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1951-11-26 第12回国会 衆議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十六日(月曜日)     午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 菅家 喜六君    理事 大上  司君 理事 田中不破三君    理事 三宅 則義君 理事 八百板 正君       高塩 三郎君    高橋 權六君       田中 角榮君    渕  通義君       山口六郎次君    井之口政雄君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      山名酒喜男君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道施         設局長     立花 次郎君         日本国有鉄道経         理局長     三木  正君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 大上司

    大上委員長代理 ただいまから決算委員会を開きます。  これより昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算議題とし、本日は日本国有鉄道につき審査いたします。  報告書百八十五ページ、日本国有鉄道国有鉄道事業特別会計を含む)、未収金報告番号六三七ないし六四六、収納処置緩慢に失すると認められるもの等、収納状況批難された事項十件を便宜一括して、国有鉄道当局から説明を聴取いたします。日本国有鉄道経理局長三木説明員
  3. 三木正

    三木説明員 六三七、六三八は、連帯運輸をいたしております会社、あるいは貨物後納契約をやつておりまする運送店に生じております債務を、私ども取立てが緩慢であつたという批難であります。六三七につきましては、二十五年八月末では、会計検査院の御指摘になりました通り、六千四百余万円の収納未済がございましたし、さらにまた六三八につきましても、二十五年六月には、ここに書いてあります通り収納未済分があつたのでございますが、その後その回収に努めまして、現在におきましては、六三八につきましては、二十五年の八月までに全部納入済みになり、六三七の連帯運賃につきましても、ほとんど完納を見たのでありますが、なお北丹鉄道の百万円余り鹿本鉄道の百八十万円余りが、二十六年十月三十日現在において未納になつております。御承知通り、この両鉄道は非常に業務が不振でありまして、十分私ども債権者としては、この経理内容にも立ち入りまして、できる限りの収納をはかつておるのでございますけれども、これ以上の収納が困難のために、なおこれだけの残額を残しておるような次第であります。  それから予納金徴収ぜず、反対給付完了後に至るも代価納入が著しく遅延いたしておるものが五件ございます。六三九の、構内自動車構内営業料金の前納を誤つた分は、この通りでございます。これにはいきさつもございまして、説明書の方にも書いておきましたが、月額五十円から五百円という値上げをいたしましたために、構内営業をやつております自動車業者から、値下げの運動がございまして、不払い同盟というようなものができましたために、前納させることができず、その後の徴収も遅れたのでございます。これもその後不当に高いと思われました分を幾分負けまして、また収納にも努めました結果、現在におきましては二万五千円を残したきりでおります。なぜ残つたかと申しますと、幾分たまつた料金月賦払い収納したために、なお二万五千円残つておるような次第でございます。  六四〇の、私鉄が使います石炭鉄道が買いまして、それを私鉄に渡します委託調弁という制度を、戦争中の非常に物資が不足し、輸送力が重視された時代に、とつてつたのでございますが、その残りでございます。もちろん予納金をとらないで石炭を渡しますことは、非常によくないことでございますけれども私鉄もそれぞれ重要な輸送を担当しておりまする関係上、やむなくこういう便宜の措置を講じたのでございますが、その後は全部そういうものは徴収いたしまして、二十六年の四月八日に完納されております。それからそういう石炭委託調弁する制度は、二十四年度以降やめておりますので、今後はこういう問題は起きないわけでございます。  六四一の、専用側線巡回費を予納させないで巡回し、実際に巡回後も収納していない。これもはなはだよくないことでございますが、御承知通り巡回旅費のようなものは、実質を計算いたしまして、それを会社から回収するわけでございます。ところが、当時におきましては、ベース・アツプとか、給与改訂というものがたびたび行われ、ちようどこのときも調定をいたします最中に、そういう給与改訂がございまして、原価の計算をやつておるのでありまして、その調定が手遅れになり、債権額が確定いたさないものでございますから、予納させずに、しかもその後も、時機を失せずやれば、当然こういう不手ぎわは起さずに済んだものを、とりまぎれてこういうことになつた次第であります。二十六年の三月二十六日には全部収納されております。  それから六四二の、九州車輌株式会社外二社の委託調弁鋼材収納されていない分でございます。これも二十五年の十月末におきましては、百九十八万四千何がしという、検査院指摘されました通りの額が、収納未済になつてつたのでございますが、その後厳重に取立てまして、九州車輌は二十六年の三月二十八日、若松車輌は同月の十四日に完納となりました。川南工業だけはまだ残つておるのでありますが、御承知通り川南工業はああいう社内の紛争がございまして、なかなか取立てが思うようにまかせませんが、今度広製作所というものに財産並びに債権債務が受継がれておりますので、それに対して重ねてできるだけ早い機会に督促して収納いたさせたい、かように存じております。  それから六四三番の、車輌修繕委託を受けて、その修繕額収納されていない。これも検査院の御指摘通り、はなはだ遺憾な次第でございますが、二十六年の三月三十一日、ちようど年度末一ぱいに全額収納いたしております。  それから徴収決定を遅らせたために収納が遅延になつたものというのが三件ございます。六四四番は、連絡駅における共同使用料金でございます。これは連絡施設共同使用料の、説明書の百三十四ページの終りに書いてあります通り人員整理がございまして、ちようど二十四年の八月に非常に大幅な人員整理をいたしたのでございますが、その人員整理をいたしまして、共同使用に従事しておる人員が減つたわけでございます。その減つた分だけ原価を回収するわけでありますから、その実際の原価を計算して、遡及して減額更改しなければならないのでありますが、それの決定に至るまで徴収決定をしておりせんでした。それでこういう御指摘を受けた次第でございます。二十六年の二月十九日までには、全部収納をいたしております。  それから六四五番の、日通外十六社から徴収すべき後納運賃に対する延滯償金徴収決定が、二十四年度内に済んでおらぬ。二十五年の八月に至つてようやく決定されたという御批難でございます。これはもつと早く、毎月それぞれの延滯償金調定しなければならぬのでございまして、中には、会社によりましては非常に財政状態が悪くて、そういう後納延滯償金取立てを急にいたしますれば、つぶれてしまうような会社も、ないではございませんけれども、それはそれとして、延滯償金というものは徴収決定をしまして、成規の手続であるいは債権を保全するとか、あるいはその会社に強制執行するとかいうことをすべきであるのでありまして、いたずらに延ばすというようなことはよろしくないことです。その後は会計検査院の御指摘通り毎月調定をすることにいたしております。それから、その後調定されまして、ここに指摘されました収納未済の分は、二十六年の三月二日に全部収納済みでございます。  それから六四六番の構内営業料金、名古屋駅構内の松浦某外十七名からの徴収、すなわち構内の用地及び建物の使用料徴収決定で、従つて納入されていないというのでございます。これも使用料改訂をいたしました際に、使用者から、それでは経営が成り立たない、負けてもらいたいというような話がありまして、その結果、その収益状態なり使用状況なりを調査したり、その額を折衝したり、そういうことを日を過しまして、二十五年の一月に減額の決定をいたしたわけであります。その決定に基きまして二十六年三月三十一日には全部収納いたしておるような次第であります。
  4. 大上司

    大上委員長代理 次に会計検査院当局補足説明がありますか。
  5. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 ありません。
  6. 大上司

    大上委員長代理 それではこの際質疑を願います。
  7. 高橋權六

    高橋(權)委員 これは今お話くださつたのに、ちよつとわからない点がありますが、この六三七、六三八、これは自動車営業ですか、何になつておりますか。
  8. 三木正

    三木説明員 六三七は、主として鉄道であります。中には自動車もございますが、営業者が異なります国有鉄道地方鉄道との間に、連帯輸送をやります。地方鉄道国有鉄道にまたがつて運送されるものを、一ぺんに運送契約をしまして、切符を売るとか、通知書を発行するなどいたします。その後両者の契約に基いて割賦率によつて運賃をわけ合つておるわけであります。わけ合つておる分を、私の方の取り分が多いのですから、債権者として請求したわけであります。それが遅れておつた、こういうものでございます。  それから六三八は、貨物の後払いと申しまして、大きな運送店または大きな荷主に対して、一定の條件のもとに銀行保証であるとか、あるいは証拠金を積み立てる、そういう條件のもとに、貨物運賃を現払いでなしに、あとで精算して納めさせるということをいたしておるわけであります。これは荷主さんがその場その場で運賃払いませんから、かけで運送しておる、そのかけ代の払いが多数滯つてつた、こういうわけであります。
  9. 高橋權六

    高橋(權)委員 自動車がおもですか。
  10. 三木正

    三木説明員 鉄道がおもであります。
  11. 高橋權六

    高橋(權)委員 少しそれるかもしれませんが、しかし関係のあることと思いますので、この際関連して、当局がそういう御注意をなさる考えがないかどうかということを、お伺い申し上げたいと思います。東京外八箇所に陸運局がありますが、トラツク営業などの許可陸運局がやつておられるようであります。その営業許可を願うと、現在やつておる連中が反対するからというので、公聴会なんかを許さないというようなことになつておる。その公聴会に反対するかしないか問合せの書類を、十なら十の地方トラツク営業者またはいろいろな団体にやつておるけれども、そういうものに通知が行くと、反対して盛んに運動する。その反対しておる連中は、どんなことをしておるかというと、これは私そのナンバーも知つておりますが、軍の自動車を幾十台も払い下げて、軍の自動車でもつて営業しておるようなやつらが反対しておる。中には県会議員も現在おつて、そうしてトラツク営業をやつておる、乗用車もやつておる。ほかのものが小型自動車でも願おうとすると、自分が独占であるかのように言つて、許すことを妨害しておる。特にトラツクのごときも、どういうことをそういう会社連中がやつておるかというと、現在は会社名でやつて、その実は営業権を貸し与えて金をとつておる。最近はタイヤなどは自由に入りますが、配給当時においては、営業者トラツクを持つておる者から配給のタイやを取上げて、高く横流しをしておる、こういう事実を私は知り過ぎるほど知つております。それでまじめな人間、しかも生産者——おそくなつたから、私は今年は言うまいと思つておりましたが、みかんや、くりのごときは、滯貨して腐つてしまう。くりのごときは、貯蔵しなければならぬ。農学を研究しない皆様にそんなことを申し上げますと、変になりますが、くりは時期がありまして、砂の中に貯蔵しないと腐る。虫がつかないようにしないといけない。みかんども、すぐいたんでしまう。あるいは品物が滯貨しておるから、自家用でやつておる人間連絡をして、生産者と合同の結果は、輸送会社へお願いしようとする、そういうことがあつても反対する。そういう連中が私の知つている範囲内にもあるから、全国には相当あろう。寒い寒いといつても、またすぐ暖かくなつてたけのこのごときが出て来る。たけのこなんかは、その日掘つて、その日に出さないと、目方においても非常に減ずることがあり、味においてもかわる、こういうようなことになつている。運賃問題も非常に重要であるが、こういう滯貨ということから、払うとか払わぬとかいう問題も、私は大いに起りはせぬかと思う。今後いずれ私は本省に参り、また皆さんのところに参りまして、総裁初めたくさんおえらい方がいらつしやるから、お伺いしてみたいと思いますけれども、この際そういうことも研究して、こういう運賃払い方がおそくならないような考慮をなさるお考えはないかということを、私はお伺いしたいのであります。事案、先日から公聴会のことについて、運輸大臣にもお願いしたが、何だか向うから取消すと言つて来たから、やめたいという運輸大臣お話もありましたが、私は多分公聴会の日にちを通知しなかつたと思う。私が東京にいるのに、自宅に手紙が行つておる。しかも営業者連中が質問したのに対して、通知がなかつたために、公聴会を棒に振つてしまつた思つて連中会社組織を取消したのではないかというような感じがいたします。そういう点について、全国においてどれくらいまで御調査になつているか、ちよつとお伺いしたいのであります。事実そのようなことがあつたら、それについては厳罰に処してもらうようにお願いいたします。
  12. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 ただいま自動車関係営業者について、いろいろ御注意がございました。私どもたいへん申訳ないのでありますが、仕事関係が、自動車関係仕事でございませんで、鉄道関係仕事をいたしております。ただいまお話のような問題がいかほどあるかということは、私からお答えすることはできないのでございます。こういうことにつきましては、運輸省といたしましても、自動車局の所管でございまして、その方で十分調査いたして、そういうことのないように努力いたしておると思うのであります。何分にもたくさんの業者のことでございますので、あるいは御指摘のような場合がないとも言われないのでございます。よろしく御趣旨のあるところを関係者に申し伝えまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思つておる次第でございます。この事案となつておりまするのは、国有鉄道、いわゆる公社でございますが、これがとるべき運賃をとらなかつたという事案でありますので、これには、ただいまお話の事情は、おそらく関係がないじやないか、またもしそういうものがあつたといたしましても、これは行政官庁の問題でございまして、国鉄といたしましては、できるだけ早く未払い分取立てるということに努力いたして参るということではなかろうかと思う次第であります。
  13. 高橋權六

    高橋(權)委員 今説明くださいましたような点もありますが、ただ私としては、バスの方もトラツク営業の方も、非常に目撃しておるのであります。たとえて言うならば、このあたりにはもう一路線お願いしてもいいだろうというようなところに、ある県会議員地方のボスとでもいうべき人間がずつと網を張つたようにして、そうして独占してやるというようなことになる。やはり決算において金をなるべく多くあげることが、国有鉄道でも目的じやないか。特にこのごろベース・アツプベース・アツプ皆さんおつしやるけれども、それだけ余分な金をとらなければ、ベース・アツプもしてあげられない。私はところによつてベース・ダウンといつて、下げた方がよいのではないか。——これはじようだんでありますが、昔から言つたように、ない袖は振れぬということで、ないものは出せない。今申し上げたように、あるところでは、表面は会社であつても、営業権を貸している。それでこれを売つてくれ、そうして自分営業させてくれというと、自動車だけ売りつけ、あと営業権を巻き上げるそのために仕事ができないで困つておる人もあります。現在そういうことを平気でやつておる。そういうことは、やはり国鉄決算関係することでありますから、今後においては、現在営業許可になつておる乗用車並びにトラツク営業者にして、そういう不正がありまして、私らが事実を調べて来て報告申し上げたら、いつそ営業停止にでもしてもらいたい。そうすれば、荷物、人間、どちらでも運んだものについて、こういう滯納のできないような方向になりはせぬかと思う。少し的がはずれるようであるけれども、こういうことは無視することができない。私の今申し上げたようなことをしておる人の名は、その人の名誉に関することだから、遠慮申し上げますが、実際あるところでは県会議員をしておる、ある方面では自動車について相当有力者とその仲間で見られる人がやつておる。うそだとは思いなさいますまいが、もしうそだというならば、どこそこにどういうことがあるということを申し上げます。これはやはり日本国有鉄道に影響することであります。それで今日は自動車関係の人がおいであそばさぬというが、先日から牛島自動車局長さんにもお願いして、公聴会もやつていただこうということにまでなつてつたのです。しかも、もう一つここにお伺いしたいのは、六月一日ごろに出た自動車取締り法規に対しての細則は、いつごろどういうふうにして出したのですか、それをひとつお伺いいたしたいと思います。     〔大上委員長代理退席委員長着席
  14. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 たいへん申訳ございませんが、自動車関係法規については、私承知しておりません。さつそくその担当の者と連絡をとりまして、至急お答えをいたすようにいたしたいと思います。
  15. 高橋權六

    高橋(權)委員 先日から公聴会をお願いしておるのに、その細則が二箇月あるいは三箇月してまちまちに出た。そのために、その細則を調べておるうちに、とうとう公聴会がフイになつたのではないかと思うのであります。今後もし陸運局でそういうことをやつた者があつたならば、これは金銭上のことのみならず、そういうことに関しても、厳重にやつてもらいたいのであります。どうぞ本省なり、また国有鉄道関係におきましても、今申し上げたようなことに対して、十分御注意、御研究をせられて、かつそういう営業権を貸与しておるような者があつたならば、いかなる有力者であつて政治家関係のある人間であつても、絶対その会社の権利を剥奪していただくようにお願いして、私はこの点についての質問をやめます。
  16. 大上司

    大上委員 本日は天坊総裁初め、三木さん、立花さん勢ぞろいでありますので二、三伺います。  まず批難事項の六三七号から、ただいま御説明のありました号までの各号に入る以前に、総合的にお尋ねしてみたい点がございます。  この昭和二十四年度決算検査報告書各省ごと、または政府関係機関等批難事項は、各公社のお方並びに石井政府委員もよくおわかりだろうと思うのですが、専売公社等におきましては報告番号六二六番から六三六番まで、すなわち約十件程度である。ところが、日本国有鉄道の方におきましては、六七三号以降約三十三件あるように存じます。一、二件の相違はあるかもしれませんが、大体三倍余りある。そこで、ただいま議題となつております各号の説明を受けた程度によりますと、その中には、もちろん戦後のいろいろな関係から、委託調弁品をしてやつたとか、あるいはその他いろいろな行政整理をしたと申しますか、人員交代でこういうような問題が起つたというふうな結論的な説明を受けたのでございます。そこでどういうふうなわけでこれだけ件数が多いのか。もちろん企業の客体、すなわちわれわれの考えでは、作業内容は、一応は了解せないこともないのですけれども、なぜこれだけ多いのか。同じくごの検査報告書の二三九ページ、第六章、出納職員に対する検定という事項におきましても、会計検査院で御報告なさつておられるものは、いわゆる有責任とか無責任というものは別といたしましても、四百五十六件というものを出しておられる。こういうふうな面から見ますると、何らか国鉄すなわち公社の方におきまして、この出納を扱つて行く人の教育方法を、一体どうしておるのか。それから何と申しますか、少しずさんなような感がするのです。そこでどういうふうなお取扱いを、事務的になさつておるか。なお会計検査院が調査なさる以前に、部内的に、自主的にどういう組織でこういうふうな当面の責任者教育なさつておられるか。教育なさつておられるならば、これに使われたところの経費いかんという点をお尋ねしたいと思います。
  17. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま議題に出されております事項で、特に鉄道関係して、いろいろ経費の使い方なり、あるいは収入金取立て方に関して、専売公社等に比べて、非常にたくさん件数をあげられておる。こうした点は、鉄道がふだんやつておる点で、いろいろ欠くるところがあるんじやないかという意味での御注意がございました。私どもといたしまして、その点はまことに申訳ないと存じておる次第であります。ただ、今御比較もございましたが、専売公社と比較しますと、何と申しますか、鉄道仕事の幅、あるいは事業の性質が非常に広い、しかもその仕事をやつております現場々々というものも、非常に面が広いし、種類の態様が多いという点がございまして、まあまあ非常に悪質なものを一番心配しておるわけでありますが、その他につきまして、特に御承知の終戦前後から、従事員素質も必ずしも昔のような優秀な者ばかりをかかえるということはできませんで、非常に素質は悪くなつて参つてつたのであります。この二十四年度という年には、先ほどもお話がございましたが、大体十万人近くの行政整理をやりまして、そのために、当時の初代の総裁はなくなつたというようなこともあつたような年でございます。そのころから、やつと国有鉄道のいろいろな意味での立直りが、やや本格的に軌道に乗つて参つたというふうに言える段階でございまして、その間に、いろいろとまことに申訳けいような事態が出ておりまして、御指摘を受けたという点、恐縮いたしておろ次第でございます。今申し上げました素質が必ずしも優秀でなかつた人たち使つてでありますが、その後、御承知通り新規採用ということをやつておりませんので、従つてその間に従事員素質を片方で再教育をやるというようなことで、教習所に入れる、そういうような方法で再教育をやつておるわけであります。しかしながら、まだ必ずしも十二分に参つておるという姿にもなつておりませんで、その間あとを切らずに次々とこういう問題が絶えないという点は、はなはだ申訳ないのであります。これらの点は、十分注意をいたしまして、悪質のものが起らないように、十分配慮いたしておるという点を、御了承願いたいのであります。
  18. 大上司

    大上委員 大体天坊総裁の御意見で、わかつたようなわからぬような点があるのであります。そこで今度は三木経理局長にお尋ねしたいと思います。まず批難事項の一項々々は別といたしましても、大きく考えて、鉄道会社の将来の運営上、またこの検査報告書に載つておる分だけに限定してもけつこうですが、財政法あるいは会計法上、いわゆる法律上の欠陥からこういう批難事項が出て来るというようなものがありはしないか。あれば、その具体的な報告番号内容をお聞かせ願いたいと思います。
  19. 三木正

    三木説明員 今度私どもで、企業経営をいたします上に、現在の法規でどうかというので、御研究を願いたいと思つておりますことは、何と申しますか、期末における欠損なり利益金の持越しが、決してできないというわけではないのでありますので、法規の欠陥とは申せないと思うのでありますが、普通の会社のように、たとえば今年非常に減収であつた、来年度も減収の見込みであるというような際には、どうしても予算の範囲内、あるいは収入の範囲内において事業を打切らなければならぬが、それを三月末日でびしつとやりますということについては、相当事業に無理が生ずるのではないか。あるいは増収気構えで年度末に来た。もちろん補正予算を願えるような時間が許しますようなときには、問題はないのでありますが、そういう時間もなく、増収気構えで来たときに、利益金が歳出予算で押えられ——弾力條項はございますが、十分の使用ができない。そういうときに、利益金で持ち越しますと、いろいろな方面から、その利益金の使途について、あるいはほんとうの健全な事業経営をやつて行くのに必要な措置がとりにくいんじやないかというような点が、一番心配だと思うのであります。この点は、私どもはよくわかりませんが、よく事情を申し上げて、大方の御研究を願わなければならぬと思いますが、現在、少くとも今議題になつております会計検査批難事項で、法規の不備——こういう法規があるから、こういう批難を受けたというようなものはございません。
  20. 菅家喜六

    ○菅家委員長 次は報告書百八十八ページ、報告番号六四七ないし六五一、工事費の積算当を得ないもの五件につき説明を求めます。立花施設局長。
  21. 立花次郎

    立花説明員 御説明申し上げます。六四七につきましては、信濃川の隧道工事の枕木は、三回使用ということになつておりますのに、その残存価値を認めないのはいけないじやないかということ。それからまた現場においでになりましたときに、枕木を板にしているのをごらんになつたというような問題。それから敦賀線衣掛隧道の同じような工事でございますが、そこでは残存価値を四〇%見ているが、これはおかしいじやないかという御推問なんでございます。枕木の使用という問題は、なかなか複雑でございまして、三回使用するのを原則といたしておるのでありますが、いろいろな事情で二回しか使用できぬ、一回しか使用できぬという場合もありますし、さらに四回も、五回も使用できるというような場合もございますが、大体三回を平均として予算を出しておる。たまたま現場で板にひいたというような問題につきましては、材料の入荷が悪いと、請負人は承知でございますけれども、みすみす仕事が遅れるのを恐れまして、そういう枕木をあえて板にひくという場合もあるのでございまして、一概に残存価値があるが板になつたのだというわけには行かぬのでございます。なお敦賀線の工事につきましては、隧道の区間が短かいために二回使用を原則としておりますので、残存価値を四〇%見ておつたのでございます。そういう事情でございますけれども、いずれにせよ、残存価値が全然ないというのは穏当でない、これは御指摘通りでありますので、今後は大いに見積り方について研究いたしたいと存じております。  次の六四八は、信濃川の水路隧道を掘鑿いたしますときに、その単価を契約いたしまして仕事しておりましたが、その当時は非常にインフレーシヨンのひどいときでありましたから、大体三箇月ぐらいに工事を切つて、単価をきめておつたのでございます。たまたま一箇月間二期を延長したのに一割だけ工事費を増して契約とたのでございますが、その場合に、設備費というものは前の工事で見ているので少くなるから、従つて一割増した工事の単価は下げるべきでないか、こういうように御推問になつておるのでございます。この件につきましては、実際問題として、私どもがああゆう二年なら二年かかる工事を契約いたしますときは、全体の工事をある請負人がやるとき——あの場合は十箇所の請負人にまかせたのでございますが、そのおのおのにつきまして、二箇年にわけて仮設備から何から一切入れまして、全体の量に、仮設備の使用考えまして単価をきめるのでございまして、これは非公式のものでございますが、インフレーシヨンのひどいときは三箇月ごとに切つて工事を出す、こういうようなことをしております。従つて、一割増額したのにすぐ単価が響かないのはおかしいじやないかというのは、少し実情と違うのでございますが、この場合’には特に事情がございまして、信濃川の工事は、中途におきまして、関係方面からのお話で、すべて今後国有鉄道は一般公開入札の手続をとらなければならぬということになりました。御承知のように、一般公開入札と申しますのは、一箇月くらいの余裕がないと、公告その他の期間がございまして、その次の契約ができない。従つて、その余裕を得るために一箇月間、大体一割でございますが、工事の設計変更をしたわけでございます。そういう場合に、もともと単価は全体に割りかかつておりますから、単価をかえる必要はない、こう思つてかえなかつた次第でございます。  六四九は大船の電車職場に、大きな鉄骨構造を二十四年につくつたのでありますが、この鉄骨構造の建設の単価が非常に高い、歩がかりが非常に多いじやないかという御推問になつているのであります。これにつきましては、多少普通の場合と違つた問題がございまして、名古屋にありました大きな飛行機工場、特に棟高が十九メートルあるというような大きな鉄骨構造のものを、連合軍専用車の改修工場として急いでやらなければならぬという場合だつたのであります。三十トンクレーンが二台も動くという大きなものでありまして、まだ二十四年の当初におきましては、そういう鉄骨工事を日本でするというようなことは、最初のことでございまして、従つて工事の性格や、また鉄材なんか統制で自由に買えないというような状態、それから非常に危険な作業であるというようなこと、労務者がよくなれておらないというようなことからしまして、われわれとして経費を十分見積つたのであります。後になつて考えますと、もう少し人夫の歩がかりが減らせたじやないかというので御批難を受けているわけであります。私どもといたしましては、当時の情勢から見まして、決して高いとは思つておりませんが、今後につきましては、世の中もすつかり治まつて、すべて自由になつたのでございますから、御指摘の点は、今後十分気をつけて進んで参りたい、こう思つている次第であります。  六五〇、これは福米線の電化に際しまして、赤岩駅というところに通過線をつくることになりまして、ちようど折返し——スヰツチ・バツクの駅でございましたから、電化によりまして、そごに機関車の吸引力がふえたので、通過線をつくるという軌道を主とした工事でございます。これにつきまして、やはり歩がかりが非常に多いじやないかというのが、御推問の点でございますが、この場所は、普通の場所と違いまして、ほとんど人家もないような山間の狭隘な区間でございまして、ラツクが通うわけではなし、すべて材料はモーターカーというような特殊なもので運ばなければならぬ。しかも非常に急勾配でございますから、材料の運搬その他につきましても、トロの運搬にいたしましても、すべて非常に人手がかかり、遠くから人間が通わなければならぬ。その上頻繁に列車の折返しがございますから、その合間々々を利用して行くということになりますので、勢い普通の何もない野原の工事と違いまして、歩がかりがよけいいるわけであります。さほどこの見積りが不当であつたとは私感じないのでありますが、今後につきましては、こういう点について十分注意いたしたいと存じております。  六五一、これは信濃川分水路橋梁の橋脚を工事いたしましたときの根掘りなどにつきまして、非常に歩がかりが多いじやないかという御推問になつております。ちようど当時ほかでやつておりました同種類の工事に比べまして、単価が高いというのが御推問の点なんでございますが、橋脚の工事というようなものは、深さの違い、従つて土どめの方法とか水の出る出ないというようなことで、非常に手数が違うのでございます。この場合は、多少ほかに比べまして深かつたという点が歩がかりが多かつた根本だと思うのでございます。  それで、もう一つ問題になりますのは、ちようど当時、この工事は指名競争入札であつたと思うのでございますが、先ほども申しましたように、一般公開入札をやるということになりまして、前後に非常にダンピングが行われた工事がたくさんあるのでございます。ダンピングを行われました工事の単価と比較いたしますれば、多少ごの工事は高くなつたという比較が出て来るわけでございますが、あの当時突然一般公開入札をやりまして、ほんの小さい請負人でも、あらゆる工事に参画できるとなつたダンピングの価格というものは、決して正常なものではないのでございまして、そういう点からしまして、比較してあながちこれが高いという批判は当らないのじやないかと思うのでございます。しかしながら、いずれにせよ、こういう工事の予算というものは、適正な価格と適正な歩合というものによつて見積るのが当然でございまして、今後はその点十分注意いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  22. 菅家喜六

    ○菅家委員長 会計検査院当局の御説明を願います。
  23. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 国鉄の最後に、将来注意するという点については、私どもの方も了承するのでございますが、一つ一つの問題を提起いたしましたいきさつを、多少ごごで御説明申し上げますと、六四七号、これは信濃川の発電工事の際の水路トンネルを掘るときに使いました坑木とか角材とか板材とかへいわゆる仮設材の償却をどう見たがよいかということを、私の方で取上げた問題であります。国鉄で計算しておられます償却法は、普通の一般の工事の場合は、坑木は大体三べん使えばただになるという見方をとられておりますが、信濃川の場合は、同一の箇所で七万石という坑木を使つたのでありまして、非常に莫大な坑木になつておりますし、その坑木も径が大体一尺内外でありまして、これを三べん使うと——大体平均三箇月になるのですが、三箇月使うと、あるいは多少損じたり、腐蝕をいたしたりいたしまして、頭の方とか底の方がくずれたり何かいたしますから、寸が足らなくなるのですが、三べん目にやはり使つておるということはそれでもう全然使えなくなるという問題ではなくて、三べん使つたあとでも、なお板や角材がとれるだけの物理的な性状を持つておりはしないか。それからまた、現場には製材の施設があつて、その原木から板及び角材をとつておるのだから、従つてよそに持つてつてとやかくするのではなしに、現場に製材施設があるのだから、三べん使つた丸太でも、とにかくそこで製材及び板にするだけの経済的な価値はあるじやないか。七万石の原木がそこで無価値になつて、まきに燃やしたというわけのものではない。従つてかような非常な莫大な数量であるということと、製材施設があるということと、なお板にひいたり、角板にして使えるという場所があるということになれば、三べん使つてただだという見方は、どうも甘過ぎはしないかという——これは私の方の今までに検査院としてやつたあれではないのですが、そういう見方も立つではないか。国鉄でも、もちろんその点は支保工としては使用価値はないと認めた。しかし量は別として残存価値は皆無じやないので、今後の旦積りについては研究するというお返事でございますので、私の方もこれについては将来改まつて行くであろうということを考えて、私どもの新しきものの見方で出しました意図は到達したわけでございます。ただ衣掛隧道の四〇%の場合は、私の方が仮計算で引用した数字でありまして、絶対的なこれが残存価値の数字だというわけではありませんで、ただ普通の丸太棒から製材したものは六〇%だが、これは使つてしまつた後の原木だからまあ四〇%ぐらいに見れるのじやないかという仮計算で見て行くと、どんなものになるだろうという勘定をとつて、また衣掛隧道のそういつたものとひつかけたあれでございます。  それから六四八号の、追加工事の問題なんですが、これも多少いきさつがありまして、信濃川の隧道工事で、追加工事の単価が、前の工事の単価と同じ単価であるのは、ちよつと変じやないかという問題なんです。国鉄の方では、検査院に対する説明が、現場の職員の説明と、本庁における考え方と違つてつたといういきさつはあるのでありますが、とにかく国鉄の方では、単価が同一だというのは、要するに全工事に必要な直接費、間接費を合算した総工費を、全工事量で割つて平均単価になつておるから、問題ないじやないか、追加工事であろうと本工事であろうと同じ単価でよろしい、こういうお答えであります。そういう計算の仕方であることは、ごもつともだと思うのでありますが、私の方で工事費の方の間接費だけをとつてみると、全工事に必要な間接経費を、全工事量で割つてあるとは、どうも見かねるという問題なのであります。少しい貸さつを申し上げぬとわからないのですが、要するに本院では、工事の現場を検査いたしましたときの印象では、どうも前の方の工事の工事費の中に積算してある間接経費がまかなえる部分がある、こういう印象を得ました。そうすると、あとの追加工事の分はただになつて、前の仮設費で見られておるのだから、その部分はいらぬじやないかという見方を、私の方ではとつておるのであります。それでは仮設費だけじやなくて、機械器具の運搬の費用も同じことではないかということで、そのただになつたものを、あとになつて金を払つている要素がありはしないかという注意をいたしたのです。——鉄道の現場の方の話で恐縮なんですが、現場の方では、工事量が非常に少いから、影響はないと思つてつたのでありますが、そういえばそうもいわれますというので、批難を出したのです。ところが国鉄本省の方では、そうではなかつた。現場のそういう考えは誤解であつた。全工事量で全経費を割つた単価でやらせたんだ、こういう報告です。そこで私がこれから申し上げるのは、この検査報告には書いてないのですが、それでは全工事に必要な間接費の総経費と全経費と全工事量をどう見たか、その割算の資料を出してほしいということを申し上げて、それでなるほどということになれば、私の方も現場で錯覚をした、また錯覚をさせられたということになつて、私どもはやむを得ぬ、これは私の方の手落ちだ、こう考えようということで、基礎資料を出してほしいということを申し上げたわけでありますが、それが出て来ないのであります。従つて、それでは私の方としても全工事量で割つて間違いのない単価だという確認がついておりません。それから第一工区だけの計算をいたしてみますと、国鉄が最初に計算されました全設計工事量と、実際におやりになりました工事数量を見ますと、実際にやりました工事数量が多いことになる。多いことになると、平均単価でやられましたものが割高になるという勘定になるのでありまして、工事量が設計工事量と違つて参りますれば、当時の算式のうちの数字の入れ違いを来すので、当然改算の上減額をするという措置をとらなければならぬ。これは論理的な結論になるわけでありますが、その点がこの案ではまだやられていない、私の方ではこういう感じを持つておるわけであります。  それから六四九号の問題は、これは電車職場の建設工事なんですが、総体七千万円の工事のうち分割された。これは鉄骨の加工、建方の工事で、どうも少し高過ぎるという感じを持ちまして、点検いたしてみますと、国鉄では鉄骨工その他の人工を一トン当り二十八人六と見ておられるのでありますが、本院ではどう勘定してもこれは二十六人で十分だ。それから労務賃が一人当り五百十六円お出しになつておられますが、五百十六円の根拠がない。それからまた別に平米当り千三百円のびよう打ち作業費、その他の経費を見込んでおられますが、これも理由がないではないかという感じを持つたのであります。そこで第一の二十八人六の話でありますが、大体国鉄で二十八人六とおとりになりました中には、これには四百五十トンのうち、二百トンは古鉄材を使つたので、この古鉄材のゆがみ直しをやるとか、穴埋めに二人はいるのだという計算をおとりになつておられるのですが、私の方では二人を入れまして、一応基本的、原則的には、トン当りは合計二十人になる。しかしマル公賃金の人夫じやよう働かぬ、大体戦前の七割ぐらいしか働かぬので、二十人を七割で割つた二十八人六というところがトン当りとしていいのだ、こういうお勘定をなさつたわけであります。そこの基本の二十人という数字が、はたして妥当であるかどうかという点になりますと、今申し上げました古鉄材を使うので、ゆがみ直し等に人間がいるというのですが、四百五十トン使いましたうちの古鉄材というのは、二百トンなのであります。それを全体の四百五十トンにかけて行くということは、事実に合致しませんし、また別の契約で二百万円をかけて、古鉄材は選別及びさび落しその他の工事をすでにやらせた鉄材でありますので、これについてさような要素を重複してお勘定になるということは、理論的に不備があるのではないかという考え方を持つておるのであります。  そこでなお申し上げますと、鉄骨一トン当りどれくらいいるのか。それが標準のものさしになるものであろうかと考えてみますと、大体大蔵省の営繕管財局の古い資料によりますと、戦前は十三・一人いるというのが大体の普通の見方であります。戦後では東大の工学部の先生の桜井という人の建築労務という害物を見ますと、トン当り二十人三になつておるので、今、国鉄が、二十人になるが、戦前の人夫に比べて七割ぐらいしか働かぬから二十八人にしたのだとおつしやる。要するに七割しか働かぬというのは、営繕管財局が十三人、戦後は二十人ぐらいいるということになりますと、七割ぐらいしか働かないというので、それも一理あるのでございますが、大体七割ぐらいしか働かぬという要素を見て二十人だというのが、普通のものさしになつておるのであります。そこで私の方も、この工事は非常に工期を急ぐとか、冬期にかかるとか、いろいろな要素がありますので、二十人ではやはり無理だろう。三割増しの二十六人に見たら、まあ無理がなくなつて行けるのではないだろうかというので、人工の見方はそういうふうに見ております。  また労務賃の五百十六円というのは、これは国鉄の方は、頭数の方で非能率の点を計算に入れてあるのですから、賃金はマル公計算の、いわゆる鉄骨工四百四十円、とび工三百二十五円、雑人夫二百九十七円という計算でいいはずです。頭数の方で非能率を入れてあるのですから、賃金はそういう賃金計算をしてもいいのではないかと思うのですが、全部の二十八の人工について、鉄骨工以上の五百十六円を見られておるのはどうも高過ぎる。それからびよう打ち作業は、今の人工の二十六人の中に勘定に入るのが普通世間の通り相場になつている。要するに総体的に工期を急いだりいろいろなことがあつて、非常に早くやらす、急いでやらせるという点に、少し要素を重くお考えになつてこういうことになつたのではなかろうか。私の方で山辺発電所あたりの工事を見ると、大体似たり寄つたりで、私の方で勘定したもので大体できているということでありまして、国鉄内における一つのものさしを当ててみても、やはりそうではないかということで、この点についても高過ぎるという印象は、のかないのであります。  それから六五〇号の問題は、これもやはり随意契約でありますが、総体として材料費、労務費、労働諸役務費のうちで、特に労務費の計算が高いのであります。工事の性質は、ただいま申しましたように、スイツチ・バツクのところを盛り土をして、直線軌條を敷けるようにするために、いろいろ土どめをやつたり、切りとり盛り土をやる、石の落ちるのをとめたり、土どめ石垣をやつたり、側溝ということで、その部分だけ切り離してみますと、いずれもこれは普通の土工工事であります。ただ列車の待ちの関係がありますので、私の方で大体普通いる、国鉄の持つておられる標準歩がかりに二割の手間賃を加えればできるのではないかということで見当をつけて検査をしたのでありますが、大体私の方は、五千五百人くらいあればいいのではないか。それに対して一万六千人の人夫を見ておられるので、大体三倍ぐらいになるのですが、これはどうも多過ぎるという印象はのかないのであります。現場で非常に熱心にやられた方には、気の毒なんですが、現場で研究するために、実績の出づら、歩がかりをきちんと整理されている人の資料を見ますと、大体やはり五百五十人というのが実績になつておるのであります。国鉄は、これは部外に対して権威を持つものではないので、部内のほんとうの職員の勉強の資料として持つておるものだというお話ではありますが、私の方で大体見当をつけました程度でできるのだという、当らずといえども遠からずという程度ではないかというふうな感じを持つております。  それから六五一号でありますが、これは国鉄の方では、橋脚の掘られるのを、箱わしく式の考え方で工事をされるように、いろいろ計算になつておりますが、私の方はこれは矢板を打込んでやつた方が安くつくではないか、素掘りをして箱わくを詰めて、それから土をとつて箱わくをぐんぐん沈めて行くという方法よりも、多少の素掘りはいりますが、鉄矢板を打込んでやつた方が、人工の関係、時間の関係からいつて、非常に安くつきはしないか。まあいろいろなやり方がありましようが、私の方はそう考えたのです。はなはだ卑近な例で恐縮なんですが、弁当を食べるときに、お膳に一つずつのせて食べて行けば、同じ材料でも高くつく弁当で込めて食えば安くつくというふうな、ざつくばらんな話では、そういうところではないかと思うのでありまして、矢板工でやるとすればこういうことで勘定が合いはしないか。ことに、あとで同じ條件の橋脚を新設いたしましたときに、請負に出しましたのは、非常に安く出しましたのです。それはさつきお話になりましたように、ダンピングのためもありましようが、その工事も、やはり請負人が工事経費を安くあげるために、矢板を打つてつておるということで、いろいろなやり方はあるのであろうが、節約するというやり方で行けば、矢板工で、私の方の見ました計算でできるのではないかという考え方でありまして、いずれも多少国鉄のやつております工事に汚して、私の方の見方が今までの普通の行き方でなしに、ちよつと見方をかえた検査報告になつておりますので、国鉄では一生懸命やつておられますが、こういう見方をすればこういうことになるという要素が入つておりますので、多少その点で、国鉄で一生懸命やつておられる方にはお気の毒だと思われるような点も批難の中にありますが、こういう新しい一つの見方で厳格に締めて行くという要素も、検査院としては必要ではないかということで、あえて提案いたした次第であります。
  24. 菅家喜六

    ○菅家委員長 質疑を許します。
  25. 大上司

    大上委員 お尋ね申し上げたいと思います。まずただいま議題となりました原案につきましては、それぞれ公社または会計検査院から御説明がありましたが、結論的には、ただいま山名第三局長がおつしやいましたように、本批難事項はやや趣を異にしておる、こういうような補足説明は十分承知をしたのですが、そこでまず第一に、この六四七号の批難事項ですが、これについては「本契約は約二千二百万円を節減し得たこととなる。」次が「約三百九十万円は新単価設定により節減し得たものである。」その次の報告によりますと、「結局本件工事費は約千三百万円過大に積算されたものである。」六五○号におきましては「約二百万円は節減し得た計算となる。」その次の六五一におきましては、いわゆる公社の方の見積りにおきましては、五百七十八万二千円、会計検査院の詳細なる工事種類、数量、単価等から見ますと、通常約四百万円程度契約ができた工事と認められる、そのギヤツプ約百七十八万円は節減し得た。そこで一番われわれが問題にすると同時に、追究しなければならぬ点は、もちろんただいま立花さんの御説明の中に、特に六四九の説明の際に、当時の世相、当時の社会的な情勢から、高いとは思わないという発言があつたのです。そうなりますと、あるいはこの公社のお方の主観的な見方が相当入つておる。だが一々会計検査院の山名さんの御説明を聞くと、国民はしごくもつともという結論を受けて、どうも計算上ずさんな面があるように思われます。そこで一番の問題となるのは、この検査報告に対する、国会に対する説明書が出ておりますが、そのページの各項を見ておりますと、特に本件について、さらに反省したような点が見受けられない。いわゆる六四七号の報告の回答文書を見ますと、結論的に言いますと「今後見積り方については研究する。」六四八号につきましては、その記述は「事実は前記の通りである。」という算式を出しておられます。それから六四九におきましても、「会計検査院指摘の点については十分注意する。」こういうように出ておるのです。そこでわれわれが国民として一番悩む点は、なるほど時代というものはよく了解でき得るけれども、どうも見積り方がずさんであるのじやなかろうか。どのような見積り方をしておられたのか。なお、そのきめ手じやないけれども、問題として特にお尋ねしてみたいのは、いわゆる六四八号ですか、この件については、まだ現場と本庁との意見の食違いもあり、さいぜん山名さんの御説明なかつた間接費の二重の問題、生きる生きぬの問題ですが、まだ資料が提出されておらぬという御発言がありましたが、なぜそれをお出しにならないか、この点をやます立花施設局長にお尋ねいたします。
  26. 立花次郎

    立花説明員 全体の予算の立て方の問題でございますが、私どもといたしましては、従来からいろいろな種類の工事につきまして、適正な歩がかりというものをきめております。特有のいろいろな工事につきまして、その難易を勘案いたしまして、それを適当にきめる。そして競争入札にいたしますと、請負人が自分の方の手積りあるいは順序その他を考えまして、高く入れるものもあれば、安く入れるものもある、こういうようにして大体価格がきまるというようになつておるのでございます、土木工事は、とかく地質とか湧水の状態とかその他によつて、非常に影響を受けるのでございまして、純粋の建築工事のように、人工で行きましたすべての仮定の上に、秩序正しくやれる工事とは大分違うのでございまして、そういう点について会計検査院のお考えと少し見解が違うのじやないかという点は、われわれも考えておるのでございます。  それから、あとの六四八号の説明書を出さぬ、こういうことでございますが、私は存じておらないのでありまして、もし出しておらぬといたしますれば、まだ遅れておるのじやなかろうかと考えるのでございます。
  27. 大上司

    大上委員 早急に取調べていただきます。この資料が一番問題のように私は考える。すなわち重ねて申し上げますが、会計検査院公社との主観的な考え方が相当出ておる。特に山名さんが補足的な御説明までなさつたのだから、その資料によつて、大体この議題となつておる工事費の積算当を得ないものに該当するのじやないか。早急にこれを出していただかなければ、審議が進められぬように思います。  そこで委員長にお願いいたします。本項につきましては、しばらく留保させていただきたいと思います。資料が出てから後詳細に聞きたいと思います。
  28. 菅家喜六

    ○菅家委員長 公社の方にちよつとお尋ねしますが、先ほど検査院から発言がありましたように、資料の提出がなかつた、その点何かおわかりになる方が見えておりませんか。もし資料の提出がないとすれば、今大上委員の言われる通り、これは留保してこの次に質疑を続行することにいたしますが…。     (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 菅家喜六

    ○菅家委員長 それではただいまのは留保いたしまして、この次に質疑を続行いたしたいと思います。  次に報告書百九十三ページ、物件、報告番号六五二ないし六六〇、物品の調達に当り処置当を得ないもの等、物品関係批難された事項九件を一括して説明を求めます。
  30. 三木正

    三木説明員 六五二番の被服——制帽のひさしを、紙製のものをやめて皮製のものをつけたというのでございますが、これは御指摘通りでありまして、買いましたのは、二十三年の暮れに、二十四年度に所要しまするいろいろな事業計画から考えまして、どういうものがいるかという大数を定めまして、現在の手持ちのものが幾らあるので、それからそれを差引いてまだ年度末に幾ら持ち越さなければならないから、来年度中に幾ら買う、こういうような計画を準備計画と申しております。そういうふうに物の大約の数量を計画いたすのでありますが、その計画をした当時は、二十三年の暮でございまして、ちようど承知通り、まだ皮革の事情が非常に悪くて、割当等も不十分でございまして、皮のひさしがもらえないというので、代用の紙のひさしでやるつもりで、しかもその数量も足りないので、これだけの代用品を注文したのでございます。ところが、その後割当が多数に参りまして、紙のものは非常に悪い、皮の割当があつたならば、それでやるのがいいということで、それをとりました。さらに在庫数の調査の粗漏な点がございまして、実際あつたものが、二十三年の暮において、ないと報告されたために、余分のものを準備した、こういうような不手ぎわをしでかしたのでございます。まことにだらしのない話でございますが、それでも紙製のものを使いますよりは、皮製のものを使つて従事員の割帽として十分耐用できるものを使うのがいいというので、紙製のものはそのまま使用いたしませず、目下それを売り払いたい、こういうようなことを考えておるような次第でございます。  六五三番の、自動列車停止装置といいますのは、昭和十八年の一月に、その当時運転事故が非常にたくさんございまして、特に重大な列車の追突であるとかいうような事故も相当ありまして、線路が悪い、車輌が悪い、あるいは従事員の訓練が不十分だというようなことで、非常に重大な事故がございました。オートマテイツク・トレーン・ストツパーという非常に簡単な設備でございますが、そういうものを装置しまして、先方に列車が来た場合には、非常のアラーム、ベルが鳴りまして、機関士に注意をして、列車をとめる。こういうようなものをつけたいというので、そういう部分品を買つたのでございますが、関係方面から十分精度のいい、性能のいい装置でないから、こういうものはつてはいけないというようなことを言われましたし、事実それは考えようによりましては、それにたよつて機関士の注意義務が減るというようなことも考えられますし、それやこれやの事情で、とうとうこれを使用しないというので、しかも、これを買います場合には非常に高いものになりますのに、不用になつて売ります場合には、全然ほかには使いものにならぬ特殊なものでございますために、非常に安く、スクラツプとして売つたような次第でございます。  六五四番は、注文しまして、品物が入つておらないのに、製品が納められたものとして、契約金額を全部払つてしまつて、しかも払つたあとにおいても、なお納入されていないという次第でございます。これはもう言い訳のしようがございません。その後未納入のものにつきましては、金を取立てるごとにいたしまして、取立てておるのでございますが、なお七十二万六千円ばかり残つております。そしてこういう不手ぎわをいたしました職員並びにそういう職員を監督しておる者に対しては、それぞれ処分をいたしました。  六五五番の耐電ゴム長ぐつが、品物が粗悪であつて、不適格品が相当数出た、こういう事案でございます。これもこの通りでございますが、御承知通り、耐電ゴム長ぐつと言いますのは、メーカーが指定されております。そしてその指定業者がちやんと試験をいたしまして、合格品であるというレツテルを張つたものでなければ、販売できないことになつております。それで、これは人命にも関するものでございまして、通産省におきましても、そういう厳重な取締りをいたしてあるわけでございますが、そういう関係上、検収に粗漏がございました。もちろん適格品であるという商標が張つてあること、その商標で通産省指定の業者であることは確認した。ところが、その指定の試験をいたしてなかつたのでございます。これは、もちろんそういう商標の関係もございますが、すぐ人命に関するものでございますから、使用場所においては必ず試験をすることにいたしております。用品庫の試験だけでなしに、その製造当時においてはいいものでありましても、時間がたつてそうして変質を来して、絶縁状態が悪くなるという場合もございますので、新品、旧品にかかわらず、使用の前には一定の時間ごとに試験をいたすことにいたしておりますが、その試験の際に、これが不良であるということがわかつて、これは全然別の耐酸性のゴム長ぐつが、間違つてそういう商標を張られた、こういうことであつたので、現場では試験することにはなつておりますけれども、人命にも関する重要な品物でありますから、今後こういうことのないように厳重に注意をいたします。  六五六番は、転轍用の密着調節桿B三三〇——Bを、これが不用品だというので売り渡したものでございます。これはまつたくなつていないのでありまして、御承知通り二十三年末は非常な大量の貯蔵品を持越したのでございます。それは、一番主力は、二十三年の追加予算として、工事勘定、さらにまた損益勘定におきましても、追加予算を出していただくつもりで、物品の計画を多分にいたしておつたのでございますが、二十三年の暮れ、御承知通りドツジ氏が来朝されまして、それから経済九原則ということになりまして、均衡予算を組む。国有鉄道も収支均衡をとれ、一切借入金、繰入金等まかりならぬということで、追加予算も全額二十五億くらい、修繕費で二十五億、計五十億くらいのものが、大体事務的には打合せができておつたものが、全部なくなりまして、それで相当多額の貯蔵品を持ち越すことになつたのであります。その貯蔵品の残高を減らさなければなりませんので、不用のものを売り払うというので、関係の者が寄りまして、そういう委員会をつくりまして、それぞれ不用のものと有用のものと選別いたしたのであります。そのときにこの転轍桿の部分品が、二つの部分からなつておるものを、一つと考えないで、その部分部分と考えましたために、非常にたくさんの品物の選別をやつて、この分がだれも気がつかないで不用品ということになつて払いしてしまつたような次第でございます。  それから六五七番の仮渡しになつておりますものは、これは終戦後、軍から預かりました特殊物件でございます。御承知通り、これを国有鉄道が保管を受けまして、何か有用な財源に、必要な方面に使うというので、それを各メーカーにわけたのでありますが、そのうち非常に支出を急ぎましたのと、搬出を急がれましたために、契約関係を十分にしないで、仮渡しをしたものが相当あるのでございます。いいものは、すぐ契約ができたのでありますが、使いにくい品物等につきましては、その代価等について、なかなか話がまとまりませんで、こういう御批難を受けたのでございますが、現在におきましては大部分が処理済みでございまして、未契約のものは五十四万九千円になつております。  それから六五八番、外地向けの機関車を、売渡し契約をせず未処理のままになつておるということ——これは戦争末期におきまして、大陸において使います機関車は、はとんど全部が内地において製作されておつたのでございますが、それが戦争に負けまして、もちろん大陸には使えません。それで始末に困つてつたわけでありますが、御承知通りソ連が樺太を占領いたしまして、それから車輌の注文が相当なつたのでございます。それでいろいろ規格がありますが、ソ連向けとしてこれが売れないかというので、種々折衝をいたしておつたのでありますが、ソ連の注文のものには、相当の手直しをしなければなりませんので、なかなかその価格の点について話の折合いがつきませんでしたために、契約が非常に遅れて、二十五年の十月十九日にようやく売買契約ができた、こういう次第でございます。  六五九番の、鹿児島管理部で、仮払いを受け、使用しながら貯蔵品のままとなつて、帳簿の上では貯蔵品でありながら、実際は仮払い使つておるという御批難でございます。これははなはだ申訳ないのでございますが、現場における会計検査院検査官に対する説明が間違つておりましたために、こういう不行届きなこをいたしたので、実際は使用いたしておりませんで、貯蔵品で持つてつたのであります。それをそういううそをつきまして——なぜそういうことを言つたのかというと、仮払いだと言つておくと、予算がもらえるだろうと思つてつた、こういうのでありますが、そういういきさつで、実際は貯蔵品で、その後使用いたしました際には、それぞれ決算をいたしております。  それから六六〇番の現品が帳簿と符合しないもの——たなおろしをいたしました際の結果についてでございますが、二十五年の六月に、貯蔵品全般にわたりまして、大がかりなたなおろしをやりました。その結果不足額が三億四千四百万円ございますが、そのうちに毀損額が百万円ばかりございます。それから処分減額——長年貯蔵中に異質、品質の変改を来したり、中には不良品を買い受けたために、実際帳簿上の記載がないものもあると思いますが、とにかく現実にたなおろしをいたしまして、現在見積りをいたしますと、簿価よりもこれだけ低くしなければならぬとするものが二億五千五百四十三万二千円でございます。それからさらに評価損といたしまして、市場価格の変動によつて評価損に立ちますものが二千百万円ございまして、現実にそれはそれぞれ原因がわかつておるものでございます。それから現実に物がない、保管中になくなつてしまつたというのが六千五百八十七万三千円ございます。これにつきましては、一品ごとに現在亡失の検定をいたして、保管の責任が完全であつたか、あるいは注意を怠つたのであるか、有責、無責を検定中でございます。それから過剰額の五千九百万何がしの中には、評価益が三百九十二万九千円ございまして、実際の過剰品の金額は五千五百二十六万二千円でございます。これは正式に貯蔵品に購入受入れ手続をいたしております。
  31. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 六五九号だけについて、ちよつと補足申し上げておきますが、六五九は、ただいま経理局長からお話がありましたように、現場で現実に使つていないのに、使つていることになつているという説明がありましたが、使つておれば、これは決算にしなければならないんじやないか、貯蔵品であるのはおかしいということでここにあげたのであります。現実に使う、使わぬという物理的な問題を問題にするよりも、もう一歩さかのぼつて考えますと、鹿児島管理部で、この問題になつておりました場所は、保線区や保線区分という使用現場でございますので、使用現場には大体事業品が置かれてあるのがほんとうなんで、貯蔵品に関する物品会計官吏は、使用現場にはいないはずだということになると、現実に物理的に使つている、使つていないにかからず、かような現場にある物品は、事業品として現実に決算されていなければいかぬではないかという問題になるのでございまして、物理的な使用関係は、私の方としては少しこだわつたような書き方をいたしておりますが、使用現場にある物品については事業品で決算すべし、事業品で決算するのに不適当な過剰貯蔵品であるならば、すみやかに貯蔵品として売りもどし措置をとるべしという考え方が裏にあるわけで、そこに六五九号というものが新しい意味合いを持つことになるわけでありまして「使用していながら」という書き方を私の方でいたしましたので、ただいまのお話では、現隻に使用していないとおつしやるのでしようが、現実に使用していないとすれば、貯蔵品の物品会計官吏がいない現場に貯蔵品があるのはおかしいという議論で、やはり六五九号の意味合いがあるのではないかと思うのであります。
  32. 高橋權六

    高橋(權)委員 六五三の問題でありますが、——まだほかにもありますが、第一にそれをお伺いします。京三製作所からコード受信器外一点三百三十個を代価六百二十四万二千円で購入したものを、使用もしないままに死蔵して置いて、結局同じ製作所に十七万五千円で売つたというように、——これは活字の誤りかもしれませんが、私にはそう見えるのでありますが、こんなに大きな損害で売らなければならなかつたのですか。また、どうしてこういう使われないようなものを購入したのか、その点ちよつと伺いたいのであります。
  33. 三木正

    三木説明員 これは先ほども説明を申し上げました通り、列車の追突防止という何でありまして、ほとんど国有鉄道で使う以外には、使い場所のない品物でありますために、誤つて購入してそれを使いません場合には、非常に安い値段でしか引取手がない。競争入札で売却したのでございますけれども、これだけにしか売れなかつた、こういうことでございます。
  34. 高橋權六

    高橋(權)委員 そういう外に使えないような品物であつたならば、なおさら十分に調査して買うべきものであると思う。われわれ国民は、非常に納税に苦しんでおる。ただ官公吏のみが、ベース・アツプベース・アツプといつて騒ぐものじやないと思う。私らは国民の代表である以上、そういうおそまつなことに金を——しかもこの計算によりますと、購入価格が六百二十四万二千円であつて、それが売渡し価格は十七万五千円、損害は六百六万七千円からになる。口では言いますけれども、六百万円というような金は大金である。国から見れば、すずめの涙しかないかもしれないが、一個人から見ると貴重なる金であると思う。至るところ、人命を落しているのは、この金のためである。また犯罪を起すのも、この金のためである。先日ある会社のごときは——このある会社というのは、丸善だと思うが、その課長さんのごときは、部下が不当な金を使つてつたために、その責任を感じて、それを自分が少しく補填したけども、どうしても俸給の中からそれを支出することができない結果、自殺したということまでも新聞紙上に載つてつた。こういう際に、こういう多額の金がおそまつにされるということは、私は許すべからざることだと思う。ただこれはこうだつたという一片のごあいさつでは、どうも私に聞捨てならぬ。こんなに安く売らなければならない品物であれば、なぜ最初にもう少し研究しなかつたか。これがどうも私にはふに落ちません。
  35. 菅家喜六

    ○菅家委員長 今の高橋委員の質問に、委員長からも附加して、同時にお答えを願いたいのですが、今高橋委員お話通りであつて、まことに簡単にただ結末をつけておるようでございます。国鉄決算検査報告に関する関係者処分調書を見ますと、六五三は、全部がただ単なる注意の処分のようであります。かかる事柄は、やはり国民全体として、こういうものが出ますと非常なる疑いを持つ、あるいはこれは刑事上の訴追を受くべき事件でなかつたかという感じを深めるのであります。この種のことはよく各官庁にあるのでありまして、このために不正事件も起きております。刑事上の訴追を受けて、すでに検挙されておる者もあるのであります。こういう会計検査院批難事項でありますが、これに対して各官庁で処分が軽過ぎるきらいがある。私どもは、決して全部を重く処分せよというのではないけれども、将来のことを思うと、ただ一片の注意だと、必ずまたこういう批難事項が出て参りまして、あとが絶えないことになります。これはどういう考え——当時の電気局長は西村君のようでございますが、どうも私どもは、ただいまの経理局長の御答弁だけでは納得が行きかねる。ただどうもやむを得なかつたのであつて、努力はしてみたけども、それだけしか売れなかつたと言えばそれまででありますが、ただそれだけでは、これは了承ができないし、処分も軽いと私ども思うので、高橋委員の質問に関連して、それだけのことを国鉄当局から御説明を願いたいと思います。
  36. 天坊裕彦

    天坊説明員 速記をとめていただきたいと思います。
  37. 菅家喜六

    ○菅家委員長 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  38. 菅家喜六

    ○菅家委員長 速記を始めます。  本六五三号に対しましては、後刻の委員会において、公社よりの資料到達の際に質問を続行いたすことにしまして、本日は留保いたします。  その他の項目に対して御質疑がありますれば……。
  39. 高橋權六

    高橋(權)委員 六五五号の問題でありますが、これは東協ゴム履物販売株式会社外一名としてあつて、それで耐電ゴム長ぐつ、こうしてありまして、このプリントによつて見ますと、不適格品が千二百二十七点もあつたあとから千百十九点交換されている、こうなつておる。しかしまだ依然として悪いものが百八足残つておる、こうなつておる。物品の上から考えると、これは何でもないことでありますが、しかし人命は貴重なものであります。ベース・アツプ以上に、この人命の方は貴重であります。しかも感電しないように、水の中にも入つてはかなければならぬ長ぐつであります。水というものは電気を伝えることの非常に強いものであります。もし不幸にして現業員が感電死したならばどういうことになるか。第一に、その遺家族に対しての損害賠償なんか、たくさんの人間でももし死んだ場合には、訴えられるようなことになる。こういう大切なものだ。ただ長ぐつだからといつて、私はこれを軽視することはできない。こういうことから考えて、こういう納入をする場合には、よく調査した上で受取るべきものである。そのときには調査しないで、あとからこういう不適格品があつたというのは、私はこれもはなはだ軽率ではないかと思う。まして日本国において——私はその会社から一文も金をもらつたこともないから、そのたいこを持つわけではないが、日本ゴムとか日華ゴムというような優良な会社が、日本国にあるわけであります。そういうところの会社の品物を購入すれば、こういうことは私はなかつたのじやないかと思う。私不幸にしてこの会社の名を、このプリントによつて初めて見たぐらいのことであります。こういうことは、現品をなぜ調査しないで受取つたか、調べるときにわからなかつたか、調べたか、この点をひとつ伺いたいのであります。最も大切な人命に関することだから、どなたかその関係者から、詳しいところの御説明をお願いいたします。
  40. 三木正

    三木説明員 先ほども説明申し上げました通り業者の方におきましても、検査は非常に厳重にやつておられますし、また納入の場合にも検査をいたします。さらに使用のたびごとに絶縁度を検査して、それから使用するというふうにいたしまして、そういう不詳事故が生じないように手配いたしております。ただ千百十九足とりかえて、差額が残つておると検査院の御報告にはなつておりますが、ちようどこの御調査になりましたのは、八月でありまして、その後全部不良品はとりかえまして、そういうものはなくなつております。これは収集その他で、一部がとりかえ未済になつてつたものでありまして、その後全部適格品にとりかえております。
  41. 菅家喜六

    ○菅家委員長 高橋委員に申し上げますが、なるべくベース・アツプや何かそういう問題は、本問題に関係ございませんから、そういう問題に触れないで御質問願いたいと思います。
  42. 高橋權六

    高橋(權)委員 しかしながら、一番大切な人命のことです。あとからこれが発見されたからいいけれども、もし一ぺんにはいて、水の中に入つて工事しなければならない場合に、漏電しておつて感電死したならどうするかということを私は思う。最も大切なのは人命だ。それをあとから交換したというが、もしこれを全部その場で使用しなければならぬという——今日はルース台風みたいにゆつくりゆつくりルーズにやつて来たかしらぬが、そういう災害でもあつた場合には、一ぺんにこのくつを使用して、もし不幸にして検査が不徹底であつたために、百人なり二百人なり死んだならば、また千人も死んだならどうするかということを、人の子の親として、またその子として考えたときには、私は最も大切なことで、ただ千足あまりの長ぐつだということで済まないから伺つておる。あとから交換したとおつしやればそれで済むが、不幸にしてそういうことがあつたらどうするかということを考えて、今後こういうことに注意していただきたいのであります。  それから六五六号、この記事によつて見ますと、これまた桿の払い下げをしております。これは使えないものだど思つて払い下げた。購入する際には百九十一万七千百一円という購入価格であつた。それを払い下げたときの売り払い価格は四万三千七百四十六円、すると損害額は百八十七万三千三百五十五円になつておる。あとでこれは使えないものだと思つて払い下げたというこの記事も、私はあまりにも無責任きわまるものじやないかと思う。当局者はどういう考えであられるか、どうも幹部としても、頭がどうかなつていはしないかと思う。これもあまり損害が大きいから、ちよつとお伺いする。
  43. 三木正

    三木説明員 先ほども申し上げました通り、実際お話にならぬような不始末ですが、非常にたくさんの死蔵品、それから退蔵品——死蔵品と申しますのは、持つておりましても使いものにならぬもの、それから使えるけれども相当大量に持つて、さしあたりは使うあてのないもの、そういうようなものが非常に厖大な数量に上りまして、そうして鉄道の資金方面を非常に圧迫いたしまして、二十四年度の初頭は、未払いもずいぶんつくつて、方々からおしかりを受けたのでございますが、そういう関係で、厖大な貯蔵品のうち、不用不急のものをより出しまして、それを適当に処分する、あるいは売却し、あるいは値段が安いから売らないで持つてつて、後年度の使用に充てる。こういうことを判別いたしますために、そういう委員会をつくりまして、一応不用額として、過剰分として出て参りました物品の一つ一つについて、これは一年の消費量がこれくらいであるからこれ以上はいらない、これは使う当てがないから売るというようなことを、この委員会において精査したのでありますが、そのうちで、現品を見て、——現品の場所は非常に全国至るところに——至るところと申しますと語弊がありますが、非常に方々に貯蔵してあるわけであります。それを売つた価格によつて、名前によつて審議したわけでありますが、その際に二つの部分を一つのものと考えれば、当然使えれば、当然使えるものとして貯蔵に残すなり、あるいは売り払うにいたしましても、くず鉄としてでなしに、一つの機能を持つたものとして売り払うべきであつたものを、それがたまたま二つの部分からなつております二つの部分の一つとして出て来ましたために、その審議会においてそこに気がつかないで、これは不用なものだ、こういう誤認をしたわけであります。そしてこういうくず鉄として非常な廉価で売却をしてしまつた、こういうようなかつこうになつておるのであります。まことに申訳の言葉はございません。
  44. 高橋權六

    高橋(權)委員 ついでにもう一ぺん注意していただきたいのは、幹部の方が審議会まで開いたならば、よほど、これはどうだ、こうだぐらいのことは、経験によつてなさるべきことでもないが、ただ誤認々々と言つてつたら、誤認になつてしまつて困ります。注意していただきたい。  それから六五七について、日本車輌製造株式会社に対し、その他について仮渡しした金が一億二千百六十六万六千円からという厖大なる金がある。こうなつておりますがこういうのは、先ほどわずかその公社の方に注意を受けたために、そのおしかりを受けたから、なるべく早く整理したいためにというような意味で、誤認してまで六五六のごとき結果になつていることもあるものですから、こういう厖大なる金を、なぜもう少しくきびしくして取上げないか。私これをちよつとお伺いしたいと思います。
  45. 三木正

    三木説明員 先ほど御説明いたしました通り、これは特殊物件、軍の工廠にありました品物を、何と言いますか、賠償物件として持つて帰られるようなおそれもあつた関係もあつたのでしよう。それは詳しくは存じませんが、国有鉄道が管理、保管いたしまして、それを日本再建に必要な有用なところに役立たせるという條件のもとに管理をいたしておつたのでございます。それを当時非常にこわれておりました車輌の新造なり修繕の材料に使うために、自分のところで鉄道の省内工場に譲り受けた分ももちろんございます。そうでないもので、車輌工場、地方鉄道等に売り渡す約束のもとに、一応仮渡したものがこれだけ、一億二千百万円余あつたわけでございます。ところがその中で非常にいいものもありますれば、また使いがつての悪いものもあります。もちろん軍の品物を車輌等に使うのでありますから、規格寸法、材質等から見て、非常に使いいいものは非常に早く契約が成り立つのでありますけれども、仮渡ししました受けた方で、使いがつての悪いものは、値段等について、そう高いならばほしくないというようなことを申しますので、いろいろと折衝の結果、その契約をいたしたのでありますが、そのためにこういうふうに遅れまして、現在ではまだ契約されていないものが五十四万九千円だけ残つておる。この残りのほとんど大部分は全部契約されまして、そうして金を取立てておる、こういうような現状でございます。
  46. 菅家喜六

    ○菅家委員長 大体この程度で終りまして、残余は次回の委員会で審議いたすことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十六分散会