ると思います。結局、そこで二つの優先順位の調整ということになると思うのでありますが、われわれとしては計画そのものは、両方の目的の多くを達し得るものをつくつてもらいたいという主張をいたしておる。ただ順位は、電気の方から見れば、場合によると遅れるものもあるかもしれませんが、もしそういう遅れるようなものは、片方、治水的な見地からこれを推進するというような点から考えまして、その辺の調整をとつてもらいたいこういうわけであります。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員 建設大臣がおいででありますから、事務的な面を除いて、政治的な面から御質問申し上げたいと思います。  今電源開発は政治の焦点として取上げられておることは申すまでもありませんが、電気が少いからということで、これを解釈するために、総体的な国土総合開発を考えないで、どうもどろなわ式でもつて、早く電気が出ればいいのだということで、電気を重点的に考えておられるようでありますが、電源開発は、御承知通り非常に莫大もない費用と長い年月を費して行われるものでありまして、私は、この電源開発という問題が大きく取上げられて来たときに、初めて建設省が長い間考えておつた治山治水利水という面もこれに抱き合せて、強引に成功をはかるという面に行かなければならないと考えておるのです。私の考えでは、電源開発といつても、現在国鉄では信濃川の第三期工事を完了する、同時に天龍川もやりたい、もちろん東海道線の電化も焦眉の急ではありますが、信濃川の発電を行われるためには、飯山線を移設するだけでも三年もかかる。あるいは同じく熊野川を取上げられても、現在その立ちのきに対して巨大な補償が必要であるということによつて、過去十年間も解決ができない。しかも建設省自体が、流域の変更案をとればいいのか、本流案をとればいいのかさえもいまだ決定されておらない。しかも電源開発をする当事者はそれにはかまわず、どんどんと独自の見解で実行を進められておられる。特に今河水統制等から来るところの県営の大きな発電工事を行つておる。これは猿ケ石にしろ、新潟県の三面にしろ、そういうものがたくさんあるのでありますが、こういう計画電源開発という面から来る計画といかにマッチせられるおつもりであるか。建設省としては、電源開発に対しては、そのデータは全部建設省からとつてくれ、要求する資料は一切提供をいたします、なお建設省が考えておる河川総合開発利水河水統制という面も抱き合せてくれ、こういうことを強力に言つていただかなければならないと考えておるのでありますが、本問題に対して建設大臣はどういうふうに考えておられるか。また電源開発に対しては、場合によつて建設大臣が相当の主導権をおとりになるというぐらいなお気持があるかどうかを伺いたい。
  16. 野田卯一

    ○野田国務大臣 田中委員のおつしやることはまつたく同感であります。今電源開発が盛んに問題になつておりますが、私は今電源開発がやかましくなつているのは、過去数年間における電源開発が怠られていた結果だと思います。しかし過去はいたし方ありませんから、これからできるだけ過去のものを取返し、また急速に長期の電源開発に移りたい、こういうふうに考えております。河川総合開発電源開発の問題は、お話のようにきわめて密接な関係があるのでありまして、われわれといたしましても、常に機会あるごとにその点を主張しております。今日においては、関係者はみなその点につきましては意見の大きな開きはないというふうに考えております。また具体的な計画を進めるにあたりましては、関係者はもちろん、安本、通産あるいは公益事業委員会、みな連絡をとつてつておるのでありますから、決して河川総合開発ということを従にするとかあるいは軽視するという傾向はありません。ただ問題になりますのは、河川総合開発と非常に密接な関係、すなわち洪水調節あるいは灌漑というものと非常に密接な関係を持つておる箇所と、それから電源オンリー、水力電気を起すだけというのが中心になるところがある。私もこの間、只見川をつぶさに視察いたして参つたのでありますが、只見川の本流水系では、電源開発だけで済むところが多い。ところが一つ支流に入りまして、伊南川あたりへ参りますと、これは河水調節電源開発とを完全に結びつけてやつておるところもある。こういうところにつきましては、もちろん電力関係の人も十分認識しておられます。私はこの点につきましてはもちろん今後非常に注意いたしまして、御心配のようなことはないようにいたしますが、各方面でもその点は考慮しておりますから、これはこの上とも注意いたします。  それから電源開発に対して建設大臣が主導権をとるかどうかという問題につきましては、これは今後に行われる行政機構改革にまつべき問題でありますが、当面の問題といたしましては、私は電源開発につきましては及ばずながら一生懸命勉強いたしまして、電源地帯も見て歩き、その他いろいろな計画調査するなりあるいは聞くなりして、建設省としてこの問題に対して遺漏のないように、全力を盡したいと考えております。
  17. 田中角榮

    田中(角)委員 私の質問が徹底しなかつたから申し上げますが、電源開発五箇年計画をつくる場合、今建設省利水という面から起債で工事を行つておる県営電源工事があります。こういうものを早く完成せしむるために、その五箇年計画の一環の中に挿入するお考えがあるのかどうかという問題を伺つておきたいと思います。
  18. 野田卯一

    ○野田国務大臣 五箇年計画は、形からいいますと、まだ考慮されておるところで、具体的な個々の地点等につきましては、これから検討を始めるということになつております。県営のものにつきましても、もちろんその一つとして十分考えたいと思つております。
  19. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 この際野田建設大臣にお尋ねを申し上げたいと思うのでありますが、河川総合開発を行うのにつきましては、きわめて広汎な建設事業が行われなければならぬと思うのであります。ひとり河川ばかりでなしに、建設省全体の公共事業その他の関係事業を行う場合においても、建設省の置かれておる立場は、技術面がきわめて多いのでありまして、こういう際に、今回政府が議会に提案されておる行政整理に関連ある建設省の問題について、将来の建設事業遂行のためにもお尋ねを申し上げておきたいのでありますが、この前の行政整理を行われる際にも、当時の増田建設大臣に私は、建設省の職員の諸君は、技術的にかえがたい人がたくさんあるにかかわらず、他の省のたとえば一割減員とか、一割半減員とかいうような、大まかな率をもつてこれを整理することは不当である。それで建設行政の責任が国務大臣として持たれるかどうか、こういう点を強く要望を加えて質問申し上げたのであります。当時増田建設大臣は、この点には十分考慮を加ててやるつもりである、こういう御答弁であつたのであります。われわれは行政整理にいたしましても、行政機構の改革をやつて、行政事務の簡素化を行い、そこに剰員が明確に出るという場合においては、何も行政整理に反対するものではないのでありますが、そういうものを行わないで、ただ天引的な行政整理を行つて、公務員の生首を裂くようなことについては、われわれは反響せざるを得ないことを強く主張をいたしておるのであります。建設大臣にこの際お尋ねを申しておきたいことは、建設省におきましては、いわゆる臨時雇という実質を持たれておるところの職員が非常に多いと思うのであります。ことに、何か聞くところによりますと、準職員取扱い要綱というようなものを用意されておつて、そしていわゆる正式な公務員としては表面上減員した、いわゆる自由党の政策を遂行したようなかつこうだけをつくつてつて、実質的にはこういう準職員などというような、今の日本の制度の上にはないところの人々を取扱うようなことを用意されておるということでありますが、これは建設大臣はそういうことを御存じなのか、そういうことを建設大臣がみずから指示されて、建設省において行つておるのかどうか、また行おうとされておるのかどうか、この点をまず第一に明確にしていただきたいと思うのであります。
  20. 野田卯一

    ○野田国務大臣 行政整理につきましては、人事、会計、あるいは管理というふうな仕事につきましては、財政困難のときでもあり、また国民負担軽減という意味合におきまして、できるだけ節約をいたし、また能率を上げることによつて、ある程度の人員を節約しよう、こういう方針で政府全体が気をそろえまして、今回の整理に乗り出しておるわけであります。建設省も、そういう方針に従いまして行政整理をいたしたいと考えておるのであります。しかしながら建設省には建設省としてのまた特別ないろいろな問題もあるのでありまして、各地ではいろいろ工事をいたしておる。またいろいろ工員その他の人を雇つて、複雑な形態で仕事をしておるのでありまして、この複雑な形態に即応するようにこの運営をやつて行きたい、こういうように考えておるのであります。お示しの問題につきましては、詳細にわたる点でもあますので、正確を期する意味合いにおきまして、担当の政府委員から一応説明させまして、あとでまたお答えしたいと思います。
  21. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 この問題は、実際主として地方局の職員に多い問題だと思うのでありますが、何でも準職員取扱い要綱によつて、定員以外の職員に適用しようとされるものが、聞くところによると、六千三名にも及ぶということであります。こんなたくさんの人を、いわゆる民間産業で申しますならば、臨時雇いということでやる。この臨時雇いということは、ごく短期間に使用する場合において、やむを得ず行わしむる場合でありまして、日雇い労働者を臨時に使う場合においてのことである。しかるにかかわらず、準職員といういわゆる職員に準じたものであつて、これらはおそらく十日か十五日間という短期間でないことは明確であります。これは結局待遇を低下させるところの、資本家の労働者取扱いに対する一方的な処置であつて、近代的な産業に従事させる労働者の取扱いではない。いわば不都合千万なやり方なのです。こういうことを官庁みずから進んでやるということは、きわめて重大な問題でございまして、日本のすべての経済再建の上からいいましても、国民を待遇する上からいいましても、こういうことを官庁がやるなどということにつきましては、私は何と申しましても承服しがたい点があるのであります。この点は、単なる局課長等でそういう計画があるかどうかということを聞くよりも、むしろ責任の立場大臣が、こういう行政を行うのは適当であるとかないとか、あるいはそういうことをさせるべき性質のものでないとかいうようなことを、これこそ大臣の責任において明確な所信を披瀝してもらわなければ、われわれは承服はできないのであります。ただ局課長の方の事務の取扱いをいいかげんな説明をして、それでこういう事情だからということでは、私は相済まぬと思う。この点をひとつ大臣みずから明確な御答弁を願いたいと思います。
  22. 野田卯一

    ○野田国務大臣 御質問の趣旨が私十分にのみ込めない点がありまして、お答えができるかどうかわかりませんので、今お話のあつた準職員というものを、置くことが悪いという御質問の趣旨なのでしようか。ちよつとその点を……。
  23. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 建設省で準職員取扱い要綱というものを用意しつつあるというようなことを承つておる。そういうことを大臣は御存じなのかどうか。そしてそういうことの取扱いについて、大臣は下僚の者にそういうことを指示されて、その準備ができておるのかどうか。またそういうことは全然なしに、ただ下僚がかつてにやつたことだから、大臣みずからは知らない、こうおつしやるのかどうか。この点をひとつお聞かせ願いたいのでございます。
  24. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私は準職員という名前かどうか、はつきり承知いたしておりませんが、御承知のように建設省は現業をやつております。その現業はどれだけやるか、どこでやるかということは、予算できまつておるのでありまして、仕事は請負に付するものもありますし、自分で直営的にやるものもあり、いろいろな形をとつおてるのでありまして、場所も年々によつてかわり、あるいは一年の間でもAという場所でやつたり、Bという場所でやつたり、だんだん移つて行くわけであります。仕事の性質、場所がいろいろ変化があるのは当然だと思ます。たとえば専売工場でものを生産しているのとは、全然違つた仕事をしているのでありまして、その実情にふさわしいように人の扱いもしておる、そういうふうに私は考えております。名前は準職員といつたかどうか記憶しておりませんが、そういう実情に即するような仕事をしておるここと信じております。
  25. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 ちよつと御注意しますが、この問題は池田君からも申入れがありますので、後刻にしたいと思います。総合開発に対する質疑者がありますから、その方を先に進めたいと思いますが、いかがですか。
  26. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 この問題はぼくにやらせてください。総合開発の方で時間をとつてしまうと、ぼくの質問はわずか三分でございますから、池田君、簡単に願いますというのが、これが委員長の議事運営上の今までの常套手段なんです。だからぼくは反対だ。これは質問通告順にやつてもらわなければ困る。
  27. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 私は言論を封鎖しようとは思いませんけれども、一応主題の総合開発の問題を先にして……。
  28. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 総合開発けつこうですけれども、きよう一日で総合開発の問題を委曲を盡すということは困難だろうと思う。従つて総合開発の質問時間を何分というふうに限定されまして、その残りを私にまわしてくれる、こういうことならば了承いたします。
  29. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 承知しました。できるだけそういうふうにはからいたいと思います。——瀬戸山君。
  30. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 先ほどもお話が出ておりましたが、建設大臣にはつきりした御意見を承つておきないと思います。川の水を治めて、その川の水を最も有効に使う、これが日本の緊急な問題であるということは、言わなくてもわかつておるのであります。そこで川の水を利用して、いわゆる多目的総合開発をしようということが、緊急課題になつておるわけでございます。電気を早く起さなければならないということも、常に言われておる。そのほかに治水治山をしなければならないということも、現在の日本の最大の課題であります。ところがそれは口では言われておりますけれども、言われておるほどになかなか進んでおらないのも事実であります。そこでこの前事務当局にもいろいろ申してはおつたのでありますが、きようは大臣が見えましたので、その点について御説明を伺いたいのであります。具体的に申しますと、現在建設省が国の費用を使つて、直営で河水統制事業をやつております。岩手県の猿ケ石、石渕、田瀬、胆沢とか、あるいは鬼怒川その他にもあります。それはいわゆる多目的ダムということで計画をせられ、現在工事が進行中であります。猿ケ石のダムは、河水の統制と発電という二つの目的を持つており、石渕のダムは、河水の統制と発電と灌漑用水の三つの目的を持つておる。五十里は河水統制と発電、そういうことでやつておるのであります。  さて現在石渕ダムあたりは、少くとも昭和二十七年度には完成の予定をもつてつておる。ところがダムをつくるとなれば、河水の調節はできるが、発電の事業はだれがやるか、また発電の工事をだれがやるかという根本の方針がきまつておらないようであります。その計画もできておるのでありますけれども、だれがどういうふうにやるのかという根本の方針がきまておらないので、私は先月でありましたか、現地に行つてみたのでありますが、現地の工事をしておる人たちが非常に心配をしております。方向が明示されないで困つておるという実情であります。と申しますのは、ダムがただいま申し上げましたように、だんだん進行して行くけれども、それに対して発電の工事をどこが、だれがやるのかということがわからないから、ダム進行とともに発電の取入口その他を建造しなければならないけれども、それが着手がされない。従つて水をためてからそれらの仕事をするということになれば、工事もしにくいし、工事の経費もよけいかかるという実情になるのであります。現在そういう方針がきまつて、並行して仕事がされれば、それだけ経費も少くて済むし、急いでおる発電の仕事も進むというのは、これはもう申し上げるまでもないのでありますが、根本方針がきまつておらない、それについて建設大臣はどういうふうな考えを持つておられるか。建設省河川局の事務当局でさえも、その方針がきまらないで困つておる実情であります。電気を急ぐ、河水の統制を急ぐと言いながら、実情はそういうふうになつておるのでありますが、大臣としてはどういうお考えをお持ちですか。
  31. 野田卯一

    ○野田国務大臣 瀬戸山委員のおつしやいました胆沢川の石渕ダムは、私も最近現地を視察いたしまして、同様な話を聞きました。そこでこれは御承知のように東北興業という会社がありまして、東北興業にあそこの水力発電をやらせるかどうかという問題があつたのであります。ところがそれは今日になつては非常に様子がかわつて来ておりますので、建設省といたしまして、私帰りましてすぐに、内部で相談をいたしましてこれはたとえば公社であるとかいろいろなものができてやるということがきまればよろしゆうございますが、そういうこともはつきりしない場合には、政府みずから発電をやろう、発電と申しましても、一番初めは取入口の敷設でありますが、それを政府みずからやろうということに、省といたしましては方針を決定して、その方向で進んでおるのであります。いつごろ瀬戸山さんいらつしやつたか存じませんが、そのことがよくわかつていないで、先にいらつしやつたのではないか、こういうふうに思います。
  32. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 建設省で発電の施設といいますか、水路をつくられるということでありますが、今の発電の関係の法律をよく知りませんけれども、国で発電をするということは、今の法制ではできないのであると思います。そこで建設省の事務当局の話では、結論として東北電力にやらせるか。——岩手県でも希望がある。東北興業の話は今大臣が言われたような実情でありますが、国の直接の工事としてやるということは、私は一番早道だと思います。ただ問題は、そういうふうな施設をいたしまして、一企業会社にそれを継続させる、そういう場合に経費をどうするかということ、経費の区分、分担が、相当問題になると思います。建設大臣は国の仕事としてどこまでやられるというお考えでありますか、承りたいと思います。
  33. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいまのは具体的の例ですから、話を具体的に申し上げられると思いますが、あそこの電源は、発電をどこがするということがはつきりきまれば、そのものにやつてもらえばいいわけでありますが、きまらない先にダムの方はどんどん工事が進む、工事が進むために水がたまり出す、たまつてしまうと、取入口の設置ができなくなる、こういつたような物理的、時間的な問題があるのであります。これを打開するために、そういう発電を行う主体がきまらなければ、政府でやるという腹をきめておるのであります。その後になりまして、たとえば今問題になつておりますが、電源開発公社がやるということがきまれば、その仕事は適当な時期にその方に移管をしようというふうに相なると考えております。それは具体的に個々の場合に従つてやりたい、こういうふうに思います。
  34. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 ほかの問題はこの際あとまわしですか。
  35. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 きよう総合開発結論には入らないけれども、織りまぜて同じような問題ではあるけれども、一応総合開発の問題をやつて、時間があれば、そのあとでやりたいと思います。
  36. 西村英一

    西村(英)委員 私の今質問したいと思つてつたことを、ちようど瀬戸山委員からおつしやつたので、それで大臣のお話を聞きますと、きまりさえすればどうとかいうのですが、それをあなた方の立場できめなければならぬのじやないかと思うのです。胆沢の方のダムは、これも非常に遅れておるということを私知つておりますし、きまりさえすれば、ということをおつしやるのですが、それをきめるのは一体どこできめるのか。建設省がきめ得る立場じやないかと思う。  それからダムをたくさんつくつてやろうというその中の計画を見ますと、これは建設省から出ておる資料に基きましても、全体の予算の大部分、七〇%は電源開発に使われるような金になつておる。それですから、その根本の重要な電源開発主体を、どこでやるかということをきめずしてダムだけをやるということは、総合開発の根本の方針を誤つておるのではないか。これからでもおそくはないのですが、現在電力不足のために電力公社をつくつてやらなければならぬ、これは政府も安本も大いに身を入れてやつておることは御承知通りでありますが、公社ができましたら、ダム及びそれに付随した電源開発も、国営のものは全部公社に持つて行くのか。あるいはダムのみは建設省でやり、電源開発は公社に持つて行くのか。あるいは、たとい電源開発の公社ができましても、現在の電源開発の公社というのは、大臣も御承知通り、大規模なやつをやろう、つまり只見川であるとか、あるいは天龍川であるとか、熊野川であるとかいうような、ほんとうに大きいところをやつて、その他のものは今対象になつていないのでありますが、別な機関を使つてやろうとするのか、あるいはまた現在の民間の電気事業者を使つて電力を開発させようとするのか、それらの点をきめさえすればじやなくて、きめなければならないのではないか、ダムをやつておるあなた方の方できめなくてはならないのではないかと私は思うのです。その点につきまして、もう一回御答弁を願います。
  37. 野田卯一

    ○野田国務大臣 お話の点は私もよくわかりますが、だれにやらせるかということをきめるについては、今電源開発計画でもつて一つ一つの川、発電箇所において、ここをどうするかということをきめようとしておる。きめようとしておるのは、電源開発公社の問題が起つておりますので、開発公社にどれをやらせるか、今の案の一つには北上川の胆沢川のダムも入つておるわけであります。これは電源開発公社がやる案になつておるわけであります。私はこれをだれがきめるかということは、政府が関係する方面は非常に広いものでありましてこの関係のものが集まりまして具体的にきめるということになると思います。問題は私たちがやつておるのがきまらないために、電源開発事業が遅れるということがあつては相ならぬ。ダムは御承知通り最近の実績から見ると時間が相当かかりますから、ダムをつくる方はどんどんダムをつくつて、電力の設備の方は御承知のように時間は短かくて済むのであります。でありますから、あとからおつかけて来ても十分間に合う、おつかけて来ない場合は、ダムをつくつている政府がやろう、何でもいいから早くダムをつくつて洪水を防ぎたい、それからできるだけ早く発電をするという態勢に持つて行きたい、こういう方針で進めておるということを御承知を願いたい。
  38. 西村英一

    西村(英)委員 しかしながら北上川に関するいろいろな芸の点については、東北興業はかねてからその電力はみずから開発するという希望を非常に持つてつておる、もし建設省で積極的な、それらのものは結局政府がやるのだというような希望がないならば、北上に関するものは、希望をしたところの企業体にやらせればいいじやないですか、それを今までやらせないのは、ある一定の方針のお考えがあるからやらせなかつたと思うのです。その辺の立て方が私は非常におかしいと思うのです。これは私はそう考えておるのですが、今後ダムをやつてつて総合開発をしようとすれば、その根本の考え方建設省としては急速に立てなければいかぬと私は思うのです。  これは私希望を申し述べておくだけでそのくらいにいたしておきますが、もう一つ、さいぜん田中議員がやはり述べましたし、また私も前回建設大臣にお尋ねしたのですが、やはり一方において電源の不足のために電力確保から行きますと、ほんとうに急速にやろうという声が非常にありますし、またこれは絶対必要だと思われるのです。ところがまたこれは建設省自体の仕事として、洪水の調節その他総合開発の面からやろう、また目黒河川局長考え方にいたしますれば、河川をあずかつておる建設局長としては、治水第一主義で行きたい、ところが一方電源開発その他利水の面からまた相当な緊急性ができておるのでありますから、おそらく今後の川をめぐる、利水治水の点には非常に相抵触するところがあるために、どうしても私は強力な水利使用に対する利害の調節機関がいると思うのであります。今泉さんのお話ですが、現在の状態でもいろいろ話合つて行くからして、あまり害はなかろう、こういうことをさいぜんも聞きましたが、私は今後のやはり電源不足のために、急速に電力を開発して行かなければならぬという要請にこたえるためには、建設省がやはり進んで水を使わせるということをしなければならぬ、ところが一方また治水の面も総合的に考えなければならぬということになりますと、どうしても現在の安本の程度では不足でありまして、強力な調整機関を置いて、そこでもつて国家の方針をびしびしきめないというと、非常にトラブルが起つて来ると私は思うのであります。そこでこれはおそらく今後の行政機構の中心点でもあろうと思うのですが、大臣はこの前の御答弁は、その点は今触れたくないということでありましたが、調整機関につきましては、さらに大臣は積極的な意見をお持ちにならなければ私は困ると思うのですが、重ねてもう一回お聞きしたいのであります。
  39. 野田卯一

    ○野田国務大臣 電源開発河川総合開発の関連でありますが、これは御承知のように、一つの省でびしびし片づけてしまうというぐあいになかなか行きがたい点があるのでありますが、灌漑の点になりますと、これはどうしても農林省の農地を受持つておりますものと非常に深い関係なつて参ります。電気を発電するということになりますと、電気を所管する役所と密接なる関係がある。河川全体を総合開発して、また治水をするという点から行けば建設省、各方面関係を持つて参りますので、私はこれを一箇所だけでどんどんきめてしまうということは、なかなかむずかしいのではないか、どういう組織にいたしましても、やはり関係各省が相寄つて、この問題の重要性を十分認識して協力する以外に手はないじやないかと思つております。この点非常に御心配のようでありますが、私が接触しております範囲においては、今のところ争いというか、意見の相違はないわけであります。たまに意見の相違がありましても、よく話合つて、結局最後は政府の決定、内閣の閣議決定になるのでありまして、私はいろいろな行政機構のことは今の段階ではあまり申し述べたくないのであります。関係庁の熱意と努力によりまして、相当この解決は困難ではない、私は現在それを信じております。
  40. 西村英一

    西村(英)委員 もう一点お聞きしたいと思いますが、ダムの建設が積極的になりましたのは、御承知通り見返り資金がダムの建設に二十五年度の七月ですか、見返り資金から金が出るようになつて、大規模のダムに行かれるようになつた、ところが当時二十六年度においては、見返り資金が公共事業費に使えないということで、非常に問題になつたのですが、私は従つて今後建設省が、河水統制その他多目的のためにダムの建設に身を入れて、それに多額の金を投ずる、これに反対はありませんが、一方またひるがえつて考えてみますと、現在の一般河川事業との関連性が非常にあるのですか、当時もこの一般公共事業費からかくのごとき大きい規模のものに対して多額の金を割愛されるということは、非常に河川一般公共事業費に影響するからということで、相当政府を責めたわけです。しかし結局はダムに対する特別な財源がないために、公共事業費から相当な金が出たわけです。それだけまた一方河川費は食い込まれておるわけです。二十六年度の十四、五億の金が、これは国営ダムだけでもおそらく使われておるのですが、しかもまた北海道の河川につきましては、総合開発の名のもとに、非常に大きい河川事業費がまわつておる。結局ダムを今後大規模にすると申しますと、一般公共事業費河川事業費が非常に少くなるおそれが私はあると思うのであります。そこで私はお尋ねもしたりお願いしたいのは、やはりダムは多目的のために使われるのだということになりまして、しかも多額の金がいるということになりますれば、この目的のために使うところの経費は、一般河川事業費の公共事業費のわく外から考えていただきたいと思うのであります。電力それ自体の発生のために、政府が何千億かの国家財政をそれに費そうとしておるくらいですから、一般河川費の中からかくのごとき大規模のダムをやることは、全国中小河川の非常に防災その他急がなければならぬときに、一般公共事業費をいためることが非常に大きいと思います。従いましてそれらの点につきまして、今後のダムの費用は、どういうふうに財源を考えておるかということにつきまして、建設大臣の御意見を伺いたいのであります。
  41. 野田卯一

    ○野田国務大臣 方針といたしましては、そのダム電源開発のために使われ、また洪水調節あるいは灌漑のために使われるといたしますなれば、電源の方を受持つ——かりに電源開発公社というものができますれば、そのダムの建設費の相当部分をその公社において負担をするというのが筋道ではないかと思つております。その意味におきまして、電源開発公社というものが別にできまして、そうしてダムの建設費の相当部分を、その公社で負担してくれる態勢ができた方が公共事業費という点からいうと、かえつて肩の荷が少し軽くなるのではないか、公共事業費なら公共事業費のプロパーの方に確保するようにする、こういうふうな感じを持つております。
  42. 西村英一

    西村(英)委員 大体お考えはわかりましたが、今の建設省計画で行きますと、来年度も二十四、五億のダムのための費用がいることになるわけであります。現在一般河川事業費が、百四、五十億から二十四、五億も一般ダム建設にとられる。しかもまた北海道総合開発のために、またがさつと持つて行かれるということで、一般河川費が非常に少くなると思うのですが、その辺につきまして、私は大臣のおつしやいましたように、電源開発の方と一緒に考えるというふうなお話でありましたが、その辺はひとつ重ねて要望いたしておきます。
  43. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 前田君。
  44. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 建設大臣にお尋ねしたいのですが、総合開発についていろいろ政府でも御心配なさつておるようであります。しかしながらいまだにわれわれは明確な決定的なものを承ることのできないのを非常に遺憾に思うのでありますが、たとえば総合開発と非常な関係のある電源開発につきましても、ここに安本の計画要綱が出ておりますが、これもまだ試案のようであります。こういう総合開発に対する政府の確立した方針というものはいつごろできるお見通しなのでございましようか、そういう点についての見通しをひとつお聞かせ願いたいと思います。  なおいま一点は、電源開発と重要な関係のある電力関係公益事業委員会がございます。うわさによりますと、この公益事業委員会を廃止するというようなことが閣内でも議論になつておるようでありますが、これは廃止する方針なつておるかどうか、その点をまずお聞かせ願いたいと思います。
  45. 野田卯一

    ○野田国務大臣 電源開発計画は今政府部内において研究いたしておりますが、できるだけ早くこれをきめたいと思つております。それから公益事業委員会の廃止の問題は、まだ閣議では問題になつておりません。
  46. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 できるだけ早くということでありますが、御承知のようにこの問題はすでに前に大臣もおつしやつた通りに、もうできておらなけりやならぬ事項であるが、いろいろな関係上こういうことになつておるとおつしやつたのであります。大体大臣の見通しでは、今年内くらいにはそういう案ができるだろうという見通しがつくのでございましようか、この点をお聞かせ願いたい。
  47. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ちよつとお断り申し上げておきたいのであります。電源開発計画の内容でありますが、これは計画が立つてそれから手をつけるというものもありますけれども、すでに着々と各方面において手が打たれつつあるのでありまして、それを総合して一つの計画にまとめ上げるというような状況なつております。たとえてみますと、建設省におきましても、先ほど御指摘がありましたが、全国で五箇所にわたりまして今ダムをつくり、すでに発電の設備までもしなければならないほど進行しておるものもあるのであります。そういうものにつきましては、ちつとも手をゆるめておらないのでありまして、どんどん進んでおります。また電力会社におきましても、どんどんやつておられるわけであります。それを全体とりまとめまして、現在施行中のものはどれだけあるか、また年度末までにどれだけ手をつけるかということは、これは予算的なことできまつております。二十七年度のものになりますと、今度の予算できまるという関係がありますので、どういうものに手をつけるかという電源開発計画の具体的な問題といたしましては、実際から申しますと二十七年度予算を前にいたしまして、来年度予算にどれだけ盛り込むか、また一般的資金計画にどれだけ電源開発用の資金を確保するか、こういう問題と結びついております。その関係で、二十七年度予算並びに資金計画樹立と関連をいたしておりますので、それを目当に進んでおる、こういう状態であることを申し上げておきます。
  48. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私のお尋ねしたい要点はそういうことではないのでありまして、たとえば今西村君からも質問があつたようでありますが、電源開発の最も大きい問題は国でやるということがいい、われわれはそういう考えを持つておるのでありますが、公社案でやるとか、あるいはその他の方法でやるとかいろいろある。最も大きい開発をやる中心の基本方針というものがきまらないと、いろいろな計画部分的には進んでおつても、実際の実行の面で力強い発足が困難だと思うので、そういう点を早く内閣はおきめになつて、そこに全力を集中した集約的な電源総合開発というものが推進されないといかぬのじやないか、こういう考えを持つているので、その中心的な点をお尋ねするわけです。
  49. 野田卯一

    ○野田国務大臣 前田委員の御指摘の点よくわかりましたが、実は私もこの点を最近になつてはつきり認識したのであります。たとえば二十七年におきまする電源開発計画に対する所要資金というようなものを見てみますと、電源開発公社で使う金は割合に少い部分を占めて、九電力会社の使う金が圧倒的に多いわけであります。それで電源開発公社をつくりましても、来年度使う金はきわめて小部分にすぎないのであります。電力開発公社ができますと、それが非常に大きな働きをするというふうに世間では見られまして、これは日発の再現ではないかというような議論があるのでありますが、御承知のように日発の場合は、日本国内における発送電を一手に日発がやつていたのであります。今回考えられておる開発公社はそんな大きなものではないのであります。私はこの間安本でつくられました資金計画を見たのでありますが、それによりますと、大部分電力会社で来年度の資金は使い、公社に割当てられたものは比較的少い金に相なつておるのであります。日本全体の現在手をつけております電源開発計画という点からいいますと、もちろん重要でありますが、それができないと全体が非常に困るとか、電源開発計画全体が停頓するといつたようなものでもない。なおこの電源開発公社ができますと、第一番に只見川が問題になりますが、しからば只見川は何も手をつけないでおるかというと、そうではないのでありまして、只見川の下流部分につきましては、現在二十三万キロの発電をされておる。また最近片門、柳津という二つの発電所に建設省の許可をおろしたのでありますが、この二つで八万キロ以上の電力を発電するというのでありまして、只見川につきましてもずつと下流地帶における電源開発は進んでおる。その上流部分を大きな規模の大貯水池をつくつてやる、その部分をどうするかということが今問題になつておるので、今後公社ができれば、そういう仕事はこの公社でやらせなければならないじやないか、こういうことで進んでおります。こういう点を御了承願いたいと思います。
  50. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 私も最初に総合開発の問題でお伺いしたいのであります。私はたとえばこの電源開発ということが一つの重点目標としてきめられた場合に、河川関係の他の公共事業費電源開発の付属工事費の方に吸収されて、そうして他の必要な河川工事費がそのために食われてしまうというようなことがありはせぬか今後そういう事態が生じはしないか、こういうことが考えられるのでありますが、その点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  51. 野田卯一

    ○野田国務大臣 そういうことが極力ないように努力いたします。なお申し上げておきたいのでありますが、電源開発にも役立つ多目的の洪水調節ダムができますれば、これは河川の下流における改修工事を少くする、その必要を少くする重大な意味を持つておるのでありまして、上流部にりつぱな洪水調節ダムができますれば、下流の改修工事費は非常に節減できる、また節減したいという意図があるということだけは御了承願いたいと思います。利根川の例などから申しますと、最近栗橋の近所にいらつしやればわかりますが、非常に大きな堤防をつくつても、それでも足らぬでさらにかさ増しをやつておる。鉄道までも全部上へ上げてやつておりますが、今のような状態でありますと、あれでも足りない、もつと上げなければならないというので、数百億の金を費さなければ下流の改修ができないということになる。それだけの金を使いますれば、上流部にその何分の一かの少い金をもつてダムをつくつて、そういう不必要な大きな改修工事をやるのを必要なからしめるようにという意図がある。そういう点を十分了承していいだきたいのであります。
  52. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 大臣の言うことはよくわかるのですけれども、ダムをつくるのに三年あるいは四年、場合によつては十年もかかるところがあるのでありまして、ダムをつくれば直るのだけれども、その間はどうするのかという問題が当然起つて来る。下流の改修費用を、ダムをつくれば直るのだからというので、ダムに投入するということで、三年なり四年、あるいは十年という間の改修がおろそかになることがありはせんか。こういう質問なんです。この点は大丈夫ですか。大丈夫ですというたいこ判を押してくれれば、あとでそういう事態が起つた場合に、大臣を糾弾することができるのですが、たいこ判をひとつ押していただきたい。
  53. 野田卯一

    ○野田国務大臣 それは今並行的に進んでおります。下流部の改修にいたしましても、栗橋以下の改修というのは大工事であつて、十年、二十年を要するのであります。今あそこで数億の金をつぎ込んで改修をやつておりまして、並行的に行つて、おるということを御了承願いとたい思います。
  54. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 参議院の片岡文重君から十月二十日付で、建設省職員の定数に関する質問書というのが出ております。これに関しまして内閣総理大臣の責任において回答が出ています。従いまして、建設大臣としても御存じのことであろうと思いますから、この質問書について若干さらに質問してみたいと思うのであります。  この質問書によりますと、こういうことを言つております。七百七名減員の根拠は何かという質問に対しまして、本省及び付属機関においては、事務の整理、能率の増進等により、七百七名を整理することにした。これが回答であります。私の考えではこれではちつとも回答になつていないと思います。七百七名減員の根拠は何か、こういう質問に対して、減員することにいたしましたという回答では、全然回答になつておりません。従いまして、この際七百七名減員の根拠につきまして、大臣の回答を得たいと思う次第であります。
  55. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私の申し上げるのも、やはり人事、会計、管理等の事務を極力能率を上げ、また簡素化をいたしまして、その方面の人員を節約して、ただいまのような結果になつたというのであります。
  56. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 役人を少くして税金を少くするのはけつこうでありまして、できるならば、役人というものは一人もなくしてしまう方がずつと国民の負担の軽減になるというようなことにもなるのであります。そうも行かないとは思いますが。今までの行政整理はやりましても、役人さんの数を減らしますというが、実際は役人さんではございませんで、国民と密接な仕事をしている下部の現業の方がたくさん首を切られた結果になつているのでありまして、特にこの前の行政整理のごときは、いわゆる赤の追放といつて、まじめに労働者のために先頭に立つてつていた人が首を切られるようなことになつたのであります。その結果どういうことが生じたかと申しますと、実際は手が足りなくなりまして、そして建設省としては、特に現業方面で臨時雇いをどんどんふやしたのであります。この片岡君の質問書に対する回答によりましても、建設省は十一月一日から常勤労務者制度を実施し、一般公務員に準ずる取扱いをするこことした。これは地方建設局を通じて五千八百八十四名である。この五千八百八十四名の者が定員外に雇われている。そうして実際には建設省の職員と同じような仕事をやつているという矛盾が出ているのであります。首を切つて、しかも、一方でまた臨時雇いをふやしているのであります。この人たちの給料はどこから出ているか。やはり国費から出ている。やはり国民の税金から出ている。一方において減らしても、一方でこんなものをふやしていたら、やはり同じじやありませんか。行政の簡素化とか国費の節減とかいうようなことを言つておりましても、やはり国費をここで食つているじやありませんか。予算面では食つていないかもしれないが、工事費の方を食つている。こういう点につきまして大臣はどうお考えになりますか、お伺いいたします。
  57. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいまのお話は、常勤労務者として五千八百八十四人新しく属つて来るのは、片方で行政整理で減らしているときにおかしいじやないか、こういう御趣旨でありますか。
  58. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そうです。
  59. 野田卯一

    ○野田国務大臣 この五千八百八十四人を新しく雇うということではないと私は了承しておるのであります。これは会計上の取扱いの問題で、おる人が五千八百八十四人というのは、すでにおる人が行政上の取扱いで常勤労務者ということになるのではないかと思います。
  60. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 もちろん五千八百八十四名現在あるという建設省の回答です。しからばこの五千八百八十四名というのは、この前の定員法の実施によつて職員を整理した当時からでは非常にふえて五千八百八十四名になつているわけです。この前の定員法の実施のときにはこうはなかつた。それが五千八百八十四名にもふえている。このほかにも二箇月ごとに雇用関係を更新してやつている、いわゆるほんとうの臨時雇いというものも相当数になつているはずであります。こういうことは、われわれが地方建設局あるいはその他の出張所等を訪問すれば、そこの人たちから非常な陳情を聞くのであります。特にこの二箇月ごとに更新されている臨時雇いというのはまつたくひどい状態である。いつ首を切られるかわからない。しかも仕事は一般建設省の職員と同じことをやつている。事務をやつている者もある。そろばんをやつている者もある。図面を書いている者もある。こういう者は臨時雇いで非常に不当な待遇を受けている。これを何とかしてくれませんかということを聞くのであります。だから今度また整理をやりましても、その結果はこういつたような労務者、臨時雇いをふやすような結果になるのではないか。それでは政府のいうような国費の節約という旗じるしはまつたく看板だけになるのではないか。そうして労働者は、実際においては建設省職員としての仕事をやらせられておりながら、臨時雇いという不当な待遇で、いつ首切られるかわからないという不安な状態に置かれて行くということになるのではないか。これを政府は一体ねらつているのか。労働者をそういうふうにするために、建設省の職員をそういうふうにするために、不当な取扱いで奴隷のようにこき使うために、こういうような首切りをするのか。この点を大臣から伺つておきたいのであります。
  61. 野田卯一

    ○野田国務大臣 そういう気持でやつているのではございません。
  62. 淺利三朗

    ○淺利委員 関連して。今池田君の御意見がありましたので、この際建設省からはつきりしておいた方がいいと思つて、一言質問してみたいと思います。  本来建設省には常勤の職員とかいうものと、それから事業量に応じて常に多くなつたり少くなつたりする職員がある。この事業の分量による事業執行のための職員というものは、性質上臨時の者である。これが従来は臨時職員と常置職員と区別してあつたものが、最近は予算の建前はどうなつておるか。一般の定例の職員の定員はあつても、事業予算のとり方に、あるいは災害の多寡によつて、予備費からも予算を出すということになるが、そういうような場合には、どうしても臨時の職員を置くことになる。こういう場合には、事業費の何パーセントかを事務費として、その何パーセントかの事務費によつて採用される者が臨時職員であるということになりますれば、自然今のように一方において職員の定員を減らしても、現場においては人がふえるということは当然あり得ると思うが、その点を明確に説明されたならば、今の池田君の言うような、ある目的で首を切るためにこうしているというような問題は解消すると思う。その点をひとつ説明していただきたい。
  63. 町田稔

    ○町田説明員 今お二人の委員の御質問に関連しまして、お二方の御質問に対する答弁となると思いますが、申し上げたいと思います。  まず第一に、五千八百八十四名の常勤労務者のことでございますが、御承知のように、政府で使用いたしております労務者は、全部公務員法によりまして、一般職の政府の職員ということになつておりますので、公務員法が適用されておるのでございます。従来はこれらの労務者は、政府の職員のうち、常勤労務者と非常勤労務者と二種類ございますが、そのうちの非常勤労務者ということになつておつたのでございます。これは公務員法に、どういうものが常勤労務者で、どういうものが非常勤労務者であるかという定義がはつきりとしておりませんのですが、人事院規則、それから人事院の考え方その他から、労務者は非常勤職員として扱うということに各省ともきめられて、その通りにいたしておつたのでございます。ところが労務者を全部非常勤職員として扱いますと、御承知のように、共済組合の組合員にもなれませんし、それから休みました際には、びしびしとその日その日の給料が素引かれる。いわゆる非常勤は、日雇い労務者でございますから、休んだ日には全然給料が支払われない。いわゆる有給休暇の制度もないのでございます。それから失業保険の点から申しましても、退職金の点から申しましても、非常に常勤のものとは違つた取扱いを受けて参つたのでございまして、この点は事実建設省のように、労務者のほとんど全部が、事業が続く限り交代せずに、事業とともに勤めておりますようなところにおきましては、実情に沿わないところがあつたのでございます。そこでこれらの点を人事院でも考えまして、学務者のうち一定部分の者ば常勤といたしまして、常勤職員と同じ取扱いをしてもよろしいということが、昨年の九月だつたと思いますが、人事院の事務総長の通牒が各省に参りまして、それによつて建設省におきましても、労務者のうち一定部分のものを常勤労務者といたしまして、共済組合にも入れるし、有給休暇の取扱いもできるような方法を立てることを研究いたしまして、それが先刻お話のありましたような準職員制度の始まつた理由なのでございます。この準職員制度は、従来労務者でありましたもののうち、非常勤として取扱つておりました五千八百八十四名を準職員にするということにいたしました。事実建設省の労務者は、大体が相当長期にわたつて継続的に事業に働いておるのでございますから、全部の者を準職員にしていろいろの恩典を與えたいのでございますが、この点につきましては、只今お話のございましたように、労務者のうちのある程度のものは、やはり事業量とともに増減すべきものなのでございます。もし全部の労務者を常勤にしてしまいますと、身分保障が全部につきまとつてしまいますから、事業量とともに増減ができないのでございます。そこでわれわれはこの常勤労務者は、今お話のありましたいわば臨時職員的な、昔ありました官制上の臨時職員、この扱いに一応考えていいんじやないか、それから定員法上の定員、これが基幹的な職員として、建設省の事務分掌、所管事務がそうかわらない限りは、一応恒久的職員と考えていいのじやないか、こういうように考えております。それから準職員以外の労務者は、これはまつたくもう一箇所々々々の具体的事業の消長とともに増減すべき人員、こういうように考えていいんじやないかと思つているわけでございます。
  64. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 この五千八百八十四名の常勤労務者のうちで、相当期間建設省の定員内で雇われている職員と同じような仕事に従事しておる者が、相当部分あるはずですが、これをお認めになりますか。
  65. 町田稔

    ○町田説明員 今の御質問で、定員内の職員と同じ仕事をしておるという認定の問題なんでございますが、たとえばこれらの労務者のうちで、事務所内における事務の補助をしておる労務者もございます。それから現場におきまして、人夫の中で監督的な仕事をしておる人夫もございます。しかしながら、これは事実そういうのがあるというだけでありまして、それだから定員内の定員とまつたく同じ仕事に従事しておるということは言えないと思うのでございまして、事務所内で事務をいたしております場合にも、大体知能的な仕事ではないので、補助的な仕事に使われておりますし、それから現場で、たとい監督的な仕事をやつておりましても、その上に定員内の職員が上級の監督者としてそれを監督いたしておる。そういう意味におきまして、まつたく定員内の者と同じ職務であると申し上げかねると思います。
  66. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 その回答はまつたくその通りだと思うのです。なぜかならば、定員法における建設省の職員ではないのだから、監督の仕事をやつていても、監督としての権限を振うという権限はないのだから、これは裁判官と同じような職務をやつたとしても、裁判官でない以上は、裁判官としての職務は、それと同じようなものを実行することはできないはずです。それはあたりまえですが、その仕事の内容が大体において同じ監督の仕事であるとするならば、これは当然建設省の職員と同じ仕事に従事しておると見ることができるのではなかろうかと私は思います。そういう部分がとにかくあるということは、あなたの答弁から大体想像することができるのでありますが、もう一つ聞きたいことは、この前の定員法の実施の結果、現場その他で相当な人員の不足を来して、そのために事務の澁滞やあるいは工事の澁滞を来して、その結果として臨時に新たに労務者をあるいは労務者名義の職員を雇い入れなければならなくなつたというような事態が生じたということを、私はいろいろの例から結論づけることができるのでありますが、あなたはそれをお認めになりますか。
  67. 町田稔

    ○町田説明員 この前の行政整理の際には、今申しましたような準職員の制度もございませんでしたので、はたして定員法上の定員を整理したために、それを補う意味において片方にどういうふうな職員がどういうふうにふえたかということは、事実今つかみ得ないのでございます。ただわれわれとしては、当時は定員法上の定員と、それから総体としての六万幾らの労務者と、この二つがあつただけでございまして、行政整理をしたがために、それを補う意味において、どういう部分がどうふえたということは、今はつきり申し上げる資料がないわけでございます。
  68. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 各所の工事事務所で公共事業費に関連して相当不安が出ております。その不在の原因をいろいろ追究してみますると、幽霊人夫の事件が相当多いのであります、つまり人夫をよけいに雇つたようにして、実際には雇わないでその人夫賃をごまかす。それをさらに追究して行きますと、実際には定員以上に人間を使つている。あるいはそれを人夫名義で使つているから労働賃金をよけいにやることができない。しかし実際上はもつとよけいやらないとその人の職務上悪い。その人は実際は建設省の職員と同じような仕事をしているのであるから、ことに技術者などに対しては労務者の賃金では悪い。だからもつとよけいやりたい。しかし帳簿上それができない。そこで人夫賃をごまかして幽霊人夫をつくつてそうしてその人にやつておる。あるいはその人の出張旅費などを捻出する場合においても、これも労務者の場合にはできないからほかから捻出して来る。こういうようなことで、幽霊人夫をつくらなければそれがやつて行けないというような事態、これは私現場に行つて見まして、それは制度上の欠陷で君たちが悪いんじやないが、実際そうしなければ工事が遂行できないようになつているのであるからしかたがない、そう悪いことではないと言つておりますが、そういう矛盾の例を幾多聞くのであります。こういうことから考えてみましても、建設省の職員を大体において同じような仕事をしている者は、臨時雇いではなくて、これは定員に加えてやるべきではないか。そうすることが工事事務所の不正を防遏することになるのではない、こういうふうに考えるのですが、あなたの御意見はどうですか、これは大臣の方からも伺つておきたい。
  69. 町田稔

    ○町田説明員 今御指摘になりましたようないろいろな弊害は、準職員制度を実施することによりまして防止できると思つております。準職員制度によりまして、ほとんど定員法上の定員と同じような規則が適用になりますと、給與の点におきましても、全然従来のように無理をする必要も何もないわけであります。準職員制度によつて、従来のいろいろな困難の点が解決できると考えております。
  70. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういうことならば、なぜ定員法を改正する、なぜ七百七名減員する。この常勤労務者の五千八百八十四名を、これはそつくり定員法の中へ繰入れたらよろしいじやありませんか、なぜ繰入れないでそういうことをやるのですか。これは明らかにごまかしであると私は断ずるのですが、どうでございますか。
  71. 町田稔

    ○町田説明員 実は先刻の私の説明ちよつと足りなかつたかと思いますが、定員法上の定員をきめる問題と準職員の問題とは直接の関連がないのでありまして、先刻申しましたように、準職員はあくまでも労務者の中の長期継続的に雇用されているものを、一定の法令の規定を適用して優遇してやろうという観点からきめられた制度で、定員法上の定員は、あくまでも建設省の所掌の事務を遂行して行くのに、どれだけの恒久的な職員が必要であるかという点から考えられているわけであります。ただたまたま労務者につきましても、定員法上の定員と同じような各種の規定を適用する方がよい部分がございます。そのために準職員の制度を設けたにすぎないのでございます。定員法上の定員とは直接関連がない、こういうふうに考えております。
  72. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 常勤労務者ということになつておりますから、常勤労務者は五千八百八十四名ということ、ならば、労務者という名前になつておりますから、定員法による建設省の職員とは関係のないように表面は見えるのですけれども、先ほど私が言つておりますように、またあなたも若干お認めになつておられるように、五千八百八十四名の中には、建設省の職員と同じような、当然職員のすべき事務をとつておる者が相当部分含まれているわけです、半分になるか、三分の一になるか、十分の一になるか、私は実態をよく知つておりませんから、ここで断ずるわけには行きませんが、そういう者が含まれていることは事実です。そういうことになりますと、その人たちは当然定員法の名による定員に含めるのが正しいのではなかろうかと、こういう私の論拠なんですけれども、その点について御回答があればお聞きいたしましよう。これで私の質問は終ります。
  73. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 瀬戸山君から災害対策について緊急の質問があるそうでありますから、約五分間許すことにいたします。瀬戸山君。
  74. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 この際大臣に今回のルース台風災害対策についての方針を承つてみたいと思います。もう台風が襲来してから約一箇月を経過いたしました。被害地といたしましては、政府の根本方針がきまらないので、非常に困惑をいたしております。同時に事務当局といたしましても、計算はしているけれども、どういうふうな結論を出してよいかわからないという実情でございますが、自由党の方でも災害対策委員会結論を出して、政府に強力なる要望をいたしておる次第でございます。すでに政府の根本方針もきまつているのではないかと思います。この際建設関係だけでなく、その他についても承つておきたいと思います。
  75. 野田卯一

    ○野田国務大臣 政府におきましても、ルース台風の被害対策の立案を急いでおりまして、関係各相相寄りまして一応案を得まして、この前の閣議に付議をいたしたのであります。内容は財政上の問題、金融上の問題等でありますから、大体今さしあたつて急施を要する問題を取上げて案を閣議に諮つているような次第であります。まだこれが決定に至つておりません。そのうちの相当部分は各関係異議がないのでありますが、つなぎ資金の面におきまして一番問題がありまして、この金額について目下大蔵省で検討中であります。われわれといたしましては一刻も早く結論を出して現地に災害費が出るようにいたしたい、こういうわけで大蔵省を督促している状況であります。
  76. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 まだ結論が出ておらないというお話でありますが、大体災害復旧費にいたしまして、現行の法律に従つた場合と、改正すべき場合とあると思いますが、改正は別問題といたして、現行の法律に従つて建設大臣はしばしば初年度三〇%を実行いたしたいという見解を披瀝しておられます。そこで過般われわれ自由党の災害対策委員会で政府の事務当局に説明を聞いたのでありますが、それによると、大体査定は本査定が遅れますので見込み査定をいたして、現行の法律によつて負担すべきものを計算いたしますと、大臣の言われる三〇%ということになれば百六十億以上のいわゆる補正追加予算を出さなければならない。自由党の災害対策委員会としては、最低百五十億の補正追加予算を要求いたしておるのでありますが、それがきまらなければ従つてその何パーセント、何十パーセントかのいわゆるつなぎ融資が計算が立たないというのが事務当局の実情でありまして、その点は一体どういうふうに方針をきめられたか、なぜきまらないのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  77. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいまお話がありましたが、大体各地の被害の状況が各県からはそれぞれ報告が来ております。しかしながらこの報告そのものを基礎にいたしまして、補正予算を組むというぐあいに参りませんので、過去の実績から申しましても、やはり一度精査を要するのであります。精査をいたしまして損害の実額というものを固めてそれに対して補正予算を出すということになる、そのためにはどうしても過去の例では二箇月ぐらいの時間を要しております。特に今回のルース台風におきましては、この現地の損害査定をただ建設関係については建設省、農林関係については農林省というように単独にやらないで、大蔵省の出先機関がこれに参加いたしまして、共同調査をしております。従つて綿密にされるだけ、幾分よけいに時間がかかると思いますので、この各省共同調査に基く損害査定は、十二月中でないと出ないだろうと思います。従いまして、それが出ないと補正予算を幾らにするかという数字も固まつて来ない、こういうことに相なります。しかし現場の状況は急施を要しますので、つなぎ資金を出そうということに相なつておるのでありまして、つなぎ資金をしからばどれだけ出すかということにつきましては、ただいま申しましたように、精査したものがありませんので、一応各県から出しました報告を基礎にいたしまして、それに対しまして紙上の査定を加える。紙上の査定をどういう方法で加えるかと申しますと、要するに各県の今までの災害の報告と、あとで各省がしつかりと精査した場合幾らになつたかという、その差額というか、開きがある。あるいはそれを率にしてもよろしいが、百の災害があつたという報告をして来られたのが、よく調べてみると、ある県は六十であつた、ある県については八十であつた、こういう過去の経歴がありますから、その過去の経歴を基礎にいたしまして、一応今度の報告を紙上査定いたしまして、それに対しまして本年度三〇%の金を見よう——一応であります。そしてそれに対しましてつなぎ資金を半分ぐらい出そうと、こういう一つの仮定計算をいたしまして数字を出して、それを大蔵、安本、農林、あるいは運輸等一致いたしまして、案をつくりまして、それを閣議へ出したわけであります。その閣議に出しました数字について、今大蔵省が検討しておる、こういう実情になつておるわけであります。
  78. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私はその数字を聞きたいのであります。大体見込み査定をやるのは、土木関係が八〇%、農林関係が七一%、その他私、資料を持つて来ておりませんから、一々は申し上げられませんが、そういうような計算で、今大臣が言われたように、間に合わないのだから一応その見込み査定をし、大体それによつてどのくらいの補正をするという政府の見当は立てて、それが立たなければ融資額を、緊急融資をどのくらいにするかという方針が立たないのでありますから、大臣の今の御説明も、その方針で言われたのであると思います。閣議にかけられた、いわゆる事務当局がそういう成案を得たのは、どのくらい一体、三〇%するということになれば補正予算にこのくらいという見込みが出ておるはずでありますが、それはどういうふうになつておりますか。
  79. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいまお答えした中に、各県別と言いましたけれども、今の農業とか、いろいろな種類別になつております。それを訂正しておきます。  それから閣議に出しました数字でありますが、これはこの席で発表することはさしつかえますので、一応速記をとめてお願いしたいのですが……。
  80. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  81. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 速記を始めてください。
  82. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 大臣の決意を私は喜ぶのでありますが、どうかひとつ今日大臣がこの委員会で正式に発言されておりまするように、強力にひとつやつていただきたいといういとを要望するとともに、これは現在来年度予算が進行中であると思います。これについて一言、要望と申しますか、大臣の決意を聞いておきたいのでありますが、大臣は三、五、二の比率で三年度内に災害復旧を完成いたしたい、これは国民の絶対の希望であります。そこで昭和二十三年度災害は、今日で四年目であります。二十六年度完成見込みに対して、昭和二十三年度が七〇%で、あとまだ三〇%残る。昭和二十四年度災害、これは一番ひどかつたのでありますが、昭和二十六年度、今年度つてしまつても、なおかつ五〇%残る。昭和二十五年度は、今年まで事業をやつて、でき上りが三〇%ということになる。二年がかりで約三〇%という実情でありますが、大臣災害復旧に対して三、五、二の比率をもつて行かれる決意をもつて、来年度予算編成に当つておられるかどうかということを承りたいと思います。
  83. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私はルース台風からいたしまして、三、五、二の比率をぜひ適用したい、適用するように政府の方で腹をきめていただきたいということを、建設大臣としては強く要請しておるわけであります。それ以前の災害につきましては、私はこれを一度洗う必要があるのじやないかと思います。過年度の復旧をまだしていない部分、これは数え上げましても私どもの関係だけでも千億以上になるかと思いますが、そういうものにつきましては、一応再調査をいたしたいと考えております。その再調査の場合には、ルース台風に用いました報告で、大蔵省係官と共同調査をいたしたい。そうしてほんとうに災害が起つておるのか、御承知のように災害が同じ場所に何べんも重なりますと、今までも金が全部出ておるのではなしに、ごく一部分ずつ出ておるのでありますが、かりに初めの年に百の災害を受けた、それを初めの年に十だけして、九十残つておる、そこへまた翌年に災害が百出て来るということになりますと、ダブつて来ますから、そういう点を精査する必要があると思います。これは建設省農林省だけでも行きませんので、大蔵省と一緒になりまして全部再調査いたしまして、その結果に基いて適正な予算を組んで行きたい。三、五、二というのは、そういうものをまたないと、はつきり申し上げかねるが、ルース台風から三、五、二でやつて行きたい。過去のものにつきましては、その再調査によりまして適当な措置を重点的にやつて行きたい、こういうふうに考えております。
  84. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 大蔵省も一緒になつて再調査をされるということはきわめて必要なことであるということには私も賛成しておりますが、来年度予算がすでに編成にかかつてつて、少くとも来月の初めには提出をしなければならぬのでありますが、これから洗いにかかると、三箇月か四箇月かかると思います。一体その点はどういうようにお考えになつておられるか。  それからもう一つ、今言われたことは私は非常に実情に適しておると思うのでありますが、大体こういうことを私は聞いております。今国費が非常に足らずに仕事が多い。国費の濫費をするということは、きわめてこれは関心を持たなくちやならぬのでありますが、これはほんとうか、うそか、私は当つておると思うのであります。当らなければ訂正をいたしますが、農林省とか運輸省とか、建設省が査定をするときに、農林省がどのくらいの甘さで査定をするか。一方では建設省がどのくらいの甘さで査定をするかという考え方で査定をいたしておる部面があると思います。それはどういうことかと申しますと、お互い自分の省の予算をよけいとりたい。また災害があつたときに、真剣に正確な査定をすると、農林省の方では甘く査定をいたす、農林省予算が、ことしの災害復旧に対してふえると、次の災害のときにもやはりそういうふうに予算がとれる、こういう考え方をいたしておる部面が確かにあります。ひとつそういうところは、各省は別々でありますけれども、やることは国家の一つの財政からやる国民の仕事でありますから、今大臣が言われたように大蔵省は金にはなかなか辛いところであります。そういうふうに、今後の査定においてもでありますが、過年度災害についてもそういう方針でやられるということはけつこうでありますけれども、来年度予算がすでにもう編成にかかつておられる。それを余つてから過年度災害について考えられるというのでは、ちよつと手遅れじやないかと思いますので、来年度予算に対して過年度災害に対するお考えをこの際承つておきたい。
  85. 野田卯一

    ○野田国務大臣 瀬戸山委員のおつしやること、ごもつともなことだと思います。それでわれわれの方でも、今来年度予算を具体的に編成するにあたりまして、過年度災害をどう見るか、これはルース台風でもわかると思いますが、その他のものについてはわかりにくいのじやないか。それをどう見るかということにつきましては、これは公共事業費の限界と、それから災害の今までの累積、それからルース台風の今後の来年になつてからやるべきもの、そういうものを見合せまして大体の見当をつけることになるだろうと思います。そうして見当をつけまして、予算をとりまして、これを具体的に使用する場合におきましては、今のような調査をした結果に基きまして重点的にやるというようにやらなければ、実際上むずかしいのじやないか、こういうふうに考えております。     —————————————
  86. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 この際お諮りをいたします。請願及び陳情書審査のために小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議なければ、請願及び陳情書審査小委員会を設置することに決定いたします。  次に小委員の数及び小委員並びに小委員長の選任についてお諮りいたします。小委員の数は十名とし、小委員及び小委員長は、これを委員長において御指名をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議なしと認めます。  小委員には   逢澤  寛君  宇田  恒君   内海 安吉君  小平 久雄君   田中 角榮君  内藤  隆君   中島 茂喜君  増田 連也君   前田榮之助君  寺崎  覺君以上十名を御指名いたします。  小委員長には内藤隆君を御指名申し上げます。  本日は以上をもつて散会いたします。次会は大体十七日の午後一時からに予定をいたしておりますが、なお公報をもつて御通知を申し上げることにいたします。     午後三時四十三分散会