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1951-10-18 第12回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十八日(木曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    宇田  恒君       小平 久雄君    瀬戸山三男君       高田 弥市君    内藤  隆君       西村 英一君    三池  信君       中島 茂喜君    増田 連也君       佐々木更三君    池田 峯雄君       寺崎  覺君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  委員外出席者         建設事務官         (河川局防災課         長)      賀屋 茂一君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         建 設 技 官         (河川局利水課         長)      山本 三郎君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  ルース台風による被害状況に関する説明聴取     —————————————
  2. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これより会議を開きます。  まず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。本委員会において従来から行つて参りました本委員会所管の重要なる事項に関する国政調査につきまして、本国会においても衆議院規則第九十四條に従いまして、議長に対し国政調査承認要求提出いたしたいと存じます。その内容といたしましては一、調査する事項国土計画地方計画住宅復興道路治山治水事業特別調達庁所管営繕及び保有物資等に関する事項ニ調査目的国土計画地方計画検計都市計画住宅復興対策検討道路改修及び修繕計画検討治山治水事業検討特別調達庁所管営繕及び保有物資等検討。  三、調査方法。小委員会の設置、関係方面より意見聴取報告及び記録の提出要求等。  四、調査の期間。本会期中。  以上のよう内容によりまして、議長に対し国政調査承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議なければ、さようにとりはからいたいと存じます。  要求書の作成、提出手続等については委員長に御一任願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  4. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 次にルース台風による被害状況に関しまして、政府より説明を聴取いたします。  まず目黒河川局長からお願いいたします。
  5. 目黒清雄

    目黒説明員 十月八日の朝から発生いたしました例のルース台風の大体のコースは、御承知の通り九州西南端から九州を縦断いたしまして、山口に入り、日本海に拔けまして、能登半島のところで二分いたしまして、これが東北を横断して、太平洋に抜けたわけでございます。今度の台風はなかなか大きな台風でありまして、過去の大きな台風にも匹敵するような非常な猛威を振つたのであります。  大体今度の傾向は風に伴つて雨があつた。しかも九州山口方面では大雨を降らして、関東におきましては雨が少くなり、東北方面では雨が降らなかつたという実情であります。その結果電力関係九州中国方面は平年より相当多くなりましたが、東北方面にはその潤いがなかつたという、あまりいい結果をもたらしてはおりません。風の多いために、大体被害の大きなものは海岸線の破壊であります。あるいは海岸線から相当波が打ち上げて来たために、人家が流失あるいはその他の破損を受けたということが多いようであります。お配りした表にありますように、現在までまとまりました被害総額が、土木関係で二百六十四億。その中で最もひどいのは山口の九十億でございます。もろろん、宮崎、鹿児島方面相当多いのでありまするが、これはまだ通信機関の不通のために、県でさへもその資料が十分まとまつておらないという現状でありますから、これからどんどん増額するだろうという推定はつきます。山口の多いのは、かつて二十年の終戦直後に災害がありましたが、これと大体似たコース通つておりますので、被害もこの程度だろうと想定できます。二十年のときには現在の物価に換算して考えますと、約百十億くらいになつておりますから、まあ、九十億ということで、多少少い被害ではないか、こう推定しております。  以上災害報告を終ります。
  6. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 建設大臣は見えることになつておりますが、それまでに河川局長から対策の立つておるだけ御説明を続いて願いたいと思います。
  7. 目黒清雄

    目黒説明員 ただいままで対策としてほんとうに確定したというものはまだわかりませんが、大体われわれの聞いておることを申し上げますと、本年度予算八十億のうち、すでに過年度に二十億というものを増額することに閣議決定に相なつたのであります。ただ閣議では決定なつておりますが、関係方面の了解がまだつかないというので、この二十億は保留になつております。あと六十億のうち、四十五億を本年度の今までの災害に振り向けるというふうになつておつたのですが、この四十五億は今度の台風によりまして、さらに再検討を要するというよう意見が出て参つております。われわれの方としては、二十億はすでに過年度決定なつておるので、過年度にこれは振り向けてもらいたい。今年度あと残りの六十億の中で四十五億はすでに出してあるので、結局残り十五億しかない。この十五億では現在の状態ではとうていまかないきれそうもないから、さらに補正予算なり何かの方法をとつてもらいたいという問題を提出してあります。きのう閣議でもこの話が出たそうでありますが、補正予算の問題は、今後災害状況をさらに見て、その後に決定ようということに相なつておるそうであります。ただとりあえず応急の措置として預金部資金から融資方法考えなければならぬだろうという程度に進んでおるようであります。本日の午前、私参りませんでしたが、自由党の総務会でもそういうお話があるようであります。
  8. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 それでは建設大臣が見えましたから、建設大臣から、閣議でも問題になつて出ておると思いますので、そういう方面、あるいは建設大臣としてのこの災害に対する考え方について一応意見を述べてもらいたいと思います。そのあとで質疑をすることにします。
  9. 野田卯一

    野田国務大臣 今回のルース台風災害は、時間のたつに従いまして、漸次その規模がはつきりして参りつつあるのでありますが、最近までにわれわれの得ました情報によりますと、ルース台風は最近年においてわが国が経験しました数回の台風災害に比べまして、その一番大きいものにもほとんど劣らないような大きな災害であるということがわかつてつた次第であります。まだこの災害の義はわかりません。われわれといたしましては、できるだけ早く、ある程度の確実さをもつて被害状態をつかみたいと思いまして、建設省係官ちようどほかの用事で中国四国地方に出ておりましたのを、ただちに災害地に派遣いたしました。また九州地方には別途本省から六人の係官を急派いたしまして、一週間という見当で今しきりに実情の大体を調査させております。これが帰つて来ますとややはつきりするのでありますが、しかしながら大体においてこの災害が非常に大きいものである、最大級一つであるということがわかつておりますので、政府といたしましても至急これが対策を講じなければならぬと考えまして、過日の閣議におきましても、どうずるかということを諮つたのでありますが、さしずめ災害復旧費につきましては、過去の例に照しまして、預金部資金すなわち資金運用部資金つなぎ資金として出す必要があるのではないかということを話したのでありますが、この預金部の金を出すにいたしましても、ある程度調査が必要なのでありまして、ただいまわれわれの方の係官行つて一週間なり調べるというのは、このつなぎ資金の基礎にする考えであります。次にさらに精密調査をいたしまして、予算支出ということに相なるのでありますが、予算の点におきましては今年度災害費として八十億が予算に計上されておるのであります。このうち閣議において、二十億円は過年度災害に充てる、それから四十五億円を本年度ルース台風以前の災害に充てるということに決定いたしておりますので、残額は十五億円ということになつております。ところが十五億円では今回の災害に対してははなはだ少額でありますので、足らぬことははつきりしておりまして、足らない部分を補正予算—これは臨時国会になるか、通常国会になるか、いろいろな関係できまるのでありますが、補正予算措置を講ずる必要があるのではなかろうかということも閣議で問題にされたのでありますが、大蔵大臣としては、当時まだ災害全貌がわかつておりませんでしたので、補正予算に出すということをはつきりきめることだけは留保いたしまして、その他の点については了承いたしておるよう状態であります。われわれといたしましては、まず第一に実情をできるだけ早く調べまして、大づかみなつなぎ資金を出したい、それから至急予算的措置を講じたい、かよう考える次第であります。
  10. 村瀬宣親

    村瀬委員 大臣おいででありますから、詳しくお尋ねをいたしたいのでありますが、まず数字に入ります前に、私は八月十八日に、わずか三日間の外交問題を主にした臨時国会でありましたが、特に災害復旧促進について緊急質問をいたしたのであります。そのときに大臣から熱心にこれをやろうという御答弁がありました。私の質問項目は大体五項目でありましたが、その後九月十三日に全国の災害復旧促進連盟というのが大会を開いて、この防災という印刷物になつておりますが、大体私の質問をそのまま書いたよう災害復旧促進要望決議というものをつくつて大臣のところにも持つてつたと思うのであります。これに対して、その後このルース台風が起りますまでにどういう処置大臣としてはとられているかということをまずおお聞きいたしたいのであります。
  11. 野田卯一

    野田国務大臣 御質問の中にいろいろな問題があつたのでありますが、先ほどちよつとふれた過年度災害復旧について、予算には国庫補助が三分の二として組んであつた。そのうち法律が通つて、それでは大体四分の三になるというわけで、その差額が、議院の方では約二十五億という方がありましたが、政府側の見ましたのでは十八億数千万円くらいになるのではないか、こういう見積りであります。その後の処置をどうするかという問題があつたと思いますが、それについては本年度九月までの災害程度が割合に少かつた従つて八十億の災害復旧費に余裕が生ずるという見通しがつきましたので、その中から二十億くらいを割いてそれに充てるということを閣議決定をしておるのであります。その点ひとつ申し上げておきたいのであります。  それから復旧率が非常に悪い、それで毎年災害の未処理分が累積して行く。これが対策としては本年度幸いに台風ルース台風を除いては少かつたので、八十億のうちのできるだけ多くを本年度災害に充てるということで、四十五億初めは五十億でありましたが、司令部関係において四十五億になつたのでありますが、これだけを計上いたしました。従つて復旧率については、われわれ建設省関係においては、本年度において橋梁、道路では三五劣程度、それから河川に一五%というわけで、従来は全部合せて大体十二、三パーセントではなかつたかと思いますが、そういうふうに復旧率の増大をはかるという措置をとつて来ているのであります。  なお来年度予算については目下検討中でありますが、これについても建設省としては当年度三割、次年度五割、第三年度二割というよう復旧率を達成したいという含みをもつて、大蔵省と折衝しております。こういうよう状況であります。
  12. 村瀬宣親

    村瀬委員 私が第十一臨時国会緊急質問をいたしました骨子はわければ五項目になりますけれども、その一番の目標は、破れざればつくろわずというような、今までの建設省方針をやめてくれという意味にあつたのであります。台風が来たら追加予算を組もうというように、あとから追つかけ追つかけ行くのでは、国費もむだに使うことになるし、また災害地住民もたまつたものではないというところから質問を申し上げたのでありますが、その後今御答弁通り、本年はちようど二百十日前後は事なく済みましたので、いかにも安易な気分になつてしまつて台風が来なければぼつぼつやつたらよいというよう気持があつたのではないかということを私は心配いたしますので、このお尋ねをするわけであります。つまりその証拠には、今度の補正予算にも何ら出していなかつた、これから出されるでありましよう。それで当時としては、今年は台風が非常に早く参りまして、やがて来るべき台風時期に備えて、何とか対処する方法を今から講じておく必要はないか、毎年講じていないのでありますが、せめて今年から講じていただいたらどうかという質問が主でありましたが、今の御答弁によりますと、従来通りの慣例に従つてつたというふうに受取れるのであります。今度の台風被害は、九州を中心にして、中国、特に四国などはあまり知られておりませんが、きわめて猛烈な、今までのデラ台風キジア台風をしのぐものであつたのでありますが、それらに対しまして、もつと何らかの方法を八月から講じておれば、むろん災害はあつたでありましようが、災害額は三分の二が二分の一に激つたのではないかという箇所が至るところにあるのであります。そういう点について、もつとやれば災害を減らし得たのではないかという点を私はお尋ねいたしたい。  そこで、もう起つたことはしかたがないのでありますが、この八十億の予備費がもう十五億しか残つていないという御答弁でありますが、とうてい十五億や三十億で足らぬのは実際被害の御調査がまだできていないと言いますけれども、私たちのところへ来ております分でも、現に愛媛県の例をとつてみても、全部で四十八億に達しておりまして、ことに土木関係は五億七千六百万円とありますが、これは実は七億九千二百万円がほんとうなのでありまして、相当全貌が明らかになつている、きわめて甚大な災害でありますので、当然この臨時国会補正を出さねばならない情勢に立ち至つているのでありますが、今日配付されました予算書には全然そういう気配も見られない。これは災害の起らなかつたときに印刷したものでありますから、破れざればつくろわずで、あとから、追つかけて行く御方針ならば載つていないのが当然でありますけれども、そういう御方針では国土は守れないのだ、また災害を受けた住民の立つ瀬はないのであります。これからも当然あの補正予算をさらに再補正せねばならないのでありますが、その御意思と熱意と政治力のほどを伺つておきたいと思います。
  13. 野田卯一

    野田国務大臣 予算補正の問題でありますが、私は十五億では足りないので、予算補正をする必要があると考えておりますが、これをこの臨時国会に出すか、あるいは通常国会に出すかということは予算技術の問題であると思います。私は大体見当がつけば、できるだけ早く出した方がいいと考えておりますが、この予算を出しましても、実際問題といたしまして、これが歳出になるのは、災害が起りましてから二、三箇月あと国庫としては支出することになる。と申しますのは、具体的に金を出します場合には、各地の災害状況相当調査いたしまして、それに応じて出しますので、どうしても技術的に二、三箇月かかつている。これは過去の例もみなそうであります。そこで先ほど申しましたような、うなぎ資金という問題になると思います。もちろんできるだけ調査を早めまして、国庫支出も早めるようにはいたしますが、それよりも先行いたしまして、どうしてもつなぎ資金相当出して、急場を切り抜けて行かなければならぬという措置の方が大事である。それから追加予算をなるべく臨時国会に出すようにいたしたいと考えております。
  14. 村瀬宣親

    村瀬委員 建設大臣としてはこの臨時国会補正予算をさらに追加して出したいという御意思は明らになつたのでありますが、つなぎ資金あるいは預金部資金融資の問題、並びにその補正予算の金額、これは調査をしてからお考えになるのは当然でありましようが、しかし大体つなぎ資金のごときは、それで終らしてしまうわけではないのでありますから、きわめてこれは急を要することでありますし、建設大臣としてはどのくらいは必要であるというおよその構想は立ちつつあると思うのであります。これは出しつぱなしではないと思う。出し過ぎてもあとで訂正はつくのでありますが、どのようにお考えであるか伺いたいと思います。
  15. 野田卯一

    野田国務大臣 数字はただいま御指摘になりましたように、愛媛県だけでもいろいろの面から入ります数字がまちまちなので、私の方で今人を派しておりますので、その報告を待たないと、具体的にどのくらいという数字は申し上げかねるわけであります。
  16. 村瀬宣親

    村瀬委員 少くともデラキジアより今度の方が、降雨量はそうないよ、つであカますが、風速等は確かにひどかつたということははつきりいたしておりますので、自然その災害はきわめて大きなものであるということは、これははつきりしておると思います。そこで大体三十億ぐらいは必要であろうとか、二十五億で間に合うだろうとか、つなぎ資金見通しは、当該大臣として腹案ができておらぬようでは、これは罹災した府県の住民は非常に不安である。どのくらいまでは折衝して余地がありそうなのか、余地があるなしにかかわらず、ぜひつなぎ資金は急を要するのでありますから、どのくらいとつてみるつもりだとか、その御腹案を伺いたい。
  17. 野田卯一

    野田国務大臣 今申しましたよう数字的な問題は、資料牧集中でありまして、まだ地方からも断片的に電報が来ている程度で、数字を具体的にかけ合うというところまで至らないのでありますから、つなぎ資金を出してもらわなければならない、よろしいということに閣議では了解しているわけであります。数字が固まつて来れば具体的になるわけであります。
  18. 村瀬宣親

    村瀬委員 押し問答になりますから、この辺でまた次の建設委員会でこういう点ははつきり固めて行きたいと思います。  そこで私は、これは大臣または局長に伺いたいのでありますが、とりあえずどうするか。きようなどは九州中国四国知事などが大挙して押しかけているのであります。何日にどこへ行つて調査をして、どういうふうにやる。そうしてその関係者安心をさせ、また激励をするという御方針をもう少し詳細に説明してもらいたい。私がこういうことをお尋ねいたしますのは、これは私自身が聞いたのではありませんが、二十六日に中国四国地方広島へ出て行つて関係者を呼んで建設省として調査をし、協議もするというお話をちらつと聞いたのであります。しかし二十六日といいますと、例の国体関係で天皇陛下もおいでになりますが、旅館など全然広島ではとまれない。従つてそんな大行事をしておる所でこういうしんみりした会をいたしまして、四国の者に全部そこへ寄れといつてもなかなか問題だと思いますが、そういう方針は、いつどこへ行つてどこどこの者を寄せて、それまでに何班にわかれてどこを調査する、こういうふうな建設省として一般罹災者安心の行くよう計画があるのだということを、もう少しはつきり承つておきたいと思うのであります。
  19. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいまのお話の点につきましては、この前の閣議のときにも話が出ました。それから昨日の政務次官会議にもちよつと出てお話したのでありますが、内閣におきまして案を草しまして今日の次官会議に諮つていると思うのであります。大体の構想は、中央から大臣政務次官等責任のある人が出まして、中国四国九州とわけまして—ただいま広島の話が出たのでありますが、広島一つ候補であつたのでありますが、ちようど陛下がいらつしやるようなことがあれば、場所をかえなければならない。たとえば山口県の県庁にするとか、あるいはその他の市に移さなければなりませんが、広島も一時候補上つたことは間違いありません。適当な集まりやすい場所に各県の知事責任者等に集つてもらいまして、各県より実情を聽取し、現地対策を研究して、きめられることはきめて行く。それから必要あればそのあとでいろいろな状況等に印して実地調査をするとか、すぐ東京へ帰つて対策を講ずるとか、それは現地の相談の結果によつてきめたい、こういうよう構想であります。場所中国四国は大体山口とか、あるいは広島というようなことを考えておつたのでありますが、九州の方は福岡あたりが適当ではないかというよう構想であります。これは一応の案でありますが、九州は二十四日に福岡県庁でやつたらどうか、二十六日には広島あるいは山口県庁でやつたらどうか。これは一応の案にすぎませんが、御参考までに申し上げておきます。
  20. 田中角榮

    田中(角)委員 一点だけ伺つておきたいのですが、二十六年度予備費八十億の使途についてでありますが、私たちルース台風が起つたからというのではなく、七月、八月当時から経済安定本部等の今年度災害予備費は八十億で足りるという感覚を持つことは、まずいのではないかという警告を発しておつたのでありますが、当時としては八十億で大体間に合うのだということが政府部内で強く考えられておつたようであります。それから一箇月、二箇月後の台風期の九月がうまく過ぎたので、政府はそのよう状態であるかもしれないというようなことを考えておるときに、最も大きなルース台風が参つたわけであります。まだこれから十月末、十一月にも台風は来るでありましよう。そういう意味から考えまして、私たちはこの八十億というものがルース台風のためではなく、過年度災害本年度災害に大体使われるということを政府が立案しましたときには、台風が来なくて、このまま全部この金が使えれば非常に幸いだと考えておつたのであります。もちろん二十億に対しては過年度災害費、四十五億円を本年度災害費として使用する。本年度災害費の四十五億円はオーケーをもらつておる、こういうお話でありますので、ルース台風がなければ、地方民としては今年度災害というものに対して金の準備もありますし、工事も早くやれると考えておつたのでありますが、ルース台風が起つた結果、私たちが懸念しておりましたところの二十億及び四十五億の使途さえも明らかにならないというような風評が一部にあります。これは建設省自体の問題でもありますが、建設省にしろ農林省にしろ、ルース台風が来なかつた二週間ばかり前までは、今年度災害に対しても十分工事がやれるのだというので、測量をやつた予算配分等もやりまして、手まわしのいいところは工事を早くやろうというところまで行つたのでありますが、二週間過ぎたきのう、きようあたりの話から言うと、一応工事は差止めた、こういうことが現実に行われております。私はこういう問題こそ、ひとつ十分に建設省が腹をきめておいてもらわなければならぬ。二十億はいまだオーケーがとれておらない。大蔵大臣ルース台風に対する予算補正を行う場合でも、もうちよつと待つてくれ、もしオーケーがとれない場合はこの二十億を含めてという気持がきつとあるだろうと思いますが、私たちはそこを突いて行きたい。やはりルース台風が来ない前に政府決定いたしておるところの二十億は、過年度災害、四十五億は本年度災害という基本線は動かさないでいただきたい。そうして今般の台風に対しては、残額十五億プラスの新しい数字でもつて処置をしていただきたい、こういうことを考えておるわけであります。これがいまだオーケーがとれない、閣議決定しただけである、補正予算の問題に対しても、ルースの分に対してはまだ考えておらない、はつきりとした目途は立たない、そういう場合、建設省の言質では、一応四十五億及び大体決定するであろうと思つた二十億も本省に召し上げられたのだ、一応返納を余儀なくせられたものだ、工事はいつかかるかわからないというようなことを現在出先官憲は考えておるようであります。私はこの問題に対して、建設省はつきりとした態度を示達していただきたい。少くとも本年度災害としての四十五億万円は現在建設省計画した通りに配分を行う、工事は早急にこれを実施すべし、こういう問題が一つ。もう一つは、二十億の過年度災害に対するオーケーも早急にとつていただきたいということを考えておるわけであります。もちろんこの二十億プラス四十五億の六十五億はルース台風を含まない本年度までにすでに起きたところの災害復旧費として使用するという建設省の二週間前までの根本原則をかえないようにしていただきたい。と同時にこれを周知徹底せしめて、復旧工事に万遺憾なきを期していただきたいと考えるわけでありますが、本問題に対して建設大臣の御意見を伺いたいと思います。
  21. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいまの田中委員の御見解は、私もまつたく同感であります。今まででも極力その方に、二十億、四十五億をとるべく最善の努力をして来たのでありますが、今後も大いに努力をしたいと思います。
  22. 田中角榮

    田中(角)委員 建設大臣の力強い御発言がありまして、わが意を得ておるのであります。二十億に対する問題はいまだ解決もせず、これは早急に解決していただくということでありますが、四十五億の本年度災害の分はすでにオーケーがとれておるのでありますから、これが施工に対しましては、ひとつピッチを上げてやつていただきたい、こういうふうな希望を申し上げておきます。
  23. 西村英一

    ○西村(英)委員 建設大臣の、村瀬さんの質問に対する御答弁を聞いていますと今までの災害復旧で、いろいろ問題点は本委員会でも言い盡されたと思うのですが、また建設大臣のお答えを聞いていますと、災害復旧に対する新建設大臣方針というものがわれわれにはわからぬ。従来の復旧を、災害が起つたらそのまま続けて行こうというような、何ら災害復旧に対して新しい抱負、構想を聞かないのであります。この災害復旧は、従来たびたびいろいろな面から論ぜられおるのですが、新設建大臣としては、災害復旧をするのにつきまして、何か新しい構想のもとにやるお考えはないのかどうかという根本の問題をお聞きしてみたい。と申しまするのは、建設省でも災害復旧の進捗率等をきめておりますが、そのように現在の状況は守られておらないのであります。またその災害復旧のやり方等におきましても、大臣といたしましては災害あとを追うものであるから、復旧よりもむしろ防災の方に力を注いで行くのだ、あるいはまた、災害が毎年起るところの地域は特定の地域といいますか、九州とか四国中国とかにきめられておるのであります。従いましてそういう地域的に何か特段の処置を講ずるよう方法とか、何か従来の行き方ではなぐて、災害復旧に対しては根本的な問題を私は新大臣に期待いたしておつたのでありまするが、今までの御答弁からいろいろ推察いたしておりますると、あまり期待することはできないのであります。ことに大臣は大蔵省に長くおりまして、予算等のことにつきましても、大蔵省とは折衝の点において相当うまくやられると私たちは思つておるのですが、災害復旧そのものについて、従来の方法とは違つた考え方で進むような御構想がありますれば、そういう点をひとつざつくばらんにお話を承りたいと思うのであります。
  24. 野田卯一

    野田国務大臣 災害復旧につきましては、最近におきましても毎年々々災害を繰返しております。これにつきましては、ただに建設大臣のみならず、内閣をあげていろいろ御苦心なさつております。私は今までの災害に対してとられた方策が、非常に間違つておるとも考えません。非常な努力をして来られたと思います。この災害対策災害復旧の問題としては、技術的な問題とか、あるいは財政的な問題とかいろいろあると思いますが、技術的な面につきましては、災害復旧は、復旧という点から申しますと、單に原形復旧ということにとどめないで、そこに改良を加えるということを特に重視しているわけであります。しかしそれは私だけの考えではなく、すでに前前の大臣からそういう方向に向つておられます。その方向に推進して参りたいと思つております。  それから災害復旧のスピードといいますか、復旧率の問題でありますが、これは最近復旧率が非常に遅々としておりまして、毎年々々未手当の被害が累積して来るというよう状態でありますので、何とか復旧率をよくしたい。過去の例で申しますと、当年度災害に対する当年中における手当というものは一割三分というよう状況でやつておりますので、これではいけない。実際問題といたしまして、一割三分で済みつこはありません。従つて国家として一割三分を押しつけますと、その余波は地方財政に及ぶわけでありまして、私も最近地方財政をいろいろ研究いたしまして、こういう政府復旧率などを非常に低く見ておるというような点から、地方財政が圧迫を受けているというような点もはつきりいたしましたので、なるべく政府の方で復旧率を高める。それにつきましては、先ほども申し上げましたように、第一年度三割、その翌年度五割、その翌年度二割、一応こういうような目標に近づけるべく努力しております。それについては、当年度災害は当年中に直してしまつたらいいじやないかという御議論もありますけれども、これは技術的にも問題があり、財政的にも問題がありまして、当年中の手当はむずかしい、こういうふうに考えておる次第であります。なお災害復旧につきましては、毎年々々繰返して行われるのだから何か別の資金でもつくつておいて、基金を設けてそれに対処して行つたらどうかというお説もあるのでありますが、これは御承知の通り、その年その年の災害復旧すらなかなか三割も出しきれない、一割何分しか出し切れないというようなときに、何百億という財源を別にひねり出しておくということは技術上困難だというような実際問題からいたしまして、この問題は難航しておる実情であります。私らといたしましては、いろいろ先輩の御苦心されましたあとを十分検討いたしまして、でき得るだけ金を有効に使つて、そうして災害をできるだけ少くするような方向に持つて行きたいと思います。  それから今度の災害がどんなふうに起つているかということにつきましては、私も現地に参りまして実情を見たいと思つておりますが、中にはいわゆる不可抗力のものもあると思います。非常に雨が降りまして、家がずいぶん倒れておりますが、この家の倒れる災害などというものは、ちよつと手の盡しようもないのモありまして、コンクリートの家でも建てなければ、なかなか日本の軽い木造では処置がないのではないか。風速五十メートルぐらいになればどうにもならぬのではないかという点もありますし、それから山の方でも、非常に風が強いために、木そのものがひつくり返つている。そのような例がありまして、最近の実情といたしましては、雨がうんと降つて風が強い、この両者が一緒に来る傾向が強いのでありまして、この前の七月の豪雨でも、かつてない豪雨が降つたということが日本の各所に起つておるのであります。これはどういうわけか知りませんが、かつて何十年来ないような豪雨が降つている。それに今度は風が吹いて来たわけでありますが、風と雨が一度に来るために、山全体の木がひつくり返るというようなことになつておりまして、この現象に対しまして今までのような行き方でいいかどうか、これはさらにもう一ぺん検討しなければならぬと考えております。なお災害全体を防ぐ治山治水の問題につきましては、また別の機会に御意見を承りたいと思います。
  25. 西村英一

    ○西村(英)委員 別な機会にまた私も質問申しますが、具体的な一つの問題で、過年度災害に使用する今年度の金額は全部予算の配付がなつたのでありますか。前の会議では三分の二だけ配付してまだ三分の一残額があるという話だつた。それから今年度四十五億の予算が一応ルース台風予算として決定されたと思いますが、この予算建設省関係といたしましては、地方予算として工事ができるように配付になつたものでありますかどうでありますか。過年度災害残額の問題と、この四十五億のうちの土木工事に対する実際の地方に対する配付の問題でお聞きしたいのです。
  26. 野田卯一

    野田国務大臣 過年度災害三百二十億の三分の一が残つておりますものにつきましては、その中の十八億、約二十億が足りないという問題につきまして補正予算をとる、あるいは本年度の八十億の中から出すということがきまりますと、予定通りできるのでありますが、その点につきましてはそれがま、だはつきりいたしません。従つてその残りましたものを地方に調整して割当てることにきめまして、建設省より各県にもう大分前に通知済みになつております。
  27. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 この際私建設大臣に希望を申し述べておきたいと思います。それはなぜかというと、先ほど来の説明を聞いていると—今の西村君の質問の中にもあるのですけれども、過年度災害に対する二十億、—予備費というものの性質は予知することのできない災害や何かのために組んであるので、過年度災害の方は予知できるのであるから、すぐに予算措置を講じなければならない。予備費のうち二十億というのも四十五億使うというのも違法ではないが本筋ではないことは言い得る。それでわれわれが考えてみると、もしオーケーがとれぬということになると大蔵省の方ではこれをいいことにして—どうも今話のつじつまを彼此対照してみると、今度の災害残りの十五億ではどうにもならない、それで一方がオーケーがとれなければその二十億を持つて行つて使うという、ふうにしか考えられないわけです。もしそちなつて来ると過年度災害の方は一体どうなるのだという問題が残る。それでこれはまだ表面きまつていないけれども、すでに予備費というものは国会を通過しているのだから、要するに執行する場合において使えばそれで過年度災害の方はどうにかつじつまが合うわけだが、それでもなお足らなければ再補正をやつてもやむを得ぬ。繰返して言うが、私は本来から言えば、予備費は本筋ではないと思いますが違法ではないと思う。これも彌縫策としてはやむを得ぬと思つているが、どうも今の話を聞いているとそういうふうに考えられるのではなはだ心細くなつて来るわけなのです。今度の災害も大事だけれども、まず過年度災害の方も、当初の事業分量だけはやつてもらわぬと、これは何のことかわからぬことになるから、これはこれで本腰を定めて、当初予算通りに事業分量だけはやるという方法をあらゆる意味において建設当局としてはきめてもらわなければならぬわけで、その交渉は建設大臣を信頼するよりほかに、しようがない。それを前提にして、今度のルース台風の十五億、二十億、三十億、四十億というのも、それを別にして考えぬと、こんがらがつたものになる。これはわれわれがただいま聞いておりてもはなはだ心細くなつて来るのです。私はここで今すぐ大臣答弁を求めようとは思わない。これから折衝される余地が多分に残されておると思いますから、そのお気持で強くこの処置をつけてもらいたい、かように希望しておきます。
  28. 西村英一

    ○西村(英)委員 過年度災害の残つたものをどうして早く出さないか。私が聞くところによりますと、まだ地方に配付していない。それを二十億とひつかけて、もし二十億とればそれと一緒に配付をする、こういうような操作をするために遅れたのだということですが、私はそうじやないと思う、すでにきまつておる三分の一の予算がどうして今日まで配付できないのか、それは結局それだけ工事ができないことになるのだが、その点をもう少しはつきりお伺いしたいのです。
  29. 野田卯一

    野田国務大臣 実は建設省といたしましては、三分の一の残額は各府県に大分前に通達済みになつておるわけであります。その点を繰返して申し上げます。
  30. 西村英一

    ○西村(英)委員 災害復旧と申しましても、港湾もあります。漁港もあります。それを安本でもつて集計して認証を與えるのでしようか、その三分の一が遅れることは、その大部分を占めておる建設省関係が遅れるためではないかと私は思う。現在の災害復旧費国庫負担は、あの方法をもつて施工いたすことは、建設省はどうお考えなつておるか知らぬが、私は非常に煩雑なやり方であつて事務的に今年のみならずまた来年も同じように若干の金は遅れると思う。しかし聞くところによると、この補正予算とひつかけてこれが配付できないのだというふうにも聞いておる。一体いずれであるかということで、その辺を聞きたかつたのです。
  31. 野田卯一

    野田国務大臣 災害復旧費の補助は制度そのものとしては悪いのじやないと思います。というのは、残りの三分の一はもつと早く出せたのでありますが、ことし問題になりましたのは、予算が三分の二と組んであつて、その後法律ができまして、平均四分の三になつた。そこにギヤツプが起つた。そのためにいざこざが起つたのでありまして、制度自体には問題はないのではないか、こう思つております。
  32. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は建設大臣に、初めてというとおかしいのでありますが、新しく建設大臣になられましたので、これから申し上げることはすでに言い古されておつてしかも建設大臣は財政の大家でありますから、釈迦に説法と思いますけれども、御質問申し上げたいと思います。先ほど災害復旧費国庫負担法の問題が出ましたが、あれを審議するときに、今年の四百億の予算とからんで、政府災害復旧、もう一つつつこんで申しますれば、治山治水に対する熱意が、非常にあると思うのですが、実際に現われておらない。これは現にそうであります。今度ルース台風が出て、どこに金があるか知りませんけれども、新たに出しましようというのは、私は実におかしいと思う。もちろん財政がいろいろ計画的に使われるので、ある程度の見通とを持つて、余裕を持つてされるということはわからないわけではありませんけれども、大体過年度千八百億も残つておる災害に対して四百億でまかなう。しかもそのうち三百二十億だけ過年度災害に、八十億で今年起るべきであろうところの災害をまかなうという、そこに非常に根本的のギヤツプがある。そして今盛んにあわてておるというのが実情であります。これは今年だけではない、終戦後毎年繰返しておる。治山治水ということが真に日本の再建の基礎條件であることは、どなたも言われるし、今日まで口をすつぱくして議論されておるのでありますが、それが実行に移されておらないのであります。今度ルース台風に、二百六十四億土木公共事業費だけが出ておりますが、私の見解では一千億越すと思います。それはもちろん土木だけではありません。耕地、港湾その他農作物、建築物、もちろん風に対する問題は、先ほど申されたように、五十何メートルも出ると鉄筋コンクリートでも建てなければ間に合いませんが、水に関係するだけは、大よそ金と人間の力と努力によつてできると考えます。ここに出ておる三百六十四億、これよりずつと上まわるよに思います。それからこれに匹敵すべき農林省関係災害復旧費、それからその他にもあると思いますけれども、こういうものが日本の状態では必ず起きて来るということは、既定の事実のよつに私どもは考えております。それでなおかつ四百億か三百億で攻めてみようというところに政治の貧困がある。来年度予算を今せつかく御研究中でありますので、起つた台風に対していろいろ申し上げません。急速な対策が現考えられておりますし、われわれ同士も毎日愼重に検討しておりますし、ただいまでも別に党の方では災害対策のために真剣に研究いたしておりますか、それについては申し上げません。来年度もさらにこのくらいの手当で日本の治山治水をやられるお考えであるかどうかということを、建設大臣に責仕をもつてお答えを願いたい。
  33. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいまお話ように、災害復旧費その他の公共事業が全体的に不十分であることは、まつたく同感なのであります。われわれ建設行政をあずかる者といたしましては、この金額の増加について最大の努力をいたしております。本年度予算折衝においても、いろいろ観点から見まして相当いろいろな経費を要求しておるのでありますが、まだ見通しがついておりません。これは財政全体の大局から決せられるものであります。われわれとしては、とにかくこう毎年々々災害を繰返すようでは、ほんとう意味の経済復興もできなければ、民生の安定も期せられないというわけで、極力この面の経費をふやすべく努力をしておるということを重ねて申し上げておきたいと思います。
  34. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これは申し上げなくてもおわかりなんですけれども、やはり申し上げなければならないよう状態なつておる。こういう状態では船や家を風から防ぐことはできません。そこで私はこの際せつかく新たに建設大臣になられた、財政の方もお詳しい大臣でありますから、これは日本の再建の上から、ひとつ最大の努力をしていただきたいと思うから申し上げるのであります。ただここに現われております、またわれわれが正式にあ委員会で取上げるような土木工事の復旧であるとか、河川の改修、堰堤をつくつたりあるいは港湾の保安をいたしたり、防潮防波堤をつくつたり、それはほとんど意味がないと思う、妙な言い方をいたしますけれども、そういう仕事をするのは日本の生産力を保護するのが目的であります。ですから保護しないようなこういう仕事をあとから追つかけまわしても、これはぬす人に追銭というのが現在の状況であります。これについては十五億をいじりまわしたり、さつき二十億の問題がありましたが、あわてて三十五億をいくらさわいでかつぎまわつたところで、これだよつて災害復旧は全然できません。全然とうと言い過ぎるかと思いますが、ほとんど物の数にはなりません。物の数にならないばかりでなく、生産の増強にはほとんど価値がないと極言してもよろしいと私は思います。そこで日本で一番問題にされているのは生産力の増強—現在の状態では日本の農業生産力はそう大して伸びない、これは言い過ぎかもしれませんけれども、大して伸びません。従つて現在あるところの農業生産力を保護するということが、日本において最も大事なことで度ると私は思います。開拓であるとかいろいろな問題が重なつておりますが、それもむだではありませんけれども、今日せつかくつくつたものを、一挙にして一夜のうちに失う。今年は何十万石の米を失つた、風で失つた点は差引いてもよろしうございますが、そういうことをしておつたのでは、これは二百億三百億ばかりの問題ではないと思います。今度は必ず補正予算が俘わなければ日本国民は納まらない。建設大臣はそのつもりでおられることは私は承知いたしておりますが、それだけの金があるならば、なぜ今年の補正予算にそれをおやりにならなかつたか。責めるわけではありませんが、ルース台風が来たからあわてて補正予算を組むだけの金があるならば、過年度災害で大きな穴が明いているのをなぜ早くふさがなかつたか。それを早くふさいでおつたならば、ルース台風災害もある程度減少しておつたことは確実であります。それをしないで、それだけの余裕金をどこかに置いておいてそしてきずが大きくなつてからあわてるのはまさに政治の貧困である。それだけの金があるならば、この台風が起る前になぜきずをふさがなかつたのか。先ほど西村委事貝から言われたように、きめてある金さえも使わずに—今日まであけつぱなしにしていたところをふさぐことが最大の急務である。それも今度の補正予算に出ておりません。災害復旧費が足らぬということは説明するまでもない。余裕金があるのにそれをしないでおいてきずを大きくしてからそれをどうしよう、こうしようということは、あえて私は大臣を賃めるわけではありませんが、今日までそれを繰返して来ておりますから、ひとつ年度予算を—これから建設大臣は真剣に建設省関係について努力されると思いますけれども、国全体の財政計画考えなければなりませんが、こういうところに重点を置いて、閣議でも大いに奮闘していただきたい。私どもも御協力申し上げるつもわであります。どうかそういう意味合いにおきまして、大臣を責めるのではないが、日本の国の基礎は健全にしなければいけないと私どもは考えております。すなわち治山治水ということを盛んに言つております。わが自由党では治山治水ということをまつ先に取上げております が、その効果はあまり現われておらない。効果が現われておらないのではなくて、効果を現わすような仕事をしておらない。これだけを要望として申し上げておきます。
  35. 村瀬宣親

    村瀬委員 どうも先ほどからの建設大臣の御答弁を聞いておつて、いよいよわからないことができましたから、はつきりいたしておきたい。
  36. 西村英一

    ○西村委員 あるいは瀬戸山委員の御質問にあつたので、いよいよ迷宮に入つたのでありますが、この災害復旧事業費国庫負担法が改正になりまするときに、その事業量を減さないために、全額であつたのをやむを得ず一部地方に持たすのだ、こういう説明であつたのであります。これはずいぶん議論があつたのでありまして、全額国庫負担ということは、シヤウプさんも言つておるし、地方財政の確立をするのには当然やむを得ないということであつたのに、それをたつた一年でやめてしまつた。そのときに、それは事業量を増すためというならは一応認めるけれども、それならば予算のときは、三分の二であつたのが今建設大臣も言われた四分の三に、かわつた、その事業量だけでも当然補正増額する必要はないかと言つたところが、当時の増田建設大臣が、それはその通りだ、そのつもりですと言われた。その点を私はこの間の緊急質問でも尋ねましたところが、野田建設大臣も、その点は何とかするつもりだ、こうおつしやつた。ところがインヴェントリー・フアイナンス等へは五百億も六百億も出されるが、これに対しては今度の補正予算には何ら出ていないし、また御承知の通り先ほどからの委員の御質問に対しても御答弁がないのであります。これは一体どうするおつもりであるか、最後にはつきり御意見を伺つておきたい。
  37. 野田卯一

    野田国務大臣 その点は、先ほどから繰返し申し上げておるように、九月の終りころまで災害が比較的少かつたために、八十億の本年度災害復旧費の中からこの金額—約二十億足らずでありますが、それで処置するというよう方針で参つておりまして、その方針として政府がきめたことはまだ今までかわりはないのです。先ほどちよつと申し上げましたのは、内情を少し申し上げたのでありまして、今まで二十億を八十億から出して、三分の二と四分の三の穴埋めをするということには、まだ方針の変更はないわけであります。
  38. 村瀬宣親

    村瀬委員 そうはつきりおつしやいますと、先ほど委員長から御意見お尋ねがあつたのに関連して、まつたく重大問題になる。予算のときはそういう感じではなかつたのです。あの四百億というものは、三百二十億を認めるという意味じやなくて、四百億全体としてわれわれは考えたので、その四百億のうち、いわゆるあの災害復旧事業費国庫負担法の改正のために何ぼかの穴が明いたわけです。そうでないならば、三百二十億というものを基本にして八十億を別に予算の外わくとして考えるならば、これは最初から予算委員会でもそういう考えはなかつたし、また災害事業費国庫負、担法の審議のときもそういう感じを持つておらなかつた。あくまでも四百億は四百億です。その事業量を減らさぬようにという観点であつたのであるが、今の御答弁ように、三百二十億を約束しただけなのだ、あとの八十億の中から何ぼとろうが、それはかつてだ、特に予算にお詳しい野田建設大臣がそういう考えを持たれるということは、これは予算審議の根本を破壊するものと思いますが、その点はどうでございましようか。
  39. 野田卯一

    野田国務大臣 この前も本委員会お話が出たのでありますが、私は当時のいきさつをよく存じておらないのであります。皆さんからいろいろと承りますと、どうもそのときの考え方に一致しおらないような点がいろいろとあつたのではないかと思います。りくつから言いますと、本来ならばそのとき予算を修正してかかるべきだつたが、それがそういうふうにされないで進行して来たところに問題があつたのではないかと思います。そこに無理があるのですが、その無理をどうして解くかということですから、ちようど本年度災害は少かつたので、そこに純粋の余裕とは申し上げられないが、ある程度の余裕が生じたから、その方にまわそうという非常に常識的な結論が出て来た、こういうことであります。
  40. 村瀬宣親

    村瀬委員 いろいろ委員にもも御意見があるようですが、野田建設大臣答弁でよいのだという御意見ならば、今まで増田さんも、また野田さん自身も、この間の本会議でああいう答弁はなかつたはずなのであります。ところが私が本会議緊急質問をいたしましたときに、野田さん自身その穴埋めについて考慮すると言われている。多少言葉は違うかもしれません。また増田さんも、ここであの審議のときには、それはやるのだ、ただ今急には間に合わぬだけだと言われた。田中委員もそのとき増田さんを追究した。でありますから、四百億のわくの中でこれを三百二十億と八十億にわけて、八十億の方から三百二十億の方に持つて行つてもらいたいというようなことは絶対に許されません。そういう予算の慣例を残すならば、日本の国の予算というものにまことに悪例を残すことになる。当局でどうでもいいようにあめ細工のようにすることになりますから、われわれは予算権確立のために、断じてこの点は明らかにいたしておきたい。そこで幸いに千七百億余の自然増収もあつて、インヴエントリー・フアイナンス等へも持つて行くというのであるから、問題はこの穴埋めが正しいものであるかどうか、またそれが建設大臣としてどこまでも熱意があるかどうかにかかつておると思うのでありまして、この際建設大臣自身として、はつきり所信を述べられる必要があるのであります。ことに予算に詳しい建設大臣である以上は、この点をあいまいにすることは断じて許されません。従つて私は、もう一度この点に対するはつきりした御答弁を承つておきたいのであります。
  41. 野田卯一

    野田国務大臣 ちよつと技術的な面にわたるようですから、技術的なことを申し上げます。予算では、十八億は今年度災害復旧に計上してあつて、三百二十億は過年度ということになつておりますが、かりに極端な例を上げますと、本年度災害がなかつたとすると、その八十億は浮いてしまつて余るわけであります。それを過年度の方が不足だからそちらにまわすということをやる場合に、予算の修正でよいかどうかという問題があるわけであります。つまりかりに八十億全部を削つて過年度災害の方に八十億加えるという予算的措置国会の承認を得てやる必要があるかどうかという問題があるわけであります。それを研究したところが、その措置は必要ない。それは建設省と安本と大蔵省の話合い—極端に、また簡単に言えば、大蔵省の承認です。そういう方法でそれができるということになつておる。これは予算手続上の解釈です。これは主計局にお聞きになつても—私は主計局の意見を聞いてそういうことを申し上げるわけですが、私はそういうふうに考えております。そういうことで今の点は御了承願いたいと思います。ただ実際問題として、二十億を確保するかどうかというということになりますと、先ほど申しましたように、閣議に出しましてそして二十億は、八十億のうちの二十億をその方にまわすということを閣議決定しており、それをもちまして司令部に今交渉しておる、こういう実情なのでありまして、私としては何とかしたいという意味で、その方法をとつておるということを申し上げたのであります。
  42. 村瀬宣親

    村瀬委員 これでは堂々めぐりをして、結局根本の問題に到達しなければならぬのです。つまりこの災害復旧予算が十分にとつてあるという前提のもとにあるならば、今のような御答弁もあるいは通用することがあるかもわかりません。しかし雪だるまのように、過年度災害がずつとふえて行く。最初昭和二十二年に二百六十一億であつたのが、二十六年の一月に調べてみると千九百億にもなつておる。そういう事態に対して、ともかくも四百億というものを—本年度の三百二十億と八十億というのは内輪のことで、四百億というものを、足らぬけれどもともかくもとつたのであります。でありますから、そのとるときに、いわゆる事業量というものを考えて、今年の事業量はこれから割り出したのであります。そして災害復旧事業費国庫負担法の制定のために、そこに大きな穴が明いた。そうすれば、少しでも日本の災害を穴埋めして行ごうという方針であるならば—大体この国庫負担法ができさえしなければ、こういうことは考えられなかつたわけであります。それができたためであるのでありますから、この差額というものは、何をおいてもつけ足そうという方針—内部で工作をして、それが予算のいろいろな法規に触れないからとか、りくつをつけようという意味ではなしに、何とかしてふやそうという御方針であるかどうか。それともりくつがつけば何とかしてこれをふやすまいという方針でお考えになる建設大臣であるか。正々堂々たる理由がある限り、少しでも、二十億でも三十億でも、四百億にプラスしてふやして行こうという御方針があるのであるかどうか。りくつさえつけばもうその点はふやさないで、ルース台風ならその方だけの補正予算で行くという方針であるのか。日本の災害復旧に対する、建設大臣としての根本的、基本的なお考えを承りたい。
  43. 田中角榮

    田中(角)委員 関連して質問をいたしますから、その上で答弁をしていただきたいと思います。  村瀬君は建設委員会は、私たちと同じように五年間もやつておる方で、野党といえども私は非常に傾聽しておりますし、建設予算のエキスパートだ、いつもこう思つておるのですが、ただいまの発言は村瀬君のお間違いではないかと思います。それは私の先ほどの質問もやはりこれと同じことを申し上げたのですが、建設大臣答弁は、二十六年度予備費としてとつた八十億のうちの二十億を過年度災害として振りかえるということが、予算技術上不法であるという場合には、これは問題が起きます。但し適法であるという場合は、われわれが委員会で増田建設大臣と協定をした、次の予算編成の機会か、とにかく次の予算的機会に、何らかの形において金は出しますということの責任は当然果せるものだ。こういうふうに私は考えておるわけです。だから、適法、不適法の問題については、今建設大臣の言われたことは、そのままにはのんではおらないのですが、現実的には建設大臣が言われておる処置でけつこうだと思つております。それは予算技術の問題で、もし予備費というものの原則が、その年度に起きた災害にのみしか使えないものであるという定義であるならば、災害が起きなかつたからといつて適当な費目に議会の議決を経ずしてこれを自由に使えるということになりますと、今決算委員会で特に批難せられておる予算の流用という問題は、全部批難せられないということになるので、会計法規の原則からいつてこの問題は疑義があるのですが、私はそういう観点からでなく申し上げる。村瀬君は野党として予算案に反対をせられた立場だから、いわゆる四百億が過年度災害の全額であると考えておるが、私の方は、二十六年度予算の編成に対して與党は賛成をしておりますから、結局その予算の中に組まれた予備費のわくは、その年度に発生した災害に使うものが八十億と考えておる。だから過年度災害に使用する金額の総計は三百二十億と押えておるわけであります。但しこの三百二十億で押える場合、国庫負担法の施行によつて起るであろう二十億程度工事量の減に対しては、もしその減が出た場合 —当時建設当局は減は出ないという言明でありましたが、私たちの計算においては減が出る。出た場合には、政府提出案として国庫負担法が、予算通過後に出て来たものであるから、われわれがこれを審議して通過せしめた以上、この法律によつて必然的に起るであろう減は、当然次の国会において補正等の措置を講ずべきであるというのが委員会の発言の要旨であります。これに対して前建設大臣増田氏ができるだけの努力をいたしましようと言つておるのでありますから、私たちは三百二十億プラス不足分が計上せられなければならないと考える。過日の建設委員会で、建設大臣就任早々の質問として、来るべき補正予算提出に際して、これが不足額二十億を計上せられたい、こういうのが要求であつた。ところが建設大臣のただいまの御説明通りルース台風が来なかつた場合には本年度分として使用すべき八十億よりも、今年度発生災害の方が非常に少いから、当然金は余るだろうというよう気持で、もし余るならばこれを返上するというよりも、どうせ二十億弱の不足金を何らかの形において計上しなければならないのだから、予算費目の変更、といわなくても同じ本年度災害として割当てたところの八十億の中の余剰金二十億程度過年度災害にまわしてもよかろう、これが適法であつたならばかまわない、これがために八十億の中の四十五億を本年度災害に振りかえて充当して、余分の中から二十億というものを、現在その筋のオーケーを求めておる、こういうのでありますから、私は適法であるならばそれでよろしい、それでその後ルース台風が来たので私たちの話合いによつて、二十億を国庫負担法の通過によつて減少を来した二十億に割当てるために、オーケーをとりに行つておるというけれども、そのオーケーが與えられなかつたという口実をもつてルース台風の分に上繰込まれてはいかないということを私は先ほど申し上げた。だから、この二十億が認められてこのまま過年度災害にまわるというならば、われわれが議決した三百二十億プラス二十億という要求は実現するのであつて、この原則だけはくずしてもらいたくないということを私は先ほど大臣に申し上げたわけです。私の條件としては、いわゆる二十億を、オーケーがとれなかつたから、現在の四十五億プラス残額の十五億、プラス二十億、いわゆる八十億を予算編成当時と同じように二十六年度発生の災害に全部充当して、過年度災害に充当しようと思つた二十億はオーケーが得られなかつたからだめだということのないようにしていただけるならば、われわれと増田建設大臣との間に話し合つたことは実現するので、それを実現せしめる。その上になお本年度補正予算でさえも二十億をもらわないで済んだのでありますから、ルース台風等による応急費用は多額に計上されたいというのが私の意見であります。
  44. 村瀬宣親

    村瀬委員 私ははつきりした答弁を伺いたいのでありますが、今建設委員会で最も熱心な田中委員からいろいろ御意見等がありましたが、これは野田建設大臣が初めて建設大臣になられたので、大いにひとつ援護したいといううるわしい友情からの御発言であつて、私は気を楽にして聞くのであります。しかし今まで與党にあつて、しかも公正適切な議論を吐いて讓らなかつた田中委員の内心としては、決してこういう方向ではなかつた。この際大いに野田さんを助けて、建設行政をうまくしようという心情はまことに敬服に値するのでありますが、たとい予算の組みかえの法規が、二十億を八十億の中から使つてさしつかえないということになりましても、私はそういうことでこの場を濁すべきではない、これは絶対に予算編成の根本目的を乱るものであると断定するのですが、この点は議論になりますから、後に譲りましよう。  そこで今年度八十億の災害がなければ、三百二十億へまわすと申しましても、今度のルース台風がなくても、今年度災害は八十億といわぬのであります。少くとも当初に三〇%とか何とかかつてにきめられた。しかもこれは普通に十四、五パーセントしか行つていないようでありますが三〇%ときめて、それでも四十五億を出しておる。これは技術的にその年度に全部やるのだとおつしやるかもしれませんが、少くともその年の災害費を全部支出して、なお余るから、三百二十億を出そうというならば、多少逃げ道ができるかもわかりませんが、本年度のごときは、全然逃げ道がないわけであります。ほんとうに良心的に日本の国土を保全して行こうというお考えがあるならば、オーケーが下ろうと下るまいと、それとは別に、この二十億なり━私は三十億ぐらいになると思うのでありますが、この穴埋めは当然して行くことが、あの地方財政を危殆に瀕せしめてまで通過させた災害復旧事業費国庫負担法の成立に対するせめてもの良心的なやり方だと思います。これさえやらずして、地方は昨年は負担せずに済んでおつたが、今年は四分の一か、三分の一負担しなければならぬというふうに改悪しておる。そうしてこれまた八十億の中でお茶を濁してしまうということになれば、国民は踏んだりけつたりされることになるのでありますから、これはどうあろうとも、私は四百億の別に補正予算を組むのが、政治の良心に従つた行動であると考えるのでありますが、そういう御方針はないのでありますか。大臣としての御答弁をもう一度はつきり承りたいのであります。
  45. 野田卯一

    野田国務大臣 私は今の村瀬委員お話一つ考え方であり、主張であると思います。しかし先ほども申しましたように、今までの経過はもう深く御承知だと思います。そういうような方向に進んで行く行き方につきましても考えられることでありまして、これはいけないというふうに断定するにも及ばないと考えておるわけであります。田中委員の言われたように、二十億というものが行方不明にならぬようにすべきであるという御主張は、まつたく同感なんでありまして、最善を盡してこれを守りたいということを申し上げます。
  46. 村瀬宣親

    村瀬委員 どうも今の問題ははつきりしません。非常に良心的な野田大臣ではありますが、この御答弁に関する限り、かつて大蔵省で鍛えられたにしては、のらりくらりとは申しませんが、ともかくも要領を得ない御答弁であるということで、あとは保留します。  そこで最後に、今度は別のことをお尋ねいたします。先ほど西村委員からお尋ねがあつたが、はつきりしておりません。今年度の三百二十億は早期に出してしまう。そうして早く台風期の来ないうちに工事をしておくことが、災害災害を生むことを防ぐ一番有効な方法だ。それに対して私が本会議お尋ねいたしましたときに、八月中に出すつもりだということを御答弁なつた。でありますから、当然出しておることだと私は思う。これは倫言汗のごとしで、間違いない。ところが先ほど西村君のお尋ねに対して、答弁はつきりしなかつた。何ぼ割当てて、何ぼ残しておるのか、どういうつもりで割当てたのか、その金は一体どこから出ておるのか、あの当時はまだ割当だけで、三分の一の金は配分しでいなかつたが、工事はだんだんできているのかどうか。はつきり御答弁を願いたいと思います。
  47. 野田卯一

    野田国務大臣 建設省といたしましては、この前も御質問がありましたが、残額三分の一をできるだけ早く出すという方針にはかわりございません。私の気持といたしましては、八月中にできれば出してやるということを申し上げたようにも記憶しているのでありますが、こういう問題に対しては、建設省だけでやれますと、もつとぴちぴち動けるのでありますが、そういう組織になつておらない。二人三脚のように動かなければならぬ点があるということは、よく御存じだろうと思います。われわれとしては工事の進歩をできるだけ早くする必要がありますので、先ほど申しましたように、各県に予算を通達いたしまして、事業の懈怠を防ぐということにしております。
  48. 村瀬宣親

    村瀬委員 三分の一ですか、全額ですか。
  49. 野田卯一

    野田国務大臣 全額ではありません。さつき申し上げました二十億というのは、まだあやふやなところがあります。それでその点がもし出ませんと、調節をしなければならぬという問題がありますので、その流用財源三百二十億の三分の一ですから、約百億ちよつとになりますが、その中から十億程度留保して、九十億くらいのものを配分いたします。それを通達して、事業の進行に僻怠の起らざるよう処置をとつております。
  50. 小平久雄

    ○小平(久)委員 今の過年度分の関係ですが、先ほども国庫負担法の関係で約二十億ばかりが足らなくなつているということでありますが、そこで伺つておきたいのは、本年度の各県に対する工事の認証は、本年度施工する分としておそらく三百二十億という予算内でやつておると思うのです。そうすると国庫負担法の関係で、不足になつておる二十億が、かりにどういう方法かで復活することになると、またそれだけ各県に対する過年度の復旧工事上の増加が行われるのかどうか。  もう一つは、ただいま建設大臣がおつしやつた通り、約十億ばかり調整用に残してあるということですが、何か聞きますと、その割振りについても昨年度、つまり二十五年度までにおいて復旧事業が相当進んでおつた所に対しましては、本年度の割振りが比較的少かつた。つまり工事の進まなかつた所に対しては逆に割振りを多くした。そういつたことですが、その点は一体どんな方針で割振つたのか。この点もあわせて承りたいと思います。
  51. 野田卯一

    野田国務大臣 お答えいたします。第一点につきましては、あとで調節が行われることになります。  第二番目の点につきましては、私は今初めてそういうことをお聞きしたので、まだよく承つておりません。私自身としてはそういうことはないのではないかと思つております。よく調べまして、お答えいたします。
  52. 小平久雄

    ○小平(久)委員 割振りはどういう方針でやつたのか。それをひとつ……。
  53. 賀屋茂一

    賀屋説明員 配分いたしました方針を御説明いたします。実は建設省関係は百五十六億九千一百万円あるわけであります。これで一応年間の割振りはきめたのでございます。そうしてそのうち三分の二に相当するものを先に出したわけであります。その後御承知のように、国の負担率が、こまかい計算をするものでございますから、多少かわつて来ております。市町村の率も全部にわたつて計算をし直しておりますから、多少かわつて来ましたので、その負担率の関係で事業量が多少動いた所があります。これは大した額ではございません。それから今後繰上げがありますとか、あるいは調整がありますとかいたしますと、これにつきましては同じように配分をいたそうと思つております。
  54. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 災害の問題についてはまだ御意見もあろうとは存じますが、何分にもまだほんとう報告がそろつていないのであります、従つてまだその対策も固まつていない状態でありますから、不日またあらためて開きたいと思います。  この際にお諮りしたいのは、今政府よりルース台風被害状況説明を聞いたのでありますが、その重大性にがんがみまして、先ほど決定しました国政調査承認要求に対して議長の承認がありましたならば、それに基いて調査を行うために、衆議院規則第五十五條により、議長に対し委員派遣の承認申請をいたし、現地委員を派遣いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議がなければさよう決定いたします。なおこれについて諸般の手続及び派遣委員の人選、派遣地の選定等に関しましては、委員長に御一任をお願いいたしたいと思います。なおけさほど農林委員長から、行けば地元に迷惑をかけることなんだから、同一行動をという申込みがあつたのでありますが、一面においてはそれもけつこうだと思つたのであります。けれどもだんだん考えてみると、農林委員の行く所と建設委員の行く所とは違うわけですから、実際において同一行動がとれないと思うわけであります。どうもこれはいかぬのではないかと思つておりますが、その点適当にはからいたいと思いますから、その点もおまかせ願いたいと思います。  河川の総合開発の問題につきましては次会に譲ることにいたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会